平成24(ネ)3123等 地位確認等請求控訴,同附帯控訴事件(原審・東京地方裁判所形成23年(ワ)第1428号等地位確認等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成26年6月5日 東京高等裁判所
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判決文本文27,892 文字)

-1-平成26年6月5日判決言渡平成24年(ネ)第3123号,平成24年(ネ)第6316号各地位確認等請求控訴,同附帯控訴事件 主文 1 本件控訴及び附帯控訴をいずれも棄却する。 2 控訴費用は控訴人らの,附帯控訴費用は被控訴人の各負担とする。 事実及び理由 第1 当事者の求める裁判【控訴人らの控訴の趣旨】 1 原判決中,控訴人らの敗訴部分を取り消す。 2 控訴人らと被控訴人との間で,控訴人らが労働契約上の権利を有する地位にあることを確認する。 3 被控訴人は,原判決別紙賃金額一覧表記載(ただし,控訴人となっていない原告番号11,12,20,58,68及び69の欄を除く。)の控訴人らに対し,同一覧表の各控訴人に対応する「2010年12月分賃金未払額」欄記載の金員及びこれに対する平成23年1月26日から支払済みまで年6分の割合による金員をそれぞれ支払え。 4 被控訴人は,原判決別紙賃金額一覧表記載(ただし,控訴人となっていない原告番号11,12,20,58,68及び69の欄を除く。)の控訴人らに対し,平成23年2月25日から本判決確定の日まで,毎月25日限り,同一覧表の各控訴人に対応する「請求賃金額」欄記載の金員及びこれに対する各支払期日の翌日から支払済みまで年6分の割合による金員をそれぞれ支払え。 【被控訴人の附帯控訴の趣旨】 1 原判決中,被控訴人の敗訴部分を取り消す。 2 前項に係る控訴人らの請求をいずれも棄却する。 -2-第2 事案の概要 1 本件は,被控訴人がその従業員である控訴人らを整理解雇したところ,控訴人らが,整理解雇は無効であると主張して,労働契約上の権利を有する地位にあることの確認及び解雇後の賃金等及びこれに対する遅延損害金の支払を求める事案であ 業員である控訴人らを整理解雇したところ,控訴人らが,整理解雇は無効であると主張して,労働契約上の権利を有する地位にあることの確認及び解雇後の賃金等及びこれに対する遅延損害金の支払を求める事案である。 原審は,控訴人らの請求のうち,地位確認を求める請求をいずれも棄却し,金銭請求については,控訴人A(原告番号30)につき40万4582円,控訴人B(原告番号52)につき21万1307円及びそれぞれこれに対する履行期の翌日である平成23年1月26日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で請求を認容し,同控訴人らのその余の請求を棄却し,その余の控訴人らの請求をいずれも棄却した。これに対し,それぞれの敗訴部分を不服として,控訴人が控訴を,被控訴人が附帯控訴をした。 2 本件における前提事実は,以下のとおり補正するほかは,原判決「事実及び理由」欄第2の2に記載されたとおりであるから,これを引用する(ただし,原判決引用部分中,「原告」を「控訴人」に,「被告」を「被控訴人」に,それぞれ読み替える。)。また,以下における略称は原判決の例による。 (1) 原判決8頁18行目末尾の次に「(乙21の3)」を,24行目末尾の次に「(乙29)」を,それぞれ加える。 (2) 原判決10頁11行目から14行目までを以下のとおり改める。 「オ C組合は,被控訴人に対し,平成22年11月9日に賃金減額によるワークシェアを,同月12日にも平成23年1月1日から同年3月31日までの間のワークシェア及び地上職への職種変更を提案したが,被控訴人は,これらの提案を採用できない旨回答した。そこで,C組合は,同月30日,更なる提案として,被控訴人の採っている「稼働ベース」の考え方を採り入れたワークシェアの提案をしたが,被控訴-3-人は 人は,これらの提案を採用できない旨回答した。そこで,C組合は,同月30日,更なる提案として,被控訴人の採っている「稼働ベース」の考え方を採り入れたワークシェアの提案をしたが,被控訴-3-人は,この提案も採用しなかった。(甲32,33,56,57)」 3 本件における争点及びこれに関する当事者の主張は,以下のとおり,原判決を補正し,後記4に当審における補充主張を付加するほかは,原判決「事実及び理由」欄第2の3及び第3に記載されたとおりであるから,これを引用する。 【控訴人らの主張に関する原判決の補正】(1) 原判決17頁11行目末尾の次に以下を加える。 「会社更生法は,更生手続の開始の申立て(会社更生法22条1項)や事業の譲渡の許可(同法46条3項)の際に労働組合に意見聴取や意見陳述の機会を与えているものの,それらは労働者の雇用や労働条件を保護するには不十分であるから,更生計画に基づいて実施された整理解雇については,裁判所による整理解雇法理に照らして有効か否かの審査が必要というべきであり,その審査は,整理解雇実施時点における更生計画所定の諸目標全体の達成状況を踏まえた上で,具体的かつ厳密にしなければならない。その際,更生計画に基づく整理解雇であることは,判断要素の一つにはなるものの,そのことだけで整理解雇が有効であるということにはならない。このような観点からすれば,更生計画認可後に合理的に予想される業績回復動向,人員削減目標の達成見込みなどの更生計画所定の諸目標の達成状況を検討した上で,解雇回避措置の努力を尽くすために,更生計画所定の人員削減の目標数や達成時期等を変更することが許されるべきであって,被控訴人においては,更生計画所定の削減目標を固定的なものとして硬直的に運用すべきではない。」(2) 原判決17頁12行目の「 の人員削減の目標数や達成時期等を変更することが許されるべきであって,被控訴人においては,更生計画所定の削減目標を固定的なものとして硬直的に運用すべきではない。」(2) 原判決17頁12行目の「解雇」を「人員削減」に改め,13行目の「本件解雇は経営上必要ないものであった。」を「 本件では継続的に利益を出すことができる経営体制の構築という目標を達成するための手段として更生計画に人員削減が定められたのであって,人員削減それ自体を自己目的化してはならない。このような観点からは,そもそも,本件解雇時点において,-4-人員削減の必要性は企業経営上必要のないものであった。」に改める。 (3) 原判決17頁26行目末尾の次に「本件解雇の有効性を解雇時点を基準として検討するとしても,その時点で以後の経営状況改善が客観的に予測できる事情が存在する場合には,それらは,人員削減の必要性判断の重要な材料とすべきである。被控訴人の経営状況は,本件解雇後,平成23年度に連結営業利益が史上最高を記録し,平成24年度も前年と比べて遜色ない高水準の営業利益を確保するなど飛躍的に改善した。これに伴い,被控訴人の財務体質も強化され,平成24年度末においては,自己資本比率が46.6%までに達した。これら事情に照らせば,本件解雇時点において人員削減の経営上の必要性が存在していたとはいえない。本件解雇以降の飛躍的な財務状況の改善は,更生計画初年度に行われた大規模な固定費削減によって,利益改善効果としての内部的増益要因が構造的に形成されたことに起因している。 固定費削減を中心とした経営基盤の強化によって,本件解雇以降も,営業利益の維持又は増加状況が継続することは,一定程度,合理的に予測できることであった。にもかかわらず,それを将来事象として考慮にいれずに無視することは合 た経営基盤の強化によって,本件解雇以降も,営業利益の維持又は増加状況が継続することは,一定程度,合理的に予測できることであった。にもかかわらず,それを将来事象として考慮にいれずに無視することは合理的な経営判断とはいえない。」を加える。 (4) 原判決18頁1行目から20行目までを以下のとおり改める。 「 また,人員削減は,更生計画を前提としたとしても,更生計画の遂行ないしその目標達成上も必要のないものであった。 