主文 1 被告は,別紙1認容額一覧表「議員名」欄記載の各人に対し,同表「議員名」欄記載の各人に対応する「裁判所認定額」欄記載の各金員,及びこれらに対する各請求日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用はこれを2分して,その1を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判 1 原告(請求の趣旨)(1) 被告は,別紙2費用弁償一覧表「議員名」欄記載の各人に対し,同表「議員名」欄記載の各人に対応する「合計」欄記載の各金員,及びこれらに対する平成14年11月14日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 (2) 被告は,Aに対し,112万円及びこれに対する平成14年11月14日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 (3) 被告は,Bに対し,112万円及びこれに対する平成14年11月14日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年5分の割合による金員の賠償を命令せよ。 (3) 訴訟費用は被告の負担とする。 2 被告(請求の趣旨に対する答弁)(1) 原告の請求を棄却する。 (2) 訴訟費用は原告の負担とする。 第2 事案の概要 1 事案の骨子本件は,尼崎市の住民である原告が,一部事務組合である阪神水道企業団(以下「企業団」という。)において,議員協議会等に出席した企業団議会議員に対してされた費用弁償の支給が,法律及び条例上の根拠を欠く違法な支給であったとして,地方自治法(以下「法」という。)242条の2第1項4号に基づき, )において,議員協議会等に出席した企業団議会議員に対してされた費用弁償の支給が,法律及び条例上の根拠を欠く違法な支給であったとして,地方自治法(以下「法」という。)242条の2第1項4号に基づき,被告に対し,不法行為に基づく企業団企業長(A)に対する賠償請求,及び企業団総務部庶務課課長(B)に対する賠償命令,並びに費用弁償の支給を受けた企業団議会議員に対する不当利得に基づく同費用の返還請求をするよう求めた事案である。 2 関係法令の定め(1) 議員に対する費用弁償についてア法の定め普通地方公共団体の議会の議員は,職務を行うため要する費用の弁償を受けることができるが(法203条3項),その額及びその支給方法は,条例で定めなければならず(同条5項),法律又はこれに基づく条例に基づかずに費用弁償を行うことは許されない(法204条の2)。 そして,これらの規定は,いずれも一部事務組合の議員についても準用される(法292条)。 イ条例の定め企業団においては,法203条5項の規定を受けて,阪神水道企業団報酬並びに費用弁償に関する条例(以下「本件条例」という。)が制定されており,同条例は,費用弁償に関し,下記のとおり定める。 記第3条1項議長,副議長及び議員並びに監査委員が公務に従事したときは,費用弁償として1日について1万4000円を支給する。 (2) 費用弁償の支給に関する権限関係ア企業団では,企業長の権限に属する事務処理として,企業団総務部庶務課の担当する事務の一つとして,「議会に関すること。」が規定されている(乙 (2) 費用弁償の支給に関する権限関係ア企業団では,企業長の権限に属する事務処理として,企業団総務部庶務課の担当する事務の一つとして,「議会に関すること。」が規定されている(乙8・阪神水道企業団分課規程1条,7条)。 イそして,企業長の権限に属する事務のうち,「給料の支給に関すること。」,「諸手当の認定及び支給に関すること。」及び「旅費の支給に関すること。」は,総務部庶務課長の専決事項とされている(乙9・阪神水道企業団決裁規程6条)。 3 前提となる事実末尾括弧内に証拠の記載がなければ,当事者間に争いのない事実である。 (1) 当事者等ア原告は,尼崎市の住民である。 イ企業団は,神戸市,尼崎市,西宮市及び芦屋市の各市をもって組織され,上水道事務の一部を共同処理することを目的とする特別地方公共団体たる一部事務組合である(乙2)。 ウ Aは,遅くとも平成13年8月から現在まで,企業団の企業長の職にあるものである。 エ Bは,遅くとも平成13年8月から現在まで,企業団の総務部庶務課課長の職にあるものである。 (2) 初議会前の協議会の開催企業団では,平成13年度及び平成14年度において,各年度で初めて招集される企業団議会の臨時会(以下「初議会」という。)の開催に先立ち,別紙3協議会等一覧表記載のとおりの各会議が開催され,それぞれ同表「支給人数」欄記載の人数の企業団議会議員が出席した。 以下,同表1ないし4,7ないし11の各会議を「本件協議会等」といい,同5及び6の各会議を「個別事情による協議会」という。 (3) 費用弁償の支給ア Bは,別紙2費用弁償一覧表記載のとおり,本件協議会等に出席した企 各会議を「本件協議会等」といい,同5及び6の各会議を「個別事情による協議会」という。 (3) 費用弁償の支給ア Bは,別紙2費用弁償一覧表記載のとおり,本件協議会等に出席した企業団議会議員に対し,同表「支払日」欄記載の日ころ,本件条例3条1項に基づく費用弁償として,1回の会議出席につき1万4000円を支給する旨の命令をし,上記各議員に対して同額が支給された(以下これらを「本件費用弁償」という。)。 企業団議会議員が本件費用弁償によって支給を受けた金額の合計は,同表各「合計」欄記載のとおりであり,全議員に対する支給額の合計は,112万円である。 イまた,Bは,個別事情による協議会に出席した企業団議会議員に対しても,上記と同様に費用弁償を行い,上記各議員に対して合計12万6000円が支給された。 ウ本件協議会等及び個別事情による協議会についてした費用弁償によって企業団議会議員に支給された金額の合計は,124万6000円である。 (4) 監査請求及び本件訴えの提起ア原告は,平成14年8月16日付けで,企業団監査委員に対し,(3)の費用弁償がいずれも違法であるとして,住民監査請求を行った。 イこれに対し,同監査委員は,平成14年10月10日付けで,上記請求のうち,個別事情による協議会への出席についてした費用弁償(請求額合計12万6000円)に関する部分は理由があるものと認め,被告に対して別紙4記載のとおり勧告したが,本件費用弁償に関する部分は原告の請求(請求額合計112万円)を棄却し,そのころ,原告に対し,その旨通知した。 ウその結果を受け,企業団は,上記監査結果に従い,個別事情による協議会への出席者に支給された費用弁償合計12万6000 合計112万円)を棄却し,そのころ,原告に対し,その旨通知した。 ウその結果を受け,企業団は,上記監査結果に従い,個別事情による協議会への出席者に支給された費用弁償合計12万6000円については,企業団議会議員に返還を請求して,その全額につき返還を受けた。 イそこで,原告は,平成14年11月8日,上記棄却部分を不服として,本件訴えを提起した。 4 争点本件の争点は,次の2点である。 (1) 本件費用弁償の適否企業団が,本件協議会等に出席した企業団議会議員に対し,1日当たり1万4000円の本件費用弁償をしたことは適法か。 (2) A及びBの責任本件費用弁償(全部又は一部)が違法である場合の,A及びBの責任の有無,すなわち,ア Aが,Bの本件費用弁償(全部又は一部)を阻止しなかったことにつき,指揮監督上の義務違反(故意又は過失)があるか。 イ Bが,本件費用弁償(全部又は一部)を行ったことにつき,故意又は重過失があるか。 第3 当事者の主張 1 争点(1)(本件費用弁償の適否)について(1) 被告の主張本件協議会等への企業団議会議員の出席は,本件条例3条1項の「公務」に当たり,企業団が,本件協議会等に出席した企業団議会議員に対し,1日当たり1万4000円の費用弁償をしたことに違法はない。その理由は,次のとおりである。 ア本件条例3条1項の「公務」の意義本件条例3条1項の「公務」は,法203条3項の「職務」と同義であると解すべきである。 イ議員活動の公務性の判断基準(ア) 企業団の裁量権企業団は,特別地方公共団体として 」と同義であると解すべきである。 イ議員活動の公務性の判断基準(ア) 企業団の裁量権企業団は,特別地方公共団体として普通地方公共団体の地方議会と同様に自律権を有しており,その判断が明らかに不合理でない限り,裁量権を逸脱・濫用する違法があるとはいえないと解すべきである。 (イ) 議員活動の公務性についてa 確かに,地方議会議員に対する費用弁償については,原告主張のとおり,法定外の会議への出席につき費用弁償を支給すべきでないとする行政実例が存在する。 b しかし,最高裁判決においては,市議会議員の海外派遣旅費の支出が適法とされ(最高裁昭和63年3月10日第一小法廷判決・判例時報1270号73頁),また,費用弁償の支給事由及び額の決定が地方議会の裁量判断にゆだねられるものと判断されている(最高裁平成2年12月21日第二小法廷判決・民集44巻9号1706頁)。 このように,最高裁判決は,議員の活動が議会の権能を果たすために合理的な必要性を有するものである限り,議会の裁量によって当該活動を議員の職務とすることができるものとしているのである。 c したがって,企業団においても議員活動についての上記裁量権は認められるべきであり,職務性ないし公務性が欠けるのは,議員の当該活動につき,目的の正当性,又は目的と手段との関連性のいずれかが認められない場合に限られるとすべきである。 ウ本件についての検討(ア) 本件協議会等の法的性格本件協議会等は,いずれも法及び条例上の根拠はないが,企業団議会議長の開催通知によって開かれ,その開催に当たっては,企業団議 ついての検討(ア) 本件協議会等の法的性格本件協議会等は,いずれも法及び条例上の根拠はないが,企業団議会議長の開催通知によって開かれ,その開催に当たっては,企業団議会書記が出席する等関与しており,また,企業団議長の要請によって企業長の幹部職員も出席しており,単に企業団議会議員が事実上参集して開催したものではなく,企業団議会の正当な意思に基づく会議である。 (イ) 実質的検討a 企業団議会における特殊事情企業団議会としては,新年度のできるだけ早い時期に初議会を開催し,議会運営委員会委員及び監査委員の選出を行う必要がある。