主文 被告は,原告に対し,8000万円及びこれに対する平成20年3月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 原告のその余の請求を棄却する。 訴訟費用は,これを5分し,その4を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由第1請求被告は,原告に対し,4億円及びこれに対する平成20年2月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2事案の概要 本件は,被告の株主である原告が,被告の取締役,監査役らに対して提起した株主代表訴訟において一部勝訴したことから,平成17年法律第87号による改正前の商法(以下「旧商法」という。)268条の2第1項に基づき,被告に対し,上記訴訟において訴訟委任をした弁護士らに支払うべき報酬額の範囲内において相当なる額として4億円及びこれに対する上記訴訟の一部勝訴判決が確定した日の翌日である平成20年2月13日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 争いのない事実等(当事者間に争いのない事実並びに末尾記載の証拠及び弁論の全趣旨により認めることのできる事実)(1)当事者ア被告は,環境衛生及び清掃用資器財等の製造及び販売,料理飲食店等の経営並びにこれらの事業を経営するフランチャイズ店に対する経営指導及び業務委託等を目的とする株式会社である。被告は,その事業の1つとして,ドーナツやアメリカンコーヒー等を小売販売する乙フランチャイズ事業を展開している。 イ原告は,被告の株主であり,元従業員である。原告は,被告の部長職まで務めた後,平成14年9月に退職した(甲28号証)。 (2)食品衛生法違反事件(甲肉まん事件)(本項目全体につき,甲1号証ないし4号証)ア 告の株主であり,元従業員である。原告は,被告の部長職まで務めた後,平成14年9月に退職した(甲28号証)。 (2)食品衛生法違反事件(甲肉まん事件)(本項目全体につき,甲1号証ないし4号証)ア被告は,平成12年4月から同年12月20日ころまでの間,食品衛生法上使用が許されていない添加物である酸化防止剤t-ブチルヒドロキノン(TBHQ。以下「本件未認可添加物」という。)が含まれた商品である「甲肉まん」を日本全国の乙店頭で販売した(以下「別件販売」という。)。 上記「甲肉まん」は,被告が株式会社A(以下「A社」という。)に製造を委託し,A社の系列会社が中国の工場で製造し,輸入されたものであった。本件未認可添加物は,「甲肉まん」の皮の部分の原材料として使用したショートニングに含まれていた(以下「別件混入」という。)。 イ平成12年7月,株式会社B(以下「B社」という。)の代表取締役であったC(以下「C」という。)は,被告フードサービス事業グループ(同グループは,フードサービス事業本部と乙フランチャイズ事業本部(以下「乙FC本部」という。)とから成り立っていた。)担当専務取締役D(以下「D」という。)に対し,「甲肉まん」の製造を申し入れ,同年8月ころから,B社において,「甲肉まん」のテスト製造を始めた。その過程において,Cは,A社が製造した「甲肉まん」に本件未認可添加物が含まれているという別件混入の事実を発見した。Cは,同年11月30日,B社が製造した「甲肉まん」を試食する会合の席上で別件混入の事実を発表した。この席には,被告商品本部プロダクトマネージャー統括部長のE,被告クリーニング事業の取引先業者のF(以下「F」という。),被告との間で「甲肉まん」などの飲茶点心類のレシピを開示して製造委託業者に技術指導をする旨の技術提携覚書を締 トマネージャー統括部長のE,被告クリーニング事業の取引先業者のF(以下「F」という。),被告との間で「甲肉まん」などの飲茶点心類のレシピを開示して製造委託業者に技術指導をする旨の技術提携覚書を締結している株式会社G(H株式会社の子会社。以下「G社」という。)のI社長らが参加していた。 Eは,直ちに乙FC本部本部長取締役J(以下「J」という。)にCの発言を報告し,Jは,事実関係を至急調査するよう指示した。 同年12月2日,中国に派遣された被告側の担当者は,別件混入の事実及び中国の工場の操業停止をEに報告した。 同日ころ,Jは,Dに対し,A社が製造した「甲肉まん」に本件未認可添加物が混入していた旨を連絡するとともに,国内の公的機関に「甲肉まん」の食品分析を依頼しており,同月6日に結果が出るので,在庫品の廃棄は待ってほしい旨要望し,Dはこれを了解した。 D及びJ(以下,前2者を併せて指すときは「Dら」という。)は,同月6日,「甲肉まん」について本件未認可添加物の検査を行ったが定量下限が0.01g/kgの検査で検出しなかったとの結果の報告を受け,そのころ,「甲肉まん」について,加盟店や国内外の倉庫等に在庫がある限度で販売を継続すること(以下「別件販売継続」という。)を決定した。 なお,本件未認可添加物は,前記のとおり我が国の食品衛生法上その使用が許されていないが,国連食糧農業機関(FAO)及び世界保健機関(WHO)により設立された合同添加物専門家委員会(JECFA)において摂取許容量が定められ,十数か国で使用されていたものである。 ウ平成12年12月7日,Cは,G社に対し,商品開発の指導を怠ったとして7000万円の損害賠償を要求した。同月8日,Cに対する対応は,Dの了解の下,Jがすることとなった。 エJは,Cが別件混入の事実を口外 2年12月7日,Cは,G社に対し,商品開発の指導を怠ったとして7000万円の損害賠償を要求した。同月8日,Cに対する対応は,Dの了解の下,Jがすることとなった。 エJは,Cが別件混入の事実を口外することのないよう,以下のとおり,被告をして合計6300万円をCに対して出えんさせた(以下「別件支払」という。)。 (ア)平成12年12月11日,「異物混入調査費用」という名目で,Jに対する300万円の小切手による仮払いが,乙FC本部から被告管理部門に属する経理本部あてに依頼され,同月12日,J名義の預金口座に振り込まれた。Jは,同月13日,Cに対して,上記300万円を渡した。 同月12日,B社に対する500万円の小切手による仮払いが,乙FC本部から経理本部あてに依頼され,同月13日,C名義の預金口座に振り込まれた。 被告(乙FC本部)は,同月15日,Cに対し,2500万円を支払った。 (イ)Jは,平成13年1月18日,被告の取引業者であるK株式会社(以下「K社」という。)から3000万円を借り入れ,同日,Cに対してこれを支払った。その後,JがK社に対する返済をしなかったことから,最終的に被告がK社に対し,3000万円を返済した。 オ被告は,平成13年9月,社外取締役のL(以下「L」という。)が当時の代表取締役社長のM(以下「M」という。)に対し,調査委員会の設置を提言したことに基づき,別件販売及び別件支払について調査するために,被告取締役,監査役,従業員,加盟店社長ら8名で構成される「乙調査委員会」を発足させた。同委員会が同年11月6日付けで提出した調査報告書(以下「調査委員会報告書」という。)には,同委員会の所見として,別件販売及び別件支払について,Dらに善管注意義務違反が認められる旨等が記載されていた。 被告は, 月6日付けで提出した調査報告書(以下「調査委員会報告書」という。)には,同委員会の所見として,別件販売及び別件支払について,Dらに善管注意義務違反が認められる旨等が記載されていた。 被告は,調査委員会報告書の提出を受けて,同年11月29日開催の取締役会において,別件販売及び別件支払に関し,Jの取締役辞任を受理すること,既に退任していたDとの間の顧問契約を解約することなどを決定した。 M,被告代表取締役副社長N(以下「N」という。),被告常務取締役O社長P(以下「P」という。)及び被告常務取締役ケアサービス事業グループ担当Q(以下「Q」という。)は,そのころまでに,被告の最高経営顧問らの意見も聴取した上,別件混入,別件販売及び別件支払等の事実を直ちに自ら積極的に公表することはしないことを決定し,上記取締役会においても,自ら積極的に公表しないことについて明示の議決はされなかったものの,そのことを前提として他の議案が可決された。 カ別件販売については,厚生労働省へ匿名による通報があり,平成14年5月15日,保健所が大阪府下の乙8店舗に立入検査をしたことをきっかけとして,同月20日,報道機関から被告への取材があり,翌21日以降,新聞等のマスコミで別件販売,別件支払等について,大きく報道された。 特に,被告が食品衛生法上使用が許されていない添加物を含んだ「甲肉まん」の販売を故意で継続するという食品衛生法違反を行ったこと,当該事実を指摘した業者に「口止め料」を支払ったこと,当時被告代表取締役会長兼社長であったR(以下「R」という。)により隠ぺいがされたこと等の疑惑が大きく報道された。 キ大阪府は,平成14年5月31日,被告に対し,食品衛生法に基づき,中国で製造された「甲肉まん」の仕入・販売禁止の処分をした。 ク被告は,平成14年6月 がされたこと等の疑惑が大きく報道された。 キ大阪府は,平成14年5月31日,被告に対し,食品衛生法に基づき,中国で製造された「甲肉まん」の仕入・販売禁止の処分をした。 ク被告は,平成14年6月20日開催の取締役会において,外部の弁護士等から構成される「Y再生委員会」の発足を決定した。同委員会は,別件販売及び別件支払等の事実関係を調査し,同年9月25日,報告書(以下「再生委員会報告書」という。)を提出した。 ケ被告は,平成15年9月4日,別件販売を理由に,食品衛生法違反の罪で,罰金20万円の略式命令を受けた。 