主文 1 本件訴えのうち、被告杉並区長に対し、aに金1001万5546円、bに金801万0346円、cに金200万5200円及びdに金1001万5546円の各金員並びにこれらに対する平成16年5月10日から支払済みまで年5分の割合による各金員の支払の請求を求める部分をいずれも却下する。 2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 被告杉並区政策経営部情報システム課長は、住民基本台帳ネットワークシステム不参加に係る公金(機器賃借料月84万2940円)を支出してはならない(第1事件)。 2 被告杉並区長は、aに対し、金約5988万5308円、bに対し、金1913万0108円、cに対し、金200万5200円、eに対し、金3596万8517円、fに対し、金728万9362円、dに対し、金4897万1523円及びgに対し、金84万2940円の各金員並びにこれらに対する平成16年5月10日から支払済みまで年5分の割合による各金員を請求せよ(第2事件)。 第2 事案の概要本件は、杉並区の住民である原告が、杉並区が住民基本台帳法(以下「住基法」という。)で定められた住民基本台帳ネットワークシステム(以下「住基ネット」という。)に参加していないのは違法であり、そのような状況下で住基ネット関連の費用を支出しているのは違法であるなどと主張して、地方自治法(以下「法」という。)242条の2第1項1号に基づいて、被告杉並区政策経営部情報システム課長に対し、住基ネット関連機器の賃借料の支出の差止めを求めるとともに(第1事件)、同項4号前段に基づいて、被告杉並区長に対し、住基ネット関連の費用に係る財務会計行為を行った当該 経営部情報システム課長に対し、住基ネット関連機器の賃借料の支出の差止めを求めるとともに(第1事件)、同項4号前段に基づいて、被告杉並区長に対し、住基ネット関連の費用に係る財務会計行為を行った当該職員に損害賠償の請求をすることを求めた(第2事件)事案である。 1 前提事実(認定した事実には証拠を掲げる。)(1) 原告は杉並区民である。 (2) 被告杉並区長aは、杉並区長である。 被告杉並区政策経営部情報システム課長bは、杉並区予算事務規則(以下「予算事務規則」という。乙4の977頁)4条に基づき、杉並区長から、住基ネット関連機器の賃貸借契約に係る支出命令を行う権限を委任された者である。 (3) 当該職員ア aは、杉並区長であり、別紙財務会計行為一覧表記載の支出負担行為及び支出命令を行う権限を法令上本来的に有する者である(法149条2号、232条の4第1項)。 イ bは、杉並区政策経営部情報システム課長であり、予算事務規則4条に基づき、杉並区長から、別紙財務会計行為一覧表Ⅲ及びⅤ記載の支出命令を行う権限を委任された者である。 ウ cは、平成14年度の杉並区区民生活部区民課長であり、杉並区長の権限に属する事務の一部を委任する規則(以下「権限委任規則」という。乙4の249頁)1条及び予算事務規則4条に基づき、杉並区長から、別紙財務会計行為一覧表Ⅰの1ないし5記載の支出負担行為及び支出命令並びに同表Ⅱ及びⅣ記載の支出命令を行う権限を委任された者である。 エ eは、平成15年度から杉並区区民生活部区民課長であり、権限委任規則1条及び予算事務規則4条に基づき、杉並区長から、別紙財務会計行為一覧表Ⅰの6及びⅥの1記載の支出負担行為と支出命令、並びに同表Ⅵの2記載の 成15年度から杉並区区民生活部区民課長であり、権限委任規則1条及び予算事務規則4条に基づき、杉並区長から、別紙財務会計行為一覧表Ⅰの6及びⅥの1記載の支出負担行為と支出命令、並びに同表Ⅵの2記載の支出命令を行う権限を委任された者である。 オ fは、平成15年6月29日から収入役であり、別紙財務会計行為一覧表Ⅵの2記載の支出を行う権限を有する者である(法170条)。 カ dは、平成14年度及び平成15年度の副収入役であり、杉並区収入役室処務規程(以下「処務規程」という。乙4の299頁)4条2項に基づき、収入役から、別紙財務会計行為一覧表ⅠないしⅣ、Ⅴの1ないし20及びⅥの1記載の支出を行う権限を委任された者である。 キ gは、平成16年度から副収入役であり、処務規程4条2項に基づき、収入役から別紙財務会計行為一覧表Ⅴの21記載の支出を行う権限を委任された者である。 (4) 平成11年8月18日、住基ネット(市町村の区域を超えた住民基本台帳に関する事務の処理や国の行政機関に対する本人確認情報の提供を行うためのネットワークシステム)の導入を定めた改正住基法(平成11年法律第133号)が公布され、住基ネットの第1次稼働(住民票コードの住民票への記載、市町村長から都道府県知事への本人確認情報の通知、都道府県知事から指定情報処理機関への本人確認情報の通知、行政機関への本人確認情報の提供等)に係る規定は3年以内に(平成13年12月政令第430号により、平成14年8月5日から)、第2次稼働(住民票の写しの広域交付、転入転出の特例処理、住民基本台帳カードの交付等)に係る規定は5年以内に(平成15年1月政令第20号により、平成15年8月25日から)、それぞれ施行するものと定められた(同法附則1条1項)。 