- 1 -主文 本件控訴を棄却する。 差戻前及び後の控訴審並びに上告受理申立てに係る上告費用は全部控訴人の負担とする。 事実 及び理由第1当事者の求めた裁判 控訴人( )原判決を取り消す。 ( )被控訴人が,平成10年6月10日付けで控訴人に対してした原判 決別紙物件目録記載の土地(以下「本件土地」という)の取得に係る不動産取得税賦課決定(課税標準額147万6000円,税額5万9000円)(以下「本件賦課決定」という。)を取り消す。 ( )訴訟費用は,第1,2審とも,被控訴人の負担とする。 被控訴人主文と同旨。 第2事案の概要本件は,平成10年2月18日に本件土地を取得し,同年6月10日付けで本件賦課決定を受けた控訴人が,被控訴人に対し本件賦課決定の取消しを求め,併せて原審相被告長野県知事(以下「長野県知事」という。)に対し本件土地の取得について新たな不動産取得税の賦課決定を行うことを求めた事案である。控訴人は,その理由として,被控訴人及び長野県知事は,α別荘分譲地内の本件土地について,不動産取得税の課税標準額を決定しておらず,同価格決定のないまま本件賦課決定を行っているので違法な処分である,仮に,そうではないとしても,本件賦課決定の基礎となった本件土地に関する平成10年度の固定資産課税台帳の登録価格295万2322円(5591円/㎡,以下「本件登録価格」という。)は不当に高額なものであり,適- 2 -正な時価ではないから,これを元にして算出された課税標準額147万6000円(2795円/㎡,本件登録価格の2分の1の金額から1000円未満を切り捨てた額)に基づいて行った本件賦課決定は違法であるなどと主張した。 原審は,控訴人の被控訴人に対する請求を棄却し,長野県知事に対する訴えにつ ,本件登録価格の2分の1の金額から1000円未満を切り捨てた額)に基づいて行った本件賦課決定は違法であるなどと主張した。 原審は,控訴人の被控訴人に対する請求を棄却し,長野県知事に対する訴えについては却下したので,控訴人が不服を申し立てた(平成12年(行コ)第261号事件)が,控訴審である東京高等裁判所は,平成13年5月17日,「控訴人の長野県知事に対する控訴を棄却する。控訴人の被控訴人に対する控訴に基づいて原判決主文第2項を次のとおり変更する。本件賦課決定のうち,課税標準額42万円,税額1万6800円を超える部分を取り消す。控訴人の被控訴人に対するその余の請求を棄却する。」旨の判決を言い渡した。そこで,今度は,被控訴人が,被控訴人敗訴部分について不服(上告及び上告受理)を申し立て,上告審である最高裁判所は,平成16年6月30日,上告棄却の決定(平成13年(行ツ)第240号)を行ったものの,同年10月29日には,被控訴人からの上告受理の申立て(平成13年(行ヒ)第224号)に基づき,「原判決のうち上告人の敗訴部分を破棄する。前項の部分につき本件を東京高等裁判所に差し戻す。」との判決を言い渡した。その差戻しの理由は,「地方税法73条の21第2項により決定されるべき不動産の価格とは,固定資産税の課税標準である土地又は家屋の価格と同様に,正常な条件の下に成立する当該不動産の取得時におけるその取引価格,すなわち,客観的な交換価値をいうと解される。そして,地方税法は,評価基準等が適正な時価を算定するための一つの合理的な方法であるとするものであるから,評価基準等に従って決定された不動産の価格が上記の客観的な交換価値を上回るものであれば,当該価格の決定は違法となると解される。(中略)原判決が採用した本件土地の評価方法は独自のものであって,これ ,評価基準等に従って決定された不動産の価格が上記の客観的な交換価値を上回るものであれば,当該価格の決定は違法となると解される。(中略)原判決が採用した本件土地の評価方法は独自のものであって,これによって本件土地の適正な時価を算定することができるものとは- 3 -考えられない。この算定方法によって算定した本件土地の価額に基づいて本件賦課決定を一部違法とした原判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある」というものであって,「本件別荘地は,全体が急傾斜地であり,本件土地付近における斜度は30度から40度に達しているなどとというのである。上記事情は,本件土地の客観的交換価値を低下させる要因であり,本件標準宅地に比準することが適切であるかどうか検討を要するし,仮に比準し得るとしても,傾斜の状況,土盛り,削土,土止め等の加工の現況又は必要性等の価格を左右する要因において有意な相違がある場合には,この点を考慮した上で適切に比準することが,評価基準第1章第10節一による評価に当たって必要であるというべきである。」とのなお書きが付されていた。そして,本件はその差戻審である。 したがって,上記の経緯で,控訴人の長野県知事に対する本件訴えはこれを却下する旨の判決が確定済みであり,控訴人の被控訴人に対する請求も上記差戻し部分を除いた部分については不服の対象となっていないから,いずれも当審の審理対象ではない。その他,本件事案の概要は,次のとおり付加するほかは,原判決の事実及び理由欄の「第二事案の概要」の関係人部分及び関係部分に各記載のとおりであるから,これをここに引用する。 