昭和55(行ウ)151 法人税更正処分等取消請求事件

裁判年月日・裁判所
昭和57年8月31日 東京地方裁判所 租税
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【DRY-RUN】○ 主文 一 原告の請求を棄却する。 二 訴訟費用は原告の負担とする。 ○ 事実 第一 当事者の求めた判決 一 原告 1 原告の昭和五二年五月一日から昭和五三年四月三〇日までの事業年度の法人税 につい

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○ 主文一原告の請求を棄却する。 二訴訟費用は原告の負担とする。 ○ 事実第一当事者の求めた判決一原告 1 原告の昭和五二年五月一日から昭和五三年四月三〇日までの事業年度の法人税について、被告が昭和五六年五月七日付けでした更生処分及び過少申告加算税賦課決定処分のうち、所得金額を三億四一九〇万四六八〇円として計算した額を超える部分を取り消す。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 二被告主文と同旨第二原告の請求原因一原告は、電気工事を主とする一般建築業を営む青色申告法人であるが、その昭和五二年五月一日から昭和五三年四月三〇日までの事業年度(以下「本件事業年度」という。)の法人税の課税経過は別表一のとおりである。 二しかしながら、昭和五六年五月七日付けで行われた更正及び過少申告加算税賦課決定の処分(以下「本件処分」という。)のうち所得金額を三億四一九〇万四六八〇円として計算した額を超える部分は、次のとおり違法であるから、取り消されるべきである。 すなわち、原告の本件事業年度の所得金額は三億四一九〇万四六八〇円であるところ、本件処分は、原告が本件事業年度の福利厚生費として損金に計上して確定申告をした五九〇万三八三五円(以下「本件支出」という。)を租税特別措置法(以下「措置法」という。)六二条所定の「交際費等」に当たるものと認定した上、これを基礎に損金算入限度超過額を五四二万〇六一六円と計算し、これを右所得金額に加算して原告の所得金額を三億四七三二万五二九六円としたもので、所得を過大に認定した違法がある。 三よつて、原告は、本件処分のうち所得金額を三億四一九〇万四六八〇円として計算した額を超える部分の取消しを求める。 第三請求原因に対する被告の認否一請求原因一は認める。 二同二のうち、本件処分の内容は認めるが、それが違 のうち所得金額を三億四一九〇万四六八〇円として計算した額を超える部分の取消しを求める。 第三請求原因に対する被告の認否一請求原因一は認める。 二同二のうち、本件処分の内容は認めるが、それが違法である旨の主張は争う。 三同三は争う。 第四被告の主張一原告の本件事業年度の所得金額は別表二のとおり三億四七三二万五二九六円であり、本件処分には所得過大認定の違法はない。 二被告が別表二の交際費等の損金不算入額六二三万〇六六六円のうち、原告の争う本件支出五九〇万三八三五円を措置法六二条所定の交際費等と認定し、これに対応する損金不算入額五四二万〇六一六円を所得金額に加算した根拠は、次のとおりである。 1 原告は、昭和二二年五月二〇日に設立された株式会社であるが、昭和五二年五月二〇日の会社創立三〇周年記念として別表三のとおり各事業所別に記念式典及び祝賀会(以下、全体を「本件記念行事」といい、そのうち祝賀会を「本件祝賀会」という。)を開催し、祝賀会の費用として五九〇万三八三五円の本件支出をし、これを福利厚生費として本件事業年度の所得の金額の計算上損金の額に計上して確定申告をした。しかしながら、本件支出は、後記のとおり措置法六二条四項所定の「交際費等」に該当するから、同条一項(昭和五四年法律第一五号による改正前のもの)の規定に基づいて計算すべきであり、これによつて新たに損金の額に算入されないこととなる金額五四二万〇六一六円は原告の所得金額に加算すべきである。 2 交際費等の課税の特例の対象となる交際費等とは、「交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、きよう応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの(もつぱら従業員の慰安のために行なわれる運動会、演芸会、旅行等のために が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、きよう応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの(もつぱら従業員の慰安のために行なわれる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用その他政令で定める費用を除く。)」