転出の特例処理、住民基本台帳カードの交付等)に係る規定は5年以内に(平成15年1月政令第20号により、平成15年8月25日から)、それぞれ施行するものと定められた(同法附則1条1項)。 (5) 第1次稼働までの経緯平成13年9月25日、杉並区住民基本台帳に係る個人情報の保護に関する条例が公布された。同条例6条1項は、区長は、住民票記載事項の漏えい又は不適正な利用により、区民の基本的人権が侵害されるおそれがあると認めるときは、国、他の地方公共団体、指定情報処理機関その他の関係者に対し報告を求めるとともに、必要な調査を行わなければならないと定めている(乙4の1350頁)。この必要な調査に関し設置された住基ネット調査会議は、平成14年8月1日、杉並区長に対し、「現段階で住基ネットに接続し、送信を開始することについては大きな危惧を抱かざるを得ない。」とする中間報告を行った(乙23、33)。 杉並区長は、確固とした個人情報保護のための法制度が整備されるまでの住基ネットへの不参加は適法であるとの見解の下に、平成14年8月1日、同月5日に第1次稼働が開始する住基ネットにデータの送信を行わず、準備段階で既に送信した情報については東京都に消去を求めることを表明し(乙21、22)、平成14年8月2日、住基ネットの安全性が総合的に確認された後に区民全員分の本人確認情報を通知し、それまでは希望者のみの本人確認情報を通知するという方式(以下「段階的参加方式」という。)で住基ネットに参加することを表明した。 平成14年8月5日、住基ネットの第1次稼働が開始したが、杉並区は東京都への本人確認情報の通知を見合わせ、同ネットワークに参加しなかった。 (6) 第2次稼働までの経緯平成15年5月 年8月5日、住基ネットの第1次稼働が開始したが、杉並区は東京都への本人確認情報の通知を見合わせ、同ネットワークに参加しなかった。 (6) 第2次稼働までの経緯平成15年5月23日、個人情報保護関連5法(「個人情報の保護に関する法律」、「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」、「独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律」、「情報公開・個人情報保護審査会設置法」及び「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」)が成立し、同月30日、公布されたが、住基ネット調査会議は、平成15年5月29日、杉並区長に対し、個人情報保護関連5法の制定をもっても、確固とした個人情報保護法制の実質を備えていると評価できるかどうか疑問である旨を報告した(乙26)。 杉並区長は、平成15年6月4日、段階的参加方式による住基ネットへの参加を決定した。 平成15年8月25日、住基ネットの第2次稼働が開始した。杉並区は、東京都に非通知を希望する者以外の区民の本人確認情報を通知しようとしたところ、東京都から、段階的参加方式による参加は認められないとして拒絶されたため、以来現在に至るまで同ネットワークに参加していない。 (7) 本件各財務会計行為ア b、c、e、f、d及びgは、それぞれ所定の財務会計法規に則って、別紙財務会計行為一覧表記載の各財務会計行為を行った(乙5、6、8ないし17)。 イ杉並区は、エヌイーシーリース株式会社に対し、住基ネット関連機器賃借料として、月84万2940円を支払っている。 (8) 杉並区は、住基ネットへの接続を認められていないことから、平成16年2月6日(乙1)、国及び東京都に対する接続準備 住基ネット関連機器賃借料として、月84万2940円を支払っている。 (8) 杉並区は、住基ネットへの接続を認められていないことから、平成16年2月6日(乙1)、国及び東京都に対する接続準備費用等約4700万円の損害賠償請求訴訟を提起する方針であることを表明し、同年8月24日、同訴えを提起した。 (9) 住民監査請求ア原告は、平成16年4月5日、杉並区監査委員に対し、前記(7)記載の各財務会計行為につき、杉並区長及び他の関係職員に対する損害賠償請求、支出の差止めその他必要な措置を採ることを求める住民監査請求をした(乙1)。 イ杉並区監査委員は、平成16年4月22日、監査請求から過去1年以内に行われた財務会計行為については区に損害が生じているとはいえない、過去1年より前に行われた財務会計行為については監査請求期間を経過し、期間内に監査請求できなかったことに正当な理由も認められない旨の理由により、原告の監査請求を却下した(甲1)。 (10) 原告は、平成16年4月27日、被告杉並区政策経営部情報システム課長に対し公金支出の差止めを求める第1事件を提起し、同年5月10日、被告杉並区長に対し前記(3)記載の当該職員に損害賠償請求することを求める第2事件を提起した。 2 本案前の被告らの主張(1) 差止請求の対象となる行為の特定(被告杉並区政策経営部情報システム課長の主張)法242条の2第1項1号に基づく差止請求の対象となる当該行為については、差止請求の対象となる行為とそうでない行為とが識別できる程度に特定されていることが必要であるところ、第1事件に係る訴えは、差止請求の対象となる行為とそうでない行為とを識別することができないから、差止請求の対象の特定を欠き、不適法 ない行為とが識別できる程度に特定されていることが必要であるところ、第1事件に係る訴えは、差止請求の対象となる行為とそうでない行為とを識別することができないから、差止請求の対象の特定を欠き、不適法である。 (2) 監査請求期間徒過(被告杉並区長の主張)原告が杉並区監査委員に対して法242条1項に基づく住民監査請求を行ったのは平成16年4月5日であるが、別紙財務会計行為一覧表中の備考欄に「監査請求期間徒過」と記載された部分に係る財務会計行為は、平成15年4月5日より前に完了しているから、これに対する監査請求は法242条2項所定の監査請求期間を徒過している。 上記各財務会計行為については、平成14年度及び平成15年度の予算に計上され、適正な手続によって支出負担行為が行われ、監査手続を経て決算認定もされ、区民の傍聴の可能であった区議会に対しても報告されている。また、住基ネット調査会議の開催、電話アンケートの実施等はその都度、杉並区広報、杉並区ホームページに掲載され、新聞報道もされているほか、情報公開請求があればいつでも公開できる体制になっており、現に原告からの情報公開請求に応じて関連情報が公開されている。したがって、上記財務会計行為は、何ら秘密裡にされたものではないから、法242条2項ただし書の「正当な理由」はなく、監査請求期間を徒過した部分に係る訴えは不適法である。 3 本案前の主張に対する原告の反論(1) 差止請求の対象となる行為の特定について原告は、本案前の被告らの主張(1)を受けて、請求の趣旨を訂正した。 (2) 監査請求期間徒過について原告は、杉並区が住基ネットに参加していないにもかかわらず、住基ネット関連の支出をしているなどとは考えも及ばな 受けて、請求の趣旨を訂正した。 (2) 監査請求期間徒過について原告は、杉並区が住基ネットに参加していないにもかかわらず、住基ネット関連の支出をしているなどとは考えも及ばなかったものであり、杉並区が国や東京都を訴える旨の新聞報道があるまで、住基ネット関連の支出がされていることを知ることができなかったから、監査請求期間を徒過したことについて、法242条2項ただし書にいう「正当な理由」がある。 4 本案における原告の主張(1) 住基法は住基ネットに住民全員が組み込まれることを当然の前提としているから、段階的参加方式による住基ネットへの参加は違法である。参加の有無を住民の選択に任せるのであれば住基法上その旨の規定が必要であるところ、そのような規定はないし、住民全員が参加しなければ、事務の簡素化、行政の合理化を図ることができなくなる。杉並区は、段階的参加方式を採用したため、住基ネットに接続できない状態にあり、住基ネットに参加していれば支出する必要のなかった費用を支出しているから、この支出は違法である。 (2) 住基ネットシステム関連機器の賃借料月84万2940円の支払は、違法な公金の支出であるから、その差止めが認められるべきである。 (3) 杉並区は違法な公金支出により次の損害を被ったので、杉並区長個人はその全額について、その他の職員個人はその行った財務会計行為に係る金額を杉並区に賠償する責任がある。 ア学識経験者及び住基ネット調査会議委員に対する謝礼金並びに電話アンケート調査委託費(別紙財務会計行為一覧表Ⅰ及びⅡ)152万2500円イ住基ネット関連機器の保守委託費(別紙財務会計行為一覧表Ⅲ)145万0628円ウ 財務会計行為一覧表Ⅰ及びⅡ)152万2500円イ住基ネット関連機器の保守委託費(別紙財務会計行為一覧表Ⅲ)145万0628円ウ契約解除に伴う賠償金(別紙財務会計行為一覧表Ⅳ)63万2700円エ住基ネット関連機器等賃借料(平成14年7月分から平成16年3月分)(別紙財務会計行為一覧表Ⅴ)1767万9480円オ平成15年6月から平成16年3月までの間に要したその他の費用約3860万円(杉並区が同期間内に発生したと表明した損害額約4700万円から同期間中の住基ネット関連機器等賃借料約840万円を控除した残額) 5 本案における被告らの主張(1) 原告が問題とする各財務会計行為は、以下のとおり、それぞれの必要性に基づき、地方自治法に基づき区長が制定した規則所定の手続に従って適正に処理し、支出したものであるから、違法ではない。 ア住基ネット調査会議委員に対する謝礼金(別紙財務会計行為一覧表Ⅰの6)住基ネット調査会議は、住基ネットの構築に伴う法制度上、技術上、運用上の諸問題についての意見を聴くための設けられたものである。住民基本台帳事務は自治事務とされ、その事務に係る区民の個人情報の安全を保護すべき義務を負う区長として、法制度のみならず、住基システムの技術上、運用上の諸問題を検討してもらうために会議体を設置することは、区長の合理的な裁量判断にゆだねられた事柄であり、区長は合理的裁量に基づき、同調査会議を設置し、同調査会議が開催され、出席した委員に謝礼を支払ったにすぎないのであるから、本件支出と段階的参加方式を採用したこととの関連はない。 れた事柄であり、区長は合理的裁量に基づき、同調査会議を設置し、同調査会議が開催され、出席した委員に謝礼を支払ったにすぎないのであるから、本件支出と段階的参加方式を採用したこととの関連はない。 