平成25(行ケ)10131 審決取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成26年2月5日 知的財産高等裁判所 2部 判決 請求棄却
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- 1 -平成26年2月5日判決言渡平成25年(行ケ)第10131号審決取消請求事件口頭弁論終結日平成26年1月22日判決 原告X 訴訟代理人弁理士坂本智弘矢田歩大石敏弘 被告特許庁長官指定代理人仲間晃田中秀人樋口信宏浜岸広明堀内仁子 主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由 第1 原告の求めた判決特許庁が不服2011-22685号事件について平成25年3月26日にした審決を取り消す。 - 2 -第2 事案の概要本件は,特許出願に対する拒絶審決の取消訴訟である。争点は,審判手続における拒絶理由通知の要否及び進歩性である。 1 特許庁における手続の経緯原告は,平成18年1月5日,名称を「フィッシング詐欺防止システムにおける本人確認迅速化補助システム」(平成20年9月1日付けで「フィッシング詐欺防止システムおよびそのプログラム」と補正)とする発明につき特許出願(特願2006-689号,平成19年7 止システムにおける本人確認迅速化補助システム」(平成20年9月1日付けで「フィッシング詐欺防止システムおよびそのプログラム」と補正)とする発明につき特許出願(特願2006-689号,平成19年7月19日出願公開,特開2007-183744号)をしたが,平成23年7月13日付けで拒絶査定を受けたので(甲10),同年10月20日に不服の審判(不服2011-22685号)を請求するとともに(甲11),同日付けで手続補正をした(本件補正,甲12)。特許庁は,平成25年3月26日付けで,本件補正を却下した上,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決をし,その謄本は,同年4月9日,原告に送達された。 2 本願発明の要旨(1) 補正前発明本件補正前の本願発明(補正前発明,平成23年6月30日付け手続補正書(甲9)の請求項1)は,以下のとおりである。 「ユーザーパソコンに搭載されているIE(インターネットエクスプローラー)のツールバーにWhois検索アイコン表示ボタンを設け,表示中のWebサイトのURLからドメイン名を抽出し,前記Whois検索アイコン表示ボタン上に表示し,このWhois検索アイコン表示ボタンのクリック操作により,インターネットを介して前記ドメイン名をドメイン情報登録センタから検索し,前記インターネットを介して検索結果のドメイン名およびその組織名を前記ユーザーパソコンのバッファ内に取り込と共に前記Webサイトの画面に表示することを特徴とするフィッシング詐欺防止システム。」- 3 -(2) 補正発明本件補正後の本願発明(補正発明,平成23年10月20日付け手続補正書(甲12)の請求項1)は,以下のとおりである。 「ユーザーパソコンに搭載されているIE(インターネットエクスプローラー) 本件補正後の本願発明(補正発明,平成23年10月20日付け手続補正書(甲12)の請求項1)は,以下のとおりである。 「ユーザーパソコンに搭載されているIE(インターネットエクスプローラー)のツールバーにWhois検索アイコン表示ボタンを設け,ユーザーが閲覧中のWebサイトのURLからドメイン名を抽出し,前記Whois検索アイコン表示ボタン上に表示し,このWhois検索アイコン表示ボタンのクリック操作により,前記Webサイトを閲覧したままインターネットを介して前記ドメイン名をドメイン情報登録センタから検索し,前記インターネットを介して検索結果のドメイン名およびその組織名を前記ユーザーパソコンのバッファ内に取り込と共に閲覧中の前記Webサイトと同一の画面上に表示することを特徴とするフィッシング詐欺防止システム。」 3 審決の理由の要点審決は,「補正発明は,『プロのツール連携ワザ20選,PCJapan,日本,ソフトバンクパブリッシング株式会社,2003年11月1日,第8巻,第11号,p.121-p.130』(引用文献1,甲1)及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法29条2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができない。」,「補正前発明も,同様の理由により,当該引用発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。」と判断した。 審決が上記判断の前提として認定した引用文献1に記載された発明(引用発明)並びに補正発明と引用発明との一致点及び相違点は,以下のとおりである。 (1) 引用発明「HotWhois」の機能が実現される,不正侵入を防ぐためのマシンとネットワークよりなるシステムであって,- 4 -前記「Ho 及び相違点は,以下のとおりである。 (1) 引用発明「HotWhois」の機能が実現される,不正侵入を防ぐためのマシンとネットワークよりなるシステムであって,- 4 -前記「HotWhois」は,InternetExplorerのツールバーのボタンからワンクリックで表示中のWebページのサーバのWhois情報を表示させるものであり,前記Whois情報は,世界中のWhoisサーバから,指定ホストのWhois情報を検索した結果である,システム。 (2) 引用発明との一致点及び相違点(一致点)ユーザーパソコンに搭載されているIE(インターネットエクスプローラー)のツールバーにWhois検索表示ボタンを設け,このWhois検索表示ボタンのクリック操作により,インターネットを介してWhois情報をWhois情報登録システムから検索し,前記インターネットを介して検索結果のWhois情報を取り込み前記ユーザーパソコンの画面上に表示する不正侵入防止システム。 (相違点1)補正発明が「フィッシング詐欺防止システム」であるのに対し,引用発明は,「不正侵入防止システム」である点。 (相違点2)Whois検索表示ボタンに関し,補正発明が「Whois検索アイコン表示ボタン」であるのに対し,引用発明は,「ボタン」に「アイコン」を表示するかは明りょうでない点。 (相違点3)補正発明が,「ユーザーが閲覧中のWebサイトのURLからドメイン名を抽出し,前記Whois検索アイコン表示ボタン上に表示」することとしているのに対し,引用発明は,そのような構成になっていない点。 (相違点4)Whois情報の検索に関し,補正発明が,「Webサイトを閲覧したまま」検- 5 -索を行っているのに対し,引用発明 いるのに対し,引用発明は,そのような構成になっていない点。 (相違点4)Whois情報の検索に関し,補正発明が,「Webサイトを閲覧したまま」検- 5 -索を行っているのに対し,引用発明は,どのような状態で検索を行っているか言及していない点。 (相違点5)Whois情報の検索先に関し,補正発明が,「ドメイン名をドメイン情報登録センタから検索」しているのに対し,引用発明は,そのような構成になっていない点。 (相違点6)表示するWhois情報に関し,補正発明が「検索結果のドメイン名およびその組織名」としているのに対し,引用発明は,Whois情報の内容について具体的に明示していない点。 (相違点7)Whois情報の表示方法に関し,補正発明が「閲覧中の前記Webサイトと同一の画面上に表示」しているのに対し,引用発明は,そのような構成になっていない点。 (相違点8)表示するWhois情報の取扱いに関し,補正発明が「ユーザーパソコンのバッファ内に取り込」んでいるのに対し,引用発明は,Whois情報をどのように取り扱っているか明りょうでない点。 第3 原告主張の審決取消事由 1 取消事由1(手続違背)原告は,本願を平成18年1月5日付けで出願し,平成20年9月1日付けで出願審査請求をするとともに特許請求の範囲を自発補正(以下,補正した発明を「当初補正発明」という。)