平成29(ネ)5058 首都圏建設アスベスト損害賠償神奈川訴訟(第2陣)控訴事件

裁判年月日・裁判所
令和2年8月28日 東京高等裁判所 その他 横浜地方裁判所 平成26(ワ)1898
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判決文本文201,748 文字)

- 1 - 主文 1 第一審原告らと第一審被告国との関係 第一審原告らの第一審被告国に対する各控訴に基づき,原判決主文第1項及び第4項を次のとおり変更する。 ア第一審被告国は,別紙2-1「認容額等一覧表(第一審被告国関係)」の「第一審原告名」欄記載の各第一審原告に対し,各第一審原告に対応する「認容額」欄記載の各金員及びこれに対する「遅延損害金起算日」欄記載の日から支払済みまで年5分の割合による金員(ただし,第一審原告番号4,10,14,16の1・2,19,20,26,30の1・2,37の1・2及び38の第一審原告らに対しては,別紙2-3「第一審被告国と第一審被告企業との連帯関係表」の上記各第一審原告の行の「連帯額」欄に金額の記載のある列の第一審被告企業と「連帯額欄」記載の各金員及びこれに対する上記「遅延損害金起算日」欄記載の日から支払済みまで年5分の割合による金員の限度で連帯して)を支払え。 イ第一審原告らの第一審被告国に対するその余の請求(当審における拡張部分を含む。)をいずれも棄却する。 第一審被告国の控訴を棄却する。 2 第一審原告らと第一審被告企業らとの関係 別紙2-2「認容額等一覧表(第一審被告企業関係)」記載の第一審原告らの当該第一審原告の行の「認容額」欄に金額の記載のある列の第一審被告企業に対する各控訴に基づき,原判決主文第2項から第4項までのうち,上記各第一審原告と上記各第一審被告企業との間に関する部分を以下のとおり変更する。 ア別紙2-2「認容額等一覧表(第一審被告企業関係)」の「第一審被告企業」欄に記載された各第一審被告企業は,各第一審被告企業の列の「認- 2 -容額」欄に金額の記載のある行の第一審原告に対 ア別紙2-2「認容額等一覧表(第一審被告企業関係)」の「第一審被告企業」欄に記載された各第一審被告企業は,各第一審被告企業の列の「認- 2 -容額」欄に金額の記載のある行の第一審原告に対し,「認容額」欄記載の各金員及びこれに対する「遅延損害金起算日」欄記載の日から支払済みまで年5分の割合による金員を,同一の行に記載のある第一審被告企業が複数あるときは金額が重なり合う限度で連帯して(ただし,第一審原告番号4,10,14,16の1・2,19,20,26,30の1・2,37の1・2及び38の第一審原告に対しては,別紙2-3「第一審被告国と第一審被告企業との連帯関係表」の上記各第一審原告の行の「連帯額」欄に金額の記載のある列の第一審被告企業は,第一審被告国とも「連帯額」欄記載の各金員及びこれに対する上記「遅延損害金起算日」欄記載の日から支払済みまで年5分の割合による金員の限度で連帯して)支払え。 イ上記第一審原告らの上記各第一審被告企業に対するその余の請求(当審における拡張部分を含む。)をいずれも棄却する。 上記の各第一審原告のその余の第一審被告企業らに対する控訴及び当審における拡張に係る請求,第一審原告番号25及び33の各第一審原告の第一審被告企業らに対する各控訴及び当審における拡張に係る請求,第一審被告ニチアス株式会社の第一審原告番号29及び40の各第一審原告に対する控訴並びに同株式会社ノザワの第一審原告番号3,9,17の1から4まで,22の1から3まで,23,26,32及び35の各第一審原告に対する控訴をいずれも棄却する。 3 訴訟費用 第1項の当事者間の訴訟費用は,第一,二審を通じ,それぞれ別紙2-1「認容額一覧表(第一審被告国関係)」の「負担割合」欄記載の割合を第一審被告国の れも棄却する。 3 訴訟費用 第1項の当事者間の訴訟費用は,第一,二審を通じ,それぞれ別紙2-1「認容額一覧表(第一審被告国関係)」の「負担割合」欄記載の割合を第一審被告国の負担とし,その余を各第一審原告の負担とする。 第2項の当事者間の訴訟費用は,第一,二審を通じ,それぞれ別紙2-2「認容額等一覧表(第一審被告企業関係)」の「負担割合」欄記載の割- 3 -合を各第一審被告企業の負担とし,その余を各第一審原告の負担とする。 第2項の当事者間の当審における訴訟費用は,当該各控訴人の負担とする。 4 仮執行の宣言 この判決の第1項アは,本判決が第一審被告国に送達された日から14日を経過したときは,仮に執行することができる。ただし,第一審被告国が,別紙2-1「認容額等一覧表(第一審被告国関係)」の各第一審原告に対し,対応する「担保額」欄記載の各金員の担保を供するときは,当該第一審原告との関係でその執行を免れることができる。 この判決の第2項アは,仮に執行することができる。 事実及び理由 (略称は原判決の例による。)第1章控訴の趣旨第1 第一審原告ら原判決を次のとおり変更する。 第一審被告らは,別紙3請求額等一覧表の「第一審原告名」欄記載の各第一審原告に対し,連帯して,「請求総額」欄記載の金員及びこれに対する「遅延損害金起算日」欄記載の日から支払済みまで年5分の割合による金員をそれぞれ支払え(第一審原告らは,当審において,原判決別紙6請求額等一覧表記載の「遅延損害金起算日」を,いずれも本判決別紙3請求額等一覧表記載の「遅延損害金起算日」に変更する請求の拡張をした。)。 第2 第一審被告(ア)国原判 において,原判決別紙6請求額等一覧表記載の「遅延損害金起算日」を,いずれも本判決別紙3請求額等一覧表記載の「遅延損害金起算日」に変更する請求の拡張をした。)。 第2 第一審被告(ア)国原判決中,第一審被告(ア)国の敗訴部分を取り消す。 上記取消し部分に係る第一審原告らの請求をいずれも棄却する。 第3 第一審被告(マ)ニチアス原判決中,第一審被告(マ)ニチアスの敗訴部分を取り消す。 - 4 -上記取消し部分に係る第一審原告らの請求をいずれも棄却する。 第4 第一審被告(ラ)ノザワ原判決中,第一審被告(ラ)ノザワの敗訴部分を取り消す。 上記取消し部分に係る第一審原告らの請求をいずれも棄却する。 第2章事案の概要第1 事案の要旨本件元建築作業従事者又はその承継人である第一審原告らは,本件元建築作業従事者44名が建築現場において石綿含有建材を加工・使用して建物を建築・改修し,又は石綿含有建材を含む建物を解体する業務等に従事した過程において,同建材から発生する石綿粉じんにばく露し,石綿関連疾患(石綿肺,肺がん,中皮腫等)にり患したとして,①第一審被告(ア)国に対しては,労働大臣,建設大臣,内閣等が石綿関連疾患の発症又はその増悪を防止するために旧労基法,安衛法,労災保険法又は建基法に基づく規制権限を適時かつ適切に行使しなかったことが違法であるなどと主張して,国賠法1条1項に基づき,②第一審被告企業ら43社に対しては,第一審被告企業らがその製造・販売する建材が石綿を含有すること,石綿にばく露した場合,石綿肺,肺がん,中皮腫等の重篤な疾患にり患する危険があり,これを回避するために呼吸用保護具を着用すべきこと等を警告すべき義務を負い,また,その製造・販売する建材に石綿を使用しない義務を負っていたにもかかわら ん,中皮腫等の重篤な疾患にり患する危険があり,これを回避するために呼吸用保護具を着用すべきこと等を警告すべき義務を負い,また,その製造・販売する建材に石綿を使用しない義務を負っていたにもかかわらず,これらの義務を怠ったなどと主張して,不法行為(民法709条,719条)又は製造物責任(製造物責任法3条,6条,民法719条)に基づき,本件元建築作業従事者一人当たり3850万円(慰謝料3500万円と弁護士費用350万円との合計。第一審原告が本件元建築作業従事者の承継人である場合には各自の相続分に相当する額)並びにこれに対する不法行為の後の日である本件元建築作業従事者の最後の石綿関連疾患の認定日から支払済みまで民法(平成29年- 5 -法律第44号による改正前のもの。遅延損害金利率につき,以下同じ。)所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求めた。 原審は,第一審原告らの第一審被告(ア)国に対する請求については,本件元建築作業従事者32名に関して請求を一部認容し,その余を棄却し,本件元建築作業従事者12名に関して請求を全部棄却し,第一審被告企業らに対する請求については,本件元建築作業従事者2名に関して第一審被告(マ)ニチアスに対する請求を一部認容し,その余を棄却し,本件元建築作業従事者8名に関して第一審被告(ラ)ノザワに対する請求を一部認容し,その余を棄却し,その余の本件元建築作業従事者34名に関して請求を全部棄却したところ,第一審原告らが請求全部の認容を求めて控訴するとともに,当審において遅延損害金の起算日を石綿関連疾患の発症日又は症状確認日とする請求の拡張を行い,第一審被告(ア)国,同(マ)ニチアス及び同(ラ)ノザワが請求全部の棄却を求めて控訴した。 原審の口頭弁論の終結後,第一審原告らのうち7名が死亡し,相続人又は受遺者 症状確認日とする請求の拡張を行い,第一審被告(ア)国,同(マ)ニチアス及び同(ラ)ノザワが請求全部の棄却を求めて控訴した。 原審の口頭弁論の終結後,第一審原告らのうち7名が死亡し,相続人又は受遺者が承継した。 また,第一審原告番号8の2から7まで及び8の10の各第一審原告がいずれも控訴を取り下げた。 第2 前提事実等前提事実等は,次のとおり補正するほかは,原判決の「事実及び理由」中の「第2章事案の概要」の第2に記載のとおりであるから,これを引用する(なお,以下,書証の枝番号は,特に記す場合を除き,省略する。)。 1 12頁19行目の次に改行して以下を加える。 「本件元建築作業従事者x11(第一審原告番号11)は,原審の口頭弁論の終結後である平成29年6月9日に死亡し,遺産分割協議により,第一審原告X11(原審においては,x11が原告であり,X11は,原審の口頭弁論の終結後にx11の原告たる地位を承継したものであって,原告たる地位にはなかったが,本判決では,便宜上,X11の肩書を第一審原告とする。以下,他の第一審原告につい- 6 -ても同様とする。)が本件元建築作業従事者x11の本件訴訟に関する権利義務を承継した。 本件元建築作業従事者x17(第一審原告番号17)は,原審の口頭弁論の終結後である平成29年4月19日に死亡し,遺産分割協議により,第一審原告X17-1が2分の1,同X17-2,同X17-3及び同X17-4各6分の1の割合で,本件元建築作業従事者x17の本件訴訟に関する権利義務を承継した。 本件元建築作業従事者x22(第一審原告番号22)は,当審係属中の令和元年11月24日に死亡し,相続により,第一審原告X22-1,同X22-2及び同X22-3が各3分の1の割合で本件元建築作業従事者x22の本件訴訟に 者x22(第一審原告番号22)は,当審係属中の令和元年11月24日に死亡し,相続により,第一審原告X22-1,同X22-2及び同X22-3が各3分の1の割合で本件元建築作業従事者x22の本件訴訟に関する権利義務を承継した。 本件元建築作業従事者x27(第一審原告番号27)は,当審係属中の平成30年8月9日に死亡し,相続により,第一審原告X27-1が6分の5,同X27-2,同X27-3及び同X27-4が各36分の1,同X27-5が12分の1の割合で,本件元建築作業従事者x27の本件訴訟に関する権利義務を承継した。 本件元建築作業従事者x30(第一審原告番号30)は,当審係属中の平成30年9月21日に死亡し,遺産分割協議により,第一審原告X30-1及び同X30-2が各2分の1の割合で本件元建築作業従事者x30の本件訴訟に関する権利義務を承継した。 本件元建築作業従事者x43(第一審原告番号43)は,原審の口頭弁論の終結後である平成29年6月24日に死亡し,同人の遺言により,第一審原告X43が本件元建築作業従事者x43の本件訴訟に関する権利義務を承継した。 本件元建築作業従事者x44(第一審原告番号44)は,当審係属中の令和元年5月23日に死亡し,同人の遺言により,第一審原告X44が本件元建築作業従事者x44の本件訴訟に関する権利義務を承継した。」 2 43頁8行目の冒頭に「昭和4年,工場法(明治44年法律第46号)を受けて,」を加える。 - 7 - 3 43頁24行目の次に改行して以下を加える。 「なお,旧労基法の制定に伴い,工場法が廃止されたため,上記の工場危害予防及衛生規則も廃止された(旧労基法附則123条)」 4 49頁11行目の「容器」の次に「(容器に入れないで譲渡し又は提供するときにあっては,その包装 ,工場法が廃止されたため,上記の工場危害予防及衛生規則も廃止された(旧労基法附則123条)」 4 49頁11行目の「容器」の次に「(容器に入れないで譲渡し又は提供するときにあっては,その包装。以下同じ。)」を加える。 5 49頁14行目の次に改行して以下を加える。 「そして,事業者は,危険又は有害な業務で,労働省令で定めるものに労働者をつかせるときは,労働省令で定めるところにより,当該業務に関する安全又は衛生のための特別の教育を行わなければならないとされた(59条3項)。 また,事業者は,有害な業務を行う屋内作業場その他の作業場で,政令で定めるものについて,労働省令で定めるところにより,空気環境その他の作業環境について必要な測定をし,及びその結果を記録しなければならないとされ(65条),同規定を受けて,作業環境測定を行うべき作業場として,土石,岩石又は鉱物の粉じんを著しく発散する屋内作業場,石綿を含む特定化学物質等を製造し,又は取り扱う屋内作業場が定められた(安衛令21条1号,同条7号,別表第三第3号2)。」 6 50頁25行目から26行目にかけての「昭和46年労働省告示第27号(乙アB18)」を「昭和47年労働省告示第127号。なお,同告示に伴い,昭和46年労働省告示第27号は廃止された。」に改める。 7 53頁23行目の次に改行して以下を加える。 「キ局所排気装置局所排気装置は,そのフードの外側における石綿粉じんの濃度が5μ以上の繊維数で5本/㎤を超えないものとする性能を有することとされた(昭50改正特化則7条1項5号,昭和50年労働省告示第75号。ただし,昭和51年3月31日までの間は,2mg/㎥を超えないものとする性能を有することとされた。乙アB52)。」 8 61頁6行目の「規制対象となる」を「各規制(石 昭和50年労働省告示第75号。ただし,昭和51年3月31日までの間は,2mg/㎥を超えないものとする性能を有することとされた。乙アB52)。」 8 61頁6行目の「規制対象となる」を「各規制(石綿吹付け作業の原則的禁- 8 -止,容器への警告表示の義務付け,湿潤化の義務付け,作業場への掲示義務)の対象となる」に改める。 9 62頁2行目の「①石綿等」を「①石綿又は石綿を含有する製剤その他の物(ただし,石綿の含有量が重量の1%以下の物を除く。以下,このイの項目において「石綿等」という。)」に改める。 10 62頁24行目の「求めた(1条)。」を「求め(1条),建築物又は工作物の解体,破砕等の作業を行うときの,石綿又は石綿を含有する製剤その他の物(石綿の含有量が重量の1%以下のものを除く。以下,このの項目において「石綿等」という。)の使用の有無の事前調査(3条),作業計画の作成(4条),作業の届出(5条),特別教育(27条)を義務付けるとともに,石綿等の吹付け作業の全面的な禁止(11条),石綿等の粉じんが発散する屋内作業場における局所排気装置等の設置の義務付け(12条),石綿等の切断等の作業に労働者を従事させるときの湿潤化及び呼吸用保護具を使用させることの義務付け(13条,14条)を定めた。」に改める。 11 64頁6行目の「乙アB8)は,」を以下のとおり改める。 「乙アB8)が同年1月11日から適用されたことに伴い,従前の規格(昭和25年労働省告示第19号)は廃止された。 新規格においては,」 12 66頁8行目の「前記ウ」の次に「及びエ」を加え,9行目の「昭和46年労働省告示第27号」の次に「及び昭和47年労働省告示第127号」を加え,17行目の「上記昭和46年告示」を「上記昭和47年告示」に改める。 の次に「及びエ」を加え,9行目の「昭和46年労働省告示第27号」の次に「及び昭和47年労働省告示第127号」を加え,17行目の「上記昭和46年告示」を「上記昭和47年告示」に改める。 13 69頁17行目から18行目にかけて,71頁13行目から14行目にかけて,72頁8行目から9行目にかけて及び73頁5行目から6行目にかけての各「平成11年5月1日施行」をいずれも「平成12年6月1日施行」に改める。 14 73頁19行目の次に改行して以下を加える。 「10 労災保険特別加入制度- 9 - 労災保険法の目的労災保険法は,業務上の事由又は通勤による労働者の負傷,疾病,障害,死亡等に対して迅速かつ公正な保護をするため,必要な保険給付を行い,あわせて,業務上の事由又は通勤により負傷し,又は疾病にかかった労働者の社会復帰の促進,当該労働者及びその遺族の援護,労働者の安全及び衛生の確保等を図り,もって労働者の福祉の増進に寄与することを目的とする(労災保険法1条)。 昭和40年改正労災保険法による労災保険特別加入制度の導入昭和40年,労災保険法の一部が改正され,労災保険特別加入制度が設けられた。 その趣旨は,労災保険は,労働者の業務災害に対する補償を本来の目的としているところ,業務の実情,災害の発生状況等に照らし,実質的に労基法の適用がある労働者に準じて保護するにふさわしい者に対し,労災保険を適用しようとする点にある(甲A256:1頁,甲A257:602頁)。 特別加入の対象となる者は,①常時300人(金融業若しくは保険業,不動産業又は小売業を主たる事業とする事業主については50人,卸売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については100人)以下の労働者を使用する事業主で,労働保険事務組合に労働保険事務の 険業,不動産業又は小売業を主たる事業とする事業主については50人,卸売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については100人)以下の労働者を使用する事業主で,労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託するものである者(事業主が法人その他の団体であるときは,代表者)(労災保険法33条1号,同法施行規則46条の16。以下「中小事業主」という。),②土木,建築その他の工作物の建設,改造,保存,原状回復,修理,変更,破壊若しくは解体又はその準備の事業等を労働者を使用しないで行うことを常態とする者(労災保険法33条3号,同法施行規則46条の17。いわゆる一人親方である。)等である。」 15 73頁20行目の「10 条約等」を「11 条約等」に改める。 第3 争点争点は,原判決の「事実及び理由」中の「第2章事案の概要」の第3に記載のとおりであるから,これを引用する。 第4 争点に関する当事者の主張- 10 -争点に関する当事者の主張は,次の1のとおり補正し,2のとおり当審における当事者の主張を付加するほかは,原判決の「事実及び理由」中の「第2章事案の概要」の第4に記載のとおりであるから,これを引用する(ただし,330頁5行目から332頁2行目まで(解体工の主要ばく露建材),333頁4行目から334頁8行目まで(工事監理及び現場監督の主要ばく露建材)を除く。)。 1 原判決の補正 349頁17行目の「昭和52年から」を「昭和36年から」に改める。 444頁8行目の「九州地区における」から9行目の「施工数は少なく,」までを「比較的受注案件の少なかった九州地区では様々な下請先を利用していたが,東京都中央区所在の本社や大阪地区では,責任施工の観点から,下請先は専ら日本リンペット工事の現場のみを専属的に受注する 」までを「比較的受注案件の少なかった九州地区では様々な下請先を利用していたが,東京都中央区所在の本社や大阪地区では,責任施工の観点から,下請先は専ら日本リンペット工事の現場のみを専属的に受注する業者に固定され,この下請業者が10社ほどの販工店を組織化していたため,少なくとも関東地区及び大阪地区では,一人親方のような形態の業者を使用することは基本的になかった。したがって,」に改める。 546頁別紙10-1の西暦「1969」の「平均値(㎡/月間)」の欄の「1,750,000」を「175,000」に,「450,000」を「45,000」に,「250,000」を「25,000」に,それぞれ改める。 549頁別紙10-4の西暦「1978」の「出荷量(千枚/年間)」の欄の3列目の「1,180」を「11,800」に,9列目の「36,156」を「36,100」に,「甲号証」の欄の「甲C34・47頁」を「甲C34・44頁」に,それぞれ改める。 550頁別紙10-5の西暦「1978」の「甲号証」の欄の「甲C34・44頁」を「甲C34・47頁」に,西暦「1979」から「1981」までの「甲号証」の欄の各「甲C54・35頁」をいずれも「甲C57・35頁」に,それぞれ改める。 2 当審における当事者の主張- 11 - 第一審被告(ア)国関係(第一審原告らの主張)ア医学的知見の確立時期原判決は,石綿粉じんばく露と肺がん・中皮腫の発症との因果関係に関する医学的知見の確立した時期を昭和47年と判断した。 しかし,上記判断は,昭和30年のドール報告をはじめとする昭和40年までの知見集積状況を無視するものであり,同年のUICC報告と勧告及び昭和47年のIARC報告の位置付けを誤った認定である。 UICC報告と勧告 は,昭和30年のドール報告をはじめとする昭和40年までの知見集積状況を無視するものであり,同年のUICC報告と勧告及び昭和47年のIARC報告の位置付けを誤った認定である。 UICC報告と勧告の時点で,疾病発症に寄与する石綿の種類は特定され,石綿含有物質の肺がん・中皮腫の発生過程における役割,肺がん発症に関しての石綿粉じんと喫煙との関係の知見はいずれも明らかとなり,UICC報告と勧告の勧告部分とIARC報告の「今後の研究に関する勧告」部分は同一の課題が掲げられているにすぎないから,発がん性に関する医学的知見の確立時期は,UICC報告と勧告がされた昭和40年である。 イ建築現場における危険性についての第一審被告(ア)国の認識可能性原判決は,建築現場における建築作業従事者の石綿粉じんばく露状況が将来において石綿関連疾患を発症させ得る程度のものである可能性があることを第一審被告(ア)国が認識した時期について,昭和47年頃とした。 しかし,以下の事実に照らせば,遅くとも昭和46年の時点で,第一審被告(ア)国は,建築現場における石綿粉じんばく露が石綿関連疾患を発症させる危険性があることを認識できた。 イギリス,アメリカ及びドイツにおいて,建築現場を含めた石綿粉じんの濃度規制が開始され,そのことが日本でも昭和46年に報告されたから,当時,石綿の健康被害に関する医学的情報として,①2f/cc程度であっても長期間ばく露すれば石綿肺発症の危険性があること,②石綿肺は高率で肺がんを合併する危険性があること,③微量ばく露による肺がん・中皮腫の危険性があることが明らかになってい- 12 -た。 昭和31年の特殊健康診断指導指針(同年5月26日付け基発308号)は,石綿製品を切断,研磨する場所における作業を対象とし,昭和35年制定のじん肺法 あることが明らかになってい- 12 -た。 昭和31年の特殊健康診断指導指針(同年5月26日付け基発308号)は,石綿製品を切断,研磨する場所における作業を対象とし,昭和35年制定のじん肺法は,石綿吹付け,石綿製品の切断,研磨並びにこれらの作業を行う場所における作業を対象としていた(じん肺法施行規則1条・別表第1の23号)。じん肺健康診断の実施結果によると,建設業におけるじん肺り患者数は,昭和44年度は98名,昭和45年度は101名,昭和46年度は137名であり,有所見者率も,建設業では1960年代から全産業の半数程度に達し,1970年(昭和45年度)の有所見者率は,全産業が9.5%であったのに対し,建設業がそのうちの6.7%であった。 第一審被告(ア)国が旧特化則制定に先立つ昭和46年1月から3月にかけて石綿取扱い事業場の監督指導を行った結果をまとめた「石綿取扱い作業者のじん肺罹患状況」によれば,建設業は,12の事業場で,じん肺(石綿肺)の有所見者率が3.5%であり,当時の建設労働人口が約350万人であることから,相当多数の建設作業従事者がじん肺にり患していたことが明らかとなっている。また,昭和46年の瀬良による石綿吹付作業者に高率(15.4%)で石綿肺が発生していることの報告,昭和39年のセリコフによる石綿断熱工の疫学調査の報告,アメリカにおいて石綿吹付け作業が禁止されたこと,欧米諸国における建築作業従事者の石綿肺,肺がん,中皮腫発症例の報告のほか,日本でも,昭和46年に労働省によって実施された石綿吹付け作業の石綿粉じん濃度測定の結果が当時の日本産業衛生学会の勧告値(許容濃度2㎎/㎥=33f/cc相当)を大幅に上回るものであったこと,昭和46年の木村による石綿板製造工場における石綿板切断時の石綿粉じん濃度の報告,以上のい 結果が当時の日本産業衛生学会の勧告値(許容濃度2㎎/㎥=33f/cc相当)を大幅に上回るものであったこと,昭和46年の木村による石綿板製造工場における石綿板切断時の石綿粉じん濃度の報告,以上のいずれについても,第一審被告(ア)国は認識していた。さらに,昭和45年頃には,石綿粉じんによる新しい公害として石綿の有害性が報道され始め,石綿吹付け作業や石綿スレートの使用増加による石綿肺や肺がんの危険性を示唆する記事も掲載された。 - 13 -ウ昭和46年以降の第一審被告(ア)国の規制権限不行使を違法と評価すべきこと原判決は,第一審被告(ア)国が,昭和47年頃から調査を開始していれば,遅くともその2年後である昭和49年頃までには,石綿による健康障害に関する専門家会議と同内容の調査結果が得られるとともに,我が国の建築現場において,当時の省令等に基づく呼吸用保護具の備付け等の規制にもかかわらず,建築作業従事者が呼吸用保護具をほとんど使用しない状況にあることを認識することができたとし,そこから規制権限行使のために必要な期間を考慮して,遅くとも昭和51年1月1日までの間に,付与された規制権限を適切に行使して,呼吸用保護具の使用の義務付け並びに石綿粉じんばく露による重篤な石綿関連疾患り患の危険性及び呼吸用保護具着用の必要性についての石綿含有建材の外装・包装への表示及び建築作業場への掲示の義務付けをすべきであったところ,これを怠った違法があるとした。 しかし,前記イのとおり,第一審被告(ア)国は,建築現場における石綿粉じんばく露が石綿関連疾患を発症させる危険性について,遅くとも昭和46年の時点で認識できる状況にあったから,同時点において,建築現場における石綿粉じんばく露措置に関し,第一審被告(ア)国の規制権限不行使が違法と認められるために必要 る危険性について,遅くとも昭和46年の時点で認識できる状況にあったから,同時点において,建築現場における石綿粉じんばく露措置に関し,第一審被告(ア)国の規制権限不行使が違法と認められるために必要となる認識は成立しており,2年の調査期間は不要である。仮に,原判決のいうように,建築現場における石綿粉じんばく露状況が石綿関連疾患を発症させる可能性があることを認識した時期が昭和47年であったとしても,同様に2年の調査期間は不要である。 そして,呼吸用保護具については,従前から,事業者には備付け義務が,労働者には使用義務が定められていたのであり,労働者に呼吸用保護具を使用させることの事業者への義務付けは,従前の規制措置を強化するものにすぎないのであって,事業者に新たな経済的負担を課すものではない。また,石綿粉じんばく露による重篤な石綿関連疾患り患の危険性及び呼吸用保護具着用の必要性についての石綿含有建材の外装・包装への警告表示及び建築作業場での掲示の義務付けも,前者は昭5- 14 -0改正安衛令及び同改正安衛則で石綿が警告表示の対象とされ,後者も昭50改正特化則で石綿が建築作業場での掲示の対象とされていることから,従前の規制措置を強化するものにすぎず,石綿含有建材製造企業や事業者に新たに過重な負担を課すものではない。したがって,いずれの規制措置についても,その実施までに2年もの猶予期間は不要である。 したがって,第一審被告(ア)国は,昭和46年の時点で,呼吸用保護具の使用の義務付け,石綿含有建材の外装・包装への警告表示及び建築作業場での警告掲示の義務付けをすべきであったにもかかわらず,これを怠ったというべきであるから,同年以降の第一審被告(ア)国の規制権限不行使は違法である。 エ集じん機付き電動工具の使用義務付け電動工具に 示の義務付けをすべきであったにもかかわらず,これを怠ったというべきであるから,同年以降の第一審被告(ア)国の規制権限不行使は違法である。 エ集じん機付き電動工具の使用義務付け電動工具による建材の切断,研磨等の作業は,石綿吹付け作業と並ぶ二大発じん作業であった。集じん機付き電動工具の使用の義務付けは,作業環境管理として粉じんの飛散防止を図るものであって,労働安全衛生の基礎及び根幹であり,集じん機付き電動工具と呼吸用保護具の使用を重畳的に義務付けることによって,有効かつ十分な石綿粉じんばく露防止対策となる。 集じん装置は,1880年代から工業的に応用され,我が国でも昭和25年頃(1950年代)には普及した。昭和32年には,国内で集じん装置付き電動工具が海外から輸入・販売され,昭和47年には国内のメーカーがこれを製造・販売した。 このように,昭和46年頃には,集じん機付き電動工具が実用化され,販売されていたことからすれば,それが粉じんに対する十分な吸引能力及び捕集能力を備え,石綿粉じんの発生を抑制する効果を有していたことは明らかであり,第一審被告(ア)国も,平成4年には,「石綿含有建築材料の施工作業における石綿粉じんばく露防止対策の推進について」(同年基発第1号)において,電動工具を用いて石綿含有建材を切断する等の加工作業を行う場合には,電動工具に集じん機を取り付けるよう推奨していた。 したがって,第一審被告(ア)国には,昭和46年以降,集じん機付き電動工具- 15 -の使用を義務付けなかった規制権限不行使の違法があり,遅くとも平成4年以降,上記のとおり集じん機付き電動工具の使用を推奨するに止め,その後も使用の義務付けを怠り続けたことは違法である。 オ石綿含有建材の製造等禁止第一審被告(ア)国は,昭50改正特化則におい 年以降,上記のとおり集じん機付き電動工具の使用を推奨するに止め,その後も使用の義務付けを怠り続けたことは違法である。 オ石綿含有建材の製造等禁止第一審被告(ア)国は,昭50改正特化則において,石綿を特別管理物質に指定するとともに代替化努力義務を課しており,石綿使用の削減・中止の必要性を認識していたこと,昭和55年以降(1980年代)には,石綿の発がん性について閾値がないとの医学的知見が確立していたこと,1980年代から平成2年以降(1990年代)にかけて,石綿関連疾患の労災認定件数が年々増加したこと,石綿の輸入量及び消費量が大量に増加していたこと,建築業における重層下請構造下において元請業者の労働安全衛生管理が不徹底で労災が多発していたこと,他方,石綿代替製品の安全性・技術的可能性が確認され,多くのノンアス製品が商品化されたこと,平成7年の阪神淡路大震災で倒壊・損壊した建築物の復旧・解体等工事に伴う石綿粉じんの飛散が社会的問題となったこと,当時の諸外国における石綿使用禁止の動向などに鑑みれば,第一審被告(ア)国は,遅くとも平成3年,どんなに遅くとも平成7年の時点で,安衛法55条に基づき,全ての種類の石綿含有建材の製造等を禁止しなければならなかった。 カ特別教育労働安全衛生措置を実効的に推進するためには,労働者の理解と協力が必要であり,そのためには,労働者に対する安全衛生教育が不可欠である。労働者が作業の危険性及び職業病の防止措置の重要性を十分に理解しない限り,労働安全衛生措置を使用者や労働者に義務付けても,それだけでは実施されない可能性が高い。特に,有害で職業病発症の可能性が高い作業については,当該疾病の原因,症状,予防方法,り患に対する補償制度等を作業員に分かりやすく説明し,予防対策の重要性を認識させなければならない い可能性が高い。特に,有害で職業病発症の可能性が高い作業については,当該疾病の原因,症状,予防方法,り患に対する補償制度等を作業員に分かりやすく説明し,予防対策の重要性を認識させなければならない。したがって,雇入れ時の一般的な安全衛生教育のみでは足りず,このような内容を備えた特別教育を繰り返し行う必要がある。 - 16 -本件元建築作業従事者に対する石綿粉じんに関する特別教育が実施されていれば,本件元建築作業従事者が呼吸用保護具を着用し,その他の防じん措置をとっていた可能性は高く,これにより石綿関連疾患り患の可能性は相当程度低減させることができた。 そして,労働大臣は,昭和46年(旧特化則制定時)以降においては旧労基法に基づき,昭和47年(安衛法制定時)以降においては安衛法59条3項及び安衛則36条に基づき,昭和50年(昭50改正特化則制定時)以降においては安衛則を改正することによって,特別教育の実施を義務付けることができた。それにもかかわらず,平成17年の石綿則制定までこれを義務付けなかったのであるから,その規制権限不行使は違法である。 キ一人親方等安衛法は,労働災害の防止に向けて様々な対策を推進することにより,「労働者の安全と健康を確保するとともに,快適な作業環境の形成を促進すること」を目的とする(同法1条)。安衛法が制定された背景には,毒性未知の新しい化学物質の採用による職業中毒等職業性疾病の増加,中小零細規模の事業場における災害の多発,下請混在作業場における事故の頻発等の傾向がみられ,このような状況に対して,従来の労基法による直接の雇用関係に着目した規制,最低基準の確保に重点を置いた規制だけでは有効に対処できなくなってきたという状況があった。安衛法は,このような状況を踏まえ,単に最低基準の遵守確保にとどまらず,事 による直接の雇用関係に着目した規制,最低基準の確保に重点を置いた規制だけでは有効に対処できなくなってきたという状況があった。安衛法は,このような状況を踏まえ,単に最低基準の遵守確保にとどまらず,事業場内の安全衛生管理体制の確立,危険な機械や有害な化学物質についての製造や流通の段階における規制の強化,直接の雇用関係にない重層下請や建設のジョイントベンチャーなどの特殊な労働関係に対する規制の整備など,幅広い施策を展開するために制定されたものである。 このような安衛法の制定経過等に加え,安衛法55条(製造等の禁止)が引き継いだ黄燐燐寸製造禁止法及び旧労基法48条は,労働者のみならず,全ての者の健康被害発生防止を目的とする規定であること,安衛法57条(表示等)は,同法5- 17 -5条と同じ安衛法第5章の規定である上,最終的に当該製品を使用(消費)する作業者を法的な雇用関係の有無に関わりなく保護することを目的とする規定であること,安衛法27条2項は,労働災害防止にとどまらず,「労働災害と密接に関連する」災害防止の趣旨をも目的に含むことなどを踏まえれば,安衛法の規制権限不行使については,労働者との関係だけでなく,一人親方等との関係でも違法となる。 仮に,安衛法第5章の「労働者」が同法第4章の「労働者」と同義であったとしても,安衛法の成立経緯や上記の規定内容等に照らせば,少なくとも55条,57条の保護対象は「労働者」に限られず,広く危険物にさらされる一人親方等にも及ぶと解すべきである。 ク建基法に基づく規制権限の不行使建基法2条7号から9号までに基づく義務内閣又は建設大臣は,建基法2条7号から9号までの指定・認定に関し,建築作業従事者の生命・身体の安全性に配慮すべく,昭和50年以降,告示で定められる指定・認定基準から石綿含有建材 までに基づく義務内閣又は建設大臣は,建基法2条7号から9号までの指定・認定に関し,建築作業従事者の生命・身体の安全性に配慮すべく,昭和50年以降,告示で定められる指定・認定基準から石綿含有建材を削除すべきであったにもかかわらず削除せず,石綿含有建材を新たに指定・認定すべきでなかったにもかかわらずその指定・認定を続け,既に行っていた石綿含有建材の指定・認定を取り消すべきであったにもかかわらず取り消さなかった。これは,建築作業従事者に対する関係で違法となる。 仮に,昭和50年の時点で告示による指定・認定基準の改訂等の必要な措置をとらなかったことが違法と評価できないとしても,平成3年か,遅くとも平成7年には,石綿含有建材の製造等の禁止措置をとるべきであったにもかかわらず,指定・認定基準から石綿含有建材を削除することなく,石綿含有建材を建基法2条7号から9号までに基づく防火・耐火建材として指定・認定し続けたことは,建築作業従事者に対する関係で違法となる。 建基法90条に基づく義務内閣は,遅くとも昭和50年までに,建基法90条2項に基づき,建築作業従事者及び周辺住民を含む工事関係人の生命・健康を保護すべく,石綿粉じんばく露に- 18 -よる危害発生防止のために,石綿粉じん作業場であることの明示,石綿粉じん発散場所の密閉措置,呼吸用保護具の着用,石綿粉じん発散場所に対する局所排気装置又は集じん装置の設置の義務付けといった技術的基準を定める義務を負っていた。 ところが,内閣は,今日に至るまで,石綿粉じんばく露防止のための技術的基準を定めていない。これは違法である。 (第一審被告(ア)国の主張)ア第一審被告(ア)国の建築作業従事者の石綿関連疾患り患の危険性の認識可能性 原判決の判示原判決は,第一審被告(ア)国が,昭和 い。これは違法である。 (第一審被告(ア)国の主張)ア第一審被告(ア)国の建築作業従事者の石綿関連疾患り患の危険性の認識可能性 原判決の判示原判決は,第一審被告(ア)国が,昭和47年頃には,建築現場における建築作業従事者の石綿粉じんばく露状況が将来において石綿関連疾患を発症させ得る程度のものである可能性があることを認識していたと推認できるとした上,第一審被告(ア)国が,昭和47年頃から調査を開始していれば,遅くともその2年後である昭和49年頃までには,石綿による健康障害に関する専門家会議と同内容の調査結果が得られるとともに,我が国の建築現場において,当時の省令等に基づく呼吸用保護具の備付け等の規制にもかかわらず,建築作業従事者が呼吸用保護具をほとんど使用しない状況にあることを認識することができたとし,そこから規制権限行使のために必要な期間を考慮して,遅くとも昭和51年1月1日までの間に,付与された規制権限を適切に行使して,呼吸用保護具の使用の義務付け並びに石綿粉じんばく露による重篤な石綿関連疾患り患の危険性及び呼吸用保護具着用の必要性についての石綿含有建材の外装・包装への表示及び建築作業場への掲示の義務付けをすべきであったところ,これを怠った違法があるとした。 規制権限不行使の違法性判断において考慮すべき事項しかし,規制権限不行使の違法性の問題は,本来,規制権限行使の必要性の判断や,時期の選択を含めた規制権限の行使・不行使の決定,具体的な規制権限の内容の選択等について,専門的・技術的観点からの多角的検討を加える必要があること- 19 -から,関係行政官庁に広範な裁量権が認められるべきところを,裁判所の判断により,特定の具体的な規制権限行使に係る作為義務の有無を判断するものである。したがって,第一審被告(ア ること- 19 -から,関係行政官庁に広範な裁量権が認められるべきところを,裁判所の判断により,特定の具体的な規制権限行使に係る作為義務の有無を判断するものである。したがって,第一審被告(ア)国の規制権限不行使の違法性を判断する前提となる具体的事情は,第一審被告(ア)国において認識し,又は認識可能であった事情でなければならず,かつ,その認識可能性の程度については,高度の蓋然性をもって認識できた事情でなければならない。 特に,罰則を伴う形式で規制権限を行使する場合においては,刑事罰の謙抑性や,罰則を設ける合理性・必要性を厳格に判断する必要があることを考慮すると,規制権限行使を基礎付ける具体的事情については,高度の具体性・明白性を要するというべきである。 そして,第一審被告(ア)国の規制権限不行使の違法性を判断する際の具体的事情として,どの程度の医学的知見の確実性が要求されるかについては,第一審被告(ア)国の規制権限の行使は,規制を受ける者のみならず,規制対象となる活動により便益を受ける者も含めて,国民に広範な影響を及ぼし得るものであるから,規制の内容及び態様に応じて,権限行使の必要性を合理的に基礎付ける程度の確実性が求められる。 ところが,昭和47年当時,建築現場における労働者の石綿粉じんばく露の状況と石綿関連疾患の発症リスクとの関係(危険性又は有害性の程度)に係る医学的知見は確立・形成されていなかった。したがって,第一審被告(ア)国に特定の具体的な規制権限行使に係る作為義務を認めることは許されず,特に,罰則を伴う権限行使に関する作為義務を認めることはできない。 もっとも,昭和40年公表のUICC報告と勧告,昭和44年のイギリスの石綿規制法,昭和46年の瀬良の報告及び昭和47年度環境庁研究報告には,建築現場の石綿粉じんばく 為義務を認めることはできない。 もっとも,昭和40年公表のUICC報告と勧告,昭和44年のイギリスの石綿規制法,昭和46年の瀬良の報告及び昭和47年度環境庁研究報告には,建築現場の石綿粉じんばく露と建築作業従事者の石綿関連疾患との関連性の一応の示唆が見られる。しかし,当時,建築現場における石綿粉じんばく露の実態は把握されておらず,石綿粉じんによる肺がん・中皮腫の発症リスクが石綿肺のそれを上回るもの- 20 -であることについて把握できたとはいえないのであって,建築現場における石綿粉じんばく露が建築作業従事者に広汎かつ重大なリスクを生じさせているとの認識はなかった。 昭50改正特化則や昭和51年5月22日付け通達(同年基発第408号)については,その制定時又は発出時において,建築労働者一般について石綿関連疾患を発症させる程度の石綿粉じんばく露状況であることが判明していたとの事情はなく,その3年も前である昭和47年頃に,建築現場における建築作業従事者の石綿粉じんばく露状況が将来において石綿関連疾患を発症させ得る程度のものである可能性について,第一審被告(ア)国が認識し,又は認識できたことの根拠とすることはできない。 昭和47年当時,建築現場における労働者の石綿粉じんばく露状況について,第一審被告(ア)国による調査が強く要請されるような事情は特段認められない上,建築現場は全国に多数存在し,規模も様々であって,石綿粉じんに関係する作業は建築作業全体の一部にすぎないから,これを容易かつ十分に把握できる状況にあったともいえない。また,昭和53年の石綿による健康障害に関する専門家会議も,建築現場における労働者の石綿粉じんばく露状況の危険性を明確にしたものとはいい難い。 第一審被告(ア)国が労働関係法令に基づいて一定の規制権限を行使する法的 石綿による健康障害に関する専門家会議も,建築現場における労働者の石綿粉じんばく露状況の危険性を明確にしたものとはいい難い。 第一審被告(ア)国が労働関係法令に基づいて一定の規制権限を行使する法的義務があるというためには,労働者の健康障害の発症率又は有所見者率等によって,被害の実情が相当深刻であることが高度の蓋然性をもって認められるとともに,その点について第一審被告(ア)国が認識可能であることが必要である。ところが,昭和47年ないし49年当時,建築作業従事者の健康障害に係る疾患の発症率又は有所見者率,発症者数等の実情が相当深刻であることが判明していたとの事情はない。 以上によれば,昭和47年ないし49年に,第一審被告(ア)国が建築作業従事者による石綿関連疾患のり患の可能性を認識できたとして,更なる石綿粉じんばく- 21 -露防止対策を講ずべき義務を負っていたとする原判決の判断には,誤りがある。 イ呼吸用保護具の使用義務付け並びに石綿含有建材の外装・包装への警告表示及び建築作業場での警告掲示について原判決の判示原判決は,労働大臣が,昭和51年1月1日から平成7年3月31日までの間,安衛法27条1項,同法22条1号の委任に基づく規制権限を適切に行使して,事業者に対し,罰則を伴う形式で,明示的に労働者による呼吸用保護具の使用を義務付けなかった規制権限の不行使及び昭和51年1月1日から平成18年8月31日までの間,省令改正等の規制権限を適切に行使して,①含有する石綿に起因する粉じんばく露により,石綿肺,肺がん,中皮腫等の生命に危険を及ぼしかねない重篤な石綿関連疾患にり患する危険がある旨,②当該危険を防止するため,当該建材の取扱いに際しては呼吸用保護具の着用が必要である旨を,石綿含有建材の外装・包装等に表示し,かつ,建築作 を及ぼしかねない重篤な石綿関連疾患にり患する危険がある旨,②当該危険を防止するため,当該建材の取扱いに際しては呼吸用保護具の着用が必要である旨を,石綿含有建材の外装・包装等に表示し,かつ,建築作業場に掲示して,これらを警告することを義務付けなかった規制権限の不行使は違法である旨判断した。 昭和51年当時の第一審被告(ア)国の規制権限不行使が著しく合理性を欠くとはいえないことしかし,昭和51年当時,肺がん・中皮腫が,石綿肺の発症に必要な石綿粉じんばく露レベルよりも低いばく露レベルで発症するとの医学的知見の集積状況を前提としても,建築労働者が作業中に受け得る石綿粉じんばく露の量によりこれらの石綿関連疾患発症の危険を高めるか否かは医学的に判然とせず,建築労働者に将来深刻な健康被害という重大な危険が発生し,拡大するおそれは,具体性を欠く漠然としたものにとどまっていたし,我が国の建築現場における石綿粉じんばく露の具体的状況及び危険性は必ずしも明らかでなく,石綿粉じんばく露がその原因であると考え得る建築労働者のじん肺の労災認定件数の増加も有意なものではなかったから,第一審被告(ア)国が,建築現場の作業実態把握のための調査や呼吸用保護具の使用状況についての調査を実施する積極的な動機付けとなる事情は存在しなかっ- 22 -た。 そして,第一審被告(ア)国は,昭和51年当時,建築現場における石綿粉じんばく露対策として相応の意義を有する措置を多重的に講じていた。すなわち,旧安衛則により,粉じん等を発散し,衛生上有害な場所での業務等において作業に従事する労働者に使用させるために呼吸用保護具等を備えるなどの義務を使用者に課し,旧特化則,安衛則及び特化則でも,呼吸用保護具に関して同様の規制を講じた。 特化則では,粉じんが発生する屋内作業場における石 する労働者に使用させるために呼吸用保護具等を備えるなどの義務を使用者に課し,旧特化則,安衛則及び特化則でも,呼吸用保護具に関して同様の規制を講じた。 特化則では,粉じんが発生する屋内作業場における石綿湿潤化等の労働者の健康障害予防措置義務を規定し,昭50改正特化則では,石綿吹付け作業の原則禁止を規定した。安衛法等により,事業者に労働者に対する安全衛生教育の実施義務を課し,昭和50年の通達(基発第170号)により,粉じん吸入による健康被害や呼吸用保護具の着用に係る警告表示の内容を定め,安衛令及び安衛則により,石綿等を譲渡又は提供する者に対し,所定の警告表示をするよう義務付けた。 これらの事情に照らせば,昭和51年当時の第一審被告(ア)国の規制権限不行使が著しく合理性を欠くとはいえない。 平成7年までの間の第一審被告(ア)国の規制権限不行使が著しく合理性を欠くとはいえないこと平成元年のWHOの報告により,石綿による肺がん,中皮腫の発症につき閾値がないとの医学的知見が確立しつつあったが,そのうち特に危険性が着目されていたクロシドライトについては,昭和62年に各企業が自主的に使用を中止し,アモサイトについても,使用は縮小され,平成5年には使用が中止された。 昭和60年代に行われた建築現場における呼吸用保護具の着用状況に関する調査以降,平成7年まで,建築現場における呼吸用保護具の着用状況に関する目立った調査結果はなく,建築現場における石綿粉じんばく露の具体的状況及び危険性は必ずしも明らかでなかった上,平成7年までの間の労災認定件数にも著しい変化はなく,労災認定件数の変化をもって石綿粉じんばく露に起因する石綿肺等の発生数が増加したとも直ちにいえなかった。 - 23 -昭和60年代から平成6年までの間は,石綿含有量の高い石綿含有建材の減少 く,労災認定件数の変化をもって石綿粉じんばく露に起因する石綿肺等の発生数が増加したとも直ちにいえなかった。 - 23 -昭和60年代から平成6年までの間は,石綿含有量の高い石綿含有建材の減少傾向が定着しつつあり,新築工事の石綿粉じんばく露の危険性は低下する一方,建物解体工事における石綿粉じんばく露の危険性が高まった。これに対応して,第一審被告(ア)国は,従前の規制措置に加え,解体,改修工事について,昭和61年に通達(同年基発第34号)を発出し,事業者に対し,湿潤化措置に加えて,石綿等の取扱い作業者の呼吸用保護具使用等を求め,また,昭和63年に通達(同年基発第200号)を発出し,石綿粉じんばく露防止対策の一層の推進を図り,さらに,平成4年に通達(同年基発第1号)を発出し,呼吸用保護具の使用,労働衛生教育や表示による石綿含有建材の識別の推進を図り,その後,平成7年4月1日に改正安衛令,安衛則,特化則を施行し,①アモサイト,クロシドライト及びこれらを1%を超えて含有する物の製造等を禁止し,②規制対象となる石綿含有物の範囲を,重量の5%を超えるものから1%を超えるものに拡大し,③吹付け石綿等の除去作業を行う場合の作業計画の届出義務を課し,④石綿等の切断等の作業に労働者を従事させる場合に呼吸用保護具,作業衣等を使用させる義務を課し,⑤解体工事における石綿等の使用状況の事前調査等の義務を課し,⑥吹付け石綿等の除去作業を行う作業場所の隔離等の義務を課すに至った。 これらの事情に照らせば,昭和51年から平成7年までの間,第一審被告(ア)国が,明示的な呼吸用保護具着用の義務付け並びに石綿含有建材の外装・包装への警告表示及び建築作業場における警告掲示に関する規制権限を行使しなかったことが著しく合理性を欠くとはいえない。 平成7年から平成18年 呼吸用保護具着用の義務付け並びに石綿含有建材の外装・包装への警告表示及び建築作業場における警告掲示に関する規制権限を行使しなかったことが著しく合理性を欠くとはいえない。 平成7年から平成18年8月31日までの第一審被告(ア)国の規制権限不行使が著しく合理性を欠くとはいえないこと昭和62年以降,石綿含有吹付け材の危険性に関する新聞報道がされ,前記の昭和63年及び平成4年の各通達が発出されるなどしたことから,平成7年4月1日以降は,石綿が発がん性を有すること,建設現場で使用される建材に石綿を含有するものがあることの認識が広まり,建築作業従事者が石綿粉じんばく露の危険性- 24 -を理解して呼吸用保護具を着用する環境は整っていた。 また,第一審被告(ア)国は,平7改正特化則により,同年4月1日以降,事業者に対し,労働者への呼吸用保護具の使用を義務付けたところ,石綿含有建材の石綿含有率の軽減化,代替化をはじめとする建築作業を取り巻く環境変化等を勘案すると,建築作業従事者において呼吸用保護具の使用の確保が期待し得る状況にあった。 したがって,平成7年から平成18年8月31日までの間,第一審被告(ア)国が石綿含有建材の外装・包装等への警告表示及び建築作業場における石綿の取扱い上の注意義務等の掲示内容に関する規制権限を行使しなかったことが著しく合理性を欠くとはいえない。 仮に,昭和51年1月1日以降の警告表示及び建築作業場の警告掲示に関する規制権限不行使に違法があるとしても,平成7年4月1日以降は,事業者に対し,労働者に呼吸用保護具を使用させることを義務付け,かつ,上記のとおり,建築作業従事者が石綿粉じんばく露の危険性を理解して呼吸用保護具を着用する環境が整ったことから,違法性が解消されたものというべきであり,平成18年8月31日ま ることを義務付け,かつ,上記のとおり,建築作業従事者が石綿粉じんばく露の危険性を理解して呼吸用保護具を着用する環境が整ったことから,違法性が解消されたものというべきであり,平成18年8月31日までの規制権限不行使の違法をいう原判決の判断は誤りである。 ウ一人親方等規制権限の不行使によって国民が不利益を被った場合であっても,権限行使の根拠法令が当該国民の権利又は法益を保護の対象としているといえるのでなければ,当該公権力の行使に当たる公務員は当該権利又は法益を保護すべき職務上の法的義務を負っているとはいえず,当該公権力の不行使が国賠法1条1項の適用上違法とされることはない。このように,国賠法上の違法性の前提となる職務上の法的義務の有無の問題と国賠法上の保護範囲の問題とは,表裏の関係にある。 そして,規制権限の根拠となる安衛法は,労働者の保護を図ることを目的とするものであって,一人親方等の利益を保護の対象としていると解すべき法令上の根拠はないから,国賠法1条1項の適用上,一人親方等の利益が法律上保護された利益に当たるということはできない。すなわち,旧労基法48条を引き継いだ安衛法5- 25 -5条は,「労働者に重度の健康障害を生ずる物」を製造等の禁止対象とすることを定め,労働者の保護規定であることを明確にしている。このことは,安衛法57条についても同様である。また,安衛法27条2項も「労働者の危険又は健康障害を防止するための措置」として規定されたものである。 労働者に対する安衛法に基づく規制権限の行使の効果が結果として一人親方等に及ぶことがあるとしても,それは労働者に対する効果に付随して生じた事実上の反射的利益にすぎず,そのことをもって,一人親方等の利益が法律上保護された利益に当たると解することはできない。 また,一人親方等に とがあるとしても,それは労働者に対する効果に付随して生じた事実上の反射的利益にすぎず,そのことをもって,一人親方等の利益が法律上保護された利益に当たると解することはできない。 また,一人親方等について昭和40年改正前の労災保険法が擬制適用されていたとしても,特別加入者は,単に「労働者」と同様の作業実態があることのみで保護されていたわけではなく,保護されるにしても,その内容は「労働者」と大きく異なっていた。特別加入制度は,民間の損害保険と同様の性質を持つ制度というべきであって,労災保険法上,特別加入制度が存するからといって,旧労基法及び安衛法の保護対象に労働者ではない一人親方等が含まれると解する根拠になるものではない。 第一審被告企業ら関係(第一審原告らの主張)ア第一審被告企業らの過失責任の発生時期について原判決は,石綿粉じんばく露と石綿関連疾患との間に量-反応関係があることや,石綿関連疾患が死に至る極めて重篤な疾患であること等を第一審被告企業らが認識した時期を昭和47年頃とした。そして,建築現場における建築作業従事者による各種建材の切断,解体等の作業に起因する粉じん発生状況及び呼吸用保護具の着用等の粉じんばく露防止措置が十分にとられていない状況を認識できたといえるようになるまでの期間として2年程度の調査期間を設定し,さらに,同調査の結果に基づき,注意事項の具体的内容の変更に伴う建材の外装・包装等の作成に必要な期間を考慮して,建材の外装・包装等に石綿粉じんばく露による石綿関連疾患り- 26 -患の危険性及び呼吸用保護具着用の必要性を明示して警告すべき義務を負うこととなった時期を昭和51年1月1日とした。 しかし,前記のとおり,石綿粉じんばく露と肺がん・中皮腫の発症との因果関係に関する医学的知見は昭和40年に確 用の必要性を明示して警告すべき義務を負うこととなった時期を昭和51年1月1日とした。 しかし,前記のとおり,石綿粉じんばく露と肺がん・中皮腫の発症との因果関係に関する医学的知見は昭和40年に確立し,建築現場における石綿粉じんばく露が石綿関連疾患を発症させる危険性について,第一審被告(ア)国は遅くとも昭和46年の時点で認識可能であったところ,第一審被告企業らも,入手できる情報は全て第一審被告(ア)国と同一であって,建築現場における石綿粉じんばく露が石綿関連疾患を発症させる危険性について,同様に昭和46年には認識可能であったから,その時点で直ちに損害回避措置をとるべきであった。殊に,警告義務の履行は,技術的・経済的にも容易であり,直ちに実行可能なものであった。 また,原判決は,被害発生の認識可能性及び結果回避義務が生じた後に,調査期間2年及び損害回避措置をとるための準備期間2年の合計4年を想定し,昭和51年1月1日を過失責任の始期としているが,このような斟酌は不必要かつ不合理である。 したがって,第一審被告企業らの安全性確保義務は,昭和46年に生じたというべきである。 イ吹付け材以外の石綿含有建材の石綿不使用義務第一審被告企業らは,①特化則が改正された昭和50年の翌年である昭和51年当時及びそれ以降,②同改正により石綿含有建材の製造・販売企業に対して石綿代替化努力義務が課された昭和50年の翌年から起算して3年が経過した昭和54年当時及びそれ以降,又は③全ての石綿について原則禁止が定められた石綿条約がILOで採択された昭和61年の翌年である昭和62年当時及びそれ以降,石綿を使用しない義務を負っていた。 また,第一審被告企業らは,④どんなに遅くとも平成7年1月の時点で,吹付け材以外の石綿含有建材について,建築現場における石綿関連 ある昭和62年当時及びそれ以降,石綿を使用しない義務を負っていた。 また,第一審被告企業らは,④どんなに遅くとも平成7年1月の時点で,吹付け材以外の石綿含有建材について,建築現場における石綿関連疾患の発症,特に少量ばく露でも発症する危険性のある中皮腫発症を防止する十分な防護方法がないこと- 27 -を明確に認識しており,それ以降,石綿不使用義務を負っていた。 ところが,第一審被告企業らは,平成7年1月以降も石綿含有建材を製造・販売し続け,石綿不使用義務に違反した。 ウ民法719条1項後段の類推適用について原判決の判示原判決は,民法719条1項後段を類推適用するためには,行為者の行為が石綿関連疾患発症という結果を発生させる石綿粉じんへのばく露の蓄積に寄与したこと,すなわち,当該行為者の製造・販売した石綿含有建材に起因する石綿粉じんへのばく露が石綿関連疾患発症という結果を発生させる可能性があること,及び当該被害者が建築作業に従事した現場で当該行為者の製造・販売に係る石綿含有建材に含まれる石綿粉じんにばく露したこと(到達)を是認し得る高度の蓋然性の証明を要すると判断した。 第一審被告企業らの加害行為と民法719条1項後段類推適用の要件第一審被告企業らが製造・販売した石綿含有建材は,市場を通じて建築現場に到達し,そこで働く建設作業従事者に石綿粉じんばく露と石綿関連疾患発症という危険を発生させる。したがって,第一審被告企業らが,石綿の危険性についての警告表示なく石綿含有建材を製造・販売し,市場に流通させた行為は,本件元建築作業従事者に対する加害行為となる。 