平成28(行ウ)148 処分取消等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成30年3月8日 名古屋地方裁判所 その他
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判決文本文34,083 文字)

平成30年3月8日判決言渡平成28年(行ウ)第148号処分取消等請求事件 主文 1 名古屋市G区長が平成28年4月11日付けで原告に対してした要介護認定・要支援認定等非該当処分を取り消す。 2 原告のその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用はこれを2分し,その1を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 主文第1項と同旨 2 名古屋市G区長は,原告に対し,要介護1の認定をせよ。 第2 事案の概要 1 本件は,原告が,介護保険法(以下「法」という。)27条1項に基づく要介護認定に係る申請をしたところ,名古屋市G区長(以下「G区長」という。)から,平成28年4月11日付けで非該当とする旨の処分(以下「本件処分」という。)を受けたことから,本件処分は原告がアルツハイマー型認知症のために要介護1相当の状態にあるのを看過してされた違法な処分であるとして,本件処分の取消しを求めるとともに,要介護1の認定の義務付け(いわゆる申請型の義務付けの訴え)を求める事案である。 2 関係法令の定め等関係法令の定め等については,別紙「関係法令の定め」並びに以下の(1)及び(2)に掲げるとおりである。 (1) 法の定めの概要(本項において引用する条文は,法の条文である。)ア法は,加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となった者等が,自立した日常生活を営むことができるよう,必要な保健医療サービ ス及び福祉サービスに係る給付を行うため,介護保険制度を設け,国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とする(1条)。 イそして,法は,身体上又 るよう,必要な保健医療サービ ス及び福祉サービスに係る給付を行うため,介護保険制度を設け,国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とする(1条)。 イそして,法は,身体上又は精神上の障害があるために,入浴,排せつ,食事等の日常生活における基本的な動作の全部又は一部について,厚生労働省令で定める期間にわたり継続して,常時介護を要すると見込まれる状態であって,その介護の必要の程度に応じて厚生労働省令で定める区分(要介護状態区分)のいずれかに該当するものを「要介護状態」と定め(7条1項),また,上記の常時介護を要する状態の軽減若しくは悪化の防止に特に資する支援を要すると見込まれ,又は身体上若しくは精神上の障害があるために厚生労働省令で定める期間にわたり継続して日常生活を営むのに支障があると見込まれる状態であって,支援の必要の程度に応じて厚生労働省令で定める区分(要支援状態区分)のいずれかに該当するものを「要支援状態」と定めている(7条2項)。 なお,要介護状態区分は,最も軽度のものが「要介護1」,最も重度のものが「要介護5」とされ,要支援状態区分は,軽度のものが「要支援1」,重度のものが「要支援2」とされている。 ウ法は,65歳以上の者及び40歳以上65歳未満の医療保険加入者を,その居住地の市町村(特別区を含む。以下同じ。)が行う介護保険の被保険者とし(9条),65歳以上の者については,要介護状態にある者を「要介護者」と,要支援状態にある者を「要支援者」とそれぞれ定め(7条3項,4項),要介護状態に関する保険給付(介護給付)又は要支援状態に関する保険給付(予防給付)を受けようとする者は,要介護者又は要支援者に該当すること及び要介護状態区分又は要支援状態区分について,市町村の認定を受けなければならないとしてい 介護給付)又は要支援状態に関する保険給付(予防給付)を受けようとする者は,要介護者又は要支援者に該当すること及び要介護状態区分又は要支援状態区分について,市町村の認定を受けなければならないとしている(19条1項,2項)。 エ上記の認定に関する手続の概要は,次のとおりである。 すなわち,市町村は,被保険者からの申請を受けると,その職員又は委託先の指定市町村事務受託法人の職員等において面接による認定調査を実施するとともに (24条の2,27条2項,32条2項),主治医に疾病又は負傷の状況等についての意見を求める(27条3項,32条2項)。そして,市町村は,上記の認定調査の結果及び主治医の意見を介護認定審査会に通知して,要介護状態区分ないし要支援状態区分(以下,これらをまとめて指す場合には,「要介護状態区分等」という。)に関する審査及び判定を求める(27条4項,32条3項)。介護認定審査会の審査及び判定の結果に基づき,市町村は,要介護認定若しくは要支援認定又は非該当の決定を行うこととなる(27条7項,9項,32条6項,8項)。なお,介護認定審査会は,要介護者に該当しないと認める場合であっても,要支援者には該当すると認めるときは,その旨を市町村に通知することができ,この場合には,市町村は,要支援認定をすることができる(35条1項,2項)。 (2) 要介護・要支援認定の実務上の流れ被告における要介護・要支援認定は,平成27年3月31日付け老発0331第2号厚生労働省老健局長通知「『介護認定審査会の運営について』の一部改正について」に添付されている「介護認定審査会運営要綱」(乙10),平成21年9月30日付け老老発0930第2号厚生労働省老健局老人保健課長通知「要介護認定における『認定調査票記入の手引き』,『主治医意見書記 」に添付されている「介護認定審査会運営要綱」(乙10),平成21年9月30日付け老老発0930第2号厚生労働省老健局老人保健課長通知「要介護認定における『認定調査票記入の手引き』,『主治医意見書記入の手引き』及び『特定疾病にかかる診断基準』について」(乙14),厚生労働省作成に係る「要介護認定認定調査員テキスト改訂版2009」(以下「認定調査員テキスト」という。乙6)及び「要介護認定介護認定審査会委員テキスト改訂版2009」(乙7)等に基づき,大要,次のような手順で行われている。(乙6,7,10,14,弁論の全趣旨)アまず,認定調査において,認定調査員(認定調査員となるには,一定の研修を受けることが必要とされる(乙6の6頁)。)は,本人の身体機能・生活機能等につき,74項目からなるマークシート部分(基本調査部分)の記入をし,更に特記事項をも記入する。そして,上記マークシート部分が,国が開発した判定ソフトによりコンピュータで処理され,介護の手間の総量(要介護認定等基準時間)が推 計されて,この時間に基づいて要介護状態ないし要支援状態に該当するか等が一次的に判定される(これを「一次判定」という。)。例えば,要介護1の場合には,要介護認定等基準時間は,32分以上50分未満である必要がある(要介護認定等に係る介護認定審査会による審査及び判定の基準等に関する省令(平成11年厚生省令第58号。以下「本件省令」という。)1条1項参照)。 イ続いて,名古屋市介護認定審査会は,要介護者等の保健,医療又は福祉に関する学識経験を有する委員3名で構成される審査部会において,基本調査の結果,認定調査の結果中の特記事項及び主治医意見書を参照し,基本調査の結果が特記事項や主治医意見書の内容と整合しない場合には,必要な修正をした上で,一次判定の 構成される審査部会において,基本調査の結果,認定調査の結果中の特記事項及び主治医意見書を参照し,基本調査の結果が特記事項や主治医意見書の内容と整合しない場合には,必要な修正をした上で,一次判定の結果を確定させる。そして,確定した一次判定の結果を原案として,特記事項や主治医意見書を踏まえ,通常の例と異なる特別な介護の手間が発生しているか,要介護認定等基準時間は妥当であるかといった観点から,要介護状態区分等の審査・判定が行われる(この判定を「二次判定」という。)(法14,15条,介護保険法施行令(平成10年政令第412号)9条,本件省令1条,名古屋市介護保険条例施行規則(平成12年名古屋市規則第70号)6条1項)。(乙7,9)ウ最後に,名古屋市長から,区長委任規則(昭和25年名古屋市規則第52号)2項27号に基づく権限の委任を受けた各区長は,審査部会の審査・判定に基づき,要介護状態区分等を認定する。(乙12) 3 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実等。以下,書証番号は特記しない限り枝番を含む。)(1) 当事者原告は,昭和26年▲月▲日生まれの男性である。(乙3)(2) 本件処分に至るまでの経緯ア原告の生活保護担当ケースワーカーは,平成27年2月3日,G区長に対し,原告に係る要介護審査判定依頼書を提出した。 なお,本項における以下の手続は,生活保護法上の介護扶助の要否の判定の一環 として行われたものであるが,その手続の流れは,法に基づいて行われる上記2記載の手続と同様である。(乙13,弁論の全趣旨)イ G区長は,平成27年2月3日,名古屋市G部認定調査センターに対し,原告に係る認定調査の実施を依頼し,主治医意見書の作成を,原告の主治医であ 記載の手続と同様である。(乙13,弁論の全趣旨)イ G区長は,平成27年2月3日,名古屋市G部認定調査センターに対し,原告に係る認定調査の実施を依頼し,主治医意見書の作成を,原告の主治医であるH病院のI医師に依頼した。(弁論の全趣旨)ウ G区長は,認定調査の結果の提出を受け,コンピュータによる処理をしたところ,要介護認定等基準時間は36.3分と判定された(一次判定)。