「(控訴人の主張) 本件賦課決定は,長野県知事から権限の委任を受け,被控訴人がこれを行ったものであるが,本件土地について不動産取得税の課税標準額は定められていない から,これをここに引用する。 「(控訴人の主張) 本件賦課決定は,長野県知事から権限の委任を受け,被控訴人がこれを行ったものであるが,本件土地について不動産取得税の課税標準額は定められていないから,課税標準額に基づかない決定であるといわざるを得ず,違法なものである。本件賦課決定の中に地方税法73条の21第2項に基づく実質的な価格の決定が含まれていると解することは明らかにフィクションであり,結局のところ,本件土地について上記課税標準額の決定は行われていないというべきである。 被控訴人は,長野県知事が決定すべき不動産取得税の課税標準とな- 4 -る固定資産の評価と,御代田町長が決定すべき固定資産税の課税標準となるべき固定資産の価格とは,同一の評価基準によるものとされているので,2つの価格は同一となるべきものと主張する。しかし,評価基準が同一であるからといって,その決定する主体は異なる上に,評価基準自体が同一の価格が導き出されるほどに一義的なものではない。仮に,その結果が同一の価格となるにしても,地方税法が要求している手続を踏むこと自体にその意義があるということができる(そのような手続を履践していくことが,納税義務者や,国民全体の信頼を醸成していくことにつながる。)。 ところで,本件賦課決定の課税標準の基礎となった価格は,御代田町長が自治大臣の定めた固定資産評価基準及び地方税法附則17条の2第1項の修正基準に基づいて決定した本件登録価格,すなわち,固定資産課税台帳の平成10年度の登録価格であるが,本件登録価格は,その評価方法に誤りがあり,しかも,『適正な時価』(客観的交換価値)を上回っているのであるから,これに基づいた本件賦課決定は違法である。すなわち,( )βは,本件登録価格を決めるに当たり,価格基準日を賦課期日 の1 ,しかも,『適正な時価』(客観的交換価値)を上回っているのであるから,これに基づいた本件賦課決定は違法である。すなわち,( )βは,本件登録価格を決めるに当たり,価格基準日を賦課期日 の1年前としているが,これは,価格調査基準日を賦課期日と近接することを求めている地方税法の趣旨に反しており,同基準日を設定したことは違法である(なお,βでは平成10年7月1日までの時点修正として7パーセントの減額を行っているが,その程度の減額では不動産の急激な下落に対応できておらず,上記違法を治癒するものではない。)。 バブル経済の崩壊以後における不動産価格の下落は大きいものがあるが,その傾向は,本件土地のような高原別荘地において極端に大きいものとなっている(そのため,平成10年度,11年度で,- 5 -地方税法附則17条の2による特例措置が講じられている。)。 ( )βは,本件登録価格を決めるに当たって,本件土地の特性につ き十分な考慮をしていない。 すなわち,本件土地は,別荘分譲地として開発があってから30年以上が経過し,なお,分譲地内のほとんどの区画で建物が建築されていない状態である。いわば,現況は,山林又は原野であって,分譲がされる以前の状態と変わりがない。電気,水道が引かれ,道路が通っているというだけでは,分譲地として評価することができることにならないのである。しかも,同分譲地は,急峻な丘陵地を開発したものであり,本件土地も,急傾斜地を含んでいる。敷地内に建物を建てる場合にも,建築する場所を選ばざるを得ず,鉄骨やコンクリートを使って土台を築くことも必要となる。このようなことからすると,本件土地は,宅地ではなく,山林又は原野として評価されるべきものであるし,βが,本件土地を整形地であると判断し,整形地と比準して,本件登録価格を決 を築くことも必要となる。このようなことからすると,本件土地は,宅地ではなく,山林又は原野として評価されるべきものであるし,βが,本件土地を整形地であると判断し,整形地と比準して,本件登録価格を決定していることも誤っているということができる。 ( )このように,βは上記の考慮をしなかったため,本件登録価格 は,適正な時価を上回っており,違法なものである。 すなわち,平成10年当時の本件土地の時価は,A不動産鑑定士の鑑定結果(甲1)からも明らかなように総額で121万4400円(2300円/㎡)を上回ることはない(同鑑定は,βの概況を踏まえ,近隣地域の状況分析を行った上で,取引事例比較法を採用し,それを元にした標準化補正を行って比準価格を決定し,それに地価公示地等との基準を検討してから,試算価格の調整,鑑定評価額の決定を行っているものであり,妥当なものということができる。)。それにもかかわらず,本件賦課決定は,本件土地の課税標- 6 -準の基礎となる価格を総額295万2322円(5591円/㎡)と決定した。 このような価格決定は,本件土地の適正な時価を大きく上回るものであり,したがって,本件賦課決定は違法である。 被控訴人は,地方税法上,知事や市町村長が固定資産評価基準以外の独自の方法を用いて適正な時価を算定することは許されていないとも主張するが,地方税法で定められた方法で算定したからといって,適正な結果が導かれるとの保証はない。