- 1 -主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1請求長田税務署長が,原告に対し,平成18年4月27日付けでした原告の平成15年7月1日から平成16年6月30日までの事業年度の法人税に係る更正の請求に理由がない旨の通知処分を取り消す。 第2事案の概要本件は,青色申告書を提出する法人である原告が,平成15年7月1日から平成16年6月30日までの事業年度(以下「本件事業年度」という)の法人税。 について,確定申告後に,平成17年法律第21号による改正前の租税特別措置法(以下「措置法」という)68条の2第1項の適用を受けた場合の税額に基。 づき減額更正の請求をしたところ,長田税務署長が更正をすべき理由がない旨の通知処分をしたため,同処分の取消しを求めた事案である。 関係法令等の定め( )国税通則法(昭和37年法律第66号。以下「通則法」という)23条 。 同条1項柱書は「納税申告書を提出した者は,次の各号の一に該当する,場合には,当該申告書に係る国税の法定申告期限から一年以内に限り,税務署長に対し,その申告に係る課税標準等又は税額等…につき更正をすべき旨の請求をすることができる」と規定し,同項1号は「当該申告書に記載。 ,した課税標準等若しくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従つていなかつたこと又は当該計算に誤りがあつたことにより,当該申告書の提出により納付すべき税額…が過大であるとき」と規定する。 。 ( )平成18年法律第10号による改正前の法人税法(以下「法人税法」とい う)。 - 2 -ア66条(各事業年度の所得に対する法人税の税率)(ア)同条1項同項は「内国法人である普通法人…に対して課する各事業年度の所,得に対する法人税の額は,各事業年度の所 う)。 - 2 -ア66条(各事業年度の所得に対する法人税の税率)(ア)同条1項同項は「内国法人である普通法人…に対して課する各事業年度の所,得に対する法人税の額は,各事業年度の所得の金額に百分の三十四・五の税率を乗じて計算した金額とする」と規定する。 。 (イ)同条2項同項は「前項の場合において,普通法人のうち各事業年度終了の時,において資本の金額若しくは出資金額が一億円以下であるもの…については,同項の規定にかかわらず,百分の二十五の税率による」と規定。 する。 イ67条(同族会社の特別税率)同条1項は「内国法人である同族会社(同族会社であることについて,の判定の基礎となつた株主…のうちに同族会社でない法人がある場合には,当該法人をその判定の基礎となる株主…から除外して判定するものとした場合においても同族会社となるものに限る。… )の各事業年度の留。 保金額が留保控除額を超える場合には,その同族会社に対して課する各事業年度の所得に対する法人税の額は,前条第一項又は第二項の規定にかかわらず,これらの規定により計算した法人税の額に,その超える部分の留保金額を次の各号に掲げる金額に区分してそれぞれの金額に当該各号に定める割合を乗じて計算した金額の合計額を加算した金額とする」と規定。 し,同項1号は「年三千万円以下の金額」について「百分の十,同項,」2号は「年三千万円を超え,年一億円以下の金額」について「百分の十,五,同項3号は「年一億円を超える金額」について「百分の二十」と」,規定する(以下,同項による課税を「留保金課税」という。 。)( )措置法68条の2(中小企業者等に対する同族会社の特別税率の不適用) ア同条1項- 3 -同項柱書は「法人税法第六十七条第一項の規定は,青色申告書を提 を「留保金課税」という。 。)( )措置法68条の2(中小企業者等に対する同族会社の特別税率の不適用) ア同条1項- 3 -同項柱書は「法人税法第六十七条第一項の規定は,青色申告書を提出,する同族会社(同項に規定する同族会社をいう。… )で次の各号に掲げ。 ,。」,るものの当該各号に定める事業年度については適用しないと規定し同項4号は「同族会社のうち各事業年度終了の時における資本又は出資,の金額が一億円以下のもので前事業年度…終了の時における総資産の額として政令で定める金額(原則として,前事業年度の確定した決算に基づく貸借対照表に計上されている総資産の帳簿価格(平成17年政令第103号による改正前の租税特別措置法施行令39条の34の2第8項)に対)する当該前事業年度終了の時における自己資本の額として政令で定める金額(原則として,前事業年度終了の時における資本の金額又は出資金額,資本積立金額(同条9項)の割合が百分の五十以下であるもの」につい)て「当該事業年度(平成十五年四月一日から平成十八年三月三十一日ま,での間に開始する各事業年度に限る」と規定する(以下,同項の制度。)を「留保金課税不適用制度」という。 。)イ同条2項同項は「前項の規定は,確定申告書…に財務省令で定める書類の添付,がある場合に限り,適用する」と規定する。 。 ウ同条3項同項は「税務署長は,前項の添付がない確定申告書の提出があつた場,合においても,その添付がなかつたことについてやむを得ない事情がある,,と認めるときは同項の財務省令で定める書類の提出があつた場合に限り第一項の規定を適用することができる」と規定する。 。 ( )平成17年財務省令第37号による改正前の租税特別措置法施行規則(以 下「措置法規則」と の財務省令で定める書類の提出があつた場合に限り第一項の規定を適用することができる」と規定する。 