平成19(行ウ)5 総合設計許可処分取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成19年12月26日 さいたま地方裁判所
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判決文本文19,588 文字)

主文 原告らの請求を棄却する。 訴訟費用(参加によって生じた費用も含む。)は原告らの負担とする。 事実 及び理由第1請求川口市長が平成18年3月10日,参加人に対して行った総合設計許可処分はこれを取り消す。 第2事案の概要 事案の概要本件は,川口市長が,参加人からの申請に基づき,参加人に対し,参加人建築予定の分譲マンションにつき,建築基準法59条の2に基づく総合設計許可(本件処分)を行ったところ,同マンション建築予定地の近隣に居住する原告らが,本件処分は違法であるとして,その取消を求めた事案である。 争いのない事実等(証拠により容易に認められる事実は,これをかっこ内に示す。)(1)当事者ア原告らは,別紙物件目録記載の本件処分にかかる建築敷地(本件敷地)に隣接して建築されているマンションAに居住する者である。 イ被告は,総合設計許可の許可権者である川口市長の所属する行政主体である。 ウ参加人は,マンションの開発・販売等を業とする会社である。 (2)本件敷地の概要本件敷地は,南側で幅員8メートルの道路に約32メートルの長さで接し(本件南側道路),東側で幅員7.5メートル認定道路に約200メートルの長さで接している(本件東側道路)。なお,両道路の長さは合計235. 43メートルである。 そして,本件敷地の北側は民家と接し,西側はfとなっている。 なお,原告らの居住するAは,本件敷地と本件東側道路を隔てた東側に建築されている。 (甲4,5)(3)参加人の建築計画参加人は,本件敷地を取得し,総合設計制度を利用して,以下の概要の分譲マンション(本件建築物)建設を計画(本件計画)したものである。 (甲4,5)敷地面積11,249.12㎡用途地域準工業地域防火地域指定なし主要用途共同住宅 を利用して,以下の概要の分譲マンション(本件建築物)建設を計画(本件計画)したものである。 (甲4,5)敷地面積11,249.12㎡用途地域準工業地域防火地域指定なし主要用途共同住宅建築面積5,429.88㎡建築基準法52条による容積率200%総合設計適用による容積率253.52%なお,本件計画によれば,本件東側道路側に公開空地,歩道上空地が設置され,住戸は本件敷地の西側f寄りに建築され,住戸への出入口は南側と東側に設置されることになっている。また駐車場は自走式駐車場には344台が駐車できるほか平置式駐車場には14台が駐車できるようになっており,駐車場への出入りは本件東側道路から行うことが予定されている。 (4)本件処分参加人は,平成17年12月16日,川口市長に対し,上記計画に対する建築基準法59条の2に基づく総合設計の許可申請を行った。 川口市長は,上記申請に対し,川口市建築審査会の同意を得た上で,平成18年3月10日,容積率を253.52%に緩和することを認め,本件処分を行った。 (甲4)。 (5)審査請求等原告らは,平成18年5月8日,川口市建築審査会に対して,本件処分の取消を求めて審査請求を行ったが,川口市建築審査会は,平成18年9月25日付けでこれを棄却する旨決定した(甲6の1,6の2)。 (6)本件訴え原告らは,平成19年3月12日,本件訴えを提起した。 法令等の定め(1)建築基準法(敷地内に広い空地を有する建築物の容積率等の特例)第59条の2第1項その敷地内に政令で定める空地を有し,かつ,その敷地面積が政令で定める規模以上である建築物で,特定行政庁が交通上,安全上,防火上及び衛生上支障がなく,かつ,その建ぺい率,容積率及び各部分の高さについて総合的な配慮がなされていることに かつ,その敷地面積が政令で定める規模以上である建築物で,特定行政庁が交通上,安全上,防火上及び衛生上支障がなく,かつ,その建ぺい率,容積率及び各部分の高さについて総合的な配慮がなされていることにより市街地の環境の整備改善に資すると認めて許可したものの容積率又は各部分の高さは,その許可の範囲内において,第52条第1項から第9項まで,第55条第1項,第56条又は第57条の2第6項の規定による限度を超えるものとすることができる。 第2項第44条第2項の規定は,前項の規定による許可をする場合に準用する。 (2)建築基準法施行令(敷地内の空地及び敷地面積の規模)第136条法第59条の2第1項の規定により政令で定める空地は,法第53条の規定により建ぺい率の最高限度が定められている場合においては,当該最高限度に応じて,当該空地の面積の敷地面積に対する割合が次の表に定める数値以上であるものとし,同条の規定により建ぺい率の最高限度が定 められていない場合においては,当該空地の面積の敷地面積に対する割合が10分の2以上であるものとする。 (表省略)2項省略3項法第59条の2第1項の規定により政令で定める規模は,次の表の(い)欄に掲げる区分に応じて,同表(ろ)欄に掲げる数値とする。ただし,特定行政庁は,街区の形状,宅地の規模その他土地の状況により同欄に掲げる数値によることが不適当であると認める場合においては,規則で,同表(は)欄に掲げる数値の範囲内で,その規模を別に定めることができる。 (表省略)(3)総合設計許可準則(国土交通省住宅局長通達)第1許可方針総合設計制度は,適切な規模の敷地における土地の有効利用を推進し,併せて敷地内に日常一般に開放された空地(以下「公開空地」という。)を確保させるとともに,良好な市街地住宅の供給の )第1許可方針総合設計制度は,適切な規模の敷地における土地の有効利用を推進し,併せて敷地内に日常一般に開放された空地(以下「公開空地」という。)