平成23(行コ)380 公務外認定処分取消請求控訴事件(通称 地公災基金横浜市支部長公務外認定処分取消)

裁判年月日・裁判所
平成24年6月6日 東京高等裁判所
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判決文本文8,881 文字)

- 1 -平成24年6月6日判決言渡平成23年(行コ)第380号公務外認定処分取消請求控訴事件 主文 本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実 及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人の請求を棄却する。 第2 事案の概要 1 被控訴人の夫であるAは,平成▲年▲月▲日に勤務先である横浜市消防局X1消防署X2消防出張所(以下「X2出張所」という。)の救急隊員用の寝室で死亡したため,被控訴人は,地方公務員災害補償基金横浜市支部長(以下「処分行政庁」という。)に対し,Aの死亡が公務に起因して発生したものとして公務災害認定請求をした。 本件は,前記公務災害認定請求に対し,処分行政庁が平成18年8月24日付けでAの被った災害を公務外の災害と認定した(以下「本件処分」という。)ため,被控訴人が,Aは過重業務から喘息発作に引き続く心室細動により死亡したものであるなどとして,本件処分の取消しを求める事案である。 原審は,本件処分を取り消したため,控訴人はこれを不服として控訴した。 2 前提事実(争いのない事実並びに証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実),争点及び争点に関する当事者の主張は,次のとおり当審における控訴人の主張を加えるほかは,原判決の「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」の「1 前提となる事実(争いのない事実及び当裁判所に顕著な事実)」及び「2 争点及び争点に対する当事者の主張」に記載のとおりである - 2 -から,これを引用する。 (当審における控訴人の主張)(1) Aが体調を崩したのは,平成17年10月3日であるから,同日から同月6日までの間に診療治療を受ける機会はあり,また,治療を受けるために同日 これを引用する。 (当審における控訴人の主張)(1) Aが体調を崩したのは,平成17年10月3日であるから,同日から同月6日までの間に診療治療を受ける機会はあり,また,治療を受けるために同日の勤務を変更してもらうことは可能であった。 その間に代替人員を確保する機会は十二分にあり,その間にAは,週休日・年休であったことを考慮すれば治療を受ける機会も十二分にあり,代替要員を確保できない事情はない。 (2) A死亡当時のX1消防署の消防隊,救急隊を構成する職員の間に,勤務中に多少の体調不良が生じても,勤務から離脱することは考えず,無理を押してでも勤務を続けることを是とするような共通の認識はなかった。 代替勤務は現に発生しており,交代人員を確保できない事情はなく,突発的な欠員が生じたからといって所長や警備課長の負担が増大する訳でもない。 むしろ,BはAに休暇取得を勧めており,X1消防署に現に勤務し,あるいは勤務した経験のある者は,勤務開始後に勤務から離脱できないとは述べていない。持病等を理由に休まないのは,隊員側の事情である。 (3) 消防士が体調不良であれば当然公務を離脱し,帰宅したり,医療機関を受診したりすることは普通にできたし,体調不良に限らず,家族の急病,身内の不幸はおろか,突発的な私事都合でも公務離脱は普通にできたのであって,このことは普通の公務員と何ら変わりはない。 体調不良者を無理に勤務に従事させることによって,2次災害など取り返しのつかない結果を招く危険があり,横浜市消防局において,勤務からの離脱を許さないとか,無理をおして業務に従事させるなど常識に反した,非人道的運用を行っていたことはない。 (4) Aの過去の医療機関への受診歴,過去の発作時の対応からみると,Aには,喘息の治療意思が欠如しており,自ら治療機会を放棄 務に従事させるなど常識に反した,非人道的運用を行っていたことはない。 (4) Aの過去の医療機関への受診歴,過去の発作時の対応からみると,Aには,喘息の治療意思が欠如しており,自ら治療機会を放棄し続けてきたので - 3 -あって,仮に,公務に従事していなくとも治療を受けたとはいえないから,公務に従事したことによって治療機会を喪失したとはいえない。 (5) Aの喘息症状が悪化したとはいえない。喘息の症状が悪化しているのであれば,喘鳴,咳,息苦しさなど喘息特有の症状が顕著に現われるはずであるが,喘息の症状に気づいた者はいない。しかも,周囲にいる者は,救急救命士や救急資格を持った隊員であり,当然にAの異変に気づく者がいるはずであるが,そのような者はいない。仮に喘息の症状が悪化しているのであれば,夕食を残さずに食べることができないし,会話も通常のようにはできないが,そのようなことはなかった。また,Aが疲れているから早く休む等の発言は前夜の寝不足のためであって,喘息の症状が悪化したためではない。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も,被控訴人の請求は理由があるものと判断する。 その理由は,次のとおり原判決を補正し,当審における控訴人の主張に対する判断を加えるほかは,原判決の「事実及び理由」の「第3 当裁判所の判断」に記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正)(1) 原判決10頁10行目の「甲4」を「甲2」に改める。 (2) 同12頁下から6行目の「1係」を「2係」に改める。 (3) 同下から5行目の「事務分掌は,」の次に「消防車両等の維持管理に関すること,消防水利に関すること,警防用資機材に関すること,」を加える。 (4) 同下から4行目の「取り締り」を「取締り」に改める。 (5) 同下から3行目の「など」を削る 消防車両等の維持管理に関すること,消防水利に関すること,警防用資機材に関すること,」を加える。 (4) 同下から4行目の「取り締り」を「取締り」に改める。 (5) 同下から3行目の「など」を削る。 (6) 同13頁18行目の次に改行して次のとおり加える。 「 また,Aは,同月8日に祭日休暇(実母の法事)を,同月9日に年次休暇を取得する予定であった。」(7) 同18頁2行目の「Aは,」の次に「出勤間際まで寝ており,慌ただし - 4 -く支度を調え,被控訴人に対し,体調が悪く,翌日の勤務終了後病院に行きたいので,α駅に迎えにきてほしいと言って,」を加える。 (8) 同9行目の「していた。」の次に「ただし,はしご隊の隊長は,横浜市消防局X1消防署X3消防出張所(以下「X3出張所」という。)からの助勤者(補充の人員)であった。」を加える。 (9) 同19頁21行目の「疲れている様子であった。」の次に「また,AとBは,通常は食事中によく話をしていたが,そのときは,いつもと違って会話は少なかった。」を加える。 (10) 同20頁21行目の「機関士」を「機関員」に改める。 (11) 同22頁23行目の「意見書(」次に「甲27,」を加える。 (12) 同24頁2行目の「○○」を「○○」に改める。 (13) 同26行目の「の判断するのが相当である。」を「のと判断するのが相当である。」に改める。 (14) 同28頁の7行目の「44」の次に「,46,乙26ないし28,42,43」を加える。 (15) 同29頁15行目から同17行目末尾までを次のとおり改める。 「 なお,平成5年9月24日制定の警防規程事務処理要綱(乙26)では,消防隊の編成人員を5名とするが,署長は,気象状況及び広域にわたる断減水時等又は管内の警備状況を勘案し,必要と認め り改める。 「 なお,平成5年9月24日制定の警防規程事務処理要綱(乙26)では,消防隊の編成人員を5名とするが,署長は,気象状況及び広域にわたる断減水時等又は管内の警備状況を勘案し,必要と認めるときは編成人員を増減できるとされていた(特例運用)。現在では,平成18年3月15日付警防規程事務処理要綱の一部改正により,消防署長は,緊急かつやむを得ない場合に限り,一時的に最低出場編成人員未満の人員で部隊を編成することができるとされ,家族の急病,身内の不幸,突発的な私事都合の場合にも,本来の人員から1名の欠員が生じた状態で消防隊を運用すること(1欠運用)が認められた。しかし,Aの死亡当時は,消防隊について,このような場合の1欠運用は認められていなかった。 - 5 -これに対し,救急隊では,救急自動車に搭乗する救急隊の隊員の数は,救急自動車1台につき3人とするとされ,例外として傷病者を1の医療機関から他の医療機関へ搬送する場合に,その医療機関の医師等が同乗しているときは,救急自動車1台につき2人とすることができることになり,また,救急自動車に搭乗する救急隊の隊員のうち,1人は消防司令補又は消防士長とするものとされ,さらに,1人以上は救急救命士法3条に基づき救急救命士の免許を受けている者である必要があり(乙27),その当時から現在まで1名の欠員が生じた状態で救急隊を運用することは認められていない上に,部隊編成のためには隊員に複数の資格要件が必要である。」(16) 同21行目の「消防士,救急隊機関士等」を「消防士として,機関員認定者,梯子機関員認定者等」に改める。 (17) 同24行目の「X2出張所は,」の次に「配置人員が13人のところ,出勤者が8人,週休者が3人,欠員が2人であり,」を加える。 (18) 同30頁5行目の次に行 機関員認定者等」に改める。 (17) 同24行目の「X2出張所は,」の次に「配置人員が13人のところ,出勤者が8人,週休者が3人,欠員が2人であり,」を加える。 (18) 同30頁5行目の次に行を改めて次のとおり加える。 「 なお,死亡当日,横浜市消防局X1消防署X4消防出張所(以下「X4出張所」という。)に余裕人員があり,X4出張所の消防隊5人のうち1人をX2出張所に配置換えすることは可能であった。」(19) 同31頁11行目の「現在とは異なり」から同12行目から13行目にかけての「救急隊員」までを次のとおり改める。 「気象状況及び広域にわたる断減水時等又は管内の警備状況を勘案し,必要と認めるときは編成人員を増減できるとされていたが,現在とは異なり,そのような事態ではない場合に,人員が1名欠けた状態で消防隊を運用する手法は許容されておらず,また,救急隊については,当時から現在まで,人員が欠けた状態での運用は認められておらず,職員」(当審における控訴人の主張に対する判断) - 6 -(1) 控訴人は,Aが体調を崩したのは,平成17年10月3日であるから,同日から同月6日までの間に診療治療を受ける機会はあり,また,そのために同日の勤務を変更してもらうことは可能であった旨主張する。 そこで判断するに,本件事実関係の下においては,Aは,10月3日から同月5日までの間については,咳をするようになった状態であり,病院を受診するような重篤な状態ではなかったと解されるから,その間に治療を受けるべきであったということはできない。 そして,Aは,同月6日の深夜に咳がひどい状態となったのであるから,その当日の受診の機会について問題となるところ,X2出張所の人員は,欠員が2名であり,X3出張所からの助勤で補われており,また,Aは補勤であ は,同月6日の深夜に咳がひどい状態となったのであるから,その当日の受診の機会について問題となるところ,X2出張所の人員は,欠員が2名であり,X3出張所からの助勤で補われており,また,Aは補勤であったもので,勤務の変更が容易であったとみることは相当といえない。もっとも,X4出張所の消防隊5人のうち1人をX2出張所に配置換えすることは可能であったものの,救急隊の編成のためには,隊員に複数の資格要件を必要とすることは前記認定のとおりであり,単に人数が揃えば足りるものではないから,上記認定判断は左右されない。 さらに,Aの代替として配置するためには,機関員認定者と救急隊員認定者の双方の資格を有する者であることが必要であるところ,同出張所の配置人員中,機関員認定者資格と救急隊員認定者資格を有する者については明らかでなく,具体的に誰がX2出張所に配置可能であったのか不明であり,勤務の変更が可能であったと認めることは困難である。また,仮に,X2出張所のCが機関員認定者の資格を有するから(証人D),同人をAの換わりに配置することが可能であったとしても,X4出張所の配置人員中,救急隊員認定者資格を有する者については明らかでなく,同様に勤務の変更が可能であったと認めることは困難である。したがって,控訴人の上記主張は理由がない。 (2) 控訴人は,A死亡当時のX1消防署の消防隊,救急隊を構成する職員の - 7 -間に,勤務中に多少の体調不良が生じても,勤務から離脱することは考えず,無理を押してでも勤務を続けることを是とするような共通の認識はなかった旨主張する。 そこで判断するに,本件において,そのような共通認識が職員の間にあったことは前記認定のとおりであり,この認定を覆すに足りる証拠はない。 この点について,控訴人は,BがAに休暇取得を勧めてい する。 そこで判断するに,本件において,そのような共通認識が職員の間にあったことは前記認定のとおりであり,この認定を覆すに足りる証拠はない。 この点について,控訴人は,BがAに休暇取得を勧めていることなどから前記認定を論難する。しかし,本件事実関係の下において,職員は,制度として勤務開始後に離脱することが認められているとしても,その責任感,使命感から勤務離脱を躊躇し,勤務を継続するのが実態であり,Bが休暇取得を勧めたのも勤務からの離脱が容易でないとの思いがあるからこそ,そのように勧めたものとも解されるところである。 したがって,控訴人の上記主張は理由がない。 (3) 控訴人は,消防士が体調不良であれば当然公務を離脱することは普通にできたし,家族の急病,身内の不幸,突発的な私事都合でも公務離脱は普通にできた旨主張する。 そこで判断するに,本件のいわゆる特例運用においては,気象状況及び広域にわたる断減水時等又は管内の警備状況を勘案するとされ,これらの要件は,必ずしも,家族の急病,身内の不幸,突発的な私事都合に対応したものではないと解され,また,前記認定のとおり,救急隊では欠員が生じた状態で運用することは認められていない上に,救急隊の隊員の資格要件等(救急隊員認定者,救急救命士,消防司令補又は消防士長)が整った者でなければ,配置できないから,公務離脱は,一定の与件があるといえる。そうすると,本件において公務離脱が普通にできたとするのは,「普通に」が比較的困難ではなくという意味であれば,そのようにはいえないとみられるのである。 したがって,控訴人の上記主張は理由がない。 なお,これは横浜市消防局が職員に勤務からの離脱を許さないとか,無理 - 8 -を押して業務に従事させていることを意味するものではない。職員が職場の常態と職務の性質 人の上記主張は理由がない。 なお,これは横浜市消防局が職員に勤務からの離脱を許さないとか,無理 - 8 -を押して業務に従事させていることを意味するものではない。職員が職場の常態と職務の性質からくる公務離脱の難易を認識するとともに,その使命感等から勤務に就いた後に離脱することについて心理的な抵抗感があることをいうものであることを付言する。 (4) 控訴人は,Aの過去の医療機関への受診歴,過去の発作時の対応からみると,Aには,喘息の治療意思が欠如しており,自ら治療機会を放棄し続けてきたのであって,仮に,公務に従事していなくとも治療を受けたとはいえないから,公務に従事したことによって治療機会を喪失したとはいえない旨主張する。 そこで判断するに,本件においては,Aの過去の医療機関の受診歴は,平成13年12月から平成15年5月までは,継続してEクリニックに通院し,X2出張所に転勤となった平成14年10月以降である平成15年6月以降は,仕事が繁忙であったため通院しなくなったものであるとみられる。また,Aは,平成16年7月28日に受診した健康診断で心室性期外収縮により受診勧告をうけるや直ちに病院を受診し,約3か月間継続して通院しており,健康管理に相応の配慮をしていたことを窺うことができる。そうすると,Aは,健康上の問題があるのにこれを放置していたものではないから,過去の受診歴からAに喘息について治療意思がなかったとみることはできない。 また,平成14年2月24日の喘息発作の際に,Aが救急車を呼ばなかった点については,入院により長期間職場を離れることを慮ったものと解され,翌日直ちに病院を受診していることからすると,Aに喘息の治療意思がなかったとはいえない。 そして,前記認定のとおり,Aは,出勤するときに,妻である被控訴人に対し,体調が ことを慮ったものと解され,翌日直ちに病院を受診していることからすると,Aに喘息の治療意思がなかったとはいえない。 そして,前記認定のとおり,Aは,出勤するときに,妻である被控訴人に対し,体調が悪く,翌日の勤務終了後病院に行きたいので,α駅に迎えにきてほしいと述べていたことからしても,治療意思がなかったはいえない。