- 1 -平成22年6月29日判決言渡平成21年(行ケ)第10222号審決取消請求事件(特許)口頭弁論終結日平成22年4月27日判決原告有限会社アイ・アール・ディー同訴訟代理人弁理士谷川英和同森本悟道被告特許庁長官同指定代理人清田健一同小山満同小林和男同廣瀬文雄主文 特許庁が不服2005-19153号事件について平成21年6月30日にした審決を取り消す。 訴訟費用は被告の負担とする。 事実及び理由 第1請求主文同旨第2事案の概要本件は,原告が,名称を「情報処理装置,情報処理方法,およびプログラム」とする発明につき国際特許出願したところ,拒絶査定を受けたので,これを不服として審判請求をしたが,同発明は特許法36条4項1号及び同条6項2号に規定する各要件を満たしていないので特許を受けることができないとして,請求不成立の審決を受けたことから,その審決の取消しを求める事案である。 特許庁における手続の経緯- 2 -原告は,平成15年10月16日,上記発明につき国際特許出願(特願2004-546415。平成16年5月6日国際公開WO2004/038628優先権主張平成14年10月23日日本国)したが,平成17年9月6日,拒絶査定を受けたので,これを不服として,同年10月5日に審判請求をするとともに,同年11月4日付けで手続補正書(甲3)を提出した。 特許庁は,審理の結果,平成21年4月20日,補正を却下し,原告に拒絶理由通知をしたので,原告は,同年5月27日付け手続補正書(甲4)を提出したが,特許庁は,同年6月30日,本件審判請求は成り立たないとの審決をし,同年7月10日,その謄本を原告に送達した。 本願の特許請求の範囲平成21 ,同年5月27日付け手続補正書(甲4)を提出したが,特許庁は,同年6月30日,本件審判請求は成り立たないとの審決をし,同年7月10日,その謄本を原告に送達した。 本願の特許請求の範囲平成21年5月27日付け手続補正書(甲4)によれば,本願の特許請求の範囲請求項2は,次のとおりである(以下「本願発明」という。なお,請求項は1ない,,,,。)。 し15まで存在するが請求項13ないし15に関する部分は以下省略する「コンピュータを,請求項の番号を示す請求項タグを有する特許請求の範囲を含む特許明細書データの格納されている明細書格納部から特許明細書データを取得する明細書取得部,前記明細書取得部が取得した特許明細書データから,前記請求項タグの中の最も大きい数である請求項数を取得し,かつ,請求項タグで特定される各請求項の語尾を抽出して「装置「方法「プログラム」のうち,存在する語尾の種類の数である,」」カテゴリー展開の数を算出する明細書解析部,前記明細書解析部が取得した請求項数が大きいほどより大きい値となり,前記明細書解析部が算出したカテゴリー展開の数が大きいほどより大きい値となる,発明を展開している度合いを示す発明展開度を算出する発明展開度算出手段,前記発明展開度算出手段で算出した発明展開度を出力する出力部,として機能させるためのプログラム」。 審決の理由- 3 -審決は,本願発明は明確とはいえないことから特許法36条6項2号に規定する要件を満たしておらず,また,発明の詳細な説明は当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものではないから特許法36条4項1号に規定する要件を満たしていないとして,本願は特許を受けることができないと判断した。 審決の認定及び判断は,次のとおりである(なお,以下において引 十分に記載されたものではないから特許法36条4項1号に規定する要件を満たしていないとして,本願は特許を受けることができないと判断した。 審決の認定及び判断は,次のとおりである(なお,以下において引用した審決中の当事者等の表記は,本判決の表記に統一した。 。)(1) 本願発明の明確性について「『』,『』,『』,本願発明のプログラムがコンピュータを機能させる発明展開度算出手段は『明細書解析部が取得した請求項数が大きいほどより大きい値となり,明細書解析部が算出したカテゴリー展開の数が大きいほどより大きい値となる発明を展開している度合いを示す発,『明展開度』を算出する』ものである。 ,『』,『』『』,しかしながら発明展開度算出手段の請求項数とカテゴリー展開の数とにより『請求項数が大きいほどより大きい値となり,カテゴリー展開の数が大きいほどより大きい値となる,発明を展開している度合いを示す『発明展開度』が,どのような演算手段がどのような情報をどのように情報処理することにより求まるものであるのか明確ではない。 以上のとおりであることから,本願発明の『発明展開度算出手段』は明確ではなく,本願発明は明確ではない」。 ()(2) 本願発明の明確性と実施可能要件について発明の詳細な説明の記載を参酌「以上の発明の詳細な説明の記載(判決注:後記第5の1記載の段落【0053【005】6【0058【0073【0074【0078)からみて『発明展開度』は『請求項】】】】】,,』,『』『』(『. 』,『. の数請求項のネストレベルの深さ及びカテゴリー展開の数に重み 『0.2)を乗算することにより算出されるものと認められるので,本願発明の『明細』,』,書 『. 』,『. の数請求項のネストレベルの深さ及びカテゴリー展開の数に重み 『0.2)を乗算することにより算出されるものと認められるので,本願発明の『明細』,』,書解析部が取得した請求項数が大きいほどより大きい値となり,明細書解析部が算出したカテゴリー展開の数が大きいほどより大きい値となる,発明を展開している度合いを示す発明展開度を算出する』との記載は,そのように解するべきである。 - 4 -ここで『発明展開度』の算出の情報処理に『請求項のネストレベルの深さ』の情報を用い,るので『請求項のネストレベルの深さ』について,実施の形態を参酌して以下に検討する」,。 (3) 「請求項のネストレベルの深さ」について(実施の形態1を参酌)「ここで例示される図5では『1-2-3-4』として『4』が示されているが,これは階層レベルではなく請求項に付された番号である。 引用する請求項がこのように請求項1から順次直列に繋がる事例では階層レベルを簡単に知ることができることは否定できないが,引用する請求項の記載が複雑なツリー状となった場合には『最も深い』とされる『階層レベル』をどのようにして定義し,どのようにして求めるものであるのか明確ではない。 ここで例示される図6のように,請求項が請求項番号を示す数字が1回しか表示されない表示態様である場合には,その最も深い階層レベルを知りうる可能性はあるが,そもそも図4の階層関係管理表から図6のクレームツリーを作成する手順そのものが明確ではない。 以上のことから,実施の形態1により,請求項の階層関係を表示することが可能であることは理解できるが,クレームツリーの階層の最も深い階層レベル,すなわち『請求項のネストレベルの深さ』がどのようにして求まるものであるのかは明確ではない。 以上のとおり本願 を表示することが可能であることは理解できるが,クレームツリーの階層の最も深い階層レベル,すなわち『請求項のネストレベルの深さ』がどのようにして求まるものであるのかは明確ではない。 以上のとおり本願発明は『請求項のネストレベルの深さ』がどのようにして求まるもので,,『』『』あるのか明確ではないので請求項のネストレベルの深さを用いて算出する発明展開度がどのようにして求まるのか明確ではなく,発明の詳細な説明の記載を参酌しても本願発明は明確ではない。 また,本願は『請求項のネストレベルの深さ』がどのようにして求まるものであるのか明確ではないので,本願の明細書の発明の詳細な説明は,本願発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が,本願発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていない」。 (4) 本願発明の明確性と実施可能要件についての結論「以上検討したとおり,本願発明は『発明展開度』がどのようにして求まるのか明確ではなく,本願発明は明確ではない。 - 5 -さらに本願は『請求項のネストレベルの深さ』がどのようにして求まるのか明確ではなく,発明の詳細な説明が本願発明を当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものでない」。 第3原告主張の取消事由審決は,次に述べるとおり,認定及び判断に誤りがあるから,取り消されるべきである。 