(甲3)エ G区長は,原告の居住区を所管区域とする名古屋市介護認定審査会G区第α審査部会に審査・判定を求めたところ,平成27年3月12日,一次判定の結果が確定し,これを原案として二次判定がされた結果,原告の要介護状態区分を要介護1とする審査・判定が行われた。(弁論の全趣旨)オ G区長は,平成27年3月13日,要介護審査判定回答書をもって,生活保護の実施機関である名古屋市G区社会福祉事務所長に回答したところ,同所長は,同日,原告に対し,要介護状態区分を要介護1とする内容の介護扶助に係る保護変更決定の通知をした。その有効期間は,同年2月3日から平成28年2月29日までであった。(乙2,弁論の全趣旨)(3) 本件処分の経過等ア原告の生活保護担当ケースワーカーは,平成28年3月2日,G区長に対し,原告に係る要介護・要支援認定申請書を提出した。(乙3)イ G区長は,平成28年3月2日,名古屋市G部認定調査センターに対し,原告に係る認定調査の実施を依頼するとともに,I医師に対し,主治医意見書の作成を依頼した。(弁論の全趣旨)ウ認定調査の結果に基づく一次判定の結果,要介護認定等基準時間は22.8分とされ,要支援1に係る基準時間の下限(25分)をも下回っていた。(甲7,乙4)エその後,G区長は,一次判定の結果に基づき,原告の居住区を所管 一次判定の結果,要介護認定等基準時間は22.8分とされ,要支援1に係る基準時間の下限(25分)をも下回っていた。(甲7,乙4)エその後,G区長は,一次判定の結果に基づき,原告の居住区を所管区域とす る名古屋市介護認定審査会G区第β審査部会に対して審査・判定を求めたところ,同部会において,特段の不整合はないとして,一次判定の結果が確定した。そして,一次判定の結果を原案として二次判定がされた結果,非該当である旨の判定がされた。(乙5)オ G区長は,上記の審査・判定結果を踏まえ,平成28年4月11日付けで,原告に対し本件処分をした。(乙1)カ原告は,平成28年4月20日付けで,本件処分につき,愛知県介護保険審査会に対する審査請求をしたところ,同審査会は,認定調査当時の原告の状況等について職権をもって調査し,その結果,審査判定の基礎となる認定調査結果に一部不備があるものと認められるとしたものの,非該当とした審査判定結果については妥当性を欠くものとはなっていないとして,同年7月12日付けで,原告の審査請求を棄却する旨の裁決(以下「本件裁決」という。)をした。(甲12)(4) 本件訴えの提起原告は,平成28年11月18日,本件訴えを提起した。(顕著な事実) 4 争点及び当事者の主張本件の争点は,(1)訴えの利益の有無(争点1)(本案前の争点),(2)本件処分の適法性(争点2),(3)原告が要介護1に該当する旨の認定をしないことが裁量権の範囲の逸脱又はその濫用に当たるといえるか(争点3)であり,これに関する当事者の主張は,以下のとおりである。 争点2は取消訴訟に関する争点であり,争点3は義務付けの訴えに関する争点であるが,当事者の主張立証は,主として原告の状態につき要介護1と認められるか否かという観 者の主張は,以下のとおりである。 争点2は取消訴訟に関する争点であり,争点3は義務付けの訴えに関する争点であるが,当事者の主張立証は,主として原告の状態につき要介護1と認められるか否かという観点から,両争点につき一体的にされているため,主張の摘示に関しては,争点2及び争点3についてまとめて行うものとする。なお,要介護認定の効果は申請のあった日に遡る(法27条8項)から,争点2及び争点3のいずれについても,本件処分に係る申請日である平成28年3月2日の時点における原告の状態を基準として判断をすべきこととなる。 (1) 争点1(訴えの利益の有無)について(原告の主張)本件について司法判断が得られれば,それは今後の要介護認定における参考資料ともなる。また,違法に非該当処分をされた者が救済を受けられないとすれば,正当に処分がされていれば要介護認定の更新も受けられるのと比べて明らかに不均衡である。 したがって,訴えの利益は認められる。なお,原告が介護サービスを受けられないのは,正に違法な本件処分の結果として要介護認定が受けられていないからであって,そのような理由により訴えの利益を否定するのは不当である。 (被告の主張)原告の主張は,争う。 仮に本件処分に係る申請に対応した要介護認定がされていた場合でも,その有効期間は,最大限長く見積もっても,平成29年3月31日をもって経過しているところ,同日までの間に,原告が負担した介護サービスに係る債務は存在しないから,本件訴えは訴えの利益を欠く。 (2) 争点2(本件処分の適法性)及び争点3(原告が要介護1に該当する旨の認定をしないことが裁量権の範囲の逸脱又はその濫用に当たるといえるか)について(原告の主張)ア本件処分に係る申請日の時点において,原 処分の適法性)及び争点3(原告が要介護1に該当する旨の認定をしないことが裁量権の範囲の逸脱又はその濫用に当たるといえるか)について(原告の主張)ア本件処分に係る申請日の時点において,原告の症状は,要介護1に相当するものであったし,少なくとも要支援にも該当しないという結論は明らかに不当である。このことは,以下の各点から明らかである。 イ平成27年当時よりも症状が悪化していたことG区長は,平成27年においては,原告につき要介護1相当と判断していたところ,平成28年3月当時の原告の症状は,平成27年当時よりも悪化していたのであるから,非該当処分が不当であることは明白である。 I医師が指摘した症状等を見ても,平成28年3月当時の方が,平成27年当時 より悪化して,新たに妄想,性的問題行動,関節の拘縮といった症状が見られるようになり,今後発生する可能性の高い症状として,それまでは指摘されていなかった尿失禁,転倒・骨折,摂食・嚥下機能低下が指摘されてもいた。 ウ本件処分の前提となった認定調査の不合理性本件処分の前提となった認定調査の結果には,以下のとおり,不自然・不合理な点がある。 まず,全般的に,そもそも原告がり患していたアルツハイマー型認知症については,根治療法が確立されておらず,認知機能の低下が緩徐かつ持続的に進行するのであるから,症状が改善するということ自体不自然である(なお,症状の程度が,日常生活への支障の程度と関連するのは当然である。)ため,平成27年の認定調査の結果と比較して,短期記憶が改善されていたりすることは経験則上考えられず,本件処分に係る認定調査の結果に信用性がないことは明らかである。なお,本件処分に係る認定調査が,認定調査員テキストに沿ってされたにせよ,当該テキストに基づく調査 いたりすることは経験則上考えられず,本件処分に係る認定調査の結果に信用性がないことは明らかである。なお,本件処分に係る認定調査が,認定調査員テキストに沿ってされたにせよ,当該テキストに基づく調査については,調査項目の選択がかなり悩ましいといった問題点も指摘されているところであるから,当該テキストに沿った調査というのみで,調査の客観性を裏付けられるわけではない。また,認定資料は多ければ多いほど正確な判断が可能となるのであるから,過去の認定調査の結果が参照されることには何らの問題もない。 個別の項目ごとにみても,以下のとおり,多くの問題点がある。 (ア) 聴力について,認定調査票には,「普通の声で聞こえる」という記載しかなく,右耳・左耳がそれぞれどの程度の状態であるのかについて,具体的な記載がされていない。また,原告は,20代の頃に左耳の聴力を完全に失っており,右耳も少し大きな声であれば聞き取れる程度であって,現に原告は普通の声でやり取りをしていても聞き返すことが多くある状態であったから,「普通の声で聞こえる」という評価は妥当しない。 (イ) 短期記憶について,病院に行っていたことを答えられるかという限度の調査 しかされておらず,調査が不十分である。しかも,調査当日の状況が日頃と異なる場合には,より頻回な状況に基づき選択肢の選択がされなければならないところ,原告は,平成26年11月頃以降,記銘力の低下を指摘されていて,道順を間違えるなどの事態も生じていて運転を控えるようにという助言までされ,火を消し忘れたりするために見守りがなければ調理もできず,また,繰り下がりの計算もできない状態になっていて,平成27年2月の時点では,3点テスト(ペン,時計,視力確認表の3点を見せて何があるか復唱させた後,当該3点を見えない場所にしまい れば調理もできず,また,繰り下がりの計算もできない状態になっていて,平成27年2月の時点では,3点テスト(ペン,時計,視力確認表の3点を見せて何があるか復唱させた後,当該3点を見えない場所にしまい,何がなくなったかを5分後に質問するもの)でも不十分な回答しかできず,直前の行動についても曖昧な回答にとどまっていたのであるから,平素,物忘れの症状が顕著であったことは明白であり,仮に,平成28年3月に,3点テストを含めて被告が主張するような調査結果が得られたとしても,平素の症状を優先した判定がされるべきであった。 (ウ) しつこく同じ話をするか否かについて,認定調査票には,最近「頭がスッキリしている」,「日常に支障はな」いなどといった記載はあるが,これらの記載は,必ずしも同じ話を繰り返すかどうかと直接は関係しない。しかも,原告は,平成27年2月当時,受診時に薬をもらえなかったという話を10分間に三,四回繰り返したことがあるなどとされていて,そうした症状が改善されるような治療がされたこともうかがわれないから,平成28年3月当時においても,家族を含む関係者等に原告の状況を確かめることが必要であったにもかかわらず,そうした調査がされた形跡はない。 (エ) ひどい物忘れがあるか否かについて,認定調査票の特記事項欄には何らの記載もないところ,少なくとも平成27年までは,記銘力の低下が指摘されていたのであるから(前記(イ)参照),それと比べて著しく症状が改善したことになるのは不自然である。なお,本件裁決の段階における症状の評価も,週1回のデイサービスや週2回の就労支援において物忘れが発生しているにもかかわらず,1週間に1回未満の頻度であるかのように評価している点で,不適切である。