ところで,民法719条1項後段が加害者不明の場合の共同不法行為責任を定めた趣旨は,加害行為と権利侵害の結果との間の因果関係が不明な場合に被害者が全く救済されなく 従事者に対する加害行為となる。 ところで,民法719条1項後段が加害者不明の場合の共同不法行為責任を定めた趣旨は,加害行為と権利侵害の結果との間の因果関係が不明な場合に被害者が全く救済されなくなることの不公平を是正するため,被害者の証明の困難を救済するという公益上の理由から,因果関係の法律上の推定を認め,立証責任を転換することにある。 本件事案の特質は,石綿関連疾患を発症させる危険のある石綿含有建材を製造・販売して莫大な利益を得てきた第一審被告企業らが,これを販売するに当たって何らの警告表示も行わなかったために,第一審原告らによる立証(加害者の特定)を- 28 -困難ないしほぼ不可能に至らしめたという点にある。このような事情の下で,加害行為の本件元建築作業従事者への到達の証明を要求することは,公益上の理由から加害行為と損害との間の個別的因果関係の推定を許し,立証困難による不公平な結論を回避するという民法719条1項後段の趣旨を没却するものであり,不合理である。したがって,加害行為の本件元建築作業従事者への到達の証明を厳密に要求することは妥当ではなく,到達の相当程度の可能性が認められれば足りるというべきである。 そうすると,第一審被告企業らの製造・販売した石綿含有建材が本件元建築作業従事者に到達した相当程度の可能性があることが証明されれば,民法719条1項後段の類推適用により,第一審被告企業らが石綿含有建材を警告表示なく製造・販売した行為と第一審原告らの石綿関連疾患発症との間の因果関係が推定されることとなる。 他の加害者の不存在の主張立証の要否本件は,多数の行為が競合ないし累積して本件元建築作業従事者に石綿関連疾患を発症させたものである。共同行為者として特定された第一審被告企業らの行為は,いずれも本件元建築作業従事者 主張立証の要否本件は,多数の行為が競合ないし累積して本件元建築作業従事者に石綿関連疾患を発症させたものである。共同行為者として特定された第一審被告企業らの行為は,いずれも本件元建築作業従事者に到達した相当程度の可能性がある行為として,第一審原告らの損害発生に一定程度以上の寄与をしたものである上,第一審被告企業らは,それぞれ寄与度に応じた減額をした範囲でのみ連帯して賠償責任を負うものであるから,第一審原告らにおいて,他に当該結果発生に影響を及ぼした者が存在しないこと(他の加害者の不存在)を主張立証する必要はない。 共同行為者の特定(主要ばく露建材の特定)a 特定方法第一審原告らは,第一審被告らが製造・販売した石綿含有建材の「到達の相当程度の可能性」について,本件元建築作業従事者ごとに,以下の①から⑥までの観点から検討し,共同行為者を特定した。 ① 直接取扱い建材の特定- 29 -本件元建築作業従事者の属する職種が一般的・類型的に見て直接取り扱うであろう石綿含有建材の種類を特定する(ただし,一部の職種(現場監督など)には直接取扱い建材がない場合があり,その場合は②の観点から特定した。)。 ② 主要ばく露建材の特定②-1 ①で特定した直接取扱い建材のうち,当該職種の作業態様や石綿粉じんばく露実態等を基に,当該職種の建築作業従事者の石綿関連疾患り患・発症の主要な原因となった石綿含有建材の種類を特定し,かつ,②-2 個別の本件元建築作業従事者ごとに,①及び②-1の観点からは対象に含まれないが,個々の作業経験や就労実態から,②-1の建材と同様に当該本件元建築作業従事者の石綿関連疾患り患・発症の主要な原因となったと考えられる石綿含有建材の種類を特定する(個別事情の考慮)。 ③ シェア(市場占有率)の適用上記②で特定 -1の建材と同様に当該本件元建築作業従事者の石綿関連疾患り患・発症の主要な原因となったと考えられる石綿含有建材の種類を特定する(個別事情の考慮)。 ③ シェア(市場占有率)の適用上記②で特定された主要ばく露建材について,その製造・販売企業の中から,当該石綿含有建材の種類に応じ,概ね10%以上のシェアを有する第一審被告企業を特定する。 ④ 石綿含有建材(製品)の用途(建物の種類)に応じた特定石綿含有建材は,製品ごとに主に使用される建物の種類(戸建住宅,共同住宅,学校・幼稚園等,店舗・事務所,劇場・百貨店,工場,倉庫)が国交省データベースに記載されている。いずれの建物の種類の建築作業に従事したかは個々の本件元建築作業従事者によって異なるため,本件元建築作業従事者ごとに,建築作業に従事した建物の種類を特定し,当該建物の種類に主に使用される石綿含有建材(製品)を特定する。 ⑤ 製造販売期間と本件元建築作業従事者の就労期間との重複期間並びに経験現場数の確認上記④で特定した石綿含有建材の製造販売期間と当該本件元建築作業従事者の就労期間との重なりが相当期間認められるか,その期間内に本件元建築作業従事者が- 30 -多数の現場を経験しているかを確認する。 ⑥ 本件元建築作業従事者の記憶に基づく特定上記①から⑤までで特定された建材とは別に,本件元建築作業従事者ごとに,各人の記憶・資料や特別な就労経験に基づき,石綿含有建材の「種類」ではなく,石綿含有建材の「メーカー」や「製品」のレベルで合理的な根拠をもって多数回にわたり取り扱ったと考えられるもの(記憶しているもの)がある場合には,これも加える。 b 到達の相当程度の可能性が認められること上記aの各観点からの検討を経て最終的に特定された石綿含有建材は,本件元建築作業従事者に多数 るもの(記憶しているもの)がある場合には,これも加える。 b 到達の相当程度の可能性が認められること上記aの各観点からの検討を経て最終的に特定された石綿含有建材は,本件元建築作業従事者に多数回にわたって到達した高度の蓋然性(少なくとも到達の相当程度の可能性)がある。したがって,第一審被告企業らがこれらの石綿含有建材を製造・販売して流通に置いた行為には,本件元建築作業従事者の損害発生に対する高い危険性が十分に認められる。殊に,主要ばく露建材を製造・販売した企業の中で,当該石綿含有建材の種類について概ね10%以上の高いシェアを有していた企業が製造・販売した石綿含有建材は,大量に市場の流通に置かれ,長期間にわたって極めて多くの建築現場で使用されてきたと推測できるし,当該石綿含有建材の製造期間と本件元建築作業従事者の就労期間との重複やその間に経験した建築現場数を検討すれば,当該種類の石綿含有建材を常時・頻繁に使用してきた本件元建築作業従事者に対して,上記のシェアを占める企業が製造・販売した当該種類の石綿含有建材は,ある程度の多数回にわたって到達した相当程度の可能性のみならず高度の蓋然性をも認めることができる。加えて,その蓋然性の程度は,シェアの数値に比例して高くなるといってよい。 したがって,これら第一審被告企業らは,民法719条1項後段類推適用における「共同行為者」というべきである。 エ解体工:第一審原告(20)X20,同(21)X21,x31(第一審原告(31)X31関係)及びx37(第一審原告(37)X37ら関係)の主要ばく露- 31 -建材解体工の作業内容は,屋根材,内装材,外壁材,吹付け材,保温材等,既存建物を構成するあらゆる建材を,電動又は手動の工具を用いて剥がしたり,叩き壊したり,切断したりするなどして解体し -建材解体工の作業内容は,屋根材,内装材,外壁材,吹付け材,保温材等,既存建物を構成するあらゆる建材を,電動又は手動の工具を用いて剥がしたり,叩き壊したり,切断したりするなどして解体し,取りまとめて搬出する作業であり,このような作業は,建物の全部解体はもちろん,補修・改修等の部分解体の場合でも異なるところはなく,直接取扱い建材は原判決別冊11-1の建材である。 その上で,以下のとおり,法令,測定データ,販売シェア,作業実態によって,主要ばく露建材を特定する。 a 大気汚染防止法施行令3条の3によって,高濃度の石綿粉じんが発生し作業者に危険をもたらすものとして「特定建築材料」と定められたものとしては,「吹付け石綿」である①吹付け石綿,②石綿含有吹付けロックウール,③湿式石綿含有吹付け材,④石綿含有吹付けバーミキュライト,⑤石綿含有吹付けパーライト,「石綿を含有する保温材」である⑦石綿含有けい酸カルシウム保温材,⑩石綿保温材,「石綿を含有する耐火被覆材」である⑪石綿含有けい酸カルシウム板第2種,⑫石綿含有耐火被覆板,「石綿を含有する断熱材」である⑬屋根用折板石綿断熱材,⑭煙突用石綿がある。 b 解体作業時に発生する石綿粉じん濃度測定データにより,高濃度石綿粉じんが発生することが確認されている建材のうち,販売数量が多く建築現場で多数使用される板材としては,⑮石綿含有スレートボード・フレキシブル板,⑯同・平板,㉓石綿含有けい酸カルシウム板第1種がある。ただし,これらの建材については,市場占有率が大半を占める第一審被告(キ)A&AM,同(ト)大建工業,同(マ)ニチアス,同(ラ)ノザワ及び同(ワ)MMKが製造・販売したものに限る。 c 解体工は,建物を解体するに当たり,多くの時間を内装・外壁・天井などの板材の解体作業に費やし,鉄骨 ト)大建工業,同(マ)ニチアス,同(ラ)ノザワ及び同(ワ)MMKが製造・販売したものに限る。 c 解体工は,建物を解体するに当たり,多くの時間を内装・外壁・天井などの板材の解体作業に費やし,鉄骨建物の場合はそれに加えて吹付け材が吹き付けられた鉄骨を解体する作業が主である。保温材を剥がしたり切断したりする作業時間は,板材及び吹付け材に接する作業時間に比べてはるかに少なく,建物の構造により使- 32 -われている保温材の量も様々である。 したがって,解体工は,板材及び吹付け材の石綿粉じんばく露作業が主であり,本件元建築作業従事者に特殊な事情がない限り,上記石綿含有建材が主要ばく露建材である。 d 以上によれば,解体工の主要ばく露建材は,吹付け材(①~⑤),板材(⑮,⑯,㉓)の8種類であり,これらの建材を製造・販売してきた第一審被告企業10社(第一審被告(キ)A&AM,同(ホ)ナイガイ,同(マ)ニチアス,同(ユ)バルカー,同(ラ)ノザワ,同(ム)日東紡績,同(ニ)太平洋セメント,同(チ)日鉄ケミカル,同(ワ)MMK,同(ト)大建工業)が共同不法行為責任を負う。 第一審原告(20)X20第一審原告(20)X20は,昭和51年10月から昭和56年3月までのうちの約2年10か月間は,鉄骨造・鉄筋コンクリート造建物(新築工事8割,改築工事2割)で築炉工として,平成2年から平成17年3月までのうちの約11年8か月間は,当初の約2年1か月は鉄骨造・鉄筋コンクリート造建物,その後は主に木造建物で解体工として,平成11年2月から平成19年3月までの間は,プラント作業に,それぞれ従事した。そうすると,解体工として上記dの建材に加え,築炉工として保温材(⑦,⑩),プラント作業において保温材(⑦,⑩),耐火被覆材(⑪,⑫)及び断熱材(⑬,⑭)を は,プラント作業に,それぞれ従事した。そうすると,解体工として上記dの建材に加え,築炉工として保温材(⑦,⑩),プラント作業において保温材(⑦,⑩),耐火被覆材(⑪,⑫)及び断熱材(⑬,⑭)を取り扱ったから,これらの建材も主要ばく露建材である。 したがって,上記dの第一審被告企業に加えて,これらの建材を製造・販売していた第一審被告(メ)日本インシュレーション,同(シ)神島化学工業も,同第一審原告に対して共同不法行為責任を負う。 第一審原告(21)X21第一審原告(21)X21は,昭和42年4月から平成6年5月まで,平成7年から平成12年まで及び平成16年から平成21年9月までの間,約500件の建築現場において,木造建物3割,鉄骨造・鉄筋コンクリート造建物7割の割合で解- 33 -体工事に従事した。 したがって,上記dの建材が主要ばく露建材であり,これらの建材を製造・販売していた第一審被告(キ)A&AM,同(ホ)ナイガイ,同(マ)ニチアス,同(ユ)バルカー,同(ラ)ノザワ,同(ム)日東紡績,同(ニ)太平洋セメント,同(チ)日鉄ケミカル,同(ワ)MMK,同(ト)大建工業が共同不法行為責任を負う。 x31(第一審原告(31)X31関係)x31は,昭和44年4月から昭和48年まで及び昭和62年から平成21年8月までの間,約915件の建築現場において,主に鉄骨造・鉄筋コンクリート造建物の解体工事に従事した。 したがって,上記dの建材が主要ばく露建材であり,これらの建材を製造・販売していた第一審被告(キ)A&AM,同(ホ)ナイガイ,同(マ)ニチアス,同(ユ)バルカー,同(ラ)ノザワ,同(ム)日東紡績,同(ニ)太平洋セメント,同(チ)日鉄ケミカル,同(ワ)MMK,同(ト)大建工業が共同不法行為責任を負う。 x3 ナイガイ,同(マ)ニチアス,同(ユ)バルカー,同(ラ)ノザワ,同(ム)日東紡績,同(ニ)太平洋セメント,同(チ)日鉄ケミカル,同(ワ)MMK,同(ト)大建工業が共同不法行為責任を負う。 x37(第一審原告(37-1)X37ら関係)x37は,昭和58年4月から平成22年頃までの間,約909件の建築現場において,木造建物5割,鉄骨造・鉄筋コンクリート造建物5割の割合で解体工事に従事した。 したがって,上記dの建材が主要ばく露建材であり,これらの建材を製造・販売していた第一審被告(キ)A&AM,同(ホ)ナイガイ,同(マ)ニチアス,同(ユ)バルカー,同(ラ)ノザワ,同(ム)日東紡績,同(ニ)太平洋セメント,同(チ)日鉄ケミカル,同(ワ)MMK,同(ト)大建工業が共同不法行為責任を負う。 オ工事監理:x10(第一審原告(10)X10関係)の主要ばく露建材工事監理の作業内容は,工事が設計図書及び施工図どおり施工されているかを,- 34 -各作業段階に応じ,現場において確認することである。x10は,昭和59年3月から平成5年11月までの間,株式会社像建築設計事務所(以下「像建築設計事務所」という。)に雇用され,鉄骨造,鉄筋コンクリート造のビル新築工事に関する工事監理に従事し,その間,ビル新築工事現場へ週に2日又は3日は出向き,また,平成元年1月から平成2年3月頃までの1年3か月間,10階建て新築ビルの常駐監理を行い,連日現場に出ていた。 x10の主要ばく露建材は,原判決別冊1-1・2の建材から,解体工及びとびのみが直接取り扱う建材,屋内でサイディング・切断を行う頻度が少ない屋根材及び外装材,担当現場で使用される可能性の少ない建材,像建築設計事務所では使用しない建材,同人が殆ど手掛けない木造建築・戸建て住宅にのみ使用される建 ,屋内でサイディング・切断を行う頻度が少ない屋根材及び外装材,担当現場で使用される可能性の少ない建材,像建築設計事務所では使用しない建材,同人が殆ど手掛けない木造建築・戸建て住宅にのみ使用される建材,平成4年以降に製造販売を開始した建材,昭和60年以前に製造が終了した建材を除外した上,同人の作業内容,建物種類,従事期間,現に手掛けた現場で使用したことが明らかとなっている建材等を考慮して,吹付け材(②,③),内装材(⑮,⑯,㉓)及び混和材(㊸)と特定される。 したがって,第一審被告(ム)日東紡績(②,③),同(キ)A&AM(③,⑮,㉓),同(マ)ニチアス(③,㉓),同(ニ)太平洋セメント(③),同(ワ)MMK(⑮,⑯,㉓),同(ト)大建工業(㉓),同(ラ)ノザワ(㊸)が共同不法行為責任を負う。 カ現場監督:x15(第一審原告(15)X15関係)の主要ばく露建材現場監督の作業内容は,着工から完成,引渡しまでの間,設計図書どおりに施工図を作成し,材料や職人を手配・管理し,着工後は,現場に足を運んで施工状況を確認することである。x15は,昭和35年から昭和60年までの間(ただし,1年間を除く。),現場監督に従事した。 x15の主要ばく露建材は,原判決別冊1-1・2の建材から,解体工及びとびのみが直接取り扱う建材,屋内でサイディング・切断を行う頻度が少ない屋根材及び外装材,担当現場で使用される可能性の少ない建材,昭和59年以降に製造販売- 35 -を開始した建材,昭和36年以前に製造が終了した建材を除外した上,同人の作業内容,従事期間等を考慮して,吹付け材(①,②,③),保温材(⑦,⑩),内装材(⑮,⑯,㉓)及び混和材(㊸)と特定される。 したがって,第一審被告(キ)A&AM(①,②,③,⑦,⑩,⑮,⑯,㉓),同(ニ)太平洋 を考慮して,吹付け材(①,②,③),保温材(⑦,⑩),内装材(⑮,⑯,㉓)及び混和材(㊸)と特定される。 したがって,第一審被告(キ)A&AM(①,②,③,⑦,⑩,⑮,⑯,㉓),同(ニ)太平洋セメント(③),同(マ)ニチアス(①,②,③,⑦,⑩,㉓),同(ム)日東紡績(②,③),同(ユ)バルカー(①,②),同(ラ)ノザワ(①,②,⑮,⑯,㊸),同(ワ)MMK(⑮,⑯,㉓),同(チ)日鉄ケミカル(②)が共同不法行為責任を負う。 キ ⑦石綿含有けい酸カルシウム保温材の昭和53年のシェア等石綿含有けい酸カルシウム保温材の昭和53年の第一審被告企業らの出荷量及びシェアは,以下のとおりである。 ⅰ 第一審被告(マ)ニチアス 6500トン,シェア32.2%ⅱ 同(キ)A&AM 4000トン,シェア19.9%ⅲ 同(メ)日本インシュレーション 3800トン,シェア18.9%ⅳ 同(シ)神島化学工業 3850トン,シェア19.1%ク㊶石綿セメント円筒のシェア等㊶石綿セメント円筒のシェア及び販売実績は,以下のとおりであった。 昭和60年度(販売実績合計45億円)は,トーアトミジ株式会社(以下「トーアトミジ」という。)が68%(30.6億円),浅野スレート(現A&AM)が17%(7.6億円),昭和電工が15%(6.8億円)であった。 昭和61年度(販売実績合計50.2億円)は,トーアトミジが64%(32億円),浅野スレート(現A&AM)が21%(10.5億円),昭和電工が15%(7.7億円)であった。 加えて,トーアトミジの報告に係る販売実績の推移によれば,昭和56年度から61年度(昭和61年度は推定)までは,トーアトミジが71%,昭和電工が16%,浅野スレートが13%とされている。 - 36 -このように ジの報告に係る販売実績の推移によれば,昭和56年度から61年度(昭和61年度は推定)までは,トーアトミジが71%,昭和電工が16%,浅野スレートが13%とされている。 - 36 -このように,石綿セメント円筒については,第一審被告(キ)A&AMが長期にわたり,概ね10%程度のシェアを有していた。 (第一審被告(コ)倉敷紡績の主張)第一審原告らは,クロス工について,第一審被告(コ)倉敷紡績の㉗石綿含有その他パネルボードの一種である「グランパネルLG」が主要ばく露建材である旨主張する。 しかし,「グランパネルLG」は,電動のこぎり等の使用及び研磨は予定されていないから,石綿を飛散させることは考え難い上,第一審原告らは,クロス工について,建材の石綿含有量,飛散性,製造量,出荷量,シェアなどの自ら設定した主要ばく露建材該当性の要件について,何ら主張立証しない。したがって,「グランパネルLG」がクロス工の主要ばく露建材に該当する余地はない。 (第一審被告(ト)大建工業の主張)第一審原告らは,クロス工について,第一審被告(ト)大建工業の㉓石綿含有けい酸カルシウム板第1種,⑳石綿含有スラグせっこう板,㉔石綿含有ロックウール吸音天井板,㉗石綿含有その他パネル・ボードが主要ばく露建材である旨主張する。 しかし,クロス工の石綿粉じんばく露の主原因たる建材は混和剤であると考えられること,クロス工がボードの下地調整を行う際にボード自体を削ることはないこと,同第一審被告の上記各石綿含有建材のシェアはいずれも低いことから,同第一審被告の上記各石綿含有建材は,クロス工の主要ばく露建材ではない。 (第一審被告(マ)ニチアスの主張)ア第一審原告(29)X29(保温工)について原判決は,保温工である第一審原告(29)X29について,昭和 有建材は,クロス工の主要ばく露建材ではない。 (第一審被告(マ)ニチアスの主張)ア第一審原告(29)X29(保温工)について原判決は,保温工である第一審原告(29)X29について,昭和41年から昭和60年までの間に上嶋板金の労働者として保温作業に従事したこと,上嶋板金は第一審被告(マ)ニチアスからの仕事を専門に行う北湧産業株式会社(以下「北湧産業」という。)から造船所の工事等を請け負っていたことから,同第一審原告は同第一審被告の製造・販売に係る保温材を使用した旨判示した。 - 37 -しかし,北湧産業が上嶋板金に依頼したのは,保温工事ではなく板金工事であり,第一審原告(29)X29が,北湧産業の工事において,第一審被告(マ)ニチアスの製造・販売に係る保温材を取り扱ったとは認められないから,これが到達したということはできない。 仮に,同第一審原告が,北湧産業から上嶋板金が請けた業務中に保温作業に従事したことがあったとしても,同第一審原告の保温工としての職歴からすれば,昭和51年以降,同第一審被告の保温材が到達した可能性のある昭和55年までの4年間について見ても,大半(7割から8割)がとび職の作業に従事し,時折従事した保温工の作業(2,3割)のうち,さらにその2割を占めるに留まる北湧産業の業務の同第一審原告の石綿ばく露全体に占める割合は,ごく僅かであって(0.3%~0.45%),同第一審被告の責任を肯定する程度にその保温材が到達したということはできない。 イ第一審原告(40)X40(保温工)について原判決は,保温工である第一審原告(40)X40について,昭和49年から昭和52年までの間に角栄アスベストの労働者として保温作業に従事したこと,昭和52年から昭和54年までの間に北湧産業の労働者として造船所の保温業務等 る第一審原告(40)X40について,昭和49年から昭和52年までの間に角栄アスベストの労働者として保温作業に従事したこと,昭和52年から昭和54年までの間に北湧産業の労働者として造船所の保温業務等に従事したこと,角栄アスベスト及び北湧産業は第一審被告(マ)ニチアスの下請けをしていたことから,同第一審原告は同第一審被告の製造・販売に係る保温材を使用した旨判示した。 しかし,第一審被告(マ)ニチアスが角栄アスベストと取引を開始したのは平成18年以降であり,それ以前に取引をしたことはない。そして,第一審原告(40)X40の保温工としての職歴からすれば,北湧産業在籍中の昭和53年から昭和54年までの1年間に同第一審被告の保温材が到達した可能性があるに留まるが,同第一審原告の石綿ばく露全体に占める割合は,ごく僅かであって(2%),同第一審被告の責任を肯定する程度にその保温材が到達したということはできない。 - 38 -ウ大工について第一審原告らが大工の主要ばく露建材として主張する㉓石綿含有けい酸カルシウム板第1種は,カッターで切断することが可能であり通常であることから,加工時に石綿粉じんが発散することがほとんどなく,また,その出荷先の90%は中高層建築の非住宅であり,戸建て住宅等に出荷されるのは10%にとどまるから,大工の主要ばく露建材とはならない。 (第一審被告(ラ)ノザワの主張)ア第一審被告企業らの警告義務違反の有無については,昭和50年10月1日より早い時期に認められるべきではなく,昭和50年以降の石綿代替化の状況,石綿業界の自主規制の状況(「a」マークの導入等),海外における石綿(特にクリソタイル)に対する危険性評価についての知見の集積状況,海外における石綿製造に対する規制状況等に鑑みると,仮に,第一審被告企業ら 界の自主規制の状況(「a」マークの導入等),海外における石綿(特にクリソタイル)に対する危険性評価についての知見の集積状況,海外における石綿製造に対する規制状況等に鑑みると,仮に,第一審被告企業らに石綿含有建材の製造・販売に関して何らかの警告義務違反が認められることがあったとしても,その時期は,昭和50年10月1日よりも相当程度遅い時期になると解される。 イ石綿含有建材については,建材を加工する周辺で作業を行う者がいる場合に限り警告表示を行えば足り(例えば,石綿含有スレートボードが加工されて天井や壁に設置された後に,それらに切断,研磨等の加工をする者(電工,塗装工等)に対する関係では,警告義務は及ばない。),その履行方法についても,製品の性質上,警告表示によって伝達された情報を契機として事業者が安全配慮義務を履行することによって危険を回避することが事実上期待されるにとどまるのであって,周辺作業者との関係において表示の視認性が維持されなければならないものではない。 ウ石綿含有建材は,施工後は,他の建材と一体となって建築物の構成部分となること,建築から補修・解体までの期間が長期にわたるため,出荷時の警告によって補修・解体工事に従事する作業者に実効性ある警告をするのは困難であること,むしろ補修・解体工事を行う事業者において石綿含有建材の使用状況を調査した上- 39 -で必要な対策を採るのが実際的であることから,補修・解体工事に従事する職種に対しては,第一審被告企業らは警告義務を負わない。 損害,消滅時効,過失相殺等(第一審原告らの主張)ア第一審被告(ア)国関係 第一審被告(ア)国は損害の全部について責任を負うこと原判決は,第一審被告(ア)国の責任は,雇用主である事業者の責任を一次的・基本的なものと捉え の主張)ア第一審被告(ア)国関係 第一審被告(ア)国は損害の全部について責任を負うこと原判決は,第一審被告(ア)国の責任は,雇用主である事業者の責任を一次的・基本的なものと捉えた場合,二次的・補完的なものであるとして,第一審被告(ア)国が負担すべき損害の範囲は,事業者が負うべき責任の範囲である基準慰謝料額の3分の1を限度とするとした。 しかし,事業主の負担する安全配慮義務違反の責任と,第一審被告(ア)国の負担する国賠法1条1項に基づく損害賠償責任とは,別個独立のものであり,それぞれが被害者に対して全部責任を負う。そして,建築作業従事者に石綿関連疾患の被害が集中的に発生している原因は,第一審被告(ア)国が建築現場の石綿粉じんばく露防止策を十分に講じなかったことにあるから,第一審被告(ア)国の責任は,二次的・補完的なものではなく,一次的な直接責任である。 したがって,第一審被告(ア)国の損害賠償責任を3分の1に減じることは許されない。 第一審被告(ア)国の責任期間内の石綿粉じんばく露期間の長短により慰謝料額を減額すべきではないこと原判決は,第一審被告(ア)国の責任期間内における石綿ばく露作業従事期間が石綿関連疾患の労災認定基準とされる期間等に足りない本件元建築作業従事者の慰謝料額を10%減額した。 しかし,累積ばく露量が多いほど発症のリスクは高まるのであり,第一審被告(ア)国の責任期間内の石綿粉じんばく露が短期間に留まるとしても,当該ばく露と第一審被告(ア)国の責任期間外の石綿粉じんばく露とが不可分一体となって石綿関連- 40 -疾患にり患したと推認できるから,第一審被告(ア)国の責任期間内の石綿粉じんばく露と本件元建築作業従事者の石綿関連疾患発症との間には相当因果関係がある。 したがって,第一 石綿関連- 40 -疾患にり患したと推認できるから,第一審被告(ア)国の責任期間内の石綿粉じんばく露と本件元建築作業従事者の石綿関連疾患発症との間には相当因果関係がある。 したがって,第一審被告(ア)国の責任期間内の石綿粉じんばく露期間が短いことを理由に慰謝料額を減額すべきではない。 喫煙歴による減額について原判決は,肺がんを発症した本件元建築作業従事者が喫煙歴を有する場合には,一律に慰謝料額の1割を減額する判断をした。 しかし,個別具体的に第一審原告らの肺がん発症に喫煙が及ぼした影響は立証されていないこと,たばこは嗜好品として広く社会に受け入れられており,喫煙歴を疾病と同視し得る事情もない以上,肺がんにり患した本件元建築作業従事者の慰謝料額を喫煙歴を理由に減額すべきではない。 労災保険法等に基づく給付を基準慰謝料額に対する損益相殺の対象とすべきでないこと労災保険法等に基づく給付は,包括一律請求をする本件においては,基準慰謝料額の算定において既に考慮されており,さらに基準慰謝料額に対する損益相殺的な調整の対象とすることは許されない。 イ第一審被告企業ら関係 左官工について原判決は,第一審被告(ラ)ノザワが責任を負う損害の範囲について,他の石綿含有建材の影響を考慮して一律70%に減じた上,第一審原告(3)X3については,他の石綿吹付け,塗布作業及びリシンの吹付け作業等を考慮して更に50%を乗じ,同(17)x17については,他のボード切断作業等を考慮して更に70%を乗じ,同(26)X26については,リシンの練り上げ作業等を考慮して更に80%を乗じた上,喫煙歴を理由に更に90%を乗じた。 しかし,吹付け材は主として鉄骨造のみに使用され,特に左官の作業では,鉄骨- 41 -造のみの現場で接触して の練り上げ作業等を考慮して更に80%を乗じた上,喫煙歴を理由に更に90%を乗じた。 しかし,吹付け材は主として鉄骨造のみに使用され,特に左官の作業では,鉄骨- 41 -造のみの現場で接触してばく露する可能性があるところ,同(17)x17と同(26)X26は,鉄骨造の現場では全く作業していないか,その機会が極めて少なかったから,少なくともこの2名の第一審原告については,第一審被告(ラ)ノザワの寄与率は70%ではなく,少なくとも80%から90%とすべきである。 また,リシンにはほとんど石綿が含まれていないから,その影響は考慮すべきでなく,第一審原告ごとに個別に考慮すべき寄与率は,同(3)X3については,50%ではなく,少なくとも60%とすべきであり,同(26)X26については,減額の必要はない。 タイル工について原判決は,第一審被告(ラ)ノザワが責任を負う損害の範囲について,他の石綿含有建材の影響を考慮して一律70%に減じた。 しかし,石綿含有率100%の混和材を常時日常的に取り扱っていたタイル工にとって,他の石綿含有建材の寄与が大きいとは到底いえず,他の建材からの寄与(責任期間前の寄与を含め)は,多くとも2割程度とすべきである。 (第一審被告(ア)国の主張)ア責任期間外のばく露期間に応じた減額について本件元建築作業従事者のばく露期間のうち第一審被告(ア)国の責任期間(本件元建築作業従事者が労働者でなかった期間は,責任期間から当然に除かれる。)外のばく露期間がそれだけで石綿関連疾患を生じせしめるに十分な場合,具体的には,石綿肺又は肺がんについては10年以上,中皮腫については1年以上,びまん性胸膜肥厚については3年以上,良性石綿胸水については20年以上ある場合は,第一審被告(ア)国の規制権限不行使と石綿関連疾患り 石綿肺又は肺がんについては10年以上,中皮腫については1年以上,びまん性胸膜肥厚については3年以上,良性石綿胸水については20年以上ある場合は,第一審被告(ア)国の規制権限不行使と石綿関連疾患り患との間に因果関係は認められない。 加えて,第一審被告(ア)国の責任期間外のばく露期間が上記各期間に満たない場合であっても,責任期間外のばく露期間に比して,責任期間内の労働者としてのばく露期間が短期間の者については,規制権限の行使により,石綿関連疾患り患を- 42 -回避できたか否か不明であり,同じく,第一審被告(ア)国の規制権限不行使と石綿関連疾患り患との間に因果関係は認められない。 イ石綿ばく露作業従事期間に基づく減額について原判決は,疾患の種類ごとに,第一審被告(ア)国の責任期間内における労働者としての石綿ばく露作業従事期間の長短に応じて一律10%減額とするか否かを判断したが,同種訴訟における減額率と比較して,その割合は不当に低率であり,損害の公平な分担の見地を適正に反映したものとはいえない。 ウ喫煙歴による減額について原判決は,肺がんを発症した本件元建築作業従事者が喫煙歴を有する場合の慰謝料額の減額率を1割にとどめた。 しかし,喫煙歴も石綿ばく露歴もない人の発がんリスクを1とすると,喫煙歴があって石綿ばく露歴がない人では10.85,喫煙歴がなく石綿ばく露歴のある人では5.17,喫煙歴も石綿ばく露歴もある人では53.24になるのであって,肺がんに対する寄与度は,石綿粉じんばく露よりも喫煙歴の方が2倍近く大きい。 そうすると,喫煙歴による減額率を1割とするのは,不当に減額率が低く,損害の公平な分担の見地から相当ではない。 エ労災保険給付等の受給を考慮すべきことについて第一審原告らの請求が包括一律請求方 すると,喫煙歴による減額率を1割とするのは,不当に減額率が低く,損害の公平な分担の見地から相当ではない。 エ労災保険給付等の受給を考慮すべきことについて第一審原告らの請求が包括一律請求方式である本件においては,第一審原告らが受給した労災保険給付等は基準慰謝料額から控除されるべきである。 仮に,そのような損益相殺的調整が認められないとしても,本件元建築作業従事者又はその遺族が労災保険給付等の受給を受けるなど財産的損害の全部又は一部の填補を受けたという事情は,その失った精神的利益の回復可能性を増大させ,慰謝料の減額事由として斟酌されるべきであるから,各第一審原告らが受給した労災保険給付額の少なくとも5割相当額は基準慰謝料額から減額されるべきである。 オ遅延損害金の起算点について 死亡した本件元建築作業従事者について- 43 -石綿関連疾患について,行政上の決定に相当する病状に基づく損害と同疾患を原因とする死亡に基づく損害とは異質なものであって,同疾患が原因で死亡した場合,死亡時に損害が発生すると解すべきである。 したがって,本件元建築作業従事者が死亡している場合には,石綿関連疾患を原因とする死亡に基づく損害賠償請求権の遅延損害金の起算点は,死亡時である。 第一審原告(18)X18について第一審原告(18)X18は,良性石綿胸水及びびまん性胸膜肥厚にり患し,その発症日が平成21年2月16日であるとして,同日を遅延損害金の起算点である旨主張する。 しかし,労災認定上,同第一審原告がびまん性胸膜肥厚を発症した上で療養を開始した日は,平成22年12月11日である。そして,良性石綿胸水とびまん性胸膜肥厚とでは,その病態に明らかな差異があり,良性石綿胸水を発症したことによる損害とびまん性胸膜肥厚を発症したこと 療養を開始した日は,平成22年12月11日である。そして,良性石綿胸水とびまん性胸膜肥厚とでは,その病態に明らかな差異があり,良性石綿胸水を発症したことによる損害とびまん性胸膜肥厚を発症したことによる損害とは質的に異なるから,良性石綿胸水の発症日は,びまん性胸膜肥厚の発症を前提とする損害に係る遅延損害金の起算点とはなり得ない。 したがって,同第一審原告のびまん性胸膜肥厚にり患したことを前提とする損害に係る遅延損害金の起算点は,平成21年2月16日ではない。 本件元建築作業従事者(11)x11について第一審原告(11)X11は,上記本件元建築作業従事者が良性石綿胸水及びびまん性胸膜肥厚にり患し,その発症日が平成24年10月26日であるとして,同日を遅延損害金の起算点である旨主張する。 しかし,そもそも,上記本件元建築作業従事者がびまん性胸膜肥厚にり患したとは認められない。同第一審原告が主張する平成24年10月26日は良性石綿胸水の発症日である。 本件元建築作業従事者(42)x42について第一審原告(42)X42-1外3名は,上記本件元建築作業従事者が石綿肺管- 44 -理2,続発性気胸及び中皮腫にり患し,その発症日が平成22年11月13日であるとして,同日を遅延損害金の起算点である旨主張する。 しかし,同日は,石綿肺管理2及び続発性気胸の発症日であって,中皮腫の発症日ではない。労災認定上,同人の中皮腫の発症日は平成24年3月26日である。 (第一審被告(シ)神島化学工業の主張)ア本件元建築作業従事者の石綿関連疾患の発症について,事業者の安全配慮義務違反が及ぼした影響は大きく,主要ばく露建材の製造・販売をした第一審被告企業らの責任は,多くとも基準慰謝料額の3分の1にとどまる。 イ石綿ばく露よりも喫 疾患の発症について,事業者の安全配慮義務違反が及ぼした影響は大きく,主要ばく露建材の製造・販売をした第一審被告企業らの責任は,多くとも基準慰謝料額の3分の1にとどまる。 イ石綿ばく露よりも喫煙の方が肺がん発症のリスクが高いから,喫煙歴があって肺がんを発症した本件元建築作業従事者については,10%を超える減額をすべきである。 ウ呼吸用保護具の着用は,事業者又は労働者の義務であり,これを着用しなかったことは第一審原告らの過失というべきであるから,過失相殺がされるべきである。 (第一審被告(ト)大建工業の主張)ア石綿ばく露よりも喫煙の方が肺がん発症のリスクが高いから,喫煙歴があって肺がんを発症した本件元建築作業従事者については,10%を超える減額をすべきである。 イ呼吸用保護具の着用は,事業者又は労働者の義務であり,これを着用しなかったことは第一審原告らの過失というべきであるから,過失相殺がされるべきである。 (第一審被告(マ)ニチアスの主張)原判決は,第一審原告(29)X29及び同(40)X40の各損害額を,他の石綿含有建材によるばく露の可能性を理由に一律70%としつつ,第一審被告(マ)ニチアスの製造・販売に係る保温材の使用期間及び石綿含有率,他の石綿建材メーカーの製造・販売に係る保温材を使用した可能性,同第一審被告の市場占有率その- 45 -他の個別事情を考慮して更に50%を乗じた結果,全損害の35%の割合で責任を負担するとした。 しかし,労働安全衛生法令は,直接の雇用主や元方事業者等の事業者の安全配慮義務を一義的・直接的な義務として想定しており,製造者の警告義務はあくまで二義的・間接的なものであるから,同第一審被告が負うべき責任の割合は,3分の1に減じられるべきである。その上で,前記のとおり,同第 を一義的・直接的な義務として想定しており,製造者の警告義務はあくまで二義的・間接的なものであるから,同第一審被告が負うべき責任の割合は,3分の1に減じられるべきである。その上で,前記のとおり,同第一審被告の製造・販売に係る保温材が上記第一審原告らの石綿ばく露全体に占める割合はごく僅かであるから,その寄与度は著しく低いというべきである。 また,同第一審原告(29)X29の呼吸機能障害については,遊離けい酸を原因物質とするけい肺等の石綿肺以外のじん肺が影響しているというべきであるから,50%の寄与度減額が認められるべきである。 (第一審被告(ミ)ニチハの主張)第一審原告(1)X1,同(2)X2,同(13)X13,同(14)X14,同(19)X19,同(22)X22,同(24)X24,同(29)X29,同(30)X30,同(32)X32,同(33)X33,同(39)X39については,本件元建築作業従事者の発症日又は症状確認日から本件訴えの提起までに3年を経過した。第一審被告(ミ)ニチハは,令和元年12月6日の当審口頭弁論期日において,上記第一審原告らに対し,消滅時効を援用する旨の意思表示をした。 第3章当裁判所の判断第1 認定事実 1 石綿肺に関する医学的知見,肺がん及び中皮腫に関する医学的知見,びまん性胸膜肥厚に関する医学的知見,良性石綿胸水に関する医学的知見,建基法令による規制と石綿含有建材の使用状況等,建築作業用電動工具の普及とそれに伴う建築現場での発じん状況に係る認定事実は,以下のとおり補正するほかは,原判決の「事実及び理由」中の「第3章当裁判所の判断」の第1の1から6まで(76頁15行目から106頁16行目まで)に説示するとおりであるから,これを引用する。 - 46 -85頁6行目の「石綿粉じんに」の前に「昭 中の「第3章当裁判所の判断」の第1の1から6まで(76頁15行目から106頁16行目まで)に説示するとおりであるから,これを引用する。 - 46 -85頁6行目の「石綿粉じんに」の前に「昭和18年以前に就業し,」を,7行目の「断熱工」の次に「(男性)」を,11行目の「様々である。」の次に「上記期間中,調査対象者のうち255名が死亡した。」を,それぞれ加える。 99頁15行目の「委託を受け,」の次に「昭和41年,」を加える。 101頁16行目の「少なくないと」を「少なくないこと,我が国の石綿肺肺がんの報告例は2例にすぎないため統計的考察が不可能であり,今後,症例の収集に努め,動物実験による究明と病理解剖学的・組織学的検索及び疫学的考察と相まって,この関連性を検討する必要があることを」に改める。 104頁2行目の次に改行して以下を加える。 「カ日本産業衛生学会による許容濃度の勧告日本産業衛生学会は,昭和49年3月,「許容濃度等の勧告(1974)」の中で,石綿粉じん(クリソタイル,アモサイト外)の許容濃度(労働者が有害物に連日ばく露される場合に,当該有害物の空気中濃度がこの数値以下であれば,ほとんど全ての労働者に悪影響がみられない濃度)として,5μ以上の石綿繊維で2本/㎤(これに対応する石綿粉じんの重量濃度は0.12mg/㎥)を勧告した(甲A587)。」104頁22行目の次に改行して以下を加える。 「我が国では,坂部が,昭和47年度環境庁研究報告の中で,昭和47年IARC報告の論文の抄録として,石綿肺のエックス線所見において,特に両側性胸膜肥厚及び胸膜石灰化は,従来認められていた以上にしばしば石綿粉じん吸入により引き起こされることを記載した(甲A31)。」 2 建設業における石綿ばくろ状況に関する報告瀬良 いて,特に両側性胸膜肥厚及び胸膜石灰化は,従来認められていた以上にしばしば石綿粉じん吸入により引き起こされることを記載した(甲A31)。」 2 建設業における石綿ばくろ状況に関する報告瀬良の報告前記1において引用する原判決の「事実及び理由」中の「第3章当裁判所の判断」の第1の2エ(102頁9行目から19行目まで)に説示するとおり,瀬良は,「石綿作業と肺疾患」(昭和46年9月)において,近年,建築関係等で石綿吹- 47 -付け作業が盛んに行われているが,作業者39人中6人(15.4%)に石綿肺を認め,1型2人(5年,7年3か月),2型2人(6年,7年),3型2人(3年11か月,5年6か月)であり,比較的短い作業期間で発病していることは注目すべきであること,このうち1例は,7年で呼吸困難を訴え,エックス線像2型,以後入院治療したが,進展して5年後呼吸不全で死亡し,石綿吹付け作業による我が国最初の死亡例であること,他に6年で2型になった者で1年10か月後に死亡した例もあり,吹付け作業については強力な予防指導を要するものと思われること等を報告した(甲A8)。 内藤栄治郎の報告内藤栄治郎は,「石綿障害予防対策の現状と関係法規」(昭和46年9月)において,労働省が昭和46年1月から3月まで実施した鉱業,建設業,製造業の各業種の石綿を取り扱う188事業場の工学的予防措置状況(石綿取扱い労働者数,局所排気装置・除じん装置の設置率,呼吸用保護具の備付率等)及び石綿取扱い作業者のじん肺り患状況(有所見者率)の調査結果を紹介した。これによれば,建設業については,12事業場(石綿取扱い者数134名)について監督指導がされ,局所排気装置の設置率が50%,除じん装置の設置率が25%,呼吸用保護具の備付率が54%,産業別のじん肺の有所見者 ば,建設業については,12事業場(石綿取扱い者数134名)について監督指導がされ,局所排気装置の設置率が50%,除じん装置の設置率が25%,呼吸用保護具の備付率が54%,産業別のじん肺の有所見者率は,鉱業(2事業場)が0%,建設業(12事業場)が3.5%,製造業(174事業場)が6.6%,全産業計が6.5%との結果であった(甲A82)。 木村菊二の報告木村菊二は,「作業現場の石綿粉塵」(昭和46年9月)において,石綿板製造工場の環境調査について,昭和40年ないし昭和45年頃に測定された2,3の工場の石綿粉じん測定結果を報告した。これによれば,石綿板製造工場における石綿板切断作業時の石綿粉じん濃度は,除じん装置なしの場合10.8~16.2個/㎤(これに対応する石綿粉じんの重量濃度は113.3mg/㎥),除じん装置ありの場合7.4~10.0個/㎤(石綿粉じん重量濃度は33.3mg/㎥)であっ- 48 -た(甲A494,乙アA40)。 労働省の石綿吹付け作業中の石綿粉じん濃度測定労働省は,昭和47年,建設工事における石綿吹付け作業中の石綿粉じん濃度を測定した(材料における石綿含有量は50%)。測定結果は,15か所平均で,乾式吹付けで37.66~41.76mg/㎥×50%(これに対応する1㎤当たりの石綿繊維数は313.83~348本/㎤),湿式吹付けで12.11~17. 28mg/㎥×50%(対応する1㎤当たりの石綿繊維数は100.91~144本/㎤)であった(甲A390の2,乙アA40)。 「東邦経済」の記事昭和49年11月に発行された「東邦経済」に掲載された記事「発がん性材料石綿の恐怖職業病から公害へ拡がる」には,前記の労働省の昭和46年1月から3月までの調査結果である「石綿取扱い作業者のじん肺り患状況」が紹介 に発行された「東邦経済」に掲載された記事「発がん性材料石綿の恐怖職業病から公害へ拡がる」には,前記の労働省の昭和46年1月から3月までの調査結果である「石綿取扱い作業者のじん肺り患状況」が紹介された上,これをみる限りでは,石綿の産出現場よりも,建築現場や石綿製品工場での発病の方が問題となる旨記載されていた(甲A472p77)。 「石綿による健康障害に関する専門家会議検討結果報告書」石綿による健康障害に関する専門家会議が昭和53年9月18日に提出した「石綿による健康障害に関する専門家会議検討結果報告書」の内容は,原判決の「事実及び理由」中の「第3章当裁判所の判断」の第1の7(106頁18行目から109頁5行目まで)に説示するとおりであるから,これを引用する。 3 職業ばく露限界(WHOの報告),石綿含有物の石綿含有量測定技術,建築現場における石綿粉じんの有害性に関する報道等,石綿代替繊維の開発経過に係る認定事実は,以下のとおり補正するほかは,原判決の「事実及び理由」中の「第3章当裁判所の判断」の第1の8から11まで(109頁6行目から116頁10行目まで)に説示するとおりであるから,これを引用する。 115頁2行目の「調査研究を進め,」の次に「この間,」を加え,5行目の「ガラス繊維」を「ガラス長繊維」に改める。 - 49 -115頁17行目の「報告において,」の次に「アタパルジャイト長繊維(>5μm)をグループ2Bに,アタパルジャイト短繊維(<5μm)及び」を加える。 115頁26行目の「ガラス繊維」を「ガラス長繊維」に改める。 4 建築作業従事者の石綿関連疾患発症状況に関する調査医師である海老原勇らは,建築作業従事者の胸膜肥厚斑(胸膜プラーク)や石綿関連疾患の発症等の状況を調査,検討した結果を,平成11 改める。 4 建築作業従事者の石綿関連疾患発症状況に関する調査医師である海老原勇らは,建築作業従事者の胸膜肥厚斑(胸膜プラーク)や石綿関連疾患の発症等の状況を調査,検討した結果を,平成11年発行の「労働科学」及び平成19年発行の「建設作業者の石綿関連疾患-その爆発的なひろがり-」に掲載した。その概要は以下のとおりである(甲A108,109) 建築作業従事者の胸膜肥厚斑の発生状況第一期(昭和58年から昭和62年まで),第二期(平成9年),第三期(平成17年及び平成18年)の三期にわたり,大工,左官等が加盟する組合が実施した一般検診の胸部レントゲン写真等について調査した結果は,以下のとおりである。 ア胸部レントゲン写真による胸膜肥厚斑 昭和58年から昭和62年までに東京,神奈川,千葉,埼玉の建設職人が加盟する組合が実施した一般検診の建築作業従事者5712名の胸部レントゲン写真及び事務系作業者1979名の一般検診で撮影した胸部レントゲン写真について調査した第一期調査の結果,事務系作業者には胸膜肥厚斑が認められなかったのに対し,建築作業従事者には47名(0.82%)に胸膜肥厚斑が見られた。 第一期調査で検討した胸膜肥厚斑の発症要因となった石綿のばく露開始時期は,調査時期より15年以上遡り,昭和47年以前のばく露状況が反映されたものと考えられる。我が国の石綿輸入量は,昭和35年以降急激に増加し,昭和50年に約34万トンとピークに達し,その後増減を繰り返しながら,平成5年までは25万トン以上を輸入しており,第一期調査の結果は,我が国の石綿輸入量がピークを迎える以前のばく露状況を反映したものである。 特に,65歳以上の者に4.44%の所見を認めたが,この年代の建設労働者が作業を開始したと思われる昭和20年代の我が は,我が国の石綿輸入量がピークを迎える以前のばく露状況を反映したものである。 特に,65歳以上の者に4.44%の所見を認めたが,この年代の建設労働者が作業を開始したと思われる昭和20年代の我が国の石綿輸入量は極めて少なく,建- 50 -材としての石綿消費量も極めて少なかったと考えられるにもかかわらず,65歳以上の群に4.44%もの割合で胸部レントゲンで胸膜肥厚斑を認めたことは,それ自体重大な所見であった。 平成9年に東京,神奈川の建設職人が加盟する組合が実施した一般検診の建築作業従事者5688名の胸部レントゲン写真について,第一期調査と同様の調査を実施した第二期調査において,胸膜肥厚斑の発生状況の推移を検討した結果,92名(1.62%)に胸膜肥厚斑が認められ,第一期調査と比較して約2倍に増加しており,第一期調査と第二期調査で見られる胸膜肥厚斑の有所見者率の差は,石綿ばく露機会の増加によるものと考えて問題ないと判断された。 平成17年及び平成18年に東京の建設職人が加盟する組合が実施した一般検診の建築作業者6268名の胸部レントゲン写真について,調査を実施した第三期調査において,胸膜肥厚斑の発生状況の推移を検討した結果,423名(6.75%)に胸膜肥厚斑が認められ,第二期調査と比較して全体で4倍以上もの増加を示しており,40歳以上で9.59%,65歳以上では18.17%に胸膜肥厚斑が認められた。 第三期調査を実施した平成18年に45歳以上の建築作業従事者が建築作業に従事し始めた時期は,我が国の石綿輸入量がピークを迎え,その石綿の大部分が建材として消費される時期と一致しており,第三期調査において受診した建築作業従事者は,石綿含有建材を最も頻繁に扱った集団と思われる。 様々な建設の職種において,それぞれに石綿含有建材 石綿の大部分が建材として消費される時期と一致しており,第三期調査において受診した建築作業従事者は,石綿含有建材を最も頻繁に扱った集団と思われる。 様々な建設の職種において,それぞれに石綿含有建材を使用した作業を実施しているが,そうした作業を同時並行で,又は少しの時間差を置いて行っており,一つの建設現場そのものが石綿のばく露現場となっているのが現状であり,こうした現状が,全ての職種において高率に胸膜肥厚斑を認める要因となっているのであろう。 イ剖検による建築作業従事者の胸膜肥厚斑昭和62年以降平成18年12月末までに行った建築作業従事者の連続剖検例55例のうちの48例(87.3%)に,びまん性胸膜肥厚と胸膜肥厚斑を併せた石- 51 -綿による胸膜病変が認められた。 建築作業従事者は,広範な職種で直接的,間接的な石綿のばく露を受けており,高率に胸膜肥厚斑を発症していることが確認され,建築作業従事者で胸部レントゲン写真により胸膜肥厚斑を認めなかった者でも,49例中42例と極めて高率で剖検により胸膜肥厚斑が認められた。建築作業従事者55名の剖検例中87.3%に胸膜肥厚斑を認めたことは,我が国の建築作業従事者がかなりの石綿ばく露を受けていることを明確に示しており,問題は,60歳を超えた建築作業従事者では,職種のいかんにかかわらず,石綿のばく露を受けただけでなく,生体反応としての胸膜肥厚斑が発生しているとの事実であって,建設業に従事する労働者数は約600万人といわれており,退職者を含めると膨大な数に上り,こうした作業者から,今後とも膨大な数の石綿関連疾患が発症すると考えられる。 建築作業従事者の石綿肺第三期調査の対象集団と同一の建築作業従事者6268名中石綿肺1型以上の者は,全体で184名(2.94%)であった。建築作 数の石綿関連疾患が発症すると考えられる。 建築作業従事者の石綿肺第三期調査の対象集団と同一の建築作業従事者6268名中石綿肺1型以上の者は,全体で184名(2.94%)であった。建築作業従事者においては,比較的微量のばく露で発症する胸膜肥厚斑のみにとどまらず,比較的多量のばく露で発症するとされている石綿肺も,建設作業のほとんどの職種に極めて高率に認めることができた。 建築作業従事者の肺がん建築作業従事者の肺がん例336例のうち臨床的に業務上肺がんと判断される例は253名(75%)にのぼっており,この点のみでも,建築作業従事者の肺がん発症と石綿ばく露との密接な関連性が存在することを明確に示している。また,石綿関連肺がんは,ごく一般的な大工,左官,配管工,電工などを含めて建築作業従事者の75%にも達しており,建築作業従事者への石綿汚染は広範に浸透し,肺がん発症の主要な要因となっていることを明確に示している。 建築作業従事者の悪性中皮腫昭和61年以降海老原勇らが相談を受け,業務上疾病との認定を受けた建築作業- 52 -従事者の中皮腫の症例は47例であり,建築作業従事者の全ての職種に悪性中皮腫の危険性が指摘される。 建築作業従事者のびまん性胸膜肥厚建築作業従事者のびまん性胸膜肥厚は26例であり,びまん性胸膜肥厚も建設関連の多くの職種から発症していることが確認された。 5 建築作業従事者の石綿関連疾患による労災認定等厚生労働省の発表によれば,平成18年度から平成22年度までの間に労災保険給付決定を受けた者及び石綿による健康被害の救済に関する法律(以下「石綿救済法」という。)に基づく特別遺族給付金の給付決定を受けた者のうち建設業が占める人数は,以下のとおりであった(甲A156,388)。 定を受けた者及び石綿による健康被害の救済に関する法律(以下「石綿救済法」という。)に基づく特別遺族給付金の給付決定を受けた者のうち建設業が占める人数は,以下のとおりであった(甲A156,388)。 平成18年度は,労災保険給付決定については,肺がんが790名中361名,中皮腫が1006名中486名であり,石綿救済法に基づく特別遺族給付金の給付決定については,肺がんが272名中72名,中皮腫が569名中205名であった。 平成19年度は,労災保険給付決定については,肺がんが502名中248名,中皮腫が500名中241名であり,石綿救済法に基づく特別遺族給付金の給付決定については,肺がんが49名中12名,中皮腫が46名中17名であった。 平成20年度は,労災保険給付決定については,肺がんが503名中243名,中皮腫が559名中251名であり,石綿救済法に基づく特別遺族給付金の給付決定については,肺がんが65名中16名,中皮腫が47名中15名であった。 平成21年度は,労災保険給付決定については,肺がんが480名中249名,中皮腫が536名中261名であり,石綿救済法に基づく特別遺族給付金の給付決定については,肺がんが51名中17名,中皮腫が53名中11名であった。 平成22年度は,労災保険給付決定については,肺がんが424名中241名,中皮腫が498名中229名であり,石綿救済法に基づく特別遺族給付金の給付決定については,肺がんが25名中10名,中皮腫が12名中3名であった。 - 53 - 6 昭50改正特化則の制定経緯昭和47年にILOの「職業がんの管理と予防に関する専門家会議」及びWHOのIARC報告において石綿のがん原性が指摘されたことを受け,昭和48年6月に開催されたILO総会において「職業がんの管理と予防」が議題として Oの「職業がんの管理と予防に関する専門家会議」及びWHOのIARC報告において石綿のがん原性が指摘されたことを受け,昭和48年6月に開催されたILO総会において「職業がんの管理と予防」が議題として取り上げられ,昭和49年6月に職業がん条約が採択されたが(我が国は昭和52年に批准した。),この条約は,発がん性物質からの労働者保護に関する国際基準を確立させようとしたものであり,職業上のばく露が禁止され又は許可若しくは管理の対象とされる物質を各国がILO等の最新の情報を考慮して定期的に決定することを規定していた。 我が国においては,昭和47年に安衛法により,労働者に重度の健康障害を生ずる物としてベンジジンなど4物質について製造や使用等が禁止され,労働者に重度の健康障害を生ずるおそれのある物としてジクロルベンジジンなど4物質の製造について労働大臣の許可が必要とされ,それらについては製造設備の密閉化,作業環境の測定,健康診断の実施等一定の管理が義務付けられた。 その後,我が国及び諸外国において,新たな発がん例をみた物質が明らかにされてきたことから,昭和49年5月に専門家の参集を求めて「有害物等に関する検討専門家会議」を設け,安衛法上の有害物に関する規制の対象として追加する物質等の検討を行うこととした。この専門家会議において,石綿等に係る技術的問題について検討され,この検討結果等を踏まえ,特化則等の関係政省令の改正の検討が行われ,昭和49年9月に中央労働基準審議会に諮問され,同審議会の審議において,石綿に係る規制が承認され,その後,昭和50年9月30日に昭50改正特化則が制定され,同年10月1日から施行された(甲A67)。 第2 争点に関する検討 1 第一審被告(ア)国関係:第一審被告(ア)国の公務員の規制権限不行使の違法性国又は公 に昭50改正特化則が制定され,同年10月1日から施行された(甲A67)。 第2 争点に関する検討 1 第一審被告(ア)国関係:第一審被告(ア)国の公務員の規制権限不行使の違法性国又は公共団体の公務員による規制権限不行使の違法性の一般的判断基準は,原- 54 -判決の「事実及び理由」中の「第3章当裁判所の判断」の第2の1のうち116頁13行目から21行目までに説示するとおりであるから,これを引用する。すなわち,国又は公共団体の公務員による規制権限の不行使は,その権限を定めた法令の趣旨,目的や,その権限の性質等に照らし,具体的事情の下において,その不行使が許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くと認められるときは,その不行使により被害を受けた者との関係において,国賠法1条1項の適用上違法となるものと解される。 労働関係法令に基づく規制権限の不行使ア労働関係法令に基づく規制権限不行使の違法性の判断基準労働関係法令に基づく規制権限不行使の違法性の判断基準は,原判決の「事実及び理由」中の「第3章当裁判所の判断」の第2の1のうち117頁19行目から118頁9行目までに説示するとおりであるから,これを引用する。すなわち,旧労基法及び安衛法の主務大臣である労働大臣が,労働者である建築作業従事者が建築現場において発生する石綿粉じんにばく露することにより石綿関連疾患にり患することを防止するため,その規制権限を行使しなかったことが,当該建築作業従事者との関係において国賠法の適用上違法と評価されるには,少なくとも,①その当時において,石綿粉じんばく露と石綿関連疾患り患との間の因果関係に関する医学的知見が確立し,これを第一審被告(ア)国が認識し,又は認識できたこと,②建築現場における石綿粉じんばく露が石綿関連疾患を発症させる程 ,石綿粉じんばく露と石綿関連疾患り患との間の因果関係に関する医学的知見が確立し,これを第一審被告(ア)国が認識し,又は認識できたこと,②建築現場における石綿粉じんばく露が石綿関連疾患を発症させる程度の危険性を有するものであることについて,第一審被告(ア)国が認識し,又は認識できたことが必要であって,その上で,建築作業従事者の石綿関連疾患り患を防止するために,労働大臣が,その有する規制権限に基づき,第一審原告ら主張に係る措置をとらなかったことが,許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くと認められるときに,労働大臣による当該規制権限の不行使が,これにより被害を受けた者(当該建築作業従事者)との関係において,国賠法1条1項の適用上違法となると評価されることになる。 - 55 -イ石綿粉じんばく露と石綿関連疾患り患との間の因果関係に関する医学的知見の確立及びこれに関する第一審被告(ア)国の認識ないし認識可能性当裁判所も,石綿肺については昭和33年3月31日頃に,肺がん,中皮腫,びまん性胸膜肥厚及び良性石綿胸水については昭和47年頃に,それぞれ石綿粉じんばく露と石綿関連疾患り患との間の因果関係に関する医学的知見が確立し,いずれもその頃,第一審被告(ア)国が当該知見を認識したものと判断する。その理由は,原判決の「事実及び理由」中の「第3章当裁判所の判断」の第2の1ア(118頁10行目から121頁23行目まで)に説示するとおりであるから,これを引用する。 第一審原告らは,昭和30年のドール報告をはじめとする昭和40年までの知見集積状況を前提とすれば,UICC報告と勧告の時点で,疾病発症に寄与する石綿の種類は特定され,石綿の含有物質の肺がん・中皮腫の発生過程における役割,肺がん発症に関しての石綿粉じんと喫煙との関係の知見はいずれ を前提とすれば,UICC報告と勧告の時点で,疾病発症に寄与する石綿の種類は特定され,石綿の含有物質の肺がん・中皮腫の発生過程における役割,肺がん発症に関しての石綿粉じんと喫煙との関係の知見はいずれも明らかとなり,UICC報告と勧告の勧告部分とIARC報告の「今後の研究に関する勧告」部分は同一の課題が掲げられているにすぎないから,発がん性に関する医学的知見の確立時期は,UICC報告と勧告がされた昭和40年である旨主張する。 しかし,同主張に理由がないことは,上記において引用する原判決の「事実及び理由」中の「第3章当裁判所の判断」の第2の1ア(119頁26行目から121頁17行目まで)に説示するとおりである。UICC報告と勧告は,それまでの知見を踏まえて,石綿繊維の種類による石綿肺,肺がん及び中皮腫の発生・増殖のリスクの差異などに着目して更なる研究を行う必要があることなどを勧告し,その後,クリソタイル,アモサイト等のばく露に関する研究等が積み重ねられ,動物実験による石綿の発がん性が確認されるなどして,昭和47年IARC報告が,全ての種類の石綿により肺がん及び中皮腫を引き起こし得ることなどを報告したのであるから,昭和40年のUICC報告と勧告の時点で石綿粉じんばく露と発がん性に関する医学的知見が確立していたということはできない。 - 56 -ウ建築現場における石綿粉じんばく露が石綿関連疾患を発症させる程度の危険性を有するものであることについての第一審被告(ア)国の認識ないし認識可能性建築現場における建築作業労働者の石綿粉じんばく露の実態石綿は,紡織性,抗張力,耐摩擦性,耐熱性,断熱・防音性,絶縁性,親和性等の特性を有することから,その産業的価値は極めて高く,古くから紡織品,建材等に広く使用され,戦後,高度経済成長に伴い の実態石綿は,紡織性,抗張力,耐摩擦性,耐熱性,断熱・防音性,絶縁性,親和性等の特性を有することから,その産業的価値は極めて高く,古くから紡織品,建材等に広く使用され,戦後,高度経済成長に伴い,石綿の輸入量及び消費量は大きく伸び,昭和40年代半ばから昭和60年代にかけて年間20万トンを超える大量輸入・消費が続き,そのうち概ね70%から80%程度が建材に使用され,その後,平成2年頃から輸入量及び消費量が減少し,平成16年10月には建材への石綿の使用が全て禁止され,輸入量及び消費量はほとんどゼロになった(原判決の「事実及び理由」の第2章の第2の2(13頁10行目から26行目まで))。 建基法においては,昭和25年の制定当初から不燃材料の一つとして石綿板が規定され,昭和34年には屋根について石綿スレートで葺いたものが防火構造と定められ,昭和39年にははり及び柱について石綿吹付けを行ったもの,外壁について石綿スレート等を貼ったものが耐火構造と指定されるなど,建基法施行令,告示,個別の指定,認定等によって,多くの種類の石綿含有建材及びこれを用いた構造が耐火構造等として指定,認定された(原判決の「事実及び理由」の第2章の第2の9⑶及び⑷(69頁5行目から73頁15行目まで))。 昭和40年から昭和55年までの間に耐火構造として指定された構造のうち,石綿含有建材を使用した割合は,石綿含有建材であることが明らかな構造は全体の74.1%,石綿含有建材であると推定されるものを含めると全体の81.8%と推定され,構造の部位別では,床は5割弱,柱やはりは8割から9割程度が石綿含有建材であると推定される。また,昭和47年頃において,準不燃材料の全302製品中107製品(35.4%)が,不燃材料の全587製品中445製品(75.8%)が,それぞれ石綿含有建 9割程度が石綿含有建材であると推定される。また,昭和47年頃において,準不燃材料の全302製品中107製品(35.4%)が,不燃材料の全587製品中445製品(75.8%)が,それぞれ石綿含有建材と考えられる(原判決の「事実及び理由」の第3章の第1の5(105頁11行目から20行目まで))。 - 57 -このように,昭和40年以降,建築現場における石綿含有建材の使用量が増加したが,これに加えて,建築作業用電動工具の出荷台数ないし販売台数の飛躍的な増加によって(原判決の「事実及び理由」の第3章の第1の6(105頁21行目から106頁16行目まで)),同年頃以降の建築現場において飛散する石綿粉じんの量も増加した。 日本産業衛生学会は,昭和49年3月,石綿粉じん(クリソタイル,アモサイト外)の許容濃度として,5μ以上の石綿繊維で2本/㎤(これに対応する石綿粉じんの重量濃度は0.12mg/㎥)を勧告した(前記第1の1⑷)。これに対して,労働省が昭和47年に実施した建設工事における石綿吹付け作業中の石綿粉じん濃度の測定結果(前記第1の2⑷)や,昭和53年の「石綿による健康障害に関する専門家会議検討結果報告書」記載の英国労働省が作成した同国における建築作業に関する昭和50年当時の推定石綿粉じん濃度や我が国の石綿スレート工場における石綿板切断作業による石綿粉じん濃度(原判決の「事実及び理由」の第3章の第1の7⑵ア及びイ(107頁6行目から109頁5行目まで))は,いずれも概ね上記勧告値を上回っていた。また,労働省労働基準局長が平成4年に発出した「石綿含有建築材料の施工作業における石綿粉じんばく露防止対策の推進について」(同年基発第1号)添付の参考書面には,通風の不十分な屋内作業場において電動丸のこを使用して切断作業を行う場合には,当時の石綿 含有建築材料の施工作業における石綿粉じんばく露防止対策の推進について」(同年基発第1号)添付の参考書面には,通風の不十分な屋内作業場において電動丸のこを使用して切断作業を行う場合には,当時の石綿の管理濃度(2本/㎤)を超える状況もある旨記載され,除じん装置が付いていない電動丸のこを使用した場合の上記管理濃度を超える石綿粉じん測定データ例が紹介された(原判決の「事実及び理由」の第2章の第2の8⑽(59頁3行目から17行目まで))。 建築現場における建築作業従事者の石綿関連疾患発症の危険性上記のとおり,建築現場においては,石綿吹付け作業や建築作業用電動工具の使用による石綿含有建材の切断,研磨等の加工作業が多く行われるようになった昭和40年以降,多量の石綿粉じんが発生し,これによって建築作業従事者が石綿粉じんにばく露する状況にあったことが認められる。 - 58 -そして,瀬良が,昭和46年,近年は建築関係等で石綿吹付け作業が盛んに行われているところ,作業者の15.4%に石綿肺を認め,吹付け作業については強力な予防指導を要することを指摘し(原判決の「事実及び理由」の第3章の第1の2⑸エ(102頁9行目から19行目まで)),労働省が昭和46年1月から3月まで実施した石綿取扱い事業場の監督指導において,建設業の呼吸用保護具の備付率が54%,じん肺の有所見者率が製造業(6.6%)に次いで高い3.5%とされ(前記第1の2),昭和49年11月に上記の労働省実施に係るじん肺り患状況を紹介した文献「東邦経済」には,石綿の産出現場よりも建築現場での発病の方が問題となる旨記載され,昭和47年度環境庁研究報告において,米国における調査結果として,多くの石綿が建設業で使用され,石綿吹付け作業では著しく発じんすることが指摘されるなど(原判決の「事実及 の方が問題となる旨記載され,昭和47年度環境庁研究報告において,米国における調査結果として,多くの石綿が建設業で使用され,石綿吹付け作業では著しく発じんすることが指摘されるなど(原判決の「事実及び理由」の第3章の第1の2⑸オ(103頁11行目から104頁2行目まで)),昭和40年代後半には,建築現場における石綿肺の発症が問題となっていた。 さらに,石綿粉じんばく露開始から各石綿関連疾患発症までに要する期間(潜伏期間)が,石綿肺については概ね10年以上,肺がんについては10年以上(30年以上経過すると発症する確率が高くなる。),中皮腫については40年前後などとされていること(原判決の「事実及び理由」の第2章の第2の3⑴から⑸まで(14頁1行目から21頁25行目まで)),前記第1の4の海老原勇らによる建築作業従事者の石綿関連疾患発症状況に関する調査結果及び同5の建築作業従事者の石綿関連疾患による労災認定等の状況を併せ考慮すれば,建築作業従事者は,石綿の使用量が増加した昭和40年代以降,石綿粉じんにばく露することにより石綿関連疾患発症の危険性のある作業環境下の建築現場で建築作業に従事していたことが推認できる。 第一審被告(ア)国の認識ないし認識可能性a 前記のとおり,労働省による昭和31年度及び昭和32年度の各労働衛生試験研究によって,石綿粉じんばく露による石綿肺発症の因果関係に関する医学的知- 59 -見が確立し,石綿工場における石綿粉じんばく露による石綿肺の被害が深刻な状況にあることが明らかにされた。また,その後,昭和47年頃には,石綿粉じんばく露による肺がん及び中皮腫発症の因果関係に関する医学的知見が確立した。そして,当時,建築現場における建築作業従事者の石綿粉じんのばく露状況は,石綿関連疾患を発症させる危険性を有するも 石綿粉じんばく露による肺がん及び中皮腫発症の因果関係に関する医学的知見が確立した。そして,当時,建築現場における建築作業従事者の石綿粉じんのばく露状況は,石綿関連疾患を発症させる危険性を有するものであった。 第一審被告(ア)国は,昭和47年にILO,WHOの専門家会議等において石綿のがん原性が指摘されたことなどを受け,昭和49年5月に設置した「有害物等に関する検討専門家会議」による検討結果等を踏まえて,特化則等の改正の検討を行い,昭和49年9月の中央労働基準審議会への諮問を経た上で,昭和50年9月30日に昭50改正特化則を制定した(前記第1の6)。この昭50改正特化則においては,従前から規定のある石綿粉じんばく露による石綿肺の被害が深刻な状況にあることが既にこの時までに明らかにされていた石綿工場等に対する対策だけでなく,石綿吹付け作業の原則的禁止(昭50改正特化則38条の7)や,石綿等の切断,せん孔,研ま等の作業,石綿等を塗布し,注入し,又は張り付けた物の破砕,解体等の作業,粉状の石綿等を容器に入れ,又は容器から取り出す作業,粉状の石綿等を混合する作業に労働者を従事させるときの湿潤化措置の義務付け(昭50改正特化則38条の8第1項)など,建築現場をも規制対象とする規定が設けられた(原判決の「事実及び理由」の第2章の第2の8(51頁15行目から53頁23行目まで))。 また,前記認定の労働省が実施した昭和46年1月から3月までの建設業における工学的予防措置状況及び石綿取扱作業者のじん肺り患状況の調査の結果や,昭和47年に実施した建設工事における石綿吹付け作業中の石綿粉じん濃度の測定の結果をみると,建築作業従事者が肺がんや中皮腫を含む石綿関連疾患発症の危険性を有する高濃度の石綿粉じんにばく露していたことが裏付けられる。 そうすると おける石綿吹付け作業中の石綿粉じん濃度の測定の結果をみると,建築作業従事者が肺がんや中皮腫を含む石綿関連疾患発症の危険性を有する高濃度の石綿粉じんにばく露していたことが裏付けられる。 そうすると,第一審被告(ア)国が,遅くとも特化則の改正を検討している時点において,建築現場における石綿粉じん濃度を測定していれば,建築現場における- 60 -建築作業従事者の石綿粉じんばく露の実態が石綿関連疾患発症の危険性を有する程度に深刻なものであることを把握することが可能であったということができる。 以上の点を勘案すれば,第一審被告(ア)国は,昭50改正特化則制定の相当期間前には,建築作業従事者の建築現場における石綿粉じんばく露が石綿関連疾患を発症させる程度の危険性を有するものであることについて認識し,又は認識できたというべきである。 b 第一審原告らは,昭和46年の時点で,第一審被告(ア)国は,建築現場における石綿粉じんばく露が石綿関連疾患を発症させる危険性を有することを認識することが可能であった旨主張し,昭和31年の特殊健康診断指導指針以来のじん肺健康診断の結果,労働省による昭和46年1月から3月までの石綿取扱い事業場の監督指導結果,昭和46年の瀬良による石綿吹付作業者の石綿肺発症の報告,昭和46年の木村による石綿板製造工場における石綿板切断時の石綿粉じん濃度の報告,労働省による昭和47年の石綿吹付け作業の石綿粉じん濃度の測定結果,昭和39年のセリコフ報告,諸外国の規制措置及び報告,昭和45年頃以降の石綿粉じんによる新しい公害としての石綿の有害性の報道等を指摘する。 しかし,そもそも石綿の発がん性についての医学的知見が確立したのは昭和47年頃であるから,上記主張は採用することができない。 この点を措いても,昭和46年度までに建設業において 報道等を指摘する。 しかし,そもそも石綿の発がん性についての医学的知見が確立したのは昭和47年頃であるから,上記主張は採用することができない。 この点を措いても,昭和46年度までに建設業においてじん肺り患者が生じていたということから,第一審被告(ア)国が建築作業従事者について職種を問わず一般的に石綿ばく露の危険性を認識できたとまでいうことはできない。昭和46年の瀬良の「石綿作業と肺疾患」による報告及び労働省の昭和47年の石綿粉じん濃度の測定は,いずれも石綿吹付け作業従事者に関するものであり(前記第1の2及び),昭和39年のセリコフ報告も直接的には断熱工を対象としたものであった(原判決の「事実及び理由」の第3章の第1の2⑴オ(85頁5行目から86頁9行目まで))。昭和46年の木村菊二の「作業現場の石綿粉塵」による報告も,石綿板切断作業時の石綿粉じん濃度の測定結果を示すものではあっても,石綿板製造工- 61 -場における測定結果であった(前記第1の2)。そうすると,これらが建築現場における建築作業に一般的に当てはまるものとはいえず,上記報告ないし測定結果から,第一審被告(ア)国が建築現場において建築作業従事者が石綿関連疾患発症の危険にさらされている事実を直ちに認識できたとはいい難い。また,諸外国の規制措置及び報告並びに昭和45年頃以降の石綿粉じんによる新しい公害としての石綿の有害性の報道等についても,第一審被告(ア)国の認識可能性を基礎付けるものとまではいえない。 したがって,第一審原告らの上記主張は採用することができない。 c 第一審被告(ア)国は,同第一審被告が労働関係法令に基づき一定の規制権限を行使する法的義務があるというためには,労働者の健康障害の発症率又は有所見者率等によって,被害の実情が相当深刻であることが高度の 一審被告(ア)国は,同第一審被告が労働関係法令に基づき一定の規制権限を行使する法的義務があるというためには,労働者の健康障害の発症率又は有所見者率等によって,被害の実情が相当深刻であることが高度の蓋然性をもって認められるとともに,その点について第一審被告(ア)国が認識可能であったことが必要であるところ,昭和49年当時,建築作業従事者の健康障害に係る疾患の発症率又は有所見者率,発症者数等の実情が相当深刻であることが判明していたとの事情はない旨主張する。 しかし,規制権限は技術の進歩や最新の医学的知見等に適合して適時かつ適切に行使されるべきものであるところ,昭和47年頃までには,石綿関連疾患には量-反応関係があり,ばく露量が増加すれば発症リスクが増大することや,同疾患は石綿粉じんばく露開始から少なくとも10年以上という長期にわたる潜伏期間が経過した後に発症すること等の石綿関連疾患に関する医学的知見が確立し,第一審被告(ア)国がこれを認識していたことからすれば,建築作業従事者の石綿関連疾患の発症率,有所見者率及び発症者数の実情が相当深刻となってからでなければ認識可能性があるとはいえない旨の第一審被告(ア)国の上記主張は採用することができない。 エ労働関係法令に基づく第一審被告(ア)国の規制権限不行使の違法性労働衛生管理に関する一般的な分類及び第一審原告らの主張する第一審被告(ア)- 62 -国の公務員が行使すべき規制権限の労働衛生管理上の分類については,原判決の「事実及び理由」の第3章の第2の1⑴ウ(125頁8行目から126頁1行目まで)に説示するとおりであるから,これを引用する。 なお,本件全証拠によっても,本件元建築作業従事者らのうち,屋内での作業を行わず専ら屋外作業にのみ従事したと認められる者は存在しないから,本件におい に説示するとおりであるから,これを引用する。 なお,本件全証拠によっても,本件元建築作業従事者らのうち,屋内での作業を行わず専ら屋外作業にのみ従事したと認められる者は存在しないから,本件において,屋外作業にのみ従事した建築作業従事者との関係における第一審被告(ア)国の公務員による規制権限不行使の違法性を検討する必要はない。 そして,当裁判所も,原判決と同じく,①呼吸用保護具の使用の義務付け,②建築作業場における石綿取扱い上の注意事項等の掲示の義務付け,③石綿含有建材の包装等への警告表示の義務付けについては,第一審被告(ア)国の規制権限不行使は違法であるが,その余の規制については,その不行使が違法とまではいえないと判断する。他方,各規制権限不行使が違法となる時期については,原判決と異なり,①は昭和50年10月1日から平成7年3月31日まで,②及び③は昭和50年10月1日から平成18年8月31日までとすべきであると判断する。 その理由は,以下のとおりである。 オ石綿含有建材の製造等の禁止及び粉じん発散防止対策(作業環境管理)について石綿含有建材の製造等の禁止及び石綿吹付け作業の全面的禁止について原判決の「事実及び理由」の第3章の第2の1⑴エ(126頁4行目から129頁3行目まで)に説示するとおりであるから,これを引用する。 第一審原告らは,遅くとも平成3年,どんなに遅くとも平成7年の時点において,安衛法55条に基づき,全ての石綿含有建材の製造等を禁止しなければならなかった旨主張するが,上記で引用する原判決の説示するところに照らし,採用することができない。 集じん機付き電動工具の使用の義務付けについて原判決の「事実及び理由」の第3章の第2の1⑴エ(129頁4行目から22- 63 -行目まで)に説示するとおりで ,採用することができない。 集じん機付き電動工具の使用の義務付けについて原判決の「事実及び理由」の第3章の第2の1⑴エ(129頁4行目から22- 63 -行目まで)に説示するとおりであるから,これを引用する。 第一審原告らは,昭和46年頃には,十分な吸引能力及び捕集能力を備えた集じん機付き電動工具が実用化されて販売されており,また,平成4年には,第一審被告(ア)国も通達で,電動工具を用いて石綿含有建材を切断する等の加工作業を行う場合には電動工具に集じん機を取り付けるよう推奨していたことから,昭和46年以降,遅くとも平成4年以降,集じん機付き電動工具の使用の義務付けを怠ったことは違法である旨主張する。 確かに,集じん機付き電動工具の使用は,石綿粉じん発生の抑制に一定の効果を有し,呼吸用保護具と併用することによって,建築作業従事者の石綿粉じんばく露をより効果的に抑制できるであろうことは,推認するに難くない。しかし,上記で引用する原判決の説示するとおり,昭和51年当時,石綿スレート工場において,石綿板を,吸じん装置を作動させながら,電動のこで切断した場合においても,その石綿粉じん濃度につき,当時の労働省の通達で局所排気装置の抑制濃度として定めた5本/㎤,さらには昭和49年に日本産業衛生学会が許容濃度として勧告した2本/㎤を超える数値が観測されているのであって,昭和46年頃に集じん機付き電動工具が販売されていたからといって,それだけでは,集じん機付き電動工具が粉じんに対する十分な吸引能力及び捕集能力を備えていたことの証左となるものではない。また,第一審被告(ア)国が平成4年に電動工具に集じん機を取り付けるよう推奨する通達を発出していたからといって,後記のとおり,高度の粉じん捕集効率を有する呼吸用保護具の使用義務付けによって石綿 ない。また,第一審被告(ア)国が平成4年に電動工具に集じん機を取り付けるよう推奨する通達を発出していたからといって,後記のとおり,高度の粉じん捕集効率を有する呼吸用保護具の使用義務付けによって石綿粉じんの吸入を相当程度防止できる以上,それだけでは抑制濃度又は許容濃度以下に石綿粉じんの発生を抑制できるとは認め難い集じん機付き電動工具の使用を,単なる推奨を超えて,罰則付きで,事業者に対して一律に義務付けるべきであったとはいえない。 したがって,第一審原告らの上記主張は採用することができない。 作業場所の隔離及び排気措置の義務付け並びに移動式局所排気装置の使用の義務付け,定期的粉じん測定の義務付け,プレカット工法の義務付けについて- 64 -原判決の「事実及び理由」の第3章の第2の1⑴エからまで(129頁23行目から131頁23行目まで)に説示するとおりであるから,これを引用する。 以上のとおり,建築作業従事者の石綿粉じんばく露を回避する手段として第一審原告らが主張する石綿含有建材の製造等の禁止及び粉じん発散防止対策(作業環境管理)の観点からの規制内容については,労働大臣又は内閣が同規制に関する権限を行使しないことが許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くものとはいえないから,この点につき,国賠法上の違法性を認めることはできない。なお,改修・解体作業における各措置の義務付けについては,後記クにおいて説示する。 カ粉じんばく露防止対策(作業管理)-呼吸用保護具の使用の義務付けについて建築現場では,多様な職種の建築作業従事者が,相前後し,又は同時並行的に,作業場所を短時間で移動しながら種々の作業を行うことが常態であって,粉じんの発生源が一定しないという建築現場ないし建築作業の特性を前提とすれば,建築現場において有効な粉 相前後し,又は同時並行的に,作業場所を短時間で移動しながら種々の作業を行うことが常態であって,粉じんの発生源が一定しないという建築現場ないし建築作業の特性を前提とすれば,建築現場において有効な粉じん発散防止対策(作業環境管理)を講じることは必ずしも容易ではないと考えられる。他方,防じんマスクに関する規格は,そのろじん効率ないし粉じん捕集効率に関する技術的向上等を踏まえて順次厳格化され,昭和37年には,粉じん捕集効率について,特級は99%以上,1級は95%以上,2級は80%以上と定められており(原判決の「事実及び理由」の第2章の第2の8⒂(63頁7行目から65頁12行目まで)),これを適切な方法により着用した場合においてもなお建築現場における石綿粉じんばく露により石綿関連疾患を発症する危険性があったことをうかがわせる証拠はないから,建築作業従事者による当該規格に合致した防じんマスクの使用が徹底されていたならば,石綿粉じんの吸入(ばく露)は,相当程度防止することができたと考えられる。したがって,呼吸用保護具の使用等の石綿粉じんばく露防止対策(作業管理)を講じることが重要かつ有効なものであったというべきである。 労働大臣は,事業者に対し,平7改正安衛則・特化則により呼吸用保護具の使用- 65 -を義務付けるまで,安衛則(昭和47年10月1日施行)等により,事業者に対し,粉じんを発散する有害な場所における業務においては,当該業務に従事する労働者に使用させるため,呼吸用保護具等の適切な保護具の備付けを義務付け(593条),労働者は事業者から上記保護具の使用を命じられた場合はそれを使用しなければならないとした(597条)が(原判決の「事実及び理由」の第2章の第2の8⑸及び⑾(48頁7行目から51頁14行目まで,61頁1行目から62頁12行目 護具の使用を命じられた場合はそれを使用しなければならないとした(597条)が(原判決の「事実及び理由」の第2章の第2の8⑸及び⑾(48頁7行目から51頁14行目まで,61頁1行目から62頁12行目まで)),証拠(第一審原告(4)X4本人,同(7)X7本人,同(11)X11本人,同(12)X12本人,同(16-2)X16-2本人,同(18)X18本人,同(20)X20本人,同(21)X21本人,同(23)X23本人,同(24)X24本人,同(26)X26本人,同(30)x30本人,同(36)X36本人,同(38)X38本人,同(40)X40本人,同(44)x44本人)及び弁論の全趣旨によれば,少なくとも昭和50年頃当時,上記の安衛則の定めにもかかわらず,呼吸用保護具を着用すれば呼吸が苦しくなる,作業を行う上で邪魔になり作業効率が落ちるなどの理由から,建築現場において,粉じんが発散する作業を行う場合でも,ほとんどの建築作業従事者は呼吸用保護具を着用していなかったこと,事業者が労働者に呼吸用保護具の着用を命じることもほとんどなかったことが認められ,呼吸用保護具に関する上記の事情からすると,建材の危険性に対する認識が不十分であったことが,建築現場において事業者が労働者に呼吸用保護具の着用を命じ,あるいは,労働者が呼吸用保護具を着用することを妨げる原因になっていたと推認することができる。 このように,建築現場の実情に照らすと,建築作業従事者にとって,石綿粉じんのばく露を回避するためには,呼吸用保護具の着用がほぼ唯一の有効な手段であったと考えられるにもかかわらず,呼吸用保護具の着用状況が上記のとおりであったことやそのような状況が生じた理由等からすると,呼吸用保護具の着用を義務付けない限り,労働者が自主的に呼吸用保護具を着用することや,事業者が労 かかわらず,呼吸用保護具の着用状況が上記のとおりであったことやそのような状況が生じた理由等からすると,呼吸用保護具の着用を義務付けない限り,労働者が自主的に呼吸用保護具を着用することや,事業者が労働者に呼吸用保護具の着用を命じることは,期待し難い状況であったといえる。 - 66 -そして,前記のとおり,第一審被告(ア)国は,昭50改正特化則制定の相当期間前には,建築作業従事者の建築現場における石綿粉じんばく露が石綿関連疾患を発症させる程度の危険性を有するものであることを認識し,又は認識できたのであるから,遅くとも昭50改正特化則の制定時には,上記建築現場の実情を前提として,安衛法27条1項,22条1号の委任に基づく省令制定権限を有する労働大臣としては,付与された規制権限を適切に行使して,事業者に対し,罰則(同法119条1号)を伴う形式で,呼吸用保護具の「備付け」を義務付けるという安衛則593条の規定を,労働者に同保護具を使用させることを義務付けるという規定に改めるなどの直接的かつ明示的な方法により,労働者による呼吸用保護具の使用を義務付けるべきであった。昭50改正特化則制定当時,労働大臣が上記規制権限を行使することについて支障があったというべき事情は見当たらない。 それにもかかわらず,労働大臣は,当該権限の行使を怠り,呼吸用保護具の備付けを義務付けるにとどめたため,呼吸用保護具の使用が徹底されない状況を継続させ,その後も建築作業従事者をして石綿粉じんにばく露させたものであり,石綿関連疾患の重篤性(原判決の「事実及び理由」の第2章の第2の3(14頁1行目から25頁1行目まで))を踏まえ,上記規制権限行使の重要性・行使可能性をも考慮すれば,石綿関連疾患にり患した本件元建築作業従事者らとの関係においては,労働大臣による前記の規制権限の (14頁1行目から25頁1行目まで))を踏まえ,上記規制権限行使の重要性・行使可能性をも考慮すれば,石綿関連疾患にり患した本件元建築作業従事者らとの関係においては,労働大臣による前記の規制権限の不行使は,許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くものであって,国賠法の適用上違法であったと評価すべきである。 もっとも,労働大臣は,平7改正特化則により,事業者に対し,労働者に呼吸用保護具を使用させることを義務付けたところ(原判決の「事実及び理由」の第2章の第2の8⑾(61頁1行目から62頁12行目まで)),これにより,違法とされる上記の規制権限の不行使は解消されたといえるから,当該規制権限不行使の違法があったと認めるべき期間は,昭50改正特化則制定の翌日である昭和50年10月1日から,平7改正特化則の施行日の前日である平成7年3月31日までである。 - 67 -この点,平7改正特化則は,石綿含有量が重量の1%を超える石綿含有製剤を対象とするものであって,これが1%以下の石綿含有製剤については,呼吸用保護具の使用を義務付けるものではないので,その当否が問題となり得る。しかし,事業者による当該義務の違反は罰則を伴うものであること(安衛法119条1号)を前提に,平成7年当時における石綿含有量を求める方法(定量分析)としてはエックス線回折法及び湿式分析法があったが,後者の方法では,平成9年当時においても,添加物の種類及び含有量が明確でないときは正確な石綿含有量の定量を行うことは困難であり,前者の方法での定量下限値は,平成13年当時においても,一般に普及していた普及型エックス線回折装置を用いた場合で通常1%内外であったこと,昭和36年当時におけるエックス線回折装置の測定精度では,重量比5%以下の石綿含有の有無を判別できなかったこと(原判 般に普及していた普及型エックス線回折装置を用いた場合で通常1%内外であったこと,昭和36年当時におけるエックス線回折装置の測定精度では,重量比5%以下の石綿含有の有無を判別できなかったこと(原判決の「事実及び理由」の第3章の第1の9(110頁16行目から112頁3行目まで))を踏まえ,以上から推認される昭和36年から平成7年ないし平成13年までの間の同回折装置の測定技術・精度の向上経過に鑑みれば,第一審被告(ア)国が,平成7年当時における普及型エックス線回折装置を用いることにより判別可能な重量の1%を基準に,罰則を伴う規制の対象とするか否かを決め,重量比1%以下の石綿含有製剤については当該規制の対象から除外したことについて,許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くとまではいえない(第一審被告(ア)国が,事業者に対し,当時一般的に普及していた普及型エックス線回折装置ではなく,より精度の高い強力エックス線装置を使用することを前提に,平成7年当時において,規制する対象となる石綿含有建材の石綿含有量を重量0.5%以下などとすべきであったとすることは,当該規制が罰則を伴うものであったという点を踏まえれば,事業者に過度の負担を課すことになるものと考えられ,相当でない。)。 第一審被告(ア)国は,最高裁平成26年10月9日第一小法廷判決・民集68巻8号799頁を引用しつつ,呼吸用保護具の使用は石綿粉じん対策としては補助的手段にすぎず,また,防じんマスクの使用は相当程度確保されていたなどと- 68 -主張する。しかし,同判決は,石綿工場における石綿粉じんばく露に関する事案についてのものであるところ,同工場では,建築現場とは異なり,石綿粉じんの発生源が短時間で頻繁に移動し,一定しないという事情も存在せず,局所排気装置の利用に資する条件が比較 粉じんばく露に関する事案についてのものであるところ,同工場では,建築現場とは異なり,石綿粉じんの発生源が短時間で頻繁に移動し,一定しないという事情も存在せず,局所排気装置の利用に資する条件が比較的整っているものと考えられ,かつ,同工場の労働者における呼吸用保護具の使用状況についても,建築現場における建築作業従事者のそれとは大きく異なると推察されることからすれば,同判決は,本件と事案を異にするものというべきである。 また,第一審被告(ア)国は,昭和51年当時,建築労働者に将来深刻な健康被害が発生するおそれは具体性を欠く漠然としたものにとどまり,石綿粉じんばく露が原因であると考え得る建築労働者のじん肺の労災認定件数の増加も有意なものではなかったこと,第一審被告(ア)国が建築現場における石綿粉じんばく露対策として相応の意義を有する措置を多重的に講じていたことから,当時の第一審被告(ア)国の規制権限不行使が著しく合理性を欠くとはいえない旨主張する。しかし,昭和47年頃までには,石綿関連疾患は石綿粉じんばく露開始から少なくとも10年以上という長期にわたる潜伏期間が経過した後に発症すること等の石綿関連疾患に関する医学的知見が確立していたことからすれば,昭和51年当時,建築労働者のじん肺の労災認定件数の増加が有意なものでなかったからといって,当時の建築作業従事者の建築現場における石綿粉じんばく露の実態が石綿関連疾患を発症させる程度の危険性を有するものであったことが否定されることにはならない上,前記のとおり,昭50改正特化則制定の相当期間前には,第一審被告(ア)国において上記の危険性を認識し,又は認識できたものである以上,呼吸用保護具を義務付けるとの規制権限を行使しなかったことが正当化されるものではない。また,昭和51年当時に第一審被告(ア)国が (ア)国において上記の危険性を認識し,又は認識できたものである以上,呼吸用保護具を義務付けるとの規制権限を行使しなかったことが正当化されるものではない。また,昭和51年当時に第一審被告(ア)国が講じた石綿粉じんばく露対策が不十分なものであったことは,本件元建築作業従事者の防じんマスクの着用実態(前記),海老原勇らによる建築作業従事者の石綿関連疾患発症状況に関する調査結果(前記第1の4)及び建築作業従事者の石綿関連疾患による労災認定等の状況(前記第1の5)- 69 -に照らして明らかである。 さらに,第一審被告(ア)国は,平成7年までの間に呼吸用保護具の着用を義務付けなかった規制権限不行使が著しく合理性を欠くとはいえない旨主張するが,これまで説示したところによれば,同主張にも理由がない。 したがって,第一審被告(ア)国の上記各主張はいずれも採用することができない。 キ健康等管理-建築作業場における石綿取扱い上の注意事項等の掲示の義務付け,石綿含有建材の包装等への警告表示の義務付け,石綿関連疾患に関する特別教育の実施の義務付けについて 第一審原告らは,上記の各義務付けについて,労働衛生管理中の健康等管理に分類される措置であると主張しており,確かにそのような性質を有する面も否定できないが,むしろ上記の各義務付けは,いずれも,労働者に対し,粉じんばく露防止対策(作業管理)に分類される呼吸用保護具の使用を労働者に動機付け,その使用を実効あらしめるための補助的対策ということができる。 建築作業場における石綿取扱い上の注意事項等の掲示の義務付け及び石綿含有建材の包装等への警告表示の義務付けa 前記カのとおり,建築現場において呼吸用保護具の使用が徹底されなかった原因は,着用すれば呼吸が苦しくなる,作業を行う上で邪魔に の掲示の義務付け及び石綿含有建材の包装等への警告表示の義務付けa 前記カのとおり,建築現場において呼吸用保護具の使用が徹底されなかった原因は,着用すれば呼吸が苦しくなる,作業を行う上で邪魔になり作業効率が落ちるなどの事情があったことと,取り扱う建材から発生する粉じんの危険性についての認識が不十分であったことにあると考えられる。そうすると,このような理由で呼吸用保護具を使用しない労働者に対して,これを適切に使用させるためには,事業者に対し,罰則を伴う形式で,労働者に呼吸用保護具を使用させることを義務付けるだけでなく,取り扱う建材の危険性と呼吸用保護具を使用しないことの危険性及び呼吸用保護具の効用について,労働者に具体的に認識させる措置をとる必要がある。そして,昭50改正特化則制定の相当期間前には,第一審被告(ア)国ないし労働大臣としても,この点を認識し,又は認識できたというべきである。 - 70 -ところが,昭50改正特化則制定時までにされたこの点に関する措置としては,石綿含有建材の容器への警告表示及び建築作業場での警告掲示の各義務付けが挙げられるものの(原判決の「事実及び理由」の第2章の第2の8⑹及び⒅(51頁15行目から53頁23行目まで,67頁22行目から68頁9行目まで)),その警告表示・掲示の内容は,労働者をして,石綿関連疾患の危険性及び同疾患り患回避のための呼吸用保護具の使用の有効性を認識させるものとしては,極めて不十分であったというほかない。 そうすると,上記警告表示・掲示の内容を具体的に定める権限を有する労働大臣としては,遅くとも昭50改正特化則制定時には,付与された規制権限を適切に行使して,労働者による呼吸用保護具の使用を実効あらしめるため,同日当時に判明していた石綿粉じんばく露が人体に及ぼす危険性,すなわ ては,遅くとも昭50改正特化則制定時には,付与された規制権限を適切に行使して,労働者による呼吸用保護具の使用を実効あらしめるため,同日当時に判明していた石綿粉じんばく露が人体に及ぼす危険性,すなわち,①含有する石綿に起因する粉じんばく露により,石綿肺,肺がん,中皮腫等の生命に危険を及ぼしかねない重篤な石綿関連疾患にり患する危険がある旨,②当該危険を防止するため,当該建材の取扱いに際しては呼吸用保護具の着用が必要不可欠である旨を,石綿建材メーカーに対しては石綿含有建材の外装・包装等に表示すること,事業者に対しては建築作業場に掲示することを義務付けるべきであったというべきである。 それにもかかわらず,本件全証拠によっても,平18改正安衛令によって石綿含有製品の製造,使用等が禁止されるまでの間,労働大臣が上記の規制権限を行使したとは認められない(原判決の「事実及び理由」の第2章第2の8⒁(63頁3行目から6行目まで))。そして,この規制権限の不行使は,石綿関連疾患の重篤性(原判決の「事実及び理由」の第2章の第2の3(14頁1行目から25頁1行目まで)),同規制権限行使の重要性・行使可能性をも考慮すれば,石綿関連疾患にり患した本件元建築作業従事者らとの関係において,許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くものであり,国賠法の適用上違法であったと評価すべきである。当該規制権限不行使の違法があったと認めるべき期間は,昭50改正特化則制定の翌日である昭和50年10月1日から,平18改正安衛令の施行日の前日である平成18年8- 71 -月31日までである。 b 第一審被告(ア)国は,昭和51年当時又は平成7年までの間に石綿含有建材の外装・包装への警告表示及び建築作業場での警告掲示を義務付けなかった規制権限不行使が著しく合理性を欠くとはいえな る。 b 第一審被告(ア)国は,昭和51年当時又は平成7年までの間に石綿含有建材の外装・包装への警告表示及び建築作業場での警告掲示を義務付けなかった規制権限不行使が著しく合理性を欠くとはいえない旨主張するが,同主張に理由がないことは,前記カで説示したとおりである。 第一審被告(ア)国は,平7改正特化則により,同年4月1日以降,事業者に対し,労働者に呼吸用保護具を使用させることを義務付けたから,石綿含有建材の外装・包装への警告表示及び建築作業場の警告掲示に関する規制権限不行使の違法は解消され,その頃には,建築作業従事者も石綿粉じんばく露の危険性を理解して呼吸用保護具を着用する環境は整っていたことから,同日以降は,第一審被告(ア)国に規制権限不行使の違法はないとも主張する。 しかし,平7改正特化則は,石綿含有建材の切断等に直接従事する作業者に対して呼吸用保護具の着用を義務付けるものにすぎず(原判決の「事実及び理由」の第2章第2の8⑾イ(62頁2行目から12行目まで)),当該石綿含有建材の切断等に直接従事しない作業者にこれを義務付けるものではない。そして,石綿含有建材の切断等に直接従事していなくとも,同じ建築現場において建築作業に従事していれば,切断等によって飛散した石綿粉じんを間接的に吸入する危険があることは否定できないから,このような間接ばく露を防止するため,石綿ばく露作業に直接従事しない建築作業従事者にも呼吸用保護具の着用を動機付けることが必要である。 また,前記aのとおり,呼吸用保護具を使用しない労働者に対して,これを適切に使用させるためには,事業者に対し,罰則を伴う形式で労働者に呼吸用保護具を使用させることを義務付けるだけでなく,取り扱う建材の危険性と呼吸用保護具を使用しないことの危険性及び呼吸用保護具の効用について,労働 るためには,事業者に対し,罰則を伴う形式で労働者に呼吸用保護具を使用させることを義務付けるだけでなく,取り扱う建材の危険性と呼吸用保護具を使用しないことの危険性及び呼吸用保護具の効用について,労働者に具体的に認識させる措置をとる必要があり,このような必要性は,呼吸用保護具の使用の義務付けがされた平7改正特化則制定後も同様に存在する(平成7年4月1日以降,建築作業従事者があまねく石綿粉じんばく露の危険性及び呼吸用保護具着用の必要性を理- 72 -解していたことを認めるに足りる的確な証拠はない。)。そうすると,平7改正特化則制定後も,第一審被告(ア)国には,石綿含有建材の外装・包装への警告表示及び建築作業場での警告掲示の各義務付けの規制権限を行使しなかった違法があるというべきである。 したがって,第一審被告(ア)国の上記各主張はいずれも採用することができない。 石綿関連疾患に関する特別教育の実施の義務付け原判決の「事実及び理由」の第3章の第2の1⑴カ(137頁23行目から138頁12行目まで)に説示するとおりであるから,これを引用する。 第一審原告らは,労働安全衛生措置を使用者又は労働者に義務付けただけでは足りず,有害で職業病発症の可能性が高い作業については,作業員に当該疾病の原因,症状,予防方法,り患に対する補償制度等を分かりやすく説明し,予防対策の重要性を認識させるべく,雇入れ時の一般的な安全衛生教育のみでは足りず,このような内容を備えた特別教育の実施を義務付けるべきであった旨主張する。 しかし,呼吸用保護具の着用を実効あらしめるため石綿含有建材の外装・包装等への警告表示及び建築作業場への警告掲示を義務付ければ,これらを視認する建築作業従事者に対する直接的な警告となるから,上記各義務付け及び労働者の雇入れ時の教育 らしめるため石綿含有建材の外装・包装等への警告表示及び建築作業場への警告掲示を義務付ければ,これらを視認する建築作業従事者に対する直接的な警告となるから,上記各義務付け及び労働者の雇入れ時の教育に加えて,特別教育の実施を義務付ける必要性は認められない。 したがって,第一審原告らの上記主張は採用することができない。 ク石綿含有建材使用建物の改修・解体作業における各措置の義務付け原判決の「事実及び理由」の第3章の第2の1⑴キ(138頁13行目から23行目まで)に説示するとおりであるから,これを引用する。 ケ以上のとおり,労働大臣が,昭和50年10月1日から平成7年3月31日までの間,安衛法27条1項,22条1号の委任に基づく規制権限を適切に行使して,事業者に対し,罰則を伴う形式で,明示的に,労働者に呼吸用保護具を使用させることを義務付けるべきであったにもかかわらず,これを怠ったこと,昭和50- 73 -年10月1日から平成18年8月31日までの間,安衛法57条及び同法27条1項の委任に基づく規制権限を適切に行使して,石綿含有建材の外装・包装等への警告表示及び建築作業場における石綿の取扱い上の注意事項等の掲示の内容として,前記キのとおり定めるべきであったにもかかわらず,これを怠ったことは,著しく合理性を欠くものであり,国賠法の適用上違法であったということができる。 ⑵ 一人親方や個人事業主である建築作業従事者らの旧労基法,安衛法上の保護対象性旧労基法と安衛法は,粉じん作業に従事する労働者の労働環境を整備し,その生命,身体に対する危害を防止し,その健康を確保することを目的として,事業者に対して,粉じん等による健康障害を防止するために必要な措置を講ずる等の義務を課し,事業者が講ずべき措置の具体的内容を省令に委任している(安衛法 害を防止し,その健康を確保することを目的として,事業者に対して,粉じん等による健康障害を防止するために必要な措置を講ずる等の義務を課し,事業者が講ずべき措置の具体的内容を省令に委任している(安衛法1条,22条,27条)。ここに事業者とは,事業を行う者で労働者を使用するものであり,労働者とは,労基法9条に規定する労働者,すなわち,事業に使用される者で賃金を支払われる者であるから(安衛法2条2号,3号,労基法9条),労働大臣等が有する省令制定権限等の規制権限は,第一次的には,上記の意味での労働者のために行使されるべきことになる。 ところが,一人親方等は,事業者との間の雇用関係を有しない。 そこで,労働大臣等の労働者に対する規制権限の不行使が,そのような一人親方等に対する関係でも違法といえるか否かが問題となる。 ア認定事実本文中に掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 安衛法の制定経緯等a 安衛法は,旧労基法第5章(安全及び衛生)並びに労働災害防止団体等に関する法律第2章(労働災害防止計画)及び第4章(特別規制)を統合し,さらに新たな規制を付け加えて単独法として制定されたものである(甲A243)。 b 労働省は,労働基準法研究会(客観的専門的に労働基準法施行の実情及び問- 74 -題点について実体的・法制的調査研究を行うことを目的として設置された労働大臣の諮問機関)が昭和46年7月にした報告やその他の事情を含めて検討した結果,①旧労基法の建前に基づいて規制の対象を直接の雇用関係のみに限定していては,災害を効果的に防止できないこと,②労働災害の防止のためには,最低基準の確保にとどまらず,より厚みのある行政の展開を必要とすること,③特に中小企業については,取り締まりだけでなく,労働災害を防止しやすい条件を 的に防止できないこと,②労働災害の防止のためには,最低基準の確保にとどまらず,より厚みのある行政の展開を必要とすること,③特に中小企業については,取り締まりだけでなく,労働災害を防止しやすい条件を整える必要があること,④法制化に当たっては,規定条文数がかなりの数に上ることから,旧労基法の改正ではなく,単独法として制定すること,以上の方向で検討を進めた(乙アA140)。 c 昭和47年の安衛法制定に先立って行われた国会での質疑において,政府委員ないし国務大臣は,旧労基法の一部改正の形をとらずに,旧労基法から労働安全に関する規制を分離独立させて単独法としての安衛法を成立させる理由について,以下のとおり答弁した(甲A243,541の2,乙アA140)。 当時の労働災害の傾向からして,旧労基法のように直接の雇用関係のみを前提とする規制の仕方では災害を的確に防止できない状況が出て来ている。すなわち,機械や材料等について,製造,流通の段階における規制が必要になっている。直接の雇用関係だけでなく重層下請関係や建設のジョイントベンチャー等,特殊な雇用関係下における規制も強化しなければ災害が防止できない状況になっている。特定の有害業務に従事した者については,雇用関係にある間だけでなく離職後にわたっても健康管理を確保する必要がある。公害の防止に対する配慮を労働衛生に併せて行う必要がある。 ⒝ 当時の災害の状況からすると,最低基準を設定し,それを確保するとの施策のみでは有効な災害の防止には十分ではない。災害防止の実をあげるためには,最低基準の順守,確保のほかに,それと併せて安全教育の徹底,技術指針や産業環境の標準を作るなどして,安全かつ快適な職場環境を形成する必要があり,さらに最低基準の順守を容易ならしめるため,中小企業に対する技術的援助,財政的援助 に,それと併せて安全教育の徹底,技術指針や産業環境の標準を作るなどして,安全かつ快適な職場環境を形成する必要があり,さらに最低基準の順守を容易ならしめるため,中小企業に対する技術的援助,財政的援助等,- 75 -幅広い行政を展開する必要がある。 ⒞ これらの事情から,旧労基法の枠を超えた幅広い総合的な労働安全行政を展開するため,旧労基法と別個の単独立法とするものである。 ただし,安衛法が旧労基法とは別個独立の法律であっても,安衛法は総合的な労働法規(労基法体系)の一翼を担うものである。そのため,安衛法1条(目的)の中で,旧労基法と相まって労働者の安全と健康を確保するものであることを明確にし,また,旧労基法に「第五章安全及び衛生」の章名を残し,同章中に「労働者の安全及び衛生に関しては,労働安全衛生法の定めるところによる。」と両者の関係を明確にする規定を設けた。このように,旧労基法と安衛法とは姉妹法の関係にあり,旧労基法の法理念は姉妹法である安衛法をもカバーするものである。 工場法13条,旧労基法42条,安衛法22条戦前の工場法(明治44年法律第46号)は,旧労基法の前身となる法律である。 工場法13条は,「行政官庁ハ命令ノ定ムル所ニ依リ工場及付属建物並設備カ危害ヲ生シ又ハ衛生,風紀其ノ他公益ヲ害スル虞アリト認ムルトキハ予防又ハ除害ノ為必要ナル事項ヲ工場主ニ命シ必要ト認ムルトキハ其ノ全部又ハ一部ノ使用ヲ停止スルコトヲ得」と規定し,工場ないし設備から生じる工場内外の危害を防止することを目的としていた。工場法は「職工」を適用対象者としていたところ,行政の解釈例規によれば,職工とは,主として工場内にあって工場の目的とする作業の本体たる業務について労役に従事する者及び直接にその業務を助成するため労役に従事する者をいうと定義され していたところ,行政の解釈例規によれば,職工とは,主として工場内にあって工場の目的とする作業の本体たる業務について労役に従事する者及び直接にその業務を助成するため労役に従事する者をいうと定義されており,工業主と職工との間の雇用関係の存在及び有償性は必要条件とはされていなかった。そのため,工場の業務に従事する者でその操業が性質上職工の業務に当たる以上は,雇用関係が直接工業主と職工との間にあろうと,職工供給請負者,事業請負者等の介在するとを問わず,その工業主の使用する職工として取り扱うものと解されていた。 その後制定された旧労基法42条は,「使用者は,機械,器具その他の設備,原料若しくは材料又はガス,蒸気,粉じん等による危害を防止するために,必要な措- 76 -置を講じなければならない。」と規定し,同条の条文には「使用者」という文言はあるが,「労働者」という文言がなく,その規定の体裁は,上記の工場法13条の規定内容と類似している。 旧労基法42条の規定は,昭和47年の安衛法22条に引き継がれた。安衛法22条は,「事業者は,次の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならない。」と規定し,その1号として,「原材料,ガス,蒸気,粉じん,酸素欠乏空気,病原体等による健康障害」と定めている(甲A485(259頁),589,乙アB2,24)。 黄燐燐寸製造禁止法,旧労基法48条,安衛法55条,57条a 戦前の黄燐燐寸製造禁止法(大正10年法律第61号)は,旧労基法48条の前身となる法律である。旧労基法48条は,有害物の製造禁止として「黄りんマッチその他命令で定める有害物は,これを製造し,販売し,輸入し,又は販売の目的で所持してはならない。」と規定する。 黄燐燐寸製造禁止法は,「燐寸製造業者ハ燐寸ノ製造ニ黄燐ヲ使用スルコトヲ得 りんマッチその他命令で定める有害物は,これを製造し,販売し,輸入し,又は販売の目的で所持してはならない。」と規定する。 黄燐燐寸製造禁止法は,「燐寸製造業者ハ燐寸ノ製造ニ黄燐ヲ使用スルコトヲ得ス」(1条)及び「黄燐ヲ使用シテ製造シタル燐寸ヲ販売シ,輸入若ハ移入シ又ハ販売ノ目的ヲ以テ所持スルコトヲ得ス」(2条)と定め,黄燐マッチの製造及び販売等を禁止するとともに,その違反に対しては,「一年以下ノ懲役又ハ千円以下ノ罰金ニ処ス」(4条1項)と規定していた。同法は,工場法とは別の単独法として制定され,工場における製造のみではなく,全ての者を対象に販売等を禁止する措置が採用されたところに特徴がある。上記法律の提案理由は,「従業者ノ健康ヲ図ッテ,国民ノ健康上ニ遺憾ナキヲ期シタイ」という点にあり,旧労基法48条は,上記のような黄燐燐寸製造禁止法の趣旨を踏襲し,黄りんマッチのように衛生上特に有害なものを規制し,製造工程において黄りんにばく露することで作業従事者のり患しやすい重篤な職業病ないし健康障害の防止の徹底を目的に,将来科学の進歩に伴い労働衛生の見地から製造等の禁止をすべき有害物の出現をも考慮に入れて規定したものである。 - 77 -ところで,旧労基法48条の適用範囲は,旧労基法8条の適用事業に限られ,その他の事業に係る者には適用されないのではないかという点が問題とされた。しかし,旧労基法48条は,前記のとおり,黄燐燐寸製造禁止法を引き継いで制定されたものであり,同法は,工場法の適用工場に限らず,全ての者を対象としていたことに鑑み,旧労基法8条の適用事業に係る者のみでなく,それ以外の全ての者,いわゆる家内労働世帯についても適用があると解されていたものであり,それが行政解釈でもあった(労働省昭和34年11月25日基発800号通牒)(甲A25 適用事業に係る者のみでなく,それ以外の全ての者,いわゆる家内労働世帯についても適用があると解されていたものであり,それが行政解釈でもあった(労働省昭和34年11月25日基発800号通牒)(甲A251,292,乙アB2)。 b 安衛法は,前記のとおり,雇用関係のみを前提とする旧労基法における規制では災害を的確に防止することができないとして,単独法として制定されたものであり,旧労基法48条の規定は,安衛法55条に引き継がれた。 昭和47年の安衛法55条は,「黄りんマッチ,ベンジジン,ベンジジンを含有する製剤その他の労働者に重度の健康障害を生ずる物で,政令で定めるものは,製造し,輸入し,譲渡し,提供し,又は使用してはならない。ただし,試験研究のため製造し,輸入し,又は使用する場合で,政令で定める要件に該当するときは,この限りでない。」と定めていた。 また,昭和47年の安衛法57条は,「ベンゼン,ベンゼンを含有する製剤その他の労働者に健康障害を生ずるおそれのある物で政令で定めるもの又は前条第一項の物を譲渡し,又は提供する者は,労働省令で定めるところにより,その容器(容器に入れないで譲渡し,又は提供するときにあっては,その包装。以下同じ。)に次の事項を表示しなければならない。ただし,その容器のうち,主として一般消費者の生活の用に供するためのものについては,この限りでない。」と定めていた。 上記の安衛法55条及び57条は,有害物の職場からの排除という点で共通する規定であり,ともに第五章(機械等及び有害物に関する規制)第二節(有害物に関する規制)に規定されていた(甲A292,乙アB24)。 労働者災害扶助責任保険法,労働者災害扶助法,昭和40年改正労災保険法- 78 -a 労働者災害扶助責任保険法(昭和6年法律第55号)及び労働者 されていた(甲A292,乙アB24)。 労働者災害扶助責任保険法,労働者災害扶助法,昭和40年改正労災保険法- 78 -a 労働者災害扶助責任保険法(昭和6年法律第55号)及び労働者災害扶助法(昭和6年法律第54号)は,戦前における保険制度で,戦後の労災保険と趣旨を同じくする法律であった。また,労働者災害扶助法は,工場法及び鉱業法(明治38年法律第45号)により工場労働者等に認められていた災害・事故時の扶助を一定の範囲の屋外労働者にも認める制度であった。この労働者災害扶助法の適用を受け得る「労働者」につき,同法は特段の定めを置いていなかったが,一般に,労働者ではない土木建築工事の下請人も,労働者の代表者又は親方として自己もまた作業に加わるときは,労働者の中に加えられるべきであるとされていた。 労働者災害扶助法の適用を受ける業種は,「國,道府縣,市町村又ハ勅令ヲ以テ指定スル公共團體ノ直営工事」,「鐡道,(中略)水道電氣若ハ瓦斯ノ事業ヲ營ム者ガ其ノ事業ノ爲ニスル直営工事」,「其ノ他ノ工事ニシテ勅令の定ムル規模ノモノ」等の通常の木造家屋建築を除く大規模な建設工事に限られていた(同法1条2項,労働者災害扶助法施行令2条)(甲A541の7,甲A591)。 b 労働者災害扶助法は,災害補償の面のみならず,労働安全衛生に関する規定をも置き(同法5条),これに基づく規則によって,労働安全衛生に関する各種規制が行われていた。そして,旧労基法が制定されるに伴い,労働者災害扶助法は廃止されるに至り,上記規則は失効した。また,労働者災害扶助責任保険法は,労災保険法の制定に伴い廃止された。このように,旧労基法が制定され,労働者概念が明確にされるまで,第一審被告(ア)国は,一人親方等について,行政措置として,災害・事故時の扶助を労働者に準じて認 は,労災保険法の制定に伴い廃止された。このように,旧労基法が制定され,労働者概念が明確にされるまで,第一審被告(ア)国は,一人親方等について,行政措置として,災害・事故時の扶助を労働者に準じて認めてきた(甲A592)。 c また,第一審被告(ア)国(労働省)は,昭和40年改正労災保険法の制定による労災保険特別加入制度の導入前から,土木建築事業の一人親方について,労災保険法の擬制適用を認めてきた(昭和22年11月12日基発第285号「土木建築労働者についての労働者災害補償保険法適用に関する件」)。その後,この擬制適用の範囲が順次拡大され,土木建築事業以外の一人親方にも,労基法適用労働者と同様に労災保険法が擬制適用されてきた。 - 79 -昭和40年,労災保険法の一部を改正する昭和40年改正労災保険法が制定された。その趣旨は,労災保険は,労働者の業務災害に対する補償を本来の目的としているところ,業務の実情,災害の発生状況等に照らし,実質的に労基法の適用がある労働者に準じて保護するにふさわしい者に対し,労災保険を適用しようとする点にある。こうして,労働者以外の者であっても,中小事業主や一人親方その他の自営業者とその事業に従事する者等が,労働者に準ずる者として,労災保険特別加入制度の対象とされた(前記第2章第2の14)。 なお,上記制度創設の際の労働者災害補償保険審議会は,「特別加入者の範囲については業務の危険度ないしその事業の災害率に照らし,特に保護の必要性の高いものについて考慮するとともに,特別加入者の従事する業務の範囲が明確性ないし特定性をもち,保険業務の技術的な処理の適確を期し得るかどうか十分に検討すべき」であるとの答申を行った(甲A256)。 