取消事由1(本願発明において明確性を欠くとした判断の誤り)(1) 発明展開度算出手段についてア本願発明において,発明展開度算出手段が「請求項数が大きいほどより大きい値となり,カテゴリー展開の数が大きいほどより大きい値となる発明展開度を算」,。 ,(,,),出することは明確であるすなわち辞書甲8 の記載によれば本願発明にお い値となり,カテゴリー展開の数が大きいほどより大きい値となる発明展開度を算」,。 ,(,,),出することは明確であるすなわち辞書甲8 の記載によれば本願発明における「請求項数が大きいほどより大きい値となり,カテゴリー展開の数が大きいほどより大きい値となる発明展開度を算出する」の記載は,発明展開度算出手段が,変数である請求項数とカテゴリー展開の数とのそれぞれを,一般に知られている増加関数に代入し,その増加関数の値を算出することによって発明展開度を求めることであると理解することができるのであるから,何ら不明確な点はない。 イ被告の反論に対する再反論被告は,本願発明における「発明を展開している度合いを示す」という記載が明確でない旨主張する。しかし「発明を展開している度合いを示す」は,発明展開,度の単なる説明であって,それ自体で明確である。 仮に「発明を展開している度合いを示す」がそれ自体で明確でないとしても,,各種文献(甲19,甲20)の記載によれば,本願出願時既に「発明の展開」という概念が記載されていることから「発明を展開すること」は,出願時の技術常識,を考慮すれば明確である。その結果「発明を展開している度合いを示す」も「発,,明を展開している程度を示す」ものであると認識することができ,明確である。 - 6 -,「」,,以上のように発明を展開している度合いを示すはそれ自体で明確でありまた仮にそれ自体で明確でなかったとしても,出願時の技術常識を考慮すれば明確である。 (2) 他の特許出願の参酌,,(,,),またこのことは他の特許出願甲11 にも記載されているがこれらの公報はすべて出願公告の決定又は特許査定がされたものであるから,引用した各記載は,出 参酌,,(,,),またこのことは他の特許出願甲11 にも記載されているがこれらの公報はすべて出願公告の決定又は特許査定がされたものであるから,引用した各記載は,出願人が明確であると判断しただけでなく,特許庁の審査官によっても,明確であると判断されたことになる。したがって,その引用した各記載と同様のものである「請求項数が大きいほどより大きい値となり,カテゴリー展開の数が大きいほどより大きい値となる発明展開度を算出する」との記載は明確であるといえる。 (3) 明細書及び図面の記載,,(【】【】)さらにこのことは本願明細書及び図面の記載段落00580089からも明らかであり,本願発明の記載はそれ自体で明確である。そして,本願明細書又は図面に本願発明の記載を不明確にする定義や説明は存在しない。 なお,本願明細書の段落【0058】では「請求項の数「請求項のネストレ,」,」,「」。 ,ベルの深さカテゴリー展開の数を3変数とする関数が例示されている一方本願発明には,そのうちの2個の変数「請求項の数「カテゴリー展開の数」を用」,いて発明展開度を算出することが記載されている。このように,本件明細書の段落【】,,0058の記載と本願発明の記載との間には変数の個数に関して差があるがその差によって本願発明の記載が不明確になることもない。すなわち,まず,段落【0058】に記載されている関数は単なる例示であり,それに限定されないことは明らかである。さらに,本願明細書の段落【0089】において『なお,図2,3(a)のレーザーチャートにおいて,特許価値の特性を算出する前の各値をレーザーチャートの項目としている。‥‥「請求項数」は,特許明細書の中の請求項の数をピックアップし,請求項の数が なお,図2,3(a)のレーザーチャートにおいて,特許価値の特性を算出する前の各値をレーザーチャートの項目としている。‥‥「請求項数」は,特許明細書の中の請求項の数をピックアップし,請求項の数が多いほど高得点(最大100点)となるように- 7 -補正した値である。請求項の数が多いほど,十分アイデアが展開されており,一般的に,特許価値が高いといえる「カテゴリー展開数」は,請求の範囲のカテゴリ。 ーの展開の数を取得し,カテゴリーの展開の数が多いほど高得点(最大100点)となるように補正した値である。カテゴリーの展開の数が多いほど,他者の侵害の態様を十分考えており,一般的に,特許価値が高いといえる。 以上のとおり「請求項数「カテゴリー展開数(=カテゴリー展開の数「最,」,)」,大ネストレベル(=請求項のネストレベルの深さ」は,それぞれが個別に特許の)価値に寄与することがわかる。したがって,発明展開度の算出において,3個の変数から所望の1個以上の変数を選択可能であるということができる。このように,発明展開度の算出で用いられる変数の個数が,本願明細書の例示と本願発明とで異,。 なっていたとしてもそのことによって本願発明の記載が不明確になることはない(4) まとめこのように,本願発明は明確であり,特許法36条6項2号に規定する要件を満たしている。したがって,審決には判断を誤った違法があり,取り消されるべきである。 取消事由2(本願発明において実施可能要件を欠くとした判断の誤り)(1) 特許法36条4項1号の「経済産業省令で定めるところにより,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであること」における「その実施」とは,請求。 項に係る発明の実施のことで により,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであること」における「その実施」とは,請求。 項に係る発明の実施のことである。 すなわち,実施可能要件の判断においては,発明の詳細な説明の記載が,当業者が「請求項に係る発明」を実施できる程度に明確かつ十分に記載されているかどうかを判断するものであって,請求項に係る発明と関係なく発明の詳細な説明の記載が実施可能かどうかを判断するものではない。その請求項に係る発明は,請求項の記載が明確でないなどの事情がない限り,請求項の記載そのものによって特定される発明である。一方,請求項に係る発明が明確でない場合には,発明の詳細な説明- 8 -や図面を参酌することによって請求項に係る発明を特定し,その特定した発明が実施可能かどうか判断されることになる。このように,発明の明確性は,実施可能要件の判断に関係する。 したがって,本願発明の場合,その記載は明確であり,その明確な本願発明において,発明展開度の算出に「請求項のネストレベルの深さ」を用いないこと(用い),「」るとは記載していないことは明らかであるから請求項のネストレベルの深さを用いないで発明展開度を算出することが実施可能であるかどうかを判断すべきである。そして,本願明細書の発明の詳細な説明において「発明展開度」は「請求,,項の数「請求項のネストレベルの深さ」及び「カテゴリー展開の数」に重みを乗」,算することにより算出されることが記載されている。したがって,その3個の変数のうちの2個の変数である「請求項の数」及び「カテゴリー展開の数」に重みを乗算することにより発明展開度を算出することは,当業者が期待し得る程度を超える試行錯誤や複雑高度な実験等を行うことなく実施で のうちの2個の変数である「請求項の数」及び「カテゴリー展開の数」に重みを乗算することにより発明展開度を算出することは,当業者が期待し得る程度を超える試行錯誤や複雑高度な実験等を行うことなく実施できるものである。その結果,本願発明における「請求項数が大きいほどより大きい値となり,カテゴリー展開の数が大きいほどより大きい値となる,発明を展開している度合いを示す発明展開度を算出する」ことは実施可能である。 (2) 仮に本願発明における発明展開度の算出に「請求項のネストレベルの深さ」が必要であったとしても,次の理由により,本願明細書の「請求項のネストレベルの深さ」を求める方法は,明確であって,当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものである。 まず,他の文献(甲14,15,16,18)を参酌すれば,ページや関数,コンテンツの階層関係を解析し,その階層関係から各階層(例えば,各ページや各関数,各コンテンツ)の深さを示すネストレベルを求めることが本願の出願前から行われている。