を確保させるとともに,良好な市街地住宅の供給の促進等良好な建築物の誘導を図り,もって市街地環境の整備改善に資することを目的とするものである。 建築基準法第59条の2第1項の許可は,第2の許可基準に従い,敷地周辺の都市施設の状況,土地の状況,建築群としての防災性,地域の特殊性等を勘案し,総合的判断に基づいて運用するものとする。 第2許可基準 建築基準法第52条第1項から第6項までの規定による容積率(基準容積率)に係る許可は次に掲げるところによるものとする。 (1)接道建築物の敷地が,原則として幅員6メートル以上(商業地域,近隣商業地域,工業地域又は工業専用地域においては8メートル以上)の道路に接しているものであること。 (2)容積率の割り増し等容積率の割増しは,公開空地の面積の敷地面積に対する割合及び建築物の敷地面積に応じて行うものとし,割増し後の容積率の限度は,基準容積率の1.5倍と基準容積率に10分の20を加えたもののうちいずれか小さいものとする。 (4)総合設計許可準則に関する技術基準(国土交通省住宅局市街地建築課長通達)第1容積率の割り増し 道路建築基準法第59条の2第1項の許可で第52条第1項から第6項までの規定よる容積率(以下「基準容積率」という。)に係るものを受けることができる建築物の敷地は,次に掲げる区分に従い,幅員が①,②又は③に掲げる数値以上である道路に接しているものとする。ただし,建築物の敷地が接する道路(法第42条第2項の規定により同条第2項の道路とみなされる道を除く。)が計画道路(法第42条第1項第4号に該当するものを除くものとし,以下「 接しているものとする。ただし,建築物の敷地が接する道路(法第42条第2項の規定により同条第2項の道路とみなされる道を除く。)が計画道路(法第42条第1項第4号に該当するものを除くものとし,以下「計画道路」という。)若しくは法第68条の7第1項の規定により指定された予定道路(以下「予定道路」という。)の区域内にあり,又は,敷地周辺の道路の状況等を勘案し,交通上,安全上,防火上及び衛生上支障がないと認められる場合は,この限りでない。 ①第一種低層住居専用地域,第二種低層住居専用地域,第一種中高層住居専用地域,第二種中高層住居専用地域,第一種住居地域,第二種住居地域,準住居地域又は準工業地域6メートル②近隣商業地域,商業地域,工業地域又は工業専用地域8メートル③用途地域の指定のない地域6メートル(5)川口市総合設計許可基準 許可準則等との関係 総合設計制度の適用については,以下に定めるもののほか,許可準則及び技術基準によるものとする。 ただし,川口市の地域特性にかんがみ,許可準則に規定する「都心居住型総合設計」の適用は行わないものとする。また,総合設計制度と他の容積割増制度との併用は認めないものとする。 適用対象とする敷地1)適用区域都市機能の回復、向上に貢献し、整備の緊急性、波及効果を考慮し、次の区域(用途地域が第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、準工業地域、近隣商業地域又は商業地域であるものに限る。)に存する敷地を対象とする。ただし、別に定める地区についてはこの限りでない。 ①1号市街地(都市再開発法(昭和44年法律第38号。以下「都市再開発法」という。)第2条の3第1項第1号に定める市街地をいう。)②2号地区(都市再開発法第2条の3第1項第2号に定める地区をいう。) 建築計画1)建 昭和44年法律第38号。以下「都市再開発法」という。)第2条の3第1項第1号に定める市街地をいう。)②2号地区(都市再開発法第2条の3第1項第2号に定める地区をいう。) 建築計画1)建築物の容積率の最高限度等①省略②2号地区内にあるものとして適用を受ける場合建築物の容積率の最高限度は,基準容積率の1.5倍又は基準容積率に10分の20を加えたもののうちいずれか小さいものとする。ただし,市街地総合設計又は再開発方針等適合総合設計にあってはこの限りではない。 2)日影規制計画建築物に,法第56条の2の規定に準じて次の①,②により日影規制を適用した場合に,それぞれ①,②に定める基準を満たしていること。 ①省略②その他の用途地域においては,平均地盤面において,敷地境界線からの水平距離が10メートル以内の範囲における日影時間及び敷地境界線からの水平距離が10メートルを超える範囲における日影時間を,埼玉県建築基準法施行条例第8条の2に定める時間以内とすること。 3)外壁の後退計画建築物の外壁又はこれに代わる柱の面から隣地境界線までの距離は,当該外壁面等が面する部分の高さの数値の平方根の1/2以上の水平距離を確保すること。 4)ないし8)省略9)風害の回避・低減計画建築物の高さが45mを超える場合には,風害による影響が実行可能な範囲内でできる限り回避され,又は低減されていることを明らかにすること。 なお本件敷地は,2号地区内ある。 争点 (1)原告適格があるか(争点1)(2)本件処分の適法性(争点2) 当事者の主張(1)争点1(原告適格があるか)について(被告の主張)原告Bについては,その居住建物から本件建築物が見える位置にはなく,本件建築物によって圧迫感を感じることはない。 原告Cについても,本 主張(1)争点1(原告適格があるか)について(被告の主張)原告Bについては,その居住建物から本件建築物が見える位置にはなく,本件建築物によって圧迫感を感じることはない。 原告Cについても,本件建築物とは約30メートル離れているため,視界全部が本件建築物によってさえぎられるものではない。 また,原告Bと原告Cについては,本件建築物の建設によって従来の日照 に影響が及ぶことはない。 (原告の主張)原告らの居住しているAは集合住宅であり,原告らはいずれもその区分所有者である。