まず,人員の削減は,更生計画においては,総人件費を圧縮するためのものと位置付けられていて,その具体的な目標としては「早期退職,希望退職募集,子会社売却等により,2011年3月末までにグループ全体で3万2600人体制とする(約1万6000人の削減)」と記載され,この連結人員数削減計画に伴うDにおける希望退職募集による人員削減目標は,「2010年9月以降2011年3月末までに1500人を削減する」とされていた。このように,更生計画ないしその前提と-5-なる事業計画の要請は,平成23年3月末までにEグループ連結人員数を3万2600人とすることで総人件費を圧縮するために,D単体では同月末までに1500人を削減するというものであるというべきところ,平成22年12月末の本件解雇時点での原判決別紙収支状況一覧表に照らせば,本件解雇は,人件費削減が不十分であったとはいえないのに,人件費圧縮と無関係にDにおける職種ごとの余剰人員を削減する内容のものであると評価することができる点で,更生計画ないしその前提となる事業計画の要請を上回る過剰な措置であった。 また,更生計画における人員削減目標を前提としたとしても,本件解雇時点では,既に,更生計画で予定された人員体制が確立し,人員削減目標を達成していた。すなわち,被控訴人本体では849名 であった。 また,更生計画における人員削減目標を前提としたとしても,本件解雇時点では,既に,更生計画で予定された人員体制が確立し,人員削減目標を達成していた。すなわち,被控訴人本体では849名の削減が確定し,更生計画案において設定された削減目標数826名は既に達成していた。その内訳は別紙図表2記載のとおりである。また,Eグループでも,935名の削減が既に確定又は確実に見込まれていて,更生計画案において設定されたEグループ運航乗務職の削減目標数844名を達成していた。その内訳は別紙図表1記載のとおりである。そして,Eグループでは,別紙図表3記載のとおり2864名の人員体制となり,更生計画案が設定したEグループの運航乗務職の人員体制2974名も既に確立していた。被控訴人は,希望退職措置における削減目標371名に対する未達人数に照らして本件解雇をしたが,そもそもその希望退職措置による削減目標人数は,他の削減要素から別個独立に設定されたものではなく,飽くまで運航乗務職の削減人数844名の一要素でしかないから,運航乗務職の削減目標人数が達成されたか否かは上記371名に対する未達人数のみを基準にして判断すべきではない。その判断は,被控訴人本体の削減目標826名に対し,訓練生及び航空機関士の削減数を含む運航乗務職の削減人数全体がどのようになっているか,Eグル-6-ープの削減人数844名に対し,グループ各社の外国人乗員や加齢乗員の削減数を含む運航乗務職の削減人数全体がどのようになっているかによってされるべきである。この観点からして,希望退職以外の任意退職,非正規運航乗務員である外国人乗員・加齢乗員の契約終了や地上職変等によって,2974名の人員体制は,本件解雇時点で既に確立していたから,上記371名という削減目標の未達人数はそもそも問題 任意退職,非正規運航乗務員である外国人乗員・加齢乗員の契約終了や地上職変等によって,2974名の人員体制は,本件解雇時点で既に確立していたから,上記371名という削減目標の未達人数はそもそも問題とならないのであり,更生計画所定の人員体制が確立していたのに,希望退職募集の削減目標人数に対する未達人数のみを根拠として人員削減の必要性を肯定し整理解雇を断行することは不合理である。被控訴人は,本件解雇に至るまで,更生計画案の人員計画について変更はない旨明言していて,本件訴訟においても変更があった旨の主張は一切せず,本件解雇が更生計画に基づく人員削減であると主張してきたところ,被控訴人からは,更生計画が予定した人員体制を実現し,人員削減目標を達成していたことに対する具体的な反証はない。さらに,機長についていえば,被控訴人本体における希望退職目標数371名のうち,機長の削減目標人数は130名,副操縦士の削減目標は241名と設定されていたところ,実際の希望退職では,第一次募集で機長37名,第二次募集で機長約100名の応募があったにもかかわらず,機長の希望退職募集や解雇対象者に対するブランクスケジュールが続けられた。 以上のとおりであり,本件解雇時点で2974名の人員体制が確立され,844名(被控訴人本体826名)の人員削減目標も達成されていたことにより,更生計画の内容とされた運航乗務員の人員計画は既に実現していたから,運航乗務員を削減する必要性はなかった。 さらに,平成23年3月末の連結人員数の実績は3万1263名であったから,本件解雇による解雇対象者165名を除いても,更生計画上の人員削減目標を1000名以上も超過して達成していたから,被控訴-7-人は,遅くとも関西国際空港及び中部国際空港での空港運営子会社の売却が完了した平成2 雇対象者165名を除いても,更生計画上の人員削減目標を1000名以上も超過して達成していたから,被控訴-7-人は,遅くとも関西国際空港及び中部国際空港での空港運営子会社の売却が完了した平成22年10月1日には更生計画上の人員削減目標を達成することが確実であることを認識していたはずである。 しかも,被控訴人は,本件解雇からわずか1年半ないし3年の間に,更生手続下において決定した副操縦士の機長昇格訓練の再開予定時期,事業用操縦士以上のライセンスを有する訓練生の副操縦士昇格訓練の再開予定時期を修正撤回し,前倒しして訓練を再開し,訓練への投入はないとしていたライセンス未保有の元訓練生についても,その判断を修正撤回し,訓練の再開を決定した。こうした人員計画の事後的な修正撤回を容易に行うことができたこと自体が,本件解雇時点で,被解雇者全員の雇用を維持するという経営判断が十分可能であったことを裏付けている。」(5) 原判決19頁13行目末尾の次に「殊に,C組合が平成22年11月30日にした提案は,被控訴人のいう「稼働ベース」の考え方を採り入れ,人件費と人員数の双方の削減要請を満足する提案であり,平成23年1月1日から実施し,その時点で被控訴人が主張する人員体制を実現し,達成時期も満たす内容の提案であって,しかも,被解雇者81名に相当する人員の削減が達成されるまで継続する内容の提案であった。この提案は,決して一時的とか問題の先送りという批判が当たるものではないし,定年退職者の退職により,最長で平成28年度内には終了する予定のものであって,採用することにつき手続面における障害もなかった。」を加える。 (6) 原判決20頁3行目末尾の次に「運航乗務員の休職,乗務制限等は,運航の安全のための航空身体検査制度の厳しい運用の結果であり,当該運航 ることにつき手続面における障害もなかった。」を加える。 (6) 原判決20頁3行目末尾の次に「運航乗務員の休職,乗務制限等は,運航の安全のための航空身体検査制度の厳しい運用の結果であり,当該運航乗務員自身に帰責事由はなく,出勤不良と同様に論じることはできない。そして,傷病基準を適用することにより,業務に起因する疾病,職業病としての側面がある傷病,又は就業環境上類型的に惹起しやすい傷病により休職等をして-8-いた者が解雇されるという不合理な結果が生じている。」を,8行目の「脅威となる。」の次に「また,定年まで継続して勤務できることを強く期待してしかるべき,年齢が高く勤続年数が長い労働者に対する不利益な取扱いは,個別的労働契約関係上要求される信義則に反するというべきであるばかりでなく,」をそれぞれ加える。 (7) 原判決21頁18行目から19行目にかけての「ワークシェアリングを提案して,」を「ワークシェアリングを3度にわたり,しかも3度目の提案では被控訴人の「稼働ベース」という考え方を採り入れた案を提案して,」に改め,22頁5行目の次に以下を加える。 「 C組合とFユニオンが,平成22年3月23日付けで,ILO結社の自由委員会に対し共同でした申立てについて,ILO第315回理事会は,平成24年6月15日,結社の自由委員会の勧告を正式に承認した。