平成26年11月26日判決言渡平成24年(行ウ)第164号会場使用許可処分義務付等請求事件(以下「第1事件」という。)平成25年(行ウ)第156号会場使用許可処分の義務付け等請求事件(以下「第2事件」といい,第1事件と併せて「本件各事件」という。) 主文 1 本件各訴えのうち,学校施設使用願に係る不許可処分が無効であることの確認を求める各部分をいずれも却下する。 2 被告は,原告に対し,41万7658円及びうち20万9020円に対する平成24年9月8日から,うち20万8638円に対する平成25年9月14日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 原告のその余の各請求をいずれも棄却する。 4 訴訟費用は,これを15分し,その14を原告の負担とし,その余は被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 第1事件(1) 大阪市立A小学校長が平成24年8月7日付けでした原告の同年7月31日付け学校施設使用願に係る不許可処分が無効であることを確認する。 (2) 被告は,原告に対し,310万9020円及びこれに対する平成24年9月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 第2事件(1) 大阪市立B小学校長が平成25年7月8日付けでした原告の同日付け学校施設使用願に係る不許可処分が無効であることを確認する。 (2) 被告は,原告に対し,310万8638円及びこれに対する平成25年9月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要大阪市の公立小中学校等に勤務する教職員によって組織された職員団体である原告が,主催する教育研究集会(以下「教研集会」という。)の会場として,①平成24年には大阪市 第2 事案の概要大阪市の公立小中学校等に勤務する教職員によって組織された職員団体である原告が,主催する教育研究集会(以下「教研集会」という。)の会場として,①平成24年には大阪市教育委員会(以下「市教委」という。)及び大阪市立A小学校(以下「A小学校」という。)校長に対し,②平成25年には市教委及び大阪市立B小学校(以下「B小学校」といい,A小学校と併せて「本件各小学校」という。)校長に対し,本件各小学校の施設の目的外使用許可の申請をしたところ,各校長が,①については平成24年8月7日付けで,②については平成25年7月8日付けで,いずれも不許可処分(以下,まとめて「本件各不許可処分」といい,そのうち①に関するものを「平成24年度不許可処分」,②に関するものを「平成25年度不許可処分」という。)をしたことから,被告に対し,本件各不許可処分の無効確認を求めるとともに(以下「本件無効確認請求」という。),国家賠償法に基づく損害賠償及びこれに対する各教研集会の開催日から民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める(以下「本件損害賠償請求」という。)事案である(第1事件は平成24年度不許可処分,第2事件は平成25年度不許可処分,にそれぞれ関するものである。)。 なお,原告は,本件各事件のいずれにおいても,訴えの提起時には,本件各不許可処分の取消しと使用許可処分の義務付けを求めていたが,後に,使用許可処分の義務付け請求を本件損害賠償請求へ,本件各不許可処分の取消請求を本件無効確認請求へ,それぞれ訴えを変更したものである。 以下において,職員団体と労働組合を併せて,「労働組合等」という。 1 前提事実(当事者間に争いのない事実のほか,掲記の証拠により容易に認められる事実)(1) 当事者等ア原告は, 下において,職員団体と労働組合を併せて,「労働組合等」という。 1 前提事実(当事者間に争いのない事実のほか,掲記の証拠により容易に認められる事実)(1) 当事者等ア原告は,大阪市教員組合等を前身とする昭和36年3月に結成された職 員団体であり,大阪市立の小学校,中学校,高等学校,特別支援学校,学校経営管理センター及び幼稚園に勤務する教職員によって構成され,大阪市人事委員会に登録されている。 原告は,例年,年に1回,被告の公立学校の施設を会場として教研集会を行っており,校種や職種で区別することなく,課題毎に実践を報告し討議している。 イ相手方は,市教委を設置する地方公共団体である。 市教委は,地方教育行政の組織及び運営に関する法律(以下「地教行法」という。)23条1号に基づいて,その所管する本件各小学校を管理している行政庁である。 (2) 校長の学校施設使用許可権限ア地教行法23条2号は,教育委員会が,学校その他の教育機関の用に供する財産(以下「教育財産」という。)を管理するものと定めているが,同法26条1項により,教育委員会は,教育委員会規則によってその権限に属する事務の一部を教育長に委任することができ,さらに,同条3項により,教育長は,同条1項により委任された事務等の一部をその所管する学校の職員等に委任することができるものとしている。 イ地教行法33条に基づいて制定された大阪市立学校管理規則(以下「本件学校管理規則」という。)11条において,「学校の施設及び設備の貸与については,校長の意見を聞いて教育委員会が許可する。ただし,軽易又は定例の事項については校長が許可する」と定められ,通達(昭和24年8月5日市教育長通ちょう)に基づき,学校施設の1日以内の目 貸与については,校長の意見を聞いて教育委員会が許可する。ただし,軽易又は定例の事項については校長が許可する」と定められ,通達(昭和24年8月5日市教育長通ちょう)に基づき,学校施設の1日以内の目的外使用の許可に関する事務については,授業及び管理上支障のない時に限り,校長の権限において実施されている。(甲8,10)ウ市教委は,平成6年10月4日,行政手続法の施行に伴い,各学校長に対し,学校施設の一時的目的外使用について,別紙「申請に対する処分に 係る審査基準及び標準処理期間」の書式を定めるとともに,これを申請者等の求めに対して提示するように指示する旨の通知(平成6年10月4日教委校(全)第83号)を出した。 なお,上記の審査基準及び標準処理期間(以下「本件審査基準」という。)は,上記通知によって実質的に変更されたところはなく,許可の対象として,(1)イにおいて「学術調査,研究その他公共目的のため,講演会,研究会等の用に短期間供する場合」を,同シにおいて「社会教育法第5条に規定する諸行事に適合するもの」を,同スにおいて「協同組合,同業組合,労働組合等の組合員のみの組合本来の集会」を列挙している。 (以上,甲8)(3) 大阪市労使関係に関する条例(平成24年大阪市条例第79号。以下「本件条例」という。)の制定等ア本件条例は,平成24年7月27日,大阪市会(以下「市会」という。)で可決され,同月30日の公布を経て,同年8月1日施行された。同条例には,次の条項が定められている。(甲7)第1条(目的)この条例は,労働組合等と本市の当局との交渉の対象となる事項の範囲,交渉内容の公表等に関する事項等を定めることにより,適正かつ健全な労使関係の確保を図り,もって市政に対する市民の信頼を確保することを目的とする 労働組合等と本市の当局との交渉の対象となる事項の範囲,交渉内容の公表等に関する事項等を定めることにより,適正かつ健全な労使関係の確保を図り,もって市政に対する市民の信頼を確保することを目的とする。 第12条(便宜供与)労働組合等の組合活動に関する便宜の供与は,行わないものとする。 イ市教委は,平成24年7月30日,各学校長に対し,本件条例の施行に伴い,本件審査基準を次のとおり一部改正する旨の通知(教委校(小)第30号外)を出した。(甲9)(ア) 改正事項審査基準(1)ス中「,労働組合」を削除する。 (イ) 施行期日平成24年8月1日(ウ) 改正理由本件条例12条では,労働組合等の組合活動に関する便宜の供与は,行わないものとしている。そのため行政財産の目的外使用許可についても,労働組合に対する許可を行わないこととする。 ウさらに,市教委は,平成24年8月1日,各校園長に対し,「『大阪市労使関係に関する条例』等の施行について」と題する通知(教委校(全)第44号)をもって,本件条例12条に関し,次のとおり指示した(以下,上記イの通知と併せて「本件各通知」という。)。(甲21)「これまで校園長が施設管理者の権限に基づき認めてきた組合活動のための会議室・教室等の使用は,労働組合等への便宜供与にあたります。