付言すると,介護 保険審査会が第三者機関として十分に中立 週2回の就労支援において物忘れが発生しているにもかかわらず,1週間に1回未満の頻度であるかのように評価している点で,不適切である。付言すると,介護 保険審査会が第三者機関として十分に中立といえるかなどに疑義がある状況においてすら,裁決段階で認定調査の結果が修正されること自体,認定調査が余りにもずさんなものであることを示している。 (オ) 薬の内服について,認定調査票には,一部介助を要するとされた平成27年2月当時と同様に,あえて自己の判断で服薬をしないようにしている場合があるという記載がありながら,その判断が客観的に合理的なものなのか,実際には服薬につき介助が必要な状況にあるのかなどに関して,必要な事情聴取がされておらず,結果として,介助が不要であるかのような誤った判定がされた。 (カ) 買物について,認定調査票には,原告が買物に行く頻度については記載されているが,多量に購入してしまうようなことがあるのか,指示や声掛け等が必要なのかについて,事実が見落とされている。原告の場合には,以前から,冷蔵庫にあるはずの不要な食材を購入したことがあったのであって,このことが把握されていれば,判定の結論が変わっていたはずである。 (キ) なお,以上のような個別項目に係る検討を前提とすれば,原告の日常生活自立度についても,主治医であるI医師が評価したとおり,Ⅱaと認定されるべきであったことは明らかである。 (被告の主張)ア要介護状態区分等は,高齢者等に対する介護サービスの必要性を明らかにするためのものであるところ,介護の手間の問題と病状の問題は別であるから,病状の軽重と要介護状態区分等の高低は,必ずしも連動するものではなく,これはアルツハイマー型認知症の症例にも妥当するものである。そして,原告の場合も,日常生活はほぼ自立 と病状の問題は別であるから,病状の軽重と要介護状態区分等の高低は,必ずしも連動するものではなく,これはアルツハイマー型認知症の症例にも妥当するものである。そして,原告の場合も,日常生活はほぼ自立している状態にあったものであり,そもそもアルツハイマー型認知症の症状にかかわらず,原告について要介護状態と評価されないのは当然のことわりである。なお,原告は,医学的にアルツハイマー型認知症の症状の改善が生じ得ないことを前提にしているが,一般に,精神症状や日常生活における行動上の問題(以下「BPSD」という。)については,改善する可能性も否定されない上,原 告のように服薬を続けていれば,その効果により記憶障害等が改善されることもあり得る(現に,原告の長谷川式高次脳機能障害スクリーニングテスト(以下「長谷川式テスト」という。)の結果等は,平成26年当時よりも改善されており,特に短期記憶に関係する「3単語の想起」の項目の得点が改善されている。)。 また,原告が援用するI医師の主治医意見書は,認定調査の約3か月前の症状に基づいて作成されたものであって,時点を異にするものといわざるを得ない。関連して,要介護・要支援認定は,申請日の状態に基づいて行うものであり,過去の処分がされた当時などとの比較に基づくべきものでもない。 さらに,原告は介護保険審査会の正統性について疑義を指摘するが,同審査会は公平な第三者機関である。原告は,認定調査の結果に担当者によるばらつきがあるかのごとき主張もするが,認定調査は,国が定めた基準にのっとり,全国一律の認定調査員テキストに従って行われるものであるし,仮に認定調査員において選択に迷う項目があったとしても,その後の二次判定の中で,認定調査員が記載した特記事項も踏まえた精査がされることで適切な結論が導かれるのであ キストに従って行われるものであるし,仮に認定調査員において選択に迷う項目があったとしても,その後の二次判定の中で,認定調査員が記載した特記事項も踏まえた精査がされることで適切な結論が導かれるのであるから,原告の主張は成り立たない。加えて,原告は,二次判定の過程が形骸化していることも指摘するが,二次判定の結果として,一次判定から判定が変更された事案も一定程度あるから,そのような指摘は全く当たらない。 イ(ア) 以下のとおり,個別の項目ごとに見ても,本件処分の基礎となった認定調査の結果に不十分な点はない。 (イ)a 聴力について,片耳ごとに聴力を確認する必要などはなく,日常生活での会話において聞き取りに支障がないかだけを確認すれば足りる。そして,認定調査において,原告は,普通の声を聞き取れないような反応は示さなかった。 b 短期記憶について,認定調査においては,念のため,3点テストまで行って問題がないことが確認されており,慎重な確認がされたといえる。しかも,原告自身が,平成28年3月当時には頭がスッキリしていると述べていたところである。 c しつこく同じ話をするか否かに関し,原告は,認定調査票に無関係な事項が 記載されている旨を指摘するが,そもそも原告が指摘している欄は,精神・行動障害全般に関する特記事項を記載する欄であって,認定調査票の記載ぶりに問題はない。また,この項目に関しては,原告を担当していたケアマネージャーへの確認もされている。 d ひどい物忘れがあるか否かについて,原告が指摘する「週1回」というのは,飽くまでもデイサービスの利用回数であって,物忘れの頻度ではない。また,この項目に関しては,原告を担当していたケアマネージャーへの確認もされている。 e 薬の内服について,副作用を懸念してあえて薬を飲まな もデイサービスの利用回数であって,物忘れの頻度ではない。また,この項目に関しては,原告を担当していたケアマネージャーへの確認もされている。 e 薬の内服について,副作用を懸念してあえて薬を飲まない,というのは,何ら自分勝手な行為とはいえず,介助の必要性には結び付かない(現に,I医師も,原告の懸念を踏まえて,服用する薬を変更している。)。 f 買物についても,原告が不必要な物を買ってきてしまうことがあるという点を踏まえても,介助の必要まではないという判断に不当な点はない。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実前記前提事実に,掲記の証拠及び弁論の全趣旨を総合すると,次の各事実が認められる。 (1) 認定調査や判定の具体的要領等に関する運用(乙6,7,10,14)ア認定調査員による認定調査認定調査員による認定調査においては,以下のような点に留意すべきものとされている。 (ア) 調査実施上の留意点a 基本的には,「目に見える」,「確認し得る」という事実によって,調査を行うことを原則とする。 b 調査の実施場所は,原則として日頃の状況を把握できる場所とし,できるだけ,調査対象者本人,介護者双方から聴取を行うよう努める。 c 独居者や施設入所者等についても,可能な限り家族や施設職員等,調査対象 者の日頃の状況を把握している者に立会いを求め,できるだけ正確な調査を行うよう努める。(乙6の7頁,14)(イ) 認定調査票(基本調査)の記載方法と留意点a 体調不良等,何らかの理由により実際に対象行為を行ってもらえなかった場合や,調査時の環境が日頃の環境と異なったり,調査対象者の緊張等により日頃の状況と異なっていると考えられる場合や,時間や状況によって,できたりできなかったりする場合においては, ってもらえなかった場合や,調査時の環境が日頃の環境と異なったり,調査対象者の緊張等により日頃の状況と異なっていると考えられる場合や,時間や状況によって,できたりできなかったりする場合においては,より頻回に見られる状況や日頃の状況について聴取を行い,直近の一定期間(調査日よりおおむね過去1週間。ただし,BPSD関連についてはおおむね1か月間)においてより頻回な状況に基づいて選択し,その選択の具体的な根拠を「特記事項」に記載する。なお,二次判定において,日頃の状況に基づく判断が適正であるかについての確認は,特記事項又は主治医意見書の記載により行う必要がある。(乙6の8・18頁,7の6・18頁,10,14)b 「介助の方法」の項目については,原則として実際に介助が行われているか否かを基に選択するが,介助されていない状態が,対象者にとって「不適切」であると認定調査員が判断する場合(例えば,独居や日中独居等による介助者不在のために適切な介助が提供されていない場合)は,その理由を特記事項に記載した上で,適切な介助の在り方を基準に選択をし,介護認定審査会の判断を仰ぐことができる。 (乙6の18頁,7の8・18頁,10)c 認定調査員が,調査において調査項目の選択に迷うことは誰もが経験することであるが,選択に迷った理由を特記事項に記載することが重要である。統計で把握されないような具体的な介護の手間が特記事項に記載されていれば,それを二次判定で評価することが予定される。(乙6の8・19頁,7の4頁,10)イ要介護認定等基準時間の計算要介護認定等基準時間は,8つの行為区分(食事,排せつ,移動,清潔保持,間接生活介助(洗濯,掃除等の家事援助等),BPSD関連(徘徊に対する探索,不潔な行為に対する後始末等),機能訓練(歩行訓練,日常生活訓 定等基準時間は,8つの行為区分(食事,排せつ,移動,清潔保持,間接生活介助(洗濯,掃除等の家事援助等),BPSD関連(徘徊に対する探索,不潔な行為に対する後始末等),機能訓練(歩行訓練,日常生活訓練等),医療関連) ごとの時間の合計として算出されるところ,それぞれの区分ごとの時間は,厚生労働省作成に係る「要介護認定介護認定審査会委員テキスト改訂版2009」(乙7)に記載されている「樹形モデル」に従って求められる。そして,「樹形モデル」においては,認定調査項目ごとの調査結果(例えば,短期記憶の有無等)や,認定調査項目の群(「第1群身体機能・起居動作」,「第2群生活機能」,「第3群認知機能」,「第4群精神・行動障害」,「第5群社会生活への適応」)ごとで求められている「中間評価項目得点」(100点満点)等によって,各群ごとに割り当てられる時間が求められ,各群ごとの時間の合計が要介護認定等基準時間となる。 