令和3(行コ)203 所得税更正処分等取消請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
令和4年7月27日 東京高等裁判所
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判決文本文29,880 文字)

令和4年7月27日判決言渡令和3年(行コ)第203号所得税更正処分等取消請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成29年(行ウ)第426号) 主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実 及び理由第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 処分行政庁が平成27年10月30日付けで控訴人に対してした控訴人の 平成24年分の所得税に係る更正処分のうち総所得金額4257万2900円,納付すべき税額150万5400円を超える部分及び同処分に伴う過少申告加算税の賦課決定処分を取り消す。 3 処分行政庁が平成27年10月30日付けで控訴人に対してした控訴人の平成25年分の所得税及び復興特別所得税に係る更正処分のうち総所得金額35 05万円,納付すべき税額51万2100円を超える部分並びに同処分に伴う過少申告加算税の賦課決定処分を取り消す。 第2 事案の概要等(以下においては,特に断らずに,原判決記載の略称を用いることがある。) 1 事案の概要 ⑴ 当事者等控訴人は,昭和25年に兵庫県で生まれ,現在に至るまで日本国内に居住する者である。控訴人は,大阪市内を本店所在地とするA株式会社の代表取締役を務めるとともに,その完全親会社であり,中華人民共和国(中国)香港特別行政区(香港)において設立された外国法人であるBの最高経営責任 者(CEO)を務めている。 控訴人は,平成23年12月末日(Bの2011事業年度の末日)時点及び平成24年12月末日(Bの2012事業年度の末日)時点において,Bの株式400万株(発行済株式総数の約14.66%)を保有していた。 また,Bは,上記の各時点において,香港において設立された外国法 平成24年12月末日(Bの2012事業年度の末日)時点において,Bの株式400万株(発行済株式総数の約14.66%)を保有していた。 また,Bは,上記の各時点において,香港において設立された外国法人であるCの株式の約94%を保有していた。 ⑵ 本件請求の内容本件は,控訴人が,平成24年分の所得税並びに平成25年分の所得税及び復興特別所得税(所得税等)の確定申告に当たり,B及びCが租税特別措置法(平成26年法律第10号による改正前のもの。以下「措置法」という。)40条の4第1項の特定外国子会社等(いわゆるタックス・ヘイブン 対策税制の適用対象たる外国法人)に該当しないことを前提に申告をしたところ,D税務署長(処分行政庁)から,平成23年12月末日時点の上記両社及び平成24年12月末日時点のBが特定外国子会社等に該当するとして,その課税対象金額を控訴人の雑所得の総収入金額に算入することによる各更正処分(本件各更正処分)及びこれに伴う過少申告加算税の各賦課決定処分 (本件各賦課決定処分)を受けたため,本件各更正処分のうち申告額を超える部分及び本件各賦課決定処分の取消しを求める事案である。 ⑶ 原審の判断及び本件控訴の提起原審は,本件各事業年度(2011事業年度(平成23年1月1日から同年12月31日まで)及び2012事業年度(平成24年1月1日から同年 12月31日まで))におけるB及び2011事業年度におけるCは,いずれも措置法40条の4第1項の特定外国子会社等に該当するところ,控訴人は,平成24年分及び平成25年分の各確定申告書に適用除外記載書面を添付していなかったから,措置法40条の4第7項(本件適用除外規定)の適用を受けることができず,また,この点を措くとしても,本件適用除外要件 の全て 25年分の各確定申告書に適用除外記載書面を添付していなかったから,措置法40条の4第7項(本件適用除外規定)の適用を受けることができず,また,この点を措くとしても,本件適用除外要件 の全てを満たすものとはいえない(本件各事業年度におけるBについては, 本件適用除外要件に係る事業基準(株式の保有等を主たる事業とするもの以外のものであること)を満たさず,2011事業年度のCについては,同要件に係る非関連者基準(卸売業等の場合に,事業を主として特定外国子会社等に係る関連者以外の者との間で行っていること)を満たさないことが明らかである。)から,本件各処分は適法であるとして,控訴人の請求をいずれ も棄却した。控訴人は,原判決を不服として本件控訴を提起した。 2 関係法令,前提事実及び課税の根拠関係法令,前提事実及び課税の根拠は,次のとおり付加訂正するほか,原判決の「事実及び理由」中「第2 事案の概要」の1から3までに記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の付加訂正)⑴ 原判決3頁25行目の「以下」を「居住者又は内国法人と政令で定める特殊の関係のある非居住者。以下これらを」と改め,5頁9行目ないし10行目の「有していること」の次に「(実体基準)」を加える。 ⑵ 原判決6頁5行目の「容易に認められる事実」の次に「。以下,付加訂正 後の事実を「前提事実」といい,「前提事実⑴」のように表記する。」を加える。 ⑶ 原判決6頁25行目ないし26行目の「子会社」の次に「(完全子会社)」を加える。 ⑷ 原判決11頁18行目ないし19行目の「上記キのスタッフリスト」を 「上記キの同年12月31日付けスタッフリスト」と改める。 ⑸ 原判決12頁2行目及び5行目の「雇用主支払報告書」をいずれも「雇用主 1頁18行目ないし19行目の「上記キのスタッフリスト」を 「上記キの同年12月31日付けスタッフリスト」と改める。 ⑸ 原判決12頁2行目及び5行目の「雇用主支払報告書」をいずれも「雇用主支払申告書」と改め,7行目の「各報告書」を「各申告書」と改める。 ⑹ 原判決13頁24行目ないし25行目の「原告,E及びFを出資者として」の次に「(それぞれが額面1香港ドル(約10円)の株式を1株ずつ引き受 けて)」を加え,14頁2行目の「Gの株式全てをBに譲渡し」を「G(資 本金100万円)の株式全て(100株)を100万円でBに譲渡し」と,4行目ないし5行目の「Hを吸収合併し」を「H(資本金1億5000万円)を吸収合併し」とそれぞれ改める。 ⑺ 原判決14頁5行目ないし6行目の「H」から9行目の「ものである。」までを「H(被合併法人。発行済株式数272万9300株)の株主に対し, 合併の対価として,Hの株式1株に対し,Bの株式を10株の割合で交付した(Bは2729万3000株を新たに発行した。)。このようにして,Hの株主であった者がほぼ同じ割合でBの株式を保有するに至り,BはA株式会社の完全親会社となった。」と改める。 3 争点及び争点に関する当事者の主張の要旨 争点及び争点に関する当事者の主張の要旨は,次のとおり付加訂正し,後記のとおり「当審における当事者の主張の要旨」を加えるほか,原判決の「事実及び理由」中「第2 事案の概要」の4及び5(原判決別紙4(59頁から90頁まで)を含む。)に記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の付加訂正) ⑴ 原判決17頁8行目の「満たしているか否か」を「満たさないか否か」と改め,11行目末尾の次に改行して以下のとおり加える。 「 Bについては, する。 (原判決の付加訂正) ⑴ 原判決17頁8行目の「満たしているか否か」を「満たさないか否か」と改め,11行目末尾の次に改行して以下のとおり加える。 「 Bについては,控訴人が主たる事業は管理サービス業である旨主張しているので,上記のとおり,所在地国基準を満たさないか否かが問題となる。 なお,被控訴人は,Bが本件適用除外要件のうち実体基準を満たすことに ついては積極的に争っていない。他方,控訴人は,Cが2011事業年度において本件適用除外要件を満たさないこと(主たる事業である卸売業について非関連者基準を満たさないこと)を積極的に争っていない。」⑵ 原判決62頁4行目の「課税するものであり」を「課税する個別の否認規定であり」と改める。 ⑶ 原判決85頁4行目の「立地上優位性がある。」を「立地上優位性がある のはもちろん,グループ全体として準拠すべき香港会計基準が問題となった場合に会計事務所への相談が容易である点で,香港で行うことに積極的な経済合理性がある。」と改める。 ⑷ 原判決90頁9行目の「計画立案等」を「計画立案等のサービスの付加価値を創出する本質的行為」と改める。 (当審における当事者の主張の要旨)⑴ 争点⑴(本件各事業年度におけるB及び2011事業年度におけるCが,それぞれ特定外国子会社等に該当するか否か)について(被控訴人の主張の要旨)本件各事業年度におけるB及び2011事業年度におけるCはいずれも 「外国関係会社」に該当し,その余の要件も満たすから,特定外国子会社等に該当する。 「外国関係会社」に該当するか否かは,措置法40条の4第2項1号及び同項3号の規定から形式的に判断することができるのであり,同規定の趣旨目的に立ち戻っ から,特定外国子会社等に該当する。 「外国関係会社」に該当するか否かは,措置法40条の4第2項1号及び同項3号の規定から形式的に判断することができるのであり,同規定の趣旨目的に立ち戻って解釈を行う必要はないし,同条の趣旨目的に照らしてみて も,「外国関係会社」に該当するための要件として,控訴人が主張するような実質的支配や租税回避の意図といった要件を要求していないことが明らかである。なお,本件は,後記最高裁平成26年判決とは全く事案を異にする。 また,控訴人は,本件適用除外要件と「外国関係会社」の要件とは趣旨目的が異なる旨も主張するが,措置法40条の4の条文の文言,構造及び趣旨 からすれば,タックス・ヘイブン対策税制の対象となる「外国関係会社」該当性については,わが国の株主による支配という観点から措置法40条の4第1項及び2項により形式的に判断した上で,同条項により同税制の対象となった外国関係会社が,同税制の適用が除外される経済合理性を有するかという実質的な判断を同第3項によりすることが予定されているものといえる。 (控訴人の主張の要旨) 本件各事業年度におけるB及び2011事業年度におけるCはいずれも「外国関係会社」に該当しないから,特定外国子会社等には該当しない。 タックス・ヘイブン対策税制は,居住者等が軽課税国に所在する外国法人を「支配」することにより実現される租税回避に対応した個別否認規定であり,制度創設時に,「支配」の絶対的要件(最低限の条件)として,50% 超の株式保有要件が設けられ,意図的な分散保有の可能性を考慮して複数の株主の株式数を合算して50%超の保有の有無を判断することとされ,かつ,分散による租税回避の意図を推認し得る下限は10%であるとの考えから発行済株式 けられ,意図的な分散保有の可能性を考慮して複数の株主の株式数を合算して50%超の保有の有無を判断することとされ,かつ,分散による租税回避の意図を推認し得る下限は10%であるとの考えから発行済株式等の10%以上の株式の保有者が納税義務者とされた(乙46・92~95頁)。このような制度創設の趣旨目的からすれば,50%超の株式 保有の要件を満たす外国法人としては,居住者等から海外法人に対する配当等の分配を行わせるだけの実質的支配があり,これにより租税回避の意図を推認し得るもののみが想定されていたというべきである。そして,株式が多数の株主に分散保有されている場合には,剰余金の配当等に関する議決権行使に関し株主間で協調することで外国法人を支配できる関係にある場合に限 り,租税回避を推認し得るだけの実質的支配があるというべきである。 この点,Bにおいては,控訴人を含む創業者一族(I一族)は過半数の株式を保有しておらず,他の株主は原料となる銅地金供給元や取引先金融機関等であり,I一族とその他の株主との間には緊張関係はあっても協調関係はない。しかも,Bの株式は40名超の個人又は団体により分散して保有され ているが,これは,HがG(A株式会社に商号変更)に吸収合併された本件組織再編の際に,合併対価としてH株式1株に対してGの完全親会社であるB株式10株を割り当てたことにより,Hの株主構成がほぼそのままBに引き継がれたものであり,意図的な分散保有が行われたものではない。このような本件の事情を考慮すれば,Bは50%超の株式保有要件が捕捉しようと していた外国法人には当たらない。このような場合にまで法令の字句どおり に居住者等の株式数を合算して機械的・形式的に措置法40条の4を適用することは,租税回避の否認規定が租税回避ではな していた外国法人には当たらない。このような場合にまで法令の字句どおり に居住者等の株式数を合算して機械的・形式的に措置法40条の4を適用することは,租税回避の否認規定が租税回避ではない場面にまで適用されるという過剰包摂(オーバー・インクルージョン)の問題を生じさせ,納税者に著しく不当・不合理な結果を生じさせる。 なお,このような考え方は,個別の法令文言と無関係に「居住者等による 外国法人の実質的支配や株式の分散保有による租税回避の意図等」といった不文の要件を付加するものではなく,最高裁平成26年12月12日第二小法廷判決・裁判集民事248号165頁(以下「最高裁平成26年判決」という。)と同様に,事案の特殊性と法の趣旨目的等を踏まえた具体的な規範の定立・当てはめ(措置法40条の4の目的論的な限定解釈)を求めるもの である。 被控訴人は,措置法40条の4第1項及び2項を形式的に適用してタックス・ヘイブン対策税制の適用対象となる外国法人を抽出し,同条3項で実質的な判断を行い,軽課税国に所在することに十分な経済合理性がある外国法人をタックス・ヘイブン対策税制の適用から除外する建付けになっている旨 主張するが,同条3項の本件適用除外要件は,特定外国子会社等の事業活動の実態を基に当該法人が軽課税国に所在することに経済合理性があるか否かを判断する事業活動レベルに適用される基準であって,そもそも,ある外国法人が特定外国子会社等に該当するか,すなわち,居住者等から租税回避を推認させるだけの実質的な支配を受けているかという株主と当該外国法人と の関係とは次元を異にするものである。 ⑵ 争点⑵(本件各確定申告書に適用除外記載書面の添付がなかったことにより,本件適用除外規定が適用されないこととなるか否か いう株主と当該外国法人と の関係とは次元を異にするものである。 ⑵ 争点⑵(本件各確定申告書に適用除外記載書面の添付がなかったことにより,本件適用除外規定が適用されないこととなるか否か)について(被控訴人の主張の要旨)控訴人は,本件各確定申告書にB及びCに係る適用除外記載書面を添付し ていないから,本件適用除外要件を満たすか否かについて判断するまでもな く,本件適用除外規定の適用を受けることができない。 措置法40条の4第1項は,所定の要件を満たす特定外国子会社等が適用対象金額を有する場合には,課税対象金額に相当する金額をその者の雑所得に係る収入金額とみなし,同条7項は確定申告書に適用除外記載書面を添付等した場合に限り,同条3項を適用することとしており,このような規定の 文言や構造に照らせば,同条7項の適用除外記載書面の添付要件を充足する場合に限り,同条3項の本件適用除外要件の充足の有無が判断されることになると解するのが素直な読み方である。控訴人は,特定外国子会社等に該当することに加えて,同条3項の本件適用除外要件を充足しない場合に初めて合算課税が認められる旨主張するが,措置法40条の4の規定の文言,構造 及び趣旨に照らし,そのように解すべき根拠は見当たらない。 昭和53年の制度創設当初の法令の文言や立案担当者の解説書(乙46・143頁)を見ても,適用除外記載書面の添付は,タックス・ヘイブン対策税制の「適用除外を受けるための手続」として必要であると解されてきた。 仮に,控訴人が主張するように,実務上,確定申告書に適用除外記載書面が 添付されていない事のみを理由に合算課税を行った事例が見当たらないとしても,このことによって,措置法40条の4及び関連規定の文理の構造及び趣旨 ように,実務上,確定申告書に適用除外記載書面が 添付されていない事のみを理由に合算課税を行った事例が見当たらないとしても,このことによって,措置法40条の4及び関連規定の文理の構造及び趣旨に沿った合理的な解釈が否定されるものではない。また,ある制度が恩典ないし優遇を与えるための制度でなければ,納税者がその制度の適用を受ける旨の意思を表明する必要はなく,当該制度の適用につき法令上明確に定 められた形式要件(適用除外記載書面の添付要件)を満たしていなくても,その制度を適用することができるとする控訴人の主張は,何ら法令の規定を根拠とするものではない。措置法40条の4第7項により,本件適用除外規定の適用を受けるか否かが納税者の意思の表明に委ねられていると解することは,規定の文理,構造及び趣旨から導き出される合理的な解釈というべき であり,後記最高裁平成21年10月判決は,タックス・ヘイブン対策税制 が適用除外記載書面の添付要件を含むことを前提に,全体として合理性のある制度として租税条約(当該事案では日星租税条約)の趣旨目的に反しないものと判断したものというべきである。