。 ( )平成17年財務省令第37号による改正前の租税特別措置法施行規則(以 下「措置法規則」という)22条の20(中小企業者等に対する同族会社。 の特別税率の不適用)同条柱書は「法第六十八条の二第二項に規定する財務省令で定める書類,- 4 -,。」は次の各号に掲げる事業年度の区分に応じ当該各号に定める書類とする,,「」と規定し同条4号は法第六十八条の二第一項第四号に定める事業年度について「同号に規定する割合が百分の五十以下であることを明らかにす,る書類」と規定する(以下,同号の規定する書類を「措置法規則書類」という。 。)( )平成17年課法2-14による改正前の租税特別措置法関係通達(法人税 編(昭和50年2月14日付直法2-2による国税庁長官通達。以下「措)置法通達」という)68の2-7(乙6,7,弁論の全趣旨)。 同通達の前段は「措置法規則第22条の20各号に規定する書類は,付,表の書式(これに準ずる書式を含む)により代えることができるものとす。 る,同後段は「この場合において,次に掲げる区分に応じそれぞれ次に。」,掲げる書類を添付するものとする」として,措置法68条の2第1項1号。 ないし3号について添付すべき書類について規定するが,同項4号については規定していない。 なお,同通達にいう「付表の書式」とは,別紙「中小企業者等に対する同族会社の特別税率の不適用制度に関する明細書」をいう(以下,この書式を「措置法通達書式」という。 。) 前提事実(後記( )の第3段落及び同( )の第1文以外は当事者間に争いがな い)。 ( )原告は,青色申告書を提出する法人税法67条1項に規 書式を「措置法通達書式」という。 。) 前提事実(後記( )の第3段落及び同( )の第1文以外は当事者間に争いがな い)。 ( )原告は,青色申告書を提出する法人税法67条1項に規定する同族会社で あり,建築請負業等を営むことを目的とする株式会社である。 また,原告は,本件事業年度終了時における資本の金額が1億円以下であり,同事業年度において「前事業年度…終了の時における総資産の額とし,て政令で定める金額に対する当該前事業年度終了の時における自己資本の額として政令で定める金額の割合が百分の五十以下(措置法68条の2第1」項4号)であった。 - 5 -( )原告は,平成16年8月30日,長田税務署長に対して,本件事業年度の 法人税について別表の確定申告欄記載のとおり記載した確定申告書以,「」(「」。)(「」下本件確定申告書というを提出して確定申告以下本件確定申告という)をした。原告は,本件確定申告において,別表記載のとおり,法。 人税法67条1項に基づき留保金額に対する税額を計算しており,同項の適用を前提とすれば,その計算自体に誤りはない。 本件確定申告書には,本件事業年度の貸借対照表,損益計算書及びこれらに係る勘定科目内訳明細書が添付されていたが,措置法通達書式は添付されていなかった。 なお,本件確定申告書は,近畿税理士会所属のA税理士が作成した(甲11。 )( )原告は,長田税務署長に対し,平成17年8月26日,本件事業年度につ いて,更正の請求の理由を「計算間違いの為」と記載して,措置法通達書式「四号該当」欄の「当期末の資本又は出資の金額」欄に「1000万円,」同「前期末の総資産の額」欄に「5億3738万6189円,同「前期末」の自己資本の額」欄に「1億37 記載して,措置法通達書式「四号該当」欄の「当期末の資本又は出資の金額」欄に「1000万円,」同「前期末の総資産の額」欄に「5億3738万6189円,同「前期末」の自己資本の額」欄に「1億3728万5718円「自己資本比率」欄」,「. 」,「」に 6%とそれぞれ記載したものを添付して別表の更正の請求欄記載のとおり更正の請求をした(乙1。 ),,,,これに対し長田税務署長は平成18年4月27日付けで原告に対し更正をすべき理由がない旨の通知処分(以下「本件通知処分」という)を。 した。 ( )原告は,本件通知処分を不服として,平成18年6月26日,長田税務署 長に対して異議申立てをしたところ,長田税務署長は,同年9月13日付けで,原告に対し,同申立てを棄却する決定をした。 ( )原告は,平成18年10月13日,国税不服審判所長に対し,本件通知処 分について審査請求したところ,同審判所長は,平成19年4月11日付け- 6 -で,原告に対し,同審査請求を棄却する裁決をした。 ( )原告は,平成19年10月4日,本件訴えを提起した。 争点 通則法23条1項1号該当性の有無である。 当事者の主張( )原告の主張 ア(ア)本件確定申告書には,以下のとおり,措置法規則書類の添付があったと善解でき,留保金課税を適用しない場合の税額計算をしていなかった点で,法令の解釈適用ないし計算において誤りがあったから,通則法23条1項1号の要件を満たす。 (イ)措置法68条の2第1項4号の適用要件である前事業年度終了時における自己資本比率が100分の50以下であることは本件確定申告書の記載内容から明白に判断できるから,本件確定申告書には措置法規則書類の添付があったとすべきである。 すなわち,本 前事業年度終了時における自己資本比率が100分の50以下であることは本件確定申告書の記載内容から明白に判断できるから,本件確定申告書には措置法規則書類の添付があったとすべきである。 