平成29(行ウ)140 一時金申請却下処分等取消請求事件,支援給付申請却下処分取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成31年1月15日 東京地方裁判所
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判決文本文26,880 文字)

平成31年1月15日判決言渡平成29年(行ウ)第140号一時金申請却下処分等取消請求事件(以下「第1事件」という。)平成29年(行ウ)第484号支援給付申請却下処分取消請求事件(以下「第2事件」という。) 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求(第1事件) 1 厚生労働大臣が原告に対し平成28年10月5日付けでした一時金の支給申請却下処分を取り消す。 2 厚生労働大臣が原告に対し平成28年10月5日付けでした厚生労働省発社援1005第9号についての裁決を取り消す。 (第2事件)D市福祉事務所長が原告に対し平成27年12月8日付けでした支援給付申請却下処分を取り消す。 第2 事案の概要本件は,原告が,①D市福祉事務所長に対し,中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律(以下「支援法」という。)14条に規定する支援給付の申請をしたところ,同福祉事務所長から,原告が支援法2条に定める「中国残留邦人等」に該当しないことを理由として,同申請を却下する旨の処分(以下「本件支援給付却下処分」という。)を受け,これに対し,埼玉県知事に対する審査請求を経て厚生労働大臣に対して再審査請求をしたところ,厚生労働大臣から,同 再審査請求を棄却する旨の裁決(厚生労働省発社援1005第9号。以下「本件再審査請求棄却裁決」という。)を受け,また,②厚生労働大臣に対し,支援法13条3項に規定する一時金の支給の申請をしたところ,厚生労働大臣から,原告が支援法2条に定める「中国残留邦人等」に該当するとは認められないことを理由として,同申請を却下する旨の処分(以下「本 援法13条3項に規定する一時金の支給の申請をしたところ,厚生労働大臣から,原告が支援法2条に定める「中国残留邦人等」に該当するとは認められないことを理由として,同申請を却下する旨の処分(以下「本件一時金却下処分」といい,本件支援給付却下処分と併せて「本件各処分」という。)を受けたことから,原告は「中国残留邦人等」に該当すると主張して,第1事件被告(以下「被告国」という。)に対する関係で,本件一時金却下処分及び本件再審査請求棄却裁決の取消しを(第1事件),第2事件被告(以下「被告D市」という。)に対する関係で,本件支援給付却下処分の取消しを(第2事件),それぞれ求める事案である。 1 関係法令等の定め別紙2のとおり(同別紙において定めた略語は,以下の本文においても用いることとする。) 2 前提事実(証拠等を掲記しない事実は,当事者間に争いがない。)(1) 原告及び父母の身上等ア原告は,Eを父とし,Fを母として,昭和21年▲月▲日に中華民国河南省(以下,昭和24年10月1日の中華人民共和国成立後の同国河南省と区別することなく,単に「河南省」という。)において出生した。 イ(ア) Eは,大正2年▲月▲日に出生し,宮崎県に本籍を有した日本人である。(甲1)(イ) Eは,昭和13年,軍人として河南省に渡った。 (ウ) Eは,昭和15年▲月▲日,中華民国の国籍を有していたFと同国の方式により婚姻した。(甲2。ただし,原告と被告国との間では争いがない。)(エ) Eは,終戦後も帰国することなく中国の地域で居住を続け,昭和5 1年▲月▲日,河南省において死亡した。(甲32,乙29・1及び2頁)ウ(ア) Fは,大正6年▲月▲日に出生し,中華民国の国籍を有していたところ,昭和15年▲月▲日にEと同国の方式により婚姻 1年▲月▲日,河南省において死亡した。(甲32,乙29・1及び2頁)ウ(ア) Fは,大正6年▲月▲日に出生し,中華民国の国籍を有していたところ,昭和15年▲月▲日にEと同国の方式により婚姻したことから,旧国籍法(明治32年法律第66号)の規定により日本国籍を取得した。 (婚姻の事実につき,前記イ(ウ))(イ) Fは,昭和20年9月2日当時,本邦に本籍を有する者ではなかった。(弁論の全趣旨)(ウ) Fは,昭和57年▲月▲日,中国の地域において死亡した。(甲32,乙20)エ原告は,平成21年,鳥取家庭裁判所倉吉支部に就籍許可を申し立てたところ,同支部は,平成22年1月14日,原告が就籍することを許可する旨の審判をした。原告は,同月21日,同審判に基づく就籍の届出をし,同日,鳥取県を本籍地とする原告の戸籍が編成された。(甲5,7)(2) 支援給付の申請に関する手続の経過ア原告は,平成27年11月11日,D市福祉事務所長に対し,支援法14条に規定する支援給付の申請をした(以下「本件支援給付申請」という。)。 イ D市福祉事務所長は,平成27年12月8日,本件支援給付申請につき,原告が支援法2条に定める「中国残留邦人等」に該当しないとして,これを却下する旨の決定(本件支援給付却下処分)をした。(甲11)ウ原告は,平成28年2月4日,埼玉県知事に対し,本件支援給付却下処分の取消しを求める旨の審査請求をしたところ,埼玉県知事は,同年3月25日,同審査請求を棄却する旨の裁決をした。 エ原告は,前記ウの裁決を不服として,平成28年4月21日,厚生労働大臣に対し,本件支援給付却下処分の取消しを求める旨の再審査請求をしたところ,厚生労働大臣は,同年10月5日,同再審査請求を棄却する旨 の裁決(本件再審査請求棄却裁 8年4月21日,厚生労働大臣に対し,本件支援給付却下処分の取消しを求める旨の再審査請求をしたところ,厚生労働大臣は,同年10月5日,同再審査請求を棄却する旨 の裁決(本件再審査請求棄却裁決)をした。(甲15,16)(3) 一時金の支給の申請に関する手続の経過ア原告は,平成28年3月2日,厚生労働大臣に対し,支援法13条3項に規定する一時金の支給の申請をした。 イ厚生労働大臣は,平成28年10月5日,前記アの申請につき,原告が支援法2条に定める「中国残留邦人等」に該当するとは認められないとして,これを却下する旨の処分(本件一時金却下処分)をした。(甲17)(4) 本件各訴えの提起原告は,平成29年4月3日,本件一時金却下処分及び本件再審査請求棄却裁決の取消しを求める訴え(第1事件)を提起し,同年10月16日,行政事件訴訟法19条1項前段による請求の追加的併合として,本件支援給付却下処分の取消しを求める訴え(第2事件)を提起した。(顕著な事実) 3 争点本件の争点は,原告が支援法にいう「中国残留邦人等」に当たるか否かであり,この点についての当事者の主張の要旨は,次のとおりである。 (原告の主張の要旨)(1) 「本邦に本籍を有していた」の非要件性ア支援法2条1項1号に定める「同日(引用者注:昭和20年9月2日)において日本国民として本邦に本籍を有していた」との文言のうち,「本邦に本籍を有していた」とあるのは,昭和20年9月2日において日本国籍を有していたという要件(以下「国籍要件」という。)の存在を確認的に規定したものにすぎず,国籍要件とは別個独立の要件として,同日において戸籍の記載事項の一つである本籍が本邦にあったこと(以下「本籍要件」という。)を必要とするものと解すべきではない。 イ戸籍 に規定したものにすぎず,国籍要件とは別個独立の要件として,同日において戸籍の記載事項の一つである本籍が本邦にあったこと(以下「本籍要件」という。)を必要とするものと解すべきではない。 イ戸籍との関係等本籍とは,人の戸籍上の所在場所であり,本籍を有するとは,すなわち 戸籍を有することである。