しかし,初議会の開催に当たっては,毎年改選される各市議会選出の企業団議会議員の改選時期が各市ごとに異なること,各市の議会日程を勘案して初議会の開催時期を決定せざるを得ないことから,数日間の会期で開催するのは非常に困難であり,会期は1日とならざるを得ない状況となっている。 そこで,企業団議会では,初議会の円滑かつ効率的に運営するため,事前に本件協議会等を開催してきた。 したがって,本件協議会等への企業団議会議員の出席は,目的の正当性も目的と手段との関連性も認められる。 b 議員の海外派遣等の事例との比較最高裁昭和63年3月10日判決においては,濫用の危険が高いとみられる議員の海外派遣等の場合ですら,違法とされるのは例外的な場合にすぎない。それゆえ,本件協議会等への企業団議会議員の出席は,企業団議会の前記特殊事情,本件協議会等と正規の議会活動との密接性,金額が予想できる範囲のもので濫用の危険性も少ないことなどの点にかんがみ,一層職務性ないし公務性が認められてしかるべき 員の出席は,企業団議会の前記特殊事情,本件協議会等と正規の議会活動との密接性,金額が予想できる範囲のもので濫用の危険性も少ないことなどの点にかんがみ,一層職務性ないし公務性が認められてしかるべきである。 c 他の地方公共団体との比較について原告は,議員協議会への企業団議会議員の出席を費用弁償の対象としている地方公共団体が稀有であると主張するが,かかる主張は,企業団の上記特殊事情を無視するものであり,失当である。 なお,近時,兵庫県議会では,費用弁償制度が見直され,条例改正案が提案されているところ,法や条例に規定されていないにもかかわらず費用弁償の支給対象となっていた各会派代表者会議や政務調査会長会などについても,引き続き支給対象となるものとされている(乙11の1~3)。 (ウ) まとめよって,本件協議会等への企業団議会議員の出席は,本件条例3条1項の「公務」に当たり,企業団が,本件協議会等に出席した企業団議会議員に対し,1日当たり1万4000円の費用弁償をしたことに違法はない。 (2) 原告の主張本件協議会等は,法及び条例上の根拠を有しておらず,実質的な観点からも法定外の会議への出席についての費用弁償が正当化され得るものではないから,本件協議会等への企業団議会議員の出席は,本件条例3条1項の「公務」に当たらず,本件費用弁償は違法である。その理由は,次のとおりである。 ア本件条例3条1項の「公務」の意義本件条例3条1項の「公務」と法203条3項の「職務」が同義であると解すべきことは,争わない。 イ議員の公務性の判断基準企業団は,費用弁償の対象となる職務ないし公務の範囲を決するについて裁量権を 」と法203条3項の「職務」が同義であると解すべきことは,争わない。 イ議員の公務性の判断基準企業団は,費用弁償の対象となる職務ないし公務の範囲を決するについて裁量権を有するものではなく,会議への議員の出席について費用弁償が認められるのは,当該会議が法律上の根拠を有する場合に限られると解すべきである。すなわち,(ア) 法204条の2は,報酬・給与等の支給について条例決定主義を定め,議員等に対して支給し得る報酬・給与等の種類,額及び支給方法を法定し,地方公共団体の条例による自主決定の余地を限定している。 (イ) 行政実例では,地方議会議員に対する費用弁償について,法定外の会議への出席につき費用弁償を支給すべきでないとされている。 (ウ) 被告は,議員活動の職務性の判断については,最高裁昭和63年3月10日判決において地方公共団体の裁量権が認められていると主張する。 しかし,被告の指摘する最高裁判決は,いずれも当該行為が議員の職務に該当するか否か自体が問題となったものではなく,本件とは事案を異にするから,被告の上記主張は失当である。 ウ本件についての検討(ア) 本件協議会等の法的性格本件協議会等は,何ら法及び条例上の根拠を有しておらず,議員の事実上の集会にすぎない。 (イ) 実質的検討本件協議会等への企業団議会議員の出席を費用弁償の対象とすることは,実質的な観点からも,次のとおり正当性を有しない。 a 法的根拠のない会議への出席に公務性を認めれば,費用弁償の対象が,本会議の準備のための議員同士の打合せ会などにも際限なく広がり,多大な弊害をもたらすことになる。 有しない。 a 法的根拠のない会議への出席に公務性を認めれば,費用弁償の対象が,本会議の準備のための議員同士の打合せ会などにも際限なく広がり,多大な弊害をもたらすことになる。 b 他の地方公共団体をみても,議員協議会等への企業団議会議員の出席を費用弁償の対象とする例は稀有であり,現在では,議会や委員会への費用弁償も支給していない例が次第に増加している。 (ウ) まとめ以上のとおり,本件協議会等は,法及び条例上の根拠を有しておらず,実質的な観点からも法定外の会議への出席についての費用弁償が正当化され得るものではないから,本件協議会等への企業団議会議員の出席は,本件条例3条1項の「公務」に当たらず,本件費用弁償は違法である。 2 争点(2)(A及びBの責任)について(1) 原告の主張議員に対する費用弁償については,法定外の会議への出席につき費用弁償を支給すべきでないとする行政実例が存在し,実際にも,他の地方公共団体においては本件費用弁償のような支出をしていないのが通例である。 