集合住宅が,隣接地の建築物により環境侵害等の被害を受ける場合に,その原因となっている行政処分の取消を求める請求は,管理組合の業務に属していないことは明らかであり,そうであるならば,個々の区分所有者が行政訴訟の原告となるべきである。 そして,このような事案の場合,原告らは一つの集合住宅の躯体全部を共有する区分所有権者として訴訟を提起するのであるから,原告らが主張できる「法律上の利益」は,個々の区分所有者の区分所有にかかる居室についてどのような影響があるかではなく,集合住宅としてのA全体が被る影響であって,原告らが共有するマンション建物全体における日照被害等の有無を基準として判断すべきである。 本件においては,原告らが共有持分権を有するAが,本件建築物による日影の影響を受ける範囲に所在していることは明らかであるし,視界が遮られる範囲が存在することも明らかである。したがって,いずれの原告も共有するマンションの躯体に関し,通風,日照,圧迫感等の環境被害を受けるものであり,原告適格を有する。 (2)争点2(本件処分の適法性)について(原告の主張)ア接道道路の確保について(ア)総合設計制度の適用に際して接道が求められる道路幅員は,総合設計許可準則の定める許可基準に 格を有する。 (2)争点2(本件処分の適法性)について(原告の主張)ア接道道路の確保について(ア)総合設計制度の適用に際して接道が求められる道路幅員は,総合設計許可準則の定める許可基準によれば最低でも6メートルとされている。 しかしながら,本件敷地が接する道路についてみると,本件南側道路は8メートルあるものの,接道の長さはわずか32メートル(敷地の周長に占める割合は6%)にすぎず,本件東側道路の幅員は,認定道路と しては7.5メートルであるが,作業所が一部占有していることから,道路として利用できる部分は7.5メートルを確保することはできず,最も狭い部分で4.6メートルしかない。そうであれば,本件東側道路は上記許可基準に違反し違法と言わざるを得ない。 なお,総合設計許可準則の定める許可基準は,接道の長さについての規定を何ら置かず,単に一定以上の幅員を有する道路に接してさえいればよいとするのものであって同許可基準自体,そもそも建築基準法59条の2の趣旨に反し,合理性を欠くものといわざるをえない。 (イ)しかも,本件東側道路は湾曲しているために,見通しが悪く,車両はどちらか一方が完全に停止しなければ対向通行できない。そして,本件計画では,居住者の駐車場への出入口は本件東側道路側を予定しているから,上記のような狭隘な道路に大量の車両が出入りを行うことになり,交通に支障が生じる可能性が高い。また,本件敷地西側は河川に面しており,北側は他の民有地に接している。このため,本件建築物において火災が発生した場合,本件東側道路が消防車の主要な進入経路となるが,高層建築の消火活動に必要なはしご車の行動は約4メートルの幅員の道路では制約され,安全,防火上危険性が高い。これらの点からすると本件処分は,総合設計制度の趣旨に反し,裁量権を逸脱して違法 となるが,高層建築の消火活動に必要なはしご車の行動は約4メートルの幅員の道路では制約され,安全,防火上危険性が高い。これらの点からすると本件処分は,総合設計制度の趣旨に反し,裁量権を逸脱して違法というべきである。 (ウ)被告は,本件東側道路は幅員7.5メートルの認定道路であるから,何ら総合設計許可準則の許可基準に反するところはないと主張する。 しかし,総合設計許可制度という,本来の許容限度を超えた容積率の建築を認める場合において,超過した容積率に起因する交通量の増大は,建築物完成時から発生することになる。また,建築基準法においても,接道要件の判断においては,現実的に通行が確保されていることが必要とされており,例外とされているのは,都市計画道路に接する場合だけ であり,その場合においても2年以内に完成が見込まれることが認定できる場合に限られている。したがって,道路幅員の認定にあたっては,現実に有効に通行できることが確保されている幅員を基準とすべきであり,被告の主張は誤りである。 イ建築物の高さを誤り,風害低減措置のないまま本件処分をした違法(ア)川口市総合設計許可基準によると,1号地区の場合は高さが45メートルまでに制限され,2号地区の場合には高さが45メートルを超える場合には,風害による影響が実行可能な範囲内で回避され,又は低減されていることを明らかにすることが義務付けられている。 本件敷地は,2号地区内にあることから,本件建築物の高さが45メートルを超える場合に,風害にかかる低減措置をとる必要がある。 しかしながら,本件建築物の高さは45メートルを超えているにもかかわらず,本件処分は高さは45メートル未満であるとして,風害にかかる措置は何ら採られないままなされたものであり,川口市総合設計許可基準に反した違法がある。 すな さは45メートルを超えているにもかかわらず,本件処分は高さは45メートル未満であるとして,風害にかかる措置は何ら採られないままなされたものであり,川口市総合設計許可基準に反した違法がある。 すなわち,建築物の高さに関しては,「建築物が地面と接する位置」の平均により算出される地盤面が基準となり,本来の地盤の上に盛土などを行うことにより,建築物が「地面と接する位置」を変えることは脱法行為というべきであり,適切と考えられる位置をもって「地面と接する位置」と扱うべきである。 これを本件建築物についてみると,本件建築物の地盤面は,建築物の高さを意図的に低くするために盛土を12センチメートル行ったのである。したがって,本件敷地の地盤面にかかる「地面と接する位置」は,12センチメートルの盛土を除いた位置と考えるべきであり,そうすると本件建築物の高さは44.95メートルに12センチメートルを加えた45.07メートルとなる。