この勧告の要点は,①被控訴人の運航乗務員の削減の過程において,C組合,G組合,H労組連絡会,I組合連絡会議において,中心的に活動を担ってきた控訴人らが,これらの組織の継続する代表者としての役割を果たせるようにしなければならないこと(これらの者を解雇してはならないこと),②管財人が運航乗務員を始めとする被控訴人本体の人員削減計画の定立,人員削減の手法及び時期を検討するに当たっては,C組合 果たせるようにしなければならないこと(これらの者を解雇してはならないこと),②管財人が運航乗務員を始めとする被控訴人本体の人員削減計画の定立,人員削減の手法及び時期を検討するに当たっては,C組合に対し,基本的な情報を適切な時期に提供した上で,解雇を回避するための十分かつ率直なる協議を行うことを保障しなければならないこと,③C組合の活動のあらゆる局面において,被控訴人による妨害からの自由が全面的に保障されなければならないこととなっている。ILO条約の名宛人は日本国政府であるから,直接に個別労使間の整理解雇の有効性判断の法源とはならないが,少なくとも,労働契約関係を規律する「公序」である労働契約関係上の信義則を個別事案に解釈適用するに当たっては,第87号条約や第9-9-8号条約又はこれら条約に盛られた原則を当該個別事案に適用して発出された勧告の趣旨を取り込むべきである。本件解雇では,C組合,G組合,H労組連絡会及びI組合連絡会議において中心的に活動を担ってきた控訴人らが解雇されたし,被控訴人とC組合やG組合との間で,本件解雇を回避するための十分かつ率直な協議が行われることはなかった。しかも,前記のとおり,被控訴人はC組合の争議権確立に対して違法な介入をした。そうすると,上記勧告の趣旨に照らし,本件解雇に労働契約関係上の信義則を解釈適用すると,本件解雇は信義則に違反するというべきである。」(8) 原判決22頁15行目末尾の次に「加えて,本件解雇の結果,控訴人ら及びその家族に対し,多様かつ重大な経済的不利益及び精神的不利益を与えていることからしても,本件解雇が社会相当性を欠くものであることが明らかである。」を加え,16行目から19行目までを削る。 【被控訴人の主張に関する原判決の補正】(1) 原判決25頁21行目の次に以下を とからしても,本件解雇が社会相当性を欠くものであることが明らかである。」を加え,16行目から19行目までを削る。 【被控訴人の主張に関する原判決の補正】(1) 原判決25頁21行目の次に以下を加える。 「 控訴人らは,本件解雇当時,既に更生計画案で予定された人員削減は達成していた旨主張するが,被控訴人における人員削減の実態とは異なっている。仮に控訴人ら主張のとおり必要数以上に人員削減がされたのであれば,運航乗務員は人員不足となり,運航の維持が不可能となるはずであるが,実際にはそのようなことにはなっておらず,本件解雇以降,運航乗務員を採用することなく,被控訴人は運航を維持することができている。さらに,被控訴人には,Eグループ外の海外航空会社に対する運航乗務員の出向を実施している状況があり,これら出向者が被控訴人に復帰すれば,運航乗務員の配置数が増える状況にある。控訴人らは,更生計画案に定めるEグループの運航乗務員削減目標は844名という前提に立っているが,更生計画では,縮小した事業規模に見合った人員-10-削減を行うことを基本方針としていたのであり,削減人数844名という目標を設定してはいない。また,平成22年6月7日時点でそのような数字で説明をしたことはあるが,その後同月27日に訓練生に対する訓練を中断することとし,それに伴い訓練生は運航乗務員数から除外されて,地上職に職種変更した結果,上記説明の前提が変更されているのであり,控訴人らの主張はその前提を誤っている。人員削減計画については,平成22年8月末までに下期計画を見直した上で最終確定し,これを踏まえて人員計画も見直しをして,最終的な人員削減目標を決定することが予定されていて,このことは,同年4月28日時点で従業員や組合等に対して説明されている。そもそも,運航乗務員の 最終確定し,これを踏まえて人員計画も見直しをして,最終的な人員削減目標を決定することが予定されていて,このことは,同年4月28日時点で従業員や組合等に対して説明されている。そもそも,運航乗務員の削減目標人数の設定は,平成22年度下期の月単位での機種別・職位別の「必要稼働数」を「有効配置稼働数」が下回らないようにし,かつ,中長期的な観点からの乗員確保の必要性を満たすことができる範囲で人員削減効果の最大化を図るという基本的考え方によっているため,機種別及び職位別に,それぞれの必要数と配置数の比較を行う必要があり,控訴人ら主張のように,単純に必要数から配置数を控除するという引き算で削減目標人数が設定できるわけではない。また,被控訴人の算出した削減目標人数は稼働ベースの考え方に基づくのに対し,控訴人らの主張は稼働を考慮しない在籍者数(いわゆる「頭数」)を基礎とするものであって,この違いにより,控訴人らの主張は,例えば,機材の退役により今後航空機関士として実際の乗務が発生しないため,本来稼働数には含まれない航空機関士や訓練生の職種変更・退職人数についても削減人数として算出していたり,航空機関士・訓練生の職種変更・退職人数を169名としているなど,実際の運航乗務員としての稼働とは関係のない数字を含めたものとなっているのであり,被控訴人における実態を示すものではない。」-11-(2) 原判決25頁26行目の「明白である。」を「明白であって,更生計画案は事業の縮小及び縮小した事業規模に見合った人員削減を行うことを内容としていたのであり,被控訴人における収支状況の改善は人員削減の必要性を否定する根拠とはならない。また,控訴人らの主張は,被控訴人が本件解雇時点で運航乗務員の拡充を予定していたことを前提とするようであるが,本件解雇時点で,被 における収支状況の改善は人員削減の必要性を否定する根拠とはならない。また,控訴人らの主張は,被控訴人が本件解雇時点で運航乗務員の拡充を予定していたことを前提とするようであるが,本件解雇時点で,被控訴人が中期計画の示す生産規模の増大,及びそれに伴う運航乗務員の採用等を計画していた事実はない。」を加える。 (3) 原判決27頁5行目の次に以下を加える。 「エ控訴人らは合理的なワークシェアリングを提案したにもかかわらず被控訴人がこれを不当に拒絶した旨主張する。しかし,更生計画上,事業規模を大幅に縮小することを通じて事業の再建を目指している以上,労働時間を短縮したり,仕事を分け合うことにより実施されるワークシェアリングの措置は,一時的な措置としてはともかく,恒久的な措置としては,採り得ないものであった。このことは,控訴人らのいうワークシェアリング第三次提案についても変わりはない。また,運航乗務員は,定期的に乗務しないと資格を維持することができず,運航できる地域や空港が個人の資格により異なるなど,高い専門性を有する職種であり,例えば比較的単純な機械作業を行う工場労働者などの職種のような「高度の代替性」というワークシェアリングの実施の前提条件を欠いているのであり,その実施は困難であった。また,ワークシェアリングを解雇回避措置として機能させるためには,少なくとも時間当たりの賃金率が上昇しないように労働時間の減少に見合った賃下げを行う必要があるが,被控訴人の運航乗務員には直近の数年で既に賃金の減額がされていて,勤務する従業員の生活の維持を考えると,更に賃金を減額させることは困難であった。加えて,被控訴人の運航乗務員の特殊性として,ワークシェアリングを機種ごとにし-12-なければならないため,必要数に比較して配置数の余剰数が多い機種では 更に賃金を減額させることは困難であった。加えて,被控訴人の運航乗務員の特殊性として,ワークシェアリングを機種ごとにし-12-なければならないため,必要数に比較して配置数の余剰数が多い機種では,計算上毎月一定数の休みの取得が可能となる一方で,必要数と配置数が接近している場合には,交代で休みを取得させることが困難となり,しかも,各月,各機種あるいは各職位において,必要数に比較しての配置数の余剰数やそのバランスが変動するから,時期,機種あるいは職位によっては,ワークシェアリングがそもそも不可能な場合が出てくるのであって,このような点からしても,被控訴人は,ワークシェアリングは採り得なかったのである。」