主文 本件訴えのうち,大阪府公安委員会が道路交通法施行令33条の2第1項1号イ,別表第二に定めるところにより付した点数の合計が4点であることの確認を求める部分を却下する。 原告のその余の請求を棄却する。 訴訟費用は,原告の負担とする。 事実 及び理由第1請求 自動車又は原動機付自転車の運転に関し道路交通法若しくは同法に基づく命令の規定又は同法の規定に基づく処分に違反する行為で道路交通法施行令別表第二の一の表の上欄に掲げるもの(ただし,同施行令33条の2第2項6号によって除外されるものを除く。)に対し,大阪府公安委員会が同法施行令33条の2第1項1号イ,別表第二に定めるところにより付した点数の合計が4点であることを確認する。 被告は,原告に対し,150万円及びこれに対する平成18年5月27日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2事案の概要本件は,大阪府公安委員会より普通自動車免許の交付を受けている原告が,座席ベルトを装着しないで普通乗用自動車を運転していたとして違反を告知され,同委員会から道路交通法(以下「法」という。)71条の3第1項,同法施行令(以下「令」という。)別表第二に基づいて基礎点数1点を付されたことに対し,上記告知は取締りに当たった警察官の明白な誤認によるものであるとして,これによって付加された点数が無効であることの確認,及び,上記警察官による違法な取締行為により精神的苦痛等の損害を被ったとして,150万円及びこれに対する違法行為の当日であると主張する平成18年5月27日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を,上記委員会及び上記警察官の帰属主体である被告に対しそれぞれ求めた公法上の当事 者訴訟(行訴法4条)及び国家賠償請求訴訟(国賠法1条)に係 払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を,上記委員会及び上記警察官の帰属主体である被告に対しそれぞれ求めた公法上の当事 者訴訟(行訴法4条)及び国家賠償請求訴訟(国賠法1条)に係る事案である。 法令の規定(1)法71条の3第1項は,原則として,自動車(大型自動二輪車及び普通自動二輪車を除く。)の運転者は,道路運送車両法第3章及びこれに基づく命令の規定により当該自動車に備えなければならないこととされている座席ベルトを装着しないで自動車を運転(このような運転行為を,以下「座席ベルト装着義務違反」という。)してはならない旨規定する。もっとも,座席ベルト装着義務違反は法第8章の定める罰則の対象とはなっておらず,したがって,法125条1項の定める反則行為にも該当しない。 (2)法103条1項柱書は,免許を受けた者が各号列記事由のいずれかに該当することとなったときは,その者が当該各号のいずれかに該当することとなった時におけるその者の住所地を管轄する公安委員会(法114条の2第1項により権限の委任が行われた場合には,警視総監又は道府県警察本部長。 委任があった場合を含めて以下「公安委員会等」という。)は,政令で定める基準に従い,その者の免許を取り消し,又は6月を超えない範囲内で期間を定めて免許の効力を停止することができるとし,同項5号は,自動車等の運転に関し法若しくは法に基づく命令の規定又は法の規定に基づく処分に違反したときを挙げる。そして,令38条5項1号及び同項2号の各イ,別表第三は,免許を受けた者で前歴がない者が,違反行為(自動車等の運転に関し法若しくは法に基づく命令の規定又は法の規定に基づく処分に違反する行為で令別表第二の一の表の上欄に掲げるものをいう。)を行ったことにより法103条1項5号に該当することとなった場 動車等の運転に関し法若しくは法に基づく命令の規定又は法の規定に基づく処分に違反する行為で令別表第二の一の表の上欄に掲げるものをいう。)を行ったことにより法103条1項5号に該当することとなった場合についての同項の政令で定める基準として,当該違反行為に係る累積点数(当該違反行為及び当該違反行為をした日を起算日とする過去3年以内におけるその他の違反行為のそれぞれについて令別表第二に定めるところにより付した点数の合計をいう。)が15点以上に該当したときは免許を取り消し,6点ないし14点に該当したときは免許の効力を停止する旨定める。そして,令33条の2第2項は, 上記「その他の違反行為」には,累積点数に係る当該違反行為をした時において,別表第二に定めるところにより付した点数が3点以下となる違反行為(以下「軽微な違反行為」という。)をした者で,当該軽微な違反行為をした日において免許を受けていた期間(過去3年以内のものに限る。)が通算して2年に達しており,かつ,当該2年の期間の初日に当たる日から当該軽微な違反行為をするまでの間に違反行為をしたことがないもののうち,当該軽微な違反行為をした後免許を受けていた期間が通算して3月に達しており,かつ,当該3月に達した日までの間に違反行為をしたことがないものについては,当該軽微な違反行為を含まないことなどを定める。そして,令別表第二は,座席ベルト装着義務違反の基礎点数を1点と定めている。 また,令別表第三の備考一は,前歴とは,累積点数に係る当該違反行為をした日を起算日とする過去3年以内において違反行為をしたことを理由として免許の取消し,免許の効力の停止若しくは自動車等の運転の禁止の処分を受け又は違反行為に係る累積点数が一定の点数に該当したこと等をいうなどと定めている。 (3)なお,累積点数が所定の点 を理由として免許の取消し,免許の効力の停止若しくは自動車等の運転の禁止の処分を受け又は違反行為に係る累積点数が一定の点数に該当したこと等をいうなどと定めている。 (3)なお,累積点数が所定の点数に達しているか否かは,運転免許の取消し又は効力停止のほか,自動車運転等の禁止(法75条の2第1項,令26条の7),運転免許の拒否又は保留(法90条1項ただし書,令33条の2第1項),運転免許の欠格期間の指定(法103条6項,令38条6項)及び国際運転免許証等に係る自動車等の運転の禁止(法107条の5第1項,令40条)等の各基準になっている。そして,累積点数については,自動車安全運転センター法(昭和50年法律第57号)29条,同法施行規則8条に基づき,前歴がない者は4点又は5点,前歴が1回の者は2点又は3点に達した場合に,その旨が書面で通知されることが規定されている。 前提となる事実等(当事者間に争いがないか,掲記の書証等によって容易に認定することができる。なお,書証は特に断らない限り枝番を含む。)(1)当事者等 ア原告は,平成16年2月6日,大阪府公安委員会から普通自動車免許の交付を受け,普通乗用自動車(紺色の○○「○○」・登録番号大阪××××××××,以下「原告車」という。)を運転している。上記普通自動車免許の有効期間は3年(平成19年3月21日まで有効)であった。 イ原告には,令別表第三,備考一に規定する前歴はない。また,平成18年5月26日時点における原告に対する累積点数は,2点であった。【甲2】(2)原告に対する取締り当日(平成18年5月27日)の経緯ア大阪府警察枚方警察署地域課地域第一係は,当日午後3時50分ころから,A警部補の指揮の下に,B巡査部長,C巡査長,D巡査長及びE巡査の5名で,枚方市α×番付近を東か 平成18年5月27日)の経緯ア大阪府警察枚方警察署地域課地域第一係は,当日午後3時50分ころから,A警部補の指揮の下に,B巡査部長,C巡査長,D巡査長及びE巡査の5名で,枚方市α×番付近を東から西に向かう道路(枚方市道楠葉中央線,以下「本件道路」という。)上において,座席ベルト装着義務違反に対する取締りに従事していた。本件道路周辺の地図は,別紙のとおりである(もっとも,E巡査の佇立位置については,原告の主張からするとより東側であった可能性がある。)。本件道路は,2車線で交通量は多く,最高速度が時速40キロメートルと指定されている。【乙3】イ原告は,当日午後4時ころ,別紙記載のβ交差点を右折し,本件道路の第2通行帯を東から西に向かって時速約20キロメートルで原告車を運転していた。原告車の助手席には,訴外F(以下「F」という。)が同乗しており,同人は,γロータリーで下車する予定であった。原告は,当時,細いストライプの入った白色のカッターシャツを着用しており,原告車の座席ベルトは濃い灰色であった。A警部補は,この時,別紙「A警部補佇立位置」と記載のある地点において,原告による座席ベルト装着義務違反(以下「本件違反」という。)を現認したとの認識に基づき,原告車の車名,塗色等を車両停止係のE巡査に無線連絡して,原告車を停止させるよう指示した。【甲6,証人F】ウA警部補からの指示を受けたE巡査が原告に停車を命じたものの,原告 車は,若干の時間が経過した後に停車した。E巡査は,原告車が停車した際,原告とFとが共に座席ベルトを装着しているのを現認した。E巡査が,原告に対し「座席ベルト装着義務違反です。」と申し向けると,原告は,「見て下さい。シートベルトしてますけど。」と申し立て,Fも,「ちゃんとしていましたよ。」と申し立てたため,E巡 認した。E巡査が,原告に対し「座席ベルト装着義務違反です。」