主文 被告は,原告に対し,別紙物件目録記載2(1)及び(2)の各建物区画を明け渡せ。 被告は,原告に対し,1860万1540円及びこれに対する平成19年2月15日から支払済みまで年14パーセントの割合による金員を支払え。 被告は,原告に対し,平成18年12月1日から別紙物件目録記載2(1)の建物区画の明渡し済みまで,1か月105万円の割合による金員を支払え。 被告は,原告に対し,平成18年12月1日から別紙物件目録記載2(2)の建物区画の明渡し済みまで,1か月32万3610円の割合による金員を支払え。 訴訟費用は,被告の負担とする。 この判決は,仮に執行することができる。 事実 及び理由第1請求主文同旨第2事案の概要本件は,原告が,原・被告間の賃貸借契約につき,被告による賃料不払及び営業管理規則違反の債務不履行があったことを理由とする同契約の債務不履行解除を原因として,別紙物件目録記載2(1)の建物区画(以下「5階区画」という。)及び同2(2)の建物区画(以下「2階区画」という。)の明渡しを求めるとともに,未払賃料合計1860万1540円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成19年2月15日から支払済みまで約定の年14パーセントの割合による遅延損害金並びに平成18年12月1日から5階区画及び2階区画の各明渡しまでの間,5階区画につき月額105万円,2階区画につき月額32万3610円の割合による賃料ないし賃料相当損害金の支払を求めた事案である。 前提事実等(証拠を掲記しない事実は当事者間に争いがない。)(1)原告は,5階区画及び2階区画を含めた別紙物件目録記載1の建物(以下「本件建物」という。)及びその敷地である霞町車庫跡地(以下「本件土地」 という。)を所有している。 本件建物は,大 。)(1)原告は,5階区画及び2階区画を含めた別紙物件目録記載1の建物(以下「本件建物」という。)及びその敷地である霞町車庫跡地(以下「本件土地」 という。)を所有している。 本件建物は,大阪市交通局の管理所管する普通財産であり,大阪市交通局長が地方公営企業法に基づく公営企業管理者として管理権限を有している。 (2)原告は,本件土地に関して,A信託銀行株式会社,B信託銀行株式会社,C信託銀行株式会社及びD信託銀行株式会社(いずれも平成2年当時の商号。 以下,合併等によるこれらの会社の承継会社等も含め,これらの会社を併せて「信託受託者」といい,B信託銀行株式会社を,その後の合併等による同社の承継会社等も含めて「代表受託者」という。)との間で,平成2年8月8日に土地信託基本協定書を締結し,平成3年3月26日に土地信託契約を締結した。 (3)信託受託者は,平成9年6月30日に,本件建物を建設し,同年7月18日に都市型立体遊園地「フェスティバルゲート」(以下「フェスティバルゲート」という。)を開業した。 (4)有限会社Eは,平成9年7月17日,代表受託者との間で,5階区画にかかる賃貸借契約(以下「5階区画賃貸借契約」という。)を,概要以下の内容で締結して,5階区画の引渡を受けた。 ア使用目的飲食店舗イ営業種目ビアレストランウ店名・商号Fエ賃貸借期間フェスティバルゲート開業日から10年間オ賃料営業による売上月額(消費税抜き)に対し,次の基準により算定した金額を月額歩合賃料とする。なお,賃料には共益費315万8379円を含むものとする。 (ア)売上月額が2000万円以下の場合は,売上月額の10パーセント相当額に100万円を加算した額とする。 (イ)売上月額が2000万円超2504万円以下の場合は,売上月額にかかわ ものとする。 (ア)売上月額が2000万円以下の場合は,売上月額の10パーセント相当額に100万円を加算した額とする。 (イ)売上月額が2000万円超2504万円以下の場合は,売上月額にかかわらず,月額歩合賃金は300万7980円とする。 (ウ)売上月額が2504万円を超える場合は,売上月額の10パーセント相当額に売上月額から2000万円を控除した額の10パーセント相当額を加算した額とする。 カ共益費その他諸経費(ア)直接費有限会社Eの区画内で使用する光熱費,給排水,冷暖房,換気,ガス,電話,POSレジスター使用料,その他費用。 (イ)共益費315万8379円(消費税込み)(ウ)有限会社Eは,毎月の諸経費のうち,共益費については当月分を前月末日までに,その他の諸経費については当月分を翌月15日までに支払う。 キ契約の解除有限会社Eが賃料又はその他の債務の支払を2か月以上怠った場合,有限会社Eが5階区画賃貸借契約並びに別に定める館内規則,売上管理規則,売上管理要領等の各条項の一つに違反した場合等の場合には,代表受託者は,有限会社Eに対し相当の期間を定めてその履行・是正を催告し,その期間内に履行・是正なきときは5階区画賃貸借契約を解除し,5階区画の明渡を求めることができる。 ク債務遅延損害金有限会社Eが賃料その他の債務の支払を遅延したときは,代表受託者は遅延金額に対し年14パーセントの割合による遅延損害金を有限会社Eに請求することができる。ただし,有限会社Eは当該損害金支払により代表受託者の契約解除権の行使を免れるものではない。 (5)被告は,平成12年6月30日付けで,有限会社Eの届出印,住所,名称及び代表者を,被告の届出印,住所,名称及び代表者に変更する旨の変更届を代表受託者あてに提出した。 (6)被告は はない。 (5)被告は,平成12年6月30日付けで,有限会社Eの届出印,住所,名称及び代表者を,被告の届出印,住所,名称及び代表者に変更する旨の変更届を代表受託者あてに提出した。 (6)被告は,平成12年7月19日付けで,代表受託者との間で,2階区画にかかる賃貸借契約(以下「2階区画賃貸借契約」という。)を,概要以下の内 容で締結して,2階区画の引渡を受けた。 ア使用目的飲食店舗イ営業種目ファーストフードウ店名・商号Gエ賃貸借期間平成12年7月20日から平成22年7月19日までオ賃料(ア)最低保証賃料32万3610円(イ)歩合賃料営業による当月の売上月額(消費税等抜き)の15パーセント相当額に消費税等を加算した金額(共益費27万5068円を含む。)。これにより計算した金額が最低保証賃料に達しない場合は,最低保証賃料とする。 カ共益費その他諸経費(ア)直接費被告の区画内で使用する光熱費,給排水,冷暖房,換気,ガス,電話,POSレジスター使用料,その他費用。 (イ)共益費27万5068円(消費税込み)(ウ)被告は,毎月の諸経費のうち,共益費については当月分を前月末日までに,その他の諸経費については当月分を翌月15日までに支払う。 キ契約の解除被告が賃料又はその他の債務の支払を2か月以上怠った場合,被告が2階区画賃貸借契約並びに別に定める館内規則,売上管理規則,売上管理要領等の各条項の一つに違反した場合等の場合には,代表受託者は,被告に対し相当の期間を定めてその履行・是正を催告し,その期間内に履行・是正なきときは2階区画賃貸借契約を解除し,2階区画の明渡を求めることができる。 ク債務遅延損害金被告が賃料その他の債務の支払を遅延したときは,代表受託者は遅延金額に対し年14パーセントの割合 ・是正なきときは2階区画賃貸借契約を解除し,2階区画の明渡を求めることができる。 ク債務遅延損害金被告が賃料その他の債務の支払を遅延したときは,代表受託者は遅延金額に対し年14パーセントの割合による遅延損害金を被告に請求することがで きる。ただし,被告は当該損害金支払により代表受託者の契約解除権の行使を免れるものではない。 (7)信託受託者は,平成14年7月19日付けで,大阪簡易裁判所に対し,信託事業の再生,事業形態の見直し等に関する調停を申し立てた。 原告と信託受託者は,平成16年3月29日に,信託受託者と原告との間で本件土地に関する信託契約を同年9月末日で合意解除し,同日をもって本件建物を現状のまま原告に対して引き渡すこと,信託受託者を賃貸人として締結されている建物賃貸借契約は,同日をもって原告が承継すること等を内容とする調停を成立させた。 (8)原告は,平成17年5月16日,被告に対して,1週間以内に営業管理規則違反行為を是正しない場合には5階区画賃貸借契約及び2階区画賃貸借契約を解除するとの意思表示をした。(なお,後記のとおり,解除の効力には争いがある。)(9)原告は,平成18年12月22日付けの書面にて,被告に対して,5階区画賃貸借契約及び2階区画賃貸借契約の賃料不払を理由とする契約解除の意思表示をした。