また,そのネストレベルを求める処理は,人手によって行われるものではなく,自動的に,すなわち,装置あるいはプログラムによって実行されるものである。このように,階層関係から各階層のネストレベルを求めることは,本願の- 9 -出願時点において当業者に一般的に知られた処理であったといえる。したがって,本願の場合に,請求項の階層関係を示す階層関係管理表から,各階層(各請求項)の深さを示すネストレベルを求めることも,出願当時の技術常識を考慮すれば,当業者にとって明確な処理であるといえる。さらに,複数の数字から最大数を取得する関数(いわゆるmax関数等)が存在するため,そのようにして求められた各請求項のネストレベルから最大値を取得することによって「請求項のネスト 処理であるといえる。さらに,複数の数字から最大数を取得する関数(いわゆるmax関数等)が存在するため,そのようにして求められた各請求項のネストレベルから最大値を取得することによって「請求項のネストレベル,の深さ」を求めることも当業者にとって明確である。 (3) このように「請求項のネストレベルの深さ」をどのように求めるのかは明,確であり,本願明細書における発明の詳細な説明は,当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであり,特許法36条4項1号に規定する要件を満たしている。したがって,審決はその判断を誤っており,取り消されるべきである。 第4被告の主張次のとおり,審決の認定判断に誤りはなく,原告主張の取消事由はいずれも理由がない。 取消事由1(本願発明において明確性を欠くとした判断の誤り)に対して(1) 発明展開度算出手段についてア審決は「発明展開度算出手段」の「請求項数が大きいほどより大きい値と,なり,カテゴリー展開の数が大きいほどより大きい値となる,発明を展開している度合いを示す発明展開度を算出する」との事項が,明確ではない旨を認定判断したものである(下線部は被告が付与したものである。 。)ところで,発明の明確性の判断に当たっては,特別な事情がないかぎり請求項に記載される事項は,必ず発明の明確性の判断の対象とされるべきであるところ,本願発明の「発明展開度算出手段」は,請求項の記載によれば「請求項数が大きい,ほどより大きい値となり,カテゴリー展開の数が大きいほどより大きい値となる,発明を展開している度合いを示す発明展開度を算出する『発明展開度算出手段」』- 10 -という事項により特定されるものであるが,ここで「発明を展開している度合いを示す」との事項は「技術的に意味がないことが一見し る度合いを示す発明展開度を算出する『発明展開度算出手段」』- 10 -という事項により特定されるものであるが,ここで「発明を展開している度合いを示す」との事項は「技術的に意味がないことが一見して明らかな事項」であると,も「その存否が特許請求の範囲に影響しないことが明らかな事項」であるともい,えず,その他特別な事情があるものとも認められないから,本願発明においては,「発明を展開している度合いを示す」との事項を含めて発明の明確性を検討することが必要であるというべきである。 したがって「発明展開度算出手段」が明確か否かは,審決のとおり「請求項数,,が大きいほどより大きい値となり,カテゴリー展開の数が大きいほどより大きい値となる,発明を展開している度合いを示す発明展開度を算出する」を対照するのであって「発明を展開している度合いを示す」との事項を含めて判断すべきである,から,原告の「発明展開度算出手段が『請求項数が大きいほどより大きい値とな,り,カテゴリー展開の数が大きいほどより大きい値となる発明展開度を算出する』ことは明確である」との主張は「発明を展開している度合いを示す」との事項を。 ,含めていない点で,審決の認定判断の対象を正解しないものであって失当である。 上記のとおり,本願発明の「発明展開度」は「請求項数が大きいほどより大き,い値となる」との事項で特定され「カテゴリー展開の数が大きいほどより大きい,値となる」との事項で特定され,さらに「発明を展開している度合いを示す」と,の事項で特定されるものである。 イそして,そもそも発明が明確であるためには,発明を特定するための事項が明確であり,1つの請求項に記載された事項に基づいて1つの発明が把握できることが必要である。そこで「発明を展開している度合いを示す」との事項がどの 発明が明確であるためには,発明を特定するための事項が明確であり,1つの請求項に記載された事項に基づいて1つの発明が把握できることが必要である。そこで「発明を展開している度合いを示す」との事項がどのような事項を特定するものであるのかを検討すると「発明を展開している度合い」と,はどのような事項を特定するものであるのか,特許請求の範囲の記載においてそれ自体が明確であるとはいえない。してみると「発明を展開している度合いを示す,発明展開度を算出する」との事項も,どのような事項を特定するものであるのか,特許請求の範囲の記載において,それ自体が明確とはいえない。 - 11 -したがって「請求項数が大きいほどより大きい値となり,カテゴリー展開の数,が大きいほどより大きい値となる,発明を展開している度合いを示す発明展開度を算出する」との事項で特定される本願発明は,特許請求の範囲の記載において,それ自体が明確でないというべきである。 ウ確かに,原告が主張するとおり「変数の値が大きいほど,値の大きくなる,関数」として増加関数が知られており,増加関数は広く知られた関数である。 しかし,これにより,仮に「請求項数が大きいほどより大きい値となり,カテゴリー展開の数が大きいほどより大きい値となる」との事項が「変数である請求項,数とカテゴリー展開の数とのそれぞれを,一般に知られている増加関数に代入し,その増加関数の値を算出する」との事項であると理解することができたとしても,「その増加関数の値を算出する」ことによって「発明展開度算出手段」が,どの,ようにして「請求項数が大きいほどより大きい値となり,カテゴリー展開の数が大きいほどより大きい値となる,発明を展開している度合いを示す発明展開度を算出する」ものであるのかは明確にはならないというべきであるから,原告 項数が大きいほどより大きい値となり,カテゴリー展開の数が大きいほどより大きい値となる,発明を展開している度合いを示す発明展開度を算出する」ものであるのかは明確にはならないというべきであるから,原告の主張は失当である。 (2) 他の特許出願の参酌について原告が参酌すべきと主張する甲11及び甲12の特許発明は,本願発明とは技術分野を異にするものであり,甲11及び甲12の特許発明を参酌したとしても,本願発明が明確になることはない。 また,甲13の特許公報は,原告の特許出願に係る特許発明であり,特許の価値を算出するものである。たとえ甲13の請求項1に「請求項数が大きいほどより大きい値となる発明展開度を算出する」との記載があり,請求項4には「前記明細書解析部が取得した請求項数が大きいほどより大きい値となり,前記明細書解析部が算出したネストレベルの深さが大きいほどより大きい値となり,前記明細書解析部が算出したカテゴリー展開の数が大きいほどより大きい値となる発明展開度を算出する発明展開度算出手段」との記載があり,仮に,これらの記載が明確であると- 12 -しても,そのことによって,本願発明における「発明展開度算出手段」が,どのようにして「請求項数が大きいほどより大きい値となり,カテゴリー展開の数が大きいほどより大きい値となる,発明を展開している度合いを示す発明展開度を算出する」ものであるのかが明確になるとはいえないというべきである。 (3) 明細書及び図面の記載ア仮に,原告が主張するように,本件出願の明細書の段落【0058】には,発明展開度(f)が定義され,その算出式自体が本願発明の「請求項数が大きいほどより大きい値となり,カテゴリー展開の数が大きいほどより大きい値となる発明展開度を算出する」ために用いられる関数の例示になっており,本願発明の 義され,その算出式自体が本願発明の「請求項数が大きいほどより大きい値となり,カテゴリー展開の数が大きいほどより大きい値となる発明展開度を算出する」ために用いられる関数の例示になっており,本願発明の記載と,,矛盾するものではなく本願発明の記載と異なる意味を示すものではないとしても本願発明において「発明展開度算出手段」が,どのようにして「請求項数が大き,,,いほどより大きい値となりカテゴリー展開の数が大きいほどより大きい値となる発明を展開している度合いを示す発明展開度を算出する」ものであるのかは明確にはならないというべきである。 