平成19(行コ)14 政務調査費返還代位請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
平成20年4月24日 名古屋高等裁判所 その他 名古屋地方裁判所 平成17(行ウ)47
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判決文本文25,716 文字)

主文 原判決中,控訴人敗訴部分を次のとおり変更する。 (1) 控訴人は,自由民主党名古屋市会議員団に対し,165万9781円及びこれに対する平成17年10月15日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 (2) 被控訴人らのその余の請求を棄却する。 訴訟費用は,第1,2審を通じ,補助参加によって生じた分も含め,これを10分し,その1を控訴人及び控訴人補助参加人の負担とし,その余を被控訴人らの負担とする。 事実 及び理由第1当事者の求めた裁判 控訴人(1)判決中,控訴人敗訴部分を取り消す。 (2)被控訴人らの請求を棄却する。 (3)訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人らの負担とする。 被控訴人ら(1)本件控訴を棄却する。 (2)訴訟費用は,補助参加によって生じた分も含め,第1,2審とも控訴人及び控訴人補助参加人の負担とする。 第2事案の概要 本件は,名古屋市(以下「市」ということがある)が控訴人補助参加人に。 交付した平成15年度分及び平成16年度分の政務調査費のうち控訴人補助参加人の共通経費(後記の団費)に充てられたとする合計2870万円の支出について,名古屋市の住民である被控訴人らが,名古屋市会政務調査費の交付に関する条例(以下「本件条例」という)及び名古屋市会政務調査費の使途基。 準及び収支報告書の閲覧に関する規程(以下「本件規程」という)で定めら。 れた使途基準に違反し,収支報告書の記載にも合致せず,違法であるとして,控訴人に対し,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,控訴人補助参加人に対して上記金員の不当利得返還及びこれに対する平成17年6月1日(権利の発生後であることの明らかな日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を請求するように求めた事案 参加人に対して上記金員の不当利得返還及びこれに対する平成17年6月1日(権利の発生後であることの明らかな日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を請求するように求めた事案である。 控訴人及び控訴人補助参加人(以下「控訴人ら」ということがある)は,。 上記2870万円の支出は本件条例及び本件規程で定められた使途基準に違反しないし,収支報告書の記載とも合致し,また,平成15年度の共通経費に充,。 てられた金員のうち410万円は市に返還したなどと主張してこれを争った 原審は,控訴人補助参加人による政務調査費の取扱いのうち,同団体の活動に関わる共通経費及び余剰金とされるものの取扱いは,その部分の収支報告が政務調査費の支出の実態と合致しているか否かについて相当の疑義があり,控訴人補助参加人又は控訴人において,上記疑義を解消するに足りるほどの説明ないし反証を行ったとは認められないから,その共通経費及び余剰金に関する支出は,適法な政務調査費の支出と認めることができず,当該支出に相当する額は,法律上の原因を欠く不当利得であるから,返還されたと認められる410万円を控除し,被控訴人らの請求は,控訴人に対し,自由民主党名古屋市会議員団に不当利得として2460万円及びこれに対する控訴人補助参加人に対する訴訟告知書送達の日の翌日である平成17年10月15日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を支払うように請求することを求める限度で認容し,その余を棄却したため,控訴人補助参加人がこれを不服として控訴した。 なお,被控訴人らは,原審において,控訴人に対し,控訴人補助参加人の構成員の一部が脱退して結成した新風自民に対しても不当利得返還を請求するように求めたところ,原審は同請求を棄却した。この点については,被控訴人 訴人らは,原審において,控訴人に対し,控訴人補助参加人の構成員の一部が脱退して結成した新風自民に対しても不当利得返還を請求するように求めたところ,原審は同請求を棄却した。この点については,被控訴人らが控訴しなかったため,確定した。 また,被控訴人らは,原判決において敗訴した410万円分については控訴をしていない。 ,,, 前提事実等争点及び争点等に関する当事者の主張は以下のとおり補正し当審における補充主張を加えるほかは,原判決「事実及び理由」の「第2事案の概要」1ないし3に記載のとおりであるから,これを引用する(ただし,新風自民の連帯債務に関する部分を除く。 。)(1)原判決の補正ア原判決9頁22行目から23行目にかけての「かかる余剰金」を「この600万円を超える支出部分に相当する額の余剰金」と改める。 イ同12頁17行目の「これを前記のとおり余剰金としている」を「そ。 こからさらに余剰金を別途確保している」と,同18行目の「実際に当。 該調査に支出された」を「議員個人の当該調査のために実際に支出した」と,同21行目の「共通経費として留保し,余剰金としたのに」を「議,員1人当たり年額600万円を超える部分に相当する額を余剰金として留保したのに」と,それぞれ改める。 ,ウ同13頁8行目の「実際の政務調査費の支出と異なる支出がなされており」を「実際の使途が保管する領収書と食い違っており」と改める。 ,,「,エ同14頁17行目から18行目にかけての被告補助参加人においてはこれを共通経費として」を改行して,以下のとおり改める。 ,「また,控訴人補助参加人においては,同団体に関する経費として,控訴人から議員1人当たり月額55万円(年額660万円)として支給される政務調査費のうち,月額5万円(年額60万円) おり改める。 ,「また,控訴人補助参加人においては,同団体に関する経費として,控訴人から議員1人当たり月額55万円(年額660万円)として支給される政務調査費のうち,月額5万円(年額60万円)を留保することとしており(以下,この留保した分を「団費」という,上記余剰金は,。)この団費として留保した額から分離して別途保管している。そして,上記団費のうち,その余の部分を共通経費として」,オ同15頁23行目の「差し入れて」の次に「団費を保管した口座から」 を加える。 (2)当審における補充,追加主張ア被控訴人ら(ア)不当利得返還請求権と本件条例7条の関係について収支報告書に記載された支出が政務調査費の使途基準に適合しない場合には,政務調査費を支給される法律上の原因がなく,控訴人は控訴人補助参加人に対して不当利得返還請求権を有するものである。なお,本件条例7条は,その具体的手続や時期を定めたものに過ぎず,これにより控訴人に不当利得返還請求権が初めて発生すると主張するわけではない。 (イ)支出が政務調査費の使途基準に適合しないことと,収支報告書の記載が実際の使途と合致しないこととの関係について標記の後者は前者を推認させる事情である。