した。 当初補正発明は,審査段階において,平成23年5月31日付け拒絶理由通知書(甲7)により,引用文献1(甲1)及び引用文献2(甲2)を引用して,特許法- 6 -29条2項の規定により特許を受けることができないとされた。 これに対し,原告は,平成23年6月30日付けで意見書(甲8)を提出するとともに特許請求の範囲を補正して,補 用して,特許法- 6 -29条2項の規定により特許を受けることができないとされた。 これに対し,原告は,平成23年6月30日付けで意見書(甲8)を提出するとともに特許請求の範囲を補正して,補正前発明とした(甲9)。 補正前発明は,平成23年7月13日付けの拒絶査定(甲10)により,「上記拒絶理由通知書に記載した理由によって,拒絶をすべきものである。」とされた。 これに対し,原告は,平成23年10月20日付けで拒絶査定不服審判を請求する(甲11)とともに特許請求の範囲を補正して,補正発明とした(甲12)。 補正発明について,平成23年12月28日付け審尋(甲13。平成23年11月18日付け前置報告書添付)がなされ,原告は,意見があれば回答するように求められた。その前置報告書には,特許査定できない理由が示され,拒絶査定で引用された引用文献1(前置報告書では引用文献(1))及び引用文献2(同引用文献(2))に加えて,新たに,参考文献1(甲3。前置報告書では参考文献(3))及び参考文献2(甲4。同参考文献(4))が引用されていた。 そこで,原告は,平成24年2月29日付けで,新たな補正案を付した上で回答書(甲14)を提出し,審判の合議体に対し補正の機会を付与するよう求めた。 しかし,原告が求めた反論,補正の機会を付与することなく,平成25年3月26日付けで審決がなされ,その中では,引用文献1,引用文献2,参考文献1及び参考文献2に加えて,新たに,参考文献3(甲5)が引用された。そして,補正発明は,特許法29条2項の規定により独立特許要件(進歩性)を具備しないとされ,当該補正について,却下の決定がなされた。 審決は,引用文献1及び2の記載の中から拒絶理由通知書及び拒絶査定で引用した箇所とは異なる箇所を引用し,また,拒絶理由通 件(進歩性)を具備しないとされ,当該補正について,却下の決定がなされた。 審決は,引用文献1及び2の記載の中から拒絶理由通知書及び拒絶査定で引用した箇所とは異なる箇所を引用し,また,拒絶理由通知書及び拒絶査定において引用されていなかった参考文献1ないし3を引用している。後者の点については,参考文献1及び2は審尋で初めて挙示されたものであって,審尋に対して補正できないことを鑑みれば十分な反論を行うことは困難であり,さらに,参考文献3は審決において初めて挙示されたものである。これらの点を考慮すると,本願について,原- 7 -告が審理手続を尽くすことができたものということはできない。 要するに,審決は,拒絶査定の理由と異なる拒絶の理由をもって補正発明の独立特許要件(進歩性)を否定したもので,原告には,それに対する意見書を提出し補正をする機会が与えられなかった。 したがって,審決は,特許法159条2項で準用する同法50条の規定に違反する審判手続によりなされたものであり,違法として取り消されるべきである。 2 取消事由2(一致点の認定誤り=相違点の看過)審決は,補正発明と引用発明の一致点を,「ユーザーパソコンに搭載されているIE(インターネットエクスプローラー)のツールバーにWhois検索表示ボタンを設け,このWhois検索表示ボタンのクリック操作により,インターネットを介してWhois情報をWhois情報登録システムから検索し,前記インターネットを介して検索結果のWhois情報を取り込み前記ユーザーパソコンの画面上に表示する不正侵入防止システム。」であると認定した。 しかし,審決の判断は誤りである。 補正発明は「フィッシング詐欺防止システム」であって,「不正侵入防止システム」ではない。 フィッシング詐欺は,詐欺の名 防止システム。」であると認定した。 しかし,審決の判断は誤りである。 補正発明は「フィッシング詐欺防止システム」であって,「不正侵入防止システム」ではない。 フィッシング詐欺は,詐欺の名が示すように,例えば,メールを送りつけて偽のWebサイトにユーザーを誘導したり,真正のWebサイトに侵入して予め構築しておいたフィッシング用のポップアップ画面を経由してユーザーを誘導したりすることによって,ユーザーを欺罔して錯誤に陥れ,IDやパスワード,銀行口座番号などをユーザーに入力させて,それらを盗みとろうとするものである。 これに対し,補正発明は,ユーザーがインターネット上であるWebサイトを閲覧している際に,そのWebサイトがこのようなフィッシング詐欺のために構築された偽のものであるかどうかを確認し,それに引っ掛からないようにするためのシステムを提供するものであって,ユーザーのパソコン又は当該Webサイトが一般的な意味において不正侵入されることを防止するものではない。 - 8 -よって,審決の一致点についての認定は誤りである。 3 取消事由3(相違点の判断の誤り)(1) 相違点1に係る構成の容易想到性の判断について審決は,相違点1について,引用文献2の記載Dを引用して,「Webにおける不正侵入としてフィッシング詐欺が課題であること,及びその対策としてWebサイトの不審点を見てチェックすることは,当業者にとって自明な事項」であると認定し,「引用発明のシステムを,フィッシング詐欺防止のために用いることは,当業者が容易に想到し得たことである。」と判断した。 しかし,審決の判断は誤りである。 上述したとおり,補正発明の「フィッシング詐欺防止システム」と,一般的な「不正侵入防止システム」とは異なる。引用文献2の記載Dに たことである。」と判断した。 しかし,審決の判断は誤りである。 上述したとおり,補正発明の「フィッシング詐欺防止システム」と,一般的な「不正侵入防止システム」とは異なる。引用文献2の記載Dには,インターネット上でのいわゆるなりすまし行為に対する一般的な事項が述べられているのみであり,補正発明の構成については開示も示唆もされていないから,引用文献2の記載Dをもって,「引用発明のシステムを,フィッシング詐欺防止のために用いることは,当業者が容易に想到し得たことである。」と判断することはできない。 したがって,「Webにおける不正侵入としてフィッシング詐欺が課題であること,及びその対策としてWebサイトの不審点を見てチェックすることは,当業者にとって自明な事項」であるからといって,これに基づいて,相違点1に係る構成を容易想到と判断することはできない。 (2) 相違点2及び3に係る構成の容易想到性の判断について審決は,相違点2及び3について,引用文献2の記載E,参考文献1の記載H及び記載J,並びに引用文献2の記載F及び記載Gを引用して,「インターネットアクセスに通常用いられるブラウザのツールバー上に,現在表示しているページのアドレス情報を表示することは,本願出願時において周知であり,また,ブラウザ上でクリックするボタン機能をアイコンやページに関する情報とともに表示させることや,ページに関する情報としてのドメイン名をURLより生成することは,いず- 9 -れも常套手段であることを考慮すれば,上記周知の表示技術をブラウザ上のボタン表示に適用する際に,アイコンとページに関する情報としてのドメイン名の表示を,ボタン表示に組み込むようにすることに格別困難性を認められない。」と認定し,「引用発明のツールバーのボタン表示に,周知技術を採 に適用する際に,アイコンとページに関する情報としてのドメイン名の表示を,ボタン表示に組み込むようにすることに格別困難性を認められない。」と認定し,「引用発明のツールバーのボタン表示に,周知技術を採用し,「Whois検索アイコン表示ボタン」として「ユーザーが閲覧中のWebサイトのURLからドメイン名を抽出し,前記Whois検索アイコン表示ボタン上に表示」するよう構成することは,当業者が容易に想到し得たことである。」と判断した。 しかし,審決の判断は誤りである。 