- 1 -主文 本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実 及び理由第1当事者の求めた裁判 控訴人( )原判決中,控訴人に関する部分を取り消す。 ( )被控訴人の控訴人に対する請求を棄却する。 ( )訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。 被控訴人主文と同旨。 第2事案の概要 事案の要旨本件は,更生施設等に収容する方法での生活扶助(以下「収容保護」という)。 ,(「」。),ではなく居宅での生活扶助以下居宅保護というを希望する被控訴人が控訴人がした被控訴人の一時保護所への収容保護を内容とする生活保護開始決定(平成9年11月5日付福第○○号。以下「本件決定」という)の取消しを求め。 た事案である。 訴訟の経過( )被控訴人は,原審において,①控訴人を被告として上記1のとおり本件決定 の取消しを求めたほか,②大阪市に対し,国家賠償法1条1項に基づく損害賠償及び遅延損害金の支払を,③大阪府に対し,同項に基づく損害賠償及び遅延損害金の支払を求めた。 ( )原審裁判所は,被控訴人の上記( )①の請求は認容したが,同②及び③の請 求はいずれも棄却した( )これに対し,控訴人のみが控訴した。したがって,当審における審判の対象 - 2 -は,上記( )①の請求を認容した原判決の当否である。 争いのない事実( )当事者 ,()。 ア被控訴人は昭和▲年▲月▲日生まれ本件決定時65歳の男性であるイ控訴人は,大阪市の生活保護法施行細則(乙4)2条2項により,大阪市長から,環境改善地区(いわゆるα地区ないしβ地区)における住居のない要保護者に係る生活保護事務の委任を受け同事務を実施する機関であるな,(お 活保護法施行細則(乙4)2条2項により,大阪市長から,環境改善地区(いわゆるα地区ないしβ地区)における住居のない要保護者に係る生活保護事務の委任を受け同事務を実施する機関であるな,(お,大阪市立更生相談所条例,乙3。 )なお,大阪市は,平成12年3月31日までの間,国の機関委任事務として,生活保護法(以下「法」という)19条に基づく生活保護の実施機関と。 して生活保護行政を行っていた。 ( )保護の種類及び方法 ,,,,,ア法11条1項は生活保護の種類として生活扶助教育扶助住宅扶助,,,,医療扶助等を定め同条2項は前項各号の扶助は要保護者の必要に応じ単給又は併給として行われる旨定める。 イ法30条1項本文は,生活扶助の方法につき,被保護者の居宅において行うものとして,居宅保護の原則を定め,同項ただし書は,これによることができないとき,これによっては保護の目的を達しがたいとき,又は被保護者が希望したときは,被保護者を救護施設,更生施設若しくはその他の適当な施設に入所させ,若しくはこれらの施設に入所を委託し,又は私人の家庭に養護を委託して行うことができる旨を定める。 なお,救護施設については,法38条2項が,身体上又は精神上著しい障害があるために日常生活を営むことが困難な要保護者を入所させて,生活扶助を行うことを目的とする施設とする旨定め,更生施設については,同条3項が,身体上又は精神上の理由により養護及び生活指導を必要とする要保護者を入所させて,生活扶助を行うことを目的とする施設とする旨定める。 - 3 -ウ法33条1項本文は,住宅扶助の方法につき,金銭給付によって行うものとし,同項ただし書は,これによることができないとき,これによることが適当でないとき,その他保護の目的を達するため - 3 -ウ法33条1項本文は,住宅扶助の方法につき,金銭給付によって行うものとし,同項ただし書は,これによることができないとき,これによることが適当でないとき,その他保護の目的を達するために必要があるときは,現物給付によって行うことができる旨を定める。また,同条2項は,住宅扶助のうち,住居の現物給付は,宿所提供施設を利用させ,又は宿所提供施設にこれを委託して行うものとする旨定める。なお,本件決定当時,大阪市には宿所提供施設はなかった。 ( )P1への入退所 控訴人は,被控訴人に対し,平成8年5月17日,被控訴人からの保護開始申請に基づき,法38条3項所定の更生施設であり,大阪市立更生相談所(以下「市更相」という)の付属施設である一時保護所での生活扶助(収容保護)。 を行う旨の保護開始決定をした。控訴人は,引き続き,同年6月19日,同項所定の更生施設であり,社会福祉法人P2が運営するP1での生活扶助(収容保護)を行う旨の保護変更決定をした。 被控訴人は,上記各決定に従い,一時保護所及びP1に入所したが,同年1,。 ,1月下旬ころにはP1を退所したい旨の意向をP1の職員に伝えたその際P1職員は,被控訴人から事情聴取をしたが,居宅保護への変更が可能である旨の説明はしなかった。 被控訴人は,同年12月3日,P1を退所した。その際,控訴人は,被控訴人に対し,退所を理由として保護廃止決定をした。 ( )P3への入退所 控訴人は,被控訴人に対し,平成9年1月30日,被控訴人からの保護開始申請に基づき,一時保護所で収容保護を行う旨の保護開始決定をし,同年3月12日,法38条3項所定の更生施設であり,社会福祉法人P4の運営するP3で収容保護を行う旨の保護変更決定をした。 被控訴人は,上記決定に従い,一時保護所及びP3に入所し,同 護開始決定をし,同年3月12日,法38条3項所定の更生施設であり,社会福祉法人P4の運営するP3で収容保護を行う旨の保護変更決定をした。 被控訴人は,上記決定に従い,一時保護所及びP3に入所し,同年4月,大- 4 -阪市から補聴器の給付を受けるために聴力の検査を受けたが,給付の基準を満たさないと判断され,補聴器の支給を受けることはできなかった。 その後,被控訴人は,補聴器のないままP3で生活したが,同年8月14日同施設を退所した。 P3退所に先立ち,同年7月ころ,被控訴人はP3職員に対し,退所したい。 ,,,,旨の意向を伝えたその際P3職員は被控訴人に対し事情聴取をしたが居宅保護への変更が可能である旨の説明はしなかった。 被控訴人がP3を退所した際,控訴人は,被控訴人に対し,退所を理由として保護廃止決定をした。 ( )本件決定 被控訴人は,平成9年10月16日から20日にかけて,市更相の職員に対し,難聴のため集団生活についていけず,施設での生活に強いストレスを感じることを理由に,居宅での生活保護を希望する旨述べ,同月20日,控訴人に対し,その旨を記載した生活保護開始申請書を提出した(以下「本件申請」という。 。)これに対し控訴人は同年11月5日付けで一時保護所での生活扶助収,,,(容保護)を開始する旨の本件決定をした。 ( )その後の保護(居宅保護)開始決定 被控訴人は,本件決定後,平成9年11月10日まで法外援助(法に基づかない,自治体独自の援助事業)として,法38条2項所定の救護施設であるP5に宿泊した後,同月11日に大阪市γ×番19号において賃貸住宅を借りて生活し始め,同月12日(本件決定の7日後,δ区福祉事務所長に対して,生)活保護開始申請をした。 δ区福祉事務所長は,被控訴人に対 宿泊した後,同月11日に大阪市γ×番19号において賃貸住宅を借りて生活し始め,同月12日(本件決定の7日後,δ区福祉事務所長に対して,生)活保護開始申請をした。 δ区福祉事務所長は,被控訴人に対し,同日付で居宅保護を行う旨の保護開始決定をした。 ( )審査請求 - 5 -被控訴人は,平成9年11月12日,本件決定を不服として,大阪府知事に対し,審査請求をした。 これに対し,大阪府知事は,平成10年11月16日,本件審査請求を棄却する旨の裁決をした。 争点 ( )本件が,法30条1項ただし書の「これによることができないとき」に当た るか否か(争点1。 )( )行政手続法5条3項違反を理由として,本件決定を取り消すべきか否か(争 点2。 )( )控訴人の最低生活保障義務・自立助長義務違反を理由として,本件決定を取 り消すべきか否か(争点3。 ) 争点に関する当事者の主張( )本件が,法30条1項ただし書の「これによることができないとき」に当た るか否か(争点1)についてア控訴人(ア)法30条1項ただし書の「これによることができないとき」の意義a法30条1項ただし書の他の要件との関係法30条1項ただし書の「これによることができないとき」とは,居宅保護によることができないときを意味する。この要件は「これによっては保護の目的を達しがたいとき「被保護者が希望したとき」の二つ」,の場合と区別して規定されているから,これらの場合と異なるものとして,その内容を解釈すべきことになる。 そうすると,被保護者が収容保護を希望していないことは,同項ただし書の「これによることができないとき」に当たるか否かの判断に際しては考慮されない。 ,「」また同項ただし書のこれによっては保護の目的を達しがたいとき- を希望していないことは,同項ただし書の「これによることができないとき」に当たるか否かの判断に際しては考慮されない。 ,「」また同項ただし書のこれによっては保護の目的を達しがたいとき- 6 -とは,最低限度の生活保障と自立の助長という両観点からみて,居宅保護によっては保障の効果がないか,変更前の保護の効果を無にし,又はこれを減ずる結果をもたらす場合をいい,これに該当するか否かの判断は,被保護者の健康状況,生活歴,家族の状況,自立への指導援助の体制等の諸般の事情を総合的に考慮して判断される(大阪地方裁判所昭和63年2月25日判決・行裁集39巻1・2号141頁。そうすると,)同項ただし書にいう「これによることができないとき」に当たるか否かの判断に際しては,被保護者の身体面・精神面の状況(厚生施設等における養護,補導を必要とするか,居宅における自立した生活を送ることが期待できるか)も考慮されない。 b法33条1項の解釈()( )要保護者困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者aに対しては,住居,あるいは家屋の補修その他住宅の維持のために必要なものを提供する住宅扶助(法14条)が必要となることがある。 住宅扶助の方法について,法33条1項本文は,原則として金銭給付によって行うものとし,同項ただし書は,例外的に現物給付によって行うことができる場合として,①「これによることができないとき,」②「これによることが適当でないとき,③「その他保護の目的を達」するために必要があるとき」を挙げる。また,同条2項は,住宅の現物給付は,宿所提供施設を利用させ,又は宿所提供施設にこれを委託して行うものとしている。 ( )上記( )①ないし③のうち,①は借家又は借間がない場合をいい,ba②については,身分不相応な借家住 給付は,宿所提供施設を利用させ,又は宿所提供施設にこれを委託して行うものとしている。 ( )上記( )①ないし③のうち,①は借家又は借間がない場合をいい,ba②については,身分不相応な借家住まいをしている場合にはそこを立ち退いて宿所提供施設を利用せしめることがあるものとされる。すなわち,借家又は借間がない場合には,金銭給付によることができないのであるが,借家又は借間を確保し,金銭給付によることが可能な場- 7 -合でも,身分不相応な借家住まいであるようなときなど,金銭給付によりその借家あるいは借間による生活を維持させることが不適当なと,。 ,きには金銭給付によることなく現物給付によることとなるそして「身分不相応」か否かは,具体的な家賃,間代,地代等の金額と借家又は借間の規模等によって判断されることになる。そして,保護実施機関において,適切な借家又は借間を積極的に探すことまでは求められていない。 ( )昭和38年4月1日社発第246号厚生省社会・援護局長通達(以c下「局長通達」という)第6の4( )アは「保護の基準別表第3の1。 , ,,,,の家賃間代地代等は居住する住居が借家若しくは借間であって家賃,間代等を必要とする場合,又は居住する住居が自己の所有に属し,かつ住居の所在する土地に地代等を要する場合に認定すること」。 と規定している。そして,同年4月1日厚生省告示第158号(保護の基準)別表第3は,1の表において,住宅扶助基準額を1級地ないし3級地に分けて規定した上で「家賃,間代,地代等については,,当該費用が1の表に定める額を超えるときは,都道府県知事又は地方自治法(昭和22年法律第67号)第252条の19第1項の指定都市(以下「指定都市」という)若しくは同法第252条の22第1。 項 ,当該費用が1の表に定める額を超えるときは,都道府県知事又は地方自治法(昭和22年法律第67号)第252条の19第1項の指定都市(以下「指定都市」という)若しくは同法第252条の22第1。 項の中核市(以下「中核市」という)の長が厚生大臣の承認を得て,。 当該都道府県又は指定都市若しくは中核市の区域内に所在する公営住宅の家賃の額等を参考とし,各年度ごとに定める額の範囲内の額とする」と規定している。そうすると,住宅扶助の給付に関する実務上。 も,具体的な家賃等の額が上記基準の範囲内か否かを検討の上で住宅,,扶助の額を決定するものであるから何ら住居が準備されることなく具体的な家賃等の額が想定されない段階で,金銭給付の方法により住宅扶助を行う余地はない。 - 8 -c法30条1項ただし書の「これによることができないとき」の意義要保護者が居宅を所有しているような場合を除き,居宅保護による場合には住宅扶助を給付しなければならない。そして,住宅扶助を金銭給付によって行うためには,法33条1項ただし書の「これによることができないとき」や「これによることが適当でないとき」に当たるか否かを判断しなければならない。上記bのとおり,その判断を可能とするためには,要保護者において,具体的に居住し又は居住を予定する借家又は借間の規模・賃料等の判断要素を保護実施機関に明らかにする必要がある。 そうすると,法30条1項ただし書の「これによることができないときについても現に住居を有しておらずかつ居宅の具体的準備借」,,,(家又は借間の規模・賃料等を特定できる程度の準備)もされていない場合には,法33条1項ただし書の「これによることができないとき」に当たり,金銭給付による住宅扶助ができないがゆえに,法30条1項ただし書の「これによる 賃料等を特定できる程度の準備)もされていない場合には,法33条1項ただし書の「これによることができないとき」に当たり,金銭給付による住宅扶助ができないがゆえに,法30条1項ただし書の「これによることができないとき」に該当するものとして収容保護によることになる。 そして,上記要件の存否は,極めて客観的かつ一義的に判断され得る,。 ものであるからこの要件に関する保護実施機関の判断に裁量性はない(イ)本件へのあてはめ被控訴人は,平成9年10月20日,居宅保護を希望する旨を申請書に記載して本件申請をしたが,現に居宅を有していたわけではなく,かつ,上記(ア)cのような居宅の具体的準備をしていたわけでもなかった。 