令和4(行ケ)10093 審決取消請求事件

裁判年月日・裁判所
令和5年2月22日 知的財産高等裁判所 3部 判決 請求棄却
ファイル
hanrei-pdf-91819.txt

キーワード

判決文本文19,021 文字)

令和5年2月22日判決言渡令和4年(行ケ)第10093号審決取消請求事件口頭弁論終結日令和4年12月13日判決 原告株式会社ハート・インターナショナル 同訴訟代理人弁理士宮永栄同佐 々 木香織 被告特許庁長官同指定代理人馬場秀敏同旦克昌同綾郁奈子 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求特許庁が不服2021-12334号事件について令和4年7月20日にし た審決を取り消す。 第2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯⑴ 商標登録出願(甲10)原告は、令和2年2月12日、次のとおり、商標登録出願を行った(商願 2020-14760号、以下「本願」という。)。 ア商標登録を受けようとする商標ハートデンキサポート(標準文字。以下「本願商標」という。)イ商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務( 第36類)ガス料金又は電気料金の徴収の代行、商品代金の徴収の代行、保険業 務、損害保険業務、輸送保険業務、購入商品に関する補償保険の引受け、損害保険及び自動車保険の引受け、輸送保険の引受け、輸送中商品の保険の引受け、生命保険契約の締結の媒介、生命保険の引受け、損害保険契約の締結の代理、損害保険に係る損害の査定、損害保険の引受け、保険料率の算出、保険及び金融又は財務に関する情報の提供及び助言、保 保険の引受け、生命保険契約の締結の媒介、生命保険の引受け、損害保険契約の締結の代理、損害保険に係る損害の査定、損害保険の引受け、保険料率の算出、保険及び金融又は財務に関する情報の提供及び助言、保 険・金融・土地又は建物に関する財務の評価、有価証券の売買の媒介・取次ぎ又は代理、建物の管理、建物の貸借の代理又は媒介、建物の貸与、建物の売買、建物の売買の代理又は媒介、建物又は土地の鑑定評価、建物又は土地の情報の提供、土地の管理、土地の貸借の代理又は媒介、土地の貸与、土地の売買、土地の売買の代理又は媒介、企業の信用に関す る調査(第37類)電気設備設置工事、電気設備設置工事に関する情報の提供、家庭用電熱用品類の設置工事、建設工事、建設工事に関する助言、建築設備の運転・点検・整備、火災報知機の修理又は保守、事務用機械器具の修理又 は保守、業務用暖冷房装置の修理又は保守、バーナーの修理又は保守、ボイラーの修理又は保守、ポンプの修理又は保守、業務用冷凍機械器具の修理又は保守、電子応用機械器具の修理又は保守、電気通信機械器具の修理又は保守、民生用電気機械器具の修理又は保守、照明用器具の修理又は保守、電動機の修理又は保守、配電用又は制御用の機械器具の修 理又は保守、発電機の修理又は保守、業務用加熱調理機械器具の修理又 は保守、業務用食器洗浄機の修理又は保守、業務用電気洗濯機の修理又は保守、動力付床洗浄機の修理又は保守、家具の修理、ガス湯沸かし器の修理又は保守、家庭用加熱器(電気式のものを除く。)の修理又は保守、鍋類の修理又は保守、洗浄機能付き便座の修理(第40類) 廃棄物の収集・分別及び処分、廃棄物圧縮装置の貸与、廃棄物破砕装置の貸与、廃棄物の再生、材料処理情報の提供、家庭用暖冷房機の貸 鍋類の修理又は保守、洗浄機能付き便座の修理(第40類) 廃棄物の収集・分別及び処分、廃棄物圧縮装置の貸与、廃棄物破砕装置の貸与、廃棄物の再生、材料処理情報の提供、家庭用暖冷房機の貸与、家庭用加湿器の貸与、家庭用空気清浄器の貸与、発電機の貸与、ボイラーの貸与、業務用加湿器の貸与、業務用空気清浄器の貸与、業務用暖冷房装置の貸与 ⑵ 拒絶査定(甲13)ア本願については、令和3年1月22日付けで拒絶理由が通知され、同年3月11日付けの意見書が提出されたが、同年6月17日付けで拒絶査定(以下「本件拒絶査定」という。)がされた。 イ本件拒絶査定が拒絶の理由に引用した商標(以下「引用商標」という。) は、次のとおりであった(乙1)。 (ア) 登録番号商標登録第5973426号(イ) 登録日平成29年8月18日 (ウ) 登録商標HEART(標準文字)(エ) 商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務(第37類)LEDを用いた照明器具の設置工事・保守及び修理、照明器具の設 置工事・保守及び修理、照明機器の設置工事・保守及び修理、照明機 器の設置工事に関する助言、電気工事、電気設備工事、電気通信工事、建設工事ウ本件拒絶査定において、本願商標は、引用商標と類似する商標であって、引用商標の指定役務と類似する指定役務について使用するものであるから、商標法4条1項11号に該当するとの理由により、本願は同法15条の規 定に基づき、商標登録をすることができないと判断された。 ⑶ これに対し、原告は、令和3年9月14日、拒絶査定不服審判を請求し(甲14)、同日付け手続補正書により、本願の指定役務から第36類及び第40類に属する指定役務を削除し、第37類 と判断された。 ⑶ これに対し、原告は、令和3年9月14日、拒絶査定不服審判を請求し(甲14)、同日付け手続補正書により、本願の指定役務から第36類及び第40類に属する指定役務を削除し、第37類に属する指定役務のみとした(甲15)。 