これらの点からすれば,Bには,本件費用弁償を行ったことにつき故意又は重大な過失があり,Aには,Bの上記行為を阻止しなかったことにつき故意又は過失がある。 (2) 被告の主張仮に本件費用弁償の全部又は一部が違法であったとしても,その違法は明白かつ重大なものとはいえず,A及びBは,飽くまで従前からの慣行に従い,支出を行い又はこれを容認したものであって,事実上これを拒否する自由もなかった。 したがって,Bが本件費用弁償の全部又は一部を行ったことにつき,故意又は重過失はなく,また,AがBの上記行為を阻止しなかったことにつき,故意又は過失はない。 を拒否する自由もなかった。 したがって,Bが本件費用弁償の全部又は一部を行ったことにつき,故意又は重過失はなく,また,AがBの上記行為を阻止しなかったことにつき,故意又は過失はない。 第4 当裁判所の判断 1 事実の認定等前記第2の3(前提となる事実)に,証拠(甲1~26〔枝番を含む〕,乙1~3,乙5,乙11の1~3),及び弁論の全趣旨を総合すると,次のとおり認めることができる。 (1) 企業団議会の構成等企業団議会は,各市の議会から選出される議員並びに各市の市長,神戸市の助役,同市及び尼崎市の水道局長の29人の議員で構成され,議長には神戸市長が就任することになっている。 このうち,各市の議会議員から選出される企業団議会議員は,全員が毎年改選され,その改選時期は,各市の議会ごとに異なり,毎年6月下旬から7月中旬にかけてである。 (2) 本件協議会等の概要ア初議会の開催に関する企業団議会の特殊事情上記改選後に初めて招集される企業団議会の臨時会(初議会)は,各市の議員の改選時期が(1)のとおりであることから,例年8月初旬にならないと開催できない状況にあり,平成13年度は8月10日に,平成14年度は8月9日に開催されている。 また,企業団議会としては,新年度のできるだけ早い時期に初議会を開催し,議会運営委員会委員及び監査委員の選出を行う必要があるが,初議会の開催に当たっては,各市における企業団議会議員の選出時期がそれぞれ異なること,各市の議会日程を勘案して初議会の開催時期を決定せざるを得ないことから,数日間の会期で開催するのは非常に困難であり,会期は1日とならざるを得ない状況となっている。 そこで,企業団議会は,初議会を円滑かつ して初議会の開催時期を決定せざるを得ないことから,数日間の会期で開催するのは非常に困難であり,会期は1日とならざるを得ない状況となっている。 そこで,企業団議会は,初議会を円滑かつ効率的に運営するための方策として,慣行として,初議会の開催前に本件協議会等を開催してきた。 イ本件協議会等の内容本件協議会等の内容は,次のとおりである。 (ア) 各市別議員協議会各市別議員協議会は,個別事情による協議会を除き,初議会の開催に先立ち,各市議会から企業団議会議員が選出された後,順次,各市別に企業団議会議員が出席して開催され,各議員に対して企業団の規約,議会委員会条例,議会会議規則,議会運営委員会の決定事項等の説明,及び各市で決定する必要がある企業団の議会運営委員会委員の就任予定者の選出が行われた。 (イ) 議員協議会代表者会議議員協議会代表者会議は,初議会の開催に先立ち,各市別議員協議会で選出された議会運営委員会委員の就任予定者10人が出席して開催され,初議会付議案件,全体議員協議会及び初議会の日程調整,議事運営等について協議が行われた。 (ウ) 全体議員協議会全体議員協議会は,初議会の開催に先立ち,企業団議会議員が出席して開催され,各議員に対する企業団事業についての概要説明及び初議会付議案件の説明,付議案件中の人事案件についての事前協議,浄水場等の施設視察が行われた。 (エ) 本件協議会等の性質本件協議会等は,いずれも,企業団の議長からの開催通知により実施され,企業団からは企業長以下の幹部職員及び議会書記が出席しており,単に議員が事実上参集して開催したものではなく,企業団議会の正当な意思に基づく 会等は,いずれも,企業団の議長からの開催通知により実施され,企業団からは企業長以下の幹部職員及び議会書記が出席しており,単に議員が事実上参集して開催したものではなく,企業団議会の正当な意思に基づく会議である。 ウ個別事情による協議会の内容個別事情による協議会は,上記とは異なり,次のとおりの内容であった。 (ア) 尼崎市側議員協議会尼崎市では水需要問題が他の市よりも深刻であったことや,余野川ダムの利水計画の中断を要望した尼崎市議会議員がいたことから,尼崎市の議会から選出された企業団議会議員が出席し,企業団の水源開発への参画に関し,尼崎市側議会議員として上記問題をどのように考えるかについての協議が行われた。 (イ) 西宮市側議員協議会西宮市内にある旧甲山事業所跡地に調整池を築造する工事に関して,地元議員である西宮市議会から選出された企業団議会議員が出席して,調整池の築造工事のこれまでの状況,今後の見通しについて質疑を行い,地元議員としての今後の対応方法について協議が行われた。 (3) 議会の委員会設置に関する法及び条例の定めア法は,一部事務組合の議会に,常任委員会,議会運営委員会及び特別委員会を置くことができる旨定めている(法292条,109条1項,109条の2第1項,110条1項)。 