なお,この点について,控訴人は,代理人の誘導尋問の結果であること,被控 - 9 -訴人の陳述書(甲18,44)にはその旨の記載がないことから,信用性がない旨主張するが,被控訴人本人尋問において,代理人が「奥さんに言付けみたいな形で言われたことはありますか。」との問いに対して上記のとおり答えたものであって,誘導尋問によるものではなく,また,上記陳述書に同旨の記載がないことはマイナスではあるが,その一事から上記供述部分に信用性がないということもできない。 本件事実関係の下においては,Aは,前夜からの咳のひどい状態が落ち着いたことから,当日は自らも補勤であり,X2出張所の人員配置に余裕がないことを認識していたために,体調が悪いのを押して出勤し,救急出場等の通常勤務を行い,その後,体調の不良を感じたものの,前夜は安静にしたために喘息が落ち着いたのであったから,その時も直ちに勤務を離脱することなく,寝室で安静にしようと考えていたとみることが相当である。 以上を総合すると,Aは,当日の勤務がなければ,直ちに勤務を離脱して,病院を受診し,治療を受けた蓋然性が高いものと推認することができる。したがって,控訴人の上記主張は理由がない。 (5) 控訴人は,喘息の症状に気づいた者がいないこと,夕食を残さずに食べたこと,会話も通常のようにしていたこと,Aが疲れているから早く休む等の発言は前夜の寝不足のためであることから,Aの喘息症状が悪化 ) 控訴人は,喘息の症状に気づいた者がいないこと,夕食を残さずに食べたこと,会話も通常のようにしていたこと,Aが疲れているから早く休む等の発言は前夜の寝不足のためであることから,Aの喘息症状が悪化したとはいえない旨主張する。 そこで判断するに,本件においては,Aが現場出動からの帰路に「ひゅーひゅー」との呼吸音があったことは,本件処分の審査請求を棄却する裁決(甲2の14頁)においても認定されているところであり,また,前記認定のとおり,Aの死因は気管支喘息によるものであるからこの呼吸音は喘息の喘鳴と認めるのが相当である。F作成の回答書(乙16の4頁)には,慢性閉塞性肺疾患の場合にもこの呼吸音が聴取される旨の記載があるが,死体検案書(乙1の16頁),G医師及びH医師作成の各意見書(甲 - 10 -27[乙1の193頁以下と同じ],甲34)と対照して採用することができず,前記認定を左右しない。さらに,その時以外に,喘鳴を聞いた者がいない旨主張するが,常にAの周囲に職員がいたとは限らないから,そのことから,喘鳴等喘息の症状がなかったということはできない。 また,Aが夕食を残らず食べたことも,必ずしも体調が良好であることを示すものとは限らない。むしろ,会話が通常にできていなかったことから,体調不良であるとみるべきであろう。さらに,Aは疲れているから早く休むと発言したが,これは,休憩時間は午後9時からであるのに,約30分前にそのような発言をして寝室に向かうのは,その日の勤務状況を勘案しても,疲れを感じていたものと解されるのである。 以上によると,Aは,出勤時から顔色が悪く,明らかに疲れている様子であり,負傷者の搬送後には喘鳴が出現し,夕食時には,Bとの会話も少なく,30分ほどで休憩時間になるにもかかわらず,午後8時30分には寝室に向かっ Aは,出勤時から顔色が悪く,明らかに疲れている様子であり,負傷者の搬送後には喘鳴が出現し,夕食時には,Bとの会話も少なく,30分ほどで休憩時間になるにもかかわらず,午後8時30分には寝室に向かったのであって,Aの喘息症状が悪化した徴憑とみるのが相当である。したがって,控訴人の上記主張は理由がない。 (6) 小括以上のとおりであって,当裁判所としても,本件については,引用した原判決33頁13行目から19行目のとおり判断すべきであり,これを左右するに足りる証拠はないと考える。 2 結論以上によれば,被控訴人の請求は理由があるから認容すべきであり,これと同旨の原判決相当である。 よって,本件控訴は理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第22民事部 - 11 -裁判長裁判官加藤新太郎 裁判官竹内純一 裁判官長谷川浩二

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