原告は、令和3年10月28日付け手続補正書により、上記拒絶査定不服審判の請求の理由を補充し(甲16)、同月29日付け手続補足書により甲1ないし甲9を提出した(甲17)。 特許庁は、令和4年7月20日、結論を「本件審判の請求は、成り立たない。」とする審決(以下「本件審決」という。)をし、同年8月2日、その謄 本は原告に送達された。 ⑷ 原告は、令和4年8月30日、本件審決の取消しを求めて本件訴訟を提起した。 2 審決の理由の要旨審決は、別紙審決写しのとおりであり、その理由の要旨は、次のとおりであ る。 ⑴ 本願商標について本願の指定役務には、電気にかかわる工事に関する役務が含まれるところ、これには、電気を用いた器具である「電器」、電力を使って運転する機械である「電機」に対する工事や保守及び修理を行う役務が含まれているといえる から、本願商標に接する取引者、需要者は、本願商標の構成中の「デンキサ ポート」の部分を、本願の指定役務との関係において、「電気(または電器あるいは電機)に関するサポート」であること、すなわち端的に役務の内容(質)を表していると理解、認識する場合も少なくないというのが相当である。 そうすると、例え「デンキ」の片仮名表記から想起される語として、「電気」、「電器」及び「電機」の同音異句が存在するとしても、「デンキサポート」の 部分は、役務の質を表したものとして、自他役務識別標識としての機能がないか、あるいは希薄な部分と理解 として、「電気」、「電器」及び「電機」の同音異句が存在するとしても、「デンキサポート」の 部分は、役務の質を表したものとして、自他役務識別標識としての機能がないか、あるいは希薄な部分と理解されるにとどまるというのが相当である。 他方、本願商標の構成中「ハート」の語は、「心臓。心。」等の意味を有する我が国において親しまれた片仮名語であり、本願の指定役務との関係において、自他役務識別標識としての機能を発揮する部分であるから、本願商標 中、より強く自他識別標識として認識される「ハート」の部分に着目し、この部分より生ずる称呼及び観念をもって取引にあたる場合も少なくないというのが相当である。 そうであるとすれば、本願商標は、その構成文字に応じて「ハートデンキサポート」の称呼を生じるほか、「ハート」の部分から、単に「ハート」の称 呼をも生じ、「心臓。心。」等の観念を生じるといわなければならない。 ⑵ 引用商標について引用商標は、「HEART」の文字を標準文字で表してなるところ、当該語は、「心臓。胸(部)。心;愛情、人情」等の意味(出典:ジーニアス英和辞典第5版)を有する我が国において親しまれた平易な英単語である。その構 成文字の読みに相応して「ハート」の称呼を生じ、「心臓。心。」等の観念が生じるものである。 ⑶ 本願商標と引用商標の類否について本願商標の構成中の「デンキサポート」の部分は、本願の指定役務との関係において役務の内容(質)を表していると理解、認識され、自他役務識別 標識としての機能がないか、あるいは希薄な部分と理解されるにとどまると いうのが相当であるから、本願商標の構成から、「デンキサポート」の部分を除き、「ハート」の部分を要部として抽出し、当該文字部分のみを引用 いか、あるいは希薄な部分と理解されるにとどまると いうのが相当であるから、本願商標の構成から、「デンキサポート」の部分を除き、「ハート」の部分を要部として抽出し、当該文字部分のみを引用商標と比較して、商標そのものの類否を判断することも許されるというべきである。 そこで、本願商標から部分抽出した「ハート」の部分と、引用商標の類否について比較すると、本願商標構成中の「ハート」の部分から生じる称呼と、 引用商標の称呼は同一であり、いずれも「心臓。心。」等の観念が生じるものである。 そうすると、本願商標と引用商標とは、全体を比較すれば、文字種の違いや、「デンキサポート」の文字の有無において差異を有するものの、本願商標中の「ハート」の部分に着目して比較した場合においては、観念及び称呼を 共通にするものであり、その文字種を異にする外観における差異が称呼及び観念の共通性を凌駕するものとはいい難く、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。 ⑷ 本願の指定役務と引用商標の指定役務の類否について 本願商標の指定役務のうち、第37類「電気設備設置工事、電気設備設置工事に関する情報の提供、家庭用電熱用品類の設置工事、建設工事、建設工事に関する助言、照明用器具の修理又は保守」は、引用商標の指定役務と同一又は類似するものである。 ⑸ 商標法4条1項11号該当性等 本願商標は引用商標と類似する商標であり、かつ、その指定役務は引用商標の指定役務と同一又は類似するものであるから、商標法4条1項11号に該当し、登録することができない。 3 原告の主張する取消事由本願商標と引用商標の類否判断の り、かつ、その指定役務は引用商標の指定役務と同一又は類似するものであるから、商標法4条1項11号に該当し、登録することができない。 3 原告の主張する取消事由本願商標と引用商標の類否判断の誤り 第3 当事者の主張 〔原告の主張〕 1 本願商標について⑴ 「デンキサポート」の部分の自他識別標識としての機能について「デンキ」からは、「電気」、「電器」及び「電機」が想起されるところ、辞書によれば、「電気」は「①(electricity)摩擦電気や放電・電流など、広く 電気現象を起こさせる原因となるもの。電荷や電気エネルギーを指すことが多い。」を意味し、「電器」は「電気器具」の略称であり、「電気を利用した器具。電気製品。テレビ・洗濯機など。」を意味し、「電機」は「電力を使って運転する機械。」を意味するとされる(甲21ないし甲24)。