10,426 文字
主文 原判決を取消す。本件を仙台地方裁判所に差し戻す。事実 控訴代理人は主文第一、二項同旨の判決を求め、被控訴代理人は「本件控訴を棄却する。控訴費用は控訴人の負担とする。」との判決を求めた。当事者双方の事実上、法律上の陳述は、次に記載する外は原判決事実摘示と同一であるから、ここにこれを引用する。控訴代理人の陳述第一被控訴人日本国有鉄道(以下国鉄という)の法的性格一、 被控訴人が公法上の法人であることは、当然に被控訴人との雇傭関係が公法上の関係であることを意味するものではない。そもそもある法律関係が、公法関係か私法関係かを決定するにあたつては公法人だからそれが全部公法関係だというのではなく個々具体的にそれが公法の規律するところか、私法の規律するのかを判断しなければならない。その場合に、それが行政目的の実現のために、行政権の主体に優越的な地位を認め、その発動に優越の力を保障しているか、又は行政目的の達成のために、公共の福祉の実現に第一義的意義を認めている場合には、公法と解し、対等の私人相互間の関係として当事者の自主自律に委ね当事者間の利害調整を目的とする場合に私法と解される。更にこのような基準で、公共関係とされるものの中でも権力関係と管理関係とがあり、前者が、国家、公共団体等の行政権の主体に優越的地位を認め、従つてこの地位に基づく行政権の発動たる行為に優越的効力を認めている関係であるのに対し、後者は、国家又は公共団体の行政主体が公益目的達成のため公物の管理、公企業の経営等にあたり、そのための特別の取扱を認められるのであるが、法が明文で特別の取扱を認めている場合か又は純然たる私法関係と区別して取扱われるべき公益の必要の存することを証すべき何らかの実定法上の根拠がある にあたり、そのための特別の取扱を認められるのであるが、法が明文で特別の取扱を認めている場合か又は純然たる私法関係と区別して取扱われるべき公益の必要の存することを証すべき何らかの実定法上の根拠がある場合に限つて公法関係としての特殊性の主張が許容されるのである。 が明文で特別の取扱を認めている場合か又は純然たる私法関係と区別して取扱われるべき公益の必要の存することを証すべき何らかの実定法上の根拠がある にあたり、そのための特別の取扱を認められるのであるが、法が明文で特別の取扱を認めている場合か又は純然たる私法関係と区別して取扱われるべき公益の必要の存することを証すべき何らかの実定法上の根拠がある場合に限つて公法関係としての特殊性の主張が許容されるのである。要するに、ある法律関係を公法関係だというためにはただ漠然とそれが公法人に関係するとか、抽象的に公共の福祉を云々するだけではその理由として不充分であり、いかなる根拠に基づき、優越的地位が認められ、いかなる目的でその権限発動に優越的効力をみとめなければならないのか、実定法上明らかにされていなければならない。二、 国鉄の法的性格、その存在意義等を根拠規定たる日本国有鉄道法(以下国鉄法という)の明文上の規定に基づき検討する。まず国鉄法第一条、第二条により国鉄が原判決が判示するような目的をもつた公法人であることは明らかである。しかしながら、公共的性格をもつことから、ただちに国鉄を行政機関とみることは明文上の根拠がない限りできない。国鉄法の規定をみると、公共性維持の見地から、国鉄は、道路運送法、電気事業法、土地収用法等の適用については国の行政機関と「みなさ」れているのであり(同法第六三条)、また、同法第五〇条の二は、補助金等にかかる予算の執行の適正化に関する法律についての読替規定をおいているのである。このような「みなす」規定、読替規定をわざわざおいているところから逆に反面解釈として、国鉄が行政機関でないことを裏書しているものということができる。このように国鉄は、その行う事業の公共性の故に、国の後見的監督をうける事業の運営、財産の管理面などにおいて私法の適用を認めることが公益目的の達成に支障を来たすところ特別の定めの存する限度で私法適用が排除されるいわゆる公法上の管理関係に該当す 、国の後見的監督をうける事業の運営、財産の管理面などにおいて私法の適用を認めることが公益目的の達成に支障を来たすところ特別の定めの存する限度で私法適用が排除されるいわゆる公法上の管理関係に該当する場合があるが、それ以外は全く私法関係なのである。