と申し向けると,原告は,「見て下さい。シートベルトしてますけど。」と申し立て,Fも,「ちゃんとしていましたよ。」と申し立てたため,E巡査は,原告が本件違反を否認している旨をA警部補に連絡した。 エE巡査からの連絡を受けて原告のところへ駆けつけてきたA警部補は,原告に対し,「私があなたの車を見ていました。」「直近で見てシートベルトをされていなかったので,こちらの警察官にこの車を停止させるよう指示しました。」と告げたところ,原告は,「シートベルトはしていましたよ。私の横に乗っているこの人も,私がシートベルトをしていたと言ってくれているし,私がシートベルトをしていたのに間違いはありませんよ。 切符を切られる理由はありませんよ。」と申し立てた。これに対し,A警部補は,「私はあなたがシートベルトをしないで走行していたことから注意してじっと見ていました。あなたの上着の色からして,こんな黒色のシートベルトをしていたら,すぐに分かります。」と応じるとともに,原告に運転免許の提示を求め,また点数切符の制度について説明したが,原告は,「絶対に認めへん。」と申し立てたので,A警部補は,現場から約50メートル先にあるδ交番までの任意同行を求めたところ,原告はこれに応じた。 オA警部補は,δ交番において,原告に対し,作成した点数切符の内容及び点数1点が付される旨を説明し,さらに「違反を認めたくなければ,サインはしなくても構いません。」との説明を行い,大阪府警察点数切符処理規程(昭和50年本部訓令第19号)に基づく点数切符(告知票)を交付したところ,原告は,これを黙って受け取った。しかしながら,原告は,点数切符(報告票)の自認書欄に署名・指印を拒否しており,かつ,「認めへんからな。裁判して弁護士 )に基づく点数切符(告知票)を交付したところ,原告は,これを黙って受け取った。しかしながら,原告は,点数切符(報告票)の自認書欄に署名・指印を拒否しており,かつ,「認めへんからな。裁判して弁護士を立てても,認められへんもんは,認めへ ん。」などと述べ,否認の意思も変えなかったことから,A警部補は,D巡査長に命じ,原告の供述調書を作成させた。なお,Fは,午後5時ころ,上記交番から1人で先に帰った。【甲5,乙2】(3)その後の経緯ア原告は,平成18年5月末ころ,枚方警察署に出向き,担当の警察官に対し,本件違反による検挙は単純な誤認だから是正するよう求めたが,上記警察官からは,A警部補が間違いない旨主張しているので,裁判でしか対応できないと言われた。 イ原告は,本件違反により基礎点数1点を付され,遅くとも平成18年6月13日までに,当該点数が警察庁の情報処理センターに登録された。 【甲2】ウ原告は,平成18年8月20日における違反行為(信号無視)により基礎点数2点を付された。その結果,同年11月24日の時点において,原告に係る運転記録証明書の記載は以下のとおりとなっていた。 「行政処分の前歴0回累積点数5点年月日内容点数平成14年3月2日○座席ベルト装着義務違反1点平成16年8月2日○速度超過(20以上25未満)指定2点平成17年9月27日信号無視(赤色等)2点平成18年5月27日座席ベルト装着義務違反1点平成18年8月20日信号無視(赤色等)2点以下余白備考○印の違反は,2年以上無事故・無違反者に対する特例により点数計算はされません。 」 争点 本件における主要な争点は,(1)原告には,その累積点数が現在4点であることの確認を求める利益があるか否か,及び(2)原告による本 無違反者に対する特例により点数計算はされません。 」 争点 本件における主要な争点は,(1)原告には,その累積点数が現在4点であることの確認を求める利益があるか否か,及び(2)原告による本件違反の存否で あるところ,これらの点に関する当事者双方の主張の要旨は,以下のとおりである。 (1)累積点数に係る確認の利益(原告)本件のように,公法上の当事者訴訟が確認訴訟として提起された場合,本案判決を得るためには,原告に確認の利益が存在することが必要となる。しかるところ,本件違反に基づく基礎点数1点を付加されたことによって,原告が直ちに免許停止等の処分を受けるわけではないものの,将来における累積点数の加算によってそうした処分がされる可能性があるから,原告にとって公法上の不利益な法律関係は既に生じている。しかも,従来から,運転免許停止処分に係る停止期間が満了した後においても,当該停止処分が将来における処分の加重原因となる場合には,その取消しを求める訴えの利益は消滅しないと解されていたのであるから,処分に至らない点数付加行為(違反行為に対して令別表第二に定める点数を付すること。以下同じ。)についても,将来において不利益処分がされやすくなる可能性を重視し,その訴えの利益が認められるべきである。 加えて,警察から誤って法違反者と指摘され,違反行為の存在を前提として点数を付加されると,点数を付加された者の名誉,信用等の人格的利益は著しく侵害され,その受ける精神的打撃も極めて大きいというべきであるところ,民事訴訟においては,たとい密室内であっても名誉毀損ないし侮辱的行為があれば損害賠償を認めるのが判例なのであるから,これとの対比からいって,行政訴訟においてのみこのような精神的損害を法的保護から外すのは著しく不当というべきである。学説におい 誉毀損ないし侮辱的行為があれば損害賠償を認めるのが判例なのであるから,これとの対比からいって,行政訴訟においてのみこのような精神的損害を法的保護から外すのは著しく不当というべきである。学説においても,従前から名誉,信用等の人格的利益を訴えの利益として認めるべきであるとする主張は有力であったのであり,最高裁判所自体も,弁護士の業務停止処分についてはその停止期間経過後における取消訴訟について訴えの利益を認めている(最高裁昭和58年4月5日判決)ことからすると,行政処分の種類,態様,性質によって は人格的利益を無視できない場合を認めざるを得なかったものと評価することができるのである。 そもそも,平成16年法律第84号による改正後の行政事件訴訟法(以下「改正行訴法」という。)は,同年1月16日に司法制度改革推進本部行政訴訟検討会が公表した「行政訴訟制度の見直しのための考え方」に示された思想に基づいて制定されたといわれているところ,上記「考え方」は「確認訴訟の活用」を一つの柱としており,行政の活動・作用の複雑多様化に対応し,国民の権利利益の実効的な救済を図る観点から,取消訴訟を中心とする抗告訴訟のみならず,確認訴訟を活用することが有益かつ重要であるとの方針を打ち出し,これに基づき,同法4条の「当事者訴訟」の定義規定の中に,「公法上の法律関係に関する確認の訴えその他の」という文言が付加挿入され,確認訴訟を積極的に活用すべきことが明らかにされたのである。それにもかかわらず,被告のように確認の利益を「国民の権利義務に直接影響を与えるもの」と限定的に捉えるとすれば,いずれの訴訟類型をとっても結論が異ならないことになってしまい改正行訴法の理念に反することが明らかであるから,処分に至らない点数付加行為についても,その無効について確認を求める利益は認 るとすれば,いずれの訴訟類型をとっても結論が異ならないことになってしまい改正行訴法の理念に反することが明らかであるから,処分に至らない点数付加行為についても,その無効について確認を求める利益は認められるべきである。 なお,確認訴訟の場合,本件違反が犯罪行為に準じた性格を有する以上,過失の立証責任は取締りの主体である被告が負担すべきこととなる一方,国家賠償請求訴訟の場合には,過失の立証責任は原告が負担するというのが一般的な見解であることからすれば,確認訴訟によらずに別途不法行為法によって救済すれば足りるとの議論も不当というべきである。 これに対し,被告は,点数付加行為に対する処分取消訴訟として提起された裁判例を援用した上でその処分性を否定するが,本訴は当事者訴訟であるから処分性に関する議論は的はずれであるのみならず,名誉,信用等の人格的利益の侵害を理由とする訴えの利益を認めなかった判例についても,確認訴訟の活用を指向する改正行訴法下における当事者訴訟においては何ら先例 的拘束性を有しないというべきである。 また,被告は,違法な点数付加行為については,その後に免許停止処分等がされた段階で争えば足りる旨主張する。しかしながら,法92条の2第1項に規定される優良運転者や一般運転者(以下「優良運転者等」という。)は,その免許証の更新日における年齢が70歳未満である場合には,その免許証の有効期間が約5年1か月となり,これら以外の者,すなわち同項にいう違反運転者等のそれが約3年1か月であるのと比して優遇されているところ,優良運転者等として認められるための要件は,あくまでも違反行為の不存在であり,免許停止処分等の不存在ではないから,違法にこれらの地位を侵害された者は,上記処分等を争うのではなく,点数付加行為自体を争う方法によってしかその地位を回復 要件は,あくまでも違反行為の不存在であり,免許停止処分等の不存在ではないから,違法にこれらの地位を侵害された者は,上記処分等を争うのではなく,点数付加行為自体を争う方法によってしかその地位を回復することができないのである。