なお,適用除外記載書面は,法人税法施行規則別表17(三)と同様の内容を具体的に記載したものでなければならないと解され,このような書面は,課税庁が本件適用除外要件の充足性 について適正かつ迅速に判断するための有力な手段となるものである。 申告納税方式を採用している我が国においては,納税義務者は確定申告に当たって税法の規定に従い,正しく税額の計算を行う義務を負うところ,控訴人は,本件各事業年度におけるB及び2011事業年度におけるCが特定外国子会社等に該当するか否かを正しく検討し,判断しなければならなかっ た(この判断は,株主構成を形式的に を負うところ,控訴人は,本件各事業年度におけるB及び2011事業年度におけるCが特定外国子会社等に該当するか否かを正しく検討し,判断しなければならなかっ た(この判断は,株主構成を形式的に判断すれば足りる。)にもかかわらず,これを意図的に又は看過して怠り,確定申告書に適用除外記載書面の添付をしなかったのであるから,本件適用除外規定の適用を受けることはできない。 (控訴人の主張の要旨)タックス・ヘイブン対策税制が租税回避の否認規定であるという性質上, 措置法40条の4第1項が適用され,合算課税が行われるためには,同項所定の「特定外国子会社等」に該当すること(合算課税根拠要件)に加えて,同条3項所定の適用除外要件を満たさないことが必要であるところ,このような適用除外要件の位置付け(合算課税の土台を支える基本的要件)からすれば,適用除外記載書面の添付の有無にかかわらず,本件適用除外要件の実 体判断は必ず行われなければならない。 昭和53年の制度創設当初の法令の規定の文言や立案担当者の解説からしても,適用除外記載書面の確定申告書への添付は,財務書類の確定申告書への添付と同様,せいぜい納税者に手続的義務を課すものにすぎないとの前提であったと考えられる。そして,平成19年度の税制改正で一定の文言の手 直しが行われ,現在とほぼ同じ規定振りになったものの,立案担当者の解説 にはこの点について特段の言及がないことからすれば,実体法的拘束力を伴わない単なる納税者の手続的義務を定めたという制度創設当初の位置付けを変えることなく明確化したものにすぎないといえる。課税実務においても,本件を含めて,課税庁が適用除外記載書面の確定申告書への添付がないことのみを根拠として,本件適用除外要件の実体判断を行うことなく合算課税を なく明確化したものにすぎないといえる。課税実務においても,本件を含めて,課税庁が適用除外記載書面の確定申告書への添付がないことのみを根拠として,本件適用除外要件の実体判断を行うことなく合算課税を 行っているケースは基本的に存在しない。 本件適用除外要件は,タックス・ヘイブン対策税制の適用除外という恩典ないし優遇を与える性格のものではなく,同税制に基づく合算課税を行うための実体要件を定めた課税要件としての性格を有するものであるから,納税者が確定申告段階で本件適用除外規定の適用を受ける旨の意思を表明するな どして制度適用に係る選択をしなければ適用除外規定の適用を受けることができないと考えることは,制度内で明らかに自己矛盾を引き起こすこととなり,また,租税条約(本件では日港租税条約)の趣旨目的に明らかに反するような合理性を欠く課税制度として実質的に同条約にも反することになる(最高裁平成21年10月29日第一小法廷判決・民集63巻8号1881 頁,最高裁平成21年12月4日第二小法廷判決・裁判集民事232号541頁)。 被控訴人は,措置法40条の4第7項の趣旨について,①本件適用除外規定の適用を受けることについて納税者の意見を明らかにさせるとともに,②その根拠となる資料を保存させることで,課税庁が本件適用除外要件の該当 性を適正かつ迅速に判断することができるようにし,租税法律関係を早期に確定させることにある旨主張するが,①の点は,本件適用除外要件が合算課税のための課税要件であることと論理的に矛盾し,②の点は,措置法や同法施行令,施行規則において,適用除外記載書面の書式・内容が明らかにされていないことなどに照らせば,適用除外記載書面を確定申告書に添付しても, 本件適用除外要件の該当性を適正かつ迅速に判断すること 行令,施行規則において,適用除外記載書面の書式・内容が明らかにされていないことなどに照らせば,適用除外記載書面を確定申告書に添付しても, 本件適用除外要件の該当性を適正かつ迅速に判断することにつながらない (仮に,被控訴人が主張するように,法人税法施行規則別表17(三)と同様の内容を記載することが求められているとすれば,法律の文言を明らかに超えるものであり,租税法律主義に反するものである。)。また,仮に租税関係の早期確定の観点から納税者に協力義務を課す趣旨のものであるとしても,協力義務に違反した納税者に対し,直ちに合算課税を行うことが正当化 される根拠は示されていない。措置法40条の4第7項は,条文の字句どおりに解釈すると,納税者にとって著しく不当・不合理な結果となるから,規定の文言を合理的な範囲で離れる形で,タックス・ヘイブン対策税制の制度全体の仕組みや本件適用除外要件の位置付けを踏まえた法解釈を行わなければならない。 なお,申告納税制度の下では,納税者に課税要件事実の一時的な判断権があるため,納税者が確定申告時に認識していた課税要件事実を前提にすると,合算課税の根拠要件を満たすという場合でなければ,適用除外記載書面の確定申告書への添付に係る規定自体が適用されないというべきである(このように解さなければ,納税者は,特定外国子会社等の該当性を甘んじて受け入 れるという自己の課税要件事実に係る判断に反する選択を強要されることになる。)。 以上のとおり,本件適用除外要件の課税要件としての重要性に鑑みると,納税者が諸般の事情により確定申告書への適用除外記載書面の添付義務を履行できなかったとしても,そのことのみで本件適用除外要件の充足による合 算課税に係る納税義務の不成立という租税実体法上の法律効果を が諸般の事情により確定申告書への適用除外記載書面の添付義務を履行できなかったとしても,そのことのみで本件適用除外要件の充足による合 算課税に係る納税義務の不成立という租税実体法上の法律効果を排除するような強力な拘束力(実体法的拘束力)は生じない。 したがって,控訴人が本件各確定申告書に適用除外記載書面を添付していなかったとの一事をもって,本件適用除外規定の適用を否定することは許されない。 ⑶ 争点⑶ア(Bが本件適用除外要件に係る事業基準を満たさないか否か)につ いて(被控訴人の主張の要旨)ア特定外国子会社等の「主たる事業」の判定に当たっては,特定外国子会社等の収益構造を形式的にみるのではなく,当該収入が実質的に特定外国子会社等のどの業務に対する対価といえるのかという観点から検討するの が相当である(最高裁平成29年10月24日第三小法廷判決・民集71巻8号1522頁(最高裁平成29年判決))。 このような観点から検討すれば,Bの主たる事業は株式保有業であったと認められる。 イ 2011事業年度について Jが不動在庫解消業務を開始したのは,平成23年4月及び5月頃であり,当時,C管理契約は締結されていなかったこと,Jは2011事業年度においてCに雇用されており,同社とBとの間にJについての派遣契約が存在しなかったこと,不動在庫解消業務はCの子会社である中国子会社の抱えるリスクを排除する目的で行われたもので,直接の親会社であるC が行うべき業務であることは,いずれも,不動在庫解消業務がCの業務であることを強く推認させるものである。控訴人は,平成23年10月にも不動在庫の解消に向けた調整を行ったことを主張するが,Jは,C薫事長補佐として同年4月から ,いずれも,不動在庫解消業務がCの業務であることを強く推認させるものである。控訴人は,平成23年10月にも不動在庫の解消に向けた調整を行ったことを主張するが,Jは,C薫事長補佐として同年4月から同業務を行い,同年10月にも同様にC薫事長補佐として同業務を行ったにすぎず,上記事情は前記推認を覆すものではな い。 ウ 2012事業年度について仮にC管理契約に基づく管理料の全額(総収入の約19%)が与信等管理業務の対価に当たるとの前提に立ったとしても,残りの約81%は,配当収入か,名目上は管理料であるが,実質的には株式の利益配当と同視で きるものといえるから,上記事情は,子会社支援サービスに係る業務がB の主たる業務であることを基礎付ける事情とはいえない。 そして,本件研究所の設置場所,人員構成,設備投資状況や開発がされた時期等に照らせば,本件研究所は2012事業年度においては実体が伴わないものであったというべきであり,同研究所における技術開発業務は,2012事業年度においてBに管理料をもたらす客観的に対価性のある業 務であったとは認められない。