平成28(受)1797 否認権行使請求事件

裁判年月日・裁判所
平成29年12月19日 最高裁判所第三小法廷 判決 その他 東京高等裁判所 平成28(ネ)1813
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判決文本文2,309 文字)

- 1 -平成28年(受)第1797号否認権行使請求事件平成29年12月19日第三小法廷判決 主文 1 原判決を次のとおり変更する。 第1審判決を次のとおり変更する。 (1) 上告人は,被上告人に対し,26万円及びこれに対する平成26年3月11日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (2) 被上告人のその余の請求を棄却する。 2 訴訟の総費用は,これを6分し,その1を上告人の負担とし,その余を被上告人の負担とする。 理由 上告代理人前田陽司,同二瓶ひろ子の上告受理申立て理由第3について 1 原審の適法に確定した事実関係の概要は,次のとおりである。 (1) 上告人は,Aに対する貸金請求を認容する確定判決を債務名義として,Aの日本冷凍輸送株式会社(以下「本件会社」という。)に対する給料債権の差押えを申し立て,平成22年4月,これを認容する債権差押命令(以下「本件差押命令」という。)が本件会社に送達された。しかし,本件会社は,その後も,Aに対し,その給料債権の全額の弁済をした。 (2) 上告人は,平成25年10月頃,Aの給料債権のうち本件差押命令により差し押さえられた部分(以下「本件差押部分」という。)の支払を求める支払督促を申し立てた。本件会社は,督促異議の申立てをする一方,同月から平成26年1月までの間に,Aに支払うべき給料から合計26万円を控除して,上告人に対し,これを本件差押部分の弁済として支払った(以下,この支払を「本件支払1」という。)。 - 2 -(3) 上記(2)の申立てに係る督促事件が督促異議の申立てにより移行した訴訟において,平成26年2月,本件会社が上告人に対し本件差押部分の弁済として141万89 という。)。 - 2 -(3) 上記(2)の申立てに係る督促事件が督促異議の申立てにより移行した訴訟において,平成26年2月,本件会社が上告人に対し本件差押部分の弁済として141万8905円を支払うことなどを内容とする和解が成立し,本件会社は,同年3月,上告人に対し,これを支払った(以下,この支払を「本件支払2」という。)。 (4) Aは,平成26年12月,破産手続開始の決定を受け,被上告人が破産管財人に選任された。 2 本件は,被上告人が,本件支払1及び本件支払2について,破産法162条1項1号イの規定により否認権を行使して,上告人に対し,167万8905円及び法定利息の支払を求める事案である。 3 原審は,本件支払1及び本件支払2は,いずれもAの財産である給料債権からの支払であり,これによりAの上告人に対する貸金債務が消滅するから,破産法162条1項の規定による否認権行使の対象となるなどとして,被上告人の請求を,法定利息の一部を除いて認容した。 4 しかしながら,原審の上記判断のうち,本件支払2が破産法162条1項の規定による否認権行使の対象となるとした部分は是認することができない。その理由は,次のとおりである。 (1) 破産法162条1項の「債務の消滅に関する行為」とは,破産者の意思に基づく行為のみならず,執行力のある債務名義に基づいてされた行為であっても,破産者の財産をもって債務を消滅させる効果を生ぜしめるものであれば,これに含まれると解すべきである(最高裁昭和38年(オ)第916号同39年7月29日第二小法廷判決・裁判集民事74号797頁参照)。しかるに,債権差押命令の送達を受けた第三債務者が,差押債権につき差押債務者に対して弁済をし,これを差押債権者に対して対抗することができないため(民法481 法廷判決・裁判集民事74号797頁参照)。しかるに,債権差押命令の送達を受けた第三債務者が,差押債権につき差押債務者に対して弁済をし,これを差押債権者に対して対抗することができないため(民法481条1項参照)に差押債権者に対して更に弁済をした後,差押債務者が破産手続開始の決定を受けた場合,前者の弁済により差押債権は既に消滅しているから,後者の弁済は,差押債務者の - 3 -財産をもって債務を消滅させる効果を生ぜしめるものとはいえず,破産法162条1項の「債務の消滅に関する行為」に当たらない。 したがって,上記の場合,第三債務者が差押債権者に対してした弁済は,破産法162条1項の規定による否認権行使の対象とならないと解するのが相当である。 (2) これを本件についてみると,本件会社は,本件差押命令の送達を受けた後も,Aに対し,その給料債権のうち本件支払1に係る部分を除いた全額の弁済をし,これによりAの給料債権が消滅した後,更に差押債権者である上告人に対して本件支払2をしたものであるから,本件支払2は,破産法162条1項の規定による否認権行使の対象とならないというべきである。 5 以上と異なる原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨はこの趣旨をいうものとして理由があり,被上告人の請求のうち本件支払2に係る部分は棄却すべきである。 被上告人の請求のうち本件支払1に係る部分に関しては,上告受理申立ての理由が上告受理の決定において排除された。 そうすると,原判決を主文第1項のとおり変更すべきである。 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官岡部喜代子裁判官木内道祥裁判官山崎敏充裁判官戸倉三郎裁判官林景一) って,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官岡部喜代子裁判官木内道祥裁判官山崎敏充裁判官戸倉三郎裁判官林景一)

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