もっとも,原告には本件違反以外にも違反行為があるから,優良運転者等の地位を主張し得るものではないが,こうした問題は,取消訴訟を前提に訴えの利益を狭く捉えていた従来の考え方では国民の権利利益の救済が十分ではないことを示す有力な例として指摘することができ,違反行為自体に係る確認訴訟を認めるべきことを強く示唆している上,仮に,優良運転者等の地位にある者に限って点数付加行為が違法であることの確認を求める利益を認めるとすれば,同種の行為類型について確認の利益という訴訟要件が偶然的事情で左右されることになって訴訟法律関係を不安定にさせるから,点数付加行為を争うについては広く確認の利益が肯定されてしかるべきである。 (被告)公法上の当事者訴訟が確認訴訟である場合には,民事訴訟におけると同じく原告に確認の利益があることが必要となる。しかるところ,違反行為に対する点数付加行為は,運転免許に関する行政処分の前提となる違反行為及び当該行為に係る令所定の点数を内部的に確認し記録する行為にすぎず,それだけでは直ちに運転免許の効力等に影響を与えるものではないから,直接国民の権利義務に影響を及ぼすものではなく,取消訴訟の対象とはならないと 解されている。してみれば,これと同様の理由で,付加点数に係る確認の利益も認められないというべきであり,本件違反に係る基礎点数1点の付加行為も,直接原告の法的地位に不安定を生じさせるものではなく,それ自体で不利益な法律関係を生じさせるものでもない上,仮に,将来において原告が累積点数による運転免許効力停止 反に係る基礎点数1点の付加行為も,直接原告の法的地位に不安定を生じさせるものではなく,それ自体で不利益な法律関係を生じさせるものでもない上,仮に,将来において原告が累積点数による運転免許効力停止処分等の行政処分を受けるようなことがあったとしても,その際に当該処分を争えば足りるのであるから,本件違反に基づく点数付加行為自体の違法について公法上の当事者訴訟として確認を求める利益は原告にはないというべきである。 また,免許の更新に際し,原告が優良運転者として5年間有効のいわゆるゴールド免許を受け得るかについてみても,70歳未満の者がゴールド免許を受けるためには,免許の更新を受けられる最初の日からさかのぼること5年間において違反行為がないことが必要であるところ,原告には本件違反以外にも違反行為があることから,平成19年及び平成22年における免許の更新のいずれにおいても,たとい本件違反がないとしても,原告は法92条の2,令33条の7における違反運転者に該当し,運転免許の有効期間は3年,講習区分は違反運転者講習となって,ゴールド免許を受ける可能性がない一方,平成25年以降の免許更新においては,本件違反はその更新期間の5年以上前に生起していたことになるため,これが違反歴として考慮される余地はないから,結局,本件違反の有無は,原告が将来ゴールド免許を受けることができるか否かに影響を及ぼさないというべきである。 これに対し,原告は,改正行訴法の趣旨を強調するが,同改正前から,公法上の法律関係に関する訴訟に確認訴訟が含まれることは自明とされていたのであるから,同改正は確認的な意味しか持たないものとされているのであって,同改正によって確認の利益の概念が変わったものではない。 また,原告は,点数付加行為は,名誉,信用等の人格的利益を著しく侵害することになる 同改正は確認的な意味しか持たないものとされているのであって,同改正によって確認の利益の概念が変わったものではない。 また,原告は,点数付加行為は,名誉,信用等の人格的利益を著しく侵害することになる旨主張するが,付加点数は公表されるものではない上,仮にそうした侵害が認められたとしても,別途損害賠償請求訴訟を提起すること は可能であって,その際に前提として点数付加行為を取り消しておく必要もないから,この点においても確認の利益は全くない。これに関し,原告は,当事者訴訟と国家賠償請求訴訟とでは立証責任の所在が異なるとも主張するが,当事者訴訟においても,処分の無効を前提とする確認訴訟においては原告にその立証責任があるというべきであるから,この点でも原告の主張は失当というべきである。 (2)本件違反の存否(被告)原告による本件違反を現認したA警部補は,座席ベルト装着義務違反の取締りに約17年も従事してきたベテランであり,同人は,平成18年5月27日午後3時50分ころから,座席ベルト装着義務違反の取締りを目的として,本件道路から約30センチメートル高くなった中央分離帯に立ち,走行する車の運転者について,その座席ベルトの装着の有無のみを注視していたのであり,原告に関しても,50メートル東で原告車がβ交差点を右折してくるところから目の前に来るまでその座席ベルト装着の有無に注意を払って見続け,目の前を毎時約20キロメートルのゆっくりした速度で走行する原告車の運転者である原告(白っぽい服装をしていた。)が座席ベルトを装着していなかった事実を確認しているのであるから,その座席ベルト装着の有無を見間違うようなことは全くない。しかも,A警部補は,目の前の車の運転者が座席ベルトを装着していないことを確認して,直ちにその車を指さしながら60メートル先の車 であるから,その座席ベルト装着の有無を見間違うようなことは全くない。しかも,A警部補は,目の前の車の運転者が座席ベルトを装着していないことを確認して,直ちにその車を指さしながら60メートル先の車両停止係のE巡査に聞こえるように警笛を大きく2回鳴らした上,原告車のナンバー,車名,車色を無線通報しているのであるから,他車と原告車とを見間違うこともない。 なお,A警部補が,原告車の運転者の座席ベルトが垂直に垂れ下がっているのを確認したとしているのに対し,原告は,原告車は座席ベルトが自然に戻るために垂れ下がっている状態は見えないなどと主張するが,原告車である○○では,座席ベルトは装着していない場合も留め具が上部のアンカーに 必ず引き戻されるようにはなっておらず,座席ベルトを装着していない場合に当該ベルトが運転者の肩付近に垂れ下がり,それが見えることは十分にあり得ることである。 これに対し,原告は,原告車の運転を開始した直後から座席ベルトは装着していた旨供述するが,原告による座席ベルト装着は,A警部補による警笛吹鳴後,原告車を停止させられるまでの間にされたもの(以下「後付け」という。)である。当時,原告車の前には約10台の車が連なってゆっくりした速度で走行しており,しかもカラーコーンがあるために第1通行帯からも車が合流していたことから,原告車が車両停止係のE巡査の所に来るまでに10数秒の時間を要したのであって,その間に原告が座席ベルトを装着することは十分に可能であった。なお,原告は,A警部補が原告車の直近で2回吹鳴した警笛について気が付かなかった旨,また,車両停止係の警察官に停車させられたのはカラーコーンの前くらいであった旨各供述しているが,原告車の直近で2回大きく鳴らしている警笛に気付かないなどということはあり得ない上,取締りに当たっ 旨,また,車両停止係の警察官に停車させられたのはカラーコーンの前くらいであった旨各供述しているが,原告車の直近で2回大きく鳴らしている警笛に気付かないなどということはあり得ない上,取締りに当たって危険防止の目的で2車線を1車線にするために置かれているカラーコーンの前で停車を命じるのは危険であることに加え後続車の進行を妨げることにもなるから,原告によるこれらの各供述は,座席ベルトを装着する時間的余裕がなかったことを印象付けるための作為に基づくもので信用することができないというべきである。 (原告)税理士である原告は,Fとの税務相談を終え,平成18年5月27日午後3時半すぎに同人と共に喫茶店を出て,ε駅まで送るために同人を原告車の助手席に乗せ,発進する前に両名とも習慣的に座席ベルトを装着し,車内では,Fがその夫の病気のことで色々な話をし,原告もこれを聞きながら,本件道路に差し掛かったが,A警部補の存在には全く気付かずにいたところ,突然,前方に現われたE巡査に原告車を停止するよう求められた(その場所は,別紙「E巡査の佇立位置」から東へ約20メートルの地点である。)。 停止を求められた際,原告には何のことか分からなかったが,同巡査が座席ベルトについて尋ねてきたので,原告は,自分の座席ベルトを示しながら装着している旨述べ,F(原告が税理士業務をしている株式会社G(以下「G」という。)の経営者夫人であり,本件とは何らの利害関係もない。)もこれに同調した。E巡査はA警部補に連絡したが,同警部補は,原告による後付けであると主張した。原告らは,当初は第2通行帯で,その後第1通行帯に原告車を移してA警部補と押し問答を繰り返したが,同警部補は,「私の目は1.5だから間違うはずがない。」「15年間この仕事をやっている。」「同乗者は証人になれない。」 2通行帯で,その後第1通行帯に原告車を移してA警部補と押し問答を繰り返したが,同警部補は,「私の目は1.5だから間違うはずがない。」「15年間この仕事をやっている。」「同乗者は証人になれない。」と述べるなどして,原告らの話を聞き入れなかった。さらに,交番においても原告らは原告が座席ベルトを装着していたことを繰り返し主張したが,A警部補がなおも原告の主張を受け入れなかったため,原告は,点数切符に署名せず,自分の言い分を調書に取るよう申し入れた上,告知票だけ受け取って帰った。