したがって,本件は,法30条1項ただし書及び法33条1項ただし書の各「これによることができないとき」に当たるから,本件決定に何ら違法な点はない。 (ウ)被控訴人主張の最低生活保障義務・自立助長義務(下記イ(ウ)b)に対す- 9 -る反論被控訴人主張の最低生活保障義務・自立助長義務なるものは,法律上の,,根拠が不明でありそのような義務の存在を前提とする被控訴人の主張はその前提を欠く。 すなわち,法1条は,法の各条項の解釈における指針となるべきものではあるが,そのことから,直ちに「具体的援助義務」が導かれるとするのは,論理の飛躍がある。また,法の各条項(法27条1項,法28条1項及び本件決定がされた後に新設された法27条の2)は,指導,指示,調査及び助言のいずれについても,実施機関にその権限を付与しているにとどまり,これらの実施を義務づけているものではない。したがって,被控訴人のいう「具体的援助義務」を根拠付ける規定は存在しない。 イ被控訴人(ア)法30条1項ただし書の「これによることができないとき」の意義a法30 義務づけているものではない。したがって,被控訴人のいう「具体的援助義務」を根拠付ける規定は存在しない。 イ被控訴人(ア)法30条1項ただし書の「これによることができないとき」の意義a法30条1項の趣旨法30条1項が居宅保護の原則を宣明したのは,①被保護者の心理的要求,意思に適い,②基本的人権の尊重の趣旨にも適うだけでなく,③法の目的である自立概念にも適うからである。すなわち,自立とは,経済的自立のみならず,社会的自立,精神的人格的自立を意味する。被保護者がこのような自立を果たすためには,管理上規制を伴い画一的処遇に陥り易い施設や病院ではなく,地域社会の中で福祉事務所の必要最小限の指導を受けながら,自らの意思決定のもと,人間らしい生活をおくることが最も望ましいことから,同項は,居宅保護を生活扶助のあり方の原則としたのである。 生活保護法は,あらゆる人権の出発点となる重要な人権である生存権を具体化するために制定されたものであり,最低生活の保障と自立の助長をその立法目的としている(法1条。そして,居宅保護の原則が法の)- 10 -目的である自立概念から導かれたものであることからすれば,収容保護は例外中の例外と位置付けられる。それゆえにこそ,条文上も,ただし書の例外について,収容保護決定ができる旨規定するにとどめているのである。 また,生活保護事務を行うに当たって居宅保護が妥当かどうかの判断に際しては,出入国管理行政のような政治的政策的価値判断や,原子炉設置許可行政のような専門的技術的判断は必要がなく,裁判所にも十分に判断が可能である。したがって,収容保護決定をなすに当たって認められている実施機関の裁量の幅は,本来的に極めて狭いものである。 b法30条1項ただし書の「これによることができないとき」の意義以上のような事情を考慮 。したがって,収容保護決定をなすに当たって認められている実施機関の裁量の幅は,本来的に極めて狭いものである。 b法30条1項ただし書の「これによることができないとき」の意義以上のような事情を考慮すれば,法30条1項ただし書にいう「これによることができないとき」とは,物理的,現実的に居宅保護ができない場合,すなわち,現に居宅を有しておらず,かつ居宅の確保が客観的に不可能な状況にあるときをいう。そして,これに該当するか否かの判断は,客観的な事実状態の確定の問題であるから,実施機関の裁量が生じる余地がなく,羈束行為である。 (イ)本件へのあてはめ本件決定がされた当時,α地区においてアパート等は多くの空室を抱える状態にあり,敷金等が準備できれば即時に賃借をすることが可能な状況にあった。したがって,居宅の確保が客観的に不可能な状況にあったものとは到底いえないから,本件が,法30条1項ただし書の「これによることができないとき」に当たらないことは明らかである。 (ウ)控訴人主張の法30条1項ただし書の解釈(上記ア(ア))に対する反論a法30条1項及び法33条1項の各ただし書の関係( )法24条1項は,保護の実施機関は,要保護性の認められる者に対aし「種類,程度及び方法」を決定して保護を実施する旨定めている。 ,- 11 -例えば,保護の実施機関は,生活扶助の「方法」として居宅保護と収容保護とのいずれを選択するかを決定し(法30条1項,その選)択に対応して,保護の「種類「程度」を決定しなければならない。 」,すなわち,生活扶助の「方法」として居宅保護を選択した場合には,「種類」としての住宅扶助の支給の要否が判断されるのに対し,収容保護が選択された場合には「種類」としての住宅扶助を支給する余地はない。次いで,保護の「種類」として住 して居宅保護を選択した場合には,「種類」としての住宅扶助の支給の要否が判断されるのに対し,収容保護が選択された場合には「種類」としての住宅扶助を支給する余地はない。次いで,保護の「種類」として住宅扶助が支給される場合には,法33条1項により住宅扶助の「方法」として金銭給付か,現物。 ,,給付かが決定されることになるそして金銭給付がされる場合には家賃の額(住宅扶助の「程度)が決定されることになり,現物給付」がされる場合には,宿所提供施設の広さ(住宅扶助の「程度)が決」定されることになる。 このように,保護の実施機関の判断過程(思考過程)としては,法33条1項の住宅扶助の方法の決定よりも,法30条1項による生活扶助の実施方法の決定が先行しなければならない。すなわち,法33条は,法30条1項によって生活扶助の方法として居宅保護が適当である場合に,住宅扶助の方法として金銭給付と現物給付とのどちらの方法が適切かを判断するために置かれた規定である。 ( )法30条1項ただし書及び法33条1項ただし書においては,たまbたま「これによることができないとき」という文言上同一の用語が用いられているが,上記( )で述べたところに照らすと,その意味内容はa異なる。すなわち,法30条1項ただし書にいう「これによることができないとき」とは,現に居宅がなく,かつ,居宅確保の客観的可能性がないために収容保護を行うしかない場合をいう。これに対し,法33条1項ただし書にいう「これによることができないとき」とは,被保護者について居宅保護を行うことが適当な場合において,賃貸物- 12 -件の空きが全くないなどの事情により過渡的にやむを得ず現物(宿所提供施設)給付が実施される場合をいう。 また法30条1項ただし書によって被保護者に提供される施設救, において,賃貸物- 12 -件の空きが全くないなどの事情により過渡的にやむを得ず現物(宿所提供施設)給付が実施される場合をいう。 また法30条1項ただし書によって被保護者に提供される施設救,(護施設,厚生施設等)と法33条1項ただし書によって被保護者に対(),。 する施設宿所提供施設とはその位置付けを異にするものである控訴人の主張は,これらの違いを無視するものであり,誤った法解釈を述べるものである。 b控訴人の最低生活保障義務・自立助長義務との関係( )法1条は,生活保護制度が実施機関の善意かつ積極的な発意と行動aを必要とする制度であることを前提に,実施機関に対して「国民の最低生活を保障し自立を助長する義務」を課すことによって実施機関の行動を羈束するものであり,法に基づく実施機関のすべての行動が適法であるか否かの判定指針となる。