平成18(行コ)143 不動産取得税還付金請求控訴事件(原審・千葉地方裁判所平成17年(行ウ)第13号)

裁判年月日・裁判所
平成18年10月31日 東京高等裁判所 租税
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判決文本文8,339 文字)

- 1 -主文 原判決を次のとおり変更する。 (1)処分行政庁が控訴人に対し,平成16年5月26日付け松税指令第5号にて通知した不動産取得税の減額還付をしない旨の処分を取り消す。 ()(。)。 控訴人のその余の請求控訴人が当審で拡張した請求を含むを棄却する 訴訟費用は,第1,2審を通じてこれを2分し,その1を控訴人の負担とし,その余を被控訴人の負担とする。 事実 及び理由第1当事者の求めた裁判 控訴人(1)原判決を取り消す。 (2)被控訴人(処分行政庁)が控訴人に対し平成16年5月26日付け松税指令第5号にて通知した不動産取得税の減額還付をしない旨の処分を取り消す。 (3)被控訴人は,控訴人に対し,57万5800円及びこれに対する平成16年5月24日から起算して10日を経過した日から支払済みまで年7.3パーセントの割合による金員を支払え。 (4)訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。 (5)仮執行の宣言 被控訴人(1)本件控訴を棄却する。 (2)控訴費用は控訴人の負担とする。 (3)仮執行の宣言は相当ではないが,仮執行の宣言を付する場合には,ア担保を条件とする執行免脱宣言,イその執行開始時期を判決が被控訴人に送達された日から14日を経過したときとすること,を求める。 第2事案の概要 本件は,土地を取得した控訴人が,不動産取得税を納付した後,当該土地上に特例適用住宅を新築したなどとして,処分行政庁に対して,不動産取得税の還付申請(以下「本件申請」という)をしたところ,処分行政庁が控訴人にに対して,還付しな。 (「」。),,,い旨の通知以下本件処分というをしたため控訴人が被控訴人に対して本件処分の取消し及び還付金の還付を請求した事案である。 政庁が控訴人にに対して,還付しな。 (「」。),,,い旨の通知以下本件処分というをしたため控訴人が被控訴人に対して本件処分の取消し及び還付金の還付を請求した事案である。 原審は,控訴人が主張する徴収金の還付には,地方税法(平成14年法律第17号による改正前のもの。以下「14年改正前法」という)73条の24第1項1号又。 は第2項第1号(千葉県県税条例(平成14年千葉県条例第39号による改正前のも)),の75条1項1号又は2号1項による課税庁の減額決定を経る必要があるところ本件申請がされたのは課税原因である土地取得から5年を経過した後であるから,除斥期間の制限を受けて上記の減額決定をすることができず,上記の減額決定を必要とする徴収金の還付もすることができないから,本件処分は適法であるとして,控訴人の請求をいずれも棄却した。 控訴人は,これを不服として控訴し,被控訴人に対する還付金の支払請求につき,地方税法73条の27第2項によって準用する同法73条の2第10項により,還付- 2 -申請のあった日から起算して10日を経過した日を還付加算金の起算日とみなして,地方税法17条の4第1項の還付加算金の規定を適用した還付加算金の請求を追加(拡張)した。 本件における関係法令等,前提事実,争点及び争点に関する当事者の主張は,当審における主張を次のとおり付加するほかは,原判決事実及び理由の「第2事案の概要」欄の1ないし4に記載のとおりであるから,これを引用する。 (当審における主張)(1)控訴人ア本件不動産取得税にかかる租税債権は,控訴人が平成11年11月10日に不動産取得税を納付したことにより消滅している。原判決は,徴収金の還付の場合にも減額賦課決定を要する旨の判断をしているが,これは租税債権が不動産取得 かる租税債権は,控訴人が平成11年11月10日に不動産取得税を納付したことにより消滅している。原判決は,徴収金の還付の場合にも減額賦課決定を要する旨の判断をしているが,これは租税債権が不動産取得税の納付後もまだ生きているという前提に立つものであり,法理論上間違っている。 本件還付規定に基づいて徴収金の還付をするには道府県による確認(処分)を要するが,この処分は本件減額規定による減額賦課決定ではなく,本件還付規定に基づく独自の処分であると解すべきであるから,徴収金の還付の場合にも本件減額規定による減額決定を経る必要があることを根拠とする原判決の判断は不当である。 ,,イ仮に不動産取得税の還付についても減額賦課決定を要するとした場合でも原判決には以下のとおり重大な誤りがある。 ()(),ア地方税法14年改正前法73条の24第1項1号の実質的な要件は土地取得後2年以内に特例適用住宅を新築することであるから,住宅を新築しなければ申請できず,減額賦課決定の期間制限により,申請可能な期間が()。 ,最大3年同法附則11条の3第1項1号では2年間に制限される一方住宅の底地を取得した場合(同法73条の28第1項2号,土地と住宅を)(),()同時に取得した場合同3号土地付き建売住宅を取得した場合同4号は,いずれも申請可能な期間が5年間ある。持ち家制度を推進するという同じ目的で国が法に定めた支援策に,このような差異を設ける意図があったとは考えられない。 また,不動産取得税のほかに法に定める還付金は,申告納付,株式等譲渡所得割の特別徴収,法人の申告納付,消費税,貨物割,たばこ税,固定資産税,特別土地保有税,自動車取得税,軽油取引税,宅地開発税及び国民健康保険税があるが,これらは租税債権が成立後,2年ないし3年の間 所得割の特別徴収,法人の申告納付,消費税,貨物割,たばこ税,固定資産税,特別土地保有税,自動車取得税,軽油取引税,宅地開発税及び国民健康保険税があるが,これらは租税債権が成立後,2年ないし3年の間に発生する後発事象に基づいて還付金が発生するものでないため,申告・申請等ができる期間は基本的には5年間ある。 大半の還付金は,申告・申請等ができるときから消滅時効が進行し,時効制度の中で取り扱われるのに,本件のような政策的な還付金だけが時効制度の外に置かれ,除斥期間に従わされることになる。したがって,除斥期間ぎりぎりに課税庁に申請したが担当部署に回っていく間に時間切れとなり,又は担当者の失念によって除斥期間を過ぎてしまえば支払が拒絶されることが- 3 -起こり得るのであり,原判決も,結論はともかく,このような不都合が起こる可能性だけは認めている。 地方自治法に定める地方公共団体の金銭債権債務の消滅時効は5年間である。民法に定める一般の債権の時効期間は10年であり,地方公共団体に関,,係する債権債務はこれにより短縮されているが行政事務の合理化のためにこれを更に短縮する必要があるとは思えない。 以上のとおり,控訴人が本件で請求している還付金は,他の還付金に比べて不平等な扱いを受けることになっている。 (イ)これらの不平等は正義・公正にはずれており,信義則から本件還付金について減額賦課決定の期間制限を適用することは許されないと判断されるべきである。 (2)被控訴人控訴人の上記各主張はいずれも争う。 第3当裁判所の判断当裁判所は,控訴人の請求中,本件処分の取消しを求める部分は理由があるが,そ()の余の請求還付金の還付を請求した部分及び当審で拡張した還付加算金の支払請求は理由がないと判断する。その理由は,次のとおりである。 争点(1 本件処分の取消しを求める部分は理由があるが,そ()の余の請求還付金の還付を請求した部分及び当審で拡張した還付加算金の支払請求は理由がないと判断する。その理由は,次のとおりである。 争点(1(本件還付規定に基づく徴収金の還付は,本件減額規定の減額決定を経)る必要があるか否か)について。 (1)ア地方税法は,住宅の用に供する土地の取得に対する不動産取得税の減額について,地方税法(平成14年法律第17号による改正前のもの。以下「14年改正前法」という)73条の24第1項柱書きにおいて「道府県は,。 ,次の各号の一に該当する場合においては,当該土地の取得に対して課する不動産取得税については,当該税額から150万円(当該土地に係る不動産取得税の課税標準となるべき価格を当該土地の面積の平方メートルで表した数(。 値で除して得た額に当該土地の上に新築した住宅政令で定める住宅に限る以下本項及び次項において「特例適用住宅」という)1戸について(共同。 住宅等にあつては,居住の用に供するために独立的に区画された1の部分で政令で定めるものについて)その床面積の2倍の面積の平方メートルで表した数値(当該数値が200を超える場合においては,200とする)を乗。 じて得た金額が150万円を超えるときは,当該乗じて得た金額)に税率を乗じて得た額を減額するものとする」と規定し,同項1号において「土。 ,地を取得した者が当該土地を取得した日から2年以内に当該土地の上に特例適用住宅を新築した場合」と規定する。 千葉県県税条例は,不動産取得税の減額に関して,14年改正前法73条の24第1項1号と同旨の規定として,千葉県県税条例(平成14年千葉県条例第39号による改正前のもの)75条1項1号(以下,両規定を併せて「本件本則減額規定」という)を定めている。 年改正前法73条の24第1項1号と同旨の規定として,千葉県県税条例(平成14年千葉県条例第39号による改正前のもの)75条1項1号(以下,両規定を併せて「本件本則減額規定」という)を定めている。 。 イ地方税法は,住宅の用に供する土地の取得に対する不動産取得税の還付について,地方税法73条の27第1項において「道府県は,土地の取得に,- 4 -対して課する不動産取得税に係る地方団体の徴収金を徴収した場合において,当該不動産取得税について第73条の24第1項第1号又は第2項第1号の規定の適用があることとなつたときは,納税義務者の申請に基づいて,これらの規定によつて減額すべき額に相当する税額及びこれに係る地方団体の徴収金を還付するものとする」と規定する。 