- 1 - 主文 本件抗告を棄却する。 抗告費用は抗告人の負担とする。 理由 第1 抗告代理人豊田賢治の抗告理由第1及び第2について 1 本件は、抗告人の債権者である相手方が、抗告人について破産手続開始の申立てをした事案である。抗告人は、政党交付金の交付を受ける政党等に対する法人格の付与に関する法律(以下「法」という。)7条の2第1項にいう法人である政党等であり、法10条1項又は2項の規定により解散したものには当たらないところ、原審は、抗告人について破産手続開始の決定を受けるべき適格を有するとして、本件申立てを認容すべきものとした。 2 所論は、法人である政党等が解散していないのに破産手続の対象となるとすれば、政党交付金を含む財産の管理処分権を失い、政党の政治活動の自由を尊重すべきとする政党助成法4条1項の趣旨目的に反する状況となる上、破産手続における配当が同法14条1項にいう「政党交付金による支出」に当たらないとされる場合に、これに対応する額について総務大臣から政党交付金の返還命令(同法33条2項1号)を受けかねないことなどからすると、法人である政党等は、解散していない限り破産手続の対象とならないと解すべきであり、法10条2項が法人である政党等の解散事由に破産手続開始の決定を掲げていないのもその趣旨で理解すべきであるとして、これと異なる原審の判断には、法令の解釈適用の誤りがあるというものである。 3 破産法13条は、破産手続に関し、民訴法28条の規定を準用しているか令和6年(許)第17号破産手続開始決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件令和7年10月20日第一小法廷決定- 2 -ら、民法上の権利能力を し、民訴法28条の規定を準用しているか令和6年(許)第17号破産手続開始決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件令和7年10月20日第一小法廷決定- 2 -ら、民法上の権利能力を有する者は、破産手続開始の決定を受けるべき適格を有するのが原則であるというべきである。また、法が、解散した法人である政党等について、破産手続開始の決定を受けた場合の規定を置いていることからしても(10条の9)、法人である政党等が、およそ破産手続の対象となり得ない性質の法人であると考えることはできず、それが解散したものでない場合であっても、破産手続開始の原因となる事実があるときに破産手続の対象とすべき必要性が生じ得ることは、解散した法人である政党等の場合と異なるところはない。法10条2項が破産手続開始の決定を解散事由に掲げていないのは、法人である政党等が、破産手続の開始によって解散せず、破産手続が終了したときにもその法人格を失わないことを意味するにすぎないと解するのが相当である(破産法35条参照)。 政党助成法4条1項の趣旨目的は、国が、政党交付金を交付するに当たり、政党の政治活動の自由を阻害することがないようにすることにあるところ、解散していない法人である政党等が、破産手続開始の決定を受け、政党交付金を含む自らの財産の管理処分権を失うことがあるとしても、当該財産は当該法人の自由な政治活動のために生じた破産債権に対する配当の原資等になるのであって、同項の趣旨目的に反するものではない。また、同法33条2項に基づき、総務大臣から政党交付金の返還命令を受ける場合があり得るとしても、そのことは、法人である政党等が解散していない限り破産手続の対象となり得ないと考えるべき根拠とはならない。 そのほかに、解散していない法人である政党等が破産手続開始の決定を受 場合があり得るとしても、そのことは、法人である政党等が解散していない限り破産手続の対象となり得ないと考えるべき根拠とはならない。 そのほかに、解散していない法人である政党等が破産手続開始の決定を受けるべき適格を有しないと解すべき法令上の根拠はない。 以上によれば、法人である政党等は、法10条1項又は2項の規定により解散したものでない場合であっても、破産手続開始の決定を受けるべき適格を有すると解するのが相当である。 4 これと同旨の原審の判断は、正当として是認することができる。論旨は採用することができない。 第2 その余の抗告理由について- 3 -所論の点に関する原審の判断は、正当として是認することができる。論旨は採用することができない。 よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。 (裁判長裁判官堺徹裁判官安浪亮介裁判官岡正晶裁判官宮川美津子裁判官中村愼)
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