なお,例えば,認知症の病状がそれほど進行していない場合の方が,寝たきり状態にまで至らず徘徊等が生ずるため,介護の手間の総量がむしろ多いということがあるなど,病状と,要介護認定等基準時間により左右される要介護状態区分等の高さは必ずしも一致しないとされる。(乙7の23・35・43頁,24)ウ二次判定等(ア) 一次判定の修正認定調査員の記入や選択の誤りなどにより,明らかに基本調査での選択と特記事項の記載内容とに不整合が見られる場合には,各基本調査における定義等に基づき,基本調査の選択肢を修正する。ただし,認定調査における選択と主治医意見書における選択とでは,前提とする用語の定義が異なることもあるため,主治医意見書の内容と認定調査の結果が異なっていることのみをもって,後者の修正を行うことはできない。 な おける選択と主治医意見書における選択とでは,前提とする用語の定義が異なることもあるため,主治医意見書の内容と認定調査の結果が異なっていることのみをもって,後者の修正を行うことはできない。 なお,認定調査資料,主治医意見書の記載内容に,著しい矛盾点や記載不足があり,適切な審査の実施が困難であると判断される場合には,介護認定審査会は,審査を中止し,再調査を事務局に要請することができるものとされる。(乙6の11頁,7の17・19頁,10,14)(イ) 二次判定固有の検討 認定調査票の特記事項や主治医意見書の記載内容から,通常の例に比べてより手間が掛かる,掛からないといった点を検討した上,より手間が掛かる場合には,要介護状態区分等の境界となっている時間を超えるほどの介護の手間があるかについても検討する。 そして,要介護認定等基準時間が32分以上50分未満となった場合には,認知機能の低下や状態の安定性の観点から,要介護1,要支援2の振り分けを行うべきこととなり,具体的には,認知機能や思考・感情等の障害により予防給付等の利用に係る適切な理解が困難なとき(目安として認知症高齢者の日常生活自立度Ⅱ以上)には要介護1に振り分けるべきである。 なお,認定調査員は,認知症に関する医学的知識を必ずしも持ち合わせているとは限らず,また,主治医も患者の自宅での生活について限定された情報しか把握していない場合があることから,認知症高齢者の日常生活自立度については,慎重な吟味が必要である。(乙7の21・26頁,10)(ウ) 参照資料介護の手間に関する審査判定に当たっては,「日常生活自立度の組み合わせによる要介護度別分布」や「要介護度変更の指標」など,過去の審査判定データを参考指標として参照することができる。 なお,要介護 介護の手間に関する審査判定に当たっては,「日常生活自立度の組み合わせによる要介護度別分布」や「要介護度変更の指標」など,過去の審査判定データを参考指標として参照することができる。 なお,要介護認定は現在の状態に基づいて判定を行う制度であるから,過去の判定結果との比較を理由として判定を行うことは適切ではない。過去の判定結果を理由に判定することは,更新申請の申請者と新規申請の申請者とで異なる判断基準を設けることになり,公平性を欠いた判定となるためである。ただし,前回の要介護状態区分等と著しく異なる結果が一次判定で示されている場合などに,前回の判定理由や入院歴等を確認すること自体は問題ない。(乙7の25頁,10)エ各個別項目の判定に関する留意点等(ア) 聴力「1 普通」とは,日常生活における会話において支障がなく普通に聞き取れる 場合をいい,「2 普通の声がやっと聞き取れる」とは,普通の声で話すと聞き取りにくく,聞き間違えたりする場合をいう。耳で聞いた内容を理解しているかどうか等の知的能力については,問題とされるものではない。 中間評価項目得点は,「普通」が10.8点,「普通の声がやっと聞き取れる」が10.6点である。(乙6の67頁,7の43頁,14)(イ) 短期記憶認定調査票における短期記憶とは,面接調査日の調査直前にしていたことについて把握しているかどうかを意味する。 調査直前に行ったことについて確認する方法が奏功し難い場合には,「ペン」,「時計」,「視力確認表」を見せて何があるかを復唱させ,これらの三つの物を見えないところにしまって何がなくなったかを問うので覚えておくように指示し,5分以上してからこれらの物のうち二つを提示し,提示されていないものについて答えられたかを確認する(3点テスト) 三つの物を見えないところにしまって何がなくなったかを問うので覚えておくように指示し,5分以上してからこれらの物のうち二つを提示し,提示されていないものについて答えられたかを確認する(3点テスト)。 なお,調査当日の状況と,調査対象者や介護者から聞き取った日頃の状況とが異なる場合には,一定期間(調査日よりおおむね過去1週間)において,より頻回な状況に基づき選択を行う(例えば,調査当日の昼食で何を食べたかまで答えることができていても,家族の話では,日頃は物忘れがひどく,直前のことも覚えていないことが多いという場合には,「できない」が選択されるべきこととなる。)。その場合には,調査当日の状況と日頃の状況との違い等について,具体的な内容を特記事項に記載する。 短期記憶に関する中間評価項目得点は,「できる」が7.0点,「できない」が0点である。(乙6の105・106頁,7の43頁,14)(ウ) 精神・行動障害「1 ない」とは,問題となる行動が,過去1か月間に一度も現れたことがない場合やほとんど月1回以上の頻度では現れない場合をいう。 「2 ときどきある」とは,少なくとも1か月間に1回以上,1週間に1回未満 の頻度で現れる場合をいう。 「3 ある」とは,少なくとも1週間に1回以上の頻度で現れる場合をいう。(乙6の114頁,14)a 「同じ話をする」単に元々の性格や生活習慣から同じ話をするというだけでは該当せず,場面や目的からみて不適当な行動があるかどうかで選択する。 この項目の中間評価項目得点は,「ない」(同じ話をしない)が4.9点,「ときどきある」が3.0点,「ある」が0点である。(乙6の120頁,7の43頁,14)b 「ひどい物忘れ」物忘れによって,何らかの行動が起こっているか,周囲の じ話をしない)が4.9点,「ときどきある」が3.0点,「ある」が0点である。(乙6の120頁,7の43頁,14)b 「ひどい物忘れ」物忘れによって,何らかの行動が起こっているか,周囲の者が何らかの対応をしなければならないような状況(火の不始末など)をいう。認知症の有無や知的レベルは問わない。ひどい物忘れがあっても,それに起因する行動が起きていない場合や,周囲の者が何らかの対応をする必要がない場合には,「ない」を選択する。 例えば,買物の度に近所のスーパーで大量の卵を購入し,冷蔵庫の中には,食べられる量以上の卵が入れられているような場合には,家族が大した手間を感じていないとしても,「ある」が選択されるべきである。 この項目の中間評価項目得点は,「ない」が4.0点,「ときどきある」が3. 3点,「ある」が0点である。(乙6の127頁,7の43頁,14)(エ) 薬の内服「介助されていない」状態等が対象者にとって不適切であると認定調査員が判断する場合には,その理由を特記事項に記載した上で,適切な介助の在り方を基準に選択し,介護認定審査会の判断を仰ぐことができる。 例えば,自分勝手に薬を飲んだり飲まなかったりするが介護者は特に対応していない場合に「介助されていない」を選択するのは,誤りとなる場合があるが,週一,二回ほど飲み忘れがあって家族が声掛けをしているという程度であれば,「介助」 とまではみない。 この項目の中間評価項目得点は,「介助されていない」が21.2点,「一部介助」が9.9点,「全介助」が0点である。(乙6の132・133頁,7の43頁,14)(オ) 買物認定調査票における買物とは,食材,消耗品等の日用品を選び,代金を支払うことを指すが,店舗等までの移動や店舗内での移動は含まない。 (乙6の132・133頁,7の43頁,14)(オ) 買物認定調査票における買物とは,食材,消耗品等の日用品を選び,代金を支払うことを指すが,店舗等までの移動や店舗内での移動は含まない。 この点に関し,上記(エ)と同様の趣旨が妥当し,例えば,本人が近くのスーパーへ一人で買物に行くが,会計時にレジでお釣りの額をめぐってトラブルになることが月に一,二回あると聞き取った場合には,買物時には付添いはないものの不適切な状況にあると判断する。 この項目の中間評価項目得点は,「介助されていない」が16.6点,「見守り等」が9.2点,「一部介助」が7.4点,「全介助」が0点である。なお,「見守り等」とは,買物に必要な行為への確認,指示,声掛けをいい,「一部介助」とは,陳列棚から取る,代金を支払うなど,買物の行為の一部に介助が行われている場合をいう。(乙6の141・142頁,7の43頁,14)(カ) 認知症高齢者の日常生活自立度「Ⅰ」は,何らかの認知症を有するが,日常生活は家庭内及び社会的にほぼ自立している状態,「Ⅱa」は,家庭外で,日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さが多少見られても,誰かが注意していれば自立できる状態,「Ⅱb」は,家庭内でもそのような状態が見られる場合を指す。 例えば,度々道に迷うとか,買物や事務,金銭管理などそれまでできたことにミスが目立つなどの症状が「Ⅱa」の典型的な症状であり,服薬管理ができない,電話の応対や訪問者との対応など,一人での留守番ができないなどの症状が「Ⅱb」の典型的な症状である。(乙6の157頁,14)(2) 原告の症状に関する個別的な事実経過等 ア原告は,平成26年11月10日,H病院の外来を訪れ,日付,人の名前,物を置いた場所,約束,買物の内 る。(乙6の157頁,14)(2) 原告の症状に関する個別的な事実経過等 ア原告は,平成26年11月10日,H病院の外来を訪れ,日付,人の名前,物を置いた場所,約束,買物の内容,調理の方法などの物忘れの症状を訴え,さらに,七,八か月前から,特に直近の数日間で,意識と行動のずれを感じる,呂律が回りにくいなどと訴えた。 