平成14(ワ)14488 日欧産業協力センター解雇

裁判年月日・裁判所
平成15年10月31日 東京地方裁判所
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判決文本文33,539 文字)

主文 1 原告が,被告に対し,労働契約上の権利を有する地位にあることを確認する。 2 被告は,原告に対し,平成14年7月16日から本判決確定に至るまで,毎月16日に42万1500円,毎年3月16日に21万0750円,毎年6月16日に92万7300円,毎年12月16日に105万3750円及びこれらに対する各支払期日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 被告は,原告に対し,50万円及びこれに対する平成14年7月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 原告のその余の請求を棄却する。 5 訴訟費用はこれを3分し,その1を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。 6 この判決は,第2,3項につき,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 原告が,被告に対し,労働契約上の権利を有する地位にあることを確認する。 2 被告は,原告に対し,平成14年7月16日から本判決確定に至るまで,毎月16日に42万8150円,毎年3月16日に21万4075円,毎年6月16日に94万1930円,毎年12月16日に107万0375円及びこれらに対する各支払期日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 被告は,原告に対し,600万円及びこれに対する平成14年7月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,被告に雇用されていた原告が,被告がした解雇ないし雇止めが無効であるとして,労働契約上の権利の確認(請求の趣旨第1項),解雇後の賃金及び遅延損害金の支払(請求の趣旨第2項),並びに,被告が原告の育児休業申請を拒絶したこと及び違法な解雇ないし雇止めについてそれぞれ不法行為に基づく損害賠償(慰謝料及び弁護士費用。請求の趣旨第3項)を請求した事案である。 1 趣旨第2項),並びに,被告が原告の育児休業申請を拒絶したこと及び違法な解雇ないし雇止めについてそれぞれ不法行為に基づく損害賠償(慰謝料及び弁護士費用。請求の趣旨第3項)を請求した事案である。 1 前提事実(争いがない事実。証拠によって認定した事実については,括弧内に証拠を摘示した。ただし,争いがない事実であるが,参照の便宜のため,証拠を摘示したものもある。)(1) 当事者被告は,昭和61年12月,日本とヨーロッパ共同体(EC。現在のヨーロッパ連合:EU)との閣僚会議において,通商産業省(現経済産業省)とEC委員会(現欧州委員会)とが,日本とECとの貿易・投資の不均衡を是正し,日本とECとの経済関係の一層の緊密化を図ること等を合意し,その合意に基づき,財団法人貿易研修センターの付属機関として,昭和62年5月に設立された権利能力なき社団である(以下,マーストリヒト条約の前後に関わらず,ヨーロッパ共同体ないしヨーロッパ連合について「EU」と称する。)。被告は,財団法人貿易研修センターの付属機関ではあるが,財源はこれによるのではなく,日本側(政府関係補助金及び民間寄付金)とEU側(欧州委員会補助金)との共同資金が被告の財源となっており,日本側とEU側と各1名ずつ事務局長(ジェネラル・マネジャー)が配置され,それぞれが代表権をもっている。 原告は,英国国籍を有する女性であり平成6年に来日し日本に滞在していた。原告は,本件口頭弁論終結時,一時的に英国に帰国していたが,日本に滞在し被告において就労する意思及び能力がある(弁論の全趣旨)。 (2) 当事者間の労働契約ア原告と被告は,平成8年5月16日付けで,以下の内容の労働契約(以下「初期契約」という。)を締結した。(甲3,一部争いがない。)(ア) 雇用期間は,同年7月1日から平成9年6月30 間の労働契約ア原告と被告は,平成8年5月16日付けで,以下の内容の労働契約(以下「初期契約」という。)を締結した。(甲3,一部争いがない。)(ア) 雇用期間は,同年7月1日から平成9年6月30日まで。同月1日以前にいずれかの当事者から異議がない限り自動的に更新される。 (イ) 就業時間は,午前9時30分から午後5時30分まで(ウ) 職務内容は,被告代表者であるEU側事務局長の個人アシスタント及び情報セクションのアシスタント(エ) 賃金は月額36万6300円。夏期2.2か月,冬期2.5か月,春期0.5か月の賞与が支給される。 イ初期契約は,期間満了後自動的に更新され,その後,原被告間の労働契約において,契約書は作成されなかった。 ウ原告の平成14年6月における月額賃金は,42万1500円,通勤手当は6650円であった。月ごとの賃金は毎月末締当月16日払とされ,賞与は夏期については6月16日,冬期は12月16日,春期は3月16日がそれぞれ支払日とされていた(甲3,4の(1))。 (3) 原告の産前産後休暇の取得原告は,第1子の出産のため,平成9年7月23日から同年11月16日まで,第2子の出産のため,平成11年7月末から同年11月21日まで,第3子の出産のため,平成13年12月14日から平成14年4月14日まで,それぞれ産前産後休暇を取得した。 (甲26,27,弁論の全趣旨。一部争いがない。)(4) 原告の育児休業の申請と被告の回答原告は,平成14年2月15日,第3子で二女のaを出産し,被告代表者事務局長b(以下「b事務局長」という。)に対し,同年3月10日,「原告は,被告に対し,同年2月15日に誕生した娘のaについて,同年4月12日から平成15年2月14日までの間,育児休業を申請する。」旨の文書(甲15)により,育児休業・ )に対し,同年3月10日,「原告は,被告に対し,同年2月15日に誕生した娘のaについて,同年4月12日から平成15年2月14日までの間,育児休業を申請する。」旨の文書(甲15)により,育児休業・介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(以下「育児介護休業法」という。)に基づく育児休業を請求した。b事務局長は,原告に対し,平成14年3月14日付け文書で,「原被告間の雇用契約は,期間1年の有期雇用なので育児介護休業法の適用はない。原告との雇用契約は同月6月末で更新しない。特例として,同月末まで出社は求めないが,給料を引き続き支払うことを提案する。」旨回答した(甲6)。原告は,同年4月5日付けの文書で,b事務局長に対し,「原告は,平成9年7月1日からは正規職員として被告に雇用されてきた。 育児休業の資格があるので,早急に返事を頂きたい。」旨伝えたところ(甲9),b事務局長は,平成14年6月11日付けで,「原告と被告の雇用契約は,1年の有期雇用契約であり,1年ごとに更新してきた。」と主張し,前記提案を再度伝えた(甲7)。 (5) 被告の更新拒絶ないし雇用終了の意思表示被告は,原告に対し,同年5月29日付け書面で,「翌月末日までに原被告間で雇用関係について合意が得られないときは,原被告間の雇用契約を更新しない。したがって,現在の契約は終了することとなる。」旨の通知をした(以下,「本件通知」という。甲11)。原被告間では,同年4月から双方の代理人弁護士を通じて,原告の雇用関係についての交渉がされてきたが,同年6月末までに合意がされなかった。原告は,同年7月1日,被告に出勤したところ,b事務局長から,「今後,賃金は支払わない。」旨告げられ,同月2日付け書面で,雇止め(予備的に解雇)を通知された(甲12)。 (6) 育児介護休業法に た。原告は,同年7月1日,被告に出勤したところ,b事務局長から,「今後,賃金は支払わない。」旨告げられ,同月2日付け書面で,雇止め(予備的に解雇)を通知された(甲12)。 (6) 育児介護休業法に関する厚生労働省告示13号「子の養育又は家族の介護を行い,又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置に関する指針」(平成14年1月29日厚生労働省告示13号。以下「告示13号」という。)は,下記のとおり規定している(なお,「法」とあるのは,育児介護休業法を指す)。 記「法第2条第1号に規定する期間を定めて雇用される者に該当するか否かを判断するに当たっての事項労働契約上の形式上期間を定めて雇用される者であっても,当該契約が期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態となっている場合には,育児休業及び介護休業の対象となるものであるが,その判断に当たっては,次の事項に留意すること。 (1) 有期労働契約の雇止めの可否が争われた裁判例における判断の過程においては,主に次の掲げる項目に着目して,契約関係の実態が評価されていること。 イ業務内容の恒常性・臨時性,業務内容について正社員との同一性の有無等労働者の従事する業務の客観的内容ロ地位の基幹性・臨時性等労働者の契約上の地位の性格ハ継続雇用を期待させる事業主の言動等当事者の主観的態様ニ更新の有無・回数,更新の手続の厳格性の程度等更新の手続・実態ホ同様の地位にある他の労働者の雇止めの有無等他の労働者の更新状況(2) 有期労働契約の雇止めの可否が争われた裁判例においては,(1)に掲げる項目に関し,次のイ及びロの実態がある場合には,期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態に至っているものであると認められていることが多い 約の雇止めの可否が争われた裁判例においては,(1)に掲げる項目に関し,次のイ及びロの実態がある場合には,期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態に至っているものであると認められていることが多いこと。 