平成16(少コ)2968 賃金等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成16年11月30日 東京簡易裁判所
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判決文本文4,807 文字)

平成16年11月30日判決言渡同日判決原本領収裁判所書記官平成16年(少コ)第2968号賃金等請求事件口頭弁論終結日平成16年11月16日少額訴訟判決 主文 1 被告は,原告に対し,26万9984円を支払え。 2 原告のその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用は,これを5分し,その3を原告の負担とし,その余は被告の負担とする。 4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求被告は,原告に対し,60万円を支払え。 第2 事案の概要 1 請求原因の要旨原告は,被告に対し,(1) 原告の被告に対する平成11年7月11日締結の雇用契約に基づく平成14年7月1日から同16年4月30日までの間の別紙時間外手当金合計53万9968円(2) 原告の被告に対する上記雇用契約の平成16年6月23日解雇に基づく解雇予告手当金15万6843円(3) 原告が被告代表者に対し,平成16年6月23日,時間外労働による残業代について質問をしたら,同代表者は激怒し,当日以降に仕事の予約が入っていたが,首だと告げられ,直ちに荷物をまとめて帰るように言われ,また,店舗のある青山の地を歩くなと言われた上,美容師として仕事を続けるなら就職先にも今回のことを報告し,働けなくすると捨てぜりふを言われたことによる精神的苦痛に対する,原告の被告に対する不法行為による慰謝料10万円の合計79万6811円のうち60万円の支払を求める。 2 被告の主張(1) 請求原因の要旨(1)の事実について原告の時間外手当金の計算は,その根拠が不明であり,認めることはできない。被告の勤務時間は,営業の性質上,遅番,早番の交代制,休憩時間の交代制を導入し,有給休暇と合わせて社員間で調整している。タイムカードは 間外手当金の計算は,その根拠が不明であり,認めることはできない。被告の勤務時間は,営業の性質上,遅番,早番の交代制,休憩時間の交代制を導入し,有給休暇と合わせて社員間で調整している。タイムカードは存在するが,欠勤しているか否かの指標に過ぎず,出勤,退出時刻の記載は,仕事の開始,終了時間に合わせたものではない。 (2) 請求原因の要旨(2)の事実について被告は,原告に対し,平成16年3月25日ころ4月末に解雇する旨の予告をし,同年4月30日に解雇したものであるから,解雇予告手当を支払う必要はない。 (3) 請求原因の要旨(3)の事実について被告は,原告に対し,解雇後の救済措置として,いわゆる「鏡貸し」の方法で被告の施設を使用することを認めたが,平成16年6月23日,原告が救済措置の事実を誤認し,不信感を募らせたので,これ以上作業スペースを共有することは被告の不利益になると判断して,荷物をまとめて帰るように言ったものである。その際,被告代表者は,今後原告が美容師を続けるに当たっての一般的な助言をしたが,原告をおとしめるような意図を持って発言したものでなく,またその事実もない。したがって,原告の被告に対する慰謝料請求は認められない。 第3 当裁判所の判断 1 請求原因の要旨(1)について(1) 原告本人及び証人Aの供述並びに給与明細書(甲1から4)によれば,原被告間の雇用契約の内容は,勤務時間は10時30分から19時までが基本であるが,遅番,早番の交代制を採用し,賃金は基本給16万円及び勤続手当3000円(平成15年9月からは,勤続手当が4000円となった。)の月給制であり,原告は雇用期間中,美容院の仕事柄,客待ちで待機中も集客活動をしたり,客の予約時間の関係から,勤務時間を過ぎても就労していたことが認められる。 (2) 原告本人の供述によ となった。)の月給制であり,原告は雇用期間中,美容院の仕事柄,客待ちで待機中も集客活動をしたり,客の予約時間の関係から,勤務時間を過ぎても就労していたことが認められる。 (2) 原告本人の供述によれば,原告は,予約表に基づいて勤務時間を把握し,これに基づいて勤務時間表(甲9)を作成していることが認められる。被告は,タイムカードを使用しているが勤務時間を把握するものではない旨自認するところであり,また,証人Aは,被告を含めて,一般的に美容院では,仕事柄,従業員の勤務時間を管理していない状況である旨供述する。そうすると,被告が使用者として従業員の勤務時間を管理していない以上,予約表に基づいて勤務時間を把握することは,仕事の実態にも沿うものであり,合理的な方法であると考えられるから,これに基づいて作成された勤務時間表(甲9)の勤務時間は相当であるというべきである。自ら従業員の勤務時間を管理していないのに,原告の計算はその根拠が不明であり,認めることはできないとする被告の主張は失当である。 (3)そこで,雇用期間中の時間外手当を計算するが,原告は被告から平成14年7月当時から賃金として月額16万3000円(平成15年9月から16万4000円)を給付されていたことが認められ(甲1から4),これに基づいて,勤務時間表(甲9)記載の勤務時間を下に計算すると,別紙時間外手当金計算書のとおり平成15年6月1日から同16年4月30日までの時間外手当金は26万9984円となる。原告が別紙時間外手当金計算書で主張する平成14年7月1日から同15年5月31日までの時間外手当金については,具体的な金額を算定するための資料がないので,原告が時間外勤務をしていたと推測して,その後の平均月額に基づいて時間外手当金を推認することはできない。