イ仮に,原告が主張するように,本願明細書の段落【0058】では,3変数とする関数が例示される一方,本願発明はそのうちの2個の変数を用いており,変数の個数に差があるところ,その差によって本願発明の記載が不明確になることがないものであったとしても,本願発明において「発明展開度算出手段」が,どの,ようにして「請求項数が大きいほどより大きい値となり,カテゴリー展開の数が大きいほどより大きい値となる,発明を展開している度合いを示す発明展開度を算出する」ものであるのかは明確にはならないというべきである。 ウ原告は,発明展開度の算出において3個の変数から所望の1個以上の変数を選択可能であるとも主張している。 そこで,発明の詳細な説明の記載において,想定される具体例が,原告主張のとおり,発明展開度の算出において3個の変数から所望の1個以上の変数を選択可能であるものであるか否か,以下,検討する。 - 13 -まず,本願明細書の段落【0058【0074【0077【0078【00】】】】】,,【】「() の記載をみると発明展開度は上記段落0058に発明展開度fを求める算出式は,上記に の段落【0058【0074【0077【0078【00】】】】】,,【】「() の記載をみると発明展開度は上記段落0058に発明展開度fを求める算出式は,上記に問わない」と記載されており,上記段落【0074】によれば「例えば」と記載されていることから,その算出式は単なる例示であると,はされているが,段落【0058【0074】及び【0078】の各記載,その】,他の発明の詳細な説明の記載の全体をみても,情報処理装置が行う発明展開度の算出は「f=「請求項の数」*0.5+「請求項のネストレベルの深さ」*0.3,(+「カテゴリー展開の数」*0.2)の算出式により算出する」ことのみが記載されており,これ以外の「発明展開度算出手段」の実施例は記載されていない。 また,段落【0089】の記載からすれば「請求項数「カテゴリー展開数,,」,」「」,,最大ネストレベルはそれぞれが個別に特許の価値に寄与することがわかるがこれにより「発明展開度」の算出において,3個の変数から所望の1個以上の変数を選択可能であると想定することはできない。 むしろこのようにレーザーチャートに3変数が表示されて示される場合各,,,「変数がそれぞれ個別に特許の価値に寄与する」としても,原告が主張するように,「3変数のうちの1以上の変数を選択し得る」というより,むしろ「3変数のいずれもが必要である」と想定する方が自然である。 さらに,段落【0090】には「発明展開性』は,図23(a)のレーザーチ,『ャートの項目『請求項数『カテゴリー展開数『最大ネストレベル』をパラメータ』』として算出される値でも良い」と記載されているのみであり,当該記載から「請。 求項数「カテゴリー展開数「最大ネストレベル」の3個の変数から所望の1個 リー展開数『最大ネストレベル』をパラメータ』』として算出される値でも良い」と記載されているのみであり,当該記載から「請。 求項数「カテゴリー展開数「最大ネストレベル」の3個の変数から所望の1個以」」上の変数を選択可能であると読むことはできない。 以上のとおり「発明展開度算出手段」は「請求項の数『請求項のネストレ,,『』,ベルの深さ』及び『カテゴリー展開の数』に重みを乗算することにより発明展開度を算出する」との具体例以外の具体例を想定することができず,また,当該具体例において,発明展開度の算出において3個の変数から所望の1個以上の変数を選択- 14 -可能であると想定することはできないというべきである。 取消事由2(本願発明において実施可能要件を欠くとした判断の誤り)に対して(1) 原告の主張(1) について本願発明は「明細書解析部が取得した請求項数が大きいほどより大きい値とな,,,り明細書解析部が算出したカテゴリー展開の数が大きいほどより大きい値となる発明を展開している度合いを示す発明展開度を算出する発明展開度算出手段」との事項で特定されるものである。 してみると「明細書解析部が取得した請求項数が大きいほどより大きい値とな,,,り明細書解析部が算出したカテゴリー展開の数が大きいほどより大きい値となる発明を展開している度合いを示す発明展開度を算出する発明展開度算出手段」なる事項が,発明の詳細な説明の記載において当業者が実施し得る程度に明確かつ十分に記載されていたものであるか否かを判断すべきであり,これは発明の明確性に左右されるものではない。 したがって,本願発明の記載はそれ自体で明確であり,発明展開度の算出に「請求項のネストレベルの深さ」を用いないことは明らかであり「その実施」とは,,請求項に係る発明 性に左右されるものではない。 したがって,本願発明の記載はそれ自体で明確であり,発明展開度の算出に「請求項のネストレベルの深さ」を用いないことは明らかであり「その実施」とは,,請求項に係る発明の実施のことであるから,本願発明に「請求項のネストレベルの深さ」が記載されていないため,特許法36条4項1号に規定する要件を満たしていることになる旨の原告の主張は失当である。 (2) 原告の主張(2) についてたとえ甲14ないし18の文献を参照した範囲で原告が主張するようにペ,,,「ージのリンク関係や,関数の呼出し関係,コンテンツの包含関係などのように,ページや関数,コンテンツの階層関係を解析し,その階層関係から各階層の深さを示すネストレベルを求める」ことが本願の出願前から行われており,また,たとえ甲14ないし18の範囲で,原告が主張するように「階層関係から各階層のネスト,レベルを求める」ことが本願の出願時点において当業者に知られた一般的な処理で- 15 -あったとしても,本願明細書に記載されている請求項の階層関係を示す階層関係管理表から,各階層(各請求項)の深さを示すネストレベルを求めることが,当業者が実施し得る程度に明確かつ十分に記載されていたものであるとはいえない。 以下,その理由を順次説明する。 ア甲16及び甲17の各文献は,単にそのような関数が知られていることを示すにとどまる。 イ甲14,甲15及び甲18の各特許公報には「ページ「関数「コンテ,」,」,ンツ」の「リンク元とリンク先の関係「呼び出し元と呼び出し先の関係「親子」,」,関係(以下,これらをまとめて「親子関係」という)をたどり,その都度,ネス」。 トレベルの数字を「1」ずつ加算することにより「各ページ「各関数「各コ,」,」,」。 「親子」,」,関係(以下,これらをまとめて「親子関係」という)をたどり,その都度,ネス」。 トレベルの数字を「1」ずつ加算することにより「各ページ「各関数「各コ,」,」,」。 ,ンテンツのネストレベルを求めることが記載されている当該記載を参酌すれば請求項の親子関係をたどることにより階層のレベルを求めることができる可能性はある。この点,審決でも「引用する請求項がこのように請求項1から順次直列(つまり「親子関係)に繋がる事例では階層レベルを簡単に知ることができることは」否定できない」として同様に判断している。 。 しかし,特許請求の範囲に記載される請求項は,複数の請求項を引用し,複数の請求項により引用されることから,複数の親子関係を有するものである。 本願明細書の図5をみても親子関係が複数に分岐し,同一の請求項の番号が複数回出現する。このように,複数の請求項を引用し,複数の請求項により引用される請求項において「親子関係をたどり,そのつど,ネストレベルの数字を加算する,ことにより各請求項のネストレベルを求める」という手段で各請求項のレベルを求めることはできない。 一方で,同一の請求項の番号が複数回出現しない図6を用いれば,各請求項のレベル,さらには最も深い階層レベルを知り得る蓋然性は高い。しかし,図4の階層関係管理表から図6のクレームツリーを作成する手順そのものが明確でないことは,審決の判断のとおりである。 - 16 -ウ以上のように,甲14ないし甲18の各記載をみても,本願明細書に記載されている請求項の階層関係を示す階層関係管理表から,各階層(各請求項)の深さを示すネストレベルを求めることが,当業者が実施し得る程度に明確かつ十分に記載されていたものであるとはいえない。 (3) したがって,本願発明は,特許請求の範 関係管理表から,各階層(各請求項)の深さを示すネストレベルを求めることが,当業者が実施し得る程度に明確かつ十分に記載されていたものであるとはいえない。 (3) したがって,本願発明は,特許請求の範囲に係る発明を実施することに,当業者に期待し得る程度を超える試行錯誤や創意工夫を強いる事情があるというべきであり,実施可能要件を充足しないものというべきである。 