一人親方等の就労実態等建設業においては,数次にわたる請負契約によっ 特定性をもち,保険業務の技術的な処理の適確を期し得るかどうか十分に検討すべき」であるとの答申を行った(甲A256)。 一人親方等の就労実態等建設業においては,数次にわたる請負契約によって,同一の場所に複数の請負人が入り組んで作業を行うことが多く,大規模な建設工事においては,下請が何重もの階層に及ぶこともあり,このような重層下請構造が常態化している。そして,建築請負工事において,「雇人のない業種」(一人親方)は,昭和45年から平成7年までの間,建設作業者全体の13.1%から15.2%(人数としては約38万人から約40万人)の間で推移している。また,この一人親方に雇人のある業主及び役員(そのほとんどが零細事業主と考えられる。)を加えると,建設作業者全体に占める割合は,同じく昭和45年から平成7年までの間,23.8%から25.1%(人数としては約62万人から約77万人)の間で推移している。 そして,建築現場における作業実態としては,労働者と一人親方等との間には雇用か請負かの単なる契約形式の違いがあるのみであって,同一の場所で同一の作業をしているという点では差異がない。また,一人親方等に対しては,上位の請負者からの指示命令が行われ,下位にある一人親方等がそうした指示とは別の独自の判- 80 -断で作業を行い得るものではないのであって,労働者と同様に,指示命令系統に組み込まれて作業を行うことが当然に予定されている(甲A128,129,1058,証人P)イ上記アの認定事実によれば,以下のことが認められる。 安衛法は,従来の直接雇用関係のみを前提とする旧労基法の規制方法では災害の的確な防止ができない社会的状況を背景として,労働災害の防止のために,建設業における重層下請構造等の特殊な雇用関係下における規制の整備を図ることをも 用関係のみを前提とする旧労基法の規制方法では災害の的確な防止ができない社会的状況を背景として,労働災害の防止のために,建設業における重層下請構造等の特殊な雇用関係下における規制の整備を図ることをも視野に入れて,快適な職場環境の形成を促進することを目的としていた。 そして,工場法13条は,労働者に限らず,工場・設備から職工に生じる危害を防止する目的で制定され,これを引き継いだ旧労基法42条及び安衛法22条の規定も,上記と同様に,労働者以外の者にも適用されると解される。 また,黄燐燐寸製造禁止法及びこれを引き継いだ旧労基法48条は,労働者のみならず,労働者以外の全ての者にも適用されると解されていたものであり,この旧労基法48条を引き継いだ安衛法55条の規定も,上記と同様に,労働者以外の者にも適用されると解される。 このような規定の沿革に加え,安衛法の上記制定の経緯及び目的に照らすと,安衛法22条は,労働者の「健康障害を防止するため必要な措置」を講じることによって,また,同法55条は,「労働者に重度の健康障害を生ずる物」の製造等を禁止することによって,いずれも労働者の安全と健康を確保するとともに,建設業における重層下請構造ゆえに建築現場で労働者と共に労働者と同等の立場で建築作業に従事することが常態である一人親方等の安全と健康をも確保し,もって,快適な職場環境の形成を促進することをその趣旨とするものと解される。そして,上記安衛法55条の趣旨は,同様に有害物の職場からの排除という点で共通する安衛法第5章第2節に規定されている同法57条にも妥当するというべきである。 さらに,労働者災害扶助法の適用を受け得る「労働者」には,一般に,労働者ではない土木建築工事の下請人も,労働者の代表者又は親方として自己もまた作業に- 81 -加わるとき というべきである。 さらに,労働者災害扶助法の適用を受け得る「労働者」には,一般に,労働者ではない土木建築工事の下請人も,労働者の代表者又は親方として自己もまた作業に- 81 -加わるときは,労働者の中に加えられるべきであるとされ,また,同法は,災害補償の面だけでなく,労働安全衛生に関する規定を置き,これに基づく規則によって,労働安全衛生に関する各種規制を行っていた。労働者災害扶助法及び労働者災害扶助責任保険法が廃止されて,労災保険法が制定された後も,第一審被告(ア)国は,昭和40年改正労災保険法の制定による労災保険特別加入制度の導入前から,建築業における一人親方について,労災保険法の擬制適用を認め,昭和40年改正労災保険法においては,一人親方等を実質的に労基法の適用がある労働者に準じて保護するにふさわしい者として,労災保険特別加入制度の対象とした。そして,一人親方等は,労働者災害補償保険審議会の答申の内容に照らし,業務の範囲が明確性ないし特定性をもつ者として労災保険特別加入制度の適用対象とされたものと考えられる。 ウ以上にみたとおり,安衛法は,直接雇用関係のみを前提とする旧労基法の規制方法では災害の的確な防止ができないことから,労働災害の防止のために,建設業における重層下請構造等の特殊な雇用関係下における規制の整備を図ることをも視野に入れて,快適な職場環境の形成を促進することを目的とするものであるところ,職場における粉じん規制は,戦前の工場法13条の規定から,戦後,旧労基法42条を経て,安衛法22条に,有害物の製造等禁止は,戦前の黄燐燐寸製造禁止法の規定から,戦後,旧労基法48条を経て,安衛法55条にそれぞれ引き継がれ,また,安衛法57条も同法55条と同趣旨の規定と解されることから,安衛法22条及び57条のいずれの規定 の黄燐燐寸製造禁止法の規定から,戦後,旧労基法48条を経て,安衛法55条にそれぞれ引き継がれ,また,安衛法57条も同法55条と同趣旨の規定と解されることから,安衛法22条及び57条のいずれの規定も,職場からの有害物の排除の観点から,労働者のみならず,建設業における重層下請構造ゆえに建築現場で労働者と共に労働者と同等の立場で建築作業に従事することが常態である一人親方等をも保護の対象とするものと解するのが相当である。これに加えて,労働者災害扶助法が労働者以外の者をも保護対象としており,殊に労災保険法及び昭和40年改正労災保険法(労災保険特別加入制度)が,実質的に労基法の適用がある労働者に準じて保護するにふさわしく,かつ,業務の範囲が明確性ないし特定性をもつ者として,一人親方等を保護- 82 -の対象としてきたこと,一人親方等が建設現場において重要な地位を占めているとの社会的事実,一人親方等の石綿粉じんばく露によって侵害される法益が生命,身体及び健康に対する危害という重大なものであることをも併せ考慮すれば,上記のとおり解することは,石綿粉じんばく露による一人親方等の被害を救済することについての社会的要請にもかなうものということができる。 そうすると,安衛法22条及び57条は,労働者のみならず,一人親方等をも保護することによって,快適な職場環境の形成の促進をその目的とするものであると解されるから,第一審被告(ア)国が,昭和50年10月1日から平成18年8月31日までの間,安衛法57条及び同法27条1項の委任に基づく規制権限を適切に行使して,石綿含有建材の外装・包装等への警告表示及び建築作業場における石綿の取扱い上の注意事項等の掲示の内容として,前記キのとおり定めるべきであったにもかかわらず,これを怠ったことは,著しく合理性を欠くも 綿含有建材の外装・包装等への警告表示及び建築作業場における石綿の取扱い上の注意事項等の掲示の内容として,前記キのとおり定めるべきであったにもかかわらず,これを怠ったことは,著しく合理性を欠くものとして,労働者に対する関係だけではなく,一人親方等との関係においても,国賠法の適用上違法であったというべきである。 エ第一審被告(ア)国は,安衛法は,労働者の保護を図ることを目的とするものであって,一人親方等の利益を保護の対象としていると解すべき法令上の根拠はなく,労働者に対する安衛法に基づく規制権限の行使の効果が結果として一人親方等に及ぶことがあるとしても,それは労働者に対する効果に付随して生じた事実上の反射的利益にすぎず,安衛法22条及び57条に基づく規制権限の不行使が一人親方等の関係で国賠法の適用上違法であったということはできない旨主張する。 しかし,前記のとおり,安衛法22条及び57条は,第一次的には労働者の保護を図ることを目的としつつも,建設業における重層下請構造ゆえに建築現場で労働者と共に労働者と同等の立場で建築作業に従事することが常態である一人親方等の安全と健康をも確保し,もって,快適な職場環境の形成を促進することをその趣旨とするものと解される。そうすると,第一審被告(ア)国は,一人親方等に対して,安衛法22条及び57条に基づく規制権限を行使すべき職務上の法的義務を負担す- 83 -ることから,当該規制権限の不行使は,一人親方等との関係でも違法となるというべきである。 したがって,第一審被告(ア)国の上記主張は採用することができない。 建基法に基づく規制権限の不行使当裁判所も,第一審原告らの主張する建基法に基づく規制権限不行使の違法は認められないものと判断する。その理由は,原判決の「事実及び理由」の第3章 ができない。 建基法に基づく規制権限の不行使当裁判所も,第一審原告らの主張する建基法に基づく規制権限不行使の違法は認められないものと判断する。その理由は,原判決の「事実及び理由」の第3章の第2の1⑶(142頁5行目から143頁8行目まで)に説示するとおりであるから,これを引用する。 第一審原告らは,内閣又は建設大臣は,建基法2条7号から9号までの指定・認定について,建築作業従事者の生命・身体の安全性に配慮すべく,昭和50年以降,平成3年又は遅くとも平成7年において,石綿含有建材を削除すべきであったにもかかわらず,これを怠ったこと,内閣が,遅くとも昭和50年までに,建基法90条2項に基づき,建築作業従事者及び周辺住民を含む工事関係人の生命・健康を保護すべく,建基法90条2項に基づき,石綿粉じんばく露防止のための技術的基準に関する政令を制定すべきであったにもかかわらず,これを怠ったことは,いずれも違法である旨主張する。 しかし,上記で引用する原判決の説示するとおり,建基法2条7号から9号まで及び同法90条の趣旨ないし目的には,建築作業従事者の健康障害及び危害の防止が含まれているとは解されない以上,建設大臣ないし内閣が上記各法条に基づき第一審原告ら主張に係る規制権限を行使しないことが本件元建築作業従事者との関係において国賠法上違法と評価されることはない。 したがって,第一審原告らの上記主張は採用することができない。 労災保険法に基づく規制権限の不行使当裁判所も,第一審原告らの主張する労災保険法に基づく規制権限不行使の違法は認められないものと判断する。その理由は,原判決の「事実及び理由」の第3章の第2の1⑷(143頁9行目から18行目まで)に説示するとおりであるから,- 84 -これを引用する。 小括以上 認められないものと判断する。その理由は,原判決の「事実及び理由」の第3章の第2の1⑷(143頁9行目から18行目まで)に説示するとおりであるから,- 84 -これを引用する。 小括以上によれば,第一審被告(ア)国が,昭和50年10月1日以降,呼吸用保護具の使用の義務付け,建築作業場における石綿取扱い上の注意事項等の掲示の義務付け,石綿含有建材の包装等への警告表示の義務付けをしなかったことは,国賠法の適用上違法であると認められるところ,上記の警告掲示及び警告表示に係る規制権限不行使の違法性は平成18年3月31日まで継続したから,本件において,第一審被告(ア)国が責任を負うべき期間は,昭和50年10月1日から平成18年3月31日までの間ということになる(以下,同期間を「第一審被告(ア)国の責任期間」という。)。 したがって,第一審被告(ア)国は,第一審被告(ア)国の責任期間内に,建築現場において石綿粉じんばく露作業に従事し,石綿粉じんに直接又は間接的にばく露したことにより石綿関連疾患を発症した労働者及び一人親方等に対して,国賠法1条1項に基づく損害賠償責任を負う。 2 第一審被告企業ら関係⑴ 警告義務違反ないし石綿不使用義務違反(民法709条)原判決と同様に,当裁判所も,第一審被告企業らには,警告義務違反の不法行為は成立するが,石綿不使用義務違反の不法行為は成立しないものと判断する。他方,原判決と異なり,警告義務違反の始期は昭和50年1月1日であると判断する。その理由は以下のとおりである。 ア警告義務違反 第一審被告企業らによる石綿含有建材の包装等への警告表示昭50改正安衛令,同改正安衛則,昭和50年3月27日付け通達(同年基発第170号)によって,同年以後,石綿含有量が重量の5%を超える石綿含有製剤 審被告企業らによる石綿含有建材の包装等への警告表示昭50改正安衛令,同改正安衛則,昭和50年3月27日付け通達(同年基発第170号)によって,同年以後,石綿含有量が重量の5%を超える石綿含有製剤については,その容器に,名称,成分及びその含有量,人体に及ぼす作用,貯蔵又は取扱い上の注意等の表示が義務付けられたところ(原判決の「事実及び理由」の第- 85 -2章第2の8⑹エ(52頁17行目から24行目まで),注意事項の具体的内容につき,同第2章第2の8⒅(67頁22行目から68頁9行目まで)),証拠(乙オ6,7,9~11,乙ケ1016,1017,乙ス5,7~10,乙タ4,乙ツ4,乙ノ1,2,乙マ35~37,42,乙ワ5)及び弁論の全趣旨によれば,第一審被告企業らは,同年以後に石綿含有量が重量の5%を超える石綿含有建材を製造・販売する際(平7改正安衛令,同改正安衛則の施行後は,重量の1%を超える石綿含有建材を製造・販売する際)には,上記注意事項を同建材の外装・包装等に記載したと認めることができる。 警告義務違反の有無,警告の内容前記1⑴イのとおり,石綿肺については昭和33年3月31日頃に,肺がん,中皮腫,びまん性胸膜肥厚及び良性石綿胸水については昭和47年頃に,それぞれ石綿粉じんばく露と石綿関連疾患り患との間の因果関係に関する医学的知見が確立したものであるところ,当該医学的知見の基となったIARC報告は,昭和48年には公表されていた。そして,建築現場における石綿粉じんばく露が石綿関連疾患を発症させる程度の危険性を有するものであることについての第一審被告(ア)国の認識ないし認識可能性に関する前記説示と同様,我が国における石綿の使用状況等,我が国の建築物における石綿含有建材の位置付け及び使用状況,建築作業用電動工具の普及とこ とについての第一審被告(ア)国の認識ないし認識可能性に関する前記説示と同様,我が国における石綿の使用状況等,我が国の建築物における石綿含有建材の位置付け及び使用状況,建築作業用電動工具の普及とこれに伴う建築現場における石綿粉じん量の増加,石綿粉じん濃度の評価基準及び建築現場における石綿粉じんの測定結果等並びに昭和40年代後半には建築現場における石綿肺の発症が問題となっている旨の研究報告ないし記事が掲載されたことは,石綿及び石綿含有建材に関する基本的な事実であるから,石綿含有建材を製造・販売する第一審被告企業らは,上記IARC報告が公表された後の昭和49年末頃までには,石綿粉じんばく露と石綿関連疾患との間に量-反応関係があることや,石綿関連疾患が死に至る極めて重篤な疾患であることなどの医学的知見を基礎として,建築現場における石綿粉じんばく露が石綿関連疾患を発症させる程度の危険性を有するものであることについて認識可能であったと認めるのが相当- 86 -である。 そうすると,第一審被告企業らは,このような危険性を有する石綿を含有する建材を製造・販売する以上,同建材を使用する者との関係において,その危険の重大性,石綿関連疾患の重篤性に鑑み,遅くとも昭和50年1月1日以降,各建材を製造・販売するに当たり,同建材の使用者が同建材に含有される石綿に起因する粉じんにばく露し,石綿関連疾患にり患することを防止するために,同建材の外装・包装等に,①含有する石綿に起因する粉じんのばく露により,石綿肺,肺がん,中皮腫等の生命に危険を及ぼしかねない重篤な石綿関連疾患にり患する危険がある旨,②当該危険を防止するため,当該建材の取扱いに際しては呼吸用保護具の着用が必要である旨を明示するなどして,これらを警告すべき義務を負っていたというべきである。これは, 連疾患にり患する危険がある旨,②当該危険を防止するため,当該建材の取扱いに際しては呼吸用保護具の着用が必要である旨を明示するなどして,これらを警告すべき義務を負っていたというべきである。これは,前記の事実関係において,第一審被告企業らがその当時に認識していた石綿関連疾患に関する医学的知見の内容を,自らが製造・販売する建材の外装・包装等に記載することなどを求めるというものであって,第一審被告企業らに対し,格別の負担を課すものとはいえない。 それにもかかわらず,第一審被告企業らは,このような警告表示を行わなかった(弁論の全趣旨)から,第一審被告企業らが製造・販売する各建材を使用する者との関係において,同義務を怠ったものであり,不法行為法上の過失があるというべきである。そして,第一審被告企業らの当該義務違反行為に加え,その他の複数ないし多数の企業が石綿含有建材を製造・販売したことにより,建築作業従事者は,第一審被告企業らを含む複数ないし多数の企業が製造・販売した石綿含有建材に起因する石綿粉じんにばく露し,そのばく露が体内に蓄積した結果,石綿関連疾患が発症したと認められる。 警告義務の相手方の範囲(改修・解体工事作業者に対する警告義務)第一審被告企業らの一部は,改修・解体工事作業従事者との関係では,警告表示をしても結果を回避することはできないから,警告義務を負うものではない旨主張する。 - 87 -しかし,以下のとおり,改修・解体工事作業従事者との関係でも,結果の回避を可能とする警告表示の方法があると考えられる。すなわち,個々の石綿含有建材自体に警告表示をする方法のほか,施工完了部位に貼付する警告表示材料(ラベルや表示シールなど)と,これを貼付するよう新築工事の施工者に依頼する文書とを建材に添付する方法や,当該石綿含有建 綿含有建材自体に警告表示をする方法のほか,施工完了部位に貼付する警告表示材料(ラベルや表示シールなど)と,これを貼付するよう新築工事の施工者に依頼する文書とを建材に添付する方法や,当該石綿含有建材に関する注意書と,これを建物所有者に交付するよう依頼する文書とを建材に添付する方法(これにより,建物所有者が石綿含有建材の種類,施工箇所等の情報を保管しておき,建物の改修・解体の際,当該情報を施工業者に伝えることが期待できる。)などが考えられる。そして,このような方法をとっておけば,改修・解体工事の事業者は,石綿含有建材の有無,種類及び施工箇所等を事前に把握し,有効な石綿粉じんばく露対策をとることができるから,改修・解体工事作業従事者が石綿粉じんにばく露することを相当程度防止することができたと考えられる。 したがって,第一審被告企業らは,建物の改修・解体工事に従事する建築作業従事者との関係でも,警告義務を負っていたというべきである。 警告義務違反の始期及び終期前記のとおり,警告義務違反の始期は,昭和50年1月1日であり,その終期は,第一審被告企業らの各製造・販売の終了時又は各第一審原告の石綿粉じんばく露の終了時である(以下,上記の始期から終期までの期間を「第一審被告企業の責任期間」などという。また,後記⑷の本件元建築作業従事者に対する個別の検討において,共同不法行為責任を負うことが認定された第一審被告企業が上記責任期間内に各本件元建築作業従事者に対して個別具体的に責任を負うべき期間も「第一審被告企業の責任期間」などという。)。 第一審被告企業らの主張について第一審被告企業らは,前記のとおり,当時の法令等に従った警告表示を行ったから,警告義務に違反したとはいえない旨主張する。 また,第一審被告企業らの一部は,本件 第一審被告企業らの主張について第一審被告企業らは,前記のとおり,当時の法令等に従った警告表示を行ったから,警告義務に違反したとはいえない旨主張する。 また,第一審被告企業らの一部は,本件元建築作業従事者らを含む建築作業従事- 88 -者は,会報誌や新聞報道等によって,石綿の有害性について十分に認識し,又は認識することが可能であったにもかかわらず,石綿粉じんばく露防止措置をとらなかったのであるから,そのために生じた結果については,建築作業従事者らに責任があり,第一審被告企業らの責任は否定されるべきである旨主張する。 しかし,上記各主張にいずれも理由がないことは,原判決の「事実及び理由」の第3章第2の2⑴ア(146頁3行目から147頁5行目まで)に説示するとおりであるから,これを引用する。 イ石綿不使用義務違反原判決の「事実及び理由」の第3章第2の2⑴イ(147頁6行目から24行目まで)に説示するとおりであるから,これを引用する。 第一審原告らは,当審において,遅くとも平成7年1月以降は,第一審被告企業らの石綿不使用義務を認めるべきである旨主張するが,上記で引用する原判決の説示するところによれば,同主張もまた採用することができない。 ⑵ 石綿含有建材に関する欠陥(製造物責任法3条)当裁判所も,石綿含有建材に関する欠陥を理由とする製造物責任法3条による責任は,本件において検討する必要がないものと判断する。その理由は,原判決の「事実及び理由」の第3章第2の2⑵(147頁25行目から148頁8行目まで)に説示するとおりであるから,これを引用する。 ⑶ 共同不法行為(民法719条1項)ア主位的主張(民法719条1項前段)及び予備的主張①(直接取扱い建材,民法719条1項前段)当裁判所も,第一審原 りであるから,これを引用する。 ⑶ 共同不法行為(民法719条1項)ア主位的主張(民法719条1項前段)及び予備的主張①(直接取扱い建材,民法719条1項前段)当裁判所も,第一審原告らの主位的主張(民法719条1項前段)及び予備的主張①(直接取扱い建材,民法719条1項前段)はいずれも理由がないものと判断する。その理由は,原判決の「事実及び理由」の第3章第2の2⑶ア,イ(148頁10行目から150頁21行目まで)に説示するとおりであるから,これを引用する。 - 89 -イ予備的主張②(主要ばく露建材,民法719条1項後段の適用)当裁判所も,第一審原告らの予備的主張②(主要ばく露建材)のうち民法719条1項後段の適用の主張は理由がないものと判断する。その理由は,原判決の「事実及び理由」の第3章第2の2⑶ウ(150頁23行目から151頁24行目まで)に説示するとおりであるから,これを引用する。 加えて,一般に民法719条1項後段が適用される場面として想定されているのは,いわゆる択一的競合の場合(多数者の行為がいずれもそれだけで結果を発生させる原因力を有しており,そのうちの誰かの行為によって結果が発生したことは明らかであるが,誰の行為によるものであるかは不明な場合)である。この場合,民法719条1項後段を適用するためには,共同行為者の範囲が特定され,かつ,その特定された共同行為者以外の者によって結果が惹起された可能性はないことが証明される必要があると考えられる(これは,「共同行為者」の範囲が無限定に広がってしまうことを防止するとともに,被告とされる者に,原告の挙げる者のうちの当該被告以外の者が結果を惹起した事実を証明することによって自己の責任を免れるという自己防衛の手段を与えるためである。)。ところが,主要 とを防止するとともに,被告とされる者に,原告の挙げる者のうちの当該被告以外の者が結果を惹起した事実を証明することによって自己の責任を免れるという自己防衛の手段を与えるためである。)。ところが,主要ばく露建材を製造・販売する旨第一審原告らが主張する第一審被告企業以外に結果を惹起した可能性のある共同行為者が存在しないことの証明はない。したがって,このような観点からも,民法719条1項後段の適用の主張は理由がない。 ウ予備的主張②(主要ばく露建材,民法719条1項後段の類推適用) 民法719条1項後段の類推適用の要件前記アのとおり,複数ないし多数の企業が製造・販売した石綿含有建材に起因する石綿粉じんのばく露の蓄積が本件元建築作業従事者らの石綿関連疾患り患という結果をもたらしたものと認められるが,石綿含有建材を製造・販売する企業が複数ないし多数に及ぶことに加え,石綿粉じんのばく露から長期間が経過した後に石綿関連疾患が発症するという同疾患の特徴からすると,被害者側で,石綿粉じんのばく露の蓄積に寄与した者全員を特定することは困難であり,また,仮に特定す- 90 -ることができたとしても,その寄与の程度を証明することは極めて困難であるといわざるを得ない。 しかし,当該行為者の行為が石綿粉じんのばく露の蓄積に寄与したと認められるのであれば,その意味で,石綿粉じんのばく露の蓄積との間に部分的な因果関係はあるということができる。そして,いわゆる択一的競合の場合に,自らの行為と結果との間に因果関係があることが証明されていない(したがって,因果関係が全くない可能性が十分にある)にもかかわらず,民法719条1項後段の適用により「共同行為者」として全部責任を負うこととされる者と対比すると,石綿粉じんのばく露の蓄積に寄与した者全員を特定する 関係が全くない可能性が十分にある)にもかかわらず,民法719条1項後段の適用により「共同行為者」として全部責任を負うこととされる者と対比すると,石綿粉じんのばく露の蓄積に寄与した者全員を特定することができず,又はその寄与の程度の証明がないからといって,石綿粉じんのばく露の蓄積との間に部分的な因果関係があるということのできる者が全く責任を負わないというのは,不均衡かつ不合理であるというほかない。 そこで,石綿含有建材を製造・販売する行為が石綿粉じんのばく露の蓄積に寄与したことが認められる場合には,他に石綿粉じんのばく露の蓄積に寄与した者がいないことの証明がなく,また,その寄与の程度が不明であっても,民法719条1項後段を類推適用して,当該行為者の行為と結果(石綿関連疾患の発症)との間の因果関係を推定し,他方,行為者の行為が結果の全部又は一部との間に因果関係がないことの証明があれば,寄与度に基づく責任の減免が認められることとすべきである。 そして,行為が石綿粉じんのばく露の蓄積に寄与したというためには,当該被害者が建築作業に従事した建築現場に当該行為者の製造・販売した石綿含有建材が到達したことの証明が必要であると考えられる。到達したことについては,これを是認し得る高度の蓋然性の証明が必要であり,その判定は,通常人が疑いを差し挟まない程度に真実性の確信を持ち得るものであることを必要とし,かつ,それで足りると考えられる(最高裁昭和48年(オ)第517号同50年10月24日第二小法廷判決・民集29巻9号1417頁参照)。 - 91 -到達の相当程度の可能性があれば足りるとの主張について第一審原告らは,第一審原告らによる立証(加害者の特定)が困難ないしほぼ不可能であるとの本件事案の特質と民法719条1項後段の趣旨とを考慮すれば,加 相当程度の可能性があれば足りるとの主張について第一審原告らは,第一審原告らによる立証(加害者の特定)が困難ないしほぼ不可能であるとの本件事案の特質と民法719条1項後段の趣旨とを考慮すれば,加害行為の本件元建築作業従事者への到達の証明を厳密に要求することは妥当でなく,到達の相当程度の可能性があれば足りると考えるべきである旨主張する。 しかし,民法719条1項後段の類推適用は,石綿含有建材を製造・販売する行為が石綿粉じんのばく露の蓄積に寄与したということができる場合に,製造・販売を行った者らを「共同行為者」に当たるということができるとし,そのことを根拠として行うものであるところ,到達の相当程度の可能性があるとはいえても,現実に到達したことの証明があるとまではいえないときは,石綿含有建材を製造・販売する行為について,石綿粉じんのばく露の蓄積に寄与したということはできず,そのような場合にまで民法719条1項後段を類推適用するのは不相当というべきである。 したがって,第一審原告らの上記主張は採用することができない。 他の加害者の不存在の主張立証の要否第一審被告企業らの一部は,民法719条1項後段が類推適用されるための要件として,他に当該結果の発生に影響を及ぼした者がいないことの証明が必要である旨主張する。 確かに,前記イのとおり,民法719条1項後段を適用する場合には,共同行為者の範囲が特定され,かつ,その特定された共同行為者以外の者によって結果が惹起された可能性はないことが証明される必要があると考えられるが,これは,いわゆる択一的競合の場合に,自らの行為と結果との間に因果関係があることが証明されておらず,したがって,因果関係が全くない可能性が十分あるにもかかわらず,「共同行為者」として全部責任を負うものとされることから,「共同行 場合に,自らの行為と結果との間に因果関係があることが証明されておらず,したがって,因果関係が全くない可能性が十分あるにもかかわらず,「共同行為者」として全部責任を負うものとされることから,「共同行為者」の範囲が無限定に広がってしまうことを防止するとともに,被告とされる者に,原告の挙げる者のうちの当該被告以外の者が結果を惹起した事実を証明することによって- 92 -自己の責任を免れるという自己防衛の手段を与える必要があるためである。ところが,本件では,石綿含有建材を製造・販売する行為が石綿粉じんのばく露の蓄積に寄与したということができる場合に,民法719条1項後段を類推適用して,当該寄与に係る部分について賠償責任を負担させるものであるから,他に結果の発生に影響を及ぼした者がいたとしても,行為者の賠償責任を免ずる理由にはならない。 したがって,民法719条1項後段の類推適用については,他に結果の発生に影響を及ぼした者がいないことの証明は必要ではなく,第一審被告企業らの上記主張は採用することができない。 共同不法行為者の範囲(シェア論)a 前記のとおり,民法719条1項後段を類推適用するためには,第一審被告企業らの製造・販売する石綿含有建材が本件元建築作業従事者らが作業に従事する建築現場に到達したことの証明を要する。 そして,そのためには,本件元建築作業従事者ごとに,作業に従事した建築現場と,当該建築現場で作業に従事した時期,当該建築現場に到達した石綿含有建材及びこれを製造・販売する第一審被告企業を具体的に特定するのが本則であるとも考えられる。しかし,本件元建築作業従事者らは,長年の間,労働者又は一人親方等として,多数の建築現場で建築作業に従事してきたのであり,各建築現場で使用された建材の種類も多種多様に及ぶところ,一般に,使用 られる。しかし,本件元建築作業従事者らは,長年の間,労働者又は一人親方等として,多数の建築現場で建築作業に従事してきたのであり,各建築現場で使用された建材の種類も多種多様に及ぶところ,一般に,使用する建材の選定は,主に施主,元請事業者又は第一次下請業者によって行われており,本件元建築作業従事者らは,建築現場の作業工程の中で,自ら建材を選定することなく,用意された建材を使用して作業していたにすぎない。したがって,本件元建築作業従事者らが作業に従事した建築現場,作業に従事した時期及び使用した建材を特定するなどということは,およそ期待できないのであって,上記のような事項を特定できないからといって,直ちに,第一審被告企業らの製造・販売する石綿含有建材が本件元建築作業従事者らが作業に従事する建築現場に到達したことの証明がないとすることは,あまりにも酷であり,不可能を強いるものというほかない。 - 93 -b 第一審原告らは,共同不法行為者を,前記第2章第4の2⑵(第一審原告らの主張)ウのとおり特定している。すなわち,本件元建築作業従事者らの職種が一般的・類型的に直接取り扱う石綿含有建材の種類を特定し(直接取扱い建材),次いで,直接取扱い建材のうち当該職種の作業態様,石綿粉じんばく露の実態等を勘案して石綿粉じんばく露の主要な原因となった建材の種類に絞り込むとともに,本件元建築作業従事者らの個別事情に応じて,ばく露の主要な原因となった建材の種類を特定し(主要ばく露建材),これについて,その製造・販売企業の中から10%以上のシェア(市場占有率)を有する第一審被告企業の製造・販売する石綿含有建材が,本件元建築作業従事者らが作業に従事した現場に到達した相当程度の可能性があるとして,この第一審被告企業を共同不法行為者として特定している。 このように 第一審被告企業の製造・販売する石綿含有建材が,本件元建築作業従事者らが作業に従事した現場に到達した相当程度の可能性があるとして,この第一審被告企業を共同不法行為者として特定している。 このように,本件元建築作業従事者の石綿粉じんばく露の主要な原因となった建材の種類を特定した上,当該建材の種類の市場におけるシェアを用いて共同不法行為者を特定する方法は,本件元建築作業従事者らが建築現場で石綿粉じんにばく露する作業をした結果,石綿関連疾患にり患したことが明らかであるにもかかわらず,作業に従事した建築現場,作業に従事した時期及び使用した建材を特定することが極めて困難で,他に適切な立証方法がないという状況の下では,一定の合理性がある。 c そこで,本件元建築作業従事者が作業に従事していた建築現場において常時かつ恒常的に使用し,又は接触しており,当該本件元建築作業従事者が粉じんにばく露する主要な原因となったことが認められる建材(以下,このような建材を「主要ばく露建材」ということとする。)について,どの程度のシェアがあれば,本件元建築作業従事者が作業に従事していた建築現場に到達した蓋然性があると認定してよいかを検討する。 前記のとおり,一般に,使用する建材の選定は,主に施主,元請事業者又は第一次下請業者によって行われており,労働者又は一人親方等として建築作業に従事していた本件元建築作業従事者らが建材を選定するわけではない。したがって,- 94 -同じ用途の石綿含有建材のうちどの建材メーカーのものを使用するかは,建築現場ごとの偶然の要素によることとなる。 他方,本件元建築作業従事者らが就労した建築現場の数は,職種や現場の規模,新築か増改築かなどによって,一つの現場に要する時間の長さが異なるから,一概には言えないものの,本件元建築作業従事者 なる。 他方,本件元建築作業従事者らが就労した建築現場の数は,職種や現場の規模,新築か増改築かなどによって,一つの現場に要する時間の長さが異なるから,一概には言えないものの,本件元建築作業従事者らは,いずれも長年にわたり建築現場を移動しながら建築作業に従事してきたのであるから,就労した建築現場は相当な数に上るはずである。工事監理という職種であることから現場数が最も少ないと考えられる本件元建築作業従事者x10(第一審原告(10)X10関係)でも,昭和59年以降,主な現場だけで少なくとも36の建築現場で就労し(甲F10の3の8・10),また,主にゼネコン数社からの一次下請であった中部建設株式会社の労働者として現場監督に当たった本件元建築作業従事者x15(第一審原告(15)X15関係)も,ほぼ同様の頻度で建築現場をこなしたことが推認される(甲F15の3の2・6,弁論の全趣旨)。また,大工は,新築及び増改築を含めて,木造建物では建築工事のほぼ全工程に,鉄骨造建物や鉄筋コンクリート造建物でも内装工事の全工程に関与するなど,比較的一つの現場に留まる期間が長いと考えられるが,それでも年間概ね10件以上の現場で就労し,就労期間を10年間とした場合の現場数は概ね100件以上に及ぶこと,大工よりも一つの現場に留まる期間が短い他の職種や,複数の現場を同時並行的に担当する他の職種の者にあっては,概ねそれ以上の数の現場で就労したことが認められる(甲A361~365,甲F1~45,弁論の全趣旨)。 そうすると,本件元建築作業従事者らが特定の建材メーカーの製造・販売した石綿含有建材を使用する頻度は,就労した期間全体を通して見れば,当該建材メーカーのシェアとの間に一定の相関関係が存在する蓋然性が高いということができる。 したがって,建材の用途,販売経路,販売エリア 石綿含有建材を使用する頻度は,就労した期間全体を通して見れば,当該建材メーカーのシェアとの間に一定の相関関係が存在する蓋然性が高いということができる。 したがって,建材の用途,販売経路,販売エリア等に特殊性があるなどの特段の事情がない限り,シェアが大きければ,それだけ流通量が多く,本件元建築作業従事者らの建築現場に到達した可能性も大きくなるのであって,上記のとおり,本件元- 95 -建築作業従事者らの就労現場数が相当の数に上ることを勘案すると,用途を同じくする建材で,概ね20%以上のシェアを有する建材メーカーが製造・販売した石綿含有建材であれば,本件元建築作業従事者らが作業に従事していた建築現場にしばしば到達したことを是認し得る高度の蓋然性があるというべきである。 もとより,シェアは,到達の事実を認定することができるか否かを判断する上でのひとつの間接事実にとどまるのであって,シェアが上記の割合を超えているか否かのみによって到達の事実が認定できるか否かが当然に決まるわけではなく,本件元建築作業従事者ごとに,その職種,作業内容,当該建材からの石綿粉じんばく露の蓋然性等と照らし合わせて主要ばく露建材を特定した上,当該建材の市場において占める第一審被告企業のシェアをも検討して,共同不法行為者と認められるか判断することとなる。 ⒝ 第一審原告らは,概ね10%以上のシェアを有する建材メーカーの製造・販売する石綿含有建材であれば,本件元建築作業従事者らの建築現場に到達したことについて,相当程度の可能性のみならず,高度の蓋然性がある旨主張する。他方,第一審被告企業らの一部は,我が国の建築現場数は新規着工分だけでも昭和50年から平成4年までで年間134万件以上あり,シェアが25%の建材メーカーの石綿含有建材が到達しない現場数は約100万件もあるか 一審被告企業らの一部は,我が国の建築現場数は新規着工分だけでも昭和50年から平成4年までで年間134万件以上あり,シェアが25%の建材メーカーの石綿含有建材が到達しない現場数は約100万件もあるから,本件元建築作業従事者らが作業に従事した現場がこの100万件に含まれることも当然あり得る以上,到達を認定することはできない旨主張する。 しかし,上記で説示したところによれば,いずれの主張も採用することができない。 d 第一審被告企業らの一部は,石綿含有建材のみでなく,非石綿含有建材をも加えた競合建材全体の中でのシェアを検討対象とすべきである旨主張する。 しかし,ここで検討しているのは,本件元建築作業従事者らが石綿含有建材の粉じんにばく露した結果,石綿関連疾患を発症した事実が認められることを前提とした上で,各本件元建築作業従事者らが作業に従事していた建築現場に到達した主要- 96 -ばく露建材を製造・販売した第一審被告企業をどのように特定するかであるから,石綿を含有しない建材を加えた競合建材全体の中での石綿含有建材のシェアを検討しても意味がない。 したがって,第一審被告企業らの上記主張は採用することができない。 ⑷ 個別検討(民法719条1項後段類推適用関係)ア左官工:第一審原告(3)X3,同(17)X17及び同(26)X26作業内容と主要ばく露建材左官工は,モルタルやプレミックス材を練り上げ,これを利用して外壁材とコンクリートとの隙間を埋め,また,外壁や浴室等の内壁,土間等にモルタルを塗る作業を行う。モルタル等の練り上げ作業においては,伸びをよくするため,混和材(石綿を含有するものもある。)を混ぜ合わせる。このような練り上げ作業は,ミキサー,ハンドミキサーで行うこともあるが,手作業で行うこともあり,また,屋外で行われ おいては,伸びをよくするため,混和材(石綿を含有するものもある。)を混ぜ合わせる。このような練り上げ作業は,ミキサー,ハンドミキサーで行うこともあるが,手作業で行うこともあり,また,屋外で行われることが多いが,屋外でもシート等で被われた場所で行うこともある。そして,ミキサーや容器等に混和材を投入する際や練り上げの際(水を投入する前に,砂・セメント・混和材のみを混ぜる空練りを行う。)に混和材等が舞い上がり,左官工はこれを吸い込むことになる(甲F3,17,26,第一審原告(26)X26本人)。 そうすると,左官工の主要ばく露建材は混和剤である。 混和剤のシェアそこで,主要ばく露建材である混和材のシェアについて検討するに,第一審被告(ラ)ノザワは,昭和31年頃から平成15年9月頃まで,モルタル混和材であるテーリングを製造・販売したこと,テーリングは,混和材の市場において,昭和31年頃から平成4年頃までの間は90%を超えるシェアを有するなど,その製造・販売期間中,概ね20%以上のシェアを有していたことが認められる(甲A490,乙ニ14,乙ラ20,24,丙ア1,弁論の全趣旨)。 本件元建築作業従事者x3(第一審原告(3)X3関係)a 本件元建築作業従事者x3は,昭和30年以後,左官工としての作業に従事- 97 -し,昭和60年頃以後は,これに加え,塗装業にも従事した後,平成19年,これらをやめた。また,昭和37年から昭和50年までの間,建築現場での作業の合間に,造船所等において,断熱保温材としての石綿の吹付け,塗布作業にも従事した(甲F3)。 なお,労災認定のための資料中には,石綿にばく露した期間として,昭和30年から20年間との記載があるが(甲F3の3の2),これは,同人が労働者として勤務した昭和30年から昭和50年までの期 3)。 なお,労災認定のための資料中には,石綿にばく露した期間として,昭和30年から20年間との記載があるが(甲F3の3の2),これは,同人が労働者として勤務した昭和30年から昭和50年までの期間に関して記載したものと解されるのであって,証拠(甲F3の2)によれば,同人はその後も一人親方として左官工の業務に従事したことが認められるから,昭和50年以降も同人が左官工の業務に従事したとの上記認定を左右するものではない。 b 上記のとおり,本件元建築作業従事者x3は,左官工として建築工事に従事していたのであるから,混和材が主要ばく露建材であり,前記を前提として,従事した作業の種類及び従事期間を考慮すれば,第一審被告(ラ)ノザワの製造・販売したテーリングが同本件元建築作業従事者の従事する建築現場に到達したものと認められる。 そうすると,第一審被告(ラ)ノザワは,同本件元建築作業従事者に対する共同不法行為責任を負う。その責任期間は,昭和50年1月1日から同第一審被告企業の混和材の製造・販売終了時である平成15年9月までである。 本件元建築作業従事者x17(第一審原告(17)X17関係)a 本件元建築作業従事者x17は,昭和39年4月以後,左官工としての作業に従事し,昭和52年頃以後は,これに加え,ブロック工やタイル工が担当する作業を行う中でボード類の切断作業等も行ったが,平成23年3月,これらをやめた(甲F17)。 b 上記のとおり,本件元建築作業従事者x17は,左官工として建築工事に従事していたのであるから,混和材が主要ばく露建材であり,前記を前提として,従事した作業の種類及び従事期間を考慮すれば,第一審被告(ラ)ノザワの製造・- 98 -販売したテーリングが同本件元建築作業従事者の従事する建築現場に到達したものと認め り,前記を前提として,従事した作業の種類及び従事期間を考慮すれば,第一審被告(ラ)ノザワの製造・- 98 -販売したテーリングが同本件元建築作業従事者の従事する建築現場に到達したものと認められる。 そうすると,第一審被告(ラ)ノザワは,同本件元建築作業従事者に対する共同不法行為責任を負う。その責任期間は,昭和50年1月1日から同第一審被告企業の混和材の製造・販売終了時である平成15年9月までである。 第一審原告(26)X26a 第一審原告(26)X26は,昭和52年6月から平成21年10月までの間,左官工としての作業に従事した(甲F26,第一審原告(26)X26本人)。 b 上記のとおり,第一審原告(26)X26は,左官工として建築工事に従事していたのであるから,混和材が主要ばく露建材であり,前記を前提として,従事した作業の種類及び従事期間を考慮すれば,第一審被告(ラ)ノザワの製造・販売したテーリングが同第一審原告の従事する建築現場に到達したものと認められる。 そうすると,第一審被告(ラ)ノザワは,同第一審原告に対する共同不法行為責任を負う。その責任期間は,同第一審原告が左官工に従事した昭和52年6月から同第一審被告企業の混和材の製造・販売終了時である平成15年9月までである。 イタイル工:第一審原告(9)X9,同(22)X22,同(23)X23,同(32)X32及び同(35)X35作業内容と主要ばく露建材タイル工は,下地調整に要するモルタルを作成する際,モルタルの伸びをよくするとともに,壁に張り付けるタイルを滑りにくくするため,混和材を混ぜ合わせる。 このような練り上げ作業は,主に屋外において,手作業やミキサー,ハンドミキサーを利用して行われるため,混和材を投入する際や練り上げの際に混和材等が舞い上が 滑りにくくするため,混和材を混ぜ合わせる。 このような練り上げ作業は,主に屋外において,手作業やミキサー,ハンドミキサーを利用して行われるため,混和材を投入する際や練り上げの際に混和材等が舞い上がり,タイル工はこれを吸い込むことになる(甲F9,22,23,32,35,第一審原告(23)X23本人)。 したがって,タイル工の主要ばく露建材は混和剤である。 混和剤のシェア- 99 -前記ア認定のとおり,混和材の市場において,第一審被告(ラ)ノザワの製造・販売するテーリングが,その製造・販売期間中,概ね20%以上のシェアを有していた。 第一審原告(9)X9a 第一審原告(9)X9は,昭和33年から平成22年3月までの間,タイル工としての作業に従事した(甲F9)。 b 上記のとおり,第一審原告(9)X9は,タイル工として建築工事に従事していたのであるから,混和材が主要ばく露建材であり,前記を前提として,従事した作業の種類及び従事期間を考慮すれば,第一審被告(ラ)ノザワの製造・販売したテーリングが同第一審原告の従事する建築現場に到達したものと認められる。 そうすると,第一審被告(ラ)ノザワは,同第一審原告に対する共同不法行為責任を負う。その責任期間は,昭和50年1月1日から同第一審被告企業の混和材の製造・販売終了時である平成15年9月までである。 本件元建築作業従事者x22(第一審原告(22)X22ら関係)a 本件元建築作業従事者x22は,昭和28年4月から平成22年9月までの間,タイル工としての作業に従事した。また,れんが工事にも従事したことがあり,その際は,外壁に吹き付けられた石綿を除去する作業をした(甲F22)。 b 上記のとおり,本件元建築作業従事者x22は,タイル工として建築工事に従事していたのであ れんが工事にも従事したことがあり,その際は,外壁に吹き付けられた石綿を除去する作業をした(甲F22)。 b 上記のとおり,本件元建築作業従事者x22は,タイル工として建築工事に従事していたのであるから,混和材が主要ばく露建材であり,前記を前提として,従事した作業の種類及び従事期間を考慮すれば,第一審被告(ラ)ノザワの製造・販売したテーリングが同本件元建築作業従事者の従事する建築現場に到達したものと認められる。 そうすると,第一審被告(ラ)ノザワは,同本件元建築作業従事者に対する共同不法行為責任を負う。その責任期間は,昭和50年1月1日から同第一審被告企業の混和材の製造・販売終了時である平成15年9月までである。 第一審原告(23)X23- 100 -a 第一審原告(23)X23は,昭和38年10月から平成21年9月までの間,タイル工としての作業に従事した(甲F23,第一審原告(23)X23本人)。 b 上記のとおり,第一審原告(23)X23は,タイル工として建築工事に従事していたのであるから,混和材が主要ばく露建材であり,前記を前提として,従事した作業の種類及び従事期間を考慮すれば,第一審被告(ラ)ノザワの製造・販売したテーリングが同第一審原告の従事する建築現場に到達したものと認められる。 そうすると,第一審被告(ラ)ノザワは,同第一審原告に対する共同不法行為責任を負う。その責任期間は,昭和50年1月1日から同第一審被告企業の混和材の製造・販売終了時である平成15年9月までである。 第一審原告(32)X32a 第一審原告(32)X32は,昭和43年9月から平成21年12月までの間,タイル工としての作業に従事した。また,昭和53年11月頃までの間は,タイル工事のほか,風呂釜取付工事,煙突設置工事,れんが工 第一審原告(32)X32は,昭和43年9月から平成21年12月までの間,タイル工としての作業に従事した。また,昭和53年11月頃までの間は,タイル工事のほか,風呂釜取付工事,煙突設置工事,れんが工事を行い,風呂釜取付工事や煙突設置工事においては,石綿スレートの切断作業や,接続部への石綿含有建材の巻付け作業も行った(甲F32)。 b 上記のとおり,第一審原告(32)X32は,タイル工として建築工事に従事していたのであるから,混和材が主要ばく露建材であり,前記を前提として,従事した作業の種類及び従事期間を考慮すれば,第一審被告(ラ)ノザワの製造・販売したテーリングが同第一審原告の従事する建築現場に到達したものと認められる。 そうすると,第一審被告(ラ)ノザワは,同第一審原告に対する共同不法行為責任を負う。その責任期間は,昭和50年1月1日から同第一審被告企業の混和材の製造・販売終了時である平成15年9月までである。 第一審原告(35)X35a 第一審原告(35)X35は,昭和30年4月から平成22年4月までの間,- 101 -タイル工としての作業に従事した(甲F35,第一審原告(35)X35本人)。 b 上記のとおり,第一審原告(35)X35は,タイル工として建築工事に従事していたのであるから,混和材が主要ばく露建材であり,前記を前提として,従事した作業の種類及び従事期間を考慮すれば,第一審被告(ラ)ノザワの製造・販売したテーリングが同第一審原告の従事する建築現場に到達したものと認められる。 そうすると,第一審被告(ラ)ノザワは,同第一審原告に対する共同不法行為責任を負う。その責任期間は,昭和50年1月1日から同第一審被告企業の混和材の製造・販売終了時である平成15年9月までである。 ウ保温工:第一審原告(2 ザワは,同第一審原告に対する共同不法行為責任を負う。その責任期間は,昭和50年1月1日から同第一審被告企業の混和材の製造・販売終了時である平成15年9月までである。 ウ保温工:第一審原告(29)X29及び同(40)X40 作業内容と主要ばく露建材保温工は,工場,発電所,造船所,共同住宅,店舗等において,配管,タンク,ボイラー,タービン等の保温断熱作業を行う。 設置作業において,曲線部分や障害物がある場合等には,保温材を設置するに当たり,その曲がり方や障害物の形・大きさ等に合わせて保温材を切断し,また,定期点検作業や改修・解体作業においては,古くなった保温材を剥がすなどし,これらの作業の際に発生した粉じんを吸うなどすることとなる(甲F29,40,第一審原告(29)X29本人,同(40)X40本人)。 したがって,保温工の主要ばく露建材は保温材である。 保温材のうちの主要ばく露建材の特定及びシェアa 保温材の種類証拠(甲C29の43~63)及び弁論の全趣旨によれば,保温材については,以下の5種類の建材があることが認められる(なお,⑥から⑩までの数字は,国交省データベースに分類された建材の種類の番号であり,原判決別冊1-1の「No.」欄の番号に対応している。以下,同様とする。)。 ⑥石綿含有けいそう土保温材- 102 -⑦石綿含有けい酸カルシウム保温材⑧石綿含有バーミキュライト保温材⑨石綿含有パーライト保温材⑩石綿保温材b 主要ばく露建材の更なる特定及びシェアこのうち,⑥及び⑧はいずれも粉末状の保温材であるのに対し,⑦,⑨及び⑩はいずれもボード又は巻物の保温材であって,形状が異なる(甲C29の43~63)。 そして,⑥は,第一審被告(マ)ニチアスが第一審被告企業らの責任期間前である昭和 保温材であるのに対し,⑦,⑨及び⑩はいずれもボード又は巻物の保温材であって,形状が異なる(甲C29の43~63)。 そして,⑥は,第一審被告(マ)ニチアスが第一審被告企業らの責任期間前である昭和49年に製造・販売を終了していることから(甲C29の43),検討の対象とする必要はない。 ⑧も,第一審被告(マ)ニチアスが昭和62年まで製造・販売したが(甲C29の59),これが保温材において相当程度のシェアを有していたことを認めるに足りる証拠はないから,検討の対象としない。 他方,⑦,⑨及び⑩は,いずれもボード又は巻物の保温材であって,相互に代替可能な建材であるところ,⑨はそのメーカーである三井金属鉱業株式会社が昭和49年に製造・販売を終了していることから(甲C29の60),検討の対象とする必要はない。また,後記c及びdのとおり,⑦については少なくとも5社の建材メーカーが製造・販売市場に参入し,製品数が最も多く,年間の合計出荷量が昭和50年から昭和52年まで1万5000トン以上で推移していること,⑩についても,その年間の合計出荷量は⑦と比較してやや少ない程度であったことからすれば,⑦及び⑩を主要ばく露建材と認めるべきである。 そこで,第一審被告企業らの責任期間である昭和50年1月1日以降の⑦及び⑩を合わせたシェアを検討することとする。 c ⑦石綿含有けい酸カルシウム保温材について⑦の主な建材メーカー及び製造・販売期間は,以下のとおりである(甲C29の44~58)。 - 103 -第一審被告(マ)ニチアス:昭和15年から昭和55年まで第一審被告(キ)A&AM:昭和27年から昭和53年まで第一審被告(メ)日本インシュレーション:昭和35年から昭和54年まで第一審被告(シ)神島化学工業:昭和35年から昭和54年まで日信化学 第一審被告(キ)A&AM:昭和27年から昭和53年まで第一審被告(メ)日本インシュレーション:昭和35年から昭和54年まで第一審被告(シ)神島化学工業:昭和35年から昭和54年まで日信化学工業株式会社:昭和46年から昭和58年まで⒝ 証拠(甲A489,甲C1028)及び弁論の全趣旨によれば,昭和50年から昭和53年までの⑦に係る上記の各第一審被告企業の出荷量及びシェアは,別紙4のとおりである。 これによれば,⑦については,第一審被告(マ)ニチアスが概ね30%以上,同(キ)A&AMが概ね20%以上,同(メ)日本インシュレーション及び同(シ)神島化学工業が概ね20%にやや足りない程度のシェアを有しており,このようなシェアについては,上記期間以外の時期にこれと大きく異なっていたことをうかがわせる証拠もないことに鑑みれば,上記第一審被告企業らの各製造・販売終了時まで,概ね同程度のまま継続したものと推認される。 d ⑩石綿保温材について⑩の建造メーカー及び製造・販売期間は,以下のとおりである(甲C29の61~63)。 第一審被告(マ)ニチアス:昭和35年から昭和54年まで第一審被告(キ)A&AM:昭和47年から昭和53年まで⒝ 証拠(乙シ201の1)及び弁論の全趣旨によれば,昭和50年から昭和52年までの⑩の年間の合計出荷量は,以下のとおりである。 昭和50年:1万5754トン昭和51年:1万6682トン昭和52年:1万7379トン昭和53年:1万5514トン⑩の各年間合計出荷量は,前記c⒝でみた⑦の各年間合計出荷量(昭和50年が- 104 -1万5800トン,昭和51年が1万7480トン,昭和52年が1万9000トン,昭和53年が2万0150トン。別紙4)と比較してやや少ない程度であったこと,石綿含 量(昭和50年が- 104 -1万5800トン,昭和51年が1万7480トン,昭和52年が1万9000トン,昭和53年が2万0150トン。別紙4)と比較してやや少ない程度であったこと,石綿含有率は,⑩は80%から100%までであって,⑦が1%から30%までであるのと比較して相当高いこと(甲C29の44~58・61~63)からすれば,⑩もまた⑦とともに保温工の主要ばく露建材であるということができる。 そして,⑩の建材メーカーである第一審被告(マ)ニチアスと同(キ)A&AMの2社の出荷量に有意な差があることは特にうかがわれないから,上記2社はいずれも⑩について概ね20%以上のシェアを有していたと認められる。 他方,同(メ)日本インシュレーション及び同(シ)神島化学工業は,⑩を製造・販売していたことを認めるに足りる証拠がないから,⑦及び⑩の両者を合わせた市場におけるシェアがいずれも20%程度又はそれ以上であったとは認められない。 e そうすると,保温材のうち⑦及び⑩が主要ばく露建材であり,⑦及び⑩の両者を合わせた市場において,第一審被告(マ)ニチアスと同(キ)A&AMが,その製造・販売期間中,いずれも概ね20%以上のシェアを有していたことが認められる。 第一審原告(29)X29a 第一審原告(29)X29は,昭和34年4月から平成23年までの間,保温工としての作業に従事し,昭和49年から昭和60年までの間は,これに加え,とび職を掛け持ちした(甲F29,第一審原告(29)X29本人)。 b 上記のとおり,第一審原告(29)X29は,保温工として建築工事に従事していたのであるから,保温材が主要ばく露建材であり,前記を前提として,従事した作業の種類及び従事期間を考慮すれば,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMが製造・ 保温工として建築工事に従事していたのであるから,保温材が主要ばく露建材であり,前記を前提として,従事した作業の種類及び従事期間を考慮すれば,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMが製造・販売した⑦石綿含有けい酸カルシウム保温材及び⑩石綿保温材が同第一審原告の従事する建築現場に到達したと認められる。 そうすると,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMは,同第一審原告に対する共同不法行為責任を負う。その責任期間は,第一審被告(マ)ニチアスにつ- 105 -いては昭和50年1月1日から⑦の製造・販売終了時である昭和55年までであり,同(キ)A&AMについては昭和50年1月1日から⑦及び⑩の製造・販売終了時である昭和53年までである。 第一審原告(40)X40a 第一審原告(40)X40は,昭和35年から平成20年6月までの間,保温工としての作業に従事した(甲F40,第一審原告(40)X40本人)。 b 上記のとおり,第一審原告(40)X40は,保温工として建築工事に従事していたのであるから,保温材が主要ばく露建材であり,前記を前提として,従事した作業の種類及び従事期間を考慮すれば,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMが製造・販売した⑦石綿含有けい酸カルシウム保温材及び⑩石綿保温材が同第一審原告の従事する建築現場に到達したと認められる。 そうすると,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMは,同第一審原告に対する共同不法行為責任を負う。