そうすると,この期間の時間外 間外手当金については,具体的な金額を算定するための資料がないので,原告が時間外勤務をしていたと推測して,その後の平均月額に基づいて時間外手当金を推認することはできない。そうすると,この期間の時間外手当金を認めるべき証拠がないから,この手当金の支払を認めることはできない。 2 請求原因の要旨(2)の事実について(1) 原告本人及び証人Aの供述によれば,原告は,被告代表者から平成16年3月25日ころ,同年5月からは週3日程度の勤務で歩合給とする旨の告知を受け,原告もそれを了解したことが認められる。そして,原告は,美容師の業界では他人の施設を借りて個人として仕事をする「鏡貸し」と称する方法で仕事をする場合には,常勤でなく歩合給として働くことを知っていたと認められる。また,給与明細書(甲1,2)及び歩合給明細書送付書(甲5)によれば,平成16年5月支給分(4月分)の給与までは基本給が16万4000円であり,所得税が差し引かれていたが,平成15年6月支給分(5月分)からは基本給の支給はなく,売上手当の支給となっていることが認められる。 (2) 以上の事実によると,被告は,原告に対し,平成16年3月25日ころ解雇する旨の予告をし,同年4月30日をもって解雇したと認めるのが相当である。原告は,平成16年6月23日に被告から即日解雇されたと主張するが,これを認めるに足りる証拠はないから,この主張は採用しない。なお,平成16年6月及び7月支給分(5月分及び6月分)から雇用保険料が控除されているが(甲1),この一事を持って平成16年5月以降も雇用契約が継続していたと認めることはできない。 3 請求原因の要旨(3)の事実について原告の主張によれば,原告は,平成16年6月23日に時間外手当の質問をしたら,被告代表者から怒られ,仕事の予約が入っていたにもかかわ たと認めることはできない。 3 請求原因の要旨(3)の事実について原告の主張によれば,原告は,平成16年6月23日に時間外手当の質問をしたら,被告代表者から怒られ,仕事の予約が入っていたにもかかわらず首だと告げられ,直ちに荷物をまとめて帰るように言われたこと,及び被告代表者から店舗のある青山の地を歩くなと言われた上,美容師として仕事を続けるなら就職先にも今回のことを報告し,働けなくすると捨てぜりふを言われたことにより精神的苦痛を受けたとして,被告に対して不法行為に基づく慰謝料請求をしていることが認められる。 しかし,前者の被告代表者の言辞は,被告代表者が被告の利益を考慮して発言したものと評価できるとしても,その言辞が原告に精神的な苦痛を与えるような違法な行為であると認めるに足りる証拠はない。また,後者の被告代表者の言辞は,被告代表者が個人として発言したものと考えるのが相当であり,そうすると,被告に対して不法行為に基づく慰謝料請求をすることは相当ではなく,仮に被告としての発言としても,その言辞が原告に精神的な苦痛を与えるような違法な行為であると認めるに足りる証拠はない。 4 以上から,原告の請求は,時間外手当金請求のうち平成15年6月1日から同16年4月30日までの間の26万9984円の限度で理由があり,その余の部分並びに解雇予告手当金請求及び不法行為に基づく慰謝料請求は,いずれも棄却する。 東京簡易裁判所少額訴訟4係裁判官行田豊(別紙)時間外手当金計算書平成14年7月分から同15年5月分までの間の合計26万9984円(後記平成15年6月分から同16年4月分までの間の時間外手当金合計26万9984円について,月平均額を計算し,その金額に同14年7月分から同15年5月分までの月数を掛けた金額である。計算式:26万 後記平成15年6月分から同16年4月分までの間の時間外手当金合計26万9984円について,月平均額を計算し,その金額に同14年7月分から同15年5月分までの月数を掛けた金額である。計算式:26万9984円÷11か月×11か月=26万9984円)平成15年6月分から同16年4月分までの間の合計26万9984円(内訳)  (賃金額)÷(労働時間)=(時給),(時給)×(超過時間)×1.25=(時間外手当金)H15. 6月分 163,000円÷179 時間=910円, 910円 ×20 時間×1.25=22,750円H15. 7月分 163,000円÷169 時間=964円, 964円 ×13.5時間×1.25=16,267円H15. 8月分 163,000円÷180.5時間=903円, 903円 ×27 時間×1.25=30,476円H15. 9月分 164,000円÷173.5時間=945円, 945円 ×22 時間×1.25=25,987円H15.10月分 164,000円÷194.5時間=843円, 843円 ×19.5時間×1.25=20,548円H15.11月分 164,000円÷166 時間=987円, 987円 ×20 時間×1.25=24,675円H15.12月分 164,000円÷180.5時間=908円, 908円 ×21 時間×1.25=23,835円H16. 1月分 164,000円÷174.5時間=939円, 939円 ×24 時間×1.25=28,170円H16. 2月分 164,000円÷178.5時間=918円, 918円 ×22 時間×1.25=25,245円H16. 3月分 164,000円÷187 時間=877円, 877円 ×24.5 月分 164,000円÷178.5時間=918円, 918円 ×22 時間×1.25=25,245円H16. 3月分 164,000円÷187 時間=877円, 877円 ×24.5 時間×1.25=26,858円H16. 4月分 164,000円÷171 時間=959円, 959円 ×21 時間×1.25=25,173円以上

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