コ被告は,食品衛生法に違反して「甲肉まん」を販売したことに関して,第41期(平成14年4月1日から平成15年3月31日)決算において,以下(ア)ないし(オ)のとおり,合計105億6100万円の出えん(以下「別件出えん」という。)を計上した。 (ア)乙加盟店営業補償 57億5200万円(イ)キャンペーン関連費用20億1600万円(ウ)CS組織員さん優待券及びSM・MM等特別対策費用ほか17億6300万円(CSとは○○事業,SMは△△事業,MMは××事業を指す。)(エ)新聞掲載・信頼回復費用 6億8400万円(オ)飲茶メニュー変更関連費用 3億4600万円(3)別件株主代表訴訟ア提訴請求から訴え提起原告は,被告(代表者監査役)に対し,平成15年1月14日に到達した書面で,R,M,N,P,S,T,L,U(監査役。以下「U」という。)及びDらの責任を追及する訴えを提起するよう請求したが,被告は,上記請求の日から60日を経過しても,訴えを提起しなかった(甲26号証の1及び2並びに28号証)。 原告は,被告(代表者監査役)に対し,同年2月17日に到達した書 提起するよう請求したが,被告は,上記請求の日から60日を経過しても,訴えを提起しなかった(甲26号証の1及び2並びに28号証)。 原告は,被告(代表者監査役)に対し,同年2月17日に到達した書面で,Q,V(以下「V」という。),W(以下「W」という。)の責任を追及する訴えを提起するよう請求したが,被告は,上記請求の日から60日を経過しても,訴えを提起しなかった(甲26の3及び4並びに28号証)。 原告は,大阪弁護士会所属の別紙弁護士目録【省略】記載1ないし7及び10ないし13の弁護士11名に訴訟委任し(同目録記載9の弁護士は同目録記載10の弁護士の復代理人である。以下,復代理人弁護士を含めて「別件第1審受任弁護士ら」という。),上記合計13名の取締役及び監査役に対し,被告に対し,連帯して106億2400万円(拡張後の請求額。別件出えんと別件支払の合計額である。)及びこれに対する遅延損害金を支払うことを求めて,平成15年4月4日及び同年5月2日,株主代表訴訟を提起した(大阪地方裁判所平成15年(ワ)第3262号,第4262号損害賠償請求事件(株主代表訴訟)。甲1号証及び2号証)。 なお,上記第3262号事件と上記第4262号事件は併合されて審理が進められていたが,第8回弁論準備期日(平成16年6月1日)にDらについての弁論が分離され,以後,Dらを被告とする事件(以下「2名関係訴訟」という。)とその余の11名を被告とする事件(以下「11名関係訴訟」という。)が別々に審理されるようになった(以下,2名関係訴訟と11名関係訴訟を併せて「別件株主代表訴訟」という。甲14号証の10)。 イ11名関係訴訟の経過(ア)第1審の経過11名関係訴訟の第1審判決において整理された争点は,以下の①ないし⑦であった(以下,①を「争点①」, 別件株主代表訴訟」という。甲14号証の10)。 イ11名関係訴訟の経過(ア)第1審の経過11名関係訴訟の第1審判決において整理された争点は,以下の①ないし⑦であった(以下,①を「争点①」,②を「争点②」と順次略称する。甲1号証)。 ①Uに対する訴えの適法性(被告の監査役に対してされた監査役Uに対する提訴請求の効力)。 ②「甲肉まん」に本件未認可添加物が使用されたことについて,11名関係訴訟の被告である取締役及び監査役(以下「11名関係訴訟被告ら」という。)にリスク管理体制を構築しなかったことによる善管注意義務違反が認められるか。 ③別件販売がされたことについて,11名関係訴訟被告らにリスク管理体制を構築しなかったことによる善管注意義務違反が認められるか。 ④別件支払がされたことについて,11名関係訴訟被告らにリスク管理体制を構築しなかったことによる善管注意義務違反が認められるか。 ⑤11名関係訴訟被告らが別件販売を認識した後にとった対応(当該事実を公表しなかったことなど)について,善管注意義務違反が認められるか。 ⑥11名関係訴訟被告らの別件販売認識後の対応と別件出えんとの因果関係の有無。 ⑦平成13年2月当時,Rが,何らかの食品衛生法上使用が許されていない添加物が「甲肉まん」に含まれていたとのうわさがあったとの事実を認識していた場合,上記事実を取締役会に報告するなどしなかったことについての善管注意義務・忠実義務違反が認められるか。 平成16年12月22日,大阪地方裁判所は,Mに5億2955万円及びこれに対する遅延損害金の支払を命じ,その余の取締役及び監査役についての請求を棄却する旨の判決を言い渡し(甲1号証),これに対し,原告及びMが控訴した(大阪高等裁判所平成17年(ネ)第568号。甲3号証)。控訴審においては 払を命じ,その余の取締役及び監査役についての請求を棄却する旨の判決を言い渡し(甲1号証),これに対し,原告及びMが控訴した(大阪高等裁判所平成17年(ネ)第568号。甲3号証)。控訴審においては,別紙弁護士目録記載1,2,4ないし13の弁護士12名(以下,「別件控訴・上告審受任弁護士ら」といい,別件第1審受任弁護士らと併せて指す場合は,「別件受任弁護士ら」という。)が原告訴訟代理人を務めた(甲3号証)。 (イ)控訴審及び上告審の経過11名関係訴訟の控訴審判決において整理された争点は,争点①ないし争点⑦のほか,以下の争点⑧及び争点⑨であった(甲3号証)。 ⑧11名関係訴訟被告らが別件混入及び別件販売を知った時期とその内容。 ⑨「甲肉まん」に本件未認可添加物が混入していることを見逃したG社への責任追及を怠ったことについて,11名関係訴訟被告らに善管注意義務違反が認められるか。 平成18年6月9日,大阪高等裁判所は,原判決を変更し,Rにつき5億2805万円,Mにつき5億5805万円,その余の取締役8名及び監査役1名につき各2億1122万円及びこれらに対する遅延損害金の連帯支払を命じる判決を言い渡した(甲3号証)。 これに対し,原告及び11名関係訴訟被告らが上告及び上告受理申立てをしたが,平成20年2月12日,いずれについても上告棄却又は上告を受理しない旨の決定がされ,上記控訴審判決が確定した(甲5号証ないし8号証)。 ウ2名関係訴訟の経過(ア)第1審の経過2名関係訴訟の第1審において整理された争点は,以下の争点⑩ないし争点⑱であった(甲2号証)。 ⑩本件未認可添加物が使用された「甲肉まん」の供給を受けたことについて,Dらに受入検査を行うべき善管注意義務の違反が認められるか。 ⑪Dらが「甲肉まん」に本件未認可添 であった(甲2号証)。 ⑩本件未認可添加物が使用された「甲肉まん」の供給を受けたことについて,Dらに受入検査を行うべき善管注意義務の違反が認められるか。 ⑪Dらが「甲肉まん」に本件未認可添加物が含まれていることを認識した時点で直ちに「甲肉まん」の販売を中止すべき善管注意義務の違反が認められるか。 ⑫本件未認可添加物は健康に害がないとして違法性が阻却されるか。 取締役就任1年目のJにDの販売継続を中止させることの期待可能性がないものとして責任が阻却されるか。 ⑬別件販売継続と別件出えんとの間に相当因果関係があるか。 ⑭別件販売継続について,長年にわたる被告の組織系統又は管理体制に起因するものとして過失相殺を行うことの適否。 別件販売の結果被告が販売利益を受けたことによる損益相殺の適否。 ⑮別件支払について,Dらに違法行為を隠ぺいするための口止め料を支払ってはならないなどの善管注意義務違反が認められるか。 ⑯取締役就任1年目のJに別件支払を中止させることの期待可能性がないものとして責任が阻却されるか。 ⑰別件支払について,長年にわたる被告の組織系統又は管理体制に起因するものとして過失相殺を行うことの適否。 別件支払がされたことにより被告がG社に支払うべきロイヤルテイの減少という利益を受けたことによる損益相殺の適否。 ⑱Dらに別件販売後にとった対応(当該事実を公表しなかったことなど)についての善管注意義務違反が認められるか。 平成17年2月9日,大阪地方裁判所は,請求額全額を認容する旨の判決を言い渡し(甲2号証),これに対し,Dらが控訴した(大阪高等裁判所平成17年(ネ)第731号。甲4号証)。控訴審においては,別紙弁護士目録記載1,2,4ないし13の弁護士12名が原告訴訟代理人を務めた(甲4号証)。 (イ)控訴審 Dらが控訴した(大阪高等裁判所平成17年(ネ)第731号。甲4号証)。控訴審においては,別紙弁護士目録記載1,2,4ないし13の弁護士12名が原告訴訟代理人を務めた(甲4号証)。 (イ)控訴審及び上告審の経過2名関係訴訟の控訴審における争点も,第1審とほぼ同じく争点⑩ないし争点⑱であった。 平成19年1月18日,大阪高等裁判所は,Dらにつき,連帯して53億4350万円及びこれに対する遅延損害金の支払を命じる旨の判決を言い渡した(甲4号証)。これに対し,原告が上告受理申立てをしたが,平成20年2月12日,上告を受理しないとの決定がされ,上記控訴審判決が確定した。 (4)被告による回収被告は,11名関係訴訟につき,平成18年8月30日,控訴審判決の認容額(遅延損害金を含む。)の全額(6億2829万0815円)を回収し,2名関係訴訟につき,平成17年6月から平成21年5月22日までの間に,Dらから,合計1億1855万8464円を回収した。別件株主代表訴訟の結果,被告が回収した上記金額の合計は,7億4684万9279円である。 (5)原告と別件受任弁護士らとの報酬についての合意ア原告は,別件株主代表訴訟を提起するに当たり,別件第1審受任弁護士らとの間で,原告が別件株主代表訴訟において勝訴又は和解した場合には,別件第1審受任弁護士らに対し,平成16年3月31日に廃止される前の「大阪弁護士会報酬規程」(以下「本件報酬規程」という。)