18(む)1398福岡地裁平成18・11・6316条の20第1項棄却 主文 本件各証拠開示請求をいずれも棄却する。 理由 第1請求の趣旨及び理由弁護人作成の平成18年10月23日付け裁定申立書のとおりであるから,これを引用する(なお,同書面第1の2及び3記載の各証拠については,弁護人は,同月27日付け裁定申立撤回書により証拠の開示請求を撤回した。)。その趣意は,要するに,弁護人は,捜査機関とA,B及びC(以下,3人を合わせて「Aら」という。)が癒着して,被告人を傷害及び覚せい剤取締法違反の罪に陥れようとしたとの主張を予定しているところ,別紙記載の各証拠はいずれもAらと捜査機関との癒着や偏頗な捜査を強く窺わせる証拠であるから,上記主張と直接関連する証拠であって,開示の必要性も高いので,刑事訴訟法316条の20第1項該当の証拠として,その開示を請求するというにある。 第2当裁判所の判断 検察官に対する平成18年11月1日付け電話聴取書によれば,別紙の1項記載のAを供述者とする検察官調書は,そもそも本件で証拠調べ請求された以外に存在しないことが認められるので,弁護人の証拠開示請求はその前提を欠き,採用できない。 そこで,別紙記載のその余の各証拠(以下「本件各証拠」という。)について検討するに,Aらに対して弁護人が主張する各事件の捜査が行われたのかどうか,あるいはどのように行われたのか,更にはその捜査中に作成された捜査報告書等の記載内容はどのようなものなのかが明らかになったとしても,それらのことから,Aらと捜査機関との間に癒着があったこと,更には本件について偏頗な捜査が行われたことを明らかにするのは相当困難であると考えられる。したがって,弁護人の上記主張と本件各証拠との関連性の程度が強いとまでは言えない。 さら に癒着があったこと,更には本件について偏頗な捜査が行われたことを明らかにするのは相当困難であると考えられる。したがって,弁護人の上記主張と本件各証拠との関連性の程度が強いとまでは言えない。 さらに,本件傷害,覚せい剤取締法違反被告事件における検察官及び弁護人の各主張の内容並びに公判前整理手続における争点及び証拠の整理状況等に照らして検討すると,弁護人の上記主張は,Aらの供述の信用性を弾劾するとともに被告人の供述の信用性を裏付ける補助事実に当たると解されるところ(第2回公判前整理手続調書(手続)の第2の「弁護人」2項参照),たとえAらと捜査機関との癒着や偏頗な捜査を指摘する弁護人の主張が認定できたとしても,そのことが,Aらの個々の供述の信用性や被告人の供述の信用性に対する判断に直接影響を与えるわけではなく,むしろ,それらの供述の信用性に疑いを抱かせたり,あるいはその信用性を高めたりする他の事情が存在するときに,それらの事情を補強的に確認するのに役立つにすぎないと考えられる。そうすると,被告人の防御の準備のために本件各証拠を開示することの必要性の程度は相当低いと言わざるを得ない。 他方,本件各証拠は,いずれもAらを被疑者ないしは被告人とする事件(以下「Aらの事件」という。)に関する証拠であって,法律上は,本件傷害,覚せい剤取締法違反被告事件とは別個の事件に関するものであり,今後,Aらの事件の捜査等が進展する可能性も否定できないことからすれば,本件各証拠を開示した場合には,その捜査等に重大な支障が生じるおそれを否定できず,仮にそうでなくても,Aらのプライバシーを不当に侵害するおそれがある上,これらの弊害の程度は決して小さくないと考えられる。 以上の事情を総合すると,本件各証拠を開示するのが相当であると認めることはできない。 よって,本件証拠 イバシーを不当に侵害するおそれがある上,これらの弊害の程度は決して小さくないと考えられる。 以上の事情を総合すると,本件各証拠を開示するのが相当であると認めることはできない。 よって,本件証拠開示請求はいずれも理由がないから棄却することとし,主文のとおり決定する。 (裁判長裁判官・川口宰護,裁判官・大庭和久,裁判官・行廣浩太郎)別紙 本件傷害事件の際に,Aが被告人に対して加えた加療約10日間の傷害に関する傷害被告事件のすべての捜査報告書,Aの検察官供述調書及び起訴状(略式を含む) 本件覚せい剤の発見に接着した時間帯に現場に居合わせたA,B及びCそれぞれの覚せい剤使用事件に関する捜査の必要性に関する報告書,初動捜査に関する捜査報告書,各人から採取した尿の覚せい剤反応についての鑑定書,各人の検察官供述調書並びに起訴状 本件傷害事件後の現場検証において,B宅の居間の押入れにあるのが撮影された日本刀と認められるものについて,同人の銃刀法違反事件に関する捜査の必要性に関する報告書,初動捜査に関する捜査報告書,差押押収調書,検察官供述調書及び起訴状
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