また,被災処理業務は,そもそも,K管理契約が締結されていなくても被災した子会社に対する支援業務として行われたものであり,他の子会社も無償で支援活動を行っているから,対価性を有するものとはいえず,Bに管理料をもたらす客観的に対価性のある業務であったとは認められない。 (控訴人の主張の要旨)ア特定外国子会社等の主たる事業は,当該事業年度における「事業活動の具体的かつ客観的な内容」から判定され,株式保有業とそれ以外の事業について,「それぞれの事業活動によって得られた収入金額又は所得金額,事業活動に要する使用人の数,事務所,店 年度における「事業活動の具体的かつ客観的な内容」から判定され,株式保有業とそれ以外の事業について,「それぞれの事業活動によって得られた収入金額又は所得金額,事業活動に要する使用人の数,事務所,店舗,工場その他の固定施設の状 況等」を総合的に勘案して判定される(最高裁平成29年判決参照)。 Bの株式保有業と子会社支援サービス業(管理サービス業)について,上記の各要素を比較して総合勘案(主従判定)をすれば,主たる事業はサービス業であったことが明らかである。 イ 2011事業年度について Jが行った中国子会社の不動在庫問題への対応は,BのCEOであるEやCOOである控訴人の指示を受けて行われたものであり,不動在庫の減少という具体的な成果が同社の経営指針において言及されている(甲60)。不動在庫問題は,日本企業であるHが親会社であった時代に,同社が受注前に先行手配して中国子会社に材料を販売し,受注に至らなかった 場合でも材料を買い戻さず,中国子会社にこれらを保有させ続けたことに よるものであり,このような悪弊を一掃するためにBが設立されたという経緯からすれば,上記問題への対応は,Cとしてではなく,まさにBとして行った(Bとしてしか行い得なかった)業務というべきである。そして,Jが同業務に取り掛かった平成23年4月ないし5月の時点では,正式にC管理契約が締結される前であったとしても,契約書がなければ業務性が 否定されるものではないこと,同契約締結後の同年10月17日ないし18日にも同業務が行われており(甲49),同年4月以降のJの業務は不可分一体であることからすれば,同契約締結前の業務を含めて,Bの子会社支援サービス(管理サービス)として行われたものというべきである。 したがって,2011事業年度にC及びA 4月以降のJの業務は不可分一体であることからすれば,同契約締結前の業務を含めて,Bの子会社支援サービス(管理サービス)として行われたものというべきである。 したがって,2011事業年度にC及びA株式会社がBに支払った業務 委託料(管理料)は全て子会社支援サービスの提供によるものであるといえるところ,管理料収入(6338万円)からKが支払った管理料を除いても,配当収入(3200万円)を優に上回る。そして,「事業活動に要する使用人の数,事務所,店舗,工場その他の固定施設の状況」といった生産要素も検討すると,2011事業年度には,Bにおいて,J及びLの 2名が子会社支援サービス業務に従事している一方,議決権の行使や株式運用等に専従している者はいなかったし,Bの事務所等の固定施設は,不動在庫解消業務に提供され,主として子会社支援サービス業務に用いられてきたから,2011事業年度において,子会社支援サービス(管理サービス)の提供が主たる事業であったことは明らかである。 ウ 2012事業年度についてBは,2012事業年度に,本件各管理契約に基づく業務として与信等管理業務に加えて,被災処理業務及び技術開発業務を行っているところ,被控訴人は,被災処理業務及び技術開発業務に対して支払われた私法上有効な業務委託料を,不明確な基準を持ち出して対価性を否定し,さらには 実質的には利益配当と同視できるなどと主張し,これら委託料を「主たる 事業」の総合勘案における「収入金額又は所得金額」(金額的要素)から意図的に除外しており,私法上の法律構成に介入するものであって,不当である。また,仮に,上記業務のうち客観的に対価性のある業務が与信等管理業務のみであるとしても,当該業務の対価が総収入に占める割合は約19%であり,配 ,私法上の法律構成に介入するものであって,不当である。また,仮に,上記業務のうち客観的に対価性のある業務が与信等管理業務のみであるとしても,当該業務の対価が総収入に占める割合は約19%であり,配当収入のそれ(約4.1%)を優に上回っている。そし て,上記の生産要素も検討すると,2012事業年度において,Bでは少なくとも5名(J,L,M,N及びO)が子会社支援サービス業務に従事している一方,議決権行使や株式配当等に専従した者はいなかったし,Bの事務所等は,与信等管理業務及び被災処理業務に,技術総合開発センターは技術開発業務に提供され,主として子会社支援サービスのために用い られてきたから,2012事業年度においても,子会社支援サービス(管理サービス)の提供が主たる事業であったことは明らかである。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も,本件各処分は適法であり,控訴人の請求はいずれも理由がなく棄却すべきものと判断する。その理由は,以下のとおりである。 2 争点⑴(本件各事業年度におけるB及び2011事業年度におけるCが,それぞれ特定外国子会社等に該当するか否か)について争点⑴についての当裁判所の判断は,次のとおり付加訂正するほか,原判決の「事実及び理由」中「第3 当裁判所の判断」の1に記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の付加訂正)原判決19頁23行目冒頭から20頁21行目末尾までを以下のとおり改める。 「⑶ 控訴人の主張(当審における主張を含む。)に対する判断ア控訴人は,タックス・ヘイブン対策税制は,居住者等が軽課税国に所 在する外国法人を「支配」することにより実現される租税回避に対応し た個別否認規定であり,制度創設の趣旨目的からすれば,50%超の株 タックス・ヘイブン対策税制は,居住者等が軽課税国に所 在する外国法人を「支配」することにより実現される租税回避に対応し た個別否認規定であり,制度創設の趣旨目的からすれば,50%超の株式保有の要件を満たす外国法人としては,居住者等から海外法人に対する配当等の分配を行わせるだけの実質的支配があり,これにより租税回避の意図を推認し得るもののみが想定されていたと考えられるところ,Bについては,I一族が過半数の株式を保有しておらず,その他の株主 との間に協調関係もないこと,また,意図的な分散保有が行われたものでもないことを考慮すれば,50%超の株式保有要件が捕捉しようとしていた外国法人には当たらないのであって,このような場合にまで,法令の字句どおりに居住者等の株式の持分を機械的・形式的に合算して措置法40条の4を適用することは,租税回避の否認規定が租税回避では ない場面にまで適用されるという過剰包摂(オーバー・インクルージョン)の問題を生じさせ,納税者に著しく不当・不合理な結果を生じさせるから,最高裁平成26年判決と同様に,目的論的な限定解釈をすべきであり,そのような解釈をすれば,本件各事業年度におけるB及び2011事業年度におけるCはいずれも「外国関係会社」に該当しないから, 特定外国子会社等に該当しない旨主張する。 イしかし,租税法規は侵害規範であり,また,多数の納税者間の税負担の衡平を図る観点から,予測可能性,法的安定性が強く要請されるため,その解釈は原則として文理解釈によるべきであって,文理解釈によっては規定の意味内容を明らかにすることが困難な場合にはじめて規定の趣 旨目的に照らしてその文理の通常の意味を超えない範囲で,その意味内容を明らかにすべきであるところ,措置法40条の4第2項の ては規定の意味内容を明らかにすることが困難な場合にはじめて規定の趣 旨目的に照らしてその文理の通常の意味を超えない範囲で,その意味内容を明らかにすべきであるところ,措置法40条の4第2項の「外国関係会社」の意味は,外国法人の発行済株式総数のうち居住者等の保有株式が占める割合等により客観的・形式的に判断することができるものであり,規定の文理から内容が明らかであるから,規定の趣旨目的に照ら してその意味内容を明らかにすべき場合には当たらない。 この点,措置法40条の4は,タックス・ヘイブン対策税制を定めるものであるところ,その立法趣旨は,軽課税国(タックス・ヘイブン)にある子会社等で,我が国株主により支配されているものに我が国株主が所得を留保し,我が国での税負担を不当に軽減することを規制することにある(乙46・92頁)。