に基づく着手金及び報酬金を,別件株主代表訴訟の判決確定後に後払いすることを内容とする委任契約を口頭で締結した。 また,原告は,別件株主代表訴訟につき,控訴,上告,上告受理申立てをした際,大阪弁護士会所属の別紙弁護士目録記載1,2,4ないし13の弁護士12名(「別件控訴・上告審受任弁護士ら」)に訴訟委任を 。 また,原告は,別件株主代表訴訟につき,控訴,上告,上告受理申立てをした際,大阪弁護士会所属の別紙弁護士目録記載1,2,4ないし13の弁護士12名(「別件控訴・上告審受任弁護士ら」)に訴訟委任をし,本件報酬規程に基づき算出した追加着手金を,別件株主代表訴訟の判決確定後に後払いすることを約束した。 イ本件報酬規程は,大阪弁護士会が,弁護士法(平成15年法律第128号による改正前のもの)33条2項8号に規定する「弁護士の報酬に関する標準を示す規定」として定めたものである(甲10号証)。 本件報酬規程によれば,弁護士報酬は1件ごとに定めるものとし,裁判上の事件は審級ごとに1件とすること(4条),民事訴訟事件の報酬は,着手金と報酬金から成り,着手金は事件の対象の経済的利益の額を基準として,報酬金は委任事務処理により確保した経済的利益の額を基準として,金額に応じて定められた割合を乗じて算定すること(12条,16条1項),経済的利益の額は金銭債権については債権総額(利息及び遅延損害金を含む。)で算定すること(13条1号),着手金及び報酬金は,事件の内容により30パーセントの範囲内で増減額することができること(16条2項),1件の事件を複数の弁護士が受任し,①各弁護士による受任が依頼者の意思に基づくとき,又は,②複数の弁護士によらなければ依頼の目的を達成することが困難であり,かつ,その事情を依頼者が認めたときに限り,各弁護士は,依頼者に対し,それぞれ弁護士報酬を請求することができること(5条3項),とされている(甲10号証)。 争点 (1)別件株主代表訴訟と旧商法268条の2第1項にいう「相当ナル額」(2)遅延損害金の起算日 当事者の主張(1)争点(1)(別件株主代表訴訟と旧商法268条の2第1項にいう「相当ナル額」)に 別件株主代表訴訟と旧商法268条の2第1項にいう「相当ナル額」(2)遅延損害金の起算日 当事者の主張(1)争点(1)(別件株主代表訴訟と旧商法268条の2第1項にいう「相当ナル額」)について(原告の主張)ア基本的な考え方旧商法268条の2第1項が株主は弁護士に支払うべき報酬の範囲内において「相当ナル額」の支払を会社に対し請求することができるとした趣旨は,株主代表訴訟においては,本来,株主と受任弁護士との委任契約に基づく弁護士報酬全額が会社から支払われるべきであるが,両者間において,社会通念上適正妥当と認められる額より高額な報酬契約が締結されていると,会社に損失を与えることになるため,相当なる額という制限をしたことにある。 別件株主代表訴訟については,原告と別件受任弁護士らとの間において,本件報酬規程に従った報酬を支払う旨合意されているところ,本件報酬規程は,長期にわたって大阪弁護士会所属の弁護士が依拠していたものであって,正に弁護士が当該訴訟のために行った活動の対価として必要かつ十分な程度として社会通念上適正妥当と認められる額を定めたものといえる。 したがって,「相当ナル額」は,特別な事情がない限り,本件報酬規程に従って算出された金額によるべきである。 もっとも,訴訟活動が実質的にされていなかったなどの特別の事情がある場合にまで,本件報酬規程に従って算出された金額をそのまま「相当ナル額」とすることは妥当でない。そこで,①訴訟に至る経緯,②請求額,③被告の人数,④事案の難易,⑤弁護団の人数,⑥弁護士の手数の繁簡,⑦被告の回収努力,⑧被告の得た利益,⑨判決の社会的意義などの諸般の事情を考慮して算定すべきである。 本件報酬規程に従って算定すると,原告が別件受任弁護士らに支払うべき報酬額は,少なくと 繁簡,⑦被告の回収努力,⑧被告の得た利益,⑨判決の社会的意義などの諸般の事情を考慮して算定すべきである。 本件報酬規程に従って算定すると,原告が別件受任弁護士らに支払うべき報酬額は,少なくとも16億2523万4100円となるところ,上記諸般の事情を考慮すると,相当なる額は4億円を下ることはないというべきである。 また,被告は,別件株主代表訴訟の結果,約7億円を回収しているから,原告が本件において請求する報酬額4億円を全部負担したとしても損失を被ることはない。 イ本件報酬規程における経済的利益,件数のとらえ方経済的利益は,着手金について,請求額である106億2400万円,報酬金について,11名関係訴訟は控訴審判決認容額の5億5805万円,2名関係訴訟は控訴審判決認容額の53億4350万円とすべきである。 11名関係訴訟と2名関係訴訟が1審の途中で弁論分離され,それぞれ上告審まで審理されていること,本件報酬規程によれば,着手金に関しては,審級ごとに算定すべきとされていることから,着手金は6件分,報酬金は2件分生じる。 以上より本件報酬規程に従って算定すると,着手金及び報酬金の合計は,11名関係訴訟につき7億1212万2600円(消費税込み),2名関係訴訟につき9億1311万1500円(消費税込み)であり,総額16億2523万4100円となる。 ウ本件報酬規程による増額事由別件株主代表訴訟は,事案が複雑であることなどから,30パーセントの増額が認められるべきである。 また,別件株主代表訴訟は,複数の弁護士が受任しているところ,原告は,その意思に基づいて別件受任弁護士らに訴訟委任をしたものである上,別件株主代表訴訟は事案が複雑で,その追行に弁護士の多大な手数を要するものであることからすると,別件受任弁護士らは,それぞれ本 告は,その意思に基づいて別件受任弁護士らに訴訟委任をしたものである上,別件株主代表訴訟は事案が複雑で,その追行に弁護士の多大な手数を要するものであることからすると,別件受任弁護士らは,それぞれ本件報酬規程に従った報酬額を原告に対して請求することができる。 したがって,原告が別件受任弁護士らに支払うべき本件報酬規程に基づく報酬額は16億2523万4100円を超えている。 エ事案の難易,弁護士の要した労力及び時間別件株主代表訴訟は,被告が13名もおり,争点が多岐にわたり,直接不祥事に関与していない取締役らが不祥事を知った後にとった行動について善管注意義務違反を問うなど,極めて難しい事案である。 別件受任弁護士らは,原告から,平成14年に相談を受け,調査委員会報告書及び再生委員会報告書,別件受任弁護士らが収集した「甲肉まん」事件に関する新聞や雑誌の記事,閲覧謄写したCと被告との間の訴訟記録,Dと被告との間の訴訟記録及び被告関係者から聴取した内容などから事情を把握した。 これらを検討した結果,別件受任弁護士らは,Dらだけでなく,11名関係訴訟被告らにもリスク管理体制を構築しなかったことの善管注意義務又は忠実義務違反があるものとして,被告の監査役らに提訴請求をした。 これに対し,被告の監査役らは,Dらにつき,訴訟コストと比較して相当な回収が困難であり,その余の取締役らにつき責任が認められないことなどを理由として提訴しなかった。そのため,原告は,13名を被告として,別件株主代表訴訟を提起し,被告に生じた損害である106億2400万円を請求した。 原告は,別件販売,別件支払に関し,リスク管理体制を構築しなかったこと,別件販売を認識した後に公表等の対応をとらなかったことなど11名関係訴訟被告らの多数の善管注意義務違反を主張し,争点は多岐にわた 告は,別件販売,別件支払に関し,リスク管理体制を構築しなかったこと,別件販売を認識した後に公表等の対応をとらなかったことなど11名関係訴訟被告らの多数の善管注意義務違反を主張し,争点は多岐にわたった。別件受任弁護士らは,リスク管理体制を構築しなかったことの善管注意義務違反,別件混入を認識した後に当該事実を公表しなかった善管注意義務違反を追及するために,食品業界の実態,法的制度についての文献を調査したり,被告関係者から事情を聴取したりするなどした。 第1審において,2名関係訴訟は全部認容判決が言い渡されたが,11名関係訴訟ではMの責任しか認められなかった。 控訴審における別件受任弁護士らの活動により,Rの認識時期及び別件混入等の事実を認識した後の対応について原告の主張が認められ,11名関係訴訟被告全員の責任を認める旨の判決が言い渡された。 上告審においても,別件受任弁護士らが提出した書面により,上記控訴審の判断が維持された。 なお,原告は,別件株主代表訴訟の情報を収集するため,独自にウェブサイトを開設していたところ,サーバ上に置いた文書の一部が被告の名誉,情報プライバシー,信用を毀損し,著作権を侵害するものとして,被告から1100万円もの高額な損害賠償請求訴訟を提起され,原告に55万円の支払を命じる一部認容判決が言い渡された。認容額が請求額の20分の1であったことからすれば,被告による上記訴え提起は不当なものであったといえ,これにより原告側の情報収集活動は萎縮し,活動が阻害された。 オ被告に対する反論(ア)被告は,本件報酬規程を参考とするに当たり,経済的利益を着手金及び報酬金のいずれも被告による回収額とし,1審級のものとして算定すべきと主張する。 しかし,被告は,2名関係訴訟で認容された判決に基づく回収に努めていないから,被告 たり,経済的利益を着手金及び報酬金のいずれも被告による回収額とし,1審級のものとして算定すべきと主張する。 しかし,被告は,2名関係訴訟で認容された判決に基づく回収に努めていないから,被告の回収額を重要な考慮要素とすべきでない。