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昭和43(行ウ)249 所得税更正決定等取消請求事件

裁判所

昭和46年9月30日 東京地方裁判所 租税

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4,404 文字

主文 被告が原告に対し昭和四二年一一月二八日付でした原告の昭和四〇年分所得税の更正処分および過少申告加算税の賦課決定は所得金額二、〇九〇万五、七一〇円を超える限度において取り消す。原告その余の請求を棄却する。訴訟費用はこれを三分しその二は原告のその余は被告の各負担とする。事実 第一当事者の求める裁判(原告)「被告が原告に対し昭和四二年一一月二八日付でした原告の昭和四〇年分所得税の更正処分および過少申告加算税の賦課決定のうち確定申告額をこえる部分を取り消す。訴訟費用は被告の負担とする。」との判決(被告)請求棄却の判決第二原告主張の請求原因原告は、昭和四〇年分所得税につき総所得金額一、四一八万五、一九七円(但し、事業所得)、税額四八一万二、九四〇円と確定申告したところ、被告は、原告の東京都渋谷区<以下略>(敷地の共有持分を含む。以下「本件資産」という。)の売得金四、二九〇万六、〇〇〇円全額が譲渡収入であると認定し、昭和四二年一一月二八日付で、総所得金額を二、二八二万四、八五五円、税額を九六九万三、二〇〇円と更正し、過少申告加算税二四万四、〇〇〇円の賦課決定をした。しかし、本件資産の購入代金三、三七五万円は、フアースト・ナシヨナル・シテイー銀行東京支店からの借入金をもつてまかなわれたものであるが、原告は、譲渡の時までに右借入金に対する利息として同銀行に合計六一五万九〇〇円を支払つたのであるから、右利息金額は、本件資産の増加益に対応する費用として、収入金額より控除さるべきである(昭和三五年直所一―一一直資一六、昭和三八年直審(所)七七各国税庁長官通達参照)。仮りに、右利息金額のうち本件資産取得の時までに支払われたものだけが資産の増加益に対応する費用であるとしても、原告は本件資産を昭和三七 一直資一六、昭和三八年直審(所)七七各国税庁長官通達参照)。仮りに、右利息金額のうち本件資産取得の時までに支払われたものだけが資産の増加益に対応する費用であるとしても、原告は本件資産を昭和三七年一二月八日建物未完成のまま前記代金で買い受ける旨の契約を締結したが、その引渡しを受けたのは、本件資産が内装工事を完了して使用しうる状態になつた昭和四〇年四月一日であるから、それまでに支払われた利息四一三万九、三四七円は、本件資産の取得費として、収入金額から控除されるべきである。 息金額のうち本件資産取得の時までに支払われたものだけが資産の増加益に対応する費用であるとしても、原告は本件資産を昭和三七年一二月八日建物未完成のまま前記代金で買い受ける旨の契約を締結したが、その引渡しを受けたのは、本件資産が内装工事を完了して使用しうる状態になつた昭和四〇年四月一日であるから、それまでに支払われた利息四一三万九、三四七円は、本件資産の取得費として、収入金額から控除されるべきである。したがつて、右の控除をしないでなされた前記各課税処分は、違法たるを免がれない。第三被告の答弁原告主張の請求原因事実のうち、本件資産の購入代金が借入金をもつてまかなわれ、また、本件資産取得の時期が昭和四〇年四月一日であることは否認、その余の事実はすべて認める。原告の法律上の主張は争う。仮りに、本件資産が原告主張のように借入金によつて購入されたものであるとしても、所得税法が譲渡所得の金額の算定にあたり、不動産所得、事業所得又は雑所得の金額の計算におけるごとく「必要経費」の概念を容れる(三七条一項参照)ことなく、当該資産の取得に要した金額並びに設備費および改良費の額の合計額をもつて「取得費」とし、譲渡収入金額から取得費および譲渡に要した費用の額の合計額を控除し、さらにその残額より特別控除額を差し引いた金額をもつて譲渡所得の金額とする(三三条三項、三八条一項参照)としているのは、譲渡所得が、不動産所得、事業所得又は雑所得のごとく投下資本の生産力による収益ではなくして、資産の値上りによる増加益であつて、しかも、資産の譲渡を機会に課せられるものであるところから期間計算に親しまないということによるのである。したがつて、ここにいう資産の取得に要した金額とは、資産の購入代価、 値上りによる増加益であつて、しかも、資産の譲渡を機会に課せられるものであるところから期間計算に親しまないということによるのである。したがつて、ここにいう資産の取得に要した金額とは、資産の購入代価、製造費、登録費用、不動産取得税、買入手数料等取得のために直接必要とした金額にかぎられ、また、設備費および改良費とは、設備、改良のために直接必要とした資本的支出の金額にかぎられ、資産を取得又は維持するために要した借入金の利息のごときは、取得費に含まれないものというべきである。もつとも、資産購入代金の一部又は全部が前払いされる場合には、契約上の売買代金は、実際の売買代金より利息相当分だけ安くなるはずであるから、前払金が借入金によつてまかなわれたとすれば、実際の売買代金を算定するにつき、借入金に対する支払利息は、契約上の売買代金に加算されるべきこというまでもない。 にかぎられ、資産を取得又は維持するために要した借入金の利息のごときは、取得費に含まれないものというべきである。