(4) 原判決27頁11行目末尾の次に「整理解雇における人選基準の設定は,一定の人員削減が必要であることが前提となった上での比較ないし調整の問題であり,解雇対象者の非を問う性質のものではない。そして,人選基準としては,企業貢献度,被害度の様々な観点からのものが考えられるが,どのような基準をどのように組み合わせるかについては,使用者の経営判断として尊重されるべきである。」を加える。 (5) 原判決28頁8行目末尾の次に以下を加える。 「その具体的な団体交渉や事務折衝等の経緯は,別紙4,5のとおりである。被控訴人は,組合に対し,人員削減や本件解雇の必要性について継続して説明をしてきたが,C組合及びG組合は,本件解雇に反対して,本件解雇の必要性に関する被控訴人と両組合との交渉は平行線となっていた。また,被控訴人は,組合に対し,解雇回避措置に関する説明をし,解雇回避措置に関する組合の提案についても合理的な検討に基づく回答をした。ワークシェアリング,一時帰休については,一時的な措置としてはともかく,恒久的な措置としてはとり得ないこと,専門性 説明をし,解雇回避措置に関する組合の提案についても合理的な検討に基づく回答をした。ワークシェアリング,一時帰休については,一時的な措置としてはともかく,恒久的な措置としてはとり得ないこと,専門性の高い運航乗務員という職種においては「高度の代替性」というワークシェアリングの前提条件を欠くこと,ワークシェアリングに伴う賃下げが困難であることなどから,これらは解雇回避措置として有効に機能せず,いず-13-れも抜本的恒久的な施策として採ることができないことを組合に対して回答している。また,人選基準案についても,組合に対し,説明し交渉をしていた。その中で,G組合からの指摘を受けて,病気欠勤・休職等による基準については修正もしている。このように,被控訴人は,本件においては各組合との協議や交渉を尽くした上で,本件解雇をしたのであり,不誠実と評価されるものではない。」(6) 原判決29頁7行目末尾の次に以下を加える。 「被控訴人においては,一般職運航乗務員が私傷病のため乗務離脱となった場合,1年間の限度で継続して乗務手当を支払い,うち6か月間は全額,6か月を超え9か月までは2分の1,9か月を超え1年までは3分の1の,乗務手当を支払うこととされているところ(甲8・第17条),控訴人A及び控訴人Bは管理職であるが,管理職運航乗務員に対する乗務手当月額及び管理職乗務調整手当についても同様の取扱いがされていた。控訴人Aは平成22年5月27日から私傷病のため乗務離脱したから,同年11月27日以降は乗務離脱期間が6か月を超え,控訴人Bは平成21年12月11日から私傷病のため乗務離脱したから,平成22年9月11日以降は乗務離脱期間が9か月を,同年12月11日以降は1年をそれぞれ超えた。そのため,控訴人Aと控訴人Bへの支給額は上記のとおりとなる。」 日から私傷病のため乗務離脱したから,平成22年9月11日以降は乗務離脱期間が9か月を,同年12月11日以降は1年をそれぞれ超えた。そのため,控訴人Aと控訴人Bへの支給額は上記のとおりとなる。」 4 当審における当事者の補充主張【当審における控訴人らの補充主張】本件解雇は,整理解雇の人選基準を立て,一見客観性を装いながら,特定の運航乗務員を狙い撃ちして,C組合及びG組合の弱体化を狙ったものであって,不当労働行為である。 (1) 本件解雇における不当労働行為の態様と意思は以下のようなものである。 被控訴人は,希望退職開始前の平成22年6月時点で,内部文書(甲140-14-)で,希望退職に応募しないような者を被控訴人に残すわけにはいかないという明確な意思を明示している。本件解雇において機長の年齢基準により解雇された者こそが,上記文書において被控訴人が希望退職に応じない者と決めつけて排除しようとした者である。 被控訴人において一貫して労務担当であったJ元専務が,本件解雇に関する労働組合との交渉についても担当者であった。同人は,被控訴人の子会社の役員となっていたところ,平成22年2月に管財人の要請で被控訴人に専務待遇で呼び戻された。このことからして,組合の中心人物を排除し,組合の影響力を弱体化する不当労働行為意思を管財人が有していたことが明らかである。 被控訴人は,平成22年1月21日の更生計画案に関する8労組合同説明会では,いきなり整理解雇はせず,解雇回避努力を尽くすと明言し,同年9月2日,被控訴人は希望退職措置の開始に先立ち,G組合に対し,機長の削減目標は130名であると明示したにもかかわらず,更生計画が目標として設定した人員体制が既に達成されていたことを秘したまま交渉に当たった。 被控訴人は,同月3日から第1次希望退 G組合に対し,機長の削減目標は130名であると明示したにもかかわらず,更生計画が目標として設定した人員体制が既に達成されていたことを秘したまま交渉に当たった。 被控訴人は,同月3日から第1次希望退職措置を開始したが,10月1日から始まる第2次希望退職措置直前の9月27日に,突然に整理解雇の人選基準を発表し,それに該当する運航乗務員に対して10月1日からブランクスケジュールを強行した。発表された人選基準は,現に組合活動で中心を担ってきた者や組合役員経験者を解雇対象者とし,航空安全を阻害するものとなっていたのであり,この基準の設定自体が不当労働行為である。 被控訴人は,人選基準の発表と同時にブランクスケジュールを実施し,対象者を乗務から外した上で,個人面談を強要した。それは,希望退職に応じずに整理解雇された場合の個々人の不利益の説明だけでなく,退職に応じなければ,再び会社が破綻し,その責任は退職に応じない面談対象者にあるかのような説明をするものであった。ブランクスケジュールと退職強要の面談-15-は,希望退職による人員削減策について組合との間での協議中に,組合員に対して直接退職を迫るものであり,支配介入の不当労働行為であるばかりでなく,解雇対象者とされた者を精神的にも追いつめる重大な不利益扱いである。組合は,被控訴人がブランクスケジュールと退職強要面談を強行することで,交渉によって解雇を回避できるという組合員からの期待と信頼を揺るがされ,団結権を侵害された。 C組合が,平成22年11月9日の臨時大会において,争議権確立を発議し,同月12日から同月26日までの予定で争議権確立のための組合員投票を開始したところ,被控訴人(管財人代理)は,同月16日,C組合に対して争議権の確立投票を躊躇させるような発言をして,争議権確立投票に介入 2日から同月26日までの予定で争議権確立のための組合員投票を開始したところ,被控訴人(管財人代理)は,同月16日,C組合に対して争議権の確立投票を躊躇させるような発言をして,争議権確立投票に介入した。 (2) 機長の解雇の不当労働行為性については次のとおりである。 機長については,平成22年9月2日に被控訴人からG組合に対して明示された具体的削減目標人数を達成したにもかかわらず,18名の解雇が強行された。 同年10月22日までの第2次希望退職措置の期間中,約140名の機長が希望退職に応じ,機長の希望退職者数は必達目標の130名を10名程上回っていた。ところが,被控訴人は,人選基準に該当する20名の機長について11月においてもブランクスケジュールを強行する一方で,10月22日の希望退職措置の締切後に,副操縦士の整理解雇の人選基準であった45歳の副操縦士8名をブランクスケジュールの対象者から外し,解雇対象から外した。機長については,同年11月9日の時点で更に10名の応募があり,希望退職応募者が合計で150名に達したにもかかわらず,被控訴人は,機長を解雇対象から外すことなく,副操縦士の整理解雇の年齢基準を48歳まで引き上げて15名の副操縦士を解雇の対象外とし,これらの者について12月のブランクスケジュールを解除した。機長の希望退職応募者は,12月-16-9日時点までには更に増加して合計151名に達していた。ところが,被控訴人は,上記15名に続き更に4名の副操縦士を解雇対象から外す一方,機長に対してはブランクスケジュールを解除することも,何らの解雇回避策の提案もしなかった。そして,被控訴人は,ワークシェアリングや一時帰休など解雇回避策について何らの対応をとらないまま,機長の希望退職者数が154名に達していたにもかかわらず,12 ,何らの解雇回避策の提案もしなかった。