被告は,2名関係訴訟第1審判決の言渡し後,Dらの財産に対する執行が可能になったにもかかわらず,Jが所有する不動産の強制競売を申し立てずに約3年間放置し,Dらの預貯金,保険解約返戻金に対する差し押さえを幅広く実施せず,恣意的に回収努力を怠った。他方,被告は,被告がDらに提起した別件の民事訴訟において,Dらと和解をして和解金の大部分を回収した。 株主代表訴訟の認容額がどれだけ高額であろうが,責任を認められた役員が無資力であれば,現実の回収を得ることはできないし,また,判決認容額のいかんにかかわらず,それを回収するのは会社の責務であり,会社がこれを怠れば現実の回収は得られない。これらの場合に,弁護士報酬請求が一切認められないというのでは,勝訴できた場合にまで代表訴訟の原告たる株主又は依頼を受けた弁護士がリスクを負担することになり,株主代表訴訟制度自体が形骸化するおそれがある。そもそも,判決で認められた認容額こそが当該判決の価値基準になるはずであり,当該価値基準を守るためにも,現実の回収額を過度に重視すべきではない。 また,訴訟の結果会社が得た利益について考慮するとしても,賠償額だけでなく,別件株主代表訴訟の結果,どれだけ被告の経営が健全化されたかなどの非金銭的な利益についても考慮すべきである。 (イ)被告は,株主代表訴訟と住民訴訟との性質の違いを無視し,平成14年法律第4号による改正前の地方自治法242条の2第1項第4号の規定に基づく住民訴訟に係る同条7項に基づく弁護士に支払うべき報酬額の範囲 告は,株主代表訴訟と住民訴訟との性質の違いを無視し,平成14年法律第4号による改正前の地方自治法242条の2第1項第4号の規定に基づく住民訴訟に係る同条7項に基づく弁護士に支払うべき報酬額の範囲内で相当と認められる額と同様の認定基準により,被告が負担すべき別件受任弁護士らの報酬額を算定すべきと主張する。しかしながら,住民訴訟と異なり,株主代表訴訟は,営利を目的とする私企業のオーナーたる株主が,会社に損害を発生させた役員に対し,その損害賠償を求めるものであり,公益性は存在しない。株主代表訴訟が企業のコンプライアンスやガバナンスに資する意味を有するとしても,最終的には株主の経済的利益へと還元されていくものである。公益性のない株主代表訴訟においては,住民訴訟と比較し,弁護士の訴訟活動の対価として必要かつ十分な程度として社会通念上適正妥当と認められる額はより高額になるものと解すべきである。 (ウ)被告は,別件株主代表訴訟の判決において,原告の主張が最終的に認められた争点以外の争点についての労力については考慮すべきでないと主張する。しかし,原告は,すべての争点を不可分のものとして主張を展開したのであって,別件受任弁護士らの主張,立証等の訴訟活動のうち判決に反映されなかった部分は,その認容額に現れているから,認容額から更に減額した額を基準とする必要性は全くない。 (被告の主張)ア基本的な考え方平成14年法律第4号による改正前の地方自治法242条の2第1項第4号の規定に基づく住民訴訟に係る同条7項に基づく弁護士に支払うべき報酬額の範囲内で相当と認められる額について,「住民から訴訟委任を受けた弁護士が当該訴訟のために行った活動の対価として必要かつ十分な程度として社会通念上適正妥当と認められる額をいい,その具体的な額は,当該訴訟における事案 められる額について,「住民から訴訟委任を受けた弁護士が当該訴訟のために行った活動の対価として必要かつ十分な程度として社会通念上適正妥当と認められる額をいい,その具体的な額は,当該訴訟における事案の難易,弁護士が要した労力の程度及び時間,認容された額,判決の結果普通地方公共団体が回収した額,住民訴訟の性格その他諸般の事情を総合的に勘案して定められるべき」(最高裁平成19年(受)第2069号同21年4月23日第1小法廷判決)とされており,被告が負担すべき別件受任弁護士らの報酬額も同様の基準で算定すべきである。 株主代表訴訟が株主個人の利益ではなく株主共通の利益のために行われることと,住民訴訟が住民個人の利益ではなく住民共通の利益のために行われることは類似していること,原告とその委任する弁護士との関係において,勝訴した場合でも委任する原告自身には直接的な経済的利益がないことは株主代表訴訟も住民訴訟も同じであって,判断基準を異にすべき理由はない。 イ事案の難易,弁護士の要した労力及び時間原告の請求が棄却された争点に係る弁護士の労力については,相当なる額を判断するに際して考慮すべき事情とはいえない。すなわち,11名関係訴訟において,原告は多数の論点にわたる主張を展開し,多数の書証を提出してはいるものの,原告の請求を一部認容した控訴審判決の結論の根拠となったものはきわめて限定されている。11名関係訴訟における争点のうち,争点①は形式的な議論であり,原告が大々的に主張立証を展開した争点②ないし④などは認められないとされ,認められたのは争点⑤のみである。争点⑤につき,第1審判決が引用している書証は,再生委員会報告書,大阪府の命令書,新聞記事,Fの陳述書,Dの供述調書,被告の取締役会議事録等であり,入手に高額の費用を要するものもない。また,1 る。争点⑤につき,第1審判決が引用している書証は,再生委員会報告書,大阪府の命令書,新聞記事,Fの陳述書,Dの供述調書,被告の取締役会議事録等であり,入手に高額の費用を要するものもない。また,11名関係訴訟の控訴審においては,11名関係訴訟被告らの別件混入を知った時期とその内容(争点⑧)が主要な争点であったが,R及びM以外の取締役及び監査役については,同人らが認否したとおりにしか認定されていない。 2名関係訴訟においては,裁判所が判断する根拠となる争点は複雑ではなく,かつ,事実関係についてはDらは実質的に争わなかったものである。 具体的には,事実関係に係る争点は,Dらが「甲肉まん」に本件未認可添加物が含まれていることを知りながら,その一部を販売することを決定したかどうか(争点⑪)であったが,Dらはいずれも実質的に原告の主張を認めていた。すなわち,Dの認否は,平成12年12月2日,「甲肉まん」に微量の本件未認可添加物が含まれている事実を確認し,Jらの意向を受けて,Dは,現場の意向に従うということで販売の継続を了承したというものであった。また,Jの認否は,平成12年12月8日,Dとの間で,国内在庫分の「甲肉まん」を廃棄するか販売するかを協議し,Jは,本件未認可添加物の危険性が少ないこと,「甲肉まん」の供給を中止すると現場の混乱が大きくなることなどから在庫分の販売をした方がよいとの見解を述べ,これに対し,Dが販売しようと回答したというものであった。 また,原告は,別件の民事訴訟記録の謄写や詳細な事実関係を記した調査委員会報告書,外部者が委員となった再生委員会報告書という重要な資料を別件株主代表訴訟提起前から保有しており,証拠を集めるのに特段の困難があったともいえない。 ウ相当なる額の算定(経済的利益,件数のとらえ方)原告が別件受任弁 再生委員会報告書という重要な資料を別件株主代表訴訟提起前から保有しており,証拠を集めるのに特段の困難があったともいえない。 ウ相当なる額の算定(経済的利益,件数のとらえ方)原告が別件受任弁護士らへ支払うべき報酬額の範囲内において相当なる額を具体的に算定するに当たっては,別件株主代表訴訟の結果,被告が回収した金額を経済的利益とし,審級ごとに区別せずに1審級のものとして算定すべきであり,その金額は本件報酬規程により算出される着手金及び報酬金の合計額を上回らない額とすべきである。 被告は,平成21年2月の時点において,合計6億9069万3137円を回収しているので,同金額を前提に,1審級のものとして本件報酬規程を適用して算定すると,着手金1750万3862円,報酬金3500万7725円の合計5251万1587円(消費税込みで5513万7166円)となる。事案の難易等といった事情を考慮しても,上記の考え方に従って算定される金額を更に増額すべき事情は見いだせない。 原告は,回収額を基準として重視することは,被告が回収の努力を怠っていたことに照らして不当であると主張する。しかし,被告は,Jが単独所有する不動産の存在を把握できた時点で直ちに強制競売を申し立て,また,自ら破産手続開始の申立てを行って同手続にて配当を受けており,回収の機会を失っていない。 また,原告は,別件株主代表訴訟の結果,被告が受けた利益として,経済的利益以外に違法行為の抑止等による非経済的利益を受けた旨主張するが,そのような側面があるとしても,これらは認容額及び回収額に現れるもので,別途被告が受けた利益とはいえない。 エ原告に対する反論旧商法268条の2第1項が株主は弁護士に支払うべき報酬の範囲内において「相当ナル額」の支払を会社に対し請求することができるとし もので,別途被告が受けた利益とはいえない。 エ原告に対する反論旧商法268条の2第1項が株主は弁護士に支払うべき報酬の範囲内において「相当ナル額」の支払を会社に対し請求することができるとした趣旨については,被告も原告と同様に解するが(「原告の主張」のアの第1段落),原告は,別件株主代表訴訟につき,勝訴してもおよそ回収の見込みのない請求金額を前提とした着手金及びおよそ回収の見込みのない認容額を前提とした報酬金を請求しているのであって,不当に高額というべきである。確かに,着手金は,請求が認められるか,現実の回収ができるかが不明の段階において原則として支払うべきものであるから,現実に回収された金額のみを基準にすべきではないと考える余地もある。しかし,資産状況等からして,仮に勝訴判決を得たとしても回収できる見込みのないことが訴訟提起の当時から明らかな場合には,訴訟における請求額を無制限に着手金の算定の基礎とすることが相当性を欠くことは明白である。 