すなわち,収支報告書の支出項目に記載された金額に余剰金という目的外支出が含まれる以上,,,報告書記載の支出額には目的外支出とそうでない支出とが併存しかつその内訳を分類することはできないから,控訴人補助参加人において,収支報告書の各項目の金額のうち,どれだけが使途基準に適合した支出,,であるかを証明しない限り余剰金の原資である共通経費部分の全体が政務調査費の使途基準に適合しないと推認せざるを得ない。 イ控訴人ら(ア)1審判決は,収支報告書の収支の記載内容が,実際の政務調査費の支 かを証明しない限り余剰金の原資である共通経費部分の全体が政務調査費の使途基準に適合しないと推認せざるを得ない。 イ控訴人ら(ア)1審判決は,収支報告書の収支の記載内容が,実際の政務調査費の支出内容と大幅に相違していた場合のみならず,その支出内容が使途基準に適合しているかどうかを確認できないような場合にも,当該部分の支出は政務調査費の適正な支出と認めることはできず,法律上の原因を欠くと判断している(原判決18頁19行目から25行目。これは,)政務調査費が本来の目的以外に使用されたことを推認させる一般的,外 形的な事実の主張,立証を不要とするもので,利得者が「法律上ノ原因ナクシテ」当該利得をしたとの事実を主張,立証すべきであるとした最高裁昭和59年12月21日第二小法廷判決・裁判集143号503頁に反する。 (イ)議員1人当たり月額5万円を集めて別途保管していた団費の使途の詳細は以下のとおりである。 平成15年4月の団費として別途保管したのは120万円であり,このうち実際に共通経費として使用したのは1万5182円のみであるが,その内訳は不明である。その余の118万4818円は市へ返還した。 平成15年5月から平成16年3月までの団費として別途保管したのは1355万0038円(うち38円は利息である)であり,このう。 ち実際に共通経費として使用したのは848万3796円である。その内訳は,調査費131万8900円,会議費293万1782円,資料作成費334万3150円,資料購入費18万9981円,広報費10万4002円,事務費59万5981円である。その余の団費506万6242円は市に返還した。 平成16年度の団費として別途保管したのは1395万0037円であり,ここから余剰金としてさらに別途保管したのが165万9781円, 981円である。その余の団費506万6242円は市に返還した。 平成16年度の団費として別途保管したのは1395万0037円であり,ここから余剰金としてさらに別途保管したのが165万9781円,実際に共通経費として使用したのは772万4539円である。その内訳は,調査費46万5845円,会議費253万9907円,資料作成費379万5250円,資料購入費25万1127円,広報費18万1042円,事務費49万1368円である。その余の共通経費分456万5717円は市に返還した。 (ウ)余剰金は,控訴人補助参加人(会派)内の内部の取り決めによる団,,費の一部ではあるがその使途は所属議員個人の政務調査費であるから その使途あるいはそれを政務調査費と認めるべきであるか否かについて疑義があるとしても,それによって共通経費自体(団費全体)について政務調査費として適正な支出がなされなかったとの推認が働くことは論理的にあり得ない。 第3当裁判所の判断当裁判所は,原判決と異なり,被控訴人らの本訴請求は,控訴人補助参加人に対し,平成16年度の余剰金165万9781円及びこれに対する平成17年10月15日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を請求するように控訴人に求める限度で理由があり,その余は理由がないと判断する。その理由は,以下のとおりである。 1(1)政務調査費は,普通地方公共団体が,条例の定めるところにより,その議会の議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として,その議会における会派又は議員に対し,交付することができるものであり,この場合において,当該政務調査費の交付の対象,額及び交付の方法は,条例で定めなければならないとされる(地方自治法100条13項。 )この規定をうけて,名古屋市においては,本件条例(甲 ものであり,この場合において,当該政務調査費の交付の対象,額及び交付の方法は,条例で定めなければならないとされる(地方自治法100条13項。 )この規定をうけて,名古屋市においては,本件条例(甲4)が定められ,。 ,,政務調査費の交付対象や交付方法等を定めている本件条例によれば市は名古屋市会の各会派に対して,月額55万円に所属議員の数を乗じた金額を交付し(2条,3条,会派は,議長が定める使途基準に従ってこれを使用)するものとし,市政に関する調査研究に資するため必要な経費以外のものに充ててはならない(4条。会派の代表者は,収支報告書を議長に提出しな)ければならず(5条,議長は,政務調査費の適正な運用を期すため,必要)な調査を行うことができ(6条,名古屋市長は,政務調査費の交付を受け)た会派がその年度において交付を受けた政務調査費の総額から,当該会派がその年度において市政に関する調査研究に資するため必要な経費として支出した総額を控除して残余がある場合,当該残余の額に相当する額の政務調査 費の返還を命ずることができる(7条。 )本件条例をうけて,本件規則(甲5)及び本件規程(乙1)が定められて。 ,,,いる本件規則によれば会派は政務調査費に関する経理責任者を置いて会計帳簿の調製と領収書等の証拠書類を整理して,これを所定の期間保管しなければならない(本件規則6条。 )(2)上記のとおり,政務調査活動の重要性に基づき,市の公金から政務調査費を会派に交付する旨,会派に交付された政務調査費のうち使用されずに残余が生じた場合には,市長はその残余相当額の返還を命ずる旨定められていることからすると,政務調査費が,市政に関する調査研究に資するため必要な経費とは認められないような目的外の使用に供された場合には,市の公金の損失 は,市長はその残余相当額の返還を命ずる旨定められていることからすると,政務調査費が,市政に関する調査研究に資するため必要な経費とは認められないような目的外の使用に供された場合には,市の公金の損失において,会派が利得を得ていることになるから,市長は,不当利得返還請求権に基づき,会派に対して当該支出相当額の返還を命ずることができると解される。そして,このような場合には,不当利得返還を請求する者にその主張立証責任があることは,当然であるが,会派による政務調査費の使用が,その本来の使途及び目的に違反していることを推認させる一般的,外形的な事実を不当利得返還を請求する者において立証した場合には,これを争う者において,その推認を妨げるべく,本来の使途及び目的に沿って使用したことを明らかにする必要があり,その反証に成功しなければ,不当利得返還請求が成立することになると解される。 本件における政務調査費の交付と受入れに関する仕組み前提事実等に加え,証拠(甲7,8,13,16,丙1ないし3,原審証人A,当審証人B,同C。以下,名は省略する)及び弁論の全趣旨によれば,。 次の事実が認められる。 (1)市による政務調査費の交付と控訴人補助参加人による管理市は,月額55万円(年額660万円)に議員数を乗じた金額の政務調査費を毎月会派に交付する。会派の1つである控訴人補助参加人においては, その受入れのための預金口座を設け,市から毎月政務調査費の交付を受け,まずこれを内部的に次のとおりに区分している。 