平成11(行ウ)11等 補助金支出差止請求事件

裁判年月日・裁判所
平成15年2月26日 奈良地方裁判所 住民訴訟
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判決文本文20,234 文字)

主文 1 原告らの本件訴えを却下する。 2 原告共同訴訟参加人らの本件訴えのうち,平成14年10月16日までになされた支出の差止めを求める部分を却下し,その余の請求を棄却する。 3 訴訟費用のうち,原告らと被告との間に生じたものは,原告らの負担とし,原告共同訴訟参加人らの参加によって生じたものについては,原告共同訴訟参加人らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求被告は,α都市計画β駅前γ地区中央街区第一種市街地再開発事業に関する補助金として公金を支出してはならない。 第2 事案の概要本件は,甲事件の原告らが,機関としての王寺町長である被告に対して,α都市計画β駅前γ地区中央街区第一種市街地再開発事業(以下「本件事業」という。)に関して,同事業は,同事業の事業主体であるβ駅前γ地区中央街区市街地再開発組合(以下「本件組合」という。)の設立認可処分(以下「本件認可」という。)が違法であり,また,本件事業は破綻する可能性が高く,危険で不適切なものであるから,このような事業のために,公金(補助金)を支出することは違法であると主張して,平成14年法律第4号による改正前の地方自治法(以下,地方自治法については平成14年法律第4号改正前のそれを指す。)242条の2第1項1号に基づき,補助金の支出の差止めを求めた事案である。 なお,乙事件は,β町の町民である原告ら以外の者らが,被告に対し,甲事件と同一内容の差止請求を行ったものであるがこれを,甲事件についての民事訴訟法52条の共同訴訟参加とする旨申し立てたものである。 1 前提事実(争いのない事実及び証拠により容易に認定できる事実等)(1) 当事者原告P1は,住民票上の住所を奈良県北葛城郡δ町内に有し,同郡β町内に事務所を構え,司法書士等を業としている者である(甲7ないし9 いのない事実及び証拠により容易に認定できる事実等)(1) 当事者原告P1は,住民票上の住所を奈良県北葛城郡δ町内に有し,同郡β町内に事務所を構え,司法書士等を業としている者である(甲7ないし9)。 原告P2は,住民票上の住所を奈良県生駒郡ε町内に有し,同郡β町内に営業所を構え,そば,うどん店の経営等を業とする「有限会社だるま軒」の代表取締役である(甲3ないし5)。 原告共同訴訟参加人(以下「参加人」という。)らは,いずれも奈良県北葛城郡β町の住民である。 (2) 本件事業についてア施行者,施行地区等本件事業は,第一種市街地再開発事業として,本件組合を施行者,β駅前γ地区中央街区(以下「本件地区」という。)を施行地区とし,ジェイアールβ駅北側に位置する奈良県北葛城郡ζの一部及び同ηの一部(面積約2.5ヘクタール)を施行地区の区域として,施行されるものである。なお,市街地再開発事業の内容や手続等については,都市再開発法に定められており,第一種市街地再開発事業は市街地再開発組合が施行するものであるが,その執行手順の概略は,まず定款及び事業計画を定めて,都道府県知事から当該組合の設立認可を受け,次に,権利変換手続に入り,配置設計,権利者の権利変換前後の権利内容と概算額,参加組合員の取得する権利の内容,保留床の処分方法及び権利変換期日等を内容とする権利変換計画を作成して,総会の議決及び審査委員の同意を経た上で都道府県知事から権利変換計画の認可を受け,その後,土地の明渡し請求等を行い,工事の着工を行い,工事の完了後,都道府県知事から組合解散の認可を受けて清算人による清算事務等がなされ,市街地再開発事業を終了するというものである。 イ本件事業の資金計画本件事業は,第一種市街地再開発事業として,権利変換方式により施行され,収入は,総 認可を受けて清算人による清算事務等がなされ,市街地再開発事業を終了するというものである。 イ本件事業の資金計画本件事業は,第一種市街地再開発事業として,権利変換方式により施行され,収入は,総事業費約251億2200万円のうち,補助金が56億6900万円,管理者負担金が83億2700万円,保留床処分金が111億2500万円,その他が100万円とされている。なお,支出については,調査設計計画費が12億8000万円,土地整備費が13億7900万円,補償費が49億7900万円,工事費が160億8200万円,事務費が5億9900万円,借入金利子が8億0300万円とされている。このうち,補助金は,都市再開発法に基づく市街地再開発事業を推進するために交付される補助金として,国の市街地再開発専業費補助(一般会計)交付要綱に基づき,建設省(現在は,国土交通省)所管の国庫補助専業として採択された当該再開発事業に対し,β町がβ町市街地再開発事業補助金交付要綱(以下「本件要綱」という。)に基づき,予算の範囲内で当該事業施行者である本件組合に対し,交付するものであり,補助の対象については,本件要綱に基づき,本件組合が実施した補助対象事業に要した費用の3分の2に相当する額を限度(以下「補助基本額」という。)として補助するものであり,この補助基本額の2分の1が国庫補助金として,また,4分の1が奈良県補助金として,それぞれ補助される。このことから,β町として補助する額は,補助基本額の4分の1に相当する額となる(以下,このようにβ町が本件事業のため補助のため支出するものを「本件補助金の支出」という。)なお,奈良県知事は,奈良県市街地再開発事業費補助金交付要綱により,都市再開発法に規定された市街地再開発事業を行う市街地再開発組合等に補助金を交付する市町村に対し,事 「本件補助金の支出」という。)