その責任期間は,第一審被告(マ)ニチアスについては昭和50年1月1日から⑦の製造・販売終了時である昭和55年までであり,同(キ)A&AMについては昭和50年1月1日から⑦及び⑩の製造・販売終了時である昭和53年までである。 エ塗装工:第一審原告(42)X42 の製造・販売終了時である昭和55年までであり,同(キ)A&AMについては昭和50年1月1日から⑦及び⑩の製造・販売終了時である昭和53年までである。 エ塗装工:第一審原告(42)X42 作業内容と主要ばく露建材塗装工は,モルタル仕上げの壁を塗装するための下地調整の際,モルタル表面を電動サンダー等で研磨することによって,削り取られたモルタル中の混和材が飛散し,これを吸い込むことになる。また,鉄骨造建物の鉄骨や壁を塗装するための下地調整の際,塗装する箇所に飛散,付着している吹付け材をこそぎ落とすことによって,吹付け材に含有されている石綿粉じんを吸い込むことになる(甲A117,1020,甲E37,甲F42)。 したがって,塗装工の主要ばく露建材は混和材及び吹付け材である。 混和材のシェア- 106 -前記ア認定のとおり,混和材の市場において,第一審被告(ラ)ノザワの製造・販売するテーリングが,その製造・販売期間中,概ね20%以上のシェアを有していた。 吹付け材のうちの主要ばく露建材の特定及びシェアa 吹付け材の種類証拠(甲C29の1~42)及び弁論の全趣旨によれば,吹付け材については,以下の5種類の建材があることが認められる。 ①吹付け石綿②石綿含有吹付けロックウール③湿式石綿含有吹付け材④石綿含有吹付けバーミキュライト⑤石綿含有吹付けパーライトb 主要ばく露建材の更なる特定第一審原告らは,上記吹付け材のうち,①から③までを塗装工の主要ばく露建材である旨主張することから,これらが塗装工の主要ばく露建材となるか否か,その場合のシェアについて検討する。 c ①吹付け石綿について第一審原告らは,①のシェアについて,証拠(甲C39の2,甲C51,52)によって,原 これらが塗装工の主要ばく露建材となるか否か,その場合のシェアについて検討する。 c ①吹付け石綿について第一審原告らは,①のシェアについて,証拠(甲C39の2,甲C51,52)によって,原判決別紙10-1のとおり認定できる旨主張する。 しかし,甲C39の2には,昭和44年10月当時の各企業の月間生産・施工状況について記載されているものの,幅のある数値となっており,これを年間の数値に換算すると更に幅が広がるから,これを用いて的確にシェアを認定することはできない。甲C51は,昭和46年当時の各企業の月間生産能力を示したものであって,現実の出荷量を示したものではない上,①の全体の生産能力も記載されておらず,第一審原告ら主張に係る合計生産能力「242,000」(㎡/月間)を認めるに足りる証拠はないから,当時のシェアを認定する資料とはなり得ない。甲C52- 107 -には,昭和48年当時の各企業の実績値が記載されているものの,①の全体の実績値が記載されておらず,第一審原告ら主張に係る合計施工量「7,000」(トン/月間)を認めるに足りる証拠はないから,各企業のシェアも不明といわざるを得ない。さらに,第一審原告らの主張によっても,昭和44年から昭和46年にかけて各企業の生産・施工状況や生産能力の変動が相当大きい上,後記⒝のとおり,第一審被告企業らが昭和46年から昭和50年にかけて吹付け石綿の製造・販売を終了していることを考慮すれば,昭和44年から昭和48年に係る上記各証拠によっては,昭和50年1月1日以降の第一審被告企業らの責任期間における①のシェアを合理的に推認することはできない。 ⒝ 第一審被告企業らの①の製造・販売終了時期等第一審被告企業らが,①の製造・販売を終了した時期は,以下のとおりである(甲C29の1~6)。 第一審 シェアを合理的に推認することはできない。 ⒝ 第一審被告企業らの①の製造・販売終了時期等第一審被告企業らが,①の製造・販売を終了した時期は,以下のとおりである(甲C29の1~6)。 第一審被告(キ)A&AM,同(ユ)バルカー:昭和46年第一審被告(マ)ニチアス:昭和49年第一審被告(ホ)ナイガイ,同(ラ)ノザワ:昭和50年また,昭50改正特化則によって,昭和50年10月1日以降,石綿含有量が重量の5%を超える石綿含有製剤の吹付けが禁止されたところ,①はいずれも重量5%を超える石綿を含有する製品であることから,同日以降は全て使用が禁止されることとなった。併せて,当時,①はクロシドライトによる公害問題からその需要を②及び③へと代替させていたこと(甲C45の3),上記のとおり,昭和46年には第一審被告(キ)A&AM及び同(ユ)バルカーが,昭和49年には同(マ)ニチアスがそれぞれ①の製造・販売を終了していることからすれば,第一審被告企業らの責任期間である昭和50年1月1日以降は,①の流通量は,②及び③と比較して相当程度に減少していたことが優に推認できる。 したがって,①は,第一審被告企業らの責任期間における塗装工の主要ばく露建材とは認められない。 - 108 -d ②石綿含有吹付けロックウール及び③湿式石綿含有吹付け材について②の主な建材メーカー及び製造・販売期間は,以下のとおりである(甲C29の9~29)第一審被告(マ)ニチアス:昭和45年から昭和49年まで第一審被告(キ)A&AM:昭和46年から昭和50年まで第一審被告(ニ)太平洋セメント:昭和46年から昭和53年まで第一審被告(チ)日鉄ケミカル:昭和43年から昭和53年まで第一審被告(ム)日東紡績:昭和36年から昭和62年まで第一審被告(ユ)バル 審被告(ニ)太平洋セメント:昭和46年から昭和53年まで第一審被告(チ)日鉄ケミカル:昭和43年から昭和53年まで第一審被告(ム)日東紡績:昭和36年から昭和62年まで第一審被告(ユ)バルカー:昭和46年から昭和50年まで第一審被告(ラ)ノザワ:昭和45年から昭和55年まで⒝ ③の主な建材メーカー及び製造・販売期間は,以下のとおりである(甲C29の30~36)第一審被告(マ)ニチアス:昭和39年から昭和62年まで第一審被告(キ)A&AM:昭和47年から昭和62年まで第一審被告(ニ)太平洋セメント:昭和48年から平成元年まで第一審被告(ム)日東紡績:昭和49年から昭和62年まで第一審被告(ユ)バルカー:昭和48年から昭和62年まで⒞ 石綿を含有するロックウール吹付け材には,乾式のものと湿式のものとが存在し,国交省のデータベースにおいては,乾式のものを②として,湿式のものを③として分類している(甲C29の9~36,乙ニ13,乙マ1002,乙ム11,乙ユ1,4)。そうすると,②及び③は相互に代替可能な建材であるから,第一審被告企業らの責任期間である昭和50年1月1日以降の②及び③を合わせたシェアを検討する必要がある。 ⒟ 第一審原告らは,②のシェアについて,証拠(甲C34の2,甲C45の3,甲C50の2,甲C53,58)によって,原判決別紙10-2のとおり認定できるが,③についてはシェアを認定できる証拠が見当たらない旨主張する。 - 109 -しかし,上記のとおり,②及び③を合わせたシェアを認定すべきであるから,上記主張は失当である。 そして,第一審原告ら提出に係る上記証拠について検討するに,甲C58は,昭和46年当時の②の建材メーカーの各商品に係る月間施工推定量が記載されているが,③の月間施工推定量の記 記主張は失当である。 そして,第一審原告ら提出に係る上記証拠について検討するに,甲C58は,昭和46年当時の②の建材メーカーの各商品に係る月間施工推定量が記載されているが,③の月間施工推定量の記載がないから,②及び③を合わせたシェアを認定する資料とはなり得ない。甲C53は,昭和52年当時の耐火被覆用に使用された石綿を含有するロックウール吹付け材の各建材メーカーの施工実績及びシェアを乾式と湿式とに分類して記載しているものの,昭和52年当時の吸音・断熱用に使用された石綿を含有するロックウール吹付け材の各建材メーカーの施工実績及びシェアの記載がないから,他の年度と比較すべく②及び③を合わせたシェアの認定資料として使用する前提を欠く。 これに対して,甲C50の2(昭和49年当時),甲C45の3(昭和51年当時)及び甲C34の2(昭和53年当時)は,耐火被覆用及び吸音・断熱用,乾式及び湿式を含め,②及び③を併せて「ロックウール吹付け材」として各企業の施工量推定値及び比率を記載していることから,上記各証拠によって,昭和49年,昭和51年及び昭和53年当時の各第一審被告企業の施工量及びシェアを認定することができ,その結果は,別紙5のとおりである。 これによれば,②及び③の両者を合わせた市場において,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMが概ね20%以上のシェアを有しており,このようなシェアについては,上記各時期以外の時期にこれと大きく異なっていたことをうかがわせる証拠もないことに鑑みれば,上記第一審被告企業らの各製造・販売終了時まで概ね同程度のまま継続したものと推認される。なお,昭和49年には第一審被告(マ)ニチアスが,昭和50年には同(キ)A&AMが,いずれも②の製造・販売を終了し,当時,各建材メーカーはノンアスベスト製品への代替化を進 ま継続したものと推認される。なお,昭和49年には第一審被告(マ)ニチアスが,昭和50年には同(キ)A&AMが,いずれも②の製造・販売を終了し,当時,各建材メーカーはノンアスベスト製品への代替化を進めていたことから(乙ニ49,弁論の全趣旨),昭和49年,51年及び53年当時の上記第一審被告企業らの施工量中にはノンアスベスト製品が相当程度の割合を占めているこ- 110 -とが推認されるものの,両社はその後も③を継続して製造・販売している以上,上記のシェアの認定を左右するものではない。 これに対して,第一審被告(ニ)太平洋セメント,同(チ)日鉄ケミカル,同(ム)日東紡績,同(ユ)バルカー及び同(ラ)ノザワについては,概ね20%程度又はそれ以上のシェアを有していたとは認められない。 e そうすると,吹付け材のうち②及び③が主要ばく露建材であり,②及び③の両者を合わせた市場において,第一審被告(マ)ニチアスと同(キ)A&AMが,その製造・販売期間中,いずれも概ね20%以上のシェアを有していたことが認められる。 本件元建築作業従事者x42(第一審原告(42)X42ら関係)a 本件元建築作業従事者x42は,昭和31年4月から平成24年までの間,木造,鉄骨造及び鉄筋コンクリート造建物の建築現場において,塗装工としての作業に従事した(甲F42)。 b 上記のとおり,本件元建築作業従事者x42は,塗装工として建築工事に従事していたのであるから,混和材及び吹付け材が主要ばく露建材であり,前記及びを前提として,従事した作業の種類及び従事期間を考慮すれば,第一審被告(ラ)ノザワが製造・販売した混和材,同(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMが製造・販売した②石綿含有吹付けロックウール及び③湿式石綿含有吹付け材が同本件元建築作業従事者の従 を考慮すれば,第一審被告(ラ)ノザワが製造・販売した混和材,同(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMが製造・販売した②石綿含有吹付けロックウール及び③湿式石綿含有吹付け材が同本件元建築作業従事者の従事する建築現場に到達したと認められる。 そうすると,第一審被告(ラ)ノザワ,同(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMは,同本件元建築作業従事者に対する共同不法行為責任を負う。その責任期間は,第一審被告(ラ)ノザワについては昭和50年1月1日から同第一審被告企業の混和材の製造・販売終了時である平成15年9月まで,同(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMについてはいずれも昭和50年1月1日から③の製造・販売終了時である昭和62年までである。 オ電工:第一審原告(1)X1,同(2)X2及び同(33)X33- 111 - 作業内容と主要ばく露建材電工は,一般に電気設備工事を行うが,鉄骨造建物及び鉄筋コンクリート造建物では,電気配管・配線作業において,鉄骨や天井への吊ボルトの取付及び電気ケーブル固定の際に,既に吹き付けられていた吹付け材を削ぎ落とすことにより,吹付け材に含有されている石綿粉じんを吸い込むことになる(甲F2,33,甲C1046,当審証人Q)。 したがって,電工の主要ばく露建材は吹付け材(②及び③)である。 吹付け材(②及び③)のシェア前記エのとおり,吹付け材(②及び③)の市場において,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMが,その製造・販売期間中,概ね20%以上のシェアを有していた。 本件元建築作業従事者x2(第一審原告(2)X2ら関係)a 本件元建築作業従事者x2は,昭和41年9月から平成23年2月までの間,主に鉄骨造建物及び鉄筋コンクリート造建物(主に店舗・事務所)の建築現場において,電 者x2(第一審原告(2)X2ら関係)a 本件元建築作業従事者x2は,昭和41年9月から平成23年2月までの間,主に鉄骨造建物及び鉄筋コンクリート造建物(主に店舗・事務所)の建築現場において,電工としての作業に従事した(甲F2)。 b 上記のとおり,本件元建築作業従事者x2は,電工として建築工事に従事していたのであるから,吹付け材(②及び③)が主要ばく露建材であり,前記を前提として,従事した作業の種類及び従事期間を考慮すれば,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMが製造・販売した②石綿含有吹付けロックウール及び③湿式石綿含有吹付け材が同本件元建築作業従事者の従事する建築現場に到達したと認められる。 そうすると,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMは,同本件元建築作業従事者に対する共同不法行為責任を負う。その責任期間は,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMについて,いずれも昭和50年1月1日から③の製造・販売終了時である昭和62年までである。 本件元建築作業従事者x33(第一審原告(33)X33関係)- 112 -a 本件元建築作業従事者x33は,平成10年4月から平成22年12月までの間,主に鉄骨造建物及び鉄筋コンクリート造建物(主に共同住宅,工場,倉庫)の建築現場において,電工としての作業に従事した(甲F33)b 上記のとおり,本件元建築作業従事者x33は,電工として建築工事に従事していたのであるから,吹付け材(②及び③)が主要ばく露建材であり,前記を前提として,従事した作業の種類及び従事期間を考慮すれば,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMが製造・販売した②石綿含有吹付けロックウール及び③湿式石綿含有吹付け材が同本件元建築作業従事者の従事する建築現場に到達したと認められ 期間を考慮すれば,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMが製造・販売した②石綿含有吹付けロックウール及び③湿式石綿含有吹付け材が同本件元建築作業従事者の従事する建築現場に到達したと認められる。 しかし,同第一審被告企業らの責任期間は,いずれも③の製造・販売終了時である昭和62年までであるから,同本件元建築作業従事者が電工として作業に従事した平成10年以降は,同第一審被告企業らは共同不法行為責任を負わない。 本件元建築作業従事者x1(第一審原告(1)X1関係)a 本件元建築作業従事者x1は,昭和35年10月から平成15年5月までの間,鉄骨造建物及び鉄筋コンクリート造建物(主に工場)の建築現場において,電工としての作業に従事した。そして,同本件元建築作業従事者は,工場の建築現場において,鉄骨柱及び鉄骨梁の吹付け材に接触する作業に従事するのではなく,屋内配線工事の際に,耐火被覆材が使用された天井や壁への穴開け作業,ダクトに巻かれた保温材の穴開け作業を行ったことにより,耐火被覆材及び保温材に含有される石綿粉じんを吸い込んだ(甲F1,弁論の全趣旨)。 したがって,同本件元建築作業従事者の主要ばく露建材は,吹付け材ではなく,耐火被覆材及び保温材である。 b 耐火被覆材について耐火被覆材には,⑪石綿含有けい酸カルシウム板第2種及び⑫石綿含有耐火被覆板があるところ,いずれも仕上げ材又は下地材として使用され,相互に代替可能な建材といえることから(甲C29の64~102),第一審被告企業らの責任期間で- 113 -ある昭和50年1月1日以降の⑪及び⑫を合わせたシェアを検討すべきところ,これを認定するに足りる証拠はない。 したがって,耐火被覆材については,本件元建築作業従事者x1の建築現場に到達した第一審被告企業の 0年1月1日以降の⑪及び⑫を合わせたシェアを検討すべきところ,これを認定するに足りる証拠はない。 したがって,耐火被覆材については,本件元建築作業従事者x1の建築現場に到達した第一審被告企業の製造・販売する建材を認定することはできず,共同不法行為者を特定できない。 c 保温材について前記ウのとおり,保温材(⑦及び⑩)の市場において,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMが,その製造・販売期間中,概ね20%以上のシェアを有していた。 このことを前提として,従事した作業の種類及び従事期間を考慮すれば,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMが製造・販売した⑦石綿含有けい酸カルシウム保温材及び⑩石綿保温材が本件元建築作業従事者x1の従事する建築現場に到達したと認められる。 そうすると,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMは,同本件元建築作業従事者に対する共同不法行為責任を負う。その責任期間は,第一審被告(マ)ニチアスについては昭和50年1月1日から⑦の製造・販売終了時である昭和55年までであり,同(キ)A&AMについては昭和50年1月1日から⑦及び⑩の製造・販売終了時である昭和53年までである。 カ配管工:第一審原告(4)X4,同(13)X13,同(19)X19及び同(30)X30 作業内容と主要ばく露建材配管工は,給排水設備工事,給湯設備工事,衛生器具設備工事及びこれらの設備を設置するための配管工事に従事するところ,配管の設置作業において,支持金具の取付け等のために吹付け材を削り落とす作業,配管の結露防止等のために保温材を切断加工して配管に巻き付ける作業,電動工具を用いて石綿セメント円筒を切断加工する作業をそれぞれ行うことによって,吹付け材,保温材又は石綿セメント円- 114 -筒 の結露防止等のために保温材を切断加工して配管に巻き付ける作業,電動工具を用いて石綿セメント円筒を切断加工する作業をそれぞれ行うことによって,吹付け材,保温材又は石綿セメント円- 114 -筒に含有されている石綿粉じんを吸い込むことになる(甲A35,甲E35,甲F4,13,19,30,当審証人R,第一審原告(4)X4本人)。 したがって,配管工の主要ばく露建材は吹付け材,保温材,石綿セメント円筒である。 吹付け材(②及び③)のシェア前記エのとおり,吹付け材(②及び③)の市場において,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMが,その製造・販売期間中,概ね20%以上のシェアを有していた。 保温材(⑦及び⑩)のシェア前記ウのとおり,保温材(⑦及び⑩)の市場において,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMが,その製造・販売期間中,概ね20%以上のシェアを有していた。 ㊶石綿セメント円筒のシェアa ㊶の主な建材メーカー及び製造・販売期間は,以下のとおりである(甲C29の2078~2151,甲C1029,1030)。 第一審被告(キ)A&AM:昭和35年から平成12年までトーアトミジ:昭和57年から(終期は不明)昭和電工(ただし,第一審被告(タ)昭和電工建材とは異なる。):不明b 証拠(甲C1029,1030)及び弁論の全趣旨によれば,昭和56年から昭和61年までの㊶に係る上記aの第一審被告企業を含む各建材メーカーの販売実績及びシェアは,別紙6のとおりである。 これによれば,第一審被告(キ)A&AMは,昭和58年から昭和61年までの間,シェアを9.8%から21%まで毎年顕著に増加させており,昭和61年以降にシェアが縮小したことをうかがわせる証拠もないことからすれば,同第一 審被告(キ)A&AMは,昭和58年から昭和61年までの間,シェアを9.8%から21%まで毎年顕著に増加させており,昭和61年以降にシェアが縮小したことをうかがわせる証拠もないことからすれば,同第一審被告企業は,同年以降,㊶の製造・販売終了時である平成12年までの間,概ね20%以上のシェアを有していたことが推認できる。 - 115 - 第一審原告(4)X4a 第一審原告(4)X4は,昭和47年4月から平成25年6月までの間,専ら鉄骨造建物及び鉄筋コンクリート造建物の建築現場において,配管工としての作業に従事した(甲F4,第一審原告(4)X4本人)。 b 上記のとおり,第一審原告(4)X4は,配管工として建築工事に従事していたのであるから,吹付け材,保温材及び石綿セメント円筒が主要ばく露建材であり,前記からまでを前提として,従事した作業の種類及び従事期間を考慮すれば,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMが製造・販売した②石綿含有吹付けロックウール及び③湿式石綿含有吹付け材並びに⑦石綿含有けい酸カルシウム保温材及び⑩石綿保温材と同(キ)A&AMが製造・販売した㊶石綿セメント円筒が同第一審原告の従事する建築現場に到達したと認められる。 そうすると,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMは,同第一審原告に対する共同不法行為責任を負う。その責任期間は,第一審被告(マ)ニチアスについては昭和50年1月1日から③の製造・販売終了時である昭和62年まで,同(キ)A&AMについては昭和50年1月1日から㊶の製造・販売終了時である平成12年までである。 本件元建築作業従事者x13(第一審原告(13)X13ら関係)a 本件元建築作業従事者x13は,昭和40年から平成24年4月までの間(ただし,石綿粉じんばく露 る平成12年までである。 本件元建築作業従事者x13(第一審原告(13)X13ら関係)a 本件元建築作業従事者x13は,昭和40年から平成24年4月までの間(ただし,石綿粉じんばく露は平成22年秋頃まで),主に鉄骨造建物及び鉄筋コンクリート造建物(ビル・マンション等)の建築現場において,配管工としての作業に従事した(甲F13)。 b 上記のとおり,本件元建築作業従事者x13は,配管工として建築工事に従事していたのであるから,吹付け材,保温材及び石綿セメント円筒が主要ばく露建材であり,前記からまでを前提として,従事した作業の種類及び従事期間を考慮すれば,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMが製造・販売した②石綿含有吹付けロックウール及び③湿式石綿含有吹付け材並びに⑦石綿含有けい酸カル- 116 -シウム保温材及び⑩石綿保温材と同(キ)A&AMが製造・販売した㊶石綿セメント円筒が同本件元建築作業従事者の従事する建築現場に到達したと認められる。 そうすると,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMは,同本件元建築作業従事者に対する共同不法行為責任を負う。その責任期間は,第一審被告(マ)ニチアスについては昭和50年1月1日から③の製造・販売終了時である昭和62年まで,同(キ)A&AMについては昭和50年1月1日から㊶の製造・販売終了時である平成12年までである。 本件元建築作業従事者x30(第一審原告(30)X30ら関係)a 本件元建築作業従事者x30は,昭和48年11月から平成22年3月までの間,主に鉄骨造建物及び鉄筋コンクリート造建物の建築現場で,配管工としての作業に従事した(甲F30,第一審原告(30)x30本人)。 b 上記のとおり,本件元建築作業従事者x30は,配管工として建築工事 に鉄骨造建物及び鉄筋コンクリート造建物の建築現場で,配管工としての作業に従事した(甲F30,第一審原告(30)x30本人)。 b 上記のとおり,本件元建築作業従事者x30は,配管工として建築工事に従事していたのであるから,吹付け材,保温材及び石綿セメント円筒が主要ばく露建材であり,前記からまでを前提として,従事した作業の種類及び従事期間を考慮すれば,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMが製造・販売した②石綿含有吹付けロックウール及び③湿式石綿含有吹付け材並びに⑦石綿含有けい酸カルシウム保温材及び⑩石綿保温材と同(キ)A&AMが製造・販売した㊶石綿セメント円筒が同本件元建築作業従事者の従事する建築現場に到達したと認められる。 そうすると,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMは,同本件元建築作業従事者に対する共同不法行為責任を負う。その責任期間は,第一審被告(マ)ニチアスについては昭和50年1月1日から③の製造・販売終了時である昭和62年まで,同(キ)A&AMについては昭和50年1月1日から㊶の製造・販売終了時である平成12年までである。 本件元建築作業従事者x19(第一審原告(19)X19関係)a 本件元建築作業従事者x19は,昭和62年5月から平成21年9月までの間,主に鉄骨造建物及び鉄筋コンクリート造建物(ビル・マンション等)の建築現- 117 -場において,配管工としての作業に従事した(甲F19)。 b 上記のとおり,本件元建築作業従事者x19は,配管工として建築工事に従事していたところ,第一審原告(19)X19は,同本件元建築作業従事者の主要ばく露建材は吹付け材及び石綿セメント円筒であり,吹付け材については第一審被告(ニ)太平洋セメントの製造・販売した③湿式石綿含有吹付け材が,㊶石綿セメ 告(19)X19は,同本件元建築作業従事者の主要ばく露建材は吹付け材及び石綿セメント円筒であり,吹付け材については第一審被告(ニ)太平洋セメントの製造・販売した③湿式石綿含有吹付け材が,㊶石綿セメント円筒については同(キ)A&AMの製造・販売した製品が,いずれも同本件元建築作業従事者の従事する建築現場に到達した旨主張する。 しかし,前記エのとおり,第一審被告(ニ)太平洋セメントは吹付け材(②及び③)の市場において概ね20%以上のシェアを有しているとは認められず,このことを前提として,従事した作業の種類及び従事期間を考慮すれば,同第一審被告企業の製造・販売する吹付け材(②及び③)が同本件元建築作業従事者の建築現場に到達したとはいえないから,同第一審被告企業は, 共同不法行為責任を負うとはいえない。 他方,前記を前提として,従事した作業の種類及び従事期間を考慮すれば,第一審被告(キ)A&AMが製造・販売した㊶石綿セメント円筒が同本件元建築作業従事者の従事する建築現場に到達したと認められる。 そうすると,第一審被告(キ)A&AMは,同本件元建築作業従事者に対する共同不法行為責任を負う。その責任期間は,同本件元建築作業従事者が配管工に従事した昭和62年5月から㊶の製造・販売終了時である平成12年までである。 キ大工:第一審原告(5)X5,同(6)X6,同(12)X12,同(14)X14,同(18)X18,同(24)X24,同(27)X27,同(28)X28,同(36)X36,同(39)X39,同(41)X41,同(43)X43,同(44)X44,同(45)X45 作業内容と主要ばく露建材大工は,木造建物においては,着工から竣工までのほぼ全工程に関与し,内装材,床材,屋根材,外装材等様々な建材を扱うが,その中でも, 44)X44,同(45)X45 作業内容と主要ばく露建材大工は,木造建物においては,着工から竣工までのほぼ全工程に関与し,内装材,床材,屋根材,外装材等様々な建材を扱うが,その中でも,電動工具で内装材のボ- 118 -ード類を切断加工する作業が多く,その際に石綿粉じんを吸い込むことになる。 また,鉄骨造建物及び鉄筋コンクリート造建物においても,内装工事の全般にわたって作業を行うことから,木造建物の場合と同様に,内装材のボード類を切断加工する際に石綿粉じんを吸い込むことになる。なお,鉄骨造建物において,吹付け材による耐火被覆が施工されている箇所で,間仕切りや壁下地を取り付ける際に,吹付け材を削り取ってからボルト打ち,釘打ち等の作業をしたり,耐火被覆板が施工されている箇所では,耐火被覆板に電動ドライバーでビス止めをしたりすることもあるが,その頻度及び作業時間は,内装材のボード類の切断加工の作業と比べて少なく,石綿粉じんばく露量も,内装材のボード類の切断加工によるばく露量と比べて格段に少ない(甲F5,6,12,14,18,24,27,28,36,39,41,43~45,弁論の全趣旨)。 したがって,大工の主要ばく露建材は内装材のボード類であり,吹付け材及び耐火被覆板は,一般的には大工の主要ばく露建材とは認められない。 主要ばく露建材の更なる特定及びシェアa 内装材のボード類のうち,⑮石綿含有スレートボード・フレキシブル板,⑯同平板,㉓石綿含有けい酸カルシウム板第1種が占める割合が大きいこと主に内装材として使用されるボード類には,⑮石綿含有スレートボード・フレキシブル板,⑯同平板,⑰同・軟質板,⑱同・軟質フレキシブル板,⑲同・その他,⑳石綿含有スラグせっこう板,㉑石綿含有パルプセメント板,㉒石綿含有押出成形セ ード類には,⑮石綿含有スレートボード・フレキシブル板,⑯同平板,⑰同・軟質板,⑱同・軟質フレキシブル板,⑲同・その他,⑳石綿含有スラグせっこう板,㉑石綿含有パルプセメント板,㉒石綿含有押出成形セメント板,㉓石綿含有けい酸カルシウム板第1種,㉖石綿含有パーライト板,㉗石綿含有その他パネル・ボードがある(甲A36の2,甲C30の2)。 これらの昭和46年から平成13年までの出荷量のうち,⑮~⑲,㉓,㉖,㉗の占める割合は,80%に及ぶ(甲C16,弁論の全趣旨)。 そして,そのうち⑲及び㉗の占める割合は,明確な数値をもって認定することはできないものの,かなり小さく,これを除外した⑮から⑱まで,㉓及び㉖の昭和27年から平成2年までの出荷量のうち,⑮,⑯及び㉓の占める割合は90%に及ぶ- 119 -(甲C2,41~43,弁論の全趣旨)。 このように,内装材のボード類の出荷量のうち,⑮,⑯及び㉓が占める割合が圧倒的に大きいことが認められる。 b ㉕石綿含有せっこうボードについてところで,内装材のボード類のうち㉕も大工が頻繁に使用する建材であることが認められる(甲F12,14,18,28,36,41,43,45,弁論の全趣旨)。 しかし,㉕は,石こうを主体とする芯材の両面を石綿が混合抄造された厚紙で挟み込んで成型したものであって,通常はカッターで切断加工するため,その際に発生する石綿粉じんは,電動工具によるスレートボード類の切断等に比較して相当少ない。また,大工が常時頻繁に直接取り扱い,切断等の加工作業をしていた石こうボードの中で㉕の占める比率は,相当程度低い(弁論の全趣旨)。 したがって,㉕石綿含有せっこうボードは大工の主要ばく露建材とはいえない。 c 主要ばく露建材の特定そうすると,大工の主要ばく露建材は,内装材のボード類のうち, ,相当程度低い(弁論の全趣旨)。 したがって,㉕石綿含有せっこうボードは大工の主要ばく露建材とはいえない。 c 主要ばく露建材の特定そうすると,大工の主要ばく露建材は,内装材のボード類のうち,⑮,⑯及び㉓である。 ところで,⑮及び⑯はいずれも内装材(一部外装材にも使用)である石綿スレートボードの一種で,住宅,工場,倉庫等の天井や壁に使用され,相互に代替可能な建材といえるから,第一審被告企業らの責任期間である昭和50年1月1日以降の⑮及び⑯を合わせたシェアを検討する必要がある。 これに対して,㉓も内装材として使用(一部外装材にも使用)されていたが,耐火性・断熱性に優れ,耐火間仕切壁等にも使用されていたこと(甲A36の2)を考慮すると,⑮及び⑯と相互に代替可能な建材であるとまではいえず,⑮及び⑯と合わせて全体としてのシェアを検討するのは適当でない。したがって,第一審被告企業らの責任期間である昭和50年1月1日以降の㉓単独のシェアを検討すべきである。 - 120 -d ⑮石綿含有スレートボード・フレキシブル板,⑯同・平板について⑮及び⑯の主な建材メーカー及び製造・販売期間は,以下のとおりである(甲C29の111~283,甲C46)第一審被告(キ)A&AM⑮:昭和32年から平成16年まで,⑯:昭和10年から平成16年まで第一審被告(ラ)ノザワ⑮:昭和28年から平成16年まで,⑯:昭和6年から昭和60年まで第一審被告(ワ)MMK⑮:昭和33年から平成13年まで,⑯:昭和33年から平成5年まで⒝ 第一審原告らは,⑮及び⑯を合わせたシェアについて,証拠(甲C34の1,甲C39の2,甲C44,45の3,甲C50の2)によって,原判決別紙10-4のとおり認定できる旨主張する。 このうち,甲C39の2及び甲C44 及び⑯を合わせたシェアについて,証拠(甲C34の1,甲C39の2,甲C44,45の3,甲C50の2)によって,原判決別紙10-4のとおり認定できる旨主張する。 このうち,甲C39の2及び甲C44は,⑮及び⑯の各建材メーカーの出荷量が記載されており,⑮と⑯とを合わせたシェアの認定資料となり得る。 これに対して,甲C50の2,甲C45の3及び甲C34の1は,それぞれ昭和49年,昭和51年及び昭和53年当時の石綿スレートボードの出荷量であり,⑮から⑲まで,㉖及び㉗を含む数値であると考えられる。しかし,前記のとおり,石綿スレートボード全体の出荷量に占める⑮及び⑯の割合は大きく,これと比較して,⑰,⑱,⑲,㉖及び㉗の割合は相当程度に小さいことから,上記各証拠によって認められる昭和49年,昭和51年及び昭和53年当時の各建材メーカーの石綿スレートボードの出荷量割合は,そのまま上記各年度の各建材メーカーの⑮及び⑯の出荷量割合とそれほど大きな差はなかったことが推認される。したがって,上記各証拠も⑮及び⑯を合わせたシェアの認定資料となり得るというべきである。 そこで,上記各証拠(甲C34の1,甲C39の2,甲C44,45の3,甲C50の2)によって,昭和43年から昭和45年まで,昭和49年,昭和51年及び昭和53年当時の各第一審被告企業の販売量,生産量又は出荷量とシェアを認定す- 121 -ることができ,その結果は,別紙7のとおりである。 これによれば,⑮及び⑯の両者を合わせた市場において,第一審被告(キ)A&AMが概ね30%以上のシェアを有しており,このようなシェアについては,上記各時期以外の時期にこれと大きく異なっていたことをうかがわせる証拠もないことに鑑みれば,同第一審被告企業の製造・販売終了時まで概ね同程度のまま継続したものと推認される のようなシェアについては,上記各時期以外の時期にこれと大きく異なっていたことをうかがわせる証拠もないことに鑑みれば,同第一審被告企業の製造・販売終了時まで概ね同程度のまま継続したものと推認される。 これに対して,第一審被告(ラ)ノザワ及び第一審被告(ワ)MMKについては,概ね20%以上のシェアを有していたとは認められない。 e ㉓石綿含有けい酸カルシウム板第1種について㉓の主な建材メーカー及び製造・販売期間は,以下のとおりである(甲C29の647~821)第一審被告(マ)ニチアス:昭和35年から平成4年まで第一審被告(キ)A&AM:昭和44年から平成16年まで第一審被告(ラ)ノザワ:昭和60年から平成13年まで第一審被告(ワ)MMK:昭和47年から平成9年まで第一審被告(ト)大建工業:昭和47年から平成9年まで⒝ 証拠(甲C34,45の3,甲C50の2,甲C53,57)及び弁論の全趣旨によれば,昭和49年及び昭和51年から昭和56年までの㉓に係る上記の各第一審被告企業の出荷量及びシェアは別紙8のとおりである。 これによれば,㉓については,第一審被告(マ)ニチアスが概ね30%以上,同(キ)A&AMが概ね20%以上のシェアを有しており,このようなシェアについては,上記各時期以外の時期にこれと大きく異なっていたことをうかがわせる証拠もないことに鑑みれば,上記第一審被告企業らの各製造・販売終了時まで概ね同程度のまま継続したものと推認される。 これに対して,第一審被告(ラ)ノザワ,同(ワ)MMK及び同(ト)大建工業については,概ね20%以上のシェアを有していたとは認められない。 - 122 -⒞ 第一審被告(マ)ニチアスは,第一審原告らが大工の主要ばく露建材として主張する㉓石綿含有けい酸カルシウム板第1種について ,概ね20%以上のシェアを有していたとは認められない。 - 122 -⒞ 第一審被告(マ)ニチアスは,第一審原告らが大工の主要ばく露建材として主張する㉓石綿含有けい酸カルシウム板第1種について,㋐カッターで切断することが可能であり通常であるから,加工時に石綿粉じんが発散することがほとんどなく,また,㋑その出荷先の90%は中高層建築の非住宅であり,戸建住宅等に出荷されるのは10%にとどまるから,大工の主要ばく露建材とはならない旨主張し,証拠(乙マ1028,1031~1036,1040,1041)中には同主張に沿う部分がある。 しかし,同第一審被告企業提出の証拠(乙マ1028,1032)中には,㉓について,カッター等で切断することができるとの記載とともに,その切断にはスレートのこ,集じん機付き電動のこ等を使用するとの記載や,カッターによる切断が容易なのは厚さが6mmまでのものであり,8mm以上の厚さでは丸ノコを使用するとの記載,切断面を綺麗に仕上げるには丸ノコを使用するとの記載があるなど,電動工具を使用して切断することが当然に予定されている上,第一審原告らが現に建築現場で㉓を電動工具を使用して切断していた旨供述していること(甲F12,14,18,24,28,36,45)に照らせば,上記㋐の主張は採用することができない。 また,前記のとおり,同第一審被告企業は,㉓の製造・販売期間中,概ね30%以上ものシェアを有していたのであるから,仮にその出荷先の90%が中高層建築の非住宅であったとしても,それだけでは,㉓についての戸建住宅等における同第一審被告企業のシェアが概ね20%以上を占めていたことについての疑いを生じさせるものとはいえない上,証拠(甲C1036の9・10)によれば,昭和52年頃,同第一審被告企業が㉓について一般住宅及び店舗で 審被告企業のシェアが概ね20%以上を占めていたことについての疑いを生じさせるものとはいえない上,証拠(甲C1036の9・10)によれば,昭和52年頃,同第一審被告企業が㉓について一般住宅及び店舗での幅広い利用を企図して販路拡大を図っていたことが認められるのであって,このような事情に照らすと,上記㋑の主張も採用することができない。 f そうすると,内装材のボード類のうち,⑮及び⑯並びに㉓が主要ばく露建材であり,⑮及び⑯の両者を合わせた市場において,第一審被告(キ)A&AMがそ- 123 -の製造・販売期間中,概ね20%以上のシェアを有していたこと,㉓については,第一審被告(マ)ニチアスと同(キ)A&AMが,その製造・販売期間中,いずれも概ね20%以上のシェアを有していたことが認められる。 本件元建築作業従事者x5(第一審原告(5)X5関係)a 本件元建築作業従事者x5は,昭和32年4月から平成19年2月までの間,大工としての作業に従事した(甲F5)。 b 上記のとおり,本件元建築作業従事者x5は,大工として建築工事に従事していたのであるから,内装材のボード類(⑮,⑯及び㉓)が主要ばく露建材であり,前記を前提として,従事した作業の種類及び従事期間を考慮すれば,第一審被告(キ)A&AMが製造・販売した⑮石綿含有スレートボード・フレキシブル板及び⑯同・平板並びに同第一審被告企業及び第一審被告(マ)ニチアスが製造・販売した㉓石綿含有けい酸カルシウム板第1種が同本件元建築作業従事者の従事する建築現場に到達したと認められる。 そうすると,第一審被告(キ)A&AM及び同(マ)ニチアスは,同本件元建築作業従事者に対する共同不法行為責任を負う。その責任期間は,第一審被告(キ)A&AMについて昭和50年1月1日から⑮,⑯及び㉓の製造・販売終了 審被告(キ)A&AM及び同(マ)ニチアスは,同本件元建築作業従事者に対する共同不法行為責任を負う。その責任期間は,第一審被告(キ)A&AMについて昭和50年1月1日から⑮,⑯及び㉓の製造・販売終了時である平成16年まで,同(マ)ニチアスについて昭和50年1月1日から㉓の製造・販売終了時である平成4年までである。 本件元建築作業従事者x6(第一審原告(6)X6ら関係)a 本件元建築作業従事者x6は,昭和44年から平成25年8月までの間,大工としての作業に従事した(甲F6)。 b 上記のとおり,本件元建築作業従事者x6は,大工として建築工事に従事していたのであるから,内装材のボード類(⑮,⑯及び㉓)が主要ばく露建材であり,前記を前提として,従事した作業の種類及び従事期間を考慮すれば,第一審被告(キ)A&AMが製造・販売した⑮石綿含有スレートボード・フレキシブル板及び⑯同・平板並びに同第一審被告企業及び第一審被告(マ)ニチアスが製造・販売し- 124 -た㉓石綿含有けい酸カルシウム板第1種が同本件元建築作業従事者の従事する建築現場に到達したと認められる。 そうすると,第一審被告(キ)A&AM及び同(マ)ニチアスは,同本件元建築作業従事者に対する共同不法行為責任を負う。その責任期間は,第一審被告(キ)A&AMについて昭和50年1月1日から⑮,⑯及び㉓の製造・販売終了時である平成16年まで,同(マ)ニチアスについて昭和50年1月1日から㉓の製造・販売終了時である平成4年までである。 第一審原告(12)X12a 第一審原告(12)X12は,昭和44年4月から平成23年8月までの間,主に木造の戸建住宅の新築工事に大工として従事した(甲F12,第一審原告(12)X12本人)。 b 上記のとおり,第一審原告(12)X12は,大工と 2は,昭和44年4月から平成23年8月までの間,主に木造の戸建住宅の新築工事に大工として従事した(甲F12,第一審原告(12)X12本人)。 b 上記のとおり,第一審原告(12)X12は,大工として建築工事に従事していたのであるから,内装材のボード類(⑮,⑯及び㉓)が主要ばく露建材であり,前記を前提として,従事した作業の種類及び従事期間を考慮すれば,第一審被告(キ)A&AMが製造・販売した⑮石綿含有スレートボード・フレキシブル板及び⑯同・平板並びに同第一審被告企業及び第一審被告(マ)ニチアスが製造・販売した㉓石綿含有けい酸カルシウム板第1種が同第一審原告の従事する建築現場に到達したと認められる。 そうすると,第一審被告(キ)A&AM及び同(マ)ニチアスは,同第一審原告に対する共同不法行為責任を負う。その責任期間は,第一審被告(キ)A&AMについて昭和50年1月1日から⑮,⑯及び㉓の製造・販売終了時である平成16年まで,同(マ)ニチアスについて昭和50年1月1日から㉓の製造・販売終了時である平成4年までである。 本件元建築作業従事者x14(第一審原告(14)X14関係)a 本件元建築作業従事者x14は,平成5年1月から平成22年1月までの間,主に木造の戸建住宅の工事に大工として従事した(甲F14)。 - 125 -b 上記のとおり,本件元建築作業従事者x14は,大工として建築工事に従事していたのであるから,内装材のボード類(⑮,⑯及び㉓)が主要ばく露建材であり,前記を前提として,従事した作業の種類及び従事期間を考慮すれば,第一審被告(キ)A&AMが製造・販売した⑮石綿含有スレートボード・フレキシブル板及び⑯同・平板が同本件元建築作業従事者の従事する建築現場に到達したと認められる。 そうすると,第一審被告(キ)A&AM 被告(キ)A&AMが製造・販売した⑮石綿含有スレートボード・フレキシブル板及び⑯同・平板が同本件元建築作業従事者の従事する建築現場に到達したと認められる。 そうすると,第一審被告(キ)A&AMは,同本件元建築作業従事者に対する共同不法行為責任を負う。その責任期間は,同本件元建築作業従事者が大工に従事した平成5年1月から同第一審被告企業の⑮,⑯及び㉓の製造・販売終了時である平成16年までである。 第一審原告(18)X18a 第一審原告(18)X18は,昭和27年4月から平成20年12月までの間,主に木造の戸建住宅の新築工事に大工として従事した(甲F18,第一審原告(18)X18本人)。 b 上記のとおり,第一審原告(18)X18は,大工として建築工事に従事していたのであるから,内装材のボード類(⑮,⑯及び㉓)が主要ばく露建材であり,前記を前提として,従事した作業の種類及び従事期間を考慮すれば,第一審被告(キ)A&AMが製造・販売した⑮石綿含有スレートボード・フレキシブル板及び⑯同・平板並びに同第一審被告企業及び第一審被告(マ)ニチアスが製造・販売した㉓石綿含有けい酸カルシウム板第1種が同第一審原告の従事する建築現場に到達したと認められる。 そうすると,第一審被告(キ)A&AM及び同(マ)ニチアスは,同第一審原告に対する共同不法行為責任を負う。その責任期間は,第一審被告(キ)A&AMについて昭和50年1月1日から⑮,⑯及び㉓の製造・販売終了時である平成16年まで,同(マ)ニチアスについて昭和50年1月1日から㉓の製造・販売終了時である平成4年までである。 - 126 -本件元建築作業従事者x24(第一審原告(24)X24関係)a 本件元建築作業従事者x24は,昭和41年6月から平成23年2月までの間,主として木造 る平成4年までである。 - 126 -本件元建築作業従事者x24(第一審原告(24)X24関係)a 本件元建築作業従事者x24は,昭和41年6月から平成23年2月までの間,主として木造の戸建建物の改修工事に大工として従事した(甲F24,第一審原告(24)X24本人)。 b 上記のとおり,本件元建築作業従事者x24は,大工として建築工事に従事していたのであるから,内装材のボード類(⑮,⑯及び㉓)が主要ばく露建材であり,前記を前提として,従事した作業の種類及び従事期間を考慮すれば,第一審被告(キ)A&AMが製造・販売した⑮石綿含有スレートボード・フレキシブル板及び⑯同・平板並びに同第一審被告企業及び第一審被告(マ)ニチアスが製造・販売した㉓石綿含有けい酸カルシウム板第1種が同本件元建築作業従事者の従事する建築現場に到達したと認められる。 そうすると,第一審被告(キ)A&AM及び同(マ)ニチアスは,同本件元建築作業従事者に対する共同不法行為責任を負う。その責任期間は,第一審被告(キ)A&AMについて昭和50年1月1日から⑮,⑯及び㉓の製造・販売終了時である平成16年まで,同(マ)ニチアスについて昭和50年1月1日から㉓の製造・販売終了時である平成4年までである。 本件元建築作業従事者x27(第一審原告(27)X27ら関係)a 本件元建築作業従事者x27は,昭和38年4月から平成25年7月までの間,大工としての作業に従事した(甲F27)。 b 上記のとおり,本件元建築作業従事者x27は,大工として建築工事に従事していたのであるから,内装材のボード類(⑮,⑯及び㉓)が主要ばく露建材であり,前記を前提として,従事した作業の種類及び従事期間を考慮すれば,第一審被告(キ)A&AMが製造・販売した⑮石綿含有スレートボード・フレキ ら,内装材のボード類(⑮,⑯及び㉓)が主要ばく露建材であり,前記を前提として,従事した作業の種類及び従事期間を考慮すれば,第一審被告(キ)A&AMが製造・販売した⑮石綿含有スレートボード・フレキシブル板及び⑯同・平板並びに同第一審被告企業及び第一審被告(マ)ニチアスが製造・販売した㉓石綿含有けい酸カルシウム板第1種が同本件元建築作業従事者の従事する建築現場に到達したと認められる。 - 127 -そうすると,第一審被告(キ)A&AM及び同(マ)ニチアスは,同本件元建築作業従事者に対する共同不法行為責任を負う。その責任期間は,第一審被告(キ)A&AMについて昭和50年1月1日から⑮,⑯及び㉓の製造・販売終了時である平成16年まで,同(マ)ニチアスについて昭和50年1月1日から㉓の製造・販売終了時である平成4年までである。 c さらに,第一審原告(27)X27らは,本件元建築作業従事者x27は,横浜市中区山下町の5階建てビルの内装工事の際,吹き付けられた石綿の剥離作業を一人で約3か月間かけて行ったことがあるから,吹付け材(①,②,③)もまた主要ばく露建材であり,概ね10%以上のシェアを有する第一審被告(キ)A&AM,同(ラ)ノザワ,同(マ)ニチアス,同(ニ)太平洋セメント,同(ム)日東紡績,同(チ)日鉄ケミカル,同(ホ)ナイガイ及び同(ユ)バルカーの製造・販売した上記吹付け材が同本件元建築作業従事者の建築現場に到達した相当程度の可能性がある旨主張する。 確かに,証拠(甲F27)によれば,同本件元建築作業従事者は,末松建設の屋号で仕事をしていた昭和52年1月から昭和53年6月までのうちの3か月間,横浜市中区山下町の5階建てビルの内装工事において,各階の吹付け材の剥離作業に従事し,吹付け材由来の粉じんにばく露したことが認められる。 いた昭和52年1月から昭和53年6月までのうちの3か月間,横浜市中区山下町の5階建てビルの内装工事において,各階の吹付け材の剥離作業に従事し,吹付け材由来の粉じんにばく露したことが認められる。 しかし,同本件元建築作業従事者は,3か月間,一つの建築現場の吹付け材の剥離作業に従事したにすぎないのであって,長年にわたって多数の建築現場を移動しながら吹付け材の石綿粉じんにばく露したものではなく,また,上記一か所の現場で多数の異なる吹付け材が使用されていたとは想定し難いことをも踏まえると,吹付け材について概ね10%ないし20%以上のシェアを有するにとどまる第一審被告企業ら(別紙5参照)の製造・販売する吹付け材が上記現場に到達した高度の蓋然性があるとは到底いえない。 したがって,同第一審原告らの上記主張は採用することができない。 第一審原告(28)X28- 128 -a 第一審原告(28)X28は,昭和27年4月から平成9年12月までの間,大工としての作業に従事した(甲F28)。 b 上記のとおり,第一審原告(28)X28は,大工として建築工事に従事していたのであるから,内装材のボード類(⑮,⑯及び㉓)が主要ばく露建材であり,前記を前提として,従事した作業の種類及び従事期間を考慮すれば,第一審被告(キ)A&AMが製造・販売した⑮石綿含有スレートボード・フレキシブル板及び⑯同・平板並びに同第一審被告企業及び第一審被告(マ)ニチアスが製造・販売した㉓石綿含有けい酸カルシウム板第1種が同第一審原告の従事する建築現場に到達したと認められる。 そうすると,第一審被告(キ)A&AM及び同(マ)ニチアスは,同第一審原告に対する共同不法行為責任を負う。その責任期間は,第一審被告(キ)A&AMについて昭和50年1月1日から同第一審原告の石綿粉じん うすると,第一審被告(キ)A&AM及び同(マ)ニチアスは,同第一審原告に対する共同不法行為責任を負う。その責任期間は,第一審被告(キ)A&AMについて昭和50年1月1日から同第一審原告の石綿粉じんばく露終了時である平成9年12月まで,同(マ)ニチアスについて昭和50年1月1日から㉓の製造・販売終了時である平成4年までである。 第一審原告(36)X36a 第一審原告(36)X36は,昭和34年4月から平成24年7月までの間,主に鉄骨鉄筋コンクリート造建物の新築工事に大工として従事した(甲F36,第一審原告(36)X36本人)。 b 上記のとおり,第一審原告(36)X36は,大工として建築工事に従事していたのであるから,内装材のボード類(⑮,⑯及び㉓)が主要ばく露建材であり,前記を前提として,従事した作業の種類及び従事期間を考慮すれば,第一審被告(キ)A&AMが製造・販売した⑮石綿含有スレートボード・フレキシブル板及び⑯同・平板並びに同第一審被告企業及び第一審被告(マ)ニチアスが製造・販売した㉓石綿含有けい酸カルシウム板第1種が同第一審原告の従事する建築現場に到達したと認められる。 そうすると,第一審被告(キ)A&AM及び同(マ)ニチアスは,同第一審原告に- 129 -対する共同不法行為責任を負う。その責任期間は,第一審被告(キ)A&AMについて昭和50年1月1日から⑮,⑯及び㉓の製造・販売終了時である平成16年まで,同(マ)ニチアスについて昭和50年1月1日から㉓の製造・販売終了時である平成4年までである。 本件元建築作業従事者x39(第一審原告(39)X39関係)a 本件元建築作業従事者x39は,昭和40年3月から平成21年12月までの間,主に木造建物の工事に大工として従事した(甲F39)。 b 上記のとおり,本 者x39(第一審原告(39)X39関係)a 本件元建築作業従事者x39は,昭和40年3月から平成21年12月までの間,主に木造建物の工事に大工として従事した(甲F39)。 b 上記のとおり,本件元建築作業従事者x39は,大工として建築工事に従事していたのであるから,内装材のボード類(⑮,⑯及び㉓)が主要ばく露建材であり,前記を前提として,従事した作業の種類及び従事期間を考慮すれば,第一審被告(キ)A&AMが製造・販売した⑮石綿含有スレートボード・フレキシブル板及び⑯同・平板並びに同第一審被告企業及び第一審被告(マ)ニチアスが製造・販売した㉓石綿含有けい酸カルシウム板第1種が同本件元建築作業従事者の従事する建築現場に到達したと認められる。 そうすると,第一審被告(キ)A&AM及び同(マ)ニチアスは,同本件元建築作業従事者に対する共同不法行為責任を負う。その責任期間は,第一審被告(キ)A&AMについて昭和50年1月1日から⑮,⑯及び㉓の製造・販売終了時である平成16年まで,同(マ)ニチアスについて昭和50年1月1日から㉓の製造・販売終了時である平成4年までである。 本件元建築作業従事者x41(第一審原告(41)X41関係)a 本件元建築作業従事者x41は,昭和39年4月から平成18年3月までの間,大工としての作業に従事した(甲F41)。 b 上記のとおり,本件元建築作業従事者x41は,大工として建築工事に従事していたのであるから,内装材のボード類(⑮,⑯及び㉓)が主要ばく露建材であり,前記を前提として,従事した作業の種類及び従事期間を考慮すれば,第一審被告(キ)A&AMが製造・販売した⑮石綿含有スレートボード・フレキシブル板- 130 -及び⑯同・平板並びに同第一審被告企業及び第一審被告(マ)ニチアスが製造・販売した㉓ を考慮すれば,第一審被告(キ)A&AMが製造・販売した⑮石綿含有スレートボード・フレキシブル板- 130 -及び⑯同・平板並びに同第一審被告企業及び第一審被告(マ)ニチアスが製造・販売した㉓石綿含有けい酸カルシウム板第1種が同本件元建築作業従事者の従事する建築現場に到達したと認められる。 そうすると,第一審被告(キ)A&AM及び同(マ)ニチアスは,同本件元建築作業従事者に対する共同不法行為責任を負う。その責任期間は,第一審被告(キ)A&AMについて昭和50年1月1日から⑮,⑯及び㉓の製造・販売終了時である平成16年まで,同(マ)ニチアスについて昭和50年1月1日から㉓の製造・販売終了時である平成4年までである。 本件元建築作業従事者x43(第一審原告(43)X43関係)a 本件元建築作業従事者x43は,昭和33年11月から平成24年7月までの間,鉄骨造建物の新築工事に大工として従事した(甲F43)。 b 上記のとおり,本件元建築作業従事者x43は,大工として建築工事に従事していたのであるから,内装材のボード類(⑮,⑯及び㉓)が主要ばく露建材であり,前記を前提として,従事した作業の種類及び従事期間を考慮すれば,第一審被告(キ)A&AMが製造・販売した⑮石綿含有スレートボード・フレキシブル板及び⑯同・平板並びに同第一審被告企業及び第一審被告(マ)ニチアスが製造・販売した㉓石綿含有けい酸カルシウム板第1種が同本件元建築作業従事者の従事する建築現場に到達したと認められる。 そうすると,第一審被告(キ)A&AM及び同(マ)ニチアスは,同本件元建築作業従事者に対する共同不法行為責任を負う。その責任期間は,第一審被告(キ)A&AMについて昭和50年1月1日から⑮,⑯及び㉓の製造・販売終了時である平成16年まで,同(マ)ニチアスについ 件元建築作業従事者に対する共同不法行為責任を負う。その責任期間は,第一審被告(キ)A&AMについて昭和50年1月1日から⑮,⑯及び㉓の製造・販売終了時である平成16年まで,同(マ)ニチアスについて昭和50年1月1日から㉓の製造・販売終了時である平成4年までである。 本件元建築作業従事者x44(第一審原告(44)X44関係)a 本件元建築作業従事者x44は,昭和41年から昭和50年11月まで,昭和53年9月から昭和55年8月まで,昭和57年2月から昭和60年6月まで,- 131 -昭和61年10月から昭和63年5月まで,平成元年2月から平成5年2月まで,平成7年2月から平成8年11月まで,平成9年1月から同年6月まで,平成11年3月から平成12年3月までの間,主に木造の戸建住宅の新築工事に大工として従事した(甲F44,第一審原告(44)x44本人)。 b 上記のとおり,本件元建築作業従事者x44は,大工として建築工事に従事していたのであるから,内装材のボード類(⑮,⑯及び㉓)が主要ばく露建材であり,前記を前提として,従事した作業の種類及び従事期間を考慮すれば,第一審被告(キ)A&AMが製造・販売した⑮石綿含有スレートボード・フレキシブル板及び⑯同・平板並びに同第一審被告企業及び第一審被告(マ)ニチアスが製造・販売した㉓石綿含有けい酸カルシウム板第1種が同本件元建築作業従事者の従事する建築現場に到達したと認められる。 そうすると,第一審被告(キ)A&AM及び同(マ)ニチアスは,同本件元建築作業従事者に対する共同不法行為責任を負う。その責任期間は,第一審被告(キ)A&AMについて昭和50年1月1日から同本件元建築作業従事者の石綿粉じんばく露終了時である平成12年3月まで,同(マ)ニチアスについて昭和50年1月1日から㉓の製造 の責任期間は,第一審被告(キ)A&AMについて昭和50年1月1日から同本件元建築作業従事者の石綿粉じんばく露終了時である平成12年3月まで,同(マ)ニチアスについて昭和50年1月1日から㉓の製造・販売終了時である平成4年まで(いずれも同本件元建築作業従事者が大工に従事していない期間を除く。)である。 