手続きとしては,校園長が『学校施設の目的外使用許可申請に対する処分に係る審査基準』に基づき会議室・教室等の目的外使用許可を行っていましたが,条例施行日以降は,労働組合等への便宜供与は行わないこととなるので,これら施設を労働組合活動のために使用許可することはできません。 なお,上記『審査基準』は条例の施行日に合わせて改正しています。」(4) 平成24年度不許可処分ア原 ととなるので,これら施設を労働組合活動のために使用許可することはできません。 なお,上記『審査基準』は条例の施行日に合わせて改正しています。」(4) 平成24年度不許可処分ア原告は,平成24年7月31日,「○」(以下「○」という。)に使用するため,市教委及びA小学校長に対し,以下の内容の学校施設使用願を提出して,同小学校の施設について目的外使用の許可申請をした(以下「平成24年度の許可申請」という。)。(甲11)(ア) 使用学校名 A小学校使用箇所講堂,普通教室,特別教室等10室(イ) 使用日時平成24年9月8日(土)午前9時から午後3時まで(ウ) 使用目的教研集会 (エ) 会衆の種類及び見込み人数約300人(オ) 会費及び入場料等の徴収なしイ ○の内容は,次のとおりである。(甲17の2)(ア) 日程午前9時要員集合,あいさつ(委員長)午前9時10分会場準備午前9時30分準備完了,受付開始午前10時分科会開始午後零時分科会終了午後零時10分全体会(主催者(委員長),現地代表(北部支部長)及び共闘団体のあいさつ,A小学校ブラスバンド演奏(15分))午後零時45分閉会,あいさつ(書記長),後片付け午後1時30分終了,要員集合,あいさつ(書記長)(イ) 分科会障がい児教育 50人(音楽室)在日朝鮮人教育 50人(6-1教室)部落解放教育 40人(5-1教室)平和教育 40人(4-1教室)国際連帯の教育 40人(3-2教室)健康教育 40人(5-1教室)平和教育 40人(4-1教室)国際連帯の教育 40人(3-2教室)健康教育 40人(2-2教室)ジェンダー平等教育 40人(図書室)特別分科会1(多様性教育入門) 40人(2-1教室)特別分科会2(原発ワークショップ) 40人(1-2教室)ウ A小学校長C(以下「C校長」という。)は,平成24年8月7日,上記アの申請について本件条例12条に基づき不許可とする平成24年度不 許可処分を行った。(甲12)エ原告は,平成24年4月18日,平成24年度不許可処分がなされることに備えて,「エル・おおさか」(大阪府立労働センター。以下「本件代替施設」という。)の貸会議室11室を予約し,同年5月30日,その使用料として10万9020円を支払い,同年9月8日,同所において○を開催した。(甲31の1・2)(5) 平成25年度不許可処分ア原告は,平成25年7月8日,「○」(以下,「○」といい,○と併せて「本件各教研集会」という。)に使用するため,市教委及びB小学校長に対し,以下の内容の学校施設使用願を提出して,同小学校の施設について目的外使用の許可申請をした(以下「平成25年度の許可申請」といい,平成24年度の許可申請と併せて「本件各申請」という。)。 (甲59)(ア) 使用学校名 B小学校使用箇所 1-1教室,2-1教室,3-1教室,4-1教室,5-1教室,6-1教室,多目的室,音楽室,理科室及び体育館(イ) 使用日時平成25年9月14日(土)午前8時30分から午後4時まで(ウ) 使用目的教研集会(エ) 会衆の種類及び見込み人数約300人 的室,音楽室,理科室及び体育館(イ) 使用日時平成25年9月14日(土)午前8時30分から午後4時まで(ウ) 使用目的教研集会(エ) 会衆の種類及び見込み人数約300人(オ) 会費及び入場料等の徴収なしイ ○の内容は,次のとおりである。(甲65)(ア) 日程午前9時要員集合,あいさつ,打ち合わせ午前9時10分会場準備 午前9時30分準備完了,受付開始午前10時分科会開始午後零時分科会終了,移動午後零時10分全体会オープニング,太鼓演奏とアピール午後零時30分主催者代表あいさつ,現地代表あいさつ午後零時40分交流の広場バザー・出店午後2時分科会報告(各分科会5分程度)午後2時50分閉会あいさつ,後片付け午後3時終了,要員集合,あいさつ午後3時30分から午後5時までフィールドワーク(希望参加)(イ) 分科会障がい児教育 50人(多目的室)在日朝鮮人教育 50人(1年生教室)部落解放教育 50人(2年生教室)平和教育 40人(3年生教室)国際連帯の教育 40人(4年生教室)健康教育 40人(5年生教室)ジェンダー平等教育 40人(6年生教室)特別分科会1 40人(音楽室)(○)特別分科会2 40人(理科室)(○)ウ B小学校長D(以下,「D校長」といい,同校長とC校長を併せて「両校長」という。)は,平成25年7月8日,上記アの申請について本件条例12 2 40人(理科室)(○)ウ B小学校長D(以下,「D校長」といい,同校長とC校長を併せて「両校長」という。)は,平成25年7月8日,上記アの申請について本件条例12条に基づき不許可とする平成25年度不許可処分を行った。(甲60) エ原告は,平成25年4月8日,平成25年度不許可処分がなされることに備えて,本件代替施設の貸会議室11室を予約し,同月9日,その使用料として10万5630円を支払い,同年9月14日,同所において○を開催した。(甲83の1・2) 2 争点及び争点に対する当事者の主張(1) 本件無効確認請求の適法性(原告の主張)原告は,本件無効確認請求をする法律上の利益を有する者であり,かつ,本件各不許可処分に起因する紛争を解決するために,争訟形態として,同各処分の無効を前提とする当事者訴訟又は民事訴訟によるよりも,本件無効確認請求の方がより直截的で適切であるから,本件無効確認請求は適法である。 被告の主張によれば,取消訴訟は許されないが無効確認訴訟が許される場合は,取消訴訟の出訴期間を経過した場合に限られるが,このような理解は,取消訴訟と無効確認訴訟とで,問題となる行政処分の瑕疵の大きさが異なることを看過したものであり,正しくない。 また,本件損害賠償請求が認容されるための要件は,本件無効確認請求のそれとは完全に重なり合うわけではなく,本件各不許可処分が違法とされても処分権者に故意・過失がなければ本件損害賠償請求による救済を受けることができないし,同請求が認容された場合でも,その効果は,上記処分により生じた損害が事後的に金銭により填補されるに止まるなど,将来の処分も含めた紛争の抜本的解決にはならない。 (被告の主張)原告は,本件各 容された場合でも,その効果は,上記処分により生じた損害が事後的に金銭により填補されるに止まるなど,将来の処分も含めた紛争の抜本的解決にはならない。 (被告の主張)原告は,本件各教研集会の予定日時は既に経過したため,本件損害賠償請求を行っているのであるから,本件無効確認請求については,「その効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができないもの」(行政事件訴訟法36条)ではないから,訴えの利益を欠く。 仮に本件無効確認請求が認容されたとしても,それは問題となっている当該処分又は同処分を前提とする後続処分(当該処分と同種の処分ではない。)による権利利益の侵害を排除するにすぎず,法律上,被告に対し,以後の学校施設の目的外使用許可を義務付けるものではないから(仮に,将来同じ理由による処分を受けないという判決の拘束力があることを理由に訴えの利益を肯定すると,行政事件訴訟法36条後段の補充性の制限は無意味になる。),本件各不許可処分の無効確認は,何ら紛争解決に資するものではないというべきである。 (2) 本件各不許可処分の違法性(原告の主張)被告は,本件条例12条の存在を唯一の理由として本件各不許可処分を行ったが,以下のとおり,本件条例は違憲若しくは違法により無効であり,又は,両校長は,本件条例12条の適用を誤ったものであるから,本件各不許可処分は,無効な本件条例12条のみを考慮し,他方,当然考慮すべき事項(教研集会の意義や学校教育上の支障のないことなど)を十分考慮しておらず,裁量権を逸脱・濫用したもので違法というべきである。 ア本件条例12条の違憲性又は違法性本件条例12条は,労働組合等に対し,被告の施設の利用を全面的に禁止するという 十分考慮しておらず,裁量権を逸脱・濫用したもので違法というべきである。 ア本件条例12条の違憲性又は違法性本件条例12条は,労働組合等に対し,被告の施設の利用を全面的に禁止するというものであるが,このような広範かつ峻厳な規制を行わなければならない理由はなく,以下のとおり違憲又は違法により無効である。 (ア) 各種法令違反本件条例12条は,地教行法並びに地方自治法で定められた教育委員会の権限を制約するものであるから,地方自治法14条1項に違反し,さらに①国民及び市民に対し「行政財産を使用する権利」を保障する地方自治法238条の7第1項,②学校施設を管理する機関に対し,学校教育に支障のない限り,学校施設の提供等の方法によって社会教育(原 告の教研集会もこれに含まれると解する。)の振興に努める義務を課す教育基本法12条2項,学校教育法137条及び社会教育法44条1項並びに③教育公務員の任命権者に対し教育公務員の自主研修の機会を確保する義務を課す教育公務員特例法21条及び22条にいずれも違反し無効である。 なお,上記の諸規定が定める権利義務は,全国的に一様であるべきであることがその立法趣旨に含まれているから,条例によってその内容を変更することは許されない。 (イ) 憲法14条違反被告の学校施設の目的外使用は,本件条例の施行後も,従前と同様に,多種多様な個人や団体に対して許可されており,本件条例12条は,便宜供与について,労働組合等を他の団体と差別的に取り扱うものである。 したがって,これが憲法14条に違反しないというためには,その目的が必要不可欠なものであり,かつ,その目的達成手段が必要最小限度の制約でなければならない。しかるに,同条例は,適正かつ健全な労使関係の確保 って,これが憲法14条に違反しないというためには,その目的が必要不可欠なものであり,かつ,その目的達成手段が必要最小限度の制約でなければならない。しかるに,同条例は,適正かつ健全な労使関係の確保を図ることにより,市政に対する市民の信頼を確保することを目的とするところ,労使関係と市民の信頼を確保することの間に直接の関係はないから,その目的は必要不可欠なものとはいえない。さらに,その目的達成手段として,労使関係において何の問題も生じていない労働組合等に対してまで便宜供与を一切行わないとすることは,必要な最小限度の制約であるともいえない。 したがって,本件条例12条は,憲法14条に違反し無効である。 (ウ) 憲法28条違反本件条例12条は,労働組合等に対する便宜供与を一律に禁止するものであるから,憲法28条により保障された団結権及び団体行動権(以下「団結権等」という。)を制約するものである。したがって,これが 憲法28条に違反しないというためには,その目的が必要不可欠なものであり,かつ,その目的達成手段が必要最小限度の制約でなければならない。しかるに,同条例の目的は,前記(イ)のとおり,必要不可欠なものとはいえない。さらに,労働組合等の組合活動は,使用者の便宜供与に依拠しているのが実情であるにもかかわらず,これを一律に禁止することは,上記組合活動を阻害し,労使の間に無用な緊張と葛藤を生むから,上記目的を阻害する危険すらあり,上記目的と同条の規制手段との間には合理的関連性があるともいえない。 したがって,本件条例12条は,労働組合等に対する差別的取扱いに該当し,憲法28条が保障する団結権等を実質的に侵害するもので無効である。 イ本件条例12条の適用の誤り本件各不許可処分は,以下の理由により,本件 例12条は,労働組合等に対する差別的取扱いに該当し,憲法28条が保障する団結権等を実質的に侵害するもので無効である。 イ本件条例12条の適用の誤り本件各不許可処分は,以下の理由により,本件条例12条の適用を誤ったもので,違法であるというべきである。 (ア) 本件条例12条にいう便宜供与は,労働組合等に特権的に与えられているものをいうと解されるところ,本件各申請は,市民と同じ条件の下で行ったものであるから,同条にいう便宜供与にはあたらない。 (イ) 本件条例12条は,同条例の制定目的に照らし,適正かつ健全な労使関係の確保を阻害する便宜供与のみを禁止するものであると解されるところ,原告の被告に対する学校施設の目的外使用許可申請は,長年にわたり本件審査基準に従って許可されてきており,児童生徒の教育や学校運営に何らの問題も生じさせたことはなかった。 したがって,本件各申請は,本件条例12条にいう便宜供与にはあたらない。 (ウ) 本件各申請は,本件審査基準(1)イ(学術調査,研究その他公共目的のため,講演会,研究会等の用に短期間供する場合)又は同シ(社会 教育法第5条に規定する諸行事に適合するもの)に該当するから,目的外使用許可の対象である。 (エ) 本件条例は,平成24年度の許可申請がなされた平成24年7月31日において,未だ施行されておらず,本件条例施行と同時に改正された本件審査基準も公表されていなかったのであるから,本件条例12条に従って行われた平成24年度不許可処分は,行政手続法5条3項に違反する。 (被告の主張)ア本件条例12条の違憲性又は違法性原告の主張をいずれも争う。その理由は以下のとおりである。 (ア) 各種法令違反 違反する。 (被告の主張)ア本件条例12条の違憲性又は違法性原告の主張をいずれも争う。その理由は以下のとおりである。 (ア) 各種法令違反地教行法25条は,地方議会が教育委員会の事務の管理又は執行についてその裁量を制限する条例を制定することを予定しており,また,そもそも本件条例12条は,教育委員会の管理権限を制約することを目的としたものではないから,本件条例12条は地方自治法14条1項に違反しない。 地方自治法238条の7第1項は,申請権を認めたものにすぎず,使用希望者に対し,「行政財産を使用する権利」を保障した規定ではない。 教育基本法12条2項,学校教育法137条及び社会教育法44条1項は,施設管理者に対し,労働組合等が行う教研集会のために学校施設の利用を許可することを義務付けた規定ではない。 教育公務員特例法22条は,教育公務員の任命権者の研修実施義務を定めた規定であり,自主研修のために施設を提供する義務を定めた規定ではない。 (イ) 憲法14条違反本件条例12条が,労働組合等に対してのみ便宜供与を与えないよう にしたのは,以下のとおり合理的な理由があり,憲法14条に違反しない。 すなわち,被告においては,本件条例制定前から,労使関係の適正化に向けて様々な施策を行ってきたが,被告の方針に反する便宜供与が行われるなど不適正ないし不健全な労使関係が維持されてきたものであり,不祥事案といえる便宜供与に限って禁止した場合,その評価自体が困難であるうえ,禁止の対象外となった便宜供与が不適正ないし不健全な労使関係の新たな温床ともなりかねないから,実効性を担保するためには,労働組合等に対する便宜供与を一律に禁止するほかな の評価自体が困難であるうえ,禁止の対象外となった便宜供与が不適正ないし不健全な労使関係の新たな温床ともなりかねないから,実効性を担保するためには,労働組合等に対する便宜供与を一律に禁止するほかなかった。 (ウ) 憲法28条違反使用者の労働組合に対する便宜供与は,憲法28条が保障する団結権に当然に含まれるものではない。 また,原告は,本件各不許可処分にかかわらず,本件代替施設において教研集会を開催しており,本件条例12条によって原告の組合活動が阻害されたということはない。 イ本件条例12条の適用の誤り原告の主張をいずれも争う。その理由は以下のとおりである。 (ア) 行政財産の目的外使用を始めとして,労働組合等の組合活動に関する便宜供与にあたるものについては,本件条例12条により,市教委及び学校長等が裁量権を行使する余地はない。そして,原告の教研集会は,組合活動であり,これを目的とする学校施設の使用許可は,労働組合等の組合活動に関する便宜供与にあたるから,両校長は,原告の本件各申請に対し許可することはできなかった。 なお,本件条例12条の原案は,「労働組合等の活動に関し本市が行う便宜の供与は,本市において適正かつ健全な労使関係が確保されていると認められない限り,行わないものとする」という文言であったが, これは,元々,個々の労働組合等との労使関係が適正かつ健全であるかどうかを個別に判断して便宜供与を行うという趣旨ではなく,一旦労働組合等に対する便宜供与を止め,将来適正かつ健全な労使関係が確保されたことが認められれば,改めて条例を改正して,労働組合等の便宜供与を許容することもあり得るという趣旨であったから,上記の文言にもかかわらず,現在の本件条例12条と同趣 正かつ健全な労使関係が確保されたことが認められれば,改めて条例を改正して,労働組合等の便宜供与を許容することもあり得るという趣旨であったから,上記の文言にもかかわらず,現在の本件条例12条と同趣旨であった。 (イ) 本件条例は,平成24年度不許可処分時には,既に施行されており,改正後の本件審査基準も平成24年度の許可申請の前日に前提事実(3)イの通知により公になっていたから,本件条例12条の存在を理由とする同処分に行政手続法違反はない。 (3) 両校長の行為の違法性及び過失の有無(原告の主張)両校長は,本件各不許可処分をなすにあたり,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くして,本件条例及び本件各不許可処分が憲法や法令に違反しないかどうかについて調査検討する義務を負っていた。ところが,両校長は,本件各通知に従うのみで,本件条例を精読すらせず,本件条例の解釈について何らの調査検討も行っていない。さらに,本件各申請は,本件審査基準(1)イ又はシにもあたりうるから,両校長は,本件各通知の内容に疑問を持つべきであるにもかかわらず,市教委に問い合わせることもしていない。その結果,本件条例が無効であるか,本件各申請には適用できないにもかかわらず,同条例を適用して本件各不許可処分を行った。 よって,両校長が本件各不許可処分をした行為は,国家賠償法上違法であり,かつ,両校長には過失がある。 (被告の主張)争う。本件条例12条は,被告が労働組合等に対する便宜供与を行うことを一律に禁止するものであり,施設管理者の裁量を一切認めない趣旨である から,本件条例12条の存在を理由として本件各不許可処分を行った両校長の判断に誤りはない。 仮に本件条例12条が無効であったとしても,本件条例は市会で審議され,可 切認めない趣旨である から,本件条例12条の存在を理由として本件各不許可処分を行った両校長の判断に誤りはない。 仮に本件条例12条が無効であったとしても,本件条例は市会で審議され,可決成立したものであって,両校長にはそれに従って公務を遂行する義務があり,それを怠れば非違行為として懲戒処分の対象となるし,その後に条例が違法と判断されたことにより直ちに過失があったとするのは,現場の校長に無理を強いるものであって,公務の遂行を萎縮させるとともに,地方自治体の事務にも支障をもたらす。したがって,本件条例の有効性に関する解釈についても様々な見解があり,本件条例12条が一見極めて明白に違法であるとはいえない以上,両校長が同条の違法性や違憲性を認識せず,また認識しなかったこともやむを得ないから,両校長に過失はない。 (4) 損害の有無及びその額(原告の主張)ア有形損害原告は,本件各不許可処分により,本件各小学校の施設を利用することができず,本件代替施設を有償で借り,譜面代を新たに購入せざるを得なくなった。その施設利用料及び購入費は,平成24年度が10万9020円,平成25年度が10万8638円である。 イ無形損害①原告の教研集会は,単なる研究発表ではなく,教育実践にかかわる研究発表であるとともに,地域活動も含めた会場校の特色を知り,学校でなければできない催しを行うものであるから,実際に使用している学校施設において行うことが不可欠であるにもかかわらず,本件各不許可処分により学校施設を使用することができなかったこと,②本件代替施設は,不特定多数が利用する施設であるから,多数の参加者を誘導することに困難を来たし,また,全体会や交流のための催し(バザーや出店等)を行うこと 使用することができなかったこと,②本件代替施設は,不特定多数が利用する施設であるから,多数の参加者を誘導することに困難を来たし,また,全体会や交流のための催し(バザーや出店等)を行うこと ができなかったこと,③原告は,本件各不許可処分によって,社会的に「適正かつ健全な労使関係」にない団体であると評価されたことなどの事情によれば,原告が本件各不許可処分によって受けた無形損害は,各300万円(合計600万円)を下らない。 (被告の主張)争う。原告が,本件各不許可処分の結果,上記支障が生じたと主張している本件代替施設をいずれも使用していることは,その不利益はさしたるものではないことを示している。 第3 当裁判所の判断 1 争点(1)(本件無効確認請求の適法性)について本件各申請は,いずれも特定の日時において学校施設の目的外使用許可を求めるものであるところ,その特定の日時が経過していることから,使用許可によって得るべき法的利益は消滅したといえる。したがって,本件無効確認請求によって本件各不許可処分の無効を確認しても,上記法的利益を回復することはできず,無効確認を求める訴えの利益(狭義の訴えの利益。以下同じ。)は存在しないから,原告は,本件損害賠償請求によってその被害の回復を図るほかない。 これに対し,原告は,本件各不許可処分について取消訴訟の訴えの利益が存在しないことを認めるものの,無効確認訴訟の訴えの利益は存在する旨主張する。しかしながら,瑕疵ある行政処分の効力を否定するためには取消訴訟を出訴期間内に提起すれば足り,同処分の瑕疵が重大かつ明白であることを前提とするその無効確認訴訟は,取消訴訟により適時に争うことができなかった者に対して例外的に認められる訴訟であり,仮に前記処分の無効確認をしたとしても今後原 ,同処分の瑕疵が重大かつ明白であることを前提とするその無効確認訴訟は,取消訴訟により適時に争うことができなかった者に対して例外的に認められる訴訟であり,仮に前記処分の無効確認をしたとしても今後原告が行う教研集会に関する目的外使用許可の申請について処分行政庁を必ずしも法的に拘束するものではないことも取消訴訟と同様であって,本件損害賠償請求よりも紛争の解決に適切であるともいえないから,訴えの利益に ついて,取消訴訟と別異に解する必要性は認められず,原告の主張を採用することはできない。 よって,本件各訴えのうち,本件無効確認請求に関する部分は,その余の点を検討するまでもなく,不適法であり却下を免れない。 2 争点(2)(本件各不許可処分の違法性)について(1) 判断枠組み地方公共団体の設置する公立学校は,地方自治法244条1項にいう「公の施設」として設けられるものであるが,これを構成する物的要素としての学校施設は,同法238条4項にいう行政財産である。したがって,公立学校施設を設置目的である学校教育の目的に使用する場合には,同法244条の規律に服することになるが,これを設置目的外に使用するためには,同法238条の4第7項に基づく許可が必要である。 そして,学校施設の確保に関する政令(昭和24年2月1日政令第34号。 以下「学校施設令」という。)1条,3条,地方自治法238条の4第7項,学校教育法137条の各規定によれば,学校施設の目的外使用を許可するか否かは,原則として,管理者の裁量に委ねられているものと解するのが相当である。すなわち,学校教育上支障があれば使用を許可することができないことは明らかであるが,そのような支障がないからといって当然に許可しなければならないものではなく,行政財産である学校施設の目的及び用途と目 なわち,学校教育上支障があれば使用を許可することができないことは明らかであるが,そのような支障がないからといって当然に許可しなければならないものではなく,行政財産である学校施設の目的及び用途と目的外使用の目的,態様等との関係に配慮した合理的な裁量判断により使用許可をしないこともできるものである。学校教育上の支障とは,物理的支障に限らず,教育的配慮の観点から,児童,生徒に対し精神的悪影響を与え,学校の教育方針にもとることとなる場合も含まれ,現在の具体的な支障だけでなく,将来における教育上の支障が生ずるおそれが明白に認められる場合も含まれる。また,管理者の裁量判断は,許可申請に係る使用の日時,場所,目的及び態様,使用者の範囲,使用の必要性の程度,許可をするにあたって の支障又は許可をした場合の弊害若しくは影響の内容及び程度,代替施設確保の困難性等許可をしないことによる申請者側の不都合又は影響の内容及び程度等の諸般の事情を総合考慮してされるものであり,その裁量権の行使が逸脱濫用に当たるか否かの司法審査においては,その判断が裁量権の行使としてされたことを前提とした上で,その判断要素の選択や判断過程に合理性を欠くところがないかを検討し,その判断が,重要な事実の基礎を欠くか,又は社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合に限って,裁量権の逸脱又は濫用として違法となるとすべきものと解するのが相当である。 