(措置法六二条四項)をいい、右の「事業に関係のある者等」の中には、当該法人の従業員(役員を含む。以下同じ。)も当然に含まれる。このことは、右条項が法人の従業員も「事業に関係のある者等」に含まれることを前提として、特に括弧書を設けて従業員を対象とするもののうち一定のものだけを交際費等から除外する旨規定していることからも明らかである。また、括弧書に定める交際費等から除外される費用とは、もつぱら従業員のために、かつ、当該法人において従業員の福利厚生のため費用全額を負担するのが相当であるものとして通常一般的に行われている程度の行事に係るものに限られる。そして、この通常一般的に行われているものか否かは、個々の行事等の具体的態様、すなわち、開催場所、参加者一人当たりの費用、飲食の内容等を総合して判断すべきものであるが、創立記念日等に際し従業員におおむね一律に社内において供与される通常の飲食(租税特別措置法関係通達(以下「通達」という。)六二(一)-九)がその基準となるものといえる。 3 本件支出は、別表三のとおり原告の従業員とその家族のほかに下請業者をも対象としてなされた本件祝賀会に係るものであり、もつぱら従業員のために支出されたものではない。これらの下請業者は、原告から独立して存在する業者であり、原告の受注工事を離れては原告の指揮監督下にもないものであつて、原告の従業員と同視することはできず、全参加者の一割に満たないとはいえ、外部の者を、しかも、表彰するために招待したことは、右の者らを接待したものと認める 離れては原告の指揮監督下にもないものであつて、原告の従業員と同視することはできず、全参加者の一割に満たないとはいえ、外部の者を、しかも、表彰するために招待したことは、右の者らを接待したものと認めるのが相当である。したがつて、本件支出は、前記条項括弧書の規定に該当しないというべきである。 また、本件祝賀会は、宴会場、ホテル等宴会を行うことを主たる営業目的とする場所で開催され、一人当たりの支出額は七八四五円ないし一万〇六二〇円(全体の一人当たり平均額九四一六円)であつて、この点からみても、本件支出は、おおむね一律に社内で供与される通常の飲食に要する費用の程度を超えており、従業員の福利厚生のため費用全額を負担するのが相当であるものとして通常一般的に行われている程度の行事に係るものということができないから、前記条項括弧書の規定に該当しない。 第五被告の主張に対する原告の認否及び反論一被告の主張一のうち、別表二の交際費等の損金不算入額六二三万〇六六六円中の五四二万〇六一六円については争い、その余は認める。 二同二冒頭の部分のうち、本件支出五九〇万三八三五円が措置法六二条所定の交際費等に当たるとすれば、損金不算入額は計算上五四二万〇六一六円となることは認める。 同1のうち、原告が昭和二二年五月二〇日に設立された株式会社であり、昭和五二年五月二〇日の会社創立三〇周年記念として別表三のとおり本件記念行事を開催し、そのうちの本件祝賀会の費用として五九〇万三八三五円を支出し、これを福利厚生費として確定申告したことは認めるが、その余は争う。 同2、3は争う。 三本件支出は、福利厚生費に該当するものである。 1 原告は、創立以来毎年の創立記念日には特に祝賀行事を行わず、一〇年を画して創立記念祝賀行事を行うことにしており、本件記念行事も、創立三〇周年を記念 三本件支出は、福利厚生費に該当するものである。 1 原告は、創立以来毎年の創立記念日には特に祝賀行事を行わず、一〇年を画して創立記念祝賀行事を行うことにしており、本件記念行事も、創立三〇周年を記念して社業の隆盛を慶祝するとともに、全従業員とその家族を慰労するために催したものである。そして、本件記念行事は、原告の社長以下全従業員とその家族及び後記の下請業者のみを参加させての極く内輪の家族的祝宴行事であつた。その点、一般の創立記念日、新社屋竣工式、落成式等において、各界の関係者を招き社業披露のため接待、きよう応する対外的な祝宴とは全くその趣を異にするものであり、金融関係、受注得意先、受注紹介者、諸取引先、近隣関係者等の関係法人・個人はもとより、一切の外部者は後記の下請業者を除いて招待していない。