すなわち,本件確定申告書添付の貸借対照表の記載からすると,前事業年度終了時の自己資本比率が100分の50を超えていたとすると,原告の総資産額が前事業年度終了時からわずか1年の間に約79.8パ,,,ーセント以上も増加したことになるがそのような事態は原告の業種規模及び本件事業年度の利益額に照らして,現実的に到底あり得ない。 そうすると,多数の同種事業者の申告を日常的に処理している税務職員において,原告が措置法68条の2第1項4号の要件を満たしていることは容易に認識,判断することができたというべきである。 措置法68条の2第1項4号の規定はその実体的要件を充足する会社にとって,一方的・客観的に有利な選択肢であるから,同条2項には,納税者による複数の選択肢からの選択の明示という意義は全くなく,課税庁側が上記要件の充足を判断するための資料として同項の書類措「」(- 7 -置法規則書類)の添付を要求したにすぎないと解されること,同法規則等においても,同法68条の2第1項4号については同項1号ないし3号と異なり必要書類の添付の定めは規定されず,措置法通達等にもそのような書式の指定等は存在しなかったことからすると,確定申告の際に,,,提出された書類資料の一切から同項4号の実体的要件の充足が認識判断できるのであれば,その判断を可能とした書類及び資料は同条2項の「書類(措置法規則書類)に該当するというべきである。 」本件では,上記のとおり本件確定申告書添付の貸借対照表の記載から措置法68条の2第1項4号の実体的要件の充足が認識,判断できるか, 条2項の「書類(措置法規則書類)に該当するというべきである。 」本件では,上記のとおり本件確定申告書添付の貸借対照表の記載から措置法68条の2第1項4号の実体的要件の充足が認識,判断できるか,「」()。 ら同貸借対照表が同条2項の書類措置法規則書類に該当する,,イ(ア)仮に本件確定申告書に措置法規則書類の添付がなかったとしても同書類の添付がなかったという点及び留保金課税を適用しない場合の税額計算をしていなかった点で,法令の解釈適用ないし計算において誤りがあったから,通則法23条1項1号の要件を満たす。 (イ)a通則法23条1項1号は,確定申告書に記載した課税標準等若しくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていないこと又は当該計算に誤りがあったことの原因については言及しておらず,税額が過大となる原因の全てがこれに包摂されるというべきであり,納税者が特例措置の適用を見落としたために税額が過大になった場合であるのに,更正の請求の要件に該当しないとして文言にない限定を加えることは租税法律主義の要請に抵触する。 すなわち,措置法68条の2第1項は,その適用を受けないことについて直接的又は反射的なメリットのない規定である以上,納税者としては同項の適用を受けるのが本来当然の姿であって,納税者が真意から同項の不適用を選択するという事態が合理的に観念できないこと,選択的規定の必要条件として納税者による選択権行使の意思表示- 8 -を要する法制度であることが必要であるが,同条2項は,同条1項の適用要件として,措置法規則書類の添付を要求するにすぎず,それ以上に納税者の意思表示を要求していないこと,同項の文言も「…適用しない」と断言的又は指示命令的なものであることからすると,同。 項をもって選択的規定と解することはで の添付を要求するにすぎず,それ以上に納税者の意思表示を要求していないこと,同項の文言も「…適用しない」と断言的又は指示命令的なものであることからすると,同。 項をもって選択的規定と解することはできず,同項を看過した税額計算には常に過誤が含まれているのであって,これをもって選択権の行使があったと評価することはできない。 b更正の請求においては,確定申告書において,特例措置の適用の有無につき納税者が真意に基づき選択の意思表示をした場合(選択変「更の問題)と,納税者が真意に基づかないで選択の意思表示をした」かのような不利な外観が作出された場合(選択過誤の問題)があ「」るところ,最高裁昭和62年11月10日第三小法廷判決・裁判集民事152号155頁(以下「昭和62年判決」という)は選択変更。 の問題を,最高裁平成2年6月5日第三小法廷判決・民集44巻4号612頁(以下「平成2年判決」という)は選択過誤の問題を取り。 ,,,扱ったものであり平成2年判決は昭和62年判決の事案と異なり納税者の選択権行使に錯誤が介在しており,それゆえ真意でない場合には選択の変更による救済がなされるべきであることを判示したものである。 そして,修正申告において認められるならば,納税者の過誤による不利益からの救済を目的とした更正の請求においては,なおさら当然に認められるべきである。 したがって,仮に選択権行使と解するとしても,そこには明らかに錯誤が介在しているから,更正の請求の手続を通じた是正が図られるべきである。 ,,ウ(ア)仮に本件確定申告書に措置法規則書類の添付がなかったとしても- 9 -原告には,これについて「やむを得ない事情(措置法68条の2第3」項)があり,また,留保金課税を適用しない場合の税額計算をしていなかった点で法 に措置法規則書類の添付がなかったとしても- 9 -原告には,これについて「やむを得ない事情(措置法68条の2第3」項)があり,また,留保金課税を適用しない場合の税額計算をしていなかった点で法令の解釈適用ないし計算において誤りがあったから,通則法23条1項1号の要件を満たす。 (イ)措置法68条の2第3項の「やむを得ない事情」は,天変地異や災害等の客観的かつ重大な外的障害に限られるものではなく,当該納税者を責めることが困難な事情を主観的な事情も含めて広く指すというべきである。