原告は,同日の検査で,前日の夕食については回答し,「100-7」,「93-7」はそれぞれ正答したが,「86-7」は「71」と誤答した。 原告は,一人暮らしをしていた(ただし,元妻との交流はあった。)ところ,この頃までに,調理をしている際に火を消し忘れてぼやになったこともあったため,火を使った調理はやめていた。また,原告は,デイサービスの送迎の運転手の仕事をしていたところ,この頃までに,道路標識を見落としたり運転操作を間違えたりして,4回交通事故を起こし,更に道順などを間違えたりすることも増えたため,勤務先を辞めなければならなくなった。(甲1,14の16ないし18・20・88頁,15の7頁,18,原告本人,弁論の全趣旨)イ原告は,平成26年11月27日,H病院において,認知機能に関するミニメンタルステート検査(以下「MMSEテスト」という。)及び長谷川式テスト(以下,両者をまとめて指す場合には,「MMSEテスト等」という。)を受けたところ,その点数はそれぞれ,30点中25点(短期記憶に関わる3単語の想起については0点),30点中24点(3単語の想起については1点)であり,記銘力の低下が指摘された。また,原告には,聞き返しが多く喚語困難があるといった症状が見られた。 なお,原告は,従前の仕事の中で,自身が出題者となってデイサービスの利用者にMMSEテスト等を実施するなどしていた。(甲2,1 た,原告には,聞き返しが多く喚語困難があるといった症状が見られた。 なお,原告は,従前の仕事の中で,自身が出題者となってデイサービスの利用者にMMSEテスト等を実施するなどしていた。(甲2,14の36頁)MMSEテストの場合には,24点以上が非認知症で21点以上が軽度認知症,長谷川式テストの場合には,21点以上が非認知症で15点以上が軽度認知症とされる(もっとも,長谷川式テストは,認知症のスクリーニングを目的に作成されたものであって,得点による重症度分類はされないという見解もある。)。(乙21 の30頁,25,26)ウ I医師は,平成26年11月28日,原告に対し,運転はやめる必要があり,調理をする際には誰かの見守りが必要であると伝えた。(甲14の20頁)エ原告は,平成26年12月5日,H病院の外来を訪れ,当日の朝から,前日に食事を作ったことを覚えていないこと,外出から帰宅すると発語ができなくなっていたこと,携帯電話の操作が分からなくなったこと等を申告した。なお,この頃,原告の元妻が救急車で搬送されたことがあり,原告は過呼吸になったりもした。 この際,医師は,純粋にアルツハイマー型認知症だけだとすれば,発症が半年前である割に進行が早すぎる気もするとして,アルツハイマー型認知症に頭蓋内病変が重なった可能性を指摘した。(甲14の21ないし25頁,15の8頁)オ原告は,平成26年末頃から,H病院において,ドネペジルという薬を処方され,食後などに服用していたが,眠れないなどの副作用が出たため,後にレミニールの服用に変更された。 なお,後に,原告は,不眠のため,レミニールの服薬量も減らすようになり,そのことをI医師に告げたが,I医師が特段の対応をしたことはうかがわれない。(甲14の26・30頁)カ に変更された。 なお,後に,原告は,不眠のため,レミニールの服薬量も減らすようになり,そのことをI医師に告げたが,I医師が特段の対応をしたことはうかがわれない。(甲14の26・30頁)カ原告は,平成27年4月15日,H病院において,自分の家が2階か3階か分からなくなったことがあるなどと申告した。(甲14の27頁)キ原告は,平成27年3月頃から同年末頃までの間は,デイサービスを利用して記憶力を維持するためのトレーニングを行っていたところ,デイサービスがない日は,塗り絵,音楽療法などを継続したり,病院に通ったりしていたほか,大学等で公演や漫才をしたり,執筆活動をしたりしていた。(甲14の35・36頁,18,原告本人)ク原告は,平成27年10月14日,H病院において,MMSEテスト及び長谷川式テストを受けたところ,点数は,それぞれ30点中28点(3単語の想起については3点,繰り下がり困難あり),30点中29点(3単語の想起については 6点)であった。 原告は,この日の問答において車の運転をしているか尋ねられた際,一旦はしていないと答えたものの,再度尋ねられると,「これだけ活動してるんだから・・・。 自己責任なので。」,「ここだけの話にしておいて下さい」と述べた。(甲14の36頁)ケ原告は,平成28年に入ってからは,週に一,二回程度,就労継続支援A型事業所において,野菜の食材の切り込みなどの仕事をするようになった(ただし,火を扱う調理の仕事はしていなかった。)一方で,少なくとも月に数回程度,病院にも通っていた。また,この頃から,原告は,元妻に買物をしてきてもらったり,料理を作ってもらったりするようにもなった。(甲14,15,18,原告本人)コ原告は,平成28年9月21日,MMSEテストを受けた た。また,この頃から,原告は,元妻に買物をしてきてもらったり,料理を作ってもらったりするようにもなった。(甲14,15,18,原告本人)コ原告は,平成28年9月21日,MMSEテストを受けたところ,点数は30点中28点であり,なお繰り下がり計算が困難な状態が見られた。(甲14の51頁)サ原告は,平成28年11月2日,H病院において,MMSEテスト及び長谷川式テストを受けたところ,点数は,それぞれ30点中26点(3単語の想起については3点),30点中28点(3単語の想起については6点)であり,なお繰り下がり計算は難しかった。この際,原告につき,二つ以上の作業を同時にすることが難しいため,車の運転は控える必要があるなどといった指摘がされた。(甲14の53・54頁)シ I医師は,平成28年11月頃,当時原告に処方していたレミニールによる副作用が懸念されたことから,レミニールの代わりにイクセロンを処方することとした。なお,原告は,平成27年7月頃から,レミニールの作用で胃腸障害があるような気がすると訴えていた。(甲14の30・55頁)ス原告は,平成28年12月7日,H病院において,病院の受診予定を忘れてしまうことがあると申告したのに加え,従前から続けている漫才について,6分間の漫才の内容を今までは(話を続けている間)覚えられていたが,最近覚えていら れなくなった旨を申告した。(甲14の57頁,18,原告本人)(3) 平成27年における要介護認定に際しての認定調査の結果等ア主治医意見書の記載内容平成27年2月にI医師が作成した主治医意見書においては,原告のアルツハイマー型認知症の症状は不安定であり,また,発症から半年だとすれば進行が早い印象がある旨の所見が述べられた。また,原告につき,認知症高 7年2月にI医師が作成した主治医意見書においては,原告のアルツハイマー型認知症の症状は不安定であり,また,発症から半年だとすれば進行が早い印象がある旨の所見が述べられた。また,原告につき,認知症高齢者の日常生活自立度はⅠとされた。 さらに,原告の短期記憶は「問題あり」,認知能力や伝達能力は「いくらか困難」とされ,認知症の周辺症状として「昼夜逆転」,「暴言」,「暴行」が指摘された。 (甲2)イ認定調査票の記載内容平成27年2月24日に行われた調査に関し,マークシート部分には,短期記憶ができないことに加え,しつこく同じ話をする,ひどい物忘れがあるといった症状が記載されており,また,服薬に一部介助が必要,以後自己の意思決定が特別の場合を除いてできない,などといった記載もされた。また,認知症高齢者の日常生活自立度はⅡaとされた。 また,上記認定調査において,特記事項として次の各点が指摘された。(甲1)・聴力左耳は全く聞こえず,右耳は少し大きな声であれば聞き取れる。 ・短期記憶直前のことを聞くも曖昧で,3点テストを実施するも記憶されていなかった。 ・同じ話調査時,10分間に三,四回くらい,「受診時に風邪薬を依頼するももらえなかった」,「自宅が2階だったか3階だったか分からなくなった」と繰り返していて,その状態は通所介護時も同様である。 ・物忘れ 順序立てて二つの作業を伝えられても,最初の作業を忘れて2番目の作業に着手したりし,開封せず配るよう依頼されても,忘れて直後には開封して渡すなどの事象のため,介護担当者は常に目が離せない。 自宅近隣のコンビニは高く,欲しい物がないから行かないと言った直後に,その発言を忘れて,近いからよく行くなどと言った。 ・薬の内服自身の勝手な判 象のため,介護担当者は常に目が離せない。 自宅近隣のコンビニは高く,欲しい物がないから行かないと言った直後に,その発言を忘れて,近いからよく行くなどと言った。 ・薬の内服自身の勝手な判断で服用しない薬があり,1週間分以上残っている。薬の仕分けや手渡しが必要と判断し「一部介助」を選択。 ・買物買物に行くと豆腐やもやしを多量に購入してしまう。(略)買物時の同行や声掛けが必要と判断し「見守り」を選択。 ・その他(知人との)待ち合わせは,公共交通機関を利用するが,乗換えしないで行ける場所にしている。乗換えがあると毎回間違えてしまう。 (4) 本件処分の基礎となった認定調査の結果等ア主治医意見書の記載内容平成28年3月にI医師が作成した主治医意見書(最終診察日は平成27年12月9日とされた。)においては,原告のアルツハイマー型認知症の症状は「不安定」であり,また,認知症高齢者の日常生活自立度はⅡaであるとされた(平成27年の主治医意見書のⅠよりも悪化していた。)。 原告の認知症の中核症状に関する所見は,短期記憶が「問題あり」,認知能力が「いくらか困難」,伝達能力が「いくらか困難」となっており,同年の主治医意見書と同じ所見であった。周辺症状としては,「妄想」,「昼夜逆転」,「暴言」,「暴行」,「性的問題行動」が指摘されたところ,「妄想」,「性的問題行動」は,平成28年において新たに指摘されたものであった。(甲6)イ認定調査票の記載内容等 (ア) 平成28年3月4日に行われた調査に関し,「拘縮」が「あり」とされたほかは,基本調査に係る項目は,全て最も良好な肢に該当する旨の記載がされた。 また,上記認定調査において,特記事項として次の各点が指摘された。