令和4年10月7日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 令和元年(ワ)第14320号特許権侵害差止等請求事件口頭弁論終結日令和4年7月20日判決 原告バイオメットシーブイ同訴訟代理人弁護士山口健司 石神恒太郎佐藤信吾同訴訟復代理人弁護士薄葉健司 同訴訟代理人弁理士伊藤公一同補佐人弁理士利根勇基 被告株式会社エム・イー・システム同訴訟代理人弁護士生沼寿彦 同訴訟復代理人弁護士濱田俊亮 同訴訟代理人弁理士北野修平田中勝也同補佐人弁理士庄司晃 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 3 この判決に対する控訴のための付加期間を30日と定める。 事実及び理由 第1 請求 1 被告は、別紙被告製品目録記載1ないし5の各製品を製造し、販売してはならない。 2 被告は、別紙被告製品目録記載1ないし5の各製品を廃棄せよ。 3 被告は、原告に対し、●(省略)●円及びこれに対する令和元年6月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 事案の要旨 本件は、発明 よ。 3 被告は、原告に対し、●(省略)●円及びこれに対する令和元年6月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 事案の要旨 本件は、発明の名称を「軟骨下関節表面支持体を備えた骨折固定システム」とする特許第4994835号の特許(以下「本件特許」という。)に係る特許権(以下「本件特許権」という。)の特許権者である原告が、別紙被告製品目録記載3及び4の各製品(以下、それぞれ、「被告製品3」、「被告製品4」という。)が本件特許の特許請求の範囲の請求項1ないし4、6及び7に係る 各発明の、同目録記載1の製品(以下「被告製品1」という。)が同請求項11、13ないし17に係る各発明の、同目録記載2の製品(以下「被告製品2」という。)が同請求項11、13ないし15に係る各発明の技術的範囲にそれぞれ属するから、被告による当該各製品の製造、販売は本件特許権の直接侵害(均等侵害を含む。)に当たるとともに、被告製品3及び同目録記載5の製品 (以下「被告製品5」といい、被告製品1ないし4と併せて「被告各製品」という。)は被告製品1の、被告製品4及び5は被告製品2の専用品にそれぞれ該当するから、被告による当該各製品の製造、販売は本件特許権の間接侵害(特許法101条1号)に当たると主張して、被告に対し、特許法100条1項及び2項に基づき、被告各製品の製造、販売の差止め及び廃棄を、民法70 9条に基づき、損害金●(省略)●円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である令和元年6月22日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの。以下同じ。)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 2 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲各証拠(以下、書証番 で民法(平成29年法律第44号による改正前のもの。以下同じ。)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 2 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲各証拠(以下、書証番号は、 特記しない限り枝番を含む。)及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実) (1) 当事者ア原告は、ZimmerBiometHoldings, Inc.を最終的な親会社とするジンマー・バイオメットグループに属する会社であり、同グループの知的財産権の一部を管理するオランダ王国の法人である。 イ被告は、医療機器の設計・開発・製造・販売、輸入販売他を行う株式会 社である。 (2) 本件特許(甲1、2)ア本件特許の出願及び登録ハンド・イノベイションズLLC(HandInnovations, LLC)(以下「本件出願人」という。)は、平成16年3月22日(優先日平成15年3月2 7日、優先権主張国米国)、本件特許に係る特許出願(以下「本件出願」といい、平成23年6月8日法律第63号による改正前の特許法184条の4第1項の規定によりに特許庁に提出された明細書及び図面の翻訳文を「当初明細書等」という。)をし、平成24年5月18日、本件特許権の設定の登録を受けた。 イ本件特許権の承継本件特許権について、原告に対し、平成25年4月9日を受付日とし、特定承継による本権の移転を原因とする特許権移転登録がされた。 (3)本件特許の出願経過(乙4)ア本件出願の願書に添付された特許請求の範囲には、1から55までの請 求項が記載されていた。 イ本件出願人は、平成19年4月13日、前記アの1から55までの請求項を、請求項1から18に変更 本件出願の願書に添付された特許請求の範囲には、1から55までの請 求項が記載されていた。 イ本件出願人は、平成19年4月13日、前記アの1から55までの請求項を、請求項1から18に変更する旨の補正(以下「第1回補正」という。)を行った。 ウ本件出願に対し、平成22年2月2日付けで、第1回補正後の請求 項1の発明は、特表2000-512186号公報を含む引用文献に開示 された周知の事項を寄せ集めたものであり、請求項2ないし18における限定は、格別顕著な作用効果を奏するものではなく、設計事項にすぎないことを理由として、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない旨の拒絶理由通知(以下「第1回拒絶理由通知」という。)がされた。 エ本件出願人は、第1回拒絶理由通知を受けて、平成22年6月9日付け手続補正書により、第1回補正後の請求項2を削除し、同請求項1に以下のとおり下線部を付加訂正して、同請求項3ないし18を請求項2ないし17に繰り上げる補正(以下「第2回補正」という。)をしたが、同年9月15日、第1回拒絶理由通知の拒絶理由を覆すに足りないとして、拒絶 査定(以下「本件拒絶査定」という。)がされた。 「固定プレートにおいて、細長い近位本体部、および該本体部の一端に位置する遠位頭部を有する、ほぼ剛性のプレート、を備え、 前記頭部は、前記本体部に対して上方向に角度をなし、前記頭部は、内部において一定の角度の突起を個々に保持すべく構成される、縦方向にずらして配置された第1の組の孔および第2の組の孔を画定し、各孔は、前記プレートから延びる軸線を画定し、前記第1の組の孔は、第1の線にほぼ沿って配列され、 前記第2の組の孔は、第2の線にほぼ沿って配列され 第1の組の孔および第2の組の孔を画定し、各孔は、前記プレートから延びる軸線を画定し、前記第1の組の孔は、第1の線にほぼ沿って配列され、 前記第2の組の孔は、第2の線にほぼ沿って配列され、前記第2の線は、前記第1の線に対して前記頭部上で縦方向にずらされ、前記第2の組の孔は、前記第1の組の孔と比較すると、前記プレートの縦軸に対して遠位側にずらして配置され、 前記第1の組の孔の前記軸線は、前記第2の組の孔の遠位側に突出し、 前記プレートが骨に連結されると、前記第1の組の孔の前記軸線が前記第2の組の孔の前記軸線間において、挟み込まれた形で、前記骨内に延びる、固定プレート。」オ審判請求及び審尋手続本件出願人は、平成23年1月21日、本件拒絶査定を不服とし、拒絶 査定不服審判請求をし、同年8月24日付けで特許法134条4項に基づく審尋が実施された。 上記審尋において、本件出願人は、本件拒絶査定において引用された特表2000-512186号公報(第1回拒絶理由通知においては「引用例5」と、本件拒絶査定においては「引用文献5」と、それぞれ呼称され る文献)を「引用文献1」として挙げ、引用文献1において、第2回補正後の請求項1に係る発明の構成を開示しているとはいえず、引用文献1に記載された発明によって、同請求項1 に係る発明の進歩性は否定されない旨を回答した回答書(以下「本件回答書」という。)を提出した。 カ本件出願人に対し、平成24年2月21日、「本願発明の「第1の組の 孔」に設けられる突起及び「第2の組の孔」に設けられる突起は軟骨下骨に対する支持をするものと考えられるが、各請求項の記載は、この点を明確に記載しているとは認められない」として、特許法36条6項2号違反を理由とする拒絶理由 「第2の組の孔」に設けられる突起は軟骨下骨に対する支持をするものと考えられるが、各請求項の記載は、この点を明確に記載しているとは認められない」として、特許法36条6項2号違反を理由とする拒絶理由通知がされた。 キ本件出願人は、平成24年3月15日付け手続補正書において、第2回 補正後の請求項1を以下の下線部のとおり付加する補正(以下「第4回補正」という。)をした。 「手掌手首骨折の固定プレートにおいて、細長い近位本体部、および該本体部の一端に位置する遠位頭部を有する、ほぼ剛性のプレート、 を備え、 前記頭部は、前記本体部に対して上方向に角度をなし、前記頭部は、内部において一定の角度の突起を個々に保持すべく構成される、縦方向にずらして配置された第1の組の孔および第2の組の孔を画定し、各孔は、前記プレートから延びる軸線を画定し、前記第1の組の孔は、第1の線にほぼ沿って配列され、 前記第2の組の孔は、第2の線にほぼ沿って配列され、前記第2の線は、前記第1の線に対して前記頭部上で縦方向にずらされ、前記第2の組の孔は、前記第1の組の孔と比較すると、前記プレートの縦軸に対して遠位側にずらして配置され、 前記第1の組の孔の前記軸線は、前記第2の組の孔の遠位側に突出し、前記プレートが遠位橈骨に連結されると、前記第1の組の孔の前記軸線が前記第2の組の孔の前記軸線間を通って、前記遠位橈骨内に延びるように構成され、前記プレートが遠位橈骨に連結される場合に、前記第1の組の孔の軸 線は、背側面側の軟骨下骨の接線方向に延び、前記第2の組の孔の軸線は、手掌側面側の軟骨下骨の接線方向に延びるように構成されている、固定プレート。」(4) 審決特許庁は、平成24年3月29日、第 骨下骨の接線方向に延び、前記第2の組の孔の軸線は、手掌側面側の軟骨下骨の接線方向に延びるように構成されている、固定プレート。」(4) 審決特許庁は、平成24年3月29日、第4回補正後の請求項1に係る発明を 含む請求項1ないし17に係る各発明について、原査定を取り消し、本願の発明は特許すべきものとする旨の審決をした(甲1、乙4)。 (5) 訂正審判原告は、令和2年7月29日、本件特許の特許請求の範囲の訂正を求める訂正審判請求をした(甲17の1)。 特許庁は、令和3年2月15日、本件特許の特許請求の範囲について、後 記(6)アのとおり請求項1を訂正し(甲21)、これに直接又は間接的に従属する請求項2ないし17も同様に訂正することを認める旨の審決をし、同審決は確定した(弁論の全趣旨。以下、同訂正審決確定後の明細書を「本件明細書」という。ただし、当初明細書等から補正も訂正もされていないから、これと同一である。)。 (6) 本件特許の特許請求の範囲前記(5)の訂正後の特許請求の範囲(請求項の数17)のうち請求項1ないし7、11、13ないし17の記載は、以下のとおりである(以下、同訂正後の各請求項に係る発明を請求項の番号に従い「本件発明1」、「本件発明2」などといい、これらを併せて「本件各発明」という。甲2)。なお、下 線部は前記(5)の訂正審判による訂正箇所である。 ア請求項1手掌手首骨折の固定のための固定プレートにおいて、細長い近位本体部、および該本体部の一端に位置する遠位頭部を有する、ほぼ剛性のプレート、を備え、前記頭部は、前記本体部に対して上方向に角度をなし、前記頭部 は、内部において一定の角度の突起を個々に保持すべく構成される、縦方向にず 位置する遠位頭部を有する、ほぼ剛性のプレート、を備え、前記頭部は、前記本体部に対して上方向に角度をなし、前記頭部 は、内部において一定の角度の突起を個々に保持すべく構成される、縦方向にずらして配置された第1の組の孔および第2の組の孔を画定し、各孔は、前記プレートから延びる軸線を画定し、前記第1の組の孔は、第1の線にほぼ沿って配列され、前記第2の組の孔は、第2の線にほぼ沿って配列され、前記第2の線は、前記第1の線に対して前記頭部上で縦方向にず らされ、前記第2の組の孔は、前記第1の組の孔と比較すると、前記プレートの縦軸に対して遠位側にずらして配置され、前記第1の組の孔の前記軸線は、前記第2の組の孔の遠位側に突出し、前記プレートが遠位橈骨に連結されると、前記第1の組の孔の前記軸線が前記第2の組の孔の前記軸線間を通って、前記遠位橈骨内に延びるように構成され、前記プレートが 遠位橈骨に連結される場合に、前記第1の組の孔の軸線は、該第1の組の 孔に保持された突起が軟骨下骨を支持するように、背側面側の軟骨下骨の接線方向に延び、前記第2の組の孔の軸線は、該第2の組の孔に保持された突起が軟骨下骨を支持するように、手掌側面側の軟骨下骨の接線方向に延びるように構成されている、固定プレート。 イ請求項2 請求項1に記載の固定プレートにおいて、前記第1の線、および前記第2の線は、同一直線上になく、前記第1の組の孔の前記軸線は、前記第2の組の孔の一定の角度の軸線の間で延び、かつ該軸線に対して非平行である、固定プレート。 ウ請求項3 請求項1または2に記載の固定プレートにおいて、前記頭部は、前記第1の線の遠位側にある遠位バットレス部分を含み、前記第2の組の孔は、前記バットレス部分に設けられている、固 ウ請求項3 請求項1または2に記載の固定プレートにおいて、前記頭部は、前記第1の線の遠位側にある遠位バットレス部分を含み、前記第2の組の孔は、前記バットレス部分に設けられている、固定プレート。 エ請求項4請求項1~3のいずれか1項に記載の固定プレートにおいて、前記バッ トレス部分は、遠位側で先細りになる、固定プレート。 オ請求項6請求項1~5のいずれか1項に記載の固定プレートにおいて、前記プレートは、細長い本体部、および前記本体部の一端に設けられた骨幹端の頭部を含み、前記第1の組の孔、および前記第2の組の孔は、前記頭部に設 けられる、固定プレート。 カ請求項7請求項6に記載の固定プレートにおいて、前記頭部は、前記本体部に対して角度をなしている、固定プレート。 キ請求項11 請求項1~10のいずれか1項に記載の前記固定プレートを含む、シス テムにおいて、前記プレートの前記第1の組の孔、および前記第2の組の孔それぞれに結合可能で、一つ以上の骨片を支持すべく構成される、第1の組の突起、および第2の組の突起、をさらに備える、システム。 ク請求項13請求項11または12に記載のシステムにおいて、前記第1の組の突起 のうちの少なくとも二つが、互いに対して斜めに延びている、システム。 ケ請求項14請求項11~13のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記第2の組の突起は、互いに対して平行である、システム。 コ請求項15 請求項11~14のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記第1の組の突起は、前記第2の組の突起の遠位側に突出する、システム。 サ請求項16請求項1~10のいずれか1項 請求項11~14のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記第1の組の突起は、前記第2の組の突起の遠位側に突出する、システム。 サ請求項16請求項1~10のいずれか1項に記載の前記プレートを含むシステムにおいて、前記プレート内の前記第1の組の孔に対して一定の角度の関係で 結合され、線形に配列された、第1の組の少なくとも三つの細長い突起であって、前記プレートが前記遠位橈骨の手掌側に配置されるとき、前記第1の組の突起が、前記手掌側から前記遠位橈骨内に入るように方向付けられる、第1の組の線形に配列された少なくとも三つの細長い突起と、前記プレート内の前記第2の組の孔に対して一定の角度の関係で結合され、ほ ぼ線形に配列された、第2の組の少なくとも二つの細長い突起と、をさらに備え、前記第2の組の突起は、前記第1の組の突起の遠位側の位置から延び、かつ、前記プレートが前記遠位橈骨の前記手掌側に配置されるとき、前記第2の組の突起も、前記手掌側から前記遠位橈骨内に入るように方向付けられ、前記第1の組の突起を通る軸線は、前記第2の組の突起を通る 軸線の遠位側に突出する、システム。 シ請求項17請求項16に記載のシステムにおいて、前記第1の組の突起、および前記第2の組の突起は、横方向に重なっている、システム。 (7) 本件各発明の構成要件の分説本件各発明に係る特許請求の範囲を構成要件に分説した結果は、以下のと おりである(以下、分説した構成要件を符号に対応させて、「構成要件1A」などという。)。 ア本件発明1(請求項1)1A 手掌手首骨折の固定のための固定プレートにおいて、1B 細長い近位本体部、および該本体部の一端に位置する遠位頭部を 有する、ほぼ剛性のプ ア本件発明1(請求項1)1A 手掌手首骨折の固定のための固定プレートにおいて、1B 細長い近位本体部、および該本体部の一端に位置する遠位頭部を 有する、ほぼ剛性のプレートを、備え、1C 前記頭部は、前記本体部に対して上方向に角度をなし、1D 前記頭部は、内部において一定の角度の突起を個々に保持すべく構成される、縦方向にずらして配置された第1の組の孔および第2の組の孔を画定し、 1E 各孔は、前記プレートから延びる軸線を画定し、1F 前記第1の組の孔は、第1の線にほぼ沿って配列され、1G 前記第2の組の孔は、第2の線にほぼ沿って配列され、1H 前記第2の線は、前記第1の線に対して前記頭部上で縦方向にずらされ、 1I 前記第2の組の孔は、前記第1の組の孔と比較すると、前記プレートの縦軸に対して遠位側にずらして配置され、1J 前記第1の組の孔の前記軸線は、前記第2の組の孔の遠位側に突出し、前記プレートが遠位橈骨に連結されると、前記第1の組の孔の前記軸線が前記第2の組の孔の前記軸線間を通って、前記遠位橈 骨内に延びるように構成され、 1K 前記プレートが遠位橈骨に連結される場合に、前記第1の組の孔の軸線は、該第1の組の孔に保持された突起が軟骨下骨を支持するように、背側面側の軟骨下骨の接線方向に延び、前記第2の組の孔の軸線は、該第2の組の孔に保持された突起が軟骨下骨を支持するように、手掌側面側の軟骨下骨の接線方向に延びるように構成され ている、1L 固定プレート。 イ本件発明2(請求項2)請求項1に記載の固定プレートにおいて、2A 前記第1の線、および前記第2の線は、同一直線上になく、 2B 前記第1の組の孔の前記軸線は 。 イ本件発明2(請求項2)請求項1に記載の固定プレートにおいて、2A 前記第1の線、および前記第2の線は、同一直線上になく、 2B 前記第1の組の孔の前記軸線は、前記第2の組の孔の一定の角度の軸線の間で延び、かつ該軸線に対して非平行である、固定プレート。 ウ本件発明3(請求項3)請求項1または2に記載の固定プレートにおいて、 3A 前記頭部は、前記第1の線の遠位側にある遠位バットレス部分を含み、3B 前記第2の組の孔は、前記バットレス部分に設けられている、固定プレート。 エ本件発明4(請求項4) 請求項1~3のいずれか1項に記載の固定プレートにおいて、4A 前記バットレス部分は、遠位側で先細りになる、固定プレート、オ本件発明6(請求項6)請求項1~5のいずれか1項に記載の固定プレートにおいて、6A 前記プレートは、細長い本体部、および前記本体部の一端に設け られた骨幹端の頭部を含み、 6B 前記第1の組の孔、および前記第2の組の孔は、前記頭部に設けられる、固定プレート。 カ本件発明7(請求項7)請求項6に記載の固定プレートにおいて、7A 前記頭部は、前記本体部に対して角度をなしている、固定プレー ト。 キ本件発明11(請求項11)請求項1~10のいずれか1項に記載の前記固定プレートを含む、システムにおいて、11A 前記プレートの前記第1の組の孔、および前記第2の組の孔そ れぞれに結合可能で、一つ以上の骨片を支持すべく構成される、第1の組の突起、および第2の組の突起、をさらに備える、システム。 ク本件発明13(請求項13)請求項11または1 れぞれに結合可能で、一つ以上の骨片を支持すべく構成される、第1の組の突起、および第2の組の突起、をさらに備える、システム。 ク本件発明13(請求項13)請求項11または12に記載のシステムにおいて、 13A 前記第1の組の突起のうちの少なくとも二つが、互いに対して斜めに延びている、システム。 ケ本件発明14(請求項14)請求項11~13のいずれか1項に記載のシステムにおいて、14A 前記第2の組の突起は、互いに対して平行である、システム。 コ本件発明15(請求項15)請求項11~14のいずれか1項に記載のシステムにおいて、15A 前記第1の組の突起は、前記第2の組の突起の遠位側に突出する、システム。 サ本件発明16(請求項16) 請求項1~10のいずれか1項に記載の前記プレートを含むシステムに おいて、16A 前記プレート内の前記第1の組の孔に対して一定の角度の関係で結合され、線形に配列された、第1の組の少なくとも三つの細長い突起であって、前記プレートが前記遠位橈骨の手掌側に配置されるとき、前記第1の組の突起が、前記手掌側から前記遠位橈 骨内に入るように方向付けられる、第1の組の線形に配列された少なくとも三つの細長い突起と、16B 前記プレート内の前記第2の組の孔に対して一定の角度の関係で結合され、ほぼ線形に配列された、第2の組の少なくとも二つの細長い突起と、をさらに備え、 16C 前記第2の組の突起は、前記第1の組の突起の遠位側の位置から延び、かつ、前記プレートが前記遠位橈骨の前記手掌側に配置されるとき、前記第2の組の突起も、前記手掌側から前記遠位橈骨内に入るように方向付けられ、 起は、前記第1の組の突起の遠位側の位置から延び、かつ、前記プレートが前記遠位橈骨の前記手掌側に配置されるとき、前記第2の組の突起も、前記手掌側から前記遠位橈骨内に入るように方向付けられ、16D 前記第1の組の突起を通る軸線は、前記第2の組の突起を通る 軸線の遠位側に突出する、システム。 シ本件発明17(請求項17)請求項16に記載のシステムにおいて、17A 前記第1の組の突起、および前記第2の組の突起は、横方向に重なっている、システム。 (8) 被告の行為被告は、被告製品1、2、4及び5を製造、販売している。 被告製品3は、被告が製造、販売していたものであるが、平成30年7月までに販売が停止された。 (9) 被告各製品の構成 被告各製品の構成は以下のとおりである。 ア被告製品3及び4被告製品3及び4は、いずれも固定プレートであり、その形態は、おおむね、被告製品3については被告製品1、3及び5図面目録記載1のとおりであり、被告製品4については、被告製品2、4及び5図面目録記載1のとおりである。 イ被告製品5被告製品5は、ロッキングスクリューであり、その形態は、おおむね別紙被告製品1、3及び5図面目録記載2及び4並びに被告製品2、4及び5図面目録記載2及び3のとおりである。 ウ被告製品1及び2 被告製品1は、被告製品3と被告製品5とで、被告製品2は、被告製品4と被告製品5とで、それぞれ構成されるシステムである。 (10) 被告製品1ないし4の構成要件充足性ア被告製品3及び4被告製品3及び4は、本件発明1の構成要件1AないしC、FないしI 及びL、本件発明2の構 ステムである。 (10) 被告製品1ないし4の構成要件充足性ア被告製品3及び4被告製品3及び4は、本件発明1の構成要件1AないしC、FないしI 及びL、本件発明2の構成要件2A、本件発明3の構成要件3A及びB、本件発明4の構成要件4A、本件発明6の構成要件6A及びB並びに本件発明7の構成要件7Aを充足する。 イ被告製品1被告製品1は、本件発明11の構成要件11A及び本件発明16の構成 要件16Cを充足する。 なお、被告製品1に含まれる被告製品3の構成要件充足性については、前記アのとおりである。 ウ被告製品2被告製品2は、本件発明11の構成要件11Aを充足する。 なお、被告製品2に含まれる被告製品4の構成要件充足性については、 前記アのとおりである。 3 争点(1) 被告製品3及び4が本件発明1の技術的範囲に属するか(争点1)ア文言侵害の成否(ア) 構成要件1Dの充足性(争点1-1) (イ) 構成要件1Eの充足性(争点1-2)(ウ) 構成要件1Jの充足性(争点1-3)(エ) 構成要件1Kの充足性(争点1-4)イ均等侵害の成否(ア) 被告製品3及び4が本件発明1に係る特許請求の範囲に記載された構 成(構成要件1E、1J及び1K)と均等なものであるか(争点1-5)(イ) 被告製品4が本件発明1に係る特許請求の範囲に記載された構成(構成要件1J)と均等なものであるか(争点1-6)(2) 被告製品3及び4が本件発明2の技術的範囲に属するか(争点2)(3) 被告製品3及び4が本件発明3、4、6及び7の技術的範囲に属するか (争点3)(4) 被告 -6)(2) 被告製品3及び4が本件発明2の技術的範囲に属するか(争点2)(3) 被告製品3及び4が本件発明3、4、6及び7の技術的範囲に属するか (争点3)(4) 被告製品1及び2が本件発明11の技術的範囲に属するか(争点4)(5) 被告製品1及び2が本件発明13の技術的範囲に属するか(争点5)(6) 被告製品1及び2が本件発明14の技術的範囲に属するか(争点6)(7) 被告製品1及び2が本件発明15の技術的範囲に属するか(争点7) (8) 被告製品1が本件発明16の技術的範囲に属するか(争点8)(9) 被告製品1が本件発明17の技術的範囲に属するか(争点9)(10) 被告製品3、4及び5についての間接侵害の成否(争点10)(11) 無効の抗弁ア乙第5号証の広告(以下「乙5文献」という。)を主引用例とする進歩 性欠如(争点11) (ア) 本件発明1の進歩性欠如(争点11-1)(イ) 本件発明2の進歩性欠如(争点11-2)(ウ) 本件発明3の進歩性欠如(争点11-3)(エ) 本件発明4の進歩性欠如(争点11-4)(オ) 本件発明6の進歩性欠如(争点11-5) (カ) 本件発明7の進歩性欠如(争点11-6)(キ) 本件発明11の進歩性欠如(争点11-7)(ク) 本件発明13の進歩性欠如(争点11-8)(ケ) 本件発明14の進歩性欠如(争点11-9)(コ) 本件発明15の進歩性欠如(争点11-10) (サ) 本件発明16の進歩性欠如(争点11-11)(シ) 本件発明17の進歩性欠如(争点11-12)イ乙第9号証のカタログ(以下「乙9文献」という。)を主引用例とする進歩性欠如(争点12)(ア) 本件発明 進歩性欠如(争点11-11)(シ) 本件発明17の進歩性欠如(争点11-12)イ乙第9号証のカタログ(以下「乙9文献」という。)を主引用例とする進歩性欠如(争点12)(ア) 本件発明1の進歩性欠如(争点12-1) (イ) 本件発明2の進歩性欠如(争点12-2)(ウ) 本件発明3の進歩性欠如(争点12-3)(エ) 本件発明4の進歩性欠如(争点12-4)(オ) 本件発明6の進歩性欠如(争点12-5)(カ) 本件発明7の進歩性欠如(争点12-6) (キ) 本件発明11の進歩性欠如(争点12-7)(ク) 本件発明13の進歩性欠如(争点12-8)(ケ) 本件発明14の進歩性欠如(争点12-9)(コ) 本件発明15の進歩性欠如(争点12-10)(サ) 本件発明16の進歩性欠如(争点12-11) (シ) 本件発明17の進歩性欠如(争点12-12) (12) 損害の発生及び額(争点13)第3 争点に関する当事者の主張 1 被告製品3及び4が本件発明1の技術的範囲に属するか(争点1)(1) 構成要件1Dの充足性(争点1-1)(原告の主張) ア 「一定の角度の突起を個々に保持すべく構成される、…第1の組の孔および第2の組の孔を画定し」の文言解釈構成要件1Dの「前記頭部は、…一定の角度の突起を個々に保持すべく構成される、…第1の組の孔および第2の組の孔を画定し」は、以下の理由により、本件発明1の固定プレートが、突起(例えばロッキングスクリ ュー)が固定プレートに固定されて突起が固定プレートと一体化する構成(いわゆるロッキングプレート)であることを規定したと解釈するのが相当である。 (ア) 「一定」及び「保持」の意味goo国語辞 ュー)が固定プレートに固定されて突起が固定プレートと一体化する構成(いわゆるロッキングプレート)であることを規定したと解釈するのが相当である。 (ア) 「一定」及び「保持」の意味goo国語辞書(出典:デジタル大辞泉(小学館))によれば、「一定」 とは、「1 一つに定まって変わらないこと。2 順序や方法などが決まっていること。3 ある傾向・状態に落ち着くこと」とあり、「保持」とは、「1 保ち続けること。持ち続けること。」とある。 よって、構成要件1Dの「前記頭部は、…一定の角度の突起を個々に保持すべく構成される、…第1の組の孔および第2の組の孔を画定し」 とは、固定プレートの頭部が突起を固定プレートに対してある定まった角度のまま変わらないように保ち続けるように構成される孔を定めることを意味する。 (イ) 本件発明1の技術的意義との関係本件発明1は、遠位橈骨内で軟骨下骨の接線方向に延びる互いに交差 する2列の突起を保持することができる固定プレートにより、軟骨下骨 又は関節表面を異なる2箇所で支持することによって、軟骨下骨又は関節表面の所望の位置合わせや安定化を可能にしたものである。突起が固定プレートに固定されていなければ、固定プレートが遠位橈骨に連結された後に突起が固定プレートに対して動いてしまう可能性があり、交差する2列の突起により軟骨下骨又は関節表面を異なる2箇所で支持する との効果を十分に奏することはできない。 このような本件発明1の技術的意義は、構成要件1Dの「前記頭部は、…一定の角度の突起を個々に保持すべく構成される、…第1の組の孔および第2の組の孔を画定し」が、固定プレートの頭部が突起を固定プレートに対してある定まった角度のまま変わらないように保ち続けるよう に構成される孔を定 に保持すべく構成される、…第1の組の孔および第2の組の孔を画定し」が、固定プレートの頭部が突起を固定プレートに対してある定まった角度のまま変わらないように保ち続けるよう に構成される孔を定めることを意味するとの前記(ア)の解釈にも整合する。 (ウ) 被告の主張に対する反論a 第1回補正の趣旨被告は、出願当初の請求項30、31、44及び45には「一つの 角度しか持たないペグ」と同義である「固定角度のペグ」という文言が使われ、それ以外の出願当初の請求項にはこのような限定文言が使われていなかったのに対し、第1回補正によって、請求項1に「一定の角度の突起を個々に保持すべく構成される」という限定事項が加えられたことにより、当初明細書等の段落【0017】に記載の「任意 の角度で個々のペグを固定することができるような構造に構成され」ている固定プレートは、特許請求の範囲から除外されたと解釈されると主張する。 しかし、当初明細書等の段落【0017】の「固定された片角ペグ」は、本件出願の原英文である国際公開第2004/087005号パ ンフレット(以下、単に「原英文」という。甲18)では「fixedsi ngle-anglepegs」と記載されており、他方で、出願当初の請求項30、31、44及び45の「固定角度のペグ」は、原英文では、「fixed-anglepegs」と記載され、「single」の文言が敢えて外されている。 また、当初明細書等の段落【0017】に記載された「固定された 片角ペグ(fixedsingle-anglepegs)」のうち、片角(single-angle)は、スクリュー設置角度が一定であることを示す「角度固定型」であることを意味していることから、「固 片角ペグ(fixedsingle-anglepegs)」のうち、片角(single-angle)は、スクリュー設置角度が一定であることを示す「角度固定型」であることを意味していることから、「固定された(fixed)」は、「角度固定型」であることを意味するものではないことは明らかである。そうすると、出願当初の請求項30、31、44及び45の「固 定角度のペグ」には、固定された片角(single-angle)のペグのみならず、固定された複数角度(multi-angle)のペグも含まれると解すべきである。 したがって、「固定角度のペグ」が「一つの角度しか持たないペグ」と同義であることを前提に、第1回補正により、所定の角度の範囲内 で術者が任意に選択した角度でスクリューを固定することができる角度可変型のロッキングプレートが除外されたという被告の主張は理由がない。 b 本件回答書の内容本件回答書は、「引用文献1」には、骨ねじ69の先端が軟骨下骨 に近接若しくは当接していることは記載されているものの軟骨下骨を支持することについて何ら記載されていないこと、及び、骨ねじ69は向きによってはその先端が軟骨下骨に接触して近位上腕骨内に配置されることがあるため、骨ねじ69が軟骨下骨を支持することはあり得るが、その場合であっても点でしか支持することはできないことを 説明している。そして、「引用文献1」に記載された発明は、本件各 発明の課題を何ら認識しておらず、本件各発明のような第1の組の孔の軸線と第2の組の孔の軸線とが軟骨下骨の接線方向にそれぞれ延びて交差している構成及びスクリューのそれぞれを一定の角度で保持する構成について何ら記載も示唆もしていないことを述べているにすぎない。また、そ と第2の組の孔の軸線とが軟骨下骨の接線方向にそれぞれ延びて交差している構成及びスクリューのそれぞれを一定の角度で保持する構成について何ら記載も示唆もしていないことを述べているにすぎない。また、そもそも、「引用文献1」の「骨プレート」は、被告製 品3及び4のように、固定プレートと突起を固定する技術(ロッキングプレートの構成)を備えていない。 したがって、本件回答書の記載をもって、本件出願人が角度可変型ロッキングプレートを特許請求の範囲から排除したことを自認しているとはいえず、よって、本件訴訟において被告製品3及び4が構成要 件1Ⅾを充足すると主張する行為と矛盾をきたすとはいえないから、禁反言の法理に反するものではない。 c 被告の「一定の角度」の解釈について被告は、広辞苑において「一定」は「③(あらかじめ)決まっていること」という意味があるとされていると主張するが、予め決まって いる角度が複数存在している場合(例えば、90度や75度など)、それら角度のそれぞれが予め決まっているということができる。すなわち、構成要件1Dの「一定」の文言を上記の「(あらかじめ)決まっていること」の意味で解釈したとしても、予め決まっている角度が複数存在することを否定する根拠にはならない。 イ被告製品3及び4が構成要件1Dを充足するか被告製品3及び4は、±15度の範囲で術者が任意に定めた角度のスクリューを個々に保持するものであるから、角度可変型ロッキングプレートに該当する。また、被告製品3及び4が角度可変型ロッキングプレートに該当することは、ロッキングプレートについて説明した文献(甲6)にお いて、被告製品が現在遠位橈骨骨折に対し日本で使用可能なロッキングプ レート 3及び4が角度可変型ロッキングプレートに該当することは、ロッキングプレートについて説明した文献(甲6)にお いて、被告製品が現在遠位橈骨骨折に対し日本で使用可能なロッキングプ レートとして紹介されていることからも明らかである。 この点、被告は、被告製品3及び4について、孔の形状は円筒形ではなく、いくつかの異なる向きの平面を持っており、孔自身が軸線を決定付けることはない旨主張するが、被告製品3及び4の孔は±15度の範囲で軸線を定めているので、被告の上記主張は理由がない。 よって、被告製品3及び4は、固定プレートの頭部が、突起を固定プレートに対してある定まった角度のまま変わらないように保ち続けるように構成される孔を有しているといえるから、いずれも構成要件1Dを充足する。 (被告の主張) ア 「一定の角度の突起を個々に保持すべく構成される、…第1の組の孔および第2の組の孔を画定し」の文言解釈「一定の角度の突起を個々に保持すべく構成される、…第1の組の孔および第2の組の孔を画定し」とは、以下の理由により、各孔がただ一つの角度あるいは方向に突起が設置されるような構成を採っていることを意味 すると解釈すべきである。 (ア) 文言の辞書的意味原告は、「一定」という用語を「一つに定まって変わらないこと。」と解釈し、構成要件1Dの「一定の角度の突起を個々に保持すべく構成される、…第1の組の孔および第2の組の孔を画定し」について、頭部 が突起を固定プレートに対してある定まった角度のまま変わらないように保ち続けるように構成される孔を定めることを意味すると解釈する。 しかし、上記解釈は、「一つに定まって変わらないこと。」のうちの「一つに」という部分を捨象して「ある まった角度のまま変わらないように保ち続けるように構成される孔を定めることを意味すると解釈する。 しかし、上記解釈は、「一つに定まって変わらないこと。」のうちの「一つに」という部分を捨象して「ある定まった」と読み替えている点で恣意的であるだけでなく、辞書として一般的に認知されている広辞苑 では「一定」の意味として「③(あらかじめ)決まっていること。」と いう意味も掲載されていることから妥当ではない。 よって、「一定の角度の突起を保持」とは、突起が孔によってただ一つの角度あるいは方向でのみ保持されることを意味するものと解釈されるべきである。 (イ) 出願手続における限定 a 当初明細書等の記載及び第1回補正当初明細書等の段落【0017】には、「固定された片角ペグが、プレートと共に使用するものとして開示された(すなわち、ペグがそれぞれのペグ孔によって規定された軸線と同軸でしかそれぞれの螺刻されたペグ孔に固定され得ない)が、…関節式ペグシステムも使用す ることができることは了解されよう。このような関節式ペグシステムでは、ペグ孔及びペグは、所定範囲の角度内の任意の角度で個々のペグを固定することができるような構造に構成されており、…」との記載があり、一つの定まった角度のみ突起(ペグ)を固定することができる角度固定型ロッキングプレートだけではなく、所定の角度の範囲 内で術者が任意に選択した角度で突起を固定することができる角度可変型ロッキングプレートについても補正前の請求項に係る各発明を応用できると説明しているところ、上記「固定された片角ペグ」は、原英文には「fixedsingle-anglepegs」と記載されており、「一つの角度しか持たないペグ」という意味になる。そうすると、本件出願人は、 角 、上記「固定された片角ペグ」は、原英文には「fixedsingle-anglepegs」と記載されており、「一つの角度しか持たないペグ」という意味になる。そうすると、本件出願人は、 角度固定型ロッキングプレートと角度可変型ロッキングプレートとを明確に区別して認識していたといえる。 他方で、出願当初の請求項30、31、44及び45には「一定の角度の突起」と同様の意味を持つ「固定角度のペグ」という限定事項がみられるものの、それ以外の請求項には「一定の角度の」又は「固 定角度の」との文言が含まれていなかったことからすると、出願当初 の請求項30、31、44及び45以外の請求項によって、角度可変式ロッキングプレートも権利の範囲に含む意図があったと推察される。 しかし、第1回補正によって、請求項1に「一定の角度の突起を個々に保持すべく構成される」という限定事項が加えられたのであり、「一定の角度」と「任意の角度」は反対の概念といえるから、当初明 細書等の段落【0017】に記載の「任意の角度で個々のペグを固定することができるような構造に構成され」ている固定プレートは、特許請求の範囲から除外されたと解釈されるべきである。 b 本件回答書の内容本件回答書において、「引用文献1の図7に関連する図5(参考図 4)に示されるように、骨ねじ69(本願の「突起」に対応)を取り付ける骨プレートの穴62A、62B(本願の「孔」に対応)はネジ切りされていません。このため、骨ねじ69は、骨プレートの穴62A、62Bを介して、任意の方向に近位上腕骨内に挿入され」るとし、この点が本件各発明とは相違しているとの主張がされていることから、 本件出願人は、任意の角度で突起が保持されることは特許請求の範囲から排除されていることを 向に近位上腕骨内に挿入され」るとし、この点が本件各発明とは相違しているとの主張がされていることから、 本件出願人は、任意の角度で突起が保持されることは特許請求の範囲から排除されていることを自認したといえる。そして、本件回答書の上記記載に基づいて本件発明1の進歩性が認められたのであるから、本件訴訟において、被告製品3及び4のような任意の角度でロッキングスクリュー(突起)が保持される構成も構成要件1Ⅾを充足すると 主張することは、禁反言の法理によって許されないものである。 (ウ) 他の構成要件との整合性本件発明1の構成要件1Kが、「前記第1の組の孔の軸線は、該第1の組の孔に保持された突起が軟骨下骨を支持するように、背側面側の軟骨下骨の接線方向に延び、前記第2の組の孔の軸線は、該第2の組の孔に 保持された突起が軟骨下骨を支持するように、手掌側面側の軟骨下骨の 接線方向に延びる」として、極めて限定された一義的な軸線の方向を要件としていることからしても、「一定の角度」及び「各孔は、前記プレートから延びる軸線を画定」との文言の解釈は、各孔が、ただ一つの角度あるいは方向に突起が設置されるような構成を採っていることを意味すると解釈するのがクレーム全体の理解として極めて整合的である。 イ被告製品3及び4が構成要件1Dを充足するか被告製品3及び4の第1及び第2の組の孔に採用されている「スリーポイントウエッジロッキングシステム(TriLock)」及び「マルチダイレクショナルシステム」の構成は、メダルティス・アクチェンゲゼルシャフト(以下「メダルティスAG」という。)によって特許化されている(国 際公開第2004/086990号)特殊な孔であり、孔の形状は円筒形ではなく、幾つかの異なる向きの平面を持ってい ゼルシャフト(以下「メダルティスAG」という。)によって特許化されている(国 際公開第2004/086990号)特殊な孔であり、孔の形状は円筒形ではなく、幾つかの異なる向きの平面を持っているため、孔自身が軸線を決定付けることはない。そして、かかる特殊な孔とスクリューヘッドの構造により、孔に挿入するロッキングスクリューの角度を術者の選択により上下左右に±15度の範囲で自由に選択することができることを特徴とし ており、任意の角度でロッキングスクリュー(突起)を固定できる構造となっている。 よって、被告製品3及び4は、「一定の角度を保持」する孔を有しないといえ、構成要件1Dを充足しない。 (2) 構成要件1Eの充足性(争点1-2) (原告の主張)ア 「各孔は、前記プレートから延びる軸線を画定し、」の文言解釈「各孔は、前記プレートから延びる軸線を画定し」とは、以下の理由により、各孔が固定プレートから延びる軸線の区域を定めることを意味すると解釈するのが相当である。 (ア)「軸線」の意味 構成要件1Eの「軸線」とは、「対称性を有する図形における対称の基準となる直線」を意味し、突起の軸線ではなく、孔の形状により定まる軸線である。もっとも、構成要件1Eの「各孔」は、構成要件1Dを受けたものであるから、突起を保持する部分を意味している。したがって、構成要件1Eの充足性が検討されるときには、固定プレートの孔から観 念される対称性を有する図形の認定に当たって、孔が突起を保持する態様が考慮されるべきであり、孔から観念される対称性を有する図形について、孔全体の物理的な形状そのものに限定して解釈すべき必然性はない。 (イ) 「画定」の意味 「画定」の意味に れるべきであり、孔から観念される対称性を有する図形について、孔全体の物理的な形状そのものに限定して解釈すべき必然性はない。 (イ) 「画定」の意味 「画定」の意味について、weblio辞書(三省堂「大辞林」第三版)には「区切りをはっきり定めること。」とあり、特許技術用語類語集第2版(日刊工業新聞社)には「区域を定めること。」とあるから、構成要件1Eの「各孔は、前記プレートから延びる軸線を画定し」とは、各孔が固定プレートから延びる軸線の区域を定めることを意味するもので ある。 (ウ) 被告の主張に対する反論被告は、「各孔は、前記プレートから延びる軸線を画定し、」について、孔自身が軸線を明確かつ一義的に方向あるいは角度を決定付ける構成を意味していると主張する。 しかし、構成要件1Eの「孔」の「軸線」は、「図形」(本件では「孔」)の位置及び形状が決まれば、軸の角度や方向が明確かつ一義的に1本に決まるとは限らない。また、ねじ切りされた孔を有する固定プレートでは、孔によって画定される軸線は一義的に定められるものの、本件明細書の段落【0017】に記載されている関節式ペグシステムでは、孔に よって画定される軸線は一義的に1本には定められない。そして、本件 特許の特許請求の範囲及び本件明細書を見ても、孔の軸線が1本に定められない場合を除外することをうかがわせる記載はない。 よって、構成要件1Eは、孔の軸線が複数本画定される場合も含まれると解すべきである。 イ被告製品3及び4が構成要件1Eを充足するか 被告製品3及び4は、孔を取り囲む周面が異なる向きを有する複数の面で構成されていると解されるところ、異なる向きを有する複数の面のそれぞれについて、対称性を有する図形が観念 件1Eを充足するか 被告製品3及び4は、孔を取り囲む周面が異なる向きを有する複数の面で構成されていると解されるところ、異なる向きを有する複数の面のそれぞれについて、対称性を有する図形が観念され、その対象基準となる直線が定められる。 そして、被告製品3及び4は、孔の形状によりロッキングスクリューを ±15度の範囲で固定するものであるところ、被告製品3及び4において、±15度の範囲内のロッキングスクリューの連続的な角度の調整は、ロッキングスクリューが接する孔の周面が球面状に形成されることで実現されると推測される。すなわち、被告製品3及び4では、ロッキングスクリューを保持する孔から観念される対称性を有する図形は球となるから、孔に よって定められる軸線は複数となる。 よって、被告製品3及び4の各孔は、軸線の区域を定めているといえ、被告製品3及び4は、構成要件1Eを充足する。 なお、仮に、被告製品3及び4の各孔が1本の軸線のみを定めるとした場合でも、軸線の区域を零と定めていることになるのであるから、構成要 件1Eを充足する。 (被告の主張)ア 「各孔は、前記プレートから延びる軸線を画定し、」の文言解釈「各孔は、前記プレートから延びる軸線を画定し、」とは、以下の理由から、孔自身が軸線を明確かつ一義的に方向あるいは角度を決定付ける構成 を意味していると解釈すべきである。 (ア) 「軸線」の意味「軸」とは、「⑧㋐回転対称・線対称において基準となる直線。円錐・円柱の軸・楕円・放物線の軸の類。」(広辞苑第7版)や、「⑦〖数〗[axis]㋐ある図形が一つの直線に対して他の図形や自分自身に重なったり、また回転して立体図形ができるとき、その直線をいう。対称軸。回 転軸」(大辞林第3版)である 辞苑第7版)や、「⑦〖数〗[axis]㋐ある図形が一つの直線に対して他の図形や自分自身に重なったり、また回転して立体図形ができるとき、その直線をいう。対称軸。回 転軸」(大辞林第3版)であるとされている。このように軸という概念は、対称性を有する図形における対称の基準となる直線ということができる。 よって、図形(本件では「孔」)の位置及び形状が決まれば、軸の角度や方向は明確かつ一義的に1本に決まるべきものである。 (イ) 「画定」の意味 出願当初の請求項1を始めとする合計55の全ての請求項において、「画定」という言葉は一切使われておらず、「孔」と「軸線」の関係を示す際には全て「規定」という言葉が使われていた。また、当初明細書等においても、「孔」と「軸線」の関係を示す際には全て「規定」という用語が用いられていた。 そして、「規定」とは、広辞苑では「規則や規準を定めること」であるとされ、また、大辞林では「物事のありさまややり方を決まった形にすること。」であるとされている。 また、原英文では、上記「規定」に対応する用語として、「define」が使われている。「define」には境界を定めるという意味もあるが、「明確 に指定する」という意味もある。 これらの当初明細書等の記載や原英文の記載に照らすと、「画定」は、「確定」(「確かにきまること。定まって変動しないこと。」(広辞苑第7版))に近い概念として、明確に一義的に決まるという意味に解釈するべきである。 (ウ) 本件明細書の記載との整合性 原告は、構成要件1Eの充足性が検討されるときには、固定プレートの孔から観念される対称性を有する図形の認定に当たって、孔が突起を保持する態様が考慮されるべきであると主張する。 しかし、構成要件1Dにおいて 構成要件1Eの充足性が検討されるときには、固定プレートの孔から観念される対称性を有する図形の認定に当たって、孔が突起を保持する態様が考慮されるべきであると主張する。 しかし、構成要件1Dにおいて「突起」という概念が登場していることから、構成要件1Eにおいて孔が突起を保持しているときの孔の軸線 を表現したいのであれば、「突起の軸線」という用語を使用することができたはずである。現に、本件特許の特許請求の範囲の請求項16においては、「突起を通る軸線」との用語が使われており、本件出願人は、この「突起を通る軸線」という用語を使うことに支障はなかったといえる。 それにもかかわらず、構成要件1E、1J及び1Kにおいて「突起の軸 線」ではなく、「孔の軸線」という用語によって権利の範囲が規定されていることからすると、「孔の軸線」と「突起の軸線」を全くの同義として解釈することには文言上無理がある。 また、本件明細書の段落【0017】においては、特許請求の範囲における「孔の軸線」と「ペグ(突起のこと)の軸線」とは別個の概念で あることを前提とした説明がされている。 加えて、出願当初の特許請求の範囲の請求項29、46及び49には、「孔の軸線」とは別に「突起の軸線」との用語が使われている。 このように「孔の軸線」は、「突起の軸線」とは明確に異なる概念として扱われているといえる。 イ被告製品3及び4が構成要件1Eを充足するか被告製品3及び4の特長である特殊な孔の構造により、被告製品3及び4においては孔の軸線を観念できない。よって、構成要件1Eを充足しない。 もっとも、被告製品3及び4の製造工程において、例えばフライス盤に よってプレートに孔を形成する場合、フライス盤の先端のドリルやミラー など て、構成要件1Eを充足しない。 もっとも、被告製品3及び4の製造工程において、例えばフライス盤に よってプレートに孔を形成する場合、フライス盤の先端のドリルやミラー などの製作工具が孔開けする方向(以下「孔開け方向」という。)は存在する。そして、プレートを貫通して孔が開けられた後、孔の内面に複雑な凹面や凸面が形成され、孔開け方向の軸線を基準として±15度の範囲で術者がロッキングスクリューを自由に固定することができるようになるが、この凹凸によって孔開け方向の軸線が変化することはない。そのため、こ の孔開け方向の軸線を孔の軸線と考えることもでき、その場合は構成要件1Eを充足すると解する余地はある。 (3)構成要件1Jの充足性(争点1-3)(原告の主張)ア文言解釈 構成要件1Jについては、以下の理由により、少なくとも一つの第1の組の孔の軸線(孔がその形状により画定した孔の軸線)は、第2の組の孔よりも遠位側に延び、固定プレートが遠位橈骨に連結されると、少なくとも一つの第1の組の孔の軸線(突起の軸線に相当する孔の軸線)が、第2の組の孔の軸線(突起の軸線に相当する孔の軸線)の間を通って、遠位橈 骨内に延びることを意味すると解釈するのが相当である。 (ア) 「孔の軸線」の解釈構成要件1Jには、「前記プレートが遠位橈骨に連結されると」との文言があり、プレートが遠位橈骨に連結されたときには、突起が孔に固定されてプレートから延びた状態となっているから、「前記プレートが遠 位橈骨に連結されると」の限定がされたときの「孔の軸線」とは、孔に固定された突起の軸線に相当する孔の軸線を意味する。 したがって、構成要件1Jの「前記第1の組の孔の前記軸線は、前記第2の組の孔の遠位側に突出し」(以下「 の限定がされたときの「孔の軸線」とは、孔に固定された突起の軸線に相当する孔の軸線を意味する。 したがって、構成要件1Jの「前記第1の組の孔の前記軸線は、前記第2の組の孔の遠位側に突出し」(以下「構成要件1J前段」という。)における「孔の軸線」は、孔の形状により定まる軸線であり、突起の軸 線ではないが、構成要件1Jの「前記プレートが遠位橈骨に連結される と、前記第1の組の孔の前記軸線が前記第2の組の孔の前記軸線間を通って、前記遠位橈骨内に延びるように構成され、」(以下「構成要件1J後段」という。)における「孔の軸線」は、突起の軸線を意味するものである。 被告は、本件特許及び出願当初の特許請求の範囲並びに本件明細書の 各記載において、「突起の軸線」と「孔の軸線」とが別の概念であることが前提とされているから、構成要件1J及び1Kで敢えて「孔の軸線」が選択されていることからすると、同文言は「突起の軸線」を意味するものではない旨主張する。 しかし、「突起の軸線」の文言が使用されていると被告が指摘する本 件特許の特許請求の範囲における請求項16並びに出願当初の特許請求の範囲における請求項29、46及び49は、いずれも「突起」を構成要素とする「システム」に関する発明に係るものであり、「固定プレート」に関する発明に係るものではない。固定プレートの発明に係る請求項1において、「突起の軸線」ではなく、固定プレートの側から表現し た「孔の軸線」という文言を採用しようとすることは、クレーム作成の通常の実務であり、文言を使い分けているのは、「孔の軸線」と「突起の軸線」が相容れない概念だからではない。 また、本件明細書の段落【0017】には、関節式ペグシステムにおいて、ペグがそれぞれのペグ孔によって規定された軸線と同軸になら るのは、「孔の軸線」と「突起の軸線」が相容れない概念だからではない。 また、本件明細書の段落【0017】には、関節式ペグシステムにおいて、ペグがそれぞれのペグ孔によって規定された軸線と同軸にならな いという記載はない。実際に、関節式ペグシステムでは、孔に固定されたペグは、それぞれの孔によって規定された複数の軸線のうちの一つの軸線と同軸になる。したがって、本件明細書の段落【0017】の記載は、ペグがペグ孔の軸線と同軸となる固定プレートと、ペグがペグ孔の軸線と同軸にならない固定プレートとを対比したものではなく、一つの 角度でしかペグを固定することができない固定プレートと、所定範囲の 角度内の任意の角度でペグを固定することができる固定プレートとを対比したものと解すべきである。 よって、被告の上記主張には理由がない。 (イ) 構成要件1Jが全ての第1の組の孔の軸線について規定しているか被告は、第1の組の孔の全てが構成要件1Jに規定される軸線を備え ていることを要求している旨主張する。 しかし、「延びるように構成され」との文言があるとしても、その文言自体は、延びる対象となる軸線が「全ての」軸線であるか否かについては何ら規定していない。 したがって、全ての第1の組の孔の軸線が構成要件1Jの定める軸線 とならなければならないという限定はなく、被告の上記主張は理由がない。 イ被告製品3及び4が構成要件1Jを充足するか(ア) 被告製品3及び4の孔の軸線が複数本観念できる場合(主位的主張)被告製品3及び4の±15度の範囲で第1の組の孔に固定されたロッ キングスクリューの軸線の一部が第2の組の孔に固定されたロッキングスクリューの軸線よりも遠位側に延びることは明らかである。 