このような立法趣旨からすれば,我が国 の居住者等によって50%超の株式が保有されていたとしても,これらの者の間に協調関係がなく,当該外国法人に対して配当等を行わせるだけの実質的な支配がないと認め得る場合等,上記立法趣旨が必ずしも直接には当てはまらない事例も想定し得る。しかし,そのような事例は千差万別であり,これを客観的な基準によって抽出することは極めて困難 である。したがって,立法者が上記の立法趣旨を実現するための制度として措置法40条の4を制定した以上,同条2項の規定する「外国関係会社」の意味内容が上記立法趣旨を踏まえて客観的かつ明確に定まり,文理から明らかであるにもかかわらず,さらに趣旨目的を考慮し,居住者等から海外法人に対する配当等の分配を行わせるだけの実質的支配が あり,これにより租税回避の主観的意図を推認し得るものに限定するような解釈を行うことは,規定の文理によって「外 を考慮し,居住者等から海外法人に対する配当等の分配を行わせるだけの実質的支配が あり,これにより租税回避の主観的意図を推認し得るものに限定するような解釈を行うことは,規定の文理によって「外国関係会社」の外延を明確に定めた立法趣旨に反する上,課税対象を不明確にし,納税者間の衡平を害するおそれもあり,相当ではない。 ウただし,個別事案において,措置法40条の4の趣旨目的に照らし, 同条2項の定める「外国関係会社」に当たり,同条1項を適用することが明らかに課税上の衡平に反するような場合には例外的に「外国関係会社」に当たらないものとみる余地も考えられるため(最高裁平成26年判決は,相続税の延滞税に関し,個別事情を考慮し,明らかに衡平に反する場合に延滞税を課さない解釈を採ったものと考えられる。),本件 において,そのような事情があるか,以下,検討する。 この点,前提事実及び後掲証拠によれば,本件各事業年度の各末日において,I一族はBの株式の過半数までは保有していなかったこと,Bの株式は40名超の株主に分散されて保有されていたところ,これは,本件組織再編の際,Hの株主に対してBの株式を合併の対価として従前と同等の割合で交付したことによるものであり,租税回避のために意図 的にBの株式が分散保有されたものではないことは認められる(前提事実⑶ウ,同⑹ア,乙12)。 他方で,前提事実及び後掲証拠によれば,I一族は,Pグループの創業者一族であって,本件各事業年度の各末日においてBの約41.15%と相応の割合の株式を保有していたこと,「A株式会社社員持株会」 (Bの完全子会社であるA株式会社の社員持株会)が上記各時点においてBの株式の約19.44%を保有していたことも認められ(前提事実⑶ウ,乙12,33 有していたこと,「A株式会社社員持株会」 (Bの完全子会社であるA株式会社の社員持株会)が上記各時点においてBの株式の約19.44%を保有していたことも認められ(前提事実⑶ウ,乙12,33),同社員持株会がI一族と緊張関係にあったことをうかがわせる事情は見当たらないことを考慮すれば,I一族は外国法人であるBに対して配当等を行わせるだけの実質的な支配をしていたと 推認される。このことは,本件各事業年度の末日において,取引先のQが約15.97%の株式を保有していたほか,金融機関等もBの株式を保有していたこと(前提事実⑶ウ,乙12),控訴人がQの経営層とコミュニケーションをとり,配当等に関する議案について事前にQの了解を得ていたこと(原審・控訴人本人〔2頁〕)を踏まえても,左右され ない。 そうすると,本件では,本件各事業年度におけるB及び2011事業年度におけるCについて,措置法40条の4の趣旨目的に照らし,同条2項の定める「外国関係会社」に当たり,同条1項を適用すべきとすることが明らかに課税上の衡平に反するような例外的な事情は認められな い。したがって,控訴人の上記主張は採用することができない。」 3 争点⑶ア(Bが本件適用除外要件に係る事業基準を満たさないか否か)について⑴ 認定事実認定事実は次のとおり付加訂正するほか,原判決の「事実及び理由」中「第3 当裁判所の判断」の3⑴に記載のとおりであるから,これを引用す る(以下,付加訂正後の同3⑴記載の事実を「認定事実」といい,「認定事実ア(ア)」のように表記する。)。 (原判決の付加訂正)ア原判決23頁22行目の「乙11」を「乙11の1〔25頁〕」と,24頁12行目ないし13行目の「証人J〔17,19,20頁〕」を「原 」のように表記する。)。 (原判決の付加訂正)ア原判決23頁22行目の「乙11」を「乙11の1〔25頁〕」と,24頁12行目ないし13行目の「証人J〔17,19,20頁〕」を「原 審証人J〔17,19頁〕」とそれぞれ改める。 イ原判決25頁5行目の「Rと雇用契約を締結し,同社の」を「Cと雇用契約を締結し,同社から給与の支払を受けていたが,Rの」と,9行目ないし10行目の「証人S〔8~10頁〕」を「原審・証人S〔7~10頁〕」とそれぞれ改める。 ウ原判決25頁19行目の「本件OEM取引においては,」の次に「契約上,」を加え,22行目の「同社の」を「CはHの」と改める。 エ原判決26頁4行目の「Jを含む数名」を「JやA株式会社の業務推進部チームリーダーであったTを含む数名」と,8行目の「(甲26,48,証人J)」を「Jは,その後も,同年10月17日に中国子会社の同年9 月時点の不動在庫数をTに報告するなど,不動在庫問題への対応を行った。 (甲26,48,49,証人J)」とそれぞれ改める。 オ原判決26頁18行目の「(以上につき」から19行目末尾までを「その後,Jは,同年12月10日ないし13日にRに出張し,同制度の運用状況等を確認するなどのフォローアップをした。(以上につき,甲26, 28,44~47,原審・証人E〔6頁〕,証人J)」と改める。 カ原判決27頁6行目ないし7行目の「Rに雇用されて勤務を開始し」を「Cに雇用されてRにて勤務を開始し」と改める。 キ原判決28頁4行目の「甲32,33,69」の次に「,乙67」を加え,12行目の「2014年(平成26年)」を「2014年(平成26年)11月」と,13行目ないし14行目の「U及びA株 キ原判決28頁4行目の「甲32,33,69」の次に「,乙67」を加え,12行目の「2014年(平成26年)」を「2014年(平成26年)11月」と,13行目ないし14行目の「U及びA株式会社」を「主 にU及びA株式会社」とそれぞれ改める。 ⑵ 事業基準について事業基準についての当裁判所の判断は,次のとおり付加訂正するほか,原判決の「事実及び理由」中「第3 当裁判所の判断」の3⑵に記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の付加訂正)ア原判決28頁18行目の「満たすか否か」を「満たさないか否か」と改める。 イ原判決30頁6行目の「Eが」から7行目の「証言をしていること」までを「Eが,本件各管理契約を締結した経緯等について,親会社として管 理契約がなくても子会社の支援はできるが,将来的に香港で上場することを目的としつつ,Bの役員報酬を含む人件費等を最低限確保するために,本件各管理契約を締結し,必要経費を概算して上記管理料の金額を決めた旨の証言をしていること(原審・証人E〔22,31~33頁〕)」と改め,12行目の「認めるのが相当である。」を「認められ,将来的にBを 香港で上場させるために,3事業年度の利益合計額5000万香港ドル以上という利益基準を達成するという目的もあったことがうかがわれる(甲25〔3頁〕,原審・控訴人本人〔17,18頁〕)。」ウ原判決30頁15行目の「あるところ」の次に「(平成29年最高裁判決参照)」を加え,同行目の「本件各管理契約の内容や」を「本件各管理 契約の締結の経緯や内容,」と改める。 エ原判決30頁19行目の「Bが」から24行目末尾までを以下のとおり改める。 「Bが実際に上記3社に対して本件各管理 」を「本件各管理 契約の締結の経緯や内容,」と改める。 エ原判決30頁19行目の「Bが」から24行目末尾までを以下のとおり改める。 「Bが実際に上記3社に対して本件各管理契約に基づく管理業務を行っているか否か,行っている場合には,その業務が客観的にみて約定の管理料との対価性を有するものといえるか否か(当該業務により得られる管理 料には実質的に利益配当と同視できる部分が含まれていないか否か)を考慮し,このように実態を踏まえた管理サービス業と株式保有業について,それぞれの事業活動によって得られた収入金額又は所得金額,事業活動に要する使用人の数,事務所,店舗,工場その他の固定施設の状況等を総合的に勘案して判断するのが相当である(平成29年最高裁判決参照)。