【DRY-RUN】主 文 本件控訴を棄却する。 当審の国選弁護人に支給した訴訟費用は被告人の負担とする。 理 由 弁護人清水正雄の擦訴趣意は末尾添付の書面記載のとおり
主文 本件控訴を棄却する。 当審の国選弁護人に支給した訴訟費用は被告人の負担とする。 理由 弁護人清水正雄の擦訴趣意は末尾添付の書面記載のとおりである。 控訴趣意の第一点について、<要旨>しかし刑法第二百十一条にいわゆる業務というのは、各人がその社会上の地位に基き継続的に従事する事務に</要旨>して、人の生命身体に対する危険を伴うものを指すのであつて、反覆継続の目的乃至その事実のある限り、格別の経験或は法規上の免許等を必要とする場合においてもその業務たるためには、このような経験乃至免許の有無を問わないものと解すべきである。 本件についてこれをみると、被告人が医師の免許を有せず、医療の知識経験がないのに、福江保健所医師と詐称し昭和二十四年九月十五日頃よりa町b町特殊喫茶店A事B方給仕婦C外十数名に対し、サルサバルサンその他の注射をなして、医療行為を反覆していたものであることは、原判決挙示の証拠によつてこれを認めるに充分であつて、被告人の右行為が同条にいわゆる業務に該当することは、前段説示するところにより明らかであるといふべく、このように事実上医療行為に従事するものが塩酸モルヒネのような薬剤を注射する場合においては、生命に危険を及ぼさないようその薬量に深甚の任意を払わなければならないことは勿論であるから、原判決において、被告人が右医療行為に従事中同月二十五日給仕婦Dの求めにより同人の子宮疾患による疼痛を鎮めるため、塩酸モルヒネを注射するに当り右注意業務を怠り、相当酒醉しながら、薬量を量らず、漫然二回に致死量を超える約〇・五瓦の塩酸モルヒネを右Dに注射し、よつて翌二十六日同人を死亡するに至らしめた事実を認定し、これに対し刑法第二百十一条を適用処断したことは洵に相当であり、原判決には、 漫然二回に致死量を超える約〇・五瓦の塩酸モルヒネを右Dに注射し、よつて翌二十六日同人を死亡するに至らしめた事実を認定し、これに対し刑法第二百十一条を適用処断したことは洵に相当であり、原判決には、何等所論のような法令の適用を誤つた違法の点は存しない。 控訴趣意第二点について、記録に現われた被告人の経歴、犯罪の動機、態様、その他諸般の事情を考え合せると、原判決の被告人に対する刑の量定は必ずしも不当とはいえないので、この点に関する論旨も亦採用することができない。 その他原判決を破毀すべき事由がないので、刑事訴訟法第三百九十六条に則り本件控訴を棄却し、当審の国選弁護人に支給した訴訟費用は同法第百八十一条により被告人に負担させることとする。 よつて主文のとおり判決する。 (裁判長判事石橋靹次郎判事柳原幸雄判事川井立夫)
▼ クリックして全文を表示