また、被告製品3 4の±15度の範囲で第1の組の孔に固定されたロッ キングスクリューの軸線の一部が第2の組の孔に固定されたロッキングスクリューの軸線よりも遠位側に延びることは明らかである。 また、被告製品3及び4は、遠位橈骨内で軟骨下骨の接線方向に延びる互いに交差する2列のロッキングスクリューを保持することができる固定プレートにより、軟骨下骨を異なる2箇所で支持するDSS(Do uble-tieredSubchondralSupport)法(2段階軟骨下骨支持固定法)を実施するためのものであるから、被告製品3及び4では、術者によってDSS法を実施するように固定プレートが遠位橈骨に連結されると、第1の組の孔に固定されたロッキングスクリューの軸線に相当する第1の組の孔の軸線は、第2の組の孔に固 定されたロッキングスクリューの軸線に相当する第2の組の孔の軸線間 を通って、遠位橈骨内に延びるように構成されている。 よって、被告製品3及び4は、構成要件1Jを充足する。 (イ) 被告製品3及び4の孔の軸線が1本に定まる場合(予備的主張)構成要件1J前段については、被告製品3は、第1の組の孔の軸線がいずれも遠位側に10ないし12度傾いているから同要件を満たすとい える。 また、原告訴訟代理人弁理士作成の令和3年11月9日付け報告書(甲26。以下「本件報告書」という。)は、被告製品3及び4の孔の軸線が孔開け方向の軸線であるとした場合に、被告製品3及び4の第1の組の尺側(尺骨のある側、つまり小指のある側)の一つ又は二つの孔 の軸線と、第2の組の孔の尺側の二つの孔の軸線が遠位橈骨内で交差するかどうかを検証した結果が記載された報告書であるところ、同報告書には、同検証により、被告製品3において、第1の組の孔の最も尺 の軸線と、第2の組の孔の尺側の二つの孔の軸線が遠位橈骨内で交差するかどうかを検証した結果が記載された報告書であるところ、同報告書には、同検証により、被告製品3において、第1の組の孔の最も尺側の孔の軸線は第2の組の孔の尺側から1及び2番目の孔の軸線と遠位橈骨内で交差する結果となったことが記載されている。 したがって、被告製品3は、少なくとも第1の組の孔の最も尺側の孔の軸線は、遠位橈骨内で第2の組の孔の軸線と交差しており、構成要件1J後段を充足する。 なお、本件報告書に示されるように、被告製品4では、第1の組の孔の軸線は、遠位橈骨内で第2の組の孔の軸線の間を通るように第2の組 の孔の軸線と交差することはないため、この場合は、構成要件1Jを充足しないことになる。 (被告の主張)ア文言解釈構成要件1J前段は、曖昧で不明瞭であるが、構成要件1J後段は、以 下の理由により、全ての第1の組の孔の軸線と第2の組の孔の軸線が遠位 橈骨内で交差することを意味すると解すべきである。 (ア) 「孔の軸線」の解釈前記(2)(被告の主張)アのとおり、「孔の軸線」は、孔の形状により一義的に決まる軸線と解するのが相当である。 原告は、構成要件1J前段と後段の「孔の軸線」を異なる意味に解釈 しているが、請求項1という一つの完結した請求項において、「孔の軸線」という同一の文言に対して異なる意味を付与するような原告主張の解釈論は、無理があるだけではなく、明らかに本件特許の特許請求の範囲における他の請求項の記載や本件明細書の記載との整合性が取れない。 したがって、原告の主張する上記解釈は採用し得ない。 (イ) 構成要件1Jが全ての第1の組の孔の軸線について規定しているか構成要件1J後段の「…に延びる 細書の記載との整合性が取れない。 したがって、原告の主張する上記解釈は採用し得ない。 (イ) 構成要件1Jが全ての第1の組の孔の軸線について規定しているか構成要件1J後段の「…に延びるように構成され」との記載については、「各孔」つまり全ての第1の組の孔において必ずそのような軸線になるよう固定された軸線の構成であることを要求していると理解するのが相当である。 したがって、構成要件1Jは、全ての第1の組の孔の軸線と第2の組の孔の軸線が遠位橈骨内で交差することを意味すると解すべきである。 イ被告製品3及び4が構成要件1Jを充足するか(ア) 被告製品3及び4の孔の軸線が観念できない場合(主位的主張)被告製品3及び4は、孔の軸線は画定できないという点で構成要件1J を充足しない。 また、仮に、「孔の軸線」が「突起の軸線」を意味するとの解釈を前提としたとしても、被告製品3及び4はロッキングスクリューを様々な角度で固定できる構成であることから、第1の組の孔に固定されたロッキングスクリューと第2の組の孔に固定されたロッキングスクリューが平 行あるいは互い違いの方向に設置される場合もあり、この意味でも構成 要件1Jを充足しない。 (イ) 被告製品3及び4の孔の軸線が1本に定まる場合(予備的主張)a 前記(2)(被告の主張)イのとおり、被告製品3及び4においては、フライス盤によって孔開けをする際のドリルによる孔開け方向の軸線を孔の軸線と考えることもできる。 そして、被告製品3及び4は、フライス盤の先端の製作工具のそれぞれの孔に対する孔開け方向の軸線を基準として、術者が±15度の範囲の任意の角度でスクリューを固定できる構成となっている。 仮に、上記の孔開け方向の軸線が孔の軸線と認定された 端の製作工具のそれぞれの孔に対する孔開け方向の軸線を基準として、術者が±15度の範囲の任意の角度でスクリューを固定できる構成となっている。 仮に、上記の孔開け方向の軸線が孔の軸線と認定された場合であっても、被告製品3及び4の設計図面に基づき3DCADシステムを用 いて作図した図面によれば、被告製品3及び4の第1の組の孔の軸線と第2の組の孔の軸線が平均的な大きさの遠位橈骨内で交差することはない。 b 原告は、本件報告書記載の検証結果をもって、少なくとも第1の組の孔の最も尺側の孔の軸線は、遠位橈骨内で第2の組の孔の軸線と交 差しており、構成要件1J後段を充足するなどと主張する。 しかし、本件報告書の検証方法は、被告製品3及び4の実物を測定しているのではなく、被告製品1ないし5のカタログに記載されている図面や写真を測定し、縮尺を考慮して実寸を推測して作成されたものであるところ、被告製品3及び4は極めて小さく、微細加工が施さ れているものであるから、カタログの写真という印刷過程での誤差が必然的に発生するものに基づいて正しい形状を把握することができるはずがない。 また、被告製品3及び4の固定プレートの構成について説明されたカタログ(甲3及び4)記載の図面(被告製品3の固定プレートの図 面については、別紙被告製品1、3及び5図面目録記載3の図面参照) の各角度の記載は、被告製品3及び4の頭部を折り曲げる前のアングルを記載したものにすぎず、被告製品3及び4の頭部を折り曲げる工程後の実際の孔の軸線の角度を正確に反映したものではない。それにもかかわらず、原告は、被告製品3及び4が完全に平面な固定プレートであることを前提に、これらの角度を用いてロッキングスクリュー の交差の有無を検証しているのであり、 反映したものではない。それにもかかわらず、原告は、被告製品3及び4が完全に平面な固定プレートであることを前提に、これらの角度を用いてロッキングスクリュー の交差の有無を検証しているのであり、正確なものとはいえない。その上、本件報告書には明らかな寸法の誤記もある。 よって、本件報告書の検証結果は信用することができず、被告製品3及び4の孔の軸線が1本に定まると認定されたとしても構成要件1Jを充足することが立証されているとはいえない。 (4)構成要件1Kの充足性(争点1-4)(原告の主張)ア文言解釈(ア) 「孔の軸線」の解釈構成要件1Kには、「前記プレートが遠位橈骨に連結される場合に」 との文言があり、プレートが遠位橈骨に連結されたときには、突起が孔に固定されて固定プレートから延びた状態となっているから、構成要件1Kにおける「孔の軸線」は、前記(3)(原告の主張)アのとおり、孔に固定された突起の軸線を意味する。 (イ) 構成要件1Kが全ての孔の軸線について規定しているか 構成要件1Kには、「全て」の孔の軸線が構成要件1Kの定める軸線とならなければならないという限定はない。 また、少なくとも第1の組の孔のうち一つの孔と第2の組の孔のうちの一つの孔について、第1の組の孔によって区域を定められた軸線は、背側面側の軟骨下骨の接線方向に延び、第2の組の孔によって区域を定 められた軸線は、手掌側面側の軟骨下骨の接線方向に延びるならば、軟 骨下骨又は関節表面を異なる2箇所で支持することによって、軟骨下骨又は関節表面の所望の位置に合わせたり、安定させる効果を奏することができるから、全ての孔の軸線が構成要件1Kの定めるような態様で延びている必要はない。 (ウ) 「背側面側」及び「手掌側面側」の 骨又は関節表面の所望の位置に合わせたり、安定させる効果を奏することができるから、全ての孔の軸線が構成要件1Kの定めるような態様で延びている必要はない。 (ウ) 「背側面側」及び「手掌側面側」の解釈 a 「背側面側」及び「手掌側面側」とは、軟骨下骨を「背側面側」、「中央部分」及び「手掌側面側」に3分した上でそれぞれの特定の部分を意味するものではなく、他方の部分に対してそれぞれ相対的に「背側」又は「手掌側」の位置関係にある部分を意味する。 よって、「背側面側の軟骨下骨の接線」とは、背側面側に位置する 軟骨下骨の任意の部分における接線を意味し、「手掌側面側の軟骨下骨の接線」とは、手掌側面側に位置する軟骨下骨の任意の部分における接線を意味する。 b 被告は、軟骨下骨を「背側面側」、「中央部分」及び「手掌側面側」に3分した上でそれぞれの特定の部分を意味するなどと主張し、その 根拠として、本件明細書の段落【0016】には、第2の組のペグが「中央側面及び/又は背側面」を支持する構成を開示していないことを指摘する。 しかし、本件明細書の段落【0007】には、「さらに好ましくは、第2の組のペグ孔は、それらペグ孔に配置されたペグがプレートの本 体部に対して概略垂直な方向に向けられ且つ第1の組のペグの間に延びるように、プレートに対して角度をなしている。」との記載があり、この構成を採用した場合、第2の組のペグは、軟骨下骨の中央部分の接線方向に延びることになるので、第2の組のペグが「中央側面及び/又は背側面」を支持する構成を開示しているといえるし、本件特許 の特許請求の範囲自体の記載にも、軟骨下骨を「背側面側」、「中央 側面側」及び「手掌側面側」に3分するという限定事項はない。 よって、被告主張の解釈 開示しているといえるし、本件特許 の特許請求の範囲自体の記載にも、軟骨下骨を「背側面側」、「中央 側面側」及び「手掌側面側」に3分するという限定事項はない。 よって、被告主張の解釈は採り得ない。 (エ) 「接線方向」の解釈「接線方向」とは、文字どおり、接線の延びる向きを意味し、必ずしも、孔の軸線が軟骨下骨と接していることを要しない。 イ被告製品3及び4が構成要件1Kを充足するか(ア) 被告製品3及び4の孔の軸線が複数本観念できる場合(主位的主張)被告製品3及び4は、DSS法を実施するものであるから、術者によってDSS法を実施するように固定プレートが遠位橈骨に連結される場合に、第1の組の孔に固定されたロッキングスクリューの軸線に相当す る第1の組の孔の軸線は、当該ロッキングスクリューが軟骨下骨を支持するように背側面側の軟骨下骨の接線方向に延び、第2の組の孔に固定されたロッキングスクリューの軸線に相当する第2の組の孔の軸線は、当該ロッキングスクリューが軟骨下骨を支持するように手掌側面側の軟骨下骨の接線方向に延びるように構成されている。 よって、被告製品3及び4は構成要件1Kを充足する。 (イ)被告製品3及び4の孔の軸線が1本に定まる場合(予備的主張)被告製品3の第1の組の孔の最も尺側の孔の軸線は固定プレートの縦軸に対して遠位側に10度傾いており、第2の組の孔の尺側から1及び2番目の孔の軸線は近位側に5度傾いており、いずれの軸線も軟骨下骨 の接線方向に延びている(別紙被告製品1、3及び5図面目録記載3の図面参照)。また、第1の組の孔の軸線及び第2の組の孔の軸線の上記傾斜角度に照らせば、第1の組の孔の軸線は背側面側の軟骨下骨の接線方向(背側面側の軟骨下骨の任意の点を通る接線と平行 図面目録記載3の図面参照)。また、第1の組の孔の軸線及び第2の組の孔の軸線の上記傾斜角度に照らせば、第1の組の孔の軸線は背側面側の軟骨下骨の接線方向(背側面側の軟骨下骨の任意の点を通る接線と平行)に延び、第2の組の孔の軸線は手掌側面側の軟骨下骨の接線方向(背側面側の軟骨下 骨の任意の点に対して手掌側面側にある軟骨下骨の任意の点を通る接線 と平行)に延びることとなる。被告製品4も同様である。したがって、被告製品3及び4は構成要件1Kを充足する。 いずれにしても、被告製品3及び4は、前記(ア)の原告の主張のとおり、DSS法を実施するための固定プレートであることから、この観点からも構成要件1Kを充足するといえる。 (被告の主張)ア文言解釈(ア) 「孔の軸線」の解釈前記(2)及び(3)の(被告の主張)アのとおり、「孔の軸線」は、孔の形状により一義的に決まる軸線と解するのが相当である。 (イ) 構成要件1Kが全ての孔の軸線を規定しているか構成要件1Kの文言を字句どおり読めば、「各孔」つまり全ての孔の軸線が構成要件1Kの定める態様で延びている必要があると理解するのが自然である。 (ウ) 「背側面側」及び「手掌側面側」の解釈 本件明細書の段落【0016】の第7文の直前において、「手掌側面側」、「中央側面」及び「背側面側」という概念が説明されている。すなわち、同段落には「第1の組のペグ140は、軟骨下骨の中央側面及び/又は背側面を支持する突起を形成し、このような支持は特に遠位橈骨の背側の不安定な骨折部において所望される。第2の組のペグ142 は、骨表面の関節表面の後ろで掌側面における支持を提供する突起を形成する。」との記載がある。 本件特許の特許請求の範囲及び本件明細書における第1の組 において所望される。第2の組のペグ142 は、骨表面の関節表面の後ろで掌側面における支持を提供する突起を形成する。」との記載がある。 本件特許の特許請求の範囲及び本件明細書における第1の組の孔とは近位列を意味し、第2の組の孔とは遠位列を意味しているところ、近位列が「中央側面」と「背側面側」を支持することは本件明細書に記載さ れているものの、遠位列については、「手掌側面側」を支持するとの記 載はあるが、「中央側面」を支持するとの記載はない。よって、第2の組の孔の軸線が軟骨下骨の中央側面を支持する場合には、構成要件1Kを充足しないと解釈するほかない。そのように解釈しないと、特許法17条の2第3項に規定する新規事項の追加の禁止という補正の要件の潜脱を許すことになるからである。すなわち、仮に、本件出願人が、構成 要件1Kを新たに追加する第4回補正において、「前記第2の組の孔の軸線は、手掌側面側あるいは中央側面の接線方向に延びる」という限定事項を加えた場合、本件明細書にはその旨の記載はないことから、明細書又は図面に記載した事項の範囲内において補正がされたとはいえず、却下されるべきものとなるからである。 (エ) 「接線方向」の解釈当業者は、軟骨下骨への支持を検討する際に、JSD(Joint-Screw-Distance)値(突起と関節面までの距離を意味する。)という概念を使い、当該値が最小である部分を以て軟骨下骨を支えている部分として考えている。よって、「接線方向」とはJSD値が最小となる部分を孔 の軸線が通るという解釈をするのが客観性及び正確性が担保された解釈となる。 以上からすると、構成要件1Kは、第1の組の孔の軸線と軟骨下骨の距離が最も小さい位置が背側面側にあり、かつ第2の組の孔の軸線と軟骨 るという解釈をするのが客観性及び正確性が担保された解釈となる。 以上からすると、構成要件1Kは、第1の組の孔の軸線と軟骨下骨の距離が最も小さい位置が背側面側にあり、かつ第2の組の孔の軸線と軟骨下骨との距離が最も小さい位置が手掌側面側にあることを要求してい るものと解釈すべきである。 イ被告製品3及び4が構成要件1Kを充足するか(ア) 被告製品3及び4の孔の軸線が観念できない場合(主位的主張)原告は、被告製品3及び4がDSS法を実施するための製品であることを前提に、被告製品3及び4は構成要件1Kを充足するなどと主張す る。しかし、被告製品3及び4は、DSS法を実施するために開発され たものではなく、DSS法も選択できる製品であるにすぎない。すなわち、被告製品3及び4の特徴は、患者の骨折の状況(骨折線の入り方や骨片の大小や数)及び骨の状態(骨粗鬆症など)などを考慮して、術者が±15度の範囲内で自由にロッキングスクリューの角度や方向を決定できることにある。よって、術者の判断で、第1の組の孔と第2の組の 孔のロッキングスクリューを、交差させず設置することも可能であるし、術者の判断で全てのロッキングスクリューを平行あるいは互い違いの向きに設置することも可能である。 仮に術者の判断で被告製品3及び4を使ってDSS法を実施した場合でも、被告製品3及び4の孔の軸線が観念できないとの前提に立てば、 被告製品3及び4において「孔」は「軸線」を画定しないので、そもそも構成要件1Kを充足しない。 また、一般的にDSS法における遠位列の突起は、軟骨下骨を手掌側面側ではなく、中央側面で支持している。さらに、術者の判断で被告製品3及び4を使ってDSS法を実施した場合でも、近位列ロッキングス また、一般的にDSS法における遠位列の突起は、軟骨下骨を手掌側面側ではなく、中央側面で支持している。さらに、術者の判断で被告製品3及び4を使ってDSS法を実施した場合でも、近位列ロッキングス クリューが軟骨下骨の背側面側を支持しつつ、遠位列ロッキングスクリューが軟骨下骨の中央面側を支持することはあっても、遠位列ロッキングスクリューが軟骨下骨の手掌側面側を支持することはないから、「背側面側」及び「手掌側面側」の構成を充足しない。 よって、被告製品3及び4は、いずれにしても構成要件1Kを充足し ない。 (イ) 被告製品3及び4の孔の軸線が1本に定まる場合(予備的主張)前記(3)(被告の主張)イ(イ)のとおり、仮にフライス盤の孔開け方向を孔の軸線と考えたとしても、被告の検証の結果、第1の組の孔の軸線は、軟骨下骨の背側面側を支持するような状態にはならず、JSD値が 最小になっている部分は背側面側といえなくもないが、第2の組の孔の 軸線についてはJSD値が手掌側面側で最小となることはなく、孔の軸線が手掌側面側の接線方向に延びることはない。 よって、被告製品3及び4は、いずれにしても構成要件1Kを充足しない。 (5) 被告製品3及び4が本件発明1に係る特許請求の範囲に記載された構成 (構成要件1E、1J及び1K)と均等なものであるか(争点1-5)(原告の主張)構成要件1Eの解釈について、固定プレート頭部の各孔が孔の軸線を常に1本のみに定めていることを要するという文言解釈を採用し、被告製品3及び4において固定プレート頭部の孔の軸線が観念できないと認定され た場合には、被告製品3及び4は構成要件1E、1J及び1Kを充足しないが、以下の理由により、これらの構成と均等なものとして、本件発明1の技術 定プレート頭部の孔の軸線が観念できないと認定され た場合には、被告製品3及び4は構成要件1E、1J及び1Kを充足しないが、以下の理由により、これらの構成と均等なものとして、本件発明1の技術的範囲に属すると解すべきである。 ア第1要件について本件特許の特許請求の範囲及び本件明細書の記載、特に本件明細書記載 の従来技術から導かれる本件発明の課題、解決方法、その効果及び本件発明1の貢献の程度に照らすと、本件発明1の従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分は、遠位橈骨内で軟骨下骨の接線方向に延びる互いに交差する2列の突起を保持することができる固定プレート、すなわち、DSS法を実施することができる固定プレートにより、軟骨下 骨支持の効果を奏し、一組の平行ピンを用いた従来の平板固定によっては達成できなかった遠位橈骨の軟骨下骨及びその遠位側の関節表面の位置の安定化という課題を解決するところにある。そして、被告製品3及び4は、遠位橈骨内で軟骨下骨の接線方向に延びる互いに交差する2列のロッキングスクリューを保持することができる固定プレートであり、これにより、 軟骨下骨支持の効果を奏し、一組の平行ピンを用いた従来の平板固定によ っては達成できなかった遠位橈骨の軟骨下骨及びその遠位側の関節表面の位置の安定化という課題を解決するものといえる。 そうすると、被告製品3及び4は、従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する本件発明1の特徴的部分を備えたものであって、この点で本件発明1と被告製品3及び4の各構成は共通する。すなわち、「孔の形 状により1つのみに定まる孔の軸線」が軟骨下骨内で交差し、軟骨下骨を支持するように接線方向に延びる本件発明1と「±15度の範囲の、ある1つの角度で孔に固定された は共通する。すなわち、「孔の形 状により1つのみに定まる孔の軸線」が軟骨下骨内で交差し、軟骨下骨を支持するように接線方向に延びる本件発明1と「±15度の範囲の、ある1つの角度で孔に固定されたロッキングスクリュー」が軟骨下骨内で交差し、軟骨下骨を支持するように接線方向に延びる被告製品3及び4との相違は、本件発明1の本質的部分ではない。 よって、被告製品3及び4は、第1要件を充足する。 イ第2要件について本件発明1は、前記アのとおり、遠位橈骨内で軟骨下骨の接線方向に延びる互いに交差する2列の突起を保持することができる固定プレートにより、軟骨下骨支持の効果を奏するものである。 本件発明1のように、「孔の形状により1つのみに定まる孔の軸線」が軟骨下骨内で交差し、軟骨下骨を支持するように接線方向に延びる構成から、被告製品3及び4のように、「±15度の範囲の、ある1つの角度で孔に固定されたロッキングスクリュー」が軟骨下骨内で交差し、軟骨下骨を支持するように接線方向に延びる構成に置き換えても、被告製品3及び 4は、遠位橈骨内で軟骨下骨の接線方向に延びる互いに交差する2列のロッキングスクリューを保持することができる固定プレートであり、これにより、軟骨下骨支持の効果を奏する。 よって、被告製品3及び4は、第2要件を充足する。 ウ第3要件について 被告製品3の製造が開始された平成25年4月9日の時点において、本 件発明1のように、「孔の形状により1つのみに定まる孔の軸線」が軟骨下骨内で交差し、軟骨下骨を支持するように接線方向に延びる構成から、被告製品3及び4のように、「±15度の、ある1つの角度で孔に固定されたロッキングスクリュー」が軟骨下骨内で交差し、軟骨下骨を支持するように接線方 軟骨下骨を支持するように接線方向に延びる構成から、被告製品3及び4のように、「±15度の、ある1つの角度で孔に固定されたロッキングスクリュー」が軟骨下骨内で交差し、軟骨下骨を支持するように接線方向に延びる構成に置換することについては、前記イで主張し たとおり作用効果が同一であり、特に置換を困難とする事情もなかったことから、当業者が容易に想到することができた。 よって、被告製品3及び4は、第3要件を充足する。 エ第4要件被告は、乙5文献、乙9文献等に開示された公知技術を前提とすると、 被告製品3及び4は、本件特許の優先日当時の公知技術と同一であるか又は当業者が当該公知技術から上記優先日当時に容易に推考できたものであると主張する。 しかし、本件発明1並びに被告製品3及び4は、DSS法を実施する固定プレートである点に技術的特徴があり、このような特徴は従来技術には 見られなかったものであるから、このような特徴が公知技術と同一又は当業者が公知技術から容易に推考できたものとはいえない。 よって、被告の第4要件についての主張は理由がない。 オ第5要件(ア) 出願経過における意識的除外 被告は、本件特許の出願経過において、構成要件1Dの文言に「一定の角度の突起」との文言が追加されたことにより、任意の角度で個々の突起を固定することができるような構造の固定プレートは特許請求の範囲から除外されたと解すべきであると主張する。 しかし、原告は、構成要件1Eに相当する構成を被告製品3及び4が 備えていなかった場合を仮定して均等侵害を主張するものであり、構成 要件1Dに相当する構成を被告製品3及び4が備えていなかった場合を仮定した均等侵害の主張はしていない。 したがって、「一定の角度の いなかった場合を仮定して均等侵害を主張するものであり、構成 要件1Dに相当する構成を被告製品3及び4が備えていなかった場合を仮定した均等侵害の主張はしていない。 したがって、「一定の角度の突起」の文言の追加による第5要件非充足という被告の主張は失当である。 (イ) 特許請求の範囲の記載における意識的除外 被告は、本件明細書の段落【0017】において、関節式ペグシステムに置換可能であることが記載されていることから、文言解釈において本件発明1の「各孔」が「孔の軸線」を常に1本のみに定めているとの解釈が採用された場合には、本件出願人は、本件特許の特許請求の範囲に記載された構成を被告製品3及び4に係る構成と置き換えることがで きるものであることを本件明細書に記載したといえるなどと主張する。 しかし、被告が主張するとおり、被告製品3及び4には孔の軸線が観念できず、関節式ペグシステムについては孔の軸線が1本しか存在しないという前提に立つ場合、関節式ペグシステムは被告製品3及び4と異なることになるから、本件出願人は、孔の軸線が1本しかない構成が構 成要件1E、1J及び1Kの構成を代替していることを認識していたにすぎず、孔の軸線が観念できない構成が構成要件1E、1J及び1Kの構成を代替していることを認識していたものではないことになり、特段の事情が存するとはいえないことになる。 なお、この場合に、構成要件1Eの「軸線」に複数の軸線が含まれる と解釈されたとしても、被告製品3及び4の構成が本件特許に係る発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情が存するとはいえないことに変わりはない。 したがって、被告の上記主張は理由がない。 (被告の主張) ア 許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情が存するとはいえないことに変わりはない。 したがって、被告の上記主張は理由がない。 (被告の主張) ア第1要件について (ア) 先行技術本件特許の優先日の時点で、関節式ペグシステム等に例を見る角度可変型のロッキングプレートが従来技術として存在していた。 また、固定プレートの頭部において、2列に孔を設ける構成も、乙5文献及び乙9文献のほか、本件拒絶査定で引用された「引用文献5」に も開示されており、先行技術として存在していた。 さらに、乙9文献に記載された発明は、頭部に2列の組の穴を持つ構成と任意の角度で突起を固定できる構成の両方の特徴を有していた。 よって、本件特許の優先日の時点で、上記二つの従来技術の組合せによって、あるいは乙9文献に記載された発明についてはそれ自身によっ て、原告が本件発明1の本質的特徴であると主張する「遠位橈骨内で軟骨下骨の接線方向に延びる互いに交差する2列の突起を保持することができる固定プレートにより、軟骨下骨支持の効果を奏し、一組の平行ピンを用いた従来の平板固定によっては達成できなかった遠位橈骨の軟骨下骨及びその遠位側の関節表面の位置の安定化」の部分は、手術を行う 医師の裁量や判断によって既に治療の現場において十分に達成が可能であった。 (イ) 本質的部分の認定治療方法自体は特許化できないこと及び権利化された請求項1は、固定プレートと突起を組み合わせた固定装置システムの発明としてではな く、固定プレートそれ自体の発明に係るものであること、前記(ア)のとおり、手術を行う医師の裁量や判断によって軟骨下骨を2箇所で支持する治療は実現可能であったことからすれば、 発明としてではな く、固定プレートそれ自体の発明に係るものであること、前記(ア)のとおり、手術を行う医師の裁量や判断によって軟骨下骨を2箇所で支持する治療は実現可能であったことからすれば、従来技術に見られない特有の技術的思想は、橈骨遠位端骨折に対して、軟骨下骨を背側面側及び手掌側面側という2箇所で支持することが、固定プレート自体によって確実 に達成できるという点にある。もし、任意の角度で突起を固定できる固 定プレートを使って軟骨下骨を背側面側及び手掌側面側で支持することも可能であるという場合には、術者の裁量や判断に関係なく固定プレート自体によって確実に上記2箇所において軟骨下骨の支持が達成されるという技術的思想は見出せないことになる。そうすると、本件発明1の構成要件のうち、1E、1J及び1Kは、まさに上記技術的思想を構成 する特徴的部分であるといえる。 よって、角度可変型ロッキングプレートである被告製品3及び4と本件発明1は、本質的部分において相違しており、均等侵害の第1要件を満たさない。 イ第2要件について 前記アの本件発明1の本質的部分の理解を前提とすると、本件発明1の作用効果とは、固定プレート自体によって確実に軟骨下骨を背側面側と手掌側面側の2箇所で軟骨下骨を支持できるというものであるから、被告製品3及び4にそのような作用効果がないことは明らかである。 よって、被告製品3及び4は、均等侵害の第2要件を満たさない。 ウ第3要件について前記1(1)(被告の主張)イのとおり、複数の面を有する複雑な形状の固定プレートの孔の壁面と、それに対して摩擦力で結合可能な複雑な形状を有する頭部を含むスクリューとの組合せを持つ、被告製品3及び4の「スリーポイントウエッジロッキングシス 数の面を有する複雑な形状の固定プレートの孔の壁面と、それに対して摩擦力で結合可能な複雑な形状を有する頭部を含むスクリューとの組合せを持つ、被告製品3及び4の「スリーポイントウエッジロッキングシステム(TriLock)」及び「マ ルチダイレクショナルシステム」の構成は、メダルティAGによって平成22年3月19日に特許化されている(特許第4478144号)。そして、被告製品3及び4はメダルティスAGによって製造され、被告によって日本市場へ輸入されている。 このように、被告製品3及び4が平成22年に登録された他の特許の実 施品であることからしても、原告主張の被告製品3及び4の製造開始時点 (なお、原告は、被告製品3の製造開始時点として平成25年4月9日を主張するが、それは本件特許権の特定承継の時期にすぎず、被告製品3及び4の製造時点とは何ら関係がない。)において、当業者が、構成要件1E、1J及び1Kの構成を被告製品3及び4の孔の軸線が画定できない特殊な孔の構成に置換することを容易に想到できたとは認められず、第3要 件も満たさない。 エ第4要件について被告製品3及び4は、遠位橈骨骨折用の手掌側金属プレートの遠位側頭部に2列に直線的に並べた孔を持つという特徴がある。そして、本件特許の優先日当時における先行技術である乙5文献に記載のマトリックス橈骨 用プレートや乙9文献及び乙8号証の1及び2(以下「乙8文献」という。)に記載のインプラント/橈骨ロッキングプレートは、この特徴を既に備えていた。 また、被告製品3及び4は一定の範囲内で任意の角度でロッキングスクリューを固定できる特徴を持つところ、乙8文献に記載のインプラント/ 橈骨ロッキングプレートも、その特徴として「ネジとプレート間の角度安 告製品3及び4は一定の範囲内で任意の角度でロッキングスクリューを固定できる特徴を持つところ、乙8文献に記載のインプラント/ 橈骨ロッキングプレートも、その特徴として「ネジとプレート間の角度安定性」、「プレートの法線に対するネジ角度の自由な選択」を備えていると記載されており、角度可変型で、かつネジを固定することができるという特徴を持っていることが分かる。 さらに、関節式ペグシステムも、上記の角度可変型ロッキングプレート の先行技術となる。 以上の先行技術からすると、被告製品3及び4は、本件特許の優先日当時の公知技術と同一又は当業者がこれから上記優先日当時に容易に推考できたものといえ、第4要件を満たさないといえる。 オ第5要件について (ア) 出願経過における意識的除外 前記(1)(被告の主張)ア(イ)のとおり、構成要件1Dから任意の角度で個々の突起を固定することができるような構造に構成されているものは除外されたと解釈されるべきであるから、被告製品3及び4は本件特許に係る発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情があるといえる。 (イ) 特許請求の範囲の記載における意識的除外構成要件1Eの文言解釈において各孔が「孔の軸線」を常に1本のみに定めているとの解釈が採用された場合には、本件出願人は、関節式ペグシステム、つまり角度可変型ロッキングプレートは、特許請求の範囲に記載された構成を対象製品等に係る構成と置き換えることができるも のであることを本件明細書に記載したといえる。よって、本件出願人は、特許請求の範囲外の他の構成を、特許請求の範囲に記載された構成中の異なる部分に代替するものとして認識していたものと客観的、外形的に見て認 ることを本件明細書に記載したといえる。よって、本件出願人は、特許請求の範囲外の他の構成を、特許請求の範囲に記載された構成中の異なる部分に代替するものとして認識していたものと客観的、外形的に見て認められるといえ、それにもかかわらず、角度可変型ロッキングプレートを特許請求の範囲内に含める記載をしなかったのであり、この観 点からも、本件出願人は、角度可変型ロッキングプレートを特許請求の範囲から意識的に除外したといえ、特段の事情があるといえる。 (6) 被告製品4が本件発明1に係る特許請求の範囲に記載された構成(構成要件1J)と均等なものであるか(争点1-6)(原告の主張) 本件報告書に示されるように、被告製品4では、第1の組の孔の軸線は、部分的に遠位橈骨内で第2の組の孔の軸線と交差するものの、遠位橈骨内で第2の組の孔の軸線の間を通るように第2の組の孔の軸線と交差することはない。 このため、被告製品4において孔の軸線が1本に定まると認定された場合、被告製品4は構成要件1Jを充足せず、文言侵害は成立しない。 しかし、被告製品4は、以下の理由により、本件発明1に係る特許請求の範 囲の構成と均等なものであり、本件発明1の技術的範囲に属するといえる。 ア第1要件について前記(5)(原告の主張)アのとおり、従来技術に見られない本件発明1の特有の技術思想は、2組の孔の軸線が遠位橈骨内で交差するところではなく、孔に保持された2組の突起が遠位橈骨内で交差するように固定プレー ト頭部に孔が設けられているところにある。 そして、被告製品4を含む被告製品2(システム)が、DSS法を実施する態様で使用される場合には、被告製品4の孔に保持された2組のロッキングスクリューが遠位橈骨内で交差することになる。 また、本 そして、被告製品4を含む被告製品2(システム)が、DSS法を実施する態様で使用される場合には、被告製品4の孔に保持された2組のロッキングスクリューが遠位橈骨内で交差することになる。 また、本件報告書に示されるように、被告製品4はガイドブロックによ って孔の軸線が定められる場合には、第1の組の孔の軸線は遠位橈骨内で第2の組の孔の軸線の間を通るように第2の組の孔の軸線と交差する。すなわち、ガイドブロックを用いて被告製品4の孔にロッキングスクリューを固定すれば、DSS法の実施態様が容易に実現される。 そうすると、本件発明1と被告製品4は、固定プレート頭部に上記のと おり孔が設けられていることによって、一組の突起を用いた従来の平板固定によっては達成できなかった遠位橈骨の軟骨下骨及びその遠位側の関節表面の位置の安定化という課題を解決するという技術思想を共通に有するものであるから、孔の軸線が遠位橈骨内で交差するか遠位橈骨外で交差するかは、本件発明1の本質的部分ではない。 よって、被告製品4は、第1要件を充足する。 イ第2要件について前記(5)(原告の主張)イのとおり、2組の孔の軸線が遠位橈骨内で交差する構成を、遠位橈骨外で交差する構成に置き換えても、遠位橈骨内で軟骨下骨の接線方向に延びる互いに交差する2列の突起を保持することがで きる孔を備えた固定プレートにより、軟骨下骨を異なる2箇所で支持する 効果すなわち、本件発明1と同一の効果を奏する。 よって、被告製品4は、第2要件を充足する。 ウ第3要件について前記(5)(原告の主張)ウのとおり、2組の突起が遠位橈骨内で交差し軟骨下骨を支持しながら、孔の軸線は遠位橈骨外で交差する構成を採用する ことは、被告製品4 ウ第3要件について前記(5)(原告の主張)ウのとおり、2組の突起が遠位橈骨内で交差し軟骨下骨を支持しながら、孔の軸線は遠位橈骨外で交差する構成を採用する ことは、被告製品4が最初に製造された時点である平成28年当時においても、当業者が容易に想到することができた。 よって、被告製品4は、第3要件を充足する。 エ第4要件について前記(5)(原告の主張)エのとおり、本件発明1の技術的特徴であるDS S法は、従来技術に見られなかったものであるから、DSS法を実施する被告製品4は、本件特許の優先日当時の公知技術と同一のものではなく、また、当業者が本件特許の優先日当時に当該公知技術から容易に推考できたものでもない。 よって、被告製品4は、第4要件を充足する。 オ第5要件について本件明細書には、2組の孔の軸線が遠位橈骨内で交差する構成(特許請求の範囲に記載された構成)を遠位橈骨外で交差する構成(対象製品等に係る構成)に置き換えることができるものであることを記載した箇所はない。その他、客観的、外形的にみて、本件出願人が、2組の孔の軸線が遠 位橈骨外で交差する構成(対象製品等に係る構成)が特許請求の範囲に記載された構成を代替すると認識しながらあえて特許請求の範囲に記載しなかった旨を表示していたといえる事情もない。 よって、被告製品4は、第5要件も充足する。 (被告の主張) 前記(5)の(被告の主張)のとおりであり、原告は本件発明1の本質的部分 の理解を誤っているといえ、被告製品4は均等侵害の第1要件を満たさず、その他の要件も満たさないから、原告の主張は理由がない。 2 被告製品3及び4が本件発明2の技術的範囲に属するか 質的部分 の理解を誤っているといえ、被告製品4は均等侵害の第1要件を満たさず、その他の要件も満たさないから、原告の主張は理由がない。 2 被告製品3及び4が本件発明2の技術的範囲に属するか(争点2)(原告の主張)被告製品1、3及び5のカタログ(甲3)記載の図(別紙被告製品1、3及 び5図面目録記載2の図面参照)並びに被告製品2、4及び5のカタログ(甲4及び5)記載の図(別紙被告製品2、4及び5図面目録記載2の図面参照)によれば、被告製品3及び4の第1の組の孔で固定されたスクリューは、第2の組の孔で固定された2つのスクリューの間に延び、第2の組の孔で固定されたスクリューに対し非平行であり、被告製品3及び4はかかる使用態様を意図 するものである。 よって、被告製品3及び4は、いずれも、第1の組の孔に固定されたロッキングスクリューの軸線に相当する第1の組の孔の軸線は、第2の組の孔に固定されたロッキングスクリューの軸線に相当する第2の組の孔の軸線の間で延び、かつ、当該軸線に対して非平行であると認められるから、いずれも、構成要件 2Bを充足し、本件発明2の技術的範囲に属する。 (被告の主張)前記1の被告の主張のとおり、被告製品3及び4は請求項1に係る本件発明1の技術的範囲に属しないから、請求項1に従属する請求項2に係る本件発明2の「請求項1に記載の固定プレートにおいて、」との構成要件を充足しない。 また、被告製品3及び4については孔の軸線を観念できないから、これらは構成要件2Bも充足しない。 よって、被告製品3及び4は、いずれも、本件発明2の技術的範囲に属しない。 3 被告製品3及び4が本件発明3、4、6及び7の技術的範囲に属するか(争 点3) (原告の主張) よって、被告製品3及び4は、いずれも、本件発明2の技術的範囲に属しない。 3 被告製品3及び4が本件発明3、4、6及び7の技術的範囲に属するか(争 点3) (原告の主張)被告製品3及び4は、前記1及び2の(原告の主張)のとおり、本件発明1及び2のいずれの技術的範囲にも属する。 そして、被告製品3及び4が構成要件3A及び3B、4A、6A及び6B並びに7Aを充足することに争いはないから、これらは、いずれも、本件発明3 及び4、請求項1ないし4に従属する請求項6に係る本件発明6並びに本件発明7の技術的範囲に属する。 (被告の主張)本件発明3、4、6及び7は、いずれも請求項1又は2に従属する請求項3、4、6及び7に係る発明であり、前記1及び2の(被告の主張)のとおり、被 告製品3及び4は、請求項1に係る本件発明1及び請求項2に係る本件発明2のいずれの技術的範囲にも属しないから、これらは、いずれも、本件発明3、4、6及び7の技術的範囲に属しない。 4 被告製品1及び2が本件発明11の技術的範囲に属するか(争点4)(原告の主張) 被告製品1及び2は、被告製品3及び4を含むシステムであり、前記3の(原告の主張)のとおり、被告製品3及び4は、請求項1ないし4、6及び7に係る発明である本件発明1ないし4、6及び7の技術的範囲に属するから、被告製品1及び2は、いずれも、「請求項1~10のいずれか1項に記載の前記固定プレートを含むシステムにおいて、」との構成要件を充足する。 そして、被告製品1及び2が構成要件11Aを充足することに争いはないから、これらは、いずれも、請求項1ないし4、6及び7に従属する請求項11に係る本件発明11の技術的範囲に属する。 そして、被告製品1及び2が構成要件11Aを充足することに争いはないから、これらは、いずれも、請求項1ないし4、6及び7に従属する請求項11に係る本件発明11の技術的範囲に属する。 (被告の主張)前記1ないし3の被告の主張のとおり、被告製品3及び4は請求項1ないし 4、6及び7に係る本件発明1ないし4、6及び7の技術的範囲に属しないか ら、被告製品3を含む被告製品1及び被告製品4を含む被告製品2は、いずれも、「請求項1~10のいずれか1項に記載の前記固定プレートを含む」との構成要件を充足せず、本件発明11の技術的範囲に属しない。 5 被告製品1及び2が本件発明13の技術的範囲に属するか(争点5)(原告の主張) 被告製品1及び2は、前記4の(原告の主張)のとおり、請求項11に係る本件発明11の技術的範囲に属するから、いずれも、「請求項11または12に記載のシステムにおいて、」との構成要件を充足する。 そして、被告製品1、3及び5のカタログ(甲3)記載の図(別紙被告製品1、3及び5図面目録記載2の図面参照)並びに被告製品2、4及び5のカタ ログ(甲4及び5)記載の図(別紙被告製品2、4及び5図面目録記載2の図面参照)によれば、第1の組の孔に挿入されたロッキングスクリューは、どれも互いに対して斜めに延びており、被告製品3及び4はかかる使用態様を意図するものである。 よって、被告製品1及び2は、第1の組の孔に固定された第1の組のロッキ ングスクリューは、どれも互いに対し斜めに延びるという構成を備えるものと認められるから、被告製品1及び2は、いずれも、構成要件13Aを充足し、本件発明13の技術的範囲に属する。 (被告の主張)前記4の(被告の主張)のとおり、被告 るという構成を備えるものと認められるから、被告製品1及び2は、いずれも、構成要件13Aを充足し、本件発明13の技術的範囲に属する。 (被告の主張)前記4の(被告の主張)のとおり、被告製品1及び2は、いずれも、本件発 明11の技術的範囲に属しないから、本件発明13の「請求項11または12に記載のシステム」との構成要件を充足しない。 また、被告製品1及び2については、孔の軸線を観念できず、被告製品1及び2の第1の組のロッキングスクリューは、±15度の範囲で術者の定める任意の角度で延びるため、互いに対して斜めに延びるとは限らない。したがって、 被告製品1及び2は、いずれも、13Aの構成要件を充足しない。 よって、被告製品1及び2は、いずれも、本件発明13の技術的範囲に属しない。 6 被告製品1及び2が本件発明14の技術的範囲に属するか(争点6)(原告の主張)被告製品1及び2は、前記4及び5の(原告の主張)のとおり、請求項11 に係る本件発明11及び請求項13に係る本件発明13の各技術的範囲に属するから、いずれも、「請求項11~13のいずれか1項に記載のシステムにおいて、」との構成要件を充足する。 そして、「Freshcadaver を用いた橈骨遠位端骨折治療用プレートにおける2段階軟骨下骨支持固定法の有用性-繰り返し荷重負荷による力学的強度評価-」 と題する論文(甲7)には、DSS法を実施する被告製品1及び2において、第2の組の孔に挿入されたロッキングスクリューがどれも互いに対して平行に延びていることが示されている。 よって、被告製品1及び2は、第2の組の孔に固定されたロッキングスクリューが、どれも互いに対して平行に延びる構成を備えていると認められるから、 被告製品1及 延びていることが示されている。 よって、被告製品1及び2は、第2の組の孔に固定されたロッキングスクリューが、どれも互いに対して平行に延びる構成を備えていると認められるから、 被告製品1及び2は、いずれも、構成要件14Aを充足し、本件発明14の技術的範囲に属する。 (被告の主張)前記4及び5の(被告の主張)のとおり、被告製品1及び2は、いずれも、請求項11に係る本件発明11及び請求項13に係る本件発明13の技術的範 囲に属しないから、本件発明14の「請求項11~13のいずれか1項に記載のシステム」との構成要件を充足しない。 また、被告製品1及び2については、孔の軸線を観念できず、それらの第2の組のロッキングスクリューは、±15度の範囲で術者の定める任意の方向で固定されるため、互いに対して平行であるとは限らない。したがって、被告製 品1及び2は、いずれも、構成要件14Aを充足しない。 よって、被告製品1及び2は、いずれも、本件発明14の技術的範囲に属しない。 7 被告製品1及び2が本件発明15の技術的範囲に属するか(争点7)(原告の主張)被告製品1及び2は、前記4ないし6の(原告の主張)のとおり、請求項1 1に係る本件発明11、請求項13に係る本件発明13及び請求項14に係る本件発明14の各技術的範囲に属するから、いずれも、「請求項11~14のいずれか1項に記載のシステムにおいて、」との構成要件を充足する。 そして、被告製品1、3及び5のカタログ(甲3)記載の図(別紙被告製品1、3及び5図面目録記載2の図面参照)及び同カタログに記載の説明によれ ば、被告製品1及び2は、第1の組のロッキングスクリューが第2の組のロッキングスクリューの遠位側に突出しており、被告製品1及び 及び5図面目録記載2の図面参照)及び同カタログに記載の説明によれ ば、被告製品1及び2は、第1の組のロッキングスクリューが第2の組のロッキングスクリューの遠位側に突出しており、被告製品1及び2はかかる使用態様を意図するものである。 よって、被告製品1及び2は、第1の組の孔に固定されたロッキングスクリューが、第2の組の孔に固定されたロッキングスクリューの遠位側に突出する 構成を備えるものと認められるから、被告製品1及び2は、いずれも、構成要件15Aを充足し、本件発明15の技術的範囲に属する。 (被告の主張)前記4ないし6の(被告の主張)のとおり、被告製品1及び2は、いずれも、請求項11に係る本件発明11、請求項13に係る本件発明13及び請求項1 4に係る本件発明14の技術的範囲に属しないから、請求項15の「請求項11~14のいずれか1項に記載のシステム」との構成要件を充足しない。 また、被告製品1及び2については、孔の軸線を観念できず、被告製品1及び2の第1の組のロッキングスクリューは、±15度の範囲で術者の定める任意の方向で固定されるため、第2の組のロッキングスクリューの遠位側に突出 するとは限らない。したがって、被告製品1及び2は、いずれも、構成要件1 5Aを充足しない。 よって、被告製品1及び2は、いずれも、本件発明15の技術的範囲に属しない。 8 被告製品1が本件発明16の技術的範囲に属するか(争点8)(原告の主張) (1) 構成要件16Aの充足性被告製品1、3及び5のカタログ(甲3)記載の図(別紙被告製品1、3及び5図面目録記載2の図面参照)のとおり、被告製品1では、線形に配置されたロッキングスクリューが第1の組の孔に4本挿入されている。被告製品1はかかる のカタログ(甲3)記載の図(別紙被告製品1、3及び5図面目録記載2の図面参照)のとおり、被告製品1では、線形に配置されたロッキングスクリューが第1の組の孔に4本挿入されている。被告製品1はかかる使用態様を意図するものである。 よって、被告製品1は、固定プレート内の第1の組の孔に対して固定され、線形に配列された、第1の組の少なくとも三つの細長いロッキングスクリューであり、固定プレートが遠位橈骨の手掌側に配置されるとき、第1の組の孔に固定された第1の組のロッキングスクリューが、手掌側から遠位橈骨内に入るように方向付けられる、第1の組の線形に配列された少なくとも三つ の細長いロッキングスクリューの構成を備えるものと認められるから、構成要件16Aを充足する。 (2) 構成要件16Bの充足性被告製品1、3及び5のカタログ(甲3)記載の図(別紙被告製品1、3及び5図面目録記載2の図面参照)のとおり、被告製品1では、ほぼ線形に 配置されたロッキングスクリューが第2の組の孔に4本挿入されている。被告製品1はかかる使用態様を意図するものである。 よって、被告製品1は、固定プレート内の第2の組の孔に対して固定され、ほぼ線形に配列された、第2の組の少なくとも二つの細長いロッキングスクリューをさらに備えるものと認められるから、構成要件16Bを充足する。 (3) 構成要件16Dの充足性 被告製品1、3及び5のカタログ(甲3)記載の図(別紙被告製品1、3及び5図面目録記載2の図面参照)及び同カタログ記載の説明は、被告製品1において、第1の組のロッキングスクリューが第2の組のロッキングスクリューの遠位側に突出していることを示しており、被告製品1はかかる使用態様を意図するものである。 よって、被告製品1は、 1において、第1の組のロッキングスクリューが第2の組のロッキングスクリューの遠位側に突出していることを示しており、被告製品1はかかる使用態様を意図するものである。 よって、被告製品1は、第1の組の孔に固定されたロッキングスクリューを通る軸線は、第2の組の孔に固定されたロッキングスクリューを通る軸線の遠位側に突出する構成を備えるものと認められるから、構成要件16Dを充足する。 (4) 小括 よって、被告製品1は、構成要件16A、16B及び16Dを充足し、構成要件16Cを充足することについては争いがなく、さらに、前記1ないし3の(原告の主張)のとおり、被告製品1に含まれる被告製品3が構成要件1ないし4、6及び7のそれぞれに係る本件発明1ないし4、6及び7の技術的範囲に属し、「請求項1~10のいずれか1項に記載の前記プレートを 含むシステムにおいて、」との構成要件を充足するから、本件発明16の技術的範囲に属する。 (被告の主張)前記1ないし3の被告の主張のとおり、被告製品3は請求項1ないし4、6及び7に係る本件発明1ないし4、6及び7の技術的範囲に属しないから、被 告製品1は「請求項1~10のいずれか1項に記載の前記プレートを含むシステムにおいて、」との構成要件を充足せず、次のとおり、請求項16のその余の構成要件も充足しないから、請求項16の技術的範囲に属しない。 (1) 構成要件16Aの充足性被告製品1を構成する固定プレート(被告製品3)において、孔の軸線は 観念できず、固定プレート内の第1の組の孔に対して±15度の範囲で術者 の定める任意の角度でスクリューが結合され、設置されるロッキングスクリューは少なくとも3つとは限らないことから、構成要件16Aを充足しない。 (2 第1の組の孔に対して±15度の範囲で術者 の定める任意の角度でスクリューが結合され、設置されるロッキングスクリューは少なくとも3つとは限らないことから、構成要件16Aを充足しない。 (2) 構成要件16Bの充足性被告製品1を構成する固定プレート(被告製品3)において、孔の軸線は観念できず、固定プレート内の第2の組の孔に対して±15度の範囲で術者 の定める任意の角度でロッキングスクリューが結合されるから、構成要件16Bを充足しない。 (3) 構成要件16Dの充足性被告製品1を構成する固定プレート(被告製品3)において、孔の軸線は観念できず、第1の組のロッキングスクリューを通る軸線及び第2の組のロ ッキングスクリューを通る軸線は±15度の範囲で術者の定める任意の角度で方向付けられるので、遠位側に突出するとは限らないから、構成要件16Dを充足しない。 9 被告製品1が本件発明17の技術的範囲に属するか(争点9)(原告の主張) 被告製品1は、前記8の(原告の主張)のとおり、請求項16に係る本件発明16の技術的範囲に属するから、「請求項16に記載のシステムにおいて、」との構成要件を充足する。 そして、被告製品1は、被告製品1、3及び5のカタログ(甲3)に記載の図(別紙被告製品1、3及び5図面目録記載2の図面参照)のとおり、第1の 組のロッキングスクリューと第2の組のロッキングスクリューが横方向に重なる使用態様を意図するものであるから、被告製品1は、第1の組の孔に固定されたロッキングスクリュー及び第2の組の孔に固定されたロッキングスクリューは、横方向に重なっているシステムの構成を備えるものと認められる。したがって、被告製品1は、構成要件17Aを充足し、本件発明17の技術的範囲 ュー及び第2の組の孔に固定されたロッキングスクリューは、横方向に重なっているシステムの構成を備えるものと認められる。したがって、被告製品1は、構成要件17Aを充足し、本件発明17の技術的範囲 に属する。 (被告の主張)被告製品1は、前記8の(被告の主張)のとおり、請求項16に係る本件発明16の技術的範囲に属しないから、「請求項16に記載のシステムにおいて、」との構成要件を充足しない。 また、被告製品1を構成する固定プレートに孔の軸線は観念できず、第1の 組のロッキングスクリュー及び第2の組のロッキングスクリューは、±15度の範囲で術者の定める任意の方向で固定されるため、横方向に重なっているとは限らないから、構成要件17Aを充足しない。 よって、被告製品1は本件発明17の技術的範囲に属しない。 10 被告製品3、4及び5についての間接侵害の成否(争点10) (原告の主張)被告製品5は、被告製品3及び4の専用品であり、被告製品3、4及び5は被告製品1及び2の生産にのみ用いるものに当たるから、被告製品3及び5を製造、販売する行為は、本件発明11、13ないし17に関し、特許権を侵害するとみなされ、被告製品4及び5を製造、販売する行為は、本件発明11、 13ないし15に関し、特許権を侵害するとみなされる(特許法101条1号)。 (被告の主張)否認し争う。 11 乙5文献を主引用例とする進歩性欠如(争点11) (1) 本件発明1の進歩性欠如(争点11-1)(被告の主張)ア乙5文献に記載された発明の認定本件特許の優先日である平成15年3月27日前に発行された雑誌である「日本手の外科学会雑誌」の広告欄(乙5文献)には、「マトリックス橈 (被告の主張)ア乙5文献に記載された発明の認定本件特許の優先日である平成15年3月27日前に発行された雑誌である「日本手の外科学会雑誌」の広告欄(乙5文献)には、「マトリックス橈 骨用プレートシステム」として、橈骨遠位端が骨折した場合に骨の固定に 使用する固定プレートシステムが記載されているといえる(以下、同広告欄に記載された固定プレートの図のうち、上から3本目に示された固定プレートに係る発明を「乙5発明」という。)。 イ乙5発明と本件発明1との一致点及び相違点乙5文献には、「TitaniumDistalRadiusPlatingSystem」との表示が存 在する。