イこれを受けて,阪神水道企業団議会委員会条例では,企業団議会に議会運営委員会を置くとし,さらに,特定の事件を審査する必要がある場合には,議会の議決をもって特別委員会を設置することとされている(乙2・同条例1条1項,2条1項)。 ウしかし,上記以外には,法及び条例上,議会内の委員会等を設置することができる旨の定めは存在しない。 をもって特別委員会を設置することとされている(乙2・同条例1条1項,2条1項)。 ウしかし,上記以外には,法及び条例上,議会内の委員会等を設置することができる旨の定めは存在しない。 (4) 議員に対する費用弁償に関する行政実例の存在行政実例においては,地方議会議員に対する費用弁償に関して,次のとおりの見解が示されている(甲3,以下これらを「本件行政実例」という。)。 ア ①議会閉会中の審査の付託がなされていない場合に,常任委員会が委員長の招集により開かれ,それに出席した場合,②議会開会前,予算及び条例の内示等のため,市長からの要請に基づく委員長の招集により常任委員会に出席した場合,③議会閉会中,市長の要請又は議会の必要に基づき議員協議会(全員)に出席し又は議長が各党代表と協議のため参集を求めたので出席した場合には,いずれも費用弁償を支給すべきでない(昭和27年4月24日地自行発第111号小樽市議会事務局長あて行政課長回答)。 イ議会の議決に基づかない閉会中の委員会の招集による場合には,いずれも費用弁償を支給できず,①議会運営委員会(申合せによるもの),②各党代表者会議,及び③全員協議会に出席した議員に対して費用弁償を支給することは,法204条の2に抵触する(昭和33年5月7日自丁行発第81号群馬県議会事務局長あて行政課長回答)。 (5) 他の地方公共団体における費用弁償の実施状況ア他の地方公共団体においては,法的根拠を有しない会議(議員の全員協議会,代表者会議や議員協議会等)への議員の出席を費用弁償の支給対象としている自治体が稀有であり,現在では,議会や委員会への議員の出席についても,費用弁償の支給対象としない自治体が多く,またその数は次第に増えてきている(被告 等)への議員の出席を費用弁償の支給対象としている自治体が稀有であり,現在では,議会や委員会への議員の出席についても,費用弁償の支給対象としない自治体が多く,またその数は次第に増えてきている(被告もこの事実を認めている〔被告の平成15年10月3日付け準備書面第2の1参照〕。)。 イ他方,兵庫県議会では,法的根拠のない各会派代表者会議や政務調査会長会などについても,1日当たり一律1万6500円の金額の費用弁償を支給する制度が設けられている。そして,兵庫県議会では,平成15年9月26日に開会される県議会に条例改正案が提案され,その支給方法,支給金額の改正が提案されるが,同条例改正案でも,上記法的根拠のない各会議について,引き続き支給対象となるものとされている(乙11の1~3)。 (6) 企業団議会議員の報酬,職務,交通費等ア対象者本件訴訟で不当利得返還を求められている企業団議会議員は合計38名であり,その内訳は,神戸市議会議員が21名,尼崎市議会議員が8名,西宮市議会議員が6名,芦屋市議会議員が2名,芦屋市長が1名である。 イ報酬,職務上記企業団議会議員は,本来所属している地方公共団体から議員報酬(市長については市長歳費)を受領し,その上に,企業団から,議員報酬(議長は月額7万5000円,副議長は月額7万円,議員は月額6万5000円),期末手当,費用弁償(会議に参加するたびに1回当たり1万4000円)を受領していた(乙3)。もっとも,現時点では,費用弁償は廃止されている(甲25の1)。 他方,上記企業団議会議員の職務は,議会運営委員会委員を除いて,年間11日の公式会議,本件協議会等(各市別協議会,議員協議会代表者会議,全体議員協議会に各1回)に参加するだけである。 他方,上記企業団議会議員の職務は,議会運営委員会委員を除いて,年間11日の公式会議,本件協議会等(各市別協議会,議員協議会代表者会議,全体議員協議会に各1回)に参加するだけである。 ウ交通費企業団議会議員の本来の職務場所は,神戸市役所,尼崎市役所,西宮市役所及び芦屋市役所であり,企業団での職務場所は,神戸市東灘区(企業団の住所)である。神戸市東灘区は神戸市の最も東側に位置する。尼崎市,西宮市及び芦屋市は,神戸市の東側に位置する。 神戸市,尼崎市,西宮市及び芦屋市は近接しており,その間にJR電車,阪急電車,阪神電車が東西に走っているほか,神戸市内には,市営地下鉄や神戸高速鉄道,山陽電車等が走っており,非常に交通の便が良い地域である。そのため,企業団議会議員が企業団事務所での会議に出席するのに必要な交通費は,わずかな金額ですむ。 エ他の市町村との対比なお,企業団が企業団議会議員に支給する費用弁償額(1日当たり1万4000円)は,他の市町村が市町村議会議員に支給している費用弁償額(1日当たり数千円がほとんどである。)に比べて,相当高額である(甲4~23参照)。 2 争点(1)(本件費用弁償の適否)について(1) 費用弁償すること自体の適否ア企業団議会議員に対する費用弁償に関する関係法令の定め前記第2の2(1)ア・イ記載のとおり。 