昭和62(オ)1555 懲戒処分無効確認等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成元年7月4日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 東京高等裁判所 昭和60(ネ)3628
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【DRY-RUN】主    文      本件上告を棄却する。      上告費用は上告人らの負担とする。          理    由  上告代理人石田省三郎の上告理由第一点について  所論の点に関する原審の事実認

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判決文本文4,574 文字)

主    文      本件上告を棄却する。      上告費用は上告人らの負担とする。          理    由  上告代理人石田省三郎の上告理由第一点について  所論の点に関する原審の事実認定は、原判決挙示の証拠関係に照らして首肯する に足り、右事実及び原審が適法に確定したその余の事実関係のもとにおいて、上告 人A1、同A2が勤務割における勤務予定日についてした年次休暇の本件各時季指 定に対し、被上告人の各担当課長がした本件各時季変更権の行使が適法であるとし た原審の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。所 論引用の判例は、事案を異にし、本件に適切でない。論旨は、採用することができ ない。  同第二点について  労働基準法(昭和六二年法律第九九号による改正前のもの)三九条三項ただし書 は、使用者は、労働者がした年次休暇の時季指定に対し、その時季に休暇を与える ことが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることが できると規定し、使用者の時季変更権の行使を認めている。右時季変更権行使の要 件である「事業の正常な運営を妨げる場合」に該当するか否かの判断において、代 替勤務者確保の難易は、その判断の一要素であつて、特に、勤務割による勤務体制 がとられている事業場の場合には、重要な判断要素であるというべきである。この ような勤務体制がとられている事業場において、勤務割における勤務予定日につき 年次休暇の時季指定がされた場合に、使用者としての通常の配慮をすれば、代替勤 務者を確保して勤務割を変更することが客観的に可能な状況にあると認められるに もかかわらず、使用者がそのための配慮をしなかつた結果、代替勤務者が配置され - 1 - なかつたときは、必要配置人員を欠くことをもつて事業の正常な運営を妨げる場合 に当たるということはで 認められるに もかかわらず、使用者がそのための配慮をしなかつた結果、代替勤務者が配置され - 1 - なかつたときは、必要配置人員を欠くことをもつて事業の正常な運営を妨げる場合 に当たるということはできないと解するのが相当である(最高裁昭和五九年(オ) 第六一八号同六二年七月一〇日第二小法廷判決・民集四一巻五号一二二九頁、同昭 和六〇年(オ)第九八九号同六二年九月二二日第三小法廷判決・裁判集民事一五一 号六五七頁参照)。そして、勤務割における勤務予定日につき年次休暇の時季指定 がされた場合に、使用者としての通常の配慮をすれば代替勤務者を確保して勤務割 を変更することが客観的に可能な状況にあつたか否かについては、当該事業場にお いて、年次休暇の時季指定に伴う勤務割の変更が、どのような方法により、どの程 度行われていたか、年次休暇の時季指定に対し使用者が従前どのような対応の仕方 をしてきたか、当該労働者の作業の内容、性質、欠務補充要員の作業の繁閑などか らみて、他の者による代替勤務が可能であつたか、また、当該年次休暇の時季指定 が、使用者が代替勤務者を確保しうるだけの時間的余裕のある時期にされたもので あるか、更には、当該事業場において週休制がどのように運用されてきたかなどの 諸点を考慮して判断されるべきである。右の諸点に照らし、使用者が通常の配慮を したとしても代替勤務者を確保して勤務割を変更することが客観的に可能な状況に なかつたと判断しうる場合には、使用者において代替勤務者を確保するための配慮 をしたとみうる何らかの具体的行為をしなかつたとしても、そのことにより、使用 者がした時季変更権の行使が違法となることはないものと解するのが相当である。  本件についてこれをみるに、所論の点に関する原審の事実認定は、原判決挙示の 証拠関係に照らして首肯するに足り、右事実及び原審が適法 た時季変更権の行使が違法となることはないものと解するのが相当である。  本件についてこれをみるに、所論の点に関する原審の事実認定は、原判決挙示の 証拠関係に照らして首肯するに足り、右事実及び原審が適法に確定したその余の事 実関係によれば、(1) 上告人A3(以下「上告人A3」という。)は、被上告人 のD無線中継所E部F整備課(以下「F整備課」という。)