そして,戸籍とは,日本国民の身分関係を登録し公証する公文書であるところ,戸籍以外の手続ないし方法により,日本国籍を有する実体を証明することができるのであれば,行政手続において,その証明方法を戸籍に限る必要性はない(例えば,行政実務において,旅券は日本国籍を公称する公文書として戸籍にもまして利用されている。)。 また,戸籍法が適用される日本国籍を有する者の戸籍の所在が「本邦」であることは当然であり,「日本国民として本邦に本籍を有していた」という場合の「本邦」は,日本国民又は本籍の修飾語句にすぎず,独立した意味はない。したがって,「日本国民として本邦に本籍を有していた」とは,国籍法上の日本国籍を有するとの実体要件に,日本国籍を有するのであれば戸籍法上本邦に本籍を有しているはずであるという手続要件を建前として付加したにすぎず,結局のところ,日本国民であったことという国籍要件のみに帰着する。 また,日本国籍を有する者は,戸籍法上,戸籍を有するべきとされていることからすれば,「日本国民として本邦に本籍を有していた」とは,日本国籍を有していたこと,したがって,事実は措き,戸籍法上本籍を有していたはずであること,との趣旨をいうものと解すべきである。 ウ支援法の目的本籍を有していない者には,①日本国籍を有しない者と,②日本国籍を有するが本邦に本籍を有していない者の2類型があるところ,支援法が,「今次の大戦に起因して生じた混乱等に 。 ウ支援法の目的本籍を有していない者には,①日本国籍を有しない者と,②日本国籍を有するが本邦に本籍を有していない者の2類型があるところ,支援法が,「今次の大戦に起因して生じた混乱等により本邦に引き揚げることができず引き続き本邦以外の地域に居住することを余儀なくされた」という事情のみに鑑みて,帰国促進及び自立支援を行うことを目的としていること(支援法1条)からすれば,戸籍の有無やその記載内容をもって,帰国促進ないし自立支援の要否を区別していることはあり得ず,支援法が,上記②の者を支援措置の対象から排除する趣旨であるとは解されない。 エ以上からすれば,支援法2条1項1号にいう「日本国民として本邦に本籍を有していたもの」とは,(昭和20年9月2日において)日本国民であったものを指すものであって,国籍要件とは別個独立に本籍要件をも規定したものではない。 したがって,原告の母であるFが昭和20年9月2日において「日本国民として本邦に本籍を有していたもの」に当たらないとし,これを前提として原告が中国残留邦人等に当たらない旨判断した本件各処分及び本件再審査請求棄却裁決はいずれも違法であり,取り消されるべきである。 (2) 本邦に本籍を有すべきでありながらこれを有しない者に対する支援法の適用支援法2条1項1号の本籍要件に係る「本邦」とは,平成6年の支援法制定当時の日本国の領土(いわゆる「内地」。本件各処分当時も同様である。)を指し,いわゆる「外地」(朝鮮及び台湾等)を含んでいた昭和20年9月2日当時の日本国の領土とは区別されるところ,同号が「同日(引用者注:昭和20年9月2日)において日本国民として本邦に本籍を有していた」と規定した趣旨は,昭和20年9月2日において日本国籍を有していた者のうち,「内地」に本 区別されるところ,同号が「同日(引用者注:昭和20年9月2日)において日本国民として本邦に本籍を有していた」と規定した趣旨は,昭和20年9月2日において日本国籍を有していた者のうち,「内地」に本籍を有していたものを支援法の適用対象とし,本籍が「外地」に存したもの(いわゆる「朝鮮人」及び「台湾人」)をその適用対象外とする点にある。原告の母であるFは,「朝鮮人」でも「台湾人」でもなく,本来,日本国籍を有するEの戸籍に妻として記載され,宮崎県という「内地」に本籍を有すべきでありながら,何らかの手続上の瑕疵により,その記載を欠くため,「内地」にも「外地」にも本籍を有しない日本国民であったところ,上記のように,支援法2条1項1号の「同日において日本国民として本邦に本籍を有していたもの」との規定が,昭和20年9月2日において日本国民であった者から朝鮮又は台湾に本籍を有していたものを除外する趣旨にすぎないことに照らせば,Fのように,本邦に本籍を有すべきでありなが ら本籍を有しない者についても,「同日において日本国民として本邦に本籍を有していたもの」に含まれると解すべきである。 (3) 憲法14条1項違反(平等原則違反)ア仮に,支援法2条1項1号に定める「日本国民として本邦に本籍を有していた」との文言が,国籍要件とは別個の要件として本籍要件(昭和20年9月2日において本籍が本邦にあったこと)を必要とするものであれば,同号の規定は,憲法14条1項に反する。 また,支援法2条1項1号が無戸籍の者には言及しておらず,本件各処分が被告らの運用によるものであるとすれば,当該運用ないし原告への適用は,憲法14条1項に反する。 イ立法目的について本件再審査請求棄却裁決に係る裁決書(甲16・4頁)によれば,支援法に定める各種施策は, よるものであるとすれば,当該運用ないし原告への適用は,憲法14条1項に反する。 イ立法目的について本件再審査請求棄却裁決に係る裁決書(甲16・4頁)によれば,支援法に定める各種施策は,先の大戦の終結に伴う在外邦人の引揚援護そのものとして,「今次の大戦に起因して生じた混乱等により本邦に引き揚げることができず引き続き本邦以外の地域に居住することを余儀なくされた」邦人(支援法1条)を対象に行われることが予定されているものであり,先の大戦の終結に伴って引揚援護が必要となった在外邦人とは,昭和20年9月2日の降伏文書の調印により,我が国の主権が本邦すなわち,本州,四国,九州及び北海道並びに行政区画上これらの島のいずれかに附属する島嶼以外の地域に及ばなくなったために,本邦へ引き揚げることが予定された日本国民であり,支援法は,その制定の目的(支援法1条)に鑑みて,その対象を「同日において日本国民として本邦に本籍を有していたもの」としたものであるとされている。これによれば,支援法2条1項1号が「同日において日本国民として本邦に本籍を有していたもの」と規定した目的は,「本邦へ引き揚げることが予定された日本国民」を,先の大戦の国際法的終結日において日本国籍を有していたものに限定しつつ,そのうち日 本国籍を有するとされながらもその本籍が「本邦」には存しなかったいわゆる「朝鮮人」や「台湾人」等のいわゆる「外地人」を除外し,日本国民の中でも本邦に本籍を有していた者に限定することにある。 ウ手段の不合理性(ア) しかし,外地人を除外するという目的のための手段であれば,「本邦に本籍を有する」ことを要件とするのではなく,「外地に本籍を有する」ことを要件とすれば足り,そうであれば,「日本人」でありながら本邦に本籍を有しない無籍者が除外され 目的のための手段であれば,「本邦に本籍を有する」ことを要件とするのではなく,「外地に本籍を有する」ことを要件とすれば足り,そうであれば,「日本人」でありながら本邦に本籍を有しない無籍者が除外されることはない。 仮に,立法目的が前記イのとおりであり,これが正当であるとしても,いわゆる「外地人」以外の日本国民を更に本邦に本籍を有する者と有しない者とに区分し,戸籍を有する者には支援法を適用し,戸籍を有しない者には支援法を適用しないとすることには,何の合理性もない。実体としての「内地人」は,手続としての本籍の本邦への存在の有無にかかわらず,「本邦へ引き揚げる」意思を有することが一般であり,戸籍を有しない者であっても,「本邦へ引き揚げることが予定された」日本国民に当たる。 (イ) また,仮に,「本邦に本籍を有していた」ことが本邦への引揚可能性を表すという被告らの論に拠ったとしても,引揚可能性の判断材料をただ本邦に本籍を有することの一点に限定する理由はない。本邦への引揚可能性は,残留者の出自,残留者の親族等の本邦における居住関係,残留者の資産の本邦における存否及び内容,残留者の中国における生活環境,残留者の思想等々によって決せられるものであって,本籍の記載の有無は,出自を判断する一資料にすぎない。 (ウ) 本籍を基準とすることは,戸籍の制度的不十分性からも不当である。 すなわち,昭和20年9月2日の時点においては,戸籍制度が完備されていなかったことに加え,戦中戦後の混乱期を経ており,中華民国での 婚姻の本邦への届出にも障害事由があったことからすれば,戸籍制度を支援法適用の有無の基準とすることには,およそ合理性がない。 (エ) 加えて,本件のように,支援措置の申請者(原告)自身が本邦に本籍を有していたか否かではなく,申請者の母が とからすれば,戸籍制度を支援法適用の有無の基準とすることには,およそ合理性がない。 (エ) 加えて,本件のように,支援措置の申請者(原告)自身が本邦に本籍を有していたか否かではなく,申請者の母が申請者の出生前の過去の一時点において本邦に本籍を有していたか否かという,申請者自身の意思や努力で変えることができない地位,すなわち社会的身分によって支援の有無を区別することには何の合理性も見出せず,これは憲法14条1項が禁じる差別に当たる。 エ以上によれば,支援法2条1項1号は,支援措置の対象となる邦人を,「同日(引用者注:昭和20年9月2日)において日本国民として本邦に本籍を有していたもの」に限定している点において,憲法14条1項に反し,無効である。また,本件各処分が被告らの運用によるものであるとすれば運用違憲であり,原告に適用する限りにおいて適用違憲である。 したがって,支援法2条1項1号に基づいてされた本件各処分及び本件再審査請求棄却裁決は,いずれも無効であって取り消されなければならない。 (被告国の主張の要旨)(1) 原告が「中国残留邦人等」に該当しないことア支援法2条1項1号にいう「同日において日本国民として本邦に本籍を有していたもの」の意義昭和20年9月3日以後に中国の地域において出生し,引き続き中国の地域に居住している者が「中国残留邦人等」に該当するためには,支援法2条1項1号の類型B又は支援法施行規則1条の類型b若しくは類型cに該当することが必要である。 そして,支援法2条1項1号にいう「同日(引用者注:昭和20年9月2日)において日本国民として本邦に本籍を有していたもの」とは,単に 国籍法に基づき日本国籍を有していただけではなく,昭和20年9月2日において,戸籍法に基づき本邦に本籍 :昭和20年9月2日)において日本国民として本邦に本籍を有していたもの」とは,単に 国籍法に基づき日本国籍を有していただけではなく,昭和20年9月2日において,戸籍法に基づき本邦に本籍を有していたものをいう。 イ 「同日において日本国民として本邦に本籍を有していたもの」とした趣旨等支援法は,「今次の大戦に起因して生じた混乱等により,本邦に引き揚げることができず引き続き本邦以外の地域に居住することを余儀なくされた」邦人(支援法1条)を対象とする引揚援護として各種施策を実施することを予定しているものであり,先の大戦の終結に伴って引揚援護が必要となった在外邦人というのは,昭和20年9月2日の降伏文書の調印により,我が国の主権が本邦(本州,四国,九州及び北海道並びに行政区画上これらの島のいずれかに附属する島嶼)以外の地域に及ばなくなったために,本邦へ引き揚げることが予定されている日本国民であり,それは,「同日において日本国民として本邦に本籍を有していたもの」であって,これに該当する者については,ソヴィエト社会主義共和国連邦軍(以下,同連邦を「ソ連」という。)が中国東北部への侵攻を開始した同年8月9日以後の混乱等がなければ,本邦に引き揚げていた可能性が大きかったといえる。そこで,支援法は,まずもって,「同日において日本国民として本邦に本籍を有していたもの」で,中国の地域における昭和20年8月9日以後の混乱等の状況の下で本邦に引き揚げることなく同年9月2日以前から引き続き中国の地域に居住することになった者(類型A)を,引揚援護としての各種施策の対象とすることとしたのである。 そして,支援法が類型Bに該当する者を「中国残留邦人等」に含めたのは,昭和20年9月3日以降に中国の地域で出生し,引き続き中国の地域に居住している ての各種施策の対象とすることとしたのである。 そして,支援法が類型Bに該当する者を「中国残留邦人等」に含めたのは,昭和20年9月3日以降に中国の地域で出生し,引き続き中国の地域に居住している者については,その両親が昭和20年9月2日に日本国民として本邦に本籍を有していたならば,同年8月9日以後のソ連軍侵攻による混乱等がなければ,その両親は本邦に引き揚げていた可能性が高く, それに伴ってその子も両親と共に本邦に引き揚げていた可能性が高かったことから,その子に当たる者を支援法に基づく各種施策の対象とする趣旨である。 また,類型Cは,類型A及び類型Bに「準ずる事情にあるもの」の具体化を厚生労働省令に委任したものであるところ,支援法施行規則1条の類型bは,昭和20年9月3日以後に出生した者で,その父が出征等によって同日以前から中国の地域に居住していなかった者は,父が昭和20年9月2日以前から引き続き中国の地域に居住していないために,支援法2条1項1号の類型Bに該当しないことになるが,同日において,両親が日本国民として本邦に本籍を有していた場合は,昭和20年8月9日以後の混乱等がなければ,日本国民として本邦に本籍を有する親と共に本邦に引き揚げていた可能性が大きかったといえることから,これらの者は類型Bに準ずる事情にある者として各種施策の対象とする趣旨である。 そして,支援法施行規則1条の類型cは,類型A又は類型Bに準ずる事情にあるものの判断を厚生労働大臣に委ねたものであるところ,類型cにいう「準ずる事情にあるもの」についても,支援法及び支援法施行規則の規定及び趣旨を踏まえ,類型A及び類型Bに準ずるか否かという観点からその該当性を判断すべきであり,類型c該当性に係る厚生労働大臣の判断の指針として,本件通知が,類型cに ,支援法及び支援法施行規則の規定及び趣旨を踏まえ,類型A及び類型Bに準ずるか否かという観点からその該当性を判断すべきであり,類型c該当性に係る厚生労働大臣の判断の指針として,本件通知が,類型cに該当すると考えられるものを列挙している(類型ⅰないしⅲ)。 ウ原告の「中国残留邦人等」該当性原告は昭和21年▲月▲日に河南省において出生した者であるから,原告が「中国残留邦人等」に該当するためには,支援法2条1項1号の類型B又は支援法施行規則1条の類型b若しくは類型cに該当することが必要である。 しかるところ,Eの戸籍には,Fとの婚姻や原告が子として生まれた旨 の記載がないから,原告の母であるFは,昭和20年9月2日において日本国民として本邦に本籍を有していた者とはいえない。 したがって,原告は,昭和20年9月2日において日本国民として本邦に本籍を有していた者を両親として出生したとは認められないから,類型B及び類型bのいずれにも該当せず,また,類型cのうち類型ⅰ及び類型ⅱのいずれにも該当しない。 また,類型ⅲは,類型aに該当する者を両親として,昭和20年9月3日以後中国の地域で出生し,引き続き中国の地域に居住している者を対象としているところ,原告の母であるFがその出生の日において日本国民として本邦に本籍を有していた者を両親として出生したことなど,Fが類型aに該当することをうかがわせる事情は存せず,同人が類型aに該当するとは認められないから,原告は,類型ⅲにも該当しない。 以上のとおり,原告は,類型B,類型b及び類型c(類型ⅰないし類型ⅲ)のいずれにも該当しないから,支援法にいう「中国残留邦人等」には該当しない。 したがって,本件一時金却下処分は適法である。 (2) 憲法14条1項違反をいう原告の主 型c(類型ⅰないし類型ⅲ)のいずれにも該当しないから,支援法にいう「中国残留邦人等」には該当しない。 したがって,本件一時金却下処分は適法である。 (2) 憲法14条1項違反をいう原告の主張に理由がないこと憲法14条1項は,事柄の性質に即応した合理的な根拠に基づくものでない限り,法的な差別的取扱いを禁止する趣旨であると解されるところ,前記(1)イで主張したとおり,支援法は,本人又は両親が昭和20年9月2日において日本国民として本邦に本籍を有していた場合には,昭和20年8月9日以後のソ連軍侵攻による混乱等がなければ,本人又は両親は本邦に引き揚げていた可能性が高く,また,昭和20年9月3日以後に中国の地域で出生した子についても,その両親が本邦に引き揚げるのに伴ってその子も両親と共に本邦に引き揚げてきた可能性が高かったと評価し得ることから,これらの者を支援施策の対象としたものと解され,そうであるからこそ,支援法は,「中国残留邦人等」の定義 として,単に「同日において日本国籍を有していたもの」とは規定せず,あえて「同日において日本国民として本邦に本籍を有していたもの」と規定して,本邦に本籍を有していたことを要求しているものである。そうすると,支援法にいう「中国残留邦人等」について「本人又は両親が昭和20年9月2日において日本国民として本邦に本籍を有していたこと」として同日において本邦に本籍を有していたことを要求しているのは,事柄の性質に即応した合理的な根拠に基づくものであり,憲法14条1項が禁止する差別的取扱いには当たらない。 原告は,原告の母の,原告の出生前の過去の一時点における本籍の記載の有無という,原告自身の意思や努力で変えることができない事由をもって原告に対する支援措置を否定することは合理性を欠く旨主張す 原告は,原告の母の,原告の出生前の過去の一時点における本籍の記載の有無という,原告自身の意思や努力で変えることができない事由をもって原告に対する支援措置を否定することは合理性を欠く旨主張するが,支援法が「今次の大戦に起因して生じた混乱等により本邦に引き揚げることができず引き続き本邦以外の地域に居住することを余儀なくされた」邦人を対象に行われることを予定している以上,昭和20年9月2日において出生していない者については,同日における両親の引揚可能性の有無をもって支援法の対象となるか否かを判断されることは不合理とはいえず,また,両親の一方が日本国民として本邦に本籍を有していなかった場合には,その子が引揚げをする可能性が大きいとは一概にいえないのであって,「同日において日本国民として本邦において本籍を有していたもの」であるか否かによって判断されることが不合理とはいえない。 以上によれば,「中国残留邦人等」の定義に係る支援法の規定は合憲であり,この点に関する原告の主張には理由がない。 (3) 本件再審査請求棄却裁決の適法性原告が本件再審査請求棄却裁決の違法事由として主張するのは,原告が支援法にいう「中国残留邦人等」に該当しない旨の判断の誤りのみであって,これは,本件支援給付却下処分という原処分の違法をいうにすぎないものであり,本件再審査請求棄却裁決固有の瑕疵を主張するものではないから,本 件再審査請求棄却裁決の違法をいう原告の主張には理由がない(行政事件訴訟法10条2項)。もとより,厚生労働大臣がした本件再審査請求棄却裁決について,裁決固有の瑕疵は存しない。 したがって,本件再審査請求棄却裁決は適法である。 (被告D市の主張の要旨)(1) 原告が「中国残留邦人等」に該当しないことア 「中国残留邦人 裁決について,裁決固有の瑕疵は存しない。 したがって,本件再審査請求棄却裁決は適法である。 (被告D市の主張の要旨)(1) 原告が「中国残留邦人等」に該当しないことア 「中国残留邦人等」の意義等に関する支援法及び支援法施行規則の解釈につき,基本的に被告国の主張(前記(被告国の主張の要旨)(1)ア及びイ参照)を援用する。 原告は,支援法2条1項1号にいう「本邦に本籍を有していた」との文言は,国籍要件の存在を確認的に規定したものにすぎない旨主張するが,国籍と本籍とは異なる法律概念であって,「本邦に本籍を有していた」とは,単に国籍があるだけでなく,戸籍法上の本籍があることを独立の要件としたものであり,国籍要件を確認的に規定したものではない。支援法は,終戦直後の特に満州における日本人家族の引揚げ困難な状況の中で,両親とも死に別れあるいは離れ離れとなり現地の人に預けられたり庇護を受けるなどして育った残留孤児の範疇として,「引き揚げたくても引揚困難であった日本人の両親の子」であることの証明となる「両親が本邦に本籍を有すること」を法定要件としたものであり,日本国籍を有するものを一律に支援しようとしたものではない。 支援法の目的は,日本国の政策により満蒙開拓団の名の下に満州に移住した夫婦の子や現地で婚姻して本邦に婚姻届を提出した夫婦の子は,普通であれば終戦となって本邦に引き揚げたであろうが,未曾有の引揚げ困難な情勢の下で現地に残留することを余儀なくされた残留孤児につき,普通であれば現在の日本人が生活しているような生活を送れていないという実情を考慮して,支援をすることにあり,立法の発想の原点から対象が一 定の範囲に限定されている。終戦直後の特に満州における日本人であるがゆえの生命の危険と引揚げ困難な情勢下で両親が死 いう実情を考慮して,支援をすることにあり,立法の発想の原点から対象が一 定の範囲に限定されている。終戦直後の特に満州における日本人であるがゆえの生命の危険と引揚げ困難な情勢下で両親が死亡し,あるいは両親と離れ離れとなり,孤児となって,現地の住民に預けられたり庇護を受けるなどして育てられたりしたという境遇と,中国人として生活の本拠があり親族からも支援が受けられた母親と日本人の父親の手元で育てられたという境遇の違いは大きい。前者の境遇にある者について支援する支援法の視点は,当時,他の地域では引揚げができていたのに主に中国の東北部地方ではソ連の突然の参戦により引き揚げたくても引き揚げられなかった日本人家族がおり,その子らは,その引揚げ困難な事情がなかったならば,中国から引き揚げて日本で普通に生活しているはずであるという視点から支援をするものである。他方,後者の境遇の場合にはそのような事情はない。 イ以上の解釈を前提として,原告の「中国残留邦人等」該当性についてみると,まず,類型Aについて,原告は,「同年9月2日以前から引き続き中国の地域に居住している者」ではなく,また,「同日において日本国民として本邦に本籍を有していたもの」でもないから,類型Aに該当しない。 次に,類型Bについて,原告の母であるFは,本邦に本籍を有していないことから,原告は,「これらの者(引用者注:類型Aに該当する者)を両親として」との要件を満たさず,類型Bに該当しない。 次に,類型Cのうち類型aについて,原告は,「同年9月2日以前から引き続き中国の地域に居住している者」ではなく,また,「その出生の日において日本国民として本邦に本籍を有していた者を両親とするもの」でもないから,類型aに該当しない。 次に,類型Cのうち類型bについて,原告の 域に居住している者」ではなく,また,「その出生の日において日本国民として本邦に本籍を有していた者を両親とするもの」でもないから,類型aに該当しない。 次に,類型Cのうち類型bについて,原告の母であるFは,本邦に本籍を有していないことから,原告は,「日本国民として本邦に本籍を有して いたものを母親とし」との要件を満たさず,類型bに該当しない。 さらに,類型Cのうち類型cについて,D市福祉事務所長は,本件支援給付申請を受理した後,厚生労働省社会・援護局援護企画課に対し,原告が「中国残留邦人等」に該当するかどうかについて照会をし,平成27年12月8日付けで,原告が「中国残留邦人等」に該当しない旨の回答を得ていることから,原告は,「厚生労働大臣が認める者」を対象とする類型cに該当しない。 ウ以上のとおり,原告は,「中国残留邦人等」に該当せず,支援法14条が定める支援給付の要件を満たさないから,本件支援給付却下処分は適法である。 (2) 憲法14条1項違反をいう原告の主張に理由がなく,又はその主張が失当であることア前記(1)アで主張したとおり,支援法は引き揚げたくても引揚げができなかった両親の子の自立の支援を目的とすることから,その者の範疇として「両親が本邦に本籍を有する者」としたのである。