「Titanium」は素材がチタン(又はチタン合金)であることを、「DistalRadius」は橈骨遠位端(肘から手首まで延びる骨である橈骨の手首側の端部)をそれぞれ意味し、乙5文献が「日本手の外科学会雑誌」の広告欄であること等も考慮すると、乙5発明の固定プレートは橈骨遠位端の骨折(手掌手首骨折)において骨の固定に使用するチタン製の固定プレ ートであることがわかる(構成要件1A及び1Lに対応)。 また、乙5文献の図からは、乙5発明が、細長い近位本体部(2つの丸い孔と1つの長い孔が形成された部分)と、近位本体部の一端に位置する遠位頭部(2列に丸い孔が並べて形成された部分)とを備えており、チタン製であるからほぼ剛性といえること(構成要件1Bに対応)、近位本体部 及び遠位頭部が平坦で、遠位頭部が近位本体部に対して角度をなしていること(構成要件1Cに対応)、頭部は、縦方向(本体部の長手方向)にずらして配置された第1の組の孔(本体部に近い側に横方向に並ぶ3つの孔)及び第2の組の孔(第1の組の孔から見て本体部とは反対側に横方向に並 構成要件1Cに対応)、頭部は、縦方向(本体部の長手方向)にずらして配置された第1の組の孔(本体部に近い側に横方向に並ぶ3つの孔)及び第2の組の孔(第1の組の孔から見て本体部とは反対側に横方向に並ぶ4つの孔)を画定していること(構成要件1Dに対応)、第1の組の孔は 本体部の長手方向に略垂直な方向(横方向)の第1の線に、第2の組の孔は横方向の第2の線に、それぞれ、ほぼ沿って配列されていること(構成要件1F及び1Gに対応)、第2の線は、第1の線に対して頭部上で縦方向(本体部の長手方向)にずらされていること(構成要件1Hに対応)、第2の組の孔は、第1の組の孔と比較すると、固定プレートの縦軸(本体部の 長手方向)に対して遠位側(第1の組の孔から見て本体部とは反対側)に ずらして配置されていること(構成要件1Iに対応)などがわかる。 このように、乙5発明は、構成要件1Aないし1D(ただし、構成要件1Cの孔が内部において一定の角度の突起を個々に保持すべく構成される点を除く。)、1Fないし1I及び1Lの構成を備える点で本件発明1と一致しているが、構成要件1D(孔が内部において一定の角度の突起を個々 に保持すべく構成される点)、1E、1J及び1Kの構成を備えない点において本件発明1と相違している。 ウ米国特許出願公開第2001/0011172号明細書(平成13(2001)年8月2日発行)(乙6。以下「乙6公報」という。)に記載された発明の認定 乙6公報は、遠位骨骨折を固定するための掌側固定システムに関するものであり、術者によって任意に選択された角度で掌側固定プレートの孔にペグが挿入されて固定される発明(以下「乙6発明」という。)が記載されており、乙6発明の構成は、本件発明1の構成要件1D(うち孔が内部におい 術者によって任意に選択された角度で掌側固定プレートの孔にペグが挿入されて固定される発明(以下「乙6発明」という。)が記載されており、乙6発明の構成は、本件発明1の構成要件1D(うち孔が内部において一定の角度の突起を個々に保持すべく構成される点)、1E、1J及 び1Kに相当する。 エ容易想到性乙5発明と乙6発明とは、いずれも橈骨遠位端の骨折の治療に使用される固定プレートである点において技術分野が共通(一致)している。 また、骨片の状態は患者によってケースバイケースであることを考慮す ると、ペグは一方向のみに固定されるよりも術者によって選択された角度で固定することが好ましいことは明らかであり、乙6公報はこのことを示唆しているといえる。 そうすると、乙5文献と乙6公報に触れた当業者であれば、同一の技術分野に属する乙5発明に乙6発明を組み合わせ、突起を所望の角度で固定 可能な固定プレートシステムを想到することに格別の困難はなく、本件発 明1を容易に発明することができたといえる。 よって、本件発明1の進歩性は否定される。 オ原告の主張に対する反論原告は、乙5文献及び乙6公報には構成要件1J及び1Kに対応する技術思想が開示されていないため、術者が構成要件1J及び1Kに規定する 態様を採用することはないなどと主張し、容易想到性を否定する。 しかし、前記1(3)及び(4)の(原告の主張)を前提とすると、術者が実際に構成要件1J及び1Kに規定する態様を採用するかどうかは問題とならず、構成要件1J及び1Kは、術者がそれらに規定される態様を採用し得るような構造となっていることを意味すると解釈すべきである。そして、 構成要件1Aないし1I及び1Lを備え、術者によって所望の方向に突起を固定可 1Kは、術者がそれらに規定される態様を採用し得るような構造となっていることを意味すると解釈すべきである。そして、 構成要件1Aないし1I及び1Lを備え、術者によって所望の方向に突起を固定可能な固定プレートにおいては、構成要件1J及び1Kの構成は当然に達成される。 したがって、原告の主張には理由がない。 (原告の主張) ア相違点乙5文献は、「TitaniumDistalRadiusPlatingSystem」の文字、「マトリックス橈骨用プレートシステム」の文字、3つの固定プレートの写真、手の骨の写真及び特性欄の箇条書が羅列されている商品広告にすぎない。 乙5文献の広告文句及び写真には、本件発明1と対比すべき技術的事項 (主引用発明)を認定することができるだけの必要十分な情報がなく、本件発明1の進歩性欠如を立証する文献として著しく適格を欠いている。 上記の限られた情報のみでは、乙5発明が構成要件1Aないし1Cの構成を備えているとはいえず、したがって、被告が本件発明1との一致点として主張するその余の構成についても、全て備えているとはいえない。 イ容易想到性 本件発明1は、一組の平行ピンを用いた従来の平板固定によっては達成できなかった軟骨下骨及び関節表面の所望の位置に合わせ、骨折部の複数の骨片を整列及び安定化させ、適正な治癒を可能とするとともに、関節表面及び軟骨下表面に支持を与える手掌固定システムを提供することを課題とし、かかる課題を解決するために、遠位橈骨内で軟骨下骨の接線方向に 延びる互いに交差する2列の突起を保持することができる固定プレートを備える構成を採用し、軟骨下骨を異なる2箇所で支持することにより、同課題を解決したものである。 位橈骨内で軟骨下骨の接線方向に 延びる互いに交差する2列の突起を保持することができる固定プレートを備える構成を採用し、軟骨下骨を異なる2箇所で支持することにより、同課題を解決したものである。 これに対し、乙6発明は、従来の平板固定装置(固定用金属板と1組の平行ピンを利用)では所望の整列と固定を提供することができなかったた め、ペグ穴(1組)の配列及びペグ穴の軸線の角度を好適なものとすることで、従来の平板装置で達成できなかった所望の整列と固定を実現するという技術思想に基づくものであり、互いに交差する2列のペグ(2組の突起)で、軟骨下骨を異なる2箇所で支持するものではない。そのため、乙5発明に乙6発明を適用しても、構成要件1J及び1Kの構成が実現され ることはない。 また、仮に乙5発明に乙6発明を適用することによって構成要件1J及び1Kの構成が実現できるとしても、乙5発明は、それ自体で所望の目的と達成しているはずであり、その上、更に骨片の適切な配列と安定化を目的として、乙6発明の固定プレートとペグの係合態様へ変更しようとする 動機付けがあるとはいえない。 よって、本件発明1の進歩性が欠如しているとはいえない。 (2) 本件発明2の進歩性欠如(争点11-2)(被告の主張)乙5文献の図から、乙5発明の第1の線及び第2の線が同一直線状にない ことは明らかであるが、他方で、乙5発明は、必ずしも、第1の組の孔の軸 線が、第2の組の孔の一定の角度の軸線の間で延び、かつ当該軸線に対して非平行になるとはいえない。 したがって、乙5発明は、請求項1に従属する請求項2に係る本件発明2との間で、前記(1)(被告の主張)イの請求項1に係る本件発明1との一致点及び相違点を有するほか、構成要件2Aの構成を備える い。 したがって、乙5発明は、請求項1に従属する請求項2に係る本件発明2との間で、前記(1)(被告の主張)イの請求項1に係る本件発明1との一致点及び相違点を有するほか、構成要件2Aの構成を備える点で一致し、構成要 件2Bの構成を備えない点で相違している。 そして、前記(1)の(被告の主張)のとおり、乙5発明に乙6発明を組み合せて得られる固定プレートシステムにおいては、突起を所望の角度で固定可能であるため、術者の選択によっては構成要件2Bと一致するようにこれを使用することが可能であるから、本件発明2は、当業者が乙5発明に基づい て容易に発明することができたといえる。 よって、本件発明2の進歩性は否定される。 (原告の主張)本件発明2は、請求項1に従属する請求項2に係るものである。したがって、請求項1に係る本件発明1の進歩性欠如の主張が成り立たない以上、本 件発明2についても同じく進歩性欠如の主張は成り立たない。 (3) 本件発明3の進歩性欠如(争点11―3)(被告の主張)乙5文献には、乙5発明の固定プレートの頭部は、第1の線の遠位側(本体部とは反対側)にある遠位バットレス部分(頭部において、第1の組の孔 から見て本体部とは反対側の部分)を含んでおり、第2の組の孔は、このバットレス部分に設けられていることが記載されている。したがって、乙5発明と本件発明3は、構成要件3A及びBの点で一致している。 そうすると、前記(1)及び(2)の(被告の主張)のとおり、請求項1に係る本件発明1及び請求項2に係る本件発明2の進歩性が否定される以上、請求 項1又は請求項2に従属する請求項3に係る本件発明3の進歩性も否定され る。 (原告の主張)前記(2)の(原 び請求項2に係る本件発明2の進歩性が否定される以上、請求 項1又は請求項2に従属する請求項3に係る本件発明3の進歩性も否定され る。 (原告の主張)前記(2)の(原告の主張)と同旨である。 (4) 本件発明4の進歩性欠如(争点11-4)(被告の主張) 乙5文献の記載によれば、乙5発明の固定プレートのバットレス部分は遠位側で先細りになっておらず、乙5発明は、構成要件4Aの構成を備えない点で、本件発明4と相違している。 しかし、バットレス部分が遠位側で先細りになることは顕著な効果を有さない設計事項であるといえ、本件特許の優先日前に公開された特表2000 -512186号公報にも記載されている周知技術である。 そして、請求項1ないし3に係る本件発明1ないし3の進歩性が否定されることは前記(1)ないし(3)の(被告の主張)のとおりであるから、これを踏まえると、請求項1ないし3いずれかに従属する請求項4に係る本件発明4は、当業者が乙5発明に基づいて容易に発明することができたといえるから、 本件発明4の進歩性も否定される。 (原告の主張)前記(2)の(原告の主張)と同旨である。 (5) 本件発明6の進歩性欠如(争点11-5)(被告の主張) 乙5文献には、乙5発明の固定プレートが、細長い本体部、及び本体部の一端に設けられた骨幹端の頭部を含んでいること、第1の組の孔及び第2の組の孔は、この頭部に設けられていることが記載されている。したがって、乙5発明は、構成要件6Aの構成を備える点で、本件発明6と一致している。 そして、請求項1ないし4に係る本件発明1ないし4の進歩性が否定され ることは前記(1)ないし(4)の(被告の主張)のとおりであるから、請求項 Aの構成を備える点で、本件発明6と一致している。 そして、請求項1ないし4に係る本件発明1ないし4の進歩性が否定され ることは前記(1)ないし(4)の(被告の主張)のとおりであるから、請求項1 ないし4のいずれかに従属する請求項6に係る本件発明6の進歩性も否定される。 (原告の主張)前記(2)の(原告の主張)と同旨である。 (6) 本件発明7の進歩性欠如(争点11-6) (被告の主張)乙5文献には、乙5発明の固定プレートにおいて、第1の組の孔及び第2の組の孔は、固定プレートの頭部に設けられていることが記載されている。 したがって、乙5発明は、構成要件7Aの構成を備える点で、本件発明7と一致している。 そして、請求項1ないし4に係る本件発明1ないし4の進歩性が否定されることは前記(1)ないし(4)の(被告の主張)のとおりであるから、請求項1ないし4のいずれかに従属する請求項6に更に従属する請求項7に係る本件発明7の進歩性も否定される。 (原告の主張) 前記(2)の(原告の主張)と同旨である。 (7) 本件発明11の進歩性欠如(争点11-7)(被告の主張)乙5文献には、乙5発明が固定プレートの他に突起を備えるとの記載はないから、乙5発明は、構成要件11Aの構成を備えない点において、本件発 明11と相違している。 しかし、乙6発明は、固定プレートの孔に結合可能で、骨片を支持するためのペグを備えていることから、乙5発明と乙6発明の組合せで得られるシステムは、構成要件11Aの構成を備える点において、本件発明11のシステムと一致する。 そして、請求項1ないし4、6及び7に係る本件発明1ないし4、6及び 7の進歩性が否定されることは前記(1)ないし 11Aの構成を備える点において、本件発明11のシステムと一致する。 そして、請求項1ないし4、6及び7に係る本件発明1ないし4、6及び 7の進歩性が否定されることは前記(1)ないし(6)の(被告の主張)のとおりであるから、これを踏まえると、請求項1ないし4、6及び7のいずれかに従属する請求項11に係る本件発明11も、当業者が乙5発明に基づいて容易に発明できたものといえるから、進歩性が否定される。 (原告の主張) 前記(2)の(原告の主張)と同旨である。 (8)本件発明13の進歩性欠如(争点11-8)(被告の主張)乙5文献には、乙5発明の固定プレートにおいて、第1の組の突起のうち少なくとも二つが互いに対して斜めに延びる構成が備わっていることは記載 されておらず、乙5発明は、構成要件13Aの構成を備えない点で、本件発明13と相違している。 もっとも、乙5発明と乙6発明の組合せにより得られるシステムにおいては、突起を所望の角度で固定可能であるため、術者の選択によっては、第1の組の突起のうち少なくとも二つが、互いに対して斜めに延びる構成を採り 得る。また、突起のうち少なくとも二つが互いに対して斜めに延びる構成は、乙9文献においても開示されており、当業者において周知の技術である。 よって、乙5発明と乙6発明の組合せで得られるシステムは、構成要件13Aの構成を備える点で、本件発明13のシステムと一致する。 そして、請求項11に係る本件発明11の進歩性が否定されることは前記 (7)の(被告の主張)のとおりである。 したがって、請求項11に従属する請求項13に係る本件発明13は、当業者が乙5発明に基づいて容易に発明できたものであるといえ、進歩性が否定される。 (原告の主張) 主張)のとおりである。 したがって、請求項11に従属する請求項13に係る本件発明13は、当業者が乙5発明に基づいて容易に発明できたものであるといえ、進歩性が否定される。 (原告の主張) 前記(2)の(原告の主張)と同旨である。 (9) 本件発明14の進歩性欠如(争点11-9)(被告の主張)乙5文献には、乙5発明の固定プレートにおいて、第2の組の突起が互いに対して平行となる構成が備わっていることは記載されておらず、乙5発明は、構成要件14Aの構成を備えない点において、本件発明14と相違して いる。 もっとも、乙5発明と乙6発明の組合せで得られるシステムにおいては、突起を所望の角度で固定可能であるため、術者の選択によっては、第2の組の突起が互いに対して平行となり得る。原告の主張を前提とすると、構成要件14Aは、術者が同構成を実現する状態を選択し得ることを意味するから、 乙5発明と乙6発明の組合せで得られるシステムは、構成要件14Aの構成を備える点で、本件発明14のシステムと一致する。 そして、請求項11及び13に係る本件発明11及び13の進歩性が否定されることは前記(7)及び(8)の(被告の主張)のとおりである。 よって、請求項11又は13に従属する請求項14に係る本件発明14は、 当業者が乙5発明に基づいて容易に発明できたものであるといえ、進歩性が否定される。 (原告の主張)前記(2)の(原告の主張)と同旨である。 (10) 本件発明15の進歩性欠如(争点11-10) (被告の主張)乙5文献には、乙5発明の固定プレートにおいて、第1の組の突起が第2の組の突起の遠位側に突出する構成が備わっていることは記載されておらず、乙5発明は、構成要件15Aの構成を備えない (被告の主張)乙5文献には、乙5発明の固定プレートにおいて、第1の組の突起が第2の組の突起の遠位側に突出する構成が備わっていることは記載されておらず、乙5発明は、構成要件15Aの構成を備えない点において、本件発明15と相違している。 もっとも、乙5発明と乙6発明の組合せで得られるシステムにおいては、 突起を所望の角度で固定可能であるため、術者の選択によっては、第1の組の突起が第2の組の突起の遠位側に突出し得るところ、原告の主張を前提とすると、構成要件15Aは、術者が同構成を実現する状態を選択し得ることを意味するから、乙5発明と乙6発明の組合せで得られるシステムは、構成要件15Aの構成を備える点で、本件発明15のシステムと一致する。 そして、請求項11、13及び14に係る本件発明11、13及び14の進歩性が否定されることは前記(7)ないし(9)の(被告の主張)のとおりである。 よって、請求項11、13及び14のいずれかに従属する請求項15に係る本件発明15は、当業者が乙5発明に基づいて容易に発明できたものであ るといえ、進歩性が否定される。 (原告の主張)前記(2)の(原告の主張)と同旨である。 (11) 本件発明16の進歩性欠如(争点11-11)(被告の主張) 乙5文献には、乙5発明において、固定プレート内の第1の組の孔に対して一定の角度の関係で結合され、線形に配列された第1の組の少なくとも三つの細長い突起であって、固定プレートが遠位橈骨の手掌側に配置されるとき、第1の組の突起が、手掌側から遠位橈骨内に入るように方向付けられる、第1の組の線形に配列された少なくとも三つの細長い突起と、固定プレート 内の第2の組の孔に対して一定の角度の関係で結合され、ほぼ線形に配列された、第2 ら遠位橈骨内に入るように方向付けられる、第1の組の線形に配列された少なくとも三つの細長い突起と、固定プレート 内の第2の組の孔に対して一定の角度の関係で結合され、ほぼ線形に配列された、第2の組の少なくとも二つの細長い突起を備える構成は記載されておらず、乙5発明は、構成要件16Aないし16Dの構成を備えない点で、本件発明16と相違している。 もっとも、乙5発明と乙6発明の組合せで得られるシステムは、突起を所 望の角度で固定可能であるため、術者の選択によっては、上記構成を実現す る状態を選択し得るところ、原告の主張を前提とすると、構成要件16Aないし16Dは、術者が同構成を実現する状態を選択し得ることを意味するから、乙5発明と乙6発明の組合せで得られるシステムは、構成要件16Aないし16Dの構成を備える点で、本件発明16のシステムと一致する。 そして、請求項1ないし4、6及び7に係る本件発明1ないし4、6及び 7の進歩性が否定されることは前記(1)ないし(6)の(被告の主張)のとおりである。 よって、請求項1ないし4、6及び7のいずれかに従属する請求項16に係る本件発明16は、当業者が乙5発明に基づいて容易に発明できたものであるといえ、進歩性が否定される。 (原告の主張)前記(2)の(原告の主張)と同旨である。 (12) 本件発明17の進歩性欠如(争点11-12)(被告の主張)乙5文献には、乙5発明において、第1の組の突起及び第2の組の突起が 横方向に重なる構成が備わっていることは記載されておらず、乙5発明は、構成要件17Aの構成を備えない点において、本件発明17と相違している。 もっとも、乙5発明と乙6発明の組合せで得られるシステムにおいては、突起を所望の角度で固定可能であるため、 らず、乙5発明は、構成要件17Aの構成を備えない点において、本件発明17と相違している。 もっとも、乙5発明と乙6発明の組合せで得られるシステムにおいては、突起を所望の角度で固定可能であるため、術者の選択によっては、第1の組の突起及び第2の組の突起が横方向に重なり得る。原告の主張を前提とする と、構成要件17Aは、術者が上記の構成を実現する状態を選択し得ることを意味するから、乙5発明と乙6発明の組合せで得られるシステムは、構成要件17Aの構成を備える点で、本件発明17のシステムと一致する。 そして、請求項16に係る本件発明16の進歩性が否定されることは前記(11)の(被告の主張)のとおりである。 よって、請求項16に従属する請求項17に係る本件発明17は、当業者 が乙5発明に基づいて容易に発明できたものであるといえ、進歩性が否定される。 (原告の主張)前記(2)の(原告の主張)と同旨である。 12 乙9文献を主引用例とする進歩性欠如(争点12) (1)本件発明1の進歩性欠如(争点12-1)(被告の主張)ア乙9文献に記載された発明の認定乙9文献は、平成14(2002)年8月発行の、I.T.S.(インプラント・テクノロジー・システム有限会社)というドイツのインプラント・ メーカーが平成13(2001)年5月から平成14(2002)年8月に製造、販売していた橈骨遠位端骨折用のチタン製固定プレートのカタログである(以下、同カタログに記載された固定プレートに係る発明を「乙9発明」という。)。 イ乙9発明と本件発明1との一致点及び相違点 乙9文献の2頁目の左側下の写真の固定プレート及び1頁目の図の固定プレートの記載から、乙9発明が橈骨遠位端の骨折に適用される固定プレ イ乙9発明と本件発明1との一致点及び相違点 乙9文献の2頁目の左側下の写真の固定プレート及び1頁目の図の固定プレートの記載から、乙9発明が橈骨遠位端の骨折に適用される固定プレートであること(構成要件1A及び1Lに対応)、細長い近位本体部(6つの孔が並べて形成された部分)と、近位本体部の一端に位置する遠位頭部(3本のスクリューが設置された列の孔と、これの隣に配置された2つの 孔が並べて形成された部分)とを備え、チタン製であること(構成要件1Bに対応)、頭部が本体部に対して上方向に角度をなしていること(構成要件1Cに対応)、その頭部は、縦方向(本体部の長手方向)にずらして配置された第1の組の孔(本体部に近い側に横方向に並ぶ2つの孔)及び第2の組の孔(ネジが設置された3つの孔)を画定していること(構成要件 1Dに対応)、第1の組の孔は、本体部の長手方向に略垂直な方向(横方 向)の第1の線にほぼ沿って配列されていること(構成要件1Fに対応)、第2の組の孔は、横方向の第2の線にほぼ沿って配列されていること(構成要件1Gに対応)、第2の線は、第1の線に対して頭部上で縦方向(本体部の長手方向)にずらされていること(構成要件1Hに対応)、第2の組の孔は、第1の組の孔と比較すると、固定プレートの縦軸(本体部の長手方 向)に対して遠位側(第1の組の孔から見て本体部とは反対側)にずらして配置されていること(構成要件1Iに対応)がわかる。 上記の事実を前提とすると、乙9発明は、本件発明1と、構成要件1Aないし1D(ただし、構成要件1Dのうち、孔が内部において一定の角度の突起を個々に保持すべく構成される点を除く。)、1Fないし1I及び1 Lの点で一致する。 他方で、乙9発明は、構成要件1D(孔が内部に ただし、構成要件1Dのうち、孔が内部において一定の角度の突起を個々に保持すべく構成される点を除く。)、1Fないし1I及び1 Lの点で一致する。 他方で、乙9発明は、構成要件1D(孔が内部において一定の角度の突起を個々に保持すべく構成される点)、1E、1J及び1Kの構成を備えない点で本件発明1と相違するといえる。 ウ乙8文献に記載された発明の認定 乙8及び9の各文献は、いずれも「ITS」と名付けられた橈骨遠位端骨折の治療に使用される固定プレート等を含むシステムのカタログである。 また、乙8文献(乙8の1の13頁)に記載された製品番号(21023-4から始まるラインナップ)と乙9文献(乙9の1の4頁)に記載された製品番号(21023-4Dから始まるラインナップ)とが一致してい ることから、乙8文献に掲載された製品と乙9文献に掲載された製品とは、重複または類似する製品群であるといえる。 そして、乙8文献12頁の冒頭には「ロッキングプレート」との記載が、「特長」の中には「ネジとプレート間の角度安定性」との記載がある。このように、乙8文献には、乙8発明の、ネジがプレートに固定されて両者 が一体化する構成(いわゆるロッキングプレート)が記載されているといえ る。 そして、前記1(1)の(原告の主張)によれば、構成要件1Dは、突起が固定プレートに固定されて両者が一体化する構成(いわゆるロッキングプレート)であることを要することを規定したものであるのだから、乙8文献に記載された発明(以下「乙8発明」という。)の構成は、本件発明1の構 成要件1D(孔が内部において一定の角度の突起を個々に保持すべく構成されている点)に相当するといえる。 また、乙8文献12頁の「特長」の中には、「ネジとプレート間の角度安定性 本件発明1の構 成要件1D(孔が内部において一定の角度の突起を個々に保持すべく構成されている点)に相当するといえる。 また、乙8文献12頁の「特長」の中には、「ネジとプレート間の角度安定性」及び「プレートの法線に対するネジ角度の自由な選択」との記載がある。これらの記載は、ネジの軸線と一致する孔の軸線(固定プレート から延びる軸線)を孔の形状によりある区域に定めていることを意味するといえる。 そして、前記1(2)の(原告の主張)によれば、構成要件1Eの「孔の軸線」とは孔の形状により定められた軸線であるというのであるから、乙8発明の構成は、本件発明1の構成要件1Eに相当するといえる。 エ容易想到性乙8発明は、乙9発明と重複又は類似する製品群に係るものであるため、乙8文献及び乙9文献に触れた当業者であれば、乙9発明に乙8発明を適用することは容易であるといえる。 さらに、構成要件1Aないし1I及び1Lの構成を備え、術者によって 所望の方向にスクリューを固定可能な固定プレートである本件発明1を発明することは、当業者において容易であるといえる。 よって、本件発明1の進歩性は否定される。 (原告の主張)ア乙9発明は本件特許の優先日前に公衆に利用可能となった発明とはいえ ないこと 被告は、乙8文献の最終ページに「15.05.2001」との記載が、乙9文献の最終ページに「08.02.」との記載がそれぞれされていることから、乙8文献が平成13年5月に、乙9文献が平成14年8月にそれぞれ発行されたと主張するものと思われるが、これらの文献が実際に頒布されたのか、頒布されたとしていつ頒布されたのかは明らかではなく、乙 8発明及び乙9発明は、本件特許の優先日前に公衆に利用可能となった発明とは 主張するものと思われるが、これらの文献が実際に頒布されたのか、頒布されたとしていつ頒布されたのかは明らかではなく、乙 8発明及び乙9発明は、本件特許の優先日前に公衆に利用可能となった発明とはいえない。 イ相違点乙9発明と本件発明1は、被告が指摘する相違点のほか、次の点においても相違している。 すなわち、被告は、乙9文献の2頁目左側下の写真の固定プレートや同1頁目の図の固定プレートにおいて、固定プレートの頭部が本体部に対して上方向に角度をなしていると主張しており、同写真や図からは、固定プレート頭部の固定プレート近位本体部との接続部分で、若干の曲線を確認することができるものの、同プレートが上方向に角度をなしているために 曲線となっているか、あるいは固定プレートの形状が同一平面上でT字状になっているために曲線となっているかの判断はできない。 よって、乙9文献は、頭部が本体部に対し上方向に角度をなしている構成を開示しているとはいえないから、乙9発明は、構成要件1Cの固定プレートの頭部の構成を備えていない点で、本件発明1と一致しているとは いえず、その構成を前提とする構成要件1Dないし1Iの構成を備えていない点でも、本件発明1と一致しているとはいえない。 