第二国鉄と職員の法的関係一、 前述のように国鉄について国鉄法に特別な規定がある場合、いわゆる公法上の管理関係とみられることがある。 公法上の管理関係に該当す 、国の後見的監督をうける事業の運営、財産の管理面などにおいて私法の適用を認めることが公益目的の達成に支障を来たすところ特別の定めの存する限度で私法適用が排除されるいわゆる公法上の管理関係に該当する場合があるが、それ以外は全く私法関係なのである。第二国鉄と職員の法的関係一、 前述のように国鉄について国鉄法に特別な規定がある場合、いわゆる公法上の管理関係とみられることがある。しかし国鉄が政府から指揮監督をうけることと、国鉄と職員との法律関係とには理論上の必然的な関連性がない以上、右のことからただちに国鉄と職員との法律関係に公法関係的性格があるということはできない。例えば公庫等の政府関係機関もすべて国鉄と同様な指揮監督をうけているが、それが公庫等の労働関係を公法関係ならしめるものではないことからみても明らかである。恩給法、健康保険法上国に使用されているとみなされる規定が存在するが、それは既得権保護ないし社会保障の政策上「みなし」ているのであり、そのことから職員の労働関係の法的性格が変えられるものではない。二、 国鉄法、公共企業体等労働関係法(以下公労法という)の職員に関する規定をみると職員の任免の基準、給与、分限、懲戒、職務専念義務などについて国家公務員に関するものと類似の規定(国鉄法第二七条ないし第三二条)がある。しかし反面公労法第八条によれば、国鉄の一般職員は賃金、その他給与、労働時間等に関する事項、昇職、降職、免職、懲戒の基準に関する事項、その外労働条件に関する事項について国鉄と対等な立場に立つて団体交渉によりその内容を自由に交渉、協定しうる地位が保障せられており、また国鉄と職員との間に発生した紛争を解決するために調停、仲裁の制度がある。(公労法第二七条ないし第三五条)。同時に、私企業の就業規則にも、国鉄法にある職 に交渉、協定しうる地位が保障せられており、また国鉄と職員との間に発生した紛争を解決するために調停、仲裁の制度がある。(公労法第二七条ないし第三五条)。同時に、私企業の就業規則にも、国鉄法にある職員の身分、服務等に関する規定と性質上同一のものを見出すことができる。国鉄法第三一条が特に総裁を懲戒権者と定めた趣旨は、懲戒の重大性に着目し、その権限を理事その他の機関に委ねることなく総裁自らこれを行なうことにしたにすぎないのであり、総裁が行政庁としての性格を有することを根拠づける規定ではない。 めに調停、仲裁の制度がある。(公労法第二七条ないし第三五条)。同時に、私企業の就業規則にも、国鉄法にある職員の身分、服務等に関する規定と性質上同一のものを見出すことができる。国鉄法第三一条が特に総裁を懲戒権者と定めた趣旨は、懲戒の重大性に着目し、その権限を理事その他の機関に委ねることなく総裁自らこれを行なうことにしたにすぎないのであり、総裁が行政庁としての性格を有することを根拠づける規定ではない。このように、国鉄と職員との法律関係は、上下服従の法律関係でないことは勿論であり、当事者対等、私的自治の私法によつて規律されるものというべきである。三、 次に公労法第一八条の解雇の性格について検討する。原判決は、「同法(公労法をさす)第一七条が国家公務員法第九八条第五項並に地方公務員法第三七条第一項と同様の見地から公共企業体等の職員の争議行為を禁止していること及び公労法第一八条が公共企業体等に対し、同法第一七条に違反した職員を右違反の理由だけでその裁量により一方的に解雇し得る権限を与えていることに鑑み、同法第一八条は、右解雇処分が実定法的に公法関係的性格を有することを規定したものと考える」というのである。原判決のこの考え方からすれば、公務員の場合にも公労法第一八条に相当する規定がなければならないことになるのであるが、その様な規定はない。