被告の解釈は,民法の各条項(628条,651条2項ただし書等)の「やむを得ない事由」が,いずれも特に客観的な事情に限定するように解釈されていないことからしても,本来の文理上の合理的な解釈を大きく逸脱してその趣旨を著しく限定,縮小しているといわざるを得ない。 本件では,A税理士の職務上の過失は別として,納税者本人たる原告には税理士の選任ないし税理士への指示・説明に関して落ち度は全くない。最高裁平成18年4月20日第一小法廷判決・民集60巻4号1611頁(以下「平成18年判決」という)も,担当税理士の主観的態。 様が直ちに納税者の主観的態様と同視されるものではないことを前提に判断している。 また,留保金課税に対しては,本来は利益の不当な内部留保のみに対して課税するのが最も適正であり,不当な内部留保か否かにかかわらず留保金課税を行うことは立法上の合理性に欠けるとか中小企業の競争力強化を損なうとの批判が強く,留保金課税は平成以降毎年のように改正,。 ,されこれが適用される会社も極めて限定的となってきていたさらに留保金課税不適用制度が採用されたのは平成15年の税制改正であり,税務の専門家である税理士でも毎年のように生じる税制改正を迅速かつ正確にフォローする される会社も極めて限定的となってきていたさらに留保金課税不適用制度が採用されたのは平成15年の税制改正であり,税務の専門家である税理士でも毎年のように生じる税制改正を迅速かつ正確にフォローするのは困難であり,税務署の広報活動も十分なされて- 10 -いなかった。上記改正当時は,措置法規則書類を示した通達も発出されず,措置法通達書式の配布等も行われていなかった。 以上の事情から,本件では「やむを得ない事情」があったというべきである。 (ウ)被告の主張する措置法通達書式を指定した通達が発出されたのは,広報目的のパンフレットの配布,説明会やセミナーが開催された後の平成15年12月16日であり,当該税制改正時期に比して著しく遅い時期であったことは明らかである。また,措置法規則22条の20第4号の規定が極めて抽象的かつ曖昧であり,書式の配布によって初めて国民にとって手続が目に見える形でわかりやすく理解できるようになること,税理士に依頼せずに税務申告をしている納税者も少なくないこと,インターネットで最新の通達をフォローしている者は税理士でもわずかであること等の実情も併せると,国民に対し甚だ不親切な制度設計又は運用であったというべきであり,これは「やむを得ない事情」を考慮する一事情たりうる。 ( )被告の主張 ア(ア)措置法68条の2第1項4号及び同条2項は,同条1項4号に該当するのみならず,確定申告書に措置法規則書類が添付されている場合に限って法人税法67条1項を適用しない旨規定していることから,納税,(,者が同項に基づく税額計算を行った確定申告書を提出したもとより措置法規則書類も添付していない)場合には,当該確定申告は,法人。 税法に基づく適正な申告として何らの疑義も生じないから,課税庁としては,同確定申告に基づき同 を行った確定申告書を提出したもとより措置法規則書類も添付していない)場合には,当該確定申告は,法人。 税法に基づく適正な申告として何らの疑義も生じないから,課税庁としては,同確定申告に基づき同項を適用した処理を行う他ない。 原告は,本件確定申告において,法人税法67条1項の規定の適用を前提として本件確定申告書を提出するのみで,措置法規則書類を何ら添付していないから,同確定申告は,同項に基づき税額計算を行い確定申- 11 -告書を提出した場合に該当する。 したがって,税額等の計算が国税に関する法律の規定に従って行われていることは明らかであり,通則法23条1項1号の更正の請求の要件に該当しない。 (イ)原告は,本件確定申告書に措置法規則書類の添付があったと善解しうる旨主張するが,このように解する余地は皆無であり,主張自体失当である。 イ原告は,何らかの過誤が存すれば,更正の請求は広く認められるべきであると主張するようである。 しかし「課税標準等若しくは税額等の計算が国税に関する法律の規定,に従つていなかつたこと又は当該計算に誤りがあつたこと(通則法23」条1項1号)とは,所得金額又は税額の計算等につき,法令の適用を誤ったこと又は単純な計算過誤等をいうことは文理上明らかである。 更正の請求を上記事由に限定した趣旨は,所得計算の特例,免税等の措置で一定事項の申告等を適用条件とするものについて,その申告がなかったため納付すべき税額がその申告等があった場合に比して過大となっている場合に,更正の請求という形式でその過大な部分を減額することを排除する点にあるから,所得計算の特例や免税等の特別措置で一定事項の申告等を適用条件とするものについて,その申告がなかったため特別措置が受けられず,そのため納付すべき税額が当該特別措置を受けた場合に比し する点にあるから,所得計算の特例や免税等の特別措置で一定事項の申告等を適用条件とするものについて,その申告がなかったため特別措置が受けられず,そのため納付すべき税額が当該特別措置を受けた場合に比して過大となっている場合は,更正の請求によりその過大な部分を減額することはできないというべきである。 ,,,したがって国税に関する法律において所得計算及び税額計算の特例免税等の措置が申告等を条件としている場合において,納税者自らが法令の規定に基づき法人税額を確定して申告した後に,納税者が申告に際し適用した法令を自己に有利な法令に変更するということは,更正の請求の対- 12 -象としてそもそも想定されていない。 