よって、乙9発明と本件発明1は、構成要件1Cないし1Iの点で相違している。 ウ容易想到性 被告は、乙9発明に乙8発明を組み合わせることにより、本件発明1と 同一の構成が導かれると主張する。 しかし、具体的に乙8文献のどのような固定プレートとどのようなネジの組合せがロッキングプレートに該当するといえるのか、またどのような機構をもってネジと固定プレート間の角度が安定だと説明しているのか明らかではなく、そもそも乙9発明に乙8発明を組 トとどのようなネジの組合せがロッキングプレートに該当するといえるのか、またどのような機構をもってネジと固定プレート間の角度が安定だと説明しているのか明らかではなく、そもそも乙9発明に乙8発明を組み合わせても、本件発明 1の構成要件1D及び1Eを備えるようになるとはいい難い。 仮に、乙9発明に乙8発明を組み合わせることにより、本件発明1と同一の構成が導かれるとしても、乙9発明に乙8発明を適用することは容易であるとはいい難いといえる。 すなわち、被告は、乙8発明と乙9発明の共通点(カタログのタイトル 「ITS」及び製品番号)を指摘して、乙9発明に乙8発明を適用することは容易であると主張するが、製品番号は、被告が引用した番号を見ても、「21023-4」と「21023-4D」と厳密には異なっている。また、その製品番号で特定される固定プレートと被告が進歩性欠如の主引用発明、副引用発明として認定した発明の固定プレートとが一致しているか 否かは不明である。 仮に、両者が類似する製品であったとしても、乙9文献の2頁左下の写真の固定プレートにおいては、現時点の固定プレートとネジによって、所望の目的を達成しているはずであり、その上でさらに、骨片の適切な配列と安定化を目的として、乙8発明の技術的事項を適用しようとする動機付 けがない。 しかも、乙9発明に乙8発明を適用して構成要件1Aないし1I及び1Lを備えるに至った固定プレートにおいて、術者が所望の方向にネジを固定することができたとしても、構成要件1J及び1Kが当然に達成されることはない。 よって、本件発明1の進歩性は否定されない。 (2) 本件発明2の進歩性欠如(争点12-2)(被告の主張)乙9文献の2頁左側下の写真からは、乙9発明の第1 はない。 よって、本件発明1の進歩性は否定されない。 (2) 本件発明2の進歩性欠如(争点12-2)(被告の主張)乙9文献の2頁左側下の写真からは、乙9発明の第1の線及び第2の線が同一直線上にないことがわかり、他方で、乙9発明は、必ずしも、第1の組の孔の軸線が、第2の組の孔の一定の角度の軸線の間で延び、かつ当該軸線 に対して非平行になるとはいえない。したがって、乙9発明と請求項1に従属する請求項2に係る本件発明2とは、前記(1)(被告の主張)イの乙9発明と請求項1に係る本件発明1との一致点及び相違点を有するほか、構成要件2Aの構成を備える点で一致し、構成要件2Bの構成を備えない点で相違する。 そして、乙9発明においては、ネジを所望の角度で固定可能であることから、術者の選択によっては、構成要件2Bと一致するようにこれを使用することが可能である。 したがって、本件発明2は、当業者が乙9発明に基づいて容易に発明することができたといえる。 よって、本件発明2の進歩性は否定される。 (原告の主張)本件発明2ないし4、6、7、11及び13ないし17は、いずれも請求項1の従属項に係る発明である。したがって、請求項1に係る本件発明1の進歩性欠如の主張が成り立たない以上、本件発明2ないし4、6、7、11 及び13ないし17についても同じく進歩性欠如の主張は成り立たない。 (3) 本件発明3の進歩性欠如(争点12-3)(被告の主張)乙9文献の2頁左側下の写真からは、乙9発明の頭部は、第1の線の遠位側(本体部とは反対側)にある遠位バットレス部分(頭部において、第1の 組の孔から見て本体部とは反対側の部分)を含んでおり、第2の組の孔は、 このバットレス 発明の頭部は、第1の線の遠位側(本体部とは反対側)にある遠位バットレス部分(頭部において、第1の 組の孔から見て本体部とは反対側の部分)を含んでおり、第2の組の孔は、 このバットレス部分に設けられていることがわかるから、乙9発明と本件発明3は、構成要件3A及び3Bの点で一致している。 そして、請求項1及び2に係る本件発明1及び2が進歩性を欠くことは、前記(1)及び(2)の(被告の主張)のとおりである。 したがって、請求項1又は2に従属する請求項3に係る本件発明3は、当 業者が乙9発明に基づいて容易に発明することができたものといえ、進歩性が否定される。 (原告の主張)前記(2)の(原告の主張)と同旨である。 (4) 本件発明4の進歩性欠如(争点12-4) (被告の主張)乙9文献の記載によれば、乙9発明は、バットレス部分が遠位側で先細りになっておらず、乙9発明は、構成要件4Aの構成を備えない点で、本件発明4と相違している。 しかし、上記相違点に係る構成は、顕著な効果を有しない単なる設計事項 である上、本件特許の優先日前の特許公報により開示されている周知技術である。 そして、請求項1ないし3に係る本件発明1ないし3の進歩性が否定されることは前記(1)ないし(3)の(被告の主張)のとおりであるから、これを踏まえると、請求項1ないし3のいずれかに従属する請求項4に係る本件発明 4の進歩性も否定される。 (原告の主張)前記(2)の(原告の主張)と同旨である。 (5) 本件発明6の進歩性欠如(争点12-5)(被告の主張) 乙9文献の2頁左側下の写真からは、乙9発明が、細長い本体部、及び本 体部の一端に設けられた骨幹端の頭部を含んでおり、第1の組の孔 性欠如(争点12-5)(被告の主張) 乙9文献の2頁左側下の写真からは、乙9発明が、細長い本体部、及び本 体部の一端に設けられた骨幹端の頭部を含んでおり、第1の組の孔及び第2の組の孔は、この頭部に設けられていることがわかる。したがって、乙9発明は、構成要件6A及び6Bの構成を備える点で、本件発明6と一致する。 そして、請求項1ないし4に係る本件発明1ないし4の進歩性が否定されることは前記(1)ないし(4)の(被告の主張)のとおりであるから、請求項1 ないし4のいずれかに従属する請求項6に係る本件発明6の進歩性も否定される。 (原告の主張)前記(2)の(原告の主張)と同旨である。 (6) 本件発明7の進歩性欠如(争点12-6) (被告の主張)乙9文献の2頁左側下の写真及び1頁の図には、乙9発明の固定プレートの頭部は、本体部に対して角度をなしていることが記載されている。したがって、乙9発明は、構成要件7Aの構成を備える点で、本件発明7と一致している。 そして、請求項1ないし4に係る本件発明1ないし4の進歩性が否定されることは前記(1)ないし(4)の(被告の主張)のとおりであるから、請求項1ないし4のいずれかに従属する請求項6に更に従属する請求項7に係る本件発明7の進歩性も否定される。 (原告の主張) 前記(2)の(原告の主張)と同旨である。 (7) 本件発明11の進歩性欠如(争点12-7)(被告の主張)乙9文献には、乙9発明のシステムが、第1の組の孔及び第2の組の孔それぞれに結合可能で、一つ以上の骨片を支持すべく構成される第1の組のネ ジ及び第2の組のネジを備えていることが記載されているから、乙 献には、乙9発明のシステムが、第1の組の孔及び第2の組の孔それぞれに結合可能で、一つ以上の骨片を支持すべく構成される第1の組のネ ジ及び第2の組のネジを備えていることが記載されているから、乙9発明は、 構成要件11Aの構成を備える点で、本件発明11と一致しているといえる。 そして、請求項1ないし4、6及び7に係る本件発明1ないし4、6及び7の進歩性が否定されることは前記(1)ないし(6)の(被告の主張)のとおりであり、これを踏まえると、請求項1ないし4、6及び7のいずれかに従属する請求項11に係る本件発明11の進歩性も否定される。 (原告の主張)前記(2)の(原告の主張)と同旨である。 (8) 本件発明13の進歩性欠如(争点12-8)(被告の主張)乙9文献には、乙9発明のシステムにおいて、第1の組のネジのうち少な くとも二つが、互いに対して斜めに延びる構成が備わっていることは記載されておらず、乙9発明と本件発明13は、この点が相違している。 もっとも、乙9発明と乙8発明の組合せにより得られるシステムにおいては、ネジを所望の角度で固定可能であるため、術者の選択によっては、第1の組のネジのうち少なくとも二つが、互いに対して斜めに延びる構成をとり 得る。また、ネジのうち少なくとも二つが互いに対して斜めに延びる構成は、乙9発明と乙8発明の組合せにより得られるシステムにおいては、乙9文献においても開示されており、当業者において周知の技術である。 よって、乙9発明と乙8発明の組合せで得られるシステムは、構成要件13Aの構成を備える点で、本件発明13のシステムと一致する。 そして、請求項11に係る本件発明11の進歩性が否定されることは前記(7)の(被告の主張)のとおりで られるシステムは、構成要件13Aの構成を備える点で、本件発明13のシステムと一致する。 そして、請求項11に係る本件発明11の進歩性が否定されることは前記(7)の(被告の主張)のとおりである。 したがって、請求項11に従属する請求項13に係る本件発明13は、当業者が乙9発明に基づいて容易に発明できたものといえ、進歩性が否定される。 (原告の主張) 前記(2)の(原告の主張)と同旨である。 (9) 本件発明14の進歩性欠如(争点12-9)(被告の主張)乙9文献には、乙9発明のシステムにおいて、第2の組の突起が互いに対して平行となる構成が備わっていることは記載されておらず、乙9発明は、 構成要件14Aの構成を備えない点において、本件発明14と相違している。 もっとも、乙9発明と乙8発明の組合せで得られるシステムにおいては、ネジを所望の角度で固定可能であるため、術者の選択によっては、第2の組のネジが互いに対して平行となり得る。原告の主張を前提とすると、構成要件14Aは、術者が同構成を実現する状態を選択し得ることを意味するから、 乙9発明と乙8発明の組合せで得られるシステムは、構成要件14Aの構成を備える点で、本件発明14のシステムと一致する。 そして、請求項11及び13に係る本件発明11及び13の進歩性が否定されることは前記(7)及び(8)の(被告の主張)のとおりである。 よって、請求項11又は13に従属する請求項14に係る本件発明14は、 当業者が乙9発明に基づいて容易に発明できたものといえ、進歩性が否定される。 (原告の主張)前記(2)の(原告の主張)と同旨である。 (10) 本件発明15の進歩性欠如(争点12-10) (被告の主張)乙9文献には のといえ、進歩性が否定される。 (原告の主張)前記(2)の(原告の主張)と同旨である。 (10) 本件発明15の進歩性欠如(争点12-10) (被告の主張)乙9文献には、乙9発明のシステムにおいて、第1の組の突起が第2の組の突起の遠位側に突出する構成が備わっていることは記載されておらず、乙9発明は、構成要件15Aの構成を備えない点において、本件発明15と相違している。 もっとも、乙9発明と乙8発明の組合せで得られるシステムにおいては、 ネジを所望の角度で固定可能であるため、術者の選択によっては、第1の組のネジが第2の組のネジの遠位側に突出し得るところ、原告の主張を前提とすると、構成要件15Aは、術者が同構成を実現する状態を選択し得ることを意味するから、乙9発明と乙8発明の組合せで得られるシステムは、構成要件15Aの構成を備える点で、本件発明15のシステムと一致する。 そして、請求項11、13及び14に係る本件発明11、13及び14の進歩性が否定されることは前記(7)ないし(9)の(被告の主張)のとおりである。 よって、請求項11、13及び14のいずれかに従属する請求項15に係る本件発明15は、当業者が乙9発明に基づいて容易に発明できたものであ るといえ、進歩性が否定される。 (原告の主張)前記(2)の(原告の主張)と同旨である。 (11) 本件発明16の進歩性欠如(争点12-11)(被告の主張) 乙9文献には、乙9発明において、固定プレート内の第1の組の孔に対して一定の角度の関係で結合され、線形に配列された第1の組の少なくとも三つの細長い突起であって、固定プレートが遠位橈骨の手掌側に配置されるとき、第1の組の突起が、手掌側から遠位橈骨内に入るように方向付けられ の角度の関係で結合され、線形に配列された第1の組の少なくとも三つの細長い突起であって、固定プレートが遠位橈骨の手掌側に配置されるとき、第1の組の突起が、手掌側から遠位橈骨内に入るように方向付けられる、第1の組の線形に配列された少なくとも三つの細長い突起と、固定プレート 内の第2の組の孔に対して一定の角度の関係で結合され、ほぼ線形に配列された、第2の組の少なくとも二つの細長い突起を備える構成は記載されておらず、乙9発明と本件発明16は、この点が相違している。 もっとも、乙9発明と乙8発明の組合せで得られるシステムにおいては、ネジを所望の角度で固定可能であるため、術者の選択によっては、上記構成 を達成する状態を選択し得るところ、原告の主張を前提とすると、構成要件 16Aないし16Dは、術者が同構成を実現する状態を選択し得ることを意味するから、乙9発明と乙8発明の組合せで得られるシステムは、構成要件乙16Aないし16Dの構成を備える点で、本件発明16のシステムと一致する。 そして、請求項1ないし4、6及び7に係る本件発明1ないし4、6及び 7の進歩性が否定されることは前記(1)ないし(6)の被告の主張のとおりである。 よって、請求項1ないし4、6及び7のいずれかに従属する請求項16に係る本件発明16は、当業者が乙9発明に基づいて容易に発明できたものであるといえ、進歩性が否定される。 (原告の主張)前記(2)の(原告の主張)と同旨である。 (12) 本件発明17の進歩性欠如(争点12-12)(被告の主張)乙9文献には、乙9発明において、第1の組の突起及び第2の組の突起が 横方向に重なる構成が備わっていることは記載されておらず、乙9発明は、構成要件17Aの構成を備えない点において、 の主張)乙9文献には、乙9発明において、第1の組の突起及び第2の組の突起が 横方向に重なる構成が備わっていることは記載されておらず、乙9発明は、構成要件17Aの構成を備えない点において、本件発明17と相違している。 もっとも、乙9発明と乙8発明の組合せで得られるシステムにおいては、ネジを所望の角度で固定可能であるため、術者の選択によっては、第1の組のネジ及び第2の組のネジが横方向に重なり得る。原告の主張を前提とする と、構成要件17Aは、術者が上記の構成を実現する状態を選択し得ることを意味するから、乙9発明と乙8発明の組合せで得られるシステムは、構成要件17Aの構成を備える点で、本件発明17のシステムと一致する。 そして、請求項16に係る本件発明16の進歩性が否定されることは前記(11)の(被告の主張)のとおりである。 よって、請求項16に従属する請求項17に係る本件発明17は、当業者 が乙9発明に基づいて容易に発明できたものであるといえ、進歩性が否定される。 (原告の主張)前記(2)の(原告の主張)と同旨である。 13 損害の発生及び額(争点13) (原告の主張)(1)被告製品1による損害額以下のアないしウのうち、最も認容額の高くなる損害算定根拠に基づく損害額を主張する。 ア特許法102条1項に基づく損害額 ZimmerBiometHoldings, Inc.の日本法人であるジンマー・バイオメット合同会社(その前身であるバイオメット・ジャパン合同会社及び更にその前身であるバイオメット・ジャパン株式会社を含む。)は、被告製品1と競合するDVRアナトミックプレート及びDVRePAKシステムを、前者については遅くとも平成23年1月以降、後者 同会社及び更にその前身であるバイオメット・ジャパン株式会社を含む。)は、被告製品1と競合するDVRアナトミックプレート及びDVRePAKシステムを、前者については遅くとも平成23年1月以降、後者については遅くとも平成2 7年3月以降、販売している。 上記のDVRアナトミックプレート及びDVRePAKシステムの単位数量当たりの利益(限界利益)の額は、●(省略)●円である。 他方、平成25年4月9日(特定承継による本件特許権の移転の受付年月日)から令和元年5月までの被告製品1の販売数量は、1万9533個 を下らない。 そして、ジンマー・バイオメット合同会社は、上記数量のDVRアナトミックプレート及びDVRePAKシステムを追加的に製造・販売する能力を有していた。 以上から、特許法102条1項に基づく原告の損害額は、●(省略)● 円を下らない。 (計算式)●(省略)●円×1万9533個=●(省略)●円イ特許法102条2項に基づく損害額平成25年4月9日(特定承継による本件特許権の移転の受付年月日)から令和元年5月までの被告製品1の販売額は、19億5330万円を下 らない。 被告製品1の限界利益率は、販売額に対して40%を下らないので、特許法102条2項に基づく原告の損害額は、7億8132万円を下らない。 (計算式)19億5330万円×40%=7億8132万円 ウ特許法102条3項に基づく損害額特許法102条3項の原告が受けるべき金銭の額は、平成25年4月9日から令和元年5月までの販売額の12%に当たる2億3439万6000円を下らない。 (計算式) 19億5330万円×12%=2億3439万600 べき金銭の額は、平成25年4月9日から令和元年5月までの販売額の12%に当たる2億3439万6000円を下らない。 (計算式) 19億5330万円×12%=2億3439万6000円(2)被告製品2による損害額以下のアないしウのうち、最も認容額の高くなる損害算定根拠に基づく損害額を主張する。 ア特許法102条1項に基づく損害額 平成28年から令和元年5月までの被告製品2の販売数量は、1万5117個を下らない。 よって、特許法102条1項に基づく原告の損害額は、●(省略)●円を下らない。 (計算式) ●(省略)●円×1万5117個=●(省略)●円 イ特許法102条2項に基づく損害額平成28年から令和元年5月までの被告製品2の販売額は、15億1170万円を下らない。 そして、被告製品2の限界利益率は、販売額に対して40%を下らないので、特許法102条2項に基づく原告の損害額は、6億468万円を下 らない。 (計算式)15億1170万円×40%=6億0468万円ウ特許法102条3項に基づく損害額特許法102条3項の原告が受けるべき金銭の額は、平成28年から令 和元年5月までの販売額の12%に当たる1億8140万4000円を下らない。 (計算式)15億1170万円×12%=1億8140万4000円(3)弁護士費用 被告の本件特許権侵害と相当因果関係のある弁護士費用は5000万円を下らない。 (4)合計額以上によれば、被告製品1及び2の販売により被った原告の損害額の合計は、●(省略)●円を下らない。 (計算式)●(省略)●+5000万円=●(省 円を下らない。 (4)合計額以上によれば、被告製品1及び2の販売により被った原告の損害額の合計は、●(省略)●円を下らない。 (計算式)●(省略)●+5000万円=●(省略)●円(被告の主張)争う。 第4 当裁判所の判断 1 本件明細書の記載事項等 (1) 本件明細書(甲2)の「発明の詳細な説明」には、以下のような記載がある(下記記載中に引用する図については、別紙本件明細書図面目録記載のとおり)。 ア 【技術分野】【0001】 本発明は、大別して、外科用インプラントに関する。さらに詳細には、本発明は、支持用ペグを有した骨折固定システムに関する。 イ 【背景技術】【0002】長骨の骨幹端部分の骨折の治療は困難になることがある。不適切な治 療は、結果的に、変形を生じさせ、長期にわたって不快感を生じさせ得る。 【0003】例として、コーレス骨折は、遠位橈骨に加えられた圧縮力により生じた骨折であり、遠位側骨片の後方への変位及び手首部における手の半径 方向へのズレを引き起こす。多くの場合、コーレス骨折は、複数の骨片を生じさせ、それらが互いに対して移動してずれた状態になる。適切な治療を受けないと、このような骨折は永久的な手首の変形を生じさせる。 したがって、骨折部を整列させ(すなわち、骨折部の位置を合わせ)、適正な治癒が起こり得るように互いに対して骨を固定することが重要とな る。 ウ 【発明が解決しようとする課題】【0004】骨幹端骨折の位置合わせ及び固定は、一般に、ギブス包帯固定、外固定、骨間鋼線締結及び平板固定といった幾つかの方法のうちの一つによ って行われる。ギブス包帯固定は、非侵襲であるが、多数の骨片が 骨幹端骨折の位置合わせ及び固定は、一般に、ギブス包帯固定、外固定、骨間鋼線締結及び平板固定といった幾つかの方法のうちの一つによ って行われる。ギブス包帯固定は、非侵襲であるが、多数の骨片が存在 する骨折部の正しい配置(整列状態)を維持できない恐れがある。したがって、代替として、外固定器が使用され得る。外固定器は、靭帯整復法(ligamentotaxis)として知られる方法を利用し、関節全域に散乱力を付与して周囲の靭帯に付与された張力に基づいて骨折部の位置合わせをさせることを可能とさせる。しかしながら、外固定器は手根骨の位置 を維持できるが、ある骨折部においては最初に骨を適正な位置に合わせることが困難となり得る。さらに、外固定器は、多くの場合、複数の骨片となった骨折には適していない。骨間鋼線締結は観血的処置であり、様々な骨片にねじを配置した後、そのねじをブレーシング(支柱)として互いとワイヤで結合する。これは、困難で時間のかかる処置である。 さらに、ブレーシングが非常に複雑でないと、骨折部が適正に安定化され得ない。平板固定は、典型的には骨の背側に当てられる安定化金属プレートと、安定化金属プレートから骨片にドリル穿孔された穴まで延びる一組の平行ピンとを利用し、骨片を安定的に固定させる。しかしながら、現在利用可能なプレートシステムは、所望の位置合わせ配置及び安 定化状態を提供することはできない。特に、遠位橈骨骨折の場合、軟骨下骨と現在のプレートでは接していない関節表面との両方の位置を合わせ且つ安定化させる必要がある。 【0005】したがって、本発明の目的は、改良型の遠位橈骨骨折のための手掌固 定システムを提供することにある。 本発明の他の目的は、骨折部の複数の骨片を所望通りに整列及び安定 。 【0005】したがって、本発明の目的は、改良型の遠位橈骨骨折のための手掌固 定システムを提供することにある。 本発明の他の目的は、骨折部の複数の骨片を所望通りに整列及び安定化させて適正な治癒を可能とさせる手掌固定システムを提供することにある。 本発明の別の目的は、関節表面及び軟骨下表面に支持を与える手掌プ レートシステムを提供することにある。 エ 【課題を解決するための手段】【0006】以下で詳細に述べられるこれらの目的に従って、橈骨の手掌側に接して配置されることを意図したT字形状プレートと、橈骨の非骨折部分に沿って該プレートを取り付けるための複数の骨ねじと、該プレートから 橈骨の骨幹端の骨片まで延びる寸法を有した複数の骨ペグとを通常備える手掌固定システムが提供される。 【0007】前記プレートは、概略T字形状であり、細長い本体部と、本体部に対して角度をなした頭部と、骨に接触することを意図された第1の側と、 第1の側と反対側の第2の側とを規定している。本体部は、骨ねじが貫通するための複数の皿ねじ孔を含んでいる。頭部は、ペグを受容するための複数の螺刻されたペグ孔を含んでいる。本発明によれば、ペグねじ孔は第1の組と第2の組とに分けて配置されている。第1の組のペグ孔は、概略直線上に配置されており、好ましくは、第2の側に沿って内側 から外側の方向にいくほど遠位側寄りに位置するように配置される。第1の組のペグ孔を通る軸線は、互いに対して斜めに延びていることが好ましく、それらのペグ孔に挿入されたペグが同様に互いに対して斜めに角度をなすように2次元的に互いに対して角度をなしていることが好ましい。第2の組のペグ孔は、第1の組のペグ孔の相対的に遠位側に設け られてい のペグ孔に挿入されたペグが同様に互いに対して斜めに角度をなすように2次元的に互いに対して角度をなしていることが好ましい。第2の組のペグ孔は、第1の組のペグ孔の相対的に遠位側に設け られている。第2の組のペグ孔も概略直線上に配置されており、好ましくは概略平行な軸線を規定している。さらに好ましくは、第2の組のペグ孔は、それらペグ孔に配置されたペグがプレートの本体部に対して概略垂直な方向に向けられ且つ第1の組のペグの間に延びるように、プレートに対して角度をなしている。第1の組のペグ孔内のペグは、軟骨下 骨片の背側面に対する支持を提供する一方、第2の組のペグ孔内のペグ は関節骨表面の裏側の軟骨下骨の手掌側面に対する支持を与える。 オ 【発明を実施するための最良の形態】【0009】図1から図4を参照すると、本発明による骨折固定システム100が図示されている。骨折固定システム100は、特に、コーレス骨折の複 数の骨片を整列及び安定化させるのに適するように構成されている。 【0010】第1の実施形態によれば、骨折固定システム100は、通常、一般に掌側プレートと呼称される概略剛性を有したT字形状のプレート102と、骨ねじ130と、ペグ140、142とを含む。プレート102は、 骨折した橈骨の手掌側に配置されることを意図される。T字形状のプレート102は、頭部116と、好ましくは頭部に対して角度をなしている細長い本体部118とを規定している。頭部116と本体部118との間の角度は、好ましくは約23°であり、好ましくは約17.78mm(0.7インチ)から20.32mm(0.8インチ)の半径で曲げ られる。頭部116の遠位バットレス121(すなわち、以下で述べられる頭部において第1の組のペグ孔134よりも遠 17.78mm(0.7インチ)から20.32mm(0.8インチ)の半径で曲げ られる。頭部116の遠位バットレス121(すなわち、以下で述べられる頭部において第1の組のペグ孔134よりも遠位側の部分)は、本体部118と直角な線に対して内側に向かって近位側に角度α、例えば5°をなしている(図4)。さらに、バットレス121の上側表面122は、好ましくは、該上側表面122が本体部118と概略平行になるよ うに頭部116の残余の部分に対して角度をなしている(図2)。頭部116の下側表面123は好ましくは平坦である。プレート102は、好ましくは2.54mm(0.1インチ)の厚さを有し、Ti―6Al―4Vのようなチタン合金から形成されることが好ましい。 【0012】 頭部116は、(ペグ140を配置するための)螺刻された第1の組1 32のペグ孔134と、(ペグ142を配置するための)螺刻された第2の組136のペグ孔138とを含む。第1の組のペグ孔134は直線又は僅かに弯曲した曲線に沿って配置されている。第1の組のペグ孔134は、さらに、ペグが内側から外側に向かう方向に遠位側寄りになっていくように配置されることが好ましい。第1の組のペグ孔134は、約 6.35mm(0.25インチ)間隔で設けられていることが好ましい。 第1の組のペグ孔を通る軸線(これらペグ孔を通って延びるペグ140によって示されている)は、互いに対して斜めに延びていることが好ましく、2次元的に互いに対して角度をなしていることが好ましい。 【0013】 第2の組136のペグ孔138は、第1の組132のペグ孔の相対的に遠位側に設けられており、バットレス121内に位置することが最も好ましい。第2の組のペグ孔138は、概略直線上に配置されている 第2の組136のペグ孔138は、第1の組132のペグ孔の相対的に遠位側に設けられており、バットレス121内に位置することが最も好ましい。第2の組のペグ孔138は、概略直線上に配置されていることが好ましく、ペグ孔134の配置と概略平行になっていることが好ましい。