イ (1)イに関し,業務内容が恒常的であること,及び(1)ニに関し,契約が更新されていること。 ロイに加え,少なくとも次に掲げる実態のいずれかがみられること。 (イ) (1)ハに関し,継続雇用を期待させる事業主の言動が認められること。 (ロ) (1)ニに関し,更新の手続が形式的であること。 (ハ) (1)ホに関し,同様の地位にある労働者について過去に雇止めの例がほとんどないこと。 (3) 有期労働契約の雇止めの可否が争われた裁判例においては,(1)イに関し,業務内容が正社員と同一であると認められること,又は,(1)ロに関し,労働者の地位の基幹性が認められることは,期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態に至っているものであると認められる方向に働いているものと考えられること。」 2 争点(1) 原被告間の労働契約に解雇権濫用法理の適用があるかア期間の定めの有無イ実質的に期間の定めのない契約と異ならない状態であったか。 ウ更新の期待をもつことが合理的な場合か。 (2) 本件通知による解雇ないし雇止めの有効性(3) 育児休業申請の拒否及び本件通知による不法行為の成否 3 争点についての当事者の主張の要旨(1) 争点(1)(原被告間の労働契約に解雇権濫用法理の適用があるか)について(原告)ア期間の定めの有無(ア) 原被告間の労働契約は,試用期間1年を定めた期間の定めのないものであったこと初期契約の契約書は更新拒絶についてに触れていないことから,初期契約は業績を評価するための試用期間と解釈すべきであり,原告はそう理解していた。原 用期間1年を定めた期間の定めのないものであったこと初期契約の契約書は更新拒絶についてに触れていないことから,初期契約は業績を評価するための試用期間と解釈すべきであり,原告はそう理解していた。原告は,初期契約締結当時,英国大使館でフルタイムの正規職員として勤務していたから,これを辞めて有期雇用を締結することは考えられないし,被告の当時のEU側副事務局長cも,EU側事務局長dも,原告に対し,1年契約であるとは説明していないし,EU側事務局長の個人アシスタントという基幹的恒常的な職務内容からも,長期雇用が想定されていた。 (イ) 初期契約の更新により期限の定めのないものになったこと原被告間の労働契約は,初期契約の後には一度も契約書を作成することなく6年間継続していた。労働者が所定の契約期間を経過しても労働を継続し,使用者がこれに格別の異議を述べなかったときは,契約は同一の条件をもって更新されたものと推定され,更新後の契約は期間の定めがないものとなる(民法629条1項本文)。 イ実質的に期間の定めのない契約と異ならない状態であったこと(ア) 原被告間の労働契約が期間の定めのある労働契約であったとしても,5回更新をされたこと,更新の際に何らの手続も行われなかったこと,フルタイムの雇用で,複数回昇給していること,事務局長の個人アシスタント及び情報セクションのアシスタントとして恒常的な業務を担当し,他の職員(被告の主張によれば,全員有期雇用である。)はこれまで雇止めされたことがなかったこと,平成14年3月14日付のb事務局長から原告宛ての手紙以前に有期雇用と主張されたことがなかったこと等からすれば,原被告間の労働契約は,実質的に期間の定めのない労働契約と異ならない状態であったというべきである。したがって,原被告間の労働契約の雇止めには,解 有期雇用と主張されたことがなかったこと等からすれば,原被告間の労働契約は,実質的に期間の定めのない労働契約と異ならない状態であったというべきである。したがって,原被告間の労働契約の雇止めには,解雇権濫用法理の類推適用がある。 (イ) 原告の職務が恒常的な業務であったこと事務局長の個人アシスタントとしての職務がdの英語の補佐に限られなかったことは,個人アシスタントの後任に新規採用されたeが就いていること,b事務局長と原告との平成13年10月の話合いの際に,個人アシスタントの職務がなくなったといった話がなかったこと,dが退任する際(平成13年5月)に原告の雇用見直しがされずに,逆に同年4月に昇給していること等から明らかである。 ウ雇用継続の合理的な期待があったこと原被告間の労働契約が,実質的に期間の定めのない契約と異ならない状態であったといえないとしても,前記イ(ア)の事実関係からすれば,雇用継続の合理的な期待があったといえるから,解雇権濫用法理の類推適用がある。 (被告)ア期間の定めの有無(ア) 原被告間の労働契約は,期間1年の期間の定めのある労働契約であること初期契約の契約書は,期間の定めが明記されており,試用期間との記載はなく,原告はこれに何ら異議を述べずに契約している。 原被告間の労働契約は,フランス人であるdの英語の補佐を目的として締結されたもので,それゆえ一時的なものであることは,cから原告に対し説明している。 原被告間の労働契約が1年の期間の定めのあるものであることは,被告の財源からも裏付けられる。すなわち,被告の支出については,民間人同士の合意としてf・g合意があり,日欧双方は,これまでこの合意を事実上尊重して支出を行ってきた。EU側の収入は,1年ごとに締結される被告のEU側事務職長とEUとの契約であり,日本 ついては,民間人同士の合意としてf・g合意があり,日欧双方は,これまでこの合意を事実上尊重して支出を行ってきた。EU側の収入は,1年ごとに締結される被告のEU側事務職長とEUとの契約であり,日本側の収入は,一会計年度における政府補助金及び民間からの寄付金である。したがって,被告の収入は,日欧とも法令上の根拠はなく,EUとの契約や日本政府の予算については1年限りであるため,被告は,1年を越える継続的な支出を想定することはできないものである。 被告の東京事務所の他の職員が1年契約であることからも,このことが裏付けられる。原告は,EU側財源で雇用され,EU側事務局長が人事管理を行っていたため,更新手続はしていないが,日本側財源で雇用され,日本側事務局長が人事管理を行う日本人職員は,いずれも契約条件について話合いをし,契約書を作成する等の更新の手続を行っている。 (イ) 初期契約の更新により,期間の定めのない契約になってはいないこと初期契約の契約書には,更新により期間に変更を来たすとの記載はないから,更新によって期間の定めのない契約になるとはいえない。 有期労働契約が自動更新により,期間の定めのない労働契約に転化するということはないから,原告の主張は失当である。 イ原被告間の雇用関係が,期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態ではなかったこと(ア) ア(ア)で主張したとおり,原告の職務が一時的な需要のものであること,被告の財政的な基盤が永続的なものでないこと,EU側の財源により,かつ,EU側事務局長の管理において,英国人である原告が雇用され,英語の契約書が作成されていること,原告には更新時期,更新方法,給与,休暇など日本人職員とは異なった労働条件が適用されており,出勤簿等で出退勤を管理されず,就業規則が適用ではなく準用されていたこ ,英語の契約書が作成されていること,原告には更新時期,更新方法,給与,休暇など日本人職員とは異なった労働条件が適用されており,出勤簿等で出退勤を管理されず,就業規則が適用ではなく準用されていたことからすれば,原被告間の雇用契約には,日本の契約解釈法理を適用すべきではなく,欧州において,欧州人とEUの組織が締結した雇用契約の解釈と同様の検討をすべきである。そして,欧州における上記雇用契約においては,有期雇用と期限の定めのない雇用契約は明確に区別されていることを考慮すべきである。また,告示13号は,例示列挙であって,個別の事案に応じて判断されるべきものである。 したがって,原被告間の雇用関係は,期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態になってはいないから,解雇権濫用法理の類推適用の余地はない。 (イ) eが新規採用になったことは認めるが,原告の後任としてb事務局長の個人アシスタントに就いていることは否認する。eが担当している職務は,原告のそれとは異なっている。また,b事務局長は,平成13年10月の原告との話合いの際,原告の職務がなくなった旨を告げている。 ウ更新の期待をもつことが合理的な場合とはいえないこと前記アイで述べた事情からして,原被告間の雇用契約において,更新の期待をもつことが合理的であるとはいえない。 (2) 争点(2)(本件通知による解雇ないし雇止めの有効性)について(被告)ア原被告間の雇用契約は有期雇用契約であるから,解雇権濫用法理の類推適用があるとしても,原告は正規従業員と比して劣後した地位にあるというべきであり,被告に要求される解雇回避努力の程度は異なるものである。後記イないしキのとおり,人員削減の必要性,解雇回避努力,被解雇者選定の合理性,手続的適正のいずれの観点からも,本件通知は,合理性があり,解雇権の濫 に要求される解雇回避努力の程度は異なるものである。後記イないしキのとおり,人員削減の必要性,解雇回避努力,被解雇者選定の合理性,手続的適正のいずれの観点からも,本件通知は,合理性があり,解雇権の濫用とはいえない。 イ被告の財政基盤被告は,f・g合意に従い,「東京事務所の賃料は全額日本側が負担するが,他の事業費は日欧で折半する。」との基本的なルールによる日欧の財政負担によって存続してきた。すなわち,被告の主な業務である研修,情報提供などの事業に要する個別の支出は,その都度日本とEUとが折半していた。また,東京事務所の借館料,日本側事務局長の交通費など日本側に関係する経費は日本側が,EU側事務局長の交通費,事務局長のアシスタントの給与などEU側に関係する経費はEUが,それぞれ100パーセント負担することとなっていたが,これらを含めた全体の支出をみると,日欧で概ね同額ずつの負担となっていた。 