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主文 本件抗告を却下する。本件原状回復の申立を却下する。各申立費用は総て抗告人の負担とする。理由 本件抗告の趣旨並に理由は末尾添附の抗告理由書記載のとおりである。なお抗告人は本件即時抗告については家事審判法第十四条の規定によりその期間は十四日と解すべきであり、右期間内に申立てられた右即時抗告は適法である。仮に、右即時抗告の期間について民事訴訟法第四百十五条が適用され、その期間が七日と解されるときは本件即時抗告は右期間経過後に申立てられたこととなるけれども、それは抗告人において法律の解釈を異にしたためであつて、抗告人の貢に帰すべからざる事由によるものであるから、このことを知つた後七日間内に申立てた本件即時抗告は適法なものとして許されねばならないと主張する。よつて先ず職権をもつて本件記録につき調査するに、抗告人は水戸家庭裁判所常陸太田支部昭和三十年(家)第五一二号準禁治産宣告申立事件について同年八月二十五日同庁において準禁治産の宣告を受け、その審判は昭和三十一年七月三日確定したが、同年八月三十一日同庁に右宣告の取消を求める旨申立てた(同庁昭和三十一年(家)第六二六号)ので、同庁家事審判官Aは昭和三十二年九月十八日職権をもつて「Bをして抗告人の精神状況を鑑定させる」旨決定したところ、同年十月二日抗告人は右鑑定人を忌避する旨申し立て、同年十月九日同家事審判官によつて右忌避申立を却下する旨決定せられ、同月十六日右決定の謄本の送達を受け、同月二十八日同庁に右決定に対する本件抗告状を提出したことが認められる。すなわち同家事審判官は前示宣告を取消すべきか否かを決定するため必要があるものとして鑑定人Bに抗告人の精神状況を鑑定させようとしたものであつて、家事審判法、家事審判規則は鑑 出したことが認められる。すなわち同家事審判官は前示宣告を取消すべきか否かを決定するため必要があるものとして鑑定人Bに抗告人の精神状況を鑑定させようとしたものであつて、家事審判法、家事審判規則は鑑定について格別の規定を設けず、その手続についてほ民事訴訟法によることとしており、抗告人もまた同法第三百五条に則り忌避申立をしたことは本件記録上明白である。 うとしたものであつて、家事審判法、家事審判規則は鑑 出したことが認められる。すなわち同家事審判官は前示宣告を取消すべきか否かを決定するため必要があるものとして鑑定人Bに抗告人の精神状況を鑑定させようとしたものであつて、家事審判法、家事審判規則は鑑定について格別の規定を設けず、その手続についてほ民事訴訟法によることとしており、抗告人もまた同法第三百五条に則り忌避申立をしたことは本件記録上明白である。思うに家事審判法第十四条は審判に対しては、即時抗告をすることができる旨を定め、不服の対象となる審判には同条に別段制限の文字が記されてないのであつて、これを同法第九条に掲げる審判に限るものとするのは、もちろん狭きに失するけれど、家庭裁判所の一切の審判に対し即時抗告をすることができるものと解するのは、家事審判規則中に即時抗告をすることができる人と、即時抗告の対象となり得る審判とを明示した多くの規定に照らして広きに過ぎろものと云わなければならない。ところで鑑定の手続は前記のとおり家事審判法に規定しないで、民事訴訟法に譲つているのであるから、家事審判事件における鑑定手続については、それが家事審判官によつてなされる審判であつても家事審判法第十四条に云う審判には含まれていないものと解するのが相当である。もしそうでないとすれば、民事訴訟法第三百六条第三項で忌避を理由ありとする決定に対しては不服を申立てられないことになつているのに家事審判事件においては忌避を理由ありとする場合においても家事審判法第十四条で不服申立を許さざるを得ないという不当な結果を生ずるからである。<要旨>かくて家事審判事件においても鑑定人に対する忌避申立を許すか否か、忌避申立に対する審判に対して不服</要旨>申立を許すか否かはすべて民事訴訟法に則るべきものである以上、不服申立を許す場合に於ても、その不服申立期間は同法第四百十五条に従い る忌避申立を許すか否か、忌避申立に対する審判に対して不服</要旨>申立を許すか否かはすべて民事訴訟法に則るべきものである以上、不服申立を許す場合に於ても、その不服申立期間は同法第四百十五条に従い、裁判(審判)の告知のあつた日から一週間内に限られることはもとより当然というべきであろう。何となれば一般的に云つて同じく民事訴訟手続に則るべき証拠調に関する不服申立期間を民事訴訟事件におけると家事審判事件におけるとによつて差別すべき謂はなく、稍々具体的に云えば民事訴訟事件において過料に処せられた証人の不服申立期間が一週間で足るものとする以上、家事審判事件における証人が同様の申立をするには二週間を要するものとすべき合理的理由は見当らない。 内に限られることはもとより当然というべきであろう。何となれば一般的に云つて同じく民事訴訟手続に則るべき証拠調に関する不服申立期間を民事訴訟事件におけると家事審判事件におけるとによつて差別すべき謂はなく、稍々具体的に云えば民事訴訟事件において過料に処せられた証人の不服申立期間が一週間で足るものとする以上、家事審判事件における証人が同様の申立をするには二週間を要するものとすべき合理的理由は見当らない。強いて云えば、家事審判における事件関係者が、民事訴訟法により不服申立をする場合は、法律に詳でない者も少くないから、家事審判決第十四条を準用又は適用して不服申立期間を二週間とすべき合理的根拠が認められるのではないかと云う点であるが、前述のとおり一週間で足るものまでも二週間にしてしまうことは法律上の権衡を失する結果となるし、不服申立人如何によつて不服申立期間を或る場合は一週間、他の場合は二週間と二様に解釈することは当を得たものではない。これを要するに本件忌避申立却下の審判に対してはその告知のあつた日から一週間内に即時抗告をしなければならない。しかるに抗告人が右告知をうけた後一週間以上経過してから本件即時抗告をしたことは冒頭説示のとおりであるから本件抗告は不適法として却下するの外はない。なお抗告人は右説示と法律の解釈を異にし、本件不服申立期間を二週間と考えていたと主張するのであるが、特段の事情の認められない本件においては、この解釈の誤が抗告人の責に帰せられない事由であるとは認められないから、原状回復の申立もこ 異にし、本件不服申立期間を二週間と考えていたと主張するのであるが、特段の事情の認められない本件においては、この解釈の誤が抗告人の責に帰せられない事由であるとは認められないから、原状回復の申立もこれを許容するに由ない。よつて本件各申立費用を抗告人に負担させることとし主文のとおり決定する。(裁判長判事梶村敏樹判事岡崎隆判事堀田繁勝)
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