これは,川口市総合設計許可基準の45 メートルを超えるものである。 ウ周辺住民の生活権の侵害(ア)日照権の侵害参加人は,本件建築物に隣接する敷地にもマンション建築計画を立てているところ,これらのマンションは,一部設備を共通利用させるなど,一連の事業として建築されるものである。両マンションにより,Aの住民は,ほとんど日照を奪われる。 (イ)風害等本件建築物は,屏風型建築物であるが,同様に準工業地域に建てられた15階建ての建物が,風圧を引き起こし,近所の店舗のシャッターが開かないなどの被害をもたらしていることからすれば,本件建築物付近においても,風害がもたらされることになる。 また、電波障害も発生することになる。 (ウ)その他本件建築物が建築されることにより,以下のような問題点が生じることになる。 a浮浪者を呼び込 物付近においても,風害がもたらされることになる。 また、電波障害も発生することになる。 (ウ)その他本件建築物が建築されることにより,以下のような問題点が生じることになる。 a浮浪者を呼び込むことになる。 b近隣の公開空地の照明により,かえって犯罪を誘発することになる。 c近隣の公開空地の照明により植物が育たなくなる。 d歩行者やたむろする人の声が両建物により反響し,最上階まで届く騒音公害が発生する。 e植物の管理が不十分な為に,落ち葉の散乱や害虫の発生することになる。 f公開空地のために消防車が横付けできない。 (エ)上記(ア)ないし(ウ)の事由を考慮すれば,本件計画は何ら市街地環境の整備改善に資するものではなく,総合設計の許可を認めるべき事由 を欠いている。 エ以上のとおり,本件処分は,建築基準法59条の2ないし川口市総合設計許可基準に反し,違法である。 (被告の主張)ア本件処分は,総合設計許可準則の許可基準ないし川口市総合設計許可基準に従ってなされた適法なものである。 イ接道の確保について総合設計許可制度における接道すべき道路は,建築基準法上の道路であり,その幅員は認定幅員を基準とすべきである。本件東側道路は,建築基準法42条1項1号に該当する道路であり,道路法による認定幅員は7. 5メートルである。よって,本件東側道路は総合設計許可準則の許可基準を満たしている接道道路である。 なお,現在はDの作業所部分が本件東側道路の一部を占有しているが,その部分は約200メートルの道路のうちの約27メートルにすぎない。 現実の幅員についても同作業所の角の部分は4.85メートルであるものの,その余の道路敷地部分については約5メートル以上が確保されており,同作業所が本件道路を占有している部分の周辺においても,車両の通行に支 員についても同作業所の角の部分は4.85メートルであるものの,その余の道路敷地部分については約5メートル以上が確保されており,同作業所が本件道路を占有している部分の周辺においても,車両の通行に支障はない。 加えて,本件計画によれば,本件敷地内にはこの認定道路に沿って幅4メートルの歩道状空地が整備されること,本件敷地は南側で幅員8メートルの道路に接していることを考え併せると,本件計画は十分に接道条件を満たしており,交通上,安全上,防火上支障のないものであることは明らかである。 ウ建築物の高さ及び風害軽減措置について一般に,建物は,その水はけの関係から道路面や建物周辺の土地と比し,その地盤面が高くなっている必要がある(建築基準法19条)。本件にお いて,建築物の地盤面が敷地内の低部より300ミリメートル上がっていたとしても,そのこと自体が特段不合理であったり,不自然であったりするものではない。 よって,建築物の高さを44.87メートルと判断したことに誤りはなく,参加人が風害軽減措置を採っていないからといって,そのことが川口市総合設計許可準則に違反しているとはいえない。 エ周辺住民の生活権侵害に関して争う。 なお,本件処分については,消防署長も同意し,防災上も支障はない。 (参加人の主張)ア建築基準法19条において,建築物の敷地は,これに接する道路の境より高くなければならず,建築物の地盤面は,これに接する土地より高くなければならないと規定されている。 イ本件計画では,建物と本件東側道路の間の空地を公開空地としており,その公共的な位置づけから,道路と大きな段差を持たない計画とされている。これにより,空地の勾配は道路際より敷地中程に向かって下がる勾配となるので,雨水排水は敷地中程で集水する計画とし,駐車場基礎部分に500立方メー けから,道路と大きな段差を持たない計画とされている。これにより,空地の勾配は道路際より敷地中程に向かって下がる勾配となるので,雨水排水は敷地中程で集水する計画とし,駐車場基礎部分に500立方メートルの雨水貯留槽,140立方メートルの汚水槽を設け,雨水,汚水系統共に建物東側の公開空地に集中させている。このため,仮に,許容限度を超えた大雨が降った場合,本件東側道路より先に建物東側の空地が浸水することになり,本件東側道路自体の雨水排水を含め,敷地内に雨水が流れ込む状態となり,建築基準法19条で定めるとおり,道路より高い位置に建物の基準面を設定しなければ,雨水が建物へ侵入することになる。本件計画では,建物への雨水の浸入防止,防湿を目的として,建物東側の地盤を道路から,居住棟で250ミリメートル,駐車場棟で300ミリメートルの高さに設定しているが,これは建築基準法の趣旨に沿 うものであり,何らの不自然さはない。かえって,本件において,盛土が存在しない高さを前提とすると,本件建築物は,建築基準法19条に反することになり,およそ建築できないことになる。 加えて,本件建築物の高さは,原告ら主張のごとく「風害対策の不要な45メートルぎりぎりの数値」ではなく,50センチメートル以上も余裕のあるものである。