イ最高裁昭和63年3月10日判決,本件行政実例最高裁昭和63年3月10日第一小法廷判決・判例時報1270号73頁は,法令上明文の根拠を欠く地方議会議員の海外派遣に関し,職務に要する費用弁償として支出された出張旅費等につき損害賠償請求がなされた住民訴訟において,「普通地方公共団体の議会は,当 1270号73頁は,法令上明文の根拠を欠く地方議会議員の海外派遣に関し,職務に要する費用弁償として支出された出張旅費等につき損害賠償請求がなされた住民訴訟において,「普通地方公共団体の議会は,当該普通地方公共団体の議決機関として,その機能を適切に果たすために必要な限度で広範な権能を有し,合理的な必要性があるときは,その裁量により議員を海外に派遣することができる。」として,法令上の根拠のない市議会の議会運営委員会及び議員総会がそれぞれした議員派遣決定による出張旅費等(費用弁償)の支出について,違法なところはないと判示した(なお,最高裁平成9年9月30日第三小法廷判決・判例時報1620号50頁,最高裁平成15年1月17日第二小法廷・判例時報1813号64頁〔民集登載〕も各参照)。 最高裁昭和63年3月10日判決は,法203条3項に規定する議員の職務は,法令上の根拠がある会議への出席等に限定されるものではなく,議会がその権能を果たすために合理的な必要性があるときは,その裁量により,これを議員の職務にすることができるとの判断を示すものである。したがって,原告が本件訴訟で最大の拠り所としている本件行政実例(前記第4の1(4)ア・イ)は,最高裁昭和63年3月10日判決で否定されたものといわざるを得ず,本件行政実例を根拠に,本件協議会等が法令の根拠を有するものではないことだけを理由に,企業団が企業団議会議員に支払った本件費用弁償の不当利得返還を認めることはできない。 ウ本件への当てはめ(ア) 本件協議会等への出席と本件条例3条1項の「公務」本件条例3条1項は,法203条5項を受けて制定されたものであるから,本件条例3条1項にいう「公務」とは,その文言に照らし,法203条5項にいう「職務」 本件条例3条1項の「公務」本件条例3条1項は,法203条5項を受けて制定されたものであるから,本件条例3条1項にいう「公務」とは,その文言に照らし,法203条5項にいう「職務」と同義と解するのが相当である(この点については,当事者間に争いがない。)。 そして,最高裁昭和63年3月10日判決によると,本件協議会等は法令上の根拠のない会議ではあるが,企業団議会としての機能を適切に果たすために合理的な必要性のある会議であれば,企業団議会議員が本件協議会等に出席することが,法203条5項にいう「職務」(すなわち,本件条例3条1項にいう「公務」)ということができ,企業団が,本件協議会等に出席した企業団議会議員に対し,費用弁償をすることは,違法ではないと認めることができる。 (イ) 本件協議会等の合理的な必要性そして,前記1(2)ア・イによると,次のとおり認めることができ,本件協議会等は,企業団議会がその機能を適切に果たすために合理的な必要性がある会議と認めることができる。 a 企業団議会においては,議員の改選時期や各市議会日程との調整などから,初議会の円滑かつ効率的な運営のためには,初議会開催前に議員間の協議や調整を行う必要があるという特殊事情があり,本件協議会等はその方策として開催されてきたものである。 b 実際にも,本件協議会等においては,初議会の円滑かつ効率的な運営のために必要な実質的な協議が行われている。 c 本件協議会等は,いずれも,企業団議会の議長からの開催通知により実施され,企業団からは企業長以下の幹部職員及び議会書記が出席しており,単に議員が事実上参集して開催したものではなく,企業団議会の正当な意思に基づく会議である。 ( 議長からの開催通知により実施され,企業団からは企業長以下の幹部職員及び議会書記が出席しており,単に議員が事実上参集して開催したものではなく,企業団議会の正当な意思に基づく会議である。 (ウ) まとめしたがって,本件協議会等への企業団議会議員の出席は,本件条例3条1項の「公務」に当たり,企業団が,本件協議会等に出席した企業団議会議員に対し,1日当たり1万4000円の費用弁償をしたことについて,その金額はともかくとして,支給したこと自体が違法であるとは認められない。 (2) 費用弁償額の適否ア本件条例の定め等(ア) 企業団においては,法203条5項の規定を受けて,阪神水道企業団報酬並びに費用弁償に関する条例(本件条例)が制定されており,同条例は,費用弁償に関し,下記のとおり定める。 記第3条1項議長,副議長及び議員並びに監査委員が公務に従事したときは,費用弁償として1日について1万4000円を支給する。 (イ) そこで,企業団は,本件協議会等に出席した企業団議会議員に対し,本件条例3条1項に基づき,費用弁償として,1日について1万4000円を支給した。 イ最高裁平成2年12月21日判決最高裁平成2年12月21日第二小法廷判決・民集44巻9号1706頁は,下記のとおり判示している。 記普通地方公共団体の議会が,法203条5項に基づき,その議員等に対する費用弁償に関する条例を制定するに当たっては,あらかじめその支給事由を定め,そ 記普通地方公共団体の議会が,法203条5項に基づき,その議員等に対する費用弁償に関する条例を制定するに当たっては,あらかじめその支給事由を定め,それに該当するときは標準的な実費である一定の額を支給することも許され,この場合,いかなる事由を支給事由として定めるか,また,一定の額を幾らとするかは,上記議会の裁量判断にゆだねられている。 