第5当裁判所の判断 本願明細書の記載内容証拠(甲1,2)によれば,本願明細書には,次の記載がある。 「技術分野】【,。」本発明は特許明細書の解析等を行えるプログラムや情報処理装置等に関するものである(段落【0001)】「背景技術】【従来の特許明細書を解析等する技術には,明細書の形式や,請求項,段落,図面,数式などの番号,請求項の引用関係,要約書の文字数などをチェックして結果を報告する明細書作成支(段落【0002)援ソフトがあった。」】「発明が解決しようとする課題】【しかし,上記従来技術によれば,請求項の構造を図的に表せない。従って,特に,請求項数が多い場合に,全体の構造が外観できず,特許請求の範囲に記載の漏れが生じやすかった。また,分割出願する場合に,請求項の全体構成が外観しにくいために,分割する請求項と,削除する請求項と,原出願に残す請求項の判断が困難であった。さらに,中間処理の段階で,請求項の全体構成が外観しにくいために,修正する請求項群と削除する請求項群の判断は困難であ(段落【0003)った。」】「また,上記従来技術によれば,特許の価値や特許明細書の品質を定量的に把握できない。 従って,ライセンスや特許の証券化などの特許流通の場合に,権利の内容を示す特許明細書を- 17 -見て,その価値や価格を決定しており,その価値等の決定は個人の高度なスキルに頼 定量的に把握できない。 従って,ライセンスや特許の証券化などの特許流通の場合に,権利の内容を示す特許明細書を- 17 -見て,その価値や価格を決定しており,その価値等の決定は個人の高度なスキルに頼られていた。また,特許明細書作成時に特許品質が容易に把握できないので,実施可能要件を満たさな(段落【0004)い特許明細書が多く出願されていた。」】「,,。 ,さらに上記従来技術によれば符号の整合性をチェックする機能が存在しない従って。 ,,,符号の整合性は人手により行われていたまた人手によれば多数の符号を添付した場合に(段落【0005)かなりの確率で不具合が発生していた。」】「課題を解決するための手段】【本第一の発明の特許明細書を解析するプログラムは,コンピュータに,特許明細書の特許請求の範囲を解析し,請求項の階層関係を取得する階層関係取得ステップと,階層関係に基づいて,当該階層関係を図的に表示するクレームツリー表示ステップを実行させるためのプログラムであり,かかるプログラムにより,特に,請求項数が多い場合に,全体の構造が外観でき,(段落【0006)特許請求の範囲に記載の漏れが生じない等の効果が生じる。」】「また,第二の発明は,コンピュータに,特許明細書を読み込み,解析する特許明細書解析ステップと,特許明細書解析ステップにおける解析結果に基づいて特許の価値を定量的に算出する特許価値算出ステップと,特許の価値を出力する特許価値出力ステップを実行させるためのプログラムであり,かかるプログラムにより,特許の価値や特許明細書の品質を定量的に把(段落【0007)握できる。」】「実施の形態1)(図1は,本実施の形態における情報処理装置のブロック図である。情報処理装置は,入力受付部101,明細書格納部102 明細書の品質を定量的に把(段落【0007)握できる。」】「実施の形態1)(図1は,本実施の形態における情報処理装置のブロック図である。情報処理装置は,入力受付部101,明細書格納部102,明細書取得部103,階層関係取得部104,クレームツ(段落【0010)リー表示部105を有する。」】「以下,本実施の形態における情報処理装置の具体的な動作について説明する。今,情報処理装置は,図3に示す特許明細書(特許請求の範囲)を格納している。そして,ユーザは,図段落 3の特許明細書のクレームツリーを表示するように表示指示を入力したとする,。」(【038)】,,,。 「まず情報処理装置は明細書取得部は明細書格納部から図3の特許明細書を読み出す- 18 -次に,請求項番号取得手段は,図3の特許明細書から請求項の番号「1」から番号「8」を取得する。具体的には,請求項番号取得手段は,すみつき括弧(タグ)の中の文字列から「請求(段落【0項」という文字列を除いた数字を取得する処理を行い,請求項番号を取得する。」039)】「次に,従属関係取得手段は,上記の「請求項?*または請求項?*記載」等の文字列から「?*」の数字列および数字列の間の文字列,または「~」を取得する。そして,例えば「1から3」という数字列,および文字列が取得された場合に「1から3」を「1,2,3」に,置き換える。以上の処理から,当該請求項は「1,2,3」の各請求項に従属している,と,(段落【0041)いうことになる。」】「,,。 以上の処理により図3の特許請求の範囲を解析して図4の請求項間の階層関係を得る(段図4は,階層関係管理表であり,子の請求項と親の請求項が対応付けて管理されている。」落【0042)】「次に,ツリー表示手 より図3の特許請求の範囲を解析して図4の請求項間の階層関係を得る(段図4は,階層関係管理表であり,子の請求項と親の請求項が対応付けて管理されている。」落【0042)】「次に,ツリー表示手段は,図4の階層関係管理表から,例えば,図5のクレームツリーを表示する。図5のクレームツリーは,親子関係を線で結び,請求項番号を示す数字が2回以上(段落【0043)表示され得る表示態様である。」】「また,ツリー表示手段は,図4の階層関係管理表から,例えば,図6のクレームツリーを表示しても良い。図6のクレームツリーは,親子関係を線で結び,請求項番号を示す数字が1(段落【0044)回しか表示されない表示態様である。」】「以上,本実施の形態によれば,特許明細書の特許請求の範囲を解析して,請求項の階層関係を図的にクレームツリーとして表示できるために,ユーザが,出願段階でクレームの展開度合いが十分であるか否かを判断しやすくなる。また,中間処理の段階において,クレームツリ,,。 ーの表示により特許明細書の構造が一目瞭然となり拒絶理由通知等への対応が容易になるまた,ライセンスの段階で,クレームツリーを表示することにより,通常実施権や専用実施権を与える請求項などを判断しやすくなる。また,クレームツリーの各ノード(請求項を示す数字)に対応して,請求項の文書や構成要素名を表示することにより,上記の各段階における作(段落【0049)業が極めて容易になる。」】- 19 -「実施の形態2)(図13は,本実施の形態における情報処理装置のブロック図である。情報処理装置は,入力受付部101,明細書格納部102,明細書取得部103,明細書解析部1301,特許価値算出部1302,特許価値出力部1303を具備する。特許価値算出部1302は,明細書開示度算出手段 理装置は,入力受付部101,明細書格納部102,明細書取得部103,明細書解析部1301,特許価値算出部1302,特許価値出力部1303を具備する。特許価値算出部1302は,明細書開示度算出手段13021,発明展開度算出手段13022,発明本質抽出度算出手段1302(段落【0053)3を具備する。」】「特許価値算出部1302は,明細書解析部1301における解析結果に基づいて特許の価値を定量的に算出する。ここで,特許価値は,例えば,以下で述べる明細書開示度や発明展開度や発明本質抽出度等の特許明細書の複数の特性に基づいて算出される。特許価値算出部1302は,例えば,複数の特性の値をパラメータとして(複数の特性の値を重み付けして,一)の値を算出しても良いし,複数の特性の値をそれぞれ算出するだけでも良い。特許価値算出部1302は,通常,MPUやメモリ等から実現され得る。特許価値算出部1302が特許の価値を算出するための処理手順は,通常,ソフトウェアで実現され,当該ソフトウェアはハード。 ,()。」ディスク等の記録媒体に記録されている但しハードウェア専用回路で実現しても良い(段落【0056)】「明細書開示度算出手段13021は,特許明細書において特許請求の範囲に記載した発明が発明の詳細な説明でいかに実施可能なように記載されているかを示す度合いである明細書開示度を算出する。明細書開示度算出手段13021は,明細書開示度を,例えば「実施の形,態の文字数/特許請求の範囲の文字数」の算出式により算出する。但し,明細書開示度の算出(段落【0057)式は問わない。」】「発明展開度算出手段13022は,発明をいかに展開しているかを示す度合いである発明展開度を算出する。発明展開度算出手段13022は,例えば,発明展開度(f)を(f=, 7)式は問わない。」】