各ペグ孔138は、バットレス121の上側表面122と垂直で あり且つプレート102の本体部116と垂直でもある軸線を規定することが好ましい。ペグ孔138内に配置されるペグ142は、ペグ孔134に挿通されるペグ140に対して角度をなしていることが好ましく、ペグ140の間に挟まれた形で延びていてもよい。さらに、ペグ142(及びペグ孔134を通って延びる軸線)は、ペグ孔138及びペグ1 40(及びペグ孔138を通って延びる軸線)の遠位側に突出していることが好ましい。あるいはまた、ペグ孔134を通るペグ140とペグ孔138を通るペグ142は、概略平行な方向に向けられていてもよく、他の相対形態となっていてもよい。 【0014】 ペグ140、142は、螺刻された(ねじ部を設けられた)頭部(例 えば144)と、好ましくは螺刻されていない(ねじ部のない)軸部(例えば146)とを含んでいる。例示のペグは、米国特許第6,364,882号明細書により詳細に記載されており、当該特許明細書は本願と一体のものとして参照される。 【0015】 使用の際には、骨折部に比較的小さい切開部が作られ、方形回内筋をその半径方向挿入から折り返して、遠位橈尺関節に対して尺骨側に遠位橈骨全体を露出させる。プレート102が、骨に接触させられ、第1の組132のペグ孔134が単数又は複数の骨片を概ね覆って配置されるように、骨折部と位置合わせさせられる。外科医によって、孔128を 橈骨全体を露出させる。プレート102が、骨に接触させられ、第1の組132のペグ孔134が単数又は複数の骨片を概ね覆って配置されるように、骨折部と位置合わせさせられる。外科医によって、孔128を 通して、橈骨に第1のねじ孔がドリル穿孔される。次に、第1の骨ねじ130がプレート102の孔128に挿入され骨に留められる。骨ねじ130をプレートに完全に締め付ける前に、ねじに対してプレートの位置を長手方向に調整することができる。適正な位置が定まったら、第1のねじを締め付けることができ、同様に別のねじ130をさらに他のね じ孔124、126、127に挿入することができる。 【0016】骨折した骨がプレート102の下で治癒のために所望される位置に調整される。次に、外科医は、ペグ140、142のために、ペグ孔134、138を通して骨にドリル穿孔する。次に、ペグ140がペグ孔1 34を通して骨片にドリル穿孔された孔に挿入され、ペグの頭部が掌側プレートに螺合させられる。同様に、ペグ142が、ペグ孔138並びに関節表面の後ろにドリル穿孔された孔に挿入され、プレートに固定され、そこでの支持を提供する。第1の組のペグ140は、軟骨下骨の中央側面及び/又は背側面を支持する突起を形成し、このような支持は特 に遠位橈骨の背側の不安定な骨折部において所望される。第2の組のペ グ142は、骨表面の関節表面の後ろで掌側面における支持を提供する突起を形成する。第1の組のペグ及び第2の組のペグは、好ましくは横方向に重なっており、軟骨下骨の接線方向支持(tangentialcradling)を提供する。好ましくは、各組132、136に少なくとも三つのペグが設けられ、好ましい程度の軟骨下支持を与える。それによって、骨折 固定システムは 支持(tangentialcradling)を提供する。好ましくは、各組132、136に少なくとも三つのペグが設けられ、好ましい程度の軟骨下支持を与える。それによって、骨折 固定システムは、概略接線方向に適正な向きで骨片を支持する骨組を形成する。好ましさでは劣る代替実施形態において、ペグ140、142が互いに平行になっている又は他の相対的向きになっている場合でも、適切な支持を与えることが可能である。 (2) 前記(1)の記載事項によれば、本件明細書には、本件各発明に関し、以下の とおりの開示があると認められる。 ア遠位橈骨に加えられた圧縮力により生じた骨折は、多くの場合、複数の骨片を生じさせ、それらが互いに対して移動してずれた状態になり、適切な治療を受けないと、このような骨折は永久的な手首の変形を生じさせることから、骨折部を整列させ(すなわち、骨折部の位置を合わせ)、適正な 治癒が起こり得るように互いに対して骨を固定することが重要となる(段落【0002】及び【0003】)。 この骨幹端骨折の位置合わせ及び固定は、一般に、ギブス包帯固定、外固定、骨間鋼線締結及び平板固定といった幾つかの方法のうちの一つによって行われるが、ギブス包帯固定は、多数の骨片が存在する骨折部の正し い配置(整列状態)を維持できない恐れがあり、外固定器は、ある骨折部においては最初に骨を適正な位置に合わせることが困難となり得る上、多くの場合、複数の骨片となった骨折には適しておらず、骨間鋼線締結は、様々な骨片にねじを配置した後、そのねじをブレーシング(支柱)として互いとワイヤで結合するが、これは、困難で時間のかかる処置である上、 ブレーシングが非常に複雑でないと、骨折部が適正に安定化され得ず、平 板固定は、典型的には骨の背側 ング(支柱)として互いとワイヤで結合するが、これは、困難で時間のかかる処置である上、 ブレーシングが非常に複雑でないと、骨折部が適正に安定化され得ず、平 板固定は、典型的には骨の背側に当てられる安定化金属プレートと、安定化金属プレートから骨片にドリル穿孔された穴まで延びる一組の平行ピンとを利用し、骨片を安定的に固定させるが、現在利用可能なプレートシステムは、所望の位置合わせ配置及び安定化状態を提供することはできず、特に、遠位橈骨骨折の場合、軟骨下骨と現在のプレートでは接していない 関節表面との両方の位置を合わせ且つ安定化させる必要があるという問題があった(段落【0004】)。 イ 「本発明」は、前記アの問題を解決するため、改良型の遠位橈骨骨折のための手掌固定システムを提供し、骨折部の複数の骨片を所望通りに整列及び安定化させて適正な治癒を可能とさせる手掌固定システムを提供する とともに、関節表面及び軟骨下表面に支持を与える手掌プレートシステムを提供することを目的とするものであり、このような目的に従って、橈骨の手掌側に接して配置されることを意図したT字形状プレートと、橈骨の非骨折部分に沿って該プレートを取り付けるための複数の骨ねじと、該プレートから橈骨の骨幹端の骨片まで延びる寸法を有した複数の骨ペグとを 通常備える手掌固定システムを採用したものであって、前記プレートは、概略T字形状であり、細長い本体部と、本体部に対して角度をなした頭部と、骨に接触することを意図された第1の側と、第1の側と反対側の第2の側とを規定し、本体部は、骨ねじが貫通するための複数の皿ねじ孔を含み、頭部は、ペグを受容するための複数の螺刻されたペグ孔を含み、ペグ ねじ孔は第1の組と第2の組とに分けて配置され、第1の組のペグ孔は、概 、本体部は、骨ねじが貫通するための複数の皿ねじ孔を含み、頭部は、ペグを受容するための複数の螺刻されたペグ孔を含み、ペグ ねじ孔は第1の組と第2の組とに分けて配置され、第1の組のペグ孔は、概略直線上に配置され、これにより、第1の組のペグ孔内のペグは、軟骨下骨片の背側面に対する支持を提供する一方、第2の組のペグ孔内のペグは関節骨表面の裏側の軟骨下骨の手掌側面に対する支持を与える(段落【0005】ないし【0007】)。 2 争点1-1(構成要件1Dの充足性)について (1) 「前記頭部は、内部において一定の角度の突起を個々に保持すべく構成される、…第1の組の孔および第2の組の孔を画定し」の文言解釈ア 「一定の角度」の意味本件発明1の特許請求の範囲(請求項1)には、「…固定プレートにおいて、」(構成要件1A)、「…遠位頭部を有する、ほぼ剛性のプレート を、備え、」(構成要件1B)、「前記頭部は、内部において一定の角度の突起を個々に保持すべく構成される、…第1の組の孔および第2の組の孔を画定し、」(構成要件1D)との記載があることから、「一定の角度」とは、固定プレートの頭部の孔に保持される突起の角度について規定したものと理解することができる。 上記の「一定」については、広辞苑第7版(乙10)において、「①一つに定まって動かないこと。「温度が-する」、②定まった状態にすること。 「間隔を-にする」、③(あらかじめ)決まっていること。「-の方式」」などとされていることから、通常、一つに定まって動かない状態となっているということを意味すると解される。もっとも、「一つに定まって動かない こと」の「一つに」については、「温度が一定する」などの例示に照らし、一つの値に定まって変化や変動をしないとい となっているということを意味すると解される。もっとも、「一つに定まって動かない こと」の「一つに」については、「温度が一定する」などの例示に照らし、一つの値に定まって変化や変動をしないという状態を意味しているにすぎず、その状態に係る数値が一つに限定されるという意味までは有していないと理解することができる。 他方で、本件特許の特許請求の範囲及び本件明細書には、「一定の角度」 について、定義又は特定した記載はない。 そうすると、「前記頭部は、内部において一定の角度の突起を個々に保持すべく構成される、…第1の組の孔および第2の組の孔を画定し」とは、遠位橈骨プレートの頭部が、突起(本件明細書における「ペグ」(段落【0007】等)と同義であると理解できる。)をある定まった角度のまま変わ らないように保ち続けるように構成される孔を備えていることを意味し、 「一定の角度の」とは、突起(ペグ)が保持される角度が一つに限定されるという意味までは有しないと解するのが相当である。 イ被告の主張の検討(ア) 被告は、本件出願人において、所定の角度の範囲内で術者が任意に選択した角度で突起を固定することができる角度可変型ロッキングプレー トについても本件特許の特許請求の範囲に含める意図を有していたが、第1回補正において請求項1に「一定の角度の突起を個々に保持すべく構成される」との文言を付加したことにより、角度可変型ロッキングプレートを特許請求の範囲から除外する意思を明確にしたものである旨主張する。 しかし、前記アのとおり、「一定の」という文言に被告が主張するような限定を付す意味があるとは解されないから、本件出願人に角度可変式ロッキングプレートを権利の対象から除外する意図があったと解することはできず、被告 のとおり、「一定の」という文言に被告が主張するような限定を付す意味があるとは解されないから、本件出願人に角度可変式ロッキングプレートを権利の対象から除外する意図があったと解することはできず、被告の上記主張は採用することができない。 (イ) 被告は、本件回答書が、「引用文献1」に記載された発明と本件各発明 の違いとして、「引用文献1」記載の骨プレートの穴(本件各発明の「孔」に対応)はねじ切りされておらず、任意の角度で骨ねじが保持されることを強調しており、本件出願人において、任意の角度で突起が保持される構成は特許請求の範囲から排除されていることを自認していたといえるから、原告がこれに反する主張を本件訴訟ですることは禁反言の法理 に照らして許されない旨主張する。 そこで検討すると、証拠(乙4)によれば、本件回答書には、「引用文献1の図7に関連する図5(…)に示されるように、骨ねじ69(本願の「突起」に対応)を取り付ける骨プレートの穴62A、62B(本願の「孔」に対応)はネジ切りされていません。このため、骨ねじ69は、 骨プレートの穴62A、62Bを介して、任意の方向に近位上腕骨内に 挿入されます。そして、図7、図8に示されるように、骨ねじ69の先端が、軟骨下骨に近接若しくは当接しています。なお、このような構成のため、骨ねじ69は、向きによっては、軟骨下骨に全く接触せずに近位上腕骨内に配置されることとなります。以上から理解されるように、引用文献1の図7に示される骨プレートは、軟骨下骨を支持することに ついて全く触れられておらず、仮に支持することがあったとしても、骨ねじ69の先端で(すなわち、“点”で)支持する構成となるにすぎません。すなわち、引用文献1の図7に示される骨プレートは、軟骨下骨およびその遠位側 られておらず、仮に支持することがあったとしても、骨ねじ69の先端で(すなわち、“点”で)支持する構成となるにすぎません。すなわち、引用文献1の図7に示される骨プレートは、軟骨下骨およびその遠位側の関節表面の位置を安定化させる、という課題を何ら認識したものではなく、かかる課題を解決する構成とすることはできませ ん。そして、本願発明のような、“第1の組の孔の軸線と、第2の組の孔の軸線とが、少なくとも2つの互いに交差する軟骨下骨の接線方向にそれぞれ延びている”構成、並びに、突起のそれぞれを一定の角度で保持する構成について、何らの記載も示唆もされておりません。」との記載があると認められる。 しかし、上記の記載については、「引用文献1」の骨プレートの穴は、そもそもねじ切りがされておらず、複数の角度にねじを固定する構成すら有していないことから、その帰結として、骨ねじ69のそれぞれを一定の角度で保持する構成がないことを示したものと解釈することもできる。 また、前記アのとおり、「一定」とは、一つに定まって動かない状態となるとの意味を有するにすぎないから、突起のそれぞれを一定の角度で保持する構成について何らの記載も示唆もされていない旨の本件回答書の記載をもって、本件出願人が、複数の角度で突起を固定する構成を有している孔を除外している旨の説明をしたとは解されない。 よって、被告の上記主張は採用することができない。 (2)被告製品3及び4が構成要件1Dを充足するか前記前提事実(9)に照らせば、被告製品3及び4のロッキングスクリューは本件発明1の突起に該当するといえ、また、本件において、被告製品3及び4の固定プレートが、ロッキングスクリューをある定まった角度のまま変わらないように保ち続けるように構成され ロッキングスクリューは本件発明1の突起に該当するといえ、また、本件において、被告製品3及び4の固定プレートが、ロッキングスクリューをある定まった角度のまま変わらないように保ち続けるように構成される孔の構成を備えていることについ て、当事者間に争いはない。 そうすると、被告製品3及び4は構成要件1Dを充足すると認めることができる。 3 争点1-2(構成要件1Eの充足性)について(1) 「各孔は、前記プレートから延びる軸線を画定し、」の文言解釈 ア 「軸線」の意味まず、本件発明1の特許請求の範囲(請求項1)には、「…固定プレートにおいて、」(構成要件1A)、「遠位頭部を有する、ほぼ剛性のプレートを、備え、」(構成要件1B)、「前記頭部は、…第1の組の孔および第2の組の孔を画定し、」(構成要件1D)、「各孔は、前記プレートか ら延びる軸線を画定し、」(構成要件1E)、「前記第1の組の孔の前記軸線は、…前記第1の組の孔の前記軸線が前記第2の組の孔の前記軸線間を…」(構成要件1J)、「前記第1の組の孔の軸線…前記第2の組の孔の軸線…」(構成要件1K)との記載がある。 次に、本件明細書には、「…第1の組のペグ孔を通る軸線は、互いに対 して斜めに延びていることが好ましく、…第2の組のペグ孔も概略直線上に配置されており、好ましくは概略平行な軸線を規定している。…」(段落【0007】)、「…第1の組のペグ孔を通る軸線(これらペグ孔を通って延びるペグ140によって示されている)は、互いに対して斜めに延びていることが好ましく、…」(段落【0012】)との記載がある。 これらの記載から、構成要件1Eの「軸線」とは、固定プレートの頭部 に存在する孔を通る軸線であると理解できるが、本件特許の特許請求の範 ましく、…」(段落【0012】)との記載がある。 これらの記載から、構成要件1Eの「軸線」とは、固定プレートの頭部 に存在する孔を通る軸線であると理解できるが、本件特許の特許請求の範囲及び本件明細書において、他に、上記の「軸線」を定義又は特定した記載はない。 そして、広辞苑第7版(乙14)において、「軸」とは「回転対称・線対称において基準となる直線。円錐・円柱の軸・楕円、放物線の軸の類」を 意味するとされていることから、通常、「軸線」とは「対称性を有する図形における対称の基準となる直線」を意味するものと理解することができ、このような「軸線」の通常の意味については、当事者間に争いがない。 また、上記「軸線」は、構成要件1Eの文言上、突起を挿入するまでもなく定まる軸線であると解するほかないから、孔自体の形状から定まる軸 線を意味すると解するのが相当であり、この点についても当事者間に争いがない。 イ 「画定」の意味本件発明1の特許請求の範囲(請求項1)には、「前記頭部」が「縦方向にずらして配置された第1の組の孔および第2の組の孔を画定」する(構 成要件1D)、「各孔」が「前記プレートから延びる軸線を画定」する(構成要件1E)との記載があり、この記載から、構成要件1Eの「画定」が「孔の軸線」の位置や方向を定めることを意味するものと一応理解できるが、本件特許の特許請求の範囲及び本件明細書には、「画定」を明確に定義又は特定する記載はない。 よって、「画定」とは、「孔の軸線」の位置や方向を定めることを意味すると解するのが相当である。なお、原告は、構成要件1Eの「画定」とは、「区域を定めること」を意味し、孔に突起を挿入した時点において孔の軸線の方向が1本に決まればよいと解釈す 方向を定めることを意味すると解するのが相当である。なお、原告は、構成要件1Eの「画定」とは、「区域を定めること」を意味し、孔に突起を挿入した時点において孔の軸線の方向が1本に決まればよいと解釈するのに対し、被告は、同文言を「あらかじめ決まっていること」と同義であり、孔の軸線の方向は突起を 挿入するまでもなく1本に定まっている必要があると主張しているが、後 記(2)のとおり、被告製品3及び4の孔の軸線の方向は突起を挿入するまでもなく1本に定まると認められることから、この点は結論に影響しないと解される。 (2) 被告製品3及び4が構成要件1Eを充足するか被告は、構成要件1Eの「軸線を画定」について、孔自身が軸線を明確か つ一義的に決定付ける構成を意味すると解釈すべきであるところ、被告製品3及び4に孔の軸線を観念することはできないから、孔自身が明確かつ一義的に軸線を決定付けることはないとして、構成要件1Eの充足性を争っている。 ここで、被告製品3及び4は、特開2010-4478144号公報(乙 21。以下「乙21公報」という。)により開示された特許権の実施品であると認められるから(弁論の全趣旨)、以下、乙21公報の記載事項を参照しながら、被告製品3及び4に孔の軸線を観念することができるか否かを検討する。 ア乙21公報の記載事項 乙21公報の「発明の詳細な説明」には、以下のような記載がある(下記記載中に引用する図3、4及び6ないし8については、別紙乙21公報図面目録記載のとおり)。 【0001】本発明は、固定要素のためのハウジング、および、各独立特許クレーム の前提(preamble)に従う固定要素に関する。 【0010】特に、この発明に従うハウジ 【0001】本発明は、固定要素のためのハウジング、および、各独立特許クレーム の前提(preamble)に従う固定要素に関する。 【0010】特に、この発明に従うハウジングでは、ハウジングの縦軸方向に示されるように、内周壁は、少なくとも凹部の領域で、近似的に、球形状、放物線形状、楕円形状、または、双曲線形状である。これは、固定要素の固定 部の縦軸の傾斜を許容し、固定要素の周囲の外周面は、それに応じて、少 なくとも関係する締め付け面の領域で、ハウジングの縦軸に対して、少なくとも近似的に球形状に形づくられる。固定要素の固定部の縦軸およびハウジングの縦軸は、それ故に角度をなすことができる。…【0036】図3および図4は、各ケースにおける骨板3の細部の斜視図である、骨 板3の板開口30が、ハウジング2と共に備えられ、ハウジング2は、固定要素の固定部、例えば、骨ネジ1のネジ頭10を、受け止めることができる。…上記縦軸22は、ここで、板の平面に垂直に延びているが、しかしながら、原理的には、縦軸は、また、板の平面に対して他の角度を有した状態に設定されることができる(ハウジングと一体になって傾いている 板開口)。 【0041】縦方向の断面である図7は、(図6での状態に従って)ハウジング2に固定された骨ネジ1を示している。ここで、ネジ1の縦軸12は、骨板3の板開口の縦軸32およびハウジングの縦軸22と一致しており、その結果、 ネジの縦軸および板開口およびハウジングの縦軸は、お互いに角度をなさない状態になっている。…図8に示され、同様にハウジング2に固定されている骨ネジ1の位置は、図7における位置と異なっている。ここで、板開口の縦軸32およびハウジングの縦軸22は、ネ 互いに角度をなさない状態になっている。…図8に示され、同様にハウジング2に固定されている骨ネジ1の位置は、図7における位置と異なっている。ここで、板開口の縦軸32およびハウジングの縦軸22は、ネジの縦軸12に対して角度β傾いている。ネジ1の傾きは、骨板3の縦軸の方向に対してのみに 可能であるだけでなく、如何なる所望の方向に対して可能である。…【0053】図20は、凹部20の内部壁200を製造することができるミリングカッター4の例示的な実施形態の細部を示したものである。…これを行う前、円柱形のコアドリルが、骨板3を貫通するように穴を空け(板開口30の コアドリル)、その後、骨板3内に、CNC制御のもと、内部壁200の対 応する形状を製造するため、ミリングカッター4が導入されることになる。 イ被告製品3及び4の孔自体から1本の軸線が観念できるか乙21公報において、「固定要素のためのハウジング」に関する発明が記載されているものの(前記アの【0001】)、「ハウジング」の定義は特段記載されていないところ、JIS工業用語大辞典第5版によれば、「(軸受) ハウジング」とは、通常、軸受を囲んでいる取付け部のことをいうとされている。 このような「ハウジング」の通常の意味及び乙21公報のその他の記載に照らすと、被告製品3及び4の「ハウジング」は、本件発明1の「孔」に対応するものであると認められる。 また、前記アの段落【0036】において、「固定要素の固定部」の例示として「骨ネジ1のネジ頭10」が挙げられていることからすると、「固定要素」とは、孔に挿入する骨ネジのことを意味し、固定要素の「固定部」とは、骨ネジの頭部のことを意味するといえる。そうすると、「固定部の軸線」とは、骨ネジの固定方向に延びる いることからすると、「固定要素」とは、孔に挿入する骨ネジのことを意味し、固定要素の「固定部」とは、骨ネジの頭部のことを意味するといえる。そうすると、「固定部の軸線」とは、骨ネジの固定方向に延びる軸線であると解するのが相当である。 そして、前記アの段落【0010】及び【0041】並びに図7及び8の記載によれば、ハウジングの内周壁は、近似的に、球形状、放物線形状、楕円形状又は双曲線形状になっており、この形状により、固定要素の縦軸がハウジングの縦軸と角度をなすことが可能となっていることが認められる。 以上によれば、乙21公報の「ハウジングの縦軸」とは、骨ネジの固定方向にかかわらず、孔自体から定まる軸線であるということができるから、乙21公報の実施品である被告製品3及び4についても、ネジの固定方向にかかわらず、孔自体から1本の軸線が観念できる。 ウ被告製品3及び4の各孔が「プレートから延びる軸線を画定」(構成要件 1E)しているといえるか (ア) 被告製品3及び4の「ハウジングの縦軸」が、構成要件1Eの「軸線」に該当するか前記(1)アのとおり、構成要件1Eの「軸線」は、対称性を有する図形における対称の基準となる直線を意味するものと解されるところ、乙21公報には「ハウジングの縦軸」がどのように決まるのかに関する記載 がないため、同公報の記載のみから、被告製品3及び4の「ハウジングの縦軸」が対称性を有する図形における対称の基準となる直線に該当するか否かは明らかではない。 この点、被告は、被告製品3及び4は、フライス盤によってプレートを貫通して孔が開けられた後、孔の内面に複雑な凹面や凸面が形成され て製造されるところ、最初のフライス盤の孔開け方向が軸線となる可能性がある旨主張する。 3及び4は、フライス盤によってプレートを貫通して孔が開けられた後、孔の内面に複雑な凹面や凸面が形成され て製造されるところ、最初のフライス盤の孔開け方向が軸線となる可能性がある旨主張する。 そこで検討すると、前記アの段落【0053】の記載によれば、乙21公報に記載のハウジングは、コアドリルによりプレートを貫通させ、その後にミリングカッターで孔の内面の複雑な凹凸を形成して製作され るものと認められ、被告の主張する被告製品3及び4の孔の製造過程と整合する。 そして、乙21公報の「ハウジングの縦軸」を孔開け方向の軸線であると捉えても同公報の他の記載と矛盾はないことからすると、同「ハウジングの軸線」は、孔開け方向の軸線であることが前提とされているも のと解することができる。 また、孔は、ドリルによる孔開けの時点では対称性を有する図形であるから、孔開け方向は、孔の対象の基準となる直線に該当するといえ、フライス盤によりプレートを貫通させた時点において、孔開け方向の軸線は、対称性を有する図形における対称の基準となる直線に該当すると 認められる。 もっとも、その後、ミリングカッターで孔の内面に凹凸を形成する過程が加わるため、これにより対称性を有する図形の対象の基準となる直線は変化する可能性も否定できないが、本件全証拠によっても、ミリングカッターにより具体的にどのような凹凸加工がされるのかは明らかではないから、当該加工がフライス盤によりプレートを貫通させた時点に おける軸線に影響を与えると認めることはできない。よって、孔の内面に凹凸を形成する過程が加わった後も、孔開け方向の軸線は、対称性を有する図形における対称の基準となる直線に該当すると解するのが相当である。 したがって、被告製品3及び4の「ハウジン って、孔の内面に凹凸を形成する過程が加わった後も、孔開け方向の軸線は、対称性を有する図形における対称の基準となる直線に該当すると解するのが相当である。 したがって、被告製品3及び4の「ハウジングの縦軸」は、構成要件 1Eの「軸線」に該当する。 (イ) 被告製品3及び4の「ハウジング」が、構成要件1Eの「軸線を画定」する構成を備えているか前記(1)イのとおり、構成要件1Eの「各孔は、前記プレートから延びる軸線を画定し」とは、各孔が固定プレートから延びる軸線の方向を定 めていることを意味しているところ、前記イのとおり、被告製品3及び4の孔の軸線は1本に定められ、これは孔の軸線の方向を定めていることと同義であるため、被告製品3及び4の孔は、孔の軸線の方向を定めているといえる。 したがって、被告製品3及び4の「ハウジングの縦軸」は、構成要件 1Eの「軸線を画定」する構成を備えている。 エ原告の主張の検討原告は、被告製品3及び4が、孔の形状によりスクリューを±15度の範囲で固定するものであって、その±15度の範囲内のスクリューの連続的な角度の調整は、スクリューが接する孔の周面が球面状に形成されるこ とで実現されるから、スクリューを保持する孔から観念できる対称性を有 する図形は球になり、孔によって定まる軸線は複数となると主張する。 そこで検討すると、原告の上記主張は、固定プレートの孔自体から観念できる軸線の形状ではなく、固定プレートによって突起が一定の角度で保持される場合の軸線の形状を問題とし、「突起の軸線」を「孔の軸線」と捉えるものであるといえる。しかし、本件特許の特許請求の範囲における請 求項1に従属する請求項16には、「孔の軸線」ではなく「突起を通る軸線」という用語が用いら 、「突起の軸線」を「孔の軸線」と捉えるものであるといえる。しかし、本件特許の特許請求の範囲における請 求項1に従属する請求項16には、「孔の軸線」ではなく「突起を通る軸線」という用語が用いられていること、本件明細書の段落【0017】の記載においては、「ペグ孔によって規定された軸線」と、「ペグが固定される軸線」とが明確に区別され、両者が一致する場合と一致しない場合とがそれぞれ想定されていること、本件特許の特許請求及び本件明細書において、 「孔の軸線」と「突起を通る軸線」とが同じ意味を有するものとして定義され使用されている記載はなく、「孔の軸線」が「突起を通る軸線」を意味することの示唆もないことからすると、「孔の軸線」と「突起の軸線」とは、別個の概念であると理解できる。 