ウ費用弁償の内容法203条5項所定の「費用弁償」とは,法207条にいう「実費弁償」と同じ意味であり,職務の執行等に要した経費を償うために支給される金銭をいい,交通費,日当,宿泊費等からなる。そして,費用弁償は,実費の弁償にほかならないから,費用を要した都度,その実費を計算し,その弁償を受ける実額方式が建前であるが,実額方式によると煩瑣であることから,一定額を費用弁償として支給する定額方式も許されている(最高裁判所判例解説〔民事篇〕平成2年度(法曹会発行)529頁参照)。 エ本件への当てはめ(ア) はじめに企業団議会が,法令上の根拠がない本件協議会等に出席した企業団議会議員に対しても,費用弁償として,1日について1万4000円を一律に支給する旨の本件条例3条1項を制定したことが,法203条により企業団議会に与えられた裁量権の範囲を逸脱・濫用した違法なものではないかについて,以下,検討する。 (イ) 考慮の対象となる事項本件で裁量権の逸脱・濫用を判断するに際して問題となる事項は,次のとおりである。 a 他の地方公共団体との比較-その①他の地方公共団体においては,本件協議会等のような法的根拠を有しない会議への議員の出席を費用弁償の支給対 なる事項は,次のとおりである。 a 他の地方公共団体との比較-その①他の地方公共団体においては,本件協議会等のような法的根拠を有しない会議への議員の出席を費用弁償の支給対象としている例が稀有であり,現在では,本会議や委員会(法的根拠を有する会議)への議員の出席についても,費用弁償の支給対象としない例が多く,またその数は次第に増えてきている(前記1(5)ア)。 b 他の地方公共団体との比較-その②企業団が企業団議会議員に支給する費用弁償額(1回当たり1万4000円)は,他の市町村が市町村議員に支給している費用弁償額(1日当たり数千円がほとんどである。)に比べて,相当高額である(前記1(6)エ)。 c 交通費,宿泊料の実費企業団議会議員が,自宅から企業団事務所(神戸市東灘区)まで行き帰りするのに必要な交通費はわずかな金額ですむ。宿泊料は不要である(前記1(6)ア・ウ)。 d 企業団議会議員の役得企業団議会議員の企業団での職務はごくわずかである。それにもかかわらず,企業団議会議員は,本来所属している地方公共団体から議員報酬(市長については市長歳費)を受領し,その上に,企業団から,企業団議会議員報酬,期末手当,費用弁償を支給される(前記1(6)イ)。 それゆえ,神戸市,尼崎市,西宮市及び芦屋市の市議会議員が企業団議会議員も兼ねれば,その役得は大である。 e 証人の旅費,日当との比較神戸市,尼崎市,西宮市及び芦屋市に居住する住民が,当裁判所(神戸市中央区に所在する。)に証人として出廷した場合でも,同証人に支給される旅費,日当は,ほとんどの事例で5000円未満である(当裁判所に顕著な事実)。 屋市に居住する住民が,当裁判所(神戸市中央区に所在する。)に証人として出廷した場合でも,同証人に支給される旅費,日当は,ほとんどの事例で5000円未満である(当裁判所に顕著な事実)。 ところが,企業団議会議員は,企業団から企業団議会議員報酬,期末手当を支給される上に,本件協議会等に出席すると,費用弁償(旅費,日当からなる。)として,1回あたり1万4000円も支給されるのである。 f 各市及び企業団の財政状況,市民の経済状況神戸市,尼崎市,西宮市及び芦屋市は,平成7年1月17日に発生した阪神・淡路大震災で大きな被害を受け,市民は不景気による収入減少に苦しみ,各市の財政状況も市税収入の減少等により著しく悪化している。 企業団も阪神・淡路大震災で水道施設が被害を受け,平成8年10月,平成13年4月に水道料金を各値上げしている(乙1の36頁)。 g 市民感情上記aないしfの各事情のもとにおいては,一般的な市民感情からしても,法的根拠のない会議への出席についてまで1日1万4000円を支給することは,一般的な旅費,日当等の相場に照らして高額に過ぎるのではないかとの疑問を抱かざるを得ないものと思われる。 (ウ) まとめ上記(イ)のaないしgで検討した諸事項,殊に,他の地方公共団体においては本件協議会等のような法的根拠を有しない会議への議員の出席を費用弁償の支給対象としている例が稀有であることに照らせば,企業団議会が,本件協議会等に出席した企業団議会議員に対する費用弁償額を幾らにするかについて,企業団条例を定めるに当たっては,同議会に広範な裁量権があることを考慮しても,その費用弁償額(1日当たり1万4000円)のうち1日当たり7000円を超え 議員に対する費用弁償額を幾らにするかについて,企業団条例を定めるに当たっては,同議会に広範な裁量権があることを考慮しても,その費用弁償額(1日当たり1万4000円)のうち1日当たり7000円を超える部分(1日当たり7000円)については,法203条により企業団議会に与えられた裁量権の逸脱・濫用がある違法なものと認めるのが相当である。 