原告は,その数日後に枚方警察署交通課に出向き,担当の警察官に対し,単純な誤認だから是正するよう申し入れたが,A警部補が間違いないと主張しているので,裁判でしか対応できない,と言われた。 本件の経緯は以上のようなものであるところ,原告車は,E巡査が前方に現れた際,時速20キロメートル前後で走行しており,原告は,停止を求められるまで座席ベルト装着義務違反の取締りをしていることは全く知らなかったのであり,E巡査に呼び止められてから停車するまでは極めて短時間であったから,この間に座席ベルトを装着することのできる時間的余裕は全くなかった。そして,原告が,①E巡査の停車の求めに対し,意味が分からなかったために原告車を直ちに停止しようとしなかったこと,②A警部補らの指摘に対して思わず語気を荒げ,強い言葉で反論したこと,③当初より一貫してA警部補らに対して座席ベルトの装着の事実を主張していたこと,④交番に場所を移してもなお本件違反を認めなかったこと,⑤数日後,枚方警察署に出向いて訂正を申し入れたこと,⑥同署において裁判をする しかないと言われて現に本訴に及んだことなどは,いずれも警察官から誤って法違反を指摘された市民の対応として十分首肯し得るものである。そもそも て訂正を申し入れたこと,⑥同署において裁判をする しかないと言われて現に本訴に及んだことなどは,いずれも警察官から誤って法違反を指摘された市民の対応として十分首肯し得るものである。そもそも,座席ベルト装着義務違反は,基礎点数1点が付加されるだけであり,反則金や罰金の処分もなく,原告がこれによって免許の効力が停止されたわけでもないのであって,原告は,純粋に理不尽なことは許し難いからこそ,上記のような行動をとったのである。 他方,A警部補は,座席ベルト装着義務違反の確認と車両番号の確認とを同時には行っていなかったから,次から次へと流入し,A警部補の立っていた地点の前後で合流する複数の車両の動きを見る中で,特に際だった特徴があるわけでもない原告車と違反車とを見間違った可能性は十分に認められる。 また,A警部補は,座席ベルト装着義務違反をしていた車両が目の前を通過する際,座席ベルトが垂直に,運転者の右肩後方部分に垂れ下がっていた旨供述するが,原告車は運転者が座席ベルトを装着していなければ収納されるタイプのもので,外からは座席ベルトは見えないのであるから,A警部補が見たのは原告車以外の車両にほかならないというべきである。 また,E巡査は,原告車を本件道路の第2通行帯上で確認したときは原告が座席ベルトを装着していたこと,原告による後付けを見ていないことをいずれも認めている上,本来その任務に属するにもかかわらず,現認者であるA警部補の指差し行為を確認しておらず,無線で聞いたナンバープレートの下4桁のみを頼りに違反車を捜した旨述べていることからすると,同巡査による車両番号の聞き間違いや聞き落とし,原告車と下4桁が同じ車両番号の違反車との取違えなどの可能性も否定できない。また,E巡査は,A警部補から連絡を受けて原告車を確認するまで10秒前後の時間 巡査による車両番号の聞き間違いや聞き落とし,原告車と下4桁が同じ車両番号の違反車との取違えなどの可能性も否定できない。また,E巡査は,A警部補から連絡を受けて原告車を確認するまで10秒前後の時間があった旨供述するが,原告車は時速20キロメートル前後で走行していたのであるから,別紙における両警察官の佇立位置を前提としてもその間を約6秒で通過するのであって,同巡査は,後付けの可能性を強調するためにことさら長い時間的間隔を主張している可能性が高いというべきである。 これに対し,被告は,○○の座席ベルトは,不装着の場合,運転者の肩付近に垂れ下がって見えることは十分にあり得る旨主張するが,原告車に関する限り,座席ベルトを異常に伸びきった状態にして,車両の右前方至近距離からのぞき込むようにでもしない限り,車両の外側から座席ベルトが垂れ下がっているところは見えないはずであるところ,A警部補は約2メートルほど離れた位置から違反車を目撃したというのであるから,同警部補が見たのは原告車ではあり得ない。 第3当裁判所の判断 争点(1)(確認の利益)について(1)本件訴えにおける確認の利益の要否についてア法律上の争訟性等前記第2の1(法令の規定)において摘示したところから明らかなとおり,座席ベルト装着義務違反による基礎点数1点を付された者は,法103条1項柱書,同項5号,令38条5項1号及び同項2号の各イ,別表第三の規定に基づいて累積点数が増加することに伴い,それによって直ちにその累積点数が免許の効力の停止等の処分の基準となる点数に達しなかったとしても,将来において公安委員会等からこうした処分を受ける可能性が高まることになる。そうすると,このような者は,法及び令の規定上,点数を付されなかった場合に比してより法的に不安定な地位に置かれると としても,将来において公安委員会等からこうした処分を受ける可能性が高まることになる。そうすると,このような者は,法及び令の規定上,点数を付されなかった場合に比してより法的に不安定な地位に置かれるというべきであるから,その者に係る座席ベルト装着義務違反の存否ないしこれを前提とする累積点数を対象とする訴訟は,当事者間(国民と行政主体との間)の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争であって,法令の適用により終局的に解決することができるものであり,かつ,国民の権利利益の保護救済を目的とするものということができる。したがって,自動車の運転免許の所持者と公安委員会等(の帰属する権利主体)との間における当該所持者に係る座席ベルト装着義務違反の不存在を前提とする現在の累積点数を対象とする確認訴訟は,法律上の争訟(裁判所法 3条1項)に該当することが明らかである。 もっとも,本件訴えのうち,その現時点における累積点数が4点であることの確認を求める部分は行訴法4条にいう公法上の法律関係に関する確認の訴えとして提起されたものであるところ,後述のように,確認訴訟において確認の対象となるべきものは論理的には無限定であるから,これが適法な訴えであるためには,法律上の争訟であるというだけでは足りず,原告にいわゆる確認の利益が存在することが必要である。 もっとも,この点を措くとしても,座席ベルト装着義務違反その他の違反行為を理由とする点数付加行為それ自体が抗告訴訟の対象となる行政処分に該当すると解されるのであれば,行訴法が処分その他公権力の行使に関する不服の訴訟として抗告訴訟の制度を設け,出訴期間の制限のある取消訴訟をその中心的な訴訟類型として規定している趣旨に照らすと,特段の事情がない限り当該処分の法的効果が存在しないことを前提とする法律関係の確 訴訟として抗告訴訟の制度を設け,出訴期間の制限のある取消訴訟をその中心的な訴訟類型として規定している趣旨に照らすと,特段の事情がない限り当該処分の法的効果が存在しないことを前提とする法律関係の確認を公法上の法律関係に関する訴えによって求めることはできないと解すべきである。 イ点数付加行為の処分性そこでまず,点数付加行為の処分性について先に検討するに,行訴法3条2項に定める「行政庁の処分その他公権力の行使」とは,行政庁が行う行為のうち,その行為によって直接国民の権利義務を形成し,又はその範囲を確定することが法律上認められるものをいうと解されるところ(最高裁昭和37年(オ)第296号同39年10月29日第一小法廷判決・民集18巻8号1809頁参照),前記第2の1(法令の規定)において摘示したとおり,法及び令により,累積点数は,運転免許の取消し又は効力停止のほか,自動車運転等の禁止(法75条の2第1項,令26条の7),運転免許の拒否又は保留(法90条1項ただし書,令33条の2第1項),運転免許の欠格期間の指定(法103条6項,令38条6項)及び国際運転免許証等に係る自動車等の運転の禁止(法107条の5第1項,令40 条)等の各基準として規定されているものの,これらの規定内容からすれば,点数付加行為は,それによって累積点数が所定の点数に達しない場合はもとより,当該点数に達する場合であっても,それだけで直ちに免許の所持者の権利義務に直接の影響を及ぼすものではなく,それを要件とする免許の効力の停止等の処分がされて初めて,免許の所持者の権利義務に具体的な変動が生じるというべきである。 また,累積点数については,自動車安全運転センター法29条,同法施行規則8条に基づき,前歴がない者は4点又は5点,前歴が1回の者は2点又は3点に達した場合に 具体的な変動が生じるというべきである。 また,累積点数については,自動車安全運転センター法29条,同法施行規則8条に基づき,前歴がない者は4点又は5点,前歴が1回の者は2点又は3点に達した場合に,その旨が書面で通知されることが規定されているものの,同法の下ではそれ以外の場合にまで書面による通知が必要とはされておらず,同法に基づく通知も,それらがいずれも令別表第三の第六欄所定の点数にあと1点ないし2点で達する場合にされることにかんがみれば,免許の所持者に対して警告を与える趣旨にすぎないと解され,他に点数付加行為に対する不服申立てを許容する手掛かりとなるような規定は法令上見いだせない。