本件元建築作業従事者x45(第一審原告(45)X45関係)a 本件元建築作業従事者x45は,昭和31年4月から平成25年3月までの間(ただし,昭和36年10月から昭和44年1月までの88か月間を除く。),主に木造の戸建住宅の新築工事に大工として従事した(甲F45)。 b 上記のとおり,本件元建築作業従事者x45は,大工として建築工事に従事していたのであるから,内装材のボード類(⑮,⑯及び㉓)が主要ばく露建材であり,前記を前提として,従事した作業の種類及び従事期間を考慮すれば,第一審被告(キ)A&AMが製造・販売した⑮石綿含有スレートボード・フレキシブル板及び⑯同・平板並びに同第一審被告企業及び第一審被告(マ)ニチアスが製造・販- 132 -売した㉓石綿含有けい酸カルシウム板第1種が同本件元建築作業従事者の従事する建築現場に到達したと認められる。 そうすると,第一審被告(キ)A&AM及び同(マ)ニチアスは,同本件元建築作業従事者に対する共同不法行為責任を負う。その責任期間は,第一審被告(キ)A&AMについて昭和50年1月1日から⑮,⑯及び㉓の製造・販売終了時である平成16年まで,同(マ)ニチアスについて昭和50年1月1日から㉓の製造・販売終了時である平成4年までである。 ク鉄骨工:第一審原告(11)X11作業内容と主要ばく露建材鉄骨工は,新築時には鉄骨部分に金属製品を溶接するため,解体・改修時には鉄骨を切断するため 売終了時である平成4年までである。 ク鉄骨工:第一審原告(11)X11作業内容と主要ばく露建材鉄骨工は,新築時には鉄骨部分に金属製品を溶接するため,解体・改修時には鉄骨を切断するため,いずれも鉄骨に吹き付けられた吹付け材を除去する作業を行うことによって,吹付け材に含有されている石綿粉じんを吸い込むことになる(甲F11,第一審原告(11)X11本人)。 したがって,鉄骨工の主要ばく露建材は吹付け材(②及び③)である。 吹付け材(②及び③)のシェア前記エのとおり,吹付け材(②及び③)の市場において,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMが,その製造・販売期間中,概ね20%以上のシェアを有していた。 本件元建築作業従事者x11(第一審原告(11)X11関係)a 本件元建築作業従事者x11は,昭和27年6月から昭和35年7月までの間,合資会社大濱鉄工所の労働者として造船所において造船作業に従事し,船内で保温材が巻き付けられた配管を切断加工する作業を行い,また,他の作業従事者が同本件元建築作業従事者の頭上で石綿クロスを天井に張り付けるなどの作業を行い,この間,同本件元建築作業従事者は石綿粉じんを吸い込んだ。 また,同本件元建築作業従事者は,昭和35年11月から昭和36年8月までの間,鈴喜工業株式会社の労働者として工場内において大型発電機のサイレンサーの- 133 -作成等の業務に従事し,石綿布を切断加工する作業を行った際,石綿粉じんを吸い込んだ。 その後,同本件元建築作業従事者は,昭和36年8月から平成15年1月までの間,鉄骨造建物の新築・解体工事に鉄骨工として従事した。ただし,昭和36年8月から昭和42年11月までの間及び平成6年1月から平成15年1月までの間は,石綿粉じんにばく露していない(甲F11, での間,鉄骨造建物の新築・解体工事に鉄骨工として従事した。ただし,昭和36年8月から昭和42年11月までの間及び平成6年1月から平成15年1月までの間は,石綿粉じんにばく露していない(甲F11,第一審原告(11)X11本人)。 b 上記のとおり,本件元建築作業従事者x11は,鉄骨工として建築工事に従事していたのであるから,吹付け材(②及び③)が主要ばく露建材であり,前記を前提として,従事した作業の種類及び従事期間(石綿粉じんのばく露をもたらした部分に限る。)を考慮すれば,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMが製造・販売した②石綿含有吹付けロックウール及び③湿式石綿含有吹付け材が同本件元建築作業従事者の従事する建築現場に到達したと認められる。 そうすると,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMは,同本件元建築作業従事者に対する共同不法行為責任を負う。その責任期間は,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMについて,いずれも昭和50年1月1日から③の製造・販売終了時である昭和62年までである。 ケエレベーター工:第一審原告(8)X8作業内容と主要ばく露建材エレベーター工は,エレベーターの設置作業においては,レール取付けのためにシャフト(昇降路)内の鉄骨の柱ないし梁に吹き付けられた吹付け材を除去し,ゴンドラ設置のためにシャフト内最上部のH鋼に吹き付けられた吹付け材を除去する作業を行い,修理・保守点検作業においては,エレベーター機械室及びシャフト内に剥離堆積した吹付け材を掃除する作業を行うことによって,吹付け材に含有されている石綿粉じんを吸い込むことになる(甲A222,甲E36,甲F8,当審証人S)。 したがって,エレベーター工の主要ばく露建材は吹付け材(②及び③)である。 - 134 -吹付け材 有されている石綿粉じんを吸い込むことになる(甲A222,甲E36,甲F8,当審証人S)。 したがって,エレベーター工の主要ばく露建材は吹付け材(②及び③)である。 - 134 -吹付け材(②及び③)のシェア前記エのとおり,吹付け材(②及び③)の市場において,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMが,その製造・販売期間中,概ね20%以上のシェアを有していた。 本件元建築作業従事者x8(第一審原告(8)X8ら関係)a 本件元建築作業従事者x8は,昭和34年9月から平成16年4月までの間,鉄骨造建物及び鉄筋コンクリート造建物の現場で,エレベーター工として主に修理・保守点検工事に従事した(甲F8)。 b 上記のとおり,本件元建築作業従事者x8は,エレベーター工として建築工事に従事していたのであるから,吹付け材(②及び③)が主要ばく露建材であり,前記を前提として,従事した作業の種類及び従事期間を考慮すれば,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMが製造・販売した②石綿含有吹付けロックウール及び③湿式石綿含有吹付け材が同本件元建築作業従事者の従事する建築現場に到達したと認められる。 そうすると,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMは,同本件元建築作業従事者に対する共同不法行為責任を負う。その責任期間は,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMについて,いずれも昭和50年1月1日から③の製造・販売終了時である昭和62年までである。 コ空調設備工:第一審原告(7)X7及び同(16)X16作業内容と主要ばく露建材空調設備工は,鉄骨造建物及び鉄筋コンクリート造建物の新築・改修工事において,冷暖房設備工事又は換気設備工事の際,天井や鉄骨等に吹き付けられた耐火被覆用の吹付け材を剥がす作業を と主要ばく露建材空調設備工は,鉄骨造建物及び鉄筋コンクリート造建物の新築・改修工事において,冷暖房設備工事又は換気設備工事の際,天井や鉄骨等に吹き付けられた耐火被覆用の吹付け材を剥がす作業を行うことによって,石綿粉じんを吸い込むことになる(甲F7,16,第一審原告(7)X7本人,第一審原告(16)x16本人)。 したがって,空調設備工の主要ばく露建材は吹付け材(②及び③)である。 - 135 -吹付け材(②及び③)のシェア前記エのとおり,吹付け材(②及び③)の市場において,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMが,その製造・販売期間中,概ね20%以上のシェアを有していた。 第一審原告(7)X7a 第一審原告(7)X7は,昭和32年5月から平成22年までの間,主に鉄骨造建物及び鉄筋コンクリート造建物の現場で,空調設備工としての作業に従事した(甲F7,第一審原告(7)X7本人)。 b 上記のとおり,第一審原告(7)X7は,空調設備工として建築工事に従事していたのであるから,吹付け材(②及び③)が主要ばく露建材であり,前記を前提として,従事した作業の種類及び従事期間を考慮すれば,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMが製造・販売した②石綿含有吹付けロックウール及び③湿式石綿含有吹付け材が同第一審原告の従事する建築現場に到達したと認められる。 そうすると,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMは,同第一審原告に対する共同不法行為責任を負う。その責任期間は,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMについて,いずれも昭和50年1月1日から③の製造・販売終了時である昭和62年までである。 本件元建築作業従事者x16(第一審原告(16)X16ら関係)a 本件元建築作業従事者x16は,昭和46 ついて,いずれも昭和50年1月1日から③の製造・販売終了時である昭和62年までである。 本件元建築作業従事者x16(第一審原告(16)X16ら関係)a 本件元建築作業従事者x16は,昭和46年3月から平成20年1月までの間,主に鉄骨造建物及び鉄筋コンクリート造建物の現場で,空調設備工及び配管工(給排水設備工)としての作業に従事した(甲F16,第一審原告(16)X16-2本人)。 b 上記のとおり,本件元建築作業従事者x16は,空調設備工及び配管工として建築工事に従事していたのであるから,吹付け材(②及び③)及び石綿セメント円筒(㊶)が主要ばく露建材である。 - 136 -そして,前記を前提として,従事した作業の種類及び従事期間を考慮すれば,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMが製造・販売した②石綿含有吹付けロックウール及び③湿式石綿含有吹付け材が同本件元建築作業従事者の従事する建築現場に到達したと認められる。 また,前記カのとおり,石綿セメント円筒(㊶)の市場において,第一審被告(キ)A&AMが,昭和61年以降,その製造・販売期間中,概ね20%以上のシェアを有していた。このことを前提として,従事した作業の種類及び従事期間を考慮すれば,同第一審被告企業の製造・販売した㊶石綿セメント円筒が同本件元建築作業従事者の従事する建築現場に到達したと認められる。 そうすると,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMは,同本件元建築作業従事者に対する共同不法行為責任を負う。その責任期間は,第一審被告(マ)ニチアスについては昭和50年1月1日から③の製造・販売終了時である昭和62年まで,同(キ)A&AMについては同じく吹付け材(②及び③)の責任期間の始期である昭和50年1月1日から㊶の製造・販売終了時である平成12年までで 0年1月1日から③の製造・販売終了時である昭和62年まで,同(キ)A&AMについては同じく吹付け材(②及び③)の責任期間の始期である昭和50年1月1日から㊶の製造・販売終了時である平成12年までである。 サ解体工:第一審原告(20)X20,同(21)X21,同(31)X31及び同(37)X37作業内容と主要ばく露建材解体工は,全部解体と部分解体とを問わず,吹付け材が吹き付けられた躯体部分や天井材,内装材のボード類,外装材,屋根材,保温材が巻き付けられた配管等,既存建物を構成するあらゆる建材を,電動工具,手動工具,重機等を用いて,剥がしたり,叩き壊したり,切断したりするなどして解体し,取りまとめて搬出する。 このうち,吹付け材は,他の石綿含有建材と比較して,解体の際の飛散性が高い上,石綿含有率が高い。また,内装材のボード類も,解体の際の飛散性が高い上,木造建物だけでなく,鉄骨造建物及び鉄筋コンクリート造建物にも使用されることから,製品数も極めて多数に及んでおり(国交省データベースによれば,⑮,⑯及び㉓について,348製品が多数の建材メーカーから製造・販売されている。),- 137 -前記キのとおり,出荷量も多く,建築現場で多量に使用されている(甲C29の111~283・647~821,甲C30の2,甲C47,48,甲F20,21,31,第一審原告(21)X21本人)。 したがって,解体工の主要ばく露建材は吹付け材及び内装材のボード類である。 吹付け材及び内装材のボード類のシェアa 前記エのとおり,吹付け材(②及び③)の市場において,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMが,その製造・販売期間中,概ね20%以上のシェアを有していた。 なお,第一審原告らは,④石綿含有吹付けバーミキュライト及び⑤石綿含有吹付 市場において,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMが,その製造・販売期間中,概ね20%以上のシェアを有していた。 なお,第一審原告らは,④石綿含有吹付けバーミキュライト及び⑤石綿含有吹付けパーライトも主要ばく露建材である旨主張する。しかし,④及び⑤の年度ごとの施工量や出荷量,ひいては吹付け材全体に占める割合を明らかにする証拠はないから,④及び⑤が本件元建築作業従事者らの建築現場に到達したと認定することはできない。したがって,第一審原告らの上記主張は採用することができない。 b 前記キのとおり,内装材のボード類のうち⑮,⑯及び㉓が占める割合が圧倒的に大きいことから,これらが解体工の主要ばく露建材と認められる。そして,⑮と⑯を合わせた市場において,第一審被告(キ)A&AMが,その製造・販売期間中,概ね20%以上のシェアを有しており,㉓については,第一審被告(マ)ニチアスと同(キ)A&AMが,その製造・販売期間中,いずれも概ね20%以上のシェアを有していた。 第一審原告(21)X21a 第一審原告(21)X21は,昭和42年から昭和55年まで,昭和56年5月から平成6年5月まで,平成7年から平成12年まで,平成16年4月から平成21年9月までの間,主に鉄骨造建物及び鉄筋コンクリート造建物の現場で,解体工としての作業に従事した(甲F21,第一審原告(21)X21本人)。 b 上記のとおり,第一審原告(21)X21は,解体工として建築工事に従事していたのであるから,吹付け材(②及び③)及び内装材のボード類(⑮,⑯及び- 138 -㉓)が主要ばく露建材であり,前記を前提として,従事した作業の種類及び従事期間を考慮すれば,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMが製造・販売した②石綿含有吹付けロックウール及び③湿式石綿 ㉓)が主要ばく露建材であり,前記を前提として,従事した作業の種類及び従事期間を考慮すれば,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMが製造・販売した②石綿含有吹付けロックウール及び③湿式石綿含有吹付け材,第一審被告(キ)A&AMが製造・販売した⑮石綿含有スレートボード・フレキシブル板及び⑯同・平板並びに同第一審被告企業及び第一審被告(マ)ニチアスが製造・販売した㉓石綿含有けい酸カルシウム板第1種が同第一審原告の従事する建築現場に到達したと認められる。 そうすると,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMは,同第一審原告に対する共同不法行為責任を負う。その責任期間は,第一審被告(マ)ニチアスについては,昭和50年1月1日から昭和55年まで及び昭和56年5月から㉓の製造・販売終了時である平成4年までであり,同(キ)A&AMについては,昭和50年1月1日から昭和55年まで,昭和56年5月から平成6年5月まで,平成7年から平成12年まで及び平成16年4月から⑮,⑯及び㉓の製造・販売終了時である同年12月末までである。 本件元建築作業従事者x31(第一審原告(31)X31関係)a 本件元建築作業従事者x31は,昭和44年から昭和48年まで,昭和62年から平成21年8月までの間,主に鉄骨造建物及び鉄筋コンクリート造建物の現場で,解体工としての作業に従事した(甲F31)。 b 上記のとおり,本件元建築作業従事者x31は,解体工として建築工事に従事していたのであるから,吹付け材(②及び③)及び内装材のボード類(⑮,⑯及び㉓)が主要ばく露建材であり,前記を前提として,従事した作業の種類及び従事期間を考慮すれば,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMが製造・販売した②石綿含有吹付けロックウール及び③湿式石綿含有吹付け材,第一審被 であり,前記を前提として,従事した作業の種類及び従事期間を考慮すれば,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMが製造・販売した②石綿含有吹付けロックウール及び③湿式石綿含有吹付け材,第一審被告(キ)A&AMが製造・販売した⑮石綿含有スレートボード・フレキシブル板及び⑯同・平板並びに同第一審被告企業及び第一審被告(マ)ニチアスが製造・販売した㉓石綿含有けい酸カルシウム板第1種が同本件元建築作業従事者の従事する建築現場に- 139 -到達したと認められる。 そうすると,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMは,同本件元建築作業従事者に対する共同不法行為責任を負う。その責任期間は,第一審被告(マ)ニチアスについては,昭和50年1月1日以降で同本件元建築作業従事者が解体工事に従事した昭和62年から㉓の製造・販売終了時である平成4年までであり,同(キ)A&AMについては,同じく昭和62年から⑮,⑯及び㉓の製造・販売終了時である平成16年までである。 本件元建築作業従事者x37(第一審原告(37)X37ら関係)a 本件元建築作業従事者x37は,昭和58年4月から昭和60年まで,平成元年から平成22年までの間,解体工としての作業に従事した。なお,昭和61年から昭和63年までの間は,造船所内で,保温材,断熱材及び耐火被覆材を切断加工する作業従事者とともに,塗装及びケレン作業に従事し,この間も石綿粉じんにばく露した(甲F37)。 b 上記のとおり,本件元建築作業従事者x37は,主に解体工として建築工事に従事していたのであるから,吹付け材(②及び③)及び内装材のボード類(⑮,⑯及び㉓)が主要ばく露建材であり,前記を前提として,従事した作業の種類及び従事期間を考慮すれば,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMが製造・販売し (②及び③)及び内装材のボード類(⑮,⑯及び㉓)が主要ばく露建材であり,前記を前提として,従事した作業の種類及び従事期間を考慮すれば,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMが製造・販売した②石綿含有吹付けロックウール及び③湿式石綿含有吹付け材,第一審被告(キ)A&AMが製造・販売した⑮石綿含有スレートボード・フレキシブル板及び⑯同・平板並びに同第一審被告企業及び第一審被告(マ)ニチアスが製造・販売した㉓石綿含有けい酸カルシウム板第1種が同本件元建築作業従事者の従事する建築現場に到達したと認められる。 そうすると,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMは,同本件元建築作業従事者に対する共同不法行為責任を負う。その責任期間は,第一審被告(マ)ニチアスについては,同本件元建築作業従事者が解体工事に従事した昭和58年4月から昭和60年まで及び平成元年から㉓の製造・販売終了時である平成4年までで- 140 -あり,同(キ)A&AMについては,同じく昭和58年4月から昭和60年まで及び平成元年から⑮,⑯及び㉓の製造・販売終了時である平成16年までである。 第一審原告(20)X20a 第一審原告(20)X20は,㋐昭和51年10月から昭和52年5月まで,昭和52年7月から昭和54年6月まで,昭和55年12月25日から昭和56年3月11日までの間は,築炉工としての作業に従事し,㋑平成2年7月から平成4年7月まで,平成6年8月から平成19年3月までの間は,解体工としての作業に従事し,㋒並行して,平成11年2月から平成19年3月までの間は,プラント作業に従事した。 同第一審原告が築炉工として行った工事は,炉の設置(耐火レンガを積み上げ,ダクトを設置する作業)及び改修であり,その過程において,保温材を切断加工したり,古い保温材を ,プラント作業に従事した。 同第一審原告が築炉工として行った工事は,炉の設置(耐火レンガを積み上げ,ダクトを設置する作業)及び改修であり,その過程において,保温材を切断加工したり,古い保温材を剥がしたりする作業を行うことによって,石綿粉じんにばく露した。 また,プラント作業としては,機械の設置及びメンテナンスを行い,その過程において,配管やダクトに巻きつけられた古い保温材を剥がす作業を行うことによって,石綿粉じんにばく露した(甲F20,第一審原告(20)X20)。 b 上記のとおり,第一審原告(20)X20は,築炉工及び解体工として建築工事に従事し,また,プラント作業にも従事していたのであるから,主要ばく露建材は,築炉工については保温材(⑦,⑩)が,解体工については吹付け材(②及び③)及び内装材のボード類(⑮,⑯及び㉓)が,プラント作業については保温材(⑦,⑩)がそれぞれ主要ばく露建材である。 保温材について前記ウのとおり,保温材(⑦及び⑩)の市場において,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMが,その製造・販売期間中,概ね20%以上のシェアを有していた。 このことを前提として,従事した作業の種類及び従事期間を考慮すれば,第一審- 141 -被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMが製造・販売した⑦石綿含有けい酸カルシウム保温材及び⑩石綿保温材が第一審原告(20)X20の従事する建築現場に到達したと認められる。 ⒝ 吹付け材(②及び③)及び内装材のボード類(⑮,⑯及び㉓)について前記を前提として,従事した作業の種類及び従事期間を考慮すれば,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMが製造・販売した②石綿含有吹付けロックウール及び③湿式石綿含有吹付け材,第一審被告(キ)A&AMが製造・販売した⑮石綿含有ス 及び従事期間を考慮すれば,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMが製造・販売した②石綿含有吹付けロックウール及び③湿式石綿含有吹付け材,第一審被告(キ)A&AMが製造・販売した⑮石綿含有スレートボード・フレキシブル板及び⑯同・平板並びに同第一審被告企業及び第一審被告(マ)ニチアスが製造・販売した㉓石綿含有けい酸カルシウム板第1種が同第一審原告の従事する建築現場に到達したと認められる。 ただし,同第一審被告企業らの吹付け材についての責任期間は,前記のとおり,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMについて,いずれも③の製造・販売終了時である昭和62年までであるから,同第一審原告が吹付け材を主要ばく露建材とする解体工に従事した平成2年7月以降は,同第一審被告企業らは共同不法行為責任を負わない。 ⒞ 耐火被覆材(⑪,⑫)及び断熱材(⑬,⑭)について同第一審原告は,プラント作業において,配管やダクトに巻き付けられた耐火被覆材(⑪,⑫)及び断熱材(⑬,⑭)を剥がす作業を行ったから,これらの建材も主要ばく露建材である旨主張する。 しかし,耐火被覆材(⑪,⑫)は,その形状がボードであるから,配管やダクトに巻き付けられていたとの使用態様と整合しないし,配管やダクトに⑬屋根用折板石綿断熱材や⑭煙突用石綿断熱材が使用されていたというのも不自然である上(甲C29の103~110),同第一審原告自身,保温材との用語と断熱材との用語を,特に区別することなく,いずれも保温材の趣旨で使用していること(第一審原告(20)X20本人)からすれば,耐火被覆材(⑪,⑫)及び断熱材(⑬,⑭)をプラント作業における同第一審原告の主要ばく露建材と認めることはできない。 - 142 -また,この点を措いても,前記オbのとおり,耐火被覆材(⑪,⑫)については ,⑫)及び断熱材(⑬,⑭)をプラント作業における同第一審原告の主要ばく露建材と認めることはできない。 - 142 -また,この点を措いても,前記オbのとおり,耐火被覆材(⑪,⑫)については,シェアを認定するに足りる証拠はなく,断熱材(⑬,⑭)についても,その出荷量ないしシェアを認定するに足りる証拠はないから,上記各建材については,同第一審原告の従事する建築現場に到達した第一審被告企業の製造・販売する建材を認定することができず,共同不法行為者を特定することができない。 したがって,同第一審原告の上記主張は採用することができない。 ⒟ そうすると,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMは,第一審原告(20)X20に対する共同不法行為責任を負う。その責任期間は,第一審被告(マ)ニチアスについては,保温材(⑦,⑩)に関して,同第一審原告が築炉工に従事した昭和51年10月から昭和52年5月まで,昭和52年7月から昭和54年6月まで,昭和55年12月25日から同月末(同第一審被告企業の⑦の製造・販売終了時)まであり,内装材のボード類(⑮,⑯及び㉓)に関して,同第一審原告が解体工に従事した平成2年7月から平成4年7月まで(同第一審被告企業の㉓の製造・販売終了時は平成4年である。)である。同(キ)A&AMについては,保温材(⑦,⑩)に関して,同じく昭和51年10月から昭和52年5月まで,昭和52年7月から昭和53年(同第一審被告企業の⑦及び⑩の製造・販売終了時)まで,内装材のボード類(⑮,⑯及び㉓)に関して,同じく平成2年7月から平成4年7月まで,平成6年8月から平成16年(同第一審被告企業の⑮,⑯及び㉓の製造・販売終了時)までである。 シクロス工:第一審原告(25)X25第一審原告(25)X25は,本件元建築作業従事者x25の主 ,平成6年8月から平成16年(同第一審被告企業の⑮,⑯及び㉓の製造・販売終了時)までである。 シクロス工:第一審原告(25)X25第一審原告(25)X25は,本件元建築作業従事者x25の主要ばく露建材は,吹付け材(①~③),保温材(⑥~⑩),耐火被覆材(⑪,⑫),内装材(⑮~㉗),床材(㉙~㉛)であり,共同不法行為者として合計で80社(うち第一審被告企業26社),837製品が同本件元建築作業従事者の従事する建築現場に到達した相当程度の可能性がある旨主張する。そして,同本件元建築作業従事者は,聴取書等(甲F25の3の2・3)において,現場ではクロス貼りが主な仕事で,鉄骨にア- 143 -スベストを吹き付けた直後に工事に入ったり,石こうボードが丸のこで切断されて貼られた後にクロスを貼るなどしたりして,複数の職種が同時進行の形で多量の粉じんの舞う中で工事を行い,また,改修工事では,床(Pタイル等)や天井を剥がしてサンダーで削っている最中に同時進行で作業したりして,粉じんがひどかった旨供述する。 しかし,同供述によっても,同本件元建築作業従事者がその就労する建築現場において常時かつ恒常的に使用又は接触し,粉じんばく露の主要な原因となったことが高度の蓋然性で認められる建材(主要ばく露建材)が特定されているとはいえず,他に,同本件元建築作業従事者の主要ばく露建材を認定するに足りる証拠はない。 したがって,同第一審原告の上記主張は採用することができない。 スハウスクリーニング:第一審原告(38)X38 作業内容と主要ばく露建材ハウスクリーニングは,ブロアーで粉じんを吹き飛ばして清掃する作業であることから,建築現場に堆積した石綿粉じんにばく露するところ,鉄骨造建物及び鉄筋コンクリート造建物において使用される吹付け材は, ハウスクリーニングは,ブロアーで粉じんを吹き飛ばして清掃する作業であることから,建築現場に堆積した石綿粉じんにばく露するところ,鉄骨造建物及び鉄筋コンクリート造建物において使用される吹付け材は,他の石綿含有建材と比較して,飛散性が高いことから,吹付け材由来の石綿粉じんが現場に堆積していることが多い上,石綿含有率も高い。また,内装材のボード類も,切断加工の際の飛散性が高い上,木造建物だけでなく,鉄骨造建物及び鉄筋コンクリート造建物においても使用されることから,前記キのとおり,出荷量も多く,建築現場で多量に使用されている建材であって,他の石綿含有建材と比較しても,内装材のボード類に由来する石綿粉じんが現場に堆積していることが多いと考えられる(甲F38,第一審原告(38)X38本人,弁論の全趣旨)。 したがって,ハウスクリーニングの主要ばく露建材は吹付け材及び内装材のボード類である。 吹付け材及び内装材のボード類のシェア前記エのとおり,吹付け材(②及び③)の市場において,第一審被告(マ)ニチ- 144 -アス及び同(キ)A&AMが,その製造・販売期間中,概ね20%以上のシェアを有していた。 また,前記キのとおり,内装材のボード類のうち⑮,⑯及び㉓が占める割合が圧倒的に大きいことから,これらがハウスクリーニングの主要ばく露建材と認められる。そして,⑮と⑯を合わせた市場において,第一審被告(キ)A&AMが,その製造・販売期間中,概ね20%以上のシェアを有しており,㉓については,第一審被告(マ)ニチアスと同(キ)A&AMが,その製造・販売期間中,いずれも概ね20%以上のシェアを有していた。 第一審原告(38)X38a 第一審原告(38)X38は,昭和58年から平成24年7月までの間,木造建物,鉄骨造建物及び の製造・販売期間中,いずれも概ね20%以上のシェアを有していた。 第一審原告(38)X38a 第一審原告(38)X38は,昭和58年から平成24年7月までの間,木造建物,鉄骨造建物及び鉄筋コンクリート造建物の現場で,ハウスクリーニング作業に従事した(甲F38,第一審原告(38)X38本人)。 b 上記のとおり,第一審原告(38)X38は,ハウスクリーニングとして建築工事に従事していたのであるから,吹付け材(②及び③)及び内装材のボード類(⑮,⑯及び㉓)が主要ばく露建材であり,前記を前提として,従事した作業の種類及び従事期間を考慮すれば,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMが製造・販売した②石綿含有吹付けロックウール及び③湿式石綿含有吹付け材,第一審被告(キ)A&AMが製造・販売した⑮石綿含有スレートボード・フレキシブル板及び⑯同・平板並びに同第一審被告企業及び第一審被告(マ)ニチアスが製造・販売した㉓石綿含有けい酸カルシウム板第1種が同第一審原告の従事する建築現場に到達したと認められる。 そうすると,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMは,同第一審原告に対する共同不法行為責任を負う。その責任期間は,第一審被告(マ)ニチアスについては,同第一審原告がハウスクリーニングに従事した昭和58年から㉓の製造・販売終了時である平成4年まで,同(キ)A&AMについては,同じく昭和58年から⑮,⑯及び㉓の製造・販売終了時である平成16年までである。 - 145 -セ工事監理:第一審原告(10)X10作業内容と主要ばく露建材a 工事監理の作業内容工事監理者は,着工後,建築現場において,工事が各作業段階に応じて設計図書どおりに施工されているかどうかを確認する作業を行う。確認の方法としては,設計図書に定めら 露建材a 工事監理の作業内容工事監理者は,着工後,建築現場において,工事が各作業段階に応じて設計図書どおりに施工されているかどうかを確認する作業を行う。確認の方法としては,設計図書に定められた方法による確認のほか,目視による確認,抽出による確認,施工者から提出される品質管理記録の確認など,確認の対象となった工事に応じた方法でこれを行う。具体的には,地業工事(基礎工事)の確認,鉄筋・コンクリート工事の確認,鉄骨の建方及び耐火被覆をはじめとする鉄骨工事の確認,基準階・最上階の確認,各種仕上げ工事の確認,電気・給排水・空調換気設備工事,昇降機工事の確認などを行ない,最終的に工事完了の確認において設計図書との照合,関係機関による検査への立会いを行った上,引渡し,報告書の作成により,作業は終了となる(甲F10,証人T)。 b 本件元建築作業従事者x10(第一審原告(10)X10関係)本件元建築作業従事者x10は,昭和59年3月から平成5年11月までの間,主に鉄骨造建物及び鉄筋コンクリート造建物の新築工事に工事監理として従事した。同本件元建築作業従事者は,週に2日又は3日の割合で(平成元年1月から平成2年3月までは10階建てビルの新築工事に常駐監理の形で)建築現場に赴き,各作業段階に応じて設計図書どおりに施工されているかどうかを確認し,中でも,吹付けの耐火被覆の検査には必ず立ち会い,また,着工から竣工までの内装工事にも数多く立ち会った(甲F10,証人T)。 前記のとおり,鉄骨造建物及び鉄筋コンクリート造建物において使用される吹付け材は,他の石綿含有建材と比較して,飛散性が高く,石綿含有率も高い。また,前記のとおり,内装材のボード類も,切断加工の際の飛散性が高い上,木造建物だけでなく,鉄骨造建物及び鉄筋コンクリート造建物においても使用さ 綿含有建材と比較して,飛散性が高く,石綿含有率も高い。また,前記のとおり,内装材のボード類も,切断加工の際の飛散性が高い上,木造建物だけでなく,鉄骨造建物及び鉄筋コンクリート造建物においても使用されるため,出荷量も多く,建築現場で多量に使用されている建材であることから,他の石綿含有- 146 -建材と比較しても,内装材のボード類に由来する石綿粉じんにばく露する機会は多い。 したがって,工事監理に従事していた同本件元建築作業従事者の主要ばく露建材は吹付け材及び内装材のボード類である。 なお,第一審原告(10)X10は,混和材(㊸)も同本件元建築作業従事者の主要ばく露建材である旨主張するが,同本件元建築作業従事者が㊸の石綿粉じんに常時かつ恒常的にばく露したことを高度の蓋然性をもって認めるに足りる具体的事情の証明はないから,同主張は採用することができない。 吹付け材及び内装材のボード類のシェア前記エのとおり,吹付け材(②及び③)の市場において,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMが,その製造・販売期間中,概ね20%以上のシェアを有していた。 また,前記キのとおり,内装材のボード類のうち⑮,⑯及び㉓が占める割合が圧倒的に大きいことから,これらが工事監理の主要ばく露建材と認められる。そして,⑮と⑯を合わせた市場において,第一審被告(キ)A&AMが,その製造・販売期間中,概ね20%以上のシェアを有しており,㉓については,第一審被告(マ)ニチアスと同(キ)A&AMが,その製造・販売期間中,いずれも概ね20%以上のシェアを有していた。 共同不法行為者の認定本件元建築作業従事者x10について,吹付け材(②及び③)及び内装材のボード類(⑮,⑯及び㉓)が主要ばく露建材であり,上記を前提として,従事した作業の種類及び従事 た。 共同不法行為者の認定本件元建築作業従事者x10について,吹付け材(②及び③)及び内装材のボード類(⑮,⑯及び㉓)が主要ばく露建材であり,上記を前提として,従事した作業の種類及び従事期間を考慮すれば,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMが製造・販売した②石綿含有吹付けロックウール及び③湿式石綿含有吹付け材,第一審被告(キ)A&AMが製造・販売した⑮石綿含有スレートボード・フレキシブル板及び⑯同・平板並びに同第一審被告企業及び第一審被告(マ)ニチアスが製造・販売した㉓石綿含有けい酸カルシウム板第1種が同本件元建築作業従事者の従- 147 -事する建築現場に到達したと認められる。 そうすると,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMは,同本件元建築作業従事者に対する共同不法行為責任を負う。その責任期間は,第一審被告(マ)ニチアスについては,同本件元建築作業従事者が工事監理に従事した昭和59年3月から㉓の製造・販売終了時である平成4年まで,同(キ)A&AMについては,同じく昭和59年3月から同本件元建築作業従事者の石綿粉じんばく露終了時である平成5年11月までである。 ソ現場監督:第一審原告(15)X15作業内容と主要ばく露建材a 現場監督の作業内容現場監督は,着工後,建築現場において,各作業に従事する職工が施工図及び工程表どおりに適切な工事をしているかどうかなど,施工状況を確認し,作業内容に応じて是正等の指示を出し,工事の進捗状況に係る現場写真を撮影し,設計事務所による検査等にも立ち会う(甲F20)。 b 本件元建築作業従事者x15(第一審原告(15)X15関係)本件元建築作業従事者x15は,昭和35年から昭和60年3月までの間,建物の新築工事に現場監督として従事した。この間,昭和46年3月 b 本件元建築作業従事者x15(第一審原告(15)X15関係)本件元建築作業従事者x15は,昭和35年から昭和60年3月までの間,建物の新築工事に現場監督として従事した。この間,昭和46年3月頃までは,小学校の校舎や体育館等の公共工事,個人のマンションや木造の戸建住宅等を担当し,昭和46年4月以降は,主に新築マンションの建築現場にほぼ常駐した。新築マンションの建築現場では,石綿の吹付け作業中に立ち会い,その後の内装,造作工事の現場監督業務にも数多く立ち会った(甲F15)。 そして,前記のとおり,鉄骨造建物及び鉄筋コンクリート造建物において使用される吹付け材は,他の石綿含有建材と比較して,飛散性が高く,石綿含有率も高い。 また,前記のとおり,内装材のボード類も,切断加工の際の飛散性が高い上,木造建物だけでなく,鉄骨造建物及び鉄筋コンクリート造建物においても使用されるため,出荷量も多く,建築現場で多量に使用されている建材であることから,他の石- 148 -綿含有建材と比較しても,内装材のボード類に由来する石綿粉じんにばく露する機会は多い。 したがって,現場監督に従事していた同本件元建築作業従事者の主要ばく露建材は吹付け材及び内装材のボード類である。 なお,第一審原告(15)X15は,保温材(⑦,⑩)及び混和材(㊸)も同本件元建築作業従事者の主要ばく露建材である旨主張するが,同本件元建築作業従事者が⑦,⑩及び㊸の石綿粉じんに常時かつ恒常的にばく露したことを高度の蓋然性をもって認めるに足りる具体的事情の証明はないから,同主張は採用することができない。 吹付け材及び内装材のボード類のシェア前記エのとおり,吹付け材(②及び③)の市場において,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMが,その製造・販売期間中,概ね20%以上の きない。 吹付け材及び内装材のボード類のシェア前記エのとおり,吹付け材(②及び③)の市場において,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMが,その製造・販売期間中,概ね20%以上のシェアを有していた。 また,前記キのとおり,内装材のボード類のうち⑮,⑯及び㉓が占める割合が圧倒的に大きいことから,これらが現場監督の主要ばく露建材と認められる。そして,⑮と⑯を合わせた市場において,第一審被告(キ)A&AMが,その製造・販売期間中,概ね20%以上のシェアを有しており,㉓については,第一審被告(マ)ニチアスと同(キ)A&AMが,その製造・販売期間中,いずれも概ね20%以上のシェアを有していた。 共同不法行為者の認定本件元建築作業従事者x15について,吹付け材(②及び③)及び内装材のボード類(⑮,⑯及び㉓)が主要ばく露建材であり,上記を前提として,従事した作業の種類及び従事期間を考慮すれば,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMが製造・販売した②石綿含有吹付けロックウール及び③湿式石綿含有吹付け材,第一審被告(キ)A&AMが製造・販売した⑮石綿含有スレートボード・フレキシブル板及び⑯同・平板並びに同第一審被告企業及び第一審被告(マ)ニチアスが製- 149 -造・販売した㉓石綿含有けい酸カルシウム板第1種が同本件元建築作業従事者の従事する建築現場に到達したと認められる。 そうすると,第一審被告(マ)ニチアス及び同(キ)A&AMは,同本件元建築作業従事者に対する共同不法行為責任を負う。その責任期間は,いずれも昭和50年1月1日から同第一審原告の石綿粉じんばく露終了時である昭和60年3月までである。 3 損害,消滅時効,過失相殺等⑴ 基準となる慰謝料額第一審原告らは,慰謝料,弁護士費用及び遅延損害 1月1日から同第一審原告の石綿粉じんばく露終了時である昭和60年3月までである。 3 損害,消滅時効,過失相殺等⑴ 基準となる慰謝料額第一審原告らは,慰謝料,弁護士費用及び遅延損害金のみの支払を求め,財産上の損害を別途請求する意思はない旨を訴訟上明確に宣明しているから,慰謝料の額を算定するに当たっては,精神的損害に関する事情のみならず,想定し得る財産的損害の内容や当該財産的損害を填補するものとして支給された労災保険給付等の社会的給付の内容等をも考慮すべきである。 そして,石綿関連疾患の概要は,原判決の「事実及び理由」中の「第2章事案の概要」の第2の3(原判決14頁1行目から25頁1行目まで)に記載のとおりであって,石綿肺は不可逆性・進行性があり,病変の進展に伴い種々の呼吸器疾患が合併又は続発し,他のじん肺に比べて予後が悪く,肺がん及び中皮腫のリスクも高いこと,肺がん及び中皮腫は極めて予後が悪く,発症後死亡までの期間が短いこと,びまん性胸膜肥厚は著しい肺機能障害を来すことがあり,石綿肺の所見がない者も,石綿肺有所見者ほどではないにせよ,中皮腫のリスクが高いことが認められるところ,証拠(甲F1~45,第一審原告(10)X10本人,同(14)X14本人,同(25)X25本人,同(39)X39本人,同(45)X45本人,当審における第一審原告(32)X32本人,同(38)X38本人)及び弁論の全趣旨によれば,本件元建築作業従事者らは,石綿関連疾患のり患及びその進行により,身体面での苦痛のほか,飲食,入浴,就寝等の日常生活全般にも支障が生じるようになった上,就労が困難となって収入が減少する一方,治療療養費の負担が発生す- 150 -るなど,生活面や経済面でも苦痛を受け,さらに,同人らの生活を支援・補助する近親者の肉体的 障が生じるようになった上,就労が困難となって収入が減少する一方,治療療養費の負担が発生す- 150 -るなど,生活面や経済面でも苦痛を受け,さらに,同人らの生活を支援・補助する近親者の肉体的,経済的,精神的負担についても気をもむ日々を送ることを余儀なくされるなど,石綿関連疾患のり患に伴い,甚大な精神的・物質的損害を被ったことが認められる。 以上を踏まえ,上記の治療療養費の発生に関し,これを填補する労災保険給付等の社会的給付を受領した本件元建築作業従事者ないしその承継人が存在するという事情をも考慮した上で,慰謝料を算定するための基準額として,認定された症状や管理区分等に基づき(管理2,管理3等の各行政上の決定に相当する病状に基づく各損害には,それぞれ質的に異なるものがあるといわざるを得ない(最高裁平成元年(オ)第1667号同6年2月22日第三小法廷判決・民集48巻2号441頁参照)。),次のとおり定めることとする。 石綿肺(じん肺管理区分:管理2)にり患し,合併症がある場合:1900万円石綿肺(じん肺管理区分:管理3)にり患し,合併症がある場合:2200万円肺がん,中皮腫又はびまん性胸膜肥厚にり患している場合:2500万円石綿関連疾患にり患し,死亡した場合:2800万円⑵ 第一審被告(ア)国の責任の範囲ア第一審被告(ア)国が責任を負うべき損害の範囲前述のとおり,第一審被告(ア)国は,前記1⑴の労働関係法令に基づく規制権限の違法な不行使により本件元建築作業従事者らが被った損害の賠償責任を負う。 しかし,本件元建築作業従事者らが建築現場で石綿粉じんにばく露することによって石綿関連疾患を発症したことについて,第一次的・基本的な責任を負うのは,本件元建築作業従事者らを建築作業に従事させた事業者と,石綿含有 元建築作業従事者らが建築現場で石綿粉じんにばく露することによって石綿関連疾患を発症したことについて,第一次的・基本的な責任を負うのは,本件元建築作業従事者らを建築作業に従事させた事業者と,石綿含有建材を製造・販売した建材メーカーであり,第一審被告(ア)国が負う義務は,事業者が安全配慮義務を,建材メーカーが警告義務をそれぞれ負うことを前提に,これらの義務が適切に履行されるよう,安衛法等に基づく規制権限を適切に行使して,事業者及び建材メーカーに対し,必要に応じて,とるべき措置等を義務付け,これに違反した- 151 -場合の罰則を定めるなどして,その実効性を確保するというものであった。そうすると,第一審被告(ア)国の規制権限不行使の違法性は,事業者及び建材メーカーが安全配慮義務ないし警告義務を適切に履行している場合には問題となる余地はなく,事業者及び建材メーカーがこれらの義務を十分に履行していない場合に初めて問題となるのであるから,第一審被告(ア)国の責任は,二次的・補完的なものであるということができる。 以上の点を踏まえれば,第一審被告(ア)国が前記⑴に記載した基準慰謝料額の全額について責任を負うものとするのは相当でなく,その3分の1の限度で責任を負うものと認めるべきである。 第一審原告らは,第一審被告(ア)国の責任は二次的・補完的なものではなく,一次的な直接責任である旨主張するが,上記説示に照らし,採用することができない。 イ第一審被告(ア)国の責任期間内の石綿粉じんばく露期間の長短による慰謝料の減額 原判決と同様に,当裁判所も,第一審被告(ア)国の責任期間内の石綿粉じんばく露期間が短い者について,以下のとおり慰謝料額を減額すべきであると判断する。その理由は,183頁10行目,13行目,17行目及び21行目並びに1 判所も,第一審被告(ア)国の責任期間内の石綿粉じんばく露期間が短い者について,以下のとおり慰謝料額を減額すべきであると判断する。その理由は,183頁10行目,13行目,17行目及び21行目並びに184頁2行目の各「労働者としての」を削除するほかは,原判決の「事実及び理由」の「第3章当裁判所の判断」の第2の3⑴イ(原判決182頁20行目から184頁4行目まで)に説示するとおりであるから,これを引用する。 a 石綿肺及び肺がん第一審被告(ア)国の責任期間内における石綿ばく露作業従事期間が10年以上の本件元建築作業従事者については,減額しない。 ⒝ 同期間が10年未満の本件元建築作業従事者については,10%減額する。 b 中皮腫第一審被告(ア)国の責任期間内における石綿ばく露作業従事期間が1年以- 152 -上の本件元建築作業従事者については,減額しない。 ⒝ 同期間が1年未満の本件元建築作業従事者については,10%減額する。 c びまん性胸膜肥厚第一審被告(ア)国の責任期間内における石綿ばく露作業従事期間が3年以上の本件元建築作業従事者については,減額しない。 ⒝ 同期間が3年未満の本件元建築作業従事者については,10%減額する。 d 良性石綿胸水 第一審被告(ア)国の責任期間内における石綿ばく露作業従事期間が1年以上の本件元建築作業従事者については,減額しない。 ⒝ 同期間が1年未満の本件元建築作業従事者については,10%減額する。 第一審原告らは,第一審被告(ア)国の責任期間内の石綿ばく露が短期間に留まるとしても,当該ばく露と第一審被告(ア)国の責任期間外の石綿ばく露とが不可分一体となって,石綿関連疾患にり患したのであるから,上記減額は不当である旨主張する。 しかし,石綿ばく露と石綿関連疾患 まるとしても,当該ばく露と第一審被告(ア)国の責任期間外の石綿ばく露とが不可分一体となって,石綿関連疾患にり患したのであるから,上記減額は不当である旨主張する。 しかし,石綿ばく露と石綿関連疾患との間には石綿ばく露量が多くなるほどリスクが高くなるとの関係(量-反応関係)があることに照らせば,第一審被告(ア)国の責任期間内のばく露があるとはいえ,その期間が短い者と,ばく露が長期間に及ぶ者とで,慰謝料額を全く同一に取り扱うことは,損害の公平な分担という観点から,適切ではない。 したがって,第一審原告らの上記主張は採用することができない。 ウ肺がんを発症した者で喫煙歴があるものに対する慰謝料の減額原判決と同様に,当裁判所も,肺がんを発症した本件元建築作業従事者らのうち喫煙歴があるものについては,慰謝料を10%減額するのが相当であると判断する。 その理由は,原判決の「事実及び理由」の「第3章当裁判所の判断」の第2の3⑴イ(原判決184頁5行目から14行目まで)に説示するとおりであるから,これを引用する。 - 153 -第一審原告らは,個々の本件元建築作業従事者らについて,喫煙が肺がんの発症に及ぼした影響は個別具体的には証明されていないこと,たばこは嗜好品として広く社会に受け入れられており,喫煙歴を疾病と同視し得る事情もないことから,喫煙歴を理由に減額すべきではない旨主張する。しかし,原判決の「事実及び理由」の「第2章事案の概要」の第2の3⑵ウ(原判決18頁19行目から23行目まで)に記載のとおり,肺がんのリスクは,石綿ばく露がなく,喫煙しない人を1とすると,石綿ばく露者では約5,喫煙者では約10,石綿ばく露がある喫煙者では約50になるとされており,石綿ばく露と喫煙との相乗作用があることは明らかである。そして,喫煙が嗜好 く,喫煙しない人を1とすると,石綿ばく露者では約5,喫煙者では約10,石綿ばく露がある喫煙者では約50になるとされており,石綿ばく露と喫煙との相乗作用があることは明らかである。そして,喫煙が嗜好品であることや喫煙歴が疾病と同視できないことは,上記判断を左右する事情とはいえない。したがって,第一審原告らの上記主張は採用することができない。 エ第一審被告(ア)国の主張について 第一審被告(ア)国は,本件元建築作業従事者らのばく露期間のうち第一審被告(ア)国の責任期間外のばく露期間だけで各石綿関連疾患を生じせしめるに十分な場合には,第一審被告(ア)国の規制権限不行使と石綿関連疾患り患との間に因果関係はなく,また,第一審被告(ア)国の責任期間外のばく露期間が各石綿関連疾患を生ぜしめるに十分ではない場合であっても,責任期間外のばく露期間に比べて責任期間内のばく露期間が短い者については,規制権限の行使により石綿関連疾患り患を回避できたか否か不明であるから,第一審被告(ア)国の規制権限不行使との間に因果関係はない旨主張する。 しかし,石綿ばく露と石綿関連疾患との間には石綿ばく露量が多くなるほどリスクが高くなるとの関係(量-反応関係)があることに照らせば,第一審被告(ア)国の責任期間外の石綿ばく露と責任期間内の石綿ばく露とが相まって,石綿関連疾患が発症したというべきである。したがって,責任期間外の石綿ばく露が長期間であり,又は責任期間内の石綿ばく露が短期間であるからといって,第一審被告(ア)国の規制権限不行使と石綿関連疾患のり患との間の因果関係が認められないとはい- 154 -えない。 第一審被告(ア)国は,第一審原告らが受給した労災保険給付等について,基準慰謝料額から控除されるべきであり,仮に損益相殺的調整が認められない 係が認められないとはい- 154 -えない。 第一審被告(ア)国は,第一審原告らが受給した労災保険給付等について,基準慰謝料額から控除されるべきであり,仮に損益相殺的調整が認められないとしても,労災保険給付等を受けたことは慰謝料の減額事由として斟酌されるべきであるとして,受給した労災保険給付額の少なくとも5割相当額の範囲で基準慰謝料額から減額されるべきである旨主張する。 しかし,前記⑴のとおり,基準となる慰謝料額を算定するに当たっては,精神的損害に関する事情のみならず,想定し得る財産的損害の内容や当該財産的損害を填補するものとして労災保険給付等の社会的給付がされたことをも事情として考慮しているのであるから,労災保険給付等を控除すべきものとする余地はない。 したがって,第一審被告(ア)国の上記各主張はいずれも採用することができない。 ⑶ 第一審被告企業らの責任の範囲ア共同不法行為者とされる第一審被告企業らの基本的な寄与割合第一審被告企業らについて,共同不法行為責任を負うということができるか否かを判断するに当たっては,前記のとおり,本件元建築作業従事者ごとに主要ばく露建材を特定した上,本件元建築作業従事者らが作業に従事していた建築現場に当該建材がしばしば到達したことを是認し得る高度の蓋然性があると認められる場合に,当該建材の製造・販売行為が石綿粉じんのばく露の蓄積に寄与したものとして,当該第一審被告企業を共同不法行為者と認定したものである。 しかし,主要ばく露建材は,飽くまで各本件元建築作業従事者が作業に従事していた建築現場において常時かつ恒常的に使用し,又は接触しており,粉じんにばく露する主要な原因となったものと認められる建材であるにすぎない。建築現場では,多様な職種の建築作業従事者が,相前後し, していた建築現場において常時かつ恒常的に使用し,又は接触しており,粉じんにばく露する主要な原因となったものと認められる建材であるにすぎない。建築現場では,多様な職種の建築作業従事者が,相前後し,又は同時並行的に,作業場所を移動しながら種々の作業を行うことが常態であり,そこで取り扱われる石綿含有建材も様々である。したがって,本件元建築作業従事者らは,主要ばく露建材のみでなく,- 155 -それ以外の石綿含有建材に由来する粉じんにもばく露していた蓋然性を否定することができない。 以上の点に鑑み,主要ばく露建材を製造・販売した第一審被告企業らの石綿粉じんのばく露に対する基本的な寄与の割合を4分の3と認め,この観点から,第一審被告企業らが負うべき責任の範囲を,前記⑴に記載した基準となる慰謝料額の4分の3とする(以下「基本的寄与割合」という。)。 第一審被告企業らの一部は,この点について,労働安全衛生法令は事業者の安全配慮義務を一義的・直接的な義務として想定しており,建材メーカーの警告義務はあくまで二義的・間接的なものであるとして,第一審被告企業らが負うべき責任の割合を3分の1に限定すべきである旨主張する。しかし,前記⑵アに説示したとおり,建材メーカーである第一審被告企業らの負う警告義務は一次的・基本的なものというべきであるから,上記主張は採用することができない。 イ第一審被告企業らの責任期間前のばく露期間の長短に応じた慰謝料の減額石綿関連疾患については,原判決の「事実及び理由」中の「第2章事案の概要」の第2の3(原判決14頁1行目から25頁1行目まで)に記載のとおり,石綿粉じんにばく露する期間が長ければ長いほど,累積ばく露量が増加し,同疾患発症の危険性が高くなるから,本件元建築作業従事者らが第一審被告企業らの責任期間前に石綿 25頁1行目まで)に記載のとおり,石綿粉じんにばく露する期間が長ければ長いほど,累積ばく露量が増加し,同疾患発症の危険性が高くなるから,本件元建築作業従事者らが第一審被告企業らの責任期間前に石綿粉じんにばく露し,当該ばく露の期間が長ければ,第一審被告企業らの石綿関連疾患発症の危険性に寄与する割合は,相対的に小さくなると考えられる。 このことに鑑み,第一審被告企業らの責任期間前の石綿粉じんばく露期間の長短によって,第一審被告企業らの石綿関連疾患発症の危険性に対する寄与の割合を以下のとおりとし,これを上記アの基本的寄与割合に乗じることとする(以下「前期間修正」という。)。 責任期間前の石綿ばく露期間が10年以上の場合 :50%責任期間前の石綿ばく露期間が5年以上10年未満の場合:70%責任期間前の石綿ばく露期間が5年未満の場合 :100%- 156 -ウ責任期間の長短に応じた慰謝料の減額原判決の「事実及び理由」中の「第2章事案の概要」の第2の3(原判決14頁1行目から25頁1行目まで)に記載のとおり,石綿関連疾患は,石綿粉じんに一定期間累積的にばく露することにより発症するものであるから,第一審被告企業らの責任期間が短い場合には,石綿関連疾患発症の危険性に対する寄与の程度は小さくなると考えられる。 そこで,前記⑵イと同様に,第一審被告企業らとの間でも,その責任期間内の石綿粉じんばく露期間が短い者について,以下のとおり慰謝料を減額することとする(以下「責任期間修正」という。)。 石綿肺及び肺がんa 第一審被告企業の責任期間が10年以上の本件元建築作業従事者については,減額しない。 b 同期間が10年未満の本件元建築作業従事者については,10%減額する。 中皮腫a 第一審被告企業 a 第一審被告企業の責任期間が10年以上の本件元建築作業従事者については,減額しない。 b 同期間が10年未満の本件元建築作業従事者については,10%減額する。 中皮腫a 第一審被告企業の責任期間が1年以上の本件元建築作業従事者については,減額しない。 b 同期間が1年未満の本件元建築作業従事者については,10%減額する。 びまん性胸膜肥厚a 第一審被告企業の責任期間が3年以上の本件元建築作業従事者については,減額しない。 b 同期間が3年未満の本件元建築作業従事者については,10%減額する。 良性石綿胸水a 第一審被告企業の責任期間が1年以上の本件元建築作業従事者については,減額しない。 b 同期間が1年未満の本件元建築作業従事者については,10%減額する。 エ肺がんを発症した者で喫煙歴があるものに対する慰謝料の減額- 157 -前記のとおり,石綿ばく露と肺がん発生との間には喫煙との相乗作用があることから,第一審被告企業らとの間でも,り患した石綿関連疾患が肺がんであって,かつ,喫煙歴を有する者については,10%を減額することとする。 ⑷ 第一審被告(ア)国が責任を負う損害の範囲第一審被告(ア)国との関係において認容すべき額等は,別紙2-1「認容額等一覧表(第一審被告国関係)」の「第一審原告名」欄記載の各第一審原告に対応する「認容額」欄記載の各金員及びこれに対する「遅延損害金起算日」欄記載の日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金であり,その結論に至る検討の過程は以下のとおりである。 