この点,教職員の職員団体は,教職員を構成員とするとはいえ,その勤務条件の維持改善を図ることを目的とするものであって,学校における教育活動を直接目的とするものではないから,職員団体にとって使用の必要性が大きいからといって,管理者において職員団体の活動のためにする学校施設の使用を受忍し,許容しなければならない義務を負うもので 教育活動を直接目的とするものではないから,職員団体にとって使用の必要性が大きいからといって,管理者において職員団体の活動のためにする学校施設の使用を受忍し,許容しなければならない義務を負うものではないし,使用を許さないことが学校施設につき管理者が有する裁量権の逸脱又は濫用であると認められるような場合を除いては,その使用不許可が違法となるものではない。また,従前,同一目的での使用許可申請を物理的支障のない限り許可してきたという運用があったとしても,そのことから直ちに,従前と異なる取扱いをすることが裁量権の濫用となるものではない。もっとも,従前の許可の運用は,使用目的の相当性やこれと異なる取扱いの動機の不当性を推認させることがあったり,比例原則ないし平等原則の観点から,裁量権濫用に当たるか否かの判断において考慮すべき要素となったりすることは否定できない。 (以上,最高裁平成18年2月7日第三小法廷判決・民集60巻2号401頁参照)(2) 本件条例12条について 上記の判断枠組みを前提として,本件について検討するに際し,前提事実(4),(5)のとおり,両校長は,原告に対し,本件条例の施行後,本件各申請につき,本件条例12条を理由に本件各不許可処分を行っているところ,被告は,同条項により,両校長は上記施設を労働組合である原告に使用許可することはできないのであるから,本件各不許可処分は適法であると主張するのに対し,原告は,本件条例が違憲又は違法である旨主張しているので,まず,本件条例の効力について検討する。 ア本件条例の制定の経緯証拠(甲93,乙1,4ないし9,14,15,17,証人E),弁論の全趣旨及び当裁判所に顕著な事実によれば,次の事実が認められる。 (ア) 平成▲年▲月▲日に実施された 定の経緯証拠(甲93,乙1,4ないし9,14,15,17,証人E),弁論の全趣旨及び当裁判所に顕著な事実によれば,次の事実が認められる。 (ア) 平成▲年▲月▲日に実施された被告の市長選挙(以下「本件市長選挙」という。)において,被告代表者市長F(以下「市長」という。)が当選し,同年▲月▲日に就任した。 市長は,就任直後は,労働組合等に対する庁舎内の事務所の便宜供与については,平成24年度においても継続する方針であり,平成25年度から使用料の減免措置を廃止する意向を示していた。 (イ) 平成▲年12月26日,被告の市会交通水道委員会において,G議員から,被告の交通局職員の内部告発に基づき,勤務時間中に選挙活動をするためにバス乗務時間の少ない特殊ダイヤによって従事した者がいること,机の引出しに「選挙関係」というラベルが貼られ,その中に選挙活動関係の書類が大量に入れられていること,事業所の公用電話が選挙活動に使用されていることが指摘された。同局の担当者は,職員2名がバス乗務以外の業務に偏って従事していたこと,組合活動を行うため本来の終業時刻より早く退勤した者がいたことを確認した旨回答した。 また,同議員が,同局の本局庁舎内においても,本件市長選挙前に前市長の推薦者カードが勤務時間内に配布され,選挙期間中に候補者を支援 する内容の労働組合の新聞が数回にわたり卓上に配布されていると聞き及んでいる旨指摘したのに対し,同局の担当者は,指摘された事実を調査し,厳正に対処する旨述べた。 さらに,同議員から,答弁を求められた市長は,次のとおり発言した。 「まず,組合側にはこれまでの考えというか,そういうことをリセットしてもらわなきゃいけないと。今までは組合が推したトップが当選してきたもんですから,それぐら 求められた市長は,次のとおり発言した。 「まず,組合側にはこれまでの考えというか,そういうことをリセットしてもらわなきゃいけないと。今までは組合が推したトップが当選してきたもんですから,それぐらいは許されてきたことがあるんでしょうけれども,僕は一切許しません。一度,組合と今の市役所の体質についてはグレートリセットをして,一から考え直したいというふうに思っています。今まで認められてきた組合活動についても一回リセット。まずは厳格に,まずは認めない方向からどこまで法的に認められるのか,それは法的に認められるとしても,別にそこまで認める必要がないんであれば認めません。組合の事務所も,どうもこの地下にあるんですかね。その家賃については減免ということがあったらしいんですが,それも認めませんし,先ほどの幹部会議で僕は方針を示したんですが,組合の政治活動自体は―これは法的には,特に現業職の場合には政治活動は認められてますけれども,公の施設の中での政治活動というのは―これは公の施設はいろんな政党支持者の人からの納税で支えられている施設なわけですから,そんなところで政治活動なんてするのはあってはならないことである中で,次々といろんな問題が出てきますから,事務所には公のこの施設からまず出ていってもらうというところからスタートしたいと。 ですから,地下の事務所とか,それから交通局にもいろいろ入ってるんですかね,事務所。だから,まずそこから出ていってもらって,まずはそこからスタートかなというふうに思っています。」(ウ) 平成▲年12月28日,市長は,市会定例会の施政方針演説の中で,次の発言をした。 「大阪市役所の組合問題にも執念を燃やして取り組んでいきたいと考えております。大阪市役所の組合の体質はやはりおかしいという風に率直に感じ 定例会の施政方針演説の中で,次の発言をした。 「大阪市役所の組合問題にも執念を燃やして取り組んでいきたいと考えております。大阪市役所の組合の体質はやはりおかしいという風に率直に感じます。この庁舎内で,政治活動をすることは,これは当然許されません。(中略)組合が,この公の施設で,政治的な発言を一言でもするようなことがあれば,これは断じて許せません。(中略)組合を適正化する,ここにも執念を燃やしていきたいと思っております。(中略)大阪市役所のこの組合の体質というものが,今の全国の公務員の組合の体質の象徴だと思っております。ギリシャをみてください。公務員,公務員の組合という者ママをのさばらしておくと国が破綻してしまいます。ですから,大阪市役所の組合を徹底的に市民感覚にあうように是正,改善していくことによって,日本全国の公務員の組合を改めていく,そのことにしか日本の再生の道はないというふうに思っております。」(エ) 平成▲年12月30日,市長は,被告の幹部職員に対し,次の電子メールを送信した。 「まず組合適正化を施政方針演説の軸としたことを,幹部は徹底して認識すること。これまでの価値観を変えてもらわなければなりません。 (中略)組合適正化制度を作ります。(中略)公の施設内での便宜供与は禁止。賃料をとっている事務所(これも早期に退去を求めます)を除いて,まず公の施設内での組合への便宜供与は全て完全に止めます。 (中略)ここはこれまでの価値観を転換し,厳格にルール化します。意見交換,協議等もってのほか。法的に認めらてママいる最低限の交渉しか認めません。以上のルールを破った,所属,職員には厳罰です。」(オ) 平成▲年1月4日,市長は,年頭挨拶において,労働組合等に対するスタンスを適正化する条例を制定する意向を表明 最低限の交渉しか認めません。以上のルールを破った,所属,職員には厳罰です。」(オ) 平成▲年1月4日,市長は,年頭挨拶において,労働組合等に対するスタンスを適正化する条例を制定する意向を表明した後,記者会見において,①本件市長選挙において労働組合等が市長を批判する政治活動を行った以上,選挙結果により政治的リスクを負うべきであり,労働組 合等に対する便宜供与をリセットすることで対応したい,②ガイドラインではなく条例の形式を選択した理由について,労働組合等との関係を適正化するルールや大阪市役所の政治活動のルールは,時の市長や時の権力によって簡単に替えられる内部規範では不十分であり,市民を代表する議会の承認を得た条例でなければならない,などと述べた。 そして,被告は,労働組合等に対し,平成24年度の庁舎内の組合事務所に関する目的外使用許可申請をいずれも不許可とした(以下「平成24年度組合事務所不許可処分」という。)。 (カ) 市長の上記方針を受けて,被告の人事室(当時は総務局人事部)において,平成24年1月中旬ころから本件条例の検討が始められた。また,同月12日,被告と労働組合等との間の不適切な関係を調査し,内部統制の観点からその改善策を提言することを目的として結成された第三者調査チーム(以下「第三者調査チーム」という。)