すなわち,本件条例3条1項の規定のうち,法令上の根拠を持たない本件協議会等に出席した企業団議会議員に対しても,費用弁償として,1日について1万4000円を一律に支給する旨の定めは,1日当たり7000円を超える部分について違法であり,法203条に違反するものといわなければならない。 それゆえ,企業団が,本件条例3条1項に基づき,本件協議会等に出席した企業団議会議員に支給した本件費用弁償のうち,1日当たり7000円分については,違法な条例に基づくもので,その支払が違法なものであり,企業団議会議員は,その部分について,法律上の根拠もなく費用弁償を受けており,不当利得金として,企業団に返還しなければならないものというべきである。 3 争点(2)(A及びBの責任)について(1) 確かに,本件費用弁償のうち,1日当たり7000円分については,その支払が違法であることが認められる。 (2) しかし,次の各事実に照らせば,Bには,1日当たり1万4000円の割合により本件費用弁償を行ったことのうち,1日当たり7000円を超える部分の支給が違法であることについて,故意又は重過失があったとは到底認めることができず,また,Aにも,Bの上記行為を阻止しなかったことについて,故意又は過失があったとは到底認めることができない。 アその金額はともかくとして,本件費用弁償を行うこと自体は 認めることができず,また,Aにも,Bの上記行為を阻止しなかったことについて,故意又は過失があったとは到底認めることができない。 アその金額はともかくとして,本件費用弁償を行うこと自体は違法ではないこと(前記2(1))。 イ Bは,本件条例3条1項に基づき,本件協議会等への出席議員に対し,1日当たり1万4000円の費用弁償金を支払ったこと。 ウ法的根拠のない本件協議会等の出席議員についても,1日当たり1万4000円の費用弁償金を支払う制度は,企業団議会で決議された本件条例3条1項に基づくものであり(乙3),BやAは,企業団議会が定めた条例については,誠実に執行しなければならない義務があること。 エ兵庫県議会では,法的根拠のない各会派代表者会議や政務調査会長会などについても,1日当たり一律に1万6500円の費用弁償金を支給する制度が設けられていること(前記1(5)イ)。 4 まとめ(1) 企業団議会議員に対する不当利得返還請求等ア前記2,3で判断したとおり,本件費用弁償中,1日当たり7000円分については違法であるから,企業団議会議員は,受領した費用弁償金中,1日当たり7000円分について,企業団に対し,不当利得金として返還すべき義務がある。 イ遅延損害金の起算点について原告は,不当利得金に対する平成14年11月14日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を,企業団議会議員に請求するよう,被告に求めている。 しかし,企業団の企業団議会議員に対する不当利得返還請求権は,その性質上期限の定めのない債務であるから,上記遅延損害金の起算点は,企業団の企業団議会議員に対する不当利得金返還請求日の翌日と しかし,企業団の企業団議会議員に対する不当利得返還請求権は,その性質上期限の定めのない債務であるから,上記遅延損害金の起算点は,企業団の企業団議会議員に対する不当利得金返還請求日の翌日と解するのが相当である(民法412条3項)。 ウよって,企業団議会議員に対する不当利得返還請求,及びその遅延損害金請求については,被告に対し,別紙1「議員名」欄記載の各議員に対して,同表の「裁判所認定額」欄記載の不当利得金,及びこれらに対する各請求日の翌日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を請求するよう求める限度で理由があるが,その余は理由がない。 (2) Aに対する賠償請求及びBに対する賠償命令ア前記3で判断したところによれば,A及びBには,企業団に対する不法行為があったと認めることができない。 イよって,原告が被告に対し,同人らに対する賠償請求又は賠償命令をするよう求める請求は,理由がない。 第5 結論以上によれば,原告の請求は,上記第4の4(1)ウ認定の限度で理由があるので,これを認容し,その余は理由がないので棄却することとし,主文のとおり判決する。 神戸地方裁判所第2民事部裁判長裁判官紙浦健二裁判官今中秀雄裁判官五十嵐章裕(別紙1)認容額一覧表 議員名裁判所認定額 議員名 裁判所認定額 1 ○○○○ 金1万4000円 2 ○○○○ 金2万1000円 3 ○○○○ 金1万4000円 4 ○○○○ 金1万4000円 5 ○○○○ 金2万1000円 6 ○○○○ 金2万1000円 7 ○○○○ 金1万4000円 8 ○○○○ 金2万1000円 9 ○○○○ 金1万4000円 10 ○○○○ 金2万1000円 11 ○○○○ 金2万8000円 12 ○○○○ 金2万1000円 13 ○○○○ 金7000円 14 ○○○○ 金2万1000円 主文 金7000円 理由 金21000円 金7000円 金14000円 金14000円 金14000円 金21000円 金28000円 金21000円 金35000円 金7000円(別紙2)は省略
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