もつとも、資産購入代金の一部又は全部が前払いされる場合には、契約上の売買代金は、実際の売買代金より利息相当分だけ安くなるはずであるから、前払金が借入金によつてまかなわれたとすれば、実際の売買代金を算定するにつき、借入金に対する支払利息は、契約上の売買代金に加算されるべきこというまでもない。しかして、原告は、本件資産を昭和三七年一二月二八日建物未完成のまま代金三、三七五万円で買い受ける旨の契約を締結し、建物の完成された昭和三九年四月一五日その所有権を取得したのであるが、その間に代金の前払いと借入金に対する利息の支払いをしたものとすれば、右代金に加算されるべき支払利息は、右取得時までの二二四万四、六一一円に限られ、これによつて原告の譲渡所得金額を計算すれば、六二五万九、一一三円となる。第四証拠関係(省略) 理由 本件課税処分の経緯については当事者間に争いがなく、本件資産の購入代金三、三七五万円の大部分がフアースト・ナシヨナル・シテイ銀行東京支店からの借入金をもつてまかなわれたことは、いずれも成立に争いのない甲第二ないし第四号証、甲第六号証の一ないし四、甲第八号証の一、二によつて認めることができ、右認定を妨げる証拠はない。ところで、所得税法三八条が もつてまかなわれたことは、いずれも成立に争いのない甲第二ないし第四号証、甲第六号証の一ないし四、甲第八号証の一、二によつて認めることができ、右認定を妨げる証拠はない。ところで、所得税法三八条が、譲渡所得の金額の計算にあたり、資産の譲渡による収入金額から控除する取得費を、資産の取得に要した金額と設備費および改良費に限定しているのは、譲渡所得が、不動産所得、事業所得又は雑所得のごとく投下資本の生産力による収益ではなくして、資産の値上りにより毎年潜在的に発生している増加益であり、しかも、それが資産の譲渡によつて顕在化したときに課税の対象とされる関係で、期間計算に親しまないものであるということに立脚するものである。したがつて、取得費たる資産の取得に要した費用とは、資産取得のために直接必要とした費用、換言すれば、当該資産の客観的価額の一部を構成する支出をいい、然らざる支出は、たとえ資産を取得するための借入金に対する支払利息であつても、これに含まれないものと解すべきである。 り、しかも、それが資産の譲渡によつて顕在化したときに課税の対象とされる関係で、期間計算に親しまないものであるということに立脚するものである。したがつて、取得費たる資産の取得に要した費用とは、資産取得のために直接必要とした費用、換言すれば、当該資産の客観的価額の一部を構成する支出をいい、然らざる支出は、たとえ資産を取得するための借入金に対する支払利息であつても、これに含まれないものと解すべきである。もつとも、資産購入代金の一部又は全部が前払される場合には、契約上の売買代金は、実際の売買代金より利息相当分だけ安くなるはずであるから、前払金が借入金によつてまかなわれたとすれば、実際の売買代金を算定するにつき、借入金に対する支払利息は、契約上の売買代金に加算されるべきこというまでもない。しかして、原告が本件資産を昭和三七年一二月二八日建物未完成のまま代金三、三七五万円で買い受ける旨の契約を締結したことは、当事者に争いがなく、前掲各証拠と、いずれも成立に争いのない甲第五号証、乙第二、第三号証並びに証人aの証言によれば、原告は、建物が完成してその引渡しを受けた昭和三九年四月一五日本件資産の所有権を取得したが、その間に、前記借入金の相当部分を代金として売主に前払し、また、前記 、第三号証並びに証人aの証言によれば、原告は、建物が完成してその引渡しを受けた昭和三九年四月一五日本件資産の所有権を取得したが、その間に、前記借入金の相当部分を代金として売主に前払し、また、前記借入金に対して同年三月一九日までに合計二〇一万五、九六三円、同年四月二〇日二七万九九一円の各利息を銀行に支払つたことを認めることができ、右認定を覆えすに足る的確な証拠はない。したがつて、右代金三、三七五万円に昭和三九年四月一五日までの支払利息合計二二四万四、六一一円を加算した三、五九九万四、六一一円が本件資産の実際の購入代金であるというべく、これによつてその譲渡所得の金額を計算すれば、六二五万九、一一三円となることを本件弁論の全趣旨によつて認めることができる。されば、原告の本訴請求は、右譲渡所得金額六二五万九、一一三円と当事者間に争いのない事業所得金額一、四六四万六、五九七円との合計たる総所得金額二、〇九〇万五、七一〇円を超える部分の取消しを求める限度において理由があるのでこれを認容し、その余の部分は失当としてこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき行訴法七条、民訴法八九条、九二条を適用して、主文のとおり判決する。 全趣旨によつて認めることができる。されば、原告の本訴請求は、右譲渡所得金額六二五万九、一一三円と当事者間に争いのない事業所得金額一、四六四万六、五九七円との合計たる総所得金額二、〇九〇万五、七一〇円を超える部分の取消しを求める限度において理由があるのでこれを認容し、その余の部分は失当としてこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき行訴法七条、民訴法八九条、九二条を適用して、主文のとおり判決する。(裁判官渡部吉隆渡辺昭竹田穰)

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