このように、電気は無体物、電器は家電製品、電機は機械装置を示しており、それらの内 容は明確に異なる。 また、電気工事は、電気工事士が請け負う業務であり(甲25)、電気設備の工事に従事するものであるが、電器工事又は電機工事というものは存在せず、仮に、これらが電器又は電機の設置工事を想定したとしても、これらは機械を特定の場所に固定させるための工事であり、電気を中心に扱うもので はない。したがって、電気の工事と、電器又は電機の工事は、目的及び内容が異なり、これらを利用する需要者も異なる。 そうすると、「デンキ」の文字からは、その内容を特定できないし、工事の対象であるとしても、工事の対象物が特定できないから、本願商標の構成中の「デンキサポート」の部分が役務の内容を示しているということはできず、 むしろ、その部分は一種の造語として認識される。 したがって、本 も、工事の対象物が特定できないから、本願商標の構成中の「デンキサポート」の部分が役務の内容を示しているということはできず、 むしろ、その部分は一種の造語として認識される。 したがって、本件審決が、本願商標の構成中の「デンキサポート」の部分は、役務の質を表したものとして、自他役務識別標識としての機能がないか、あるいは希薄な部分と理解されるにとどまるというのが相当であると判断したこと(本件審決3⑴)は誤りである。 ⑵ 「ハート」のみから称呼、観念を生じるかについて 複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるものについて、商標の構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは、その部分が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められ る場合などを除き、許されないというべきである(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁、最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁参照)。そのため、商標はその全体で捉えることが原則であって、一部を抽出することは例外的な扱いである。 本願商標は、スペース等を設けることなく、同じ書体、同じ大きさ、等間隔で全体としてまとまりのある一体的な構成からなることに加えて、「ハー卜」の部分は、我が国において親しまれた片仮名語であり、広く使用されていることからも、その部分が強く支配的な印象を与えるものとはいい難く、殊更に「ハート」の部分に着目するというのは不自然でもあり、本願商標は 構成全体をもって、特定の観念 であり、広く使用されていることからも、その部分が強く支配的な印象を与えるものとはいい難く、殊更に「ハート」の部分に着目するというのは不自然でもあり、本願商標は 構成全体をもって、特定の観念を生じない一体の造語を表したものと認識し、把握するのが自然であるといえる。 したがって、本件審決が、本願商標の構成中の「ハート」の部分は、自他役務識別標識としての機能を発揮する部分であるから、より強く自他識別標識として認識される「ハート」の部分に着目し、この部分より生ずる称呼及 び観念をもって取引にあたる場合も少なくないというのが相当であると判断したこと(本件審決3⑴)は誤りである。 2 引用商標について引用商標は「ハート」との称呼を生じ、「心臓。心。」との観念を生じる。 3 本願商標と引用商標の類否について 本願商標は、全体を一体不可分ととらえるべきものであり、「ハートデンキサ ポート」との称呼のみを生じ、特定の観念を生じ得ないのに対し、引用商標は「ハート」との称呼を生じ、「心臓。心。」との観念を生じ、本願商標と引用商標は、外観が異なる他、称呼及び観念も異なるから、非類似である。 したがって、本件審決が、本願商標と引用商標を類似の商標と判断したこと(本件審決3⑶)は誤りである。 4 本件審決における「請求人の主張について」(本件審決3⑸)の判断について⑴ 「電気サポート」の語を使用している事例があるとしても、本願商標の構成中の「デンキサポート」の部分は、「電気」、「電器」又は「電機」に関する役務を示すことをうかがわせるにすぎず、それを見た取引者、需要者が本願商標の指定役務の内容を直ちに把握するとはいえない。 したがって、本件審決が、本願商標の構成中の「デンキサポート」の部分は、取引者 ことをうかがわせるにすぎず、それを見た取引者、需要者が本願商標の指定役務の内容を直ちに把握するとはいえない。 したがって、本件審決が、本願商標の構成中の「デンキサポート」の部分は、取引者、需要者により、役務の質を表したものとして、自他役務識別標識としての機能がないか、あるいは希薄な部分と理解されるにとどまると判断したこと(本件審決3⑸ア)は誤りであるし、本願商標を構成する「ハート」、「デンキ」及び「サポート」の三つの語の指定役務との関係性の強さを 考慮すれば、本願商標から「デンキサポート」の部分を捨象する場合も少なくないと判断したこと(本件審決3⑸イ)は誤りである。 ⑵ また、原告(請求人)は、令和3年10月28日付け手続補正書(甲16)で、「ハート」という語に記述的な文字を結合させた登録事例として、「ハートプランニング」(商標登録第5602443号)、「ハートレンタルサービス」 (商標登録第6225750号)を挙げたところ、実際に、「プランニング」の語は工事役務に用いられ(甲5ないし甲7)、「レンタルサービス」の語は照明器具の貸与役務(甲8及び甲9)にそのまま用いられていることからすれば、これらの登録事例の記述的な文字部分(「プランニング」及び「レンタルサービス」)は、役務の表示として具体的であるといえる。