したがって,本件訴訟では,より適切で,合理的で,最良の方法と思われる方法を用いて,本件土地の時価を算定することが必要となる。 (被控訴人の反論) 固定資産台帳に価格の登録がない場合に,知事が地方税法73条の21第2項に基づく価格決定をせず,市町村の固定資産課税台帳に登録された価格を課税標準として不 ことが必要となる。 (被控訴人の反論) 固定資産台帳に価格の登録がない場合に,知事が地方税法73条の21第2項に基づく価格決定をせず,市町村の固定資産課税台帳に登録された価格を課税標準として不動産取得税の賦課決定を行ったとしても,上記2つの価格は同一の基準で同一の評価となるべきものであるから,違法とはいえない(最高裁判所昭和50年12月18日第一小法廷判決・判例時報802号77頁)。本件でも,御代田町長は,本件土地につき,前年度の価格を固定資産税の課税標準とすることが固定資産税の課税上著しく均衡を失すると認めた上で,地方税法附則17条の2で定めるところにより,自治大臣の定める修正基準によって修正した価格を固定資産課税台帳の登録価格としているが,地方税法73条の21第2項によって,知事が価格を決める場合でも,同法附則11条の6が定めるところにより同じ改正基準が適用されるものと定められているので,その価格は御代田町長が定めた登録価格と同一のものとなる。 ところで,控訴人が本件土地を取得した平成10年当時には,区域- 7 -内の自然的及び社会的条件からみて類似の利用価値を有すると認められる地域において地価が下落し,かつ,市町村長が前年度の価格を固定資産税の価格標準とすることが固定資産の課税上著しく均衡を失すると認める場合は,自治大臣が定める基準によって修正した価格を固定資産課税台帳登録価格とする特例制度が設けられていた(地方税法附則17条の2)。βでは,この特例制度を使って,固定資産課税台帳登録価格を修正したが,この取扱いは,地方税法73条の21第2項の規定により,知事が価格を決定する場合でも同様のことができるとされているので(同法附則11条の6),知事も同様に価格の修正を行うことになる。したがって,この場合でも2つの価格が同一 条の21第2項の規定により,知事が価格を決定する場合でも同様のことができるとされているので(同法附則11条の6),知事も同様に価格の修正を行うことになる。したがって,この場合でも2つの価格が同一になることに変わりがない。 なお,控訴人は,同じ基準を用いても必ずしも同じ価格となるものではないとも反論する。しかし,『不動産取得税及び固定資産税に関する不動産の価格の評価のしくみから考えれば』(前記最高裁判所昭和50年12月18日第一小法廷判決),制度上は,同一の価格となることが予定されているものである。 ところで,固定資産課税台帳の登録価格に不服がある者は,固定資産評価審査委員会に審査の申出(地方税法432条1項)をし,同委員会の決定に不服があるときは,取消しの訴えを提起することができるとされているが(同法434条1項),当該固定資産税の納税者が争わず,当該価格が確定した場合には,当該資産をその後取得した者も,当該価格の違法性を争うことができないものと解されている(東京高等裁判所平成10年4月15日判決とその上告審判決である最高裁判所平成10年9月24日第一小法廷判決参照。乙5,6)。そして,不動産取得税の納税者は,賦課決定処分の取消訴訟において,固定資産課税台帳の登録価格が客観的に適正な時価でないと主張して課- 8 -税標準とされている価格を争うことはできないとする判例(最高裁判所昭和51年3月26日第二小法廷判決・判例時報812号48頁)もある。 本件でも,控訴人の前所有者は,本件土地に係る平成10年度の固定資産課税台帳の登録価格を争っておらず,同登録価格は確定しているということができるし,賦課期日後において地目の変換等の『特別の事情』(最高裁判所平成6年4月21日第一小法廷判決・判例時報1499号59頁以下)が生じている 争っておらず,同登録価格は確定しているということができるし,賦課期日後において地目の変換等の『特別の事情』(最高裁判所平成6年4月21日第一小法廷判決・判例時報1499号59頁以下)が生じているわけでもないので,被控訴人が,βの同登録価格に基づいて不動産所得税の課税標準となるべき価格を決定することは当然のことである。本件賦課決定に何らの違法もない。 いずれにせよ,控訴人は,βによる平成10年度固定資産台帳登録価格を争うことはできないのであるが,本件訴訟は,控訴人が,本来,争うことができないはずの登録価格について,形を変えて争ってきているものである。 そして,本件登録価格は,以下のとおり,固定資産評価基準に照らして適正に行われている。 ( )評価基準日について 固定資産評価基準によれば,標準宅地の適正な時価を求める場合の基準日について,当分の間,基準年度の初日の属する前年の1月1日とし,地価公示法による地価公示価格及び不動産鑑定士又は不動産鑑定士補による鑑定評価から求められた価格等を活用して,これらの価格の7割をめどにして決定するとされている。そして,βが依頼したB不動産鑑定士は,β及びその周辺のγ,小諸市の中等以下の別荘地の状況を勘案して,取引事例法に基づく適正な補正を行った上,価格基準日である平成8年1月1日の標準宅地の価格を1万0500円/㎡と評価した。