に勤務していたが、右 中継所は、在京六放送局が制作した番組をテレビ中継回線の割当、接続、切替え等 により全国の各地方放送局へ送り届け、全国テレビ中継網を一元的に運用統制する - 2 - などの業務を所掌し、F整備課は、各種テレビ中継装置の点検、試験、修理等の保 守業務及びその増設等の建設工事を分掌していた、(2) F整備課の職員は、課長 一名、巡回保全長一名、係長二名、工事主任二名、係員七名の計一三名であり、上 告人A3は、その係員として、各種テレビ中継装置の定期点検、定期試験及び障害 修理作業並びにその保全工事及び建設工事作業に従事していた、(3) F整備課の 右業務を運営するには、最低二名の人員を配置することが必要であつた、(4) F 整備課においては、従来、輪番服務形態による二四時間勤務体制がとられていたが、 昭和四八年二月にこれが廃止された後は、職員は原則として日勤勤務のみを行うこ ととなり、土曜日については、一か月ごとに作成される勤務割表に基づき係長以下 の一般職員一一名が二名ないし三名の固定的な組合わせにより四週間に一回の周期 で半日勤務を行うこととされ、週休日については、当該週に宿直宿明勤務に就いた か否かに関わりなく、四週のうち三週は土曜日と日曜日で、残りの一週(土曜日の 半日勤務を行つた週の直後)は日曜日と月曜日というように、固定的に設定され、 一般職員は、定型勤務者ないしこれに準ずる者であると目されるように く、四週のうち三週は土曜日と日曜日で、残りの一週(土曜日の 半日勤務を行つた週の直後)は日曜日と月曜日というように、固定的に設定され、 一般職員は、定型勤務者ないしこれに準ずる者であると目されるようになつた、( 5) また、F整備課の一般職員については、従前の労使間交渉の経緯からして、 最低必要人員しか配置されていない土曜日に、勤務割による勤務予定の一般職員が 年次休暇を取つたため要員不足を生じたとしても、その代替要員として、週休予定 の一般職員に対し、勤務割変更のうえ出勤が命じられることはおよそありえず、右 欠務の補充の責任はすべて管理者側にあるという認識が労使間に定着し、このため、 被上告人は、最低必要人員しか配置されていない土曜日に、勤務の指定を受けた一 般職員が年次休暇の時季指定をするのに備えて、課長と巡回保全長が隔週交替で半 日勤務を行うこととし、管理者一名を常に配置して欠務の補充に当てることにして いた、(6) 上告人A3は、昭和五三年九月一一日、勤務割において同人と他の一 名の計二名の職員の配置しか予定されていなかつた同月一六日(土曜日)につき年 - 3 - 次休暇の時季指定をしたが、当時、過激派集団による成田空港開港反対百日闘争が 行われており、その最終日(同月一七日)が間近であつて、被上告人の施設等に対 する無差別的破壊活動が行われるおそれが大であるという異常な事態に直面し、被 上告人は、管理者による特別保守体制をとることを余儀無くされていたため、右時 季指定に対し、管理者による欠務補充の方法をとることができない状況にあつた、 (7) そこで、F整備課のG課長は、右時季指定に対し、勤務割を変更して代替勤 務者を確保することを考慮しないで、一名の配置では業務に支障が生ずるとして、 時季変更権を行使した、というのである。  以上の事実関係によれば、上告人A3が は、右時季指定に対し、勤務割を変更して代替勤 務者を確保することを考慮しないで、一名の配置では業務に支障が生ずるとして、 時季変更権を行使した、というのである。  以上の事実関係によれば、上告人A3が本件時季指定をした勤務予定日に休暇を 与えるとするとF整備課の最低配置人員を欠くことになるうえ、同課においては、 従前の労使間交渉の経緯により、従来から、一般職員について週休日の変更は行わ ないとの運用がほぼ定着しており、そのこととの関係で週休日についての勤務割の 変更はほとんど行われず、最低必要人員しか配置されていない土曜日に、勤務割に よる勤務予定の一般職員が年次休暇を取つたため要員不足を生じた場合には、もつ ぱら管理者による欠務補充の方法がとられ、その日が週休予定の一般職員に対し、 勤務割変更のうえ出勤が命じられることはおよそありえないとの認識が労使間に定 着していたが、上告人A3の右勤務予定日については、当時の前記異常事態により 管理者による欠務補充の方法をとることができない状況にあつた、というのである から、このようなF整備課における勤務割変更についての実態、週休制の運用のさ れ方、当時の異常事態による欠務補充の困難さなどの諸点を考慮すると、上告人A 3が本件時季指定をした勤務予定日については、使用者としての通常の配慮をした としても代替勤務者を確保して勤務割を変更することが客観的に可能な状況になか つたものと判断するのが相当である。したがつて、右の勤務予定日に上告人A3に 対し休暇を与えることは、被上告人の事業の正常な運営を妨げることになるものと - 4 - いうべく、結局、被上告人の担当課長がした本件時季変更権の行使は適法なものと 解するのが相当である。これと同旨の原審の判断は正当として是認することができ、 原判決に所論の違法はない。論旨は、採用することができない 結局、被上告人の担当課長がした本件時季変更権の行使は適法なものと 解するのが相当である。これと同旨の原審の判断は正当として是認することができ、 原判決に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。  同第三点について  所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当とし て是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、原審 の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用するこ とができない。  上告人らの上告理由について  所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当とし て是認することができ、その過程に所論の違法はない。また、所論引用の判例は、 事案を異にし、本件に適切でない。論旨は、採用することができない。  よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員一致の意 見で、主文のとおり判決する。      最高裁判所第三小法廷          裁判長裁判官    伊   藤   正   己             裁判官    安   岡   滿   彦             裁判官    坂   上   壽   夫             裁判官    貞   家   克   己 - 5 -

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