また原判決は「右違反の理由だけでその裁量により一方的に解雇し得る権限を与えている」ことから国鉄側に優越的地位をみとめたのかもしれないが、それでは法律上一定事由あるときに一方的に行使できる形成権の場合にはすべて公法関係的性格になつてしまうものといわなければならないであろう。公務員の争議禁止規定違反を理由に懲戒処 たのかもしれないが、それでは法律上一定事由あるときに一方的に行使できる形成権の場合にはすべて公法関係的性格になつてしまうものといわなければならないであろう。公務員の争議禁止規定違反を理由に懲戒処分が行われる場合でも、処分者側に優越的地位がみとめられるのではなて、いわゆる公法上の管理関係であり、本来当事者対等の関係なのであるが、公務員の特殊性から明文上不利益処分審査の規定等があるので、民事訴訟が排除されるのである。一方、公労法の解雇は公労法第二五条の五第四項により公労委への不当労働行為救済申立期間の制限があるが、別段救済申立は訴訟の前提になつているわけではないのであり、労働組合法の適用のある私企業の場合と全く同様である。 優越的地位がみとめられるのではなて、いわゆる公法上の管理関係であり、本来当事者対等の関係なのであるが、公務員の特殊性から明文上不利益処分審査の規定等があるので、民事訴訟が排除されるのである。一方、公労法の解雇は公労法第二五条の五第四項により公労委への不当労働行為救済申立期間の制限があるが、別段救済申立は訴訟の前提になつているわけではないのであり、労働組合法の適用のある私企業の場合と全く同様である。第三本件本案訴訟の性格と行政訴訟一、 本件仮処分申請の本案訴訟は、雇用契約関係確認及び賃金支払請求事件である。行政処分の無効を前提にしたいわゆる争点訴訟ではない。本件解雇が無効なので控訴人は依然として国鉄職員たる身分を有しているのであり、被控訴人がこれを認めず就労を拒否し賃金支払をしない以上、被控訴人との間で雇用契約関係を確認する利益があり、かつ賃金支払の請求訴訟を提起できるのである。私企業における従業員の解雇事件と全く同様である。二、 行政事件訴訟法第二条はその種類として抗告訴訟、当事者訴訟、民衆訴訟、機関訴訟を挙げているが、本件解雇の効力を争う訴訟が当事者訴訟、民衆訴訟、機関訴訟に該当しないことはいうまでもなく、抗告訴訟は「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」等を対象としているが、前述の如く、被控訴人は特別な規定がない限り行政機関とはみなされないのであり、かつ本件解雇が公権力の行使でないことはいうまでもないのであつて、かかる意味からいつても本件解雇は行政訴訟の対象になり得ないのである。な は特別な規定がない限り行政機関とはみなされないのであり、かつ本件解雇が公権力の行使でないことはいうまでもないのであつて、かかる意味からいつても本件解雇は行政訴訟の対象になり得ないのである。なお、最高裁昭和二九年九月一五日の判決は国鉄を定員法という規定により行政機関に準じて取扱つたのであり、一般的に行政機関といつているわけでない。証拠として、被控訴代理人は乙第一ないし第三号証を提出し、控訴代理人は乙第一、二号証の成立を認めた。理由 一、 控訴人の本件仮処分申請は、被控訴人が控訴人に対して公労法第一八条に基づいてなした解雇処分(以下本件解雇という)が無効であることを前提として、地位の保全と賃金の仮払いを求めるものであるところ、これに対し、被控訴人は、本件解雇は行政庁たる国鉄総裁が公労法第一八条に基づいてなした処分であるから、行政事件訴訟法第四四条により、本件仮処分申請は許されない旨主張するので、本件解雇が右行政事件訴訟法第四四条にいわゆる行政庁の処分その他公権力の行使に当る行為に該るか否かについて判断するに、(一) 被控訴人国鉄は、昭和二三年一二月二〇日法律第二五六号をもつて国鉄法の施行に際し、従前純然たる国家の行政機関によつて運営せられて来た鉄道その他の事業を経営し、能率的な運営によりこれを発展せしめ、もつて公共の福祉を増進することを目的として設立せられた公法人(国鉄法第一、二条)であり、このような国鉄を行政機関から分離して独立の法人とした設立の沿革及び趣旨と、その事業の本質において国家権力の行使と直接関係のない、私企業によつても営まれる性質の鉄道事業の経営を本務とするものであることとに鑑みれば、国鉄は本質上公権力の行使にあずかる国の行政機関たるの性格を有するものということができない。 