したがって,本件敷地における盛土は,風害対策を回避するための意図的盛土ではなく,必要かつ合理的な範囲のものである。 ウなお,本件建築物には一部44.95メートルの高さとなる部分もあるが,これは,本件建築物中南端の最上階の屋上部分に二重屋根を設置した部分に限られるものであって,わずかこの一戸の建築物のために余計な盛土をしたということは全くない。むしろ,真にその必要があるならば,この二重屋根を設計変更することにより,12センチメートルの高さ調整は十 限られるものであって,わずかこの一戸の建築物のために余計な盛土をしたということは全くない。むしろ,真にその必要があるならば,この二重屋根を設計変更することにより,12センチメートルの高さ調整は十二分に可能である。 以上によれば,本件処分において,川口市総合設計許可基準における対象建築物の高さを誤った違法はない。 第3争点に対する判断 争点1(原告適格があるか)について(1)建築基準法59条の2が容積率の制限をこえる建築物の建築につき,一定規模以上の広さの敷地を有し,かつ敷地内に一定規模以上の空地を有すること等の要件を満たす場合に容積率の制限を緩和するとしているのは,当該建築物及びその周辺の建築物における日照,通風,採光等を良好に保つなど快適な居住環境を確保することができるようにするとともに,地震,火災等により当該建築物が倒壊,炎上するなど万一の事態が生じた場合,その周辺の建築物やその居住者に重大な被害が及ぶことがないようにするためである。 したがって,同法は,建築物の倒壊,炎上等による被害が直接的に及ぶことが想定される周辺の一定範囲の地域に存する他の建築物についてその居住者 の生命,身体の安全など及び財産としてのその建築物を,個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むものと解すべきであり,総合設計許可に係る建築物の倒壊,炎上等により直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に存する建築物に居住し,又はこれを所有する者は,総合設計許可の取消を求めるにつき法律上の利益を有する者として,取消訴訟における原告適格を有するというべきである。 (2)本件において,原告らはいずれもAに居住する者であるが,同建物の敷地と本件敷地とは本件東側道路(認定幅員7.5メートル)を隔てているにすぎず,高さ約44メートルの本件建築 というべきである。 (2)本件において,原告らはいずれもAに居住する者であるが,同建物の敷地と本件敷地とは本件東側道路(認定幅員7.5メートル)を隔てているにすぎず,高さ約44メートルの本件建築物が倒壊,炎上した場合,原告ら居住建物に直接的に被害が及ぶことは容易に予想できるところである。 (3)したがって,原告らは,本件処分の取消を求めるにつき法律上の利益を有する者にあたり,原告適格を有するというべきである。 争点2(本件処分の適法性)について(1)本件処分は,建築基準法59条の2に基づくものであるが,同条は,特定行政庁が計画建設物に対する容積率,斜線制限等を緩和するについて,①その敷地内に政令で定める空地を有し,かつ,その敷地面積が政令で定める規模以上の建築物であること,②交通上,安全上,防火上及び衛生上支障がなく,かつ,その建築面積の敷地面積に対する割合,延面積に対する割合及び各部分の高さについて総合的な配慮がなされていることにより市街地の環境の整備改善に資すると認められることという要件を課している。 アそこで,まず本件処分が上記①の要件を満たしているか否かを検討するに,本件敷地は角地であり,本件建築物は,準工業地域内の建築物であるところ(甲5),建築基準法施行令136条,建築基準法53条1項,3項によれば,①の空地とは,敷地面積の5割以上の空地をいい,また,①にいう敷地規模は,2000平方メートル以上(ただし,規則で500平方メートル以上と定めることもできる)であることを要するとされている。 したがって,本件土地の面積が1万1249.12平方メートルで,本件建築物の建築面積が5429.88平方メートルであること(甲4)からすると,空地面積は5819.24平方メートルとなり,その敷地面積に対する割合は51.73%で 万1249.12平方メートルで,本件建築物の建築面積が5429.88平方メートルであること(甲4)からすると,空地面積は5819.24平方メートルとなり,その敷地面積に対する割合は51.73%であるから,本件の場合,①の要件は満たされているということができる。 イ次に,②の要件につき検討する。 (ア)②の要件は,「総合的な配慮」,「市街地の環境の整備改善に資する」という抽象的な文言を含むものであり,その有無の判断については,特定行政庁に比較的広範な裁量権が与えられていると解されるところ,川口市は総合設計許可準則に定める許可基準及び総合設計許可準則に関する技術基準に準拠して川口市総合設計許可基準(甲8)を定めている。 そうすると,川口市総合設計許可基準(以下、「許可基準」という。 以後、許可基準という場合は、総合設計許可準則及び総合設計許可準則に関する技術基準も含むものとする。)が法59条の2の趣旨に照らして合理性を有するものであり,かつ,本件建築物が同許可基準の各規定に適合している場合には,特段の事情のない限り,特定行政庁である川口市長のした本件処分は,裁量権の範囲内にあるものとして適法というべきである。 そこで,許可基準に合理性があるか及び本件建築物が許可基準に適合するものか検討する(ただし,ここでは本件処分と直接関係する,準工業地域における容積率の緩和に関する基準が主な検討の対象となる)。 (イ)許可基準の内容許可基準は,容積率の緩和について,まず敷地条件につき,法令の定める空地率及び敷地規模の要件を満たしたうえ,さらに,原則として幅員6メートル以上の道路に接していること(ただし,敷地周辺の道路の状況等を勘案し,交通上,安全上,防火上及び衛生上支障がないと認め られる場合等はこの限りでないとされている),「隣地境界線から 員6メートル以上の道路に接していること(ただし,敷地周辺の道路の状況等を勘案し,交通上,安全上,防火上及び衛生上支障がないと認め られる場合等はこの限りでないとされている),「隣地境界線からの建築物の外壁の後退距離は,原則として,当該部分の高さの数値の平方根の2分の1以上の水平距離を確保すること等を要求し,公開空地については,これを歩行者が日常自由に通行し,又は利用できるものであること等と定義したうえ,容積率の割増しについて,基本的には,敷地面積に対する有効公開空地面積の割合のうち,0.1をこえる部分に一定の割増係数を乗じた数値を算出し,これを敷地面積及び基準容積率に乗じることによって割増面積を算出することとし,基準容積率の1.5倍,又は基準容積率に10分の20を加えたもののうちいずれか小さいものを割増の最高限度とするとしている。 (ウ)許可基準の合理性の有無法59条の2のいわゆる総合設計許可制度は,土地の有効利用を図る一方,オープンスペースを確保することにより,都市環境の整備改善を図ろうとした制度と解されるところ,許可基準は,容積率制限緩和に関しては,敷地についての要件を加重したうえ,一般の用に供することのできる公開空地の提供を条件に,その空地の割合に応じて容積の割増を認めているものであって,その基準は,上記の趣旨に照らし,合理性を有するものということができる。 この点,原告らは,上記許可基準は,接道に関し,その幅員を要求したのみで接道の長さにつき何ら規定しておらず,合理性がないと主張し,同許可基準には接道の長さの定めを置いていないことは原告らの主張のとおりであるが,同許可基準がこれについては規定を置いていないのは,特定行政庁の健全な裁量に委ねたものと解されるのであって,接道の長さを特定行政庁の裁量に委ねたことが直ちに ないことは原告らの主張のとおりであるが,同許可基準がこれについては規定を置いていないのは,特定行政庁の健全な裁量に委ねたものと解されるのであって,接道の長さを特定行政庁の裁量に委ねたことが直ちに同許可基準の合理性を失わせるものということはできない。 (エ)許可基準への適合性 本件敷地は,本件東側道路及び本件南側道路に接していることは上記第2の2(2)記載のとおりである。そして,隣地境界線からの後退距離の関係で問題となるのは,本件敷地上の駐車場建物部分であるが,同建物の最高の高さは13.37メートルであり,その平方根の2分の1は1. 828メートルであるところ,甲第5号証の図面(縮尺600分の1)によれば,隣地境界線に最も近い部分において,境界線からの距離が約6メートルあることが認められるから,後退距離の基準を満たしているといえる。 また,歩行者が日常自由に通行し,利用できる歩道状空地が本件東側道路に沿って設けられることが計画されていることは上記第2の2(3)記載のとおりであり,上記公開空地に関する条件も満たしているといえる。 本件敷地の基準容積率(建築基準法52条による容積率)は,200%であるところ,容積率253.52%は許可基準により最高限度とされる基準容積率の1.5倍である300%の範囲内であるから,これを満たしていることが認められ,かつ,上記緩和後の容積率が公開空地の面積に基づく計算に従って算出されたものであることに特段の争いはなく,容積率の緩和は許可基準に抵触するものではない。 したがって,本件処分は,許可基準に従ってなされたものということができる。 オところで,原告らは,本件東側道路は6メートル確保されていないのであるから,許可基準に違反している旨主張するのでこの点について検討する。 (ア)第2,2争いのない事 ものということができる。 オところで,原告らは,本件東側道路は6メートル確保されていないのであるから,許可基準に違反している旨主張するのでこの点について検討する。 (ア)第2,2争いのない事実等及び証拠(甲7,13,15の2,乙1,2)によれば,本件東側道路の認定幅員は東側が7.5メートル,本件南側道路の幅員は8メートルであり,本件東側道路は約200メートル,本件南側道路は約32メートルの長さで本件敷地に接していること,他 方,本件東側道路の一部にはDの建物が突出して建設されており,最も狭い部分で現況幅員は4.41メートル(アスファルト部分は約4メートル)となっていること,また,本件東側道路はゆるいS字型のカーブを描いていることが認められる。 (イ)ところで,上記のとおり,許可基準によれば総合設計許可による容積率の緩和を受けるためには,その敷地が原則幅員6メートル以上の道路に接しているものであること,また,準工業地域である本件敷地については6メートル以上の道路に接していることが必要とされ,例外的に敷地周辺の道路の状況等を勘案し,交通上,安全上,防火上,及び衛生上支障がないと認められる場合はこの限りではないと規定されている。 (ウ)この点,許可基準には,道路,幅員についての定義が何らおかれていないが,総合設計許可制度が建築基準法に基づく制度であることからすれば,道路とは建築基準法上の道路を指していると解すべきである。 そして,建築基準法42条1項の道路には,未だ道路としての供用が開始されていない計画道路も含まれることからすれば,接道すべき道路の現実の幅員が6メートル以上であることまで許可基準が要求しているとは認めがたい。また,許可基準が容積率の緩和にあたって接道要件を課したのは,幅員の小さい道路は,自然発生的な線形の悪いも すべき道路の現実の幅員が6メートル以上であることまで許可基準が要求しているとは認めがたい。