御代田町長は,平成8年1月1日- 9 -から同年7月1日までについてマイナス3パーセントの減額(時点修正)をし,その7割に当たる7070円/㎡をもって平成9年度の標準宅地の評価額とした上で,更に平成8年7月1日から平成9年7月1日までにつきマイナス6パーセントの減額(時点修正)をして,平成10年度の標準宅地の評価額を6645円/㎡と判定した。 控訴人は,このような 評価額とした上で,更に平成8年7月1日から平成9年7月1日までにつきマイナス6パーセントの減額(時点修正)をして,平成10年度の標準宅地の評価額を6645円/㎡と判定した。 控訴人は,このような修正が不十分なものであると主張するが,本件標準宅地におけるマイナス3パーセント,マイナス6パーセントの各減額率は,周辺地の下落率に比較して見た場合,適当なものである。 ( )本件土地の地目 固定資産評価基準によれば,当該土地の現況からして,宅地として認定することが不適当であると認められる場合には,これを雑種地として認定するものと定められている。したがって,βは本件土地について雑種地として認定しており,その認定に問題はない。 ( )宅地比準を85パーセントとした理由 そこで,同じα分譲地内において既に建物が建てられている代表的な土地の単位当たりの価格から立木の伐採等の経費を控除した上,その控除後の数値の85パーセントを比準割合とすることにして,これを標準宅地の評点数に乗じることにした。 控訴人は,本件土地には急傾斜部分が含まれており,建物を建てる場合には,鉄骨やコンクリートで土台を作らなければならないのに,整形地としての比準割合を用いて本件登録価格を決定していることは合理性がないと批判している。しかし,整形地としての比準割合は,標準宅地と本件土地とを平面図的に見て,その形状の違いを補正するものであり,控訴人の批判は当たらない。なるほど,本- 10 -件土地に急傾斜地が含まれていることについて特段の補正をしていないが,それは,比準の対象となった標準宅地を含めてα分譲地自体が傾斜地となっており,人工地盤を有していることに照らすと,上記補正をする必要がなかったからである。また,傾斜地であることは,景観において優れているとするプラス要因 った標準宅地を含めてα分譲地自体が傾斜地となっており,人工地盤を有していることに照らすと,上記補正をする必要がなかったからである。また,傾斜地であることは,景観において優れているとするプラス要因として考えることもでき,傾斜地であるからといって直ちにマイナス要因であるということにもならない。 ( )本件土地の課税標準額について ところで,不動産取得税における『適正な時価』を検討するに当たっては,上記登録価格そのものについて検討するのではなく,課税標準額について検討しなければならない。実際,本件賦課決定でも,本件登録価格をそのまま課税標準額としているわけではないのであって,本件土地の課税標準額は,地方税法附則11条の5第1項及び長野県県条例附則16条の3第1項により,本件登録価格295万2322円の約2分の1である147万6000円(2795円/㎡)と定めているのである。 しかも,この2795円/㎡という価格は,α分譲地内の競売実例価格とほぼ等しいものである。α分譲地に隣接する別荘地『C』内の急傾斜地の売買実例(1万4641円/㎡から3万2484円/㎡)及びその平成10年度の固定資産課税台帳登録価格(8913円/㎡から1万0531円/㎡)に比べて,決して高いものではない。 加えて,課税価格が,本件土地の時価を上回っていたとする事実もない。 ( )本件土地と本件標準宅地の比準 本件土地は,道路側法面部分に48.2ないし50.5度の急傾- 11 -斜部分があり,下部には石積みの擁壁が作られているが,この部分を除いた平均斜度は約30.6度であり(本件標準宅地の斜度は約20度で,約10度の違いがある。),これと同様の斜度を持つ土地は,α分譲地内にかなりの比率で存在していて,現に建物の建築も行われていることが認められる。別荘 0.6度であり(本件標準宅地の斜度は約20度で,約10度の違いがある。),これと同様の斜度を持つ土地は,α分譲地内にかなりの比率で存在していて,現に建物の建築も行われていることが認められる。別荘の建物は,その敷地面積が少なく,本件土地に建物を建築する際には48.2度ないし50. 5度の急傾斜地以外の場所に建てることが可能である。上記急傾斜地があるからといって,本件土地の価値に直ちに影響があるものではない。また,本件土地に建物を建てる場合でも,土盛り,削土,土留めなどの特別な基礎工事を行う必要はなく,一般的な工事費の増加分も約4.03パーセントが見込まれる程度である。したがって,本件標準宅地との間に有意な相違があるものではない。 社団法人長野県建築設計事務所協会作成に係る『調査結果報告書』(乙22)は,本件土地と本件標準宅地の比準割合(格差率)が0.81ないし1.00の範囲であれば一定の妥当性があると指摘して,本件土地と本件標準宅地を比較した場合に,建築費,眺望,通風,乾湿,プライバシー確保,道路との高低差などを総合した総合格差率は0.81ないし1.25であり,一定の妥当性があると判定している。