すなわち,1つは,50万円に議員数を乗じた金額であり,これは,50万円単位で議員の人数分だけ封筒に包み,控訴人補助参加人の金庫に入れて保管し,後記(2)のとおり議員個人別にその政務調査活動に対する費用として支出する(以下「議員個人分の政務調査費」という ,50万円単位で議員の人数分だけ封筒に包み,控訴人補助参加人の金庫に入れて保管し,後記(2)のとおり議員個人別にその政務調査活動に対する費用として支出する(以下「議員個人分の政務調査費」という。 。)残りの5万円に議員数を乗じた金額(団費)は,控訴人補助参加人の別の預金口座にまとめて保管し,後記のとおり会派としての控訴人補助参加人のため(あるいは会派所属議員全体のため)の資金として使用する。 (2)議員個人分の政務調査費控訴人補助参加人は,同会派に属する議員個人がその政務調査活動のために費用を支出した場合には,次のような手続に従い毎月50万円を限度に,かつ50万円単位で のとおり金庫に封筒に入れて保管している金員議()(員個人分の政務調査費)を当該議員個人に支給する。すなわち,各議員は,毎月,50万円以上の政務調査に関する支出をした場合にはその領収書を持参して控訴人補助参加人の財務担当者のところに赴き,領収書と引換えに,封筒に入れて金庫に保管されている50万円の政務調査費の交付を受ける。支出が月50万円を超えても,支払を受けられるのは50万円を限度とする。支出が50万円に達しないときは政務調査費は支給されず,支給は翌月に持ち越され,翌月において,前月から持ち越された分と当月分との合計額が50万円を超えたときに初めて50万円が支給される。最終的には,年度末に受領額が確定し,各議員につき支給額は年額600万円を上限としている。 この金庫に保管された金員(議員個人のための政務調査費)は,通常全部支払われ,残ることはないが,例外的に年度末に残りが出た場合には,市に返還する。 (3)団費及び本来の共通経費控訴人補助参加人は,会派としての控訴人補助参加人のための経費,ある(「」。)()いは所属議員に共通に必要な経費 度末に残りが出た場合には,市に返還する。 (3)団費及び本来の共通経費控訴人補助参加人は,会派としての控訴人補助参加人のための経費,ある(「」。)()いは所属議員に共通に必要な経費以下本来の共通経費というを 後段の団費用の預金口座から支出する。その支出に当たっては,控訴人補助参加人のために必要な費用額が使用担当者に交付され,担当者がこの資金を用いて必要な出費をし,事後に控訴人補助参加人の財務管理者にその領収書を提出するという手続が取られている。もっとも,使用担当者と財務管理者の区別の明確でない場合もあった。 (4)余剰金団費から本来の共通経費を支出した後に通常は残りが生ずるところ,控訴人補助参加人は,この残金について,次のとおりの手続に従い,余剰金(預かり金ともいう)として保管し,任期終了時(4年に一度の名古屋市会議。 員改選時)に,所属の各議員に対し,その人数で均等に割った金額を交付している。 ,,,余剰金を確保するため控訴人補助参加人内部の取決めに従い各議員は毎月使用した政務調査費のうち,50万円を超える金額に対応する領収書を控訴人補助参加人に交付し,控訴人補助参加人では,団費のうちこの領収書金額を合計した金額に対応する部分を,余剰金として,留保している。 (5)収支報告書の記載(対外的な経理処理)と控訴人補助参加人内部における経理関係書類の記載ア上記の議員個人分の政務調査費,団費,団費の中の共通経費,同余剰金という各資金・費用(以下「本件各金員」ということがある)は,いず。 れも控訴人補助参加人の内部における区別であり,政務調査費を交付する市,本件規程,本件条例,地方自治法等には,そのような区別はない。上記の規程等にあるのは,政務調査費とそれを構成する調査費,会議費等の使途費目だけである。 おける区別であり,政務調査費を交付する市,本件規程,本件条例,地方自治法等には,そのような区別はない。上記の規程等にあるのは,政務調査費とそれを構成する調査費,会議費等の使途費目だけである。 控訴人補助参加人は,内部的な処理としての議員個人分の使途費目(例えば,調査費)における支出額と,同じく内部的な処理としての共通経費における同一使途費目(例えば,調査費)における支出額とを合算して,対外的に提出を要する収支報告書の同一使途費目(例えば,調査費)の欄にその合算金額だけを記載している(例えば甲1。政務調査費に余りが)生じた場合の返還額についても同様に議員個人分の政務調査費の未使用分と団費のうちの未使用分とを合算した金額だけを収支報告書に記載している。 イ控訴人補助参加人の財務担当者は,市の職員に依頼して共通経費についての現金出納帳を作成している。現金出納帳については,後記のとおり,控訴人補助参加人とA議員(以下「A議員」という)との争いの中で,。 一部が控訴人補助参加人の保管外となり,控訴人補助参加人はその分については領収書を基礎に再製した。 また,上記の担当者は,議員や共通経費使用者から提出される領収書を保管し,これに支払った順に通し番号を付け,現金出納帳との照合作業を行い,政務調査費の使途費目毎に分類,集計し,収支報告書の費目欄に記載している。 本件各金員と政務調査費の目的外支出との関係前記2に認定の事実を基礎にして,本件各金員の性質,特に政務調査費の目的外支出の把握に必要な事実等について検討すると,次のとおりである。 (1)議員個人分の政務調査費の場合ア本件との関係議員個人分の政務調査費は,その使途が各議員の政務調査活動のための費用であり,手続的には,控訴人補助参加人が市から交付を受けた政務調査費を内部的に区 )議員個人分の政務調査費の場合ア本件との関係議員個人分の政務調査費は,その使途が各議員の政務調査活動のための費用であり,手続的には,控訴人補助参加人が市から交付を受けた政務調査費を内部的に区分して議員個人分の政務調査費とし,これを所属の議員の政務調査活動のための費用として各議員に交付するための資金とするも のであり,違法視すべき点はなく,被控訴人らもこれにつき政務調査費の目的外支出に該当する旨の主張をしているものでもない。 ただし,以下の限りで政務調査費の目的外支出に関係するおそれもあるので,検討を加える。 イ議員個人分の政務調査費から余剰金が捻出されるおそれの有無議員個人分の政務調査費と団費とは,前記のように金庫と預金口座という別の保管方法を取っており,両金員が保管の段階で混在し区別できなくなることはまずないということができる。 次に年度末に議員個人分の政務調査費に未使用分が出た場合に,その分が市に返還されずに余剰金として団費の預金口座に入れ替えて保管されるおそれがないかであるが,議員個人分の政務調査費に未使用分が出たということは領収書の提出がない場合であるから,特別の手段が講じられない,。 ,限り上記のような事態発生のおそれはないということができるしかももともと議員個人分の政務調査費は通常全部支出され未使用分が出ないので,上記のおそれはまずないというのが相当である。 ,,さらに議員個人分の政務調査費に未使用分が出て市に返還する場合に経理上は,議員個人分の政務調査費に未使用分はなく,団費に未使用分があるかのように処理した上,団費から返金することにより余剰金の存在が表面化しないようにされるおそれ(例えば,後記のとおり410万円の返還に関して被控訴人らの指摘する点)も特殊な場合以外にはないというのが相当である。 (2 ,団費から返金することにより余剰金の存在が表面化しないようにされるおそれ(例えば,後記のとおり410万円の返還に関して被控訴人らの指摘する点)も特殊な場合以外にはないというのが相当である。 (2)団費のうちの本来の共通経費の場合ア性質本来の共通経費は,会派としての控訴人補助参加人所属の議員のために共通に必要な経費で,本件規程による使途基準(原判決添付別表に掲げる項目ごとに概ねその右欄に掲げる内容の使途)を満たすものであるから, 政務調査費そのものと認めることができる。 