(なお,後記のとおり,解除の効力には争いがある。)。 争点 (1)賃料債務の債務不履行を理由とする解除の成否(原告の主張)ア(ア)被告は,平成17年6月12日から同月16日にかけて,フェスティバルゲート内の管理事務所に,賃料等として,現金17万9920円を支払った。また,被告は,平成17年8月22日に,原告に対し,同年6月分及び7月分の賃料等として333万3753円の普通為替証書を送付し,以後,6回にわ 務所に,賃料等として,現金17万9920円を支払った。また,被告は,平成17年8月22日に,原告に対し,同年6月分及び7月分の賃料等として333万3753円の普通為替証書を送付し,以後,6回にわたり,普通郵便為替を送付してきている(合計1186万2199円)。その後,被告は,一切何らの支払もせず,また,その提供も供託もしていない。 以上より,被告は,原告に対し,平成17年6月分以降平成18年11月分までの賃料・共益費その他の諸経費の合計相当額である3064万3659円から既払分である1204万2119円を差し引いた1860万1540円の支払義務を負っている。 (イ)原告は,平成18年12月14日到達の通知書により,被告に対し,上記金員を直ちに支払うよう催告したが,期限の平成18年12月19日までに支払がなかった。 (ウ)被告は,11か月の長期間にわたり賃料等の支払をしていないことから,原告と被告との信頼関係は完全に破壊されており,5階区画賃貸借契約25条1項1号及び2階区画賃貸借契約24条1項1号により解除が認められる場合に該当する。 (エ)原告は,平成18年12月22日付けの書面をもって,被告に対し,5階区画賃貸借契約及び2階区画賃貸借契約を債務不履行によって解除する旨の意思表示を行った。 イ原告は,以下のとおり,被告の主張する告知・説明義務や営業努力義務を負っていないから,このことを前提とする被告の主張には理由がない。 (ア)告知・説明義務は,契約締結時の問題であるところ,原告は,被告との契約締結交渉に何ら関与していないから,被告に対する告知・説明義務を負わない。 (イ)5階区画賃貸借契約及び2階区画賃貸借契約において,被告の主張するような告知・説明義務や営業努力義務に関する規定は存在しない。 (ウ)フェスティバル 被告に対する告知・説明義務を負わない。 (イ)5階区画賃貸借契約及び2階区画賃貸借契約において,被告の主張するような告知・説明義務や営業努力義務に関する規定は存在しない。 (ウ)フェスティバルゲートに関する警備スキームを計画・決定したのは信託受託者であって,原告は何ら関知していないから,原告が警備費に関して義務違反を問われることはない。また,警備に関する契約の当事者は警備を委託する者と警備会社であって,賃借人は当事者ではないし,どのような警備会社を選定し,どのような内容の警備契約を締結するかは賃貸人, 所有者あるいは警備会社が決定すべき事項であるから,警備委託者が賃借人との関係において,過大な警備費を支出してはならない義務を直接的に負うことはあり得ない。 (エ)5階区画賃貸借契約及び2階区画賃貸借契約の規定並びに営業管理規則上,アミューズメント施設の営業日・営業時間を決定・変更する権限は,フェスティバルゲート株式会社及び賃貸人にあるのであって,原告が被告に対して営業日・営業時間維持義務を負っていないことは明らかである。 (オ)原告は,平成16年10月1日にフェスティバルゲートを引き継いだ後,フェスティバルゲートを新たな商業施設として再生するための再生計画を実現すべく,一部のテナントへの退店依頼及び合意解除をした。被告にも一部明渡しを依頼するとともに正当な補償を提示し,継続的に交渉を続けてきたものの交渉が不成立に終わり,そのために再生計画全体が実現不可能となった。このように,原告は,フェスティバルゲートの再生や有効利用を目指して鋭意努力しているのであって,退店放置・勧奨について何ら非難を受けるいわれはない。 (カ)本件では,5階区画及び2階区画の使用収益について,原告側の行為による支障は生じていない。原告は,客の来店を妨げる 力しているのであって,退店放置・勧奨について何ら非難を受けるいわれはない。 (カ)本件では,5階区画及び2階区画の使用収益について,原告側の行為による支障は生じていない。原告は,客の来店を妨げるなどの行為をしたことはなく,むしろ,エスカレーター,エレベーターなどの施設の維持,冷暖房,上下水,警備など,必要な施設の維持管理を管理会社に委託して行い,5階区画及び2階区画を飲食店としての使用収益に適した状態に置いていた。 ウ被告は,民法536条1項類推適用を主張し,大阪高等裁判所平成9年12月4日判決を引用する。 しかし,同判決は,物理的滅失を前提としているのであって,明らかに本件と事情を異にする。また,そもそも原告には賃貸人の義務の不履行は存在せず,被告が賃貸借契約を締結した目的を達成できない状態にあるとはいえ ない。 エ被告は,原告に対する損害賠償請求権を有することを前提に,相殺の主張を行う。 しかし,被告が主張する損害賠償請求権は,大阪地方裁判所平成17年(ワ)第12617号事件(以下「別件訴訟」という。)で訴訟物となっていることから,本件訴訟で相殺の主張を行うことは許されない。 また,被告は,損害額すら明らかにしておらず,また,別件訴訟の判決においても原告の責任は明確に否定されているのであって,相殺の主張は主張自体失当である。 オ被告は,原告の契約義務違反には強い背信性があるから,契約を解除することは権利濫用であると主張するが,上記のとおり,そもそも原告には契約違反が存在しないから,被告の主張は認められない。 (被告の主張)ア賃料支払義務の不存在(ア)原告及び信託受託者は,5階区画及び2階区画の賃貸人として,賃借人たる被告に5階区画及び2階区画を使用収益をさせる義務を負い,この義務を尽くした場合にその対価として被告に 料支払義務の不存在(ア)原告及び信託受託者は,5階区画及び2階区画の賃貸人として,賃借人たる被告に5階区画及び2階区画を使用収益をさせる義務を負い,この義務を尽くした場合にその対価として被告に対して賃料等の支払を求める権利を取得する。 しかし,原告及び信託受託者は,以下のとおり,告知・説明義務及び営業努力義務に違反し,賃貸目的物を使用収益させる義務を履行しておらず,かつ,詐欺的勧誘等の著しい背信行為を行っているから,対価関係にある被告の賃料支払義務が信義則上生じないか,少なくとも原告の履行があるまで賃料支払を拒むことができる(東京地裁平成10年9月30日判決参照)。 したがって,原告がした,平成18年12月22日付内容証明郵便による賃料不払の債務不履行を理由とする5階区画賃貸借契約及び2階区画賃 貸借契約の解除の意思表示は無効である。 (イ)フェスティバルゲートの特殊性フェスティバルゲートは,施設全体にアミューズメント施設を配置し,これを集客の核として,シャワー効果による施設全体での収益確保を図る構造となっている。このことから,賃借店舗の営業は,アミューズメント施設が誘引する客の消費に依存する関係に立つ。このため,フェスティバルゲートにおける営業活動は,営業管理規則,建物管理規則等の管理規則及び賃貸借契約によって,事実上フェスティバルゲート全体の営業活動に沿うよう全面的な拘束を受け,独自の営業活動を展開する余地は存在しない。さらに,フェスティバルゲート内のテナント等の賃借人は,フェスティバルゲート自体の収益活動に協力する義務を課されている。 以上の点からすれば,フェスティバルゲートの性格は,基本的には遊園地やテーマパークと同一であり,施設全体としての営業方針と営業があり,内容において施設全体の営業方針に沿い,かつ,方法におい ている。 以上の点からすれば,フェスティバルゲートの性格は,基本的には遊園地やテーマパークと同一であり,施設全体としての営業方針と営業があり,内容において施設全体の営業方針に沿い,かつ,方法において施設全体の運営に従属する形で賃借人の収益活動が存在するのであって,施設全体の営業の活性化なしに個々の賃借人の収益活動は成り立たない関係にある。 (ウ)告知・説明義務違反信託受託者及び原告は,フェスティバルゲートの特殊性より,5階区画賃貸借契約及び2階区画賃貸借契約の締結に際して,フェスティバルゲートでの収益性に関して告知・説明義務を負う。 