参加者は本支店併せて六二七名で、そのうち六〇名は下請業者であつたが、これらの下請業者は、原告が受注した工事を施行する際原告の従業員用作業服を着用し、原告の従業員と一体となつて工事に当たるもので、いわば準従業員ともいうべき立場にある。ちなみに、原告は、例年の創立記念日に原告従業員の永年勤続表彰に併せて、これらの下請業者のうち優良業者の表彰を行つており、本件記念行事の際も、例年と同様表彰のために下請業者を呼び特に参加させたものである。諸取引先の中でも事業経営に直接作用してくる材料仕入先さえも招かないで、被使用者的立場の下請業者六〇名のみを参加させたのは、例年の表彰の都合と準従業員の立場を配慮したためであり、特に下請業者を招待、接待するためのものではない。 本件支出の内訳は、別表四ないし六のとおりであつて、一〇年を画して催す家族帯同の慶祝慰労の宴であることを考慮すれば、極めて堅実妥当な額であり、宴会場を社外に求めることは、社屋の狭隘もさることながら、一般 支出の内訳は、別表四ないし六のとおりであつて、一〇年を画して催す家族帯同の慶祝慰労の宴であることを考慮すれば、極めて堅実妥当な額であり、宴会場を社外に求めることは、社屋の狭隘もさることながら、一般になじまないこの種宴席に出ることも参加者の慰労の気を倍加するものであつて、家族的祝宴の目的を十分に達したということができる。 以上を総合判断すれば、本件支出は交際費等に該当せず、原告が本件支出を福利厚生費として経理処理したことは当然であり、法人税法二二条四項後段に規定する「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」に合致するものである。 2 被告は、下請業者六〇名が加わつていることを理由として本件支出が措置法六二条四項括弧書に該当しないと主張する。しかし、原告は、前記のとおり従来から下請業者を毎年の創立記念日に準従業員として招待し表彰してきたのであつて、今回もそれにならつたにすぎない。仮に、被告主張のとおりこれら下請業者の招待が接待等に当たるとしても、本件祝賀会全体が接待等を意図したものではないから、もつぱら従業員の慰安のためのものではないとはいえない。したがつて、本件支出のうち、少なくとも従業員に係る支出分については福利厚生費として認められるべきである。 また、通常一般の税務実務においても、総体的に占める構成指数が一〇パーセントに満たないものは、特に課税上弊害がない限り是認しているのが実情である。本件祝賀会に近似する社内の各種慰安会、運動会等において、社外の取引関係者のうち限られた少数の者を招待することは日常一般的に行われているのであつて、本件祝賀会全体を一刀両断のもとに一律に認定することは暴挙に近いといわなければならない。 3 被告は、措置法六二条四項括弧書の「通常要する費用」を通常一般的に行われている程度の行事に係るものに限られるものとし 全体を一刀両断のもとに一律に認定することは暴挙に近いといわなければならない。 3 被告は、措置法六二条四項括弧書の「通常要する費用」を通常一般的に行われている程度の行事に係るものに限られるものとし、その基準として通達六二(一)-九を挙げている。しかし、通常要する費用に該当するか否かは、個々の行事等の目的、具体的態様等によつて異なるのであつて、企業活動が広範に及んでいる社会状況に照らすと、交際費等から除外される従業員の慰安のための支出費用はより一層広く解釈されるべきであり、右通達は基本的に狭きに失するものといわなければならない。法人が従業員の慰安、慰労のために一人当たり一万円前後の費用を支出することは特に異例ではなく、通常一般的に行われていることである。本件支出は一人当たり平均九四一六円にすぎず、本件祝賀会の意図、態様等に照らせば、決して社会通念に反する程の多額な支出費用とはいえない。しかも、支出金額の多寡をもつて交際費等と福利厚生費とを区別すべきであるとの税法規は存在しない。交際費等であるか、福利厚生費であるか、あるいはその他の費用であるかは、その支出目的、態様により判断すべきである。 4 更に、被告は、交際費等認定の理由として、本件祝賀会が社外の宴会場で開催されたことを指摘する。しかし、創立祝賀会の宴会場を社外の適当な場所に求めるのは極めて一般的なことであり、現に前記条項括弧書の規定も社屋内で行われる行事のみに限定していない。被告の主張は、通達六二(一)-九の「社内」という文言にとらわれたもので、通達の真の意図がおおむね一律に供与される飲食の程度を表現するところにあることを正解しないものである。 