ウ(ア)原告は,措置法68条の2第1項を看過した税額計算には常に更正,,の請求の要件とする過誤が含まれている旨主張するが本件確定申告は国税に関する法律の規定に従ったものであり,計算に誤りもなく,通則法23条1項1号の要件を満たさないから,原告の主張はそれ自体失当である。また,法人税法67条1項による確定申告をしている場合に措置法68条の2第1項の適用があり得ることを失念していたからといって,法人税法67条1項による確定申告に錯誤があるなどといえないことは当然であるから,本件確定申告に錯誤は認められない。 (イ)原告が自説の根拠とする平成2年判決は,昭和62年判決の判示を前提としたものであり,平成2年判決の事案も,確定申告書に添付された書類上,明らかな計算違いがあること,同計算違いから概算経費の方が有利であると判断して概算経費選択の意思表示をしたことが明らかであった事案であり,本件のように,確定申告に添付された書類からは法人税法67条1項に基づく申告であることが明白であり,その計算等に何ら誤りもない事案とは前提自体を異 択の意思表示をしたことが明らかであった事案であり,本件のように,確定申告に添付された書類からは法人税法67条1項に基づく申告であることが明白であり,その計算等に何ら誤りもない事案とは前提自体を異にする。 また,平成2年判決で認められた意思表示の撤回は,修正申告の要件を満たす場合に,修正申告における必要経費の計算の誤りを是正する一環として認められたものであり,本件のような更正の請求とは場面を異にする。 エさらに,原告は,措置法規則書類の添付がなかったことについて「やむを得ない事情(措置法68条の2第3項)があると主張するが,以下の」とおり,本件において「やむを得ない事情」は認められない。 (ア)措置法68条の2第2項が措置法規則書類の添付を留保金課税不適用制度の適用要件としたのは,納税者自身が同制度の適用対象者であることを明らかにする書類の添付をした場合に限って同制度の適用を認め- 13 -ることにより,大量反復的に行われる税額確定手続の明確化,安定化を図り,もって当該手続の画一的かつ的確な処理の実現を図ることを目的としたためである。かかる趣旨に照らし「やむを得ない事情」とは,,客観的に見て本人の責めに帰することのできない事情をいい,単なる制度の不知や不注意といった個人的事情は含まれないと解すべきである。 (イ)a原告は,税務の専門家である税理士でも毎年のように生じる税制改正を迅速かつ正確にフォローするのは困難であり,税務署の広報活動も十分になされておらず,改正当時は,措置法規則書類の書式を示す通達も発出されていなかったと主張するが,これらの事情が存在したとしても,それらは「やむを得ない事情」に該当しない。 bなお,課税庁は,本件事業年度における留保金課税不適用制度について,国税庁のホームページや各税務署に備え付けてあるパ ,これらの事情が存在したとしても,それらは「やむを得ない事情」に該当しない。 bなお,課税庁は,本件事業年度における留保金課税不適用制度について,国税庁のホームページや各税務署に備え付けてあるパンフレット等により周知していたこと長田税務署長が社団法人Bと共同で平,「成15年度改正法人税法説明会」を開催し,同説明会において説明担当者は同制度について説明したこと,課税庁は,近畿税理士会から依頼を受けて,本件確定申告書を作成したA税理士が所属する近畿税理士会兵庫支部主催のサマーセミナー(平成15年8月8日開催)において,講師を派遣して同制度について説明していたこと等からして,税務の専門家である税理士が税制改正を知り得なかったことはあり得ず,税務署の広報活動が不十分であったとの前提事実自体が認められない。 また,通達についても,措置法規則書類の内容について定めた措置法通達68の2-7の発出に伴い,措置法通達書式も当然に明らかにされている上,国税庁のホームページや各税務署備え付けの「平成15年版法人税申告書の記載の手引」において,同書式が作成されていることが明らかにされており,上記ホームページ上においても同書式- 14 -は掲載されていた。 そもそも,A税理士は,留保金課税不適用制度の周知の問題というよりも単なるチェックミスともとれる発言をしている上,本件確定申告の直後である平成16年9月ころには,同制度の存在に気が付いたと主張していることは,同制度の周知が現に行われていたことを示すといえる。加えて,A税理士の述べる事情も単なる制度の不知や不注,「」意といった個人的な事情にすぎないものでありやむを得ない事情には該当しない。 (ウ)原告は,平成18年判決をあげ,やむを得ない事情があったと主張,,「」,するが平成1 不注,「」意といった個人的な事情にすぎないものでありやむを得ない事情には該当しない。 (ウ)原告は,平成18年判決をあげ,やむを得ない事情があったと主張,,「」,するが平成18年判決は通則法68条1項にいう納税者の解釈「」同法65条4項が規定する過少申告をしたことについての正当の理由の解釈について判示したものであり「やむを得ない事情」に関する判,断がなされたものではない。 第3当裁判所の判断 前記第2,2( )のとおり,本件確定申告書には,措置法通達書式は添付さ れていない。 ( )措置法通達68-2の7は「措置法規則第22条の20各号に規定する ,書類は,付表の書式(これに準ずる書式を含む)により代えることができ。 