なお,奈良県知事は,奈良県市街地再開発事業費補助金交付要綱により,都市再開発法に規定された市街地再開発事業を行う市街地再開発組合等に補助金を交付する市町村に対し,事業の進捗状況に応じて,各年度ごとに当該補助に要する経費の4分の1以内の額を補助することとしている。 ウ本件事業の事業施工期間本件事業の事業施工期間は,平成11年1月から平成16年3月までとされ,事業実施計画としては,平成8年12月に都市計画決定がなされ,以降,事業計画案においては,平成11年1月ころに,事業施行者となる市街地再開発組合の設立認可,平成12年1月ころに,権利変換期日,平成12年7月ころに工事に着工し,平成15年8月ころに工事完成,平成16年3月に市街地再開発組合の解散が予定されていた。 (3) 本件認可についてア平成6年2月,β駅前γ地区中央街区第一種市街地再開発準備組合設立発起人会が発足し,同年4月,β駅前γ地区中央街区市街地再開発準備組合が設立された。 イ平成10年12月28日,組合設立発起人らは,奈良県知事に対し,本件組合の設立認可を申請した。これに対し,奈良県知事は,都市再開発法11条1項に基づき,本件事業を施行する本件組合の設立認可(本件認可)をし,平成11年3月26日付奈良県告示第663号をもって公示した。 (4) 本件要綱の規定(乙3)別紙のとおり(5) 本件事業に関する補助事業についてア一般会計補助事業について(ア) 国庫補助事業a 補助対象事業(a) 調査設計計画費事業計画の作成,地盤調査,建築設計,権利変換計画の作成などの調査設計計画に要する費用(b) 土地整備費建築物の除却,土地の整地,仮設店舗等の設置及び補償費等土地整備に要する費用(c) 共同施設整備費建物(再開発施設) 計,権利変換計画の作成などの調査設計計画に要する費用(b) 土地整備費建築物の除却,土地の整地,仮設店舗等の設置及び補償費等土地整備に要する費用(c) 共同施設整備費建物(再開発施設)を共同化することにより必要になる共用の通路,公共空間,駐車施設や供給処理施設,消防施設等共同施設の整備に要する費用b 補助金(a) 国庫補助金「市街地再開発事業費補助(一般会計)交付要綱」に基づき交付される。国庫補助金の補助率は,組合が実施する補助対象事業費の3分の1(地方公共団体が補助する額の2分の1以内)(b) 県補助金補助対象事業費の6分の1(c) 町補助金補助対象事業費の6分の1((b),(c)合わせて3分の1)上記により,再開発組合は町からの補助金として,補助対象事業費の3分の2を受けることになる。 (d) 組合負担補助対象事業費の内,町からの補助金以外の部分(3分の1)が組合の負担となる。この資金は,組合が金融機関等から資金調達し,事業完了時に,住宅・商業・公共施設等の「保留床」処分金(売却金)により清算するもの。 (イ) 組合単独事業住宅や商業施設,業務施設等の施設建築物(再開発ビル)の整備に係る経費の内,補助対象となる共同施設の整備に係る経費以外の経費は,組合の単独事業として組合が負担することとなる。この経費についても,金融機関等から借入れにより資金調達をし,保留床処分金で清算する。 イ道路整備特別会計事業(公共施設管理者負担金)について市街地再開発事業施行区域内の都市計画道路,駅前広場等の公共施設整備については,組合がそれぞれの施設管理者に代わって整備を行い,その経費について施設管理者が「公共施設管理者負担金」を支払うもの。それぞれの施設管理者については,その負担金の2分の1が国から補助金として交 ては,組合がそれぞれの施設管理者に代わって整備を行い,その経費について施設管理者が「公共施設管理者負担金」を支払うもの。それぞれの施設管理者については,その負担金の2分の1が国から補助金として交付される。 (6) 原告ら及び参加人の住民監査請求及び本件訴えの提起等ア原告らは,本件事業に対する平成11年度の補助金支出行為について必要な措置を取ることを求めて,平成11年7月19日付で,β町監査委員に対し,それぞれ別個に住民監査請求を行ったところ(甲1の1及び2),β町監査委員は,同年8月9日,上記各請求に対し,原告P1,同P2ともβ町内に住所を有さず,住所要件を具備しないことを理由にそれぞれ却下する決定をし,その旨の通知が同月10日に原告らに到達した。原告らは,同年9月8日,本件訴えを提起した。 イ参加人らは,本件事業に対する平成11年度の補助金支出行為について必要な措置を取ることを求めて,平成11年7月19日付で,β町監査委員に対し,住民監査請求(以下「本件監査請求」という。)を行ったところ(丙1,弁論の全趣旨),β町監査委員は,同年9月14日に同請求を棄却する決定をし,その旨通知し,同月15日に参加人らに到達した(丙2,弁論の全趣旨)。参加人らは,同年10月8日,共同訴訟参加の申出をした。 2 争点(1) 原告P1及び同P2の当事者適格(2) 本件補助金支出の適法性 3 争点に対する当事者の主張(1) 争点(1)(原告P1及び同P2の当事者適格)について(被告の主張・本案前の答弁)住民監査請求及び住民訴訟提起ができる「住民」とは,当該地方公共団体の住民基本台帳に記載された者を意味すると解すべきである。しかし,原告P1及び同P2は,いずれも,β町内に住民票上の住所を有しておらず(すなわち,同町の住民基本台帳に記載されていない。 地方公共団体の住民基本台帳に記載された者を意味すると解すべきである。しかし,原告P1及び同P2は,いずれも,β町内に住民票上の住所を有しておらず(すなわち,同町の住民基本台帳に記載されていない。)β町の住民とはいえないから,本件訴えの原告適格を有しない。 (原告らの主張)住所の意義について,民法21条は「生活の本拠」を住所としているし,それぞれの生活関係について,その場所的中心を住所と認めるべきであるところ,住民登録のある場所は,一応住所であると推定されるが,住民登録がない場所でも,本当にそこが生活の場所であれば,そこが住所であるというべきである。原告P1及び同P2は,いずれもβ町内に事業所としての土地建物を有し,β町に町民税及び固定資産税を納税しているし,生活営業関係の中心地としているので,本件住民監査及び住民訴訟の要件としての住所をβ町に有していると考えるべきである。 (2) 争点(2)(補助金支出の適法性)について(原告ら及び参加人らの主張)本件事業は,以下の理由で,破綻するおそれが大きく,このような危険で不適切な事業に補助金を支出する行為は,「公益上の必要がある場合」(地方自治法232条の2)に違反するものである。 ア本件認可設立処分の違法本件設立認可は,都市再開発法14条所定の,知事の再開発組合設立認可の要件として,地権者の3分の2以上の同意の要件をみたしておらず,違法である。本件において,所有権者は81名で法定必要数は54名であるところ,同意した者の数は56.8名であったが,うち2名が同意を取り消した。この2名を除くと,同意した者の数は法定必要数を0.8名分上回っているにすぎない。そして,上記同意した者の数の中には,β町とβ町土地開発公社(以下「土地開発公社」という。)とが含まれている。土地開発公社は,形式的に 同意した者の数は法定必要数を0.8名分上回っているにすぎない。そして,上記同意した者の数の中には,β町とβ町土地開発公社(以下「土地開発公社」という。)とが含まれている。土地開発公社は,形式的にはβ町とは別法人であるが,β町が全額出資していて,実質的には同一のものであり,これを2名分の同意と計算するのは誤りである。また,一住民ではなく,地方公共団体であるβ町は本件事業に賛成か反対かについての意見を表明しないのが公平であるから,地権者の中に加えるべきではない。以上の理由により,β町及び土地開発公社は同意した者の数に算入すべきでないから,同意した者の数は52.8名ということになり,法定必要数を下回る。もし,β町と土地開発公社を同意した者の数に入れるとしても,どちらか一方のみにすべきであるが,この場合も法定必要数は下回る。 イ本件事業が成り立たないことについて(ア) 本件事業は,当初,地下1階から地上3階までの1万9490平方メートルを核店舗が占めることを前提に計画されていた。この面積はAブロックの店舗部分の約5分の4を占めるもので,本件事業は核店舗抜きでは成り立たない計画である。この核店舗として,株式会社大丸百貨店(以下「大丸」という。)の出店が予定されていたが,大丸は平成11年4月に出店しないことを明らかにし,γ地域整備室に対し,出店しないことを正式に伝えた。その後,核店舗は株式会社西友(以下「西友」という。)にかわり,本件事業は,地下1階は,核店舗部分がなくなり,専門店と駐車場だけになって,駐車場部分が広くなっている。1階以上の部分もバックヤードが広くなるなど,核店舗と専門店の床面積が減り,駐車場部分が増やされるといった大幅な計画の変更がなされた。変更後の計画は駐車場ばかりが多くなっているということは,保留床の処分ができず,駐車場 クヤードが広くなるなど,核店舗と専門店の床面積が減り,駐車場部分が増やされるといった大幅な計画の変更がなされた。変更後の計画は駐車場ばかりが多くなっているということは,保留床の処分ができず,駐車場の収入も期待できず,本件事業は大幅な赤字になると予想される。 (イ) 本件事業計画は,当初,A棟だけで,地下2階に1万5930平方メートルと560平方メートルの駐車場を作って,駅前に車を誘致しようというものであった(その後,平成13年1月には,約2万9340平方メートルになっている。)。周辺道路は渋滞に悩まされており,道路の抜本的解決なしに駐車場とそこへの道だけを広くしても渋滞をひどくするだけである。 (ウ) β駅は,電車で大阪のθから30分,ιから15分の距離にあり,同駅付近にはスーパーが2つ,車で10分以内の距離に郊外型大型店舗が4つある。現在の経済情勢でこのうえ同駅前に大型店舗を作って経営が成り立つとは考えられない。 (エ) 保留床が簡単に売却できないので,第三セクターを作り,これに買い取らせて本件事業を進めようとしているが,この第三セクターは実質的にはβ町と同一であり,第三セクターが破綻すれば,β町の財政も破綻する。駐車場についても,住宅用の部分を除いて,β町が町営駐車場として買い取る予定であったが,新たに第三セクターを作って買い取らせるということである。第三セクターを作って事業を進めること自体がその事業が既に破綻していることを示しており,本件事業が成り立たないことを示している。 (被告の主張)ア本件組合の設立認可申請に際しては,都市再開発法14条所定の「施行地区となるべき区域内の宅地について所有権を有するすべての者及びその区域内の宅地について借地権を有するすべての者(以下「同意権者」という。)のそれぞれの3分の2以上の同意」を得て 14条所定の「施行地区となるべき区域内の宅地について所有権を有するすべての者及びその区域内の宅地について借地権を有するすべての者(以下「同意権者」という。)のそれぞれの3分の2以上の同意」を得ており(同意を得たことを証する書類の添付もあった。),本件設立認可は適法である。 イ本件事業は,老朽化した家屋が密集しているために防災機能及び都市基盤整備も立ち遅れ,人口の流出と高齢化に伴い,商業をはじめとする様々な都市機能が衰退の傾向にある本件地区について,再開発事業を実施することにより,土地の集約化・高度利用を行い,駅前広場と国道κ線を結ぶ道路などの公共施設の整備,建築物の不燃化,公益施設の誘導及び商業の活性化など,複合的な都市機能の再構築を図るための都市計画事業であって,β町の重要課題の一つである。β町は,本件組合と協力しながら,本件地区を便利で活力のあるまちにするために,本件事業を進めている。本件事業に欠くことのできない核店舗については,西友と本件組合との間で,出店に関する基本協定の締結がなされているし,第三セクターであるβ都市開発株式会社(以下「本件会社」という。)も,本件事業により権利変換を受けた権利者の資産の保全と有効な運用を図り,また,保留床を買い取り,魅力ある商業施設を展開する企業を誘致して,保留床を賃貸し,将来にわたり健全な商業施設の管理運営を図るものである。