被告は、昭和五四年七月三一日付けの更正処分(以下「当初更正処分」という。)を取り消して本件処分を行つたものであるが、当初更正処分では交際費等 程度を表現するところにあることを正解しないものである。 被告は、昭和五四年七月三一日付けの更正処分(以下「当初更正処分」という。)を取り消して本件処分を行つたものであるが、当初更正処分では交際費等と認定していた三二万一五一〇円を本件処分では交際費等から除外しているところ、右三二万一五一〇円は会場費に係るものである。したがつて、被告としては、本件祝賀会の開催場所が社外であることは交際費認定上の問題にはならないことを明らかにしたものということができるのである。しかるに、本訴において、被告が改めてこの点を交際費等認定の根拠とすることは、本件処分の理由と明らかに矛盾するものであるといわなければならない。したがつて、この点からも被告の主張は失当である。 5 ところで、原告は、昭和四二年五月に創立二〇周年記念祝賀会を東京都内椿山荘で開催した。右祝賀会の意図、規模及び内容は、本件祝賀会と同様であり、参加人員は原告の従業員、家族四一九名と表彰の下請業者一三名で、支出費用は約一八八万円であつた。原告は、右の支出費用を福利厚生費として経理処理したが、当時の国税当局の実地調査によつても何ら問題にはならず、原告の処理が是認された。 しかるに、被告は、本件処分において、本件支出についてのみ相当の調査もないまま突如交際費等として損金不算入にしたものであつて、これは税務の公平統一の原則にもとるものといわなければならない。 第六原告の主張に対する被告の認否及び再反論一原告の主張三1のうち、別表四、六の記載内容及び別表五のうち料理、飲物の数量、単価を除くその余の記載内容は認めるが、別表五の料理、飲物の数量、単価は不知、その余は争う。 二同2は争う。 原告は、本件支出のうち、少くとも従業員に対する支出分については福利厚生費として認められるべきであると主張する。しかし めるが、別表五の料理、飲物の数量、単価は不知、その余は争う。 二同2は争う。 原告は、本件支出のうち、少くとも従業員に対する支出分については福利厚生費として認められるべきであると主張する。しかし、本件支出は前記のとおりもつぱら従業員のためにのみ支出されたものではない。そして、取引先等(下請業者を含む。)と従業員が一体となつて行う宴会等は、事業関係者間の親睦を密にして取引関係の円滑な進行を図るものであつて、このために支出された費用は、取引先等と参加した従業員等とを区別することなくすべて交際費等とされるべきものである。 また、原告は、通常一般の税務実務においても、総体的に占める構成指数一〇パーセントに満たないものは、特に課税上弊害がない限り是認しているのが実情であると主張するが、独自の見解にすぎず、そのような実情は存在しない。 三同3は争う。 本件支出が措置法六二条四項括弧書で定める通常要する費用の範囲内にあるか否かは、原告の本件祝賀会に対する意図、目的にかかわりなく、その開催場所、参加者一人当たりの費用、飲食の内容等を総合して、それに要した費用が当該法人において従業員の福利厚生のための費用として全額を負担するのが通常一般的にみて相当であるか否かによつて判断されるべきものである。 四同4のうち、被告が当初更正処分において交際費等と認定していた三二万一五一〇円を本件処分では交際費等から除外したことは認めるが、その余は争う。右三二万一五一〇円の内訳は別表七の「交際費等と認定しなかつた支出費用」欄記載のとおりである。なお、被告は、本件処分で別表七の「新たに交際費等と認定した支出費用」欄記載の三万七三四〇円を新たに交際費等と認定することとした。 被告は、右三二万一五一〇円が当然に交際費等に該当しないものと判断した訳ではなく、原告が本件祝賀会の日に たに交際費等と認定した支出費用」欄記載の三万七三四〇円を新たに交際費等と認定することとした。 被告は、右三二万一五一〇円が当然に交際費等に該当しないものと判断した訳ではなく、原告が本件祝賀会の日に同一場所で永年勤続者表彰も併せて行つているため、右三二万一五一〇円が右表彰と本件祝賀会のいずれに支出されたかを明らかにすることができず、かつ表彰のための右の支出は福利厚生費となるので、原告に有利に取り扱つたものである。 五同5は争う。 原告は、創立二〇周年記念祝賀会を本件祝賀会と同様の意図、規模、内容等で開催し、その支出費用を福利厚生費として処理し、国税当局もこれを是認していたにもかかわらず、本件支出についてのみ相当の調査もないまま突如交際費等として損金不算入にしたのは、税務の公平統一の原則にもとるものであると主張する。