なお,法126条1項は,警察官は,反則者があると認めるときは,原則として,その者に対し速やかに反則行為となるべき事実の要旨等を書面で告知すべきことを定めているが,この制度は,警察本部長が行う反則金の納付に係る通告制度(法127条以下)の手続の適正を期するとともに,反則者に仮納付の機会を与える趣旨に出たものであって,令46条並びに道交法施行規則40条及び別記様式第25も,告知書に反則金の金額や仮納付の期限,場所及び方法等の記載を義務付けるものの,当該反則行為の基礎点数の記載は要求していないこと,本件違反のように,そもそも法が定める反則行為に該当せず,法令に基づく告知や通告が予定されていない違反行為が存在することなどからみて,告知自体を独立に不服申立ての対象とすることを認める必要がないことはもとより,これらの制度の存在が点数付加行為に対する不服申立ての便宜のために認められていると解する余地もない。そうであるとすれば,点数付加行為に ついて法令上これに特に処分性を付与することにより抗告訴訟の対象とする旨の立法政策が採られていると解することも困難であるとい められていると解する余地もない。そうであるとすれば,点数付加行為に ついて法令上これに特に処分性を付与することにより抗告訴訟の対象とする旨の立法政策が採られていると解することも困難であるといわざるを得ない。 よって,点数付加行為に処分性は認められないというべきである。 ウ小括したがって,座席ベルト装着義務違反その他の違反行為の不存在を前提とする現在の累積点数の確認を求める訴えは,原告にその確認の利益が認められる限り,公法上の法律関係に関する確認の訴えとして適法というべきこととなる。 (2)公法上の法律関係に関する確認の訴えにおける確認の利益の内容についてア確認訴訟における確認の利益確認訴訟とは,原告の権利又は法律的地位に係る不安が現に存在する場合,その不安を除去する方法として,原被告間の法律関係の確認を求める訴えである。もっとも,確認の訴えは,いかなる事項を請求の内容として確認の対象とするか,いかなる具体的紛争状況で訴えが提起されるか等の点について制約がない。しかしながら,そもそも,法律上の争訟に係る訴えは,国家が設営する訴訟制度を利用して権利義務ないし法律関係についての裁判所の公権的判断(本案判決)を求める行為であるから,そのような判断(本案判決)を求めるに値するだけの必要性及び実効性(広義の訴えの利益)が存在していなければならないのであり,このことは,具体的,現実的な争訟の解決を目的とする訴訟制度に必然的に内在する要請であるということができる。すなわち,憲法32条は,訴訟の当事者が訴訟の目的である権利関係につき裁判所の判断を求める法律上の利益を有することを前提として,このような訴訟につき本案の裁判を受ける権利を保障したものであって,この利益の有無にかかわらず,常に本案につき裁判を受ける権利を保障したものではない( を求める法律上の利益を有することを前提として,このような訴訟につき本案の裁判を受ける権利を保障したものであって,この利益の有無にかかわらず,常に本案につき裁判を受ける権利を保障したものではない(最高裁昭和32年(オ)第195号同35年12月7日大法廷判決・民集14巻13号2964頁参照)。そして, 確認の訴えにおいては,上記のとおり,確認の対象となり得るものが形式的には無限定である上,判決には既判力が認められるのみであるから,争訟の成熟性,紛争解決手段としての実効性等の観点から,このような訴訟を許容するに足りる要件としての訴えの利益,すなわち,確認の利益の存在が必要とされるのである。このような趣旨からすれば,確認の利益は,判決をもって権利義務又は法律関係の存否を確定することが,その権利義務又は法律関係に関する法律上の紛争を解決し,当事者の法律上の地位の不安,危険を除去するために必要かつ適切である場合に認められるべきものであり,確認の利益の有無を判断するに当たっては,①確認の対象の適否(確認の対象として選択した訴訟物が当事者間の具体的紛争の解決にとって有効,適切であるか否か),②争訟の成熟性(即時確定の現実的必要性)の有無(原告の法律上の地位に現に不安,危険が存在し,それを除去するために確認判決をすることが必要かつ適切であるか否か),及び③方法選択の適否(当事者の具体的紛争の解決にとって種々の訴訟類型のうちから確認の訴えを選択することが適切であるか否か),の観点から検討することを要する。さらに,確認の利益が要求される趣旨が前記のようなものであることに照らすと,争訟の成熟性(即時確定の現実的必要性)を肯定するためには,原告の法的地位に対して被告が不安や危険を与えており,当該不安・危険を除去するため,一定の法律関係の存否を原 うなものであることに照らすと,争訟の成熟性(即時確定の現実的必要性)を肯定するためには,原告の法的地位に対して被告が不安や危険を与えており,当該不安・危険を除去するため,一定の法律関係の存否を原被告間で判決手続により早急に確認することが必要かつ適切であり,かつ,当該手続によって危険や不安が除去されるべき原告の法的地位が,法的保護に値するだけの具体的現実性を備えたものである必要があると解すべきである。 イ公法上の当事者訴訟としての確認訴訟と確認の利益ところで,改正行訴法においては,当事者訴訟に係る定義規定(4条)が改正され,その後段において,いわゆる実質的当事者訴訟につき,「公法上の法律関係に関する確認の訴えその他の公法上の法律関係に関する訴 訟をいう。」と規定して,実質的当事者訴訟の範ちゅうに確認訴訟が含まれることを明示している。その趣旨は,行政の活動,作用の複雑多様化に対応して,国民の権利利益の実効的救済を図る上で,確認訴訟の活用が有効であるとの認識の下に,確認訴訟を活用することにより,権利義務等の法律関係の確認を通じて,取消訴訟の対象となる行政の行為に限らず,国民と行政との間の多様な関係に応じ,実効的な権利救済を図ることにあると解される。もとより,行訴法4条にいう「公法上の法律関係に関する確認の訴え」についても,具体的,現実的な争訟の解決を目的とする訴訟制度に必然的に内在する要請としての確認の利益の存在が必要とされることはいうまでもない。もっとも,上記のような確認の利益が存在するとはいえないような場合について政策的見地から法律でもって訴訟の目的である権利義務ないし法律関係について裁判所の公権的判断(本案判決)を求め得る地位を付与することも憲法の許容するところと解されるが,改正行訴法が公法上の法律関係に関する確認の訴え でもって訴訟の目的である権利義務ないし法律関係について裁判所の公権的判断(本案判決)を求め得る地位を付与することも憲法の許容するところと解されるが,改正行訴法が公法上の法律関係に関する確認の訴えについてあえて上記のような立法政策を採用したことを裏付けるに足りる法文上の手掛かりは見いだせず,その立法経過等から上記の趣旨を読み取るのも困難である。よって,前記アにおいて検討したところは,公法上の法律関係に関する確認の訴えにもそのまま妥当するというべきである。 他方で,改正行訴法は,抗告訴訟の新たな類型として義務付けの訴え(3条6項)及び差止めの訴え(同条7項)を法定しており,このことが,公法上の法律関係に関する確認の訴えにおける確認の利益の考慮要素のうち,前記ア②の争訟の成熟性,及び③の方法選択の適否にどう影響するのかについて検討を加える必要がある。 そこで,改正行訴法における義務付け訴訟及び差止め訴訟の要件に関する規定についてみると,行政庁が一定の処分をすべきであるにかかわらずこれがされない場合において,行政庁がその処分をすべき旨を命ずることを求める訴訟(いわゆる非申請型義務付け訴訟・3条6項1号)は,一定 の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれがあり,かつ,その損害を避けるため他に適当な方法がないときに限り提起することができ(37条の2第1項),その義務付けに係る処分につき,行政庁がその処分をすべきであることがその処分の根拠となる法令の規定から明らかであると認められ又は行政庁がその処分をしないことがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となると認められるときは,裁判所は,行政庁がその処分をすべき旨を命ずる判決をする(同条5項)ものとされている。また,行政庁が一定の処分又は裁決をすべきでないにかかわらずこれがされよう くはその濫用となると認められるときは,裁判所は,行政庁がその処分をすべき旨を命ずる判決をする(同条5項)ものとされている。また,行政庁が一定の処分又は裁決をすべきでないにかかわらずこれがされようとしている場合において,行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることを求める訴訟(差止め訴訟・3条7項)は,一定の処分又は裁決がされることにより重大な損害を生ずるおそれがある場合に限り,提起することができるが,その損害を避けるため他に適当な方法があるときは,この限りではないとされ(37条の4第1項),行政庁がその処分若しくは裁決をすべきでないことがその処分若しくは裁決の根拠となる法令の規定から明らかであると認められ又はその処分若しくは裁決をすることがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となると認められるときは,裁判所は,行政庁からの処分又は裁決をしてはならない旨を命ずる判決をする(同条5項)とされている。