ウ日本側支出の減少日本側においては,官民とも収入が減少傾向にあったため,平成13年度は実質10百万円の赤字となり,留保金を取り崩し(乙6の(1)),平成14年度は予算ベースで57百万円の赤字となっていた。日欧の貿易摩擦が下火になったため,日欧双方にとって,被告の事業の重要性は薄れており,日本政府は,平成13年9月,被告の事務局長らに対し,「予算の削減によって,平成14年度の補助金は従来に比べ30パーセント以上減少し,平成15年度はさらに悪化する見通しである。」旨の通告をした。 平成13年12月の経済産業省のh経済審議官と欧州委員会のi企業総局長との公式会談において,「日本政府の予算が減少するなかで,被告の存在意義が問われており,被告の廃止を含め,業務の見直しが必要である。」旨指摘された(乙25)。これを受けて,日本とEUの審議官クラスの協議体 式会談において,「日本政府の予算が減少するなかで,被告の存在意義が問われており,被告の廃止を含め,業務の見直しが必要である。」旨指摘された(乙25)。これを受けて,日本とEUの審議官クラスの協議体としてのタスクフォースが作られ,平成14年4月に作成されたタスクフォースレポート(乙26)によれば,職員の削減を前提として経費の圧縮をし,必要な事業を検討し予算の配分を行うこと,日欧の負担割合の見直しを考えることとされている。 エ被告の経費削減努力被告は,経費削減努力を行い,人件費についても,平成14年3月当時16名いた日本側職員のうち3名が退職したが後任を採用せず,人材派遣会社からの派遣職員で補充するに止めた。 平成14年秋には,日本側拠出が減少していることを受け,対等額であった支出割合を日本側4割,EU側6割に変更することが事実上合意され,被告の財政上の危機はひとまず回避された。この合意は被告の経費削減による自助努力を前提としたものであり,この合意がなされるためには被告のあらゆる経費削減努力が不可欠であった。 オ原告の担当職務の減少(ア) 原告の職務は,①仏語を母国語とする前事務局長dの英語の補佐,②事務局長の秘書的業務,③セミナーのセットアップ業務の補助,④被告のウェッブページ及びデータベースの更新業務,⑤ニュースレターの編集であった。平成13年8月1日に赴任したb事務局長は,原告の職務内容について聞き取りを行い,検討したところ,①b事務局長は英語を母国語とするため,原告の補佐は必要ないこと,②b事務局長はITシステムの扱いを自ら行うことができるし,秘書的業務は必要ないこと,日本語の補佐は必要であったが,原告にはその能力はないこと,③セミナーのセットアップ業務は,日本人職員により支障なく行われ,原告の補助は必要ないこと,④被告 とができるし,秘書的業務は必要ないこと,日本語の補佐は必要であったが,原告にはその能力はないこと,③セミナーのセットアップ業務は,日本人職員により支障なく行われ,原告の補助は必要ないこと,④被告のウェッブページ及びデータベースの更新の仕事は業務量が多くなく,格別の英語力は必要なく,日本人職員でも処理できること,⑤ニュースレターの編集も同様であることが判明し,他方,原告の給与水準は,その学歴,日本語能力等に照らし,他の日本人職員の水準と比較して7~8割高額であった。 (イ) 原告の資格及び技能は,プログラム・エキュゼキティブやインフォメーション・オフィサー等の他の業務を行わせるには不十分であった。 そこで,b事務局長は,平成13年10月下旬,原告に対し,被告の財政状況及び原告の職務内容の検討結果について説明し,①別の業務を見つけてフルタイムでの勤務をするが給与の減額を行う,②平成14年6月30日で雇用契約を終了させる,③勤務日数を減少させ給与の減額を行う,の3つの選択肢を示して,原告の対応を促した。平成13年11月にも同様の話合いをしたが,原告から何らの提案もなかった。 カ有利な条件による退職の提案b事務局長は,原告の雇用契約を期間満了によって終了させることとし,補償として,平成14年3月14日,賞与を含む約5か月分の給与支払による雇用契約終了の提案を行い(甲6),その後も育児休暇取得後の賞与を含む約7か月分の給与支払の提案(乙9)も行った。 キ eやjの採用について被告は,jを平成14年4月から週35時間のフルタイムで派遣社員として受け入れた。jの受入れは,週20時間被告で勤務していたkが平成13年3月退職することになったこと,原告が平成13年4月以降育児休業の取得を希望していたことから,両名の業務の代替のためになされたもので 入れた。jの受入れは,週20時間被告で勤務していたkが平成13年3月退職することになったこと,原告が平成13年4月以降育児休業の取得を希望していたことから,両名の業務の代替のためになされたものであり,原告の業務が週15時間分で足りることを示し,原告の業務の必要性が乏しかったことを裏付ける。他方,退職したkの業務を原告に担当させるのは,原告の給与水準からしてふさわしくないものであった。 平成13年12月に被告が雇い入れたeは,インフォメーション・オフィサーであったlの後任として採用されたのであり,b事務局長の個人アシスタントとして採用されたのではない。eが「事務局長のアシスタント」の名刺を持っていたことはあるが,対外的なものであり,eが行っていた業務はインフォメーション・オフィサーの業務であった。なお,原告の日本語能力では,インフォメーション・オフィサーの業務はできなかった。 したがって,両名の採用は,原告の業務が減少し,雇止めの必要があったこととは何ら矛盾しない。 (原告)ア後記イないしカのとおり,人員削減の必要性に乏しく,解雇回避努力も十分ではなく,被解雇者選定の合理性もなく,手続の妥当性もないから,本件通知による解雇ないし雇止めは,解雇権を濫用したものとして無効である。 イ人件費削減の必要性があったのは,日本側であること被告は,平成14年度に日本側の事情で拠出の減少が生じた旨主張するが,財政赤字を立証する財務諸表の証拠提出を行っていない。むしろ,原告が入手した要約決算報告書(甲42)によれば,平成13年度より平成14年度のほうが人件費が6%上昇している。甲42によれば,この人件費の上昇は日本側の人件費の上昇によるものであり,被告に人件費削減の必要性があったか疑わしい。 また,h・i会談の記録(乙25)及びタスクフォース 人件費が6%上昇している。甲42によれば,この人件費の上昇は日本側の人件費の上昇によるものであり,被告に人件費削減の必要性があったか疑わしい。 また,h・i会談の記録(乙25)及びタスクフォースレポート(乙26)によれば,日本側の経費負担を軽減することが意図されていたのに,日本側が人件費を負担していない原告を解雇し,日本側が人件費を負担する職員が採用されたのは矛盾している。 ウ職員の新規採用がされ,人員削減の必要性及び解雇回避努力がないことlが退職した際,eを新規採用し,パートタイムのkが退職した際,フルタイムでjを新規採用している。被告は,退職者の職務を原告に担当させることを検討すらしていない。 エ他の経費削減努力がされていないことh・i会談やタスクフォースレポートでは,日本側拠出減少の合理的な対策として,被告の借館料の削減が検討されているのに,実行されていない。また,官庁OBの退職金等の削減も検討されるべきであるのに,実行されていない。被告の職員の賃金は,原告も含めて昇給されていたが,被告は,職員全体に対する昇給の停止や賞与の削減等の手段をとっていない。 日本人職員が3名辞めたことは認めるが,その賃金削減効果はたいしたものではない。 オ原告の担当業務は存在したこと原告が解雇者として選定されたのは,原告が育児休業の申出をしたことによるのであり,被解雇者選定に合理性はない。 事務局長の個人アシスタントとしての原告の職務は,dの英語の補佐に限られなかったことは,前記(1)(原告)イ(イ)のとおりである。 他の日本人職員の賃金は明らかにされておらず,原告の賃金が他の日本人職員と比較して高いという被告の主張は,何ら根拠がない。 カ解雇手続の妥当性がないこと被告は,人員整理の必要性,解雇の対象として原告を選定した理由につ 明らかにされておらず,原告の賃金が他の日本人職員と比較して高いという被告の主張は,何ら根拠がない。 カ解雇手続の妥当性がないこと被告は,人員整理の必要性,解雇の対象として原告を選定した理由について何ら説明をしていない。また,賃金削減や業務の転換等,原告の雇用継続を前提とする提案は一切なされていない。被告が,原告に対し,経済的な補償を伴う退職条件を提案したのは事実であるが,育児休業を申し出た原告が,3人の子供を抱え,家事手伝いが退職するという危機的状況にあることを知った上,原告の弱みにつけ込む形でされた提案であり,適正な手続とはいいがたい。 (3) 争点(3)(育児休業申請の拒否及び本件通知による不法行為の成否)について(原告)ア育児休業申請に対する被告の対応の違法性(ア) 原告には育児休業の権利があることa 前記(1)(原告)アイのとおり,原被告間の労働契約は,期間の定めのない労働契約であるか,告示13号にいう実質的に期間の定めのない労働契約と異ならない状態であったから,原告には育児休業の権利がある。 b 仮に,そういえなくとも,有期雇用者を育児休業の適用対象外とする育児介護休業法2条1号は,我が国が批准した「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」11条,「男女労働者特に家族的責任を有する労働者の機会均等及び均等待遇に関する条約」(ILO156条約)3条1項及び同165号勧告に違反し,無効であるから,原告には,育児休業の権利がある。 (イ) 被告が育児休業を拒み,これが違法であること被告が平成14年4月17日付け書面で申し出た特別休暇は,原告の雇用終了や労働契約の内容の変更が前提となっており,育児介護休業法21条に抵触するから,育児休業と同等の休暇の付与とはいえない。 