また,原告は,訴訟に至る経緯,被告の回収努力,判決の社会的意義をも考慮すべきと主張するが,そのような事情を考慮した裁判例はない。 (2)争点(2)(遅延損害金の起算日)について(原告の主張)遅延損害金の起算日は,別件株主代表訴訟が確定した日の翌日である平成20年2月13日とすべきである。 本件報酬規程3条によると,報酬金の支払時期は事件等の処理が終了したときとされており,原告の別件受任弁護士らに対する報酬の支払日は,別件株主代表訴訟が確定した平成20年2月12日となる。そして,着手金について,原告は報酬金と同じ時期に支払うこととしているから,着手金の支払日も同様となる。 (被告の主張)遅延損害金の起算日は,被告の現実の回収が終了した日,すなわち,Dらの破産手続の配当実施日の翌日 ,原告は報酬金と同じ時期に支払うこととしているから,着手金の支払日も同様となる。 (被告の主張)遅延損害金の起算日は,被告の現実の回収が終了した日,すなわち,Dらの破産手続の配当実施日の翌日である平成21年5月23日とすべきである。 第3争点に対する判断 争点1(別件株主代表訴訟と旧商法268条の2第1項にいう「相当ナル額」)について昭和25年法律第167号により導入された旧商法267条所定の株主代表訴訟の制度は,取締役が会社に対して責任を負う場合,役員相互間の特殊な関係から会社による取締役の責任追及が行われないおそれがあるので,会社や株主の利益を保護するため,会社が取締役の責任追及の訴えを提起しないときは,株主が同訴えを提起することができることとすることにより,会社の利益の回復,ひいては株主の利益の回復をはかるものである。 そして,株主は,全株主の代表者として,会社に代わって,取締役の責任追及の訴えを提起するものであり,この株主代表訴訟において株主が勝訴したときは,これにより会社が現実に経済的利益を受けることになるのであるから,株主がそのために費やした費用をすべて負担しなければならないとすることは,衡平の理念に照らし適当とはいい難い。そこで,旧商法268条の2第1項は,株主代表訴訟を提起した株主が勝訴した場合に,その訴訟を委任した弁護士に支払うべき報酬額の範囲内で「相当ナル額」の支払を会社に対して請求することができることとしたのである。 旧商法268条の2第1項の以上のような立法趣旨に照らすと,同項にいう「相当ナル額」とは,株主代表訴訟において株主から訴訟委任を受けた弁護士が当該訴訟のために行った活動の対価として必要かつ十分な程度として社会通念上適正妥当と認められる額をいい,その具体的な額は,当該訴訟における事案の 株主代表訴訟において株主から訴訟委任を受けた弁護士が当該訴訟のために行った活動の対価として必要かつ十分な程度として社会通念上適正妥当と認められる額をいい,その具体的な額は,当該訴訟における事案の難易,弁護士が要した労力の程度及び時間,認容された額,判決の結果当該会社が回収した額,株主代表訴訟の性格その他諸般の事情を総合的に勘案して定められるべきものと解するのが相当である。 (1)当該訴訟における事案の難易上記争いのない事実等によれば,別件株主代表訴訟の原因となった食品衛生法違反事件(甲肉まん事件)の客観的な事実経過は,①被告が乙フランチャイズ事業で販売するために製造を委託した商品である「甲肉まん」の委託先製造工程で我が国の食品衛生法上使用が許されていない添加物(本件未認可添加物)が混入し(別件混入),被告は,当該混入の事実を知らないまま,本件未認可添加物の含まれた上記商品を日本全国のフランチャイズ店舗(乙)で販売していた,②その後,被告から上記商品の製造委託の受注をもくろんでいたB社の代表者Cにおいて別件混入の事実を知るところとなり,Cは,同社が製造した「甲肉まん」を試食する会合の席上で別件混入の事実を公表したため,被告担当部長(E)から報告を受けた被告乙FC事業本部担当取締役J及び被告フードサービス事業グループ担当取締役D(Dら)において別件混入の事実を知ったが,Dらは,「甲肉まん」の在庫がなくなるまで販売を継続することを決める(別件販売継続)とともに,Cに対しいわゆる口止め料として合計6300万円を支払った(別件支払),③その後,これらの事実はDら以外の取締役ら及び監査役の知るところとなり,調査委員会が設置されて内部調査が実施されるなどしたが,被告の取締役ら及び監査役は,別件混入,別件販売及び別件支払等の事実を自ら の後,これらの事実はDら以外の取締役ら及び監査役の知るところとなり,調査委員会が設置されて内部調査が実施されるなどしたが,被告の取締役ら及び監査役は,別件混入,別件販売及び別件支払等の事実を自ら積極的に公表することはしないことを決定するなどし,被告においてこれらの事実を公表しなかった,④しかし,その後,別件混入,別件販売等の事実が発覚して保健所によるフランチャイズ店舗への立入検査が実施されたことから,別件販売及び別件支払等の事実が大きく報道されるところとなった,⑤そのため,被告は,別件販売に関して,決算において,乙加盟店営業補償等合計105億6100万円に及ぶ別件出えんを計上することとなった,というものである。これらの事実関係はそれ自体比較的単純であり,これらの事実関係が証明されれば,少なくとも,取締役であるDらが別件混入の事実を知りながら本件未認可添加物が含まれた「甲肉まん」の販売を継続する決定をしたこと(別件販売継続),Dらが別件混入の事実を知らせたCに対しいわゆる口止め料として6300万円もの被告の金銭を出えんさせたこと(別件支払)並びに被告の取締役ら及び監査役がこれらの事実を知るに至った後も被告において自らこれを積極的に公表しないこととするなどしたことが,経営判断としての合理性を欠くことは,社会通念に照らしても明らかであって,別件販売継続及び別件支払に直接関与した取締役(Dら)だけでなく,これらの事実を知った後もこれを事実上隠ぺいするなど,食品を販売する会社でありながら食の安全を軽視し,消費者に目を向けた対応を何ら執らなかったために,被告の企業としての信用を一挙に失墜させた他の取締役ら及び監査役の責任こそが問われるべきであるという構図が容易に見て取れるといえる。加えて,別件出えんの内容は被告の決算に計上されていて明確 ために,被告の企業としての信用を一挙に失墜させた他の取締役ら及び監査役の責任こそが問われるべきであるという構図が容易に見て取れるといえる。加えて,別件出えんの内容は被告の決算に計上されていて明確であり,損害額の把握に困難を来すような事情があったともいえない。これらの事情に照らせば,別件株主代表訴訟の事案自体はさほど複雑なものではなかったということができる。 (2)弁護士が要した労力の程度及び時間ア上記争いのない事実等に関係証拠(甲14号証の1ないし13,15号証ないし17号証,18号証の1ないし6,19号証,20号証の1ないし8,21号証,22号証,23号証の1ないし9,24号証,25号証,26号証の1ないし4,27号証ないし35号証,39号証の1ないし3,乙7号証の1ないし3,8号証,9号証の1及び2)及び弁論の全趣旨を総合すると,以下の事実を認めることができる。 (ア)原告及び別紙弁護士目録記載1,2,4ないし6,12及び13(いずれも後に別件第1審受任弁護士らとなった。)の弁護士らは,被告に対する提訴請求に当たり,再生委員会報告書,新聞や雑誌の記事,被告の大阪府知事あての報告書,被告の組織図,有価証券臨時報告書,訂正報告書等を検討した。 再生委員会報告書には,①なぜ「甲肉まん」に本件未認可添加物が混入したか,②なぜ6300万円をB社に支払ったのか,③事件発生確認後,現経営陣がとった措置のどこに間違いがあったのかなどの3つの局面に分け,各局面における事実関係及び問題点が具体的に記載されていた。 すなわち,上記①については,調査結果として,問題となった「甲肉まん」の製造委託関係,製造関係における衛生管理体制,本件未認可添加物の安全性,本件混入の経過等の具体的事実が記載されるとともに,問題点として,(ア)食 いては,調査結果として,問題となった「甲肉まん」の製造委託関係,製造関係における衛生管理体制,本件未認可添加物の安全性,本件混入の経過等の具体的事実が記載されるとともに,問題点として,(ア)食材調達における基本的知識の不足,(イ)工程管理の不徹底,(ウ)取引先との契約における責任の所在の不明確,(エ)「甲肉まん」の自主規格がないことが指摘されていた。 上記②については,FがCをDに引き合わせ,DがJとEに「甲肉まん」の製造業者としてCを紹介し,「甲肉まん」を試作させるようになったが,質が悪いものしかできなかったこと,Cが3回目の試作品を被告に持参した際,Cが本件未認可添加物混入の事実について言及した(Fもその場に同席していた。)ため,担当者(E)から報告を受けたJらの知るところとなったこと,その後,CがG社に対し商品開発指導を怠ったとして損害賠償を請求したため,JがCの対応をすることになり,JはG社のI社長に対し,万が一漏れたら大問題になり,G社の責任が発生するので,Cの口封じをする必要があり,うまくビジネスに巻き込む方向で対応してほしいなどと言ったこと,DはCに対し,CがG社へ要求している金を被告が払うのでいくらほしいのかと尋ねたところ,Cが7000万円と返答し,JとCが個別に話し合い,1割減額した6300万円を支払うことになったこと,Cに対して金銭を支払う名目として業務委託契約の手続を進めることにしたことなどが記載され,問題点として,(ア)ご縁を名目とした勝手な取引先の選定,(イ)食品会社の担当者としての意識と行動の欠如(中国での出荷停止・日本での回収指示がなかったこと,在庫品の確認(中国及び日本国内)を怠ったこと,本件未認可添加物の安全性の知識がない状態でことを進めたこと,社会(消費者)を無視した判断がされ 如(中国での出荷停止・日本での回収指示がなかったこと,在庫品の確認(中国及び日本国内)を怠ったこと,本件未認可添加物の安全性の知識がない状態でことを進めたこと,社会(消費者)を無視した判断がされたこと),(ウ)結果的に口封じとして6300万円を支払った隠ぺい体質,などが指摘されていた。 