- 1 -平成11年(行ケ)第192号商標登録取消決定取消請求事件判決原告X代表者代表取締役A訴訟代理人弁護士飯田秀郷同栗宇一樹同和田聖仁同早稲本和徳同久保田伸同秋野卓生同七字賢彦被告特許庁長官B指定代理人C同D同E同F被告補助参加人ザポロ/ローレンカンパニー,リミテッドパートナーシップ代表者G訴訟代理人弁理士H同I同J主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は、補助参加によるものも含めて、原告の負担とする。 事実 第1原告が求める裁判「特許庁が平成9年異議第90709号事件について平成11年5月27日にした決定を取り消す」との判決。 第2原告の主張 特許庁における手続の経緯原告は、上段に「POLOCITY」の欧文字を、下段に「ポロシティー」の片仮名文字をそれぞれ横書きしてなり、旧第17類「被服布製見回品寝具類」を指定商品とする登録第4041602号商標(平成3年4月15日登録出願、平成9年8月15日設定登録。以下「本件商標」という)の商標権者である。 。 被告補助参加人は、平成9年12月12日に本件商標の商標登録について登録異議の申立てをした。 特許庁は、これを平成9年異議第90709号事件として審理した結果、平成11年5月27日に「登録第4041602号商標の登録を取り消す」との。 決定をし、同年6月16日にその謄本を原告に送達した。 決定の理由別紙決定書の理由(一部)写しのとおり(なお、決定には「POLO」と、Poloの双方の文字が使用されているが本件商標に即して以下すべてP「」、、「OLO」と表記する)。 決定取消事由(1)特許庁は、平成4年9月21日に、 は「POLO」と、Poloの双方の文字が使用されているが本件商標に即して以下すべてP「」、、「OLO」と表記する)。 決定取消事由(1)特許庁は、平成4年9月21日に、本件商標は商標法4条1項15号に該当するとの理由で登録出願の拒絶査定をしたが、平成9年5月6日に、本件商標の登録出願は査定に示されている理由によって拒絶することはできないとして、同査定を取り消す旨の審決をした。しかるに、決定は、審決以降どのような事情の変更があったのか何ら認定しないままに、本件商標は商標法4条1項15号に該当するとして本件商標の商標登録を取り消したものである。 このように、同一の商標の登録出願の可否について、合理的な理由を示すことなく短期間内に審決と正反対の結論を示すことは、法的安定性に反し、商標登録の可否に関する予測可能性を奪うものである。したがって、決定は、合理的理由を欠くものであって、理由不備の違法があるというべきである。 (2)決定は「POLO」の文字を含む標章はKのデザインに係る被服等につ、- 2 -いて使用される標章として遅くとも昭和55年ころまでにはわが国において広く知られるに至っていた旨を説示したうえ、本件商標をその指定商品に使用すると、取引者・需要者は「POLO」の文字部分に強く印象付けられ、その商品をKと経済的または組織的に何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがある旨判断している。 しかしながら「POLO「ポロ」は伝統的なスポーツの一つを表す普通名称と、」,して知られており、とりわけ、同スポーツに使用されることを語源とする「ポロシャツ」は、ある種のカジュアルウェアを表す普通名称として広く知られているから「POLO「ポロ」の標章は、少なくとも被 」,して知られており、とりわけ、同スポーツに使用されることを語源とする「ポロシャツ」は、ある種のカジュアルウェアを表す普通名称として広く知られているから「POLO「ポロ」の標章は、少なくとも被服等については自他識別、」,力を有しない。それゆえにこそ、Kがデザインした被服等には「POLO」の文字のみの標章が使用されることはめったになく「POLORalphLauren「POLOby、」,RalphLauren」あるいは「乗馬したポロ競技者がマレットを振り上げている図形」といった標章が、単独で又は組み合わされて使用され、それによって自他識別力を得ているのである。 そして、現在わが国には「POLO」の文字を含む登録商標あるいは登録出願中の商標(以下「Kと無関係の「POLO」の文字を含む商標」という)が数多く存。 在し、それらはいずれも「POLO」の文字と、それ以外の文字あるいは図形と、の組合わせによって自他識別力を有するものであって、取引者・需要者も、Kの業務に係る商標とKと無関係の「POLO」の文字を含む商標とを完全に識別している。 以上のとおりであるから、本件商標をその指定商品に使用すると出所の混同を生ずるおそれがある旨の決定の判断は、取引の実情に反するものであって、誤りである。 第3被告の主張原告の主張1,2は認めるが、3(決定取消事由)は争う。 決定の認定判断は正当であって、これを取り消すべき理由はない。 原告は、同一の商標の登録出願の可否について短期間内に正反対の結論を示すことは法的安定性に反し、商標登録の可否に関する予測可能性を奪うものであるから、決定は合理的理由を欠き、理由不備の違法がある旨主張する。 