による調査が開始され,同チームは,同年4月2日,「大阪市政における違法行為等に関する調査報告」(以下「本件調査報告」という。)を被告に提出した。 同報告においては,大阪市政における違法行為等の背景に労使癒着の構造があり,それが職員団体等の選挙活動に結びつきやすいと指摘し,本件市長選挙における職員団体等の選挙活動にも触れた上で,上記癒着の構造から脱却するためにヤミ便宜供与の除去,そして,職員 労使癒着の構造があり,それが職員団体等の選挙活動に結びつきやすいと指摘し,本件市長選挙における職員団体等の選挙活動にも触れた上で,上記癒着の構造から脱却するためにヤミ便宜供与の除去,そして,職員の政治活動に関するグレー・ゾーンを解消するためにルールや仕組みを作ることなどが提言された。しかし,市本庁舎内の組合事務所における政治活動や労働組合等による学校施設の目的外使用については何ら触れられていない。 (キ) 平成24年5月8日,人事室長から市長に対し,本件条例の概要が説明され,市長がこれを了解したことから,条例案の具体的検討が開始された。市教委は,同月24日,原告に対し,本件条例の概要を説明す る中で,労働組合等に対する便宜供与は,健全な労使関係が確保されるまで行わないという内容が条例に盛り込まれることを述べた。さらに,市教委は,同年6月5日の原告との交渉において,教研集会についても学校施設の使用を許可しないのかという質問をされたのに対し,これを許可しない旨回答した。 (ク) 被告の総務局行政部行政課が,本件条例の条例案を市会に上程するためのりん議を平成24年6月5日に起案し,同月20日,人事室長から市長に対しその説明がなされた。その際,本件条例12条の原案は,「労働組合等の活動に関し本市が行う便宜の供与は,本市において適正かつ健全な労使関係が確保されていると認められない限り,行わないものとする」という条文であったが,市長は,その条文中,「適正かつ健全な労使関係が確保されていると認められない限り,」について,適正かつ健全な労使関係にあると判断される労働組合等に対しては個別に便宜供与を行うことができるとの誤解を招くことを理由として,これを削除するように指示した。 被告においては,上記指示に従って修正 正かつ健全な労使関係にあると判断される労働組合等に対しては個別に便宜供与を行うことができるとの誤解を招くことを理由として,これを削除するように指示した。 被告においては,上記指示に従って修正された条例案が憲法14条や憲法28条に違反するおそれがないかについては何ら検討しなかった。 (ケ) 市長の上記指示に従って修正された条例案が,平成24年6月27日に市長の決裁を受けて,同年7月6日,市会に上程され,同月12日,財政総務委員会に付託された。同月20日の同委員会の審議において,H議員から,本件条例12条に関し,条例成立後は,職員団体が主催する教研集会についても一切使用許可を出さないのかという質問が出され,教育委員会事務局教務部教職員給与・厚生担当課長が,教研集会の開催を理由とした行政財産の目的外使用についても,職員団体の他の活動への便宜供与と同様に使用許可を行わないものと考えている旨回答した。 そして,本件条例の条例案は,同月27日,財政総務委員会において原 案どおり可決されて本会議に報告されるとともに,本会議でも可決され,同月30日の公布を経て,同年8月1日施行された。 イ本件条例12条の趣旨上記アの認定事実によれば,①市長は,就任直後は,平成24年度も労働組合等に対し庁舎内の組合事務所の使用許可を行う意向であったにもかかわらず,平成23年12月26日,突然に市本庁舎から組合事務所を排除する方向へと方針転換し(以下,この方針転換を「本件方針転換」という。),幹部職員に対し労働組合等への便宜供与の禁止を指示し,平成24年度組合事務所不許可処分を行うとともに,それを制度化するために,被告において本件条例の制定に向けた準備を進めたこと,②その際,本件条例12条は,立案段階の当初,「労働組合等の活動に関し ,平成24年度組合事務所不許可処分を行うとともに,それを制度化するために,被告において本件条例の制定に向けた準備を進めたこと,②その際,本件条例12条は,立案段階の当初,「労働組合等の活動に関し本市が行う便宜の供与は,本市において適正かつ健全な労使関係が確保されていると認められない限り,行わないものとする」という内容であったが,市長から,当初の条文案では,適正かつ健全な労使関係にあると判断される労働組合等に対しては,個別に便宜供与を行うことができるとの誤解を招くとして,「適正かつ健全な労使関係が確保されていると認められない限り,」という文言を削除するように命じられ,現在の条文と同じ文言の条例案になったこと,③その後,市会において,原案どおり可決され,その適用の方法について付帯決議がなされたような事情もうかがえないことが認められる。 そうすると,本件条例12条は,被告と対象となる労働組合等との間の労使関係が適正かつ健全なものであるか否かを問わず,被告が労働組合等に対する便宜供与を行うことを一律に禁止し,施設管理者の裁量を一切認めない趣旨であると解される。 ウ本件条例12条の憲法28条適合性使用者が労働組合等に対し便宜供与を与えるか否かは,基本的に使用者の自由な判断に委ねられるべき問題であるが,地方公共団体の職員が結成 した職員団体は,憲法28条の定める団結権等が保障され,それを違法に侵害してはならないのであるから,本件条例12条が,憲法28条に違反すると評価される場合には,無効となる。 (ア) 団結権等の侵害の意思a 上記アの認定事実によれば,市長は,平成▲年12月26日の市会交通水道委員会において,労働組合等が本件市長選挙において自己の対立候補を支援する政治活動を行っていたという趣旨の指摘がされるや,直 a 上記アの認定事実によれば,市長は,平成▲年12月26日の市会交通水道委員会において,労働組合等が本件市長選挙において自己の対立候補を支援する政治活動を行っていたという趣旨の指摘がされるや,直ちに庁舎内の政治活動を認めず,庁舎内に組合事務所を置いている労働組合等に対し庁舎内からの退去を求める意向を表明するとともに,同月28日の施政方針演説において,庁舎内で政治活動を行うという労働組合等の体質が全国の公務員の組合の体質の象徴であるから,徹底的に市民感覚に合うように是正,改善していくと述べた上,同月30日には被告の幹部職員に対し,労働組合等に対する便宜供与を一律に禁止する指示を行い,被告はその指示に従い,労働組合等に対し,平成24年度組合事務所不許可処分を行い,これを制度化するための本件条例を制定した上で,本件各不許可処分を行ったものである。 b この点について,被告は,前記第2の2(2)の被告の主張ア(イ)のとおり,市長の上記施策は,労働組合等を嫌悪・敵視するものではなく,労使関係の適正化を意図したものにすぎないと主張する。 しかし,被告は,従前,労働組合等に対して毎年継続的に行っていた庁舎内における組合事務所の貸与を中心として様々な便宜供与を与えていたのであり,特に労働組合等が庁舎内に活動拠点としての組合事務所を設置する必要性に鑑みれば,それも含めて全ての便宜供与を直ちに禁止すれば,労働組合等の活動に著しい支障を生じさせることを容易に認識することができたのであるから,被告において,労使関 係の適正化を図るために,それらの便宜供与を廃止するにあたっては,職員の団結権等を不当に侵害しないように配慮しなければならないのは当然であり,労使関係の適正化という目的と上記便宜供与の廃止という手段との合理的関連性,その廃止により 宜供与を廃止するにあたっては,職員の団結権等を不当に侵害しないように配慮しなければならないのは当然であり,労使関係の適正化という目的と上記便宜供与の廃止という手段との合理的関連性,その廃止により労働組合等が受ける影響や他のより労働組合等に与える影響の小さい方策の有無を検討した上で,信義則上,事前に労働組合等と団体交渉を行い,従前の取扱いを変更する理由について具体的に説明するとともに,労働組合等の受ける不利益の軽減措置について誠実に交渉を行ってしかるべきである。 そして,前記アの市長の一連の発言内容から,市長の志向する労使関係適正化の中心的課題は,庁舎内における労働組合等の政治活動の防止にあったと認められるところ,そうであれば,市長は,まず幹部職員に対し,労働組合等の政治活動の実態を把握し,その上でそれを抑止するために労働組合等に対して組合事務所の退去を求めるのもやむを得ないかどうかなど,行おうとする施策が職員の団結権等を侵害するおそれがないか否かについて十分な検討を指示すべきあった。