平成23年3月23日判決言渡同日原本交付裁判所書記官平成19年(ワ)第1127号保険金請求事件主文 1 原告らの請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実 第1 当事者の求めた裁判 1 請求の趣旨(1) 被告は,原告らに対し,それぞれ5000万円及びこれに対する平成18年7月4日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 (2) 訴訟費用は被告の負担とする。 2 請求の趣旨に対する答弁主文同旨第2 当事者の主張 1 請求原因(1) 原告らは,Aの両親である。 (2) 被告は,損害保険業を主たる目的とする株式会社である。 (3) Aは,平成18年6月25日,被告との間で,以下の内容の保険契約(以下「本件保険契約」という。)を締結した。 ア保険の種類海外旅行保険イ保険期間平成18年6月25日から同月28日までウ被保険者(旅行者) Aエ傷害死亡保険金額 1億円オ死亡保険金受取人 Aの法定相続人カ旅行先グアム又はサイパンキ旅行目的観光 (4) 本件保険契約に適用される海外旅行保険普通保険約款(以下「本件約款」という。)には,次の規定がある。 ア 1条(当会社の支払責任)当会社は,この約款及びこの保険契約に付帯された特約条項に従い,当該特約条項に規定する保険金(以下「保険金」といいます。)を支払います。 イ 2条(用語の定義)1ないし5号略6号傷害急激かつ偶然な外来の事故によって被った身体の傷害をいい,この傷害には,身体外部から有毒ガス又は有害物質を偶然かつ一時的に吸入,吸収又は摂取したときに急激に生ずる中毒症状(継 号略6号傷害急激かつ偶然な外来の事故によって被った身体の傷害をいい,この傷害には,身体外部から有毒ガス又は有害物質を偶然かつ一時的に吸入,吸収又は摂取したときに急激に生ずる中毒症状(継続的に吸入,吸収又は摂取した結果生ずる中毒症状を除きます。)を含みます。 7ないし10号略11号死亡保険金受取人この保険契約に,傷害死亡保険金又は疾病死亡保険金のいずれかを支払う特約条項が付帯された場合に,当該特約条項に規定する死亡保険金受取人をいいます。 12号以下略ウ 17条(保険金の請求)1項被保険者又は保険金を受け取るべき者(これらの者の代理人を含みます。第3項において同様とします。)が保険金の支払を受けようとするときは,この保険契約に付帯された特約条項において規定する保険金の請求書類のうち当会社が求めるものを提出しなければなりません。 2項以下略エ 19条(保険金の支払い)当会社は,被保険者又は保険金を受け取るべき者(これらの者の代理人を含みます。)が第17条(保険金の請求)第1項の規定による手続をした日からその日を含めて30日以内に保険金を支払います。 (5) 本件約款には,傷害死亡保険金支払特約条項(以下「本件特約条項」という。)として,次の規定がある。 ア 1条(当会社の支払責任)1項当会社は,被保険者が旅行行程中に傷害を被り,その直接の結果として,傷害の原因となった事故の日からその日を含めて180日以内に死亡したときは,この特約条項及び海外旅行保険普通保険約款(以下「普通約款」といいます。)の規定に従い保険証券記載の傷害死亡保険金額(以下この項において「傷害死亡保険金額」といいます。)の全額(括弧内省略)を傷害死亡保険金として死亡保険金受取人に支払います。 2項 11条(死亡 。)の規定に従い保険証券記載の傷害死亡保険金額(以下この項において「傷害死亡保険金額」といいます。)の全額(括弧内省略)を傷害死亡保険金として死亡保険金受取人に支払います。 2項 11条(死亡保険金受取人の指定又は変更)第1項から第3項までの規定により被保険者の法定相続人が死亡保険金受取人となる場合で,その者が2名以上であるときは,当会社は,法定相続分の割合により傷害死亡保険金を死亡保険金受取人に支払います。 イ 8条(保険金の請求書類)この特約条項にかかる保険金の請求書類は,保険金請求書,保険証券及び次の各号に掲げる書類とします。 1号死亡保険金受取人(死亡保険金受取人の指定のないときは,被保険者の法定相続人)の印鑑証明書2号死亡診断書又は死体検案書3号被保険者の戸籍謄本 4号法定相続人の戸籍謄本(死亡保険金受取人の指定のないとき)5号当会社の定める傷害状況報告書6号公の機関(やむを得ない場合には,第三者)の事故証明書7号傷害死亡保険金の請求の委任を証する書類及び委任を受けた者の印鑑証明書(傷害死亡保険金の請求を第三者に委任する場合)(6) Aは,本件保険契約の保険期間中である平成18年6月27日,北マリアナ諸島米国自治連邦区(以下「サイパン」という。)サイパン島内のオブジャンビーチにおいて溺死した(以下「本件保険事故」という。)。 (7) 本件保険事故は,急激かつ偶然な外来の事故である。 (8)ア原告らは,平成18年7月3日,Bを使者として,被告に対し,本件保険契約の傷害死亡保険金の支払を請求した。 イ Bは,平成18年7月3日,原告らのためにすることを示して,被告に対し,本件保険契約の傷害死亡保険金の支払を請求した。 原告らは,平成18年7月3日に先立ち,Bに対し,本件保険契 を請求した。 イ Bは,平成18年7月3日,原告らのためにすることを示して,被告に対し,本件保険契約の傷害死亡保険金の支払を請求した。 原告らは,平成18年7月3日に先立ち,Bに対し,本件保険契約の傷害死亡保険金の支払を請求に関する代理権を授与した。 ウ原告らは,平成18年7月3日までに,被告に対し,本件約款第17条及び本件特約条項第8条所定の請求書類を提出した。 (9) よって,原告らは,被告に対し,本件保険契約に基づき,それぞれ5000万円及びこれに対する平成18年7月4日から支払済みまで商事法定利率の年6分の割合による遅延損害金の支払を求める。 2 請求原因に対する被告の認否(1) 請求原因(1),(2)は認める。 (2) 同(3)は否認する。被告と保険契約を締結したのはB及びCである。 (3) 同(4)ないし(6)は認める。 (4) 同(7)のうち,本件保険事故が偶然な事故であることは争う。 ア本件保険契約は傷害保険であるところ,傷害保険は,被保険者が急激 かつ偶然な外来の事故によって身体に傷害を被ったときに保険金を支払うことを目的とする保険契約であり,定額保険である点で損害の填補を前提とする損害保険と異なり,人の生死を保険事故とするものではない点で生命保険と異なる。そのため,傷害保険には,平成20年6月6日法律第57号による改正前の商法(以下「改正前商法」という。)629条ないし664条のうち,683条1項により生命保険契約にも準用され,各種の保険に共通の原則を定めたものと解されるもの以外は類推適用されない。 したがって,損害保険における偶然性の主張立証責任に関する規定と解される改正前商法629条及び641条は,傷害保険には適用されず,傷害保険の偶然性の主張立証責任を検討するに際しては,もっぱら保険約 したがって,損害保険における偶然性の主張立証責任に関する規定と解される改正前商法629条及び641条は,傷害保険には適用されず,傷害保険の偶然性の主張立証責任を検討するに際しては,もっぱら保険約款の文言の文理解釈及び傷害保険の法的性質により行うこととなる。 イ本件保険契約では,本件約款2条6号及び本件特約条項1条1項により,被保険者が,旅行行程中の「急激かつ偶然な外来の事故」により「身体の傷害」を負い,「その直接の結果として,傷害の原因となった事故の日からその日を含めて180日以内に死亡したとき」に傷害死亡保険金を支払うものと定められており,当該条項の内容を注意的確認的に定めた本件特約条項4条1項では,被告が傷害死亡保険金の支払を免れる場合について,保険契約者,被保険者及び傷害死亡保険金を受け取るべき者(以下「保険金受取人」という。)の故意による場合を並列的に列挙している。 上記本件約款及び本件特約の規定の仕方からすれば,本件約款2条6号にいう「偶然」とは,事故が被保険者,保険契約者及び保険金受取人(以下,三者を併せて「被保険者等」という。)にとって予見し得なかった原因によること,すなわち被保険者等の故意によらないことを意味し,本件約款中の「保険契約者」及び「保険金受取人」とは,実質的に これらと同一であると評価できる者,すなわち実質的保険契約者及び実質的保険金受取人をも含むと解すべきである。 したがって,契約書中に明記された被保険者等にとどまらず,実質的保険契約者又は実質的保険金受取人の故意行為により傷害が生じた合理的な疑いが生じる場合には,偶然性はないと解すべきである。 ウ Aが本件保険契約の締結意思を有していたとしても,B及びCの意思が優越していること,Aが同契約の保険料を出捐していないことからして,B及びCが本 生じる場合には,偶然性はないと解すべきである。 ウ Aが本件保険契約の締結意思を有していたとしても,B及びCの意思が優越していること,Aが同契約の保険料を出捐していないことからして,B及びCが本件保険契約の契約者である。 また,B及びCは,原告らの資産を事実上利用できる立場にあり,本件保険契約の実質的保険金受取人である。 本件保険事故は,保険契約者かつ実質的保険金受取人であるB及びCの故意によって招致されたものである疑いが濃厚であり,偶然の事故ではない。 (5) 請求原因(8)のうち,Bが,平成18年7月3日に,被告岐阜支店に赴き,保険金の支払を請求したことは認めるが,その余は否認する。 Bは,上記来店時に,保険金請求者欄の署名が空白となっており,保険金の振込先欄に「D」と記載された保険金請求書と,海外旅行保険契約証兼保険料受領証の原本,平成18年7月3日付けでAが除籍済みの戸籍簿謄本,サーティフィケイトオブデス(死亡診断書)の原本及び同日本語訳並びにインシデントレポート(サイパン官公庁作成事件概要報告書)を持参した。 3 抗弁(1) 故意免責ア本件特約条項4条1項(以下「本件免責条項」という。)は次のとおり定める。 当会社は,次の各号に掲げる事由のいずれかによって生じた傷害に対 しては,傷害死亡保険金を支払いません。 1号保険契約者(括弧内省略)又は被保険者の故意2号傷害死亡保険金を受け取るべき者(括弧内省略)の故意。ただし,その者が傷害死亡保険金の一部の受取人である場合には,他の者が受け取るべき金額については,この限りではありません。 3号以下略イ本件保険事故は,保険契約者かつ実質的保険金受取人であるB及びCの故意によって招致されたものである。 (2) 危険著増による保険契約失効保 いては,この限りではありません。 3号以下略イ本件保険事故は,保険契約者かつ実質的保険金受取人であるB及びCの故意によって招致されたものである。 (2) 危険著増による保険契約失効保険者が,保険契約時に,これを予測できたならば,契約の締結を拒否したか,同一の保険料では保険を引き受けなかったと認められる程度の損害発生の可能性の増大又は損害額の増大のおそれが,保険期間中に,保険契約者又は被保険者の責めに帰すべき事由により生じた場合は,保険契約はその効力を失う(改正前商法656条)。 本件保険事故は,本件保険契約の保険契約者であるB及びCが,Aに死亡保険金1億円の本件保険契約を締結させた上,B及びCが,人気のないオブジャンビーチに,泳げないAを連れて行き,ライフジャケットを所持していたにもかかわらず,Aには,ライフジャケットや浮き輪を与えることなく,長時間,Aから目を離していたことにより発生した。Aは,B及びCの責めに帰すべき事由により,事故発生の危険性が極めて高い状況に置かれたもので,仮に,このような事実が判明していたら被告が保険の引き受けを拒否していた。 