「発明展開度算出手段13022は,発明をいかに展開しているかを示す度合いである発明展開度を算出する。発明展開度算出手段13022は,例えば,発明展開度(f)を(f=,「」. 「」. 「」請求項の数*05+請求項のネストレベルの深さ*03+カテゴリー展開の数*0.2)の算出式により算出する「請求項のネストレベルの深さ」は,上記のクレームツ。 リーの階層の最も深い階層レベルを示す。なお,図5のクレームツリーにおいては「請求項,」。「」,「」のネストレベルの深さは4であるカテゴリー展開の数は請求項のカテゴリー装置- 20 -「方法「媒体「プログラム」のうちで,それだけのカテゴリーの請求項を記載しているかを」」(段落【0058)示す。なお,発明展開度(f)を求める算出式は,上記に問わない。」】「発明本質抽出度算出手段13023は,発明の本質をいかに抽出できているかを示す度合いである発明本質抽出度を算出する。発明本質抽出度算出手段13023は,発明本質抽出度(g)を,例えば,独立の請求項のうちで,請求項を構成する最少の構成要素数(x)をパラ。 (),,「」。」メータとして算出する発明本質抽出度gは例えば100/xにより求められる(段落【0059)】「なお,請求項数や文字数やネストレベルやカテゴリー数を取得する技術は,以下の通りである。つまり,請求項数は,特許請求の範囲のタグの最も大きい数である。特許請求の範囲の階層関係を取得できれば(実施の形態1参照,ネストレベルは取得され得る。カテゴリー数)は,請求の範囲の語尾を抽出し「~装置「~方法「~プログラム」等のうち,何種類の語,」」尾が存在するかを取得すれば良い。文字数の取得は,公知技 参照,ネストレベルは取得され得る。カテゴリー数)は,請求の範囲の語尾を抽出し「~装置「~方法「~プログラム」等のうち,何種類の語,」」尾が存在するかを取得すれば良い。文字数の取得は,公知技術により可能であるので,説明を(段落【0073)省略する。」】「以下,図16のフローチャートを用いて特許価値算出ルーチンを説明する。 (ステップS1601)発明展開度を算出する。発明展開度(f)は,例えば(f=「請,求項の数」*0.5+「請求項のネストレベルの深さ」*0.3+「カテゴリー展開の数」*(段落【0074)0.2)の算出式により算出する。」】「ステップS1603)発明本質抽出度を算出する。発明本質抽出度(g)は,例えば,(最も短い請求項の文字数(y)をパラメータとして算出する。発明本質抽出度(g)は,例え(段落【0076)ば「100/y」により算出する,。」】「なお,図16のフローチャートにおいて,発明展開度,明細書開示度,および発明本質抽出度をパラメータとして,一の値である特許価値を算出しても良い。そして,特許価値を10(段落【0077)0点満点で出力しても良い。」】「以下,本実施の形態における情報処理装置の具体的な動作について説明する。今,ユーザから指示された明細書の構文解析,字句解析を行って,図17のような解析結果を得た,とする。そして,情報処理装置は,発明展開度(f)は(f=「請求項の数」*0.5+「請求,- 21 -項のネストレベルの深さ」*0.3+「カテゴリー展開の数」*0.2)の算出式により算出段落 する具体的にはf=8*05+4*03+2*02=5 を得る。 ,「. . . . 」。」(【078)】「,(),「」。 また発明本質抽出度gを する具体的にはf=8*05+4*03+2*02=5 を得る。 ,「. . . . 」。」(【078)】「,(),「」。 また発明本質抽出度gを100/最短請求項文字数の算出式により算出する(段落【0079)具体的には「g=100/88=約1.14」を得る,。」】「次に,特許価値出力は,例えば,図18に示すような表示を行う。なお,図18の表示において,発明展開度の合格点,発明本質抽出度の合格点,明細書開示度の合格点,明細書開示。 ,。 ,度の合格点を同時に示しても良いかかる合格点は予め情報処理装置が保持しているなお(段落【008どの値が合格点であるかは,通常,特許明細書の技術分野によって異なる。」2)】「なお,図23(a)のレーザーチャートにおいて,特許価値の特性を算出する前の各値をレーザーチャートの項目としている最少構成要素数は請求項の中で最も構成要素数発。「」,(明特定事項の数)が少ないものをピックアップし,構成要素数が少ないものの方が高得点(最大100点)となるように補正した値である。構成要素数が少ないほど,一般的には特許の権利範囲が広いからである「最少請求項文字数」は,請求項の中で最も文字数が少ないものを。 ピックアップし,文字数が少ないものの方が高得点(最大100点)となるように補正した値である。請求項の文字数が少ないほど,一般的には権利範囲が広いからである「請求項数」。 は,特許明細書の中の請求項の数をピックアップし,請求項の数が多いほど高得点(最大100点)となるように補正した値である。請求項の数が多いほど,十分アイデアが展開されており,一般的に,特許価値が高いと言える「カテゴリー展開数」は,請求の範囲のカテゴリー。 の展開の数を取得し, 0点)となるように補正した値である。請求項の数が多いほど,十分アイデアが展開されており,一般的に,特許価値が高いと言える「カテゴリー展開数」は,請求の範囲のカテゴリー。 の展開の数を取得し,カテゴリーの展開の数が多いほど高得点(最大100点)となるように補正した値である。カテゴリーの展開の数が多いほど,他者の侵害の態様を十分考えており,一般的に,特許価値が高いと言える「最大ネストレベル」は,請求項の従属関係が作り出す。 階層の深さをピックアップし,当該深さが深いほど高得点(最大100点)となるように補正した値である。階層が深いほど,アイデアを多層的,多面的に考え抜いたといえ,その結果,一般的に,特許価値が高いと言える「実施の形態ページ数」は,実施の形態または実施例等。 - 22 -のページ数をピックアップし,ページ数が多いほど高得点(最大100点)となるように補正した値である。実施の形態等のページ数が多いほど,一般的に,発明が十分開示されていると言え,実施可能要件違反により無効等にされる可能性が低く,特許価値が高いと言える「実。 施の形態/請求の範囲は実施の形態または実施例の量文字数などと請求の範囲の量文」,()(字数など)の比をピックアップし,当該値が大きいほど高得点(最大100点)となるように補正した値である。請求の範囲の記載量に対して,実施の形態等の記載量が多ければ,一般的,,,に発明が十分開示されていると言え実施可能要件違反により無効等にされる可能性が低く特許価値が高いと言える「引用文献数」は,特許明細書の従来技術または背景技術に挙げら。 ,()れている引用文献の数をピックアップし当該引用文献の数が多いほど高得点最大100点となるように補正した値である。引用文献の数が多いほど,一般的に,十分に 従来技術または背景技術に挙げら。 ,()れている引用文献の数をピックアップし当該引用文献の数が多いほど高得点最大100点となるように補正した値である。引用文献の数が多いほど,一般的に,十分に特許調査が行え(段落【0089)ており,拒絶や無効になる可能性が低く,特許価値が高いと言える。」】「,(),。 また図23bのレーザーチャートは各特性を項目とするレーザーチャートである本レーザーチャートは,各特性を上記した方法等により,定量化したものである。なお「強,靭性」は,十分特許調査を行っており「引用文献数」が多いほど,高得点となる。したがっ,て「強靭性」は,図23(a)のレーザーチャートの項目「引用文献数」から得られる値で,も良い。また「発明本質抽出性」は,図23(a)のレーザーチャートの項目「最少構成要,素数「最少請求項文字数」をパラメータとして算出される値でも良い。また「発明展開性」」,は,図23(a)のレーザーチャートの項目「請求項数「カテゴリー展開数「最大ネストレ」」」。 ,「」,()ベルをパラメータとして算出される値でも良いさらに実施可能担保性は図23aのレーザーチャートの項目「実施の形態ページ数「実施の形態/請求の範囲」をパラメータ」(段落【0090)として算出される値でも良い。」】- 23 -- 24 -【図4】- 25 - 取消事由1(本願発明において明確性を欠くとした判断の誤り)について(1) 発明展開度算出手段について,審決は,本願発明のうち「請求項数が大き,いほどより大きい値となり,前記明細書解析部が算出したカテゴリー展開の数が大きいほどより大きい値となる,発明を展開している度合いを示す発明展開度を算出する発明展開度算出手段」の記載は不明 が大き,いほどより大きい値となり,前記明細書解析部が算出したカテゴリー展開の数が大きいほどより大きい値となる,発明を展開している度合いを示す発明展開度を算出する発明展開度算出手段」の記載は不明確であるとする。 