そして,被控訴人は,ワークシェアリングや一時帰休など解雇回避策について何らの対応をとらないまま,機長の希望退職者数が154名に達していたにもかかわらず,12月31日に18名の機長を解雇した。また,被控訴人は,ブランクスケジュールや退職強要を行う一方で,E本体から子会社に出向していた整理解雇対象の55歳以上の機長の6人については,ブランクスケジュールをせずに温存した上で,平成22年12月1日までに出向先の子会社へ転籍させ,グループ会社でその雇用を維持し,E本体でも少なくとも2人の55歳以上の組織管理職の機長(非組合員)の雇用が継続していた。このようにして年齢基準で解雇された機長たちは,いずれもC組合在籍中から組合活動の中心を担ってきた者であって,以上の経過に照らし,被控訴人が,従前の控訴人機長らによる組合活動,特に争議権行使に道筋を付けようとしたり,物言う組合との連携を牽引したりする活動を嫌悪して,これらの者を排除するために解雇に至ったことが明らかである。 このような行為は,組合員に対する不利益取扱い(労働組合法7条1号),支配介入(労働組合法7条3号)の不当労働行為である。不当労働行為禁止規定は,私法上の強行法規であるから,同法に違反する解雇は当然に無効である。 (3) 副操縦士の解雇の不当労働行為性については次のとおりである。 本件解雇によって解雇された副操縦士は,すべてC組合の組合員であって,C組合の活動の中心を担ってきた者が含まれている。 副操縦士についても,前記のとおり,更生計画が設定した削減目標は既に達成していたし,被控訴人は運航乗務員の新規採用を停止していて,本件解雇以前に運航乗務員訓練生を地上職に職務変更させたこと,運航乗務員の養-17-成に時間を要することを考慮すれば 削減目標は既に達成していたし,被控訴人は運航乗務員の新規採用を停止していて,本件解雇以前に運航乗務員訓練生を地上職に職務変更させたこと,運航乗務員の養-17-成に時間を要することを考慮すれば,副操縦士をあえて解雇する必要性はなかった。また,C組合が具体的に提案をしていたワークシェアリングによる解雇回避は十分に可能であったにもかかわらず,被控訴人は,平成22年9月27日にいきなり整理解雇の人選基準を公表し,労使協議の頭越しに,特定の組合員に対してブランクスケジュールや退職を強要する面談をし,それでも退職を拒否した者に対し,わずか2か月程しか期間を空けず,同年12月9日には解雇予告通告をして同月末日に解雇を強行した。この間,被控訴人は,C組合からの雇用維持による解雇回避措置についての協議には一切応じようとせず,また人員体制の達成状況についての情報を提示することもせずに,争議権確立の投票にまで介入した。以上の経過に照らし,被控訴人が,C組合を嫌悪し,また,個々の組合員に対して甚大な不利益を与え,C組合の活動を弱体化させようとしたことが明らかである。このような行為は,組合員に対する不利益取扱い,支配介入の不当労働行為である。 (4) 以上のとおりであり,本件解雇は,被控訴人の安全を担ってきた運航乗務員における労働組合活動の中心を担ってきた者を排除し,労働組合の団結権を侵害する不当労働行為であって,無効である。 【当審における被控訴人の補充主張】控訴人らは,本件解雇が不利益取扱及び支配介入の不当労働行為である旨主張するが,本件解雇は不当労働行為と評価されるものではない。 本件解雇の対象者の人選は,本件人選基準を当てはめることによりされたものであり,本件人選基準はいずれも客観的で恣意性の入る余地がないものであって,特定の人物を狙 働行為と評価されるものではない。 本件解雇の対象者の人選は,本件人選基準を当てはめることによりされたものであり,本件人選基準はいずれも客観的で恣意性の入る余地がないものであって,特定の人物を狙って対象者として人選することなどはできず,実際にもそのような人選はしていない。このことは,両組合の執行委員の大部分(G組合では,本件解雇時点で在籍している執行委員17名中13名,C組合では,同様に23名中22名)が解雇対象者となっていないことからしても明らかである。また,本件解雇は,会社更生手続における法律管財人が判断し,執行し-18-たものであって,会社更生手続以前における被控訴人の労使関係や,控訴人らが指摘するこれまでの労使関係の推移が影響することはない。また,本件解雇は,一定の機種に希望退職の応募が集中した場合など,運航維持の観点からそれ以上の削減ができなくなった場合には,見直しを行う可能性があり,被控訴人は,その旨をC組合との事務折衝においても説明していた。この点からしても,本件解雇が特定人を排除するためにされたものでないことは明らかである。 第3 当裁判所の判断当裁判所は,本件解雇が,整理解雇の要件を充足していて,管財人が有する権限を濫用したものとも,また不当労働行為とも認めることができず,これを無効ということはできないから,控訴人らの地位確認を求める請求は,いずれも理由がなく,また,控訴人らのその余の請求(金銭請求)については,控訴人Aにつき平成22年12月分の基準外賃金40万4582円,控訴人Bにつき同月分の基準外賃金21万1307円及びそれぞれこれに対する履行期の翌日である平成23年1月26日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める限度において理由があり,同控訴人らのその余の請求及びそ 307円及びそれぞれこれに対する履行期の翌日である平成23年1月26日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める限度において理由があり,同控訴人らのその余の請求及びその余の控訴人らの請求は,いずれも理由がないと判断する。その理由は,以下のとおり補正するほかは,原判決「事実及び理由」欄第4の1及び2に記載されたとおりであるから,これを引用する。 1 原判決30頁1行目の「判断するのが相当である。」の次に「その結果,解雇権を濫用したと見るべき場合には,就業規則52条1項4号の「企業整備等のため,やむをえず人員を整理するとき」に当たらないものとして,本件解雇が無効になることとなる。」を加える。 2 原判決30頁9行目の「ア 」の次に「まず,人員を削減することの必要性,すなわち人員削減措置を実施することが企業経営上の十分な必要性に基づいていてやむを得ない措置といえるか否かについて検討する。なお,人員削減の手段として整理解雇を選択する必要性については,次項の解雇回避努力義務を尽-19-くしたか否かの中で検討する。」を加える。 3 原判決32頁26行目の「ウ 」の次に「控訴人らは,そもそも本件における更生手続,更生計画ないしその前提である事業計画自体やそこに掲げられた諸目標は,被控訴人において継続的に利益を出すことができる経営体制の構築という目標を達成するための手段であり,さらに,人員の削減は,事業計画の骨子に掲げられた航空機機種数の削減,機材のダウンサイジング,路線ネットワークの最適化等の各目標達成によってもたらされるいわば二次的なものであって,人員削減それ自体を自己目的化してはならない旨主張する。そして,会社更生法は,「窮境にある株式会社について,更生計画の策定及びその遂行に関する手続を定めること等により るいわば二次的なものであって,人員削減それ自体を自己目的化してはならない旨主張する。そして,会社更生法は,「窮境にある株式会社について,更生計画の策定及びその遂行に関する手続を定めること等により,債権者,株主その他の利害関係人の利害を適切に調整し,もって当該株式会社の事業の維持更生を図ることを目的とする」(同法1条)から,被控訴人に対する更生手続,更生計画等の究極の目的が被控訴人の事業の維持更生を図ることにあることは当然である。しかしながら,これまた同法1条から明らかなように,会社更生法は,その究極の目的のために,必ずしも法的手続によらずにされることもある企業の更生(再建)について,更生計画の策定及びその遂行に関する手続を法的手続として定めることにより,債権者,株主その他の利害関係人の利害を適切に調整することを趣旨及び目的とする法律であって,更生手続はこのような法的手続として構想され規定されているのであるから,本件解雇の有効性の一要素としての人員削減の必要性を判断するに当たっても,会社更生法が更生計画の策定や遂行に付与した法律効果その他を前提として,更生手続における更生計画の策定及びその遂行が有する意義をも踏まえた上で,更生計画等の掲げる諸目標を考慮すべきこともまた当然である。