展せしめ、もつて公共の福祉を増進することを目的として設立せられた公法人(国鉄法第一、二条)であり、このような国鉄を行政機関から分離して独立の法人とした設立の沿革及び趣旨と、その事業の本質において国家権力の行使と直接関係のない、私企業によつても営まれる性質の鉄道事業の経営を本務とするものであることとに鑑みれば、国鉄は本質上公権力の行使にあずかる国の行政機関たるの性格を有するものということができない。もつとも、 のない、私企業によつても営まれる性質の鉄道事業の経営を本務とするものであることとに鑑みれば、国鉄は本質上公権力の行使にあずかる国の行政機関たるの性格を有するものということができない。もつとも、国鉄法には、役員の任免、事業の経営等について政府機関の監督に服し、予算会計についても政府及び国会の規整をうくべき旨の諸規定があるが、これらの諸規定は国鉄の営む鉄道事業の沿革と規模に徴し、国が経営会計の面において後見的立場から監督する必要上かかれた規定であるから、これがため国鉄が行政機関たる性格を有するものということはできない。(二) 国鉄が本質上行政機関たる法的性格を有しないこと右のとおりであり、従つて国鉄職員も国家公務員の性格を有するものではないのであるが、国鉄とその職員との勤務関係について、国鉄法その他の実定法がこれを国家公務員と同様な特別権力関係として規律をしているとすれば、その関係においては国鉄とその職員との関係も行政機関におけるその職員との関係に準じて取扱うべきであるから、このような見地から国鉄とその職員との関係がどのように規律されているかを検討すると、(1) まず国鉄法第三四条第一項に「役員及び職員は法令により公務に従事する者とみなす。」との規定がある。この規定によれば国鉄職員も公務に従事する公務員と同様の取扱を受ける場合のあることが明らかであるから、右規定の趣旨ないしその適用の範囲について考えるに、元来国鉄法は公労法とともに、いわゆる二・一ゼネストに次ぐ第二次労働争議に対処する、昭和二三年七月二二日付国家公務員法の改正に関するA書簡による国家公務員法の第一次改正に際し制定されたものであり、前記国鉄法第三四条第一項の規定も同書簡中の「鉄道並に塩、煙草の専売などの政府事業に関する限り、これらの職員は普通公職から除外されてよ 書簡による国家公務員法の第一次改正に際し制定されたものであり、前記国鉄法第三四条第一項の規定も同書簡中の「鉄道並に塩、煙草の専売などの政府事業に関する限り、これらの職員は普通公職から除外されてよいと信ずる。 簡による国家公務員法の第一次改正に際し制定されたものであり、前記国鉄法第三四条第一項の規定も同書簡中の「鉄道並に塩、煙草の専売などの政府事業に関する限り、これらの職員は普通公職から除外されてよ 書簡による国家公務員法の第一次改正に際し制定されたものであり、前記国鉄法第三四条第一項の規定も同書簡中の「鉄道並に塩、煙草の専売などの政府事業に関する限り、これらの職員は普通公職から除外されてよいと信ずる。しかしながらこれらの事業を管理し運営するために適当な方法により公共企業体が組織せらるべきである。しかしてその雇傭の標準、方針並に手続を適正に定め、雇傭者が責任を忠実に遂行することを怠り、ために業務運営に支障を来すことなきよう公共の利益を擁護する方法が定められなければならない。……」の趣旨に基づくものである。