しかしながら、登録異議申立ての制度は、登録の適否を重ねて審理し、瑕疵のある登録商標を排除することによって る予測可能性を奪うものであるから、決定は合理的理由を欠き、理由不備の違法がある旨主張する。 しかしながら、登録異議申立ての制度は、登録の適否を重ねて審理し、瑕疵のある登録商標を排除することによって商標登録に対する信頼を維持することを目的とするものである。 したがって、登録異議の申立てを受けて重ねて審理した結果、査定あるいは審決と異なる決定をすることは制度自体が予定するところであるから、原告の上記主張は失当である。 原告は「POLO「ポロ」の標章は少なくとも被服等については自、」,他識別力を有しない旨主張する。 しかしながら、乙号各証によれば、Kデザインの被服等に使用されている標章は「POLObyRalphLauren」の文字や、乗馬したポロ競技者がマレットを振り、上げている図形、あるいはこれらを組み合わせたものであって「POLO」の文、字を単独で用いたものではないが、わが国においてはこれを「POLO「ポロ」」,と略称してきていることが明らかである。そして、競技としての「POLO「ポ」,ロ」がわが国においてはほとんどなじみがないことに鑑みれば「POLO「ポ、」,ロ」の標章は、遅くとも昭和55年ころまでにはKの業務に係る商品の標章として広く認識され、その認識の度合いは現在まで継続しているとみるべきである。そうすると、たといKがデザインした被服等に「POLO」の文字のみの標章が使用されることがなくとも、本件商標をその指定商品に使用すると取引者・需要者は「POLO」の文字部分に強く印象付けられる、とした決定の判断に誤りはない。 この点について、原告は、わが国にはKと無関係の「POLO」の文字を含む商標が数多く存在し、取引者・需要者もKの業務に係る商品の商標とKと無関係の「POLO」の文字を含む商標とを完全に識別 はない。 この点について、原告は、わが国にはKと無関係の「POLO」の文字を含む商標が数多く存在し、取引者・需要者もKの業務に係る商品の商標とKと無関係の「POLO」の文字を含む商標とを完全に識別している旨主張する。 しかしながら、前記のように競技としての「POLO「ポロ」がわが国において」,は極めてなじみが薄いことに鑑みれば、Kと無関係の「POLO」の文字を含む商標は、いずれもKの業務に係る商品の標章の略称として広く知られている「POLO「ポロ」の信用力を不正に利用しようとするものであることが明らかであ」,る。したがって、Kと無関係の「POLO」の文字を含む商標が多数存在する事実- 3 -は、かえって「POLO「ポロ」の標章が広く知られていることを裏付けるもの」,である。また、乙第21号証によれば、取引者・需要者がKの業務に係る商品の商標とKと無関係の「POLO」の文字を含む商標とを完全に識別している旨の原告の主張は、事実に反することが明らかである。 以上のとおりであるから、本件商標の商標登録を取り消した決定の判断に誤りはない。 理由 第1原告の主張1(特許庁における手続の経緯)及び2(決定の理由)は、被告も認めるところである。 第2原告は、同一の商標の登録出願の可否について合理的な理由を示すことなく短期間内に審決と反対の結論を示すことは法的安定性に反し、商標登録の可否に関する予測可能性を奪うものであるから、決定は合理的理由を欠くものであって、理由不備の違法がある旨主張する。 登録異議申立ての制度は、登録の適否を重ねて審理し、瑕疵のある登録商標を排除することによって商標登録に対する信頼を維持することを目的とするものである。したがって、登録異議の申立てを受けて重ねて審理した結果、登録が誤りであるとの結論に達したとき、 、瑕疵のある登録商標を排除することによって商標登録に対する信頼を維持することを目的とするものである。したがって、登録異議の申立てを受けて重ねて審理した結果、登録が誤りであるとの結論に達したとき、査定あるいは審決と異なる決定をすべきことは制度自体が予定するところである。そして、本件決定は、本件商標が商標法4条1項15号に該当する理由を明確に説示しているのである。 原告の主張は、採るを得ない。 第3乙第1ないし第12号証,第16号証(枝番を含む。以下同じ)の刊行物あるいは新聞と弁論の全趣旨によれば、Kあるいは同人が創立したポロ・ファッションズ社(以下「ポロ社」という)は少なくとも本件商標の登録出願。 時である平成3年4月までにはファッション関連業者として広く知られ、著名といい得る状態に至って今日に及んでおり、それらの業務に係る商品に付される商標は、上記の刊行物等においてみられるように「POLO「ポロ」と略称さ」,れることも少なくないことが認められる。 一方、球技としてのポロが、わが国においてはほとんどなじみのないものであることは、当裁判所に顕著な事実である。そうすると、被服等のファッション関連商品に「POLO「ポロ」の文字が使用されると、これに接した取引者・需」,要者は、球技としてのポロに関係する商品とは認識せず、Kあるいはポロ社に関係する商品と認識する蓋然性が極めて高いということができる。