したがって,本件保険契約は,実質的にみて,保険契約者の責めに帰すべき事由により著しく危険が増加したものであり,商法656条により本件保険契約は失効した。 (3) 公序良俗違反 ア保険契約は射倖契約であるため,保険契約の善意契約性ということが他の一般の債権法における契約よりも一層強く要請される。保険契約は,賭博等と共通の側面を有し,無条件で有効性を認められるものではなく,偶然な事故による経済的損害の回復という正当な目的のために利用される限りで公序良俗違反性を阻却されていると考えることができる。したがって,最初から不正な利得を得る目的で締結される保険契約は,動 く,偶然な事故による経済的損害の回復という正当な目的のために利用される限りで公序良俗違反性を阻却されていると考えることができる。したがって,最初から不正な利得を得る目的で締結される保険契約は,動機の不法に留まらず,反社会的な行為であり,公序良俗に違反する。この理は,損害保険契約のみならず,生命保険契約や,傷害保険契約のような定額保険契約にも共通に妥当する。 また,保険金受取人と密接な関係があるなどの事情により,保険金取得により事実上の利得を得られる第三者の行為は,公序良俗違反の有無の判断において考慮すべきである。 イ B及びCは,本件保険契約の保険契約者及び実質的保険金受取人であり,このような関係にある者の保険金不正取得目的をもって,本件保険契約の公序良俗違反の有無を判断するのが相当である。 ウ Aは,B及びCの強い主導により,必要性及び合理性がない高額の本件保険契約の契約書に署名したこと,同契約の保険料はCが負担したこと,不審な本件保険事故発生状況,保険金請求に関するB及びCの関与の状況等諸般の事情にかんがみれば,本件保険契約は,保険金不正取得の目的をもって締結されたと認められる。したがって,本件保険契約は,公序良俗に違反し無効である。 (4) 遅延損害金の発生時期(一部抗弁)ア本件約款19条但書は,「ただし,当会社が特別な事情によりこの期間内に必要な調査を終えることができないときは,これを終えた後,遅滞なく,保険金を支払います。」と定める。 イ(ア) 本件保険契約の傷害死亡保険金の金額は1億円であり,その支払 の判断に当たっては慎重に判断されるべき必要があるところ,本件保険事故の発生場所は,サイパンという遠隔地であったため,国内事故に比して現場調査に時間が必要であった。 (イ) また,Aの関係者は多岐にわたる 当たっては慎重に判断されるべき必要があるところ,本件保険事故の発生場所は,サイパンという遠隔地であったため,国内事故に比して現場調査に時間が必要であった。 (イ) また,Aの関係者は多岐にわたるが,関係者の調査協力を得られず,原告らが被告に対して申し立てた慰謝料請求調停事件(岐阜簡易裁判所平成19年(ノ)第60号)の期日間において,原告ら両名代理人弁護士同席の下,関係者との面談が実施され,必要な調査を終えた。 (ウ) 被告は,上記調査を経て,平成19年11月12日,原告らに対し,本件保険金の支払を拒絶した。 ウ上記事情に鑑みれば,被告が必要な調査を終えたのは平成19年11月12日であり,遅延損害金の起算日は翌13日と解すべきである。 4 抗弁に対する原告らの認否及び反論(1) 抗弁(1)アは認め,同イは否認又は争う。 (2) 抗弁(2)は否認又は争う。 オブジャンビーチには,本件保険事故当時,ダイビング等をするために訪れていた人が多数おり,ホテルからオブジャンビーチまでの移動に用いられたレンタカーには,ライフジャケットが3つ以上載せられており,Aもこれを認識していた。 B及びCは,Aから一定時間目を離していたが,Aは泳ぐこともできたのであり,若い成人男性が海辺で水遊びをすることは,事故発生の危険が極めて高い状況であるとはいえない。 (3) 抗弁(3)及び(4)は否認又は争う。 理由 1 請求原因(1),(2),(4)ないし(6)は当事者間に争いがない。 2 請求原因(3)は,証拠(甲2)及び弁論の全趣旨により,これを認めること ができる。 この点,被告は,「被告と保険契約を締結したのはB及びCである。」と主張するが,Aが本件保険契約の契約書(甲2)に署名していることからすると 全趣旨により,これを認めること ができる。 この点,被告は,「被告と保険契約を締結したのはB及びCである。」と主張するが,Aが本件保険契約の契約書(甲2)に署名していることからすると,同契約を締結したのはAであると優に認められ,被告の同主張は採用できない。 3 請求原因(7)について本件約款2条6号で傷害の定義として「急激かつ偶然な外来の事故によって被った身体の傷害をいい」と規定されていることから,同条にいう「偶然な事故」とは,保険事故が身体の傷害を被った者すなわち被保険者にとって予見し得なかった原因による事故をいうものと解される。 この点,被告は,傷害保険における事故の偶然性とは,被保険者に留まらず,保険契約者及び保険金受取人,さらには実質的にみてこれらと同視することができる者の故意によらないことをも含むと主張するが,採用できない。 後記4(1),(2)の認定事実からすると,本件保険事故は,被保険者であるAにとって予見し得なかった原因による事故であって,偶然な事故であると認められる。 4 抗弁(1)について(1) 当事者間に争いのない事実に証拠(甲1の1,2,3の1・2,4の1・2,5の1・2,6の1・2,7の1・2,8の1・2,9,10,11の1~26,12の1・2,13の1~6,14ないし32,乙2,6の1・2,7,8の1・2,9の1~8,10の1~6,11の2,12の1~5,12の8・9,13の2,14の1~29,15ないし17,18の1・2,19ないし22,26,27の1~3,28ないし31,36,37,38の1・2,39の1・2,40,41の1・2,42の1・2,43ないし52,54,55の1・2,56の1~3,57の1~5,58の1・2,59の1・2,60の1~5,61の1~3,64 な 8の1・2,39の1・2,40,41の1・2,42の1・2,43ないし52,54,55の1・2,56の1~3,57の1~5,58の1・2,59の1・2,60の1~5,61の1~3,64 ないし68,証人C,証人B,証人E,原告D本人,原告F本人,G株式会社,H株式会社及びI株式会社に対する調査嘱託の結果)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 ア本件保険事故現場の状況等(甲11の1~26,12の1・2,乙6の1・2,7,15,27の1~3,28,29,36,37,40,証人E)(ア) 本件保険事故現場であるオブジャンビーチは,南北に長いサイパン島南端に位置する東西約800メートルに渡るビーチであり,サイパン島のダイビングスポットの1つで,地元住民は,同ビーチの東側の椰子林をバーベキュー場として利用したりしている。(乙7,証人E)(イ) Cらが泊まっていたハファダイビーチホテル(以下,単に「ホテル」という。)から,ホテル前を南北に走るビーチロードを南下すると,サイパン島南端部付近にサイパン国際空港があり,同空港の南側にある海岸の,東側にラダービーチという浜があり,西側には同ビーチよりも広いオブジャンビーチがある。ラダービーチからオブジャンビーチまでは,ナフタンロードという未舗装の道路で繋がっており,この道路沿いに民家はほとんどない。ナフタンロードの西の突き当たり付近には数件の民家があり,同ロードの突き当たり手前を北に曲がり進むと,その少し先に大きな集落(ダンダン部落)がある。ダンダン部落の大通りから少し入ったところにジェニーズマートという雑貨店がある。オブジャンビーチからジェニーズマートまでは約二,三キロメートルの距離である。(乙7,29)(ウ) ナフタンロードから南下してオブジャンビーチロードに入り ろにジェニーズマートという雑貨店がある。オブジャンビーチからジェニーズマートまでは約二,三キロメートルの距離である。(乙7,29)(ウ) ナフタンロードから南下してオブジャンビーチロードに入り,さらに南進すると,突き当たりの海岸に臨む位置に旧日本軍の砲台(トーチカ)があり,その前には広場がある。トーチカの手前を東側に曲 がって170メートルほど進んだ先に,保安員が常駐するトイレの設置された公共駐車場とバーベキュー場がある。公共駐車場内の保安員の詰所からオブジャンビーチの西側部分はジャングルで死角になっている。Cは,レンタカーを,公共駐車場ではなくトーチカ前広場に駐車したため,保安員は,本件保険事故当時,C,B及びAがオブジャンビーチにいることに気づかなかった。(乙7,証人E)(エ) オブジャンビーチ西側では,携帯電話の電波は通じており,トーチカ前の広場では,さらに電波の状態は良好であった。(乙7,証人E)(オ) 本件保険事故当時,オブジャンビーチ西側には,C,B及びA以外に人はいなかった。(証人B,証人C,証人E)(カ) オブジャンビーチの海岸は概ね粗い珊瑚の砂でできており,あちこちに岩や珊瑚の残骸が突き出している。オブジャンビーチの西側には砂浜はほとんどなく,珊瑚の岩場で覆われている。ビーチの波打ち際から100から150メートルの地点はリーフ(珊瑚礁)になっている。リーフの水中には岩や生きた珊瑚があちこちにあり,珊瑚の硬度はモース硬度4(擦るとステンレス板を傷つける程度の硬度)であって危険である。リーフの先(リーフエッジ)は外洋に接しており,外洋からの波がリーフエッジで大きく砕けている。リーフエッジ周辺の外洋は離岸流が強く,波が巻いており,通常人であれば恐怖感を感じる程度である。(乙7,27の1~3,28, ッジ)は外洋に接しており,外洋からの波がリーフエッジで大きく砕けている。リーフエッジ周辺の外洋は離岸流が強く,波が巻いており,通常人であれば恐怖感を感じる程度である。(乙7,27の1~3,28,29)(キ) リーフエッジ周辺は離岸流が強いため,公共駐車場の前方の海中には,スキューバダイバーが安全に外洋へ出入りするためのロープが設置されている(ロープの張られている部分を「エグジットライン」という。)。(証人E)(ク) 本件保険事故発生日のオブジャンビーチ付近の天候は良好であっ た。風も吹いておらず,海は穏やかで,同日のオブジャンビーチ西側の水位は次のとおりであった。(乙6の2,乙7,15,証人B,証人C,証人E,弁論の全趣旨)a 午前10時ころ(B及びCがオブジャンビーチに到着したと説明する時間)波打ち際から約70から90メートルまでの部分は,概ね成人男性の膝から腰あたりの深さのプール状になっており,波打ち際から約90から140メートルまでの部分は浅く,成人男性のくるぶしから膝程度の水深であった。波打ち際から120から150メートル地点にあるリーフエッジから先は外洋で,急に深くなり,二,三メートル位の深さになっていた。 b 午後2時半ころ(緊急通報のあった時間)波打ち際から約70から90メートルまでの部分は,概ね成人男性のすねから膝あたりの深さのプール状になっており,波打ち際から約90から140メートルまでの部分は浅く,成人男性のくるぶし程度以下の水深で,干上がっている箇所も多かった。リーフエッジから先は,午前10時ころと同様である。 (ケ) リーフエッジ付近で人が溺れた場合,外洋部分であれば,波によってリーフエッジにたたきつけられることで,身体が回転するなどして身体の広範囲にわたり珊瑚礁による傷が付くこ 時ころと同様である。 (ケ) リーフエッジ付近で人が溺れた場合,外洋部分であれば,波によってリーフエッジにたたきつけられることで,身体が回転するなどして身体の広範囲にわたり珊瑚礁による傷が付くこととなり,リーフエッジの内側であれば,水深が浅いため,波によって珊瑚礁の上で身体が擦られるため,身体の下側になった面が大きく傷つくことになる。 (乙27の1~3)(コ) オブジャンビーチ最西端より西側部分の海岸は,成人男性の身長の2倍近くある高い崖になっており,崖の上は深いジャングルが広がっている。 上記崖は,波で抉れるように浸食されていわゆるオーバーハングの状態となっており,岩肌は鋭利に尖っている。これを素手で登るのは大変困難であり,仮に登れたとしても,擦過傷や裂傷が生ずる恐れが高い。 崖の上のジャングルは,木が密生しており,枝打ちをすることなく人が通り抜けようとすると,木の枝等で体を傷つける可能性が高い。 ジャングルを西から東へ通り抜けてオブジャンビーチに向かうと,オブジャンビーチの最西端のすぐ西側あたりに,南北に有刺鉄線が張り巡らされている。有刺鉄線の延長線上にある海岸付近からは,オブジャンビーチ西側を見ることができ,海岸線の浅瀬を歩いてオブジャンビーチに戻ることが可能である。 (以上,乙29,36,37,証人E)イ緊急通報時の状況及び警察官による遺体発見状況(以下,日付の記載がないものは,すべて平成18年6月27日の出来事である。甲3の1・2,4の1・2,5の1・2,6の1・2,7の1・2,乙41の1・2,42の1・2)(ア) Cは,ジェニーズマートに入り,そこにいた従業員Jに対し,英語で「911に通報して欲しい。友人が溺れた。」と助けを求めた。 (イ) Jは,午後2時27分,911番に電話をし,「旅行者が, (ア) Cは,ジェニーズマートに入り,そこにいた従業員Jに対し,英語で「911に通報して欲しい。友人が溺れた。」と助けを求めた。 (イ) Jは,午後2時27分,911番に電話をし,「旅行者が,友人がオブジャンビーチで溺れたと話している。」と緊急通報した。(甲3の1・2)(ウ) K巡査は,通報を受けてオブジャンビーチに向い,午後2時37分ころ到着し,ほぼ同時刻に,L巡査とM巡査もオブジャンビーチに到着した。 (エ) M巡査とK巡査は,様子を見るためにビーチに向かったが要救助者は見つからず,M巡査はビーチを東に向かい,K巡査は,西へ向か って歩いた。K巡査は,ビーチの西側でシュノーケルの道具を発見するが,周囲に誰もいなかった。 (オ) Cが,さらに西の方角を指さして,K巡査の方に向かって走ってきたため,K巡査とL巡査は,Cの指さす方向に向かったところ,午後2時41分,オブジャンビーチの最西端の波打ち際付近に横たえられたAを発見した。 (カ) Bは,Aの傍らに跪いて泣いており,Aは,呼吸も脈もなく,身体は固くなっていた。Aが身につけていたのは海水パンツのみであり,ライフジャケットやシュノーケリング等の遊泳補助具は身につけていなかった。 (キ) Aの身体は,コモンウェルス健康センターへ運ばれ,午後3時48分,N医師により死亡が確認された。 (ク) Aの遺体発見後の本件保険事故当日のC及びBの身体は,両名とも全身黒く日焼けしており,顔面及び胸部が広範囲に赤く日焼けをしていたほかは,目に見える傷はついていなかった。Bは,デニムのハーフパンツとベルト,ビーチサンダル及びペンダントのみを身につけており,Cは,腕時計,海水パンツ,ライフジャケット及びビーチシューズを着用していた。(甲5の1・2,乙41の1・2,42の1・2, ーフパンツとベルト,ビーチサンダル及びペンダントのみを身につけており,Cは,腕時計,海水パンツ,ライフジャケット及びビーチシューズを着用していた。(甲5の1・2,乙41の1・2,42の1・2,証人E)(ケ) C及びBは,本件保険事故後,午後3時50分ころ,K巡査らから事情聴取を受けた。 ウ遺体発見時のAの身体の状況(乙26)(ア) 前額部右半部に表皮剥脱があり,下背部左側に小円形状の表皮剥脱が散在し,背部上部右側に白い砂状物の付着があり,左右膝部周囲前面に表皮剥脱が散在し,左右足部に表皮剥脱があり,右拇趾内側部では,やや深い表皮剥脱になっている。 (イ) 日本医科大学大学院医学研究科O教授は,被告から,「Aの遺体が,オブジャンビーチのリーフエッジに引っかかるような状況で発見されたことを前提とした場合,同人の遺体の状況はかかる状況と整合するか。もし,整合しない場合には,同人が溺死に至るまでの機序としてどのようなものが考えられるか。その他,同人の遺体の写真に関する特記事項があればご教示下さい。」との質問に対し,Aの死体写真等の参考資料に加え,現地視察を踏まえて,概要次のとおりの回答をしている。 ① Aの身体に見られる創傷は,リーフエッジでの創傷としては,部分的で少数かつ軽度である。 ② 前額部右半部の表皮剥脱は,粗糙な作用面を有する鈍体の打撲,圧迫,擦過などによって生じたものであり,通常,当該部位への打撲は転倒等によって見受けられる。 ③ 仮に,Aが浅瀬で転倒し前額部を打撲したとしても,頭蓋骨骨折の有無や脳損傷の有無については解剖所見がないことから確認はできないものの,外表に挫創等を伴っていないことから,少なくとも外表所見上は,それほど重篤な損傷とは考えられず,これによって意識を失う可能性は少なく,意識を失 については解剖所見がないことから確認はできないものの,外表に挫創等を伴っていないことから,少なくとも外表所見上は,それほど重篤な損傷とは考えられず,これによって意識を失う可能性は少なく,意識を失って誤って海水を吸引したという可能性はまず考えられない。 ④ Aが,粗糙な作用面に対して前額部右半部を圧迫,擦過されながら溺水したとも考えられるが,この場合には,意識障害は起こりえないため,溺水に至るには,回避行動を妨げる何らかの機転が働いたものと推定できる。 エ B及びCによる,K巡査らによる事情聴取時点,被告の調査員であるP及びE(以下,両名を併せて「Eら」という。)による聴き取り調査時点及び証拠調べ時における本件保険事故発生前後の状況の説明(甲4 の1・2,乙7,49,証人C,証人B,証人E)(ア) K巡査らによる事情聴取(以下,単に「事情聴取」という。)時点(甲4の1・2)aCの説明(以下,特に断りがない限り,平成18年6月27日の事実をいうものとする。)C,B及びA(以下,単に「Cら3名」という。)は,午前10時ころ,海水浴のためオブジャンビーチに到着し,はじめ,Bはシュノーケル道具を着けて,Aは着けずに遊泳補助具としてビーチボールだけを持って泳ぎに行き,約20分後に,Cも泳ぎに行き,シュノーケリングをした。Aは,この時点では,無事だった。 Cは,気づくと西の方に流されており,最初に海に入った場所から遠く離れ,B及びAの姿が見えない程遠くに流されていた。Cは大声で助けを呼んだが,そのまま西の方の崖のあたりまで流され,周囲に誰もいなかったため,岩の方に泳いで崖をよじ登り,崖の上を木々の中を歩いて,オブジャンビーチ最西端あたりまで戻った。 Cがオブジャンビーチに戻ると,同ビーチにはBしかおらず,Bに対し れ,周囲に誰もいなかったため,岩の方に泳いで崖をよじ登り,崖の上を木々の中を歩いて,オブジャンビーチ最西端あたりまで戻った。 Cがオブジャンビーチに戻ると,同ビーチにはBしかおらず,Bに対し,Aの所在を尋ねたところ,Bは,CがAと一緒にいると思っていたと答えた。 CとBは,Aが行方不明になっているかもしれないと心配になったため,Cは西方に,Bは東の方に,歩いてリーフエッジの近くまでAを探しに行った。Cが,リーフエッジの端にたどり着いた時,水の中で顔を伏せて浮かんでいるAを発見した。Aはリーフエッジに接する外洋側のリーフエッジの端ちょうどのところに浮かんでおり,Cは,Aの身体をリーフエッジの内側に引き寄せ,Bを呼びに行った。Bは,かなり遠い地点まで行っていたので,Cが大声で叫びながら手をふったところ,これに気づいて戻って来て,2人でA を水から引き上げた。 この時点でAの意識はなかった。Bは,Aに心臓マッサージを施し,Cはレンタカーに乗り,助けを求めに行き,店で助けを求めた。 bBの説明Bは,最初,Aと一緒に海に入った。Aは,このとき,シュノーケリング用具は何も使っておらず,遊泳補助具としてビーチボールだけを使っていた。Cが海に入ってきて,B及びAと合流し,Bは,日焼けをするために,海から上がり浜辺へ戻った。 Bは,C及びAを数分見ていたが,日焼けをするために横になった。 Cは,1時間ほど経ったころ,浜辺にいるBのところに戻ってきた。Bは,AはCと一緒にいると思っており,Cが,Bに対し,Aの居場所を尋ねたため,それから2人でAを捜し始めた。 CとBは,リーフに沿って,それぞれ,東西反対方向に向かってAを捜し始めた。Bは,約30分後,CがBに対し手を振っているのが見え,Cが何か叫んでいるのが見えた め,それから2人でAを捜し始めた。 CとBは,リーフに沿って,それぞれ,東西反対方向に向かってAを捜し始めた。Bは,約30分後,CがBに対し手を振っているのが見え,Cが何か叫んでいるのが見えたが,とても遠くにいたため,聞こえず,Bは,Cに向かって走った。 Bは,Cの近くにいくと,同人がAの身体を引き上げていたため,これを手伝った。この時点でAの意識はなかった。 Bは,Aに対し心臓マッサージを施し,Cは助けを呼びに行った。 (イ) Eらの聴き取り調査(以下,単に「調査」という。)時点(乙7,49,50)aCの説明(平成18年9月15日)Cら3名は,午前8時か8時半ころ,レンタカーでホテルを出発し,Cが20分ほどレンタカーを運転した後,空港の外のオープンカフェでサンドウィッチを食べた。Cら3名は,最初,ラダービー チに寄ったが,同ビーチは波が強く,波にさらわれたら危ないのでやめようということになり,Aの案内でオブジャンビーチに行った。 Cら3名は午前10時ころにオブジャンビーチに到着し,Cは,当初たばこを吸っており,B及びAは,海に入り,腰ぐらいの深さのところで,ビーチボールを使って遊んでいた。 Cは,午前10時20分から30分くらいに,シュノーケルのついた水中眼鏡と足ひれを装着して海に入り,波打ち際から100ないし150メートルの外洋まで,魚を見ながらスキンダイビングで泳いでいた。Cは,気づくと外洋を二,三キロメートルほど西方に流されており,声を出したが,浜辺には届かず,流された先の地点で,足が着くところから岸壁を上った。 Cは,1時間以上,ジャングルを登ったり降りたりしながら,オブジャンビーチまで帰り着いたが,手脚に沢山切り傷が付き,血だらけになっていた。 Cがオブジャンビーチに戻ると,Bは一人で甲 を上った。 Cは,1時間以上,ジャングルを登ったり降りたりしながら,オブジャンビーチまで帰り着いたが,手脚に沢山切り傷が付き,血だらけになっていた。 Cがオブジャンビーチに戻ると,Bは一人で甲羅干しをしており,「死にかけたよ。なんで助けてくれないんだよ。」などと話し,「ところでAはどうしたの。」と尋ねると,Bは,「あれ,一緒じゃないの」などと言い,二人でAを探すこととなった。 Cは,オブジャンビーチの西方を探し始め,リーフエッジのあたりの胸ぐらいの深さのところで,リーフに引っかかるような感じでうつ伏せの状態で浮いているAを発見した。 Cは,100ないし200メートルくらい離れた位置にいたBを呼んだところ,Bは駆けつけて来て,2人でAの身体を引き上げた。 Bは,Aに対し,心臓マッサージと人工呼吸をし,Cは,レンタカーに乗り,救急車を呼びに行った。 Cは,レンタカーに乗って来た道を戻ると,部落が見え,民家が 二,三軒あった。