本邦に本籍がない現地人の母親であれば,通常は現地に生活基盤があり,現地の母親の親族らからの支援も受けられると期待できるので,両親とも本籍が本邦にある子のみを支援の対象とする支援法の規定が不合理であるとはいえない。 イまた,支援法は,一定の者を支援するという法律であるところ,仮に一定の範囲に属する者を支援する法律が不公平であるから違憲であるとしても,それによって一定の範囲に属しない者に当然に権利が発生するものではない。支援 ,一定の者を支援するという法律であるところ,仮に一定の範囲に属する者を支援する法律が不公平であるから違憲であるとしても,それによって一定の範囲に属しない者に当然に権利が発生するものではない。支援法が憲法14条1項に反するという原告の主張は,法律が無効であるという主張であり,仮に支援法が違憲であるとしても,それによって原告に何らかの権利や利益が発生するものではない。したがって,原告には,支援法ないし支援法に基づく処分について,憲法違反を理由として法令無効を主張する利益はなく,憲法14条1項違反を いう原告の主帳は,主張自体失当である。 第3 当裁判所の判断 1 支援法の制定経緯(弁論の全趣旨により認められる。)第二次世界大戦前から中国東北地域(旧満州地区)には多くの邦人が在住していたが,同大戦終盤,ソ連が対日参戦し,昭和20年8月9日以後,中国東北地域への軍事侵攻を開始した結果,同地域に在住していた邦人が,混乱を極めた避難行動により,両親や兄弟姉妹と死別又は生別し,孤児となって中国人に引き取られたり,生活の手段を得るために中国人の妻になるなどして,中国の地域に残留することを余儀なくされた。 同大戦の終結後,海外各地に残された邦人を対象に引揚援護が実施されたが,中国の地域では,その他の地域からの引揚げがおおむね終了した後も,昭和47年9月29日の日中共同声明により日本と中華人民共和国との国交が正常化されるまで,人的交流や文通等が制限されていたため,引き続き多くの邦人が残されていた。 上記日中国交正常化を契機として,残留邦人等への各種の援護施策が予算措置により行われるようになったところ,平成6年,関係各省及び地方自治体で講じられた諸施策を法律上明文化し,中国残留邦人等の帰国や自立の一層の推進を図るため,議員 残留邦人等への各種の援護施策が予算措置により行われるようになったところ,平成6年,関係各省及び地方自治体で講じられた諸施策を法律上明文化し,中国残留邦人等の帰国や自立の一層の推進を図るため,議員立法により,支援法(平成6年法律第30号。制定当時の法律の題名は「中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律」。)が成立し,同年10月1日施行された。 2 支援法2条1項1号にいう「同日において日本国民として本邦に本籍を有していたもの」の意義について支援法2条1項1号は,同法による施策の対象となる「中国残留邦人等」として,①中国の地域における昭和20年8月9日以後の混乱等の状況の下で本邦に引き揚げることなく同年9月2日以前から引き続き中国の地域に居住している者であって同日において日本国民として本邦に本籍を有していたもの (類型A)や,②これらの者を両親として同月3日以後中国の地域で出生し,引き続き中国の地域に居住している者(類型B)を規定しているところ,ここでいう「同日において日本国民として本邦に本籍を有していたもの」とは,その文理に照らせば,単に昭和20年9月2日において日本国民であった(すなわち,旧国籍法に基づき日本国籍を有していた)だけではなく,同日において,旧戸籍法に基づき本邦に本籍を有していた者をいうものと解される。 そして,以下で述べる同号の趣旨に照らしても,上記のように解するのが相当といえる。すなわち,前記1の支援法の制定経緯に加え,支援法の目的が,今次の大戦に起因して生じた混乱等により本邦に引き揚げることができず引き続き本邦以外の地域に居住することを余儀なくされた中国残留邦人等の円滑な帰国の促進と永住帰国した後の自立の支援にあること(1条)に鑑みると,支援法2条1項1号は,ま 本邦に引き揚げることができず引き続き本邦以外の地域に居住することを余儀なくされた中国残留邦人等の円滑な帰国の促進と永住帰国した後の自立の支援にあること(1条)に鑑みると,支援法2条1項1号は,まずもって,第二次世界大戦に起因して生じた混乱等がなければ本来引揚援護の対象となるはずであった者として類型Aを規定し,これを同法による施策の対象となる「中国残留邦人等」に含めたものと解される。具体的には,同号が類型Aを規定しているのは,我が国が昭和20年9月2日に降伏文書への調印を行い,これにより我が国の主権の及ぶ「本邦」の範囲が本州,四国,九州及び北海道並びに行政区画上これらの島のいずれかに附属する島嶼に限定されることとなったことから,この日を基準日として,「同日において日本国民として本邦に本籍を有していた者」については,仮にソ連軍が中国東北地域に侵攻を開始した同年8月9日以後の混乱等がなければ,終戦とともに本邦に引き揚げていた可能性が高かったといえることから,類型Aに該当する者を支援法による施策の対象とする趣旨によるものと解される。そして,同号が類型Bを規定しているのは,類型Aに該当する者を両親として同年9月3日以後に中国の地域で出生した者も,仮に上記の同年8月9日以後の混乱等がなければ,両親と共に本邦に引き揚げていたか,又は両親の引揚げ後に本邦で出生していた可能性が高かったといえることから,類型Bに該当する 者も支援法による施策の対象とする趣旨によるものと解される。このような同号の趣旨に照らせば,「同日において日本国民として本邦に本籍を有していた者」との文言は,上記の昭和20年8月9日以後の混乱等がなければ本邦に引き揚げていた可能性が高い邦人であることを示す指標として,同年9月2日において日本国民であったことのみならず,本邦に 有していた者」との文言は,上記の昭和20年8月9日以後の混乱等がなければ本邦に引き揚げていた可能性が高い邦人であることを示す指標として,同年9月2日において日本国民であったことのみならず,本邦に本籍を有していたことをも必要としたものであると解するのが相当である。 3 支援法施行規則1条の類型c(同条3号)の意義について(1) 前記2で説示したとおり,支援法2条1項1号が,同法による施策の対象となる「中国残留邦人等」として,類型Aや類型Bを規定しているのは,我が国が降伏文書への調印を行い,これにより我が国の主権の及ぶ「本邦」の範囲が本州,四国,九州及び北海道並びに行政区画上これらの島のいずれかに附属する島嶼に限定されることとなった昭和20年9月2日を基準日として,同日において日本国民として本邦に本籍を有していた者については,仮にソ連軍が中国東北地域に侵攻を開始した同年8月9日以後の混乱等がなければ,終戦とともに本邦に引き揚げていた可能性が高かったといえることから,類型Aに該当する者を支援法による施策の対象とするとともに,類型Aに該当する者を両親として同年9月3日以後に中国の地域で出生した者も,仮に上記の同年8月9日以後の混乱等がなければ,両親と共に本邦に引き揚げていたか,又は両親の引揚げ後に本邦で出生していた可能性が高かったといえることから,類型Bに該当する者も支援法による施策の対象とする趣旨によるものと解される。 