そして,法5条は,実施機関が最低生活保障義務を負うことが,法の解釈・運用原理とされるべきことを宣明し,法9条は,保護を要する人が必要に応じて適正に保護を受けられるようにすべき義務を実施機関に課している。 したがって,実施機関は,相談を受けた要保護者に対し,その最低生活を保障した上で自立を助長する義務を負い,かかる義務を履行して適正な保護を行うために個別具体的な場面に応じて,必要な説明,助言,指導・指示,援助,調査等を追うべき義務を負う。法27条1項(指導又は指示,法27条の2(助言)及び法28条1項(調査)又は検診)は,上記のような実施機関の義務を負うことを示すものである。 ( )上記( )のような控訴人の最低生活保障義務・自立助長義務に照らbaすと,仮に,控訴人が主張するように,法30条1項ただし書の「これによることができないとき」の解釈に当たって,居宅の具体的準備- )のような控訴人の最低生活保障義務・自立助長義務に照らbaすと,仮に,控訴人が主張するように,法30条1項ただし書の「これによることができないとき」の解釈に当たって,居宅の具体的準備- 13 -を問題とすべきであるとしても「実施機関が個別状況に応じて適切,な説明,助言,指導,指示等の援助を行ったにもかかわらず,居宅の具体的準備がされなかった場合」にはじめて,同項ただし書の「これによることができないとき」に該当することになると解される。 ( )控訴人は,被控訴人に対し,本件決定に先立ち,居宅の具体的準備c。 ,,に関する適切な説明や指導助言を行っていないしたがって本件が法30条1項ただし書の「これによることができないとき」に当たらないことは明らかである。 ( )行政手続法5条3項違反を理由として,本件決定を取り消すべきか否か(争 点2。 )ア被控訴人,「,,(ア)行政手続法5条3項は行政庁は行政上特別の支障があるときを除き法令により当該申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により審査基準を公にしておかなければならない」と定。 めている。この規定の趣旨は,申請者があらかじめ審査基準を知ることによって,申請者の準備に資することと,審査基準自体の公正を担保することにある。 (イ)控訴人の主張(上記( )ア(ア))のとおり,居宅の具体的準備の有無によ って居宅保護の可否が決せられるのであるならば「居宅の具体的準備」の,要件は,居宅保護の可否を決する上で決定的に重要な審査基準である。したがって,控訴人は,行政手続法5条3項に従い,市更相に備え付けるな,。 ,どの方法により上記審査基準を公開しなければならなかったところが控訴人は,このような審査基準の公開をしていな る。したがって,控訴人は,行政手続法5条3項に従い,市更相に備え付けるな,。 ,どの方法により上記審査基準を公開しなければならなかったところが控訴人は,このような審査基準の公開をしていなかった。 (ウ)本件において,控訴人が,本件決定に先立ち「居宅の具体的準備」とい,う審査基準を公開してさえいれば,当時の賃貸住宅事情に照らし,被控訴人が居宅の具体的準備を行い,居宅保護を受けることができた蓋然性は極- 14 -めて高かった(上記( )イ(イ) 。したがって,控訴人が上記審査基準を公開 )していなかったことには,本件決定の結果に影響を与える重大な違法性があることが明らかである。 したがって,本件決定は取り消されるべきである。 イ控訴人(ア)行政手続法5条1項は「行政庁は,申請により求められた許認可等をす,るかどうかをその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準以(下「審査基準」という)を定めるものとする」と定めている。 。 。 居宅の具体的準備ができていなければ法30条1項及び法33条1項の各ただし書の「これによることができないとき」に該当するとするのは,まさに法の解釈であり,行政手続法5条1項にいう「法令の定め」に当たり,同項によって定めるべきものとされている「審査基準」には当たらない。 (イ)また,行政処分の手続的瑕疵が当該処分の取消原因となるか否かについては,①手続の瑕疵が訓示規定あるいは軽微な瑕疵にとどまるものは,その瑕疵は取消原因とするに値しない。また,②制度の根幹にかかわる手続違反で,その瑕疵を許したのでは,制度自体の信用・信頼を揺るがせることになるものについては,その瑕疵は結果のいかんにかかわらず取消原因となる。さらに,③両者の中間的なものについては,その瑕疵は結果に影響を及ぼす場合に限 たのでは,制度自体の信用・信頼を揺るがせることになるものについては,その瑕疵は結果のいかんにかかわらず取消原因となる。さらに,③両者の中間的なものについては,その瑕疵は結果に影響を及ぼす場合に限り取消原因となる。 上記(ア)に照らせば,法令の解釈は行政手続法5条1項の「審査基準」に該当しないという解釈にも十分な根拠がある。したがって,仮にこれと異なる見解が採用され,本件において同条3項違反が認められるということになるとしても,その瑕疵は,上記①か,少なくとも③に該当し,②に該当することはない。そして,その瑕疵は,結果に影響を及ばさない。 (ウ)したがって,行政手続法5条3項違反が理由として,本件決定が取り消- 15 -されることはない。 ( )控訴人の最低生活保障義務・自立助長義務違反を理由として,本件決定を取 り消すべきか否か(争点3。 )ア被控訴人(ア)控訴人は実施機関として相談を受けた要保護者に対し上記( )イ(ウ),,, aのような最低生活保障義務・自立助長義務を負っている。ところが,控訴人は,上記義務に違反し,被控訴人に対し,本件決定に先立ち,居宅の具体的準備に関する適切な説明や指導助言を行わなかった。 (イ)本件においては,控訴人が,被控訴人に対し,本件決定に先立ち,居宅の具体的準備を行えば居宅保護が可能であることを説明し,保護基準に抵触しない賃借条件等を教示して,居宅を準備するよう助言指導をしていれば,当時の賃貸住宅事情に照らし,被控訴人が居宅の具体的準備をすることは極めて容易な状況にあった(上記( )イ(イ) 。したがって,控訴人の上 )記(ア)のような義務違反には,本件決定の結果に影響を与える重大な違法性があることが明らかである。 したがって,本件決定は取り消されるべきである。 イ控 )イ(イ) 。したがって,控訴人の上 )記(ア)のような義務違反には,本件決定の結果に影響を与える重大な違法性があることが明らかである。 したがって,本件決定は取り消されるべきである。 イ控訴人上記( )ア(ウ)のとおり,控訴人には,被控訴人主張のような最低生活保障 義務・自立助長義務はない。したがって,このような義務の存在を前提とする控訴人の主張は,前提を欠く。 また,被控訴人は,本件決定の処分要件でもない最低生活保障義務・自立助長義務違反なるものがどうして違法事由となるかについても何ら論証しておらず,この点からも,被控訴人の主張は失当である。 第3当裁判所の判断 当裁判所も,被控訴人の本件決定の取消請求は理由があるものと判断する。その理由は,以下のとおりである。 - 16 - 事実の認定上記争いのない事実,証拠(甲A51,A52,B100ないしB102,乙54ないし58及び下記各項目のかっこ内の書証,証人P6,同P7,同P8,同P9,同P10,同P11,被控訴人本人〔人証については,いずれも1審)〕及び弁論の全趣旨を総合すると,以下の事実が認められる。 ( )被控訴人は,昭和▲年に福岡県北九州市で生まれ,高等小学校卒業後,電車 車掌,鉄工所工員,警察予備隊員を経て,昭和34年ころ来阪し,その後は,東京都内や広島県内で一時働いたこともあったが,主として大阪府内で建設労働者や鉄工所工員として働いてきた。 ( )被控訴人は,平成3年ころから平成6年夏までは大阪市δ区内のアパートに 一人で居住していたが,その後,景気の悪化に伴い,仕事が少なくなって収入も減少し,家賃を支払えなくなったため,いわゆるドヤ(簡易宿泊所)に宿泊しながら生活するようになった。 しかし,平成7年の春ころからは,仕事にもあまり就けなくなり,野宿 に伴い,仕事が少なくなって収入も減少し,家賃を支払えなくなったため,いわゆるドヤ(簡易宿泊所)に宿泊しながら生活するようになった。 しかし,平成7年の春ころからは,仕事にもあまり就けなくなり,野宿をする日もあった。 ( )被控訴人は,平成6年ころから右耳が難聴になったので,平成7年6月こ ,,,。 ,ろ市更相に相談しP5に入所した上P12病院に入院した被控訴人はその際,約1万9000円の日用品代の支給を受けたが,それが生活保護費であるとの明確な認識は持たなかった。 ( )被控訴人は,平成8年5月17日,P13センター前でα医療連絡会議(α 周辺の日雇労働者や野宿者の医療・福祉の改善を目的とした活動をしている団体であり,医療相談や,上記のような者が生活保護の申請をする際の立会い等を行っている。以下「医療連」という)が実施していた医療相談を受け,P1。 4病院(以下「P14センター」という)で診察を受けた。そして,被控訴人。 は,被控訴人が難聴である旨の同センター発行の紹介状(乙33)を市更相に持参し,生活保護申請書(乙32)と共に提出した。控訴人は,難聴の症状に- 17 -鑑み,経過を考慮し,被控訴人を一時保護所に収容して生活扶助と医療扶助を開始する旨の決定をした(乙31・14。 No)なお,被控訴人は,εの職業安定所を訪れ,難聴である旨を告げると,障害者コーナーを紹介されたが,就業することはできなかった。 ( )控訴人は,平成8年6月19日,送致決定会議での検討に基づき,被控訴人 (),,をP1に転寮させる旨の保護変更決定をし乙31・ P1長に対しNo。 ,,被控訴人の入所依頼をしたその際の入所依頼書には被控訴人が難聴であり同年7月1日にP15センターで聴覚障害診断を受診する予約 る旨の保護変更決定をし乙31・ P1長に対しNo。 ,,被控訴人の入所依頼をしたその際の入所依頼書には被控訴人が難聴であり同年7月1日にP15センターで聴覚障害診断を受診する予約がされている旨の記載されていた(乙34。 ),,,,被控訴人は同年7月1日予約どおり聴力検査を受けたが聴力レベルは右耳が78.8デシベル,左耳が63.8デシベルであった。身体障害者福祉法による障害認定を受けるには,両耳の聴力レベルが70デシベル以上である場合か,片耳の聴力レベルが90デシベル以上で,かつ,他方の耳の聴力レベルが50デシベル以上である場合かのいずれかに該当することが必要であったため,被控訴人は,身体障害者として認定されず,補聴器の支給を受けることができなかった(乙6。 )被控訴人は,同8年8月には,P1の傍の段ボール工場での屋外作業に従事したが,暑さのため体調を崩し,同月中旬には辞めた。その後,被控訴人は,同年10月ころからは自転車の鍵を組み立てる内職作業に従事するようになった。 ,,( )被控訴人はP1に転寮した際に耳にしたP1の職員又は入寮者の発言から ,。 当初は同寮の入所期間は原則として2か月程度であるとの認識を抱いていたまた,被控訴人は,6人部屋で共同生活を送ることに伴う気疲れや,歯の治療のために上記の内職作業を途中で抜けることが多く,同僚に迷惑をかけているのではないかとの心理的な負担,難聴であるため職員や入所者との会話に支障を来すことによる心理的な負担を感じていた。このような事情から,被控訴人- 18 -は,P1からの退寮を希望するようになった。 そこで,被控訴人は,歯の治療がまもなく終了すると思われた平成8年10月末又は11月初めころ,P1の職員であるP9に対し,退寮希望を告げた。 , 18 -は,P1からの退寮を希望するようになった。 そこで,被控訴人は,歯の治療がまもなく終了すると思われた平成8年10月末又は11月初めころ,P1の職員であるP9に対し,退寮希望を告げた。 ,,,。 その際P9は特に退寮理由を問うこともなく引き止めることもなかったまた,住宅扶助についての希望聴取も説明もなかった。被控訴人は,その後,歯の治療が予想より長引いたため,退寮時期が延びる旨をP9に告げたが,その際も,P9は,特段の反応を示さなかった。 被控訴人は,同年12月3日の午前中に歯の治療が終了したので,その日のうちに,所持金と賃金の合計3万0829円(うち2万4000円は預金)を受け取って(乙37,退寮した。被控訴人は,P9に挨拶したが,やはり,特)に退寮理由を問われることも,引き止められることもなかった。P9は,住居を有しない要保護者に対する居宅保護が可能であるとは認識しておらず,被控訴人に対して,住宅扶助について希望を聴取したり,説明したりすることもなかった。 控訴人は,P1から,被控訴人がδへ戻り仕事をすると告げて希望退寮したとの連絡を受け,保護廃止とすることにした(乙50。ところが,保護廃止決)定通知書は作成されなかった(甲A13,14。また,被控訴人がP1を退寮)したいとP9に告げてから退寮するまでの間,P1から,控訴人に対し,被控訴人が退寮を希望している事実が連絡されることはなかった。 ( )被控訴人は,P1退寮後,δの簡易宿泊所に数泊した後,四国を4,5日間 旅行して,大阪に帰った。そして,年末はζの臨時宿泊所で宿泊した後,平成9年1月7日ころ,αに帰ったが,仕事のあるときは簡易宿泊所に宿泊できるものの,所持金が尽きると野宿するという生活に戻った。 ( )被控訴人は,平成9年1月30日,再度,医療 泊所で宿泊した後,平成9年1月7日ころ,αに帰ったが,仕事のあるときは簡易宿泊所に宿泊できるものの,所持金が尽きると野宿するという生活に戻った。 ( )被控訴人は,平成9年1月30日,再度,医療連の医療相談を受け,P14 センターにおいて診察を受け,めまい症と全身倦怠感がある旨の同センター発行の紹介状(乙40)を市更相に持参し,生活保護開始申請書(乙39)と共- 19 -に提出した。控訴人は,被控訴人を一時保護所に収容して保護を開始する旨の決定をした(乙31・16。 No)被控訴人は,一時保護所入所後1か月ほどして,市更相の職員から,P1に転寮するように言われた。しかし,気兼ねをして退所したばかりの施設に再入所するのは気詰まりであることや,P1では内職程度の仕事にしか従事できないが,P3では高齢者特別清掃事業に従事する機会があり,その方が収入が多いことから,これを断った。 ( )控訴人は,平成9年3月12日,市更相の送致決定会議での検討に基づき, 被控訴人をP3に転寮させる旨の保護変更決定をした(乙31・17。 No)被控訴人は,控訴人に対し,同年4月,老眼のため作業に支障がある旨記載した保護変更申請書(乙42)を提出し,これを受けて,被控訴人に対し,医療扶助により,老眼鏡が現物支給された(乙43。 )被控訴人は,P3転寮後間もないころ,中年女性の職員が入寮者らに説明をした後,被控訴人にだけ後で説明をすると述べたことを不愉快に感じたことがあったのをはじめ,難聴のため入寮者同士や職員とのコミュニケーションに支障を来すことによるストレスを募らせた。 被控訴人は,P3の職員から,図書館の貸出係の仕事を斡旋されたが,難聴では支障があるので断り,浴室の清掃に従事した。 被控訴人は,同年4月下旬,P16病院で聴力検査を受け,同年 るストレスを募らせた。 被控訴人は,P3の職員から,図書館の貸出係の仕事を斡旋されたが,難聴では支障があるので断り,浴室の清掃に従事した。 被控訴人は,同年4月下旬,P16病院で聴力検査を受け,同年6月13日に再度受診するように指示されたので,補聴器をもらえるものと期待したが,もらえなかった。 ()被控訴人は,補聴器をもらえないとわかってからは,退寮希望が強くなっ た。被控訴人は,P3への転寮後間もなく,同寮の職員から「あなたはBラン,。 。」,クだから5か月その後に6か月のコースがあるとの説明を受けていたのでP3への転寮から5か月になる8月を目途に退寮することにし,平成9年7月24日ころ,P3の職員であるP10に対し,退寮希望を伝えた。その際,被- 20 -控訴人は,P10から,退寮を希望する理由を尋ねられ「施設での生活には生,き甲斐がない」と答えた。また,被控訴人は,他の職員から,退寮後の行く先。 を尋ねられ,九州に兄がいる旨答えた。 被控訴人は,P3で浴室清掃に従事した結果,ある程度の所持金もできたので,何とか生活していけるであろうと考え,平成9年8月14日,P3を退寮した。この時,被控訴人は,同寮の職員から,まだ6か月間居られる旨の説明を受けたが,退寮希望は変わらなかった。また,被控訴人は,退所届に,退寮の理由として帰郷と記載し,退寮後の行先として,北九州市の実兄宅を記載した(乙9。P10を含め,P3の職員は,住居を有しない要保護者に対する居)宅保護が可能であるとは認識しておらず,被控訴人に対して,住宅扶助について希望を聴取したり,説明したりすることもなかった。 ()控訴人は,P3から,被控訴人が所持金4万4900円を持って帰郷退寮 したとの連絡を受け,保護廃止とすることにした(乙51。しかし,保護廃 希望を聴取したり,説明したりすることもなかった。 ()控訴人は,P3から,被控訴人が所持金4万4900円を持って帰郷退寮 したとの連絡を受け,保護廃止とすることにした(乙51。しかし,保護廃止)決定通知書は作成されなかった(甲A13,14。被控訴人がP3を退寮した)いとP10に告げてから退寮するまでの間,P3から,控訴人に対し,被控訴人が退寮を希望している事実が連絡されることはなかった。 ()被控訴人は,上記()のとおり平成8年8月14日にP3を退寮し,自転 車でζから四国へ渡り,山口県を経て九州の兄宅,姉宅に立ち寄った後,同年10月11日に大阪に帰り,まもなく資金が尽きて野宿することになった。 ,,,。 ()被控訴人は平成9年10月16日三たび医療連の医療相談を訪れた ,,,その際被控訴人から従前の経緯を聞いた医療連のP17は被控訴人に対し簡易宿泊所かアパートで生活保護を受けたいという意向かと尋ねた。なお,被控訴人が,居宅がない者であっても居宅保護が受けられる可能性がある旨の話を聞いたのは,このときが初めてであった。 被控訴人は,同日,医療連の紹介状(甲A49)を持ってP14センターで診察を受け,同センターで紹介状を発行してもらって,医療連のメンバーとと- 21 -もに,市更相を訪れた。まず,被控訴人だけが市更相の担当者と面接した後,医療連のメンバーも面接した。医療連のメンバーが居宅保護を要請したのに対し,市更相副所長のP8は,市更相では収容保護しかしていないと応答し,被控訴人に対し,一時保護所に行く気はないのかと尋ねた。被控訴人は,これに対し,一時保護所では2度も3度も出入りされては困ると言われているのに,既に2度,一時保護所に入所しているから,行きにくい旨答えた。 被控訴人は 時保護所に行く気はないのかと尋ねた。被控訴人は,これに対し,一時保護所では2度も3度も出入りされては困ると言われているのに,既に2度,一時保護所に入所しているから,行きにくい旨答えた。 被控訴人は,結局,同日は,P3に単泊した。 ()被控訴人は,医療連のメンバーと共に平成9年10月17日も市更相を訪 ね,再度,居宅保護を要望するとともに,アパートでの居宅保護が無理なら,,老人ホームに泊まり込んで奉仕活動のようなことをするのでもよいと述べたが市更相の面接担当主査P18は老人ホームへの入所を希望しているものと誤解し,老人ホームは70歳以上でないと入居できないと答えた。 そして,被控訴人は,同日から,法外援助のP5に入所することになった。 ()被控訴人と医療連のP6,P17,P19及びP20は,平成9年10月 20日,市更相の担当主査P7と面接した(本項全般につき,甲A19,A2 。その際,被控訴人は,手書きの生活保護開始申請書(乙10)を提出し。)ようとした。これには,保護を受けたい理由として「難聴のため,集団生活に,ついていけず,施設での生活に強いストレスを感じます。これまで施設に入った経験がありますが,堪えられませんでした。アパートでの自立生活には自信があり,居宅での生活保護を希望します」と記載されていた。 。 しかし,P7は,居宅保護は市更相の「範囲を超えている「範疇をはずれ」,る」として,上記申請書の受理を拒否しようとした。被控訴人は,P7が,所定の書式に基づいて申請してもらっている旨の発言をしたので,市更相に備え付けてある生活保護申請書の用紙に,乙10に記載したのと同じ内容を書いたほか,P7の指示により「高齢病弱のため仕事につく事ができず生活に困って,ゐます」と書き加えた。そして,被控訴人は,このようにし けてある生活保護申請書の用紙に,乙10に記載したのと同じ内容を書いたほか,P7の指示により「高齢病弱のため仕事につく事ができず生活に困って,ゐます」と書き加えた。そして,被控訴人は,このようにして作成した生活保。 - 22 -護申請書(乙11)を収入申告書(乙12,資産申告書(乙13)と共に,提)出した。この間,医療連のメンバーは,市更相では居宅保護を実施していないのは,どのような根拠に基づくのか,大阪市立更生相談所条例には居宅保護を実施できないとは規定されていないなどと発言した。なお,その間のやりとりには,40分以上を要した。 ()被控訴人は,平成9年10月21日,P14センターにおいて診療を受け て,診療状況についての回答書(乙14)を発行してもらい,医療連のメンバーと共に市更相を訪れて,これを提出した。上記回答書には,被控訴人は,内科的には○であり,治療見込期間は外来通院約6か月であるが,難聴と視力障,,,害について眼科耳鼻科の受診が必要であること労働できる範囲については内科的には軽労働ができるといえるが,耳鼻科と眼科の見地からは専門医の受診が必要であることが記載されていた。 ,,P7は医療連のメンバーがP5の入所期限を延長するよう求めたのに対し被控訴人に対し,一時保護所に入所するよう勧め,被控訴人だけと話したいと述べた。そこで,医療連のメンバーは一時退席したが,被控訴人は,P7に対し,アパートでの生活を希望している旨伝えた。 ()被控訴人のP5の入所期限は平成9年10月26日まで延長された(退所 は同月27日の朝となる。入所期限の延長は1回しか認められないため,被。)控訴人は,P5を退所した同月27日は簡易宿泊所に宿泊し,同月28日以降は,P21がP5に確保している枠を利用して,再びP5 同月27日の朝となる。