使用者は,育児休業申請を拒んではならないの し出た特別休暇は,原告の雇用終了や労働契約の内容の変更が前提となっており,育児介護休業法21条に抵触するから,育児休業と同等の休暇の付与とはいえない。 使用者は,育児休業申請を拒んではならないのであり,被告の育児休業の拒否は違法である。 イ本件通知の違法性前記(2)(原告)のとおり,本件通知は,解雇権を濫用したものであり,解雇又は雇止めとして無効であるばかりでなく,違法である。 ウ原告の損害(ア) 慰謝料育児休業申請の拒否により,原告は,自宅待機による不利益を被ることを避けるため,生まれたばかりの二女を預け,産後休暇明けである平成14年4月15日から出勤することを余儀なくされた。さらに,出勤したところ,机やコンピューターがなく,仕事は与えられないという状況に至った。これらの原告の精神的苦痛は,財産上の損害の賠償によっては慰謝されないから,被告に対し慰謝料の支払が命じられるべきである。本件通知による苦痛と併せ考えると,その慰謝料は500万円を下らない。 (イ) 弁護士費用日本語能力にハンディがある原告は,弁護士に依頼しなければ訴訟提起及び追行が不可能であったから,弁護士費用(書証の翻訳に要した費用を含む。)100万円も被告の不法行為と相当因果関係がある損害といえる。 (被告)ア育児休業申請に対する被告の対応に違法性がないこと(ア) 原告には育児休業の権利がないこと前記(1)(被告)のとおり,原告と被告の間の雇用契約は有期雇用であるし,実質的に期間の定めのない雇用契約と異ならない状態にあったとはいえない。したがって,告示13号によっても原告は育児介護休業法の適用を受けず,育児休業の権利はない。 (イ) 被告は,育児休業の付与を実質的に拒んではいないこと被告は,原告と被告の間の雇用契約は有期雇用であり告示13号によっ 号によっても原告は育児介護休業法の適用を受けず,育児休業の権利はない。 (イ) 被告は,育児休業の付与を実質的に拒んではいないこと被告は,原告と被告の間の雇用契約は有期雇用であり告示13号によっても育児介護休業法の適用を受けないものと考えていたが,そのような法的議論はさておいて,育児休業を必要とする原告のために育児休業と同等の特別休暇の付与の提案をし,雇用の問題については改めて協議しようとした(甲8)。しかし,原告は,「原告と被告との間の雇用契約が期間の定めのない雇用契約であり,育児介護休業法の適用を受ける。」旨の自己の主張が受け入れられないことを不服として,被告の申し出た特別休暇を取得しなかった。 また,その後には,被告は「平成15年6月末日雇用終了を前提として平成15年2月13日までの育児休業の付与と同月14日から前記雇用終了までの就労義務の免除と賃金の支払」を提案したが(乙9),原告はこれを拒絶した。 (ウ) 被告の行為に違法性はなく,損害は生じていないことa 被告は,実質的に育児休業と同等の特別休暇の申出をしているのであるから,被告の行為に違法はない。原告が被告の申出を断ったのであり,被告の行為と原告の精神的苦痛との間に因果関係もない。弁護士費用についても同様である。 b 原告は,被告との交渉中,被告が申し出た特別休暇と育児休業との違いについて具体的に指摘することはしなかった。本件訴訟になってから,「復帰後の賃金や配置を明示しなかったこと」(育児介護休業法21条)を指摘したものである。また,当時は,被告の財政的な危機により,原告の雇用継続や雇用条件を見直す話合いをしていたのであるから,復帰後の身分を示さないことに理由があり,努力義務である同条項に違反するとはいえない。雇用保険に基づく給付の件,健康保険料及び厚生年金保険料免除 継続や雇用条件を見直す話合いをしていたのであるから,復帰後の身分を示さないことに理由があり,努力義務である同条項に違反するとはいえない。雇用保険に基づく給付の件,健康保険料及び厚生年金保険料免除の件並びに保育園入園の件等,いずれについても,原告の申出如何により,被告は,育児休業と同等の取扱いをする余地があったのに,原告は何ら具体的な申出をしなかった。 c 期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態となっているか否かにつき当事者間に争いがある事案において,使用者側が特別休暇の提案をし,労働者側に生じる不利益を極力回避しようとしたにもかかわらず,期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態であることを前提とした育児休業を付与しないことをもって違法であると評価されるのであれば,使用者に対し,育児休業を要求する側の法的見解を常に受け入れることを強要する結果となる。しかも,本件では,人件費削減の必要性があり,そのための労働条件の見直しについて当事者間で話合いをしていたのであり,一定の結論を出すには時間が必要であった。そのため,被告は原告に話合いを前提とした特別休暇を提案したものであり,被告の行為は違法とはいえない。 イ本件通知の違法性前記(2)(被告)のとおり,本件通知は解雇権を濫用したものではなく,解雇又は雇止めとして有効であり,適法である。 ウ損害争う。 第3 当裁判所の判断 1 争点(1)について(1) 前記争いがない事実及び証拠(甲3,6,15,55,乙1,2の(1)(2),3,5の(1)(2),7)並びに弁論の全趣旨によれば,以下の各事実が認められる。 ア原告は,昭和39年(1964年)生まれの英国人女性であり,英国で大学入試資格を取得後,フランスの秘書養成学校で学び,フランス及び英国においていくつかの会社で事務職とし の各事実が認められる。 ア原告は,昭和39年(1964年)生まれの英国人女性であり,英国で大学入試資格を取得後,フランスの秘書養成学校で学び,フランス及び英国においていくつかの会社で事務職として勤務した後,平成6年(1994年)に夫とともに来日し,平成7年(1995年)6月から約1年間,東京の英国大使館で英国の科学技術担当官の個人秘書として勤務していた。 イ原告は,英国大使館で勤務中,被告EU側事務局長であるdの秘書を募集している旨の紹介を受け,被告に採用された(初期契約)。 初期契約において,被告は,雇用期間及び職務について,後記(ア)(イ)の各記載のある契約書案を作成して原告に交付し,原告は特に異議を述べることなく契約書案を承諾し,契約が成立した。 (ア) 雇用期間は,平成8年7月1日から平成9年6月30日まで。平成9年6月1日までにいずれかの当事者から異議がない限り自動的に更新される。 (イ) 職務内容は,被告代表者であるEU側事務局長の個人アシスタント及び情報セクションのアシスタントウ平成8年7月1日から平成9年6月1日まで,いずれかの当事者からも何らの通告もなく,初期契約は自動的に更新された。 その後,平成14年6月末日をもって雇用契約を終了する旨の本件通知まで,原被告間の雇用契約において契約書は作成されず,契約更新の手続は文書によると口頭によるとを問わず,一切行われたことはなかった。また,当事者間において,原被告間の労働契約の期間の定めがあることが確認されたことは,口頭でも文書でも一切なかった。 エ原告は,平成9年6月,平成12年4月,平成13年4月に昇給したが,その際,昇給した金額が記載された給与明細以外の書類は交付されなかった。 オ平成14年1月から11月まで被告の日本の事務所で勤務している者のうち,日本側及 成12年4月,平成13年4月に昇給したが,その際,昇給した金額が記載された給与明細以外の書類は交付されなかった。 オ平成14年1月から11月まで被告の日本の事務所で勤務している者のうち,日本側及びEU側の事務局長各1名合計2名は,管理委員会からの任命による地位であり,契約書は作成されていない。副事務局長各1名の合計2名は,事務局長の指名による地位であり,他の団体との派遣契約により派遣されている者及び期間を1年間とする契約書による者とがいる。被告において正規職員と呼ばれる職員(所定労働時間が短時間のアルバイト職員又は人材派遣会社からの派遣社員以外の者)は,原告を含めて11名おり,そのうち1名は他の団体(JETRO)からの派遣職員である。原告を除く9名は日本人であり,4月1日を開始日とする1年間の有期雇用契約を締結しており,年度末に契約条件を見直し,新たな契約書を作成していた。 原告の賃金は,EU側が負担し,管理監督もEU側が行っていた。 カ原告は,平成14年3月10日付けの書面で,b事務局長に対し,同年4月12日から平成15年2月14日まで育児休業を請求する旨伝えたところ,被告b事務局長は,平成14年3月14日付け書面で,「原被告間の雇用契約は1年契約であり,育児休業は取得できない。」旨回答した。原告は,同年4月5日付けの書面で,「当事者間の雇用契約は期間の定めのない雇用契約である。」旨反論し,両者の主張は平行線をたどった。 (2) (1)イによれば,原告は,被告から,期間の定めが記載された契約書の案を示されてこれを異議なく承諾したものであることが認められるから,初期契約は期間の定めのある労働契約であったものと認めるのが相当である。原告は,「初期契約の契約書には更新拒絶に関する記載がないから,初期契約の期間の定めは業績を評価するため ことが認められるから,初期契約は期間の定めのある労働契約であったものと認めるのが相当である。原告は,「初期契約の契約書には更新拒絶に関する記載がないから,初期契約の期間の定めは業績を評価するための試用期間と解釈すべきであり,初期契約は期間の定めのない労働契約である。原告は,初期契約締結当時,英国大使館でフルタイムの正規職員として勤務していたから,有期雇用を締結することは考えられないし,cもdも1年契約であるとは説明していない。」と主張するが,初期契約は(1)イ(ア)のとおり平成9年6月1日までの更新拒絶の意思表示ができることを予定したものであるし,原告は,雇用期間を1年間と記載した契約書案に同意しているのであるから,原告の主張は採用できない。 (3) 初期契約は,初期契約の(1)イ(ア)の条項によって平成9年7月1日をもって自動的に更新されたが,このことにより,原被告間の労働契約は期間の定めのある労働契約として存続することになったのか,期間の定めのない労働契約として存続することになったのかが問題となる。