信託受託者及び原告は,平成9年7月17日時点で,既に収益計画を上回る警備費用の支出予定を認識していたのであるから,5階区画賃貸借契約及び2階区画賃貸借契約締結の際,賃借人に対して,過大な警備費用の内容,支出額及びこれがフェスティバルゲートの運営に及ぼす影響について告知・説明すべき義務があった。 しかし被告はこれらに関する説明を受けておらず,賃貸人の告知・説明 義務違反は明白である。 (エ)営業努力義務違反a信託受託者及び原告は,フェスティバルゲートの特殊性より,遊戯施設を核とする有機的な関連性が維持されている状態を維持する義務を負っており,営業活動においても賃貸人としてフェスティバルゲートの集客のための努力義務を負う。しかし,信託受託者及び原告は,以下のとおり,営業努力義務を怠っているばかりか,積極的にフェスティバルゲートにおける有機的関連性を破壊し,本件施設を破綻に導いており,その態様は背信的である。 b過大な警備費用の支出信託受託者及び原告は,年度収入計画及び収入実績を大きく上回る管理費(その大半が警備費用である。)を支出していたにも拘わらず,警備の見直しなどを行わずに漫然と警備契約を 。 b過大な警備費用の支出信託受託者及び原告は,年度収入計画及び収入実績を大きく上回る管理費(その大半が警備費用である。)を支出していたにも拘わらず,警備の見直しなどを行わずに漫然と警備契約を継続して大幅な赤字支出を継続し,事業全体を衰退へ導いた。 さらに信託受託者及び原告は,平成9年7月1日時点では明確な警備契約を締結していなかったと推測され,何らの収支計算もないままに年間26億3040万円もの過大な警備費用を支出していたものであって,賃借人との関係で営業努力義務違反を構成することは明らかである。 c宣伝不足及び集客努力の欠如・放棄フェスティバルゲートのような遊戯施設については,新しい入場者を誘引するための日常的な宣伝活動を要するとともに,リピーターの確保が不可欠とされる。そして,リピーターを確保するためには,定期的に斬新な企画による施設のリニューアルが不可欠とされる。したがって,これらの活動は,施設の運営にあたる信託受託者及び原告の営業努力の中核をなす。 しかし,信託受託者及び原告は,アミューズメント施設の入れ替えを 一度しか行わないなど,上記努力をほとんど行わなかった。 d遊戯施設の一方的な閉鎖・撤去,営業日・営業時間の一方的な変更(a)フェスティバルゲートと,フェスティバルゲート内の各店舗の不可分の依存関係に照らせば,遊戯施設の稼働・存置,営業日・営業時間についての規制が賃貸借契約に明文上含まれているか否かにかかわらず,条理ないし信義則上,賃貸人は賃借人に対して,遊戯施設を稼働・存置させ,営業日・営業時間を遵守すべき義務を負う。仮に遊戯施設の稼働・存置,営業日・営業時間の規制が賃貸借契約の内容となっておらず,賃貸人にその変更権限があり,変更を要する事態が惹起されるとしても,賃借人はこれらの営業日・営業時間に拘束 を負う。仮に遊戯施設の稼働・存置,営業日・営業時間の規制が賃貸借契約の内容となっておらず,賃貸人にその変更権限があり,変更を要する事態が惹起されるとしても,賃借人はこれらの営業日・営業時間に拘束される立場にあり,その変更に重大な利害を有することにかんがみ,賃貸人は,これらの変更について賃借人の同意を得るか,少なくとも信義則に従って合理的な運用を行うことを要し,賃借人の利害を無視した運用が行われる場合は,信義則違反ないし権利濫用となる。 (b)信託受託者は,平成15年1月1日以降,フェスティバルゲート内エレベーター及びエスカレーターを1台ずつ止め,5階のキッズランドを日曜日・祭日のみの運行として平日営業を中止した。 また,信託受託者から賃貸人の地位を引き継いだ原告は,信託受託者の行為を見直すどころか,その状況を継続し,平成18年8月31日以降,ジェットコースターを除くすべての遊戯施設を閉鎖し,ジェットコースターも土曜日・日曜日のみの運転とした。平成19年3月31日には6階の映画館が閉鎖され,同年5月6日にはジェットコースターも完全に閉鎖された。この結果,現在稼働している遊戯施設は1つもない。 フェスティバルゲートは,現在,エレベーター及びエスカレーターの運転が完全に休止し,被告店舗のある5階までは唯一階段によって 徒歩によってのみ移動できる状態である。廊下の電球も,切れても交換されない状況が続いており,フェスティバルゲートは廃墟と化している。 (c)このように,信託受託者及び原告は,フェスティバルゲート内の遊戯施設の営業日・営業時間を一方的に変更し,さらには閉鎖しており,この行為は,上記義務に真っ向から背いたものである。 e遊戯施設,飲食店等の退店・閉鎖と信託受託者・原告の退去勧奨平成13年ころから,フェスティバルゲート内 を一方的に変更し,さらには閉鎖しており,この行為は,上記義務に真っ向から背いたものである。 e遊戯施設,飲食店等の退店・閉鎖と信託受託者・原告の退去勧奨平成13年ころから,フェスティバルゲート内の施設・店舗の賃借人の退去が相次いだが,信託受託者及び原告は,積極的に立退料を支払って退去を推進した。この結果,開設当初33店舗あった飲食店及び36店舗あった物販店は急速に廃業,退店し,平成17年12月現在で飲食店が5店舗,物販店が3店舗を残すのみとなっており,現在ではほとんど退去している状況である。さらに,信託受託者及び原告は,空きスペースを埋めることなく放置し続けてきた。 飲食店・物販店の賃借人の退去を承認するにとどまらず,立退料まで提供して早期の退去をしょうようして,結局出店賃借人を激減させ,施設における店舗としての存在意義を無に帰せしめた行為は,いずれもフェスティバルゲート内の店舗の賃貸人としての義務に違反しており,かつ背信的な行為である。 (オ)詐欺的勧誘a信託受託者及び原告は,パンフレットに,フェスティバルゲートが,あたかも第三者からも高く評価されるほど綿密に計画されたものであるかのような記載をし,また,フェスティバルゲートの集客性が確実に保証されているかのような記載をしている。さらに,ハード面及びソフト面の両面からの充実が図られることが記載されている。また,勧誘担当者は,被告に対し,将来遊戯施設のリニューアルを行っていくこと,新 たな遊戯施設を導入する予定であり,そのための空きスペースが十分に確保されていることなどを説明した。 被告は,これらの点を信用して5階区画賃貸借契約を締結した。 bしかし,実際には,上記説明の時点で,既に過大な警備費用の支出が明らかになっていたうえ,賃貸収入総額も確定しており,併設建物の売却 。 被告は,これらの点を信用して5階区画賃貸借契約を締結した。 bしかし,実際には,上記説明の時点で,既に過大な警備費用の支出が明らかになっていたうえ,賃貸収入総額も確定しており,併設建物の売却価格も当初予定額を18億円近く下回ることが明らかになっていた。 したがって,開業時点において,同年度の収支は当初から赤字が予測されていたのであり,施設運営に関する上記説明が実体を伴わないか,あるいは実現不可能なものであったことは明らかである。 c信託受託者及び原告は,パンフレットの説明等が実体を伴わないか,あるいは実現不可能なものであることを認識しながら上記説明を行ったものであるから,詐欺的勧誘と評価すべきである。 イ民法536条1項類推適用による賃料債務の不存在フェスティバルゲートにおいては,賃貸借の目的物は物理的には滅失こそしていないものの,フェスティバルゲートの経営破綻に伴い,現在では遊戯施設は一切稼働せず,飲食店舗等もほとんど営業されていない廃墟同然の状態にあり,もはや飲食店の経営ができない状況にあって,飲食店の経営という賃貸借契約の目的からすれば実質的には滅失にも等しい状態にある。これは,賃貸借契約を締結した目的を達成できない状態にあるものといえる。 しかも,このような状態になった原因は,賃貸人の過大な警備費用の支出や,日常的な宣伝活動の不足と集客の核たるアミューズメント施設のリニューアルによる集客努力の欠如・放棄,遊戯施設の一方的な閉鎖・撤去,営業日・営業時間の一方的な変更,開業後まもなくからの遊戯施設,飲食店等の順次の退店,閉鎖と信託受託者及び原告からの退去の勧奨といった原告の背信的な義務違反行為に直接起因している。 そして,これらについて賃貸人による改善がなされないままに契約終了と なったものであるため,公平の原則により, 託者及び原告からの退去の勧奨といった原告の背信的な義務違反行為に直接起因している。 