しかるに,前述したとおり,市長は,それまでは,労働組合等に対し,庁舎内の組合事務所の使用を認める意向を表明していたにもかかわらず,市会交通水道委員会において,労働組合等が本件市長選挙において自己の対立候補を支援する政治活動を行っていたという趣旨の指摘がされるや,直ちに労働組合等に対し庁舎内から退去を求める方針を表明して本件方針転換をし,手始めとして平成24年度組合事務所不許可処分を行った上,それを制度化するために本件条例12条を含む案が提出され,そのまま市会で可決されて制定に至ったのであり,幹部職員に対し,上記方針を実現する施策や本件条例が職員の団結権等を侵害するおそれがないか否かについて検討を加えるように指示しておらず,本件条例が憲法14条や2 会で可決されて制定に至ったのであり,幹部職員に対し,上記方針を実現する施策や本件条例が職員の団結権等を侵害するおそれがないか否かについて検討を加えるように指示しておらず,本件条例が憲法14条や28条に違反するおそれがないかに ついては何ら検討されなかった。 さらに,被告は,本件条例により一旦全ての労働組合等に対する便宜供与を止めた後,将来,適正かつ健全な労使関係が確保できていると認められる状況になれば,改めて同条を改正することにより便宜供与を行うことがあり得ることは,条例成立時から予定されていると主張するが(前記第2の2(2)の被告の主張イ(ア)),労働組合等からその後の年度の組合事務所としての目的外使用許可申請がされた際にも,初年度の不許可処分により便宜供与が廃止されたことで労働組合等との間に適正かつ健全な労使関係が確保できたか否かという点について検討を行ったり,労働組合等とその点に関する誠実な交渉を行ったとも認めるに足りない。 以上を総合すると,市長は,前記指示により,被告の職員が加入している労働組合等に対する便宜供与を一律に禁止し,それを制度化した本件条例を制定することにより,その活動に著しい支障が生じ,ひいては職員の団結権等が侵害されることを認識していたことが明らかであり,むしろ,これを侵害する意図をも有していたとみざるを得ない。 (イ) 本件条例12条の効果a 本件条例は,適正かつ健全な労使関係の確保を図り,もって市政に対する市民の信頼を確保することを目的とするところ(1条),その目的達成のためには,個別の便宜供与によって不健全な労使関係になったと認められた時点で,当該労働組合等に対する便宜供与を廃止するとしても十分であると考えられる。 これに対し,被告は,不祥事案といえる便宜供与に限って禁止した 宜供与によって不健全な労使関係になったと認められた時点で,当該労働組合等に対する便宜供与を廃止するとしても十分であると考えられる。 これに対し,被告は,不祥事案といえる便宜供与に限って禁止した場合,その評価自体が困難であるうえ,禁止の対象外となった便宜供与が不適正ないし不健全な労使関係の新たな温床ともなりかねないと 主張する(前記第2の2(2)の被告の主張ア(イ))。しかし,全ての事例においてその評価が困難であるとまではいえないし,限られた事例においてその評価が困難であるからといって,適正かつ健全な労使関係にある労働組合に対してまで,個別的な事情を斟酌することなく,一切の便宜供与を禁止する根拠とはなり得ないというべきである。また,被告は,便宜供与の結果を監視することにより,実施された便宜供与が不適正ないし不健全な労使関係の新たな温床となることを防止し得ると考えられるから,被告の上記主張を採用することはできない。 したがって,従前労使関係において特段問題が生じていなかった労働組合等が,本件条例12条により,便宜供与を一律に禁止されることに何らの合理的根拠も認め難いことは明らかである。 b また,前記(ア)bで述べたとおり,本件条例制定の目的である労使関係適正化の中心的課題は,庁舎内における労働組合等の政治活動の防止にあり,労働組合等が他の各種団体と同様の立場で行政財産の目的外使用許可を求めることについての弊害等については本件調査報告においては何ら指摘されていなかったのであるから(前記(2)ア(カ)),後記(3)で述べるような性質を有する本件各申請における教職員組合の教研集会としての学校施設の利用に関する便宜供与の禁止は,上記課題を達成するための手段としての合理的関連性が強いとはいえず,本件条例12条がそのようなものも 質を有する本件各申請における教職員組合の教研集会としての学校施設の利用に関する便宜供与の禁止は,上記課題を達成するための手段としての合理的関連性が強いとはいえず,本件条例12条がそのようなものも含めて労働組合等に対する便宜供与を一律禁止した結果,学校施設の利用を認められた他の各種団体と比較すると,教職員組合が労働組合等であることのみを理由に学校施設の利用に関して不利益を受けていることは否定できないのである。 (ウ) 以上を総合考慮すると,本件条例12条は,少なくとも同条例が適用されなければ違法とされる被告の処分(便宜供与の不許可処分)を適 法化するために適用される限りにおいて,職員団体の団結権等を違法に侵害するものとして憲法28条に違反して無効というべきであるから,本件各不許可処分の違法性を判断するに当たっては,独立した適法化事由とはならないというべきである。 (3) 裁量権逸脱・濫用の有無教研集会は,原告の労働運動としての側面を有するものの,教員らによる自主的研修としての側面をも有しており,その側面に関する限りは,自主的で自律的な研修を奨励する教育公務員特例法21条,22条の趣旨にかなうものである。そして,証拠(甲19の1ないし10,原告代表者)によれば,原告が,遅くとも平成19年以降,本件条例の施行前まで,年1回,教研集会の会場として被告の学校施設を使用することを許可されていたことが認められ,この事実は,教研集会を目的として学校施設を使用することが相当なものであることを強く窺わせる事情である。 そして,証拠(甲20,63,89,証人C,同D)及び弁論の全趣旨によれば,原告が,これまで被告の学校施設を教研集会の会場として使用したことによって,学校教育上の支障が生じたことはなかったことが認められる。 また 甲20,63,89,証人C,同D)及び弁論の全趣旨によれば,原告が,これまで被告の学校施設を教研集会の会場として使用したことによって,学校教育上の支障が生じたことはなかったことが認められる。 また,前記(2)ア(カ)の認定事実のとおり,第三者調査チームによって作成された本件調査報告においても,学校施設の目的外使用については何ら触れられていないし,本件全証拠を検討してみても,本件各不許可処分がなされた時点において,原告と被告との関係が不適正又は不健全な労使関係にあったことや,学校施設を教研集会の会場として使用することが原告の自主性を阻害していることを窺わせるような証拠も見出せない。 そうすると,本件各不許可処分は,前述のとおり考慮すべきでない考慮要素(本件条例12条の存在)のみを考慮している点において判断が明らかに合理性を欠いており,他方,当然考慮すべき事項(教研集会の意義,学校教育上の支障のないこと,原告の自主性を阻害しないこと)を十分考慮してお らず,その結果,社会通念に照らし著しく妥当性を欠いたものといえ,学校長の裁量権を逸脱・濫用したもので,その余の点を判断するまでもなく違法というべきである。 3 争点(3)(両校長の行為の違法性及び過失の有無)について(1) 両校長の行為の違法性の有無アもっとも,両校長が本件各不許可処分を行うにあたり依拠した本件条例12条が独立した適法化事由とはならず,本件各不許可処分が裁量権を逸脱・濫用する違法なものであったとしても,そのことから直ちに本件条例12条に従い両校長が本件各不許可処分をした行為に国家賠償法1条1項にいう違法があったと評価されることにはならず,両校長が職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と上記行為をしたと認められるような事情がある場合に限り,上記の をした行為に国家賠償法1条1項にいう違法があったと評価されることにはならず,両校長が職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と上記行為をしたと認められるような事情がある場合に限り,上記の評価がされることになるものと解するのが相当である(最高裁昭和60年11月21日第一小法廷判決・民集39巻7号1512頁,同平成5年3月11日第一小法廷判決・民集47巻4号2863頁,同平成19年11月1日第一小法廷判決・民集61巻8号2733頁参照)。 