昭和47(あ)758 威力業務妨害

裁判年月日・裁判所
昭和53年6月29日 最高裁判所第一小法廷 判決 破棄自判 福岡高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      原判決及び第一審判決を破棄する。      被告人らを各罰金三万円に処する。      被告人らにおいて右各罰金を完納することができないときは、金一、〇 〇〇円を一日に換算した

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判決文本文4,208 文字)

主    文      原判決及び第一審判決を破棄する。      被告人らを各罰金三万円に処する。      被告人らにおいて右各罰金を完納することができないときは、金一、〇 〇〇円を一日に換算した期間、その被告人を労役場に留置する。      原審及び第一審における訴訟費用は証人Aに支給した分を除き被告人ら の連帯負担とする。          理    由  一 検察官の上告趣意第一点は、憲法二八条違反をいうが、実質は事実誤認、単 なる法令違反の主張にすぎず、同第二点は、単なる法令違反、事実誤認の主張であ り、同第三点は、判例違反をいうが、所論引用の最高裁昭和三三年(あ)第四四号 同年一二月二五日第一小法廷判決(刑集一二巻一六号三六二七頁)、昭和三〇年( あ)第一八一七号同三五年五月二六日第一小法廷判決(刑集一四巻七号八六八頁)、 昭和四三年(あ)第一六八四号同四五年七月二一日第三小法廷決定(裁判集刑事一 七七号三一九頁)及び高等裁判所の各判例は本件と事案を異にし、その余の各判例 は所論の点につき法律判断を示したものではないから、いずれも判例として適切で なく、所論は、すべて刑訴法四〇五条の上告理由にあたらない。  二 しかしながら、所論にかんがみ職権により調査すると、原判決及び第一審判 決は、以下に述べる理由により破棄を免れない。  1 本件公訴事実の要旨は、  被告人BはC労働組合(以下「C労」という。)D地方評議会事務局長、同Eは C労F地方本部執行委員長、同Gは同地方本部副委員長であるところ、C労が日本 国有鉄道(以下「国鉄」という。)当局に対し大幅賃上げ、合理化反対、最低賃金 制確立、ILO八七号条約批准、スト権奪還を目的として昭和四〇年三月一七日に - 1 - 時限ストライキを行つた際、その主張を貫徹するため列車の運行を妨害しようと企 て、C労組合員約五〇 反対、最低賃金 制確立、ILO八七号条約批准、スト権奪還を目的として昭和四〇年三月一七日に - 1 - 時限ストライキを行つた際、その主張を貫徹するため列車の運行を妨害しようと企 て、C労組合員約五〇〇名と共謀のうえ、同日午前六時二四分ころから同七時一五 分ころまでの間、延岡市a町所在の国鉄南延岡機関区構内入出区四番線付近におい て、出区発進予定の機関車の側面でスクラムを組み、これに乗車しようとした機関 士Hほか一名に「裏切者」と怒号するなどして気勢をあげ、その乗降口に立ちふさ がり、C労組合員の排除にあたつた鉄道公安職員約一〇〇名を押し返すなどして右 乗務員両名の乗車を妨げ、もつて威力を用いて国鉄の列車運行の業務を妨害した、 というものである。  2 右公訴事実につき、第一審判決は、C労の時限ストライキは賃上げを主眼と するものであり、被告人らを含むC労組合員約二〇〇名が機関車の側面にピケツト をはつた目的は国鉄当局が代替乗務を命じた機関士ら(以下「乗務員」という。) への争議参加の説得にあつたこと、右C労組合員らが国鉄当局の再三にわたる退去 要請に応じなかつたこと及びピケツトの排除にあたつた鉄道公安職員らとスクラム を組んで対抗するC労組合員らとの間に多少の混乱が起こり、結局、I駅発の列車 に所定出発時刻より四三分の遅れを生じたことなどの事実を認め、被告人らの行為 が威力業務妨害罪の構成要件に該当するとしながら、公共企業体職員の争議行為に ついても正当なものである限り労働組合法(以下「労組法」という。)一条二項の 適用がある旨の法律判断を示したうえ、前記のような本件ピケツテイングの目的及 びその手段・態様が暴力の行使にまでは至らなかつたことなどの諸事情を考慮し、 被告人らの行為がC労本部からの闘争指令に基づく正当な争議行為にあたるとして 違法性阻却を認め、被告人らを無罪 イングの目的及 びその手段・態様が暴力の行使にまでは至らなかつたことなどの諸事情を考慮し、 被告人らの行為がC労本部からの闘争指令に基づく正当な争議行為にあたるとして 違法性阻却を認め、被告人らを無罪とした。  3 原判決は、第一審判決の事実認定をほぼ全面的に支持し、付随的事情として、 国鉄当局が動労の時限ストライキ及びこれに伴うピケツテイングにつき公共企業体 等労働関係法(以下「公労法」という。)一七条一項に違反する違法なものと評価 - 2 - し乗務員への説得の機会を一切与えず鉄道公安職員の実力行使によつてでも乗務員 を乗車させるとの強い方針をつらぬいたことを認定し、被告人らの行為が威力業務 妨害罪の構成要件に該当することは肯定しつつ、その違法性阻却につき第一審判決 と同旨の法律見解をとり、本件ピケツテイングの直接の目的が乗務員への争議参加 の説得にあつたこと、前記のような国鉄当局の態度がいささか穏当を欠き混乱回避 の方策をあえて選ばなかつた点で安易に流れたきらいがあること及び本件ピケツテ イングは積極的な手段・方法を用いて国鉄の列車運行の業務を阻害しようとしたも のではなく消極的な不作為の域にとどまるもので暴力の行使にはあたらない旨の判 断を示し、被告人らの行為は正当な争議行為であるとして、検察官の控訴を棄却し た。  