そして,これらについて賃貸人による改善がなされないままに契約終了と なったものであるため,公平の原則により,民法536条1項を類推適用し,フェスティバルゲートが廃墟同然となった時点から賃料支払義務は生じない(大阪高等裁判所平成9年12月4日判決参照)。 よって,遅くとも,被告が賃料の支払を拒否した平成18年1月時点では,被告に賃料支払義務は存在せず,5階区画賃貸借契約及び2階区画賃貸借契約につき被告の債務不履行は観念し得ないのであるから,債務不履行を原因とする原告の前記契約解除の主張は前提を欠くものであって失当である。 ウ損害賠償請求権との相殺仮に被告が賃料支払義務を負うとしても,被告は,信託受託者及びその賃貸人としての地位を承継した原告の上記各種義務違反による不法行為ないし本件各賃貸借契約の不履行によって被った損害賠償請求権を有する。 被告は,原告に対し,平成18年3月14日付けの内容証明郵便により,損害賠償請求権の内金と原告の賃料請求権を対当額で相殺するとの意思表示を行った。その後,原告は,平成18年12月14日到達の通知書を送付し,被告に対して賃料の支払を催告したことから,被告は,同月19日付けの内容証明郵便により,原告に対して,上記損害賠償請求権と原告の賃料請求権を対当額で相殺するとの意思表示を行った。 したがって,被告には賃料不払は存在せず,原告が行った前記解除の意思表示は無効である。 エ権利濫用仮に,被告が賃料支払義務を負うとしても,原告は,自ら使用収益させる義務を著しく怠り,そこに強い背信性が認められる本件において,原告が,被告の賃料不払を根拠に契約解除を主張するのは,権利濫用にあたる。 (2)営業管理規則違反を理由とする債務不履 自ら使用収益させる義務を著しく怠り,そこに強い背信性が認められる本件において,原告が,被告の賃料不払を根拠に契約解除を主張するのは,権利濫用にあたる。 (2)営業管理規則違反を理由とする債務不履行解除の成否(原告の主張)ア2階区画賃貸借契約及び5階区画賃貸借契約の使用目的は,いずれも飲食 店舗であるところ,フェスティバルゲート内の営業管理規則第8条第1項では,飲食店舗の営業時間は午前10時から午後11時までと定められており,さらに同条3項では,原則年中無休と定められている。 イところが,被告は,2階区画及び5階区画につき,平成16年11月以降,ほぼ毎週の水曜日を「厨房機器点検の為,臨時休業」とする旨の休業届を提出し,休業している。しかしながら,実際には,当該臨時休業した日には,厨房機器点検を行ったという事実は確認できず,被告は,厨房機器点検のためと称して毎週水曜日を定休日としている。 さらに,5階区画については,午前11時ころに開店し,午後4時30分ころに閉店しており,また,2階区画についても,午後10時前に閉店している。 これらの行為は,上記営業管理規則第8条第1項及び同条第3項に違反する行為であり,ひいては,5階区画賃貸借契約第25条第1項第7号及び2階区画賃貸借契約第24条第1項第7号所定の解除事由に該当する行為である。 なお,被告のこれらの行為について,フェスティバルゲート株式会社や管理会社が承諾をした事実はない。 ウ原告は,平成17年5月16日到達の書面により,被告に対し,同書面到達の日から1週間以内に,上記営業管理規則違反行為を是正すること,及び,同期間内に是正がなされない場合,原告は,5階区画賃貸借契約及び2階区画賃貸借契約を解除するので,上記期限経過後1週間以内に,5階区画及び2階区画を原状に回復のうえ, 違反行為を是正すること,及び,同期間内に是正がなされない場合,原告は,5階区画賃貸借契約及び2階区画賃貸借契約を解除するので,上記期限経過後1週間以内に,5階区画及び2階区画を原状に回復のうえ,原告に明け渡すことを催告した。 しかし,被告は,同営業管理規則違反行為を是正しなかったことから,平成17年6月11日到達の書面により,5階区画賃貸借契約及び2階区画賃貸借契約をそれぞれ解除した。 (被告の主張) アフェスティバルゲートの稼働時間は,営業管理規則上,遊戯施設について,年中無休のうえ,午前10時から午後10時まで稼働することとし,そのため,飲食店舗については,これを前提として午前10時から午後11時まで営業することが予定されていた。しかし,信託受託者は,フェスティバルゲートの入場者数が減少すると,新規施設・アトラクションを導入せず,一方的に遊園施設の営業時間を変更し,さらに,順次,これを休止,閉鎖するなどの処置を断行した。信託受託者は,平成15年1月から,一方的に,アミューズメント施設について,年間189日ほどの繁忙期を除く閑散期につき,午前10時から午後6時までの8時間営業とし,屋上キッズランドについては繁忙期のみの営業として,営業時間の大幅な短縮を行った。 イ被告は,信託受託者が賃貸人であった時期から,信託受託者の承認の下に,事実上の定休日を設けて休業していた。そこで,原告が5階区画賃貸借契約及び2階区画賃貸借契約を承継した後においても,従前の扱いに従い,原告の承認の下に同様の処理を行ってきた。 また,営業時間も,原告の承認のもとに,5階区画及び2階区画の両店舗について,営業管理規則の規定とは異なる時間に開店・閉店を行っていた。 しかし,これらの措置は,信託受託者が賃貸人の地位にあった時期から,施設全体の極度の営業不振の とに,5階区画及び2階区画の両店舗について,営業管理規則の規定とは異なる時間に開店・閉店を行っていた。 しかし,これらの措置は,信託受託者が賃貸人の地位にあった時期から,施設全体の極度の営業不振のため,信託受託者の委託を受けたフェスティバルゲート株式会社の提示した書式に従って届出をし,その承認のもとに行っていたものであり,原告が賃貸人の地位を承継した後においても,原告から施設管理の委託を受けた管理会社の定めた書式に従って届出をし,その承認のもとに行ってきた。 そして,上記のとおり,信託受託者が施設の管理運営を行っていた時期から,極度の営業不振のため,本件建物内の遊戯施設を含むすべての店舗が,営業日・営業時間を遵守できない状態に立ち至っていたもので,さらに信託受託者が撤退し,原告が賃貸人の地位を承継した後に至っては,原告自体, 当初から施設の正常な稼働・運営を図る意図を全く有さず,入居した賃借人の恣意的な開店・閉店に任せていた。 このように,営業管理規則の営業日・営業時間の規定が機能する前提としての施設の正常な稼働が確保されておらず,原告自体,施設を正常に稼働させる意図を完全に放棄していただけでなく,被告ら賃借人との間の賃貸借契約を完全に無視して,フェスティバルゲートを他に転用又は転貸するために奔走していた。 ウ被告は,原告から,営業管理規則違反行為を理由とする解除の意思表示を内容とする内容証明郵便を受け取った。しかし,この解除の意思表示は,本件建物を他に転貸する目的から,なんら正当な解除事由が存在しないにもかかわらず,もっぱら明渡しを実現するために形式的に解除理由の存在を挙行する意図に出たものにすぎず,正当な解除原因を欠くものであり無効である。 (3)留置権の成否(被告の主張)被告は,上記のとおり,原告の告知・説明義務違反及 現するために形式的に解除理由の存在を挙行する意図に出たものにすぎず,正当な解除原因を欠くものであり無効である。 (3)留置権の成否(被告の主張)被告は,上記のとおり,原告の告知・説明義務違反及び営業努力義務違反を理由とする損害賠償請求権を有するところ,同債権を担保するために,5階区画及び2階区画に対する留置権を主張する。 (原告の主張)被告の主張する損害賠償請求権は,別件訴訟で訴訟物となっているところ,損害賠償請求権の存否に関する判断の矛盾・抵触を回避すべき要請があることから,本件において,同請求権の存在及びこれを根拠とする留置権の主張をすることは許されないというべきである。 また,被告は,損害額すら明らかにしていないうえ,別件訴訟の判決においても原告の責任は明確に否定されているのであって,留置権の抗弁は主張自体失当である。 (4)賃料相当損害金等の額 (原告の主張)ア上記(1)ア(ア)記載のとおり,被告は原告に対し,未払賃料として1860万1540円の支払義務を負っている。 イ原告は,被告の5階区画の不法占拠によって,被告の売上が皆無であるとしても,少なくとも1か月105万円の損害を被っている。 ウ原告は,被告の2階区画の不法占拠によって,被告の売上が皆無であるとしても,少なくとも1か月32万3610円の損害を被っている。 (被告の主張)ア賃貸借契約終了後の占有について賃料相当損害金が発生するのは,当該物件に賃料額に見合う利用価値があることを前提としている。 