従つて右第三四条第一項の規定は鉄道事業の直接社会公共の利益にかかることの大なるに鑑み、国鉄職員に対し、従来のゼネストの如き全国的ストライキなどのないよう、公務員の公務に従事する場合と同一の執務態度精神をもつて執務すべきことを求めているもの、すなわち国鉄職員の鉄道事業の執務態度精神において公務員の場合と同一であるべきことを規定した趣旨のものであり、国鉄とその職員との雇傭契約関係の全般について公務員の場合と同一であることを規定しているものではないことが明らかである。前記書簡の趣旨による右第三四条第一項の規定の趣旨により国鉄職員も公務員におけると同様、程度の差異はあるが労働運動の制限を受けることのあるのはもとより、刑罰法規の適用においても、刑法第七条第一項にいわゆる「法令により公務に従事する職員」として公務員の場合と同様の地位の保障を得、ないし責任追及の地位に立たされているにすぎないのである。従つて国鉄法も同法第三四条第二項において、「役員及び職員には国家公務員法は適用されない。」ことを明言し、かつ同法第三五条において「国鉄職員の労働関係に関しては公労法の定めるところによる。」と規定しているのである。要するに国鉄法第三四条第一 員及び職員には国家公務員法は適用されない。」ことを明言し、かつ同法第三五条において「国鉄職員の労働関係に関しては公労法の定めるところによる。」と規定しているのである。要するに国鉄法第三四条第一項の規定の趣旨は、国鉄とその職員の雇傭関係においては、国鉄職員の労働運動の制限の根拠を規定したにすぎないものであり、このように労働運動の制限されるのは国鉄職員の業務の社会公共性の大なるによるものであり、国鉄のその職員に対する特別権力関係によるものではない。 を明言し、かつ同法第三五条において「国鉄職員の労働関係に関しては公労法の定めるところによる。」と規定しているのである。要するに国鉄法第三四条第一項の規定の趣旨は、国鉄とその職員の雇傭関係においては、国鉄職員の労働運動の制限の根拠を規定したにすぎないものであり、このように労働運動の制限されるのは国鉄職員の業務の社会公共性の大なるによるものであり、国鉄のその職員に対する特別権力関係によるものではない。従つて右規定の存在をもつて国鉄職員の勤務関係を一般公務員の場合と同様な特別権力関係として規定しているものということはできない。(2) また国鉄職員の勤務関係について、国鉄法中には、職員の任免は成績その他の能力の実証に基づいて行い、職員の給与はその職務の内容と責任に応ずることを要し、一定の事由がなければその意に反して降職、免職、休職されず、一定の事由があるときは懲戒処分に付され、職務の遂行については誠実に法令、業務上の規程に従い、全力をあげて職務の遂行に専念しなければならない(第二七条ないし第三二条)など、国家公務員の場合と同様な諸規定があるけれども、これとほぼ同趣旨の規定は一般私企業の就業規則等にもみられるところであるのみならず、国鉄職員には前述のように公労法が適用され、国鉄職員の組合は、賃金その他の給与労働時間、休憩、休日及び休暇に関する事項、昇職、降職、転職、免職、休職、先任権及び懲戒の基準に関する事項、労働に関する安全、衛生及び災害補償に関する事項、その他労働条件に関する事項等について、広汎な団体交渉権が与えられ、国鉄と対等の立場においてこれらの事項に関し労働協約を締結する権利が認められ(公労法第八条)、また国鉄とその職員との間に発生した紛争について、あつせん、調停、仲裁の制度が設 な団体交渉権が与えられ、国鉄と対等の立場においてこれらの事項に関し労働協約を締結する権利が認められ(公労法第八条)、また国鉄とその職員との間に発生した紛争について、あつせん、調停、仲裁の制度が設けられ(公労法第六章)、不当労働行為については公労委による救済が認められている(公労法第三条、第二五条の五)のに対し、国家公務員にはかかる団体交渉権がなく、かかる事項については専ら法律又は人事院規則の定めるところによることになつている点において、国鉄職員の勤務関係と国家公務員のそれとの間に著しい差異があるのであるから、前記のような諸規定があるからといつて、両者の勤務関係を同一にみることはできない。 