後記検討に当たり,本件元建築作業従事者らの生年月日,労災認定疾病名・認定日,労災認定疾病の発症日等,じん肺管理区分,同人らのうち既に死亡している者の死亡日及び承継関係並びにこれらの認定に用いた証 後記検討に当たり,本件元建築作業従事者らの生年月日,労災認定疾病名・認定日,労災認定疾病の発症日等,じん肺管理区分,同人らのうち既に死亡している者の死亡日及び承継関係並びにこれらの認定に用いた証拠等は,別紙9「職種・疾患等一覧表」に記載のとおりである。また,本件元建築作業従事者らに関する労働者性等についての当事者の主張は,原判決別紙8-2「当事者の主張(一人親方等関係)」(原判決480頁から544頁まで)に記載のとおりである。 ア本件元建築作業従事者x1(第一審原告(1)X1関係) 基準となる慰謝料額本件元建築作業従事者x1は,石綿肺にり患し,平成27年9月19日に死亡したから,基準となる慰謝料額は2800万円である。 慰謝料額の修正等本件元建築作業従事者x1が,第一審被告(ア)国の責任期間(昭和50年10月1日から平成18年8月31日まで)内に10年以上,労働者として石綿粉じんばく露作業に従事したことは,第一審原告(1)X1と第一審被告(ア)国との間に争いがない。 したがって,修正後の慰謝料額は933万3333円(2800万円×1/3)である。 - 158 -弁護士費用弁護士費用は93万円が相当である。 認容額合計上記及びの合計額は1026万3333円である。 遅延損害金の起算日上記の慰謝料額は,本件元建築作業従事者x1が石綿肺にり患し死亡したことを理由とするものであるから,その損害発生時は死亡日の平成27年9月19日であり,遅延損害金の起算日も同日とすべきである。 第一審原告(1)X1は,石綿肺の発症日の平成22年10月9日を遅延損害金の起算日とすべき旨主張するが,石綿肺による損害とその後の死亡による損害との間には,質的に異なるものがあるといわざるを得ず,当初の石 原告(1)X1は,石綿肺の発症日の平成22年10月9日を遅延損害金の起算日とすべき旨主張するが,石綿肺による損害とその後の死亡による損害との間には,質的に異なるものがあるといわざるを得ず,当初の石綿肺の診断がされた時点でその後の死亡に基づく全損害が発生していたとみることはできないから,上記主張は採用することができない(第一審原告らは,石綿肺のほか,中皮腫,肺がん又は良性石綿胸水に関しても,これにり患し死亡した本件元建築作業従事者について同旨の主張をするが,上記説示と同様の理由により,採用することができない。)。 承継関係第一審原告(1)X1は,本件元建築作業従事者x1の本件に関する損害賠償請求権を全て承継した。 イ本件元建築作業従事者x2(第一審原告(2)X2ら関係)基準となる慰謝料額本件元建築作業従事者x2は,石綿肺にり患し,平成27年4月9日に死亡したから,基準となる慰謝料額は2800万円である。 慰謝料額の修正等本件元建築作業従事者x2が,第一審被告(ア)国の責任期間内において,㋐昭和50年10月1日から昭和53年7月までの間,㋑昭和53年8月から昭和54年12月までの間,㋒昭和55年1月から同年4月までの間及び㋓昭和55年5月- 159 -から平成17年6月30日までの間,石綿粉じんばく露作業に従事したこと並びに㋐及び㋒の期間は労働者又は一人親方として同作業に従事したことは,第一審原告(2)X2らと第一審被告(ア)国との間に争いがない。そして,証拠(甲F2の3の1・6・7)及び弁論の全趣旨によれば,㋑の期間は菊池電設に雇用される労働者として,㋓の期間は一人親方等(株式会社幸成電気工業所及びアスカ計装株式会社の代表者)としてそれぞれ同作業に従事したことが認められる。そうすると,同本件元建築作業従 期間は菊池電設に雇用される労働者として,㋓の期間は一人親方等(株式会社幸成電気工業所及びアスカ計装株式会社の代表者)としてそれぞれ同作業に従事したことが認められる。そうすると,同本件元建築作業従事者は,第一審被告(ア)国の責任期間内に10年以上,労働者又は一人親方等として石綿粉じんばく露作業に従事したこととなる。 したがって,修正後の慰謝料額は933万3333円(2800万円×1/3)である。 弁護士費用弁護士費用は93万円が相当である。 認容額合計上記及びの合計額は1026万3333円である。 遅延損害金の起算日上記の慰謝料額は,本件元建築作業従事者x2が石綿肺にり患し死亡したことを理由とするものであるから,その損害発生時は死亡日の平成27年4月9日であり,遅延損害金の起算日も同日とすべきである。 承継関係第一審原告(2-1)X2-1及び同(2-2)X2-2は,本件元建築作業従事者x2の本件に関する損害賠償請求権を,それぞれ2分の1の割合で承継した。 ウ本件元建築作業従事者x3(第一審(3)X3関係)基準となる慰謝料額本件元建築作業従事者x3は,中皮腫にり患し,平成27年10月17日に死亡したから,基準となる慰謝料額は2800万円である。 慰謝料額の修正等- 160 -証拠(甲F3)及び弁論の全趣旨によれば,本件元建築作業従事者x3は,第一審被告(ア)国の責任期間内において,昭和50年10月1日から平成18年3月31日までの間,一人親方として石綿粉じんばく露作業(左官工)に従事したことが認められる。 労災認定のための資料中に,同本件元建築作業従事者が石綿にばく露した期間として,昭和30年から20年間との記載があるが(甲F3の3の2),この記載が,昭和50年以降も同 事したことが認められる。 労災認定のための資料中に,同本件元建築作業従事者が石綿にばく露した期間として,昭和30年から20年間との記載があるが(甲F3の3の2),この記載が,昭和50年以降も同人が左官工の業務に従事したとの上記認定を左右するものでないことは,前記2⑷アに説示したとおりである。 第一審被告(ア)国は,平成16年10月1日以降,同本件元建築作業従事者が石綿粉じんばく露作業に従事したことはない旨主張するが,仮にこの期間を除いたとしても,同本件元建築作業従事者は,第一審被告(ア)国の責任期間内に1年以上,一人親方として石綿粉じんばく露作業に従事したことになる。 したがって,修正後の慰謝料額は933万3333円(2800万円×1/3)である。 弁護士費用弁護士費用は93万円が相当である。 認容額合計上記及びの合計額は1026万3333円である。 遅延損害金の起算日上記の慰謝料額は,本件元建築作業従事者x3が中皮腫にり患し死亡したことを理由とするものであるから,その損害発生時は死亡日の平成27年10月17日であり,遅延損害金の起算日も同日とすべきである。 承継関係第一審原告(3)X3は,本件元建築作業従事者x3の本件に関する損害賠償請求権を全て承継した。 エ第一審原告(4)X4- 161 -基準となる慰謝料額第一審原告(4)X4は,石綿肺(管理3)にり患し,合併症(続発性気管支炎)があるから,基準となる慰謝料額は2200万円である。 慰謝料額の修正等第一審原告(4)X4が,第一審被告(ア)国の責任期間内に10年以上,労働者として石綿粉じんばく露作業に従事したことは,同当事者間に争いがない。 したがって,修正後の慰謝料額は733万3333円(2200万円×1/ X4が,第一審被告(ア)国の責任期間内に10年以上,労働者として石綿粉じんばく露作業に従事したことは,同当事者間に争いがない。 したがって,修正後の慰謝料額は733万3333円(2200万円×1/3)である。 弁護士費用弁護士費用は73万円が相当である。 認容額合計上記及びの合計額は806万3333円である。 遅延損害金の起算日上記の慰謝料額は,第一審原告(4)X4が石綿肺(管理3)にり患し合併症(続発性気管支炎)があることを理由とするものであるから,その損害発生時は,症状確認日の平成25年7月6日であり,遅延損害金の起算日も同日とすべきである。 オ本件元建築作業従事者x5(第一審原告(5)X5関係) 基準となる慰謝料額本件元建築作業従事者x5は,石綿肺にり患し,平成22年4月9日に死亡したから,基準となる慰謝料額は2800万円である。 慰謝料額の修正等本件元建築作業従事者x5が,第一審被告(ア)国の責任期間内において,昭和50年10月1日から平成17年6月30日までの間,石綿粉じんばく露作業に従事したことは,第一審原告(5)X5と第一審被告(ア)国との間に争いがない。そして,証拠(甲F5)によれば,同本件元建築作業従事者は,上記の期間は,一人親- 162 -方等(年岡工務店の屋号又は有限会社年岡工務店の代表者)として同作業に従事したことが認められる。そうすると,同本件元建築作業従事者は,第一審被告(ア)国の責任期間内に10年以上,一人親方等として石綿粉じんばく露作業に従事したこととなる。 したがって,修正後の慰謝料額は933万3333円(2800万円×1/3)である。 弁護士費用弁護士費用は93万円が相当である。 認容額合計上記及びの合計額は ととなる。 したがって,修正後の慰謝料額は933万3333円(2800万円×1/3)である。 弁護士費用弁護士費用は93万円が相当である。 認容額合計上記及びの合計額は1026万3333円である。 遅延損害金の起算日上記の慰謝料額は,本件元建築作業従事者x5が石綿肺にり患し死亡したことを理由とするものであるから,その損害発生時は死亡日の平成22年4月9日であり,遅延損害金の起算日も同日とすべきである。 承継関係第一審原告(5)X5は,本件元建築作業従事者x5の本件に関する損害賠償請求権を全て承継した。 カ本件元建築作業従事者x6(第一審原告(6)X6ら関係)基準となる慰謝料額本件元建築作業従事者x6は,中皮腫にり患し,平成27年5月20日に死亡したから,基準となる慰謝料額は2800万円である。 慰謝料額の修正等本件元建築作業従事者x6が,第一審被告(ア)国の責任期間内に1年以上,労働者として石綿粉じんばく露作業に従事したことは,第一審原告(6)X6らと第一審被告(ア)国との間に争いがない。 したがって,修正後の慰謝料額は933万3333円(2800万円×1/3)- 163 -である。 弁護士費用弁護士費用は93万円が相当である。 認容額合計上記及びの合計額は1026万3333円である。 遅延損害金の起算日上記の慰謝料額は,本件元建築作業従事者x6が中皮腫にり患し死亡したことを理由とするものであるから,その損害発生時は死亡日の平成27年5月20日であり,遅延損害金の起算日も同日とすべきである。 承継関係第一審原告(6-1)X6-1及び同(6-2)X6-2は,本件元建築作業従事者x6の本件に関する損害賠償請求権を,第一審原告( 0日であり,遅延損害金の起算日も同日とすべきである。 承継関係第一審原告(6-1)X6-1及び同(6-2)X6-2は,本件元建築作業従事者x6の本件に関する損害賠償請求権を,第一審原告(6-1)X6-1が10分の7,同(6-2)X6-2が10分の3の割合で,それぞれ承継した。 キ第一審原告(7)X7基準となる慰謝料額第一審原告(7)X7は,肺がんにり患したから,基準となる慰謝料額は2500万円である。 慰謝料額の修正等第一審原告(7)X7が,第一審被告(ア)国の責任期間内に10年以上,労働者として石綿粉じんばく露作業に従事したことは,同当事者間に争いがない。また,証拠(甲F7)によれば,同第一審原告には喫煙歴があることが認められる。 したがって,修正後の慰謝料額は749万9999円(2500万円×1/3×0.9)である。 弁護士費用弁護士費用は75万円が相当である。 認容額合計- 164 -上記及びの合計額は824万9999円である。 遅延損害金の起算日上記の慰謝料額は,第一審原告(7)X7が肺がんにり患したことを理由とするものであるから,その損害発生時は発症日の平成20年11月18日であり,遅延損害金の起算日も同日とすべきである。 ク本件元建築作業従事者x8(第一審原告(8)X8ら関係)基準となる慰謝料額本件元建築作業従事者x8は,石綿肺にり患し,平成26年12月12日に死亡したから,基準となる慰謝料額は2800万円である。 慰謝料額の修正等本件元建築作業従事者x8が,第一審被告(ア)国の責任期間内において,昭和50年10月1日から平成12年3月までの間,石綿粉じんばく露作業に従事したことは,第一審原告(8)X8らと第一審被告(ア)国との間に争い 業従事者x8が,第一審被告(ア)国の責任期間内において,昭和50年10月1日から平成12年3月までの間,石綿粉じんばく露作業に従事したことは,第一審原告(8)X8らと第一審被告(ア)国との間に争いがない。そして,証拠(甲F8)によれば,同本件元建築作業従事者は,上記の期間は,東日サービス及びエディムの屋号で一人親方等として同作業に従事したことが認められる。 そうすると,同本件元建築作業従事者は,第一審被告(ア)国の責任期間内に10年以上,一人親方等として石綿粉じんばく露作業に従事したこととなる。 したがって,修正後の慰謝料額は933万3333円(2800万円×1/3)である。 弁護士費用弁護士費用は93万円が相当である。 認容額合計上記及びの合計額は1026万3333円である。 遅延損害金の起算日上記の慰謝料額は,本件元建築作業従事者x8が石綿肺にり患し死亡したことを理由とするものであるから,その損害発生時は死亡日の平成26年12月12日- 165 -であり,遅延損害金の起算日も同日とすべきである。 承継関係第一審原告(8-1)X8-1,同(8-8)X8-8及び同(8-9)X8-9は,本件元建築作業従事者x8の本件に関する損害賠償請求権を,第一審原告(8-1)X8-1が12分の1,同(8-8)X8-8及び同(8-9)X8-9が各4分の1の割合で,それぞれ承継した。 ケ第一審原告(9)X9基準となる慰謝料額第一審原告(9)X9は,石綿肺(管理2)にり患し,合併症(続発性気管支炎)があるから,基準となる慰謝料額は1900万円である。 慰謝料額の修正等第一審原告(9)X9が,第一審被告(ア)国の責任期間内に10年以上,労働者として石綿粉じんばく露作業に従事したことは,同当事 から,基準となる慰謝料額は1900万円である。 慰謝料額の修正等第一審原告(9)X9が,第一審被告(ア)国の責任期間内に10年以上,労働者として石綿粉じんばく露作業に従事したことは,同当事者間に争いがない。 したがって,修正後の慰謝料額は633万3333円(1900万円×1/3)である。 弁護士費用弁護士費用は63万円が相当である。 認容額合計上記及びの合計額は696万3333円である。 遅延損害金の起算日上記の慰謝料額は,第一審原告(9)X9が石綿肺(管理2)にり患し合併症(続発性気管支炎)があることを理由とするものであるから,その損害発生時は発症日の平成23年12月24日であり,遅延損害金の起算日も同日とすべきである。 コ本件元建築作業従事者x10(第一審原告(10)X10関係)基準となる慰謝料額本件元建築作業従事者x10は,肺がんにり患し,平成25年7月11日に死亡- 166 -したから,基準となる慰謝料額は2800万円である。 慰謝料額の修正等本件元建築作業従事者x10が,第一審被告(ア)国の責任期間内において,昭和59年3月から平成5年11月までの9年9か月間,労働者として石綿粉じんばく露作業に従事したことは,第一審原告(10)X10と第一審被告(ア)国との間に争いがない。 また,証拠(甲F10,第一審原告(10)X10本人(第2回))及び弁論の全趣旨によれば,同本件元建築作業従事者は,第一審被告(ア)国の責任期間内において,昭和55年3月,4月,8月,9月の合計4か月間,有限会社鍵山工務店において,労働者として解体作業等の石綿粉じんばく露作業に従事したことが認められる。 そうすると,同本件元建築作業従事者は,第一審被告(ア)国の責任期間内に10年以上, か月間,有限会社鍵山工務店において,労働者として解体作業等の石綿粉じんばく露作業に従事したことが認められる。 そうすると,同本件元建築作業従事者は,第一審被告(ア)国の責任期間内に10年以上,労働者として石綿粉じんばく露作業に従事したこととなる。 また,本件全証拠によっても,同本件元建築作業従事者に喫煙歴があることを認めることはできず,かえって証拠(甲F10の3の1・7・9・10)によれば,同人には喫煙歴がないことが認められる。 したがって,修正後の慰謝料額は933万3333円(2800万円×1/3)である。 弁護士費用弁護士費用は93万円が相当である。 認容額合計上記及びの合計額は1026万3333円である。 遅延損害金の起算日前記の慰謝料額は,本件元建築作業従事者x10が肺がんにり患し死亡したことを理由とするものであるから,その損害発生時は死亡日の平成25年7月11日であり,遅延損害金の起算日も同日とすべきである。 - 167 -承継関係第一審原告(10)X10は,本件元建築作業従事者x10の本件に関する損害賠償請求権を全て承継した。 サ本件元建築作業従事者x11(第一審原告(11)X11関係)本件元建築作業従事者x11は,良性石綿胸水にり患し,平成29年6月9日に死亡したから,基準となる慰謝料額は2800万円である。 なお,第一審原告(11)X11は,同本件元建築作業従事者はびまん性胸膜肥厚にもり患した旨主張するが,同主張に理由がないことは,原判決の「事実及び理由」の「第3章当裁判所の判断」の第2の3⑵サ(原判決192頁4行目から24行目まで)に説示するとおりであるから,これを引用する。証拠(甲F11の4)中には,同本件元建築作業従事者の直接死因である肺炎の原因が 当裁判所の判断」の第2の3⑵サ(原判決192頁4行目から24行目まで)に説示するとおりであるから,これを引用する。証拠(甲F11の4)中には,同本件元建築作業従事者の直接死因である肺炎の原因がびまん性胸膜肥厚であるとの記載があるが,それだけでは,同本件元建築作業従事者がびまん性胸膜肥厚にり患していたことを認めるに足りない。 慰謝料額の修正等本件元建築作業従事者x11が,第一審被告(ア)国の責任期間内において,昭和50年10月1日から平成5年12月までの間,石綿粉じんばく露作業に従事したことは,第一審原告(11)X11と第一審被告(ア)国との間に争いがない。そして,証拠(甲F11)によれば,同本件元建築作業従事者は,上記の期間は,森崎鉄工所の屋号で一人親方等として同作業に従事したことが認められる。そうすると,同本件元建築作業従事者は,第一審被告(ア)国の責任期間内に1年以上,一人親方等として石綿粉じんばく露作業に従事したこととなる。 したがって,修正後の慰謝料額は933万3333円(2800万円×1/3)である。 弁護士費用弁護士費用は93万円が相当である。 認容額合計- 168 -上記及びの合計額は1026万3333円である。 遅延損害金の起算日前記の慰謝料額は,本件元建築作業従事者x11が良性石綿胸水にり患し死亡したことを理由とするものであるから,その損害発生時は死亡日の平成29年6月9日であり,遅延損害金の起算日も同日とすべきである。 承継関係第一審原告(11)X11は,本件元建築作業従事者x11の本件に関する損害賠償請求権を全て承継した。 シ第一審原告(12)X12基準となる慰謝料額第一審原告(12)X12は,肺がんにり患したから,基準となる慰謝料額は2 築作業従事者x11の本件に関する損害賠償請求権を全て承継した。 シ第一審原告(12)X12基準となる慰謝料額第一審原告(12)X12は,肺がんにり患したから,基準となる慰謝料額は2500万円である。 慰謝料額の修正等第一審原告(12)X12が,第一審被告(ア)国の責任期間内において,㋐昭和50年10月1日から昭和52年3月までの間及び㋑昭和52年4月から平成16年9月30日までの間,石綿粉じんばく露作業に従事したこと並びに㋐の期間は労働者として同作業に従事したことは,同当事者間に争いがない。そして,証拠(甲F12,第一審原告(12)X12本人)によれば,同第一審原告は,㋑の期間は,時には山本工務店の臨時雇いとして同作業に従事することもあった(昭和52年4月から昭和60年12月頃までの間,年度変わり等の仕事がないときに,1年に2か月程度)が,ほとんどの期間を一人親方として同作業に従事したことが認められる。そうすると,同第一審原告は,第一審被告(ア)国の責任期間内に10年以上,労働者又は一人親方として石綿粉じんばく露作業に従事したこととなる。また,証拠(甲F12)によれば,同第一審原告には喫煙歴があることが認められる。 したがって,修正後の慰謝料額は749万9999円(2500万円×1/3×0.9)である。 - 169 -弁護士費用弁護士費用は75万円が相当である。 認容額合計上記及びの合計額は824万9999円である。 遅延損害金の起算日上記の慰謝料額は,第一審原告(12)X12が肺がんにり患したことを理由とするものであるから,その損害発生時は発症日の平成23年9月14日であり,遅延損害金の起算日も同日とすべきである。 ス本件元建築作業従事者x13(第一審原告(13)X1 がんにり患したことを理由とするものであるから,その損害発生時は発症日の平成23年9月14日であり,遅延損害金の起算日も同日とすべきである。 ス本件元建築作業従事者x13(第一審原告(13)X13ら関係)基準となる慰謝料額本件元建築作業従事者x13は,肺がんにり患し,平成25年1月25日に死亡したから,基準となる慰謝料額は2800万円である。 慰謝料額の修正等本件元建築作業従事者x13が,第一審被告(ア)国の責任期間内に10年以上,労働者として石綿粉じんばく露作業に従事したことは,第一審原告(13)X13らと第一審被告(ア)国との間に争いがない。また,証拠(甲F13)によれば,同本件元建築作業従事者には喫煙歴があることが認められる。 したがって,修正後の慰謝料額は839万9999円(2800万円×1/3×0.9)である。 弁護士費用弁護士費用は84万円が相当である。 認容額合計上記及びの合計額は923万9999円である。 遅延損害金の起算日前記の慰謝料額は,本件元建築作業従事者x13が肺がんにり患し死亡したことを理由とするものであるから,その損害発生時は死亡日の平成25年1月25日- 170 -であり,遅延損害金の起算日も同日とすべきである。 承継関係第一審原告(13-1)X13-1及び同(13-2)X13-2は,本件元建築作業従事者x13の本件に関する損害賠償請求権を,それぞれ2分の1の割合で承継した。 セ本件元建築作業従事者x14(第一審原告(14)X14関係)基準となる慰謝料額本件元建築作業従事者x14は,肺がんにり患し,平成22年12月28日に死亡したから,基準となる慰謝料額は2800万円である。 慰謝料額の修正等本件元建築作業従事者x14 準となる慰謝料額本件元建築作業従事者x14は,肺がんにり患し,平成22年12月28日に死亡したから,基準となる慰謝料額は2800万円である。 慰謝料額の修正等本件元建築作業従事者x14が,第一審被告(ア)国の責任期間内に10年以上,労働者として石綿粉じんばく露作業に従事したことは,第一審原告(14)X14と第一審被告(ア)国との間に争いがない。また,証拠(甲F14,第一審原告(14)X14本人)によれば,同本件元建築作業従事者には喫煙歴があることが認められる。 したがって,修正後の慰謝料額は839万9999円(2800万円×1/3×0.9)である。 弁護士費用弁護士費用は84万円が相当である。 認容額合計上記及びの合計額は923万9999円である。 遅延損害金の起算日前記の慰謝料額は,本件元建築作業従事者x14が肺がんにり患し死亡したことを理由とするものであるから,その損害発生時は死亡日の平成22年12月28日であり,遅延損害金の起算日も同日とすべきである。 承継関係- 171 -第一審原告(14)X14は,本件元建築作業従事者x14の本件に関する損害賠償請求権を全て承継した。 ソ本件元建築作業従事者x15(第一審原告(15)X15関係)基準となる慰謝料額本件元建築作業従事者x15は,肺がんにり患し,平成24年6月18日に死亡したから,基準となる慰謝料額は2800万円である。 慰謝料額の修正等本件元建築作業従事者x15が,第一審被告(ア)国の責任期間内において,昭和50年10月1日から昭和60年3月までの約9年6か月の間,労働者として石綿粉じんばく露作業に従事したことは,第一審原告(15)X15と第一審被告(ア)国との間に争いがなく,その期間は10年に満 和50年10月1日から昭和60年3月までの約9年6か月の間,労働者として石綿粉じんばく露作業に従事したことは,第一審原告(15)X15と第一審被告(ア)国との間に争いがなく,その期間は10年に満たない。また,証拠(甲F15)によれば,同本件元建築作業従事者には喫煙歴があることが認められる。 したがって,修正後の慰謝料額は755万9999円(2800万円×1/3×0.9×0.9)である。 弁護士費用弁護士費用は76万円が相当である。 認容額合計上記及びの合計額は831万9999円である。 遅延損害金の起算日上記の慰謝料額は,本件元建築作業従事者x15が肺がんにり患し死亡したことを理由とするものであるから,その損害発生時は死亡日の平成24年6月18日であり,遅延損害金の起算日も同日とすべきである。 承継関係第一審原告(15)X15は,本件元建築作業従事者x15の本件に関する損害賠償請求権を全て承継した。 タ本件元建築作業従事者x16(第一審原告(16)X16ら関係)- 172 -基準となる慰謝料額本件元建築作業従事者x16は,肺がんにり患し,平成20年11月16日に死亡したから,基準となる慰謝料額は2800万円である。 慰謝料額の修正等本件元建築作業従事者x16が,第一審被告(ア)国の責任期間内に10年以上,労働者として石綿粉じんばく露作業に従事したことは,第一審原告(16)X16らと第一審被告(ア)国との間に争いがない。また,証拠(甲F16)によれば,同本件元建築作業従事者には喫煙歴があることが認められる。 したがって,修正後の慰謝料額は839万9999円(2800万円×1/3×0.9)である。 弁護士費用弁護士費用は84万円が相当である。 認容 には喫煙歴があることが認められる。 したがって,修正後の慰謝料額は839万9999円(2800万円×1/3×0.9)である。 弁護士費用弁護士費用は84万円が相当である。 認容額合計上記及びの合計額は923万9999円である。 遅延損害金の起算日前記の慰謝料額は,本件元建築作業従事者x16が肺がんにり患し死亡したことを理由とするものであるから,その損害発生時は死亡日の平成20年11月16日であり,遅延損害金の起算日も同日とすべきである。 承継関係第一審原告(16-1)X16-1及び同(16-2)X16-2は,本件元建築作業従事者x16の本件に関する損害賠償請求権を,それぞれ2分の1の割合で承継した。 チ本件元建築作業従事者x17(第一審原告(17)X17ら関係)基準となる慰謝料額本件元建築作業従事者x17は,石綿肺にり患し,平成29年4月19日に死亡したから,基準となる慰謝料額は2800万円である。 - 173 -慰謝料額の修正等本件元建築作業従事者x17が,第一審被告(ア)国の責任期間内において,㋐昭和50年10月1日から昭和54年までの間及び㋑昭和54年から平成16年9月30日までの間,石綿粉じんばく露作業に従事したこと並びに㋐の期間は労働者として同作業に従事したことは,第一審原告(17)X17らと第一審被告(ア)国との間に争いがない。そして,証拠(甲F17)によれば,同本件元建築作業従事者は,㋑の期間は,佐藤左官興業の屋号で一人親方等として同作業に従事したことが認められる。そうすると,同本件元建築作業従事者は,第一審被告(ア)国の責任期間内に10年以上,労働者又は一人親方等として石綿粉じんばく露作業に従事したこととなる。 したがって,修正後の慰謝料額は93 られる。そうすると,同本件元建築作業従事者は,第一審被告(ア)国の責任期間内に10年以上,労働者又は一人親方等として石綿粉じんばく露作業に従事したこととなる。 したがって,修正後の慰謝料額は933万3333円(2800万円×1/3)である。 弁護士費用弁護士費用は93万円が相当である。 認容額合計上記及びの合計額は1026万3333円である。 遅延損害金の起算日上記の慰謝料額は,本件元建築作業従事者x17が石綿肺にり患し死亡したことを理由とするものであるから,その損害発生時は死亡日の平成29年4月19日であり,遅延損害金の起算日も同日とすべきである。 承継関係第一審原告(17-1)X17-1,同(17-2)X17-2,同(17-3)X17-3及び同(17-4)X17-4は,本件元建築作業従事者x17の本件に関する損害賠償請求権を,第一審原告(17-1)X17-1が2分の1,同(17-2)X17-2,同(17-3)X17-3及び同(17-4)X17-4が各6分の1の割合で,それぞれ承継した。 - 174 -ツ第一審原告(18)X18 基準となる慰謝料額第一審原告(18)X18は,良性石綿胸水及びびまん性胸膜肥厚にり患したから,基準となる慰謝料額は2500万円(びまん性胸膜肥厚に係る金額)である。 慰謝料額の修正等第一審原告(18)X18が,第一審被告(ア)国の責任期間内において,昭和50年10月1日から平成16年9月30日までの間,石綿粉じんばく露作業に従事したことは,同当事者間に争いがない。そして,証拠(甲F18,第一審原告(18)X18本人)によれば,同第一審原告は,上記期間は,佐藤建工社などの屋号で一人親方等として同作業に従事したことが認められる。そうすると 当事者間に争いがない。そして,証拠(甲F18,第一審原告(18)X18本人)によれば,同第一審原告は,上記期間は,佐藤建工社などの屋号で一人親方等として同作業に従事したことが認められる。そうすると,同第一審原告は,第一審被告(ア)国の責任期間内に3年以上,一人親方等として石綿粉じんばく露作業に従事したこととなる。 したがって,修正後の慰謝料額は833万3333円(2500万円×1/3)である。 弁護士費用弁護士費用は83万円が相当である。 認容額合計上記及びの合計額は916万3333円である。 遅延損害金の起算日上記の慰謝料額は,第一審原告(18)X18がびまん性胸膜肥厚にり患したことを理由とするものであるから,その損害発生時はびまん性胸膜肥厚の診断がされた平成22年12月11日であり,遅延損害金の起算日も同日とすべきである。 同第一審原告は,良性石綿胸水の災害発生日の平成21年2月16日を遅延損害金の起算日とすべきであると主張する。しかし,原判決の「事実及び理由」の「第2章事案の概要」の第2の3⑷及び⑸(原判決20頁6行目から21頁25行目まで)に記載のとおり,良性石綿胸水とびまん性胸膜肥厚とでは,病態に明らかな- 175 -差異があり,良性石綿胸水による損害とびまん性胸膜肥厚による損害との間には,質的に異なるものがあるといわざるを得ないから,当初の良性石綿胸水の診断がされた時点で,その後のびまん性胸膜肥厚に基づく全損害が発生していたとみることはできない。したがって,上記主張は採用することができない。 テ本件元建築作業従事者x19(第一審原告(19)X19関係)基準となる慰謝料額本件元建築作業従事者x19は,肺がんにり患し,平成24年5月18日に死亡したから,基準となる慰謝料額は2800 本件元建築作業従事者x19(第一審原告(19)X19関係)基準となる慰謝料額本件元建築作業従事者x19は,肺がんにり患し,平成24年5月18日に死亡したから,基準となる慰謝料額は2800万円である。 慰謝料額の修正等本件元建築作業従事者x19が,第一審被告(ア)国の責任期間内において,㋐昭和62年5月から平成6年11月までの間及び㋑平成6年12月から平成16年9月30日までの間,石綿粉じんばく露作業に従事したこと並びに㋐の期間は労働者として同作業に従事したことは,第一審原告(19)X19と第一審被告(ア)国との間に争いがない。そして,証拠(甲F19)によれば,同本件元建築作業従事者は,㋑の期間は,共設配管工業の屋号で一人親方等として同作業に従事したことが認められる。そうすると,同本件元建築作業従事者は,第一審被告(ア)国の責任期間内に10年以上,労働者又は一人親方等として石綿粉じんばく露作業に従事したこととなる。また,本件全証拠によっても,同本件元建築作業従事者に喫煙歴があると認めることはできない。したがって,修正後の慰謝料額は933万3333円(2800万円×1/3)である。 弁護士費用弁護士費用は93万円が相当である。 認容額合計上記及びの合計額は1026万3333円である。 遅延損害金の起算日上記の慰謝料額は,本件元建築作業従事者x19が肺がんにり患し死亡したこ- 176 -とを理由とするものであるから,その損害発生時は死亡日の平成24年5月18日であり,遅延損害金の起算日も同日とすべきである。 承継関係第一審原告(19)X19は,本件元建築作業従事者x19の本件に関する損害賠償請求権を全て承継した。 ト第一審原告(20)X20基準となる慰謝料額第一審 べきである。 承継関係第一審原告(19)X19は,本件元建築作業従事者x19の本件に関する損害賠償請求権を全て承継した。 ト第一審原告(20)X20基準となる慰謝料額第一審原告(20)X20は,石綿肺(管理3)にり患し,合併症(続発性気管支炎)があるから,基準となる慰謝料額は2200万円である。 慰謝料額の修正等第一審原告(20)X20が,㋐昭和51年10月から昭和56年3月11日までの間,㋑平成2年7月から平成4年7月までのうち通算104日間,㋒平成6年8月から平成19年3月までの間のうち通算976日間,㋓平成6年8月から平成19年3月までの間のうち通算779日間,㋔平成13年12月から平成14年3月までのうち通算25日間及び㋕平成11年2月から平成19年3月までのうち通算776日間,石綿粉じんばく露作業に従事したこと並びに㋐,㋒,㋔及び㋕の期間は労働者として同作業に従事したことは,同当事者間に争いがない。そして,証拠(甲F20)及び弁論の全趣旨によれば,同第一審原告は,㋑及び㋓の期間は,シメキカンパニー又はシメキテクノの屋号で一人親方として同作業に従事したことが認められる。 ところで,第一審被告(ア)国の責任期間は平成18年8月31日が終期であるところ,仮に責任期間外である平成18年9月1日から平成19年3月までの7か月間全て石綿粉じんばく露作業に従事したとして,この7か月を上記㋐から㋕までの合計期間である11年8か月余から減じても,10年を超えることとなる。 そうすると,第一審原告(20)X20は,第一審被告(ア)国の責任期間内に10年以上,労働者又は一人親方として石綿粉じんばく露作業に従事したこととなる。 - 177 -したがって,修正後の慰謝料額は733万3333円(2200万円×1/3) 告(ア)国の責任期間内に10年以上,労働者又は一人親方として石綿粉じんばく露作業に従事したこととなる。 - 177 -したがって,修正後の慰謝料額は733万3333円(2200万円×1/3)である。 弁護士費用弁護士費用は73万円が相当である。 認容額合計上記及びの合計額は806万3333円である。 遅延損害金の起算日上記の慰謝料額は,第一審原告(20)X20が石綿肺(管理3)にり患し合併症(続発性気管支炎)があることを理由とするものであるから,その損害発生時は被災年月日の平成23年7月9日であり,遅延損害金の起算日も同日とすべきである。 ナ第一審原告(21)X21基準となる慰謝料額第一審原告(21)X21は,肺がんにり患したから,基準となる慰謝料額は2500万円である。 慰謝料額の修正等第一審原告(21)X21が,第一審被告(ア)国の責任期間内に10年以上,労働者として石綿粉じんばく露作業に従事したことは,同当事者間に争いがない。また,証拠(甲F21)によれば,同第一審原告には喫煙歴があることが認められる。 したがって,修正後の慰謝料額は749万9999円(2500万円×1/3×0.9)である。 弁護士費用弁護士費用は75万円が相当である。 認容額合計上記及びの合計額は824万9999円である。 遅延損害金の起算日- 178 -上記の慰謝料額は,第一審原告(21)X21が肺がんにり患したことを理由とするものであるから,その損害発生時は発症日の平成21年11月2日であり,遅延損害金の起算日も同日とすべきである。 ニ本件元建築作業従事者x22(第一審原告(22)X22ら関係)基準となる慰謝料額本件元建築作業従事者x22は,石 の平成21年11月2日であり,遅延損害金の起算日も同日とすべきである。 ニ本件元建築作業従事者x22(第一審原告(22)X22ら関係)基準となる慰謝料額本件元建築作業従事者x22は,石綿肺にり患し,令和元年11月24日に死亡したから,基礎となる慰謝料額は2800万円である。 第一審被告(ア)国は,同本件元建築作業従事者が医師の判断を踏まえて労災認定された傷病名は石綿肺ではなくじん肺であるから,同本件元建築作業従事者の労災認定疾患は石綿肺ではない旨主張するが,同主張に理由がないことは,原判決の「事実及び理由」の「第3章当裁判所の判断」の第2の3⑵ニ(ただし,原判決203頁15行目から204頁5行目までの部分に限る。)に説示するとおりであるから,これを引用する。 慰謝料額の修正等本件元建築作業従事者x22が,第一審被告(ア)国の責任期間内に10年以上,労働者として石綿粉じんばく露作業に従事したことは,第一審原告(22)X22らと第一審被告(ア)国との間に争いがない。 したがって,修正後の慰謝料額は933万3333円(2800万円×1/3)である。 弁護士費用弁護士費用は93万円が相当である。 認容額合計上記及びの合計額は1026万3333円である。 遅延損害金の起算日上記の慰謝料額は,本件元建築作業従事者x22が石綿肺にり患し死亡したことを理由とするものであるから,その損害発生時は死亡日の令和元年11月24日- 179 -であり,遅延損害金の起算日も同日とすべきである。 承継関係第一審原告(22-1)X22-1,同(22-2)X22-2及び同(22-3)X22-3は,本件元建築作業従事者x22の本件に関する損害賠償請求権を,それぞれ3分の1の割合で承継した。 ヌ 係第一審原告(22-1)X22-1,同(22-2)X22-2及び同(22-3)X22-3は,本件元建築作業従事者x22の本件に関する損害賠償請求権を,それぞれ3分の1の割合で承継した。 ヌ第一審原告(23)X23基準となる慰謝料額第一審原告(23)X23は,肺がんにり患したから,基準となる慰謝料額は2500万円である。 慰謝料額の修正等第一審原告(23)X23が,第一審被告(ア)国の責任期間内に10年以上,労働者として石綿粉じんばく露作業に従事したことは,同当事者間に争いがない。また,証拠(甲F23,第一審原告(23)X23本人)によれば,同第一審原告には喫煙歴があることが認められる。 したがって,修正後の慰謝料額は749万9999円(2500万円×1/3×0.9)である。 弁護士費用弁護士費用は75万円が相当である。 認容額合計上記及びの合計額は824万9999円である。 遅延損害金の起算日上記の慰謝料額は,第一審原告(23)X23が肺がんにり患したことを理由とするものであるから,その損害発生時は発症日の平成21年9月14日であり,遅延損害金の起算日も同日とすべきである。 ネ本件元建築作業従事者x24(第一審原告(24)X24関係)基準となる慰謝料額- 180 -本件元建築作業従事者x24は,肺がんにり患し,平成23年4月23日に死亡したから,基準となる慰謝料額は2800万円である。 慰謝料額の修正等本件元建築作業従事者x24が,第一審被告(ア)国の責任期間内において,昭和50年10月1日から平成16年9月30日までの間,石綿粉じんばく露作業に従事したことは,第一審原告(24)X24と第一審被告(ア)国との間に争いがない。そして,証拠(甲F24) 間内において,昭和50年10月1日から平成16年9月30日までの間,石綿粉じんばく露作業に従事したことは,第一審原告(24)X24と第一審被告(ア)国との間に争いがない。そして,証拠(甲F24)によれば,同本件元建築作業従事者は,上記の期間は,鈴木建設の屋号で一人親方等として同作業に従事したことが認められる。そうすると,同本件元建築作業従事者は,第一審被告(ア)国の責任期間内に10年以上,一人親方等として石綿粉じんばく露作業に従事したこととなる。また,証拠(甲F24)によれば,同本件元建築作業従事者には喫煙歴があることが認められる。 したがって,修正後の慰謝料額は839万9999円(2800万円×1/3×0.9)である。 弁護士費用弁護士費用は84万円が相当である。 認容額合計上記及びの合計額は923万9999円である。 遅延損害金の起算日上記の慰謝料額は,本件元建築作業従事者x24が肺がんにり患し死亡したことを理由とするものであるから,その損害発生時は死亡日の平成23年4月23日であり,遅延損害金の起算日も同日とすべきである。 承継関係第一審原告(24)X24は,本件元建築作業従事者x24の本件に関する損害賠償請求権を全て承継した。 ノ本件元建築作業従事者x25(第一審原告(25)X25関係)基準となる慰謝料額- 181 -本件元建築作業従事者x25は,肺がんにり患し,平成26年6月5日に死亡したから,基準となる慰謝料額は2800万円である。 慰謝料額の修正等本件元建築作業従事者x25が,第一審被告(ア)国の責任期間内において,昭和53年から平成16年9月30日までの間,石綿粉じんばく露作業に従事したことは,第一審原告(25)X25と第一審被告(ア)国との間に争いが 従事者x25が,第一審被告(ア)国の責任期間内において,昭和53年から平成16年9月30日までの間,石綿粉じんばく露作業に従事したことは,第一審原告(25)X25と第一審被告(ア)国との間に争いがない。そして,証拠(甲F25)によれば,同本件元建築作業従事者は,上記の期間は,髙木内装の屋号で一人親方として同作業に従事したことが認められる。そうすると,同本件元建築作業従事者は,第一審被告(ア)国の責任期間内に10年以上,一人親方として石綿粉じんばく露作業に従事したこととなる。また,証拠(甲F25)によれば,同本件元建築作業従事者には喫煙歴があることが認められる。 したがって,修正後の慰謝料額は839万9999円(2800万円×1/3×0.9)である。 弁護士費用弁護士費用は84万円が相当である。 認容額合計上記及びの合計額は923万9999円である。 遅延損害金の起算日上記の慰謝料額は,本件元建築作業従事者x25が肺がんにり患し死亡したことを理由とするものであるから,その損害発生時は死亡日の平成26年6月5日であり,遅延損害金の起算日も同日とすべきである。 承継関係第一審原告(25)X25は,本件元建築作業従事者x25の本件に関する損害賠償請求権を全て承継した。 ハ第一審原告(26)X26基準となる慰謝料額- 182 -第一審原告(26)X26は,肺がんにり患したから,基準となる慰謝料額は2500万円である。 慰謝料額の修正等第一審原告(26)X26が,第一審被告(ア)国の責任期間内に10年以上,労働者として石綿粉じんばく露作業に従事したことは,同当事者間に争いがない。また,証拠(甲F26)によれば,同第一審原告には喫煙歴があることが認められる。 したがって,修正後 任期間内に10年以上,労働者として石綿粉じんばく露作業に従事したことは,同当事者間に争いがない。また,証拠(甲F26)によれば,同第一審原告には喫煙歴があることが認められる。 したがって,修正後の慰謝料額は749万9999円(2500万円×1/3×0.9)である。 弁護士費用弁護士費用は75万円が相当である。 認容額合計上記及びの合計額は824万9999円である。 遅延損害金の起算日上記の慰謝料額は,第一審原告(26)X26が肺がんにり患したことを理由とするものであるから,その損害発生時は発症日の平成21年12月4日であり,遅延損害金の起算日も同日とすべきである。 ヒ本件元建築作業従事者x27(第一審原告(27)X27ら関係)基準となる慰謝料額本件元建築作業従事者x27は,石綿肺にり患し,平成30年8月9日に死亡したから,基準となる慰謝料額は2800万円である。 慰謝料額の修正等本件元建築作業従事者x27が,第一審被告(ア)国の責任期間内において,㋐昭和50年10月1日から同年12月までの間,㋑昭和52年1月から昭和53年6月までの間及び㋒昭和53年7月から平成16年9月30日までの間,石綿粉じんばく露作業に従事したこと,㋐の期間は労働者として同作業に従事したこと並びに㋑の期間は一人親方として同作業に従事したことは,第一審原告(27)X27- 183 -らと第一審被告(ア)国との間に争いがない。そして,証拠(甲F27)によれば,同本件元建築作業従事者は,㋒の期間は,田子工務店の屋号で一人親方等として同作業に従事したことが認められる。そうすると,同本件元建築作業従事者は,第一審被告(ア)国の責任期間内に10年以上,労働者又は一人親方等として石綿粉じんばく露作業に従事したことと 一人親方等として同作業に従事したことが認められる。そうすると,同本件元建築作業従事者は,第一審被告(ア)国の責任期間内に10年以上,労働者又は一人親方等として石綿粉じんばく露作業に従事したこととなる。 したがって,修正後の慰謝料額は933万3333円(2800万円×1/3)である。 弁護士費用弁護士費用は93万円が相当である。 認容額合計上記及びの合計額は1026万3333円である。 遅延損害金の起算日等上記の慰謝料額は,本件元建築作業従事者x27が石綿肺にり患し死亡したことを理由とするものであるから,その損害発生時は死亡日の平成30年8月9日であり,遅延損害金の起算日も同日とすべきである。 承継関係第一審原告(27-1)X27-1,同(27-2)X27-2,同(27-3)X27-3,同(27-4)X27-4及び同(27-5)X27-5は,本件元建築作業従事者x27の本件に関する損害賠償請求権を,第一審原告(27-1)X27-1が6分の5,同(27-2)X27-2,同(27-3)X27-3及び同(27-4)X27-4が各36分の1,同(27-5)X27-5が12分の1の割合で,それぞれ承継した。 フ第一審原告(28)X28基準となる慰謝料額第一審原告(28)X28は,石綿肺(管理2)にり患し,合併症(続発性気管支炎)があるから,基準となる慰謝料額は1900万円である。 - 184 -慰謝料額の修正等第一審原告(28)X28が,第一審被告(ア)国の責任期間内に10年以上,労働者として石綿粉じんばく露作業に従事したことは,同当事者間に争いがない。 したがって,修正後の慰謝料額は633万3333円(1900万円×1/3)である。 弁護士費用弁護士費用は63 労働者として石綿粉じんばく露作業に従事したことは,同当事者間に争いがない。 したがって,修正後の慰謝料額は633万3333円(1900万円×1/3)である。 弁護士費用弁護士費用は63万円が相当である。 認容額合計上記及びの合計額は696万3333円である。 遅延損害金の起算日上記の慰謝料額は,第一審原告(28)X28が石綿肺(管理2)にり患し合併症(続発性気管支炎)があることを理由とするものであるから,その損害発生時は災害発生日の平成24年4月17日であり,遅延損害金の起算日も同日とすべきである。 へ第一審原告(29)X29基準となる慰謝料額第一審原告(29)X29は,びまん性胸膜肥厚にり患したから,基準となる慰謝料額は2500万円である。 慰謝料額の修正等第一審原告(29)X29が,第一審被告(ア)国の責任期間内において,昭和61年10月から平成2年までの間,労働者として石綿粉じんばく露作業に従事したことは,同当事者間に争いがないから,同第一審原告は第一審被告(ア)国の責任期間内に3年以上,労働者として従事したこととなる。 したがって,修正後の慰謝料額は833万3333円(2500万円×1/3)である。 弁護士費用- 185 -弁護士費用は83万円が相当である。 認容額合計上記及びの合計額は916万3333円である。 遅延損害金の起算日上記の慰謝料額は,第一審原告(29)X29がびまん性胸膜肥厚にり患したことを理由とするものであるから,その損害発生時は発症日の平成23年3月7日であり,遅延損害金の起算日も同日とすべきである。 ホ本件元建築作業従事者x30(第一審原告(30)X30ら関係)基準となる慰謝料額本件元建築作業従事 発生時は発症日の平成23年3月7日であり,遅延損害金の起算日も同日とすべきである。 ホ本件元建築作業従事者x30(第一審原告(30)X30ら関係)基準となる慰謝料額本件元建築作業従事者x30は,石綿肺にり患し,平成30年9月21日に死亡したから,基準となる慰謝料額は2800万円となる。 慰謝料額の修正等本件元建築作業従事者x30が,第一審被告(ア)国の責任期間内に10年以上,労働者として石綿粉じんばく露作業に従事したことは,第一審原告(30)X30らと第一審被告(ア)国との間に争いがない。 したがって,修正後の慰謝料額は933万3333円(2800万円×1/3)である。 弁護士費用弁護士費用は93万円が相当である。 認容額合計上記及びの合計額は1026万3333円である。 遅延損害金の起算日上記の慰謝料額は,本件元建築作業従事者x30が石綿肺にり患し死亡したことを理由とするものであるから,その損害発生時は死亡日の平成30年9月21日であり,遅延損害金の起算日も同日とすべきである。 承継関係- 186 -第一審原告(30-1)X30-1及び同(30-2)X30-2は,本件元建築作業従事者x30の本件に関する損害賠償請求権を,それぞれ2分の1の割合で承継した。 マ本件元建築作業従事者x31(第一審原告(31)X31関係)基準となる慰謝料額本件元建築作業従事者x31は,肺がんにり患し,平成24年10月5日に死亡したから,基準となる慰謝料額は2800万円である。 慰謝料額の修正等本件元建築作業従事者x31が,第一審被告(ア)国の責任期間内に10年以上,労働者として石綿粉じんばく露作業に従事したことは,第一審原告(31)X31と第一審被告(ア)国との間 慰謝料額の修正等本件元建築作業従事者x31が,第一審被告(ア)国の責任期間内に10年以上,労働者として石綿粉じんばく露作業に従事したことは,第一審原告(31)X31と第一審被告(ア)国との間に争いがない。また,証拠(甲F31)によれば,同本件元建築作業従事者には喫煙歴があることが認められる。 したがって,修正後の慰謝料額は839万9999円(2800万円×1/3×0.9)である。 弁護士費用弁護士費用は84万円が相当である。 認容額合計上記及びの合計額は923万9999円である。 遅延損害金の起算日上記の慰謝料額は本件元建築作業従事者x31が肺がんにり患し死亡したことを理由とするものであるから,その損害発生時は死亡日の平成24年10月5日であり,遅延損害金の起算日も同日とすべきである。 承継関係第一審原告(31)X31は,本件元建築作業従事者x31の本件に関する損害賠償請求権を全て承継した。 ミ第一審原告(32)X32- 187 -基準となる慰謝料額第一審原告(32)X32は,びまん性胸膜肥厚にり患したから,基準となる慰謝料額は2500万円である。 慰謝料額の修正等第一審原告(32)X32が,第一審被告(ア)国の責任期間内に3年以上,労働者として石綿粉じんばく露作業に従事したことは,同当事者間に争いがない。 したがって,修正後の慰謝料額は833万3333円(2500万円×1/3)である。 弁護士費用弁護士費用は83万円が相当である。 認容額合計上記及びの合計額は916万3333円である。 遅延損害金の起算日上記の慰謝料額は,第一審原告(32)X32がびまん性胸膜肥厚にり患したことを理由とするものであるから,その損害発生時は発 記及びの合計額は916万3333円である。 遅延損害金の起算日上記の慰謝料額は,第一審原告(32)X32がびまん性胸膜肥厚にり患したことを理由とするものであるから,その損害発生時は発症日の平成22年4月22日であり,遅延損害金の起算日も同日とすべきである。 ム本件元建築作業従事者x33(第一審原告(33)X33関係)基準となる慰謝料額本件元建築作業従事者x33は,肺がんにり患し,平成23年12月24日に死亡したから,基準となる慰謝料額は2800万円である。 慰謝料額の修正等本件元建築作業従事者x33が,第一審被告(ア)国の責任期間内において,平成10年4月から平成17年6月30日までの間,労働者として石綿粉じんばく露作業に従事したことは,第一審原告(33)X33と第一審被告(ア)国との間に争いがない。同第一審原告は,これに加えて,同年7月1日から平成18年8月31日までの間も,同本件元建築作業従事者が労働者として石綿粉じんばく露作業に- 188 -従事した旨主張する(第一審被告(ア)国はこれを否認する。)が,仮に同第一審原告の主張のとおりであるとしても,同本件元建築作業従事者が第一審被告(ア)国の責任期間内に石綿粉じんばく露作業に従事した期間は,10年に満たないこととなる。また,証拠(甲F33)によれば,同本件元建築作業従事者には喫煙歴があることが認められる。 したがって,修正後の慰謝料額は755万9999円(2800万円×1/3×0.9×0.9)である。 弁護士費用弁護士費用は76万円が相当である。 認容額合計上記及びの合計額は831万9999円である。 遅延損害金の起算日上記の慰謝料額は本件元建築作業従事者x33が肺がんにり患し死亡したことを理由とするもの ある。 認容額合計上記及びの合計額は831万9999円である。 遅延損害金の起算日上記の慰謝料額は本件元建築作業従事者x33が肺がんにり患し死亡したことを理由とするものであるから,その損害発生時は死亡日の平成23年12月24日であり,遅延損害金の起算日も同日とすべきである。 承継関係第一審原告(33)X33は,本件元建築作業従事者x33の本件に関する損害賠償請求権を全て承継した。 メ第一審原告(35)X35基準となる慰謝料額第一審原告(35)X35は,石綿肺(管理3)にり患し,合併症(続発性気管支炎)があるから,基準となる慰謝料額は2200万円である。 慰謝料額の修正等第一審原告(35)X35が,第一審被告(ア)国の責任期間内において,昭和50年10月1日から平成16年9月30日までの間,石綿粉じんばく露作業に従事したことは,同当事者間に争いがない。そして,証拠(甲F35)によれば,同第一- 189 -審原告は,上記の期間は,西村タイル工業の屋号で,一人親方等として同作業に従事したことが認められる。そうすると,同第一審原告は,第一審被告(ア)国の責任期間内に10年以上,一人親方等として石綿粉じんばく露作業に従事したこととなる。 したがって,修正後の慰謝料額は733万3333円(2200万円×1/3)である。 弁護士費用弁護士費用は73万円が相当である。 認容額合計上記及びの合計額は806万3333円である。 遅延損害金の起算日上記の慰謝料額は,第一審原告(35)X35が石綿肺(管理3)にり患し合併症(続発性気管支炎)があることを理由とするものであるから,その損害発生時は被災年月日の平成22年4月24日であり,遅延損害金の起算日も同日とす 第一審原告(35)X35が石綿肺(管理3)にり患し合併症(続発性気管支炎)があることを理由とするものであるから,その損害発生時は被災年月日の平成22年4月24日であり,遅延損害金の起算日も同日とすべきである。 モ第一審原告(36)X36基準となる慰謝料額第一審原告(36)X36は,石綿肺(管理3)にり患し,合併症(続発性気管支炎)があるから,基準となる慰謝料額は2200万円である。 慰謝料額の修正等第一審原告(36)X36が,第一審被告(ア)国の責任期間内に10年以上,労働者として石綿粉じんばく露作業に従事したことは,同当事者間に争いがない。 したがって,修正後の慰謝料額は733万3333円(2200万円×1/3)である。 弁護士費用弁護士費用は73万円が相当である。 - 190 - 認容額合計上記及びの合計額は806万3333円である。 遅延損害金の起算日上記の慰謝料額は,第一審原告(36)X36が石綿肺(管理3)にり患し合併症(続発性気管支炎)があることを理由とするものであるから,その損害発生時は発症日の平成25年4月27日であり,遅延損害金の起算日も同日とすべきである。 ヤ本件元建築作業従事者x37(第一審原告(37)X37ら関係)基準となる慰謝料額本件元建築作業従事者x37は,肺がんにり患し,平成26年1月25日に死亡したから,基準となる慰謝料額は2800万円である。 慰謝料額の修正等本件元建築作業従事者x37が,第一審被告(ア)国の責任期間内において,㋐昭和58年4月から平成2年4月までの間及び㋑平成2年4月から平成17年6月30日までの間,石綿粉じんばく露作業に従事したこと並びに㋐の期間は労働者として同作業に従事したことは,第一審原告(37) 昭和58年4月から平成2年4月までの間及び㋑平成2年4月から平成17年6月30日までの間,石綿粉じんばく露作業に従事したこと並びに㋐の期間は労働者として同作業に従事したことは,第一審原告(37)X37らと第一審被告(ア)国との間に争いがない。そして,証拠(甲F37)によれば,同本件元建築作業従事者は,㋑の期間は,一人親方等(細谷興業の屋号又は株式会社細谷興業の代表者)として同作業に従事したことが認められる。そうすると,同本件元建築作業従事者は,第一審被告(ア)国の責任期間内に10年以上,労働者又は一人親方等として石綿粉じんばく露作業に従事したこととなる。また,証拠(甲F37)によれば,同本件元建築作業従事者には喫煙歴があることが認められる。 したがって,修正後の慰謝料額は839万9999円(2800万円×1/3×0.9)である。 弁護士費用弁護士費用は84万円が相当である。 - 191 - 認容額合計上記及びの合計額は923万9999円である。 遅延損害金の起算日上記の慰謝料額は,本件元建築作業従事者x37が肺がんにり患し死亡したことを理由とするものであるから,その損害発生時は死亡日の平成26年1月25日であり,遅延損害金の起算日も同日とすべきである。 承継関係第一審原告(37-1)X37-1及び同(37-2)X37-2は,本件元建築作業従事者x37の本件に関する損害賠償請求権を,それぞれ2分の1の割合で承継した。 ユ第一審原告(38)X38基準となる慰謝料額第一審原告(38)X38は,肺がんにり患したから,基準となる慰謝料額は2500万円である。 慰謝料額の修正等第一審原告(38)X38が,第一審被告(ア)国の責任期間内において,昭和58年から平成16年9月30日 8は,肺がんにり患したから,基準となる慰謝料額は2500万円である。 慰謝料額の修正等第一審原告(38)X38が,第一審被告(ア)国の責任期間内において,昭和58年から平成16年9月30日までの間,石綿粉じんばく露作業に従事したことは,同当事者間に争いがない。そして,証拠(甲F38)によれば,同第一審原告は,上記の期間は,望月美装の屋号で一人親方等として同作業に従事したことが認められる。