補正発明は,「ユーザーパソコンに搭載されているIE(インターネットエクスプローラー)のツールバーにWhois検索アイコン表示ボタンを設け,ユーザーが閲覧中のWebサイトのURLからドメイン名を抽出し,前記Whois検索アイコン表示ボタン上に表示」するものである。 一方,引用文献2の記載E,参考文献1の記載H及び記載J,並びに引用文献2の記載F及び記載Gには,Whois検索アイコン表示ボタン上にドメイン名を表示すること,ひいては上記のように構成することについて,一切開示も示唆もされていない。 引用文献2の記載Eは,ツールバー上に現在表示しているページのアドレス情報を表示する点を,記載F及び記載Gは,検索対象のURLを入力する点を記載しているにすぎず,Whois検索アイコン表示ボタンの表示としてドメイン名を用いるという技術的な思想を開示も示唆もしていない。例えば,記載F及び記載Gには,検索対象のURLを入力することが記載されてはいるが,アイコン表示ボタンの表示としてURLを用いることが開示されているわけではなく,具体的に検索するためにURLを入力することとボタンの表示をどうするかということの間には関連性がないと考えられ,両者を関連付ける言及もない。また,これらの記載から, ことが開示されているわけではなく,具体的に検索するためにURLを入力することとボタンの表示をどうするかということの間には関連性がないと考えられ,両者を関連付ける言及もない。また,これらの記載から,表示中のWebページのURLを検索対象とできるようにするために,アイコン表示ボタンの表示をURLから抽出したドメイン名にしなければならない必然性が導出さ- 10 -れるわけでもない。 さらに,参考文献1の記載H及び記載Jは,履歴という固定された表示のボタンを開示しているだけであって,その表示としてドメイン名を用いるということを開示も示唆もしていない。 このように,これら5つの記載は,いずれもWhois検索アイコン表示ボタンとドメイン名を結びつけた上記構成を開示していないのであって,審決が,これら5つの記載と,相違点2及び3に係る上記構成との差異を格別なものではないという一言で済ませている点は,これら5つの記載を補正発明に事後分析的に強引に対応させた結果であり,後知恵といわざるを得ない。 したがって,「インターネットアクセスに通常用いられるブラウザのツールバー上に,現在表示しているページのアドレス情報を表示することは,本願出願時において周知であり,また,ブラウザ上でクリックするボタン機能をアイコンやページに関する情報とともに表示させることや,ページに関する情報としてのドメイン名をURLより生成することは,いずれも常套手段であることを考慮すれば,上記周知の表示技術をブラウザ上のボタン表示に適用する際に,アイコンとページに関する情報としてのドメイン名の表示を,ボタン表示に組み込むようにすることに格別困難性を認められない。」との審決の認定は誤りであり,これに基づいて,相違点2及び3に係る構成を容易想到とした審決の判断は誤りである。 イン名の表示を,ボタン表示に組み込むようにすることに格別困難性を認められない。」との審決の認定は誤りであり,これに基づいて,相違点2及び3に係る構成を容易想到とした審決の判断は誤りである。 (3) 相違点4ないし6に係る構成の容易想到性の判断について審決は,相違点4ないし6について,相違点4は自明な事項であること,相違点5は人為的取り決めであることを指摘し,相違点6は参考文献3の記載Lを引用して,「引用発明の「Whois情報」の「検索」は,「表示中のWebページ」に対して検索開始後にも「表示中のWebページ」を表示中のままとすること,及び検索開始後に表示中の「Webページ」が閲覧可能な状態であることは,当業者にとって自明の事項であり,また,「Whois情報」の「検索」先の構成として,「ドメイン情報登録センタ」を設けることは,インターネット上でのセキュリティ- 11 -を確保するための人為的取り決めに関する事項であり,また,当該「検索」項目をどのように登録・設定するかは,必要により適宜決定する事項であり,技術上格別の困難性は認められない。」と認定し,「引用発明におけるWhois情報の表示のための検索を,「Webサイトを閲覧したまま」「ドメイン名をドメイン情報登録センタから」行い,「検索結果のドメイン名およびその組織名」を取得することは,当業者が容易に想到し得たことである。」と判断した。 しかし,審決の判断は,相違点4及び6について,誤りである。 相違点4について,審決は,自明な事項であるとしているが,補正発明は,あるWebサイトを閲覧している状態でWhois情報の検索を開始でき,Whois情報の検索開始後も当該Webページをそのまま閲覧でき,かつ,閲覧したまま,検索結果を同一画面に表示できるものである。そして,このことは を閲覧している状態でWhois情報の検索を開始でき,Whois情報の検索開始後も当該Webページをそのまま閲覧でき,かつ,閲覧したまま,検索結果を同一画面に表示できるものである。そして,このことは,Whois情報の検索そのものについて開示している引用発明から自明であるということはできない。 相違点6について,審決は,参考文献3の記載Lを引用して,適宜決定する事項であるとしている。そこには,「本方式では,あらかじめ表1に示されるような有名サイト情報をシステム内に格納しておく。表1における特徴文字列とは,各有名サイトのドメイン名を特徴付ける文字列(企業名部分等)をあらわし,組織名は,そのドメイン名の所有者として登録されている企業のWHOISサービス上の名称をあらわす。」と記載されている。 しかし,補正発明は,「インターネットを介して検索結果のドメイン名およびその組織名を(前記ユーザーパソコンのバッファ内に取り込)」むのであって,これらの項目について,有名サイト情報のみをあらかじめシステム内に格納するものではない。 したがって,「引用発明の「Whois情報」の「検索」は,「表示中のWebページ」に対して検索開始後にも「表示中のWebページ」を表示中のままとすること,及び検索開始後に表示中の「Webページ」が閲覧可能な状態であることは,- 12 -当業者にとって自明の事項であり,また,「Whois情報」の「検索」先の構成として,「ドメイン情報登録センタ」を設けることは,インターネット上でのセキュリティを確保するための人為的取り決めに関する事項であり,また,当該「検索」項目をどのように登録・設定するかは,必要により適宜決定する事項であり,技術上格別の困難性は認められない。」との審決の認定は誤りであり,これに基づいて,相違点4及び6 事項であり,また,当該「検索」項目をどのように登録・設定するかは,必要により適宜決定する事項であり,技術上格別の困難性は認められない。」との審決の認定は誤りであり,これに基づいて,相違点4及び6に係る構成を容易想到とした審決の判断は誤りである。 (4) 相違点7及び8に係る構成の容易想到性の判断について審決は,相違点7及び8について,相違点7は参考文献1の記載J及び参考文献2の記載Kを引用し,相違点8は常套手段であることを指摘して,「インターネットアクセスのためのブラウザの表示ページに関連する情報を,表示ページと同一画面上において表示することは,周知技術であり,また,コンピュータ装置における取得情報を表示する際に,取得した情報をバッファ等のメモリに取り込んで行うことは常套手段である。」と認定し,「引用発明における検索結果であるWhois情報の表示において,当該周知技術を適用し,「ユーザーパソコンのバッファ内に取り込」み,「閲覧中の前記Webサイトと同一の画面上に表示」することは,当業者が容易に想到し得たことである。」と判断した。 しかし,審決の判断は,相違点7について,誤りである。 補正発明は,「前記インターネットを介して検索結果のドメイン名およびその組織名を前記ユーザーパソコンのバッファ内に取り込と共に閲覧中の前記Webサイトと同一の画面上に表示する」ものである。 