原告が損害として主張するのは,平成9年7月時の契約内容に定められた賃料の最低額であるが,フェスティバルゲートオープン時の平成9年からいまだ信託受託者において施設の運営を維持する可能性が残っていた平成12年までの間と,フェスティバルゲートの経営が破綻し,廃墟と化 賃料の最低額であるが,フェスティバルゲートオープン時の平成9年からいまだ信託受託者において施設の運営を維持する可能性が残っていた平成12年までの間と,フェスティバルゲートの経営が破綻し,廃墟と化している契約終了時では事情があまりにも異なり,同程度の利用価値が認められるはずがない。 よって,契約当時の賃料を基礎とした損害金の計算には,およそ合理性が認められないのであって,契約解除時点での利用価値を基準とすべきである。 そして,廃墟化したフェスティバルゲートの現状にかんがみて,その利用価値は存在しない以上,賃料相当損害金に関する原告の主張は失当である。 イフェスティバルゲートは,どんなに控えめにみても,平成13年5月31日には破綻状態にあり,その後は廃墟へと至るカウントダウンを続けてきたのであり,その利用価値はゼロであるか,仮にあったとしても極めて低いものでしかない。実際,店舗の入っていない空きスペースはいくらでもあり,そこに新たなテナントが入る気配もない。しかも,このような廃墟化は,賃貸人たる信託受託者及び原告の義務の不履行によって生じたものである。被 告の賃貸各店舗を含むフェスティバルゲートを自ら破綻させ,廃墟と化し,賃借人が使用収益することが不可能な状態を惹起しておきながら,その占有について損害を主張するのは,あまりにも公平に反し,許されるものではない。 第3争点に対する判断 前提事実等,証拠(甲3ないし5,甲6の1及び2,甲7の1及び2,乙1ないし6)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 (1)原告は,本件土地に関して,信託受託者との間で,平成2年8月8日に土地信託基本協定書を締結し,平成3年3月26日に土地信託契約を締結した。 (2)信託受託者は,平成9年6月30日に,本件建物を建設し,同年7月18日 関して,信託受託者との間で,平成2年8月8日に土地信託基本協定書を締結し,平成3年3月26日に土地信託契約を締結した。 (2)信託受託者は,平成9年6月30日に,本件建物を建設し,同年7月18日にフェスティバルゲートを開業した。 (3)有限会社Eは,平成9年7月17日,代表受託者との間で,5階区画賃貸借契約を,概要以下の内容で締結して,5階区画の引渡を受けた(甲3)。 ア使用目的飲食店舗イ営業種目ビアレストランウ店名・商号Fエ使用目的等の変更有限会社Eは,5階区画を上記アないしウの目的のみに使用し,その他の目的に使用してはならない。有限会社Eは,上記使用目的等を変更しようとする場合,事前に代表受託者と協議し,その承認を受けなければならない。 オ賃貸借期間フェスティバルゲート開業日から10年間カ賃料営業による売上月額(消費税抜き)に対し,次の基準により算定した金額を月額歩合賃料とし,これに消費税に相当する金額を加算する。なお,賃料には共益費315万8379円を含むものとする。区画の改装,その他有限会社Eの事由により休業したため,売上高が減少又は皆無になった場合でも,有限会社Eは,過去1年間(営業が1年に満たない場合はその期間) における最低の月額歩合賃料を代表受託者に支払わなくてはならない。 (ア)売上月額が2000万円以下の場合は,売上月額の10パーセント相当額に100万円を加算した額とする。 (イ)売上月額が2000万円超2504万円以下の場合は,売上月額にかかわらず,月額歩合賃金は300万7980円とする。 (ウ)売上月額が2504万円を超える場合は,売上月額の10パーセント相当額に売上月額から2000万円控除した額の10パーセント相当額を加算した額とする。 キ共益費その他諸経費(ア)直接費 (ウ)売上月額が2504万円を超える場合は,売上月額の10パーセント相当額に売上月額から2000万円控除した額の10パーセント相当額を加算した額とする。 キ共益費その他諸経費(ア)直接費有限会社Eの区画内で使用する光熱費,給排水,冷暖房,換気,ガス,電話,POSレジスター使用料,その他費用。 (イ)共益費315万8379円(消費税込み)(ウ)有限会社Eは,毎月の諸経費のうち,共益費については当月分を前月末日までに,その他の諸経費については当月分を翌月15日までに,売上預託金から差し引く方法で支払う。ただし,売上預託金が,有限会社Eの支払うべき共益費,その他の諸費用に満たない場合は,代表受託者の請求により,有限会社Eは直ちに不足額を支払わなければならない。 ク開業協力金等有限会社Eは,代表受託者が管理運営委託する会社(以下「管理運営会社」という。)が施設開業前に行う宣伝等の事業に協力する義務を負い,管理運営会社に対し開業協力金100万円を支払う。また,有限会社Eは,施設開業後も,管理運営会社が行う施設の販売促進事業に要する費用を管理運営会社の定めに従って負担するものとする。 ケ有限会社E又はその使用人は,5階区画における営業及び建物の管理にあたっては,代表受託者の管理方針に従い,代表受託者が定める館内規則,指示事項を遵守しなければならない。 コ有限会社Eは,代表受託者及び全出店者をもって構成するテナント会に入会し,その会則に従い,テナント会費の負担及びテナント会の発展に協力しなければならない。 サ契約の解除有限会社Eが賃料又はその他の債務の支払を2か月以上怠った場合,有限会社Eが5階区画賃貸借契約並びに別に定める館内規則,売上管理規則,売上管理要領等の各条項の一つに違反した場合等の場合には,代表受託者は, 社Eが賃料又はその他の債務の支払を2か月以上怠った場合,有限会社Eが5階区画賃貸借契約並びに別に定める館内規則,売上管理規則,売上管理要領等の各条項の一つに違反した場合等の場合には,代表受託者は,有限会社Eに対し相当の期間を定めてその履行・是正を催告し,その期間内に履行・是正なきときは5階区画賃貸借契約を解除し,5階区画の明渡を求めることができる。 シ債務遅延損害金有限会社Eが賃料その他の債務の支払を遅延したときは,代表受託者は遅延金額に対し年14パーセントの割合による遅延損害金を有限会社Eに請求することができる。ただし,有限会社Eは当該損害金支払により代表受託者の契約解除権の行使を免れるものではない。 (4)被告は,平成12年6月30日付けで,有限会社Eの届出印,住所,名称及び代表者を,被告の届出印,住所,名称及び代表者に変更する旨の変更届を代表受託者あてに提出した。これにより,被告は,有限会社Eから5階区画賃貸借契約の賃借人の地位を引き継いだ。 (5)被告は,平成12年7月19日付けで,代表受託者との間で,2階区画賃貸借契約を,概要以下の内容で締結して,2階区画の引渡を受けた(甲4)。 ア使用目的飲食店舗イ営業種目ファーストフードウ店名・商号Gエ使用目的等の変更被告は,2階区画を上記アないしウの目的のみに使用し,その他の目的に 使用してはならない。被告は,上記使用目的等を変更しようとする場合,事前に代表受託者と協議し,その承認を受けなければならない。 オ賃貸借期間平成12年7月20日から平成22年7月19日までカ賃料(ア)最低保証賃料32万3610円(イ)歩合賃料営業による当月の売上月額(消費税抜き)の15パーセント相当額に消費税等を加算した金額(共益費27万5068円を含む。)。 これ でカ賃料(ア)最低保証賃料32万3610円(イ)歩合賃料営業による当月の売上月額(消費税抜き)の15パーセント相当額に消費税等を加算した金額(共益費27万5068円を含む。)。 これにより計算した金額が最低保証賃料に達しない場合は,最低保証賃料とする。区画の改装,その他被告の事由により休業したため,売上高が減少又は皆無になった場合でも,被告は最低保証賃料を支払わなければならない。 (ウ)被告は,当月分の月額歩合賃料を,翌月15日までに,売上預託金から差し引く方法で支払う。売上預託金が,被告の支払うべき賃料に満たない場合は,代表受託者の請求により,被告は直ちに不足額を支払わなければならない。 キ共益費その他諸経費(ア)直接費被告の区画内で使用する光熱費,給排水,冷暖房,換気,ガス,電話,POSレジスター使用料,その他費用。 (イ)共益費27万5068円(消費税込み)(ウ)被告は,毎月の諸経費のうち,共益費については当月分を前月末日までに,その他の諸経費については当月分を翌月15日までに,売上預託金から差し引く方法で支払う。売上預託金が,被告の支払うべき共益費その他の諸経費に満たない場合は,代表受託者の請求により,被告は直ちに不足額を支払わなければならない。 ク被告は,管理運営会社が行う施設の販売促進事業に関する費用月額9万7083円(消費税込み)を管理運営会社の定めに従って負担する。 ケ被告又はその使用人は,区画における営業及び建物の管理にあたっては,代表受託者の管理方針に従い,代表受託者が定める館内規則,指示事項等を遵守しなければならない。 コ契約の解除被告が賃料又はその他の債務の支払を2か月以上怠った場合,被告が2階区画賃貸借契約並びに別に定める館内規則,売上管理規則,売上管理要領等の各条項 示事項等を遵守しなければならない。 コ契約の解除被告が賃料又はその他の債務の支払を2か月以上怠った場合,被告が2階区画賃貸借契約並びに別に定める館内規則,売上管理規則,売上管理要領等の各条項の一つに違反した場合等の場合には,代表受託者は,被告に対し相当の期間を定めてその履行・是正を催告し,その期間内に履行・是正なきときは2階区画賃貸借契約を解除し,2階区画の明渡を求めることができる。 サ債務遅延損害金被告が賃料その他の債務の支払を遅延したときは,代表受託者は遅延金額に対し年14パーセントの割合による遅延損害金を被告に請求することができる。ただし,被告は当該損害金支払により代表受託者の契約解除権の行使を免れるものではない。 (6)フェスティバルゲート株式会社が,平成9年7月1日から実施するものとして策定した営業管理規則には,概要以下の規定がある(甲5)。 アこの規則は,フェスティバルゲートにおける日常の営業活動を行うに必要な事項を定め,もって,当施設の運営が円滑に行われ,かつ出店者の共同の繁栄と健全な発展が図られることを目的とする。フェスティバルゲート内の管理運営業務はフェスティバルゲート株式会社が行う。 イ当施設の営業管理については,代表受託者と出店者間の建物賃貸借契約及び本規則の定めるところによる。出店者は,その従業員及び出入り業者に対しても,本規則を遵守させなければならない。 ウ出店者は,上記アに定める主旨に基づき,フェスティバルゲート株式会社の統一的営業方針のもと,他の出店者と相互に円滑な関係を維持し,協力するものとする。出店者は,相互協力達成のため,フェスティバルゲート会に 加入するものとする。 エ出店者は,他の出店者に迷惑をかけるような騒音を立てたり,強引な勧誘を行う等,当施設全体の品位を阻害するような行為 店者は,相互協力達成のため,フェスティバルゲート会に 加入するものとする。 エ出店者は,他の出店者に迷惑をかけるような騒音を立てたり,強引な勧誘を行う等,当施設全体の品位を阻害するような行為をしてはならない。また,販売方法,接客サービス等について,常に向上に努めると共に,フェスティバルゲート株式会社の指導があった場合は,その指示に従わなければならない。 オ出店者は,建物賃貸借契約に定める以外の営業を行ったり,任意に他の営業品目を扱うことはできない。出店者が営業種目の変更並びに営業品目の追加又は変更を必要とする場合は,事前に承認を得なければならない。 カ出店者は,営業品目の品質及び価格等につき,不適当であるとしてフェスティバルゲート株式会社から注意を受け,その是正の勧告を受けたときは直ちに従う。出店者がフェスティバルゲート株式会社の勧告を適正でないと考えたときは,速やかに出店者の意見を文書で提出する。 キ出店者は,営業に使用する店舗区画については,建物賃貸借契約及びフェスティバルゲート株式会社の指示事項を遵守しなければならない。 ク共用部分は,出店者すべての営業が円滑にいくように確保されているものであり,また,防災上の障害となるので,出店者は物品,運搬具等を共用部分に放置してはならない。 ケ営業時間は,以下のとおりとし,原則年中無休とする。出店者は,営業時間等を変更することができない。フェスティバルゲート株式会社が臨時休業又は営業時間及び休日を変更する場合は,予め出店者に連絡する。この場合,出店者はフェスティバルゲート株式会社の指示に従わなければならない。 (ア)物品販売店舗午前10時から午後8時(1階店舗は除く)(イ)飲食店舗午前10時から午後11時(ウ)アミューズメント午前10時から午後10時(機種により午後 に従わなければならない。 (ア)物品販売店舗午前10時から午後8時(1階店舗は除く)(イ)飲食店舗午前10時から午後11時(ウ)アミューズメント午前10時から午後10時(機種により午後9時終了) (エ)映画館午前10時から午後11時(オ)カラオケ居酒屋午前10時から午前2時コ出店者は,契約に定める店名のみを使用し,当施設全体の調和を図るため,フェスティバルゲート株式会社の承認する場所に表示するものとする。なお,変更の必要がある場合には,事前に届け出て承認を得なければならない。出店者がフェスティバルゲート内外において広告,立看板,案内板を設置しようとする場合も同様とする。 サ出店者は,フロアの見通し等,調和に留意し,商品等の陳列・装飾等を行い,またフェスティバルゲート株式会社よりこれらについて改善の指示があった場合は,これに従う。 シ出店者は,フェスティバルゲート株式会社又はフェスティバルゲートが行う共同の行事,催事,広告については,フェスティバルゲート株式会社の決定に従い,必ず参加しなければならない。出店者が単独又は数店共同してフェスティバルゲート内で行う行事・催事及びフェスティバルゲートの名称を使用する広告については,事前にフェスティバルゲート株式会社に届け出て,承認を受けなければならない。承認を受けたものでも,フェスティバルゲート全体の営業等に著しい支障をきたす恐れがあると認めたときは,フェスティバルゲート株式会社は直ちにこれを取消しあるいは一時中断等必要な措置をとることができる。 スフェスティバルゲート内の放送並びに共用部分のBGMは,フェスティバルゲート株式会社が行う。各店舗内で独自のBGMを放送する場合は,周囲の迷惑とならないよう配慮しなければならない。出店者は,テレビ,ラジオ,拡声器, ト内の放送並びに共用部分のBGMは,フェスティバルゲート株式会社が行う。各店舗内で独自のBGMを放送する場合は,周囲の迷惑とならないよう配慮しなければならない。出店者は,テレビ,ラジオ,拡声器,楽器等を使用して,共用部分の環境に影響を及ぼしてはならない。 セ出店者は,営業終了後速やかに「売上管理規則」に定める必要書類をフェスティバルゲート株式会社に提出する。 ソ出店者は,従業員に対して,営業管理規則を遵守させなければならない。 タ出店者は,フェスティバルゲート株式会社又はフェスティバルゲート会が主催する教育訓練及び研修会に,従業員を出席させなければならない。 (7)被告は,平成15年10月1日,原告に対して,5階区画賃貸借契約及び2階区画賃貸借契約は,フェスティバルゲートをアミューズメント施設として利用する目的を前提として締結されたものであるから,信託受託者は同契約目的に違反しないことを義務づけられており,契約目的を変更するには個別のテナントの同意を得るか,必要適切な補償を行う必要があるところ,信託受託者は不誠実な対応に終始していること,原告は本件土地の信託者として,賃借人からの苦情の申し出に対して,苦情相談体制の整備を行い,誠意をもって迅速かつ適切に対応,処理する義務を負っているにもかかわらず,被告からの問い合わせに対して不適切な対応しか行わなかったことを指摘したうえで,原告及び信託受託者が被告に対して責任ある対処をするよう求める内容証明郵便を送り,同書面は同月2日に原告に届いた(乙1)。 (8)信託受託者は,平成14年7月19日付けで,大阪簡易裁判所に対し,信託事業の再生,事業形態の見直し等に関する調停を申し立てた。 原告と信託受託者は,平成16年3月29日に,信託受託者と原告との間で本件土地に関する信託契約を同年9月末 付けで,大阪簡易裁判所に対し,信託事業の再生,事業形態の見直し等に関する調停を申し立てた。 原告と信託受託者は,平成16年3月29日に,信託受託者と原告との間で本件土地に関する信託契約を同年9月末日で合意解除し,同日をもって本件建物を現状のまま原告に対して引き渡すこと,信託受託者を賃貸人として締結されている建物賃貸借契約は,同日をもって原告が承継すること等を内容とする調停を成立させた。 (9)被告は,平成16年8月27日,フェスティバルゲートが信託受託者の無責任な経営によって破綻に至ったところ,信託受託者及び原告は,これまでの経緯等について一切被告に説明しないばかりか,フェスティバルゲート内の遊戯施設を半減させ,2台のエスカレーターのうち1台を運休させ,入店者の退去・施設の除去等により3・4階を事実上廃墟にし,5階区画の両サイドの施設を一方的に閉鎖し,5階への来客を激減させ,事実上5階区画での被告の経 営を不可能にし,さらには,賃借人に無断で本件建物の用途の変更を予定しているとして,信託受託者に対しては,誠意ある具体的な説明及び謝罪並びに必要な補償を行うこと,原告に対しては,信託受託者の対応に関する釈明,今後の経営方針及び賃借人の立場・営業の保障に関する具体的な計画・処置の説明を求める内容証明郵便を送り,同書面は同月30日に信託受託者及び原告に届いた(乙2)。 (10)ア原告は,平成17年5月16日,被告に対し,被告が営業管理規則に違反して,平成16年11月以降毎週水曜日を定休日としているとの疑念を抱かせる行為をし,また,5階区画について営業時間を午前11時から午後4時30分ころまでに短縮し,2階区画についても午後10時前に閉店しているとして,1週間以内にこれらの行為を是正することを求めるとともに,同期限内に是正がされない場 いて営業時間を午前11時から午後4時30分ころまでに短縮し,2階区画についても午後10時前に閉店しているとして,1週間以内にこれらの行為を是正することを求めるとともに,同期限内に是正がされない場合には5階区画賃貸借契約及び2階区画賃貸借契約を解除するとの意思表示をした(甲6の1及び2)。 イこれに対し,被告は,平成17年5月21日,原告に対し,信託受託者及び原告が賃貸人としての義務を履行しないばかりか,被告に対して,フェスティバルゲートの営業破綻についての説明・謝罪,第三者への賃貸などについての説明と同意の要請等を一切行っていないこと,5階区画及び2階区画における営業は,信託受託者及び原告が一方的にフェスティバルゲートの遊戯施設の撤去等を行ったことにより成り立たない状況となっており,フェスティバルゲートの全面的な稼働を前提とする営業管理規則並びに5階区画賃貸借契約及び2階区画賃貸借契約の遵守を求めることはできないこと,被告はフェスティバルゲート株式会社に対して所定の書類を提出して許可を得て営業日・営業時間の変更を行っていること等を理由として,被告には契約違反がないと主張して,原告による解除の主張を争うとの主張をした(乙3)。 (11)被告は,原告,H信託銀行株式会社及びI信託銀行株式会社を被告として,被告経営の飲食店舗の収益が上がらず損失を被ったところ,これは,原告,H 信託銀行株式会社及びI信託銀行株式会社が,賃貸借契約締結の際,フェスティバルゲートは成算の見込みがなかったのにその旨の告知を怠り,誇大な広告等で詐欺的勧誘をしたことや,本件施設の開業後においても,過大な警備費の支出を漫然と継続して,遊戯施設の更新等の営業努力を怠り,フェスティバルゲートの営業日や営業時間を短縮したり,空き店舗を放置し,残存店舗の立退きを求めた ,本件施設の開業後においても,過大な警備費の支出を漫然と継続して,遊戯施設の更新等の営業努力を怠り,フェスティバルゲートの営業日や営業時間を短縮したり,空き店舗を放置し,残存店舗の立退きを求めたりするなどの背信的運営を行ったことによるものであるとして,共同不法行為ないしは賃貸借契約上の債務不履行に基づき,連帯して,被告経営の飲食店舗にかかる,当初投下費用及び累積赤字合計5億5224万9735円及びこれに対する遅延損害金の支払などを求める別件訴訟を大阪地方裁判所に提起した(乙6)。 (12)ア被告は,上記のとおり契約解除の効力を争い,普通為替証書及び普通郵便為替を原告に送った。 イその後,被告は,平成18年3月22日,原告に対し,原告が賃貸人として,所定の遊戯施設を稼働させることを初めとする施設についての営業・集客努力義務,施設の営業日・営業時間の維持義務等を負うにもかかわらず,これらの義務の履行努力を事実上完全に放棄しているとして,原告に対する賃料支払義務は発生しないと主張するとともに,仮に何らかの金銭支払義務が生じるとしても,同債務を,被告が原告に対して有する5億6224万円の損害賠償請求権(別件訴訟において請求しているもの。)と対当額で相殺するとの意思表示を行った(乙4)。 (13)ア原告は,被告からの普通郵便為替の送付が平成18年1月25日を最後にして行われなくなり,その後一切の支払及び供託がされず,平成18年11月分までの賃料・共益費及びその他の諸経費の合計が3046万3739円に上り,送付されてきた普通郵便為替等を差し引いても1860万1540円の未払賃料等が生じていたことから,同年12月14日,被告に対し,同金員の支払を催告するとともに,支払がない場合には契約を解除するとの 意思表示をした(甲7の1及び2)。 1860万1540円の未払賃料等が生じていたことから,同年12月14日,被告に対し,同金員の支払を催告するとともに,支払がない場合には契約を解除するとの 意思表示をした(甲7の1及び2)。 イこれに対し,被告は,平成18年12月20日,原告に対して,原告の主張する賃料支払義務の債務不履行による解除の主張が悪質な権利の濫用であること,原告は賃貸人としての義務を履行しておらず,賃料等の支払を求める権利を有していないこと,仮に被告が原告に対して何らかの金銭支払義を負うとしても,既に相殺の意思表示を行っており,原告が賃料不払を理由とする解除の意思表示をするとしても,同様の相殺の意思表示を行うことを主張した(乙5)。 ウ原告は,平成18年12月19日が経過しても被告からの支払がなかったことから,被告に対して,同月22日付の書面をもって,5階区画賃貸借契約及び2階区画賃貸借契約を解除するとの意思表示をした。 (14)大阪地方裁判所は,平成20年3月18日,被告の原告に対する損害賠償請求権は存在しないとして,被告の原告に対する請求をいずれも棄却するとの別件訴訟における判決を言い渡した(乙6)。別件訴訟は,本件口頭弁論終結時,大阪高等裁判所に係属中であった。 2(1)賃料債務の債務不履行を理由とする解除についてア上記認定事実によれば,被告は,平成18年12月14日に原告が賃料支払を催告した時点で,原告に対して1860万1540円の賃料支払義務を負っていたことが認められる。そして,上記認定事実によれば,平成18年12月14日までの原告と被告とのやりとりにおいて,被告が原告に対する賃料支払義務の発生自体を否定する旨の主張及び原告の義務違反を理由とする損害賠償請求権との相殺を主張していたことが認められることからすれば,上記催告の時点で,被告 りとりにおいて,被告が原告に対する賃料支払義務の発生自体を否定する旨の主張及び原告の義務違反を理由とする損害賠償請求権との相殺を主張していたことが認められることからすれば,上記催告の時点で,被告は,原告に対して賃料支払の意思がないことを明らかにしていたものと評価することができるから,かかる状況の下,同月22日付けの書面をもってされた契約解除の意思表示は,相当期間経過後にされたものとして有効であり,5階区画賃貸借契約及び2階区画賃貸借契約はい ずれも解除されたものと認められる。 イ(ア)被告は,原告が告知・説明義務及び営業努力義務を怠り,賃貸人としての義務を履行していないため,その対価である賃料支払義務が生じないと主張する。 しかし,告知・説明義務は契約締結段階での問題であるところ,5階区画賃貸借契約は有限会社Eと代表受託者との間で,2階区画賃貸借契約は被告と代表受託者との間で締結されたものであって,原告は契約締結の際には契約当事者ではないし,上記認定事実によって認められる本件の事情のもとで,契約当事者ではない原告が,被告に対して契約締結の際に何らかの告知・説明をすべき事情も認められないから,原告は被告に対して告知・説明義務を負わない。 次に,そもそも賃貸借契約において賃貸人が賃借人に対して負う義務は,目的物件を賃借人に引き渡し,第三者が賃借人の使用収益を妨害している場合にはこれを排除するという消極的な義務に止まると解するのが相当である。被告が営業努力義務として主張する内容は,実質的には,賃貸人をして,目的物件での賃借人の経営を成り立たせ,利益を上げさせる義務を負わせるに等しいものであって,賃貸借契約上明示の合意のない限り,賃貸人がこのような義務を負うことはない。 