他方,昭和20年9月3日以後中国の地域で出生し,引き続き中国の地域に居住している者の中には,その両親の一方のみが類型Aに該当する者も想定されるにもかかわらず,支援法2条1項1号が,類型Bとして,類型Aに該当する者を「両親」とするもののみを定め,「中国残留邦人等」としていることからすれば,同号は,同日以後中国の地 に該当する者も想定されるにもかかわらず,支援法2条1項1号が,類型Bとして,類型Aに該当する者を「両親」とするもののみを定め,「中国残留邦人等」としていることからすれば,同号は,同日以後中国の地域で出生した者のうち,その 両親の一方のみが日本国民として本邦に本籍を有していた者については,他方の親(日本国民として本邦に本籍を有していなかった者)は本邦に引き揚げない可能性が少なからず存し,その親と共に子も本邦に引き揚げない可能性もまた少なからず存したことから,仮にソ連軍が中国東北地域に侵攻を開始した同年8月9日以後の混乱等がなければ,親と共に本邦に引き揚げていたか,又は親の引揚げ後に本邦で出生していた可能性が高かったとはいえないため,原則として,支援法による施策の対象とはしないこととしたものであると解される。 (2) そして,支援法施行規則1条は,支援法2条1項1号の委任に基づき,類型A及び類型Bに準ずる事情にある者として,1号及び2号において,日本国民として本邦に本籍を有していた者を両親として出生したことにより,引揚げ等の可能性が高かったといえる一定の類型(類型a及び類型b)を定めた上,これらの類型以外にも引揚げ等の可能性が高かったといえる者が想定され得ることから,3号において,類型A及び類型Bに準ずる事情にあるといえるものの認定を厚生労働大臣に委任したものであると解される。 このような支援法施行規則1条3号の趣旨及び前記(1)で説示した支援法2条1項1号の趣旨に鑑みれば,昭和20年9月3日以後中国の地域で出生した者が支援法施行規則1条3号に定める類型A及び類型Bに準ずる事情にあるといえるためには,その両親の一方のみが日本国民として本邦に本籍を有していた者であるだけでは足りず,基準日である同月2日において,その両親 施行規則1条3号に定める類型A及び類型Bに準ずる事情にあるといえるためには,その両親の一方のみが日本国民として本邦に本籍を有していた者であるだけでは足りず,基準日である同月2日において,その両親が日本国民として本邦に本籍を有していた者であるか,少なくとも,同日において,その両親につきこれに準ずる程度の本邦への引揚げの可能性があったといえる特段の事情が認められることを要するというべきである。 4 原告の「中国残留邦人等」該当性についての検討(1) 以上の解釈を前提として,原告が支援法にいう「中国残留邦人等」に当たるか否かについて検討するに,まず,原告は,昭和21年▲月▲日生まれで あり,昭和20年9月2日以前から引き続き中国の地域に居住している者ではないから,支援法2条1項1号の類型Aには該当せず,類型Cのうち支援法施行規則1条の類型aにも該当しない。 また,原告の母であるFは,昭和15年▲月▲日にEと中華民国の方式により婚姻したことによって日本国籍を取得したものの,昭和20年9月2日の時点において本邦に本籍を有していた者ではないから,原告は,支援法2条1項1号の類型Bには該当せず,類型Cのうち支援法施行規則1条の類型bにも該当しない。 そして,Fは,Eとの婚姻前に中華民国の国籍を有していたことから,同国に出自を有すると考えられる上,EとFは,同国の方式によって婚姻したものにとどまり,本件全証拠によっても,両名が,その婚姻届を在中国の大使館ないし領事館に提出するなど,FがEの妻としてEの戸籍に記載されるために必要な手続を履践した事実は認められないことからすれば,Fにつき,昭和20年9月2日において,日本国民として本邦に本籍を有していた者に準ずる程度の本邦への引揚げの可能性があったといえる特段の事情があるという を履践した事実は認められないことからすれば,Fにつき,昭和20年9月2日において,日本国民として本邦に本籍を有していた者に準ずる程度の本邦への引揚げの可能性があったといえる特段の事情があるということはできない。したがって,原告は,類型Cのうち支援法施行規則1条3号に定める類型A及び類型Bに準ずる事情にある者(類型c)に当たるとは認められない。 (2) 以上によれば,原告は,支援法にいう「中国残留邦人等」に当たるとは認められず,支援法13条3項に規定する一時金の支給を受ける要件及び同法14条に規定する支援給付を受ける要件をいずれも満たさないから,本件各処分はいずれも適法である。 5 原告の主張について(1) 原告は,支援法2条1項1号にいう「日本国民として本邦に本籍を有していた」とは,国籍法上の日本国籍を有するとの実体要件に,日本国籍を有するのであれば戸籍法上本邦に本籍を有しているはずであるという手続要件 を建前として付加したにすぎないなどとして,「同日において日本国民として本邦に本籍を有していたもの」とは,昭和20年9月2日において日本国民であったものを指し,国籍要件とは別個独立に本籍要件を規定したものではない旨主張する。 しかしながら,支援法のような一定の者に対して支援措置を行うことを定める立法の場合には,財政的な負担を伴うものであること等から,立法府が,いかなる対象者に対していかなる支援措置を行うかについて多角的な検討をした上でその範囲を画しているものと考えられるところ,支援法2条1項1号が,単に「同日において日本国民であったもの」と規定するのではなく,「同日において日本国民として本邦に本籍を有していたもの」と規定していることからすれば,同法は,旧国籍法上日本国籍を有していたか否かのみならず,本籍の所在に 国民であったもの」と規定するのではなく,「同日において日本国民として本邦に本籍を有していたもの」と規定していることからすれば,同法は,旧国籍法上日本国籍を有していたか否かのみならず,本籍の所在にも着目して「中国残留邦人等」の範囲を画したものであることが明らかであり,また,前記2で説示したとおり,同号の趣旨に照らしても,「同日において日本国民として本邦に本籍を有していたもの」との文言は,国籍要件のみならず本籍要件をも必要としたものであると解するのが相当である。 したがって,原告の上記主張は採用することができない。 (2) 原告は,支援法2条1項1号の「同日において日本国民として本邦に本籍を有していたもの」との規定は,昭和20年9月2日において日本国民であった者から朝鮮又は台湾に本籍を有していたものを除外する趣旨にすぎないから,Fのように,本邦に本籍を有すべきでありながらこれを有しない者についても,「同日において日本国民として本邦に本籍を有していたもの」に含まれると解すべき旨主張する。 しかしながら,立法府が,支援法の制定に当たり,いかなる対象者に対していかなる支援措置を行うかについて多角的な検討をした上でその範囲を画しているものと考えられることは既に説示したとおりであるところ,支援 法2条1項1号が,「中国残留邦人等」について,特定の基準日(昭和20年9月2日)において,本人(類型A)又は両親(類型B)が日本国民として本邦に本籍を有していたか否かという,明確に区分することが可能な基準を用いてその対象を画していることからすると,同号にいう「同日において日本国民として本邦に本籍を有していたもの」の意義につき,その文理を離れ,「本邦に本籍を有すべき」という曖昧かつ不確実な要素を取り入れて対象を拡大することは,前記2及 ると,同号にいう「同日において日本国民として本邦に本籍を有していたもの」の意義につき,その文理を離れ,「本邦に本籍を有すべき」という曖昧かつ不確実な要素を取り入れて対象を拡大することは,前記2及び3(1)でみた支援法2条1項1号の趣旨を損なうものであるといわざるを得ない。 したがって,原告の上記主張は採用することができない。 (3) 原告は,朝鮮人及び台湾人等のいわゆる外地人を除外するという目的との関係における手段の不合理性等を指摘し,本籍要件を必要とする支援法2条1項1号の規定が憲法14条1項に反して無効であるとか,同号を適用して原告を支援措置の対象としなかった本件各処分が適用違憲であるなどと主張する。 