控訴人らが主張するように上記の究極の目的のみが会社更生法の趣旨や目的であり,その余は全て手段であると断じるのも,また,更生計画等を形式的に達成させることを金科玉条とするのも,いずれも一面的であり,要は,その全体を総合して検討を加えるべきといえるのである。」を加え-20-る。 4 原判決33頁10行目の「つまり,本件更生計画は,」を「前記アのとおり,本件更生計画は,事業再生の方策としては,事業規模の大幅な見直しと事業規模に応じた人員体制とすることを内容と 0-る。 4 原判決33頁10行目の「つまり,本件更生計画は,」を「前記アのとおり,本件更生計画は,事業再生の方策としては,事業規模の大幅な見直しと事業規模に応じた人員体制とすることを内容とし,更生債権等に関する権利変更としては,」に,17行目の「そうすると,」から18行目の「このような収益の発生を理由として,」を「更生計画は,法定手続である更生手続において,更生会社の事業の維持更生を図るための基本的事項を定める更生手続の根本規範であって(同法2条2号),決議という過程を経て利害関係人の集団的意思決定に委ねられ,可決により利害関係人全体に対する更生手続における根本規範としての正統性を付与され,さらに更生裁判所による認可決定がされると,更生計画の内容にしたがった権利変更等の法律効果が発生し(同法201条,205条),以後の更生手続は,管財人による更生計画の遂行として進められ(同法209条),管財人は更生計画に基づいて事業を遂行する義務を負う。このように,更生計画は,単なる予定やプログラムではなく,法律に規定され法律効果を有する拘束的な法定計画である。もっとも,更生計画は,その性質上,認可時点から見て将来にわたる事項を含むことになるから,それらにつき取引環境の変化などの外部要因によって,計画通りの遂行が不可能又は不相当となるなどやむを得ない事由が生じることは避け難い。そのため,会社更生法は,更生計画の変更という制度を用意し,その過程で利害関係人の利益調整の再調達を図るべきこととして,更生計画の拘束的性格との調和を図っていると解される。そうすると,更生計画が将来事項を必然的に含むものであることから,それら将来事項の文言を硬直的に遂行することが相当でないことは当然であるが,上記のように更生計画の変更制度を用意している会社更生法の趣旨に すると,更生計画が将来事項を必然的に含むものであることから,それら将来事項の文言を硬直的に遂行することが相当でないことは当然であるが,上記のように更生計画の変更制度を用意している会社更生法の趣旨に照らすと,更生計画の根幹に関わる「更生計画の変更」と観念される事項について,変更手続を履践することなく更生計画の遂行内容を変更することなどは,会社更生法の趣旨に悖ることとなり,許容されないというべきである。以上のよう-21-な観点からすれば,更生計画において予想したところを上回る収益金が発生した場合については,本件更生計画において,絶対的記載事項としてそのような予想超過収益金の使途が予め定められているのであり,それを理由として」に,19行目の「人員削減の一部を行わないことは」を「人員削減の一部を行わないとすることは,本件の更生計画の記載事項の明文に反するばかりでなく,更生計画における被控訴人の事業を再生するための事業遂行の方策に反し,関係者の権利変更という更生計画の根幹にも直接に影響を与える事項に係る方針変更であるというべきであるから,更生計画の変更に該当することが明らかである。そうすると,管財人としては,被控訴人の収支状況が上記のような状況となったからといって,更生計画の変更手続を経ることなく直ちに人員削減の一部を遂行しないことは」にそれぞれ改め,20行目の「計上していることは,」の次に「そのこと自体で直ちに」を加える。 5 原判決34頁8行目の「 また,原告らは,」を「エまた,控訴人らは,本件解雇後の事情として,被控訴人の経営状況は,本件解雇後,平成23年度に連結営業利益が史上最高を記録するなど飛躍的に改善し,その財務体質も強化されたことに照らせば,固定費削減を中心とした経営基盤の強化によって,本件解雇時点においても,それ以降も 解雇後,平成23年度に連結営業利益が史上最高を記録するなど飛躍的に改善し,その財務体質も強化されたことに照らせば,固定費削減を中心とした経営基盤の強化によって,本件解雇時点においても,それ以降も営業利益の維持又は増加を見込むことが合理的にできたはずであり,人員削減の経営上の必要性が存在していたとはいえないとか,」に改め,14行目の「しかし,」の次に「そもそも人員削減の必要性の有無の判断は,整理解雇の有効性判断の一要素としてのものである以上,判断の基準時点は本件解雇時であり,基準時以後の事情は,例えば基準時における被控訴人の事業再生過程における特定の状態を事実上推認させる事情の一つということができるものの,それ自体が人員削減の必要性を左右する要素であるということはできない。このような観点から見ると,控訴人らが主張する本件解雇以後の事情は,本件解雇時点において,機構の支援と会社更生手続を併用した強力な事前調整型の事業再生スキームの遂行が急速に奏功しつつ-22-あったことを推認させるということができるが,更生手続における更生計画やその遂行,更生計画の変更等の意義について上記したところに照らしても,そのことから本件解雇時点で人員削減の必要性がなかったということはできない。 これをより具体的にいえば,」を,18行目から19行目にかけての「更生計画の内容なのである。」の次に「そうである以上,本件において,更生計画の変更手続を履践して利害関係人の利益調整の再調達を得ることなく更生計画の遂行を変更又は中止すべきであり,事業規模に応じた人員規模を越える余剰人員を削減する必要がないというためには,被控訴人の事業再生の目的に照らして以後更生計画の遂行が必要でないといえる状態にあることが明らかである場合でなければならないというべきである。しかし,控訴人 人員を削減する必要がないというためには,被控訴人の事業再生の目的に照らして以後更生計画の遂行が必要でないといえる状態にあることが明らかである場合でなければならないというべきである。しかし,控訴人らが主張する上記本件解雇後の事情からは,本件解雇時点で,被控訴人の事業再生の目的に照らし,更生手続の変更という手続を履践するまでもなく,被控訴人の事業規模の見直しとそれに見合った人員規模とするという事業再生の具体的方策の遂行を以後する必要がなくなり,その遂行を中止すべき状態であることが明らかである状態であることまで認定あるいは推認することはできない。」をそれぞれ加える。 6 原判決34頁23行目の次に以下を加える。 「オまた,控訴人らは,更生計画における人員削減目標を前提としても,本件解雇時点で2974名の人員体制が確立され,844名の人員削減目標も達成されていて,更生計画の内容とされた運航乗務員の人員計画は既に実現していたから,人員削減の必要性はなかった旨主張する。しかしながら,更生計画案に定めるEグループの運航乗務員削減目標人数は844名であったところ,それが可決認可された後の本件解雇時点まで上記844名の削減目標人数が不動のものとされていたという控訴人ら主張の前提事実を認めることができない。控訴人らは,この点について,平成22年6月7日の説明会において上記のような説明がされ(前記前提事実(4)ク参照),同年8月に提出された更生計画案にもほぼ同様の-23-記載があり,職種ごとの人員計画は明記されなかったものの,更生計画案の人員計画は6月7日に説明された人員計画と同様と考えられたのであり,同年9月2日の希望退職説明会において被控訴人が提示した資料(乙16)にもほぼ同様の記載があり,さらに,同年11月29日のC組合との団体交渉に 月7日に説明された人員計画と同様と考えられたのであり,同年9月2日の希望退職説明会において被控訴人が提示した資料(乙16)にもほぼ同様の記載があり,さらに,同年11月29日のC組合との団体交渉においても同様の回答がされ,その後これらが変更されたことはないから,本件解雇当時,更生計画は,Eグループの運航乗務員については平成22年度末2974名の人員体制にし,前年度末対比で844名を削減するという内容のものであったと主張する。