そして,上記いずれの訴訟類型においても,重大な損害を生ずるか否かを判断するに当たっては,損害の回復の困難の程度を考慮するものとし,損害の性質及び程度並びに処分等の内容及び性質をも勘案するものとするとされている(37条の2第2項,37条の4第2項)。改正行訴法は,平成16年法律第84号による改正前の行訴法が抗告訴訟の態様として例示している訴訟類型のみでは国民の権利利益の実効的な救済が得られない場合があることから,これら義務付けの訴え及び差止めの訴えを新たな訴訟類型として法定するとともに,司法と行政の適切な役割分担の在り方を踏まえつつ国民の権利利益の実効的な救済を確保する観点からその要件を定めたものであり,行訴法3条6項1号の 義務付けの訴えについて「一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれがあり,かつ,その損害 権利利益の実効的な救済を確保する観点からその要件を定めたものであり,行訴法3条6項1号の 義務付けの訴えについて「一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれがあり,かつ,その損害を避けるため他に適当な方法がないときに限り,」提起することができるとしている趣旨は,当該義務付けの訴えは,一定の処分を求める法令上の申請権のない者に申請権を認めるのと同じような内容の訴訟上の救済を与えるものであることから,特に救済の必要性が高い場合に限られることを要件として規定したものであると解され,また,行訴法3条7項の差止めの訴えについて「処分又は裁決がされることにより重大な損害が生ずるおそれがある場合に限り,」提起することができ,「損害を避けるため他に適当な方法があるときは,この限りでない。」としている趣旨は,差止めの訴えが,取消訴訟と異なり,処分又は裁決がされる前に行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を裁判所が命ずることを求める事前救済のための訴訟であることから,事前救済を求めるにふさわしい救済の必要性の存在を要件として規定したものであると解される。このような義務付けの訴え及び差止めの訴えの規定の文言及び趣旨からすれば,改正行訴法が規定する義務付けの訴え及び差止めの訴えの要件は,行訴法3条6項1号の義務付けの訴えないし同条7項の差止めの訴えのような類型の訴訟について,争訟の成熟性,すなわち,そのような訴訟類型による救済を認める現実的必要性等が存在するものとして,訴訟制度に必然的に内在する要請としての(広義の)訴えの利益を肯定することができるための要件を当該訴訟類型に即して具体的に明らかにしたものと解されるのであり,このような訴えの利益の内実を政策的観点から限定,拡張等する趣旨を読み取ることはできない。 そうであるとすれば,公 ができるための要件を当該訴訟類型に即して具体的に明らかにしたものと解されるのであり,このような訴えの利益の内実を政策的観点から限定,拡張等する趣旨を読み取ることはできない。 そうであるとすれば,公法上の法律関係に関する確認の訴えにおいても,確認の利益を肯定するためには,行政の活動,作用等(不作為を含む。)により国民の法的地位に何らかの不安,危険が生じているだけでは足りず,少なくとも,行政の活動,作用等により国民に重大な損害を生ずるおそれがあり,かつ,その損害を避けるため他に適当な方法がないことが必要で あると解すべきである。 もっとも,国民の法的地位に対する不安,危険が行政庁の一定の処分がされようとしていることによりもたらされている場合については,差止めの訴えとの間の方法選択の適否が問題となり,また,行政庁の一定の処分がされることにより当該不安,危険を除去することができる場合については,義務付けの訴えとの間の方法選択の適否が問題となるが,以上説示したような,改正行訴法において公法上の法律関係に関する確認の訴えが法文上明記され,また,義務付けの訴え及び差止めの訴えが抗告訴訟の新たな訴訟類型として法定された趣旨に照らしても,改正行訴法において上記のような場合には専ら義務付けの訴えないし差止めの訴えによるべき旨のいわゆる抗告訴訟中心主義が立法政策として採用されたと解するのは困難であり,紛争の実態にかんがみ,当該不安,危険を除去するためにいずれの訴訟形態によるのがより直截的で有効適切かという観点から,これを公法上の法律関係に関する確認の訴えとして提起した場合における確認の利益の存否を検討すべきものと解される。 ウ小括以上検討したところによれば,公法上の法律関係に関する確認の訴えにおいて確認の利益を肯定するためには,行政の活動,作用( て提起した場合における確認の利益の存否を検討すべきものと解される。 ウ小括以上検討したところによれば,公法上の法律関係に関する確認の訴えにおいて確認の利益を肯定するためには,行政の活動,作用(不作為を含む。)によって重大な損害が生じるおそれがあり,かつ,その損害を避けるために他に適当な方法がないことが必要であり,他に適当な方法がないか否かについては,当該紛争の実態にかんがみ,当該確認訴訟が原告の法的地位に生じている不安,危険を除去するために直截的で有効,適切な訴訟形態か否かという観点から判断すべきである。 (3)本件訴えにおける確認の利益の存否についてア点数付加行為が違反行為を行ったとされた者に及ぼす不利益の内容前記のとおり,点数付加行為は,一般的には,免許の所持者の累積点数を増加させることを通じて,将来的にその者が公安委員会等から免許の効 力の停止等の処分を受ける可能性を高めることとなるから,免許の所持者は,その法的地位が不安定になるという限度で不利益を被ることになる。 しかしながら,仮に当該点数付加行為に係る違反行為が存在しない等の理由により点数付加行為が違法であったとしても,免許の所持者は,その後も適法に運転を行うこと自体はなお可能なのであって,当該点数付加行為に係る違反行為によってその累積点数が直ちに処分の基準となる点数に達するような場合を除いて,更なる違反行為によってその累積点数が処分の基準となる点数に達した場合に初めてその法的地位が具体的にき損されることになるのである。そして,既に摘示した法及び令の定めによれば,当該点数付加行為において違反行為をしたとされた日から3年を経過すれば,当該点数付加行為によって付された点数が累積点数として評価される余地はなくなる一方,免許の所持者が重大な違反行為を行うことにより,違 点数付加行為において違反行為をしたとされた日から3年を経過すれば,当該点数付加行為によって付された点数が累積点数として評価される余地はなくなる一方,免許の所持者が重大な違反行為を行うことにより,違法な前記点数付加行為の存否にかかわらず,免許の効力の停止等の処分を受けることもあり得るのである。また,違法に付加された点数とその後の違反行為による点数を合算した累積点数が処分の基準となる点数に達した場合であっても,基準点数に達した時点ではなお違法な前記点数付加行為から最大でも3年を経過してはいないはずであるから,その後に公安委員会等が行う処分に対する取消訴訟等の中で前記点数付加行為の違法性(当該点数付加行為に係る違反行為の有無等)を争わせることとしても,特段の事情のない限り,原告の実効的な権利救済を大きく損なうことはないと考えられる。また,当該点数付加行為に係る違反行為によってその累積点数が直ちに処分の基準となる点数に達する場合についても,当該処分に対する取消訴訟等の中で前記点数付加行為の違法性を争わせることとしても,同様に,特段の事情のない限り,原告の実効的な権利救済を大きく損なうことはない。 こうした点に照らすと,違法な点数付加行為によって免許の所持者が被る不利益自体を重大な損害と評価することは,その性質や程度に照らして 困難というべきである上,上記のとおり,違法な点数付加行為を受けた免許の所持者の法的地位は,当該点数付加行為に係る違反行為によってその累積点数が直ちに処分の基準となる点数に達するような場合を除けば,なお浮動的というべきであって,訴訟制度を通じて当該法的地位に生じている不安,危険を除去すべき現実的必要性は一般的には認め難いというべきである。 これに対し,原告は,違法な点数付加行為によって名誉や信用を傷つけられ,人格 って,訴訟制度を通じて当該法的地位に生じている不安,危険を除去すべき現実的必要性は一般的には認め難いというべきである。 これに対し,原告は,違法な点数付加行為によって名誉や信用を傷つけられ,人格的利益を損なうこと自体が損害であると主張するが,それらは事実上の損害にすぎない上,事後の国家賠償請求訴訟等によって回復を図ることも可能と解されるから(最高裁昭和53年(行ツ)第32号同55年11月25日第三小法廷判決・民集34巻6号781頁参照),公法上の法律関係に関する確認の訴えに係る確認の利益を基礎付けるには足りないというほかはない。 