これに対し、本 願商標の構成中の「デンキサポート」という部分は、その片仮名表記それ自 体が役務の名称として使用されていないから、役務の表示としては抽象的である。 したがって、本件審決が、原告(請求人)が挙げる登録例、審判決例は、記述的な文字とされる部分について、抽象的であったり、あるいは、本件と比較して、多義性の程度が大きいなど、本件とは状況を異にするものである と判断したこと (請求人)が挙げる登録例、審判決例は、記述的な文字とされる部分について、抽象的であったり、あるいは、本件と比較して、多義性の程度が大きいなど、本件とは状況を異にするものである と判断したこと(本件審決3⑸ウ)は誤りである。 〔被告の主張〕 1 〔原告の主張〕1(本願商標について)に対し⑴ 同⑴(「デンキサポート」の部分の自他識別標識としての機能について)に対し 電気及び電気工事に関する業界においては、電気に関する工事、修理及びトラブル対応といったサービスを表す語として「でんきサポート」又は「電気サポート」の語が使用され、かつ、取引者、需要者にも当該サービスを表す語として認識されており、本願の指定役務中の電気設備設置工事等は、電気に関する工事、修理又は保守に関する役務である。そのため、本願商標の 構成中の「デンキサポート」の部分は、電気に関する工事、修理及びトラブル対応といったサービスを表す語として使用されている「でんきサポート」又は「電気サポート」を認識させる。 したがって、本件審決が、本願商標の構成中の「デンキサポート」の部分は、役務の質を表したものとして、自他役務識別標識としての機能がないか、 あるいは希薄な部分と理解されるにとどまるというのが相当であると判断したことに誤りはない。 ⑵ 同⑵(「ハート」のみから称呼、観念を生じるかについて)に対し本願商標の構成中の「ハート」の文字と、「デンキ」又は「サポート」の文字との間に関連性はないから、本願商標は、その構成中の「ハート」の文字 部分と「デンキサポート」の文字部分とが、これらを分離して観察すること が取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとはいえない。 そして、本願商標の構成中の「デンキサポート」の部分は、 キサポート」の文字部分とが、これらを分離して観察すること が取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとはいえない。 そして、本願商標の構成中の「デンキサポート」の部分は、役務の質を表したものとして、自他役務識別標識としての機能がないか、又は希薄な部分であるのに対し、本願商標の構成中の「ハート」の部分は、本願商標の役務とは関係がなく、自他識別機能を強く発揮する部分である。 したがって、本件審決が、本願商標の構成中の「ハート」の部分は、自他役務識別標識としての機能を発揮する部分であるから、より強く自他識別標識として認識される「ハート」の部分に着目し、この部分より生ずる称呼及び観念をもって取引にあたる場合も少なくないというのが相当であると判断したことに誤りはない。 2 〔原告の主張〕2(引用商標について)に対し引用商標が「ハート」との称呼を生じ、「心臓。心。」との観念を生じることは認める。 3 〔原告の主張〕3(本願商標と引用商標の類否について)に対し本願商標の構成中の「ハート」の部分は、自他識別機能を強く発揮する部分 である。本願商標の構成中の「ハート」の部分と引用商標は、外観において、片仮名文字とアルファベット文字という違いがあるが、書体において何ら特徴のない標準文字のみからなる両商標の比較において、文字種の違いは強い印象を与えるものではない。そして、本願商標と引用商標は称呼及び観念を共通にする一方、外観における差異は強い印象を与えないから、外観、観念、称呼等 によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すると、本願商標及び引用商標が同一又は類似の役務に使用された場合には、当該役務の出所を誤認混同するおそれがある。 したがって、本件審決が、本願商 者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すると、本願商標及び引用商標が同一又は類似の役務に使用された場合には、当該役務の出所を誤認混同するおそれがある。 したがって、本件審決が、本願商標と引用商標を類似の商標と判断したことに誤りはない。 4 〔原告の主張〕4(本件審判における「請求人の主張について」(本件審決3 ⑸)の判断について)に対し原告の主張は争う。本件審決の判断に誤りはない。 第4 当裁判所の判断 1 商標の類否判断の基準商標の類否は、対比される両商標が同一又は類似の商品又は役務に使用され た場合に、商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、それには、そのような商品又は役務に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべきであり、かつ、その商品又は役務の取引の実情を明らかにしうる限り、その具体的な取引状況に基づいて判断するのが相 当である(最高裁昭和39年(行ツ)第110号同43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁参照)。 