イ本来の共通経費に余剰金が含まれるおそれの有無本来の共通経費も余剰金も,団費の中に含まれる金員であり,団費の預金口座に保管されている金員を給源とする点で共通である。そして,本来の共通経費が,領収書の提出の有無により年度末に確定して初めて,団費を給源とする余剰金も最終的に確定する関係にあるので,両者には連続性があるともいえる。 他方,本来の共通経費は先に支出して後に当該支出についての領収書が,。 提出される扱いであり対応する具体的な領収書と結びついた支出であるこれに対し,余剰金は,議員個人分の1人当たり50万円を超える政務調,,査費についての領収書を備えることにより保管が可能となる金員であり領収書は上記の性質を満たす限り特定のものである必要がない。このように両金員は,共に団費を給源としながらも,使途の違いはもとより,その支出・管理についても相当に大きな違いがあるということができる。 このように本来の共通経費と余剰金とは,経理処理の点で,共通面と異なる面とを有する。そのため,本来の共通経費について,年度末までに領収書が提出具備されない場合の扱いに関しては,控訴人補助参加人内部においても,市に返還すべきであるとの見解の他,議員個人の領収書があれば流用して共 。そのため,本来の共通経費について,年度末までに領収書が提出具備されない場合の扱いに関しては,控訴人補助参加人内部においても,市に返還すべきであるとの見解の他,議員個人の領収書があれば流用して共通経費として経理処理することもできる等の複数の見解があり,後記の事例のように争いになることもあるが,通常は,混乱は見られない(原審証人A,当審証人B,同C。 )なお,本来の共通経費についての領収書が年度末までにきちんと提出された場合でも,年度末に,その領収書と議員個人から提出された月額50万円(年間600万円)を超える分の領収書に係る金額との合計額が団費を上回る場合も考えられるところ,その場合の処理がどのようにされているのか等,詳細が不明な点もある。 (3)団費のうちの余剰金の場合ア目的外支出該当性前記のとおり,余剰金は,経理処理の面からいえば,団費から会派のための本来の共通経費を支出した後に団費のための預金口座に残る金員で,議員個人の政務調査費についての領収書が具備されたもののことである。 余剰金は,使途から見ると,本件規程2条で定められた政務調査費の各項目のいずれにも該当せず,使途基準に違反するものというべきである。 したがって,余剰金は,会派が市から交付を受けた公金である政務調査費を目的外に支出したものであり,あるいは返還すべき未使用の金員であるにもかかわらず,理由もなく預かっている金員であり,不当利得返還の対象となるというべきである。 イ領収書の不存在と代用領収書前記のとおり,余剰金はそれについての領収書の有無,具備の仕方等に技術的な特色があり,そのことが余剰金を含む本件各金員と政務調査費の目的外支出との関係にどのように影響するかを検討しておくこととする。 余剰金は,所属議員の任期満了時に配付する予定で,その時期まで預かり 的な特色があり,そのことが余剰金を含む本件各金員と政務調査費の目的外支出との関係にどのように影響するかを検討しておくこととする。 余剰金は,所属議員の任期満了時に配付する予定で,その時期まで預かり保管するもので,それまでの間,現実の支払がない以上,支払の事実に符合する領収書は存在しない。しかし,それでは,議長や市との関係でこの資金を控訴人補助参加人が保管する根拠がないので,控訴人補助参加人においては,余剰金確保のための領収書を集めることとされている(控訴人補助参加人が自認する事実である。もちろん,領収書といっても政。)務調査のために使用した出費に対応する領収書でなければ意味をなさない(代用品にもならない)から,結局,各議員が政務調査のために支出し。 た支払に対する領収書で50万円を超える分を控訴人補助参加人が使用させてもらうという仕組みによっていると捉えることができる。 しかも,議員個人が政務調査のために支出した金員についての領収書と いっても,偶々数字が区別できるような稀な場合は別として,通常は50万円までと50万円を超えるものというように物理的には区分できないはずである。そこで,控訴人補助参加人においては,このような領収書をいわば経理(観念)上,50万円までの使用分とそれを超える使用分とに区分し,前者を議員個人の政務調査費の受領用として,後者を団費の中の余剰金の利用分として,経理上利用している(当審証人C,同B。 )そして,領収書の観点から,対外的な経理を見ると,控訴人補助参加人は,議員個人宛の領収書(上記のように区分できないままのその全体)及び会派宛の領収書とをまとめ,これらを基礎に収支報告書を作成していると認められる。 ウ領収書の代用と余剰金の性質の変動の有無前記イのように,余剰金については領収書が具備されるが,そ のその全体)及び会派宛の領収書とをまとめ,これらを基礎に収支報告書を作成していると認められる。 ウ領収書の代用と余剰金の性質の変動の有無前記イのように,余剰金については領収書が具備されるが,それにより余剰金の使途や性質が変わり,政務調査費の目的外支出に該当しなくなるわけではないというべきである。余剰金は,議員の任期満了時に議員に交付されるのであるから,本件規程2条に定めるような政務調査費として使用されるものではなく,目的外支出に該当するものである。 これに対し,控訴人らは,余剰金は控訴人補助参加人内部の精算の結果生じるものであり,これが政務調査費の使途基準に反するか否かは,議員個人が行った政務調査活動全体が政務調査費支給の対象となるべき実体を有するか否かによるべきであるところ,個々の議員が調査研究活動をし,現実に収支報告書の前提となった領収書に対応する費用を支出した以上,名古屋市との関係で不当利得の問題は発生しない旨主張する。 しかしながら,集められた領収書に記載された金員の使途は余剰金の実際の使途を証するものではなく,その記載が実際の使途の性質を変更するものでもない。使用される領収書は,いわば便宜的に利用される代用品である。控訴人らの上記の主張の趣旨は,議員個人が政務調査費として支出 した金員が余剰金のもともとの給源となっているから,市に返還させなくてもよいということかもしれないが,無理である。ちなみに言えば,そのような仕組みは,団費等という区分された資金を設けず,1人55万円を上限にして政務調査費を各議員に配付し,政務調査費の経理はこれで完結させ,政務調査費とは別に,控訴人補助参加人において,内部的に,議員から控訴人補助参加人に金員を提供させる取決めをして,任期終了時にその集金分を配分するという方法によって設けることがで はこれで完結させ,政務調査費とは別に,控訴人補助参加人において,内部的に,議員から控訴人補助参加人に金員を提供させる取決めをして,任期終了時にその集金分を配分するという方法によって設けることができると思われる。 この場合には,政務調査費は収支報告書と完全に連動する単純明快なものとなり,後は,控訴人補助参加人の中で自治的に集金と配分のための取決めをすることになるので,何らの問題も生じなくなると思われる。 この後者のような仕組みと現在の控訴人補助参加人の行っている余剰金の捻出の仕組みとの間には大きな違いがあり,現在の余剰金捻出の仕組みは,上記後者の仕組みと同視することはできず,これを適法視できるものではない。そもそも領収書を先に集め,その集まった領収書の額により,余剰金の枠が定まるという仕組みである上,代用領収書の使途は議員個人の政務調査活動であり,余剰金の使途とは異なる。