イ住基ネット関連機器等の保守委託料及び賃借料(別紙財務会計行為一覧表Ⅲ及びⅤ)杉並区は、東京都から、平成13年度中に市町村コミュニケーションサーバ(市町村に既に設置されている住民基本台帳事務のためのコンピュータと住基ネットシステムとの橋渡しをするために新たに設置するコンピュータ、以下「CS」という。)の整備及び既存住基システムの改修を行う必要があるという住基ネット構築に係るスケジュールを通知されたため、これに基づき、平成14年2月1日から、エヌイーシーリース株式会社との間で住基ネット関連機器等の賃貸借契約を締結し、CS、アプリケーションサーバ(CSと既存住基システムとの間のクッション役として既存住基システムの住基データと同じ内容のデータを保存し、その保存されたデータの中から本人確認情報を抜き出し、CSに送信する役割を持つもの。以下「APサーバ」という。)、ファイアウォール及びそれらに付属する端末機器等を賃借するととともに、日本電気株式会社との間で同関連機器の保守委託契約を締結した。住基法の定めに従い、住基ネットに参加する以上、関連機器は必要となるものであり、これは区民全員の情報を通知しようと、一部区民の情報を通知しようと、同一の費用を要するものである。 そして、いったん設置した機器を撤去する場合、①住基ネット機器が大量生産される機器ではなく特殊な機器であるため、いったん機器を撤去すると、再設置するまで最低でも4か月以上の期間を要すること、②機器の撤去・再設置のためには、物理的な機器の撤去、 住基ネット機器が大量生産される機器ではなく特殊な機器であるため、いったん機器を撤去すると、再設置するまで最低でも4か月以上の期間を要すること、②機器の撤去・再設置のためには、物理的な機器の撤去、設置費用のほか、システムのインストール、プログラムの設定等の作業が必要となり、同作業のために1000万円以上の費用を要すること、③CS及びAPサーバの返還により、全国サーバ及び東京都サーバとのデータの整合性が図られなくなり、住基ネットへの参加が認められたときに速やかに参加することができなくなること、④住基ネットに係るセキュリティ対策のための更新プログラムをインストールし、常に最新の状態にしておくことが難しくなることといった支障が生じることから、杉並区は、国や東京都から住基ネットへの参加が認められた場合、即座に杉並区民の本人確認情報を通知できるようにするため、賃借を継続し、支出しているものであって、段階的参加方式を採用したこととの直接の関連はない。 ウ住民票コード通知等の郵便料金(別紙財務会計行為一覧表Ⅵの1)まず、このうち住民票コード等の通知に伴う郵便料金2826万1135円(51万3501通分)は、区民に対する住民票コード等の通知を義務づけている住基法30条の2第3項及び同法附則5条に基づいて、段階的参加方式による住基ネットへの参加を前提に通知したことによる支出であるが、これは一部参加であろうと全員参加であろうと必要となるものであり、段階的参加方式を採用したこととの直接の関連はない。なお、住民票コード等の通知に当たっては封書が用いられたために、葉書の場合よりも郵便料金が高額となったが、住民票コード等の通知方法については、特段の定めはなく、各自治体の個人情報保護の観点から様々な方法が採られているものであり、杉 ては封書が用いられたために、葉書の場合よりも郵便料金が高額となったが、住民票コード等の通知方法については、特段の定めはなく、各自治体の個人情報保護の観点から様々な方法が採られているものであり、杉並区は、個人情報保護の観点からより安全な手法として、区長の裁量の範囲内でこの送付方法を変更したにすぎないから、段階的参加方式を採用したこととの関連はない。 次に、住基法9条1項の規定に基づく転入通知に要した郵便費用19万4860円(2435通分)については、国及び東京都から住基ネットへの参加が認められていないため、同条3項による電気通信回線を通じての送信ができず、同条1項に基づく通知を行わなければならないため、郵便によりこれを送付したものである。 エ住民票コード通知票等の印刷及び発送等業務委託費用(別紙財務会計行為一覧表Ⅵの2)段階的参加方式による参加を進めるためには、区民から本人確認情報の東京都への通知を希望するか否かの確認を取る必要があることから、杉並区は、「本人確認情報非通知申出書」並びにその内容説明、区の住基ネットへの対応及び住基ネットによるサービスの概要を記載した「住基ネットについてのお知らせ」を送付することとし、これら文書及び封筒の印刷業務、これら文書の封入封緘作業並びに郵便局への配送を委託することとした。これらの支出については、住基ネットへの参加の有無にかかわらず必要となるものであり、段階的参加方式を選択したこととの関連はない。 なお、「本人確認情報非通知申出書」の印刷等については、仮に非通知の申出を受けること自体が不要なものと解される場合であっても、自治事務としての住民基本台帳事務を執行し、区民の個人情報を保護すべき立場にある区長が、杉並区民の住基ネッ の印刷等については、仮に非通知の申出を受けること自体が不要なものと解される場合であっても、自治事務としての住民基本台帳事務を執行し、区民の個人情報を保護すべき立場にある区長が、杉並区民の住基ネットに対する意向を確認し、その上でどのような対応を採るかを判断すること自体の有用性は失われるものではないから、非通知申出書の印刷に要した費用が直ちに損害につながるものではない。 (2) 段階的参加方式を採用したことの適法性被告らは、平成15年8月25日の住基ネットの第2次稼働に向けて、個人情報保護の観点から不安の残る現段階において住基ネットへの情報送信を希望しない区民と利便性を生かしたいとする区民との調整を図る現実的な方法として、段階的参加方式を採ることを決定した。この方式は、将来の全員参加を前提としつつ、不安がある現段階では希望しない者についてはこれを強制しないというものではあるが、住基法上必ずしも全住民分を一斉に通知しなければならないとの明確な規定が置かれていないことからすれば、非通知希望者以外の区民の本人確認情報を東京都に通知することは、住基法の規定に反するものではない。一方、通知を受け取る東京都についても、住基法上、市区町村の住民全員のものでない限り通知を受け取ることを拒否できる旨の規定はないことからすれば、都知事は杉並区長が通知した本人確認情報を受け取る義務がある。したがって、現段階において杉並区民の一部を除いて本人確認情報を東京都に通知することは何ら違法ではない。 (3) 当該職員の無過失等仮に、住基法上、段階的参加方式が認められないとしても、同方式は、平成15年4月、国、神奈川県、横浜市及び指定情報処理機関の間の合意の下で実際に運用されているものであり、かつ、その後一部住民が参加しな に、住基法上、段階的参加方式が認められないとしても、同方式は、平成15年4月、国、神奈川県、横浜市及び指定情報処理機関の間の合意の下で実際に運用されているものであり、かつ、その後一部住民が参加しないことによる支障についても何ら公表等されていないこと、また、住基法30条の5第3項の規定からすれば、一部区民の本人確認情報であっても東京都にはこれを受け取る義務があると解されるものであることから、段階的参加方式が受け入れられるものと考えた点において杉並区長に過失はなく、本件各財務会計行為に関与したその他の職員に重過失がないことは明らかである。 第3 当裁判所の判断 1 第1事件について(1) 差止請求の対象となる行為の特定について法242条の2第1項1号の差止請求の訴えにおいては、原告が、差止請求の対象となる行為を特定しなければならないところ、第1事件における差止請求の対象となる行為は、支出目的及び金額が明示されることにより、他の財務会計上の行為と区別して認識できる程度に特定され、また、それが行われることが相当な確実さをもって予測されるか否かを判断することができる程度に特定されているといえるから、差止請求の対象は特定されているというべきである。 (2) 原告は、段階的参加方式は違法であり、そのような状況下での公金の支出も違法であると主張するので、この点について検討する。 証拠(乙7、37)によれば、①杉並区が、その方式はともかく住基ネットへの参加を目指していること、②杉並区は、東京都から示された住基ネットの構築に係るスケジュールに基づき、平成14年2月1日から、住基ネット関連機器(CS、APサーバ、ファイアウォール及びそれに付属する端末機器)等を賃借するとともに、これらの保守を委託したものであ トの構築に係るスケジュールに基づき、平成14年2月1日から、住基ネット関連機器(CS、APサーバ、ファイアウォール及びそれに付属する端末機器)等を賃借するとともに、これらの保守を委託したものであるが、これらの機器は、住基ネットに参加する以上、当然に必要となるものであること、③一度賃貸借契約を解除して機器を返還してしまうと、住基ネットへの参加が認められた場合に、再度機器を調達するのに一定の時間を要し、各種セットアップ等の作業だけでも4か月以上を要する上、撤去費用・契約解除に伴う賠償金に加え、1200万円以上の再設置費用を要すること、④賃貸借契約を継続することにより、必要に応じたセキュリティ強化作業を行うことができ、また、従前のデータに対する更新データを送信する方法により速やかに住基ネットに参加できるようになることが認められる。 そうすると、住基ネット関連機器等の賃借料の支出は、区民全員による一斉参加をしようと、段階的参加方式による参加をしようと、同様に必要なものということができる。そして、杉並区が、住基ネットへの接続が拒否されているにもかかわらず、住基ネット関連機器等の賃貸借契約を継続していることには、上記①ないし④の点からすれば、合理的な理由があるといえる。したがって、住基ネット関連機器等の賃借料の支出は、段階的参加方式の採用とは関係がないから、違法ではない。 (3) なお、原告は、杉並区が現に住基ネットに参加していないにもかかわらず、住基ネット関連機器等の賃借料を支出するのは違法であるという主張もしているものと解されるが、杉並区がその方式はともかく住基ネットへの参加を目指していることは前記(2)のとおりであり、前提事実(5)ないし(7)によれば、住基ネット関連機器等の賃借料は、住基ネットへの参加を前提にそれ れるが、杉並区がその方式はともかく住基ネットへの参加を目指していることは前記(2)のとおりであり、前提事実(5)ないし(7)によれば、住基ネット関連機器等の賃借料は、住基ネットへの参加を前提にそれぞれの必要に応じて支出されたものといえるから、杉並区が現に住基ネットに参加していない状態にあるからといって、その支出が違法となるものではなく、この点に関する原告の主張は失当である。 (4) よって、第1事件に係る原告の請求は理由がない。 2 第2事件について(1) 別紙財務会計行為一覧表Ⅰの1ないし5、Ⅱ、Ⅲの1ないし8、Ⅳ及びⅤの1ないし8の各財務会計行為についてこれらの各財務会計行為に係る監査請求は、当該行為のあった日から法242条2項本文所定の1年の監査請求期間を経過した後に行われている。そこで、監査請求が監査請求期間経過後にされたことに、同項ただし書の「正当な理由」があるか否かが問題となる。 普通地方公共団体の執行機関・職員の財務会計上の行為が秘密裡にされた場合、法242条2項ただし書にいう「正当な理由」の有無は、特段の事情のない限り、普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査したときに客観的にみて当該行為を知ることができたかどうか、また、当該行為を知ることができたと解される時から相当な期間内に監査請求をしたかどうかによって判断すべきものである(最高裁昭和63年4月22日第二小法廷判決)。そして、このことは、当該行為が秘密裡にされた場合に限らず、普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査を尽くしても客観的にみて監査請求をするに足りる程度に当該行為の存在又は内容を知ることができなかった場合にも同様であると解すべきである。したがって、そのような場合には、上記正当な理由の有無 て調査を尽くしても客観的にみて監査請求をするに足りる程度に当該行為の存在又は内容を知ることができなかった場合にも同様であると解すべきである。したがって、そのような場合には、上記正当な理由の有無は、特段の事情のない限り、普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査すれば客観的にみて上記の程度に当該行為の存在及び内容を知ることができたと解される時から相当な期間内に監査請求をしたかどうかによって判断すべきものである(最高裁平成14年9月12日第一小法廷判決)。 本件についてこれをみると、証拠によれば、本件各財務会計行為に係る支出については、杉並区の一般会計予算に計上され、決算認定、区議会への報告が行われるなど(乙31)公然と支出されたものであること、本件各財務会計行為に係る文書については情報公開請求があれば公開される状態に置かれていたこと(乙35の1ないし8)、杉並区の住基ネットに対する方針や取組みについては、区報やホームページにより区民に広報されていたこと(乙32、33)が認められ、これらの事実によれば、杉並区の住民が相当の注意力をもって調査すれば客観的にみて監査請求をするに足りる程度に当該行為の存在及び内容を知ることができたということができるから、各財務会計行為後1年以内に監査請求がされなかったことにつき「正当な理由」があるということはできない。 よって、第2事件のうち、別紙財務会計行為一覧表Ⅰの1ないし5、Ⅱ、Ⅲの1ないし8、Ⅳ及びⅤの1ないし8の各財務会計行為に係る訴えは、適法な監査請求を経ていないから、不適法である。 (2) 別紙財務会計行為一覧表Ⅰの6、Ⅲの9、Ⅴの9ないし21及びⅥの各財務会計行為についてア原告は、段階的参加方式は違法であり、そのような状況下で行われた 、不適法である。 (2) 別紙財務会計行為一覧表Ⅰの6、Ⅲの9、Ⅴの9ないし21及びⅥの各財務会計行為についてア原告は、段階的参加方式は違法であり、そのような状況下で行われた本件各財務会計行為も違法であると主張するので、この点について検討する。 (ア) 本件各財務会計行為が、所定の財務会計法規に則って行われたものであることは、前提事実(7)のとおりである。そこで、まず、仮に段階的参加方式が違法であった場合に、そのことによって財務会計行為が違法となるか否かについて検討する。 法242条の2の定める住民訴訟は、普通地方公共団体の執行機関又は職員による法242条1項所定の財務会計上の違法な行為又は怠る事実の予防又は是正を裁判所に請求する権能を住民に与え、もって地方財務行政の適正な運営を確保することを目的とするものであるところ、法242条の2第1項4号所定の当該職員に損害賠償の請求をすることを当該普通地方公共団体の長に対して求める訴訟は、このような住民訴訟の一類型として、財務会計上の行為による当該職員の個人としての損害賠償義務の履行を求めるものにほかならない。したがって、当該職員の財務会計上の行為をとらえて上記規定に基づく損害賠償責任を問うことができるのは、たとえこれに先行する原因行為に違法事由が存する場合であっても、原因行為を前提としてされた当該職員の行為自体が財務会計法規上の義務に違反する違法なものであるときに限られると解するのが相当である。