本件補助金は,市街地再開発事業の適正な執行と円滑な運用を実施するため,再開発事業の経費に対し,予算の範囲内において補助金を交付するものであり,被告は,本件要綱に従って,交付を行うものである。 ウ本件事業に対する補助の相当性以上により,本件事業の公益性は明らかであり,補助金の交付は,地方自治法232条の2に反するものではない。 第3 争点に対する判断 1 争点(1)に うものである。 ウ本件事業に対する補助の相当性以上により,本件事業の公益性は明らかであり,補助金の交付は,地方自治法232条の2に反するものではない。 第3 争点に対する判断 1 争点(1)について(1)ア地方自治法242条の2第1項各号の訴えを提起し得る「住民」は,同法10条1項に規定する「住民」と同義であると一般に解されている。 イところで,同法10条1項は「市町村の区域内に住所を有する者は,当該市町村及びこれを包括する都道府県の住民とする」と規定するが,住民基本台帳法4条の規定は,地方自治法10条1項所定の「住所」が,常に住民票記載の住所によつて決定されることまでを規定したものということはできないとしても,当該区域内に住所を有するか否かの判断基準としては,当初から,住民票に住民として記載されている場所に生活の本拠を有しなくなっていることが明らかであるといった特段の事情がなければ,第一次的には,住民の居住関係の確定,証明一般について定める住民基本台帳法による住民票の記載によるのが相当である。なぜなら,住民票の記載は,住民の届出に基づいて市町村長がこれを作成するものであって,高度の公証的機能を有し,選挙人名簿の登録をはじめとして,住民に関する各種行政事務はこれを基礎として行われているのみならず,生活の本拠を推認させる重要な資料ともなるからである。 ウしたがって,地方自治法242条の2第1項各号の訴えを提起し得る「住民」とは,原則として,当該市町村に住民票上の住所を有する者を指すものと解するのが相当である。この点,原告P1は,原告P2及び同P1両名とも,それぞれβ町内に生活経済関係としての生活の本拠があるから,β町内に住所を有すると認めるべきであると主張する。しかし,この主張は,複数の住所を認める前提に立つところ,私法上の住 及び同P1両名とも,それぞれβ町内に生活経済関係としての生活の本拠があるから,β町内に住所を有すると認めるべきであると主張する。しかし,この主張は,複数の住所を認める前提に立つところ,私法上の住所はさておき,公法上の住所については,選挙権その他住民としての公的な権利を行使する基準となることから考えると,1か所に限られるというべきである。そして,住民訴訟提起の適法要件である住民としての資格は,原告が立証すべきものであるところ,本件においては,原告P1及び原告P2が,それぞれ各住民票上の住所において,生活している実態が全くないなどといった主張,立証はないから,同住所が生活の本拠であるとの,住民票の記載による推認を覆すことはできない。したがって,本件において,原告P2及び同P1は,いずれも住民訴訟における「当該普通地方公共団体の区域内に住所を有すること」という要件を欠くというべきである。 (2) そうすると,原告P1及び原告P2は,地方自治法242条の2第1項各号の訴えを提起し得る「住民」であるということはできないから,原告P1及び原告P2が提起した甲事件の訴えは不適法である。 2 争点(2)について(1)ア地方自治法242条の2第1項1号に基づく差止めの請求は,当該行為がされる以前か,当該行為がされつつあるときにのみ認められ,差止請求訴訟の係属中にその行為が終了したときには,その訴えの利益は消滅するものと解される。 前提事実及び弁論の全趣旨によれば,被告は,本件口頭弁論終結時である平成14年10月16日までに,本件補助金として,平成11年度に1億0200万円を,平成12年度が2600万円,及び,平成13年度(平成14年3月31日まで)に1億8250万円等を,本件組合に対し,それぞれ支出していること,本件事業は,本件認可処分後実施され, 億0200万円を,平成12年度が2600万円,及び,平成13年度(平成14年3月31日まで)に1億8250万円等を,本件組合に対し,それぞれ支出していること,本件事業は,本件認可処分後実施され,平成16年4月完成予定であり,本件口頭弁論終結後もその支出が予定されていることが認められる。そうすると,本件差止めを求める訴えのうち,上記の当審口頭弁論終結時までに実行されたことが明らかな各補助金の支出については,差止めを求める利益が消滅したというべきであるから,上記支出された部分に係る訴えは不適法として却下を免れないが,その余の部分についてはいまだ訴えの利益はあるというべきである。 イなお,本件の差止請求は,本件事業の完成に向けての一連の経費の支出等が違法であるとしてその差止めを求めているものであると解されるところ,証拠(丙1)及び弁論の全趣旨によれば,参加人らは,本件監査請求において,監査委員に求める措置として,「(本件)事業の続行は極めて危険な行為であり,これに対する補助金の支出は不当な公金の支出である。平成11年度分がまだ支出されていない場合は支出を中止し,すでに出されている場合には返還を求める」などとしており,本件監査請求も,本件事業を全体として一体とみて,その完成に向けて行われる一連の財務会計行為(ここでは補助金の支出ないしそのための支出命令)についてその差止めを求めるものとみることができるし,本件事業についての個々の行為を個別,具体的に摘示しなくても,差止請求の対象は特定されていることになるものというべきであるから(最高裁判所平成5年9月7日判決・民集47巻7号4755頁参照),本件訴えは,住民監査請求の前置の要件をみたしているし,差止請求の対象となる行為の特定にも欠けることはないというべきである。 (2)アところで,参加人ら 月7日判決・民集47巻7号4755頁参照),本件訴えは,住民監査請求の前置の要件をみたしているし,差止請求の対象となる行為の特定にも欠けることはないというべきである。 (2)アところで,参加人らは,本件補助金の支出の差止めを求める訴えにおいて,その違法事由として,本件事業が,①本件認可が違法であり,また,②破綻するおそれが大きい,といった理由で危険で不適切であると主張している。参加人らの主張の趣旨からすれば,本件支出の違法事由は,直接的に本件財務会計行為(補助金の支出)についてのものではなく,本件再開発事業の内容についてのものであり,その結果として,本件補助金の支出は,「公益上の必要性」(地方自治法232条の2)がないと主張しているものと解される。 イ(ア) 地方自治法242条の2の規定に基づく住民訴訟は,普通地方公共団体の執行機関又は職員による同法242条1項所定の財務会計上の違法な行為又は怠る事実の予防又は是正を裁判所に請求する権能を住民に与え,もって地方財務行政の適正な運営を確保することを目的とするものである(最高裁判所昭和53年3月30日判決・民集32巻2号485頁参照)。そして,同法242条の2第1項1号の規定に基づく差止請求訴訟は,このような住民訴訟の一類型として認められているものにほかならない。したがって,当該職員の財務会計上の行為をとらえて上記規定に基づく差止めをすることができるのは,たとえこれに先行する原因行為に違法事由が存する場合であっても,上記原因行為を前提としてされた当該職員の行為自体が財務会計法規上の義務に違反する違法なものであるときに限られると解するのが相当である(最高裁判所平成4年12月15日判決・民集46巻9号2753頁参照)。 (イ) しかし,本件差止めを求める訴えにおける請求の原因として財務会計行為 法なものであるときに限られると解するのが相当である(最高裁判所平成4年12月15日判決・民集46巻9号2753頁参照)。 (イ) しかし,本件差止めを求める訴えにおける請求の原因として財務会計行為の違法を問題にしていると解される以上は,上記のとおり,原告らが実質的に問題としているのは,その背後にある原因行為であるというべき本件認可の違法性であって,これがそれ自体財務会計行為ではなく,しかも,本件訴えで被告とされている者とは別個の法主体がなした独立した行政処分であって,本来,被告は,本件認可について何らの権限も有していないから,本件事業の違法性を問いうるものではなく,あくまで,参加人らが違法であると主張する本件事業に補助金を支出したことを問題にすべきものであることを考慮してもなお,本件訴えがそのことを理由に直ちに不適法となるということはできない。 ウただし,この問題が本案の問題としてどのように扱われるべきかについては,別途検討を要する。すなわち,およそ公金の支出を伴わない行政上の行為は存在し難いものであるから,公金支出の背後にある財務会計行為以外の行為の違法を理由に公金支出も違法であると主張することにより背後の財務会計行為以外の行為の違法を争うことを無限定に認めると,住民訴訟の対象を財務会計上の行為に限定した趣旨を没却することにもなりかねないし,特に,財務会計行為以外の行為が行政処分である場合において,無限定にその違法性を争う余地を認めると,行政処分の公定力を否定したり,行政事件訴訟法が処分の取消しの訴えについて出訴期間等の制限を設け,法的安定性を図っていることを否定する結果をもたらしかねない。他方,住民訴訟において主張することのできる違法事由を財務会計行為が直接,法規に違反する場合に限定すると,地方財務行政の適正な運営確保を図る機会 定性を図っていることを否定する結果をもたらしかねない。他方,住民訴訟において主張することのできる違法事由を財務会計行為が直接,法規に違反する場合に限定すると,地方財務行政の適正な運営確保を図る機会は減少するといわざるを得ない。したがって,住民訴訟において主張することのできる違法事由としては,当該財務会計行為自体に存在する財務会計法規上の違法のほか,財務会計行為と事実上直接的な関係に立つ非財務会計上の行為(原因行為)に,法令違反があってこれを看過しては執行機関の誠実管理執行義務(地方自治法138条の2)違反をもたらすような場合の違法に限って主張することができると解するべきである。そして,原因行為に無効事由といえるような重大明白な違法がある場合,あるいは著しい裁量権濫用の違法がある場合には,財務会計行為自体も違法となると解するのが相当である。 (3) 以上の見地から,本件事業の違法性について検討する。 ア本件認可処分の違法性について(ア) 都市再開発法14条所定の同意権者は,「施行地区となるべき区域内の宅地について所有権を有するすべての者及びその区域内の宅地について借地権を有するすべての者」であり,これらの者らのそれぞれの3分の2以上の同意を得ることが要求され,また,この場合において,同意した者が所有するその区域内の宅地の地積と同意した者のその区域内の借地の地積との合計が,その区域内の宅地の総地積と借地の総地積との合計3分の2以上でなければならない旨規定されている。 (イ) 証拠(甲11)及び弁論の全趣旨によれば,本件事業の施行地区となるべき区域内の権利者数は,所有権者が81名,借地権者が45名の合計126名であり,このうち,所有権者には,β町及び土地開発公社が含まれていること,地積については,宅地が1万9386.86平方メートル,借地が 内の権利者数は,所有権者が81名,借地権者が45名の合計126名であり,このうち,所有権者には,β町及び土地開発公社が含まれていること,地積については,宅地が1万9386.86平方メートル,借地が4877.44平方メートルの合計2万4264.30平方メートルであることが認められる。そして,設立認可申請時における同意した者の数は,所有権者において,56.8名(70.1パーセント),その所有地の地積にして,1万4775平方メートル(76.2パーセント),借地権者において,37名(82.2パーセント),その借地の地積にして,3251.63平方メートル(84.5パーセント)であったことが認められる。 (ウ)a ところで,参加人らは,β町及び土地開発公社は同意した者の数に算入すべきでない,算入するとしてもどちらか一方のみにすべきである旨主張する。しかし,その根拠とするところは,地方公共団体であるβ町と公有地の拡大の推進に関する法律10条1項に基づき設立された土地開発公社というそれぞれ別個の人格を有する法人を同一視したり,都市再開発法の規定に明らかに反する解釈に基づくなど,独自の見解に基づくものであって,採用することはできない。さらに,参加人らは,β町及び土地開発公社とも地権者ではなく,同意権者でなかったとも主張するが,証拠(甲20ないし27,乙14の1ないし4,15,16,19,20,P3証人(第19回弁論))及び弁論の全趣旨によれば,参加人らが問題とするλ3537番の土地については,確かに,不動産登記簿上は日本国有鉄道(国鉄清算事業団)が所有者となっているものの,平成4年度中に実測の上,β町に売却されており,公図と現況の不一致等の理由で,本件認可時において,所有権移転登記手続が未了であったため,β町と,実際に土地代金を決済し,後でβ町に当該土 ているものの,平成4年度中に実測の上,β町に売却されており,公図と現況の不一致等の理由で,本件認可時において,所有権移転登記手続が未了であったため,β町と,実際に土地代金を決済し,後でβ町に当該土地を買い戻させた土地開発公社が協議の上,土地購入時に実測した6.83平方メートル分のみをβ町の所有地として,同意を行ったものであり,原告らの主張をもってしても,β町が所有していた土地について,都市再開発法2条5項の「宅地」に当たらないということはできないし,土地開発公社についての理由付けは,上記主張についてのそれと同様のものであるから,いずれも採用することはできない。 b また,参加人らは,本件設立認可申請時に同意した者のうち2名の同意が錯誤による無効,ないし,取り消されあるいは撤回されたとして,これらの者についても同意した者の数に算入することはできない旨主張する。確かに,証拠(甲16の1及び2,甲19)及び弁論の全趣旨によれば,平成11年3月24日付で,2名の者が,奈良県知事宛に「同意の無効ないし撤回の通知」と題する書面を送付したこと,これに対し,奈良県土木部都市計画課課長補佐が,同年4月5日付で,上記書面による申出には応じられないと回答の上,上記書面を返送していることが認められる。しかし,市街地再開発組合の設立認可申請に当たって必要とされる都市再開発法14条所定の同意は,当該組合の定款及び事業計画に対する同意であることはもちろんのこと,実質的にみても,当該組合の定款及び事業計画を承認した上で,それに基づく組合が設立され,再開発事業を行うことについての同意としての意味があるというべきであって,これを基礎として,知事による設立認可がなされ,これにより,組合設立の効力が発生し,新たな公法上の法律関係を形成させるものと解される。そうすると,同条所 の同意としての意味があるというべきであって,これを基礎として,知事による設立認可がなされ,これにより,組合設立の効力が発生し,新たな公法上の法律関係を形成させるものと解される。そうすると,同条所定の同意は,公法上の意思表示であって,民法の意思表示に関する規定が当然に適用されるものではないし,行政処分の公定力や法的安定性の見地からすれば,仮に,錯誤により同意がなされたとしても,当然にそれに基づく無効主張が可能であるとはいえないし,瑕疵ある意思表示による取消主張についても同様のことがいえるというべきである(なお,本件においては,「同意の無効ないし撤回の通知」の書面を奈良県知事宛に送付した同意権者らが錯誤,あるいは,詐欺により同意の意思表示をしたと認めるに足りる証拠はない。)。また,都市再開発法14条の規定上も,同条の同意は,組合の設立認可申請時に所定の要件をみたしていることが必要であり,かつ,それで足りるというべきであるから,認可申請後は,同意の撤回は認められないというべきである。 (エ) 以上,原告らの同意権者についての主張はいずれも採用できない。そうすると,前記(イ)で認定した同意権者数をそのまま前提にすると,本件においては,「同意した者が所有するその区域内の宅地の地積と同意した者のその区域内の借地の地積との合計が,その区域内の宅地の総地積と借地の総地積との合計3分の2以上」という土地再開発法14条所定の要件をみたしているというべきである。 そうすると,本件認可は,所定の要件をみたした同意権者らの同意を基礎になされたものであり,その他,手続的に違法であることを窺わせる事情も認められないから,本件認可は適法である。この点についての原告らの主張は理由がない。 イ破綻のおそれについて(ア) 原告らは,本件事業は破綻のおそれが大きいから,本件 違法であることを窺わせる事情も認められないから,本件認可は適法である。この点についての原告らの主張は理由がない。 イ破綻のおそれについて(ア) 原告らは,本件事業は破綻のおそれが大きいから,本件事業への交付金の支出は,地方自治法232条の2にいう「公益上の必要性」がない旨主張している。 (イ) ところで,補助金交付の適法性に関する判断基準について,地方公共団体の長は,地方自治の本旨の理念に沿って,住民の福祉の増進を図るために地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を担う地方公共団体の執行機関(地方自治法148条,149条参照)として,住民の多様な意見及び利益を勘案し,補助の要否についての決定を行うものであって,その決定は,事柄の性質上,当該地方公共団体の地理的・社会的・経済的事情及び他の行政政策との関連等諸般の事情を総合的に考慮した上での高度に政策的な判断を要するものであるから,公益上の必要性に関する判断に当たっては,第一次的には補助の要否を決定する地方公共団体の長の裁量に委ねられていると解される。