また,許可基準が容積率の緩和にあたって接道要件を課したのは,幅員の小さい道路は,自然発生的な線形の悪いものが多く,将来とも現状のままで固定してしまうことが望ましくないこと,細街路まで高容積の建築物が立地すれば,道路交通等の面で環境悪化をもたらすおそれがあることによると解されるところ,道路法上の認定幅員が許可基準で要求する幅員(本件においては6メートル)を超えていれば,高容積の建築物の建設が許可されることにより,将来的にも幅員の小さい道路が現状で固定化してしまうおそれはない。そうであれば,許可基準は,敷地の接する道路の幅員の認定にあたって,道路法上の認定をもとに判断すれば足りるとし,それ以上の要件を課していないとみるべき である。 そうすると,本件東側道路は幅員7.5メートルの道路に接していることになり,接道要件を満たしているといえる。 (エ)したがって,原告らの上記主張は採用できない。 カ次に,原告らは,本件処分は,許可基準の風害の回避低減に関する規定に反すると主張するので,この点について判断する。 (ア)許可基準によれば,許可申請にあたり,本件敷地の含まれる2号地区においては建築物の高さが45メートルを超える場合,風害による影響が実行可能な範囲内で回避され,又は低減されていることを明らかにすることが必要とされている。 (イ)そこで,本件建築物が高さ45メートルを超え,風害対策の必要とされる場合にあたるか検討するところ,甲第4号証及び乙第4号証によれば,本件建築物の高さは最高部分で44.87メートルであることが認められ,風害対策の必要とされる場合にあたらない(なお,総合設計許可申請の前である平成17年9月に作成された近隣住民への案内 証によれば,本件建築物の高さは最高部分で44.87メートルであることが認められ,風害対策の必要とされる場合にあたらない(なお,総合設計許可申請の前である平成17年9月に作成された近隣住民への案内(甲5)では,建築物の高さは44.95メートルとされているが,これは設計時に設定していた地盤面からの高さと推認されるところ,乙第3号証によれば,本件建築物の平均地盤面は,設計地盤面より80ミリメートル高く設定されたことが認められる。そして建築基準法施行令2条2項によれば,建築物の高さは地盤面から測るとされており,地盤面とは,建築物が周囲の地面と接する位置の平均の高さをいうと解されている。 そうすると,建築基準法上の建築物の高さは44.87メートルと評価することになる。)(ウ)この点,原告らは,参加人は,建築物自体の高さを意図的に低くするため,不必要な盛土を行っているから,不必要な盛土を除いた適切な位置を,建築物の高さの基準となる「地面と接する位置」として高さを 評価すべきとし,本件においては12センチメートルの不必要な盛土がなされているから,本件建築物の高さは風害対策が必要な高さ45メートルを超えていると主張する。 確かに,盛土をした後の地盤面を前提に「建築物が周囲の地面と接する位置」と認定できるとすると,建築主は,地盤の造成を行うことにより,「建築物が周囲の地面と接する位置」を自由に操作することができ,建築物の高さに基づく法の規制を容易に潜脱できることになる。そこで,このような脱法行為と認められる場合には,これを前提とした地盤面を「建築物が周囲の地面と接する位置」と認定すべきでない。 他方,建築基準法19条は建築物の衛生,排水を考慮し,建築物の地盤面はこれに接する土地より高くなければならないと定めていることからすれば,敷地の形状, が周囲の地面と接する位置」と認定すべきでない。 他方,建築基準法19条は建築物の衛生,排水を考慮し,建築物の地盤面はこれに接する土地より高くなければならないと定めていることからすれば,敷地の形状,周囲の状況を勘案し,敷地からの排水経路・避難経路の確保,基礎の保護等のために一般的に必要な高さを著しく超えた場合に限り,脱法行為として「建築物が周囲の地面と接する位置」の認定にあたり,これを除外した適切な位置を設定できると解すべきである。 (エ)これを本件についてみると,乙第3号証によれば,本件建築物の地盤面は,本件敷地に接する本件東側道路との境(この高さを+50ミリメートルとする。なお,丙第1号証2頁には東側道路-50ミリメートルを基準として作成したとの記載があるが,同頁において建物東側の地盤を道路から居住棟で250ミリメートル,駐車場棟で300ミリメートルの高さに設定したとの記載があること,3頁において,駐車場棟地盤レベル+300を+50に置換すると,道路と同じ高さになる,エントランス棟地盤レベル+300を±0に置換すると,道路より低い位置となる等の記載があることから,合理的に考えれば,東側道路の境を+50ミリメートルとしたものと推認される。)を基準とすると,エント ランスホール棟部分において+300ミリメートル,居住棟部分において+300ミリメートル,駐車場部分において+350ミリメートルの高さに設定されていることが認められる。これらの数値から,本件建築物の地盤面における盛土の有無及びその程度は必ずしも明らかではないが,上記数値が本件東側道路の境を基準として算出された数値であって,盛土がなされたとすれば,最大で,本件東側道路地盤面より30センチメートル前後高くする限度でなされたと推認される。しかし,本件東側道路からの雨水の流 東側道路の境を基準として算出された数値であって,盛土がなされたとすれば,最大で,本件東側道路地盤面より30センチメートル前後高くする限度でなされたと推認される。しかし,本件東側道路からの雨水の流入等を防ぎ,敷地内の衛生を保つ必要性をかんがみれば,約30センチメートルの盛土が一般的に必要な盛土の高さを著しく超えているということはできない。 