加えて,本件賦課決定は,本件登録価格をそのまま課税価格としているわけではなく,その約5割の価格をもって,課税標準額と定めている(乙12,16)のであるから,本件土地の評価に何ら問題はない。 ( )控訴人提出に係る鑑定書(甲1)について 控訴人は,A不動産鑑定士作成に係る『鑑定書』(甲1)を援用して,本件土地の適正な時価が121万4400円(2300円/㎡)であると主張している。しかし,同鑑定書は,「近隣地域の土- 12 -地で建物が建っているものはない。本件土地は眺望,景観において劣っている。したがって,本件土地の現況は山林ないし原野 0円/㎡)であると主張している。しかし,同鑑定書は,「近隣地域の土- 12 -地で建物が建っているものはない。本件土地は眺望,景観において劣っている。したがって,本件土地の現況は山林ないし原野である。」といった誤った認識を前提にした判断であり,加えて,同不動産鑑定士が,取引事例を比較するために選定したものは,1つが国税局の公売事例,他の1つは知人間の売買事例であって,適切な取引事例ではない。しかも,他の参考事例というものも,別荘地の事例でないものが含まれていたり,他町の取引事例であるなど,類似性がないものが含まれているほか,不動産競売事件の評価書を参考にした書面上のものも含まれているなど,およそ取引事例とはいえないものが選択されている。そして,同鑑定書の時点修正,格差補正についても問題がある。 このようなことからすると,同鑑定書の信用性は自ずから限定されてしまうのである。」第3当裁判所の判断 当裁判所も,控訴人の被控訴人に対する請求は理由がなく,棄却を免れないものと判断する。その理由は,次のとおり訂正し,又は付加するほかは,原判決の事実及び理由欄の「第三当裁判所の判断」の関係人部分及び関係部分に記載のとおりであるから,これをここに引用する。 ( )原判決20頁4行目冒頭から同6行目の「ものとして,」までを 「そうすると,本件土地は,地方税法73条の21第2項にいう『固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されていない不動産』に該当するものということができ(最高裁判所昭和50年12月18日第一小法廷判決・裁判集(民事)116号803頁),したがって,」に改める。 ( )原判決21頁10行目冒頭から同22頁11行目末尾までを次のと おり改める。 「これを本件についてみるに,被控訴人は平成10年4月3日になっ- 号803頁),したがって,」に改める。 ( )原判決21頁10行目冒頭から同22頁11行目末尾までを次のと おり改める。 「これを本件についてみるに,被控訴人は平成10年4月3日になっ- 13 -て控訴人が本件土地を取得した事実を知ったが,同時点では,御代田町長により,既に本件登録価格295万2322円(5591円/㎡)が決定されていたので,被控訴人はこの登録価格に基づいて賦課処分を行うことにして,地方税法附則11条の5第1項,長野県県税条例附則16条の3第1項により,その2分の1の金額から1000円未満の端数を切り捨てた(地方税法20条の4の2第1項)金額である147万6000円を課税標準額と定め,これに100分の4の税率(同法73条の15)を乗じて,税額を5万9000円と算出し,平成10年6月10日付けで,控訴人に対し本件賦課決定を行っていることが認められる。したがって,被控訴人は,本件賦課決定を行うに当たり,本件登録価格に基づいて課税標準となる価格を決定していると認められ,被控訴人による上記価格の決定が行われていないとまで認めることはできない。 控訴人は,本件賦課決定の中に課税標準となる価格の決定が含まれているとすることはフィクションであり,結局のところ,上記価格の決定はなされていないと主張する。しかし,不動産取得税の課税標準となるべき価格は,固定資産課税台帳に登録されるに至った価格と同一になるべきものであるから(上記最高裁判所昭和50年12月18日第一小法廷判決参照),被控訴人が,上記登録価格に基づいて不動産取得税の課税標準となる価格を決定し,その決定に基づいて不動産取得税の賦課処分を行うことはいわば自然の流れである。本件で,被控訴人も,そのような流れのもとに,本件賦課決定を行っていると認めることが相当であり,し 準となる価格を決定し,その決定に基づいて不動産取得税の賦課処分を行うことはいわば自然の流れである。本件で,被控訴人も,そのような流れのもとに,本件賦課決定を行っていると認めることが相当であり,したがって,被控訴人は,本件賦課決定を行う前提として,本件登録価格に基づいて不動産取得税の課税標準となるべき価格も決定しているものと解することができる。控訴人の上記主張は採ることができない。」- 14 -( )原判決23頁1行目冒頭から同24頁2行目末尾までを次のとおり 改める。 「2課税標準の相当性について(一)固定資産評価基準と適正な時価不動産取得税の課税標準となる価格は,不動産の取得時において,正常な条件の下に成立する当該不動産の取引価格,すなわち客観的な交換価値をいうものと解することが相当である。そして,地方税法によれば,知事等が同課税標準となる価格を決定する場合(同法73条の21第2項),あるいは市町村長が固定資産の価格を決定する場合(同法403条1項)には,同法388条1項により,自治大臣が定める固定資産評価基準に基づいて評価することが求められているのである。 