上記③については,平成13年7月16日に被告取締役のWが,JがCに金を脅し取られているのではないかと監査役Uに相談し,当時の被告代表取締役Mは,U,N,Pに調査を指示し,関係者からの事情確認が行われた結果,本件未認可添加物混入の事実がJの事情聴取から判明したこと,しかし,その当時は,Cの取引業者としての不適正さ,不明朗な金銭の解明に重点が置かれてしまい,食品衛生法違反の重大性に気付くべきであったこと,平成13年9月18日に被告の社外取締役Lが調査委員会の設置をM社長に提言し,被告取締役(S,W,T),監査役(U),従業員らにより構成された調査委員会が設置されて調査委員会報告書がMに提出され,これを受けて,関係者の処分案及び今後の措置案が常務会で決定され,更に事実関係の概要を加えた取締役会説明資料が作成されたこと,取締役会に先立ち,被告の経営顧問から意見を聴取したところ,経営顧問からは,現在の企業としては安全でない商品を販売しただけでノーであり,口止め料というようなことは認められないなどといった意見が出されたこと,その後の取締役会において,Jの辞任届を受理し,Dとの顧問契約を解約した上,今後の措置として,取引企業として不適格なCとの契約を解約し,Jが別件支払のためにK社から借りた3000万円を被告において返済する旨が決められたことなどが記載され,問題点として,(ア)消費者不在の経営判断をし,問題の本質を追及することが不足し,問題対応に終始し 件支払のためにK社から借りた3000万円を被告において返済する旨が決められたことなどが記載され,問題点として,(ア)消費者不在の経営判断をし,問題の本質を追及することが不足し,問題対応に終始したこと,他人依存型のもたれ合いがあったことなど経営判断が甘いこと,(イ)専門家不在などの経営体質の弱さ,(ウ)C及びFの対応に関する認識の甘さ,他社の不祥事を生かせないなどの危機意識の欠如,(エ)マスコミから当たりがあるまで記者発表をしなかったことや記者発表前の事実調査が徹底していなかったなどの広報対応の不手際等が指摘されていた。 また,再生委員会報告書には,Dが被告に対する報酬請求訴訟を当庁に提起した事実及びB社が被告に対する契約上の地位確認請求訴訟を当庁に提起した事実が記載されており,上記弁護士らは,上記各訴訟提起の事実を認識していた。 上記弁護士らは,上記各資料によって把握した事実関係を検討した結果,Dら以外の被告の取締役及び監査役についてもリスク管理体制構築義務違反等による責任を問うことなどの基本的な方針を決めた上,さらに事件関係者等から事情聴取をし,平成13年11月以降の被告の取締役会議事録の謄写申請をするなどした。 (イ)上記弁護士らは,平成15年1月14日及び同年2月17日,被告に対し,2名関係訴訟被告及び11名関係訴訟被告の責任を追及する訴えを提起するよう請求したが,同年3月17日付けの書面で,被告(監査役)から提訴しない旨の回答がされた。 (ウ)そこで,原告は,別件第1審受任弁護士らに訴訟委任し,平成15年4月4日及び同年5月2日,前記第2の2(3)アのとおり別件株主代表訴訟を提起し,同イ及びウのとおり争点②ないし争点⑤,争点⑩,争点⑪,争点⑮及び争点⑱に係る善管注意義務違反等があったとの主張をした。 (エ) 同年5月2日,前記第2の2(3)アのとおり別件株主代表訴訟を提起し,同イ及びウのとおり争点②ないし争点⑤,争点⑩,争点⑪,争点⑮及び争点⑱に係る善管注意義務違反等があったとの主張をした。 (エ)これに対し,11名関係訴訟被告らは,リスク管理体制を構築していたが,Dらが別件混入,別件販売等の事実を秘匿したために機能しなかった,本件未認可添加物は人体に害がなく,別件販売も終了していたことなどから,別件混入等の事実を公表しなかったのであり,これは,現場を混乱させないなどの配慮による合理的な経営判断なのであって,注意義務違反はないなどと主張し,別件混入の事実を認識した時期についても調査委員会報告書の提出時であるなどとして,全面的に争った。 また,11名関係訴訟被告らは,争点⑥(11名関係訴訟被告らの別件販売認識後の対応と別件出えんとの因果関係の有無)につき,平成13年7月以降の早期に公表していたとしても,売上げの減少を免れることはできず,信頼回復,売上げ回復のための諸活動をする必要があり,別件販売認識後の対応と別件出えんとの間に因果関係はないなどと主張した。 別件第1審受任弁護士らは,11名関係訴訟被告らの反論に対応し,主張を再構築するなどし,争点⑤(認識内容及びその時期)に関して,食品衛生法違反事件の刑事記録中の被告関係者の供述調書や前記Dと被告との間の民事訴訟の記録を閲覧,謄写するなどし,86点の書証を提出した。 11名関係訴訟第1審は,口頭弁論及び弁論準備が延べ13期日(判決言渡し期日を除く。)重ねられ,D,R,P3名の尋問が実施された。 第1審判決は,争点⑤につき,Mについて,別件販売が行われた直後の平成12年12月29日ころ,別件販売の事実を認識したものと認定し,Mに対し,Rへ報告する義務を懈怠したことによる取締 が実施された。 第1審判決は,争点⑤につき,Mについて,別件販売が行われた直後の平成12年12月29日ころ,別件販売の事実を認識したものと認定し,Mに対し,Rへ報告する義務を懈怠したことによる取締役としての責任を認め,別件支払のうち3000万円及び別件出えん額の合計額の5%に相当する5億2955万円及びこれに対する遅延損害金の支払を命じたものの,Rについては,Rが取締役を辞任する(同人は遅くとも平成13年6月13日までに取締役を辞任した。)までの間に,別件販売の事実を認識したものと認定できないとしたほか,V及びQについても平成12年12月中旬に上記事実を知ったものと認定できないなどとして,M以外の取締役及び監査役に対する請求を棄却した。 (オ)2名関係訴訟被告らは,第1審において,原告の主張に対して争う姿勢を示し,特にJは,違法性阻却,責任阻却,過失相殺,損益相殺などの種々の主張をしたが,Dらは基本的な事実関係については実質的に争わなかった。 2名関係訴訟第1審は,口頭弁論及び弁論準備を11名関係訴訟から分離される前に延べ11期日,分離後に7期日(判決言渡し期日を除く。)を重ねた。 2名関係訴訟の第1審は,Dらが「甲肉まん」の販売を継続したこと(争点⑪)及び別件支払をしたこと(争点⑮)についての取締役としての責任を認め,Dらに対し,連帯して別件支払及び別件出えん額の合計額に相当する106億2400万円及びこれに対する遅延損害金の支払を命じる全部認容の判決を言い渡した。 (カ)11名関係訴訟の控訴審において,別件控訴審・上告審受任弁護士らは,M以外の取締役らの責任を認めるべきであるとして,主張を補充するなどし,38点の書証を提出した。 同控訴審の審理において,争点⑤の前提となる11名関係訴訟被告らが別件混入及び別件販売を知った は,M以外の取締役らの責任を認めるべきであるとして,主張を補充するなどし,38点の書証を提出した。 同控訴審の審理において,争点⑤の前提となる11名関係訴訟被告らが別件混入及び別件販売を知った時期とその内容(争点⑧)に焦点が当てられ,口頭弁論が5期日(判決言渡し期日を除く。)重ねられ,J,M,P,U,Fの5名の尋問が実施された。 その結果,11名関係訴訟の控訴審判決は,別件混入及び別件販売の事実について,Rは平成13年2月8日ころ,Mは平成12年12月29日ころ,その余の11名関係訴訟被告である取締役及び監査役は平成13年7月中旬以降に知ったと認定し(争点⑧),11名関係訴訟被告らがそれぞれの認識後速やかに被告の損害及び信用失墜を最小限度に留めるための適切な対応を講じなかった点に善管注意義務違反がある(争点⑤)とした上,これと相当因果関係が認められる損害として,Mにつき別件出えん額の5%相当額と別件支払のうち3000万円の合計額に相当する5億5805万円,Rにつき別件出えん額の5%相当額である5億2805万円,その余の取締役8名及び監査役1名につき別件出えん額の2%相当額である各2億1122万円及びこれらに対する遅延損害金の連帯支払を命じた。 (キ)2名関係訴訟の控訴審において,Dは,争点⑪に関し,店頭にある在庫を5日分のみ販売することを了解したが,中国の在庫及び物流在庫は廃棄処分するよう指示したなど事実関係についても争う姿勢を見せるようになった。控訴審において,口頭弁論が8期日(判決言渡し期日を除く。)重ねられ,D及びJの尋問が実施された。 控訴審判決は,Dらが本件未認可添加物が含まれた「甲肉まん」の販売を継続させたことが食品衛生法に違反する行為であり,販売中止,関係当局への通報,事実の公表等の措置をとるなど,会社の 問が実施された。 控訴審判決は,Dらが本件未認可添加物が含まれた「甲肉まん」の販売を継続させたことが食品衛生法に違反する行為であり,販売中止,関係当局への通報,事実の公表等の措置をとるなど,会社の信用失墜の防止と消費者の信頼回復のために努力すべき善管注意義務に違反したこと(争点⑪,争点⑱),別件支払が善管注意義務に違反すること(争点⑮)を認めたが,仮にDらが販売中止等の措置をとったとしても,被告の信用失墜又は売上低下は回避できなかったとして(争点⑬),第1審の判決を変更し,Dらにつき,第1審判決の約半額である53億4350万円(別件出えん額の半額と別件支払額の合計に相当する金額)及びこれに対する遅延損害金の支払を命じた。 (ク)11名関係訴訟及び2名関係訴訟の上告審においては,口頭弁論が開かれず,平成20年2月10日,上告棄却又は上告を受理しない旨の決定がされ,いずれも控訴審判決が確定した。 イ以上認定された事実に基づき,別件受任弁護士らの要した労力の程度及び時間について検討する。 原告が提訴前から入手していた再生委員会報告書には,別件混入,別件販売,別件販売継続及び別件支払の各事実について,取締役らの認識内容や時期など主観的な事実を除き,控訴審判決において認定された事実とさほど異ならない事実又はより詳細な事実が記載されていたほか,取締役らの違法行為(善管注意義務違反)によって被告が被った損害の確定については,被告の決算に計上された本件出えんが存在しており,これらの事実関係を精査検討することによって,事案の内容,性質を容易に把握することができ,法的責任が問題となる取締役又は監査役の範囲,これら取締役又は監査役に係る善管注意義務違反に関する法律構成の方向性,予想される事実上及び法律上の争点,それとの関係で更に解明すべき事実関 ことができ,法的責任が問題となる取締役又は監査役の範囲,これら取締役又は監査役に係る善管注意義務違反に関する法律構成の方向性,予想される事実上及び法律上の争点,それとの関係で更に解明すべき事実関係等を明らかにすることができ,株主代表訴訟における主張,立証の方針を比較的容易に立てることができたものといえる上,事実関係の解明の手段としては,DやCが被告に対して提起した民事訴訟事件の記録及び食品衛生法違反の刑事事件の記録の閲覧又は謄写をすることができたのであり,事実関係の解明,問題点の把握という面から見ると,別件受任弁護士らの要した労力はさほど大きくなかったものといえる。 また,2名関係訴訟についてみれば,Dらは実質的には事実関係をほとんど争っておらず,Dらによる別件販売継続及び別件支払が取締役としての善管注意義務に違反し違法であり,被告に対する損害賠償責任を到底免れることができないものであることは,再生委員会報告書に記載された事実関係からも明らかであり,第1審及び控訴審を通じ,11名関係訴訟に比べると,2名関係訴訟に関して別件受任弁護士らの要した労力は少なかったものということができる。 他方,11名関係訴訟は,別件支払及び別件販売継続といった違法性(善管注意義務違反)の明らかな行為に直接関与した取締役以外の取締役及び監査役の法的責任(善管注意義務違反)を問うものであるところ,再生委員会報告書に記載された事実関係により把握される事案の内容,性質からして,これらの取締役及び監査役についてもその法的責任を問題にすべき余地が十分にあり,したがって,別件受任弁護士らがこれらの取締役及び監査役をも被告として訴訟を提起,追行したことは,相応の根拠を有するものであったということができ,そのために訴訟手続上必然的に多くの経費と労力を費やさざるを得なか 件受任弁護士らがこれらの取締役及び監査役をも被告として訴訟を提起,追行したことは,相応の根拠を有するものであったということができ,そのために訴訟手続上必然的に多くの経費と労力を費やさざるを得なかったことは,「相当ナル額」の評価において考慮すべきである。また,これらの取締役及び監査役の法的責任を問題にすべき余地があるとして,その善管注意義務をどのように構成すべきかについては,本来法律の専門家である別件受任弁護士らの当然の職責に属すべき事柄であるが,会社のリスク管理体制や違法行為が発覚した際にとるべき対応,自らの違法行為を積極的に公表すべきか否かなどといった企業のコンプライアンスのあり方にかかわる論点は,別件株主代表訴訟が提起された時点においては,必ずしも議論が成熟した状況にあったとはいい難いのであり,別件受任弁護士らにおいて主張の構成やそのための調査研究に相当の時間を要したのもやむを得ない面があったということができる。さらに,被告とされた取締役及び監査役が賠償すべき損害を本件支出及び本件出えんによって構成する限り,各取締役又は監査役の具体的な違法行為(善管注意義務違反)と原告が主張する損害との間の相当因果関係の有無が争点となることは容易に理解されるところであり,その観点から,各取締役又は監査役が別件販売,別件支払等の事実を認識するに至った時期及びその具体的な認識内容が重要な事実上の争点となるものであったが,この点は,再生委員会報告書にも触れられておらず,被告とされた各取締役及び監査役の主観にかかわる事実だけに,性質上,株主代表訴訟における原告の立証が困難な事項であり,別件受任弁護士らにおいても,これらの立証に当たっては,食品衛生法違反事件の供述調書の写しなどの多数の書証の提出を要するとともに,最終的には延べ8名の尋問によらざるを 原告の立証が困難な事項であり,別件受任弁護士らにおいても,これらの立証に当たっては,食品衛生法違反事件の供述調書の写しなどの多数の書証の提出を要するとともに,最終的には延べ8名の尋問によらざるを得なかったのであって,その主張立証活動に要した労力には相当のものがあったといえる。これらのほか,別件受任弁護士らが,被告内部の関係者の事情聴取をしても,訴訟に提出するための陳述書の作成までの協力を得られないなど,訴訟記録上に現れない労苦があったこともうかがわれる。 また,11名関係訴訟及び2名関係訴訟の控訴審は,それぞれ口頭弁論期日が相当数重ねられ,合計7名の尋問が実施されるなど,審理回数においても,審理内容においても,第1審と同程度の実質的で負担が掛かる審理がされ,その結果,11名関係訴訟については原告の控訴がいれられて被告とされた取締役及び監査役全員の賠償責任が認められたが,2名関係訴訟についてはDらの控訴がいれられてDらの賠償額が減額されたところ,前記認定の別件株主代表訴訟の審理経過等にかんがみると,両事件の控訴審の審理が第1審と同程度の実質的なものとなったのはやむを得ないところがあったというべきである。 以上の諸事情を総合的に勘案すると,全体としてみれば,別件株主代表訴訟において別件受任弁護士らの要した労力の程度及び時間には相当なものがあり,事案の内容,性質,原告が入手し又は入手し得た証拠関係,11名関係訴訟及び2名関係訴訟の審理経過並びに確定した判決内容にかんがみても,別件受任弁護士らが費やした労力と時間はその提訴の目的を実現するためにある程度必要やむを得ないものであったということができる。 (3)認容された額,判決の結果当該会社が回収した額ア11名関係訴訟上記争いのない事実等によれば,11名関係訴訟の控訴審判決(平成 にある程度必要やむを得ないものであったということができる。 (3)認容された額,判決の結果当該会社が回収した額ア11名関係訴訟上記争いのない事実等によれば,11名関係訴訟の控訴審判決(平成18年6月9日言渡し)の認容額は総額で5億5805万円及びこれに対する遅延損害金であり,被告は,平成18年8月30日,上記認容額(遅延損害金を含む。)の全額(6億2829万0815円)を,役員賠償責任保険から回収した。 イ2名関係訴訟上記争いのない事実等に関係証拠(甲48号証ないし50号証,乙2号証の1及び2,3号証の1及び2,5号証の1及び2,6号証の1及び2,10号証ないし12号証,13号証の1及び2,14号証の1及び2,15号証の1及び2,16号証の1及び2)及び弁論の全趣旨を総合すると,2名関係訴訟の控訴審判決(平成19年1月18日言渡し)の認容額は総額で53億4350万円及びこれに対する遅延損害金であったところ,被告は,以下(ア)ないし(ウ)のとおり,平成17年6月から平成21年5月22日までの間に,Dらから合計1億1855万8464円を回収したこと,役員賠償責任保険からの支払がされることはなかったことが認められる。 (ア)平成17年6月20日,被告は,Dらに対する預金債権の差押命令をそれぞれ得て,同年7月15日,Dから556万1762円を取り立て,同月20日,Jから9560円を取り立てた。 (イ)同年6月22日,被告は,Dの所有する不動産につき,強制競売開始決定を得て,平成18年3月14日,強制競売による売却代金5562万6479円の交付を受けた。 (ウ)平成20年6月11日,Dらの破産手続開始決定がされた。被告は,同手続において,平成21年5月22日,Dにつき181万1591円,Jにつき5554万9072円の配当を受 9円の交付を受けた。 (ウ)平成20年6月11日,Dらの破産手続開始決定がされた。被告は,同手続において,平成21年5月22日,Dにつき181万1591円,Jにつき5554万9072円の配当を受けた。なお,被告は,Jが単独所有する不動産につき,平成20年4月25日付けの強制競売開始決定を得ていたが,破産手続開始決定がされたことにより終了した。上記不動産は,同手続において売却され,売却代金が配当財団に組み入れられた。 ウ上記認定のとおり,被告は,別件株主代表訴訟の確定判決に基づき,合計7億4684万9279円を回収しているところ,このうち11名関係訴訟の認容額については,遅延損害金を含む全額が回収されており,認容額と回収額との間に差異はない。 また,2名関係訴訟については,被告は,第1審判決言渡し後から債権回収のための執行手続をとり,控訴審判決確定後に開始されたDらの破産手続において配当を受けているところ,同破産手続における配当が完了していること,Dらについて役員賠償責任保険からの保険金の支払を受けられる見込みがないことからすると,2名関係訴訟の認容額についてはDらの責任財産からの更なる回収の可能性はなく,被告が平成21年5月22日までに回収した上記1億1855万8464円をもって最終的に被告がDらから回収した金額であると認めるのが相当である。