本件は,初期契約の条項によって契約の更新がされたもので,期間満了の後の就労継続による更新(民法629条1項。いわゆる法定更新)ではないから,更新後の労働契約の期間の定めの有無は,民法の上記条文の解釈の問題ではなく,初期契約における当事者の意思解釈の問題である。そして,当事者の意思は,一次的には当該契約書の文言により客観的に決すべきであるが,これが明らかではないときは,その前後の当事者の行動等により客観的合理的に推認するほかはない。本件では,初期契約の契約書には更新後の労働契約の期間の定めの有無について何ら記載されていないから((1)イ(ア)),その前後の当事者の言動等により客観的合理的に決するほかはないというべきである。この点,被告は 契約の契約書には更新後の労働契約の期間の定めの有無について何ら記載されていないから((1)イ(ア)),その前後の当事者の言動等により客観的合理的に決するほかはないというべきである。この点,被告は,契約書に更新後の期間の定めが明記されていないときは,初期契約と同様の期間を定めて更新されたものとすべきであるとするが,法定更新の場合等に鑑み,一概にそのようにいえないことは明らかであるから,採用できない。 本件では,初期契約の締結後,本件通知までの約6年間書面でも口頭でも更新手続が一切なかったこと((1)ウ),平成14年3月14日付け書面までの間,原被告間の労働契約に期間の定めがあることを確認する手続は一切なかったこと((1)ウエカ),原告の昇給が初期契約の更新時期である7月1日とは無関係な時期に行われていたこと((1)エ),原告以外の有期雇用による従業員は毎年度契約書を作成して更新手続をしていたが,原告には契約書作成はおろか口頭での更新意思の確認すらなかったこと((1)ウオ)を総合すると,初期契約における当事者の意思は,初期契約の更新後は期間の定めのない労働契約として存続することとしたものであったと認めるのが相当である。 被告は,「原被告間の雇用契約は,フランス人であるdの英語の補佐を目的として締結されたもので,cから原告に対し,一時的な雇用であることは説明している。」旨主張し,乙7にはこれに沿う陳述があるが,cが原告に上記説明をしたことを裏付けるに足りる客観証拠はなく,この説明を否定する原告の供述(甲55,原告本人)と対比して採用できない。また,被告は,「被告の財源は,日本側は政府や民間団体からの補助金等によるもの,EU側は1年限りの契約によるもので,いずれも法令上の根拠はない。したがって,被告は1年を越える継続的な支出を想定するこ た,被告は,「被告の財源は,日本側は政府や民間団体からの補助金等によるもの,EU側は1年限りの契約によるもので,いずれも法令上の根拠はない。したがって,被告は1年を越える継続的な支出を想定することはできず,1年を越える労働契約を締結することはできない。」と主張する。確かに,被告の財源は,日本側は政府や民間団体からの補助金等によるもの,EU側は1年限りの契約によるものであることはこれを認めることができる(甲1,42,乙1,被告代表者m及び弁論の全趣旨)。しかし,被告に一会計年度を越えて繰り越される資金が存在することは,甲42,乙6の(4)及び被告代表者mの供述によっても認められるところであって,被告の財源が1年単位で確定することから直ちに被告が1年を越える継続的な支出を想定することができないとまではいえないし,原告に対し,被告が1年を越える労働契約締結はできないことが示されていたと認めるに足りる証拠もないから,採用できない。また,被告が原告に対してのみ更新手続をしなかった理由(第2の3(1)(被告)ア(ア)の5段落目)は,十分に説得的とはいえないものである。 さらに,被告は,「原告の職務が一時的な需要のものであること,被告の財政的な基盤が永続的なものでないこと,EU側の財源により,かつ,EU側事務局長の管理において,英国人である原告が雇用され,英語の契約書が作成されていること,原告には更新時期,更新方法,給与,休暇など日本人職員とは異なった労働条件が適用されており,出勤簿等で出退勤を管理されず,就業規則が適用されず準用されていたことからすれば,原被告間の雇用契約には,日本の契約解釈法理を適用すべきではなく,欧州において,欧州人とEUの組織が締結した雇用契約の解釈と同様の検討をすべきである。そして,欧州における上記雇用契約においては,有 ,原被告間の雇用契約には,日本の契約解釈法理を適用すべきではなく,欧州において,欧州人とEUの組織が締結した雇用契約の解釈と同様の検討をすべきである。そして,欧州における上記雇用契約においては,有期雇用と期限の定めのない雇用契約は明確に区別されていることを考慮すべきである。」等と主張するが,前記のとおり,契約の解釈は契約書の文言等により客観的合理的に解すべきであるから採用できない。また,被告が主張する「欧州において,欧州人とEUの組織が締結した雇用契約の解釈と同様の検討」とは,具体的にいかなる法理による検討を指すのかも明確ではない。さらに,被告の上部団体である財団法人貿易研修センターの職員に適用され,被告の従業員に準用されていた就業規則(被告代表者mの供述によって認める。)は,日本の労働法を適用する旨定めていること(甲5)に照らしても,被告の上記主張は採用できない。 (4) 以上から,原被告間の労働契約は,平成9年7月1日以降,期間の定めのない労働契約として存続していたものであるから,その余の点について検討するまでもなく,解雇権濫用法理の適用があり,かつ,原告は,育児介護休業法2条1号にいう「労働者」に該当するというべきである。 2 争点(2)(本件通知による解雇の有効性)について(1) 前記第2の1(5)及び甲11によれば,本件通知は,「平成14年6月末日までに原被告間で雇用関係について合意が得られないときは,原被告間の雇用契約を更新しない。したがって,現在の契約は終了することとなる。」旨の通知であり,平成14年6月末日をもって労働契約を終了する旨の意思表示を含むから,更新拒絶の意思表示とともに,予備的には解雇の意思表示を含むものと認められる。 そこで,本件通知が解雇の意思表示として有効かが問題となる。 (2) 前記第2の1の前提事 する旨の意思表示を含むから,更新拒絶の意思表示とともに,予備的には解雇の意思表示を含むものと認められる。 そこで,本件通知が解雇の意思表示として有効かが問題となる。 (2) 前記第2の1の前提事実,後掲証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の各事実が認められるア被告の事業内容被告は,日本とEUとの貿易・投資の不均衡を是正し,日本とEUとの経済関係の一層の緊密化を図る目的で設立された。被告は,平成13年現在,東京とベルギーのブラッセルにそれぞれ事務所を設置していた。 被告には,(ア)受入研修事業(EU企業の幹部を対象として,日本の企業実務を理解させる目的で,現場研修を含む研修を行う事業),(イ)トピカル・ミッション事業(EU企業を対象としたテーマ別短期研修を行う事業),(ウ)ヴルカヌス・プログラム事業(理工学系の学部生及び大学院生を対象に,日本とEUとで相互に派遣研修を行う事業),(エ)情報提供事業(日欧間の貿易・投資を促進するため,両者の経済・投資に関する各種の問い合わせについて,調査し回答する業務),(オ)ラウンド・テーブル事業(日欧の産業人による協議会を開催する事業),(カ)代替エネルギー事業(環境負荷の少ない新エネルギーの開発研究及び導入に関する事業)があった。 イ被告の財政基盤被告は,日本側の拠出並びに欧州委員会からの補助金による共同資金によって運営されてきた。日本側の拠出の財源は,日本政府の補助金,自転車協会及び企業からの寄付金の3つに分かれていた。 被告の支出については,f・g合意という民間人同士の合意によるルールがあり,日本政府と欧州委員会がこれをできるだけ尊重する形でそれぞれ拠出を行ってきた。その内容は,基本的には「事務所の賃料は所在地側が負担し,他の事業費は日欧で折半する。」といったものであるが,事業費や り,日本政府と欧州委員会がこれをできるだけ尊重する形でそれぞれ拠出を行ってきた。その内容は,基本的には「事務所の賃料は所在地側が負担し,他の事業費は日欧で折半する。」といったものであるが,事業費や費目によってさらに複雑な取決めがあった。たとえば,研修,情報提供などの被告の事業に要する個別の支出は,基本的に日欧で折半し,他方,東京事務所の借館料,日本側事務局長の交通費など日本側に関係する経費は日本側が,EU側事務局長の交通費,事務局長のアシスタントの賃金などEU側に関係する経費はEU側がそれぞれ全額負担することとなっていた。 このように,日本側及びEU側がそれぞれ全額負担する支出が存在するため,日欧の出資額は完全に五分五分ではなく,1988年から95年までは,日本側が全体の6割強,EU側が全体の4割弱を支出し,96年から2001年までは,日本側が全体の5割強,EU側が全体の5割弱を支出していた。 (甲1,乙1,弁論の全趣旨)ウ平成13年度の状況日本経済の低迷に伴い,日本政府の補助金及び日本の民間企業からの寄付は減少傾向となった。これらの日本側収入(ただし,代替エネルギー事業の収入を除く。)は,平成12年度の約2億1610万円であったのが,平成13年度は約1億7480万円に減少した。 平成13年度(平成13年4月1日から平成14年3月31日まで)の被告の決算は,収入の合計が約4億6754万円(そのうち900万円は日本側の運営強化資金取崩収入による。これは前年度の繰越金ではない。),支出の合計は約4億6655万円であり,次年度繰越金は約1億5239万円であった。 被告代表者mは,平成13年10月19日,原告を含めた東京事務所の職員に対し,「日本政府の補助金が平成14年度において30%減少し,自転車協会及び企業からの寄付金は減少傾向 5239万円であった。 