しかしながら、被告としては、原告の主張する処理を正当として是認したことはなく、しかも、租税の賦課は法律に従つてなすべきものであり、仮に従来の税務処理が誤つていた場合には、これを是正するのは当然のことであるから、原告の主張は失当である。 第七証拠関係(省略)○ 理由一原告の本件事業年度の法人税の課税経過が別表一のとおりであること、被告が原告が福利厚生費として損金に計上して確定申告をした本件支出五九〇万三八三五円を措置法六二条所定の交際費等に当たるとした上、原告の所得金額を別表二のとおり認定して本件処分をしたことについては当事者間に争いがないところ、原告は本件支出が交際費等に該当することのみを争うので、以下この点について検討する。 二措置法六二条は、「交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、きよう応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの」を 二措置法六二条は、「交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、きよう応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの」を、「交際費等」として、その額が一定の金額を超えるときは、その超える金額の一定割合額を所得の金額の計算上損金の額に算入しないこととしている。法人が支出した交際費等は、事業のために使われでいる限りは、企業会計上はその全額が費用となるべき性質のものである。 しかし、法人の冗費・濫費を抑制し、自己資本の充実を図る等の政策上の目的から、右のように損金不算入の特例を設けたものと解される。 そして、措置法六二条は、「もつぱら従業貝の慰安のために行なわれる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用」については、損金不算入の取扱いを受ける交際費等から除外することとしている。措置法六二条が四項の括弧書で右費用を交際費等から除外しているのは、従業員も「事業に関係のある者等」に含まれ、その慰安行事のため支出する費用が本来は交際費等に該当することを前提としながら、右費用が通常要する費用の範囲を超えない限りは従業員の福利厚生費として法人において負担するのが相当であり、その全額につき損金算人を認めても法人の社会的冗費抑制等の目的に反しないとして、これを交際費等から除外することにしたものと解される。したがつて、交際費等から除外されるためには、もつぱら従業員の慰安のための行事の費用であると同時に、当該行事が法人が費用を負担して行う福利厚生事業として社会通念上一般的に行われていると認められるものであることを要すると解するのが相当であり、たとえ従業員の慰安のための行事であつても、通常一般的に行われている程度を超えるときは、その費用は通常要する費用の範囲を超えるものとして交際費等に れるものであることを要すると解するのが相当であり、たとえ従業員の慰安のための行事であつても、通常一般的に行われている程度を超えるときは、その費用は通常要する費用の範囲を超えるものとして交際費等に該当するものと解すべきである。そうして、当該行事が右の通常一般的に行われる範囲内のものであるか否かは、当該行事の規模、開催場所、参加者の構成及び一人当たりの費用額、飲食の内容等を総合して判断すべきである。 三証人Aの証言により真正に成立したものと認められる甲第四、第五、第八ないし第二四号証、同証言により原告従業員が東京本社における本件記念行事の模様を撮影した写真であることが認められる甲第六号証の一ないし三、第七号証の一ないし五、証人Aの証言、弁論の全趣旨によると、次の事実が認められ、この認定に反する証拠はない。 1 原告は、電気工事を主とする一般建設業を営む株式会社であるが、昭和二二年五月二〇日の設立以来、毎年の創立記念日には特別記念行事は行わず、会社内の一室に幹部社員を集めて従業員、下請業者の表彰を行うにとどめ、一〇年ごとの創立記念日に祝賀行事を催していた。 2 原告は、昭和五二年五月二〇日の創立三〇周年記念日に当たり、創立を祝い一層の飛躍を期するとともに、従業員及びその家族並びに下請業者の労を慰める等の目的の下に、別表三のとおり東京本社及び大阪・名古屋の両支店で同月二〇日から二七日かけて、一流宴会場である八芳園、太閤園及び名古屋国際ホテルを会場にして本件記念行事を開催した。