入所期限の延長は1回しか認められないため,被。)控訴人は,P5を退所した同月27日は簡易宿泊所に宿泊し,同月28日以降は,P21がP5に確保している枠を利用して,再びP5に入所した。その際の入所期限は,同年11月10日であった。 控訴人は,同月5日,被控訴人に対し,一時保護所で収容保護する旨の本件決定をし,保護決定通知書を被控訴人に交付した(乙15。この保護決定書で)は,保護決定理由は「疾病による生活困窮のため」とされた。 しかし,被控訴人は,一時保護所に出頭しなかった。 ()被控訴人は平成9年11月11日P21から4万5000円を借り甲 ,,(- 23 -A8,簡易宿泊所を改造したアパートの居室を消滅保証金(礼金)2万円,賃)料1か月3万6000円(11月分は2万4000円)の約定で賃借した(甲A7,A30。なお,被控訴人が,同日に上記の居室を賃借することになった)のは,同日まで居室が見つからなかったためではなく,同年10月28日以降のP5の入所期限(上記())に合わせて,同月27日の時点で既に空室のあ ったアパートの居室(下記())を,医療連を通じて確保したためであった。 被控訴人は,同年11月12日,δ区福祉事務所長に対し,上記アパートに住居を有し,その賃料が1か月3万6000円である旨の資料を付して,生活保護開始申請をした(甲A24ないしA34。δ区福祉事務所長(環境改善地)区における住居のない要保護者を除くδ区の要保護者を所管している)は,同。 日,被控訴人に対し,生活扶助及び月額3万6000円の現金給付による住宅扶助を開始する旨の保護開始決定をした(甲A21。 )()平成9年当時,大阪市δ区では,求人状況が悪化し,継続して就労するこ とができなくなっ 扶助及び月額3万6000円の現金給付による住宅扶助を開始する旨の保護開始決定をした(甲A21。 )()平成9年当時,大阪市δ区では,求人状況が悪化し,継続して就労するこ とができなくなった者が家賃を払えずにアパートから退去するという事態が増加した。そのため,アパートに空室が増え,入居時に必要な敷金等の資金のめどがつけば,容易に住居を確保することができる状況にあった。現に,被控訴人が上記()のとおり賃借したアパートの家主も,常に空室を抱えている状態 であり(被控訴人がP5を退所した平成9年10月27日の時点でも空室があった,医療連のメンバーが同家主に紹介した入居希望者が断られたことはな。)かった。 また,P21は,平成9年当時,居宅保護を希望する居宅を有しない要保護者に対し,入居時に必要な敷金等の資金を貸し付ける活動を行っていた。そして,同年7月から12月までの間に,被控訴人以外に,少なくとも28名の要保護者が,同会から敷金等の資金を借り受けて住居を確保し,居宅保護を受けるに至った。なお,上記28名がP21から敷金等として借り入れた金員の額や賃借したアパートの1か月当たりの賃料は,いずれも,当時の大阪市の敷金- 24 -等支給限度額及び住宅扶助家賃限度額を下回るものであった。 ()市更相においては,平成10年6月から,収容保護を受けている被保護者 が居宅保護への変更申請を行った場合に,一定の調査を経た上で,居宅保護を適当と認めたときには,当該被保護者に対し,家賃,敷金等の限度額等を説明し,居宅を探すよう指導する(敷金等支給の内諾を与える)とともに,被保護者が居宅を確保した時点で,収容保護を居宅保護に変更するとの取扱いを始めた。 そして,医療連の相談記録の中から,上記のような取扱いがされた事例のうち,在宅保護 等支給の内諾を与える)とともに,被保護者が居宅を確保した時点で,収容保護を居宅保護に変更するとの取扱いを始めた。 そして,医療連の相談記録の中から,上記のような取扱いがされた事例のうち,在宅保護から居宅保護への変更申請日,敷金等支給の内諾日,居宅の決定日等が分かるものを選択すると,敷金等支給の内諾を得た被保護者のうち約5割が,内諾を得た当日に賃貸物件の重要事項説明書の交付を受けるなど居宅の準備を完了しており,また,その約8割が,内諾を得た日から3日以内に,居宅の準備を完了している。 本件が,法30条1項ただし書の「これによることができないとき」に当たるか否か(争点1)について( ) 判断 ア上記第2,3の争いのない事実及び上記第3,2の認定事実によれば,以下のような事情が認められる。 (ア)本件決定がされた当時,大阪市δ区内においては,敷金や家賃が低廉なアパートに空室が増え,入居時に必要な敷金等の資金のめどがつけば,住居を確保することは容易であった。 (イ)被控訴人は,医療連の支援のもとに本件申請を行っており,居宅探しについても,医療連の援助を受けることができた(現に,本件決定がされたわずか6日後に賃借した居宅も,医療連を通じて確保したものである。 。)(ウ)また,被控訴人は,アパートを借りるために必要な敷金等の資金についても,医療連の支援のもと,居宅保護を希望する居宅を有しない要保護者- 25 -に対して敷金等の資金を貸し付ける活動を行っていたP21から借入れをすることが可能であった。 (エ)したがって,本件決定がされた当時,被控訴人においては,すみやかに低廉な賃貸条件で居宅を確保することが可能な状況にあった。 (オ)一方,控訴人(市更相)においては,居宅を有しない要保護者については,居宅保護を行うことができ た当時,被控訴人においては,すみやかに低廉な賃貸条件で居宅を確保することが可能な状況にあった。 (オ)一方,控訴人(市更相)においては,居宅を有しない要保護者については,居宅保護を行うことができないとの法解釈を前提とした事務処理を行っていた。そのため,市更相の職員らは,本件に関しても,その他の事案においても,居宅を有しない要保護者についても居宅保護を行うことができる場合があることを前提とした調査,指導等を一切行っていなかった。 (カ)上記(ア)ないし(エ)のような事情は,控訴人ないし市更相の職員らが,居宅を有しない要保護者についても居宅保護を行うことができる場合があることを前提として適切な調査(本件において,後に述べるとおり,控訴人ないし市更相の職員らはこれを行うべき義務があった)を行えば,容易に。 知り得たものである。 イ上記アのような事情に照らせば,本件決定時においては,法30条1項ただし書の「これによることができないとき(居宅保護によることができない」とき)という要件に該当する事由があったとは認められないというべきである。すなわち,被控訴人は,本件申請後短時日のうちに居宅を賃借しうることが確実であったから,生活扶助を自らの「居宅において」受けることがで,。 ,きたと確定できたかその可能性が高かったというべきであるしたがって少なくとも,客観的には,居宅保護によることができないとは確定できなかったにもかかわらず,控訴人は,被控訴人については生活扶助を居宅保護によることができないとして,本件決定をしたことになる。 そして,本件が,同項ただし書の定めるその他の場合に当たることについての主張・立証はない。したがって,本件決定は,同項ただし書の要件を欠くものということになるから,取消を免れない。 - 26 -( )控訴人の ,同項ただし書の定めるその他の場合に当たることについての主張・立証はない。したがって,本件決定は,同項ただし書の要件を欠くものということになるから,取消を免れない。 - 26 -( )控訴人の本件における生活保護実施機関としての調査義務について ア法の規定(ア)法は,1条で「この法律は,日本国憲法第25条に規定する理念に基き,,国が生活に困窮するすべての国民に対し,その困窮の程度に応じ,必要な保護を行い,その最低限度の生活を保障するとともに,その自立を助長することを目的とする」とまず法の目的を定めている。そして「この法律により。 ,保障される最低限度の生活は,健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならない(法3条)とし,法による保護の無差別平等。」をいう2条,保護の補足性をいう4条とともに,これら「4条に規定するところは,この法律の基本原理であって,この法律の解釈及び運用は,すべてこの原理に基いてされなければならない」と定めている(5条。 。 )(イ)保護の種類は,生活扶助,教育扶助,住宅扶助,医療扶助,出産扶助,生業扶助,葬祭扶助であり(平成9年法律第124号による改正前の法11条1項,これらの扶助は,要保護者の必要に応じ,単給又は併給として行われ)る(同条2項。 ),,,,(ウ)保護の実施機関は保護の開始の申請があったときは保護の要否種類程度及び方法を決定しなければならない(法24条1項。しかし,要保護者)が急迫した状況にあるときは,すみやかに,職権をもって保護の種類,程度,(),,及び方法を決定し保護を開始しなければならないし法25条1項また常に被保護者の生活状態を調査し,所要の決定をしなければならない(同条2項。 )(エ)保護は,困窮のため最低限 (),,及び方法を決定し保護を開始しなければならないし法25条1項また常に被保護者の生活状態を調査し,所要の決定をしなければならない(同条2項。 )(エ)保護は,困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対して行われる(生活扶助,教育扶助,住宅扶助,医療扶助,出産扶助,葬祭扶助〔法12条ないし16条,18条)か,困窮のため最低限度の生活を維持す〕ることのできない者又はそのおそれのある者に対して行われる生業扶助法(〔17条。 〕)- 27 -これらの事情もあって,保護の実施機関は,保護の決定又は実施のため必要があるときは,要保護者の資産状況,健康状態その他の事項を調査することができる。そのために,要保護者について,当該吏員に,その居住の場所に立ち入り,これらの事項を調査させ,又は当該要保護者に対して,保護の実施機関の指定する医師若しくは歯科医師の検診を受けるべき旨を命ずることができる,という強い権限が与えられている(法28条1項。さらに,保)護の開始があった場合には,被保護者に対して,生活の維持,向上その他保護の目的達成に必要な指導又は指示をすることができるものとされている法(27条1項。 )イ本件における控訴人の調査義務,,,,以上の法の目的生活保護の特質保護機関の権限等に関する法の規定や特に本件におけるような特別な事実経過,とりわけ,控訴人は従来,居宅を有しない要保護者については,居宅保護を行うことができないとの法解釈を前提とした事務処理を行っていたことなど,上記アの事実を考慮すると,保護の実施機関である控訴人は,被控訴人からの本件申請について,要保護者である被控訴人が現に住居を有しておらないとしても,その他の事情からして法30条の居宅保護を受けられるかどうかを調査 慮すると,保護の実施機関である控訴人は,被控訴人からの本件申請について,要保護者である被控訴人が現に住居を有しておらないとしても,その他の事情からして法30条の居宅保護を受けられるかどうかを調査すべき義務があったものというべきである。したがって,仮に,控訴人が主張するように,法30条1項ただし書の「これによることができないとき」の解釈に当たって,居宅の具体的準備を問題とすべきであるとしても,控訴人が上記の調査義務を果たしたにもかかわらず居宅の具体的準備がされなかった場合にはじめて,同項ただし書の「これによることができないとき」に該当するものというべきである。 ( )法30条等に関する控訴人の当審における主張について ア控訴人の主張控訴人は,要保護者が,現に住居を有しておらなくても,居宅の具体的準備がされている場合には,法33条1項ただし書の「これによることができない- 28 -とき」に当たらないと法解釈した上,被控訴人は本件決定当時,居宅の具体的準備をしていなかったから,結局,同項ただし書に該当するとして,本件決定に違法はないと主張する。しかし,以下のとおり,上記主張は採用することができない。 イ検討(ア)既に述べたとおり,法は,生活扶助と住宅扶助とを,生活保護の種類としては別個のものとし(法11条1項,これらは,要保護者の必要に応じ,単)給又は併給として行われるものとしている(同条2項。また,生活保護に関),(,する決定については後にこれを変更することも可能である法24条5項25条2項。 )一方,法には,居宅を有しない要保護者について,住宅扶助との併給としてでなければ居宅保護を行うことができない旨を定めた規定や,居宅保護のみを行うものとした保護開始決定がされた後に,居宅保護と住宅扶助とを併給する旨の を有しない要保護者について,住宅扶助との併給としてでなければ居宅保護を行うことができない旨を定めた規定や,居宅保護のみを行うものとした保護開始決定がされた後に,居宅保護と住宅扶助とを併給する旨の保護変更決定をすることができない旨を定めた規定はない。 以上のような点に照らすと,法が,居宅を有しない要保護者について,住宅扶助を行わずに居宅保護のみを行うことを禁じていないことは明らかである。そうすると「要保護者が居宅を所有しているような場合を除き,居宅保,護による場合には住宅扶助を給付しなければならない」とする控訴人の解釈。 は,その前提を欠くものであり,賛成できない。 (イ)また,控訴人のいう「居宅の具体的準備」というのも,必ずしも明らかではなく,この一点を基準として,居宅保護の可否を決定することの当否も疑問がある。その「具体性」を控訴人は,住宅扶助を行う場合の賃料等を確定する必要のあることから導き出すが,居宅保護を必ず住宅扶助ともにするとの前提をとれないことは先に述べたとおりである。また,居宅保護を住宅扶助と共にするとしても,例えば,要保護者が所有しない住宅を無償で使用できるが,修繕費等の賃料以外の費用を要するといった場合も想定されないわ- 29 -けではないことからも,上記のような控訴人の主張には問題があるというべきであるからである。 控訴人の主張するところは,上記のような法の目的や,法30条1項の趣旨に合致するものとは言い難く,採用できない。 第4 結論 以上の次第であって,被控訴人の本件決定の取消請求は,その余の争点について判断するまでもなく,理由があるから認容すべきであり,これと同旨の原判決は相当である。よって,本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 大阪高等裁判所第6民事部裁判長裁判官大 でもなく,理由があるから認容すべきであり,これと同旨の原判決は相当である。よって,本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 大阪高等裁判所第6民事部裁判長裁判官大出晃之裁判官赤西芳文裁判官田中一彦
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