そこで検討するに,前記2及び3(1)で説示したとおり,支援法2条1項1号が,原則として,基準日である昭和20年9月2日において,本人(類型A)又は両親(類型B)が日本国民として本邦に本籍を有していたか否かによって支援措置の対象となる「中国残留邦人等」の範囲を画した趣旨は,同日において日本国民として本邦に本籍を有していた者については,仮にソ連軍が中国東北地域に侵攻を開始した同年8月9日以後の混乱等がなければ,終戦とともに本邦に引き揚げていた可能性が高かったといえ,また,類型Aに該当する者を両親として同年9月3日以後に中国の地域で出生した者も,仮に上記の同年8月9日以後の混乱等がなければ,両親と共に本邦に引き揚げていたか,又は両親の引揚げ後に本邦で出生していた可能性が高かったといえることに鑑み,類型A及び類型Bを定めたものと解され,他方,両親の一方のみが日本国民として本邦に本籍を有していた者については,他方の親 (日本国民として本邦に本籍を有していなかった者)は本邦に引き揚げない可能性が少なからず存し,その親と ,他方,両親の一方のみが日本国民として本邦に本籍を有していた者については,他方の親 (日本国民として本邦に本籍を有していなかった者)は本邦に引き揚げない可能性が少なからず存し,その親と共に子も本邦に引き揚げない可能性もまた少なからず存したことから,仮に上記の混乱等がなければ,親と共に本邦に引き揚げていたか,又は親の引揚げ後に本邦で出生していた可能性が高かったとはいえないため,原則として,支援法による施策の対象とはしないこととしたものであると解される。 しかるところ,日本国民のうち,本邦に本籍を有する者は,通常は本邦に出自を有する者であり,あるいは,本邦に出自を有しないとしても,本邦に生活基盤を置く意思がある者であるといえるから,本邦に本籍を有することは,本邦への引揚げの可能性が高いことを示す指標となり,ひいては本邦への引揚援護の必要性を基礎付ける重要な事情であるということができる。そうすると,支援法2条1項1号が,上記のような趣旨から,基準日である昭和20年9月2日において,本人(類型A)又は両親(類型B)が日本国民として本邦に本籍を有していたか否かを「中国残留邦人等」の範囲を画する基準とし,両親が日本国民として本邦に本籍を有していた者については同法による施策の対象とする一方,両親の双方又は一方が日本国民として本邦に本籍を有していなかった者については原則として同法による施策の対象としないこととしたことは,相応の合理的な根拠に基づく区別であるということができるから,同号は,憲法14条1項に反するものとはいえず,同号に照らして原告が「中国残留邦人等」に当たらないと判断することが適用違憲であるということもできない。 したがって,原告の上記主張は採用することができない。 6 本件再審査請求棄却裁決の適法性行政 原告が「中国残留邦人等」に当たらないと判断することが適用違憲であるということもできない。 したがって,原告の上記主張は採用することができない。 6 本件再審査請求棄却裁決の適法性行政事件訴訟法10条2項は,処分の取消しの訴えとその処分についての審査請求を棄却した裁決の取消しの訴えとを提起することができる場合には,裁決の取消しの訴えにおいては,処分の違法を理由として取消しを求めることが できないと定めているところ,本件再審査請求棄却裁決に係る原処分である本件支援給付却下処分の取消しの訴えを提起することが制限されていない(現に原告はこれを提起している。)ことからすると,本件再審査請求棄却裁決の取消しの訴えにおいて,本件支援給付却下処分の違法を理由として同裁決の取消しを求めることはできないというべきである。 しかるに,原告が支援法にいう「中国残留邦人等」に当たらないとした裁決行政庁(厚生労働大臣)の判断の誤りをいう原告の主張は,原処分である本件支援給付却下処分の違法を主張するものにほかならず,これを理由として本件再審査請求棄却裁決の取消しを求めることはできない。 そして,本件全証拠によっても,本件再審査請求棄却裁決につき,裁決の主体,手続及び形式等の固有の瑕疵があるとは認められない。 したがって,本件再審査請求棄却裁決は適法である。 7 結論よって,原告の各請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとし,訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民訴法61条を適用の上,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第38部 裁判長裁判官朝倉佳秀 裁判官野村昌也 裁判官細井直彰(別紙1省略) 裁判所民事第38部 裁判長裁判官朝倉佳秀 裁判官野村昌也 裁判官細井直彰(別紙1省略) (別紙2)関係法令等の定め 第1 支援法(中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律) 1 目的支援法1条は,支援法の目的に関し,「この法律は,今次の大戦に起因して生じた混乱等により本邦に引き揚げることができず引き続き本邦以外の地域に居住することを余儀なくされた中国残留邦人等及びそのような境遇にあった中国残留邦人等と長年にわたり労苦を共にしてきた特定配偶者の置かれている事情に鑑み,中国残留邦人等の円滑な帰国を促進するとともに,永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援を行うことを目的とする。」と定めている。 2 中国残留邦人等の定義支援法2条1項は,「中国残留邦人等」とは,同項各号に掲げる者をいう旨を定め,同項1号において,①中国の地域における昭和20年8月9日以後の混乱等の状況の下で本邦に引き揚げることなく同年9月2日以前から引き続き中国の地域に居住している者であって同日において日本国民として本邦に本籍を有していたもの及び②これらの者を両親として同月3日以後中国の地域で出生し,引き続き中国の地域に居住している者並びに③これらの者に準ずる事情にあるものとして厚生労働省令で定める者を掲げている(以下,①,②,③の類型を,順次「類型A」,「類型B」,「類型C」という。)。 3 国民年金の特例等(1) 支援法13条1項は,永住帰国した中国残留邦人等(明治44年4月2日以後に生まれた者であって,永住帰国した日から ,順次「類型A」,「類型B」,「類型C」という。)。 3 国民年金の特例等(1) 支援法13条1項は,永住帰国した中国残留邦人等(明治44年4月2日以後に生まれた者であって,永住帰国した日から引き続き1年以上本邦に住 所を有するものに限る。以下同項において同じ。)であって,昭和21年12月31日以前に生まれたもの(同日後に生まれた者であって同日以前に生まれた永住帰国した中国残留邦人等に準ずる事情にあるものとして厚生労働省令で定める者を含む。)に係る昭和36年4月1日から初めて永住帰国した日の前日までの期間であって政令で定めるものについては,政令で定めるところにより,昭和60年法律第34号(国民年金法等の一部を改正する法律)1条の規定による改正前の国民年金法(以下「旧国民年金法」という。)による被保険者期間(以下「旧被保険者期間」という。)又は国民年金法7条1項1号に規定する第一号被保険者としての国民年金の被保険者期間(以下「新被保険者期間」という。)とみなす旨を定めている。 (2) 支援法13条2項は,同条1項に規定する永住帰国した中国残留邦人等(60歳以上の者に限る。)であって昭和36年4月1日以後に初めて永住帰国したもの(以下「特定中国残留邦人等」という。)は,旧被保険者期間又は新被保険者期間(同項の規定により旧被保険者期間又は新被保険者期間とみなされた期間を含み,旧国民年金法5条3項に規定する保険料納付済期間,国民年金法5条1項に規定する保険料納付済期間その他の政令で定める期間を除く。支援法13条4項(後記(4))において同じ。)に係る保険料を納付することができる旨を定めている。 (3) 支援法13条3項は,国は,特定中国残留邦人等に対し,厚生労働省令で定めるところにより,当該特定中国残留邦人等の旧被保険者期間 て同じ。)