(甲5)・聴力普通の 」が「あり」とされたほかは,基本調査に係る項目は,全て最も良好な肢に該当する旨の記載がされた。 また,上記認定調査において,特記事項として次の各点が指摘された。(甲5)・聴力普通の声で聞こえる。 ・短期記憶病院に行っていたことを正しく答えられた。念のために3品テスト(注・3点テストを指す。)を実施し,即答できた。 ・精神・行動障害3か月程前は,時々行きつけのスーパーや病院への行き方が分からなくなることはあったが,最近は頭がスッキリしていることが多い。最近気になったこととしては,自転車の鍵を紛失して見付からなくなり,鍵を壊して自転車を使ったことが1週間前にあるが,それ以外は今のところはない。担当のケアマネージャーに日頃の状況を確認するが,現在は日常に支障はなく,デイサービスに週1回来た時に盛り付けや配膳を依頼しているが,その仕事のやり方を忘れている程度である。 ・薬の内服薬は自己管理している。飲み忘れはないが,副作用で飲むと眠れなくなる薬があり,あえて飲まないようにしている薬はある。 ・買物自転車に乗り,週三,四回,自分で買物を行っている。 ・認知症高齢者の日常生活自立度鍵を紛失して見付からなくなったり,週1回程度行う仕事のやり方を忘れる等,多少物忘れがある。 (イ) 上記の認定調査の結果は,本件裁決の段階における職権調査により,以下のように修正され,これに伴い,基本調査に係る項目のうち,「ひどい物忘れ」については,「ない」から「ときどきある」に修正された。(甲12) ・聴力左耳の聴力は,20代の頃完全に失い,以後,右だけの聴力で過ごし,日常生活に支障はなく,普通の話し方で十分に聞こえる。 ・ひどい物忘れ週1回のデイサービスで,依頼された食事の盛り付けや配膳の手 左耳の聴力は,20代の頃完全に失い,以後,右だけの聴力で過ごし,日常生活に支障はなく,普通の話し方で十分に聞こえる。 ・ひどい物忘れ週1回のデイサービスで,依頼された食事の盛り付けや配膳の手順を忘れたり,週2回の就労継続支援A型事業所で調理の手順を忘れることがある。また,就労継続支援A型事業所の行き帰りで,電車の乗換えや方向が分からなくなることが度々あり,行き着くまでに予定より1時間ほど要している。自宅では,台所の手元灯やトイレの電気の消し忘れがあり,買物でもメモして行くが,冷蔵庫にある食材を重ねて購入したり,外食時,3日続けて財布を忘れていたことがある。頻度ははっきりしないが,週1回以上はないが月1回以上はある。 ・薬の内服薬は自己管理している。処方されている認知症の薬を朝・夕服用しているが,筋肉のこわばり・イライラや不眠となるため,医師に話したところ,夕方の服用量が減量となった。しかし,症状は良くならず,自己判断で服用を中止し,そのことを医師に伝えたが,特に指示もなく,減量のまま処方が継続されているため,あえて夕方の薬は服用していない。 ウ平成27年との主たる相違点平成27年と平成28年の判定における要介護認定等基準時間を項目ごとで比べると,「食事」に関する時間が10.1分から3.4分に,「間接生活介助」に関する時間が10.9分から4.7分に,「BPSD関連」に関する時間が6.4分から5.8分にそれぞれ短縮された。 このうち,「食事」に関する時間の減少は,短期記憶に関して可否の判断が変わったことによって生じた(別紙図1の※1を参照)。 「間接生活介助」に関する時間の減少は,「精神・行動障害」に関する中間評価項目得点の差によるものである。すなわち,平成27年においては,「同じ話をす る」,「ひ 紙図1の※1を参照)。 「間接生活介助」に関する時間の減少は,「精神・行動障害」に関する中間評価項目得点の差によるものである。すなわち,平成27年においては,「同じ話をす る」,「ひどい物忘れ」が「ある」ことにより上記項目の得点が91.1点であったのに対し,平成28年においては,「ひどい物忘れ」が「ときどきある」ことによって96.7点であった(本件裁決による修正後)ところ,この違いにより,「精神・行動障害」に関する得点が95.9点以上かそれ未満かで帰すうが分かれる部分の時間差が生じた(別紙図2の※2を参照)。 また,「BPSD関連」に関する時間の減少も,同じように,「精神・行動障害」に関する得点が95.4点以上かそれ未満かで帰すうが分かれる部分の時間差が生じたことによるものである(別紙図3の※3を参照)。 なお,「ひどい物忘れ」の症状があることで生ずる減点は最大でも4.0点であって,これのみでは「精神・行動障害」に関する中間評価項目得点が95.9点を下回ることはないから,「ひどい物忘れ」に関する得点のみでは,「間接生活介助」,「BPSD関連」に関する時間は直ちに左右されなかったと認められる。(甲3,7,乙7の43・53・57・58頁,弁論の全趣旨)(5) アルツハイマー型認知症に関する一般的知見認知機能の低下は,緩徐かつ持続的に進行するものとされ,根治療法はいまだ確立されていない。 また,アルツハイマー型認知症に対する進行抑制薬であるドネぺジル,レミニール,イクセロンといった薬の効果については,処方開始後一定期間は改善方向に向かうが,その後治療開始時と同じ水準に戻って,症状の悪化が進むという具合であり,記憶障害等の進行の抑制に資するものであるが,BPSDの改善は期待できるものとされる。全般的に,認知症患 は改善方向に向かうが,その後治療開始時と同じ水準に戻って,症状の悪化が進むという具合であり,記憶障害等の進行の抑制に資するものであるが,BPSDの改善は期待できるものとされる。全般的に,認知症患者に見られるBPSDは,他の認知症の症状に比べると治療への反応が良好とされる。(甲13,乙19,20,21の31・34頁) 2 争点1(訴えの利益の有無)についてある行政処分が取り消されたとしても,そのことにより原告に何らかの法律的な意味での実益がもたらされなければ,訴えの利益を認めることはできないものと解 されるところ,弁論の全趣旨によれば,本件において,原告は,仮に要介護認定を受けられていた場合の最長の有効期間である平成28年3月2日から平成29年3月31日までの間において(介護保険法施行規則(平成11年厚生省令第36号。 以下「規則」という。)38条1項参照),費用支給の対象となり得るサービスを受けたことがないと認められるから,仮に要介護認定を受けたとしても,遡って費用支給を受けることができないことは明らかである。 しかしながら,原告が要介護認定を申請日である平成28年3月2日に遡って受けることができた場合(法27条8項参照)においては,更にその地位を基礎として,要介護更新認定を申請し,要件が満たされればその認定をも受けることができるものと解される(法28条2項,4項)。なお,本来,要介護更新認定の申請は,要介護認定の有効期間(申請日から起算される。)の満了までにされなければならない(規則39条)とされるが,違法な非該当処分の結果として要介護認定そのものを受けることができなかった場合についてまで,同条の適用が予定されているとは解し難く,違法な非該当処分の取消判決が確定し,当初の要介護認定申請に対する要介護認定の処分が 結果として要介護認定そのものを受けることができなかった場合についてまで,同条の適用が予定されているとは解し難く,違法な非該当処分の取消判決が確定し,当初の要介護認定申請に対する要介護認定の処分がされた後に要介護更新認定申請がされれば,遡って要介護更新認定を受けることは可能であると解すべきである(最高裁昭和39年(行ツ)第44号同40年8月2日第二小法廷判決・民集19巻6号1393頁,法28条3項参照)。 そして,要介護更新認定を受けられた場合においては,当該認定に係る有効期間は,原則として12か月間,特に必要と認める場合に6か月間から24か月間までの間となる(規則41条2項,38条1項)ところ,これは,要介護認定に係る有効期間が,原則として6か月間,特に必要と認める場合に3か月間から12か月間までの間となる(同項)のと比べて,長期となっているといえる。すなわち,要介護更新認定を受けることができる地位が得られた場合においては,新たに要介護認定の申請をしなければならないときよりも,法令上の仕組みに照らし,認定に係る有効期間が長くなる可能性が高いために,申請を必要とする頻度が下がる可能性が 高いということになり,その限りで,申請に伴う手続上の負担が軽減され得るものと解される(なお,原告が要介護認定を受けるべき場合においても,原告が要介護更新認定を受けられるか否かは別の問題であり,現時点においてその蓋然性があるとまではいえないものの,飽くまでその可能性が否定されない限り,法令上の仕組みから導かれる上記の手続上の利益を法律上保護すべき要請は働くものと解すべきである。)。 このような法令上の仕組みを前提とすると,原告が,要介護認定を遡って受けることにより,要介護更新認定の申請をすることができる地位を得ることについては,法律上の は働くものと解すべきである。)。 このような法令上の仕組みを前提とすると,原告が,要介護認定を遡って受けることにより,要介護更新認定の申請をすることができる地位を得ることについては,法律上の利益を観念することができるから,要介護認定に係る最長の有効期間が経過した後においても,本件訴えについて,訴えの利益を認めることができるというべきである。 3 争点2(本件処分の適法性)について(1) 法は,要介護状態区分等の認定について抽象的な定めを置くにとどまり,その具体的な内容や判定基準,認定手続の詳細等を政令や厚生労働省令等の規定に委ねている。このような法令の規定ぶりに加え,要介護状態区分等の認定は,事柄の性質上,専門技術的な知識が必要とされるものであり,そのため,市町村には,学識経験者によって組織される介護認定審査会が置かれ(法14条),市町村は,介護認定審査会が行う審査及び判定の結果に基づき,要介護認定ないし要支援認定を行うものとされていること(法27条7,9項,32条6,8項)をも考慮すると,要介護状態区分等の認定は,介護認定審査会の審査判定の結果を踏まえた合理的な裁量に委ねられていると解するのが相当である。 