参加人員は合計六二七名で、別表三のとおり従業員四〇七名及びその家族一六〇名のほかに下請業者六〇名が含まれていた。 3 原告の下請業者は、本件事業年度当時会社、個人併せて八五に上り、営業規模は平均して四、五名で、下請業者の約半数は原告の注文にほとんど依存している。 これらの のほかに下請業者六〇名が含まれていた。 3 原告の下請業者は、本件事業年度当時会社、個人併せて八五に上り、営業規模は平均して四、五名で、下請業者の約半数は原告の注文にほとんど依存している。 これらの下請業者は、原告の受注工事を施行する際には、原告会社名の表示された原告備付けの従業員用保安帽・作業服・靴を着用し、原告の従業員と同じ現場で作業に従事し、その間原告の指揮監督を受ける。しかし、当該工事が完了すれば、原告とは独立した工事業者として原告の指揮から離れ、随時他の業者等から工事を請負うことは自由な立場にあつた。原告は、右八五の下請業者に本件記念行事の案内状各一通を送つたところ、六〇の各下請業者の代表が参加した。 4 本件記念行事においては、まず記念式典を行い、社長挨拶、永年勤続社員等表彰及び協力会社表彰(原告の下請業者の中から選ばれた二、三の優秀業者の表彰)をした後、引き続いて本件祝賀会に移り、プロの楽団や芸能人等が加わつた余興を楽しみながら飲食をした。本件祝賀会の所要時間は東京本社が約三時間であり、大阪・名古屋の両支店も大体同様であつたと推測される。 5 本件支出五九〇万三八三五円は、本件祝賀会に要した費用であり、各事業所ごとの内訳は別表三のとおりである。本件支出のうちサービス料及び税金を除けば、そのほとんどは和洋食・中華料理・日本酒・ビール・ウイスキー等の飲食代と余興代であり、その明細は別表四ないし六のとおりである。これを各事業所ごとの参加者一人当たりの費用額に換算すると、東京本社九三三九円(ただし、家族を独立の人員に算入せず、従業員及び下請業者単位で計算すると一万三〇四五円)、大阪支店一万〇六二〇円(同じく一万三六二二円)、名古屋支店七八四五円(同じく九〇二二円)となり全体の一人当たりの平均額は九四一六円(同じく一万二六四二円)であ 者単位で計算すると一万三〇四五円)、大阪支店一万〇六二〇円(同じく一万三六二二円)、名古屋支店七八四五円(同じく九〇二二円)となり全体の一人当たりの平均額は九四一六円(同じく一万二六四二円)である。 (以上のうち、原告が電気工事を主とする一般建設業を営む株式会社であり、昭和二二年五月二〇日に設立されたこと、昭和五二年五月二〇日の会社創立三〇周年記念として、別表三のとおり本件記念行事を開催し、そのうちの本件祝賀会の費用として五九〇万三八三五円の本件支出をし、これを福利厚生費として確定申告したこと、別表四、六の記載内容及び別表五のうち料理、飲物の数量、単位を除くその余の記載内容については、当事者間に争いがない。)四三の事実によれば、本件祝賀会は原告の従業員及び下請業者を接待、きよう応、慰安するための行為であり、そのための費用である本件支出は、「事業に関係のある者等に対する接待、きよう応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの」として、措置法六二条四項括弧書に該当しない限りは、同条の交際費等に当たるというべきである。 五そこで、本件支出が措置法六二条四項括弧書に該当するかを検討するに、本件祝賀会の参加者六二七名の中には下請業者六〇名が含まれており、本件祝賀会がもつぱら従業員の慰安のためのものであるとはいえない。 また、本件祝賀会は一〇年に一度開催される創立記念行事の一部であるとはいえ、会社外の一流の宴会場においてプロの楽団や芸能人等を招いて行われたもので、そのための費用である本件支出は、総額五九〇万三八三五円に上り、従業員及び下請業者一人当たりの平均額で一万二六四二円であつて、わずか三時間前後の短時間に行われた行事の費用としては相当に高額であり、これらの諸点を総合すれば、本件祝賀会は、法人が費用を負担して行う福利厚生事業 業者一人当たりの平均額で一万二六四二円であつて、わずか三時間前後の短時間に行われた行事の費用としては相当に高額であり、これらの諸点を総合すれば、本件祝賀会は、法人が費用を負担して行う福利厚生事業として社会通念上一般的に行われていると認められる行事の程度を超えているものといわざるを得ない。 