一方,参考文献1の記載J及び参考文献2の記載Kには,インターネットを介して検索結果のドメイン名及びその組織名を閲覧中のWebサイトと同一の画面上に表示するという上記構成について,開示も示唆もされていない。参考文献1の記載J及び参考文献2の記載Kは,単に,画面構成について述べているにすぎず,補正発明の構成に対応する内容を記載しているわけではない。 した 上記構成について,開示も示唆もされていない。参考文献1の記載J及び参考文献2の記載Kは,単に,画面構成について述べているにすぎず,補正発明の構成に対応する内容を記載しているわけではない。 したがって,「インターネットアクセスのためのブラウザの表示ページに関連す- 13 -る情報を,表示ページと同一画面上において表示することは,周知技術であり,また,コンピュータ装置における取得情報を表示する際に,取得した情報をバッファ等のメモリに取り込んで行うことは常套手段である。」との審決の認定は誤りであり,これに基づいて,相違点7に係る構成を容易想到とした審決の判断は誤りである。 以上述べたように,補正発明の構成は,引用発明並びに引用文献2及び参考文献1ないし3を組み合わせても,達成することはできない。 (5) 効果そして,かかる構成を備える補正発明のフィッシング詐欺防止システムは,ドメイン名の正式法人名(組織名)をWebサイト閲覧者が同一画面内において直接確認することができ,企業名自体の本人確認の判断情報が直接表示提供されるので「なりすまし(偽)判定」が正確に遂行でき,また,近年発生のなりすましHPの発見が迅速・正確に実行でき,フィシング詐欺防止を一層確実にすることが可能となる。 さらに,ファーミング詐欺防止においても同様の効果を有することができる。このような効果は,引用発明並びに引用文献2及び参考文献1ないし3からは予測できない優れた効果である。 (6) 補正発明についてのまとめよって,補正発明は,引用発明,引用文献1及び2,並びに参考文献1ないし3に基づいて,当業者が容易に想到し得るとした審決の判断は誤りである。 4 補正前発明について補正前発明についての審決の判断は,補正発明についてと同様に誤りである。 並びに参考文献1ないし3に基づいて,当業者が容易に想到し得るとした審決の判断は誤りである。 4 補正前発明について補正前発明についての審決の判断は,補正発明についてと同様に誤りである。 第4 被告の反論 1 取消事由1(手続違背)に対して(1) 主位的主張特許法29条2項の規定は拒絶の理由(49条2号)でもあるから,29条2項- 14 -の規定により独立特許要件を満たさないという補正却下の理由がある場合は,これに対応する拒絶の理由も存在する。したがって,仮に,この拒絶の理由が査定の理由と異なる場合は159条2項で準用する50条本文の規定により本件補正後の発明に対して拒絶の理由を通知しなければならず,また,159条1項で準用する53条1項の規定により本件補正を補正却下しなければならない状態となる。 そこで,159条2項において50条の規定をただし書も含めて準用し,また,「この場合において」以下の読み替えの規定を追加して補正却下の規定が優先して適用されることとし,再度拒絶理由を通知することにより審理がやり直されることを回避することが規定された。審判は審査の続審であり,不適法な補正は却下して拒絶査定の妥当性を審理することとなる。 審判合議体は法律に従って審理を進めたにすぎないから,違法でない。 (2) 予備的主張拒絶査定の理由は,補正前発明は,当業者が,引用文献1に記載された発明に対して,引用文献2に開示された技術及び周知技術を適用して容易に発明をすることができたというものである(甲7及び10)。これに対して,審決の補正却下の理由は,補正発明は,当業者が,引用文献1に記載された発明に対して周知技術を適用して容易に発明することができたというものである。 そうしてみると,拒絶査定の理由と補正却下の して,審決の補正却下の理由は,補正発明は,当業者が,引用文献1に記載された発明に対して周知技術を適用して容易に発明することができたというものである。 そうしてみると,拒絶査定の理由と補正却下の理由は,引用文献2に開示された技術を,公知技術と評価するか周知技術の例示と評価するかの点において相違するとしても,引用文献1に記載された発明に基いて容易に発明できたとする判断の骨子部分で重なっており,また,相違点に係る構成は周知技術等にかんがみれば格別のものではないと評価する点においても,同趣旨のものである。 原告は,拒絶理由通知と審決で引用文献の引用箇所が異なると主張するが,審決は,単に引用発明の背景や目的効果等も含めて摘記したにすぎず,引用発明の本質的部分(InternetExplorerのツールバーのボタンからワンクリックで表示中のWebページのサーバのWhois情報を表示させるシステム)に- 15 -変更はない。 原告はまた,補正の機会が与えられないまま新たな文献が追加されたと主張するが,審決は,周知技術の例示として参考文献を示したにすぎない。 2 取消事由2(一致点の認定誤り=相違点の看過)に対して審決は,念のために,「フィッシング詐欺防止システム」と「不正侵入防止システム」について相違点1として取り上げているから,審決の結論に影響を及ぼすような一致点の認定の誤りは生じ得ない。 審判合議体は,引用発明が「不正侵入防止システム」という側面では補正発明と共通するけれども,引用発明は「フィッシング詐欺防止システム」に特化したものとは限らないと考えたため,相違点1として取り上げたにすぎない。審決の理解に混乱はない。 引用発明は,ファイアーウォールのように不正侵入を防止するものではなく,ユーザが閲覧しているウェブサイト とは限らないと考えたため,相違点1として取り上げたにすぎない。審決の理解に混乱はない。 引用発明は,ファイアーウォールのように不正侵入を防止するものではなく,ユーザが閲覧しているウェブサイトの出所を確認するだけのシステムである。引用文献1は,このようなものも含めた広い概念で「不正侵入防止システム」と称しているのであるから,その記載に忠実に従った審決の認定に誤りはない。 フィッシング詐欺ではユーザを偽のサイトに導くことが通常であるところ,本件出願時点では,①ユーザに電子メールを送りつけ偽のリンク先をクリックさせる方法に加えて,②ユーザのコンピュータにウィルスを侵入させて偽のサイトに導く方法も周知であった(乙1)から,この点からみても,補正発明と引用発明が「不正侵入防止システム」の点で共通するとした審決の認定に誤りはない。 3 取消事由3(相違点の判断の誤り)に対して(1) 相違点1の判断についてフィッシング対策として,Webサイトの不審点を見てチェックすることは当業者に周知の事項であるところ,引用発明は,「InternetExplorerのツールバーのボタンからワンクリックで表示中のWebページのサーバのWhois情報を表示させる」システムであるから,引用発明を,フィッシング対策と- 16 -してWebサイトの不審点を見てチェックするために用いることは,当然思いつくことである。 審決は,相違点1に係る構成が引用文献2に記載されているとしたのではなく,あくまで上記周知の事項の例示として,引用文献2を引用したにすぎない。 (2) 相違点2及び3の判断について引用発明の「InternetExplorerのツールバーのボタン」は,「ワンクリックで表示中のWebページのサーバのWhois情報を表示させるも (2) 相違点2及び3の判断について引用発明の「InternetExplorerのツールバーのボタン」は,「ワンクリックで表示中のWebページのサーバのWhois情報を表示させるもの」であるから,そのボタンの表示は,ユーザが,「このボタンをクリックすると,表示中のWebページのサーバのWhois情報を確認できる」と,一見して理解できる表示内容とすべきである。また,ツールバー上にアドレス情報を表示すること及びアイコンを表示することは,いずれも周知技術である(引用文献2,参考文献1)。 