オブジャンビーチから三,四キロメートルのところのT字路右手にコカコーラの看板を出している雑貨屋又はコンビニのような店があり,Cは,同店に駆け込んだ。 bBの説明(平成18年9月14日)Cら3名は,Cら全員が遊べるビーチを探すため,QやCの妻,子ども達と昼頃に落ち合う約束で,午前8時半ころ,ホテルを出発した。Cら3名は,空港のファーストフード店でハンバーガーを食べ,レンタカー会社でもらった地図を見ながら,ラダービーチに行った。ラダービーチは波が荒く,水遊びをするような状態ではなかったので,Cら3名はそこでの遊泳を諦め,再度地図を見て,Aの案内でオブジャンビーチに行くことになった。 Bは,オブジャンビーチ到着後,水中眼鏡を着け,裸足で海に入って魚を見たりし,Aは,海水パンツにビーチサンダルのつっ での遊泳を諦め,再度地図を見て,Aの案内でオブジャンビーチに行くことになった。 Bは,オブジャンビーチ到着後,水中眼鏡を着け,裸足で海に入って魚を見たりし,Aは,海水パンツにビーチサンダルのつっかけ姿で,ビーチボールで遊んでいた。Cは,浜辺でたばこか何かを吸っているようだった。B及びAは15ないし20分くらい遊んでおり,Bは,甲羅干しをするために砂浜へ行くと入れ違いにCが海に入った。Aは,その時点では,まだ海中におり,ビーチボールが流されて,キャッキャと何度も取りに行ったりしていて,Cと一緒に泳いだりはしていなかった。 Bは,全裸になって,砂浜で1時間から1時間半くらい甲羅干しをしており,1時間半から2時間半くらい経ったころ,Cが,水中眼鏡をつけて,裸足で,西の方から歩いて来た。Cは,Bに対し,流されて岩の上を登って森を歩いて来て大変だったと話した。Cが,Bに対し,「Aは」と尋ねたため,Aが行方不明になっていることがわかり,Cは西方,Bは東方を探し始めた。Bは,トーチカのある方まで探しに行ったが,見つからず,西の方に探しに行ったCが Bを呼んだので,近づいていくと,胸ぐらいの深さのところにAがいた。 Cと2人でAの身体を岩肌まで上げ,Bは,Cに救急車を呼んでくれと頼み,自身は,人工呼吸を試みた。 (ウ) 当裁判所における証人尋問の際の説明aCの説明(平成22年6月2日の証言)Cの証言内容は,概ね上記(イ)aのとおりであるが,次の点について異なっているか補充されている。 (a) Cが,外洋を西方に流されて泳ぎ着いたのは,オブジャンビーチの最西端より約200メートルから300メートル西の地点であった。 (b) Cがジャングルを歩いたために出血したのは「本当にちっちゃい出血」であり,傷も「すすきで切ったような は,オブジャンビーチの最西端より約200メートルから300メートル西の地点であった。 (b) Cがジャングルを歩いたために出血したのは「本当にちっちゃい出血」であり,傷も「すすきで切ったような」「細かい傷」であった。 (c) Cがオブジャンビーチからジェニーズマートまで助けを呼びに行ったのにかかった時間は二,三分であった。 bBの説明(平成22年6月30日の証言)Bの証言内容は,概ね上記(イ)bのとおりであるが,次の点について異なっているか補充されている。 (a) Bが,Aを発見したCに呼ばれて駆け寄った時には,Cは,腰ぐらいの水位の場所で,Aを抱きかかえていた。 (b) Bは,オブジャンビーチの浜辺に携帯電話を持って行っていた。 (c) Bは,日焼けをする際,全裸になるため,他の海水浴客がいないオブジャンビーチの西側部分に行った。 オ原告ら,A,Q,B及びCとの関係等 (ア) AについてaAは,原告らの長男(昭和59年3月9日生)である。Aには,長姉のQ,次姉のR,三姉のSがおり,Qとは16歳,Rとは14歳,Sとは13歳の年齢差がある。Aは,本件保険事故当時22歳であった。(甲1の1,乙11の2)bAは,成長軟骨の発育不全のため片方の足がO脚状で,片方の足と比べて数センチほど短かかったこともあって,小学校の頃から泳ぎが得意でなかった。(甲27,28,乙17,43)cAは,平成18年始めころからBの営む中古自動車販売店Tで働くようになり,最初の3か月間は,Bから月額10万円ないし15万円くらいの給与を得たものの,その後は,満足に給与が支払われなかった。また,Aは,平成17年又は平成18年ころ,Tでの仕事がないときは,Cの経営するガソリンスタンドで数か月か1年ほどアルバイトをしていた。( 給与を得たものの,その後は,満足に給与が支払われなかった。また,Aは,平成17年又は平成18年ころ,Tでの仕事がないときは,Cの経営するガソリンスタンドで数か月か1年ほどアルバイトをしていた。(乙9の2,9の3の113,192頁,証人C,原告F本人)dAは,平成18年6月2日,H株式会社から50万円を,G株式会社から30万円をそれぞれ借り入れ,同月22日,I株式会社から30万円を借り入れた。(G株式会社,H株式会社及びI株式会社に対する調査嘱託の結果)(イ) QについてaQは,原告らの長女で,Aの姉であり,Bの元妻である。BとQは,16歳のころから交際を始め,昭和61年10月22日に婚姻し,平成2年1月26日に協議離婚し,平成8年1月26日に再婚し,平成22年9月15日に再度離婚した。(甲9,乙11の2,64)bQは,平成20年9月ころにBが後記各被告事件で勾留された際, 1日を除いて毎日接見に行っていた。(乙9の1の120頁)(ウ) 原告らについて(原告D本人,原告F本人)原告Dは専業農家であり,原告Fはこれを手伝っている。 原告Dは,平成5年ころまでは年収2000万円程度であったが,同年以降は年収が下がっていき,本件保険事故当時,月収20万円程度であった。 (エ) BについてaBは,Qの元夫であり,Aとは,同人が生まれたころから面識がある。(証人B)bBは,平成8年9月16日ころ,原告Dから,原告らの自宅隣にある原告D所有にかかる岐阜市a丁目b番の土地(以下「b番土地」という。)を無償で借り受け,同土地上に岐阜市a 丁目b番地所在家屋番号b番の建物(以下「b番建物」という。)を建築した。 以後,Bは,Qと同建物に居住していた。(乙12の4・5)cBは,平成10年こ 。)を無償で借り受け,同土地上に岐阜市a 丁目b番地所在家屋番号b番の建物(以下「b番建物」という。)を建築した。 以後,Bは,Qと同建物に居住していた。(乙12の4・5)cBは,平成10年ころ,原告D所有にかかる岐阜市c丁目d番e号所在の土地を月3万円で借り受け,プレハブの建物を建築し,同所で株式会社Uの名称で中古自動車販売を始めたが,1年ほどで廃業した。株式会社Uは,Bの実父が経営する会社で,その中古自動車販売部という形で営業していた。上記3万円の賃料は,払ったり払われなかったりという状況であった。 Bは,平成11年ころ,知人であるVに同所で中古自動車販売を経営するように持ちかけ,Vが同所でWという中古自動車販売店を経営し,Bがそのもとで働くこととなった。しかし,同販売店も五,六年で廃業し,Bは1年ほど無職となった。 Bは,平成17年の終わりころ,原告Dから開業資金として30万円を借り入れ,再度,同所のプレハブの建物で,Tの商号で中古 自動車販売業を営むこととなった。Tの営業方法は,一台売れたら次の車を仕入れるというもので,中古車の在庫は,売れた時で三,四台,少ないときは二,三台という状況であった。 Bは,本件保険事故当時も同業を営んでいた。(乙9の1の123頁,9の3の109頁,証人B)dBの本件保険事故前後の財務状況(a) Bは,平成8年にb番建物を建築する際,住宅ローンを利用し,以後その返済のため月額11万円を支払っていた。(乙9の1の123頁)(b) b番建物とその敷地であるb番土地には,Bを債務者として,平成8年10月18日付金銭消費貸借契約に基づく1870万円の貸金債権及び同利息,損害金債権を被担保債権とするX公庫の同日付抵当権,同年9月20日付保証委託契約に基づく700万円 を債務者として,平成8年10月18日付金銭消費貸借契約に基づく1870万円の貸金債権及び同利息,損害金債権を被担保債権とするX公庫の同日付抵当権,同年9月20日付保証委託契約に基づく700万円の求償債権及び同損害金債権を被担保債権とするY株式会社の同年11月21日付抵当権,極度額330万円の同年12月9日設定の株式会社Z銀行の同日付根抵当権が,共同担保としてそれぞれ設定されている。(乙12の4・5)(c) Bは,平成18年始めころ,暴力団関係者であるゴルフ仲間から,頭金約70万円,月額10万円の48回払いという約定で自動車(BMW)を購入し,本件保険事故当時も10万円の分割払いをしていた。(乙9の1の123頁,乙9の3の310頁)(d) Bは,平成18年4月及び同年5月に,Tで販売する中古自動車の仕入れのために,消費者金融のAAから,それぞれ50万円ずつ借り入れ,毎週月曜日から木曜日まで,毎日1万円ずつ返済し,約1年間かけて完済した。(乙9の1の123頁,乙9の3の310,311頁) (e) Bは,金融機関のブラックリストに登載されていたため,クレジットカードを作ることができず,高額の請求書が来ることもあった。(乙9の3の95頁)(f) Tの経営状況は悪く,家計に入れることができたのは月に10万円程度であった。(乙9の1の124頁)(g) Tは,平成18年に,販売していた中古車両同士で2度追突事故を起こし,3台廃車にしたことがあった。(乙9の3の311頁)(h) TことBは,平成18年6月23日,ABに対し,中古自動車(平成10年式オペル)1台を,同日に頭金として25万円の支払を受け,残金10万円を同年7月中旬に支払を受けることとして,代金35万円で売った。(甲25,30,乙66)もっとも,Tこと 古自動車(平成10年式オペル)1台を,同日に頭金として25万円の支払を受け,残金10万円を同年7月中旬に支払を受けることとして,代金35万円で売った。(甲25,30,乙66)もっとも,TことBが平成18年6月17日にACに対して同一の車両を40万円で売ったとする車輌売買契約書もある。(甲24)(i) TことBは,平成18年6月9日,ADに対し,中古自動車(平成8年式フォルクスワーゲン,車台番号①)1台を33万円で売った。(甲23,29,乙65)(j) TことBは,平成18年6月25日,AEに対し,中古自動車(平成8年式フォルクスワーゲン,車台番号②)1台を32万円で売った。(甲26,31,乙67)(k) AFが編集した統計では,郡部から50万人以上の都市にある合計358の対象業者に対し行った調査の結果,中古自動車小売業の売上高総利益率は,25.3パーセントから27.7パーセント程度であるとされている。(乙68)(l) Bは,本件保険事故後の平成18年9月ころ,Tを岐阜市f に移転し,平成18年8月21日から平成19年6月26日にかけて,原告Dから合計約1000万円を借り受けた。(乙9の1の52頁,124頁)Bは,原告Dから借金をする場合,Qに対し,「ちょっとお父さんに聞いてみてくれんかな。」というように頼み,Qを介して原告Dに対し借金を申し込んでいた。(証人B,原告D本人)eBの起こした刑事事件に関する事情(a) Bは,後記②の疑いで逮捕され,平成20年5月29日,同年6月18日,同年8月4日及び同年10月9日にそれぞれ概要次のとおりの公訴事実で起訴された。Bは,後記の公訴事実をすべて認め,平成21年2月4日,懲役3年執行猶予5年の判決を受けた。(乙9の1の1ないし27頁,乙9の8の391頁) 0月9日にそれぞれ概要次のとおりの公訴事実で起訴された。Bは,後記の公訴事実をすべて認め,平成21年2月4日,懲役3年執行猶予5年の判決を受けた。