そうすると、「孔の軸線」は、突起を挿入するまでもなく、孔の形状自体 から決定される軸線を意味すると解するのが相当であり、原告の上記主張は、その前提を欠くものであって、採用することができない。 オ小括以上によれば、被告製品3及び4に孔の軸線を観念することができないとの被告の主張及び被告製品3及び4の孔によって定まる軸線が複数とな るとの原告の主張は、いずれも採用することができず、被告製品3及び4は、対称性を有する図形における対称の基準となる直線が孔の形状自体から定まる構成を備えているから、構成要件1Eを充足するものと認められる。 4 争点1-3(構成要件1Jの充足性)について (1) 構成要件1Jの文言解釈 ア 「孔の軸線」の意義原告は、構成要件1J後段において、構成要件1E及び1J前段とは異なり、「前記プレートが遠位橈骨に連結されると」との文言が記載されており、固定プレートが遠位橈骨に連 ア 「孔の軸線」の意義原告は、構成要件1J後段において、構成要件1E及び1J前段とは異なり、「前記プレートが遠位橈骨に連結されると」との文言が記載されており、固定プレートが遠位橈骨に連結されたときには、突起が孔に固定されて固定プレートから延びた状態となっているから、構成要件1J後段にお ける「孔の軸線」とは、孔に固定された突起の軸線に相当する孔の軸線を意味する旨主張する。 そこで検討すると、本件特許の特許請求の範囲及び本件明細書において、構成要件1E及び1J前段の「孔」の「軸線」と、構成要件1J後段の「孔」の「軸線」が異なるものであるとする記載はない。 また、構成要件1J後段において「前記プレートが遠位橈骨に連結されると」との記載がされたのは、構成要件1J後段の「遠位橈骨内に延びるように」との関係で「遠位橈骨に連結されると」と特定されているにすぎないものであり、「前記プレートが遠位橈骨に連結されると」との記載は、「孔」の「軸線」を孔の形状より定まる軸線との解釈を左右するものでは ない。 よって、構成要件1Jにおける「孔」の「軸線」は、構成要件1Eと同じく、孔の形状により定まる軸線と解釈するのが相当である。 イ構成要件1Jが全ての第1の組の孔の軸線について規定しているか被告は、構成要件1Jは、固定プレートに設置された全ての第1の組の 孔の軸線が、構成要件1Jの定めるように延びていることを規定するものである旨主張するが、構成要件1J自体の記載においては、そのような限定を付しておらず、本件特許の特許請求の範囲及び本件明細書にも、そのように限定して解釈すべきことをうかがわせる記載はない。 また、第1の組の孔の軸線の少なくとも一つと、第2の組の孔の軸線の 少なく 、本件特許の特許請求の範囲及び本件明細書にも、そのように限定して解釈すべきことをうかがわせる記載はない。 また、第1の組の孔の軸線の少なくとも一つと、第2の組の孔の軸線の 少なくとも一つが、構成要件1J及び1Kの定めるように延びていれば、 遠位橈骨の軟骨下骨又は関節表面を2箇所で安定的に支持することが可能であり、本件発明1の技術的意義を達成することができるといえる。 よって、被告の上記主張は採用できず、構成要件1Jは、第1の組の孔の軸線の少なくとも一つが第2の組の孔の遠位側に突出し、固定プレートが遠位橈骨に連結されると、遠位橈骨内で第2の組の孔の軸線間を通って 交差することを規定していると解釈するのが相当である。 (2) 被告製品3及び4が構成要件1Jを充足するか前記3で検討したとおり、被告製品3及び4の孔の軸線は1本に定まるところ、その場合に被告製品4が構成要件1Jを充足しないことに争いはないことから、以下、被告製品3について構成要件1Jの充足性を検討する。 ア被告製品1、3及び5のカタログ(甲3)から認定できる事実被告製品1、3及び5のカタログ(甲3)の図(別紙被告製品1、3及び5図面目録記載1及び2の各図面参照)には、固定プレートに遠位のロッキングスクリューが固定される2列の孔(各列4つの孔)が存在すること及び固定プレートの当該2列の孔に合計8本のロッキングスクリューが 挿入された態様が図示されており、「橈骨手根骨関節の中央部分の支持を実現する遠位スクリュー一列目」及び「背側縁の最適な安定性を実現する遠位スクリュー二列目」との説明も付されていることが認められる。 これらの各孔の位置関係やその役割の記載からすると、上記「遠位スクリュー一列目」が本件各発明の「孔」の 背側縁の最適な安定性を実現する遠位スクリュー二列目」との説明も付されていることが認められる。 これらの各孔の位置関係やその役割の記載からすると、上記「遠位スクリュー一列目」が本件各発明の「孔」の「第2の組」に、上記「遠位スク リュー二列目」が本件各発明の「孔」の「第1の組」に相当するといえる。 そして、上記カタログ記載の図面(別紙被告製品1、3及び5図面目録記載3の図面参照)には、「尺側」及び「橈側」並びに「近位」及び「遠位」の各角度の記載があるところ、弁論の全趣旨によれば、手首部分の橈骨方向に傾いていることを「橈側」、尺骨方向に傾いていることを「尺側」、体 の中心に向けた方向に傾いていることを「近位」、指先方向に傾いているこ とを「遠位」と表現し、それぞれの角度の記載は、平面の状態の固定プレートに対し、完全に垂直に孔開けがされた場合を「近位0°橈側0°」とし、これを基準として孔開け方向の角度を表しているものと認められる。なお、被告製品4については、同製品のカタログ(甲4)に同様の記載がある。 イ構成要件1J前段の充足性について前記アのとおり、構成要件1J前段は、少なくとも一つの第1の組の孔の軸線が第2の組の孔よりも遠位側に延びることを規定している。 そして、「前記第2の組の孔は、前記第1の組の孔と比較すると、前記プレートの縦軸に対して遠位側にずらして配置され」ていると規定されてい るものの(構成要件1I)、第1の組の孔の軸線が少しでも遠位側に傾いていれば、同軸線は、その延長線上のいずれかの地点で、必ず第2の組の孔の遠位側に延びることになるといえる。 そこで、被告製品3がこれを充足するかを検討すると、別紙被告製品1、3及び5図面目録記載3の図面によれば、被告製品3の第1の組の孔 かの地点で、必ず第2の組の孔の遠位側に延びることになるといえる。 そこで、被告製品3がこれを充足するかを検討すると、別紙被告製品1、3及び5図面目録記載3の図面によれば、被告製品3の第1の組の孔は、 尺側から順に、10度、10度、10度、12度と、それぞれ遠位側に傾いていることが認められるから(ただし、後記ウのとおり、同図面で示された角度の正確性には疑義がある。)、少なくとも一つの第1の組の孔の軸線が第2の組の孔よりも遠位側に延びることになり、被告製品3は構成要件1J前段を充足するといえる。 ウ構成要件1J後段の充足性について原告は、本件報告書(甲26)の検証結果に基づいて、被告製品3は、少なくとも第1の組の孔の最も尺側の孔の軸線が、遠位橈骨内で第2の組の孔の軸線の間を通るように第2の組の孔の軸線と交差しており、構成要件1J後段を充足すると主張することから、以下、本件報告書の検証結果 の信用性について検討する。 本件報告書は、原告訴訟代理人弁理士が、被告製品1ないし5のカタログ(甲3ないし5)に掲載された図に基づき、実際の被告製品3及び4の寸法を推測し、被告製品3については同製品のカタログ(甲3)に掲載された図(別紙被告製品1、3及び5図面目録記載3の図面参照)において、被告製品4については同製品のカタログ(甲4)に掲載された図において、 それぞれ図示された方向に延びる孔開け方向の軸線を「孔の軸線」に相当するものとして、遠位橈骨内で第1の組の孔の軸線が第2の組の孔の軸線の間を通るように遠位橈骨内で交差するか否かを検証したものであると認められる。 しかし、上記各カタログの図面が、被告製品3及び4の寸法や用いられ るロッキングスクリューの長さを正確に反映して作成されたものであるかは明 交差するか否かを検証したものであると認められる。 しかし、上記各カタログの図面が、被告製品3及び4の寸法や用いられ るロッキングスクリューの長さを正確に反映して作成されたものであるかは明らかではなく、そのため、同検証結果の正確性には疑問があるといわざるを得ない。 また、原告は、被告製品3及び4が完全に平面な固定プレートであることを前提として仮想スクリューの交差の有無を判断しているが、この点に ついて、被告は、被告製品3及び4のカタログ(甲3及び4。被告製品3については別紙1、3及び5図面目録記載3の図面参照。)に掲載された各図面に記載された各角度は、いずれも、被告製品3及び4の頭部を折り曲げる前の角度を記載したものにすぎず、被告製品3及び4の頭部を折り曲げる工程後の実際の孔の軸線の角度を正確に反映したものではないと主張 している。そこで、別紙1、3及び5図面目録記載3の図面を見ると、尺側の第2の組の孔は、いずれも「遠位10°橈側0°」と、同じ角度が記載されているにもかかわらず、スクリューの延びる方向が平行になっていないと認められることから、被告が主張するとおり、同図に記載の角度が、折り曲げ工程を反映した後の孔の軸線の角度を正確に反映したものではな い可能性を否定することはできない。 以上によれば、本件報告書の検証結果の信用性を肯定することはできないというべきであり、他に被告製品3において第1の組の孔の軸線が第2の組の孔の軸線の間を通るように第2の組の孔の軸線と交差するように構成されていると認めるに足りる証拠はないから、被告製品3が構成要件1J後段を充足するということはできない。 (3) 小括以上によれば、被告製品3及び4が構成要件1Jを充足するとは認められないというべきである。 る証拠はないから、被告製品3が構成要件1J後段を充足するということはできない。 (3) 小括以上によれば、被告製品3及び4が構成要件1Jを充足するとは認められないというべきである。 5 争点1-4(構成要件1Kの充足性)について(1) 構成要件1Kの文言解釈 ア 「孔の軸線」の意義前記4(1)アのとおり、「孔の軸線」とは、孔の形状により定まる軸線を意味すると解するのが相当である。 イ構成要件1Kが全ての孔の軸線について規定しているか被告は、固定プレートに設置された全ての孔の軸線が、構成要件1Kの 定めるように延びる必要がある旨主張するが、構成要件1Kは、文言上、そのような限定を付しておらず、本件特許の特許請求の範囲及び本件明細書にも、そのように限定して解釈すべきことをうかがわせる記載はない。 また、第1の組の孔の軸線の少なくとも一つと、第2の組の孔の軸線の少なくとも一つが、構成要件1J及び1Kの定めるように延びていれば、 遠位橈骨の軟骨下骨又は関節表面を2箇所で安定的に支持することが可能であり、本件発明1の技術的意義を達成することができるといえる。 よって、被告の主張は採用できず、構成要件1Kは、第1の組の孔の軸線のうち少なくとも一つが、同第1の組の孔に保持された突起が軟骨下骨を支持するように、背側面側の軟骨下骨の接線方向に延び、第2の組の孔 の軸線のうち少なくとも一つが、第2の組の孔に保持された突起が軟骨下 骨を支持するように、手掌側面側の軟骨下骨の接線方向に延びるように構成されていれば足りると解釈するのが相当である。 ウ 「背側面側」及び「手掌側面側」の意義「背側面側」及び「手掌側面 支持するように、手掌側面側の軟骨下骨の接線方向に延びるように構成されていれば足りると解釈するのが相当である。 ウ 「背側面側」及び「手掌側面側」の意義「背側面側」及び「手掌側面側」の「側」とは、一般的には、「物の一つの方向・面。」、「相対する二つの一方。片方。」(広辞苑第7版)を意味する から、「背側面側」及び「手掌側面側」とは、相対する二つの側面である「背側面」及び「手掌側面」の一方、すなわち、他方の部分に対してそれぞれ「背側」又は「手掌側」の位置関係にある部分を意味すると解釈するのが相当である。 これに対し、被告は、本件明細書の段落【0016】の「第1の組のペ グ140は、軟骨下骨の中央側面及び/又は背側面を支持する突起を形成し、このような支持は特に遠位橈骨の背側の不安定な骨折部において所望される。第2の組のペグ142は、骨表面の関節表面の後ろで掌側面における支持を提供する突起を形成する。」との記載をもって、「背側面側」、「手掌側面側」とは、軟骨下骨を「背側面側」、「中央部分」及び「手掌側 面側」に3分した上で、それぞれの特定の部分を意味する旨主張する。 しかし、段落【0016】では「背側面」及び「手掌側面」との文言が使われているのに対し、構成要件1Kでは、それらに「側」が付加された「背側面側」及び「手掌側面側」との文言が使われており、「背側面」及び「手掌側面」よりも広い範囲を表していると解釈することもできる。そう すると、段落【0016】の上記の記載をもって、軟骨下骨を「背側面側」、「中央部分」及び「手掌側面側」に3分した上で構成要件1Kの「背側面側」及び「手掌側面側」を解釈すべきとする被告の上記主張は採用することができない。 よって、構成要件1Kの「 側面側」、「中央部分」及び「手掌側面側」に3分した上で構成要件1Kの「背側面側」及び「手掌側面側」を解釈すべきとする被告の上記主張は採用することができない。 よって、構成要件1Kの「背側面側」及び「手掌側面側」とは、軟骨下 骨における相対的な方向を指すものであり、他方の部分に対してそれぞれ 「背側」又は「手掌側」の位置関係にある部分を意味すると解釈するのが相当である。 エ 「接線方向」の意義前記ウの解釈に照らすと、「背側面側の軟骨下骨」及び「手掌側面側の軟骨下骨」とは、背側面の方向に位置する軟骨下骨の任意の部分、手掌側面 の方向に位置する軟骨下骨の任意の部分をそれぞれ意味するものと解される。 これを前提とすると、「背側面側の軟骨下骨」及び「手掌側面側の軟骨下骨」の「接線方向」とは、それぞれ、背側面の方向に位置する軟骨下骨の任意の部分における接線の向き、手掌側面の方向に位置する軟骨下骨の任 意の部分における接線の向きを意味すると解するのが相当である。 そして、本件特許の特許請求の範囲及び本件明細書の他の記載においても、突起と軟骨下骨の距離についての限定はないから、軟骨下骨と孔の軸線とは必ずしも接している必要はなく、軟骨下骨と孔の軸線が接する背側面側又は手掌側面側の任意の位置で接する接線と、平行な方向に延びてい ればよいと解するのが相当である。 これに対し、被告は、孔の軸線が「接線方向に延びる」について、JSD値が最小となる部分を孔の軸線が通ると解釈をするのが相当であると主張するが、既に説示したとおり、本件特許の特許請求の範囲及び本件明細書の記載において、突起と軟骨下骨の距離についての限定はないから、同 主張を採用することはできない。 (2)被告製 と主張するが、既に説示したとおり、本件特許の特許請求の範囲及び本件明細書の記載において、突起と軟骨下骨の距離についての限定はないから、同 主張を採用することはできない。 (2)被告製品3及び4が構成要件1Kを充足するか原告は、被告製品3及び4について、各製品のカタログ(甲3、4)掲載の図に示された各角度を前提とすると、第1の組の孔の軸線は背側面側の軟骨下骨の接線方向(背側面側の軟骨下骨の任意の点を通る接線と平行)に延 び、第2の組の孔の軸線は手掌側面側の軟骨下骨の接線方向(前記背側面側 の軟骨下骨の任意の点に対して手掌側面側にある軟骨下骨の任意の点を通る接線と平行)に延びる旨主張する。 しかし、前記4(2)ウのとおり、原告が根拠とする各図に示された角度は、被告製品3及び4の頭部を折り曲げる工程後の実際の孔の軸線の角度を正確に反映したものではない可能性を否定できず、同角度に基づき構成要件1K の充足性を判断することは相当ではない。 また、仮に、上記の各図に示された角度が、実際の被告製品3及び4の孔の軸線の角度を正確に反映したものであったとしても、各孔の軸線が、背側面側又は手掌側面側の軟骨下骨の任意の点を通る接線と平行に延びていることを認めるに足りる証拠はなく、原告の主張には理由がないといわざるを得 ない。 さらに、原告は、術者が被告製品3及び4を利用してDSS法を実施する際の孔の軸線は構成要件1Kを満たしている旨主張するが、本件発明1は固定プレートの発明であるから、その構成の充足性を判断する際には、固定プレート自体の構成を比較するのが相当であり、構成要件1Kは、固定プレー トに設置された孔の形状により特定されているのであるから、それ以外の術者の裁量や判断による固定プレートの使用態様を想 定プレート自体の構成を比較するのが相当であり、構成要件1Kは、固定プレー トに設置された孔の形状により特定されているのであるから、それ以外の術者の裁量や判断による固定プレートの使用態様を想定して構成要件の充足性を判断することは相当ではない。 よって、原告の上記主張はいずれも理由がない。 (3)小括 以上によれば、被告製品3及び4が構成要件1Kを充足するとは認められない。 6 争点1-6(被告製品4が本件発明1に係る特許請求の範囲に記載された構成(構成要件1J)と均等なものであるか)について特許請求の範囲に記載された構成中に相手方が製造等をする製品又は用いる 方法(以下「対象製品等」という。)と異なる部分が存する場合であっても、① 同部分が特許発明の本質的部分ではなく、②同部分を対象製品等におけるものと置き換えても、特許発明の目的を達することができ、同一の作用効果を奏するものであって、③上記のように置き換えることに、当該発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(当業者)が、対象製品等の製造等の時点において容易に想到することができたものであり、④対象製品等が、特許発明 の特許出願時における公知技術と同一又は当業者がこれから同出願時に容易に推考できたものではなく、かつ、⑤対象製品等が特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情もないときは、同対象製品等は、特許請求の範囲に記載された構成と均等なものとして、特許発明の技術的範囲に属するものと解するのが相当である(最高裁 平成6年(オ)第1083号同10年2月24日第三小法廷判決・民集52巻1号113頁、最高裁平成28年(受)第1242号同29年3月24日第二小法廷判決・ ものと解するのが相当である(最高裁 平成6年(オ)第1083号同10年2月24日第三小法廷判決・民集52巻1号113頁、最高裁平成28年(受)第1242号同29年3月24日第二小法廷判決・民集71巻3号359頁参照)。 そして、第1要件にいう特許発明における本質的部分とは、当該特許発明の特許請求の範囲の記載のうち、従来技術に見られない特有の技術的思想を構成 する特徴的部分であると解すべきであり、上記本質的部分は、特許請求の範囲及び明細書の記載に基づいて、特許発明の課題及び解決手段とその効果を把握した上で、特許発明の特許請求の範囲の記載のうち、従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分が何であるかを確定することによって認定されるべきである。 ただし、明細書に従来技術が解決できなかった課題として記載されているところが、出願時(又は優先日)の従来技術に照らして客観的に見て不十分な場合には、明細書に記載されていない従来技術も参酌して、当該特許発明の従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分が認定されるべきである。 そこで、まず、上記①の要件(均等侵害の第1要件)を充足するか否かにつ いて検討する。 (1) 先行技術の認定本件明細書の段落【0004】には、従来利用可能であった固定プレート(以下「従来プレート」という。)は、典型的には骨の背側に当てられる安定化金属プレートと、安定化金属プレートから骨片にドリル穿孔された孔まで 伸びる一組の平行ピンとを利用し、骨片を安定的に固定させるものであったが、従来プレートでは、骨片の所望の位置合わせ及び安定化状態を提供することはできず、また、特に遠位橈骨骨折の場合、軟骨下骨と従来プレートが接していない関節表面との 片を安定的に固定させるものであったが、従来プレートでは、骨片の所望の位置合わせ及び安定化状態を提供することはできず、また、特に遠位橈骨骨折の場合、軟骨下骨と従来プレートが接していない関節表面との両方の位置を合わせ、かつ安定化させる必要があるが、従来プレートでは、このような骨片の位置合わせや安定化が困難であ った旨の記載がある。 他方で、証拠(甲14)によれば、本件特許の優先日である平成15年3月27日より前に、遠位橈骨の骨折を固定するための骨プレートであり、ネジを固定するための固定プレートを貫通する複数のネジ切りがされていないネジ孔が固定プレート頭部の遠位側と近位側の2列に概ね平行に並んで設置 されている固定プレートが、先行技術として存在していたことが認められる。 また、本件明細書の段落【0017】にも引用されているとおり、ペグ孔及びペグが、所定範囲の角度内の任意の角度で個々のペグを固定することができる関節式ペグシステムも、先行技術として存在していたことが認められる。 そうすると、遠位橈骨の骨折を固定するため、術者が、頭部に2列の複数の貫通ネジ孔を有する固定プレートを用いて、同プレートのネジ孔に適切であると判断する角度で突起(ネジ、ペグ)を挿入して固定することにより、骨折部位の固定と安定化を図ることは既に可能となっていたといえる。 (2) 本件発明1の技術的意義 前記(1)で検討したところによると、本件発明1の技術的意義は、固定プレ ートの孔自体が、橈骨遠位端骨折に対して、軟骨下骨を背側面側及び手掌側面側という2箇所で支持する方向に突起を向かせて固定することができる構成となっているため、高度な医学的判断を要せずに、確実に軟骨下骨を背側面側及び手掌側面側という2箇所で支持することを可能に 手掌側面側という2箇所で支持する方向に突起を向かせて固定することができる構成となっているため、高度な医学的判断を要せずに、確実に軟骨下骨を背側面側及び手掌側面側という2箇所で支持することを可能にすることにあると認められる。 そうすると、本件発明1の構成のうち、本質的部分であるといえるのは、橈骨遠位端骨折に対して、軟骨下骨を背側面側及び手掌側面側という2箇所で支持する方向に突起を向かせて固定することができる孔が設置されていることを定めた構成要件1E、1J及び1Kであると解するのが相当である。 そして、これまで検討したところによると、被告製品4は構成要件1J及 び1Kを充足せず、これらの本件発明1の構成と異なる部分は、本件発明1の本質的部分ではないとはいえないから、第1要件を充足せず、均等侵害は成立しない。 (3)原告の主張の検討原告は、本件報告書(甲26)によれば、被告製品4は、ガイドブロック を用いて被告製品4の孔にロッキングスクリューを固定すれば、一組の平行ピンを用いた従来の平板固定によっては達成できなかった遠位橈骨の軟骨下骨及びその遠位側の関節表面の位置の安定化という課題を解決することができるから、本件発明1と技術的思想を共通にしているといえ、孔の軸線が遠位橈骨内で交差するか遠位橈骨外で交差するかは本件発明の本質的部分では ないと主張する。 しかし、本件報告書の検証結果の信用性を肯定することができないことは前記4(2)のとおりであるし、その信用性を肯定できたとしても、前記(1)のとおり、遠位橈骨の骨折を固定するための骨プレートであり、ネジを固定するための固定プレートを貫通する複数のネジ孔が、固定プレート頭部の遠位 側と近位側の2列に概ね平行に並んで設置されている固定プレートは、先行 固定するための骨プレートであり、ネジを固定するための固定プレートを貫通する複数のネジ孔が、固定プレート頭部の遠位 側と近位側の2列に概ね平行に並んで設置されている固定プレートは、先行 技術として存在していたのであるから、従来プレートが一組の貫通孔のみを設けていたことを前提に、二組の貫通孔を設けていることが本質的特徴であると評価することはできない。 また、本件発明1は固定プレートの発明であるから、固定プレート自体の構成、すなわち、固定プレートに設置された孔の構成を比較すべきであり、 被告製品4にガイドブロックを用いることを前提に、被告製品4が軟骨下骨を背側面側及び手掌側面側という2箇所で支持する方向にロッキングスクリューを向かせることができるかどうかという観点から比較することは相当ではない。 さらに、孔の軸線が遠位橈骨内で交差しないのであれば、孔に突起を挿入 しても、突起が当然に軟骨下骨を背側面側及び手掌側面側という2箇所で支持することはなく、遠位橈骨の軟骨下骨及びその遠位側の関節表面の位置の安定化という課題を解決することはできないから、孔の軸線が遠位橈骨内で交差する方向に突起を向かせる構成となっていることは、本件発明1の本質的特徴であるといえ、そのような孔の構成を有していない被告製品4に均等 侵害が成立することはない。 よって、原告の上記主張は採用することができない。 7 小括以上によれば、被告製品3及び4は、請求項1に係る本件発明1並びに請求項1の従属項である請求項2ないし4、6及び7に係る本件発明2ないし4、 6及び7の技術的範囲に属するとはいえない。 また、被告製品1及び2は、被告製品3及び4の固定プレートを含むシステムであるから、被告製品3及び4が本件特許権を侵害しない以上、被告 ないし4、 6及び7の技術的範囲に属するとはいえない。 また、被告製品1及び2は、被告製品3及び4の固定プレートを含むシステムであるから、被告製品3及び4が本件特許権を侵害しない以上、被告製品1は本件発明11及び13ないし17の、被告製品2は本件発明11及び13ないし15の技術的範囲に属するとはいえないから、それらの製造、販売は本件 特許権を侵害せず、被告製品3ないし5に係る間接侵害も成立しない。 よって、その余の点について判断するまでもなく、被告による被告製品1ないし5の製造、販売は、いずれも本件特許権を侵害するものとは認められない。 したがって、原告の被告に対する本件各発明に係る本件特許権に基づく被告各製品の製造及び販売の差止請求、被告各製品の廃棄請求並びに損害賠償請求は、いずれも理由がない。 第5 結論以上の次第で、原告の被告に対する請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとして、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第29部 裁判長裁判官 國分隆文 裁判官 間明宏充 裁判官 バヒスバラン薫 別紙被告製品目録 1 販売名橈骨遠位端用プレート APTUS2.5 バヒスバラン薫 別紙被告製品目録 1 販売名橈骨遠位端用プレート APTUS2.5ただし、下記3の掌側用アダプティブプレートを含むシステム。 2 販売名橈骨遠位端用プレート APTUS2.5ただし、下記4の掌側用アダプティブIIプレートを含むシステム。 3 品名掌側用アダプティブプレート品番 A-4750.61A-4750.62 4 品名掌側用アダプティブIIプレート品番 A-4750.101A-4750.102A-4750.105A-4750.106 A-4750.107A-4750.108A-4750.109A-4750.110 5 品名ロッキングスクリュー 品番 A-5750.08A-5750.10A-5750.12A-5750.14A-5750.16 A-5750.18 A-5750.20A-5750.22A-5750.24A-5750.26以上 別紙被告製品1、3及び5図面目録 別紙被告製品2、4及び5図面目録 (別紙)本件明細書図面目録 別紙被告製品2、4及び5図面目録 (別紙)本件明細書図面目録 【図1】 【図2】 【図3】 【図4】 (別紙)乙21公報図面目録
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