そして、商標はその構成部分全体によって他人の商標と識別すべく考案されているものであるから、みだりに、商標構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判定することは許されない が、簡易、迅速を尊ぶ取引の実際においては、各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない商標は、常に必ずしもその構成部分全体の名称によって称呼、観念されず、しばしば、その一部だけによって簡略に称呼、観念され、一個の商標から二個以上の称呼、観念の生ずるこ 結合しているものと認められない商標は、常に必ずしもその構成部分全体の名称によって称呼、観念されず、しばしば、その一部だけによって簡略に称呼、観念され、一個の商標から二個以上の称呼、観念の生ずることがあるのは、経験則の教えるとこ ろである(最高裁昭和34年(オ)第856号同36年6月23日第二小法廷判決・民集15巻6号1689頁参照)。しかしてこの場合、一つの称呼、観念が他人の商標の称呼、観念と同一または類似であるとはいえないとしても、他の称呼、観念が他人の商標のそれと類似するときは、両商標はなお類似するものと解するのが相当である(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12 月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁参照)。 2 本願商標について⑴ 本願商標の外観について本願商標は、「ハートデンキサポート」の片仮名文字を標準文字で表すものである。 ⑵ 「デンキサポート」の部分の自他識別標識としての機能について ア本願商標を構成する個別の語の意味本願商標は、「ハート」、「デンキ」及び「サポート」の三つの個別の語からなるものであり、辞書(広辞苑第7版)によれば、「ハート」は、「【heart】心臓。心。」(乙2)を意味し、「デンキ」は、「【電気】①(electricity)摩擦電気や放電・電流など、広く電気現象を起こさせる原因となるもの。電 荷や電気エネルギーを指すことが多い。②電灯の称。」、「【電器】電気器具の略。」、「【電機】電力を使って運転する機械。」(甲21、甲22、甲24、乙2)を意味し、「電気器具」は「電気を利用した器具。電気製品。テレビ・洗濯機など。」(甲23)を意味し、「サポート」は、「【support】支えること。支持。支援。助け。」(乙2)を意味する。 乙2)を意味し、「電気器具」は「電気を利用した器具。電気製品。テレビ・洗濯機など。」(甲23)を意味し、「サポート」は、「【support】支えること。支持。支援。助け。」(乙2)を意味する。 イ個別の語の意味から理解される「デンキサポート」の意味「デンキ」は、「電気」、「電器」又は「電機」を意味するものと解されるが、前記アのとおり、「電器」は電気器具を意味し、「電機」は電力を使って運転する機械を意味するから、いずれにしても、電気に関する事柄を意味すると理解される。そして、「サポート」とは、前記アのとおり、「支え ること。支持。支援。助け。」を意味することから、何を支え、支持し、支援し、助けるかを示す目的語に当たる語を伴うことは通常予想されるところである。そうすると、このような言葉の意味のみからしても、本願商標の構成中の「デンキサポート」という部分は、取引者、需要者に、電気器具や電力を使って運転する機械を含む電気に関する事柄を支え、支持し、 支援し、助けることを意味すると理解される場合が少なくないものと認め られる。 ウ 「デンキサポート」に関係する利用例(ア) 電気又は電気工事に関する業界において、次のように「でんきサポート」又は「電気サポート」の文字が使用されていることが認められる(これらの文字の使用部分に下線を付す。)。 a イワタニ首都圏株式会社のウェブサイトにおいて、「24時間電気のトラブル対応」として「でんきサポートサービス」との記載がある(乙5)。 b 「しごまる。」のウェブサイトにおいて、「北九州にあって、日々の電線路の安定供給に関する業務を行っています。」として「九州電気サ ポート株式会社」が紹介されている(乙6)。 c 株式会社TDCのウェブサイト ウェブサイトにおいて、「北九州にあって、日々の電線路の安定供給に関する業務を行っています。」として「九州電気サ ポート株式会社」が紹介されている(乙6)。 c 株式会社TDCのウェブサイトにおいて、「電気サポートサービス」として「・・・電気工事および電気メンテナンスを迅速かつ確実にサポートします。」との記載がある(乙7)。 d 「名古屋電気工事サポートセンター」のウェブサイトにおいて、「名 古屋電気サポートセンターは・・・お客様の電気設備の設計から管理、工事・修理を行っています。」及び「名古屋電気サポートセンターは・・・エアコンの取り付け、照明の設置・修理・清掃、防犯灯・看板灯などの外灯の設置など小さな工事・修理も承ってます。」との記載がある(乙8)。 e 九州電力のウェブサイトにおいて、「でんきサポート」として「『ご家庭内の電気』に関するお困りごとを・・・解決する・・・」との記載がある(乙9)。 f イワタニ関東株式会社のウェブサイトにおいて、「でんきサポートサービス」として「・・・電気のトラブル駆けつけサービス」及び「電 気の困ったトラブルに対応します!」との記載がある(乙10)。 g 秦野ガス株式会社のウェブサイトにおいて、「『電気トラブルサポート』とは、・・・電気設備や通電不良に関するトラブル等が起きた場合、・・・不具合箇所およびトラブル原因の調査を行うサービスです。」との記載がある(乙11)。 