被告代表者mは,平成13年10月19日,原告を含めた東京事務所の職員に対し,「日本政府の補助金が平成14年度において30%減少し,自転車協会及び企業からの寄付金は減少傾向にある。そのため,支出のリストラが必要であり,受入研修事業を年1回とし,セミナールームの賃借りを辞めることを検討している。」旨説明した。 しかし,被告が東京で賃借りしていたセミナールームの賃貸借は,平成14年度も引き続き行われた。 (甲42,乙4の(1)(2),6の(3)(4),被告代表者m)エ h・i会談平成13年12月21日,経済産業省のh経済審議官と欧州委員会のi企業総局長が公式に会談した。その際,h審議官は「日本政府の予算が減少するなかで,被告の存在意義が日本政府内で問われている。政策決定では,来年度の予算は約10%減少する。被告設立の目的であった貿易摩擦の問題は過去のものとなった。どのような業務が出資者である納税者及び業界等に対し正当化できるのか,被告の業務を緊急に見直す必要があり,そのための協議体を設置する必要がある。」旨提言した。これに対し,i企業総局長は,日本側における業務見直しに同意したが,日本政府が予算又は留保金を通じて,被告の平成14年度の支出を確保することを要請した。h審議官は,「EUとの何らかの約束なしに何かを辞めるということはできない。来年度の前半の活動を継続する予算を確保するよう努力する。ただし,現状では被告の活動の規模が縮小される可能性がある。」旨述べた。 これを受けて,日本とEUの審議官クラスの協議体としてのタスクフォース(対策協議会)が作られた。平成14年4月に作成されたタスクフォースレポート(対策協議会報告書)は,f・g合意の帰結として,受入研修事業等を行う日本側の負担が大きくなっていることを指摘し クフォース(対策協議会)が作られた。平成14年4月に作成されたタスクフォースレポート(対策協議会報告書)は,f・g合意の帰結として,受入研修事業等を行う日本側の負担が大きくなっていることを指摘し,対策として,「職員数の削減,日本が負担することとなっている東京における賃料の削減,事業の見直し,全体的な経費の削減及び日欧の負担割合の変更を検討すること」が提案された。 (乙25,26)オ東京事務所の人員東京事務所には,日本側とEU側の事務局長各1名,副事務局長各1名の合計4名が管理者として配置されていた。 平成14年当時,上記管理者以外にフルタイムで東京事務所で勤務していた職員(派遣会社からの派遣社員を除く。)は,原告を含めて11名おり,そのうち1名は他の団体からの派遣職員,残り10名のうち,原告を除く9名は,日本人であり,1年間の有期雇用契約者であった。平成14年3月当時は,上記以外に,フルタイムの派遣社員2名,パートタイムの有期雇用者1名,パートタイムの派遣社員1名がいた。管理者以外では,EU側の財源のみにより雇用されているのは原告だけであった。 情報提供事業の管理者であったlが平成13年11月中旬退職したため,被告は,情報提供事業に従事する職員を同年末に募集し,同年12月,eを採用した。 短期研修コース担当のn及び研修課長のoが平成14年6月末に退職し,研修のプログラム担当のpが同年4月に退職した。n及びpは1年間の有期契約による雇用であり,oは,他の団体(JETRO)からの派遣職員であった。 トピカル・ミッション事業と情報提供事業の補佐を行っていたパートタイム(週20時間)の派遣社員kが平成14年3月末退職したため,被告は,その後任としてフルタイムの派遣社員としてjを平成14年4月から採用した。さらに,平成14年7月から の補佐を行っていたパートタイム(週20時間)の派遣社員kが平成14年3月末退職したため,被告は,その後任としてフルタイムの派遣社員としてjを平成14年4月から採用した。さらに,平成14年7月からトピカル・ミッション事業及び情報提供事業を担当するフルタイムの派遣社員1名が,同年9月からラウンド・テーブル事業及びヴルカヌス・プログラム事業を担当するフルタイムの派遣社員1名が,それぞれ被告に採用された。 平成14年当時フルタイムで東京事務所で勤務していた職員(派遣会社からの派遣社員を除く。)11名のうち,平成14年度に解雇ないし雇止めされたのは,原告のみであった。 (乙1,2の(1)(2),3,甲44ないし47)カ原告の賃金の負担,職務等原告の賃金は,EU側が全額負担し,人事管理もEU側が行っていた。 初期契約では,被告代表者であるEU側事務局長の個人アシスタント及び情報セクションのアシスタントが原告の職務とされていたが,平成13年6月まで原告が実際に行っていた主な職務は,①仏語を母国語とする前事務局長dの英語の補佐やファイリング等の秘書的業務,②セミナーの準備業務,③被告のウェッブページ及びデータベースの更新業務,④ニュースレターの編集発行,⑤会議の議事録の作成等であった。 dは平成13年5月に退任し,原告は同年4月に賃金を昇給された。 b事務局長は,同年8月1日,dの後任として東京事務所に赴任した。b事務局長は,原告の職務内容について検討し,①英語を母国語とするb事務局長は原告の英語の補佐は必要なく,また,自らITシステムを操作できるので,秘書的業務の必要性は高くないこと,日本語の補佐は必要であったが,原告にはその能力はないこと,②セミナーの準備業務において,原告の果たしてきた役割は補佐的なものであって日本人職員により支障なく で,秘書的業務の必要性は高くないこと,日本語の補佐は必要であったが,原告にはその能力はないこと,②セミナーの準備業務において,原告の果たしてきた役割は補佐的なものであって日本人職員により支障なく行われること,③被告のウェッブページ及びデータベースの更新の仕事は業務量が多くなく,格別の英語力は必要なく,日本人職員でも処理できること,④ニュースレターの編集発行も同様であること,⑤会議の議事録も日本人職員でも処理できること,他方,原告の給与水準は低くないことから,原告の労働条件の見直しが必要であると考えた。b事務局長は,平成13年10月ころ,原告と面接し,原告の職務内容の検討結果について説明し,原告の職務に照らし賃金水準が高すぎる旨指摘したが,原告は賃金減額には応じない旨答えた。 b事務局長は,原告に対し,平成14年3月に被告をやめたk(トピカル・ミッション事業と情報提供事業の補佐を担当),同年4月にやめたp(研修のプログラム担当),同年6月にやめたn及びo(いずれも研修事業担当),同年4月から被告の業務に従事したj(kの後任),同年7月から被告の業務に従事した派遣社員(トピカル・ミッション事業及び情報提供事業担当),同年9月から被告の業務に従事した派遣社員(ラウンド・テーブル事業及びヴルカヌス・プログラム事業担当)の担当していた各業務をやるつもりがあるかを打診せず,これらの業務を行わせることも検討しなかった。ただし,b事務局長及びm事務局長のみたところ,原告の日本語能力には限界があり,情報提供事業の管理業務(被告における「インフォメーション・オフィサー」の業務)や,その他の各事業のリーダーを担当させることはできなかった。 (甲55,乙8,被告代表者b,被告代表者m,弁論の全趣旨)キ被告の運営資金拠出方法の見直し平成14年秋には, オフィサー」の業務)や,その他の各事業のリーダーを担当させることはできなかった。 (甲55,乙8,被告代表者b,被告代表者m,弁論の全趣旨)キ被告の運営資金拠出方法の見直し平成14年秋には,日本側拠出が減少していることを受け,対等額であった支出割合を日本側4割,EU側6割に変更することが事実上合意され,被告の財政上の問題は解決された。この合意は,被告の経費削減による自助努力を前提としたものであった。 (3)ア被告は,本件通知は被告の財政上の危機による人員削減としてなされた旨主張しているので,本件通知による解雇は,いわゆる整理解雇に当たるものである。整理解雇がもっぱら使用者側の都合でなされ,解雇される労働者側に落ち度はないこと,また,労働者は自らに落ち度がない限り雇用され続けると考えるのが普通であり,この信頼を保護すべきであることから,整理解雇が有効であるためには,人員削減の必要性があることとともに,人員削減の必要性の程度に応じて当該解雇を是認できるだけの解雇回避努力がされていることが必要である。これらが認められない場合には,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当として是認できないから,権利の濫用として無効になるというべきである。 イ本件についてみると,日本政府やEUからの補助金等により事業を運営してきた被告において,平成13年度に日本側の拠出が減少したこと,その結果日本側の留保金の取崩しが約900万円必要になったこと,翌年度には日本側拠出の減少がさらに見込まれたこと,これを受けて日本政府及び欧州委員会の関係者が対策協議を行い,被告の業務の見直しと経費削減を提言したことが認められるから((2)イウエ),平成14年度初めころ当時,被告に経費削減の必要性があったことは認められる。しかし,上記提言が指摘したのは,受入研修事業等を行 の業務の見直しと経費削減を提言したことが認められるから((2)イウエ),平成14年度初めころ当時,被告に経費削減の必要性があったことは認められる。しかし,上記提言が指摘したのは,受入研修事業等を行う日本側の負担の増大であり((2)エ),被告が平成13年度に一会計年度における事業費の3分の1にあたる約1億5000万円の繰越金を全体として計上していること((2)ウ),日欧の負担割合を4対6に変更することにより財政上の問題が解決したこと((2)キ)に照らすと,財政上の問題があったのはもっぱら日本側の支出であったと認められ,EU側が人件費を全額負担する人員を削減する必要性は相対的に低かったものと認められる。なぜなら,EU側負担による人員を削減し,日本側が人件費を一部でも負担している人員に,その業務の一部なりともさせることになれば,最も避けたい日本側負担の増大を招く結果となるからである。