るものとする「この場合において,次に掲げる区分に応じそれぞれ次に。」,掲げる書類を添付するものとする」とした上で,措置法68条の2第1項。 1号ないし3号について添付すべき書類について規定し,同項4号については添付すべき書類について規定していないが,別紙の措置法通達書式の体裁からして,同号についても措置法通達68-2の7の前段の適用自体は当然にあるというべきであり,同後段は,措置法68条の2第1項1号ないし3号については,措置法通達書式の他に同通達の規定する添付書類が必要であることを示したものにすぎないと解すべきである。 - 15 -また,同通達の趣旨は,大量に反復して行われる法人の確定申告における納税者の便宜のため,措置法規則22条の20各号に定める書類についてそ「(。)の書式化を図った点にあることや付表の書式これに準ずる書式を含むにより代えることができる」との文言からして,必ずしも措置法通達書式が添付されていないからといって,措置法規則22条の20第4号に の書式化を図った点にあることや付表の書式これに準ずる書式を含むにより代えることができる」との文言からして,必ずしも措置法通達書式が添付されていないからといって,措置法規則22条の20第4号に規定する措置法規則書類の添付がないということはできない。 ( )アしかし,本件確定申告書及びその添付書類を精査しても,本件事業年度 の前事業年度終了時における原告の総資産の額が明らかとなる記載部分はなく,また,同終了時における原告の自己資本比率が直接明らかとなる記載部分もない(甲1)から,同確定申告書には,同終了時における総資産の額に対する自己資本の額が100分の50以下であることを明らかにする書類(措置法規則書類)の添付はないというべきである。 イ原告は,本件確定申告書添付の貸借対照表の記載からすると,原告の総資産額が1年の間に約79.8パーセント以上増加した場合は,前事業年度終了時の自己資本比率が50パーセントを超えることになるが,このような大幅な資産額の増加は現実的に到底あり得ず,多数の同種事業者の申告を日常的に処理する税務職員にとって,本件確定申告書及び添付書類の記載から前事業年度終了時における自己資本比率が50パーセント以下であることは容易に認識できた旨主張する。 証拠(甲1)によれば,本件確定申告書添付の貸借対照表の「資産の部合計」額「資本の部合計」額及び「資本の部」の「うち当期利益」額,()に基づき計算すると,前事業年度終了時における原告の自己資本比率が50パーセントを超えていたとすると,同終了時から本件事業年度終了時までの間に総資産の額が原告主張の割合で増加したことになることが認められ,同確定申告書添付の貸借対照表及び損益計算書の内容等(甲1)に照らし,このような急激な資産の増加が現に生じたと想定し難いことは事実 間に総資産の額が原告主張の割合で増加したことになることが認められ,同確定申告書添付の貸借対照表及び損益計算書の内容等(甲1)に照らし,このような急激な資産の増加が現に生じたと想定し難いことは事実- 16 -である。 しかし,大量に反復して行われる法人の確定申告による租税確定手続の安定化・明確化等の観点からすると,措置法規則書類に当たるというためには,記載の数値等につき各種計算及び分析作業をしてはじめて措置法68条の2第1項4号の要件の充足がわかるのではなく,一見してその充足が判明する書類でなければならないと解するのが相当である。このように解しても,実際には,措置法通達書式の記載事項程度の記載をすれば足りると解されるから,納税者に過大な負担を課すことにはならない。 したがって,本件確定申告書(添付書類を含む)の記載をもって措置。 法規則書類の添付があったということはできず,上記原告の主張は採用できない。 ( )以上によれば,本件確定申告書に措置法規則書類の添付があったことを前 提に,留保金課税を適用しない場合の税額計算をしなかった点で,本件確定申告書に法令の解釈適用ないし計算に誤りがあったとする原告の主張は採用できない。 原告は,本件確定申告書に措置法規則書類の添付がなかったとしても,同書類の添付がなかったという点及び留保金課税を適用しない場合の税額計算をしていなかった点で,法令の解釈適用ないし計算において誤りがあったから,通則法23条1項1号の要件を満たす旨主張する。 ( )前記のとおり,本件確定申告書には措置法規則書類の添付はないところ, 措置法68条の2第1項は,青色申告書を提出する同族会社で同項4号の要件を満たす納税者について,法人税法67条1項を適用しない旨規定し,措置法68条の2第2項は,確定申告書に措置法規則 ところ, 措置法68条の2第1項は,青色申告書を提出する同族会社で同項4号の要件を満たす納税者について,法人税法67条1項を適用しない旨規定し,措置法68条の2第2項は,確定申告書に措置法規則書類が添付されている場合に限り同条1項(留保金課税不適用制度)を適用する旨規定している。 このように,措置法68条の2第2項が,措置法規則書類の添付がある場合に限って同条1項を適用すると規定した趣旨は,確定申告における納税者- 17 -の意思表示により具体的な納税義務が発生するという申告納税方式の性質に,,かんがみ同項の適用を受けることについて納税者の意思表示を要求した上租税確定手続の明確化及び円滑化の観点から,その意思表示の方式を措置法規則書類の添付とし,かつこれに限定することを法定したものと解される。 