けられ(公労法第六章)、不当労働行為については公労委による救済が認められている(公労法第三条、第二五条の五)のに対し、国家公務員にはかかる団体交渉権がなく、かかる事項については専ら法律又は人事院規則の定めるところによることになつている点において、国鉄職員の勤務関係と国家公務員のそれとの間に著しい差異があるのであるから、前記のような諸規定があるからといつて、両者の勤務関係を同一にみることはできない。もつとも、いわゆる五現業の国家公務員については、国鉄職員と同様公労法が適用され、従つて国鉄職員と同様の団体交渉権及び労働協約締結権が認められ、発生した紛争についてはあつせん、調停、仲裁の制度が、不当労働行為については公労委による救済が認められ(公労法第二条、第三条、第八条、第二五条の五、第六章の各規定)、その関係において国家公務員法の適用が一部排除されている(公労法第四〇条)けれども、右の国家公務員には依然右適用を排除された規定を除き国家公務員法が適用されるのであるから、両者の勤務関係にはなお性質上の差異が存するものと認められるし、また国鉄職員も国家公務員と同様一切の争議行為が禁止されている(公労法第一七条、第一八条、国家公務員法第九八条)が、それは国鉄職員を国家公務員と同視したためではなく、国鉄事業が全国的な規模で運営されていることに基づく高度の公共性に由来するものであるから、両者とも争議行為を禁止されているからといつて両者の勤務関係が同一であるということはできない。(3) なお国鉄法第三一条には懲戒権者を総裁と規定しているが、右規定は総裁の 由来するものであるから、両者とも争議行為を禁止されているからといつて両者の勤務関係が同一であるということはできない。(3) なお国鉄法第三一条には懲戒権者を総裁と規定しているが、右規定は総裁の役員任免権に関する規定(第一九条第二項、第二二条第二項、第二二条の二第二項)と同様、懲戒のような部内の規律維持に関する重要な事項は国鉄の代表者である総裁自らこれを行なうべきことを定めたものにすぎないものと解すべきであるから、右規定があるからといつてこれのみにより総裁が行政庁たる性格を有するものということはできない。<要旨>二、 以上検討したところを綜合すれば、国鉄職員は一面において公務員と同一の取扱をうけている面もある</要旨>が、その勤務関係の基底となつているものは、公務員に特有な特別権力関係的原理とは異る当事者対等の非権力関係的原理が支配しているものとみるのが相当であるから、国鉄職員の勤務関係の基本は特別権力関係ではなく私企業における勤務関係と同一の関係であると解するのが相当である。 いうことはできない。<要旨>二、 以上検討したところを綜合すれば、国鉄職員は一面において公務員と同一の取扱をうけている面もある</要旨>が、その勤務関係の基底となつているものは、公務員に特有な特別権力関係的原理とは異る当事者対等の非権力関係的原理が支配しているものとみるのが相当であるから、国鉄職員の勤務関係の基本は特別権力関係ではなく私企業における勤務関係と同一の関係であると解するのが相当である。三、 従つて、国鉄が国鉄法によつて行なら免職処分をもつて行政庁の公権力の行使たる行政処分ということはできないし、公労法第一八条による解雇も特にこれを別異に解すべき特段の規定も存しないから行政処分ではないというべきである。なお最高裁昭和二九年九月一五日の大法廷判決は行政機関職員定員法に基づく解雇に関するものであつて本件とは事案を異にするものである。四、 しからば、本件解雇は行政事件訴訟法第四四条にいわゆる「行政庁の処分その他公権力の行使にあたる行為」に該らないものであるから本件については同条の適用はないものといわねばならない。してみれば、本件仮処分申請を右法条に違反する不適法なものとして却下した原判決は不当であるからこれを取消し、民事訴訟法第三八六 ものであるから本件については同条の適用はないものといわねばならない。してみれば、本件仮処分申請を右法条に違反する不適法なものとして却下した原判決は不当であるからこれを取消し、民事訴訟法第三八六条、第三八八条に従い、主文のとおり判決する。(裁判長裁判官村上武裁判官小嶋弥作裁判官伊藤和男)
▼ クリックして全文を表示