イ本件訴えにおける確認の利益前記前提となる事実等によれば,原告に係る運転記録証明書上,現時点において,原告の累積点数に係る違反行為としては,平成17年9月27日の信号無視(赤色等)2点,平成18年5月27日の座席ベルト装着義務違反(本件違反)1点及び平成18年8月20日の信号無視(赤色等)2点が記録されているというのであり,原告は,本件違反行為当時,有効期間を3年(平成19年3月21日まで有効)とする普通免許の交付を受けており,その後,違反運転者等に係る免許証の更新を受けたものと推認される。そうであるとすれば,原告は,現時点において,本件違反に係る基礎点数1点が付加されることにより,法令により免許の効力の停止の要件として規定された累積点数に達するものでもなく,また,今後免許証の更新を受ける地位(優良運転者,一般運転者又は違反運転者等の区分)に直ちに影響を及ぼすものでもない。また,原告が道路運送法4条1項に基づく一般乗用旅客自動車運送事業の許可を申請しているなどといった事情 もない。これらによれば,本件違反に係る点数付加行為がされることにより重大な損害が生ずるおそれがあるということはできず,当該点数 く一般乗用旅客自動車運送事業の許可を申請しているなどといった事情 もない。これらによれば,本件違反に係る点数付加行為がされることにより重大な損害が生ずるおそれがあるということはできず,当該点数付加行為によって原告の法的地位に生じている不安,危険を除去すべき現実的必要性を欠くものといわざるを得ない。 これに対し,原告は,優良運転者等の地位にある者に限って点数付加行為が違法であることの確認を求める利益を認めることとすれば,点数付加行為という同一の行為類型について確認の利益が認められたり認められなかったりすることになり,法的安定性を欠くことになるため妥当ではないと主張するが,前記のとおり,確認の利益は,具体的,現実的な争訟の解決を目的とする訴訟制度に必然的に内在する要請に基づくものとして,確認の対象である法律関係が公法上のものであると否とを問わず,その存在が必要とされるものである上,その存否の判断が事案に応じた個別具体的なものとなることは,当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争の解決を目的とする訴訟制度の性質上当然のことであって,原告の主張するように,一般に点数付加行為の違法について訴訟上争うみちを広く認めるには,点数付加行為を行政処分として法定するなどの立法政策に待つほかないというべきである。 なお,本訴のように,点数付加行為が違法であることを理由とする公法上の法律関係に関する確認の訴えと併せて,当該点数付加行為に係る違反行為と同一の違反行為に起因する国家賠償請求に係る訴えが関連請求(行訴法41条2項,16条)として提起されている場合,後者の審理においては通常本案審理に入らざるを得ないことを勘案すると,前者の審理において確認の利益を厳密に要求することには実益が認められないとの主張も考えられないではない。しかしな されている場合,後者の審理においては通常本案審理に入らざるを得ないことを勘案すると,前者の審理において確認の利益を厳密に要求することには実益が認められないとの主張も考えられないではない。しかしながら,関連請求(行訴法19条によって追加的に併合される場合があるほか,その分離を禁ずる旨の規定もない。)の有無によって確認の利益の要否が左右されると解するのが相当ではないことは明らかである。 (4)争点(1)のまとめしたがって,本件訴えのうち,大阪府公安委員会が原告に付した累積点数の合計が4点であることの確認を求める部分については,確認の利益を欠くものとして,不適法というべきである。 争点(2)(本件違反の存否)について(1)証拠(甲3,4,6ないし8,乙1ないし6,証人A,同E,同F,原告本人)及び弁論の全趣旨によれば,本件に関し以下の事実が認められる(前提となる事実等で摘示した事実も適宜含める。)。 ア原告は,約30年前に普通免許を取得し,平成18年5月ころは仕事などで週に5,6回運転していた。原告は,税理士になって約24年が経過しているが,現在は京都市ζにおいて開業しており,従業員6名を雇用している。 原告は,肩書き住所地に約20年にわたって居住しているが,ηが出来てからはε駅周辺が混雑するようになったことから,自家用車で同駅付近を通ることは余りなくなっていた。 イ原告車の座席ベルトは,前部ドアと後部ドアとを分ける支柱(センターボディーピラー)の内側に設置されている。その留め具(使用時にはバックルに装着される。)は,手動でベルト上を上下に自由にスライドさせて移動することが可能である。その座席ベルトは,装着していない場合には支柱の内部に収納される仕組みになっているが,ストッパーを付けるなどしてこれを防ぐことは可能であり ト上を上下に自由にスライドさせて移動することが可能である。その座席ベルトは,装着していない場合には支柱の内部に収納される仕組みになっているが,ストッパーを付けるなどしてこれを防ぐことは可能であり,その場合,座席ベルトは未装着時でも垂れ下がった状態が続くことになる。また,原告車は,座席ベルトの不装着時には,運転席の計器盤に警告のための赤色ランプが表示されるようになっているが,警告音を発する装置までは装備していない。 ウ原告は,平成18年5月27日,税理士としての関与先の一つであるG(大阪市θ所在)のFと会い,依頼を受けていた決算書,税務申告書を交付するとともに,同社の経営相談をする約束であった。原告は,税理士に なった当初ころから,Gに対する税務指導に関与していた。同社の代表取締役であるFの夫は,若年性のアルツハイマー症と診断されていたため,Gの経営にとって同人の容態は重大な懸案事項であったところ,原告は,同社の社屋内では同人に気兼ねなく経営相談をすることができないと考え,他方で原告の事務所はFにとって遠方であったことから,Gと原告事務所との間に位置しており,原告の自宅からの最寄り駅でもあるε駅でFと午後1時半に待ち合わせることとした。原告は,同日午後1時半ころ,ε駅とηの間に位置するγロータリー(別紙参照)でFを原告車に乗せ,ι駅近くの喫茶店「H」に行き,そこでFに対して決算書や税務申告書の説明を手短かに済ませ,必要な押印等をしてもらった上,経営相談に応じ,Gを休業状態にすることなどを含め善後策を話し合ったが,Fの感情が高ぶることもあり,相談が終わったころには午後3時半を過ぎていた。原告は,Fを再度ε駅のγロータリーまで送っていくことにし,「H」の駐車場に駐めてあった原告車に2人で乗り込み,Fを助手席に乗せて同店を出た。 車 あり,相談が終わったころには午後3時半を過ぎていた。原告は,Fを再度ε駅のγロータリーまで送っていくことにし,「H」の駐車場に駐めてあった原告車に2人で乗り込み,Fを助手席に乗せて同店を出た。 車内でも,原告らはFの夫の病状等を話題にし,原告がFを元気付けるようにしながら,午後4時ころ,β交差点を右折して本件道路の第2通行帯に進入した。なお,この時,原告車の窓は閉めたままであり,音楽やラジオ等は付けられていなかった。 エA警部補(座席ベルト装着義務違反の取締りには約17年間従事しており,平成18年の1年間で80件以上の取扱い件数があった。なお,同人は両眼の視力に自信があった。)らは,平成18年5月27日午後3時50分ころより,本件道路において,同道路を東から西に向かって走行する車両の座席ベルト装着義務違反の取締りに従事した。A警部補は,違反現認担当者として本件道路の中央分離帯(道路から約30センチメートル高い位置にある。)上に制服姿で佇立し,β交差点方向から西進してくる車両について座席ベルト装着義務違反の有無を注視しており,E巡査ら4名は,A警部補から西へ約50ないし60メートルの位置で,車両停止係及 び取調係として待機していた。A警部補らは,本件道路の第1通行帯のうち,別紙でいう「κ会館」中央部付近に複数のカラーコーンを設置してその通行を遮断していたため,同通行帯を走行する車両も第2通行帯に合流してやや渋滞しており,別紙のA警部補の佇立位置付近では,各車とも時速20キロメートル前後で進行していた。 本件道路は,直線で見通しが良く,また,カラーコーンで車線を規制すれば通過車両の速度が遅くなる場所であることから,座席ベルト装着義務違反の取締りに適しているとされ,当時は,月2,3回の頻度でその取締りが行われていたが,A警部補らがこ ,カラーコーンで車線を規制すれば通過車両の速度が遅くなる場所であることから,座席ベルト装着義務違反の取締りに適しているとされ,当時は,月2,3回の頻度でその取締りが行われていたが,A警部補らがこの場所で座席ベルト装着義務違反の取締りに従事したのは,この日が初めてであった。 A警部補らは,同日午後4時ころまでに,前記場所において4台の座席ベルト装着義務違反を処理していた。当時,本件道路付近の天候は晴れであった。 