また,証拠(甲F38)によれば,同第一審原告には喫煙歴があることが認められる。 したがって,修正後の慰謝料額は749万9999円(2500万円×1/3×0.9)である。 弁護士費用弁護士費用は75万円が相当である。 認容額合計- 192 -上記及びの合計額は824万9999円である。 遅延損害金の起算日上記の慰謝料額は,第一審原告(38)X38が肺がんにり患したことを理由とするものであるから,その損害発生時は発症日の平成25年4月30日であり,遅延損害金の起算日も同日とすべきである。 ヨ本件元建築作業従事者x39(第一審原告(39)X39関係)基準となる慰謝料額本件元建築作業従事者x39は,肺がんにり患し,平成22年4月18日に死亡したから,基準となる慰謝料額は2800万円である。 慰謝料額の修正等本件元建築作業従事者x39が,第一審被告(ア)国の責任期間内において,㋐昭和50年10月1日から平成2年7月までの間及び㋑平成2年7月から平成16年9月30日までの間,石綿粉じんばく露作業に従事したこと並びに㋐の期間は一人親方として同作業に従事したことは,第一審原告(39)X39と第一審被告(ア)国との間に争いがない。そして,証拠(甲F39)によれば,同本件元建築作業従事者は,㋑の期間は,一 と並びに㋐の期間は一人親方として同作業に従事したことは,第一審原告(39)X39と第一審被告(ア)国との間に争いがない。そして,証拠(甲F39)によれば,同本件元建築作業従事者は,㋑の期間は,一人親方等(有限会社喜栄美建の代表者)として同作業に従事したことが認められる。そうすると,同本件元建築作業従事者は,第一審被告(ア)国の責任期間内に10年以上,一人親方等として石綿粉じんばく露作業に従事したこととなる。また,証拠(甲F39)によれば,同本件元建築作業従事者には喫煙歴があることが認められる。 したがって,修正後の慰謝料額は839万9999円(2800万円×1/3×0.9)である。 弁護士費用弁護士費用は84万円が相当である。 認容額合計上記及びの合計額は923万9999円である。 - 193 -遅延損害金の起算日上記の慰謝料額は,本件元建築作業従事者x39が肺がんにり患し死亡したことを理由とするものであるから,その損害発生時は死亡日の平成22年4月18日であり,遅延損害金の起算日も同日とすべきである。 承継関係第一審原告(39)X39は,本件元建築作業従事者x39の本件に関する損害賠償請求権を2分の1の割合で承継した。 ラ第一審原告(40)X40基準となる慰謝料額第一審原告(40)X40は,びまん性胸膜肥厚にり患したから,基準となる慰謝料額は2500万円である。 慰謝料額の修正第一審原告(40)X40が,第一審被告(ア)国の責任期間内に3年以上,労働者として石綿粉じんばく露作業に従事したことは,同当事者間に争いがない。 したがって,修正後の慰謝料額は833万3333円である(2500万円×1/3)。 弁護士費用弁護士費用は83万円が相当である。 く露作業に従事したことは,同当事者間に争いがない。 したがって,修正後の慰謝料額は833万3333円である(2500万円×1/3)。 弁護士費用弁護士費用は83万円が相当である。 認容額合計上記及びの合計額は916万3333円である。 遅延損害金の起算日上記の慰謝料額は,第一審原告(40)X40がびまん性胸膜肥厚にり患したことを理由とするものであるから,その損害発生時は発症日の平成24年9月4日であり,遅延損害金の起算日も同日とすべきである。 リ本件元建築作業従事者x41(第一審原告(41)X41関係)基準となる慰謝料額- 194 -本件元建築作業従事者x41は,肺がんにり患し,平成25年12月5日に死亡したから,基準となる慰謝料額は2800万円である。 慰謝料額の修正等本件元建築作業従事者x41が,第一審被告(ア)国の責任期間内において,昭和50年10月1日から平成16年9月30日までの間,石綿粉じんばく露作業に従事したことは,第一審原告(41)X41と第一審被告(ア)国との間に争いがない。そして,証拠(甲F41)によれば,同本件元建築作業従事者は,上記の期間は,一人親方等(有限会社近江工業の代表者)として同作業に従事したことが認められる。そうすると,同本件元建築作業従事者は,第一審被告(ア)国の責任期間内に10年以上,一人親方等として石綿粉じんばく露作業に従事したこととなる。 また,証拠(甲F41)によれば,同本件元建築作業従事者には喫煙歴があることが認められる。 したがって,修正後の慰謝料額は839万9999円(2800万円×1/3×0.9)である。 弁護士費用弁護士費用は84万円が相当である。 認容額合計上記及びの合計額は923万9999円であ 後の慰謝料額は839万9999円(2800万円×1/3×0.9)である。 弁護士費用弁護士費用は84万円が相当である。 認容額合計上記及びの合計額は923万9999円である。 遅延損害金の起算日上記の慰謝料額は,本件元建築作業従事者x41が肺がんにり患し死亡したことを理由とするものであるから,その損害発生時は死亡日の平成25年12月5日であり,遅延損害金の起算日も同日とすべきである。 承継関係第一審原告(41)X41は,本件元建築作業従事者x41の本件に関する損害賠償請求権を全て承継した。 ル本件元建築作業従事者x42(第一審原告(42)X42ら関係)- 195 -基準となる慰謝料額本件元建築作業従事者x42は,石綿肺及び中皮腫にり患し,平成24年8月20日に死亡したから,基準となる慰謝料額は2800万円である。 慰謝料額の修正等本件元建築作業従事者x42が,第一審被告(ア)国の責任期間内において,昭和50年10月1日から平成16年9月30日までの間,石綿粉じんばく露作業に従事したことは,第一審原告(42)X42らと第一審被告(ア)国との間に争いがない。そして,証拠(甲F42)によれば,同本件元建築作業従事者は,上記の期間は,ヨシノ塗装店の屋号で一人親方等として同作業に従事したことが認められる。 そうすると,同本件元建築作業従事者は,第一審被告(ア)国の責任期間内に1年以上,一人親方等として石綿粉じんばく露作業に従事したこととなる。 したがって,修正後の慰謝料額は933万3333円(2800万円×1/3)である。 弁護士費用弁護士費用は93万円が相当である。 認容額合計上記及びの合計額は1026万3333円である。 遅延損害金の起算日上 円(2800万円×1/3)である。 弁護士費用弁護士費用は93万円が相当である。 認容額合計上記及びの合計額は1026万3333円である。 遅延損害金の起算日上記の慰謝料額は,本件元建築作業従事者x42が石綿肺及び中皮腫にり患し死亡したことを理由とするものであるから,その損害発生時は死亡日の平成24年8月20日であり,遅延損害金の起算日も同日とすべきである。 承継関係第一審原告(42-1)X42-1,同(42-2)X42-2,同(42-3)X42-3及び同(42-4)X42-4は,本件元建築作業従事者x42の本件に関する損害賠償請求権を,第一審原告(42-1)X42-1が2分の1,同(42-2)X42-2,同(42-3)X42-3及び同(42-4)X42-4が各- 196 -6分の1の割合で,それぞれ承継した。 レ本件元建築作業従事者x43(第一審原告(43)X43関係)基準となる慰謝料額本件元建築作業従事者x43は,石綿肺にり患し,平成29年6月24日に死亡したから,基準となる慰謝料額は2800万円である。 慰謝料額の修正等本件元建築作業従事者x43が,第一審被告(ア)国の責任期間内において,昭和50年10月1日から昭和53年5月までの間,労働者として石綿粉じんばく露作業に従事したことは,第一審原告(43)X43と第一審被告(ア)国との間に争いがない。また,証拠(甲F43の1,甲F43の3の1~3・6~8)によれば,同本件元建築作業従事者は,平成8年1月から少なくとも平成16年9月30日までの間,神奈川西パナホームの出向社員として月給制で就労報酬を取得し,新築住宅及びリフォーム工事における大工工事(建材の切断加工,取付け等)を行ったと認められるから,上記の期間は, 6年9月30日までの間,神奈川西パナホームの出向社員として月給制で就労報酬を取得し,新築住宅及びリフォーム工事における大工工事(建材の切断加工,取付け等)を行ったと認められるから,上記の期間は,労働者として石綿粉じんばく露作業に従事したことが認められる。そうすると,同本件元建築作業従事者は,第一審被告(ア)国の責任期間内に10年以上,労働者として石綿粉じんばく露作業に従事したこととなる。 したがって,修正後の慰謝料額は933万3333円(2800万円×1/3)である。 弁護士費用弁護士費用は93万円が相当である。 認容額合計上記及びの合計額は1026万3333円である。 遅延損害金の起算日上記の慰謝料額は,本件元建築作業従事者x43が石綿肺にり患し死亡したことを理由とするものであるから,その損害発生時は死亡日の平成29年6月24日- 197 -であり,遅延損害金の起算日も同日とすべきである。 承継関係第一審原告(43)X43は,本件元建築作業従事者x43の本件に関する損害賠償請求権を全て承継した。 ロ本件元建築作業従事者x44(第一審原告(44)X44関係)基準となる慰謝料額本件元建築作業従事者x44は,肺がんにり患し,令和元年5月23日に死亡したから,基準となる慰謝料額は2800万円である。 慰謝料額の修正等本件元建築作業従事者x44が,第一審被告(ア)国の責任期間内に10年以上,労働者として石綿粉じんばく露作業に従事したことは,第一審原告(44)X44と第一審被告(ア)国との間に争いがない(㋐昭和50年10月及び11月(青木建築),㋑昭和53年9月から昭和55年8月まで(株式会社滝沢工務店),㋒昭和57年2月から昭和59年9月まで(田村建築),㋓昭和60年2月か 国との間に争いがない(㋐昭和50年10月及び11月(青木建築),㋑昭和53年9月から昭和55年8月まで(株式会社滝沢工務店),㋒昭和57年2月から昭和59年9月まで(田村建築),㋓昭和60年2月から同年6月まで(三橋建築又は大粂工務店),㋔平成元年2月から平成3年10月まで(大野建築又は村田建築),㋕平成7年2月から平成8年6月まで(出口建築)及び㋖平成11年3月から平成12年3月まで(有限会社小林工務店))。また,証拠(甲F44)によれば,同本件元建築作業従事者には喫煙歴があることが認められる。 したがって,修正後の慰謝料額は839万9999円(2800万円×1/3×0.9)である。 弁護士費用弁護士費用は84万円が相当である。 認容額合計上記及びの合計額は923万9999円である。 遅延損害金の起算日上記の慰謝料額は,本件元建築作業従事者x44が肺がんにり患し死亡したこ- 198 -とを理由とするものであるから,その損害発生時は死亡日の令和元年5月23日であり,遅延損害金の起算日も同日とすべきである。 承継関係第一審原告(44)X44は,本件元建築作業従事者x44の本件に関する損害賠償請求権を全て承継した。 ワ本件元建築作業従事者x45(第一審原告(45)X45関係) 基準となる慰謝料額本件元建築作業従事者x45は,石綿肺にり患し,平成28年8月7日に死亡したから,基準となる慰謝料額は2800万円である。 慰謝料額の修正等本件元建築作業従事者x45が,第一審被告(ア)国の責任期間内に10年以上,労働者として石綿粉じんばく露作業に従事したことは,第一審原告(45)X45と第一審被告(ア)国との間に争いがない。 したがって,修正後の慰謝料額は933万3333円(2 の責任期間内に10年以上,労働者として石綿粉じんばく露作業に従事したことは,第一審原告(45)X45と第一審被告(ア)国との間に争いがない。 したがって,修正後の慰謝料額は933万3333円(2800万円×1/3)である。 弁護士費用弁護士費用は93万円が相当である。 認容額合計上記及びの合計額は1026万3333円である。 遅延損害金の起算日上記の慰謝料額は,本件元建築作業従事者x45が石綿肺にり患し死亡したことを理由とするものであるから,その損害発生時は死亡日の平成28年8月7日であり,遅延損害金の起算日も同日とすべきである。 承継関係第一審原告(45)X45は,本件元建築作業従事者x45の本件に関する損害賠償請求権を全て承継した。 - 199 -⑸ 第一審被告企業らが責任を負う損害の範囲前記2⑷において説示した各本件元建築作業従事者の職工としての石綿ばく露作業の従事期間,共同不法行為責任を負う各第一審被告企業及びその責任期間並びに前記⑷において説示した各本件元建築作業従事者の労災認定疾病名,死亡の有無及び肺がんにり患した者の喫煙歴の有無を前提として,前記⑴及び⑶において説示した慰謝料の算定基準をこれに当てはめると,各第一審原告に対して損害賠償責任を負う第一審被告企業は,別紙2-2「認容額等一覧表(第一審被告企業関係)」の「第一審被告企業」欄に記載された各第一審被告企業であり,この各第一審被告企業の列の「認容額」欄に金額の記載のある行の第一審原告は,当該各第一審被告企業に対し,「認容額」欄記載の各金員及びこれに対する「遅延損害金起算日」欄記載の日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払(同一の行に記載のある第一審被告企業が複数あるときは,金額が重なり合う限度 」欄記載の各金員及びこれに対する「遅延損害金起算日」欄記載の日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払(同一の行に記載のある第一審被告企業が複数あるときは,金額が重なり合う限度で連帯支払)を求めることができることとなる。 この結論に至る検討の過程は以下のとおりであり,職工ごとに順を追って述べる。 なお,前記のとおり,本件元建築作業従事者らの労災認定疾病名・認定日,労災認定疾病の発症日等,じん肺管理区分,同人らのうち既に死亡している者の死亡日及び承継関係並びにこれらの認定に用いた証拠等は,別紙9「職種・疾患等一覧表」に記載のとおりである。また,遅延損害金の起算日は,前記⑷において説示したとおりである。 ア左官工 本件元建築作業従事者x3(第一審原告(3)X3関係)a 基準となる慰謝料額 2800万円(中皮腫による死亡)b 共同不法行為責任を負う第一審被告企業及びその責任期間第一審被告(ラ)ノザワ昭和50年1月1日から平成15年9月までc 責任期間前の石綿ばく露期間昭和30年から昭和49年12月末まで(10年以上なので前期間修正を行う。)- 200 -d 修正後の慰謝料額2800万円×3/4(基本的寄与割合)×0.5(前期間修正)=1050万円e 弁護士費用 105万円f 認容額合計 1155万円g 承継関係第一審原告(3)X3が全て承継した。 h 遅延損害金の起算日平成27年10月17日 本件元建築作業従事者x17(第一審原告(17)X17ら関係)a 基準となる慰謝料額 2800万円(石綿肺による死亡)b 共同不法行為責任を負う第一審被告企業及びその責任期間第一審被告(ラ)ノザワ昭和50年1月1日から平成15年9月まで 関係)a 基準となる慰謝料額 2800万円(石綿肺による死亡)b 共同不法行為責任を負う第一審被告企業及びその責任期間第一審被告(ラ)ノザワ昭和50年1月1日から平成15年9月までc 責任期間前の石綿ばく露期間昭和39年4月から昭和49年12月末まで(10年以上なので前期間修正を行う。)d 修正後の慰謝料額2800万円×3/4(基本的寄与割合)×0.5(前期間修正)=1050万円e 弁護士費用 105万円f 認容額合計 1155万円g 承継関係 第一審原告(17-1)X17-11155万円×1/2(相続分)=577万5000円⒝ 第一審原告(17-2)X17-21155万円×1/6(相続分)=192万5000円⒞ 第一審原告(17-3)X17-31155万円×1/6(相続分)=192万5000円⒟ 第一審原告(17-4)X17-41155万円×1/6(相続分)=192万5000円- 201 -h 遅延損害金の起算日平成29年4月19日第一審原告(26)X26a 基準となる慰謝料額 2500万円(肺がん)b 共同不法行為責任を負う第一審被告企業及びその責任期間第一審被告(ラ)ノザワ昭和52年6月から平成15年9月までc 責任期間前の石綿ばく露期間なしd 修正後の慰謝料額2500万円×3/4(基本的寄与割合)×0.9(喫煙歴)=1687万5000円e 弁護士費用 169万円f 認容額合計 1856万5000円g 遅延損害金の起算日平成21年12月4日イタイル工第一審原告(9)X9a 基準となる慰謝料額 1900万円(石綿肺管理2及び合併症)b 共同不法行為責任を負う第一審被告企業 g 遅延損害金の起算日平成21年12月4日イタイル工第一審原告(9)X9a 基準となる慰謝料額 1900万円(石綿肺管理2及び合併症)b 共同不法行為責任を負う第一審被告企業及びその責任期間第一審被告(ラ)ノザワ昭和50年1月1日から平成15年9月までc 責任期間前の石綿ばく露期間昭和33年から昭和49年12月末まで(10年以上なので前期間修正を行う。)d 修正後の慰謝料額1900万円×3/4(基本的寄与割合)×0.5(前期間修正)=712万5000円e 弁護士費用 71万円f 認容額合計 783万5000円g 遅延損害金の起算日平成23年12月24日 本件元建築作業従事者x22(第一審原告(22)X22ら関係)- 202 -a 基準となる慰謝料額 2800万円(石綿肺による死亡)b 共同不法行為責任を負う第一審被告企業及びその責任期間第一審被告(ラ)ノザワ昭和50年1月1日から平成15年9月までc 責任期間前の石綿ばく露期間昭和28年4月から昭和49年12月末まで(10年以上なので前期間修正を行う。)d 修正後の慰謝料額2800万円×3/4(基本的寄与割合)×0.5(前期間修正)=1050万円e 弁護士費用 105万円f 認容額合計 1155万円g 承継関係 第一審原告(22-1)X22-11155万円×1/3(相続分)=385万円⒝ 第一審原告(22-2)X22-21155万円×1/3(相続分)=385万円⒞ 第一審原告(22-3)X22-31155万円×1/3(相続分)=385万円h 遅延損害金の起算日令和元年11月24日第一審原告(23)X23a 基準となる慰謝 85万円⒞ 第一審原告(22-3)X22-31155万円×1/3(相続分)=385万円h 遅延損害金の起算日令和元年11月24日第一審原告(23)X23a 基準となる慰謝料額 2500万円(肺がん)b 共同不法行為責任を負う第一審被告企業及びその責任期間第一審被告(ラ)ノザワ昭和50年1月1日から平成15年9月までc 責任期間前の石綿ばく露期間昭和38年10月から昭和49年12月末まで(10年以上なので前期間修正を行う。)d 修正後の慰謝料額2500万円×3/4(基本的寄与割合)×0.5(前期間修正)×0.9(喫煙歴)=843万7500円- 203 -e 弁護士費用 84万円f 認容額合計 927万7500円g 遅延損害金の起算日平成21年9月14日第一審原告(32)X32a 基準となる慰謝料額 2500万円(びまん性胸膜肥厚)b 共同不法行為責任を負う第一審被告企業及びその責任期間第一審被告(ラ)ノザワ昭和50年1月1日から平成15年9月までc 責任期間前の石綿ばく露期間昭和43年9月から昭和49年12月末まで(5年以上10年未満なので前期間修正を行う。)d 修正後の慰謝料額2500万円×3/4(基本的寄与割合)×0.7(前期間修正)=1312万5000円e 弁護士費用 131万円f 認容額合計 1443万5000円g 遅延損害金の起算日平成22年4月22日第一審原告(35)X35a 基準となる慰謝料額 2200万円(石綿肺管理3及び合併症)b 共同不法行為責任を負う第一審被告企業及びその責任期間第一審被告(ラ)ノザワ昭和50年1月1日から平成15年9月までc 責任期間前の石綿ばく露 200万円(石綿肺管理3及び合併症)b 共同不法行為責任を負う第一審被告企業及びその責任期間第一審被告(ラ)ノザワ昭和50年1月1日から平成15年9月までc 責任期間前の石綿ばく露期間昭和30年4月から昭和49年12月末まで(10年以上なので前期間修正を行う。)d 修正後の慰謝料額2200万円×3/4(基本的寄与割合)×0.5(前期間修正)=825万円e 弁護士費用 83万円f 認容額合計 908万円g 遅延損害金の起算日平成22年4月24日- 204 -ウ保温工 第一審原告(29)X29a 基準となる慰謝料額 2500万円(びまん性胸膜肥厚)b 共同不法行為責任を負う第一審被告企業及びその責任期間第一審被告(キ)A&AM 昭和50年1月1日から昭和53年まで⒝ 第一審被告(マ)ニチアス昭和50年1月1日から昭和55年までc 責任期間前の石綿ばく露期間昭和34年4月から昭和49年12月末まで(10年以上なので前期間修正を行う。)d 修正後の慰謝料額2500万円×3/4(基本的寄与割合)×0.5(前期間修正)=937万5000円なお,第一審被告(マ)ニチアスは,第一審原告(29)X29の呼吸機能障害について,けい肺等の石綿肺以外のじん肺が影響しているから50%の寄与度減額が認められるべきである旨主張する。しかし,同第一審原告の労災認定資料,カルテ及び診断書等(甲F29,乙マ1046)に石綿肺以外のじん肺の存在をうかがわせる具体的な記載はなく,他に同第一審被告企業の主張を認めるに足りる的確かつ客観的な証拠もないから,上記主張は採用することができない。 e 弁護士費用 94万円f 認容額合計 1031万5000円g 遅延損害金 に同第一審被告企業の主張を認めるに足りる的確かつ客観的な証拠もないから,上記主張は採用することができない。 e 弁護士費用 94万円f 認容額合計 1031万5000円g 遅延損害金の起算日平成23年3月7日第一審原告(40)X40a 基準となる慰謝料額 2500万円(びまん性胸膜肥厚)b 共同不法行為責任を負う第一審被告企業及びその責任期間第一審被告(キ)A&AM 昭和50年1月1日から昭和53年まで⒝ 第一審被告(マ)ニチアス昭和50年1月1日から昭和55年までc 責任期間前の石綿ばく露期間昭和35年から昭和49年12月末まで(1- 205 -0年以上なので前期間修正を行う。)d 修正後の慰謝料額2500万円×3/4(基本的寄与割合)×0.5(前期間修正)=937万5000円e 弁護士費用 94万円f 認容額合計 1031万5000円g 遅延損害金の起算日平成24年9月4日エ塗装工本件元建築作業従事者x42(第一審原告(42)X42ら関係)a 基準となる慰謝料額 2800万円(中皮腫による死亡)b 共同不法行為責任を負う第一審被告企業及びその責任期間 第一審被告(キ)A&AM 昭和50年1月1日から昭和62年まで⒝ 第一審被告(マ)ニチアス昭和50年1月1日から昭和62年まで⒞ 第一審被告(ラ)ノザワ昭和50年1月1日から平成15年9月までc 責任期間前の石綿ばく露期間昭和31年4月から昭和49年12月末まで(10年以上なので前期間修正を行う。)d 修正後の慰謝料額2800万円×3/4(基本的寄与割合)×0.5(前期間修正)=1050万円e 弁護士費用 105万円f 認容額合計 1155万円 前期間修正を行う。)d 修正後の慰謝料額2800万円×3/4(基本的寄与割合)×0.5(前期間修正)=1050万円e 弁護士費用 105万円f 認容額合計 1155万円g 承継関係 第一審原告(42-1)X42-11155万円×1/2(相続分)=577万5000円⒝ 第一審原告(42-2)X42-21155万円×1/6(相続分)=192万5000円⒞ 第一審原告(42-3)X42-3- 206 -1155万円×1/6(相続分)=192万5000円⒟ 第一審原告(42-4)X42-41155万円×1/6(相続分)=192万5000円h 遅延損害金の起算日平成24年8月20日オ電工本件元建築作業従事者x1(第一審原告(1)X1関係)a 基準となる慰謝料額 2800万円(石綿肺による死亡)b 共同不法行為責任を負う第一審被告企業及びその責任期間 第一審被告(キ)A&AM 昭和50年1月1日から昭和53年まで(10年未満なので責任期間修正を行う。)⒝ 第一審被告(マ)ニチアス昭和50年1月1日から昭和55年まで(10年未満なので責任期間修正を行う。)c 責任期間前の石綿ばく露期間昭和35年10月から昭和49年12月末まで(10年以上なので前期間修正を行う。)d 修正後の慰謝料額2800万円×3/4(基本的寄与割合)×0.5(前期間修正)×0.9(責任期間修正)=945万円e 弁護士費用 95万円f 認容額合計 1040万円g 承継関係第一審原告(1)X1が全て承継した。 h 遅延損害金の起算日平成27年9月19日本件元建築作業従事者x2(第一審原告(2)X2ら関係)a 基準となる慰謝 40万円g 承継関係第一審原告(1)X1が全て承継した。 h 遅延損害金の起算日平成27年9月19日本件元建築作業従事者x2(第一審原告(2)X2ら関係)a 基準となる慰謝料額 2800万円(石綿肺による死亡)b 共同不法行為責任を負う第一審被告企業及びその責任期間 第一審被告(キ)A&AM 昭和50年1月1日から昭和62年まで- 207 -⒝ 第一審被告(マ)ニチアス昭和50年1月1日から昭和62年までc 責任期間前の石綿ばく露期間昭和41年9月から昭和49年12月末まで(5年以上10年未満なので前期間修正を行う。)d 修正後の慰謝料額2800万円×3/4(基本的寄与割合)×0.7(前期間修正)=1470万円e 弁護士費用 147万円f 認容額合計 1617万円g 承継関係 第一審原告(2-1)X2-11617万円×1/2(相続分)=808万5000円⒝ 第一審原告(2-2)X2-21617万円×1/2(相続分)=808万5000円h 遅延損害金の起算日平成27年4月9日 本件元建築作業従事者x33(第一審原告(33)X33関係)第一審被告企業らは本件元建築作業従事者x33に対して共同不法行為責任を負わないから,第一審原告(33)X33の第一審被告企業らに対する請求は理由がない。 カ配管工 第一審原告(4)X4a 基準となる慰謝料額 2200万円(石綿肺管理3及び合併症)b 共同不法行為責任を負う第一審被告企業及びその責任期間 第一審被告(キ)A&AM 昭和50年1月1日から平成12年まで⒝ 第一審被告(マ)ニチアス昭和50年1月1日から昭和62年までc 責任期間前の石綿ばく露期間昭和 及びその責任期間 第一審被告(キ)A&AM 昭和50年1月1日から平成12年まで⒝ 第一審被告(マ)ニチアス昭和50年1月1日から昭和62年までc 責任期間前の石綿ばく露期間昭和47年4月から昭和49年12月末までd 修正後の慰謝料額2200万円×3/4(基本的寄与割合)=1650万円- 208 -e 弁護士費用 165万円f 認容額合計 1815万円g 遅延損害金の起算日平成25年7月6日 本件元建築作業従事者x13(第一審原告(13)X13ら関係)a 基準となる慰謝料額 2800万円(肺がんによる死亡)b 共同不法行為責任を負う第一審被告企業及びその責任期間 第一審被告(キ)A&AM 昭和50年1月1日から平成12年まで⒝ 第一審被告(マ)ニチアス昭和50年1月1日から昭和62年までc 責任期間前の石綿ばく露期間昭和40年から昭和49年12月末まで(10年以上なので前期間修正を行う。)d 修正後の慰謝料額2800万円×3/4(基本的寄与割合)×0.5(前期間修正)×0.9(喫煙歴)=945万円e 弁護士費用 95万円f 認容額合計 1040万円g 承継関係 第一審原告(13-1)X13-11040万円×1/2(相続分)=520万円⒝ 第一審原告(13-2)X13-21040万円×1/2(相続分)=520万円h 遅延損害金の起算日平成25年1月25日 本件元建築作業従事者x19(第一審原告(19)X19関係)a 基準となる慰謝料額 2800万円(肺がんによる死亡)b 共同不法行為責任を負う第一審被告企業及びその責任期間第一審被告(キ)A&AM 昭和62年5月から平成12年までc 責任 a 基準となる慰謝料額 2800万円(肺がんによる死亡)b 共同不法行為責任を負う第一審被告企業及びその責任期間第一審被告(キ)A&AM 昭和62年5月から平成12年までc 責任期間前の石綿ばく露期間なし- 209 -d 修正後の慰謝料額2800万円×3/4(基本的寄与割合)=2100万円e 弁護士費用 210万円f 認容額合計 2310万円g 承継関係第一審原告(19)X19が全て承継した。 h 遅延損害金の起算日平成24年5月18日 本件元建築作業従事者x30(第一審原告(30)X30ら関係)a 基準となる慰謝料額 2800万円(石綿肺による死亡)b 共同不法行為責任を負う第一審被告企業及びその責任期間 第一審被告(キ)A&AM 昭和50年1月1日から平成12年まで⒝ 第一審被告(マ)ニチアス昭和50年1月1日から昭和62年までc 責任期間前の石綿ばく露期間昭和48年11月から昭和49年12月末までd 修正後の慰謝料額2800万円×3/4(基本的寄与割合)=2100万円e 弁護士費用 210万円f 認容額合計 2310万円g 承継関係 第一審原告(30-1)X30-12310万円×1/2(相続分)=1155万円⒝ 第一審原告(30-2)X30-22310万円×1/2(相続分)=1155万円h 遅延損害金の起算日平成30年9月21日キ大工 本件元建築作業従事者x5(第一審原告(5)X5関係)- 210 -a 基準となる慰謝料額 2800万円(石綿肺による死亡)b 共同不法行為責任を負う第一審被告企業及びその責任期間第一審被告(キ)A&AM 昭和50年1月1日から 係)- 210 -a 基準となる慰謝料額 2800万円(石綿肺による死亡)b 共同不法行為責任を負う第一審被告企業及びその責任期間第一審被告(キ)A&AM 昭和50年1月1日から平成16年まで⒝ 第一審被告(マ)ニチアス昭和50年1月1日から平成4年までc 責任期間前の石綿ばく露期間昭和32年4月から昭和49年12月末まで(10年以上なので前期間修正を行う。)d 修正後の慰謝料額2800万円×3/4(基本的寄与割合)×0.5(前期間修正)=1050万円e 弁護士費用 105万円f 認容額合計 1155万円g 承継関係第一審原告(5)X5が全て承継した。 h 遅延損害金の起算日平成22年4月9日 本件元建築作業従事者x6(第一審原告(6)X6ら関係)a 基準となる慰謝料額 2800万円(中皮腫による死亡)b 共同不法行為責任を負う第一審被告企業及びその責任期間第一審被告(キ)A&AM 昭和50年1月1日から平成16年まで⒝ 第一審被告(マ)ニチアス昭和50年1月1日から平成4年までc 責任期間前の石綿ばく露期間昭和44年から昭和49年12月末まで(5年以上10年未満なので前期間修正を行う。)d 修正後の慰謝料額2800万円×3/4(基本的寄与割合)×0.7(前期間修正)=1470万円e 弁護士費用 147万円f 認容額合計 1617万円g 承継関係 第一審原告(6-1)X6-1- 211 -1617万円×7/10(相続分)=1131万9000円⒝ 第一審原告(6-2)X6-21617万円×3/10(相続分)=485万1000円h 遅延損害金の起算日平成27年5月20日第一審原告(12) 0(相続分)=1131万9000円⒝ 第一審原告(6-2)X6-21617万円×3/10(相続分)=485万1000円h 遅延損害金の起算日平成27年5月20日第一審原告(12)X12a 基準となる慰謝料額 2500万円(肺がん)b 共同不法行為責任を負う第一審被告企業及びその責任期間第一審被告(キ)A&AM 昭和50年1月1日から平成16年まで⒝ 第一審被告(マ)ニチアス昭和50年1月1日から平成4年までc 責任期間前の石綿ばく露期間昭和44年4月から昭和49年12月末まで(5年以上10年未満なので前期間修正を行う。)d 修正後の慰謝料額2500万円×3/4(基本的寄与割合)×0.7(前期間修正)×0.9(喫煙歴)=1181万2500円e 弁護士費用 118万円f 認容額合計 1299万2500円g 遅延損害金の起算日平成23年9月14日本件元建築作業従事者x14(第一審原告(14)X14関係)a 基準となる慰謝料額 2800万円(肺がんによる死亡)b 共同不法行為責任を負う第一審被告企業及びその責任期間第一審被告(キ)A&AM 平成5年1月から平成16年までc 責任期間前の石綿ばく露期間なしd 修正後の慰謝料額2800万円×3/4(基本的寄与割合)×0.9(喫煙歴)=1890万円e 弁護士費用 189万円f 認容額合計 2079万円- 212 -g 承継関係第一審原告(14)X14が全て承継した。 h 遅延損害金の起算日平成22年12月28日第一審原告(18)X18a 基準となる慰謝料額 2500万円(びまん性胸膜肥厚)b 共同不法行為責任を負う第一審被告企業及びその責任期間第 損害金の起算日平成22年12月28日第一審原告(18)X18a 基準となる慰謝料額 2500万円(びまん性胸膜肥厚)b 共同不法行為責任を負う第一審被告企業及びその責任期間第一審被告(キ)A&AM 昭和50年1月1日から平成16年まで⒝ 第一審被告(マ)ニチアス昭和50年1月1日から平成4年までc 責任期間前の石綿ばく露期間昭和27年4月から昭和49年12月末まで(10年以上なので前期間修正を行う。)d 修正後の慰謝料額2500万円×3/4(基本的寄与割合)×0.5(前期間修正)=937万5000円e 弁護士費用 94万円f 認容額合計 1031万5000円g 遅延損害金の起算日平成22年12月11日 本件元建築作業従事者x24(第一審原告(24)X24関係)a 基準となる慰謝料額 2800万円(肺がんによる死亡)b 共同不法行為責任を負う第一審被告企業及びその責任期間第一審被告(キ)A&AM 昭和50年1月1日から平成16年まで⒝ 第一審被告(マ)ニチアス昭和50年1月1日から平成4年までc 責任期間前の石綿ばく露期間昭和41年6月から昭和49年12月末まで(5年以上10年未満なので前期間修正を行う。)d 修正後の慰謝料額2800万円×3/4(基本的寄与割合)×0.7(前期間修正)×0.9(喫煙歴)=1323万円- 213 -e 弁護士費用 132万円f 認容額合計 1455万円g 承継関係第一審原告(24)X24が全て承継した。 h 遅延損害金の起算日平成23年4月23日 本件元建築作業従事者x27(第一審原告(27)X27ら関係)a 基準となる慰謝料額 2800万円(石綿肺による死亡)b て承継した。 h 遅延損害金の起算日平成23年4月23日 本件元建築作業従事者x27(第一審原告(27)X27ら関係)a 基準となる慰謝料額 2800万円(石綿肺による死亡)b 共同不法行為責任を負う第一審被告企業及びその責任期間第一審被告(キ)A&AM 昭和50年1月1日から平成16年まで⒝ 第一審被告(マ)ニチアス昭和50年1月1日から平成4年までc 責任期間前の石綿ばく露期間昭和38年4月から昭和49年12月末まで(10年以上なので前期間修正を行う。)d 修正後の慰謝料額2800万円×3/4(基本的寄与割合)×0.5(前期間修正)=1050万円e 弁護士費用 105万円f 認容額合計 1155万円g 承継関係 第一審原告(27-1)X27-11155万円×5/6(相続分)=962万5000円⒝ 第一審原告(27-2)X27-21155万円×1/36(相続分)=32万0833円⒞ 第一審原告(27-3)X27-31155万円×1/36(相続分)=32万0833円第一審原告(27-4)X27-41155万円×1/36(相続分)=32万0833円第一審原告(27-5)X27-5- 214 -1155万円×1/12(相続分)=96万2500円h 遅延損害金の起算日平成30年8月9日 第一審原告(28)X28a 基準となる慰謝料額 1900万円(石綿肺管理2及び合併症)b 共同不法行為責任を負う第一審被告企業及びその責任期間第一審被告(キ)A&AM 昭和50年1月1日から平成9年12月まで⒝ 第一審被告(マ)ニチアス昭和50年1月1日から平成4年までc 責任期間前の石綿ばく露期間昭和27年4月から昭和4 第一審被告(キ)A&AM 昭和50年1月1日から平成9年12月まで⒝ 第一審被告(マ)ニチアス昭和50年1月1日から平成4年までc 責任期間前の石綿ばく露期間昭和27年4月から昭和49年12月末まで(10年以上なので前期間修正を行う。)d 修正後の慰謝料額1900万円×3/4(基本的寄与割合)×0.5(前期間修正)=712万5000円e 弁護士費用 71万円f 認容額合計 783万5000円g 遅延損害金の起算日平成24年4月17日 第一審原告(36)X36a 基準となる慰謝料額 2200万円(石綿肺管理3及び合併症)b 共同不法行為責任を負う第一審被告企業及びその責任期間第一審被告(キ)A&AM 昭和50年1月1日から平成16年まで⒝ 第一審被告(マ)ニチアス昭和50年1月1日から平成4年までc 責任期間前の石綿ばく露期間昭和34年4月から昭和49年12月末まで(10年以上なので前期間修正を行う。)d 修正後の慰謝料額2200万円×3/4(基本的寄与割合)×0.5(前期間修正)=825万円e 弁護士費用 83万円f 認容額合計 908万円- 215 -g 遅延損害金の起算日平成25年4月27日本件元建築作業従事者x39(第一審原告(39)X39関係)a 基準となる慰謝料額 2800万円(肺がんによる死亡)b 共同不法行為責任を負う第一審被告企業及びその責任期間第一審被告(キ)A&AM 昭和50年1月1日から平成16年まで⒝ 第一審被告(マ)ニチアス昭和50年1月1日から平成4年までc 責任期間前の石綿ばく露期間昭和40年3月から昭和49年12月末まで(5年以上10年未満なので前期間修正を行う。) で⒝ 第一審被告(マ)ニチアス昭和50年1月1日から平成4年までc 責任期間前の石綿ばく露期間昭和40年3月から昭和49年12月末まで(5年以上10年未満なので前期間修正を行う。)d 修正後の慰謝料額2800万円×3/4(基本的寄与割合)×0.7(前期間修正)×0.9(喫煙歴)=1323万円e 弁護士費用 132万円f 認容額合計 1455万円g 承継関係第一審原告(39)X39が2分の1の割合で承継した。 h 遅延損害金の起算日平成22年4月18日 本件元建築作業従事者x41(第一審原告(41)X41関係)a 基準となる慰謝料額 2800万円(肺がんによる死亡)b 共同不法行為責任を負う第一審被告企業及びその責任期間第一審被告(キ)A&AM 昭和50年1月1日から平成16年まで⒝ 第一審被告(マ)ニチアス昭和50年1月1日から平成4年までc 責任期間前の石綿ばく露期間昭和39年4月から昭和49年12月末まで(10年以上なので前期間修正を行う。)d 修正後の慰謝料額2800万円×3/4(基本的寄与割合)×0.5(前期間修正)×0.9(喫煙歴)=945万円- 216 -e 弁護士費用 95万円f 認容額合計 1040万円g 承継関係第一審原告(41)X41が全て承継した。 h 遅延損害金の起算日平成25年12月5日 本件元建築作業従事者x43(第一審原告(43)X43関係)a 基準となる慰謝料額 2800万円(石綿肺による死亡)b 共同不法行為責任を負う第一審被告企業及びその責任期間第一審被告(キ)A&AM 昭和50年1月1日から平成16年まで⒝ 第一審被告(マ)ニチアス昭和50年1月1日から平成 よる死亡)b 共同不法行為責任を負う第一審被告企業及びその責任期間第一審被告(キ)A&AM 昭和50年1月1日から平成16年まで⒝ 第一審被告(マ)ニチアス昭和50年1月1日から平成4年までc 責任期間前の石綿ばく露期間昭和33年11月から昭和49年12月末まで(10年以上なので前期間修正を行う。)d 修正後の慰謝料額2800万円×3/4(基本的寄与割合)×0.5(前期間修正)=1050万円e 弁護士費用 105万円f 認容額合計 1155万円g 承継関係第一審原告(43)X43が全て承継した。 h 遅延損害金の起算日平成29年6月24日 本件元建築作業従事者x44(第一審原告(44)X44関係)a 基準となる慰謝料額 2800万円(肺がんによる死亡)b 共同不法行為責任を負う第一審被告企業及びその責任期間第一審被告(キ)A&AM昭和50年1月1日から同年11月まで,昭和53年9月から昭和55年8月まで,昭和57年2月から昭和60年6月まで,昭和61年10月から昭和63年5月まで,平成元年2月から平成5年2月まで,平成7年2月から平成8年11月ま- 217 -で,平成9年1月から同年6月まで,平成11年3月から平成12年3月まで⒝ 第一審被告(マ)ニチアス昭和50年1月1日から同年11月まで,昭和53年9月から昭和55年8月まで,昭和57年2月から昭和60年6月まで,昭和61年10月から昭和63年5月まで,平成元年2月から平成4年までc 責任期間前の石綿ばく露期間昭和41年から昭和49年12月末まで(5年以上10年未満なので前期間修正を行う。)d 修正後の慰謝料額2800万円×3/4(基本的寄与割合)×0.7(前期間修正)×0.9( ばく露期間昭和41年から昭和49年12月末まで(5年以上10年未満なので前期間修正を行う。)d 修正後の慰謝料額2800万円×3/4(基本的寄与割合)×0.7(前期間修正)×0.9(喫煙歴)=1323万円e 弁護士費用 132万円f 認容額合計 1455万円g 承継関係第一審原告(44)X44が全て承継した。 h 遅延損害金の起算日令和元年5月23日本件元建築作業従事者x45(第一審原告(45)X45関係)a 基準となる慰謝料額 2800万円(石綿肺による死亡)b 共同不法行為責任を負う第一審被告企業及びその責任期間第一審被告(キ)A&AM 昭和50年1月1日から平成16年まで⒝ 第一審被告(マ)ニチアス昭和50年1月1日から平成4年までc 責任期間前の石綿ばく露期間昭和31年4月から昭和36年9月まで及び昭和44年2月から昭和49年12月末まで(10年以上なので前期間修正を行う。)d 修正後の慰謝料額2800万円×3/4(基本的寄与割合)×0.5(前期間修正)=1050万円e 弁護士費用 105万円f 認容額合計 1155万円- 218 -g 承継関係第一審原告(45)X45が全て承継した。 h 遅延損害金の起算日平成28年8月7日ク鉄骨工本件元建築作業従事者x11(第一審原告(11)X11関係)a 基準となる慰謝料額 2800万円(良性石綿胸水による死亡)b 共同不法行為責任を負う第一審被告企業及びその責任期間第一審被告(キ)A&AM 昭和50年1月1日から昭和62年まで⒝ 第一審被告(マ)ニチアス昭和50年1月1日から昭和62年までc 責任期間前の石綿ばく露期間昭和27年6月から昭和 第一審被告(キ)A&AM 昭和50年1月1日から昭和62年まで⒝ 第一審被告(マ)ニチアス昭和50年1月1日から昭和62年までc 責任期間前の石綿ばく露期間昭和27年6月から昭和35年7月まで,同年11月から昭和36年8月まで,昭和42年12月から昭和49年12月末まで(10年以上なので前期間修正を行う。)d 修正後の慰謝料額2800万円×3/4(基本的寄与割合)×0.5(前期間修正)=1050万円e 弁護士費用 105万円f 認容額合計 1155万円g 承継関係第一審原告(11)X11が全て承継した。 h 遅延損害金の起算日平成29年6月9日ケエレベーター工本件元建築作業従事者x8(第一審原告(8)X8ら関係)a 基準となる慰謝料額 2800万円(石綿肺による死亡)b 共同不法行為責任を負う第一審被告企業及びその責任期間第一審被告(キ)A&AM 昭和50年1月1日から昭和62年まで⒝ 第一審被告(マ)ニチアス昭和50年1月1日から昭和62年まで- 219 -c 責任期間前の石綿ばく露期間昭和34年9月から昭和49年12月末まで(10年以上なので前期間修正を行う。)d 修正後の慰謝料額2800万円×3/4(基本的寄与割合)×0.5(前期間修正)=1050万円e 弁護士費用 105万円f 認容額合計 1155万円g 承継関係 第一審原告(8-1)X8-11155万円×1/12(相続分)=96万2500円⒝ 第一審原告(8-8)X8-81155万円×1/4(相続分)=288万7500円⒞ 第一審原告(8-9)X8-91155万円×1/4(相続分)=288万7500円h 遅延損害金の起算日平成2 告(8-8)X8-81155万円×1/4(相続分)=288万7500円⒞ 第一審原告(8-9)X8-91155万円×1/4(相続分)=288万7500円h 遅延損害金の起算日平成26年12月12日コ空調設備工 第一審原告(7)X7a 基準となる慰謝料額 2500万円(肺がん)b 共同不法行為責任を負う第一審被告企業及びその責任期間第一審被告(キ)A&AM 昭和50年1月1日から昭和62年まで⒝ 第一審被告(マ)ニチアス昭和50年1月1日から昭和62年までc 責任期間前の石綿ばく露期間昭和32年5月から昭和49年12月末まで(10年以上なので前期間修正を行う。)d 修正後の慰謝料額2500万円×3/4(基本的寄与割合)×0.5(前期間修正)×0.9(喫煙歴)=843万7500円e 弁護士費用 84万円- 220 -f 認容額合計 927万7500円g 遅延損害金の起算日平成20年11月18日本件元建築作業従事者x16(第一審原告(16)X16ら関係)a 基準となる慰謝料額 2800万円(肺がんによる死亡)b 共同不法行為責任を負う第一審被告企業及びその責任期間第一審被告(キ)A&AM 昭和50年1月1日から平成12年まで⒝ 第一審被告(マ)ニチアス昭和50年1月1日から昭和62年までc 責任期間前の石綿ばく露期間昭和46年3月から昭和49年12月末までd 修正後の慰謝料額2800万円×3/4(基本的寄与割合)×0.9(喫煙歴)=1890万円e 弁護士費用 189万円f 認容額合計 2079万円g 承継関係第一審原告(16-1)X16-12079万円×1/2(相続分)=1039万5000円 煙歴)=1890万円e 弁護士費用 189万円f 認容額合計 2079万円g 承継関係第一審原告(16-1)X16-12079万円×1/2(相続分)=1039万5000円⒝ 第一審原告(16-2)X16-22079万円×1/2(相続分)=1039万5000円h 遅延損害金の起算日平成20年11月16日サ解体工 第一審原告(20)X20a 基準となる慰謝料額 2200万円(石綿肺管理3及び合併症)b 共同不法行為責任を負う第一審被告企業及びその責任期間第一審被告(キ)A&AM昭和51年10月から昭和52年5月まで,昭和52年7月から昭和53年まで,平成2年7月から平成4年7月まで,平成6年8月から平成16年まで⒝ 第一審被告(マ)ニチアス- 221 -昭和51年10月から昭和52年5月まで,昭和52年7月から昭和54年6月まで,昭和55年12月25日から同月末まで,平成2年7月から平成4年7月まで(10年未満なので責任期間修正を行う。)c 責任期間前の石綿ばく露期間なしd 修正後の慰謝料額第一審被告(キ)A&AM2200万円×3/4(基本的寄与割合)=1650万円⒝ 第一審被告(マ)ニチアス2200万円×3/4(基本的寄与割合)×0.9(責任期間修正)=1485万円e 弁護士費用第一審被告(キ)A&AM 165万円⒝ 第一審被告(マ)ニチアス 149万円f 認容額合計第一審被告(キ)A&AM 1815万円⒝ 第一審被告(マ)ニチアス 1634万円g 遅延損害金の起算日平成23年7月9日 第一審原告(21)X21a 基準となる慰謝料額 2500万円(肺がん)b 共同不法行為責任を負う第一 告(マ)ニチアス 1634万円g 遅延損害金の起算日平成23年7月9日 第一審原告(21)X21a 基準となる慰謝料額 2500万円(肺がん)b 共同不法行為責任を負う第一審被告企業及びその責任期間第一審被告(キ)A&AM昭和50年1月1日から昭和55年まで,昭和56年5月から平成6年5月まで,平成7年から平成12年まで,平成16年4月から同年12月末まで⒝ 第一審被告(マ)ニチアス昭和50年1月1日から昭和55年まで,昭和56年5月から平成4年までc 責任期間前の石綿ばく露期間昭和42年から昭和49年12月末まで(5- 222 -年以上10年未満なので前期間修正を行う。)d 修正後の慰謝料額2500万円×3/4(基本的寄与割合)×0.7(前期間修正)×0.9(喫煙歴)=1181万2500円e 弁護士費用 118万円f 認容額合計 1299万2500円g 遅延損害金の起算日平成21年11月2日 本件元建築作業従事者x31(第一審原告(31)X31関係)a 基準となる慰謝料額 2800万円(肺がんによる死亡)b 共同不法行為責任を負う第一審被告企業及びその責任期間第一審被告(キ)A&AM 昭和62年から平成16年まで⒝ 第一審被告(マ)ニチアス昭和62年から平成4年まで(10年未満なので責任期間修正を行う。)c 責任期間前の石綿ばく露期間昭和44年から昭和48年(5年以上10年未満なので前期間修正を行う。)d 修正後の慰謝料額第一審被告(キ)A&AM2800万円×3/4(基本的寄与割合)×0.7(前期間修正)×0.9(喫煙歴)=1323万円⒝ 第一審被告(マ)ニチアス2800万円×3/4(基本的寄与割合)× 一審被告(キ)A&AM2800万円×3/4(基本的寄与割合)×0.7(前期間修正)×0.9(喫煙歴)=1323万円⒝ 第一審被告(マ)ニチアス2800万円×3/4(基本的寄与割合)×0.7(前期間修正)×0.9(責任期間修正)×0.9(喫煙歴)=1190万7000円e 弁護士費用第一審被告(キ)A&AM 132万円⒝ 第一審被告(マ)ニチアス 119万円f 認容額合計- 223 -第一審被告(キ)A&AM 1455万円⒝ 第一審被告(マ)ニチアス 1309万7000円g 承継関係第一審原告(31)X31が全て承継した。 h 遅延損害金の起算日平成24年10月5日 本件元建築作業従事者x37(第一審原告(37)X37ら関係)a 基準となる慰謝料額 2800万円(肺がんによる死亡)b 共同不法行為責任を負う第一審被告企業及びその責任期間第一審被告(キ)A&AM昭和58年4月から昭和60年まで,平成元年から平成16年まで⒝ 第一審被告(マ)ニチアス昭和58年4月から昭和60年まで,平成元年から平成4年まで(10年未満なので責任期間修正を行う。)c 責任期間前の石綿ばく露期間なしd 修正後の慰謝料額第一審被告(キ)A&AM2800万円×3/4(基本的寄与割合)×0.9(喫煙歴)=1890万円⒝ 第一審被告(マ)ニチアス2800万円×3/4(基本的寄与割合)×0.9(責任期間修正)×0.9(喫煙歴)=1701万円e 弁護士費用第一審被告(キ)A&AM 189万円⒝ 第一審被告(マ)ニチアス 170万円f 認容額合計第一審被告(キ)A&AM 2079万円⒝ 第一審被告(マ)ニチアス 1871万円- 224 被告(キ)A&AM 189万円⒝ 第一審被告(マ)ニチアス 170万円f 認容額合計第一審被告(キ)A&AM 2079万円⒝ 第一審被告(マ)ニチアス 1871万円- 224 -g 承継関係第一審原告(37-1)X37-1第一審被告(キ)A&AM2079万円×1/2(相続分)=1039万5000円第一審被告(マ)ニチアス1871万円×1/2(相続分)=935万5000円⒝ 第一審原告(37-2)X37-2第一審被告(キ)A&AM2079万円×1/2(相続分)=1039万5000円第一審被告(マ)ニチアス1871万円×1/2(相続分)=935万5000円h 遅延損害金の起算日平成26年1月25日シクロス工本件元建築作業従事者x25(第一審原告(25)X25関係)第一審被告企業らは本件元建築作業従事者x25に対して共同不法行為責任を負わないから,第一審原告(25)X25の第一審被告企業らに対する請求は理由がない。 スハウスクリーニング第一審原告(38)X38a 基準となる慰謝料額 2500万円(肺がん)b 共同不法行為責任を負う第一審被告企業及びその責任期間第一審被告(キ)A&AM 昭和58年から平成16年まで⒝ 第一審被告(マ)ニチアス昭和58年から平成4年までc 責任期間前の石綿ばく露期間なしd 修正後の慰謝料額2500万円×3/4(基本的寄与割合)×0.9(喫煙歴)=1687万500- 225 -0円e 弁護士費用 169万円f 認容額合計 1856万5000円g 遅延損害金の起算日平成25年4月30日セ工事監理本件元建築作業従事者x10(第一審原告(10)X10関 e 弁護士費用 169万円f 認容額合計 1856万5000円g 遅延損害金の起算日平成25年4月30日セ工事監理本件元建築作業従事者x10(第一審原告(10)X10関係)a 基準となる慰謝料額 2800万円(肺がんによる死亡)b 共同不法行為責任を負う第一審被告企業及びその責任期間第一審被告(キ)A&AM昭和59年3月から平成5年11月まで(10年未満なので責任期間修正を行う。)⒝ 第一審被告(マ)ニチアス昭和59年3月から平成4年まで(10年未満なので責任期間修正を行う。)c 責任期間前の石綿ばく露期間なしd 修正後の慰謝料額2800万円×3/4(基本的寄与割合)×0.9(責任期間修正)=1890万円e 弁護士費用 189万円f 認容額合計 2079万円g 承継関係第一審原告(10)X10が全て承継した。 h 遅延損害金の起算日平成25年7月11日ソ現場監督本件元建築作業従事者x15(第一審原告(15)X15関係)a 基準となる慰謝料額 2800万円(肺がんによる死亡)b 共同不法行為責任を負う第一審被告企業及びその責任期間第一審被告(キ)A&AM 昭和50年1月1日から昭和60年3月まで- 226 -⒝ 第一審被告(マ)ニチアス昭和50年1月1日から昭和60年3月までc 責任期間前の石綿ばく露期間昭和35年から昭和49年12月末まで(10年以上なので前期間修正を行う。)d 修正後の慰謝料額2800万円×3/4(基本的寄与割合)×0.5(前期間修正)×0.9(喫煙歴)=945万円e 弁護士費用 95万円f 認容額合計 1040万円g 承継関係第一審原告(15)X15が全て 円×3/4(基本的寄与割合)×0.5(前期間修正)×0.9(喫煙歴)=945万円e 弁護士費用 95万円f 認容額合計 1040万円g 承継関係第一審原告(15)X15が全て承継した。 h 遅延損害金の起算日平成24年6月18日⑹ 消滅時効について第一審被告企業(マ)ニチアス及び同(ラ)ノザワは,石綿関連疾患認定日が平成23年5月14日以前である本件元建築作業従事者については,当該認定日には同第一審被告企業らを加害者として認識したとして,消滅時効を主張する。 しかし,本件元建築作業従事者らが石綿関連疾患認定日に自らの疾患が石綿含有建材の石綿粉じんに起因することを知ったとしても,同時点において,同第一審被告企業らに警告義務違反があることを知ることができたとまでは認められない。したがって,上記主張は採用することができない。 第3 結論以上によれば,第一審原告らの請求は,第一審被告(ア)国との関係では,別紙2-1「認容額等一覧表(第一審被告国関係)」の「第一審原告名」欄記載の各第一審原告について,各第一審原告に対応する「認容額」欄記載の各金員及びこれに対する「遅延損害金起算日」欄記載の日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからその限度で認容し,その余の請求(当審における拡張部分を含む。)は理由がないから棄却すべきであり,第一審- 227 -被告企業らとの関係では,別紙2-2「認容額等一覧表(第一審被告企業関係)」の「第一審原告名」欄に記載の各第一審原告について,「認容額」欄に金額の記載のある「第一審被告企業」欄に記載された各第一審被告企業に対し,「認容額」欄記載の各金員及びこれに対する「遅延損害金起算日」欄記載の日から支払済みまで民法所定の年5 ついて,「認容額」欄に金額の記載のある「第一審被告企業」欄に記載された各第一審被告企業に対し,「認容額」欄記載の各金員及びこれに対する「遅延損害金起算日」欄記載の日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払(同一の行に記載のある第一審被告企業が複数あるときは,金額が重なり合う限度で連帯支払)を求める限度で理由があるからその限度で認容し,その余の請求(当審における拡張部分を含む。)は理由がないから棄却すべきである。 第一審被告(ア)国と第一審被告企業らとの責任は連帯関係には立たないが,両者の認容額の合計が,基準となる慰謝料額(肺がんを発症し,又は肺がん発症後死亡した本件元建築作業従事者で喫煙歴があるものについてはそれぞれ基準となる慰謝料額から10%を減額した金額)及びこれに対応する10%相当額の弁護士費用の合計額を超える場合には,超える部分に限り不真正連帯となる。そうすると,別紙2-3「第一審被告国と第一審被告企業との連帯関係表」のとおり,第一審原告番号4,10,14,16の1・2,19,20,26,30の1・2,37の1・2及び38の第一審原告らに対しては,第一審被告(ア)国と,当該第一審原告に対して責任を負う第一審被告企業とは,同表の「連帯額」欄記載の各金員及びこれに対する上記「遅延損害金起算日」欄記載の日から支払済みまで年5分の割合による金員の限度で連帯支払義務を負うこととなる。 よって,①第一審原告らと第一審被告(ア)国との関係では,第一審原告らの第一審被告(ア)国に対する各控訴に基づき,原判決の上記と異なる部分を主文第1項⑴のとおり変更し,第一審被告(ア)国の控訴は理由がないから棄却し,②第一審原告らと第一審被告企業らとの関係では,別紙2-2の「第一審原告名」欄に記載のある第一審原告らの「認容額」欄に金額 文第1項⑴のとおり変更し,第一審被告(ア)国の控訴は理由がないから棄却し,②第一審原告らと第一審被告企業らとの関係では,別紙2-2の「第一審原告名」欄に記載のある第一審原告らの「認容額」欄に金額の記載のある第一審被告企業らに対する各控訴に基づき,原判決の上記と異なる部分を主文第2項⑴のとおり変更し,同各第一審原告らのその余の第一審被告企業らに対する控訴及び当審における拡張に- 228 -係る請求,第一審原告(25)X25及び同(33)X33の各控訴及び当審における拡張に係る請求並びに第一審被告(マ)ニチアス及び同(ラ)ノザワの各控訴は,いずれも理由がないから棄却する。なお,第一審被告(キ)A&AMは,原審において仮執行免脱宣言の申立てをしているが,相当でないから,これを付さないこととする。 東京高等裁判所第20民事部 裁判長裁判官村上正敏 裁判官田中芳樹 裁判官中俣千珠 - 229 -(別紙省略)

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