領収書の整備による金銭の適正な管理とは反対に,表面的に金額だけを何らかの領収書の金額の合計額と対応させるというものであり,領収書のない支出に勝るとも劣らずに不適切な使途を生む危険を秘めており,領収書記載の使途と現実の使途が異なる点でも,管理を難しくする面がある。 エ領収書の差替えのおそれ前記でも触れたが,余剰金に係る領収書については,仕組みの上から,その差替えが容易であり,この点は,後記の事象との関連で注意すべきである。すなわち,余剰金は,議員個人の1人月額50万円を超える政務調査のための支出に対応する領収書を,その裏付けに流用するから,その領収書となり得るものであれば,領収書が差し替わる場合があり得る。 後記認定のとおり,A議員が幹事長又は団長であった平成15年度及び平成16年度において,団費の預金口座から,年度末あるいは年度途中に預金が引き出され,A議員と 収書が差し替わる場合があり得る。 後記認定のとおり,A議員が幹事長又は団長であった平成15年度及び平成16年度において,団費の預金口座から,年度末あるいは年度途中に預金が引き出され,A議員と控訴人補助参加人との間において,これが余剰金(A議員が説明するところの預り金)の引き出しであるか否かが争われたり,団費の口座に保管された預金の引き出しや裏付けとなる領収書の作成につき,不正確な扱いが見られる。加えて,当審証人Bは,A議員の指示に基づき,平成15年度の余剰金がなかったことにするために,議員1人当たり年間600万円を超える部分の領収書について,そのうちの何枚かを除外したり,領収書より低額の金額を収支報告書に記載するなどした旨を証言している位であり,現実に差替えがあることが裏付けられている。 (4)本件各金員についての判断のあり方以上のように本件各金員につき,政務調査費の目的外支出との関係を検討してきたところ,少なからぬ問題があることが明らかになったが,このことの根本的な原因は,議員の任期終了時(選挙が行われる時期)に議員へ交付する金員を確保するために,団費から余剰金を別途保管する仕組み・構造にあるというべきであり,この構造を前提にする限り,団費には不透明な部分が生ずるというべきである。したがって,本件における処理に当たっては,個別の金員が本件各金員のいずれに該当するかの性質決定が重要であり,それが決まれば,当該金員について目的外支出として返還すべかどうかも自動的に判断できることになる。 被控訴人らは,団費が,本件規程で定められた使途基準に反し,収支報告書の記載に合致しないとして,団費全体の支出を政務調査費の目的外支出と主張する。しかし,上記のように本件各金員に区分できる以上,具体的な金員が本件各金員のいずれに該当するかの性質決 に反し,収支報告書の記載に合致しないとして,団費全体の支出を政務調査費の目的外支出と主張する。しかし,上記のように本件各金員に区分できる以上,具体的な金員が本件各金員のいずれに該当するかの性質決定をした上,具体的な金員ごとに目的外支出かどうかを判定するのが相当である。そして,団費について はそのうちの本来の共通経費を除いた金額につき,余剰金を含めて市に返還させれば,少なくとも政務調査費の目的外支出を是正することになる。 なお,当然のことながら,控訴人補助参加人が市に返還した資金・費用については,その保管・支出の目的が政務調査費の目的外に係るものであっても,返還により控訴人補助参加人に利得が現存していないから,重ねて同額の返還を求めることはできないことに留意すべきである。 係争の共通経費等(団費)の返還の要否,範囲(1)序被控訴人らは,控訴人補助参加人の収支報告書は現実の収支を裏付けるものではなく,控訴人補助参加人の団費の使途は本件条例及び本件規程で定められた使途基準に違反しており,控訴人補助参加人に交付された平成15年度及び平成16年度の政務調査費のうち,団費相当額全部を名古屋市に返還すべきであり,控訴人が控訴人補助参加人にその返還請求をすべき旨を裁判所は命じるべきである旨を主張する。 しかし,前記2(5)のとおり,控訴人補助参加人においては,市から受領する政務調査費を内部的に議員個人分と団費とに区分し,政務調査費の各項目別に議員個人分におけるそれと団費分におけるそれとを合算して整理した額をもって収支報告書を作成提出しているから,収支報告書はその限度で現実の収支を裏付けるものである。また,団費のうちの本来の共通経費は政務調査費の使途に適合しており返還を要するものではないが,団費のうちの余剰金は,返還を要するものである。この 支報告書はその限度で現実の収支を裏付けるものである。また,団費のうちの本来の共通経費は政務調査費の使途に適合しており返還を要するものではないが,団費のうちの余剰金は,返還を要するものである。このことは,前記1(2)の不当利得返還,(,請求の一般的な法理との関係でいえば余剰金以外の支出本来の共通経費議員個人の政務調査費)については,政務調査費の本来の使途及び目的に違反していることを推認させる一般的,外形的事実の立証が不十分であるということである。そこで,請求対象の2年度分の政務調査費のうちの団費について,本来の共通経費のための支出と余剰金とを区別し,目的外支出として 不当利得返還請求の対象となる余剰金の有無内容を確定していくこととする。 (2)平成15年4月分ア当月の特殊性平成15年度は同年4月から平成16年3月までであるが,この年度は(,),収支報告書が2回に分けて市議会議長に提出されている甲1 ので同報告書の記載に従い,平成15年4月と同年5月から平成16年3月までとの2つに分けて検討する。 イ入金,保管及び支給控訴人補助参加人は,平成15年4月に,名古屋市から同月分の政務調査費として,合計1320万円(議員1人当たり55万円とし,これに人数の24を乗じたもの)を交付された。控訴人補助参加人の経理担当の責任者である財務委員長(控訴人補助参加人の中の議員が担当する。この時期は,B議員)等がこれを1200万円(50万円に24を乗じたもの)と120万円(5万円に24を乗じたもの)とに区分し,1200万円の方は,50万円ずつに分けて24の封筒に入れて控訴人補助参加人の金庫に保管した。また,120万円の方は,控訴人補助参加人の団費の預金口座に預金した(前認定事実,当審証人B。 )ところで,当月は,名古屋市 50万円ずつに分けて24の封筒に入れて控訴人補助参加人の金庫に保管した。また,120万円の方は,控訴人補助参加人の団費の預金口座に預金した(前認定事実,当審証人B。 )ところで,当月は,名古屋市議会議員の選挙が行われたため,議員が政務調査に充てる時間・期間が少なく,控訴人補助参加人においては,議員個人分の政務調査費を,通常の月と異なり,1人当たり30万円しか交付しないことにし,24人全員が30万円ずつ合計720万円の政務調査費の交付を受けた(丙1,当審証人B。 )また,団費の120万円については,後記ウのとおりそのうち1万5182円が本来の共通経費として使われたと控訴人補助参加人の内部では経理処理されている(丙1,当審証人B。 ) ウ本来の共通経費の金額控訴人補助参加人は,平成15年4月分の控訴人補助参加人の本来の共,()通経費は合計1万5182円であると主張しB議員作成の陳述書丙1にこれに沿う記載がある。しかし,当審証人B自身,これに関し,使途の詳細は,財務委員長が前任者のときのことであり不明である旨証言する。 