しかしながら,本願発明中の用語「請求項数」については,クレーム中に(請求項の番号を示す「請求項タグ」の中の最も大きい数である旨の定義があると認め)られるから,その意味は一義的であり,特に不明な点はない。 また,本願発明中の用語「カテゴリー展開の数」については,請求項タグで特定される各請求項の語尾を抽出して「装置「方法「プログラム」のうち,存在す,」」る語尾の種類の数である旨の定義があると認められるから,その意味は一義的であり,特に不明な点はない。 ,「」,「」そして本願発明中の用語発明展開度については上記のような請求項数が大きいほどより大きい値となり「カテゴリー展開の数」が大きいほどより大き,い値となるものとして定義されていると認められるところ,その意味は,原告が主張するような増加関数を持ち出すまでもなく,一義的で,特に不明な点はない。 そうであれば「発明展開度」は,上記のように「請求項数」が大きいほどより,,大きい値となり「カテゴリー展開の数」が大きいほどより大きい値となるものと,してその定義がクレームに明確に記載されていると認定できるしたがって発,。 ,「明展開度算出手段」に関する請求項の記載は,原告が主張する他の文献(甲19,20)や他の特許出願(甲11,12,13)を持ち出すまでもなく,それ自体で明確であるというべきである。 (2) この点について,被告は,本願発明における「発明を展開している度合いを示す」という記載が明確でない旨主張する。 ,,「」確かに被告が指摘する ,それ自体で明確であるというべきである。 (2) この点について,被告は,本願発明における「発明を展開している度合いを示す」という記載が明確でない旨主張する。 ,,「」確かに被告が指摘するとおりクレーム中の用語発明を展開している度合いだけを,単独で解釈すれば,用語の定義が不明確であるとする余地があるともいえ- 26 -ないわけでない。 ,「」,しかし発明を展開している度合いを示す発明展開度との請求項2の記載を全体として解釈すれば,各用語(発明「展開「度合い(度)の対応関係か「」,」,)」ら,この部分は,本件独自の用語である「発明展開度」を,単に分かりやすく言い換えて説明しているにすぎないと認めるのが自然である。 ,「」,したがって発明を展開している度合いを示すという記載のみを取り出してそれが不明確であるということは適切ではなく,上記のとおり解釈すれば「発明,を展開している度合いを示す」との記載が含まれているとしても,別段請求項2の記載が不明確であるとはいえない。 (3) また,被告は,本願明細書の記載のうち,段落【0058【0074】及】,び【0078】の各記載,その他の発明の詳細な説明の記載の全体をみても,情報処理装置が行う発明展開度の算出は「f=「請求項の数」*0.5+「請求項の,(ネストレベルの深さ」*0.3+「カテゴリー展開の数」*0.2)の算出式により算出する」ことのみが記載されており,これ以外の「発明展開度算出手段」の実施例は記載されていないこと,及び段落【0089】等の記載により「発明展開,度」の算出において,3個の変数から所望の1個以上の変数を選択可能であると想定することはできず,むしろ,レーザーチャートに3変数が表示されて示される場合「3変数のいずれもが必要である」と 明展開,度」の算出において,3個の変数から所望の1個以上の変数を選択可能であると想定することはできず,むしろ,レーザーチャートに3変数が表示されて示される場合「3変数のいずれもが必要である」と想定する方が自然であること等を理由と,,「」,「『』,『』して発明展開度算出手段は請求項の数請求項のネストレベルの深さ及び『カテゴリー展開の数』に重みを乗算することにより発明展開度を算出する」との具体例以外の具体例を想定することができず,また,当該具体例において,発明展開度の算出において3個の変数から所望の1個以上の変数を選択可能であると想定することはできないから,結局,発明展開度算出手段は不明確である旨主張する。 しかしながら「算出式f=…」については,上記1の段落【0058】の記載,,,「」,「,(),のとおりそこには例えば及びなお発明展開度fを求める算出式は- 27 -上記に問わない」と記載されているのであるから,上記算出式は例示であること。 が明らかであって,本願明細書の記載においても,これ以外の算出式を使用できることの示唆があると認められる。 また,前記1の段落【0089】の記載からすれば「請求項数」が多いほどア,イデア,すなわち,発明が「展開」されていると認定でき,また,カテゴリー「展開数もその数が多いほど発明が展開されていると認定できさらに最」,,「」,,「大ネストレベル」も,アイデアを多層的・多面的に検討したことを表す旨の記載から,数が多いほど,発明が「展開」されていると認定することができる。 ,【】,したがって本願明細書の段落0058の算定式で用いられる3つの変数はそれぞれ個別に,数が大きいほど,発明の展開度が高いことを示す指標であると認 開」されていると認定することができる。 ,【】,したがって本願明細書の段落0058の算定式で用いられる3つの変数はそれぞれ個別に,数が大きいほど,発明の展開度が高いことを示す指標であると認められる。 そして,段落【0058】の3変数の組合せの算出式の例示,及び他の算定式の示唆,並びに段落【0089】に示唆されている,3変数それぞれが個別に,数が大きいほど発明展開度が高いことを示す指標である旨の記載を総合すると,これらの3変数のうちの任意の1以上の変数を組み合わせた算定式も,同様に,各変数が多いほど,発明の展開の度合いが高いことを示す指標となるものと理解することが可能であると認められる。 したがって,明細書の変数の個数が異なるからといって,本願の請求項が不明確になることはないというべきであるから,この点に関する被告の主張は採用することができない。 取消事由2(本願発明において実施可能要件を欠くとした判断の誤り)について(1) 上記2で認定したように,本願発明の「発明展開度算出手段」は「請求項,数」と「カテゴリー展開の数」によって「発明を展開している度合いを示す」手,段であるから,実施可能性についても「請求項数が大きいほどより大きい値とな,り,前記明細書解析部が算出したカテゴリー展開の数が大きいほどより大きい値と- 28 -,」なる発明を展開している度合いを示す発明展開度を算出する発明展開度算出手段が本願明細書の記載から実施可能か否かを検討すれば足りるというべきである。 この点,被告は,実施可能要件の充足の有無は,発明の明確性に左右されるものではないとして「本願発明の記載はそれ自体で明確であり,発明展開度の算出に,『請求項のネストレベルの深さ』を用いないことは明らかであり『その実施』と,は,請求項に係る発明の実施 に左右されるものではないとして「本願発明の記載はそれ自体で明確であり,発明展開度の算出に,『請求項のネストレベルの深さ』を用いないことは明らかであり『その実施』と,は,請求項に係る発明の実施のことであるから,本願発明に『請求項のネストレベルの深さ』が記載されていないため,特許法36条4項1号に規定する要件を満たしている」旨の原告の主張は失当であると主張する。 しかしながら,原告の主張は,要するに,発明展開度の算出に「ネストレベル」を用いないことが明確であるとの主張であると解され,原告は,クレームの記載が明確であることから,直ちに本願発明が実施可能であると主張しているわけではない。したがって,明確性と実施可能要件とが別の要件である旨の被告の反論は,原告の主張を正解しないものである。 そこで「請求項数」と「カテゴリー展開の数」の2変数のみによる「発明展開,度算出手段」が,本願明細書の記載に基づいて実施可能か否かを検討する。 この点については,確かに,本願明細書には「請求項数」と「カテゴリー展開,数」の2変数だけから発明展開度を計算する具体例の記載はない。 しかしながら,段落【0058】に記載されている実施例の発明展開度算出手段13022に係る発明展開度(f)の算出式は,前記2で認定したとおり,例示にすぎず,本願発明では,複数の変数を組み合わせる具体的な掲載方法には限定がない以上,本願明細書に記載されている実施例が「ネストレベルの深さ」を用いる,3変数の実施例のみであったとしても,2変数だけからなる発明展開度が算出不可能であるということはできない。