したがって,その判断が裁量権の逸脱又は濫用があったと認められる場合にはじめて,当該補助金の支出は違法と評価すべきものと解するのが相当である。そして,本件のように,地方公共団体の長が特定の事業について補助金を交付する際に行った公益上の必要性に関する判断について,事業自体の違法性が問題とされている場合,裁量権の逸脱又は濫用があったか否かは,補助の対象となる事業の目的,性質及び状況等諸般の事情を当該補助金の交付の目的,趣旨及び経緯などを総合的に考慮した上で検討することが必要であると解される。そこで,以上のような見地から,本件補助金の交付が公益性を有するものか否かを検討する。 (ウ) 証拠(甲10ないし13,15,17,18,46ないし4 考慮した上で検討することが必要であると解される。そこで,以上のような見地から,本件補助金の交付が公益性を有するものか否かを検討する。 (ウ) 証拠(甲10ないし13,15,17,18,46ないし49,乙1,4,5ないし13,2,8,15,21,24の1及び2,P3証人(第14回弁論,第19回弁論)によれば,以下の事実が認められる。 a 本件地区は,大阪中心部まで30分以内という時間距離にあるβ駅を中心とする周辺地域であって,大阪のベッドタウンとして発展し,β駅の乗降客は1日8万人以上に及ぶ一方で,大和川と鉄道軌道に囲まれ,老朽化した家屋が密集しているために土地基盤整備も立ち後れ,人口の流出と高齢化に伴い,商業をはじめとする様々な都市機能が衰退の傾向にあり,再開発に向けての要請が高まっていった。 b 本件事業の経過とそれをめぐる動き(a) 上記のような要請から,昭和52年2月,本件地区の地元住民が,再開発に向けての勉強会組織として,「γ地域整備推進研究会」を発足させ,以下,再開発に向けての討議を続けてきた。β町及び奈良県についても,このような事情を踏まえ,本件地区の再開発を重要施策とし,β町においては,その後,商業調査実施などを経て,平成元年4月,β町において,γ地域整備室が設置された。平成5年12月,駅前再開発事務所が開設された。 (b) 平成8年12月,本件事業につき,公共施設(道路・駅前広場),再開発地区,高度利用地区についての都市計画が決定した。 (c) 平成10年12月,第3セクター方式によって設立された株式会社が再開発ビルの保留床を買い取り,これを本件再開発ビルに誘致する核店舗に賃貸しながら,同ビルの管理,運営をしていく事業計画が立てられていたことから,地権者やβ町等が出資し,被告を代表取締役とする本件会社が設立された。 (d) 取り,これを本件再開発ビルに誘致する核店舗に賃貸しながら,同ビルの管理,運営をしていく事業計画が立てられていたことから,地権者やβ町等が出資し,被告を代表取締役とする本件会社が設立された。 (d) β町から核店舗としての出店を打診されていた大丸は,平成6年ころから出店について検討を行っていたが,結局,出店を断念することとなり,本件設立認可後の平成12年4月に,その旨をβ町に通知した。その後,β町は,大丸に出店についての再検討を促すとともに,新たな核店舗の候補を探していたが,その後,西友が,本件再開発ビルへの核店舗としての出店を決定し,同年9月,本件組合との間で,出店についての基本協定書を締結した。 (e) 本件認可後,本件組合の組合員において,都市再開発法72条に基づく権利変換計画を定めるため,同法による諸手続及び各権利者の意向把握等に基づき,権利変換計画案が作成された。上記権利変換計画案は,平成12年12月2日,本件組合の総会において承認する旨の議決がなされ,本件組合は,権利変換計画案を2週間公衆の総覧に供した後,平成13年1月24日,同法84条の規定による審査委員の同意が得たことなどで,同法による権利変換についての所定の諸手続を完了した。 (f) 本件組合は,同年2月9日付で,奈良県知事に対し,権利変換計画認可を申請し,これに対し,奈良県知事は,平成13年3月23日,これを認可した。 (g) その後,平成13年6月ころから,工事が着工され,現在,本件再開発ビルの工事等が進行中であるc 本件事業の目的及び設計の概要(a) 本件事業は,本件地区について,都市基盤としての駅前広場と国道κ線にアクセスする県道β停車場線を整備しながら,人々が生活することを基本として複合的な都市機能の再構築を図ることによって,合理的な高度利用を行うことを目的 について,都市基盤としての駅前広場と国道κ線にアクセスする県道β停車場線を整備しながら,人々が生活することを基本として複合的な都市機能の再構築を図ることによって,合理的な高度利用を行うことを目的として,行われるものとされており,その設計方針としては,本件地区が,γ地区整備においてβ駅の北に直面する中核であり,周辺整備を誘導していく重要な位置となることから,施設建築物の設計に当たっては,都市景観を十分考慮するとともに,西和地域の玄関口にふさわしい都市的イメージをもった町のシンボルとなりうるもので,広域に対する「生活都心」の拠点としての,複合的施設を目指し,あわせて,駅前広場・都市計画道路等の公共施設を整備し,適切な街路の形成を図り,円滑な交通を確保するものとされた。 (b) 上記のような設計方針の下に,本件事業においては,百貨店などの核店舗,専門店街,集合住宅,立体駐車場などが入る地下2階,地上11階建ての再開発ビル2棟(AブロックとBブロックとに分かれ,ペデストリアンデッキで接続されている。)を建設するとともに,駅前広場の建設や,国道κ線に接続する県道β停車場線を道幅7メートルから16メートルへの拡張などの公共施設の整備が行われるものとされた。 d 本件補助金の目的本件補助金は,都市再開発法に基づき,事業主体としての市街地再開発組合による都市計画決定により整備する施設に加え,β町における土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新する等の総合的な再開発のために交付されるものである。 