しかし,上記評価基準に基づいて算出された評価額は,適正な時価を求めるための方法の1つであって,絶対的なものであるとは認められない。したがって,上記評価基準に基づく評価が行われていることの一事から,常に,その評価額の妥当性,相当性が保証されているとは解されないことになる(地方税法も,不動産取得税の課税標準となる価格を決定する場合には,当該固定資産の価格により難い特別な事情(同法73条の21第1項ただし書き)が存在するか否かについて検討しなければならない旨規定している。)。したがって,もし,上記特別な事情が存在して,評価額が客観的な交換価値を上回っている事実が 事情(同法73条の21第1項ただし書き)が存在するか否かについて検討しなければならない旨規定している。)。したがって,もし,上記特別な事情が存在して,評価額が客観的な交換価値を上回っている事実があるにもかかわらず,県知事や被控訴人がそれを看過し,課税標準となる価格を決定しているとするならば,その価格決定は違法なものであり,その価格決定に基づいて行った賦課処分も取消しを免れないというべきである。 - 15 -(二)御代田町長による評価の方法証拠(乙1,2,7,12,14の1~3,16)及び弁論の全趣旨によると,御代田町長は自治大臣が定めた『固定資産の評価の基準並びに評価の実施の方法及び手続』(昭和38年自治省告示第158号。乙16。以下『固定資産評価基準』という。)に基づいて本件土地の評価を行っていること,御代田町長は,その評価の具体的な手順として,まず,本件土地と同一分譲地内にあるδ371番581の土地を標準宅地(状況類似地区ごとに,道路に沿接する宅地のうちで奥行き・間口・形状等からみて標準的なものとして選定されたもの。固定資産評価基準第1章第3節二(二)3)に選定したこと,そして,同標準宅地については平成8年1月1日(平成9年度の価格基準日)を基準とした評定が既に行われていたため,御代田町長はその事実を踏まえて上記評価を行うことにして,不動産鑑定士に対し上記基準日以後における時点修正率を調査するように依頼したこと,そして,御代田町長は,同調査結果に基づいて,平成9年度の評価額につき,上記基準日の価格1万0500円/㎡から上記基準日から平成8年7月1日までの時点修正(マイナス3パーセント)をしてその7割に当たる金額の7070円/㎡と決定していること,また,平成10年度の評価額につき,同様に平成8年7月1日から平成9年7 準日から平成8年7月1日までの時点修正(マイナス3パーセント)をしてその7割に当たる金額の7070円/㎡と決定していること,また,平成10年度の評価額につき,同様に平成8年7月1日から平成9年7月1日までの時点修正(マイナス6パーセント)をして6645円/㎡と決定していること,次いで,御代田町長は,本件土地の現況が雑種地であると認定し,本件土地に建物を建てる場合には立木の伐採,間ばつ,下刈り,抜根等に経費等を要することを考慮し,標準宅地との比準割合を0.85,本件土地の奥行きについての比準割合を1.0,本件土地の平面形状等についての比準- 16 -割合を1.0,沿接する道路その他の状況の違いによる比準割合を0.99と各判断して,最終的に本件土地の平成10年度の固定資産税に係る固定資産の評価額を295万2322円(5591円/㎡)と定めていることが認められる。 (三)本件土地及び本件標準宅地の現況ところで,証拠(甲1,3,4,8の1~49,乙7,19,22)によると,α分譲地は,昭和44年にD株式会社がリゾート開発を行った総区画数934区画の分譲地であり,本件土地はその一画を更に2つに分けたものの1つであること,同分譲地はその全体が傾斜地であり,分譲地内には道路が設置され,電気,水道の整備がされていること,同分譲地は平成13年2月15日までに476区画が売却され,そのうち79区画において建物(別荘)が建築されているものの(そのうち現在も利用されているのは39戸である。),本件土地を含めてその他の区画では雑木や草が茂ったままの状態であること,本件土地はεへ向かう尾根の東側斜面の一画であること,本件土地は北東側の辺で道路と接しているが,その付近の法面の勾配は48.2度から50.5度の急傾斜地であって,下部には一部石積み擁壁が あること,本件土地はεへ向かう尾根の東側斜面の一画であること,本件土地は北東側の辺で道路と接しているが,その付近の法面の勾配は48.2度から50.5度の急傾斜地であって,下部には一部石積み擁壁が設置されていること(したがって,本件土地に専用駐車場スペースはないが,道路を隔てた反対側には共用の駐車場が設置されている。),しかし,同急傾斜地の部分を除くと,本件土地の平均斜度は30. 6度であり,地形も道路面に向かって広がる台形となっていて,同分譲地内の他の区画と比べて建築条件において大きく劣るものではないこと,本件土地に建物を建てる場合には建物に入るまでに道路から高度差で10ないし11メートルほど傾斜地を登らなければならないが,その代わり,北東側ないし東側の眺望は良好- 17 -であり,更に冬季には北方に浅間山を望むことができるものであることが認められる。 