(乙9の1の1ないし27頁,乙9の8の391頁)① Bは,Tの従業員であったAG及び自身の母であるAHと共謀の上,平成18年6月2日,T駐車場において,自動車同士の偽装事故を起こし,AI保険株式会社より保険金合計79万9463円を詐取した。(以下「詐欺被告事件」という。)② Bは,平成18年9月20日,T事務所内において,自動車検査証の走行距離計表示値の記載を変造して,顧客に対し,自動車とともに引き渡して行使し,同年11月17日,同事務所内において,自動車検査証の走行距離計表示値の記載を変造して,顧客に対し,これを交付して行使した。(以下「有印公文書変造等被告事件」という。)③ Bは,平成18年8月25日ころから平成20年5月1日ころまでの間,前後7回にわたり,Tほか1か所において,販売しようとする中古自動車7台の走行距離計に表示されていた表示距離をそれぞれ変更することで上記各車両の品質,内容につ いて誤認させる虚偽の表示をした。(以下「不正競争防止法違反被告事件」という。)④ Bは,平成18年7月ころ,AJ電力株式会社がBの自宅及び実家であるAK方の各敷地内に設置していた電力量計について,同年9月中旬ころから10月上旬ころまでの間,Tの敷地内に設置していた電力量計について,作動を減速させ,実際の使用電力量より少ない電力量を指示する工作をして,同社の正当な電力料金の計算徴収業務を妨害した。(以下「業務妨害被告事件」という。)(b) Bの詐欺被告事件は,Bが,生活の困窮とTの経営難を打開するために,Bが計画をし,AHやAGの協力を得て実行した保険金詐欺事件であ 収業務を妨害した。(以下「業務妨害被告事件」という。)(b) Bの詐欺被告事件は,Bが,生活の困窮とTの経営難を打開するために,Bが計画をし,AHやAGの協力を得て実行した保険金詐欺事件である。 上記保険金詐欺の方法は,Bが,自身は,保険会社のブラックリストに載っており,保険金が下りない可能性が高いため,AHを使用者としてAIの車両保険に加入している同人所有の自動車(フォルクスワーゲンポロ(以下「ポロ」という。)を運転し,自身が,知人からローンを引き継ぐ形で買い受けたBMWに故意にぶつけて損傷させた上で,AHに,警察やAIに対し,AGの所有するBMWにAHがポロの運転を誤りぶつけたと虚偽の申告をさせ,AGには,BMWをBから買い受けており,Tで修理をすると虚偽の申告をさせ,BMW及びポロの修理代金並びに代車料等をAIからだまし取り,BMWについては保険金請求額よりも修理費を安く抑え,ポロについては修理をしないでその差額分の利得を得るというものであった。(乙9の2の107頁,乙9の3の255頁)Bは,平成15年12月9日,自身が使用する口座として,A L信用金庫g支店でAH名義の口座(以下「AH名義口座」という。)を作っており,AHに対し,AIからの上記保険金振込先として,同口座を指定させていた。AH名義口座の届出印はQが管理しており,同口座のキャッシュカード(以下,キャッシュカードを単に「カード」という。)はBが管理し使用していた。 (乙9の3の302,303頁)AIは,ポロの車両保険金として上記口座に,平成18年6月27日に27万9550円を,同年7月21日に51万9913円をそれぞれ振り込んだ。(乙9の2の111頁,乙9の3の287頁,乙9の3の299頁)(c) Bは,有印公文書変造等被告事件及び不正 27日に27万9550円を,同年7月21日に51万9913円をそれぞれ振り込んだ。(乙9の2の111頁,乙9の3の287頁,乙9の3の299頁)(c) Bは,有印公文書変造等被告事件及び不正競争防止法違反被告事件を起こすより前から,同様の手口で,販売用の中古自動車の車検証の走行距離計表示値の数値を改ざんしたり,走行距離計の走行距離表示を巻き戻したりして中古車を販売することが常態であった。(乙9の2の53頁)(d) Bは,上記①ないし④の各事件により,500万円から600万円程度の利益を得た。(乙9の1の128頁)(e) Bが上記①ないし④の各事件の犯行に及んだのは,生活の困窮とTの経営難が主な原因であり,保険金詐欺事件は,BMWについた傷を修理するという目的もあった。また,業務妨害事件は,電力の供給を止められたことも動機の1つになっている。(乙9の1の124頁,乙9の3の310頁)(オ) Cについて(乙8の1,12の8・9,22,証人C)aCは,父であるAM所有にかかる岐阜市h番iの土地及び同土地上の建物に居住している。Cは,平成2年9月28日ころ,同土地建物を売買により取得したが,平成10年6月23日に株式会社A Nから強制競売の申立てを受け,同年11月20日には株式会社AOから仮差押えされた。その後,同建物は,平成11年1月6日に強制競売による売却がなされたが,AMが,平成11年2月26日に,その買受人から同建物を買った。同土地については,強制競売の申立てが取り下げられ,Cが平成11年3月16日にAMに売却した。(乙12の8・9,証人C)bCは,平成13年9月26日,AP株式会社から,岐阜県羽島郡j町k丁目l 番m所在のj町AP店舗を,月額賃料32万円,ガソリンスタンドとして使用する目的で,賃 した。(乙12の8・9,証人C)bCは,平成13年9月26日,AP株式会社から,岐阜県羽島郡j町k丁目l 番m所在のj町AP店舗を,月額賃料32万円,ガソリンスタンドとして使用する目的で,賃貸借期間同年11月1日から平成16年10月31日までの3年間の約定で賃借し,そのころから,同所においてガソリンスタンド「AQ」を経営していた。 (乙22)cCは,AQにおいて,高濃度アルコール燃料であるガイアックスを取り扱っていたが,ガイアックスの国内における販売が,平成15年8月28日の揮発油等の品質の確保等に関する法律により,国内での販売が禁止されたため,AQは経営不振に陥った。(乙8の1の43頁,48頁)dCは,平成18年10月分から12月分の3か月分の賃料を滞納したため,APは,同年12月25日,上記賃貸借契約を解除し,平成19年1月ころ,Cは,APに対しAQを明け渡した。3か月分の延滞賃料は,敷金で充当された。 eCは,上記賃貸借契約解除前の時点で,洗車機のリース代金数十万円を滞納していた。(乙7)fCは,上記賃貸借契約を解除される前,APの代表取締役ARに対し,「投資してくれる人がいて,資金が入るめどが立っている。」と言っていた。 gCは,平成18年ころから,AQの事業を廃業し,別の事業を始めることを計画していた。 hCの起こした刑事事件に関する事情(a) Cは,平成20年9月6日,後記②の疑いで逮捕され,同月26日及び同年10月31日に,概要次のとおりの公訴事実で起訴された。Cは,後記公訴事実をすべて認め,平成20年12月19日,懲役2年執行猶予4年の判決を受けた。(乙8の1の1ないし7頁,乙9の8の396頁)① Cは,平成19年7月31日午後5時15分ころ,岐阜県f先路上において, べて認め,平成20年12月19日,懲役2年執行猶予4年の判決を受けた。(乙8の1の1ないし7頁,乙9の8の396頁)① Cは,平成19年7月31日午後5時15分ころ,岐阜県f先路上において,同所に停車中の自動車運転席に乗車している甲に対し,同車右側前部ドア窓越しに,同人の右上顎部付近を拳で1回殴りつける暴行を加え,右上顎骨骨折の傷害を負わせた。(以下「甲事件」という。)② Cは,平成20年1月10日午後11時30分ころから同月11日午前4時ころまでの間,T事務所内において,乙に対し,その左上肢等を,持っていた特殊警棒等で多数回殴打するなどの暴行を加え,左上肢挫創の傷害を負わせた。(以下「乙事件」という。)③ Cは,平成20年8月10日午後5時20分ころ,岐阜県各務原市n町o丁目p番地先路上において,丙が管理する普通乗用自動車(以下「被害車両」という。)右後部に設置されていた制動灯プラスチックカバーの一部を特殊警棒を叩き付けて損壊した。(以下「丙事件」という。)(b) 乙事件の被害者である乙はCの中学時代からの友人であるが,Cは,乙事件後,同人に対し,「ベンツが壊れたので,そのベンツにわざと車をぶつけて保険金をだまし取ることを手伝ってくれ ないか」と話した。(乙8の1・41頁,42頁,83頁)(c) Cは,平成20年8月27日,丙に対し,丙事件の被害車両の損害額相当額である1万7445円を支払い,同年12月9日,甲との間で,被害弁償金15万円を支払うことで示談し,同月12日,乙との間で治療費として1万円を支払い示談した。(乙8の1の38頁,乙8の2の281ないし283頁,286ないし288頁)(d) AMは,上記(d)の金員及びCの保釈保証金を立て替えて支払った。(乙8の1の38頁)(カ) BとC した。(乙8の1の38頁,乙8の2の281ないし283頁,286ないし288頁)(d) AMは,上記(d)の金員及びCの保釈保証金を立て替えて支払った。(乙8の1の38頁)(カ) BとCの関係についてaBとCは,平成10年ころ,共通の知人を通じて知り合った。 BとCとは,一緒にゴルフをやったり,旅行に行ったりしており,それぞれ家族同士で一緒に食事をしたり,国内旅行をしたりするなど,家族ぐるみのつき合いをしていた。(乙8の1の177,178頁,証人C)bCは,一時的にTの仕事を手伝ったりした。 cCは,Bと知り合ってから,平成20年9月23日までの間に,Bと第三者との間で金銭的なトラブルが生じた際,同トラブルに介入し,Bを助けたことがあった。(以上,乙8の1の177,178頁)d 乙は,平成20年1月10日までに,Cに対し,BがCに金を渡したり,Cが使用する携帯電話の料金を支払ったりすることについて,なぜBはそのようなことをするのかと尋ねたことがある。 これに対し,Cは,「あいつは俺にでっかい恩があるでな。」と言った。 Bは,平成20年1月10日までに,乙に対し,「C君には借り があるで,一生付き合っていかなあかん」と言った。(以上,乙8の1の49頁)eBは,乙事件の際,Cに対し,T事務所の使用を許し,Cが乙に対し暴行を加えている間,横で見ており,「顔はまずいぞ。そこまでやらんでもいいんじゃない。」などと言ったが,それ以上積極的にCを止めなかった。(乙8の1の66頁ないし81頁)(キ) B,Q,A及び原告Dによる本件保険事故以外の事故に関する保険金の請求a 別表1の「事故当事者」欄記載の当事者が「事故日時」欄記載の年月日に「事故発生場所」欄記載の場所で「事故状況」欄記載の内容の Q,A及び原告Dによる本件保険事故以外の事故に関する保険金の請求a 別表1の「事故当事者」欄記載の当事者が「事故日時」欄記載の年月日に「事故発生場所」欄記載の場所で「事故状況」欄記載の内容の事故を起こしたとして,保険会社に対し,保険金の支払を請求した。(乙14の1~29,55の1・2,56の1~3,57の1~5,58の1・2,59の1・2,60の1~5・61の1~3)もっとも,別表1の21の事故については,原告らの三女Sから被害車両の実質的な使用者は原告Dではなく,Sである旨の自認書が差し出されており,原告Dは同事故に関する保険の請求手続に関与していない。(乙60の3)b 別表1の17の事故により,Aが所有し,運転していた車両に生じた損害に対する保険金2万円が,平成16年2月20日,AS銀行q支店の原告D名義の口座(以下「AS銀行口座」という。)に振り込まれた。(乙58の1)c 別表1の21の事故は,AHが,B所有車両をB自宅敷地内車庫に入庫したところ,同車庫内に置かれていた,原告Dが所有し,Sが使用する車両の部品に衝突したというものであるが,同事故における保険会社(被告)との窓口は,Bであった。 