したがって,本件建築物の高さは,本件にかかる許可申請書(甲4,乙4)記載のとおり,44.87メートルと評価すべきであり,許可基準によって,風害対策が義務づけられる建物ということはできず,原告らの主張は採用できないない。 (オ)以上のとおりであるから,本件処分は風害の回避低減に関する基準に何ら反するところはない。 キ次に,原告らは,接道の確保が十分でないこと,日照をはじめとする周辺住民の生活権を害することを理由に,本件処分には,特定行政庁の裁量権の逸脱があるとみるべき特段の事情があると主張するので,以下検討する。 (ア)接道について上記のとおり,本件東側道路は許可基準等の接道要件の規定には反していないとしても,本件東側道路の現況幅員が最低4.41メートルであること等が,「交通上,防災上,安全に支障がない」と判断した本件処分に裁量の逸脱があったといえるかについて検討する。 この点,上記のとおり,本件敷地は角地であり,東側と南側2つの道 路に接しており,南側道路の幅員は8メートルであること,東側道路の一部は6メートルが確保されていないが,認定幅員は7.5メートルであり,将来的にはセットバックにより6メートル以上の幅員が確保されると考えられること,本件敷地内に歩道状空地が設けられ,一般歩行者の通行が可能となること,確かに本件建築物が356戸の共同住宅であること(甲4)からすれば,居住者の出入りに トル以上の幅員が確保されると考えられること,本件敷地内に歩道状空地が設けられ,一般歩行者の通行が可能となること,確かに本件建築物が356戸の共同住宅であること(甲4)からすれば,居住者の出入りにより,出入り口として想定されている本件東側道路の交通量は増加されることが見込まれるが,本件東側道路沿いの建築物は住居が主であること(甲14),本件東側道路は大型車両の通行が禁止されており,南北を結ぶ道路としては東側道路の東側に国道122号線があることからすれば(甲16),本件東側道路を利用するのは東側道路ぞいの居住者等が主であり,通り抜けに利用する車両の増加はさほど多くならないとと推認されること,消防署長が本件処分に同意していること(甲4)等を併せかんがみれば,周辺地域の交通や防災,安全に悪影響があるとまでは認められず,上記の事実をもって,本件処分をするにつき,川口市長に裁量権の逸脱があったと認めることはできない。 (イ)日照被害についてaさらに,原告らは,本件建築物により,日照が害されることをもって,本件処分は,総合的な配慮を欠き,違法であると主張するので,これにつき検討する。 b甲第11号証によれば,原告らの居住するAにおいて,本件建築物が建築された際には,冬至に,0メートルの高さで午後3時から午後4時まで,春秋分において午後2時から午後4時まで,夏至において午後3時から午後4時まで日影が生じることが認められる。 しかしながら,本件敷地を含む周辺地域は準工業地域であるところ,第一種低層住居専用地域,第一種中高層住居専用地域等に比して日照 の保護の期待できない地域である。また,許可基準による日影規制は,準工業地域の場合,冬至における日影時間につき,平均地盤面において,敷地境界線からの水平距離が10メートル以内の範囲における日 の保護の期待できない地域である。また,許可基準による日影規制は,準工業地域の場合,冬至における日影時間につき,平均地盤面において,敷地境界線からの水平距離が10メートル以内の範囲における日影時間を5時間以内,水平距離が10メートルを超える範囲内における日影時間を3時間以内と定めており,かかる規定は地盤面における日影の時間を規制している点で,法の定める日影規制よりも厳しいものということができるところ,上記認定によれば,本件建築物は上記の厳格な規制に適合しているということができる。さらに,本件建築物は南北に長い構造であるところ,本件建築物は本件敷地の西寄りに建築される予定であるから,敷地東側に建築されている建物に生じる日影については可能な限り軽減されているというべきである。加えて本件処分により,本件敷地内に,東側道路に接する形で歩行者が通行可能な空地が設置される利益をかんがみれば,上記のとおり日影が生じたとしても,受忍限度内にあるというべきである。 cなお,原告らは,同一施主により,本件建築物の南側に建築されるEの建設により生じる日影も考慮すべきと主張するが,総合設計許可による容積率緩和は各建築物ごとに判断されるものであるから,近隣地域における他の建築物との複合的な日影の影響について判断しなかったからといって直ちに裁量権を逸脱したということはできない。仮に複合的な日影を考慮したとしても,原告らの主張によっても,Aのほとんどの住居の冬至における日影時間は許可基準に定める3時間以内にとどまるものであり,上記のとおり,総合設計許可によるオープンスペースの確保という利益が生じることをもかんがみれば,本件処分は裁量の範囲にとどまるものというべきである。 (ウ)その他原告らは,その他電波障害等,本件処分により生じうる不利益を縷々 プンスペースの確保という利益が生じることをもかんがみれば,本件処分は裁量の範囲にとどまるものというべきである。 (ウ)その他原告らは,その他電波障害等,本件処分により生じうる不利益を縷々 主張するが,いずれもその発生の有無及び程度が明らかでなく,これを認めるに足りない。 ク以上によれば,本件処分において裁量権の逸脱を認めるに足りる特段の事情はない。 結論 よって,原告らの請求には理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。 さいたま地方裁判所第4民事部裁判長裁判官遠山廣直裁判官富永良朗裁判官久米玲子 (別紙添付省略)

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