そして,控訴人補助参加人の財務担当者は,市の職員に依頼して団費のうちの共通経費について,その支出を機械的に記載して現金出納帳を作成しており,その記載金額は保管してある領収書と符合する(当審証人B)ところ,平成15年4月についても,現金出納帳(丙4に一部の記載が見られる)の記載と領収書とは符合しており,それによった場合の当月分の。 本来の共通経費の金額は6万8420円(内訳は,本代1630円,議員総会5万1250円,コピー機リース代1万5540円)であることが認められる。したがって,これを当月分の本来の共通経費の金額として採用するのが相当である。なお,この6万8420円自体が絶対額として少ないとの印象がある コピー機リース代1万5540円)であることが認められる。したがって,これを当月分の本来の共通経費の金額として採用するのが相当である。なお,この6万8420円自体が絶対額として少ないとの印象があるが,選挙の時期であったために本来の共通経費の支出も少なかったと推認され,上記の事実を認めることができる。 そうすると,当月分の本来の共通経費として経理処理されている1万5182円は,本来の共通経費の正しい価格である6万8420円の範囲内であるから,結論として政務調査費として許される適法な支出であり,返還を要しないというべきである。 エ控訴人補助参加人による市への返還額前記イのとおり,当月に名古屋市議会の選挙があったために政務調査活動が少なく,議員個人分の政務調査費を1人当たり50万円でなく30万円を限度にし,1人当たり20万円の合計480万円が政務調査費として使われず,市に返還された事実が認められる。 また,当審証人Bは,団費については,前記ウの1万5182円を控除 した118万4818円が市に返還された旨を証言するところ,返還自体は客観的事実である上,返還資金の給源については,選挙のため議員の政務調査活動が少なく,領収書の提供が少ないことから,その分余剰金を確保することができず,団費のうち本来の共通経費以外は余剰金とされずに市に返還されたものと推認でき,返還資金の給源が団費であるとの上記証言どおりの事実を認めることができる。そして,収支報告書上は,議員個人分と団費との区別はされないため,当月はこの議員個人分の未使用分480万円と団費の未使用分118万4818円とを合計した598万4818円が市への返還額とされており,収支報告書の記載(甲1)は上記を基礎にしたもので,信用することができる(別紙1参照。なお,別紙は,これらを一覧するため 118万4818円とを合計した598万4818円が市への返還額とされており,収支報告書の記載(甲1)は上記を基礎にしたもので,信用することができる(別紙1参照。なお,別紙は,これらを一覧するために当裁判所において便宜作成したものであるが,その右端の欄は,収支報告書の記載内容である。左側の団費の欄は,控訴人補助参加人の財務担当者の調査結果に従った団費の使途,すなわち本来の共通経費(内訳は本件規程2条の項目に従って仕訳したもの,余剰金及)び市に返還した金額を記載している。各項目の右端の金額から左側の金額を差し引けば,議員個人分の政務調査費の項目別内訳が計算上は算出できるが,別紙では,その計算結果の記載を省いてある。 。)オまとめそうすると,控訴人補助参加人は,平成15年4月,市から政務調査費1320万円を交付されたところ,そのうち議員個人分の政務調査費から480万円及び団費から本来の共通経費118万4818円の合計598万4818円を市に返還していると認められる。 ところで,被控訴人らは,控訴人補助参加人の収支報告書の記載が現実の収支を裏付けるものではなく,使途基準に違反した政務調査費の支払がされているから,団費120万円は全部を市に返還すべきである旨を主張する。しかし,前記のとおり,平成15年4月の団費全部が政務調査費の 使途基準に違反するということはできない。 そこに記載の団費合計1万5182円は,前記エのとおり適法な支出である。 また,平成15年4月の団費については,上記支払額1万5182円を控除した残額118万4818円が市に返還され,余剰金はない。 団費120万円から既に118万4818円を返還しているのに,さらに団費120万円の返還を求めるのは,重なる限度でいわば二重に返還せよということに等しく,被控訴人らの主張 に返還され,余剰金はない。 団費120万円から既に118万4818円を返還しているのに,さらに団費120万円の返還を求めるのは,重なる限度でいわば二重に返還せよということに等しく,被控訴人らの主張は,収支報告書の記載の不正確さを契機に結果的な制裁を求めるに等しいが,返還請求の根拠が政務調査費の目的外支出に基づく不当利得返還請求であるから,当月分の請求は,理由がない。 (3)平成15年5月から平成16年3月までの分ア入金,保管及び支給控訴人補助参加人は,平成15年5月から平成16年3月までに,名古屋市からその間の政務調査費として,議員1人当たり55万円,11か月間の合計1億4905万円(5月から11月までが25人,12月から3月までが24人)を交付された(甲8の8頁。控訴人補助参加人はこれ)を議員個人分の政務調査費1億3550万円と,団費1355万円とに区分した(前記認定事実,当審証人B。 )議員個人分の政務調査費については,毎月合計1200万円又は1250万円を経理担当の責任者である財務委員長(この時期は,C議員)等が50万円ずつ24人又は25人分の封筒に入れて控訴人補助参加人の金庫に保管し,各議員に領収書と引換えに毎月50万円を交付し,平成15年11月のD議員の政務調査費50万円が未使用であった他は,全額(1億3500万円)が交付された(当審証人B。 )また,控訴人補助参加人では,団費毎月120万円又は125万円(5 万円に24又は25を乗じたもの。5月から平成16年3月までの分の合計で1355万円)を同会派の団費の預金口座に預金し,本来の共通経費の支払のために必要の都度支出した(前記認定事実,当審証人B。 )イ当初の収支報告書における共通経費と返還金(ア) 本来の共通経費この期間の団費1355万円の中から本来の 預金し,本来の共通経費の支払のために必要の都度支出した(前記認定事実,当審証人B。 )イ当初の収支報告書における共通経費と返還金(ア) 本来の共通経費この期間の団費1355万円の中から本来の共通経費として支出された費用でその旨の領収書の具備されたものは,合計1258万3796円であり,その内訳は,別紙2-1の「団費(共通経費等」欄に記載)のとおりであった。このうち,調査費として集計されたのは,541万8900円であった(丙6,14,当審証人B。 )この当初の収支報告書提出段階では,控訴人補助参加人の内部的な処,(,,)。 理としてこの期間に余剰金はないとされた丙6 当審証人B(イ) 返還額団費1355万円のうち,本来の共通経費として使用された上記の合計1258万3796円を差し引いた残金96万6242円(利息38円を含む)が市に返還されることとされ,前記ア中段のD議員の個人。 分の政務調査費からの返還金(未使用分)50万円と併せた合計146万6242円が返還金として収支報告書に記載され市に返還された甲,(2,丙6,当審証人B。 )ウ収支報告書の訂正(ア) 本来の共通経費の減額控訴人補助参加人の幹事長(平成15年当時)及び団長(平成16年当時)であったA議員は,控訴人補助参加人の団費用の預金口座から,平成16年2月9日に150万円,同年3月10日に160万円,同月25日に50万円,同年4月12日に50万円の合計410万円を支出したことが収支報告書の提出(平成16年4月20日)後に判明した。 控訴人補助参加人は,これを不適切なものであったと判断し,共通経費の支払とすることはできないとして,本来の共通経費としての支払額を合計1258万3796円から410万円だけ減額し848万3796円とした。