そして、当該職員が財務会計行為上の行為をするに当たって職務上負担する義務には、個々の会計法規のみではなく、法138条の2の地方公共団体の誠実執行義務等も含まれるものと解するのが相当である。 ところで、原告は、杉並区が に当たって職務上負担する義務には、個々の会計法規のみではなく、法138条の2の地方公共団体の誠実執行義務等も含まれるものと解するのが相当である。 ところで、原告は、杉並区が、段階的参加方式によって住基ネットに参加することとしたことが違法であるから、杉並区長等には、損害賠償責任があるという趣旨の主張をしているのであるが、住基ネットに参加するかどうか、あるいはどのような方式に基づいて参加するのかといった点は、区の政策決定にほかならない。そして、このような区の政策決定は、所定の手続に従い、権限を有する者が行うべき事柄であって、財務会計職員がその適否を独自の観点から審査し直し、違法と判断した場合には、それに関する財務会計行為を拒否することができる(拒否すべきである)ということになれば、区が行うべき政策に関する統一的な意思決定が不可能となってしまいかねず、相当とはいい難い。また、住民訴訟において、財務会計職員が区の政策決定の適否を審査し直すことができる(審査し直すべきである)との前提の下に、当該財務会計職員の行為の適否を審査することは、裁判所が、区の政策決定の適否そのものを審査することにほかならず、そのようなことは、地方公共団体の行為をあくまでも財務的観点から審査するのにとどまる住民訴訟制度の趣旨にも反するものといわざるを得ない。このように考えると、財務会計職員としては、区の政策決定が、所定の手続に従い、権限を有する者によって行われている以上、原則としてそれに従うべきものであり、ただ、その意思決定に重大かつ明白な違法があるなど財務会計的観点から看過し難い違法がある場合に、その実施を拒否できるにすぎず、住民訴訟を審理する裁判所としても、原因行為である政策決定に財務会計的観点から看過し難い違法があったにもかかわらず、財務 務会計的観点から看過し難い違法がある場合に、その実施を拒否できるにすぎず、住民訴訟を審理する裁判所としても、原因行為である政策決定に財務会計的観点から看過し難い違法があったにもかかわらず、財務会計行為が行われたと評価し得る場合に初めて、当該財務会計行為を違法と判断することができるのにとどまるものと解すべきである(なお、本件においては、住基ネットへの参加に関する政策決定権限を有する杉並区長個人の損害賠償責任も問題となっているが、本件で問題とされるべきなのは、財務会計行為権者としての杉並区長の損害賠償責任の有無なのであるから、この点については、同様の観点から判断すべきものであると解される。)。 以上の解釈を前提に、以下、杉並区長とそれ以外の各職員について検討する。 (イ) 杉並区長について本件においては、法242条の2第1項4号前段の規定に基づき、財務会計職員としての区長個人の損害賠償責任が追及されているのであるが、前提事実(3)のとおり、本件各財務会計行為に係る支出負担行為及び支出命令を行う権限は、杉並区長からあらかじめ他の職員に委任されているところ、地方公共団体の長は、その権限に属する一定の範囲の財務会計上の行為をあらかじめ特定の職員に委任することとしている場合であっても、当該財務会計上の行為を行う権限を法令上本来的に有するものとされている以上、当該財務会計上の行為の適否が問題とされている当該住民訴訟において、法242条の2第1項4号前段にいう「当該職員」に該当するものと解すべきである。そして、委任を受けた職員が委任に係る当該財務会計上の行為を処理した場合においては、長は、同職員が財務会計上の違法行為をすることを阻止すべき指揮監督上の義務に違反し、故意又は過失により右 きである。そして、委任を受けた職員が委任に係る当該財務会計上の行為を処理した場合においては、長は、同職員が財務会計上の違法行為をすることを阻止すべき指揮監督上の義務に違反し、故意又は過失により右職員が財務会計上の違法行為をすることを阻止しなかったときに限り、自らも財務会計上の違法行為を行ったものとして、普通地方公共団体に対し、同違法行為により当該普通地方公共団体が被った損害につき賠償責任を負うものと解するのが相当である(最高裁平成5年2月16日第三小法廷判決)。 そこで、かかる指揮監督上の義務違反の有無について検討すると、段階的参加方式は、前提事実(5)及び(6)のとおり、区長の諮問機関である住基ネット調査会議が、住基ネットへの参加が住民の個人情報保護の点から問題があるとの懸念を表明していたことや、横浜市において、住基ネットの安全性が確認されるまでは希望者のみの本人確認情報を通知するという方式で住基ネットに参加することを表明した後、総務省、神奈川県、横浜市及び財団法人地方自治情報センターの4者の合意を経て、住基ネットへの接続を認められていたこと(乙36)、杉並区民に対するアンケートの結果、住基ネットへ参加しない方がよいとの意見が比較的多数を占めたこと(乙20、25)などを踏まえて、杉並区長が、住民の個人情報保護と住基ネットの利便性との調整を図るべく、その政治的判断として採用を決定したものということができる。 