そうすると,要介護認定・要支援認定等非該当処分の取消訴訟における裁判所の審理,判断は,介護認定審査会の専門技術的な審査判定を基にして行われた市町村の判断に不合理な点があるか否かという観点から行われるべきであり,介護認定審査会の審査判定過程に看過し難い過誤,欠落があって,市町村の判断がこれに依拠してされたと認められる場合には,その判断は,裁量権の範囲を逸脱し,又はこれ を濫用したものとして違法となるというべきである。 そして,厚生労働省老健局長通知「『介護認定審査会の運営について』の一部改正について」に ,その判断は,裁量権の範囲を逸脱し,又はこれ を濫用したものとして違法となるというべきである。 そして,厚生労働省老健局長通知「『介護認定審査会の運営について』の一部改正について」に添付されている「介護認定審査会運営要綱」(乙10),厚生労働省老健局老人保健課長通知「要介護認定における『認定調査票記入の手引き』,『主治医意見書記入の手引き』及び『特定疾病にかかる診断基準』について」(乙14),認定調査員テキスト(乙6)及び「要介護認定介護認定審査会委員テキスト改訂版2009」(乙7)等で定められている一般的な認定の要領(以下,これらを総称して「認定要領」ということがある。)の内容は,前述のとおりであり,その内容自体に特段不合理な点は認められないから,本件においては,具体的には,認定要領に基づいた当てはめに不合理と目すべき点があるか否かを検討すべきこととなる。 (2)ア以上を前提として本件を見ると,一般に,アルツハイマー型認知症には根治療法がないとされるのであるから,進行抑制薬による薬物療法を開始した当初に症状が一時的に改善することはあり得るにせよ,ある程度時間が経ってから,症状が前年と比べて有意に改善されるということは,もとよりおよそあり得ないとまではいえないが,直ちには首肯し難いところである。まして,原告の場合には,平成27年当時,主治医意見書によってアルツハイマー型認知症の進行の早さが指摘されていた上,平成28年においても,主治医意見書によって症状の不安定さが指摘され,妄想などの症状が悪化していることが示唆されていたものである。 そうすると,二次判定を含む審査の過程においては,認定調査の段階における質問への受け答え等で直ちに問題が見られなかったとしても,主治医の意見や前年の認定調査の結果等を参照し,必要があ のである。 そうすると,二次判定を含む審査の過程においては,認定調査の段階における質問への受け答え等で直ちに問題が見られなかったとしても,主治医の意見や前年の認定調査の結果等を参照し,必要があれば,更に情報収集に努めるなどの対応がされるべきであったといえる(なお,この趣旨は,過去に要介護1相当とされたこと自体から,それとの均衡を図るために,本来的には要件が満たされない場合でも要介護1の認定をすることが求められるという趣旨ではなく,過去の認定調査の結果が一つの参照資料とされるべき状況があったということを述べるにとどまるとこ ろ,このような趣旨での考慮は,認定要領においても否定されていないところである。)。現に,認定要領においては,時間や状況によって,同じことができたりできなかったりする場合があることをも念頭に,日頃の状況を把握するために主治医の意見等を参照する必要があることが指摘されているところである。 イ(ア) 具体的に,要介護認定等基準時間に影響し得た主要な要素について個別に見ると,短期記憶について,認定調査においては3点テストを含めて問題がなかったにせよ,平成27年当時には問題があるとされており,平成28年においても主治医の意見は「問題あり」となっていたものであるところ,特に主治医の診察は申請の約3か月前にされたもので,その後の短期間に大きな症状の変化が見られるとは直ちに考え難いことからすれば,上記の認定調査の結果のみで結論を導くことはできない。そして,認定調査においては,一般にも,主治医意見書の記載等も踏まえつつ,調査対象者についてより頻回な状況を明らかにしてそれを基に認定をすべき場合があるとされていること(前記1(1)ア(イ)a参照)からしても,主治医の所見が平成27年12月と平成28年3月とで異なるものとなり 象者についてより頻回な状況を明らかにしてそれを基に認定をすべき場合があるとされていること(前記1(1)ア(イ)a参照)からしても,主治医の所見が平成27年12月と平成28年3月とで異なるものとなり得るのか,仮に異なっているとして,それはごく一時的な事象によるのかといった点について,主治医への確認が必要となるものと解される(なお,認定要領においては,短期記憶については,過去1週間の状況との比較が求められているところであり,そのこと自体の一般的な合理性は否定されるべきものではないが,過去1週間の状況を直接把握することができないために,調査日の状況が一時的に改善された状況であったか否かに疑義が残る場合には,継続的に申請者を診察している主治医等に,それ以前の状況も含めた確認をすることが必要であると解される。)。この点に関し,本件における認定調査に際しては,担当のケアマネージャーへの確認はされ,短期記憶について問題がないという趣旨の回答が得られていたこともうかがわれるが,短期記憶の点に関して,具体的にどのような確認がされ,例えば過去1週間と比べて調査日の状況がどうであったかがどのように把握されたかは定かではないし,いずれにせよ,主治医の意見とのそごの点についての疑義は残るから,ケアマネージャーが 短期記憶に問題ないと回答したとしても,上記のような主治医の意見を踏まえての更なる情報収集の必要性には変わりがないところである。もとより,主治医であるI医師が「短期記憶」として念頭に置いている内容が,認定調査において問題としている「短期記憶」,すなわち面接調査の直前に何をしていたかを思い出せるか否かとは質的に異なる内容を意味しており,主治医の意見と認定調査の結果との間に特段の矛盾はないという可能性もあるが,この点も,主治医に,意見の趣旨に関す 面接調査の直前に何をしていたかを思い出せるか否かとは質的に異なる内容を意味しており,主治医の意見と認定調査の結果との間に特段の矛盾はないという可能性もあるが,この点も,主治医に,意見の趣旨に関する具体的な確認を取らないままに判断できることではないというほかない。 (イ) 被告は,原告自身が,3か月前と比べて,最近は頭がスッキリしていると述べていた事実を基に,主治医が意見を述べた時期の状況は認定調査当時とは異なることが明らかである旨を主張するが,アルツハイマー型認知症により原告の判断力が低下しているか否かが問題とされているのであるから,自身の健康状態に関する原告本人の評価のみで,主治医の意見と認定調査の結果の整合性が明らかになるとはいい難い。また,原告が平成28年12月頃より前の時期においては,自身が話す数分間の漫才の内容を覚えられていたという点についても,この点は,要介護1相当であることを前提に介護扶助を受けていた期間についても同様であったと認められるから,やはり判断を左右するには足りない。 (ウ) そして,短期記憶に関する選択が変更されれば,要介護認定等基準時間が3. 4分から10.1分へと,6.7分増加することとなり得る(別紙図1参照)ところ,本件処分の前提となった要介護認定等基準時間は22.8分であったことからすれば,上記6.7分が加算されることで,少なくとも要支援状態には該当する可能性が出てくるところであるから,この点は,要介護認定に関する結論に影響を及ぼし得たといえる(なお,法35条によれば,要介護認定の申請がされている場合にも,要支援認定を行うことがあり得るとされており,申請の煩雑さを考えれば,要介護認定の申請をした者について要支援状態と認められれば,要支援認定をする方向で手続が進められるのが合理的と考えられるから,少 ,要支援認定を行うことがあり得るとされており,申請の煩雑さを考えれば,要介護認定の申請をした者について要支援状態と認められれば,要支援認定をする方向で手続が進められるのが合理的と考えられるから,少なくとも要支援状態に該当する可能性がある場合には,結論への影響を否定することはできないと解すべき である。)。 ウ(ア) また,要介護認定等基準時間の一次的な計算には直接影響していないものの,少なくとも要介護1・要支援2の区別との関係で意味を持つ日常生活自立度等の判断には関係すると認められる考慮要素について見ても,まず,「ひどい物忘れ」の項目については,平成27年当時においては指摘されていたところであり(二つの作業を順序立てて行うこともできないとされていた。),本件処分に係る認定調査においても,本人自身が,3か月ほど前にはスーパーへの行き方等が分からなくなっていた旨を述べていた上,本件裁決に際して追加された情報によれば,原告には認定調査当時も電車の乗換えなどが分からなくなる事態がしばしば起こっていたことがうかがわれる。加えて,3日続けて財布を忘れる,調理・配膳の仕方が分からなくなる,メモしていても冷蔵庫にある食材を重ねて買ってしまうなどといった状況は,一つ一つを取れば,アルツハイマー型認知症ではない者にも見られ得るし,必ずしも介助の必要にまでは結び付かないものであると解されるが,前述した他の症状等と併せて総合的に見れば,「ひどい物忘れ」がないと判定することには合理的な疑問を抱かせるような事象であるといえる(特に,同じ物を不必要に購入してしまうといったことは,認定調査員テキストにおいて,ひどい物忘れに該当し得る例として挙げられている。)。現に,原告は平成26年の時点で,火を消すのを忘れたり道順を間違えたりするといったことが相次いで しまうといったことは,認定調査員テキストにおいて,ひどい物忘れに該当し得る例として挙げられている。)。現に,原告は平成26年の時点で,火を消すのを忘れたり道順を間違えたりするといったことが相次いで,調理や車の運転を控えるようになったが,本件処分以前に,これらが再開されてもよいと医師等により判断されたことはうかがわれない。 