AH運転車両について,K.K.Uとの間で保険契約を締結していた被告は,平成16年3月31日,上記事故により,S使用車両に生じた損害に対する保険金98万7000円を,AS銀行口座に振り込んだ。(以上,乙60の1・3・5)d 別表1の32の事故は,A運転車両が,道幅の狭い道路において,AT運転車両が停車している横を直進して通り抜けようとしたところ,A運転車両がAT運転車両の側面を擦ったというものである。 AT運転車両について,ATとの間で保険契約を締結していた被告は,平成18年7月26日,上記事故によりA 進して通り抜けようとしたところ,A運転車両がAT運転車両の側面を擦ったというものである。 AT運転車両について,ATとの間で保険契約を締結していた被告は,平成18年7月26日,上記事故によりA運転車両に生じた損害に対する保険金2万5000円をAL信用金庫g支店の原告D名義の口座(以下「信金口座」という。)に振り込んだ。(乙14の13,乙61の1~3)e 原告Dは,上記bないしdの保険金がAS銀行口座や信金口座に振り込まれたことを知らなかった。(原告D本人)f(a) 別表1の34の事故は,AU運転車両が赤信号を無視して交差点に進入し,右方から直進してきたA運転車両と衝突したというものである。 AU運転車両について,同人との間で保険契約を締結していたAV株式会社は,AUからの保険金請求に対し,偽装事故の疑いが濃いとして,Bに対し,弁護士を通じて免責通知をし,免責処理をした。(乙14の4・15)(b) 別表1の33の事故は,B運転車両が,Bの中学の同級生であったAW運転車両に追突したというものである。 B運転車両について,同人との間で保険契約を締結していた,AVは,Bからの保険金請求に対し,偽装事故の疑いが濃いとして,Bに対し,弁護士を通じて免責通知をし,免責処理をした。 (乙14の4・14)カ本件保険事故に至る経緯(ア) C,その妻及びその子2名(以下「C家」という。),B,Q及びその子2名(以下「B家」という。),並びにA(以下,これら9名を「Cら9名」という。)のサイパン旅行についてaCら9名は,株式会社AXが企画した,中部国際空港を平成18年6月25日(日曜日)の夜発のAY航空便で出発し,約3時間半後の翌日早朝にサイパン島に到着し,同日と翌27日に観光等を行い,翌28日の朝にサイパンを出 式会社AXが企画した,中部国際空港を平成18年6月25日(日曜日)の夜発のAY航空便で出発し,約3時間半後の翌日早朝にサイパン島に到着し,同日と翌27日に観光等を行い,翌28日の朝にサイパンを出発して帰国するという3泊4日の旅行(以下「本件旅行」という。)を申し込んでいた。(甲9,乙21)bCら9名は,本件旅行の滞在ホテルとしてスタンダードクラスであるホテルを予約していた。本件旅行の旅行代金は,総額で約40万円であった。 cBは,平成18年5月ころ,AXr支店従業員に対し,Cら9名分の本件旅行の手配を電話で申し込んだ。その後,B及びCは,同支店を訪れ,全員分のパスポートのコピーを提出して申込手続をし,本件旅行の旅行代金計約40万円を支払った。(乙7,証人B)dB及びCは,本件旅行の旅行代金を低く抑えるために,オフシーズンである6月の平日に旅行を行うこととした。(証人C,証人B)(イ) 本件保険契約締結の経緯(乙2,18の1・2,51,52)aCら9名は,平成18年6月25日午後6時ころ,中部国際空港内の保険カウンターに赴いた。Cは,AZ株式会社の従業員で被告の保険代理店業務に従事するBA及び同BB(BAと併せて「BAら」という。)に対し,9名分の海外旅行保険の加入を申し出た。 bBAらが代理店として取り扱う被告の海外旅行保険の定型プラン(以下「定型プラン」という。)は,エコノミー,スタンダード,デラックスの3種類で,これらは,「傷害死亡」,「傷害後遺障害」,「治療・救援費用」及び「携行品損害」の保険金額に差異があり,「傷害死亡」,「傷害後遺障害」及び「治療・救援費用」の保険金額は,それぞれ,3000万円,5000万円,7500万円であった。 定型プラン旅行期間4日分の保険料は,個人の場合,そ 差異があり,「傷害死亡」,「傷害後遺障害」及び「治療・救援費用」の保険金額は,それぞれ,3000万円,5000万円,7500万円であった。 定型プラン旅行期間4日分の保険料は,個人の場合,それぞれ,5490円,6480円,7770円となり,保険料が割安になる家族旅行プラン(4人家族用)を適用すると,それぞれ,1万7050円,1万9920円,2万3450円となる。(乙2)定型プランについては,ラミネート加工された商品内容の説明書が,保険カウンターに備え付けられており,BAらは,顧客に対し,まず,定型プランの案内をした上で,希望があれば,定形外のプランを案内するという手順によって代理店業務を行っていた。 cBAらが,Cら9名に対し,定型プランについて説明し始めたところ,Cは,これを遮り,BAらに対し,「一番高いのに入る。」と言った。 dBAらは,Cら9名に対し,家族旅行プランの案内をしたところ,Cらは同プランを適用することとし,C家,B家及びAの3組でデラックスプランの海外旅行保険に加入することとした。 eQは,BAらから保険料を提示された後,「きっと使うこともないだろうから,そんなに高いのは必要ない。」旨述べたため,BAらは,エコノミープランを勧めた。しかし,Cは,「自分が全員分の保険料を支払うから。」と言い,C家分はCが代表し,B家分はBが代表して,Cら3名は,BAらに対し,デラックスプランの海 外旅行保険契約を申し込んだ。 fCは,BAらに対し,C家分及びB家分の保険料各2万3450円並びにA分の保険料7770円の合計5万4670円を現金で支払った。 gBAらは,Cら9名が保険カウンターを離れると,「1億円のを勧めすればよかったね。」などと言い合っていたところ,Cは,1人で保険カウンターに戻り, 0円の合計5万4670円を現金で支払った。 gBAらは,Cら9名が保険カウンターを離れると,「1億円のを勧めすればよかったね。」などと言い合っていたところ,Cは,1人で保険カウンターに戻り,BBに対し,「もっと高いのはないのか。」と尋ねた。BBは,Cに対し,「1億円があります。」と答え,保険料を伝えると,Cは,BBに対し,「じゃあ,もう,それにして。」と言い,Cら9名分の海外旅行保険契約を,死亡保険金1億円のものに変更する旨申し入れた。 hCは,BBに対し,C家,B家及びAの海外旅行保険契約の保険料の差額の合計額を支払った。 iCら3名は,それぞれ,保険契約書に署名した。 jCは,平成2年11月から平成20年2月までの間,本件旅行を含めて9回海外旅行に行っており,Bは,本件旅行のほか,平成17年6月と平成20年2月とに2回海外旅行に行っているが,これらの海外旅行時に加入した保険の保険金額は,それぞれ別表2の「保険金額」欄記載の金額のとおり(ただし,Cについては,平成2年11月21日からの旅行と平成4年1月28日からの旅行については,携行品補償額の金額)である。(乙51)k 中部国際空港で加入された被告の海外旅行傷害保険のうち,傷害死亡保険金額1億円のものは,平成17年2月17日から同年12月31日までは378件(総件数2万4124件,1.57パーセント),平成18年の1年間では290件(総件数2万5198件,1.15パーセント),平成19年1月1日から同年9月30日ま では204件(総件数1万9635件,1.04パーセント)であった。(乙52)キ本件保険事故後の経過(ア) Bは,平成18年6月28日,サイパン島からAHに対し電話をかけ,自身に代わり,18万円をAH名義口座から引き出し,オークショ ーセント)であった。(乙52)キ本件保険事故後の経過(ア) Bは,平成18年6月28日,サイパン島からAHに対し電話をかけ,自身に代わり,18万円をAH名義口座から引き出し,オークションで自動車を落札した手数料として,同額を有限会社BCに対して振り込むよう依頼した。(乙9の2の303ないし306頁,314頁,乙9の3の110頁)(イ) B及びAを除くCら7名は,平成18年6月28日,日本に帰国し,Bはサイパン島滞在を延長し,Aの遺体と共に同月30日に帰国した。(甲10)(ウ) Bは,平成18年6月29日,Aの遺体の搬送手配費用として,翌30日に返済する約定で,AXから3000米ドルを借り入れた。 (甲19)(エ) Aの通夜は平成18年7月2日に,葬儀告別式,初七日は,翌3日の午後1時から執り行われた。(甲10,17,18)(オ) 原告Dは,平成18年7月11日,AXに対し,上記(ウ)の遺体搬送手配費用として34万8000円を現金で支払った。(甲20)(カ) Bは,平成18年9月ころ,岐阜市f の土地を月額賃料20万円で賃借し,同所にTの事務所を移転し,店舗の広さを拡大し,リニューアルした。(乙7)(キ) 本件保険金請求の経緯(乙7,16,原告本人)a 原告D,Q及びSは,通夜又は葬儀告別式の後に保険金の請求手続について相談し,本件保険金の請求手続をQに任せることとした。 このとき,原告Dは,原告Fには保険金請求手続について相談しなかった。(原告D本人) bBは,平成18年7月3日午後11時ころ,請求書等を持参して被告岐阜支店に赴き,同支店岐阜サービス一課所属の従業員BDに対し,本件保険金の請求方法について相談した。Bが,同日持参した請求書等は,次のとおりである。 (a) 保険金請求書 求書等を持参して被告岐阜支店に赴き,同支店岐阜サービス一課所属の従業員BDに対し,本件保険金の請求方法について相談した。Bが,同日持参した請求書等は,次のとおりである。 (a) 保険金請求書保険金請求者欄の署名は空欄になっており,保険金の振込先欄に「D」と記載され,振込口座としてAS銀行口座の口座番号が記載されていた。 (b) 海外旅行保険契約証兼保険料受領証の原本(c) 平成18年7月3日付けでAが除籍済みの戸籍簿謄本(d) サーティフィケイトオブデス(死亡診断書)の原本及び同日本語訳(e) インシデントレポート(サイパン官公庁作成事件概要報告書)cBDは,Bに対し,海外の事故でもあり,事実関係確認の為に調査が必要であり,調査には相当な時間を要すること,通常服喪期間中は調査を遠慮するため,調査を開始しても良い時機が来たら連絡して欲しい旨説明した。Bは,BDに対し,調査同意書の送付先はQ宛にするよう指定した。 dB及びQは,平成18年7月6日,被告岐阜支店を訪れ,葬儀が終わったので調査を開始して良い旨伝えた。 eBDは,平成18年7月14日,原告D宛に調査に係わる同意書を送付し,原告Dの同意書が,平成18年7月19日,被告岐阜支店に郵送された。 fBは,平成18年8月21日及び同年10月2日に,被告岐阜支店に架電し,調査の進捗状況を確認した。 gBは,平成18年10月6日,被告岐阜支店に架電し,「そろそろ結論を出して欲しい。調査はまだ終わらないのか。」と尋ねた。 (ク) AS銀行口座について(原告D本人,原告F本人,株式会社AS銀行q支店に対する調査嘱託の結果)a 原告Dは,平成12年4月4日にAS銀行口座を開設し,原告Fが同口座の通帳を保管していることは知っているものの について(原告D本人,原告F本人,株式会社AS銀行q支店に対する調査嘱託の結果)a 原告Dは,平成12年4月4日にAS銀行口座を開設し,原告Fが同口座の通帳を保管していることは知っているものの,誰が同口座のカードを利用しているかは知らない。(原告D本人,株式会社AS銀行q支店に対する調査嘱託の結果)bAS銀行口座で次の取引が行われているが,原告らは,平成22年6月30日時点で,これらの取引について知らなかった。