た だし,株式保有業のために人的・物的資源が多く用いられることは通常想定し難いことを考慮すれば,「事業活動に要する使用人の数,事務所,店舗,工場その他の固定施設の状況」については,Bにおける株式保有業と管理サービス業とのそれらを単純に比較するのは相当ではなく,管理サービス業に相応の規模の(株式保有業よりも有意に多くの)人的・物的資源 が用いられているかといった観点から検討するのが相当である。」オ原判決31頁9行目の「JがEの」から13行目末尾までを以下のとおり改める。 「JがEの指示を受けて中国子会社の不動在庫問題への対応に着手したのはC管理契約が締結される前の同年4月30日頃であり,同契約締結前 の同年5月16日時点で不動在庫が大幅に減少するという成果が出ていた(認定事実ウ(ウ))。そうすると,同契約締結前のJの上記対応は,同契約に基づく管理サービスの提供として行われたものとは認められない。Jは,C管理契約締結後 在庫が大幅に減少するという成果が出ていた(認定事実ウ(ウ))。そうすると,同契約締結前のJの上記対応は,同契約に基づく管理サービスの提供として行われたものとは認められない。Jは,C管理契約締結後の同年10月17日にも不動在庫問題への対応を行っているものの(認定事実ウ(ウ)),前記のとおり,不動在庫問題への対 応はC管理契約締結前に着手され,既に成果が上がっていたこと,同契約 締結後の上記問題への対応に関する資料は乙49のメールの他にはなく,同契約締結を機に,同契約に基づく管理サービスの提供として行うこととしたことを裏付ける証拠もないことを考慮すれば,同年10月以降の対応についても,同契約に基づく管理サービスの提供として行われたものとは認められない。この点,控訴人は,契約書がなければ業務性が否定される ものではない旨主張するが,C管理契約締結以前に,BとCとの間で同契約と同様の口頭合意(BがCに管理サービスを提供し,対価として管理料を受け取る合意)があったことをうかがわせる資料はないから,上記主張を採用することはできない。」カ原判決31頁16行目の「締結されていなかったところ」から19行目 末尾までを以下のとおり改める。 「締結されていなかった。そして,本件OEM取引上,残余材料については,CがHに対して同社の費用負担で送付することができるものとされており(認定事実ウ(イ)),不動在庫問題への対応は本来的に中国子会社の親会社であるCにおいて対応すべき問題であったこと,Jは,上記問題 への対応に関するEやTとのメールのやり取りにおいても,C董事長補佐の肩書を用いていたこと(甲48,49),他方でBはJの上記問題への対応について人的・物的資源を投じていないことを考慮すれば,Jの上記対応がBの業務 やTとのメールのやり取りにおいても,C董事長補佐の肩書を用いていたこと(甲48,49),他方でBはJの上記問題への対応について人的・物的資源を投じていないことを考慮すれば,Jの上記対応がBの業務として行われたものと認めることもできない。 この点,控訴人は,不動在庫問題が生じた背景を考慮すれば,Jの同問 題への対応はまさにBとして行った(Bとしてしか行い得なかった)業務というべきである旨主張する。確かに,不動在庫問題の背景には,本件OEM取引における契約上の定めとは異なり,Cや中国子会社が当時,親会社であったHに対して残余材料の引取りを請求することが困難であったという事情が認められる(認定事実ウ(イ))。しかし,BのCEOであるの みならず,A株式会社の代表取締役会長でもあったEが,平成23年4月 30日に,Jだけではなく,A株式会社のTを含む数名に対し,不動在庫の報告を指示し(認定事実ウ(ウ)),A株式会社を含むPグループ全体として不動在庫を解消する方針を明確にしたことなどを考慮すれば,同方針に基づく不動在庫問題への具体的な対応業務が,A株式会社の親会社となったBでなければ行えない業務であったとはいえず,むしろ,上記のとお り,Cが対応すべき問題について最終親会社(株主)としての基本方針を示したことにより不動在庫問題への対応業務がCによって行われるべきことが明確になったものと認められるから,上記の背景事情は前記認定を左右するものではなく,控訴人の上記主張を採用することはできない。」キ原判決32頁10行目の「準備を行った」を「準備を行い,その後,同 制度の運用状況を確認するなどのフォローアップを行った」と改め,16行目末尾の次に「なお,与信等管理業務は,上記のとおり中国子会社の与信管理の状況等 準備を行った」を「準備を行い,その後,同 制度の運用状況を確認するなどのフォローアップを行った」と改め,16行目末尾の次に「なお,与信等管理業務は,上記のとおり中国子会社の与信管理の状況等の調査や,顧客別与信管理制度導入後のフォローアップも含むものであるから,親会社として連結会計書類の作成のために当然に行うべき会計方針の統一(乙60)にとどまるものとはいえず,親会社の子 会社に対する株主権の行使による支配ないし管理を超えた独自の目的,内容,機能等を有するものというべきである。」を加える。 ク原判決32頁21行目の「これは,」から22行目末尾までを以下のとおり改める。 「もっとも,被災したKへの支援にはUやA株式会社の従業員も派遣さ れており(認定事実オ),BのCEOであったEがJの上記対応についてK管理契約に基づく業務であるか分からない旨証言していること(原審・証人E〔30,31頁〕)も考慮すれば,Jの上記対応は,平成24年3月当時,災害という特別な状況下での親会社による子会社への支援として行われたものと考えられ,K管理契約における「会計部門のチェック」又 は「営業支援」に該当するものとして有償の管理サービスを行ったものと は認められない。 また,仮にJの行った被災処理業務が同契約で定めた「営業支援」の性質を有すると解したとしても,上記のとおり他の子会社も無償で支援を行っていることからすれば,同契約に基づくことなく行われた支援と考えられ,Bに管理料をもたらす客観的に対価性のある業務であったとは認めら れない。」ケ原判決33頁5行目ないし6行目の「BではなくRとの間で雇用契約を締結していたものであり」を「Cとの間で雇用契約を締結していたが,R副総経理兼営業部長の肩書を付与され れない。」ケ原判決33頁5行目ないし6行目の「BではなくRとの間で雇用契約を締結していたものであり」を「Cとの間で雇用契約を締結していたが,R副総経理兼営業部長の肩書を付与され,実際にRの本社及びその上海支社で勤務していたものであり」と改め,8行目の「開始されていたものであ るから」の次に「(認定事実カ(ア))」を加え,9行目の「行われたものというべきである。」を「行われたものと認められ,Bの業務として行われたものとはいえない。」と改める。 コ原判決33頁25行目の「その供述によっても,」の次に「一部上場企業のVとの取引を開拓したと述べる程度にとどまり(原審・控訴人本人 〔16頁〕),」を,34頁1行目の「17日にすぎず(乙69),」の次に「その中で報告や決済,ステークホルダー回りなどもしており(原審・控訴人本人〔14,21,22頁〕)」をそれぞれ加え,5行目の「いわざるを得ない。」を「いわざるを得ず,本件各管理契約に基づく業務として行われたとは認められない。」と改める。 サ原判決34頁12行目の「そして,」から14行目末尾までを削り,18行目の「設備投資をした」から35頁1行目末尾までを以下のとおり改める。 「設備投資をした事実を認めることはできず(認定事実ア(オ)参照),2012事業年度中(平成24年12月まで)にBが技術開発に関して行 ったことは,同年8月の本件研究所の設立と新製品の開発方針に係る同年 6月の取締役会における意思決定にとどまるというべきである。そして,上記3社が新製品の開発を行った時期が2012年(平成24年)11月頃から2014年(平成26年)11月までであり,2012事業年度中(平成24年11月から12月までの2か月間)に,Bの上記意思決定の結果 が新製品の開発を行った時期が2012年(平成24年)11月頃から2014年(平成26年)11月までであり,2012事業年度中(平成24年11月から12月までの2か月間)に,Bの上記意思決定の結果として,A株式会社やCに「新しい技術情報」がもたらされたとも認 め難い。そうすると,Bは,将来的にA株式会社やCに「新しい技術情報」を提供し得る体制作りに係る意思決定をしたとは認められるものの,少なくとも2012事業年度においては,A株式会社及びCに対して,A株式会社管理契約及びC管理契約に基づく「Bの子会社で開発された新しい技術情報の提供」に該当する管理サービスを提供したとは認められない。 また,仮に,上記のような体制作り(意思決定を含めた準備段階)まで広げて「新しい技術情報の提供」の性質を有すると解したとしても,上記のとおり,2012事業年度においては,その開発開始時期に照らし,A株式会社やCに新製品の開発につながる具体的な「新しい技術情報」がもたらされたとは認め難いことからすれば,技術開発業務は,2012事業 年度においてBに管理料をもたらす客観的に対価性のある業務であったとは認められない。」