e 本件補助金は,本件事業の進行段階に応じて定められた補助対象項目の事業実績に基づき,本件要綱等に従い,所定の手続を経て交付されるものであり,被告は,上記(1)で認定したように,本件事業の進捗に従って,適宜補助金を支出している。 (エ) 前記認定事実 助対象項目の事業実績に基づき,本件要綱等に従い,所定の手続を経て交付されるものであり,被告は,上記(1)で認定したように,本件事業の進捗に従って,適宜補助金を支出している。 (エ) 前記認定事実によれば,本件事業の目的は,明らかに公益性があるものといえ,その施行により,再開発ビルの建設や周辺道路の整備が行われれば,地域振興や都市再開発といった都市政策として一定の効果があると認められる。そして,その態様としても,本件地区の現況などに照らし,特に不合理なものということはできない。 (オ)a 参加人らは,本件事業に採算性がないから,破綻するおそれが大きい旨主張するようである。参加人らは,その主張の根拠として,多くの駅前再開発計画において,地域の活性化促進や経済波及効果の期待に反する結果が出ていること,本件事業においても,一旦核店舗として出店を予定していた大丸が本件認可後辞退したこと,新たに西友が核店舗として出店することになったが,当初の計画と比べて,核店舗の規模が縮小されていること,また,第三セクター方式で設立された本件会社が保留床の買取りを行っており,駐車場についても,新たに第三セクター方式で会社を設立して,これに買い取らせることなどを挙げている。しかし,まず,他の再開発計画の例については,参加人らの主張は,それらの例との抽象的な類似性や公共事業の一般的な問題点を指摘するにとどまるし,原告らの主張に沿う証拠(甲14,31,41ないし45,50,51)が提出されているものの,ここから直ちに本件事業についても同様の結果が生じると認めることはできない。また,本件事業においては,大丸の辞退後,権利変換計画認可に至るまでに,西友の核店舗としての出店が決まり,それに沿って本件事業が進行しているものと認められるし,核店舗の変更やそのほかの事情によって また,本件事業においては,大丸の辞退後,権利変換計画認可に至るまでに,西友の核店舗としての出店が決まり,それに沿って本件事業が進行しているものと認められるし,核店舗の変更やそのほかの事情によって事業計画が変更になったからといって,出店した核店舗の経営や本件事業自体の運営が破綻することには直結しない。 その他の参加人らの指摘する点を考慮しても,本件事業に採算性がないことを具体的に認めるには足りず,この点についての参加人らの主張は採用できない。 b また,参加人らは,第三セクターを作って事業を進めること自体がその事業が既に破綻していることを示しており,本件事業が成り立たないことを示しているなどとも主張する。確かに,前提事実によれば,本件事業の事業費は,国や奈良県,β町からの補助金のほかは,再開発ビルの保留床の処分金で賄われることとされ,この保留床処分金が総事業費の約44パーセントを占めるところ,保留床の処分が円滑に実施されるかどうかが,本件事業を施行する上で重要な要素の一つであると認められるし,また,保留床の処分の方法としては,都市再開発法上,原則として公募によることとされているものである。しかし,保留床を取得し,これを賃貸などで運用することにより長期間での採算の確保を目的とする会社を,地権者等とともに地方公共団体が出資者となっていわゆる第三セクター方式により設立する方法については,無利子や低金利融資などの優遇措置が受けやすくなることから,多額の資金を調達することができ,その資金で保留床を買い取って,長期的に賃貸運用することが可能となるなどの利点があり,むしろ,本件事業の採算性を高める側面も否定できないから,この点についての参加人らの主張も採用できない。その他に,参加人らが主張している理由も,本件補助金の交付について公益上の必要性がなかっ あり,むしろ,本件事業の採算性を高める側面も否定できないから,この点についての参加人らの主張も採用できない。その他に,参加人らが主張している理由も,本件補助金の交付について公益上の必要性がなかった根拠とするには十分でない。 (カ) 以上,本件事業はその目的において公益性を有していると認められる。そして,本件補助金の支出は,その対象となる本件事業が適法なものであり,それを実施する目的でなされるもので,本件事業の実現のためには欠くことができないものであって,またその態様,程度においても特に不合理なものであるとは認められないから,本件補助金を交付することにつき,被告の判断に裁量権の逸脱又は濫用があったと認めることはできず,地方自治法232条の2にいう「公益上の必要性」がなかったということはできない。その他,本件補助金の交付について,これを違法とするような事由は認められない。 ウそうすると,被告が本件組合に対し,本件事業に対し,今後,事業の進捗にしたがって本件補助金を支出することは違法ではないから,これが違法であることを前提とする今後の支出についての差止め請求は理由がない。 3 結論以上によれば,本件訴えのうち,原告らの訴えは不適法であるからこれを却下することとし,参加人の訴えのうち,本件口頭弁論終結時である平成14年10月16日までに支出がなされた公金の支出等の差止めを求める部分は不適法であるから却下することとし,その余の公金の支出等の差止めを求める部分は理由がないので棄却することとし,主文のとおり判決する。 奈良地方裁判所第2民事部裁判官島川勝裁判官谷口真紀裁判長裁判官宮城雅之は,転補のため署名押印できない。 裁判官島川勝 川勝裁判官 谷口真紀裁判長 裁判官宮城雅之は,転補のため署名押印できない。 裁判官島川勝

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