そうすると,引用発明のボタン表示として,「HotWhois」であることを示すアイコン及び表示中のWebページのサーバのドメイン名を表示させて,ユーザが,「このボタンをクリックすると,「HotWhois」によって表示中のWebページのサーバのWhois情報を確認できる」と一見して理解できるようにすることは,当業者が容易に想到し得たことである。 (3) 相違点4及び6の判断について引用発明は「InternetExplorerのツールバーのボタンからワンクリックで表示中のWebページのサーバのWhois情報を表示させる」ものであるところ,表示中のWebページを消したのでは,どのWebページの「Whois情報」を検索・表示したのか判らなくなる。相違点4に係る構成は,引用発明から自明である。 参考文献3は,引用文献1の図1の写真5で表示されているはずのWhois情報が不鮮明で視認できなかったため,Whoisサービスで得られる情報としてドメイン名及びその所有者の組織名が含まれること,及び,この情報がフィッシング- 17 -対策においても有効活用できることを例示したにすぎない。 (4) 相違点7について引用発明は,「表示中の ン名及びその所有者の組織名が含まれること,及び,この情報がフィッシング- 17 -対策においても有効活用できることを例示したにすぎない。 (4) 相違点7について引用発明は,「表示中のWebページのサーバのWhois情報を表示させる」構成を具備するから,「Whois情報」の表示は,「表示中のWebページ」の関連情報である。 そうしてみると,「Whois情報」を表示中のWebページの画面上に表示させることによって,そのWebページの「Whois情報」を表示していることを明示し,ユーザが「表示中のWebページ」と「Whois情報」を見比べて両者の間に相違や矛盾等の不審点がないか判断しやすいよう配慮することは当然である。 参考文献1及び2は,Webブラウザにおいて,表示中のWebページの画面上に関連情報を表示する技術が周知慣用されていることを例示したにすぎない。 (5) 効果について原告が主張する,補正発明はドメイン名の正式法人名(組織名)をWebサイト閲覧者が同一画面内において直接確認することができるとの効果は,Whois情報をWebブラウザと同一画面に表示することによりもたらされる効果であり,企業名自体の本人確認の判断情報が直接表示提供されるので「なりすまし判定」が正確に遂行できるとの効果はWhois情報として組織名を含むことによりもたらされる効果であるから,前記(1)ないし(4)の容易推考において期待される予測可能な効果にすぎない。また,なりすましHPの発見が迅速正確に実行でき,フィシング詐欺防止を一層確実にすることが可能となるとの効果は,引用発明も奏する効果である。 そうである以上,フィッシング詐欺の一種であるファーミング詐欺防止の効果も顕著な効果ではない。 4 補正前発明について上記1ない とが可能となるとの効果は,引用発明も奏する効果である。 そうである以上,フィッシング詐欺の一種であるファーミング詐欺防止の効果も顕著な効果ではない。 4 補正前発明について上記1ないし3と同様である。 - 18 - 第5 当裁判所の判断 1 取消事由1(手続違背)について(1) 原告は,審決は拒絶査定の理由と異なる拒絶の理由をもって補正発明の独立特許要件(進歩性)を否定したものであり,原告は,それに対する意見書を提出し補正をする機会が与えられなかったから,審決は特許法159条2項で準用する同法50条の規定に違反する審判手続によりなされたものであり,違法として取り消されるべきであると主張する。 審決は,補正発明は,平成18年法律第55号改正附則3条1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法17条の2第5項の規定により準用する特許法126条5項の規定(独立特許要件)に違反するので,特許法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものと判断した。特許法159条2項により読み替えて準用する同法50条ただし書には,「ただし・・・第53条第1項の規定による却下の決定をするときは,この限りでない。」とあり,53条1項の規定により補正却下の決定をするときは,拒絶の理由を通知することとはされていない。 そこで検討するに,平成18年法律第55号による改正前の特許法50条本文は,拒絶査定をしようとする場合は,出願人に対し拒絶の理由を通知し,相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えなければならないと規定し,同法17条の2第1項1号に基づき,出願人には指定された期間内に補正をする機会が与えられ,これらの規定は,同法159条2項により,拒絶査定不服審判において査定の理由と 与えなければならないと規定し,同法17条の2第1項1号に基づき,出願人には指定された期間内に補正をする機会が与えられ,これらの規定は,同法159条2項により,拒絶査定不服審判において査定の理由と異なる拒絶の理由を発見した場合にも準用される。この準用の趣旨は,審査段階で示されなかった拒絶理由に基づいて直ちに請求不成立の審決を行うことは,審査段階と異なりその後の補正の機会も設けられていない(もとより審決取消訴訟においては補正をする余地はない。)以上,出願人である審判請求人にとって不意打ちとなり,過酷であるからである。そこで,手続保障の観点から,出願人に意見書の- 19 -提出の機会を与えて適正な審判の実現を図るとともに,補正の機会を与えることにより,出願された特許発明の保護を図ったものと理解される。この適正な審判の実現と特許発明の保護との調和は,拒絶査定不服審判において審判請求時の補正が行われ,補正後の特許請求の範囲の記載について拒絶査定の理由と異なる拒絶の理由を発見した場合にも当然妥当するものであって,その後の補正の機会のない審判請求人の手続保障は,同様に重視されるべきものといえる。 以上の点を考慮すると,拒絶査定不服審判において,本件のように審判請求時の補正として限定的減縮がなされ独立特許要件が判断される場合に,仮に査定の理由と全く異なる拒絶の理由を発見したときには,審判請求人に対し拒絶の理由を通知し,意見書の提出及び補正をする機会を与えなければならないと解される。これに対し,当該補正が他の補正の要件を欠いているような場合は,当然,補正を却下すべきであるし,当該補正が限定的減縮に該当するような場合であっても,当業者にとっての周知の技術や技術常識を適用したような限定である場合には,査定の理由と全く異なる拒絶の理由とはいえず,その周 却下すべきであるし,当該補正が限定的減縮に該当するような場合であっても,当業者にとっての周知の技術や技術常識を適用したような限定である場合には,査定の理由と全く異なる拒絶の理由とはいえず,その周知技術や技術常識に関して改めて意見書の提出及び補正をする機会を与えることなく進歩性を否定して補正を却下しても,当業者である審判請求人に過酷とはいえず,手続保障の面で欠けることはないといえよう。 そうすると,審判請求時の補正が独立特許要件を欠く場合には,拒絶理由通知をしなくとも常に補正を却下することができるとする被告の主位的主張は,上記の説示に反する限度で採用することができない。 (2) 以上の点を踏まえて更に検討するに,本件において,拒絶査定の理由は,「補正前発明は,当業者が,引用文献1に記載された発明に対して,引用文献2に開示された技術及び周知技術を適用して容易に発明をすることができた」というものであるのに対し,審決の補正却下の理由は,「補正発明は,当業者が,引用文献1に記載された発明に対して周知技術を適用して容易に発明することができた」というものである。そうすると,両者の相違は,引用文献2に開示された技術につい- 20 -て,拒絶査定ではこれを公知技術としたのに対し,審決ではこれを周知技術と評価して例示したのであって,審判請求人である原告にとって不意打ちとはいえないから,審判段階の独立特許要件の判断において改めてこの点について意見書の提出及び補正をする機会を与えなくとも,手続保障の面から審決に違背はないといえる。 