(原告D本人,原告F本人,株式会社AS銀行q支店に対する調査嘱託の結果)(a) 「W」ことVは,平成17年12月5日,平成18年1月4日,同月31日,同年2月28日,同年3月31日,同年5月1日,同年6月30日,同年7月31日及び同年8月31日において,各5万円を,AS銀行口座に振り込んで入金した。 (b) 株式会社BEは,平成18年9月27日から平成20年2月27日まで毎月末ころに約5万6100円ずつ合計101万1544円をAS銀行口座から引き落とした。 (c) AIは,平成19年1月26日から同年11月26日まで,毎月26日ころに1回ずつ(但し,9月はなく10月は2回ある)4080円を,同年12月26日から平成20年11月26日まで,毎月26日ころに1回ずつ4050円を,平成21年1月26日から同年8月26日まで,毎月26日ころに1回ずつ3440円を,同年9月28日及び同年10月26日にはそれぞれ1万1880円を,AS銀行口座から引き落とした。 (d) BF株式会社は,平成19年7月26日から毎月数千円程度をAS銀行口座から引き落とした。 (ケ) 他社の保険金の支払とその使途(乙13の2,原告D本人,原告F本人,AL信用金庫g支店に対する調査嘱託の結果)aBG相互会社(a) Aは 円程度をAS銀行口座から引き落とした。 (ケ) 他社の保険金の支払とその使途(乙13の2,原告D本人,原告F本人,AL信用金庫g支店に対する調査嘱託の結果)aBG相互会社(a) Aは,平成16年3月1日,BGの外交員をしていたQの紹介で,同社との間で,死亡保険金受取人を原告Dとする定期保険特約付終身保険契約(以下「生命保険契約」という。)を締結した。 (乙13の2,原告F本人)(b) 上記生命保険契約の保険金額は,年額275万円,10年確定の生活保障特約年金の一括受取額2580万3250円を含む3030万3250円であった。(乙13の2)(c) 原告Dは,平成18年7月5日,信金口座を開設し,Aの葬儀の香典105万7000円を預けた。(原告D本人,AL信用金庫g支店に対する調査嘱託の結果)Qが信金口座の通帳及びカードを管理し,同カードを使用していた。原告らは,カードの利用方法がわからないため,同カードを使用していなかった。(原告D本人,原告F本人)信金口座の届出印は原告Dの実印であり,高額の引出しの場合は,原告DがQとともにAL信用金庫の窓口に行き,Qが用紙に金額その他必要事項を記載し,原告Dが印鑑を捺印するという方法によっていた。(原告D本人)(d) 原告Dは,平成18年7月11日,BGに対し,振込口座として信金口座を指定して,上記生命保険契約に基づく死亡保険金の支払を請求した。(乙13の2)(e) BGは,平成18年8月11日,原告Dに対し,死亡保険金 3030万8855円を信金口座に振り込む方法で支払った。 (乙13の2)(f) 信金口座から,平成19年3月までに次のとおり合計2824万円が払い戻された。(AL信用金庫g支店に対する調査嘱託の結果)平成18年8月11日 500万 支払った。 (乙13の2)(f) 信金口座から,平成19年3月までに次のとおり合計2824万円が払い戻された。(AL信用金庫g支店に対する調査嘱託の結果)平成18年8月11日 500万円窓口払戻し平成18年8月17日 100万円カード払戻し平成18年8月21日 100万円カード払戻し平成18年8月23日 30万円カード払戻し平成18年8月27日 50万円カード払戻し平成18年8月28日 100万円カード払戻し同日 500万円窓口払戻し平成18年8月30日 100万円カード払戻し平成18年8月31日 137万円カード払戻し平成18年9月4日 100万円カード払戻し平成18年9月11日 20万円「BH」に振込平成18年9月11日 100万円カード払戻し平成18年9月13日 100万円カード払戻し平成18年9月15日 144万円カード払戻し平成18年9月19日 71万円カード払戻し平成18年9月25日 145万円カード払戻し平成18年10月17日 20万円カード払戻し平成18年10月24日 80万円カード払戻し平成18年10月26日 120万円カード払戻し平成18年10月27日 100万円カード払戻し平成18年11月20日 37万円カード払戻し 平成19年1月25日 20万円カード払戻し平成19年3月13日 50万円カード払戻し平成19年3月30日 100万円カード払戻し(g) 原告Dは,平成18年9月11日の「BH」への20万円の振込が,原告Dの除草薬散布により「BH」の枝豆を枯らしたことによる損害賠償であること,Aの葬儀費用として約300 万円カード払戻し(g) 原告Dは,平成18年9月11日の「BH」への20万円の振込が,原告Dの除草薬散布により「BH」の枝豆を枯らしたことによる損害賠償であること,Aの葬儀費用として約300万円,トラクター購入のための借入金の返済として約400万円がそれぞれ信金口座から引き出されたことは知っているが,同口座からそのほかに引き出された金員が何に使われたかは知らない。(原告D本人,原告F本人)Bは,上記保険金から1000万円程度を,Qを通じて原告Dから借り入れている。(証人B)bBI保険会社(a) AXと提携しているBIは,平成21年7月23日,原告Dに対し,信金口座に振り込む方法で,Aの死亡保険金2500万円を支払った。(原告D本人,AL信用金庫g支店に対する調査嘱託の結果)(b) 信金口座から,平成21年8月までに次のとおり合計1816万円が引き出された。(AL信用金庫g支店に対する調査嘱託の結果)平成21年7月27日 121万円カード払戻し平成21年7月31日 615万円窓口払戻し平成21年7月31日 20万円カード払戻し平成21年8月10日 10万円カード払戻し平成21年8月17日 1000万円窓口払戻し平成21年8月18日 50万円カード払戻し c 岐阜市は,平成19年1月30日付けで原告Dが所有する不動産のうち岐阜市s町t丁目u番所在の土地建物及びv番土地につき,固定資産税の滞納処分による差押えをした。原告Dは,同固定資産税につき,滞納分も含めて分割で支払を続けており,現在も同差押えは解除されていない。(乙7,12の1~3)(コ) 原告Dの意向原告Dは,本人尋問において,Qの求めるまま,金員を与えており,ある限りの資産 て分割で支払を続けており,現在も同差押えは解除されていない。(乙7,12の1~3)(コ) 原告Dの意向原告Dは,本人尋問において,Qの求めるまま,金員を与えており,ある限りの資産を与えるつもりがある旨供述している。 (2) 上記認定の事実によれば,次の事情が認められ,C及びB両名が,Qを通じて本件保険金を原告らから支出させることを企図して,これにより利益を得る目的でAに本件保険契約を締結させ,Aの殺人を目論み,Aは,両名の故意により,何らかの方法で溺れさせられ,本件保険事故が発生したものと推認できる。 ア Aの死因には不審な点があり,C及びBのA死亡に至るまでの説明に著しく不合理な点があること(ア) Aは,本件保険事故当時22歳の成人男性であったこと,本件保険事故現場であるオブジャンビーチは,珊瑚礁の広がる遠浅の海岸であること,B及びCの説明では,本件保険事故は,午前10時20分ころから午後2時20分までの間に発生したことになるが,本件保険事故発生日の同時間帯においては,同ビーチの波打ち際から120から150メートルほど沖にあるリーフエッジまでは,本件保険事故当時の水深は,深いところでも成人男性の腰程度の深さしかなく,穏やかなプール状であったことからすると,成人男性であるAが,リーフエッジの内側部分で水遊び中に,何の外的,内的要因もないのに溺れたとは考え難い。 仮に,Aがリーフエッジの内側部分で波に足を取られるなどして転倒 し前額部を強打するなどしたために,昏倒し,水深の浅い部分で溺水したのであれば,波によって珊瑚で身体の表面が擦られ,身体の下方になっている部分の広範囲に受傷する可能性が高いが,本件保険事故発生後のAの胸部又は腹部には目立った傷はなく,背部には,上皮の剥 溺水したのであれば,波によって珊瑚で身体の表面が擦られ,身体の下方になっている部分の広範囲に受傷する可能性が高いが,本件保険事故発生後のAの胸部又は腹部には目立った傷はなく,背部には,上皮の剥離が数か所見られるものの,大きな傷はなかったこと,Aに何らかの既往症があったことを窺わせる事情はないことからすると,Aがリーフエッジの内側部分で転倒するなどして,昏倒したために,水深の浅い部分で溺れたとも考え難い。 Aは,本件保険事故当時,泳ぎが得意でなかったこと,Aは,本件保険事故発生直後には,ライフジャケットやシュノーケリング用具,浮き輪等の遊泳補助具を身につけていなかったこと,オブジャンビーチのリーフエッジから外洋に出るあたりは急に水深が深くなっており,水深二,三メートルほどもあること,リーフエッジの付近は激しく波が立っており,通常人であれば恐怖感を覚えるほどであること,リーフエッジの外の外洋部分で溺れた場合には,身体の広範囲に受傷する可能性が高いことからすると,Aがオブジャンビーチのリーフエッジの外側の外洋で泳いでいた際に誤って溺れたとも考え難い。 以上,Aの死因には不審な点がある。 (イ) C及びBは,事情聴取時,調査時及び口頭弁論期日において,本件保険事故前後の事実関係について,概ね次のとおりの説明をしており,両名の説明は,括弧内を除いて,概ね一貫していた。 aCは,午前10時ころにオブジャンビーチに着いた後,しばらく一人でたばこを吸っており,その間,BとAは二人で水遊びをしていた。Cは,本件保険事故が発生したころには,外洋で足ひれとシュノーケリングのみを着けてスキンダイビングをしており,気づいたらオブジャンビーチの最西端を越えて西方に流されてしまい,同 ビーチまで海岸線の浅瀬を歩い 故が発生したころには,外洋で足ひれとシュノーケリングのみを着けてスキンダイビングをしており,気づいたらオブジャンビーチの最西端を越えて西方に流されてしまい,同 ビーチまで海岸線の浅瀬を歩いて帰ることができない地点まで流されていた(Cは,調査時には二,三キロメートルと説明し,証言時には,約200ないし300メートル程度の地点と証言している。)ので,足ひれを手に持ち,ライフジャケットに海水パンツという格好で崖をよじ登り,手足に多数傷を作りながら(Cは,調査時には,「血だらけ」と説明し,証言時には「本当にちっちゃい出血」と証言している。)1時間程度かけて,ジャングルを歩き抜けて,同ビーチに帰り着いた時には,Aは行方不明になっていた。 bBは,オブジャンビーチに到着した後,しばらく浅瀬を泳いで魚を見るなどして遊んでいたが,Cと入れ替わるようにして,1人で浜辺に戻り,同ビーチ西側部分の浜辺において,全裸(Bは,証言時には,顔面にはタオルを載せていたと説明している。)で寝ころび,日焼けをするために甲羅干しをしていた。Aは,その間,同ビーチの浅瀬でビーチボール1つを持って遊んでおり,Bは,CとAは2人で遊んでいると思っていた。Bは,Cがオブジャンビーチに帰り着いた時,はじめてAが行方不明になっていることに気づいた。 cB及びCは,オブジャンビーチの東と西に分かれて,30分ほどAを捜索したところ,Cが,同ビーチの最西端の付近のリーフエッジの外洋側にひっかかるようにして浮かんでいるAを発見して浅瀬に引き上げ,Bを呼び寄せた上で,二人でAを浜辺まで運んだ。 dBは,本件保険事故発生時,携帯電話を持っていたが,これを使わず,Cは,緊急通報するためにレンタカーに乗り,来た道を戻り,二,三分でジェニーズマートに着き,そこにいた店員に緊急通 まで運んだ。 