そして,2名関係訴訟の回収額は,認容額の約2.2パーセント(1億1855万8464円÷53億4350万円≒0.022)にすぎないが,同回収額が上記イのとおり,強制執行手続のほか,最終的には破産管財人による財産調査(破産法83条,85条)を含む破産手続によって回収されたものであることに照らすと,Dらからの回収可能性は,客観的にみて,上記回収額程度であったとみるのが自然であり,上記認容額53億 による財産調査(破産法83条,85条)を含む破産手続によって回収されたものであることに照らすと,Dらからの回収可能性は,客観的にみて,上記回収額程度であったとみるのが自然であり,上記認容額53億4350万円のうちの大部分は当初より回収し得ない金額であったと考えられる。 なお,原告は,被告がDらに対する2名関係訴訟の債権回収を怠る一方,Dらとの間の別件の民事訴訟において,Dらと和解をしてその和解金の大部分を回収するなど,別件の民事訴訟における債権回収を2名関係訴訟の債権回収に優先させているから,別件株主代表訴訟によって被告が回収した金額を重視することはできないと主張する。 しかし,被告が提起したDらに対する別件の民事訴訟において和解が成立し,それが結果的に別件株主代表訴訟の判決に基づく債権の回収より先行していたとしても,それは個々の訴訟の進み具合や相手方の意向等の事情によると考えるのが自然であり,上記のとおり,被告が別件株主代表訴訟の第1審判決後から当該債権の回収のための執行手続を進めていたことなどからすれば,被告が別件株主代表訴訟に先んじて別件の民事訴訟事件の和解を成立させ,その回収を優先させたものとは認められず,他に被告が別件株主代表訴訟の判決に基づく債権の回収を殊更怠ったような事情も証拠上うかがわれない。 (4)以上認定説示したところによれば,別件株主代表訴訟の事案自体はさほど複雑なものではなかったが,別件株主代表訴訟において別件受任弁護士らの要した労力の程度及び時間は相当なものがあり,事案の内容,性質,原告が入手し又は入手し得た証拠関係,11名関係訴訟及び2名関係訴訟の審理経過並びに確定した判決内容にかんがみても,別件受任弁護士らが費やした労力と時間はその提訴の目的を実現するためにある程度必要やむを得ないものであったと 証拠関係,11名関係訴訟及び2名関係訴訟の審理経過並びに確定した判決内容にかんがみても,別件受任弁護士らが費やした労力と時間はその提訴の目的を実現するためにある程度必要やむを得ないものであったということができる。そうであるところ,別件株主代表訴訟の判決認容額は,11名関係訴訟が総額で5億5805万円及びこれに対する遅延損害金,2名関係訴訟が総額で53億4350万円及びこれに対する遅延損害金であり,判決の結果被告は11名関係訴訟については遅延損害金部分を含めてその全額を回収し,2名関係訴訟については1億1855万8464円を回収しているのであって,被告は現実に上記回収額相当の経済的利益を受けている。これらの事情に加えて,2名関係訴訟の被告であるDらは実質的には事実関係をほとんど争っておらず,同訴訟に関して別件受任弁護士らの要した労力は少なかったということができること,2名関係訴訟の判決認容額のうちの大部分は客観的にみて当初より回収し得ない金額であったと考えられ,被告がその回収を殊更怠ったような事情もうかがわれないこと,株主代表訴訟の性格等を併せ考えると,別件株主代表訴訟における旧商法268条の2第1項の原告が別件受任弁護士らに支払うべき報酬額の範囲内で「相当ナル額」は8000万円と認めるのが相当である。 原告は,別件株主代表訴訟については原告と別件受任弁護士らとの間において本件報酬規程に従った報酬を支払う旨合意されていたのであり,特別の事情がない限り,本件報酬規程に従って算出された金額をもって「相当ナル額」と認めるべきである旨主張する。 しかしながら,前記のとおり,「相当ナル額」とは,株主代表訴訟において原告から訴訟委任を受けた弁護士が当該訴訟のために行った活動の対価として必要かつ十分な程度として社会通念上適正妥当と認められる額をいう しながら,前記のとおり,「相当ナル額」とは,株主代表訴訟において原告から訴訟委任を受けた弁護士が当該訴訟のために行った活動の対価として必要かつ十分な程度として社会通念上適正妥当と認められる額をいうのであって,「相当ナル額」を認定するに当たって弁護士会の定めていた弁護士報酬規程に従って算定される報酬額を考慮要素とすることまで否定されるものではないとしても,旧商法268条の2第1項の前記立法趣旨にもかんがみると,特段の事情のない限り当該報酬額をもって「相当ナル額」とすべきである旨の原告の主張を採用することはできない。 また,原告は,「相当ナル額」を定めるに当たり,判決の結果会社が回収した額を過度に重視するのは相当ではなく,判決の価値基準になるはずの認容額も相応に考慮すべきであり,訴訟の結果会社が得た利益としては,当該株主代表訴訟の結果どれだけその会社の経営が健全化されたかなど,会社が得た非金銭的な利益をも含む様々な利益すべてを考慮すべきであり,さらに,住民訴訟の場合とは異なって公益性の存在しない株主代表訴訟の場合,必要かつ十分な程度として社会通念上適正妥当と認められる額は住民訴訟の場合よりも高額になるなどと主張する。 確かに,取締役等が会社に対して責任を負う場合に会社や株主の利益を保護するため株主が取締役等の責任追及の訴えを提起することができることとすることにより会社の利益の回復ひいては株主の利益の回復を図るという株主代表訴訟の制度の趣旨,目的からすれば,「相当ナル額」を定めるに当たっては,判決認容額及び回収額は重要な考慮要素となるものであり,判決認容額それ自体も,訴訟委任を受けた弁護士が当該訴訟のために行った活動の対価としての報酬の性格からして,回収額とともに重要な考慮要素となるものというべきである。 しかしながら,前記認定説示したと 決認容額それ自体も,訴訟委任を受けた弁護士が当該訴訟のために行った活動の対価としての報酬の性格からして,回収額とともに重要な考慮要素となるものというべきである。 しかしながら,前記認定説示したところによれば,別件株主代表訴訟のうち11名関係訴訟の判決認容額は総額で5億5805万円及びこれに対する遅延損害金であって,当該認容額はその全額が回収済みであり,他方で,2名関係訴訟の判決認容額は総額で53億4350万円及びこれに対する遅延損害金であるところ,その回収額は1億1855万8464円であって,回収額が認容額を大きく下回るものとなっているが,2名関係訴訟の判決認容額のうちの大部分は客観的にみて当初より回収し得ない金額であったと考えられ,被告がその回収を殊更怠ったような事情もうかがわれない。このことに加えて,別件株主代表訴訟において別件受任弁護士らの要した労力の程度及び時間は相当なものがあり,当該労力と時間はその提訴の目的を実現するためにある程度必要やむを得ないものであったということができるものの,2名関係訴訟の被告であるDらは実質的には事実関係をほとんど争っておらず,同訴訟に関して別件受任弁護士らの要した労力は少なかったということができること,別件株主代表訴訟の事案自体はさほど複雑なものではなかったことなどを併せ考えると,会社経営の健全化,業務執行の適正の確保等といった原告の主張する非経済的な利益等をしんしゃくしても,別件受任弁護士らが別件株主代表訴訟のために行った活動の対価としては,2名関係訴訟及び11名関係訴訟の両者を合わせて,8000万円が必要かつ十分な程度として社会通念上適正妥当と認められるのであり,以上認定説示した事情の下においては,これを上回る金額を定めることはできないというべきである。 争点2(遅延損害金の起算日) 万円が必要かつ十分な程度として社会通念上適正妥当と認められるのであり,以上認定説示した事情の下においては,これを上回る金額を定めることはできないというべきである。 争点2(遅延損害金の起算日)について旧商法268条の2第1項に基づく会社の株主に対する「相当ナル額」の支払義務は,期限の定めのない債務として発生し,民法412条3項の規定により,被告が原告から履行の請求を受けた時から遅滞に陥るものと解するのが相当である。 甲12号証の1及び2によれば,原告は,被告に対し,平成20年3月21日に到達した書面で,別件受任弁護士らに支払うべき着手金及び成功報酬(消費税を含む。)並びに訴訟追行に要した費用の合計として5億円の支払を請求したことが認められるから,上記「相当ナル額」に対する遅延損害金は,原告が被告に上記請求をした日の翌日である平成20年3月22日から発生することになる。 結論 以上によれば,原告の請求は,旧商法第268条の2第1項に基づく弁護士に支払うべき報酬額の範囲内において相当なる額として8000万円及び原告から被告に対する請求がされた日の翌日である平成20年3月22日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し,その余は理由がないからこれを棄却すべきである。 よって,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第4民事部裁判長裁判官西川 知一郎裁判官西村 欣也裁判官堤 恵子
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