。 千葉県県税条例は,不動産取得税の還付に関して,地方税法73条の27第1項と同旨の規定として,千葉県県税条例78条1項(以下,両規定を併せて「本件本則還付規定」という)を定めている。 。 ウ地方税法は,住宅の取得及び住宅の用に供する土地の取得に対する不動産取得税の特例(減額)について,地方税法(平成13年法律第8号による改正前のもの。以下「13年改正前法」という)附則11条の3第1項柱書。 きにおいて「道府県は,次の各号のいずれかに該当する場合においては,,当該土地の取得に対して課する不動産取得税については,当該取得が平成11年4月1日から平成13年6月30日までの間に行われたときに限り,当該不動産取得税の税額から当該税額の4分の1に相当する額を減額するものとする」と規定し,同項1号において「土地を取得した者が当該土地を。 ,取得した日から3年以内に当該土地の上にある住宅を取得した場合(略」)と規定する。 千葉県県税条例は,不動産取得税の減額に関して,13年改正前法附則1 において「土地を取得した者が当該土地を。 ,取得した日から3年以内に当該土地の上にある住宅を取得した場合(略」)と規定する。 千葉県県税条例は,不動産取得税の減額に関して,13年改正前法附則11条の3第1項1号と同旨の規定として,千葉県県税条例(平成13年千葉県条例第27号による改正前のもの)附則16条1項1号(以下,両規定を併せて「本件附則減額規定」といい,本件本則減額規定と併せて本件減額規定」という)を定めている。 。 エ地方税法は,住宅の取得及び住宅の用に供する土地の取得に対する不動産取得税の特例(還付)について,14年改正前法附則11条の3第3項において,地方税法73条の27の規定を,13年改正前法附則11条の3第1項1号に規定する土地の取得に対して課する不動産取得税に係る地方団体の徴収金の還付について準用する旨規定する。 千葉県県税条例は,不動産取得税の還付に関して,14年改正前法附則11条の3第3項と同旨の規定として,千葉県県税条例(平成15年千葉県条例第43号による改正前のもの附則16条4項以下両規定を併せて本)(,「件附則還付規定」といい,本件本則還付規定と併せて「本件還付規定」という)を定めている。 。 オ地方税法は,不動産取得税に係る賦課決定の期間制限について,地方税法(平成16年法律第17号による改正前のもの。以下「16年改正前法」という)17条の5第3項において「不動産取得税「に係る賦課決定は」。 ,」,「法定納期限の翌日から起算して5年を経過した日以後においては,するこ。」,,,とができないと規定し同項の法定納期限について同条1項において「法定納期限(随時に課する地方税については,その地方税を課することができることとなつた日。以下本条及び第18条第1項において同じ」と きないと規定し同項の法定納期限について同条1項において「法定納期限(随時に課する地方税については,その地方税を課することができることとなつた日。以下本条及び第18条第1項において同じ」と。)- 5 -規定する。 カ地方税法は,還付金の消滅時効について,地方税法18条の3第1項において「地方団体の徴収金の過誤納により生ずる地方団体に対する請求権及,びこの法律の規定による還付金に係る地方団体に対する請求権(中略)は,その請求をすることができる日から5年を経過したときは,時効により消滅する」と規定する。 。 (),,, 本件減額規定は土地の取得者から納付すべき税額を算定するに当たってその適用があるべき旨の申告がされた場合に適用されるものである(地方税法73条の24第4項。しかし,本件本則減額規定は,同項1号において「土地),を取得した者が当該土地を取得した日から2年以内に当該土地の上に特例適用住宅を新築した場合」に所定の税額が減額されるものとし,本件附則減額規定は,同項1号において「土地を取得した者が当該土地を取得した日から3年以内に,当該土地の上にある住宅を取得した場合(略」と規定するように,本件減額規)定適用の要件を具備すべき期間として,土地を取得してから2年以内又は3年以内という長期の期間が定められているところから,土地を取得後本件減額規定の適用のないものとして算定された税額で賦課決定・納税通知がされ,これに従って納税された後に,本件減額規定に該当する事由が発生することも少なくないものと想定されるので,そのような場合に備えて,本件本則還付規定及び本件附則還付規定(本件還付規定)が定められたものと解される。 そして,納税義務者から本件還付規定に基づく還付の申請があった場合,道府県は,この申請に対す そのような場合に備えて,本件本則還付規定及び本件附則還付規定(本件還付規定)が定められたものと解される。 