この点について原告は,審決が,拒絶理由通知書及び拒絶査定において引用されなかった参考文献1ないし3を引用しており,これらに対して補正できないことにかんがみれば十分な反論を行うことは困難であり,審理手続を尽くすことがで ,審決が,拒絶理由通知書及び拒絶査定において引用されなかった参考文献1ないし3を引用しており,これらに対して補正できないことにかんがみれば十分な反論を行うことは困難であり,審理手続を尽くすことができたとはいえないと主張する。 しかし,参考文献1ないし3は,審決において周知技術や常套手段を示すものとして引用されたものであり,後記3(2)及び(3)のとおり,いずれも実際に当業者にとっての周知の技術や常套手段を示したものと認められるのであるから,これに対する補正の機会が与えられなくとも(参考文献1及び2は,審判の審尋において示されたものであり,原告からこれらに対する反論として回答書(甲14)が提出されている。),当業者である審査請求人にとって格別の不利益はないものと解され,原告の主張には理由がない。 また,原告は,審決が,引用文献1及び2の記載の中から拒絶理由通知書及び拒絶査定で引用した箇所とは異なる箇所を引用しており,審理手続を尽くすことができなかったと主張する。 しかし,拒絶理由通知書(甲7)及び拒絶査定(甲10)では,引用文献1の一部を適示して,引用発明の本質的部分である「InternetExplorerのツールバーのボタンからワンクリックで表示中のWebページのサーバのWhois情報を表示させるシステム」という技術事項が開示されていることを示したのに対し,審決では,当該摘示箇所を示した上で,引用発明の背景や目的効果等を示すために別途の箇所を摘記したもの認められるから,原告にとって不利益がないことは明らかであり,原告の主張には理由がない。 したがって,審決が,補正発明は独立特許要件を満たさないことを理由として,- 21 -審判段階で改めて拒絶理由通知をすることなく本件補正を却下したことに誤りはなく,原告の主張する取消 がない。 したがって,審決が,補正発明は独立特許要件を満たさないことを理由として,- 21 -審判段階で改めて拒絶理由通知をすることなく本件補正を却下したことに誤りはなく,原告の主張する取消事由1は理由がない。 2 取消事由2(一致点の認定誤り=相違点の看過)について(1) 補正発明ア本願明細書(甲6)には次の記載がある。 【背景技術】【0002】近年各企業は,商工会議所等公的機関が真正なHP であることを証明するため各種安全マークをHP上に貼り付ける等,HPのなりすまし防止に努めている。さらに,国内で多発化が予想されるフィシング詐欺防止のために一部企業において,その防止対策として自社発信メール全てに企業認証証明書を添付し送信する企業も現れた(2004年11月30日産経新聞朝刊)。いずれの手段も防止という目的においては,詐欺者に対し一応警戒を促すことになるが安全マークを誰もが知っているかというと疑問であり,企業認証においても同様である。さらに,詐欺団は,技術的にも長けており,これらのマークや証明書を巧妙にまねすることを得意としている。したがって,この手段では,防止できないのが現状である。 【0003】新聞報道から「YAHoo」と「YAFoo」の区別について一般の人はその相違を見逃すことが多く,また,現実のフィッシング詐欺の脅威について,「ITmediaエンタープライズ:国内でも現実になったフィッシング詐欺の脅威」として,ネット掲載され,その対策として,重要なデータを入力する際,アドレスバーのURL表示を確認すべきであること,鍵アイコンの表示チェックし,SSLによる暗号化通信の実行を確認すべきことが示唆されている。 ・・・・・・【発明が解決しようとする課題】【0007】- 22 - を確認すべきであること,鍵アイコンの表示チェックし,SSLによる暗号化通信の実行を確認すべきことが示唆されている。 ・・・・・・【発明が解決しようとする課題】【0007】- 22 -・・・先行特許出願において,その本人確認をする場合に利用される「WHOISサービス」の使用方法は,本人確認の際に,別途,この「WHOISサービス」を利用して検索する場合,新たに「WHOISサービス」を呼び出し,呼び出された画面にドメイン名情報として,例えば「clovernetwork.co.jp」と入力する作業が必要となるため,これらの「WHOISサービス」を呼び出しと「clovernetwork.co.jp」の入力作業を必要とし煩雑な作業を余儀なくされ,また,一端,検索結果を別途記録しておき,その上で,本人確認の事前処理画面に戻って,確認作業をしなければならなかった。このため,本人確認のための作業時間が掛かると共に,処理作業が煩雑にならざるを得なかった。 このため,本人確認の事前処理画面において,本人確認の処理作業の煩雑さに基づき確認ミスの発生を生みやすい処理環境の改善が望まれ,また,「WHOISサービス」を利用する本人確認処理時間を短縮できることが望まれていた。 ・・・・・・【課題を解決するための手段】【0009】本願発明のフィッシング詐欺防止システムは,ユーザーパソコンに搭載されているIE(インターネットエクスプローラー)にプラグインされているソフトを呼び出し,呼び出されたソフトに「Whois」のパラメータとしてドメイン名を付して「Jprs」に跳び,パラメータのドメイン名により「Whois」検索を実行し,jprs登録情報が得られた場合,「jprs」に登録されている属性をバッファ内に取り込と共に検索結果のURLの属性を記録し Jprs」に跳び,パラメータのドメイン名により「Whois」検索を実行し,jprs登録情報が得られた場合,「jprs」に登録されている属性をバッファ内に取り込と共に検索結果のURLの属性を記録し,ユーザーパソコンのWebサイト画面に表示するソフトを備え,検索結果,URL属性の画面に表示により,ドメイン名の正式法人名(組織名)の正誤をWebサイトの表示画面から直接判断可能とする。 ・・・・・・【発明を実施するための最良の形態】【0012】- 23 -図1は・・・表示画面D1 において,表示された「アドレス(D)」欄に「http://www.google.co.jp/」を入力した場合・・・jprs「Whois」検索アイコン表示ボタンBに表示の「google.co.jp」は,表示しているURLから抽出するものであり,詳しくはユーザーパソコンに搭載されているIE(InternetExplola)がツールバーに返すステータスに含まれる情報を基に表示される。・・・【0013】図2は,表示画面D1において,その表示画面Aの・・・jprs「Whois」検索アイコン表示ボタンBの操作によって,google.co.jpを検索した画面上で,ソフトウェア「DocWall」(商標登録出願中)によりjprs「Whois」検索が実行され,ドメイン情報「google.co.jp」の検索結果,そのURLの属性情報の全部叉は一部が画面表示される。・・・イ上記記載によれば,補正発明に関しては,以下のとおりのことが認められる。 近年各企業は,HPのなりすまし防止やフィシング詐欺防止のために各種安全マークをHP上に貼り付けたり,自社発信メールすべてに企業認証証明書を添付し送信するなどしているが,これらのマークや証明書では,防止できないの HPのなりすまし防止やフィシング詐欺防止のために各種安全マークをHP上に貼り付けたり,自社発信メールすべてに企業認証証明書を添付し送信するなどしているが,これらのマークや証明書では,防止できないのが現状である。そして,「YAHoo」と「YAFoo」の区別について一般の人はその相違を見逃すことが多いこと,また,フィッシング詐欺の脅威の対策として,重要なデータを入力する際,アドレスバーのURL表示を確認すべきであることなどが知られている。 フィッシング詐欺防止のためには,「WHOISサービス」が使用されるが,本人確認の際に,この「WHOISサービス」を利用して検索する場合,新たに「WHOISサービス」を呼び出し,呼び出された画面にドメイン名情報を入力する作業が必要となる。