費 参加人は,これを不適切なものであったと判断し,共通経費の支払とすることはできないとして,本来の共通経費としての支払額を合計1258万3796円から410万円だけ減額し848万3796円とした。費目としては,調査費を410万円減額し,減額後の調査費を131万8900円とした(甲2,8,乙2,当審証人B。 )なお,この処理が控訴人補助参加人における団費の処理全体を信用できないとするものではないことは,後記(5)のとおりである。 (イ) 返還額の増額上記の訂正に伴い,市への返還額が全体で146万6242円から556万6242円に増額された。控訴人補助参加人では,その旨の収支報告書(乙2)に訂正した上(別紙2-2参照,410万円を平成1)7年8月4日市に追加的に返還した(丙5の5。 )エまとめ(ア) 前記ウの410万円について,A議員は,本来の共通経費ではなく,余剰金であり,控訴人補助参加人が市に返還する必要がないとして,控訴人補助参加人との間で争いになっている(原審証人A。 )ところで,前記のとおり,団費のうち本来の共通経費として支出されなかった余剰金は,会派が市から交付を受けた公金である政務調査費を目的外に支出する予定で保留しているもので,不当利得返還の対象となると判断すべきである。したがって,410万円がA議員のいうように余剰金であろうと,控訴人補助参加人のいうようにそれ以外の不適切な金員であろうと,本来の共通経費でない限り,これをA議員又は控訴人補助参加人が保管し又は使用することはできず,同額を市に返還すべきである。 そうであるところ,控訴人補助参加人は,前記ウのとおり,市に対して,収支報告書を訂正してこの410万円を返還しているので,410 万円相当額が控訴人補助参加人に保留されていたり,目的外支出として使われたま ころ,控訴人補助参加人は,前記ウのとおり,市に対して,収支報告書を訂正してこの410万円を返還しているので,410 万円相当額が控訴人補助参加人に保留されていたり,目的外支出として使われたまま是正されていないというわけではない。したがって,この410万円は,市に返還すべき性質のものであるが,既に控訴人補助参加人において返還済みで,これについて利得がないので,重ねての返還の必要がないということになる。 (イ) そして,平成15年5月から平成16年3月までの分の団費1355万円のうち市への返還金506万6242円(410万円も含まれている)を控除した残存金848万3796円(利息38円を含む)の。 。 うちに,返還すべき金員やなお残存している目的外支出の金員は存在しないから,この時期の団費1355万円の返還を求める被控訴人らの請求は理由がない。これを認めることは,506万6242円の限度で二重の支払を強いることになり,その点でも相当ではない(別紙2-2参照。 )(4)平成16年4月から平成17年3月までの分ア入金,保管及び支払控訴人補助参加人は,平成16年4月から平成17年3月までに,名古屋市からその間の政務調査費として,合計1億5345万円(議員1人当たり55万円として,次の人数を乗じたもの。4月から8月が24人,9月・10月が22人,11月が23人,12月から3月までが23人)の送金を受けた(甲8の8頁。控訴人補助参加人の経理担当の責任者であ)る財務委員長(この時期は,C議員)等は,これを毎月,議員個人分の政務調査費(年合計では1億3950万円)と団費(年合計では1395万円)に区分し,従前と同様に区別して管理し,支出した(前記認定事実,当審証人C。 )イ収支報告書提出時の支出額(ア) 議員個人分の政務調査費 は1億3950万円)と団費(年合計では1395万円)に区分し,従前と同様に区別して管理し,支出した(前記認定事実,当審証人C。 )イ収支報告書提出時の支出額(ア) 議員個人分の政務調査費 議員個人分の政務調査費は,毎月封筒に入れた50万円ずつを領収書との引換えに各議員に交付する仕方で,この年度合計で1億3800万円が支出された。未使用のため市に返還すべきものとして収支報告書に記載され,これに基づき返還されたものが150万円あった。これは,E議員の2か月分とF議員の1か月分の未使用分であった(当審証人C。 )(イ) 本来の共通経費,余剰金,返還金団費については,年間の団費1395万円のうち,772万4539円が本来の共通経費として支出され,165万9781円が余剰金として控訴人補助参加人の財務担当者の手元に留保され,1395万円からこれらを控除した456万5717円(利息37円を含む)が未使用。 として,市に返還される金員として区分された(当審証人C。 )市には議員個人分の政務調査費からの返還金150万円(前記(ア))と団費からの返還金456万5717円とを合算した合計606万5717円が返還金として収支報告書に記載され,それに基づき返還された(丙2,7,15,当審証人C。 )(ウ) A議員と控訴人補助参加人との争いなお,控訴人補助参加人においては,前記(イ)のとおりの収支報告書提出前に,A議員との間に下記のとおりの争いと調整とが行われた。 すなわち,A議員は,団費用の預金口座から,平成16年5月7日に50万円,同月25日に50万円,同年6月25日に50万円,同年8,,,月19日に50万円同年9月2日に80万円同月24日に50万円同年11月1日に10万円,同月2日に10万円と30万円,同月8日に30万円,同月 50万円,同年6月25日に50万円,同年8,,,月19日に50万円同年9月2日に80万円同月24日に50万円同年11月1日に10万円,同月2日に10万円と30万円,同月8日に30万円,同月19日に20万円,同年12月24日に50万円,同月27日に40万円,平成17年1月26日に50万円の合計570万円を引き出した(甲8。この件について,控訴人補助参加人は,不明) 朗な支出であるとして問題にし,共通経費の支出分には含めないこととしたところ,同議員は,団費用の預金口座に共通経費に充てる金員と余剰金とが混在することを避けるため,毎月発生する余剰金の概算分を順次引き出したにすぎないと説明したが,最終的には,控訴人補助参加人に同額を返還し,内部的に解決した。そのため,収支報告書作成に当たっては,上記の570万円を共通経費の支出とする処理はされず,共通経費は,この分を除外した772万4539円であるとする処理がされ(,,,。 ,)。 た甲13丙2原審証人A当審証人Cなお別紙3-1参照さらにA議員が共通経費として請求した250万円に添付されていた領収書(合計7枚,250万0200円分)が別途の用で使用されたものの流用であることが判明したとし,控訴人補助参加人は,上記250万0200円を共通経費としての支出とは認めないこととした。これに対し,A議員は,上記の支出につき,領収書の具備されない共通経費であり,便宜領収書を添付したと説明していた。控訴人補助参加人では,A議員の説明を採用せずに,この250万0200円は共通経費としての支出とは認められず,市に返還すべきとし,支出総額を250万0200円減額させて1億4738万4320円とし,市に返還すべき残余金をその分増額させて606万5717円(利息37円を含む)とす しての支出とは認められず,市に返還すべきとし,支出総額を250万0200円減額させて1億4738万4320円とし,市に返還すべき残余金をその分増額させて606万5717円(利息37円を含む)とす。 る旨の収支報告をし,606万5717円を市に返還した(甲13,原審証人A,当審証人C。なお,別紙3-1参照。 )ウ収支報告後の訂正控訴人補助参加人では,前記イ(ウ)等のとおりの事前の調整的な経理処理を了した後,同イ(イ)のとおりの収支報告をした。その基礎とされた経理においては,団費のうち,本来の共通経費の支払額は,合計772万4539円と算出された。その費目の内訳は,別紙3-1の「団費(共通経費等」欄に記載のとおりである(丙2,7,15,当審証人C。 )) 収支報告書提出後,G議員に交付されていた政務調査費につき,問題の指摘があって遺族から控訴人補助参加人に450万円の返金がされた。そのため,控訴人補助参加人は,平成18年11月2日同額を市に追加して返還した(丙5の3,当審証人C。 )エまとめそうすると,平成16年4月から平成17年3月までの政務調査費に係る団費1395万円のうち,控訴人補助参加人において共通経費として支出された772万4539円はその支出が容認され返還を要しないが,余剰金として処理されなお控訴人補助参加人に保管されている165万9781円は,政務調査費の目的外の支出であるから返還をすべきである。団費1395万円から上記の2項目の費目を差し引き,利息37円を加えると456万5717円となるところ,この金額は,議員個人分の政務調査費の未使用分(最終的には前記ウの450万円を加えた600万円)と併せて,控訴人補助参加人から市に返還されている。 前記の772万4539円のうちに,返還すべき金員やなお残存してい 個人分の政務調査費の未使用分(最終的には前記ウの450万円を加えた600万円)と併せて,控訴人補助参加人から市に返還されている。 前記の772万4539円のうちに,返還すべき金員やなお残存している目的外支出の金員は存在しないから,この時期の団費1395万円の返還を求める被控訴人らの請求は余剰金の返還を求める限度で理由があるが,それを超える返還を求める部分は理由がない。これを認めることは,456万5717円の限度で二重の支払を強いることになり,その点でも相当ではない(別紙3-2参照。 )(5)返還処理と団費全体への影響の有無前記のとおり,A議員と控訴人補助参加人との間で,いくつか争いがあるが,そのことが政務調査費のうちの団費(広い意味での共通経費)に関する控訴人補助参加人の経理処理の全体的な不正確性を意味する(被控訴人らはこのような指摘をする)かどうかを検討する。 。 平成15年5月から平成16年3月までの時期に生じた410万円の返還 は,それが余剰金であるというA議員とそれ以外の不適切な使途であるとする控訴人補助参加人との対立であるところ,この争いは,前記認定のとおりの控訴人補助参加人における政務調査費の経理処理に関する仕組みの基本部分は互いに理解を共通とした上で,この金額に対応する形で具備された領収書が各議員の政務調査費の使用に伴い生じた各月50万円を超えた分を集めたものかどうか,また仮に控訴人補助参加人内部の処理基準を満たした領収書の提出があった場合であるとしても,団費の管理の在り方が上記の処理基準に違反しないかどうか,等についての争いである。そして,この争いは,団費全体が架空の資金の温床となっているというようなことを示したりするものではない。 平成16年4月から平成17年3月までの時期における570万円の事前処理は,余 の争いである。そして,この争いは,団費全体が架空の資金の温床となっているというようなことを示したりするものではない。 平成16年4月から平成17年3月までの時期における570万円の事前処理は,余剰金の管理の在り方をめぐる争いであり,これも,同時期の団費全体を直ちに目的外支出と結びつけるものではない。 同年度の250万円をめぐる争いは,本来の共通経費の支払のために必要とする領収書に関する控訴人補助参加人内部の基準の遵守の問題であり,これも,同時期の団費全体を直ちに目的外支出と結びつけるものではない。 文書提出命令の申立てについて被控訴人らは,当審において,控訴人補助参加人が名古屋市から交付を受けた平成15年度及び平成16年度の政務調査費の支出に関して,支出の実態と収支報告書の記載とが異なっていること,共通経費及び余剰金の使途などの事実を証すべき事実として,控訴人補助参加人が所持する平成15年度分及び平成16年度分の2か年分の政務調査費のうちの控訴人補助参加人の共通経費の支出に関する領収書,支出証明書及びこれに類する書面について,文書提出命令の申立てをした。 しかしながら,本件は個別の支出の性質を問題とする事案ではなく,会派としての控訴人補助参加人が市から交付された政務調査費の55分の5に当たる 金員を,内部的に団費として区分し,それを構成する本来の共通経費あるいは余剰金として経理上処理(仕訳)される支出の全体が収支報告書の記載と異なることを主な理由として団費全部の不当利得返還請求をするように求める事案である。収支報告書においては議員個人分と団費との区別なしに政務調査費の各費目の合計額だけが記載されるため,両者が異なること,その理由あるいは経理処理の仕組みについては,本件の既出の他の証拠により十分立証されている。しかも,領収書に 分と団費との区別なしに政務調査費の各費目の合計額だけが記載されるため,両者が異なること,その理由あるいは経理処理の仕組みについては,本件の既出の他の証拠により十分立証されている。しかも,領収書については,その宛名が議員個人分と会派としての控訴人補助参加人のためのものとに分かれ,かつ,議員個人宛の領収書には議員個人分の政務調査費の支出を明らかにする分(部分)と,余剰金の支出確保のために使用される部分とがあるので,領収書だけ見ても,議員個人分の政務調査費と余剰金の具体的な額が直ちに判明するわけではない。被控訴人ら指摘の経理上の疑問点がいくつか見られることが明らかとなったが,本件請求は不当利得返還請求をするように求めるものであるから,疑義のある支出についても,それにつき利得が現存しないこと(すなわち市に返還がされていること)が判明したときには,当該疑義のある支出の実態をそれ以上解明できなくても(解明),。 ,しなくても請求についての判断自体には支障がないこのような事情から既出の証拠によって既に判断をすることができ,かつ,申立てに係る文書が提出されることで判断がより迅速で確かなものになるとの事情が必ずしも見込まれないことに照らし,本件文書提出命令の申立ては,当該文書の証拠調べの必要を欠くので,これを却下するのが相当である。 第4 結論 以上によれば,被控訴人らの請求は,控訴人に対し,控訴人補助参加人に対して不当利得として165万9781円の返還及びこれに対する控訴人補助参加人に対する訴訟告知書送達の日の翌日である平成17年10月15日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払請求をするよう求める限度で理由がある(遅延損害金請求の起算日を訴訟告知書到達の翌日とすることの理 由は原判決「第3当裁判所の判断」欄4の 済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払請求をするよう求める限度で理由がある(遅延損害金請求の起算日を訴訟告知書到達の翌日とすることの理 由は原判決「第3当裁判所の判断」欄4の判断を引用する)から,その限度。 で認容するのが相当である。そこで,原判決を一部変更し,主文のとおり判決する。 名古屋高等裁判所民事第1部裁判長裁判官岡光民雄裁判官山下美和子裁判官山崎秀尚は,転補につき署名押印することができない。 裁判長裁判官岡光民雄

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