オA警部補は,平成18年5月27日午後4時ころ,その佇立位置から約50メートル離れたβ交差点を右折して進入してくる車両のうち,運転者が白い上衣を着ているにもかかわらず,座席ベルトをしているのが確認できない車両があるのを認めた(その時点で,両車線合計で,A警部補と当該車両との間には十数台の車両が存在していた。)。A警部補が当該車両を注視していたところ,当該車両が同警部補の約24メートル手前まで進行してきた時点で,その運転者が座席ベルトをしていないものと認めた。 A警部補は,さらに当該車両の注視を続け,当該車両が同警部補の目前約2メートルの位置を通過すると,当該車両の運転者を座席ベルト装着義務違反と認めて,当該車両が通過した後,口に加えていた警笛を短く2回吹鳴するとともに片手で原告車を指差し,無線で,車両停止係のE巡査(平成16年4月に警察官になっており,同年9月から枚方警察署地域課で勤務し,本件違反に係る取締りの当日までに約1年半の間,月1回から3回程度の割合で座席ベルト装着義務違反の取締りに従事していた。)に対し, その後部ナンバープレートの下4桁(××××),車種(○○),塗色(紺色)を告げ,その停止を命ずるよう指示した。その後,A警部補は,E巡査が停止させるまで後方から原告車に対する注視を続けていたが,原告による後 バープレートの下4桁(××××),車種(○○),塗色(紺色)を告げ,その停止を命ずるよう指示した。その後,A警部補は,E巡査が停止させるまで後方から原告車に対する注視を続けていたが,原告による後付けを確認してはいない。 第1通行帯上に待機していたE巡査は,A警部補からの無線通報を受け,第2通行帯上まで出て,車両番号等を手掛かりに時速20キロメートル前後で進行してくる原告車を発見し(同巡査は,車両が輻輳していたこともあり,A警部補による原告車に対する指差し行為までは見ていなかった。),同車に対し停止するよう手で合図を送った。E巡査が原告車を発見した際には,原告とFとはいずれも座席ベルトを装着しており,原告は,当初左右を見て,何のことか分からないという素振りを見せ(E巡査は,原告の当該動作が大げさで不自然な印象を受けた。),直ちには原告車を停止させなかったが,E巡査が警笛を2回吹鳴してさらに手招きのような合図を送ったところ,Fが,助手席から自分を指差し,同巡査に対し,「自分たちですか。」と聞いたところ,同巡査が肯定したので,原告は,一時的に第2通行帯上に原告車を停め,その後,同巡査の誘導に従って第1通行帯上に移動した。 E巡査は,原告らが座席ベルトをしていたことから,A警部補に無線で連絡したところ,A警部補は,後付けである旨回答した。そこで,E巡査は,原告車の助手席側の窓を開けさせ,原告に対し,シートベルトの違反です,と伝えたところ,原告は,激した口調で,シートベルト,しているやろう,などと答えた。E巡査は,原告に対し,A警部補の方を指差して,あのお巡りさんがシートベルトの違反を見ています,と何度も原告を説得しようとしたが,原告はその都度本件違反を否定するため,E巡査は無線でA警部補に応援を求めた(同巡査の経験では,座席ベルト装着義務 あのお巡りさんがシートベルトの違反を見ています,と何度も原告を説得しようとしたが,原告はその都度本件違反を否定するため,E巡査は無線でA警部補に応援を求めた(同巡査の経験では,座席ベルト装着義務違反を理由として現認係から停止を命ぜられた車両の運転者が座席ベルトをしており,現認係の応援を求めたのは,警察官として実務に就いてからこれ が約6回目であったが,後付けの場合でも,何度も警察官が座席ベルト装着義務違反を現認している旨告げれば,運転者もその違反を承認するものであり,最後まで否認を通したのは原告が初めてである。)。 (2)前記認定事実及び前記前提となる事実等を総合すれば,①座席ベルト装着義務違反の取締りについては豊富な経験を有していたA警部補が,平成18年5月27日午後4時ころ,その佇立位置から約50メートル離れた交差点を右折して本件道路に進入し,時速20キロメートル前後で自身の側方約2メートルの位置を通り過ぎた車両の運転者について,座席ベルトを着用していないものと現認したとして,当該車両が通り過ぎた直後に,車両停止係のE巡査に対し,原告車の車両番号下4桁と同一の番号に加え,原告車の車種(○○)及び塗色(紺色)を無線で通報していること,②A警部補が座席ベルト装着義務違反を認めたとする運転者の服装の色と当時原告が着ていた服装の色がおおむね符合していること,などからすると,A警部補が現認したのは,原告による座席ベルト装着義務違反である可能性は高いというべきである。 もっとも,他方,③A警部補は,座席ベルト装着義務違反を現認したとする車両が同人の佇立していた地点の側方を通過しようとした際当該車両の運転者の座席ベルトが垂直にその右肩後部に垂れ下がってるのを確認したと供述等する(乙1,証人A)が,証拠(甲6ないし8,原告本人)に る車両が同人の佇立していた地点の側方を通過しようとした際当該車両の運転者の座席ベルトが垂直にその右肩後部に垂れ下がってるのを確認したと供述等する(乙1,証人A)が,証拠(甲6ないし8,原告本人)によれば,原告車の座席ベルトは未装着時には支柱内に自動的に収納されるものであって,ストッパー等によって人為的に止められていない限り,原告車の側方約2メートルの位置からそれが運転者の肩付近から垂れ下がっているように見えるとはにわかに考え難いところ,原告が当日そのようなストッパー等を使用していた事実は現場において確認されておらず,当該事実を認めるに足りる証拠は全くないこと(なお,被告は,原告車の座席ベルトについて,原告代理人が撮影した写真(甲6)では留め具が上部に来ていて不自然である旨主張するとともに,その旨の書証(乙6)を提出するが,座席ベルトにおけ る留め具の位置と,未装着時におけるその収納の有無とは基本的に無関係であると認められる上,被告が提出する証拠(乙6)の写真からも,○○の座席ベルトは未装着時には支柱の陰に隠れて停車中でも外側からは見えにくい様子がうかがわれ,資料2の写真⑦及び同⑧を見ても,○○の運転席側の座席ベルトの状態は助手席側のそれと比べていささか不自然な感じがしないでもないことからすれば,乙6を直ちに採用してA警部補の上記供述等の裏付けとすることはできないというべきである。),④直前までFの夫の病状等について車内でFと深刻な会話を交わしていた原告が,A警部補の警笛を聞き,短時間のうちにすばやく座席ベルトを装着すると共に,Fとの間で座席ベルト装着の点について口裏合わせまで行うことは必ずしも容易であるとは認め難いこと,⑤原告は,E巡査によって停止させられてから,同巡査やA警部補の度重なる説得にもかかわらず,原告車内でもδ で座席ベルト装着の点について口裏合わせまで行うことは必ずしも容易であるとは認め難いこと,⑤原告は,E巡査によって停止させられてから,同巡査やA警部補の度重なる説得にもかかわらず,原告車内でもδ交番でも一貫して本件違反を否認し,本件違反によっても基礎点数1点を付加されるほかには具体的な不利益を受けないと考えられるにもかかわらず,数日後に再度枚方警察署を訪れて本件違反の検挙を是正するよう申し入れ,さらには,原告訴訟代理人に委任して,上記検挙の約2か月半後である平成18年8月11日には当裁判所に本訴を提起していること,⑥同乗者のFも,上記検挙の直後から一貫して原告は座席ベルトを着用していた旨供述し(乙2,5),δ交番での取調べにも同行しており,その供述内容,態度等に特に不自然,不合理な点は見当たらないこと,などからすると,A警部補の目撃供述以外に原告の座席ベルト装着義務違反について的確な客観的裏付けを欠く本件においては,原告が被告の主張する日時及び場所において座席ベルト装着義務違反(本件違反)行為をしたとまで断定するには足りないというべきである。 (3)しかしながら,国家賠償請求訴訟においては,原告は,公務員による公権力の行使が,個々の公務員が国民に対して負う職務上の注意義務に違反する違法なものであることを主張立証しなければならないところ,前記(2)において検討したとおり,同①及び②の各事実等からすれば,原告が本件違反行為 をした可能性は高く,同③ないし⑥の各事実等を総合しんしゃくしてもなお,原告が本件違反をしたとの合理的疑いを払拭することはできないというべきであるから,結局,本件においては,原告の国家賠償請求に係る違法性を基礎付けるに足りる事実関係についての立証を欠くものといわざるを得ない。 第4 結論 以上のとおりであるから ことはできないというべきであるから,結局,本件においては,原告の国家賠償請求に係る違法性を基礎付けるに足りる事実関係についての立証を欠くものといわざるを得ない。 第4 結論 以上のとおりであるから,本件訴えのうち,原告の現在の累積点数が4点であることの確認を求める部分は不適法であるので却下し,原告のその余の請求は理由がないので棄却することとし,訴訟費用の負担について行政事件訴訟法7条,民訴法61条を適用して,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第2民事部裁判長裁判官西川知一郎裁判官岡田幸人裁判官森田亮
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