に係る保険料を納付することができる旨を定めている。 (3) 支援法13条3項は,国は,特定中国残留邦人等に対し,厚生労働省令で定めるところにより,当該特定中国残留邦人等の旧被保険者期間(同条1項の規定により旧被保険者期間とみなされた期間を含む。)及び昭和60年法律第34号附則8条2項に規定する厚生年金保険の被保険者期間(政令で定める期間に限る。)並びに国民年金法による被保険者期間(支援法13条1項の規定により新被保険者期間とみなされた期間を含み,政令で定める期間を除く。)に応じ,政令で定める額の一時金を支給する旨を定めている。 (4) 支援法13条4項は,国は,同条3項の一時金の支給に当たっては,特定 中国残留邦人等が満額の老齢基礎年金等の支給を受けるために納付する旧被保険者期間又は新被保険者期間に係る保険料に相当する額として政令で定める額を当該一時金から控除し,当該特定中国残留邦人等に代わって当該保険料を納付するものとする旨を定めている。 4 支援給付の実施(1) 支援法14条1項は,支援法による支援給付(以下「支援給付」という。)は,特定中国残留邦人等であって,その者の属する世帯の収入の額(その者に支給される老齢基礎年金その他に係る厚生労働省令で定める額を除く。)がその者(当該世帯にその者の特定配偶者(特定中国残留邦人等が永住帰国する前から継続して当該特定中国残留邦人等の配偶者(婚姻の届出をしていないが,事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含み,特定中国残留邦人等以外の者に限る。)である者をいう(支援法2条3項)。以下同じ。),その者以外の特定中国残留邦人等その他厚生労働省令で定める者があるときは,これらの者を含む。)について生活保護法8条1項の基準により算出した額に比して不足するものに対して,その不 )。以下同じ。),その者以外の特定中国残留邦人等その他厚生労働省令で定める者があるときは,これらの者を含む。)について生活保護法8条1項の基準により算出した額に比して不足するものに対して,その不足する範囲内において行うものとする旨を定めている。 (2) 支援法14条2項は,「支援給付の種類は,次のとおりとする。」と定め,「生活支援給付」(同項1号),「住宅支援給付」(同項2号),「医療支援給付」(同項3号),「介護支援給付」(同項4号)及び「その他政令で定める給付」(同項5号)を掲げている。 (3) 支援法14条3項本文は,支援給付を受けている特定中国残留邦人等であって,その者の属する世帯にその者の特定配偶者があるものが死亡した場合において,当該特定中国残留邦人等の死亡後も当該特定配偶者の属する世帯の収入の額(厚生労働省令で定める額を除く。)が当該特定配偶者(当該世帯に厚生労働省令で定める者があるときは,その者を含む。)について生活保護法8条1項の基準により算出した額に比して継続して不足するときは, 当該世帯に他の特定中国残留邦人等がある場合を除き,当該特定配偶者に対して,厚生労働省令で定めるところにより,支援給付を行うものとする旨を定めている。 (4) 支援法14条4項は,支援法に特別の定めがある場合のほか,支援給付については,生活保護法の規定の例による旨を定めている。 (5) 支援法14条6項は,支援給付については,政令で定めるところにより,支援給付を生活保護法による保護とみなして,国民健康保険法その他政令で定める法令の規定を適用する旨を定めている。 第2 中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律施行規則(以下「支援法施行規則」という。)支 規定を適用する旨を定めている。 第2 中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律施行規則(以下「支援法施行規則」という。)支援法施行規則1条は,支援法2条1項1号に規定する厚生労働省令で定める者は,次のとおりとする旨を定めている。 1号中国の地域における昭和20年8月9日以後の混乱等の状況の下で本邦に引き揚げることなく同年9月2日以前から引き続き中国の地域に居住している者であって出生の届出をすることができなかったために同日において日本国民として本邦に本籍を有していなかったもの(その出生の日において日本国民として本邦に本籍を有していた者を両親とするものに限る。)2号中国の地域における昭和20年8月9日以後の混乱等の状況の下で本邦に引き揚げることなく同年9月2日以前から引き続き中国の地域に居住している者であって同日において日本国民として本邦に本籍を有していたものを母親とし,かつ,同日において日本国民として本邦に本籍を有していた者(同日以前から引き続き中国の地域に居住しているものを除く。)を父親として同月3日以後中国の地域で出生し,引き続き中国の地域に居住している者 3号中国の地域における昭和20年8月9日以後の混乱等の状況の下で本邦に引き揚げることなく同年9月2日以前から引き続き中国の地域に居住している者であって同日において日本国民として本邦に本籍を有していたもの及びこれらの者を両親として同月3日以後中国の地域で出生し,引き続き中国の地域に居住している者に準ずる事情にあるものとして厚生労働大臣が認める者(以下,1号,2号,3号の類型を,順次「類型a」,「類型b」,「類型c」という。)第3 「中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰 る者に準ずる事情にあるものとして厚生労働大臣が認める者(以下,1号,2号,3号の類型を,順次「類型a」,「類型b」,「類型c」という。)第3 「中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律施行事務の取扱いについて」(平成6年9月30日社援発第665号厚生省社会・援護局長通知。乙4。以下「本件通知」という。)本件通知第2の1は,中国残留邦人等のうち,支援法施行規則1条3号に規定する厚生労働大臣が認める者としては,次の(1)ないし(3)に掲げる者等が考えられる旨を定めている。 (1) 中国の地域における昭和20年8月9日以後の混乱等の状況の下で本邦に引き揚げることなく同年9月2日以前から引き続き中国の地域に居住している者であって同日において日本国民として本邦に本籍を有していたものを父親とし,かつ,同日以前から中国の地域に居住していた者であって同日において日本国民として本邦に本籍を有していたものを母親として,同日3日以後中国の地域で出生し,引き続き中国の地域に居住している者(その出生の日以後引き続き中国の地域に居住している者を母親とするものを除く。)(2) 中国の地域における昭和20年8月9日以後の混乱等の状況の下で本邦に引き揚げることなく同年9月2日以前から中国の地域に居住していた者であって同日において日本国民として本邦に本籍を有していたものを母親 とし,かつ,同日において日本国民として本邦に本籍を有していた者を父親(同日以前から引き続き中国の地域に居住しているものを除く。)として,同月3日以後中国の地域で出生し,引き続き中国の地域に居住している者(その出生の日以後引き続き中国の地域に居住している者を母親とするものを除く。)(3) 支援法施行 ているものを除く。)として,同月3日以後中国の地域で出生し,引き続き中国の地域に居住している者(その出生の日以後引き続き中国の地域に居住している者を母親とするものを除く。)(3) 支援法施行規則1条1号に規定する者を両親として,昭和20年9月3日以後中国の地域で出生し,引き続き中国の地域に居住している者(以下,(1),(2),(3)の類型を,順次「類型ⅰ」,「類型ⅱ」,「類型ⅲ」という。)以上

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