したがつて、本件支出は、もつぱら従業員の慰安のためのものではなく、また通常要する費用の範囲を超える点において、措置法六二条四項括弧書の費用に該当せず、交際費等に該当するものというべきである。 六原告は、本件祝賀会に参加した下請業者はいわば原告の準従業員ともいうべき立場にあるから、その参加により本件支出が福利厚生費に該当しなくなるものではないと主張する。 下請業者の従業員で当該法人の工事現場等において専属的ないし経常的に業務に従事している者は、従業の実態においては当該法人の従業員と大差ないといえるから、これを措置法六二条四項括弧書の従業員に含める余地がないとはいえない。ちなみに、通達六二(一)-一四の二(3)は、「法人が自己の業務の特定部分を継続的に請負つている企業の従業員で専属的に当該業務に従事している者(例えば、検針員、集金員等)の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用を負担する場合のその負担額」は業務委託のために要する費用として交際費等に該当しないものとする、と定めている。しかしながら、原告が本件祝賀会に招待したのは、下請業者の従業員ではなく、下請業者の事業主体であつて、各下請業者はその代表を一名参加させているのである。その上、下請業者の約半数は原告の注文にほとんど依存していたとはいえ、下請業者の全員が原告の業務に専属的ないし経常的に従事していたものではなく、随時他の業者等から工事を請負うことも自由な立場にあつた。した 下請業者の約半数は原告の注文にほとんど依存していたとはいえ、下請業者の全員が原告の業務に専属的ないし経常的に従事していたものではなく、随時他の業者等から工事を請負うことも自由な立場にあつた。したがつて、本件祝賀会に参加した下請業者をもつて原告の従業員と同視し得るものということはできない。そして、本件祝賀会の前に行われた記念式典において、下請業者の中の二、三が協力会社としての表彰を受けていることをも考え併せると、原告が下請業者を本件祝賀会に招待したのは、これまで原告の事業に協力してきたことに感謝し、今後の円満な協力関係の維持を願つて接待するためと認めるのが相当である。したがつて、本件祝賀会がもつぱら従業員の慰安のためのものであるとはいうことができないのである。 更に、原告は、全体の一〇パーセントに満たない数の従業員以外の参加者があつたとしても、これを無視するのが一般的な税務実務上の取扱いである旨の主張をするが、そのような取扱いが一般的であることを認むべき証拠はない。本件祝賀会の場合、従業員の参加者四〇七名に対し、下請業者の参加者は六〇名であつて、これを無視すべきものということは困難である。 また、原告は、仮に、下請業者に係る支出が交際費等に当たるとしても、少なくとも従業員に係る支出分は福利厚生費として認められるべきである旨主張する。しかし、本件祝賀会は、従業員と下請業者を一堂に集めて催されたもので、もつぱら従業員の慰安のための行事といえないものである以上、これについて措置法六二条四項括弧書を適用する余地はないのであつて、本件支出についてはその全体を交際費と認定するのが相当である。したがつて、右の主張も採用できない。 七次に、原告は、本件支出は一〇年に一度の祝賀会に係るものとして妥当な金額であり、通常要する費用の範囲を超えるものではない旨 を交際費と認定するのが相当である。したがつて、右の主張も採用できない。 七次に、原告は、本件支出は一〇年に一度の祝賀会に係るものとして妥当な金額であり、通常要する費用の範囲を超えるものではない旨主張する。しかし、本件支出が一〇年に一度開催される創立記念祝賀会に係るものであることを考慮に入れたとしても、総額において約五九〇万円に上ること、従業員がほぼ全員参加する行事で、総額においてある程度の金額になるのはやむを得ないとはいえ、一人当たりの平均費用も約一万二〇〇〇円と相当に高額であること(家族の招待は従業員に対する慰安に包含されるから、参加した従業員及び下請業者の数で平均額を見るべきである。)、本件祝賀会が社外の一流宴会場においてプロの楽団、芸能人を招いて催されていることを総合勘案すれば、本件祝賀会が従業員の慰安のため法人において費用を負担するのが相当なものとして通常一般的に行われている程度のものとは到底いえず、本件支出は措置法六二条四項括弧書の通常要する費用の範囲を超えるものといわざるを得ない。 原告は、支出金額の多寡をもつて交際費等と福利厚生費とを区別すべきでないとも主張するが、福利厚生費が通常要する費用のものに限られる以上、金額の多寡を無視することは許されないというべきである。 