しかし,更生計画が事業規模に応じた人員体制とすることを内容とするものであることは,前記ア認定のとおりであって,そこでは具体的数値が確定目標とされていたわけではない。そもそも,上記平成22年6月7日の説明会以降,運航乗務員のうち訓練生が地上職に職種変更されて運航乗務員数から除外され,上記説明の前提が変更されているし,また,前記前提事実(6)ウのとおり,被控訴人の運航乗務員の人員計画は稼働ベースという考え方を採用していて,しかも,本件解雇時点での人員削減の必要性は,同年8月22日に決定された路線便数計画(改訂下期計画)を基礎とした事業規模に見合った人員体制にまで削減することに基礎付けられるから,最終的な削減目標人数の設定は,前記8月22日に決定された平成22年度下期の月単位での機種別・職位別に必要数・配置数の比較をした上で行う必要があり,その意味で当初の説明に用いた数字はその時点での見込みであって確定数値ということはできないものである。 結局,控訴人らの主張はその前提を欠いており,したがって,本件解雇当時,更生計画所定の人員体制が確立し,人員削減は既に達成していたとする上記控訴人らの主張は採用することができない。」 7 原判決34頁24行目から35頁1行目までを以下のとおり改める。 「カ以上によれば,経営破綻に陥 体制が確立し,人員削減は既に達成していたとする上記控訴人らの主張は採用することができない。」 7 原判決34頁24行目から35頁1行目までを以下のとおり改める。 「カ以上によれば,経営破綻に陥り自力では企業継続を維持することがで-24-きなかったことから,機構の支援と会社更生手続を併用する再建手続の下にあった被控訴人においては,本件解雇(平成22年12月31日)当時,全ての雇用が失われる破綻的清算を回避し,利害関係人に損失の分担を求めた上で成立した更生計画の要請として,事業規模を大幅に見直し,可能な限りスリムな組織構造を構築しつつも,機材や乗員体制等を機動的運用によって,経営の機動性・柔軟性を向上させて収益性を改善し,更なるコスト競争力を確保していくことが要請されていたのであるから,事業規模に応じた人員規模とするために人員を削減することは,企業経営上の十分な必要に基づくやむを得ない措置ということができるのであって,人員削減の必要性があったと認めることができる。控訴人らは,被控訴人が,本件解雇後1年半ないし3年の間に,副操縦士の機長昇格訓練や訓練生の副操縦士昇格訓練の再開などにつき当初の方針を変更したことを指摘するが,その点を考慮しても,本件解雇時点において,被控訴人が既に事業規模の拡大やそれに伴う運航乗務員の増員を計画していたといえないことはもとより,本件解雇時点で,そのような事態に至ることを予測し得たということもできないというべきである。」 8 原判決36頁5行目の「困難であるというべきである。」の次に「控訴人らは,C組合が平成22年11月30日にした提案は,被控訴人の採る稼働ベースの考え方を採り入れた提案であって,問題の先送りという批判が当たるものではないと主張するが,その内容は,要するに,交代で休職に入ることによっ 22年11月30日にした提案は,被控訴人の採る稼働ベースの考え方を採り入れた提案であって,問題の先送りという批判が当たるものではないと主張するが,その内容は,要するに,交代で休職に入ることによって稼働ベースの要削減数分を控除した残りの仕事を全員で分け合うというものであり,他のワークシェアリングと本質的に異なるものではないし,当時の具体的な路線便数計画と運航乗務員の人員構成からして採り得る現実性があったかどうか疑問もあり,事業規模を大幅に見直し,それに応じた人員体制とするという更生計画に照らして抜本的な措置ということはできないことは,以上と同様であるから,被控訴人においてその提案を採用しなかったからといって,-25-解雇回避努力が不十分であるということはできない。」を加える。 9 原判決38頁22行目の「評価は困難である。」の次に「控訴人らは,運航乗務員の休職,乗務制限等は,運航の安全のための航空身体検査制度の厳しい運用の結果であり,当該運航乗務員自身に帰責事由はないのであり,傷病基準が適用されるのは,業務に起因する疾病,職業病としての側面のある傷病,又は就業環境上類型的に惹起しやすい傷病により休職等をしていた者であって不合理であるとも主張するが,整理解雇における人選基準の設定は,一定の人員削減をする上での特定観点からの比較ないし調整の問題であって,対象者の責任を問う性質のものではないし,「病気欠勤・休職等による基準」は,上記のとおり,当時の被控訴人が置かれた具体的状況に照らして相応の合理性を有するから,控訴人らの主張する点を考慮しても,人選基準として不合理なものということはできない。」を加える。 原判決39頁11行目の「からすれば,」の次に「勤続年数が長い者は被控訴人に貢献してきた者が多く含まれる点を考慮してもなお,」を ,人選基準として不合理なものということはできない。」を加える。 原判決39頁11行目の「からすれば,」の次に「勤続年数が長い者は被控訴人に貢献してきた者が多く含まれる点を考慮してもなお,」を加え,16行目の「主張するが,」を「主張する。しかし,」と,19行目の「運航の安全確保に」から21行目末尾までを「この航空従事者の国家資格制度によって必要な航空機運航の安全性を確保する制度が構築されている。もとより,航空機運航の安全性確保については,資格制度だけで十分ということではなく,より高い安全性を目指した恒常的な取組みが必要であって,一般的抽象的には航空従事者のような専門的技能を要する職種については,その従事経験が航空機運航の安全に必要な知識,技能,感覚等の獲得・維持に資するということが傾向的に認められるということができるから,そのような観点からは,ある特定の運航乗務員のグループを構成する者のうち運航従事経験の多い者が減少するということは,運航の安全性確保の点において一定の影響を及ぼさないということはできない。しかしながら,航空機の運航従事の経験とその運航の安全性確保との関係は,前者が長ければ長いほど後者の程度が高まるといった単純なも-26-のだけでないこともまた明らかであって,前記航空従事者の国家資格制度により技能等の維持が担保されていることなどに加え,本件解雇の対象とならず,被控訴人に残って航空機の運航に従事する運航乗務員にも,十分又は相応の経験を有し,これに伴う技量や知識を備えている者がなお多数いて,本件解雇がされた結果,組織の総体としての経験年数の総和が減少したことを差し引いても,運航の安全性に影響が及ぶような経験不足の問題が生じているとは認められないから(本件において具体的に見たとき,本件解雇によって被控訴人の航空機運 としての経験年数の総和が減少したことを差し引いても,運航の安全性に影響が及ぶような経験不足の問題が生じているとは認められないから(本件において具体的に見たとき,本件解雇によって被控訴人の航空機運航の安全確保に必要な知識や経験が許容できない程度に低下すると認めるだけの根拠があるとはいえず,また現にそのような状況が生じたとも,証拠上認められない。),年齢基準を採用することが,運航の安全確保の点で脅威になり許されないということはできない。」に,それぞれ改める。 11 原判決40頁8行目から9行目にかけての「平成22年9月末に確定させた削減目標人数である154名を,」を「平成22年9月2日には削減目標人数を130名とし,同月末に最終的に確定させた削減目標人数である154名を,」に,15行目の「被告が」からから16行目の「事実が」までを「被控訴人が同月2日及び同月末に機長の削減目標人数をそれぞれ130名及び154名に設定した事実が」にそれぞれ改め,42頁3行目から7行目までを削る。 