そして,納税義務者から本件還付規定に基づく還付の申請があった場合,道府県は,この申請に対する処分をすべきものであるが,そこで審査判断すべき事柄は,端的に,その還付の申請の根拠規定である本件還付規定に定められた要件の有無,即ち,本件減額規定に関わる減額の要件の有無,本件還付規定に関わる要件の有無の判断に基づく還付申請の当否及び還付すべき金額,即ち本件減額規定によって減額すべき額に相当する税額及びこれに係る地方団体の徴収金の額であると解するのが相当である。そしてこの判断は,本件減額規定による減額決定を経ることが前提とされているものでも,あるいは減額決定が内包されているものでもない。 (3)被控訴人は,本件還付規定に基づく徴収金の還付は,本件減額規定による減額決定を経ることが前提とされ,あるいは還付決定には減額決定が内包されている旨主張する。 その理由として,地方税法73条の27第1項は「道府県は,土地の取得に,対して課する不動産取得税に係る地方団体の徴収金を徴収した場合において,当該不動産取得税について第73条の24第1項第1号又は第2項第1号の規定の適用があることとなつたときは」と規定しており,文理的に解釈すれば,同条による還付ができるのは,地方税法73条の24の前記各規定の適用があることが前提となっていると解され,仮に,地方税法73条の27第1項が,単に還付額の計算根拠規定にすぎないのであれば,地方税法73条の27第1項の規定は,「第73条の24第1項第1号又は第2項第1号の要件を満たしたときは」などの文言となっているはずである旨主張する。しかし「適用したときは」あるい,- 6 -は「適用があったときは」と異なり「適用があ 73条の24第1項第1号又は第2項第1号の要件を満たしたときは」などの文言となっているはずである旨主張する。しかし「適用したときは」あるい,- 6 -は「適用があったときは」と異なり「適用があることとなつたとき」という文言から,文理的に同規定を適用して減額決定をしたことが前提であるとはとうていいえないのであり,そのような解釈を基礎づける立法技術上の用語についての慣習があることも認められない。 ,,,また被控訴人は租税確定行為を経た租税債権の税額を減少させるためには当該租税債権について,課税庁による新たな賦課決定を経る必要があるものと解すべきであり,地方団体が本件減額規定によって納税者に対して徴収金を還付する場合,当該地方団体が徴収金を保有する正当な理由を失わせるためには本件減額規定に定める要件により減額決定を経ざるを得ないとも主張する。しかし,本件還付規定自体が,所定の要件がある場合に,既に適法に納付された税を納税者に還付する根拠規定であり,本件還付規定の定める要件があり,還付の申請に理由があると地方団体が判断することが,当該地方団体が徴収金を保有する正当な理由を失わせることになるものとして法・条例に定められているものと解するのが相当で,本件還付規定の定める要件があることの判断とは別に減額決定をしなければ,当該地方団体が徴収金を保有する正当な理由を失わせることができないものではない。 その他,地方税法や千葉県条例に,本件還付規定による還付に当たって減額決定すべきことあるいは税額を減額の上還付すべき旨の規定はないこと,また,本件本則還付規定は「これらの規定によつて減額すべき額に相当する税額・・・,を還付するものとする」と規定し「これらの規定によつて減額された税額・。 ,・・を還付するものとする」と規定されていないことからも 付規定は「これらの規定によつて減額すべき額に相当する税額・・・,を還付するものとする」と規定し「これらの規定によつて減額された税額・。 ,・・を還付するものとする」と規定されていないことからも,被控訴人の主張。 は採用できない。 上記のとおり,本件還付規定に基づく徴収金の還付には,当初にされた賦課決定につき本件減額規定による減額決定を経る必要はなく,本件還付規定に基づく還付の申請について直接判断すれば足りるのであるから「本件申請は不動産取得税の減額決,定及び還付を求めるものであるが,申請のあった日は法定納期限の翌日から起算して5年を経過する日を超えているので,地方税法(16年改正前法)第17条の5第3項の規定により,減額決定をすることはできない」との理由(訂正後の理由)でさ。 れた本件処分は違法であり取り消すべきものである。 ,,控訴人はその主張する金額の還付金及び還付加算金の支払いをも請求しているが本件還付規定に基づく還付は,過誤納金の還付とは異なり,当初の賦課決定に従って適法に納付された不動産取得税について,その後本件減額規定の適用があることとなったとき等,本件還付規定の要件を具備した場合に,納税義務者の申請に基づいて還付されるものであって,その還付申請を正当とする道府県の処分を経て初めて支払いを請求することができると解するのが相当であるから,控訴人の還付金及び還付加算金の支払請求は理由がない。 よって主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第14民事部- 7 -裁判長裁判官西田美昭裁判官犬飼眞二裁判官小池喜彦 小池喜彦

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