八また、原告は、創立祝賀会の宴会場を社外の適当な場所に求めるのは極めて一般的なことである上、被告は本件処分において本件祝賀会の会場費を交際費等から除外することにより、本件祝賀会の開催場所が社外であることを交際費認定上の問題としないことを明らかにしているのであるから、開催場所が社外の宴会場であることを交際費等認定の根拠とすることは許されない旨主張する。開催場所が社外であるということのみで本件支出が当然に交際費等に該当するとはいえないであろうが、本件祝賀会が 、開催場所が社外の宴会場であることを交際費等認定の根拠とすることは許されない旨主張する。開催場所が社外であるということのみで本件支出が当然に交際費等に該当するとはいえないであろうが、本件祝賀会が法人において従業員の慰安のため費用を全額負担して行う行事として社会通念上一般的に行われているものか否かを判定する際、その開催場所は重要な判断材料といわざるを得ず、開催場所が一流宴会場であることのほかに、本件支出の額、内容等を総合的に勘案すれば、本件祝賀会をもつて通常一般的に行われている福利厚生事業ということができないのである。また、被告は、本件処分において本件祝賀会の会場費等、別表七の「交際費等と認定しなかつた支出費用」欄記載の費用を交際費等から除外しているが、原告が本件記念行事の中で永年勤続者表彰を行つており、右表彰のための支出は福利厚生費に該当するところ、右費用が右表彰のためのものか本件祝賀会のためか明らかでないため、原告に有利な取扱いを行つたにすぎないことが弁論の全趣旨により認められる。そうだとすれば、原告の主張は前提において失当であり、本件祝賀会の性格を判断する上においてその開催場所を考慮に入れることに何らの妨げもないものというべきである。 九最後に、原告は、創立二〇周年記念祝賀会を本件祝賀会と同様の規模、内容等で開催し、その支出費用を福利厚生費として計上し、税務当局もこれを是認していたのに、本件支出についてのみ交際費等と認定することは税務の公平統一の原則にもとると主張し、証人Aの証言によると、原告は、昭和四二年五月に創立二〇周年記念を東京都内椿山荘で開催し、本社役員、支店代表者をはじめ本社の全従業員、家族、下請業者等が参加して表彰式、パーテイーを行つたこと、原告は、右の支出を同年度の福利厚生費として確定申告をしたところ、税務調査はあ 内椿山荘で開催し、本社役員、支店代表者をはじめ本社の全従業員、家族、下請業者等が参加して表彰式、パーテイーを行つたこと、原告は、右の支出を同年度の福利厚生費として確定申告をしたところ、税務調査はあつたものの特に更正処分は受けなかつたことが認められる。右の税務調査の内容程度は必ずしも明らかでないが、それがどの程度のものであれ、一〇年前の同種確定申告につき更正処分がなされなかつたというだけでは、信義則や禁反言の法理にいう信頼の原因たる行為ないし表示があつたものとは到底いえない。法律上の根拠なく特定の者に対し租税を減免することはもとより許されないところであり、創立二〇周年記念行事の費用につき更正処分がなかつたことにより、原告が本件支出も福利厚生費用として是認されるものとの期待を持つたとしても、そのような期待は法律による課税を犠牲にしてまで保護すべきものとする理由はない。たとえ、過去において誤つた税務処理がなされたとしても、それに拘束されるいわれはなく、取扱いを是正し、法律に従つた課税を行うことこそ租税法律主義の理念に合致するものである。原告の主張する税務の公平統一の原則は、各種の租税法律関係において国民は公平平等に取り扱われなければならないという理念をいうものであり、本件においては適用の余地がない。 一〇 以上のように、原告の主張はいずれも理由がなく、本件支出を措置法六二条の交際費等に該当するとした本件処分に原告主張の違法はないものというべきである。 よつて、原告の請求は理由がないから、これを棄却することとし、訴訟費用の負担について行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。 (裁判官泉徳治大藤敏菅野博之)別表一、二、四-七、(省略) 条、民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。 (裁判官泉徳治大藤敏菅野博之)別表一、二、四-七、(省略)

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