そして、本願商標の指定商品はファッション(装身に関する流行)関連商品にほかならないから、これに「POLO」の文字を使用した場合も、これに接した取引者・需要者は球技としてのポロに関係する商品とは認識せず、Kあるいはポロ社に関係する商品と認識する蓋然性が極めて高いというべきである。 原告は「ポロシャツ」はある種のカジュアルウェアを表す普通名称として 需要者は球技としてのポロに関係する商品とは認識せず、Kあるいはポロ社に関係する商品と認識する蓋然性が極めて高いというべきである。 原告は「ポロシャツ」はある種のカジュアルウェアを表す普通名称として広、く知られているから「POLO「ポロ」の標章は少なくとも被服等については、」,自他識別力を有しない旨主張する。 確かに「ポロシャツ」の語が襟付き半袖シャツの名として普通名称になって、いることは当裁判所にも顕著な事実であり、また「ポロシャツ」の語が「ポ、ロ」と略称される例があることも当裁判所に顕著な事実である。 しかしながら、たとい普通名称としての「ポロシャツ」の語が「ポロ」と略称される例があるとしても、商品に使用された「POLO」あるいは「ポロ」の語に接した取引者・需要者がKあるいはポロ社に関係する商品と識別するか否かにそのことが関係するのは「POLO」あるいは「ポロ」の語が普通名称として用、いられている可能性が認識される場合に限られ、それ以外の場合には関係しないことが明らかであるから、原告の上記主張は採用することができない。 以上のとおりであるから、本件商標をその指定商品に使用すると取引者・需要者は「POLO」の文字部分に強く印象付けられ、その商品をKと経済的または組織的に何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるとした決定の判断に誤りはない。 この点について、原告は、わが国にはKと無関係の「POLO」の文字を含む商標が数多く存在し、それらはいずれも「POLO」の文字と、それ以外の文字ある、いは図形との組合わせによって自他識別力を有するものであり、需要者らもKの業務に係る商品の商標とKと無関係の「POLO」の文字を含む商標とを完全に- 4 -識別している旨主張する。 文字ある、いは図形との組合わせによって自他識別力を有するものであり、需要者らもKの業務に係る商品の商標とKと無関係の「POLO」の文字を含む商標とを完全に- 4 -識別している旨主張する。 しかしながら、前記のように、Kあるいはポロ社がファッション関連業者として著名といい得る状態に至っており、それらの業務に係る商品に付される商標は「POLO「ポロ」と略称されることも少なくないこと、一方、競技としての」,「POLO「ポロ」がわが国においては極めてなじみが薄いことに鑑みれば、K」,と無関係の「POLO」の文字を含む商標は、いずれもKあるいはポロ社の業務に係る商品の標章の略称として広く知られている「POLO「ポロ」の信用力を不」,正に利用しようとするものであることが十分考えられる。したがって、そのような商標が多数存在することをもって、本件商標をその指定商品に使用しても出所の混同を生ずるおそれがないことの論拠とする原告の主張は、到底採用することができないものである。 付言するに、乙第21号証によれば、被服等の需要者のうち少なからぬ者が、Kの業務に係る商品の商標とKと無関係の「POLO」の文字を含む商標とを別個のものとして識別している事実を認めることができる。しかしながら同時に、同号証によれば、Kの業務に係る商品の商標とKと無関係の「POLO」の文字を、「」含む商標とを別個のものとして識別している者の多くがKと無関係のPOLOの文字を含む商標を、Kと何らかの関係のある者の商標(乙第21号証にいう「兄弟ブランド・ファミリーブランド)と考えていることが認められる。し」たがって、Kの業務に係る商品の商標とKと無関係の「POLO」の文字を含む商標とを別個のものとして識別している者が少なくない事実は、直ちに本件商標が商標法4条1 と考えていることが認められる。し」たがって、Kの業務に係る商品の商標とKと無関係の「POLO」の文字を含む商標とを別個のものとして識別している者が少なくない事実は、直ちに本件商標が商標法4条1項15号に該当しないことの裏付けとなるものではないというべきである。 第4よって、決定の取消しを求める原告の本訴請求は失当であるからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担について行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条の各規定を適用して、主文のとおり判決する。 (口頭弁論終結日平成11年12月21日)東京高等裁判所第六民事部裁判長裁判官山下和明裁判官春日民雄裁判官宍戸充
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