12 原判決42頁19行目末尾の次に「なお,C組合が平成22年11月30日に提案したワークシェアリング案の内容も,縮小される事業規模に見合った人員体制にするという人員削減の必要性から見たときには,それまでのワークシェアリングと本質的に異なるものではないことや,当時の具体的な路線便数計画と運航乗務員の人員構成からして採り得る現実性があったかどうか疑問もあることは前記のとおりであって,被控訴人においてその提案を受け入れなかったことから本件解雇が信義則上許されないということになるものではないというべきである。」を加える。 13 原判決43頁6行目の次に以下を加える。 -27-「 また,控訴人らは,ILO第315回理事会が平成24年6月15日に正式に承認した結社 るものではないというべきである。」を加える。 13 原判決43頁6行目の次に以下を加える。 -27-「 また,控訴人らは,ILO第315回理事会が平成24年6月15日に正式に承認した結社の自由委員会の勧告は,直接に個別労使間の整理解雇の有効性判断の法源とはならないとしても,労働契約関係上の信義則を個別事案に解釈適用するに当たって,その趣旨が取り込まれるべきであるとした上で,本件解雇は同勧告に反していて信義則に違反する旨主張する。しかし,控訴人らが援用する上記勧告(甲388)を見てみても,結社の自由委員会は,同委員会が有用と判断する情報からは,年齢による整理解雇の人選基準が反組合的意図をもって採用されたと結論する立場にないとか,被控訴人の主張によれば労働組合と被控訴人との協議・交渉は実りあるものだったとか,同委員会は,本件を巡る控訴人らと被控訴人との事実解釈の違いが存在することを理解していて,たとえ大量解雇が関係していても,更生計画に関する申立てについて判断することは委員会の権限外であることを強調したいなどという記述もされていて,同勧告は,本件事案における外形的事実関係を前提にした一般的内容のものにとどまっているといえるのであり,具体的事実関係を認定した上で,本件に関して何らかの具体的措置を我が国の国家機関に要請するものではなく,ましてや,控訴人らが主張するように,本件において,C組合,G組合などにおいて中心的に活動を担ってきた控訴人らを解雇してはならないなどという内容のものということはできない。そして,本件における具体的事実関係において,本件解雇が信義則上許されないと評価するだけの事情が認められないことはこれまでに認定判断したとおりである。 (6) 本件解雇の不当労働行為性控訴人らは,本件解雇は,整理解雇の人選基準 おいて,本件解雇が信義則上許されないと評価するだけの事情が認められないことはこれまでに認定判断したとおりである。 (6) 本件解雇の不当労働行為性控訴人らは,本件解雇は,整理解雇の人選基準を立て,一見客観性を装いながら,特定の運航乗務員を狙い撃ちして,C組合及びG組合の弱体化を狙ったものであって,不当労働行為であると主張する。しかし,これまで認定判断してきたところに以下に検討するところを併せ考慮すると,本-28-件解雇が特定の運航乗務員を狙い撃ちし,組合の弱体化を図ったものであると認定あるいは推認することはできず,控訴人らの主張は採用することができない。すなわち,前記のとおり,本件解雇は,複数の基準の組合わせからなる本件人選基準を適用してされているばかりでなく,最終的な人員削減数は,解雇回避措置としての特別早期退職措置や希望退職措置などが実施されつつ,確定下期計画によって決定された事業規模の大幅な見直しに見合う人員体制とする観点から, 月単位で,機種別・職位(機長・副操縦士)別に,事業運営に必要な労働力である「必要稼働数」と,在籍社員全体の実労働力である「有効配置稼働数」とを比較して人員計画を立てるという考え方に立って決定されているのであり,これにより特定の人物を狙い撃ちするために本件人選基準を決定するということは困難であるといえるし,現実にそのようなことが本件において実施されたと認めるに足りる証拠はない。控訴人らは,希望退職開始前の平成22年6月時点で,内部文書(甲140)において,希望退職に応募しないような者を被控訴人に残すわけにはいかないとされている点を指摘するが,その記載を,希望退職に応じた者との不公平を問題としていること以上に,控訴人らが主張するように特定の人物に結びつけたものと認めることはできない。また, すわけにはいかないとされている点を指摘するが,その記載を,希望退職に応じた者との不公平を問題としていること以上に,控訴人らが主張するように特定の人物に結びつけたものと認めることはできない。また,控訴人らは,被控訴人において一貫して労務担当であったJ元専務を本件解雇に関する労働組合との交渉担当者として管財人が呼び戻したこと,人選基準の発表と同時にブランクスケジュールを実施し個人面談をしたことから,本件人選基準の策定自体が不当労働行為であると主張するが,他方で,G組合とC組合の執行委員のうち,前者については本件解雇時点で在籍していた執行委員17名のうち13名が,後者については本件解雇時点で在籍していた執行委員23名中22名が解雇対象者とはなっていないことが認められ(乙77),これらのことを総合すると,控訴人らが指摘する諸点から,機長についても副操縦士についても組合活動を中心的に行っ-29-てきた人物を狙い撃ちするために本件解雇がされたと評価することはできないというべきである。控訴人らの主張は採用することができない。」 14 原判決43頁7行目の「(6) 」を「(7) 」に改め,16行目の「認められない」を「認められないし,不当労働行為であるとも認められない」に改める。 原判決43頁23行目の「被告は,」を「被控訴人は,一般職運航乗務員が私傷病のため乗務離脱となった場合,1年間の限度で継続して乗務手当を支払い,うち6か月間は全額,6か月を超え9か月までは2分の1,9か月を超え1年までは3分の1の乗務手当を支払うこととされているところ,控訴人A及び控訴人Bは管理職であるが,管理職運航乗務員に対する乗務手当月額及び管理職乗務調整手当についても同様の取扱いがされていたため,」に改め,43頁26行目から44頁1行目にかけての「主張する 訴人A及び控訴人Bは管理職であるが,管理職運航乗務員に対する乗務手当月額及び管理職乗務調整手当についても同様の取扱いがされていたため,」に改め,43頁26行目から44頁1行目にかけての「主張するが,」の次に「一般職運航乗務員に適用される「運航乗務員諸手当規程」(甲8)には被控訴人主張の取扱いに関する規定があるのに対し,管理職に適用される賃金規程(甲7)を見ると,管理職長時間乗務手当(71条)や年末年始手当などについては「運航乗務員諸手当規程」の該当規定を準用する旨規定されているにもかかわらず,乗務手当及び管理職乗務調整手当についてはそのような記載はされていないのであるから,被控訴人主張の取扱いが就業規則の内容になっていたとか,そうでないとしても,控訴人Aや控訴人Bと被控訴人との個別労働契約の内容になっていたと認めることはできず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。結局,」を加える。 第4 結論以上の次第で,控訴人らの請求のうち,地位確認を求める請求をいずれも棄却し,金銭請求について,控訴人Aにつき基準外賃金40万4582円,控訴人Bにつき同21万1307円及びそれぞれこれに対する履行期の翌日である平成23年1月26日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で請求を認容し,同控訴人らのその余の請求及びその余の控訴-30-人らの請求をいずれも棄却した原判決は相当であって,本件控訴及び附帯控訴はいずれも理由がない。よって,本件控訴及び附帯控訴をいずれも棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第24民事部 裁判長裁判官三輪和雄 裁判官佐久間健吉 なお,裁判官 東京高等裁判所第24民事部 裁判長裁判官三輪和雄 裁判官佐久間健吉 なお,裁判官松村徹は,転補のため,署名押印することができない。 裁判長裁判官三輪和雄

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