シ原判決35頁2行目冒頭から22行目末尾までを以下のとおり改める。 「(オ) 主たる事業の認定a 以上のとおり,Bは,2012事業年度において,Cに対する与 信等管理業務をC管理契約に基づく管理サービスとして行ったことが認められるが,この他には本件各管理契約に基づく管理サービスを提供したとは認められない。また,仮に,Kに対する被災処理業務や,A株式会社及びCに対する技術開発業務を本件各管理契約で定めた管理サービスの性質を有すると解したとしても,Bに管理料 をもたらす客観的に対価性 られない。また,仮に,Kに対する被災処理業務や,A株式会社及びCに対する技術開発業務を本件各管理契約で定めた管理サービスの性質を有すると解したとしても,Bに管理料 をもたらす客観的に対価性のある業務であったとは認められず,し たがって,本件各管理契約に基づく管理サービスが行われたとは認められない。以下,株式保有業と管理サービス業のいずれが主たる事業といえるか,前記アの観点から検討する。 b 収入の状況まず,収入の状況からみるに,2012事業年度において,Bの 得た管理料収入(1億3068万円)は,総収入の約95.7%を占めるものの,このうち,BがA株式会社及びKから得た管理料は,本件各管理契約に基づいて(客観的に対価性のある)管理サービスを提供したことによるものではなく,実質的には親会社に対する利益配当と同視できるものである。Cから得た管理料についても,控 訴人が2012事業年度にCに提供したと主張するサービスのうち,同契約に基づく(客観的に対価性のある)管理サービスと認められるのは与信等管理業務のみであって,新規顧客開拓業務及び技術開発業務は同契約に基づく(客観的に対価性のある)管理サービスとは認められないから,上記管理料のうち相応の部分が実質的には利 益配当と同視できるものである。そして,前記のとおり,本件各管理契約に基づく管理料の金額が,管理業務に要する経費や同業務による各子会社の売上高への貢献度を評価して定められたものではなく,Bの人件費を各子会社に負担させる趣旨で定められたものであり,将来的にはBを香港で上場させるための利益基準を達成すると いう目的もあったとうかがわれることも考慮すれば,BがCから得た管理料のうち,与信等管理業務による部分にも実質的に利益配当と同視し得る部分が はBを香港で上場させるための利益基準を達成すると いう目的もあったとうかがわれることも考慮すれば,BがCから得た管理料のうち,与信等管理業務による部分にも実質的に利益配当と同視し得る部分が含まれていたというべきである。 そうすると,管理料収入(総収入の約95.7%)のうち,(Kから支払われた管理料は月額500米ドルと非常に少額のため考慮 しないものとして)A株式会社の売上高(約77億円)とCの売上 高(約18億円)で按分すると(上記2社の管理料はいずれも売上高(子会社への原材料販売によるものを除く。以下同じ)の1.5%とされている(前提事実⑺ウ)。),Cから支払われた管理料の占める割合は総収入の約18.1%となるが,このうち,対価性のある管理サービスと認められるのは,前記のとおり,与信等管理業 務の部分のみであり,与信等管理業務はその性質上,キャッシュフローの改善には寄与するが,売上高の増加への寄与は不明であることや,その部分についてもさらに相当部分は実質的に利益配当と同視し得るものが含まれることに照らすと,管理サービスの比率はさらに低減すると解される。他方で,2012事業年度にBが得た配 当収入(564万円)は,総収入の約4.1%にとどまるものの,A株式会社やCがBに管理料名目で支払う売上高の1.5%には,Bの人件費に充てられる利益配当の性質を有するものが相応の割合で含まれ,また,当該管理料の支払によってA株式会社やCの純利益がその分減ることとなる(A株式会社は2011事業年度に,C は2012事業年度に純損失を計上している。)結果,親会社であるBへの配当も減らさざるを得なくなる関係にあるから,上記の見かけ上の配当収入の割合(4.1%)を重視すべきではなく,実質的な配当収入の割合は4.1% 年度に純損失を計上している。)結果,親会社であるBへの配当も減らさざるを得なくなる関係にあるから,上記の見かけ上の配当収入の割合(4.1%)を重視すべきではなく,実質的な配当収入の割合は4.1%より相当程度高いものと解される。 以上のとおりであるから,2012事業年度のBの総収入のうち, 実質的にみて管理料による収入といえる部分はCから支払われた管理料収入(約18.1%)のうちのさらに一部分にとどまり,その余は配当収入又は実質的にみて利益配当と同視できるものといえる。 この点,控訴人は,私法上有効に支払われた管理料について対価性を否定し,実質的な利益配当と同視するのは,私法上の法律構成 への介入であって不当である旨主張するが,事業基準における「主 たる事業」は,事業活動の具体的かつ客観的な内容から形式に捉われず実質的に判定することが相当であるところ,本件においては,控訴人が2012事業年度にBにおいて本件各管理契約に基づき提供したと主張するサービスについて,その具体的かつ客観的な内容を考慮して同契約に基づく(客観的に対価性のある)管理サービス の提供といえるか否かを判断し,そのようにいえないものについては,対価とされる収入があったとしても,実質的にみて管理サービスの対価ではなく,親会社であるBの株式保有業の対価と認定,判断しているものであり,このような事業基準における「主たる事業」を実質的に判定する過程において,Bとその子会社が設定した私法 上の法律構成に拘束される理由はないから,控訴人の上記主張は失当である。 c 使用人の数,固定施設の状況次に,使用人の数についてみると,2012事業年度にBが本件各管理契約に基づいて行ったと認められる(客観的に対価性 ら,控訴人の上記主張は失当である。 c 使用人の数,固定施設の状況次に,使用人の数についてみると,2012事業年度にBが本件各管理契約に基づいて行ったと認められる(客観的に対価性のある) 管理サービス業務は,Jが行った与信等管理業務のみであるから,管理サービス業に従事したのはJのみといえる。他方で,Jは,2012事業年度に,Pグループの親会社として各社の連結決算に関する業務も行うなど(認定事実イ(ア),甲26,原審・証人E〔25頁〕,原審・証人J〔22頁〕),株式の保有に関連する業務に も従事しており,管理サービス業に専従していなかった(なお,前記のとおり,被災処理業務は,本件各管理契約に基づく管理サービスの提供とは認められず,その意味で,Kの株式の保有に伴う業務ということができるところ,Jは当該業務にも従事していた。)。 また,固定施設の状況をみても,Jは,Bの本店事務所において 与信等管理業務に従事するとともに,株式の保有に関連する業務と いえる連結決算業務にも従事したと認められ,Bのこの他の固定施設はいずれの業務にも用いられていない(甲26,原審・証人J〔19,20頁〕,弁論の全趣旨)。 前記のとおり,そもそも,株式保有業には通常,多くの人的・物的資源は用いられないから,Bにおける株式保有業と管理サービス 業とを用いられた資源の観点から単純に比較するのは相当ではないところ,上記のように,2012事業年度のBにおいては,管理サービス業に従事した使用人は1名にとどまり,その1名も管理サービス業に専従していたものではなく,固定施設の使用状況にも管理サービス業と株式保有業の間で有意な差があるとは認められない。 d 以上の事情を総合考慮すれば,Bの2 1名も管理サービス業に専従していたものではなく,固定施設の使用状況にも管理サービス業と株式保有業の間で有意な差があるとは認められない。 d 以上の事情を総合考慮すれば,Bの2012事業年度における主たる事業は,控訴人のいう管理サービス業であったと認めることはできず,株式保有業であったと認めるのが相当である。したがって,同事業年度において,Bは事業基準を満たしていなかったと認められる。」 ⑶ 以上によれば,Bは,本件各事業年度のいずれにおいても事業基準を満たさないから,本件適用除外要件を充足しない。 4 なお,Cについては,控訴人は,2011事業年度において本件適用除外要件を満たさないこと(主たる事業である卸売業について非関連者基準を満たしていないこと)を積極的に争っておらず,前提事実⑷ア及びウによれば,Cの 主たる事業が卸売業であり,非関連者基準を満たさないことが認められる。 