dBは,本件保険事故発生時,携帯電話を持っていたが,これを使わず,Cは,緊急通報するためにレンタカーに乗り,来た道を戻り,二,三分でジェニーズマートに着き,そこにいた店員に緊急通報をするよう頼んだ。Bはその間Aに人工呼吸と心臓マッサージを施していた。 (ウ) しかし,Cの説明には,次のとおり客観的事実と符合しない点や 不合理な変遷がある。 aCが,西方に流されてたどり着いた地点(以下「漂着地点」という。)が,オブジャンビーチ最西端から200ないし300メートル程度の地点であれば,同ビーチから海岸沿いに浅瀬が続いており,同ビーチの西側部分を肉眼で見ることもできたから,崖を登る必要はない。 漂着地点が,オブジャンビーチの最西端から二,三キロメートルの地点であれば,崖を登ってジャングルを通るほかは同ビーチへ戻る術はないが,同ビーチ最西端より西側の崖は,成人男性の身長よりも高く,いわゆるオーバーハング状態になっていて,素手で,しかも足ひれを手に持ったまま登るのは困難である。 ジャングルは木々が密生しており,ジャングル内には,オブジャンビーチ最西端の地点から北に向かって有刺鉄線が張られており,ライフジャケットに海水パンツ,ビーチシューズという出立ちでジャングルを歩いたのならば,木々や有刺鉄線により全身が傷つく可能性が高いが,本件保険事故直後のCの身体には目立つ傷はなかった。 Cは,調査時においては,崖を登り,ジャングル内を歩いたことによって,手脚に傷が多数つき,「血だらけ」になったと説明していたにもかかわらず,証言時においては,「本当にちっちゃい出血」と説明内容が大きく後退しており,その変遷理由についての合理的な説明はない。 bCは,緊急通報をするために,レンタカーに乗ってジェニーズマー かわらず,証言時においては,「本当にちっちゃい出血」と説明内容が大きく後退しており,その変遷理由についての合理的な説明はない。 bCは,緊急通報をするために,レンタカーに乗ってジェニーズマートまで行ったと説明している。 Bは,本件保険事故発生時,オブジャンビーチに携帯電話を持参しており,Aの溺水という緊急時にこれを使わなかったことは不自 然である。また,ジェニーズマートは,空港からナフタンロードを通り,ラダービーチからオブジャンビーチに向かう際には通らない場所に位置する上,同ビーチからジェニーズマートに至る道中には,ほかにも多数民家があるにもかかわらず,CがAの溺水という緊急時にわざわざ同店まで行ったというのは不自然である。 cC及びBの説明からすると,A発見から緊急通報まで1時間以上経過していることになるが,オブジャンビーチからジェニーズマートまでは,二,三キロメートルほどの距離であるにもかかわらず,それほどの時間がかかったことについての合理的な説明がない。 イ C及びBが経済的に困窮していたこと(ア) Cは,本件保険事故当時,法改正によりガイアックスの販売ができなくなってガソリンスタンドの経営が行き詰まり,本件保険事故後の平成18年10月以降ガソリンスタンドの賃料を支払うことができないほどになった。そのため,Cは,平成18年ころ,ガソリンスタンド経営をやめ,別の事業を始めることを計画していた。 (イ) Bは,Tの経営状態が悪い中で,本件旅行当時,月額約38万円の借金の返済をしており,特に,AAに対しては,月曜から木曜まで毎日1万円の返済を行っていた。 Bは,本件旅行前後に経済的困窮が原因で詐欺被告事件,有印公文書変造等被告事件,不正競争防止法違反被告事件,業務妨害被告事件等の ては,月曜から木曜まで毎日1万円の返済を行っていた。 Bは,本件旅行前後に経済的困窮が原因で詐欺被告事件,有印公文書変造等被告事件,不正競争防止法違反被告事件,業務妨害被告事件等の犯罪行為にまで及んでいた。 Bは,本件保険事故発生翌日にも,AHに対し,Aの死亡を告げることなく,有限会社BCに対する入金を依頼するために電話をしていた。 ウ原告らとBが経済的利害を共通にすること(ア) Bは,本件保険事故当時,妻であったQとの仲は良好であり,2人の子をもうけ,家計を一にしていた。 (イ) Bは,平成8年9月16日ころ,義父である原告Dから,原告らの自宅隣にあるb番土地を無償で借り受け,同土地上にb番建物を建築して,Qと居住していた。 Bは,平成10年ころ,原告D所有にかかる岐阜市c丁目d番e号所在の土地を月3万円で借り受け,プレハブの建物を建築し,中古自動車販売を始めた。 Bは,平成17年の終わりころ,Qを介して原告Dから開業資金として30万円を借り入れるなど,本件保険契約締結前より原告DからQを介して金員を借り入れることがあった。 (ウ) Qは,本件保険事故後に信金口座の通帳及びカードを管理しており,Bの事業資金等にあてるために同口座及びAS銀行口座から金員を払い戻していた。 信金口座に入金されたBG及びBIの保険金合計約5500万円のうち4640万円が1年にも満たない短期間で出金されており,Qは,このうち原告らが使途を把握していない3920万円(Bへの1000万円の貸付けも含む。)についても払い戻していた。 (エ) 原告Dは,BG及びBIの保険金の支払を受けているにもかかわらず,固定資産税の延滞分を一括返済することなく, 0万円(Bへの1000万円の貸付けも含む。)についても払い戻していた。 (エ) 原告Dは,BG及びBIの保険金の支払を受けているにもかかわらず,固定資産税の延滞分を一括返済することなく,分割弁済を続けている。 原告Dは,本人尋問において,「Qの求めるまま,金員を与えており,ある限りの資産を与えるつもりがある。」旨供述している。 (オ) Bは,本件保険事故後,BGの保険金が支払われた後に,Tを原告Dの所有地から月額賃料20万円を要する岐阜市f へ移転させ,店舗を新築した。 Bがこれに要した費用は,主に上記(イ)の信金口座から払い戻された金員によってまかなわれた。 エ本件保険契約締結の経緯等が不自然であることQが「きっと使うこともないだろうから,そんなに高いのは必要ない。」旨述べたのに,Cは「自分が全員分の保険料を支払うから。」と言い,C家分はCが代表し,B家分はBが代表して,C,B及びAは,一旦,定型プランのうちもっとも傷害死亡保険金額が高額な7500万円であるデラックスプランの海外旅行保険契約を申し込んだ。さらに,Cは,「もっと高いのはないのか。」と尋ね,Cら全員分の海外旅行保険契約を,死亡保険金1億円のものに変更する旨申し入れ,差額の保険料を支払った。 傷害死亡保険金1億円という本件保険契約は,通常,空港の保険カウンターでは案内されない特殊なものであり,本件保険事故発生当時では,中部国際空港で同契約を締結した者は,同空港の保険カウンターで被告と海外旅行保険契約を締結した者のうち,約1パーセントしかいなかった。 Cら全員分の保険料合計は,本件旅行の旅行代金の1割以上に当たる金額であった。 C及びBが上記イのとおり経済的に困窮し,本件旅行代金約40 結した者のうち,約1パーセントしかいなかった。 Cら全員分の保険料合計は,本件旅行の旅行代金の1割以上に当たる金額であった。 C及びBが上記イのとおり経済的に困窮し,本件旅行代金約40万円を用立てることが困難であった状況下で(Tの平成18年6月の売上げによる利益だけでは借入金の返済すらまかなえないことが窺われる。),Aが本件旅行直前の平成18年6月2日にH株式会社から50万円を,G株式会社から30万円をそれぞれ借り入れ,同月22日にI株式会社から30万円を借り入れている。 証人B及び証人Cは,Cらが傷害死亡保険金1億円という保険契約を締結した理由として,一番高い保険に入りたかったからと供述する一方,本件旅行を6月に行った理由として旅行代金を低く抑えるためとも供述しており,両供述内容には一貫性がない。また,証人Cは,定型プラン にはない傷害死亡保険金1億円という特殊な海外旅行保険契約を締結し直した理由として,保険証券に「75」と記載され,この単位を読み違えたためであると供述するが,Cは,本件旅行以前にも50回以上旅行をしており,本件旅行よりも前に,少なくとも,7回は空港の保険カウンターで海外旅行保険に加入していたのであるから,このような読み違えをしたという説明は不自然である。 オ B及びCの親密な関係上記(1)オ(カ)の認定事実のとおりで,BとCは本件保険事故前後を通じて親密な関係にある。 カ B,Q及びCが他の件で保険金請求等を行っていることBは,別表1のとおり本件保険事故当時までに多数の保険事故を起こしており,詐欺被告事件以外にも,そのうち1件は偽装事故の疑いがあるとして保険金が支払われていない。Bは,本件保険事故直前にも,AHとAGを協力させて偽装事故を起こして保険金を詐取している。 しており,詐欺被告事件以外にも,そのうち1件は偽装事故の疑いがあるとして保険金が支払われていない。Bは,本件保険事故直前にも,AHとAGを協力させて偽装事故を起こして保険金を詐取している。 Qも,別表1のとおり,自らも複数回の保険事故を起こしたり,複数回,保険事故を起こした車両に同乗したりしている。 Cは,乙に対し,平成20年1月以降に,保険金詐欺への協力を持ちかけた。 (3) ところで,本件免責条項は,保険契約者又は保険金受取人そのものが故意により保険事故を招致した場合のみならず,公益や信義誠実の原則という本件免責条項の趣旨に照らして,第三者の故意による保険事故の招致をもって保険契約者又は保険金受取人の行為と同一のものと評価することができる場合をも含むと解すべきである(最高裁平成14年10月3日第1小法廷判決参照)。したがって,第三者の故意により被保険者が死亡したときには,当該第三者と保険契約者又は保険金受取人との経済的利害の共通性ないし当該第三者が保険金を管理又は処分する権限の有無,行為の動 機等の諸事情を総合して,当該第三者が保険金の受領による利益を直接享受し得る立場にあるなど,本件免責条項の趣旨に照らして,当該第三者の故意による保険事故の招致をもって保険契約者又は保険金受取人の行為と同一のものと評価することができる場合には,本件免責条項に該当するというべきである。 これを本件についてみるに,Cが本件保険の保険料のすべてを支払っていること,C及びB両名が,原告らの子であるQを通じて本件保険金を原告らから支出させることを企図して,これにより利益を得る目的でAに本件保険契約を締結させ,Aの殺人を目論んだこと,Bは,本件保険契約前から,Qを通じて,原告Dから事業資金等の援助を受けていたことからすると,C及 せることを企図して,これにより利益を得る目的でAに本件保険契約を締結させ,Aの殺人を目論んだこと,Bは,本件保険契約前から,Qを通じて,原告Dから事業資金等の援助を受けていたことからすると,C及びBは,本件保険事故が発生した保険金の受領による利益を直接享受し得る立場にあったということができ,公益や信義誠実の原則という本件免責条項の趣旨に照らして,C及びBが個人的動機によって故意にAを死亡させた行為をもって原告らの行為と同一のものと評価することができる場合に当たるということができる。 そうとすると,被告は,本件免責条項により本件保険金の支払を免責されるというべきである。 5 以上によれば,原告らの請求はその余について判断するまでもなく理由がないからこれを棄却すべきである。 よって,主文のとおり判決する。 岐阜地方裁判所民事第2部裁判長裁判官内田計一裁判官永山倫代裁判官山本菜有子
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