また,検索結果を別途記録しておき,その上で,本人確認の事前処理画面に戻って,確認作業をしなければならず,本人確認のための作業時間がか- 24 -かるとともに,処理作業が煩雑にならざるを得なかった。 補正発明は,IE(インターネットエクスプローラー)にプラグインされているソフトを呼び出し,「Whois」のパラメータとしてドメイン名を付して「Whois」検索を実行し,検索結果のURLの属性を記録し,ユーザーパソコンのWebサイト画面に表示するソフトを備え,検索結果,URL属性を画面に表示することにより,ドメイン名の正式法人名(組織名)の正誤をWebサイトの表示画面から直接判断可能とするものである。 その実施形態として,アドレス欄に「http://www.google.co.jp/」を入力した場合,ツールバーの表示しているURLから抽出してjprs「Whois」検索アイコン表示ボタンBにURLが表示され,その表示ボタンBの操作によって,google.co.jpを検索 .jp/」を入力した場合,ツールバーの表示しているURLから抽出してjprs「Whois」検索アイコン表示ボタンBにURLが表示され,その表示ボタンBの操作によって,google.co.jpを検索した画面上で,jprs「Whois」検索が実行され,ドメイン情報「google.co.jp」の検索結果,そのURLの属性情報の全部又は一部が画面表示される。 (2) 引用発明ア引用刊行物(甲1)には次の記載がある。 「まずはネットワークのセキュリティに役立つツールを見ていこう。セキュリティというとウイルス対策が真っ先に思い浮かぶが,ことウイルス対策に関しては,1本のアンチウイルスソフトを導入して,定義ファイルをきちんと更新するのがもっとも効果的であり,複数のアンチウイルスソフトを導入する意味はほとんどない。そこでここでは,不正侵入(アタック)から身を守るのに有効なファイアウォールソフトと組み合わせて使いたいツールを取り上げる(p.121 図1)。 ファイアウォールは基本的に許可されていない外部からのアクセスはすべて不正なアクセスとみなし,シャットアウトする。必要なアクセスでも,設定が不十分な場合などにはシャットアウトしてしまうこともあるわけだ。このような場合,多くのファイアウォールソフトは,具体的なIPアドレスを示して,そこからアクセス要請が来ているが受け入れてよいかとユーザに問い合わせる。よく分からない場合はとりあ- 25 -えず却下するべきだが,先にも触れたように実は不正ではないアクセスの可能性もある。 そこで,IPアドレスを頼りに相手が信用できる者かどうか,悪意を持って不正侵入を仕掛けているのかどうかを調べてみよう。」(121頁右欄1行~122頁左欄20行)「より手軽にWhois検索を行いたいなら,「Ho レスを頼りに相手が信用できる者かどうか,悪意を持って不正侵入を仕掛けているのかどうかを調べてみよう。」(121頁右欄1行~122頁左欄20行)「より手軽にWhois検索を行いたいなら,「HotWhois」が便利だ。世界中の88か所のWhoisサーバに接続し,指定ホストのWhois情報を検索する。MagicNetTraceと同様に,InternetExplorerの「ツール」メニューから呼び出せ,ツールバーのボタンからはワンクリックで表示中のWebページのサーバのWhois情報を表示できる。」(122頁中欄25行~右欄3行)「自分のマシンだけでなく,LAN全体のセキュリティ強化に役立つツールも紹介しておこう(図2)。」(122頁右欄22行~24行)イ審決が認定した引用発明上記引用文献1の記載から審決が認定した引用発明は,当事者間に争いがない。 ウ補正発明と引用発明との対比審決は,「補正発明における「フィッシング詐欺」とは,ユーザのコンピュータに不正に侵入し偽サイト情報を提示するものであるから,上位概念において不正侵入であると言え,よって,引用発明の「不正侵入を防ぐためのマシンとネットワークよりなるシステム」と,補正発明の「フィッシング詐欺防止システム」とは,ともに,“不正侵入防止システム”である点で共通すると言える。」と認定し,一致点として「不正侵入防止システム」を挙げている。 補正発明は,フィッシング詐欺を防止するための本人確認迅速化補助システムであるが,補正発明が防止しようとする「フィッシング詐欺」は,本願明細書の記載からみて,原告のいうように「例えば,メールを送りつけて偽のWebサイトにユーザーを誘導したり,真正のWebサイトに侵入して予め構築しておいたフィッシ- 26 -ング用の 欺」は,本願明細書の記載からみて,原告のいうように「例えば,メールを送りつけて偽のWebサイトにユーザーを誘導したり,真正のWebサイトに侵入して予め構築しておいたフィッシ- 26 -ング用のポップアップ画面を経由してユーザーを誘導したりすることによって,ユーザーを欺罔して錯誤に陥れ,IDやパスワード,銀行口座番号などをユーザーに入力させて,それらを盗みとろうとするもの」である。すると,フィッシング詐欺は,ネットワークのセキュリティの問題ということはできるが,引用発明のファイアウォールソフトが防止する「許可されていない外部からのアクセス」と同様な意味で,「ユーザのコンピュータに不正に侵入」するものとはいえない。したがって,審決が,引用発明と補正発明とは,「不正侵入防止システム」である点で共通するとの審決の認定は誤りである。 被告は,本願出願時点では,フィッシング詐欺は,①ユーザに電子メールを送りつけ偽のリンク先をクリックさせる方法に加えて,②ユーザのコンピュータにウィルスを侵入させて偽のサイトに導く方法も周知であった(乙1)から,補正発明と引用発明が「不正侵入防止システム」の点で共通するとした審決の認定に誤りはないと主張する。しかし,フィッシング詐欺に上記①及び②の両者が含まれるとしても,補正発明が上記②のウィルスの侵入による「フィッシング詐欺」を対象とするものとはいえないことは,本願明細書の記載からみて明らかであるから,被告の主張は理由がない。 エ審決の一致点の認定の誤りの審決の結論への影響審決は,「一致点」として「不正侵入防止システム」を挙げつつも,他方で「相違点1」として,「補正発明が「フィッシング詐欺防止システム」であるのに対し,引用発明は,「不正侵入防止システム」である点。」を認定し,両者を相違したもの 侵入防止システム」を挙げつつも,他方で「相違点1」として,「補正発明が「フィッシング詐欺防止システム」であるのに対し,引用発明は,「不正侵入防止システム」である点。」を認定し,両者を相違したものと扱った上で,「相違点1」の容易想到性を判断している。 したがって,上記一致点についての認定の誤りは,審決の結論に影響を及ぼすものではない。 3 取消事由3(相違点の判断の誤り)について(1) 相違点1について引用文献2(甲2)には,関連する図とともに,以下の技術的事項が記載されて- 27 -いる。 「フィッシング詐欺はメールを使ってユーザーを偽サイトへおびき寄せ,カード情報や個人情報などを入力させて情報を盗む行為である。 ・・・・・・こうした手口には,ユーザーがメールやWebサイトに不審な点がないかをチェックすることが肝心だ。」(57頁中欄4行~右欄8行)・・・・・・「DNSの応答後にデータベースに接続これらの機能をオンにしてWebサイトへアクセスする際の流れを図5に示した。 一般的にURLを入力すると,・・・DNSサーバーで名前解決後,ウイルスバスター2006はトレンドマイクロのデータベースに接続してWebサイトの評価情報を取得する。評価情報とは,ドメイン名,IPアドレス,Webサイトのカテゴリ,信頼性情報(信頼サイト,フィッシング詐欺サイト,未登録サイト)の四つ。」(58頁中欄15行~右欄14行)58頁の図4には,「InternetExplorer」のツールバーについて表示するとともに,当該ツールバーの「アドレス」バーの横にブラウザに表示中のページのアドレス情報が表示された態様が示され,当該「アドレス」バーに関連して,下段のURL表示に関する説明として,「実際に入力したURLを表示(異 ルバーの「アドレス」バーの横にブラウザに表示中のページのアドレス情報が表示された態様が示され,当該「アドレス」バーに関連して,下段のURL表示に関する説明として,「実際に入力したURLを表示(異なるサイトにリダイレクトされたかどうかをアドレスバーと比較できる)」と記載されている。 