また,証拠(乙14の1~3,22)によると,上記標準宅地も,同分譲地内の区画の1つであり,2方向の道路に面しているものであること,その平均斜度は約20度で,本件土地のような急傾斜地部分は含まれていないが,専用駐車場スペースも設置されていないこと(ただし,共用の駐車場がある。),しかし,谷間状の地形に位置しているため,北東方向以外は山腹により視界が遮られ,北東方向も他の別荘や樹木の関係で,遠方の視界を得ることはできないものであること,また,1方向の道路から見た場合,上記標準宅地は道路の下側に位置することになるため,湿度が上がり,プライバシーの確保が多少困難になるなどの問題があることが認められる。 (四)本件土地と本件標準宅地との比準本件土地に急傾斜地及び石積擁壁が含まれていることは前記認定((三))のとおりであるが,証拠(乙22)及び弁論の全趣旨によると,上記急傾斜地及び石 められる。 (四)本件土地と本件標準宅地との比準本件土地に急傾斜地及び石積擁壁が含まれていることは前記認定((三))のとおりであるが,証拠(乙22)及び弁論の全趣旨によると,上記急傾斜地及び石積擁壁がある部分は区画全体の一部にすぎず,本件土地を別荘地として利用するについて支障となるものではない。そして,本件土地と本件標準宅地は,いずれもα分譲地内の宅地であり,道路,電気,水道等の整備がされていて,沿接道路の状況等,宅地としての利用上の利便状況が概ね類似していると認められることも前記認定((三))のとおりである。 加えて,E不動産鑑定士は,本件土地に建物を建築する場合,本件標準宅地と比準し,建築費が約11万5000円増加すると見込まれること(減価要因),道路との間の高低差が大きく利便性に劣るものがあると見られること(減価要因),反面,眺望に優- 18 -れており(増価要因),通風,乾湿,プライバシー確保においても優れていること(増価要因)がそれぞれ指摘できるとして,その総合格差率を0.81ないし1.25の範囲内であると判断し,眺望の良い点を過大にとらえるべきでないとすれば総合格差率は最大でも1.00とすべきであり,2つの土地を比準することについて一定の妥当性がある旨判定していること(乙22)も認められる。 このようなことからすると,被控訴人が,本件土地の本件登録価格を決定するに当たり,本件標準宅地と比準したことに問題があるとは認められない。 (五)本件土地の適正な時価ア証拠(甲1,乙15,20)によると,長野地方裁判所佐久支部の評価人は,不動産競売事件の評価に関係して,α分譲地内の土地の標準価格について算定していること,同支部の評価人は,そのうち,①北東側幅員6メートルの県道に接する間口32メートル,奥行き27メートル 評価人は,不動産競売事件の評価に関係して,α分譲地内の土地の標準価格について算定していること,同支部の評価人は,そのうち,①北東側幅員6メートルの県道に接する間口32メートル,奥行き27メートルの三角形の土地で,尾根から北及び北東に急傾斜しているδ371番1210の山林514平方メートルの標準価格を1万1000円/㎡(平成9年7月28日価格時点),②北側幅員2メートルの道路に接する間口8メートル,奥行き40ないし43メートルの台形地で,北側に約30度傾斜している同所371番642の山林1153平方メートルの標準価格を9950円/㎡(平成9年12月15日価格時点)又は9280円/㎡(平成10年10月26日価格時点),③更に,2方向で幅員4メートルの道路に接している奥行き32ないし35メートルの台形地で,北向きに30ないし40度傾斜している同所371番209の山林672平- 19 -方メートルの標準価格を4200円/㎡(平成11年5月17日価格時点)とそれぞれ判定していること,加えて,α分譲地の北側に隣接する別荘地『C』においては,西向きの約30度の傾斜地に関して取引実例があり,そのうち,①ζ379番の土地のうち1270平方メートルの売買代金は1万5739円/㎡(平成8年11月23日売買。平成10年度固定資産課税台帳の登録価格8913円/㎡),②同所379番地の土地のうち1127平方メートルの売買代金は2万0133円/㎡(平成9年10月19日売買。上記登録価格9904円/㎡),③同所379番地の土地のうち1243平方メートルの売買代金は1万4641円/㎡(平成9年12月26日売買。上記登録価格8913円/㎡)であることもそれぞれ認めることができる。 イこれに対し,控訴人は,A不動産鑑定士の鑑定書(甲1)の結果を援用して, 金は1万4641円/㎡(平成9年12月26日売買。上記登録価格8913円/㎡)であることもそれぞれ認めることができる。 イこれに対し,控訴人は,A不動産鑑定士の鑑定書(甲1)の結果を援用して,本件土地の平成10年度の適正な価格は121万4400円(2300円/㎡)である旨主張している。同鑑定書は,取引事例比較法を標準とし,地価公示地などの基準価格との均衡を考慮して,総合的に判断しているものであるが,参照された取引事例は,①α分譲地内にある東及び西側幅員3. 5メートルの道路に接した長方形地で,北側に約30度傾斜した山林633平方メートルの売買事例(平成8年7月売買。代金2133円/㎡),②同分譲地内における本件標準宅地の売買事例(平成10年7月売買。