また,英語を母国語とするb事務局長の就任により英語に関する事務局長に対する補佐が不要となったこと等,原告の担当職務は,前任のdの時代よりも減少したものと認められるが,セミナーの準備業務,被告のウェッブページ及びデータベースの更新,ニュースレターの編集発行及び会議の議事録の各業務は存在し((2)オ),ただそれが英語のネイティブスピーカーの原告にしかできない業務とはいえなかったというにすぎない。したがって,仮に原告の賃金がその担当職務に照らし比較的高額であり,原告が賃金減額を拒否していたとしても,EU側の財源で雇われている原告について,人員削減の必要性は高いとはいえないと認められる。 他方,対策協議の提言及びm事務局長の発言において日本側負担の冗費削減のために最も検討すべきとされた東京のセミナールームの賃貸借の解除は行われておらず((2)ウエ),被告の解雇回避努力 められる。 他方,対策協議の提言及びm事務局長の発言において日本側負担の冗費削減のために最も検討すべきとされた東京のセミナールームの賃貸借の解除は行われておらず((2)ウエ),被告の解雇回避努力は十分とはいえない。また,被告は,平成13年12月以降,5名の退職者(l,k,p,n,o)が発生した後,平成14年7月までに3名(e,j,他1名)を新規に被告の業務に従事させているところ,原告にその一部を割り当てることを打診すらしていない((2)オカ)。jの業務は補佐的な業務であり,原告の日本語能力や資質の限界ゆえに情報提供業務の管理者や事業のリーダーを担当させることができなかったこと((2)カ)を考慮しても,解雇回避努力がなされていないというべきである。また,期間の定めのない労働契約によって雇用されていた原告が,短期間の派遣職員であったj及び上記他1名の受入れゆえに,被告の業務にとって剰員となったと評価できないことはもちろんである。 (4) 以上から,本件通知による解雇は,人員削減の必要性が高くなく,人員削減の必要性の程度に応じて当該解雇を是認できるだけの解雇回避努力がされたとはいえないから,その余の点について判断するまでもなく,客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当として是認できず,権利の濫用として無効になるというべきである。 3 争点(3)(育児休業申請の拒否及び本件通知による不法行為の成否)について(1) 証拠(甲6ないし9,11,12,15,48ないし55,乙8,17,22)及び弁論の全趣旨によれば,以下の各事実が認定できる。 ア原告は,第3子を懐妊し,平成13年12月14日から平成14年4月14日まで産前産後休暇を取得し,同年2月15日,第3子(二女)のaを出産した。原告は,当初,産後休暇明けに職場に復帰するつもりであったが, ,第3子を懐妊し,平成13年12月14日から平成14年4月14日まで産前産後休暇を取得し,同年2月15日,第3子(二女)のaを出産した。原告は,当初,産後休暇明けに職場に復帰するつもりであったが,ベビーシッター兼家政婦の女性が辞めることになったため,育児のため休暇をとる必要が生じた。原告は,同年3月10日付け文書で,b事務局長に対し,同年4月12日から平成15年2月14日までの間の育児介護休業法に基づく育児休業を請求した(甲15)。b事務局長は,原告に対し,平成14年3月14日付け文書で,「原被告間の雇用契約は,期間1年の有期雇用なので育児介護休業法の適用はない。原告の職務がなくなっている現状において,原告との雇用契約は同月6月末で終了し,更新しないが,特例として,同月末まで出社がなくても給料を引き続き支払うことを提案する。」旨回答した(甲6)。原告は,同年4月5日付けの文書で,b事務局長に対し,「原告は,平成9年7月1日からは正規職員として被告に雇用されてきた。育児休業の資格があるので,早急に返事を頂きたい。」旨伝えたところ(甲9),b事務局長は,平成14年4月11日付け文書で,「原告と被告の雇用契約は,1年の有期雇用契約であり,1年毎に更新されてきた。被告の予算のため,原告の職を保証することはできない。原告が出社しなくても同年6月末までの賃金を支払う。」旨伝えた。 イ同年4月17日,原告とb事務局長は,原告の雇用問題について話し合う約束であったが,原告は,申請した育児休業が認められなかったことから,同月15日及び同月16日出勤した。その際,原告の机は配置されておらず,パソコンも用意されていなかった。 同月17日,原告とb事務局長は話し合ったが,原被告間の労働契約に期間の定めがあるか否かで対立し,合意はできなかった。b事務局長は 際,原告の机は配置されておらず,パソコンも用意されていなかった。 同月17日,原告とb事務局長は話し合ったが,原被告間の労働契約に期間の定めがあるか否かで対立し,合意はできなかった。b事務局長は,同月18日,同月17日付け書面で,原告に対し,「契約上の雇用身分については,原告とは見解が異なるが,この問題で現在の原告を煩わせたくないと思う。そこで,原告の希望するとおり,平成13年2月14日までの無給の特別休暇を与える。特別休暇が終わり原告が職場に戻ったときに,原告の労働条件について話合いをする。現時点では,原告が職につくことは同意できるが,従前の職務のすべて又は一部につくことは約束できない。」旨伝えた(甲8)。原告は,これに対し,b事務局長に対し,「原告は正規職員であり,育児休業を取得する権利があるので,受け入れられない。」旨回答した。 ウその後,原告が依頼した代理人中野比登志弁護士と被告代理人末啓一郎弁護士が交渉し,同年5月17日,原告側から「原告は平成15年6月30日まで正規職員として被告に雇用される。原告は,同日,被告を退職する。原告は,同日までの賃金を被告に出勤することなく受領できる。」旨の提案がなされ(乙17),被告側から「平成15年6月30日に雇用契約は終了する。被告は平成15年2月13日までの育児休業を原告に認める。原告は同月14日から6月30日まで出勤することなく,出勤した場合と同等の賃金を被告から受領できる。」旨の提案がされたが(乙9),いずれも最終的な合意には至らなかった。平成14年5月29日付けで本件通知がなされ,同月末ころ,中野比登志弁護士は原告との意思疎通を欠いたため原告代理人を辞任した。同年6月17日ころ,林陽子弁護士が原告代理人となり,末啓一郎弁護士との交渉が続けられたが,有期雇用か否か,育児休業の権利 末ころ,中野比登志弁護士は原告との意思疎通を欠いたため原告代理人を辞任した。同年6月17日ころ,林陽子弁護士が原告代理人となり,末啓一郎弁護士との交渉が続けられたが,有期雇用か否か,育児休業の権利があるか否かをめぐって双方の主張は対立し,同月末日までに合意には至らなかった。 原告は,育児休業が認められない以上出勤する必要があると考え,第3子をベビーシッターに預け(なお,原告の第1子と第2子は産前休暇以前から保育園に通園していた。),平成14年4月15日から同年5月20日まで,及び,同年6月1日から同年7月2日ころまで,数日の休暇をはさみつつ被告の事業所に出勤したが,満足な仕事は与えられなかった。被告は,同月7月2日ころ,「原告と被告との労働契約は前月30日で終了したことを確認したい。」旨のメモを原告に交付し,原告は出勤を辞めた。 (2) 育児休業申請に対する被告の対応による不法行為の成否ア育児休業申請に対する被告の対応の違法性について(ア) (1)から,原告が育児介護休業法に基づく育児休業の申出をしたところ,被告がこれを拒んだこと,原告と被告とで当事者間の労働契約が実質的に期間の定めのあるものか,期間の定めがあるとしても期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態であるかについて見解の対立があり,育児介護休業法2条1号の「労働者」といえるかについて争いが生じたこと,被告が,原告の申請した育児休業期間に入った数日後,「この争いについてはひとまず措いて,原告が申請したのと同じ期間内の特別休暇を付与すること。その期間経過後に雇用条件について協議すること。被告は,原告が職につくことは同意できるが,従前の職務のすべて又は一部につくことは約束できない。」旨提案したことが認められる。 (イ) 被告は,上記特別休暇の提案は,実質的に育児介護休業法 すること。被告は,原告が職につくことは同意できるが,従前の職務のすべて又は一部につくことは約束できない。」旨提案したことが認められる。 (イ) 被告は,上記特別休暇の提案は,実質的に育児介護休業法による育児休暇を与える旨の申出をしたと評価できると主張するので検討する。 (ウ) 育児介護休業法による育児休業の権利は,労働者等がそれぞれ職業生活の全期間を通じてその能力を有効に発揮して充実した職業生活を営むとともに,育児について家族の一員としての役割を円滑に果たすことができるようにすることをその本旨とする(同法1条,3条1項)。それゆえ,育児休業は,使用者において法定の除外事由がない限りこれを拒むことができないとされ(6条1項本文),休業時期の変更は法定の場合以外にはできないとされ(7条),育児休業をしたことを理由とする不利益取扱が禁止され(10条。なお,同条項は,平成13年11月9日成立した育児介護休業法の一部を改正する法律により明文化されたものであるが,平成13年11月16日から施行されている。),事業主は,育児休業中の待遇や育児休業後の賃金,配置その他の労働条件に関する事項等について,あらかじめ定め,これを周知させるための措置を講じる努力義務を負うし(21条1項),事業主は育児休業の申出をした労働者に対し,育児休業中の待遇や育児休業後の賃金,配置その他の労働条件に関する事項等についての当該労働者に係る取扱いを明示する努力義務を負っている(21条2項)。