イ確かに,被告が主張するとおり,地方公務員である両校長は,条例に従う義務があるが(地方公務員法32条),同時に当然のことながら条例の上位規範たる憲法を尊重・擁護する義務を負っているのであって(憲法99条),本件各申請を行った職員団体である原告は憲法28条によって団結権等を保障されている以上,本件条例12条を本件各申請に適用して本件各不許可処分を行ったことが原告の団結権等を違法に侵害すると評価される場合には,本件条例12条は憲法28条に違反するものとして効力を有しないことになるのであるから(憲法98条1項),両校長は,本件各不許可処分を行うに当たっては,本件各申請に本件条例12条を適用して本件不許可処分とすることが原告の団結権等を侵害するものではなく適法 であるといえるか否かについて,慎重な検討を行うべき職務上の注意義務があったというべきである。 この点,本件条例が制定された経緯は,前記2(2)ウ(ア)bで述べたとおりであり,市長において,職員の団結権等が侵害されることを認識していたことが明らかであって,むしろ,これを侵害する意図をも有していたとみざるを得ないものであるし,上記の主な経緯は,マスコミ等で広く報道されたことは当裁判所に顕著な事実であって,両校長も容易に知り得た ことが明らかであって,むしろ,これを侵害する意図をも有していたとみざるを得ないものであるし,上記の主な経緯は,マスコミ等で広く報道されたことは当裁判所に顕著な事実であって,両校長も容易に知り得たものである。また,本件条例12条が労働組合等の団結権等を侵害するおそれがないか否かについても,前記2(2)ウ(ア)bで述べたとおり,被告内部でも検討されず,また,本件条例12条が上記団結権等を違法に侵害しない旨の公権的な解釈等が示されたとも認められないのである。 ウしたがって,両校長においても,本件条例施行とほぼ同時にされた平成24年度の許可申請を含む本件各申請に本件条例12条を適用して本件各不許可処分を行うことが,原告に保障されている団結権等を違法に侵害するおそれはないか否かを検討するなど,その職務上通常尽くすべき注意義務を尽くしていれば,当然に原告の団結権等を違法に侵害することを認識し得たというべきである。 そうすると,両校長が,本件各申請に本件条例12条を適用して本件各不許可処分を行ったことは,国家賠償法上も違法の評価を免れないものといわざるを得ない。 (2) 両校長の過失の有無ア前記2及び3(1)に判示したとおり,両校長がそれぞれ違法な本件各不許可処分を行ったことは,公務員の職務上の注意義務に違反するものとして,国家賠償法1条1項の適用上違法なものであり,両校長に過失があることも明らかであって,被告には,本件各不許可処分によって原告が被った損害を賠償すべき責任があるというべきである。 イこの点,証拠(乙18,19,証人C,同D)によれば,両校長は,本件各不許可処分を行うに当たり,本件条例12条に加えて,改正後の本件審査基準に従ったことが認められるが,同審査基準は,その改正の経緯にかんがみれば,本件条例12 証人C,同D)によれば,両校長は,本件各不許可処分を行うに当たり,本件条例12条に加えて,改正後の本件審査基準に従ったことが認められるが,同審査基準は,その改正の経緯にかんがみれば,本件条例12条の施行に際し,同条に違反しないように,学校施設の目的外使用を許可し得る対象から,あえて労働組合等を除いたものにすぎず,本件条例12条と同様,少なくとも,労働組合等を除く団体に許可されている学校施設の目的外使用について,同審査基準が適用されなければ違法とされる労働組合等に対する不許可処分を適法化するために適用される限りにおいて,憲法28条に違反し無効であるといえる。 ウもっとも,被告は,本件各不許可処分の当時,本件条例12条及び改正後の本件審査基準が憲法に適合するとともに,各種法令に違反するものではないとの見解に立ち,両校長も,被告の見解に従って,本件各不許可処分を行ったものである。被告は,このような場合,両校長に過失を認めるのは相当ではない旨主張する。 確かに,ある事項に関する法律解釈につき異なる見解が対立し,実務上の取扱いも分かれていて,そのいずれについても相当の根拠が認められる場合に,公務員がその一方の見解を正当と解しこれに立脚して公務を執行したときは,のちにその執行が違法と判断されたからといって,ただちに同公務員に過失があったものとすることは相当でない(最高裁昭和46年6月24日第一小法廷判決・民集25巻4号574頁参照)。 しかしながら,前記2(3)で判示したとおり,本件各申請に対して本件各不許可処分を行うことは本来裁量権の逸脱・濫用があり,違法であるというべきところ,本件条例12条及び改正後の本件審査基準は,それを適法化するために適用される限りにおいて憲法28条に違反するという重大な法的瑕疵があるというべきであり,両校長が があり,違法であるというべきところ,本件条例12条及び改正後の本件審査基準は,それを適法化するために適用される限りにおいて憲法28条に違反するという重大な法的瑕疵があるというべきであり,両校長が,本件各申請に対して本件条例12条及び改正後の本件審査基準を適用しても憲法28条で保障され ている原告の団結権等を違法に侵害するおそれがないかどうかを十分に検討した上で,相当な根拠をもって適法であると判断したとも認めるに足りない。 しかも,前記(1)イで述べたとおり,本件条例制定の経緯についてはマスコミ等で広く報道されており,両校長は,そのおおまかな経緯や,本件条例制定前は,従前原告の教研集会に関する目的外使用許可申請が許可されてきて,それについて特段弊害が生じていなかったことも認識していたことがうかがわれること(証人C10,31頁,同D2,14,15頁)をも併せ考慮すると,両校長は本件条例12条及び改正後の本件審査基準を本件各申請に適用して本件各不許可処分を行うことが違法とされることを認識し得たというべきである。 エよって,両校長には,国家賠償法1条1項の過失があったと認められる。 4 争点(4)(損害の有無及びその額)について(1) 経費の損害証拠(甲31の1及び2,83の1及び2)及び弁論の全趣旨によれば,原告は,本件各不許可処分によって本件代替施設を利用せざるを得なくなり,平成24年度はその使用料として10万9020円を,平成25年度は使用料10万5630円及び譜面台の購入費用3008円の合計10万8638円を,それぞれ支出したことが認められ,本件全証拠を検討してみても,被告が,学校施設の目的外使用について使用料を徴収していた事実はうかがえない。 そうすると,原告らは,本件各不許可処分がな 円を,それぞれ支出したことが認められ,本件全証拠を検討してみても,被告が,学校施設の目的外使用について使用料を徴収していた事実はうかがえない。 そうすると,原告らは,本件各不許可処分がなければ,上記各支出を免れたといえるから,上記各支出は,本件不許可処分と相当因果関係のある損害と認めるのが相当である。 (2) 無形損害 証拠(甲31の2,83の2,原告代表者)によれば,原告は,事前に本件各不許可処分がなされることに備えて,本件代替施設を確保し,本件各教研集会の分科会を予定通り実施したが,全体会や交流会(バザー)等を実施することができなかったことが認められ,本件各不許可処分によって,相当の不利益を被ったといえる。他方,原告に対する社会的評価が,本件各不許可処分によって低下したことを認めるに足りる的確な証拠はない。 よって,原告が本件各不許可処分によって受けた無形損害は,以上の事情など本件に現れた一切の事情を斟酌すると,各処分につきそれぞれ10万円と認めるのが相当である。 (3) 小括原告が平成24年度不許可処分により受けた損害の額は,20万9020円,平成25年度不許可処分により受けた損害の額は,20万8638円である。 5 結論以上によれば,原告の各訴えのうち本件無効確認請求に関する部分は,不適法であるから却下し,本件損害賠償請求は,それぞれ主文の限度でいずれも理由があるから認容し,その余は理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第5民事部 裁判長裁判官中垣内 健 治 裁判官菊 井 一 夫 所第5民事部 裁判長裁判官中垣内健治 裁判官菊井一夫 裁判官笹井三佳
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