h 東京ガスのウェブサイトにおいて、「『電気トラブルサポート』と は、・・・電気設備や通電不良に関するトラブル等が起きた場合、・・・不具合箇所およびトラブル原因の調査を行うサービスです。」との記載がある(乙12)。 (イ) また、電気新聞(一般社団法人日本電気協会新聞部発行) 備や通電不良に関するトラブル等が起きた場合、・・・不具合箇所およびトラブル原因の調査を行うサービスです。」との記載がある(乙12)。 (イ) また、電気新聞(一般社団法人日本電気協会新聞部発行)においては、「電気サポート」又は「でんきサポート」の文字(語)が次のように使 用されている(これらの文字の使用部分に下線を付す。)。 a 「・・・家庭の設備の点検や修理を行うサービス『東急でんき&ガスサポート』を実施する・・・」(平成30年(2018年)6月1日、乙16)b 「顧客の宅内で『電気が使えない』時などに、原因究明や機器交換 を有料で行う・・・電気サポート事業・・・」(平成30年(2018年)6月20日、乙13)c 「・・・電気サポートサービス事業を紹介。小売事業者の顧客の設備トラブルに東電PGが対応するもので、・・・」(平成31年(2019年)3月1日、乙14) d 「・・・電気サポートサービスを提供すべく、・・・例えばブレーカーの漏電診断を依頼した顧客であっても、・・・照明やインターフォンの交換までお願いしてしまう・・・」(令和4年(2022年)5月12日、乙15)(ウ) 前記(ア)及び(イ)によれば、電気及び電気工事に関する業界においては、 「でんきサポート」又は「電気サポート」の語は、電気に関する工事、 修理及びトラブル対応といったサービスを表す語として使用されているものと認められ、それらの語は、電力会社、ガス会社などを含めた複数の会社のウェブサイトに掲載されていることから、一般人を含む取引者、需要者にも、上記サービスを表す語として認識し得る状態で使用されているものと認められる。 エ自他識別標識としての機能前記イのとおり、本願商標の構成中の「デンキサポート」 人を含む取引者、需要者にも、上記サービスを表す語として認識し得る状態で使用されているものと認められる。 エ自他識別標識としての機能前記イのとおり、本願商標の構成中の「デンキサポート」という部分は、その言葉の意味のみからしても、取引者、需要者に、電気器具や電力を使って運転する機械を含む電気に関する事柄を支え、支持し、支援し、助けることを意味すると理解される場合が少なくないものと認められ、前記ウ のとおり、実際に、電気及び電気工事に関する業界においては、「でんきサポート」又は「電気サポート」の語は、電気に関する工事、修理及びトラブル対応といったサービスを表す語として使用されており、それらの語は、電力会社、ガス会社などを含めた複数の会社のウェブサイトに掲載されていることから、一般人を含む取引者、需要者にも、上記サービスを表す語 として認識し得る状態で使用されているものといえる。そうすると、本願商標の構成中の「デンキサポート」という部分は、取引者、需要者により、電気に関する工事、修理及びトラブル対応といったサービスを表す語として認識されるものと認められる。 他方、本願商標の指定役務(前記第2の1⑴イ及び⑶)のうち、電気設 備設置工事、家庭用電熱用品類の設置工事、ポンプの修理又は保守、業務用冷凍機械器具の修理又は保守、電子応用機械器具の修理又は保守、電気通信機械器具の修理又は保守、民生用電気機械器具の修理又は保守、照明用器具の修理又は保守、電動機の修理又は保守、配電用又は制御用の機械器具の修理又は保守、発電機の修理又は保守、業務用食器洗浄機の修理又 は保守、業務用電気洗濯機の修理又は保守は、いずれも電気に関する工事、 修理及びトラブル対応といったサービスに該当するものと認められる。 そ は保守、業務用食器洗浄機の修理又 は保守、業務用電気洗濯機の修理又は保守は、いずれも電気に関する工事、 修理及びトラブル対応といったサービスに該当するものと認められる。 そうすると、本願商標の構成中の「デンキサポート」という部分は、取引者、需要者により、本願商標の役務の内容、質を表しているものとして認識されるものと認められ、自他役務識別標識としての機能がないか、又は希薄な部分と認識されるものと認められる。 したがって、本件審決の同旨の判断(本件審決3⑴)に誤りはない。 オ原告の主張に対する判断原告は、「デンキ」からは「電気」、「電器」及び「電機」が想起されるところ、それらの内容は明確に異なり、「デンキ」の文字からは、その内容を特定できないし、工事の対象であるとしても、工事の対象物が特定できな いから、本願商標の構成中の「デンキサポート」の部分が役務の内容を示しているということはできず、むしろ、その部分は一種の造語として認識されるとし、したがって、本件審決が、本願商標の構成中の「デンキサポート」の部分は、役務の質を表したものとして、自他役務識別標識としての機能がないか、あるいは希薄な部分と理解されるにとどまるというのが 相当であると判断したのは誤りである旨主張する(前記第3〔原告の主張〕1⑴)。 しかし、「デンキ」は、「電気」、「電器」及び「電機」のいずれにしても、電気に関する事柄を意味すると理解され(前記イ)、電気及び電気工事に関する業界における実際の用例(前記ウ)も考慮すると、本願商標の構成中 の「デンキサポート」の部分は、取引者、需要者により、電気に関する工事、修理及びトラブル対応といったサービスを表す語として認識され、本願の指定役務と照らし合わせると、取引者、需要者により 中 の「デンキサポート」の部分は、取引者、需要者により、電気に関する工事、修理及びトラブル対応といったサービスを表す語として認識され、本願の指定役務と照らし合わせると、取引者、需要者により、本願商標の役務の内容、質を表しているものとして認識され、自他役務識別標識としての機能がないか、又は希薄な部分と認識されるものと認められるから(前 記エ)、原告の上記主張は採用することができない。 ⑶ 「ハート」の部分の自他識別標識としての機能についてア本願商標の構成中の「ハート」の部分は、本願の指定役務の内容、質等とは関係がないから、本願の指定役務との関係で、自他役務識別標識としての機能を発揮するものと認められる。他方、前記⑵エのとおり、本願商標の構成中の「デンキサポート」という部分は、取引者、需要者により、 本願商標の役務の内容、質を表しているものとして認識されるものといえ、自他役務識別標識としての機能がないか、又は希薄な部分と認識されるものと認められる。そして、本願商標が標準文字からなり、その全体が一連に表記されていること(前記⑴)を考慮しても、本願商標の構成中の「ハート」の部分と「デンキサポート」の部分は、それらを分離して観察する ことが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとは認められず、より強く自他識別標識として認識される「ハート」の部分に着目し、その部分より生ずる称呼及び観念をもって取引に当たる場合も少なくないものと認められる。 したがって、本件審決の同旨の判断(本件審決3⑴)に誤りはない。 イ原告は、結合商標について、商標の構成部分の一部を抽出して類否を判断することは、その部分が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるも に誤りはない。 イ原告は、結合商標について、商標の構成部分の一部を抽出して類否を判断することは、その部分が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合などを除き、許されないというべきであるとした上で、本願商標は、全体 としてまとまりのある一体的な構成からなることに加えて、「ハー卜」の部分は、我が国において親しまれた片仮名語であり、広く使用されていることからも、その部分が強く支配的な印象を与えるものとはいい難く、殊更に「ハート」の部分に着目するというのは不自然でもあり、本願商標は構成全体をもって、特定の観念を生じない一体の造語を表したものと認識し、 把握するというのが自然であるといえるとし、したがって、本件審決が、 本願商標の構成中の「ハート」の部分は、自他役務識別標識としての機能を発揮する部分であるから、より強く自他識別標識として認識される「ハート」の部分に着目し、この部分より生ずる称呼及び観念をもって取引に当たる場合も少なくないというのが相当であると判断したのは誤りである旨主張する(前記第3〔原告の主張〕1⑵)。 しかし、仮に本願商標が結合商標であるとしても、前記⑵エのとおり、本願商標の構成中の「デンキサポート」という部分は、取引者、需要者により、本願商標の役務の内容、質を表しているものとして認識されるものと認められ、自他役務識別標識としての機能がないか、又は希薄な部分と認識されるから、本願商標の構成中、「ハート」という部分を抽出し、この 部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは許されるというべきである。そして、「ハート」とい 部分と認識されるから、本願商標の構成中、「ハート」という部分を抽出し、この 部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは許されるというべきである。そして、「ハート」という語が、我が国において親しまれた片仮名語であり、広く使用されているとしても、本願商標の構成中の「ハート」の部分は、本願商標の指定役務の内容、質等とは関係がなく、本願の指定役務との関係で、自他役務識別標識としての機能を発 揮するものと認められるから、原告の上記主張は採用することができない。 ⑷ 本願商標の称呼及び観念について以上のとおり、本願商標は、その構成文字に応じて、「ハートデンキサポート」という称呼を生じるほか、その構成中の「ハート」の部分から、「ハート」という称呼を生じ、「心臓。心。」の観念を生じるものと認められる。 したがって、本件審決の同旨の判断(本件審決3⑴)に誤りはない。 3 引用商標について⑴ 引用商標の外観について引用商標は、「HEART」のアルファベット文字を標準文字で表すものである。 ⑵ 引用商標の称呼、観念について 「heart」の語は、「①心臓、②胸(部)、③心;愛情、人情」等(ジーニアス英和辞典第5版、乙4)の意味を有する、我が国においてもよく知られた平易な英単語である。引用商標が、その構成文字の読みに相応して「ハート」の称呼を生じ、「心臓。心。」等の観念を生じることは、当事者間に争いがない。 4 本願商標と引用商標の類否について外観において、本願商標は、「ハートデンキサポート」の片仮名文字を標準文字で表すものであるのに対し、引用商標は、「HEART」のアルファベット文字を標準文字で表すものであり、本願商標と引用商標は、文字の種類が異なり、本願商標の ートデンキサポート」の片仮名文字を標準文字で表すものであるのに対し、引用商標は、「HEART」のアルファベット文字を標準文字で表すものであり、本願商標と引用商標は、文字の種類が異なり、本願商標の「デンキサポート」に当たる部分が引用商標にはないという相違が ある。 しかし、本願商標は、「ハートデンキサポート」という称呼を生じるほか、「ハート」という称呼を生じ、「心臓。心。」の観念を生じ(前記2⑷)、他方、引用商標は、「ハート」の称呼を生じ、「心臓。