この点に関し,本件裁決の段階では,「ひどい物忘れ」は「ときどきある」との判定に改められたものと認められるが,頻度に関しては,「はっきりしないが,週1回以上はないが月1回以上はある」とのみされており,電車の乗換え等については,週2回の就労継続支援A型事業所の行き帰りの中で「度々」分からなくなる旨の記述が見受けられることも踏まえると,「ある」と「ときどきある」の区分(週1回以上か否かが分岐点となる。)の観点から,関係者への十分な聞き取り等がさ れたのかは,記録上定かでないといわざるを得ない。そして,この点にも関連して,「ひどい物忘れ」の項目によって本件処分の結論には影響が生じないことに関しても,その理由等がつまびらかにはされていないといわざるを得ない。もとより,「ひどい物忘れ」に関する判定が変化したとしても,中間評価項目得点への影響は最大で4.0点分しかないため,直ちに要介護認定等基準時間の計算には影響しないことは前述のとおりであるが,「精神・行動障害」の項目について要介護認定等基準時間が増えるか否かの分岐点は95.9点であって(別紙図2参照),仮にひどい物忘れが「ある」状態であれば0.1点の差しか分岐点との間にないのであるから,一次判定の結果を前提に,主治医の意見(この項目との関係では,短期記憶に関する主治医の意見が主として問題となるものと解される。)等も踏まえて行う二次判定も含めて考えた場合に,「ひどい のであるから,一次判定の結果を前提に,主治医の意見(この項目との関係では,短期記憶に関する主治医の意見が主として問題となるものと解される。)等も踏まえて行う二次判定も含めて考えた場合に,「ひどい物忘れ」をめぐる認定調査の不十分さが影響しなかったと当然にいうことはできない。そして,上記の項目に関して原告に有利な判定がされた場合には,要介護認定等基準時間が4.7分から10.9分へと,6. 2分増加する可能性があり,少なくとも要支援状態には該当する可能性が出てくるところである。 (イ) さらに,買物の点について,認定調査当時,原告が第三者の介助を受けていなかったことは事実であるが,冷蔵庫にある食材を重ねて購入してしまうなどといった,問題のある行動と見得る事象もあったところ,本来介助が必要なのに受けられていない場合には,単に介助なしという判断をするのでは足りないところであるし,上記の事象は平成27年当時から引き続き認められていたところであるから,更に聞き取りを行ったりして,状態の見極めを詳しく行う必要があったといえる。 そして,この点は,上記(ア)のとおり,「ひどい物忘れ」に関する判定とも関連し得るところである。 エそのほか,原告が認定調査の不十分さの根拠として指摘する事項については,いずれも,要介護認定等基準時間の計算には直ちに影響しないことに加え,次に述べる理由からも,少なくとも結論に影響し得るような看過し難い過誤,欠落を構成 し得るものとは解されない。 まず,薬の内服の点については,I医師において,原告の副作用の懸念に配慮して処方薬を変更した事実もうかがわれるため,自己判断で服薬をしていないことが,必ずしも直ちにアルツハイマー認知症等の症状の現れであって介助の必要性を示唆しているとまでは認められない。また,「しつこく て処方薬を変更した事実もうかがわれるため,自己判断で服薬をしていないことが,必ずしも直ちにアルツハイマー認知症等の症状の現れであって介助の必要性を示唆しているとまでは認められない。また,「しつこく同じ話をする」の項目について,認定調査員は担当のケアマネージャーに確認をしたことがうかがわれる上,この点に関する回答が消極であったとしても,I医師が主治医として述べた意見の内容と直接整合しない点が出てくるとまではいえないから,この点に関して認定調査等が不十分であったとまではいえない。さらに,聴力の点については,本件で最も問題となっているアルツハイマー型認知症の症状と関係するとは認め難い上,右耳を使えばかろうじて聞き取ることができるということであれば,介助の必要性に直ちに有意な影響があるとも考え難い。 オ以上に述べたとおり,要介護認定等基準時間あるいは日常生活自立度に関係し,結論に影響し得る幾つかの項目について,主治医であるI医師から出された意見や前年の資料をも踏まえると,認定要領に基づいた調査・当てはめが不十分と解される点が見られるから,介護認定審査会の審査判定過程には看過し難い過誤,欠落があり,これに依拠した市町村の判断は,裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したものとして違法であると解すべきである。 (3) なお,被告は,MMSEテスト等の結果の改善について主張するが,これらのテストの結果自体は,平成26年当時から一貫して,すなわち要介護1相当とされていた当時も含めて,非認知症を示唆するものであった上,原告はこれらのテストを実施する側も経験していたために正確な測定が可能かには疑問もあるため,これらのテストの結果をもって,原告のアルツハイマー型認知症の症状に改善が見られたなどと直ちに推論することは困難である。しかも,被告が援用するM 験していたために正確な測定が可能かには疑問もあるため,これらのテストの結果をもって,原告のアルツハイマー型認知症の症状に改善が見られたなどと直ちに推論することは困難である。しかも,被告が援用するMMSEテスト等の結果のうち本件処分より前のもの(同年11月27日,平成27年10月14日)は,I医師が作成した主治医意見書に係る最終診察日(同年12月9日) よりも前に,H病院において行われたものであるから,I医師は,上記のMMSEテスト等の結果も踏まえて,原告の短期記憶に問題がある旨の意見を述べたと解するのが合理的なのであって,MMSEテスト等の結果のみをもって,I医師の意見を覆すことはできないというべきである。 また,一般論として,疾患の症状それ自体と要介護状態区分等が連動するわけではないことは被告の指摘するとおりであるが,少なくとも本件で主に問題となっているような日常生活の自立(自己の判断で適切に買物等ができるかなど)や短期記憶の点については,アルツハイマー型認知症の症状が悪化するほど,介護サービスの必要性も高まるとみるのが自然であり,被告の上記指摘は,本件における上記判断を左右するものではない。 4 争点3(原告が要介護1に該当する旨の認定をしないことが裁量権の範囲の逸脱又はその濫用に当たるといえるか)について前述のとおり,介護認定審査会による認定調査には不十分な点が見られ,また,主治医の意見によれば,平成27年当時よりも平成28年当時の方がアルツハイマー型認知症の症状は悪化していることがうかがわれるところではあるが,前提となる用語の定義の差等から,医師の所見における要介護の程度と,要介護認定における要介護状態区分等は必ずしも一致するところではないと解される(前記1(1)ウ(ア)参照)し,また,過去の症状との比較 となる用語の定義の差等から,医師の所見における要介護の程度と,要介護認定における要介護状態区分等は必ずしも一致するところではないと解される(前記1(1)ウ(ア)参照)し,また,過去の症状との比較のみで要介護状態区分等についての結論を導くことができるものでもない。 本来であれば,上記3で指摘した点も踏まえつつ,介護認定審査会において十分な資料収集が行われた上で,要介護認定等基準時間や日常生活自立度が判定され,それに基づいて要介護状態区分等が決定されるべきところであるが,本件においては,それに代わるだけの証拠資料,例えば主治医によるより具体的かつ詳細な意見や,デイサービス関係者からのより詳細な事情聴取結果等があるわけではないため,当裁判所において,介護認定審査会により本来行われるべき判断を実体的に代置するだけの基礎となる資料があるとはいえない(なお,介護認定審査会における資料 収集が十分でなかったからといって,当然に,原告が主張する症状があったこと等が推認されるものではないことはいうまでもない。)。 そして,原告は,本件で書証として提出した甲号証のほかには,原告本人尋問及び本件処分に係る認定調査員である渡辺純子の証人尋問以外に立証の予定はないという意向であること(第7回及び第8回の各口頭弁論期日調書参照)からすれば,審理を続けたとしても,上記のような資料に基づく積極的な主張立証が更にされることは期待し難いところである(なお,認定調査員である渡辺純子を証人として尋問しても,上記3のとおり不十分な点があった認定調査の過程が明らかになるのみであって,原告の症状の程度そのものに関して認定するに足りる有意な資料が更に収集できるとは考え難い。)から,結局,原告にふさわしい要介護状態区分等が要介護1であるのか,要支援1ないし2であるの のみであって,原告の症状の程度そのものに関して認定するに足りる有意な資料が更に収集できるとは考え難い。)から,結局,原告にふさわしい要介護状態区分等が要介護1であるのか,要支援1ないし2であるのか,そのいずれでもないのかなどという実体的な問題については,その真偽は不明であって,したがって,要介護1である旨の認定をしないことが裁量権の範囲の逸脱又はその濫用に該当することが立証されたとはいえない(行政事件訴訟法37条の3第5項後段参照)。 以上によれば,原告について要介護1である旨の認定の義務付けを求める部分は,理由がないものというべきである。 第4 結論以上の次第で,原告の請求のうち,本件処分の取消しを求める部分は理由があるから認容し,要介護1である旨の認定の義務付けを求める部分は理由がないから棄却することとし,訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民訴法61条,64条本文を適用して,主文のとおり判決する。 名古屋地方裁判所民事第9部 裁判長裁判官市原義孝 裁判官平田晃史 裁判官佐藤政達(別紙1省略)(別紙2省略)(別表2省略)(別表3省略)

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