代金8620円/㎡),③同分譲地内の競売評価額として2996円/㎡及び2613円/㎡の2例(ただしいずれも建付け地価格である。)のほか,④βの他地域の取引事例,隣接するγの取引事例であり,そして,- 20 -これらの事例のほぼ中庸に当たる2400円/㎡をもって比準価格とする旨決定しているものであること,加えて,本件土地の現況が山林又は原野であって,眺望,景観において劣っており,地域全体としても別荘の建物が建てられて利用されている例が皆無であるなどと指摘して,地価公示地を基準にした価格を2230円/㎡,長野県の基準地を基準とした価格を2220円/㎡と算定し,それとの均衡を考慮して,本件土地の価格を121万4400円(2300円/㎡)と決定しているものである。 しかし,同鑑定書が挙げている売買事例のうちで,α分譲地内で2133円/㎡で売買契約が行われたとされている例はいわゆる国税局の売却事例であり(弁論の全趣旨),これを一般化して論ずることには問題がないわけではない。同じく競売評 売買事例のうちで,α分譲地内で2133円/㎡で売買契約が行われたとされている例はいわゆる国税局の売却事例であり(弁論の全趣旨),これを一般化して論ずることには問題がないわけではない。同じく競売評価額の2例(上記③)についても,前者については40パーセントの競売市場減価が行われ,法定地上権価格83万円も控除されて算出され,後者についても50パーセントの競売市場減価が行われ,法定地上権価格171万円が控除されて算出されているものであり,いわゆる正常価格を前提とした交換価値からは大幅な減額がされているのである。したがって,上記2例を参考にして,本件土地の適正な価格を決定するには,これらの大幅な減額修正がされていることを考慮した上で検討されなければならないのに,同鑑定書においてそのような考慮がされている様子はない。そして,同鑑定書は,βの他地域及びγの取引事例を挙げているが,これらの取引事例を取り上げて,本件土地と比準することができるとすることの根拠も明らかではない。それにもかかわらず,これらの各取引事例の違いについ- 21 -て何らの配慮をすることなく,単純に,ほぼ中庸に当たる金額をもって比準価格とするとの判断には合理性がない。ましてや,同鑑定書が,本件土地の現況について,山林又は原野であると断定し,眺望,景観において劣り,別荘として利用されている区画は皆無であるなどと判断している点は,その前提となる事実認定が誤っていると指摘することができる。 このようなことを総合すると,同鑑定書が,本件土地の価格を121万4400円(2300円/㎡)と決定していることは誤りであり,同鑑定書を援用する控訴人の上記主張も採ることができない。 ウところで,控訴人が本件土地を買い受けたのは平成10年2月18日のことである。そこで,仮に,本件標準宅 と決定していることは誤りであり,同鑑定書を援用する控訴人の上記主張も採ることができない。 ウところで,控訴人が本件土地を買い受けたのは平成10年2月18日のことである。そこで,仮に,本件標準宅地の同年7月の売買価格である8620円/㎡(前記二2(五)イ)を基準として考えてみた場合でも,これにE不動産鑑定士が指摘している本件土地との総合格差率のうちのもっとも低い値(0.81)を乗じて本件土地の価格を計算してみると,本件土地全体の価格は368万6601円(6982.2円/㎡)となり,また,前記不動産競売事件で評価人が判断した標準評価額を前提にして,その中でもっとも低い価格である4200円/㎡(前記二2(五)ア)を基準として本件土地全体の価格を計算してみると,本件土地全体の価格は221万7600円となる(もっとも,同金額は平成11年5月17日を価格時点としているので,時点修正を加えた場合には,これを上回る金額となることが想定できる。)。加えて,α分譲地に隣接する別荘地『C』の取引価格であるとか,それらの取引価格と固定資産台帳登録価格を対比した結果,取引価格が上記登録価格を下回っ- 22 -ている例はみられないことは前記認定(二2(五)ア)のとおりであることも指摘できる。 このようなことからすると,本件各証拠によっても,本件土地の時価(取引価格)が,被控訴人において決定した課税標準の価格147万6000円(2795円/㎡,前記第二の二3)を下回るものであったと認めるに足りる証拠はなく,したがって,本件で,本件登録価格によることができない特別な事情は見当たらない。すなわち,被控訴人の本件賦課決定について,控訴人が主張する違法はないというべきである。」 以上の次第で,控訴人の被控訴人に対する請求は理由がないので,これを棄却すべ 特別な事情は見当たらない。すなわち,被控訴人の本件賦課決定について,控訴人が主張する違法はないというべきである。」 以上の次第で,控訴人の被控訴人に対する請求は理由がないので,これを棄却すべきであり,当裁判所の上記判断と同旨の原判決は正当であって,本件控訴は理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第20民事部裁判長裁判官宮崎公男裁判官上原裕之裁判官今泉秀和
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