また,58頁の図5左図には,ユーザ端末からWebサイトへアクセスするために,トレンドマイクロのデータベースにおいてサイト評価を行った後,Webサーバーからコンテンツを受け取る仕組みが示されており,図中下方のユーザ端末から,DNSサーバーにURLを送信して(②)名前解決を行った後,トレンドマイクロのデータベースに「ドメイン情報」を送信し(④),ドメイン名を含むサイト評価情報が返される(⑤)態様が示されている。 - 28 -上記のとおり,引用文献2には,メールを使ってユーザーを偽サイトへおびき寄せ,カード情報や個人情報などを入力させて情報を盗む態様によるフィッシング詐欺を防ぐには,ユーザーがメールやWebサイトに不審な点がないかをチェックする必要があることが記載され,さらに,実際に入力したURLを表示することにより,異なるサイトにリダイレクトされたかどうかをアドレスバーと比較できることなどが記載されているから,フィッシング詐欺を防ぐことを目的として,Webサイトに不審な点がないかをチェックするためには,URLやIPアドレスを確認することが有効であることは明らかである。 すると,引用文献2に接した当業者は,不正侵入を防ぐためにIPアドレスに基づいて相手が信用できる者かどうかを調べる引用発明を,Webサイトに不審な点がないかをチェックすることにより,フィッシング詐欺を防ぐために用いることを容易に想到し得るといえる。 よって,審決の相違点1の判断に誤り きる者かどうかを調べる引用発明を,Webサイトに不審な点がないかをチェックすることにより,フィッシング詐欺を防ぐために用いることを容易に想到し得るといえる。 よって,審決の相違点1の判断に誤りはない。 (2) 相違点2,3についてア引用文献2の上記(1)の記載によれば,「インターネットアクセスに通常用いられるブラウザのツールバー上に,現在表示しているページのアドレス情報を表示する」ことが周知技術であることが認められる。 イ参考文献1(甲3)には,以下の記載がある。 「「履歴」の一覧を表示するには,時計の形をした「履歴」ボタンをクリックします(図4)。するとウインドウの左側に日付順にまとまって表示されるので,そのページをいつ見たかを思い出してその日のアイコンをクリックします(図5①)。すると,過去に見たホームページがサイトごとに表示されます。サイト名をクリックすると(図5②),今度はページ単位で表示されるので,見たいページを選んでクリックすれば(図5③),ウインドウの右側にそのページが表示されます(図6)。」(84頁第3段目右から15行~85頁第1段目右から7行)85頁の図「5」には,ブラウザのページ表示画面が示されており,右側にペー- 29 -ジの表示画面が,左側に履歴の一覧表示画面が,同一画面において表示され,また,左側の履歴一覧表示では,ページ単位で表示された履歴が,クリック可能な状態で,アイコン及び対応するアドレス情報の表示とともに表示された態様が示されている。 上記の記載等によれば,「ブラウザ上でクリックするボタン機能をアイコンやページに関する情報とともに表示させること」が常套手段であることが認められる(常套手段1)。 ウ引用文献2の上記(1)の記載によれば,「ページに関する情 でクリックするボタン機能をアイコンやページに関する情報とともに表示させること」が常套手段であることが認められる(常套手段1)。 ウ引用文献2の上記(1)の記載によれば,「ページに関する情報としてのドメイン名をURLより生成すること」が常套手段であることが認められる(常套手段2)。 エ引用発明の「ツールバーのボタン」に,上記常套手段1,2の存在を前提として,上記周知技術を適用すると,①「ツールバーのボタン」は,クリックすることにより,「HotWhois」の機能を実現するボタンといえるから,「Whois検索アイコン表示ボタン」とすること,②「アイコンやページに関する情報」としての「ドメイン名」を表示すること,③表示する「ドメイン名」を「ユーザーが閲覧中のWebサイトのURLから抽出する」ことは,いずれも当業者が容易に想到し得るといえるから,相違点2,3について容易想到との審決の判断に誤りはない。 オ原告は,引用文献2及び参考文献1には,Whois検索アイコン表示ボタンとドメイン名を結びつけた上記構成を開示されていないとするが,審決は,そのような構成が開示されていると認定したものではなく,引用文献2及び参考文献1の記載を例示して,上記周知技術,及び常套手段1,2の存在を示した上で,引用発明に周知技術を適用することにより,相違点2,3に関する構成が容易に想到し得ると判断したものである。上記のとおり,その判断に誤りはないから,原告の主張には理由がない。 (3) 相違点4~8について- 30 -原告は,補正発明は,「インターネットを介して検索結果のドメイン名およびその組織名を(前記ユーザーパソコンのバッファ内に取り込)」むのであって,参考文献1のように,これらの項目について,有名サイト情報のみをあらかじめ ,「インターネットを介して検索結果のドメイン名およびその組織名を(前記ユーザーパソコンのバッファ内に取り込)」むのであって,参考文献1のように,これらの項目について,有名サイト情報のみをあらかじめシステム内に格納するものではない。また,参考文献1及び参考文献2(甲4)には,インターネットを介して検索結果のドメイン名およびその組織名を閲覧中のWebサイトと同一の画面上に表示するという上記構成について,開示も示唆もされていないと主張する。 しかし,参考文献1,2は,上記常套手段1及び周知技術(「・・・ブラウザの表示ページに関する情報を,表示ページと同一画面上において表示すること」)の存在を例示するために提示されたものであって,Whois情報の検索に関して示されたものではない。 そして,引用発明の「Whois情報」は,世界中のWhoisサーバから,指定ホストのWhois情報を検索した結果であるから,この点において補正発明と異なるものではなく,原告の主張には理由がない。 (4) 効果について原告は,補正発明のフィッシング詐欺防止システムは,ドメイン名の正式法人名(組織名)をWebサイト閲覧者が同一画面内において直接確認することができ,企業名自体の本人確認の判断情報が直接表示提供されるので,「なりすまし(偽)判定」が正確に遂行でき,また,近年発生のなりすましHPの発見が迅速・正確に実行でき,フィッシング詐欺防止を一層確実にすることが可能となり,また,ファーミング詐欺防止においても同様の効果を有することができると主張する。 しかし,上記(1)~(3)のとおり,引用発明を相違点1ないし8の構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。そして,そのような構成とした場合には,原告の主張する効果を奏することは明らかであるから, 記(1)~(3)のとおり,引用発明を相違点1ないし8の構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。そして,そのような構成とした場合には,原告の主張する効果を奏することは明らかであるから,補正発明の奏する効果は,引用発明及び周知技術等の奏する効果から予想される範囲内のものである。 すると,補正発明の効果についての審決の判断に誤りはなく,原告の主張には理- 31 -由がない。 第6 結論以上によれば,原告の主張する取消事由にはいずれも理由がなく,原告の請求には理由がない。よって,主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第2部 裁判長裁判官清水節 裁判官池下朗 裁判官新谷貴昭

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