そして,育児休業中は原則として無給とされるが,前記育児介護休業法の趣旨を受けて,雇用保険法上育児休業給付を受給する資格があるときは,休業前賃金の40パーセントに当たる育児休業給付を受給できることとされ(雇用保険法61条の4以下),また,健康保険等の社会保険の保険料についても,事業主の申出 児休業給付を受給する資格があるときは,休業前賃金の40パーセントに当たる育児休業給付を受給できることとされ(雇用保険法61条の4以下),また,健康保険等の社会保険の保険料についても,事業主の申出により免除を受け得ることとされている(健康保険法159条等)。 したがって,育児休業と実質的に同等であるというためには,上記の要件をすべて満たすものか,満たし得るものでなければならないところ,上記特別休暇の提案は,育児休業後の労働条件について明示していないというだけではなく,育児休業後の賃金その他の労働条件を変更することが前提となっており,不利益取扱いを受けない保障がないものであり,かつ,休業期間についても数日の変更を伴うものであるから,育児休業と同等の休暇の付与とはいえない。 (エ) 使用者は,育児介護休業法2条1号の「労働者」に対しては,法定の除外事由がない限り,育児休業申請を拒んではならないのであり(6条1項本文),被告が原告の育児休業申請の拒否し,上記特別休暇の提案しか行わなかった行為は,違法の評価を免れないというべきである。 なお,育児休業復帰後の雇用終了を原告が受け入れることを条件としてなされた育児休業付与の提案(乙9)が,育児休業介護法に基づく育児休業の付与といえないことは,同法10条に照らし,いうまでもないことである。 (オ)a 被告は,「原告は,被告との交渉中,被告が申し出た特別休暇と育児休業との違いについて具体的に指摘することはしなかったから,違法はない。」等と主張するが,育児介護休業法が育児休業を権利として保障していることからすれば,被告において特別休暇が育児休業と異ならないことを原告に説明すべきであるし,前記ア(ウ)のとおり,被告の特別休暇の申出自体,育児休業と同等の休暇の付与であるとはいえないから,採用できない。 b ば,被告において特別休暇が育児休業と異ならないことを原告に説明すべきであるし,前記ア(ウ)のとおり,被告の特別休暇の申出自体,育児休業と同等の休暇の付与であるとはいえないから,採用できない。 b 被告は,「被告の財政的な危機により,原告の雇用継続や雇用条件を見直す話合いをしていたのであるから,復帰後の身分を示さないことに理由があり,努力義務である育児介護休業法21条に違反するとはいえない。」と主張するが,被告の申し出た特別休暇が育児休業付与と同等といえるかの問題は,休暇復帰後の身分を示さないことの当否とは別の問題であるし,被告が復帰後の身分を財政上の問題により示すことができなかったとしても,そのことを理由に育児休業を拒否できるとはいえないから,採用できない。 c さらに,被告は,「期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態となっているか否かにつき当事者間に争いがある事案において,使用者側が特別休暇の提案をし,労働者側に生じる不利益を極力回避しようとしたにもかかわらず,期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態であることを前提とした育児休業を付与しないことをもって違法であると評価されるのであれば,使用者に対し,育児休業を要求する側の法的見解を常に受け入れることを強要する結果となる。」等と主張する。たしかに,当事者間において,期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態となっている場合か争いがある事案において,当該労働者の育児休業の権利の存否が争われた場合には,期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態となっているか否かは一義的に明確とはいえない場合があり,使用者にとって困難な対応を迫られることがあり得ることは被告の主張のとおりである。しかし,一義的に明確といえないのは,不法行為の成立要件である違法性そのものについていえることであ えない場合があり,使用者にとって困難な対応を迫られることがあり得ることは被告の主張のとおりである。しかし,一義的に明確といえないのは,不法行為の成立要件である違法性そのものについていえることであるから,判断に困難が伴うことの一事をもって,使用者に対する育児休業受入れの強要を招来するとはいえないし,前記1(1)のとおりの事実関係(契約が6年間継続し,更新の手続がなかったこと。)のもとでは,原被告間の労働契約が,期間の定めの有無は別として,少なくとも,有期雇用であっても期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態となっていることは,容易に判断できたというべきであるから,被告の主張は採用できない。 イ被告の故意過失原告と被告との間の労働契約が6年間継続し,その間更新の手続がなかったことは,当事者間に争いがないから,被告代表者b事務局長は,この事実を知っていたか,知り得たと推認できる。そして,これらの事実を認識していれば,原告と被告との労働契約が,期間の定めの有無は別として,期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態となっていることは容易に判断できるから,このような事実を認識しつつ,原告に対する育児休業の付与を拒否したb事務局長には,故意又は過失がある。 ウ原告の損害被告の育児休業付与の拒否によって,原告は生後2か月の第3子を預けて,平成14年4月15日から同年5月20日まで,及び,同年6月1日から同年7月2日ころまで,休暇をはさみつつ東京事務所に出勤せざるを得なかったこと,出勤しても仕事をほとんど与えられず,同年4月15日及び同月16日に出勤した際には,机もパソコンもない状態であったこと等を総合すると,原告の精神的苦痛による損害は,労働契約上の権利を有する地位の確認及び賃金の支払のみによっては補填されないというべきである。 に出勤した際には,机もパソコンもない状態であったこと等を総合すると,原告の精神的苦痛による損害は,労働契約上の権利を有する地位の確認及び賃金の支払のみによっては補填されないというべきである。 他方,被告が,原告の雇用身分が正規職員であることについて異議を止めつつ原告の育児の便宜のため特別休暇の付与を申し出たこと,被告が代理人弁護士を通じて退職に伴う補償を含んだ和解案を提案する等解決に向けての一応の努力を行ったこと等をも一定考慮すると,被告の行為と因果関係のある原告の精神的苦痛の慰謝料は,40万円とするのが相当である。また,原告の日本語能力に限界があり,代理人弁護士を依頼しなければ被告との交渉及び訴訟追行が困難であったこと等に照らすと,原告の支出した弁護士費用のうち被告の行為と相当因果関係のある損害として,10万円を認めるのが相当である。 エ被告は,「原告は,期間の定めのない労働契約である旨の自己の主張が受け入れられないことを不服として,被告の申し出た特別休暇を取得しなかったのであるから,被告の行為と原告の精神的苦痛との間に因果関係はない。」旨主張するが,被告の特別休暇の申出が,雇用条件の見直しを前提とし,かつ,特別休暇を取得することによる不利益取扱いについて疑念を払拭できないものである以上,原告がこの申出を拒んだことは理由があるし,被告の申出を拒んだ原告が産休明けに出勤しなければ,出勤しないことによる不利益取扱いを受けないという保障はなかったのであるから,原告が育児休業を取得できず産後休暇明けから出勤せざるを得なかった精神的苦痛と,育児休業申請に対する被告の前記対応とは,相当因果関係にあるというべきである。被告の主張は採用できない。 4 争点(4)(本件通知による不法行為の成否)について前記2(4)のとおり,本件通知は,解雇権を 業申請に対する被告の前記対応とは,相当因果関係にあるというべきである。被告の主張は採用できない。 4 争点(4)(本件通知による不法行為の成否)について前記2(4)のとおり,本件通知は,解雇権を濫用したものであり,解雇として無効であり,原告の労働契約上の権利を侵害するものとして違法である。しかし,本件通知による原告の精神的苦痛による損害は,解雇後の賃金の支払及び労働契約上の権利を有する地位の確認によって補填,慰謝されると認められるから,本件通知による慰謝料請求及び弁護士費用請求は理由がない。 5 まとめ以上から,原告の請求のうち,(1) 原告が,被告に対し,労働契約上の権利を有する地位にあることの確認,(2) 平成14年7月1日以降の賃金及び賞与(ただし,甲3によれば,通勤手当は現実に就労し通勤した者に対する実費弁償の性質を有すると認められるから,これを除外する。また,同じく,賞与の算定の基礎に通勤手当は含まないものと認める。)として,平成14年7月16日から本判決確定に至るまで,毎月16日に42万1500円,毎年3月16日に21万0750円,毎年6月16日に92万7300円,毎年12月16日に105万3750円及び各支払期日の翌日から支払済みまでの遅延損害金,(3) 不法行為(育児休業付与の拒否)に基づく損害賠償請求として50万円及びこれに対する不法行為後の平成14年7月1日から支払済みまでの遅延損害金は理由があるから,これを認容し,原告のその余の請求は理由がないから棄却し,訴訟費用については民訴法64条本文ただし書,61条を適用し,仮執行宣言の申立てについては,訴訟費用についてはその必要がないのでこれを付さないこととし,その余の原告勝訴部分についてはこれを付すこととし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第19部裁 仮執行宣言の申立てについては,訴訟費用についてはその必要がないのでこれを付さないこととし,その余の原告勝訴部分についてはこれを付すこととし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第19部裁判官伊藤由紀子

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