また、段階的参加方式は、本件各財務会計行為を行うことを直接の目的とするものではなく、これを採用することによって、杉並区が、全員参加の場合と比較して著しく多額の費用を負担することになるというものでもない(後記ウ参照)。 そうすると、杉並区長が段階的参加方式の採用を決定したことについては 杉並区が、全員参加の場合と比較して著しく多額の費用を負担することになるというものでもない(後記ウ参照)。 そうすると、杉並区長が段階的参加方式の採用を決定したことについては、それなりの理由があったものというべきであるから、仮に同方式が住基法に反する違法なものであったとしても、その違法は重大明白なものではあり得ず、杉並区長は、同方式の採用を撤回して職員が各財務会計行為を行うことを阻止すべき指揮監督上の義務を負わないものというべきである。したがって、段階的参加方式が客観的には違法かどうかにかかわらず、杉並区長自らの財務会計上の違法行為を認めることはできないし、まして、過失を認めることはできない。 (ウ) その他の職員について地方公共団体の職員は、長の指揮監督に従ってその事務を執り行わなければならないから、財務会計行為を行う権限を委任された職員は、長の政策決定が著しく合理性を欠き、そのためこれに予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵の存する場合でない限り、長の政策決定を尊重しその内容に応じた財務会計上の措置を採るべき義務があり、これを拒むことは許されないものと解するのが相当である。 前記(イ)のとおり、段階的参加方式の採用にはそれなりの理由があったものであり、段階的参加方式による住基ネットへの参加が著しく合理性を欠き、予算執行上の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵の存するものとは解し得ないから、本件各財務会計行為を行った職員としては、杉並区長がした段階的参加方式の採用決定を前提として、これに伴う所要の財務会計上の措置を採るべき義務があるものというべきであり、したがって、段階的参加方式が違法かどうかにかかわらず、本件各財務会計行為自体が、財務会計法規上 式の採用決定を前提として、これに伴う所要の財務会計上の措置を採るべき義務があるものというべきであり、したがって、段階的参加方式が違法かどうかにかかわらず、本件各財務会計行為自体が、財務会計法規上の義務に違反する違法なものということはできないし、重過失を認めることもできない。 イ原告は、杉並区が現に住基ネットに参加していないにもかかわらず、住基ネット関連の費用を支出するのは違法であるという主張もしているものと解されるが、かかる主張が失当なことは前記1(3)で判示したとおりである。 ウなお、別紙財務会計行為一覧表Ⅰの6、Ⅲの9、Ⅴの9ないし21及びⅥの各財務会計行為のうち、Ⅰの6は学識経験者及び住基ネット調査会議委員に対する謝礼金、Ⅲの9は住基ネット関連機器の保守委託費、Ⅴの9ないし21は同関連機器等の賃借料であって、これらは、住基ネットに全面的に参加する場合であっても必要となる費用の支出であって違法とはいえないことは既に判示したとおりである。 また、同一覧表Ⅵの1の郵便料金のうち、2826万1135円は、区民に対して住民票コード等の通知をするために要した費用であって(乙15)、これも、住基ネットに全面的に参加する場合であっても必要となる費用であるから、同様の理由から違法とはいい難い。さらに、Ⅵの2は、住民票コード通知票等の印刷及び発送等業務委託費用であるところ(乙16、17)、少なくとも、そのうち本人確認情報非通知申出書とこれを説明した書面部分の印刷費用を除いた費用についても、同様に、住基ネットに全面的に参加する場合であっても必要となる費用であって、違法とはいい難いものというべきである。 以上によれば、上記各財務会計行為に係る金員支出のうち、住基ネットに参加できず、電気通 面的に参加する場合であっても必要となる費用であって、違法とはいい難いものというべきである。 以上によれば、上記各財務会計行為に係る金員支出のうち、住基ネットに参加できず、電気通信回線を利用できなかったため、郵便による転入通知をしたことによって生じた費用19万4860円(同一覧表Ⅵの1の一部)と、本人確認情報非通知申出書とこれを説明した書面部分の印刷費用(Ⅵの2の一部)を除いた部分は、いずれにせよ違法な支出とはいえないものであることを付言しておく。 エよって、第2事件のうち、別紙財務会計行為一覧表Ⅰの6、Ⅲの9、Ⅴの9ないし21及びⅥの各財務会計行為に係る原告の請求は理由がない。 第4 結論以上のとおり、原告の請求は、第2事件における適法な監査期間を経ていない部分については不適法であるからこれらをいずれも却下し、その余の請求は理由がないからこれらをいずれも棄却することとし、訴訟費用の負担につき、行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条の規定を適用して、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第3部 裁判長裁判官鶴岡稔彦 裁判官新谷祐子 裁判官今井理 裁判官今井理
▼ クリックして全文を表示