そうすると,本件確定申告書に措置法規則書類の添付がない本件確定申告は,それにより措置法68条の2第1項の適用を受けるという意思表示をしなかったものというべきであり,同項の適用を受けた場合の納税額が適用を受けない場合の納税額より少額になるとしても,本件確定申告は法人税法67条1項の規定に反するものではなく,また,その税額等の計算にも誤りはないのであるから,確定申告書に記載した課税標準等若しくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていないこと又は当該計算に誤りがあった(通則法23条1項1号)ことには当たらないというべきである。また,これをもって,申告の錯誤が客観的に明白かつ重大であって是正を許さないならば納税者の利益を著しく害するなどともいえない。 ( )ア原告は,通則法23条1項1号は,確定申告書に記載した課税標準等若 しくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていないこと又は当該計算に誤りがあったことの原因については言及 ない。 ( )ア原告は,通則法23条1項1号は,確定申告書に記載した課税標準等若 しくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていないこと又は当該計算に誤りがあったことの原因については言及しておらず,税額が過大となる原因の全てがこれに包摂される旨主張する。 しかし,通則法23条1項が,一定の場合,一定の期間内に更正の請求をすることを認めた趣旨は,納税者が確定申告の内容の誤りを是正する必要があると認識した場合には是正の機会を設けるのが相当であるが,あらゆる場合にこれを認めることは,確定申告によって具体的な納税義務を負担するという申告納税方式の性質に照らし租税法律関係を過度に不安定ならしめる危険があることから,一定の期間内に限り一定の手続によってのみ是正しうるものとした点にあると解される。かかる趣旨からすると,同項各号の規定する事由は厳格に解釈されるべきであり,特例等において一- 18 -定事項の申告や書類の添付等を条件に所得額,税額の減免をすべきものとされているものについてこれをせずに確定申告した場合,その申告内容自体が税法の規定に従っていないとはいえず,税額に違算があるともいえないのに,後日その特例の適用を受けるための更正の請求をすることを認めることは,同項1号の文言をその趣旨を超えて拡張解釈するものといわざるを得ず,許されないものというべきである。この点は,留保金課税不適用制度についても別異に解する理由はない。 イ原告は,措置法68条の2第1項の適用を受けないメリットはなく,納税者が同項の不適用を選択する事態が合理的に観念できないこと,同条2項が同条1項の適用要件として文言上納税者の意思表示を要求していないこと等から,措置法規則書類の添付がないことをもって同項の適用を受けるという意思表示がなかったとすることはできない旨 いこと,同条2項が同条1項の適用要件として文言上納税者の意思表示を要求していないこと等から,措置法規則書類の添付がないことをもって同項の適用を受けるという意思表示がなかったとすることはできない旨主張するようであるが,意思表示の有無はひとまず措くとして,一般に,納税者に一方的に有利な制度であっても,課税庁が当然にはその実体的要件の充足の有無を判断できない場合,それを可能にし,かつ早期に租税法律関係を確定させるため確定申告に当たり一定の手続要件を課し,これが履践されない限り当該制度を適用しないとすることは,大量かつ反復して行われる租税確定手続の実情に照らし合理的である。これに対し,一方的に有利な制度を利用しないことは税法に従わないものであるか又は税額計算の誤りに当たると,,,して要求される本来の法定手続を所定の時期までにとらなくても後日更正の請求という手段により当該制度の適用を受けられるとすることは,手続要件を設けた意義を失わせるものであり相当ではない。 したがって,留保金課税不適用制度が納税者に一方的に有利な制度であるとしても,措置法68条の2第1項を看過した確定申告に常に過誤が含まれ,通則法23条1項1号に該当すると解することはできない。 ウなお,原告が援用する平成2年判決は,所得税の確定申告における事業- 19 -所得金額について,明らかな計算違いに基づき概算経費の方が実額経費よりも有利であると判断して概算経費選択の意思表示をしたもので,しかもその錯誤が確定申告書に添付された書類上明らかであった場合に修正申告において実額経費に変更することを認めた事案であり,本件とは事案を異にするというべきである。 ( )したがって,措置法規則書類の添付がないこと及び留保金課税を適用しな い場合の税額計算をしていないことから,本件 に変更することを認めた事案であり,本件とは事案を異にするというべきである。 ( )したがって,措置法規則書類の添付がないこと及び留保金課税を適用しな い場合の税額計算をしていないことから,本件確定申告書に通則法23条1項1号の事由があるということはできない。 原告は本件確定申告書に措置法規則書類の添付がなかったことについてや,「むを得ない事情(措置法68条の2第3項)があり,また,留保金課税を適」用しない場合の税額計算をしていなかった点で法令の解釈適用ないし計算において誤りがあったとし,これが通則法23条1項1号の事由に該当する旨主張する。 ( )アこの点につき,措置法68条の2第3項の規定からすると「やむを得 ,ない事情」が認められる場合には,本件確定申告書には,同条1項ではなく法人税法67条1項に基づく税額の計算をしたという点で法令の解釈適用又は税額計算に誤りがあったものとして,通則法23条1項1号に基づく更正の請求が認められる余地があり得るものと解される。 しかし,大量反復的に行われる租税確定手続について租税法律関係の明確化及び早期確定を図った措置法68条の2第2項及び措置法規則22条の20第4号の趣旨にかんがみると「やむを得ない事情」とは,客観的,に見て本人の責めに帰することのできない事情をいい,単なる制度の不知や不注意といった主観的な事情は含まれないものと解すべきであり,これと異なる原告の主張は採用できない。 イこれを本件について見ると,本件確定申告において,法人税法67条1項に基づき留保金額に対する税額を計算し,措置法規則書類を添付しなか- 20 -ったのは,関与税理士(A税理士)が「留保金課税の不適用規定のことを見落とし」たか又は本件確定申告後に「上記不適用規定の存在に気がつ」いた(気付くまでは し,措置法規則書類を添付しなか- 20 -ったのは,関与税理士(A税理士)が「留保金課税の不適用規定のことを見落とし」たか又は本件確定申告後に「上記不適用規定の存在に気がつ」いた(気付くまでは,上記規定の存在を認識したこと自体がなかったとも解釈できる)ためである(甲11)というのであるから「やむを得な。 ,い事情」に当たらないことは明らかである。 ウ原告は,①留保金課税には批判が強い,②留保金課税不適用制度が設けられたのは平成15年の税制改正である,③税理士でも毎年の税制改正を迅速かつ正確にフォローするのは困難である,④税務署の広報活動も十分ではないなどと主張する。 しかし,①は「やむを得ない事情」とは無関係であり,上記のとおり制度の不知は「やむを得ない事情」に当たらないから,②ないし④も考慮の対象とならない。仮に,主観的事情を考慮し得る場合があるとの見解をとるとしても,少なくとも税理士が確定申告に関与した本件では②ないし④は考慮すべき事情に当たらないというべきであり,そう解しても不当ではない。因みに,留保金課税不適用制度は,本件確定申告に先立つこと約1年5か月の平成15年法律第8号(同年4月1日施行)による租税特別措置法改正により新設されており,本件は税制改正の迅速なフォローの可否(③)が問題となる事案ではない。また,証拠(乙3,4,7)及び弁論の全趣旨によれば,各税務署に備え付けられた国税庁作成の「平成15年度法人税関係法令の改正の概要」及び「平成15年版法人税申告書の記載の手引」には留保金課税不適用制度についての記載があること,同年12月16日ころには,国税庁のホームページで措置法通達書式が明らかにされていることが認められ,これらの事実によれば,国税庁側で税制改正の際に一般的に要求される制度周知のための広報活動を行った 同年12月16日ころには,国税庁のホームページで措置法通達書式が明らかにされていることが認められ,これらの事実によれば,国税庁側で税制改正の際に一般的に要求される制度周知のための広報活動を行ったというべきであり,④は失当である。 ( )ア原告は,措置法通達書式を指定した通達が発出されたのは平成15年1 - 21 -2月16日であり,税制改正時期に比して遅きにすぎる旨主張するが,通達発出から本件確定申告まで約8か月経過していることからして,少なくとも原告との関係では遅きにすぎるとはいえない。 また,原告は,a税理士に依頼せずに税務申告をしている納税者も少なくないこと,bインターネットで最新の通達をフォローしている者は税理士でもわずかであること等の実情等を考慮すべきなどと主張するが,aは確定申告に税理士が関与した本件とは無関係であり,bについても,原告の関与税理士(A税理士)は,書式の知不知以前に,留保金課税不適用制度を失念していたかそれ自体を知らなかったというのであるから,書式の周知性を問題にするのは無意味であるが,前述のとおり,いずれにしても税理士の認識不足はやむを得ない事情に当たらないし,通達発出から本件確定申告まで約8か月経過しているから,迅速な情報収集の困難性が問題となる事案ではない。 イなお,原告は,税理士の選任ないし税理士への指示・説明につき落ち度はなく,担当税理士の主観的態様を納税者の主観的態様と同視すべきではない旨主張する。しかし,本件のように税理士に確定申告書の作成を依頼したが,当該税理士が当該納税者に有利な税法規定を知らず又はこれを失念していたため当該納税者が税務上有利な扱いを受けられなかった場合,税理士の選任,税理士に対する指示・説明につき当該納税者に落ち度がな,「」かったとしてもかかる納税者側 を知らず又はこれを失念していたため当該納税者が税務上有利な扱いを受けられなかった場合,税理士の選任,税理士に対する指示・説明につき当該納税者に落ち度がな,「」かったとしてもかかる納税者側の内部事情をもってやむを得ない事情に当たるということはできない。原告が援用する平成18年判決は,本件とは明らかに事案を異にし,本件には適切ではない。 第4 結論 以上の次第で,原告の請求は理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。 神戸地方裁判所第2民事部- 22 -裁判長裁判官佐藤明裁判官菊池章裁判官重高啓
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