5 争点⑵(本件各確定申告書に適用除外記載書面の添付がなかったことにより,本件適用除外規定が適用されないこととなるか否か)について⑴ 争点⑵についての当裁判所の判断は,次のとおり付加訂正するほか,原判決の「事実及び理由」中「第3 当裁判所の判断」の2に記載のとおりであ るから,これを引用する。 (原判決の付加訂正)ア原判決21頁4行目ないし5行目の「その趣旨は」から8行目末尾までを以下のとおり改める。 「その趣旨は,納税者に,措置法40条の4第1項の特定外国子会社等に該当する外国法人の存在及び当該外国法人について本件適用除外規定の 適用があることを明らかにさせるとともに,その根拠となる資料を保存させることで,課税庁において当該外国法人の存在を適正に把握し,本件適用除外要件の該当性に係る 国法人について本件適用除外規定の 適用があることを明らかにさせるとともに,その根拠となる資料を保存させることで,課税庁において当該外国法人の存在を適正に把握し,本件適用除外要件の該当性に係る資料を早期かつ確実に収集し,同要件該当性を適正かつ迅速に判断し,もって租税法律関係を早期に確定させることにあると解される。 このような措置法40条の4第7項の規定の文言及び趣旨に照らせば,確定申告書に適用除外記載書面を添付しなかった場合には,本件適用除外規定は適用されないというべきである。」イ原判決21頁10行目の「添付しなかった。」を「添付しなかったから,本件適用除外規定の適用を受けることはできない。」と改め,同行目末尾 の次に改行して以下のとおり加える。 「⑵ これに対し,控訴人は,タックス・ヘイブン対策税制が租税回避の否認規定であるという性質上,措置法40条の4第1項が適用され,合算課税が行われるためには,同項所定の「特定外国子会社等」に該当することに加えて,同条3項所定の本件適用除外要件を満たさない ことが必要であるところ,このような本件適用除外要件の位置付け(合算課税の土台を支える基本的要件)からすれば,同条7項の適用除外記載書面の確定申告書への添付は,実体法的拘束力を伴わない納税者の手続的義務を定めたものにすぎず,納税者が適用除外記載書面を確定申告書に添付できなかったとしても,そのことのみで本件適用 除外規定が適用されないということはない(本件適用除外要件の充足 による合算課税に係る納税義務の不成立という租税実体法上の法律効果を排除するような強力な拘束力は生じない)旨主張する。 この点,確かに,措置法40条の4は,租税回避の個別否認規定であるから,このような 係る納税義務の不成立という租税実体法上の法律効果を排除するような強力な拘束力は生じない)旨主張する。 この点,確かに,措置法40条の4は,租税回避の個別否認規定であるから,このような規定の趣旨目的に鑑みれば,同条1項が適用されて合算課税が行われるためには,同項所定の「特定外国子会社等」 に該当することに加えて,同条3項所定の本件適用除外要件を満たさないことも必要であると解される。しかし,前記のとおり,租税法規の解釈は,原則として文理解釈によるべきところ,同条7項が,同条3項の規定(本件適用除外規定)は,確定申告書に同規定の適用がある旨を記載した書面(適用除外記載書面)を添付し,かつ,その適用 があることを明らかにする書類その他の資料を保存している「場合に限り,適用する。」と定めており,その規定の文理から,適用除外記載書面の添付がない場合には本件適用除外規定が適用されないことは明らかであるにもかかわらず,控訴人が主張するように,同条7項の規定について実体法的拘束力を伴わない納税者の手続的義務を定めた ものにすぎないと解することは,条文の文理に明らかに反し,解釈論として許容される範囲を超えるというべきである。なお,昭和53年の制度創設当初の規定振りは,「(適用除外の)規定の適用を受ける場合は,その者は,確定申告書に同項の規定の適用がある旨を許容した書面を添付し,かつ,その適用があることを明らかにする書類その 他の資料を保存しなければならない」というものであったところ,その規定の文言や立案担当者の解説(乙46・143頁)に照らせば,制度創設当初より,本件適用除外規定の適用を受けるためには,確定申告書に適用除外記載書面を添付することが実体法的効果を伴わない単なる手続的義務としてではなく,適用除外の実体 ・143頁)に照らせば,制度創設当初より,本件適用除外規定の適用を受けるためには,確定申告書に適用除外記載書面を添付することが実体法的効果を伴わない単なる手続的義務としてではなく,適用除外の実体法的効果を生ずる ための手続的要件として必要であると解されていたというべきであり, 平成19年法律第6号による改正によってそのことがより明確になったものというべきである(同改正法によって適用除外記載書面を添付することの法的意味合いが変更されたとはうかがわれない。)。 そして,課税庁は,納税者から特定外国子会社等についての申告がなければ,特定外国子会社等の存在を把握すること自体困難であり, 適正かつ迅速な課税の実現には納税者の協力が不可欠であること,他方,特定外国子会社等の該当性は,外国法人の発行済株式総数のうち居住者等の保有株式が占める割合等から客観的に判定し得るものであり,特定外国子会社等についての申告を求めることが納税者に過度な負担を課すものではないことなどを考慮すれば,措置法40条の4第 7項により,納税者に確定申告書への適用除外記載書面の添付という方法で特定外国子会社等の存在と本件適用除外規定の適用があることを明らかにさせ,その根拠となる資料を保存させる義務を課し,これらの手続をとらなかった納税者について本件適用除外規定の適用を受けられないこととしても,本件適用除外要件を満たさないことが課税 要件の一つであると解することと矛盾するものではない。 なお,仮に,課税実務において,控訴人が主張するように,適用除外記載書面の確定申告書への添付がないことのみを根拠として,本件適用除外要件の実体判断を行うことなく合算課税を行っているケースが基本的に存在しないとしても,そのような実務の扱いが措置法40 適用除外記載書面の確定申告書への添付がないことのみを根拠として,本件適用除外要件の実体判断を行うことなく合算課税を行っているケースが基本的に存在しないとしても,そのような実務の扱いが措置法40 条の4第7項の規定をその文理及び趣旨に従って上記のとおり解釈することの妨げとなるものではない。また,控訴人が主張する租税条約(本件では日港租税条約)との関係について見ても,上記のような解釈が同条約に違反することにはならないというべきであるし,同条約は平成7年に締結されたところ,前記のとおり,タックス・ヘイブン 対策税制において,合算課税の適用除外要件としての適用除外記載書 面の確定申告書への添付の法的位置付けは,昭和53年の制度創設時以降,変わっていないのであり,当時の措置法の規定と同条約との整合性は精査された上で同条約は締結されたはずであって,このような点からしても上記のように解することが同条約に違反することになるとは認められない。 したがって,控訴人の上記主張は採用することができない。」ウ原判決21頁11行目の「⑵ この点について,」を「⑶ また,」と改め,14行目の「相当ではない」の次に「(このように解さなければ,納税者は,特定外国子会社等の該当性を甘んじて受け入れるという自己の課税要件事実に係る判断に反する選択を強要されることになる)」 を,15行目の「しかし,」の次に「納税義務者は,確定申告に当たって税法の規定に従って正しく税額の計算を行う義務を負うところ,」をそれぞれ加え,23行目冒頭から25行目末尾までを「控訴人が,B及びCは,居住者等から海外法人に対する配当等の分配を行わせるだけの実質的支配がなく,租税回避の意図が推認される外国法人ではないから, 措置法40条の4の目的論的限定解 尾までを「控訴人が,B及びCは,居住者等から海外法人に対する配当等の分配を行わせるだけの実質的支配がなく,租税回避の意図が推認される外国法人ではないから, 措置法40条の4の目的論的限定解釈により同条1項は適用されないとの独自の解釈を採っていたことによるものにすぎない。」と改める。 ⑵ 以上のとおり,本件各確定申告書に適用除外記載書面の添付がなかったことにより,控訴人は,本件適用除外規定の適用を受けることができないから,本来,この点のみでも控訴人の請求は理由がないものである。 第4 結論よって,控訴人の請求はいずれも理由がないから棄却すべきところ,これと同旨の原判決は相当であって,本件控訴は理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第9民事部 裁判長裁判官小出邦夫 裁判官河村浩 裁判官塩谷真理絵

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