4 そこで検討すると、原判決及び第一審判決は、公労法一七条一項に違反する 争議行為に対しては正当性の限界いかんを論ずる余地はなく労組法一条二項の適用 はないとした当裁判所の判例(昭和三七年(あ)第一八〇三号同三八年三月一五日 第二小法廷判決・刑集一七巻二号二三頁)が出て約二年後の被告人らの本件行為に つき、右判例を変更した東京中郵事件判決(最高裁昭和三九年(あ)第二九六号同 四一年一〇月二六日大法廷判決・刑集二〇巻八号九〇一頁)に依拠して労組法一条 二 二三頁)が出て約二年後の被告人らの本件行為に つき、右判例を変更した東京中郵事件判決(最高裁昭和三九年(あ)第二九六号同 四一年一〇月二六日大法廷判決・刑集二〇巻八号九〇一頁)に依拠して労組法一条 二項の適用を認め、正当な争議行為として威力業務妨害罪の違法性阻却を肯定した ものである、しかし、その後、当裁判所大法廷は、名古屋中郵事件判決(昭和四四 年(あ)第二五七一号同五二年五月四日大法廷判決・刑集三一巻三号一八二頁)に おいて、東京中郵事件の判例を変更し、公労法一七条一項違反の争議行為について は労組法一条二項の適用がない旨の新たな判断を示している。そして、原判決及び その支持する第一審判決が認定した被告人らの行為は、威力業務妨害罪の構成要件 に該当し、かつ、公労法一七条一項に違反する争議行為にあたるものであるから、 他に特段の違法性阻却事由がない限り、争議行為であるということだけでは違法性 - 3 - が阻却される余地はなく、原判決が認定した被告人らの行為の目的、手段・態様及 び付随的事情を考慮しても、威力業務妨害罪としての違法性になんら欠けるところ はないというべきである。したがつて、原判決には判決に影響を及ぼすことの明ら かな法令の解釈適用の誤りがあり、原判決及び第一審判決を破棄しなければ著しく 正義に反するものと認められる。  三 よつて、刑訴法四一一条一号により原判決及び第一審判決を破棄し、直ちに 判決をすることができるものと認めて、同法四一三条但書により自判をする。  原判決の支持する第一審判決が証拠により認定した前記事実(第一審判決掲記の 証拠による。)に法令を適用すると、被告人らの行為は刑法二三四条、六〇条に該 当するので、同法二三三条、昭和四七年法律第六一号による改正前の罰金等臨時措 置法三条一項一号、二条一項(刑法六条、一〇条による。)の定める刑により 適用すると、被告人らの行為は刑法二三四条、六〇条に該 当するので、同法二三三条、昭和四七年法律第六一号による改正前の罰金等臨時措 置法三条一項一号、二条一項(刑法六条、一〇条による。)の定める刑により、所 定刑中いずれも罰金刑を選択し、その金額の範囲内で被告人らを各罰金三万円に処 し、被告人らにおいて右各罰金を完納することができないときは、刑法一八条によ り金一、〇〇〇円を一日に換算した期間、その被告人を労役場に留置することとし、 原審及び第一審における訴訟費用は、証人Aに支給した分を除き、刑訴法一八一条 一項本文、一八二条により被告人らの連帯負担とし、主文のとおり判決する。  この判決は、裁判官団藤重光の反対意見があるほか、裁判官全員一致の意見によ るものである。  裁判官団藤重光の反対意見は、次のとおりである。  わたくしは公労法一七条一項違反の争議行為に対しても労組法一条二項の適用が あると解する者であり(最高裁昭和五二年五月四日大法廷判決・刑集三一巻三号一 八二頁におけるわたくしの反対意見参照)、したがつて、かような争議行為の手段 として行われたものであつても、平和的説得のためのピケツテイングの範囲にとど まる行為は違法性を欠くものと考える。本件事案において被告人らの行為がはたし - 4 - て右の範囲にとどまるものといえるかどうかについては疑問の余地がないわけでは ないが、諸般の事情にかんがみ、刑訴法四一一条によつて原判決を破棄しなければ いちじるしく正義に反するものとはおもわれない。本件上告は棄却されるべきもの と考える。  検察官伊藤幸吉、同竹村照雄 公判出席   昭和五三年六月二九日      最高裁判所第一小法廷          裁判長裁判官    藤   崎   萬   里             裁判官    岸       盛   一         昭和五三年六月二九日      最高裁判所第一小法廷          裁判長裁判官    藤   崎   萬   里             裁判官    岸       盛   一             裁判官    岸   上   康   夫             裁判官    団   藤   重   光             裁判官    本   山       亨 - 5 -

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