心。」等の観念を生じるから(前記3⑵)、本願商標と引用商標は、称呼及び観念において類似するものと認められる。 そして、①本願商標の構成中の「デンキサポート」という部分は、自他役務識別標識としての機能がないか、又は希薄な部分と認識され(前記2⑵)、「ハート」の部分が、より強く自他識別標識として認識されること(前記2⑶)、②「heart」の語は、我が国においてもよく知られた平易な英単語であり(前記3⑵)、本願商標の構成中の「ハート」とは、称呼及び観念が共通すること、 ③商標を使用するに当たり、商標の構成文字について、同一の称呼及び観念が生じる範囲内で、アルファベット文字表記を平仮名、片仮名表記にしたり又はその逆にしたりする文字種の変換は、珍しいことではなく、本願商標と引用商標はいずれも標準文字によるものであって、書体等に特徴があるわけではなく、本願商標の構成中の「ハート」の部分と引用商標(「HEART」)は、文字種 が異なっても、その点による差異は、強い印象を与えるものではないこと、以 上の点を考慮すると、文字種の相違及び「デンキサポート」という部分の有無による本願商標と引用商標の外観における差異は、称呼及び観念の共通性を凌駕するものではなく、本願商標と こと、以 上の点を考慮すると、文字種の相違及び「デンキサポート」という部分の有無による本願商標と引用商標の外観における差異は、称呼及び観念の共通性を凌駕するものではなく、本願商標と引用商標は、外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すると、類似するものと認められる。 したがって、本件審決の同旨の判断(本件審決3⑶)に誤りはない。 5 本願の指定役務と引用商標の指定役務の類否について本願商標指定役務のうち、第37類の「電気設備設置工事、電気設備設置工事に関する情報の提供、家庭用電熱用品類の設置工事、建設工事、建設工事に関する助言、照明用器具の修理又は保守」は、引用商標の指定役務と同一又は 類似する。 6 商標法4条1項11号該当性等について以上のとおり、本願商標と引用商標は類似し(前記4)、本願の指定役務と引用商標の指定役務は同一又は類似しているから(前記5)、本願商標は商標法4条1項11号に該当し、登録することができず、同旨の本件審決の判断(本件 審決3⑹)に誤りはない。 7 本件審判における「請求人の主張について」(本件審決3⑸)の判断について⑴ 原告は、本願商標の構成中の「デンキサポート」の部分は、それを見た取引者、需要者が本願商標の指定役務の内容を直ちに把握するとはいえないとし、したがって、本件審決が、本願商標の構成中の「デンキサポート」の部 分は、取引者、需要者により、役務の質を表したものとして、自他役務識別標識としての機能がないか、あるいは希薄な部分と理解されるにとどまると判断したことは誤りであるし、本願商標を構成する「ハート」、「デンキ」及び「サポート」の三つの語の指定役務との関係性の強さを考慮すれば、本願商標から「デ 、あるいは希薄な部分と理解されるにとどまると判断したことは誤りであるし、本願商標を構成する「ハート」、「デンキ」及び「サポート」の三つの語の指定役務との関係性の強さを考慮すれば、本願商標から「デンキサポート」の部分を捨象する場合も少なくないと判断した ことは、誤りであると主張する(前記第3〔原告の主張〕4⑴)。 しかし、本願商標の構成中の「デンキサポート」という部分は、取引者、需要者により、本願商標の役務の内容、質を表しているものとして認識されるものといえ、自他役務識別標識としての機能がないか、又は希薄な部分と認識されるから(前記2⑵エ)、原告の上記主張は採用することができない。 ⑵ 原告は、令和3年10月28日付け手続補正書(甲16)で挙げた登録事 例(「ハートプランニング」及び「ハートレンタルサービス」)の記述的な文字部分(「プランニング」及び「レンタルサービス」)は、役務の表示として具体的であるのに対し、本願商標の構成中の「デンキサポート」という部分は、役務の表示としては抽象的であるから、本件審決が、原告(請求人)が挙げる登録例、審判決例は、本件とは状況を異にするものであると判断した のは誤りである旨主張する(前記第3〔原告の主張〕4⑵)。 しかし、原告が挙げる登録事例の記述的な文字部分(「プランニング」及び「レンタルサービス」)を役務の表示として用いた例があるとしても(甲5ないし甲9)、これらは、電気又電気工事に関する業界において「でんきサポート」又は「電気サポート」の文字が使用されている状況とは異なる上、役務 の表示として、原告が挙げる登録事例の記述的な文字部分(「プランニング」及び「レンタルサービス」)が具体的であるのに対し、本願商標の構成中の「デンキサポート」という部分が抽象 異なる上、役務の表示として、原告が挙げる登録事例の記述的な文字部分(「プランニング」及び「レンタルサービス」)が具体的であるのに対し、本願商標の構成中の「デンキサポート」という部分が抽象的であると一概にいうこともできない。したがって、原告の上記主張は採用することができない。 8 結論 以上によれば、原告主張の取消事由は理由がなく、本件審決にこれを取り消すべき違法はない。よって、原告の請求を棄却することとし、主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第3部 裁判長裁判官 東海林保 裁判官 中平健 裁判官 都野道紀(別紙審決書の写し省略)

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る