昭和26(ナ)4 選挙の効力に関する訴願裁決取消請求事件

裁判年月日・裁判所
昭和27年2月27日 札幌高等裁判所 棄却
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【DRY-RUN】主    文      原告の請求を棄却する。      訴訟費用は原告の負担とする。          事    実  (申立)  原告は、昭和二十六年十月八日に被告委員会が原告に対してなしたa村議

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判決文本文2,962 文字)

主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 (申立)原告は、昭和二十六年十月八日に被告委員会が原告に対してなしたa村議会議員選挙管理委員会更正決定に対する訴願の裁決を取消す、昭和二十六年四月二十三日執行のa村議会議員選挙における当選人原告を有効とする、との判決を求め、被告は主文と同旨の判決を求めた。 (当事者の陳述の要旨)原告の陳述の要旨は次のとおりである。 (一) 昭和二十六年四月二十三日に執行された樺戸郡a村議会議員の選挙において、候補者の原告は当選し、候補者Aは原告と一票の差で次点となり同月二十四日に当選の告示があつたところAは同月二十八日同村選挙管理委員会に対し異議の申立をした。同委員会は右の異議を理由ありとし、同年五月十日Aを当選人とし原告を次点とする旨の更正決定をした。原告はそこで同年五月二十三日被告委員会に対し訴願したが、被告委員会は同年十月八日原告の訴願を棄却する旨の裁決をなし、原告は同月二十一日裁決書の交付を受けた。 (二) a村選挙管理委員会が前記の更正決定をした理由は、さきに開票の際無効投票と決定された二票をA候補者に対する有効投票と認め、その結果同候補者の得数は原告よりも一票多いと言う点にある。 (三) しかしながら、右の二票はいづれも次の事実により無効である。 (イ) その一票(甲第十号証として提出)はa村之印を押してないから、成規の用紙とは言われない。 また村選挙管理委員会に於て調製したものか否かも判明しないから無効である。 (ロ) 他の一票(甲第五号証として提出)は片仮名でエクニと記載されてをり、その筆跡之よれば片仮名を読み書きする普通の能力あるものが書いたとみとめられるから、Aの氏Aをエクニと書を誤つたものとは解する ロ) 他の一票(甲第五号証として提出)は片仮名でエクニと記載されてをり、その筆跡之よれば片仮名を読み書きする普通の能力あるものが書いたとみとめられるから、Aの氏Aをエクニと書を誤つたものとは解することはできず、A候補者は投票する意思が全然なくその以外の目的意思の下にエクニと書いたものと断定すべきである。仮に書き損じと解すれば、それは同選挙に立候補したBの氏Bを書き損じたものとも推測することができ、同票は候補者の何人を記載したかを確認し難いものである。 (四) 以上の理由により、前記の更正決定は違法でありその決定を正当とした被告委員会の裁決もまた違法であるから、右裁決を取消し、原告を当選者と定める判決を求める。 被告の陳述の要旨は次のとおりである。 原告主張の前記(一)(二)の事実はみとめる。 原告提出の甲第五号証及び同第十号証が問題の票であることは相違ない。そうして、a村選挙管理委員会が定めた投票用紙の様式としてはa村之印を押さねばならぬこと、甲第五号証の投票用紙に所要の押印がないことは原告主張のとおりであるが、それはたまたま係員が押印を遺脱したものであつて、右委員会が自ら定めた様式に従つて調製し投票者に交付した用紙であることは間違いがないから、右の票は成規の用紙たるを失わない。次に第五号証め票には片仮名でエクニと記されていることは事実であり、同選挙にBが立候補したことも事実であるが、エクニはA候補の氏Aを書き誤まつたものとみとめられ、Bの誤りとは解されないから、A候補の有効得票とみとむべきものである。 (証拠)原告は甲第一号証から同第十号証までを提出し、証人CDの尋問並に鑑定を申請し、甲第五号証及甲第十号証は原告が無効と主張する投票であり、甲第六号証から第九号証までは十号証と同じく押印のない投票であつて、開票管理者は無効と 同第十号証までを提出し、証人CDの尋問並に鑑定を申請し、甲第五号証及甲第十号証は原告が無効と主張する投票であり、甲第六号証から第九号証までは十号証と同じく押印のない投票であつて、開票管理者は無効と決定したものである、とのべ、甲第五号証及び甲第十号証の検証を求め、乙各号証が開票管理者の有効と決定した投票であることはみとめる、とのべた。 被告は乙第一号証から同第五号証までを提出し、同号証はいづれも開票管理者が有効と決定したものであつて、之等と甲第十号証を対照して、甲第十号証は押印のない点を除いては所定の様式を具備していることを立証すると述べ、証人EFの尋問並に鑑定を求め、甲第五号証乃至同第十号証は関する原告主張の事実をみとめた。 理由 先づ、甲第十号証の投票につき考えると、新十津再村選挙管理委員会が定めた投票用紙の様式ととてはa村の印を押さねばならぬこと、右の投票用紙にはその押印がないことは争がない。しかし、証人EFの証言により、また甲第十号証と乙第一乃至第五号証とを対照検証した結果によると、甲第十号証は前記委員会が自らその定めた様式に従つて調製した用紙であつて、押印がないのは係員がたまたまそれを遺脱し<要旨>たものであることがみとめられる。証人CDの右認定に反する証言は信用できない。そうして</要旨>公職選挙法第六十八条第一項に成規の用紙を用いない投票を無効とする趣旨は私製用紙の使用を禁ずるにあるから、右の如くたまたま押印がなくても選挙管理委員会が調製した用紙であれば、その投票は無効とすべきものではない。 次に甲第五号証の投票につき考えるに、同号証の投票には片仮名でエクニと書かれていることは争がなく、A候補者の氏がエクニと誤つて発音されることは考えられない。また鑑定人G及びHの鑑定はよると、ユ及びタの字型を 五号証の投票につき考えるに、同号証の投票には片仮名でエクニと書かれていることは争がなく、A候補者の氏がエクニと誤つて発音されることは考えられない。また鑑定人G及びHの鑑定はよると、ユ及びタの字型をよくわきまえている者が運筆を誤つてエクと書いたものとも認められない。しかし片仮名の字型を十分にわきまえぬ者がユの字型をエと誤つてユの字を書く意思でエと書きまたタの字の「、」を忘れてクと書くことはありうることである。甲第十号証の筆跡と前記鑑定の結果によるとその投票者の読み書きの能力は中位よりやや劣るものとみとめられまた一方真面目に書いたもの、言いかえれば、ことさら無用の記載をしたものではなく候補者の何人かく投票する意思で書いたものとみとめられる。そうだとすればエクニはAの誤記であり、同票はAの有効得票と認めるのが相当である。原告はB候補の氏を書き誤つたものと推測されると主張するがイをエとなまることはあるが右の投票ははヅの記載がなく明白に三字が記載されているからこれをBと推測するのは無理である。 以上の通り原告が無効と主張する二票はいづれもA侯補の得票とみとむべきものである。故に当事者間に争のない前記(一)(二)の事実に徴して、A候補が適法の期間内に申立てた異議に基いてa村選挙管理委員会がなした決定は正当でありその取消を求めた原告の訴願を棄却した被告委員会の裁決もまた違法ではない。 よつて原告の本訴請求は棄却し、訴訟費用は民事訴訟法第八十九条により原告の負担とする。 (裁判長裁判官浅野英明裁判官熊谷直之助裁判官藤野稔)

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