また,上記段落【0058】に記載されている算出式は「f=「請求項の数」*0.5+「請求項のネストレベルの深さ」*0.3+カテゴリー展開の数*02というものであるところこの算出式から請「 ない。また,上記段落【0058】に記載されている算出式は「f=「請求項の数」*0.5+「請求項のネストレベルの深さ」*0.3+カテゴリー展開の数*02というものであるところこの算出式から請「」.」,「「求項のネストレベルの深さ」*0.3」を除いて「請求項数」と「カテゴリー展,- 29 -開数」の2変数の重み付け和を計算することによって,本願発明が実施可能であることは明らかである。 したがって,2変数からなる本願発明が実施可能性がないとする被告の主張は理由がない。 (2) この点に関し,被告は,本願明細書に記載されている請求項の階層関係を示す階層関係管理表から,各階層(各請求項)の深さを示すネストレベルを求めることが,当業者が実施し得る程度に明確かつ十分に記載されていたものであるとはいえないと主張するので,念のため,この点について,検討を加える。 ア文献に現れた「ネストレベル」の意義(ア) 印刷制御装置等に関する発明である特願平成11-97446の公開特許公報(甲14)には,次の記載がある。 「ページ21は,ユーザによって指定されたページ(最初のページ)であり,通常の文書データのほかに次のページへのリンク情報(タグ)が記述されている。この最初のページのネストレベルを0とする。ネストレベルは,ページのリンク(関連付け)構成が階層状(入れ子状(段落【0015)態)になっているので,その階層レベルを指すものである。」】「ページ22はページ21からリンクされたページであり,ネストレベルを1とする。このページには次のページ(ネストレベル2)のリンク情報が記述されている。図2に示すネスティングでは,最初のページのネストレベルを0とすると,このHTML文書全体において一番(段落【0016)深いネストレベルは3である。」】「自身 2)のリンク情報が記述されている。図2に示すネスティングでは,最初のページのネストレベルを0とすると,このHTML文書全体において一番(段落【0016)深いネストレベルは3である。」】「自身のネストレベル32-3とは,自動印刷を行う最初のページからネスト階層を数えて何層目のページであるか知るためにセットされる。なお,最初のページのネストレベルは0で(段落【0022)ある。」】以上の記載によると,ネストレベルとは「階層」のレベルに他ならず,リンク,元より,リンク先のネストレベルが1大きいことから,最初のページ(ネストレベル0)から,リンクを順番にたどれば,各ページのネストレベルが求められるものと認められる。 - 30 -(イ) コンパイル方法に関する発明である特願平6-287748の公開特許公報(甲15)には,次の記載がある。 「本実施例は,関数間で参照関係を持たない複数の非参照関係関数の各々の自動変数に共通のデータ領域を割当てる方法として,これら複数の非参照関係関数の同一ネストレベルの変数に対し同一のデータ領域を割当てるようにするものである。ここで,ネストレベルは関数の呼(段落【0024)び出しの深さを表す。‥‥」】「本実施例のコンパイル方法を用いるコンパイラが生成するアセンブラソースプログラムの一例を示す図4および関数の参照関係を示す図5を参照すると,このソースプログラムは,まず,メインとなる関数mainをネストレベル1とし,関数mainの中で定義される自動変数var1,var2はデータ領域1に割当てる。次に,関数mainから呼び出される関数func3をネストレベル2とし,この関数func3で定義する自動変数var1,var2はデータ領域2に割当てる。次に,関数func3から呼び出される関数func4をネストレベル3 呼び出される関数func3をネストレベル2とし,この関数func3で定義する自動変数var1,var2はデータ領域2に割当てる。次に,関数func3から呼び出される関数func4をネストレベル3とし,この関数func4で定義する自動変数var1,var2はデータ領域3に割当てる。さらに,関数mainから呼び出されるもう一つの関数func5もネストレベル2とし,その定義する自動変数var1,var2を関数func3定義の自動変数var1,var2と同一データ領域2に割当てる。一方,関数mainから呼び出される関数func3と関数func5とは参照関係を持たない非参照関係関数であるため,自動変数の内容(段落【0029)は保証する必要がなく破壊してもかまわない。」】これらの記載から,呼出先の関数は,呼出元の関数より1大きいネストレベルを有するから,先頭の関数(ネストレベル1)から,関数の呼出しの関係を順番にたどって,各関数のネストレベルが求まると認定できる。 (ウ) 以上のとおり「ネストレベル」の意義及びその深さを求めることは,本願,の出願時点において技術分野を超えた技術常識であると認められる。 イ本願明細書の記載そして,本願明細書においては「ネストレベルの深さ」とは「クレームツリー,,」(【】),,の階層の最も深い階層レベルとの定義があり前記1の段落0058また- 31 -ネストレベルを取得する技術は「特許請求の範囲の階層関係を取得できれば(実,施の形態1参照,ネストレベルは取得され得る(前記1の段落【0073)と)。」】記載されている。 これらの記載から「請求項のネストレベルの深さ」は,クレームの階層関係に,おいて,最も深い階層レベルであると認定できる。 そして,前記1の段落【0042】の「以上の )。」】記載されている。 これらの記載から「請求項のネストレベルの深さ」は,クレームの階層関係に,おいて,最も深い階層レベルであると認定できる。 そして,前記1の段落【0042】の「以上の処理により,図3の特許請求の範囲を解析して,図4の請求項間の階層関係を得る」の記載,段落【0043】の。 「次に,ツリー表示手段は,図4の階層関係管理表から,例えば,図5のクレームツリーを表示する。図5のクレームツリーは,親子関係を線で結び,請求項番号を示す数字が2回以上表示され得る表示態様である」の記載から,図5は,図3の。 請求項に対応する「クレームツリー」と認定できる。 このうち,例えば「請求項4」は,図3より「請求項1~3」の複数の請求項,,,。 ,,「」を引用する請求項であり図中の3箇所に記載されるまた例えば請求項1は「請求項2~4」の複数の請求項に引用される請求項である。さらに,前記1,の段落【0058】に「なお,図5のクレームツリーにおいては『請求項のネス,トレベルの深さ』は4である」と記載され,図5におけるネストレベルの深さは。 4と認定できる。 そして,図5には,同一請求項を複数回書くことを許容すれば,複数の請求項を引用し,引用される関係がある場合でも,請求項の階層関係を図示できる具体例が記載されている。図5における「請求項4」のように,同じ請求項が複数回記載されるような場合でも,そのうちの最も右側(最も深い階層のもの。ここでは,請求項3に従属する請求項4)が,最も深い階層レベルであることは,階層関係の図示から明らかであって,最大の階層であるネストレベルも,容易に求まると考えるのが自然である。 ウ以上のとおり,仮に,上記段落【0058】に記載されている唯一の実施例である発明展開度(f)の算出式が実施不 明らかであって,最大の階層であるネストレベルも,容易に求まると考えるのが自然である。 ウ以上のとおり,仮に,上記段落【0058】に記載されている唯一の実施例である発明展開度(f)の算出式が実施不可能であれば,本願発明は実施可能要件- 32 -を充足しないと解すべきであるとしても「ネストレベル」に関する上記アの技術,常識を踏まえて,上記イのように本願明細書の記載を検討すれば,本願明細書にいう「請求項のネストレベルの深さ」は明確であり,実施が可能であると認めるのが相当であるから,この点に関する被告の主張は失当である。 結論 以上のとおり,原告の主張する取消事由1及び2はいずれも理由があるから,審決を取り消すこととし,主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第1部裁判長裁判官塚原朋一裁判官東海林保裁判官矢口俊哉
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