そして,上記認定事実によれば,5階区画賃貸借契約及び2階区画賃貸 せ,利益を上げさせる義務を負わせるに等しいものであって,賃貸借契約上明示の合意のない限り,賃貸人がこのような義務を負うことはない。 そして,上記認定事実によれば,5階区画賃貸借契約及び2階区画賃貸借契約上,原告が,被告の主張するような義務を負う旨の明示の規定は存在しない。また,上記認定事実によって認められる営業管理規則の規定内容からすれば,営業管理規則はフェスティバルゲートの運営を円滑に行うために運営管理会社の権限を定めたものと評価するのが相当であり,営業管理規則が信託受託者や原告に対して義務を課すものと解することはできないから,営業管理規則を根拠として,賃貸人が賃借人に対して,賃貸借契約上の義務として,何らかの義務を負うと解することもできない。 以上のとおり,原告は,5階区画賃貸借契約及び2階区画賃貸借契約上,被告の主張する告知・説明義務及び営業努力義務を負わないから,この点に関する被告の主張を採用することはできない。 (イ)また,被告は,原告の義務違反により,賃貸借契約の目的を達成できない状況になっているとして,民法536条1項類推適用によって,賃料債務が生じないとの主張をする。 しかし,上記(ア)記載のとおり,そもそも原告は被告の主張するような義務を負っていない。また,被告の主張を前提としても,5階区画及び2階区画への動線は確保されているのであって,上記認定事実によれば,原告又は第三者による5階区画又は2階区画の使用収益(なお,目的物件での賃借人の経営を成り立たせ,利益を上げさせることを意味するものでないことは上記のとおりである。)に対する妨害行為は認められないから,賃貸借契約の目的を達成できない状態であるとも認められない。 したがって,本件では,いずれにしても民法536条1項を類推適用する基礎を欠いているから,この点に 。)に対する妨害行為は認められないから,賃貸借契約の目的を達成できない状態であるとも認められない。 したがって,本件では,いずれにしても民法536条1項を類推適用する基礎を欠いているから,この点に関する被告の主張を採用することはできない。 (ウ)さらに,被告は,仮に賃料支払義務があるとしても,被告が原告に対して有する損害賠償請求権と対当額で相殺した結果,被告の原告に対する賃料支払義務は存在しないと主張する。 しかし,上記認定事実によれば,被告の主張する損害賠償請求権は別件訴訟において訴訟物となっている債権であるから,これを自働債権として相殺の抗弁を主張することはできない(最高裁判所昭和62年(オ)第1385号平成3年12月17日第三小法廷判決・民集45巻9号1435頁)。 したがって,この点に関する被告の主張は採用できない。 (エ)また,被告は,原告の義務違反及びその態様からすれば,原告が解除 の主張をすることは権利の濫用にあたると主張するが,上記のとおり,原告は被告の主張するような義務を負わないから,この点に関する被告の主張を採用することはできない。 ウ以上のとおり,5階区画賃貸借契約及び2階区画賃貸借契約は,被告の賃料不払の債務不履行を理由とする解除により,終了したものと認めるのが相当である。 (2)営業管理規則違反を理由とする解除について上記認定事実によれば,信託受託者は,平成14年7月に,信託事業の再生,事業形態の見直し等に関する調停を申し立て,平成16年3月には,本件土地に関する信託契約を解消し,本件土地の所有者である原告が賃貸人の地位を引き継ぐとともに,フェスティバルゲートの運営を担当することになったこと,その後,原告はフェスティバルゲートの稼働・運営を縮小していったこと(なお,この点について原告が賃貸人として が賃貸人の地位を引き継ぐとともに,フェスティバルゲートの運営を担当することになったこと,その後,原告はフェスティバルゲートの稼働・運営を縮小していったこと(なお,この点について原告が賃貸人として何らかの義務を負うものではないことは前述のとおりである。)が認められる。 これらの点を踏まえると,被告は,事実上定休日を設け,あるいは営業時間を短縮していたこと自体は認める旨の主張をしているが,それを前提としても,これらの行為は,被告が自らの損失を減少させるために経営判断として行ったものと認めることができる。 そうすると,フェスティバルゲートの稼働・運営の縮小について原告が賃貸人として何らかの義務を負うものではないとしても,このような状況の下で,被告が経営判断として自らの損失を減少させるための措置をとること自体は何ら非難されるべきものではないといえるから,本件において認定した事実関係の下では,被告が上記営業管理規則違反行為を行ったとしても,このことによって,ただちに原告と被告との間の信頼関係が破壊されているとまでは認められないというべきである。 したがって,原告の営業管理規則違反を理由とする解除の主張は採用するこ とができない。 (3)留置権の成立について被告は,原告の告知・説明義務違反及び営業努力義務違反を理由とする損害賠償請求権を有するから,同債権を担保するために5階区画及び2階区画に対する留置権を行使すると主張する。 しかし,上記のとおり,原告は被告に対して,告知・説明義務及び営業努力義務を負わない。そして,上記認定事実のとおり,別件訴訟において被告の原告に対する損害賠償請求権の存在が否定されていることを併せ考えれば,本件では,留置権の被担保債権である損害賠償請求権が存在するとは認められないというべきである。 したがって,この点に おいて被告の原告に対する損害賠償請求権の存在が否定されていることを併せ考えれば,本件では,留置権の被担保債権である損害賠償請求権が存在するとは認められないというべきである。 したがって,この点に関する被告の主張を採用することはできない。 (4)賃料相当損害金等についてア上記(1)のアのとおり,被告は原告に対して,平成18年11月分までの未払賃料残額として1860万1540円の支払義務を負っている。 イ(ア)次に,賃貸借契約終了後の不法占拠を原因とする賃料相当損害金は,当該不動産の有する使用価値それ自体が侵害されたことによる積極的損害であって,当該不動産における得べかりし利益を意味するものではない。 そして,賃貸借契約においては当該不動産の使用価値をもって賃料とするのが通常であるから,賃料相当損害金の算定については,特段の事情がない限り,従前の賃料を基準として算定するのが相当と解すべきである。 (イ)上記認定事実によれば,5階区画賃貸借契約には,被告の売上がゼロになる場合であっても最低月額歩合賃料を支払わなければならないとの規定があること,2階区画賃貸借契約には,被告の売上がゼロになる場合であっても最低保証賃料を支払わなければならないとの規定があること,これらの規定の変更等は行われていないことが認められる。 そうすると,原告及び被告は,少なくとも,5階区画賃貸借契約におい ては被告の売上がゼロであるとして計算した105万円が,2階区画賃貸借契約においては最低保証賃料である32万3610円が,5階区画及び2階区画の最低限の使用価値と考えていたものと解することができる。 (ウ)被告は,本件建物は廃墟化して利用価値がないから,契約当時の賃料を基礎とした損害金の計算には合理性が認められず,また,原告自ら義務を履行せずに本件建物を廃墟化 いたものと解することができる。 (ウ)被告は,本件建物は廃墟化して利用価値がないから,契約当時の賃料を基礎とした損害金の計算には合理性が認められず,また,原告自ら義務を履行せずに本件建物を廃墟化した以上,被告の占有について損害を主張することは許されないと主張する。 しかし,上記認定事実によっても,本件建物が物理的に劣化,破損しているなど,建物それ自体の使用価値が低下したことを認めるに足りる事情は認められない。そうすると,被告の主張は,5階区画及び2階区画について得べかりし利益が存在しないことを主張するに過ぎないものといえる。 また,原告が被告の主張するような義務を負っていないことは既に判断したとおりである。 したがって,被告の上記主張を採用することはできない。 (エ)以上によれば,被告は,原告に対して,平成18年12月1日から,5階区画の明渡済みまで1か月105万円の割合による賃料ないし賃料相当損害金の,2階区画の明渡済みまで1か月32万3610円の割合による賃料ないし賃料相当損害金の支払義務を負う。 結論 以上によれば,原告の請求には理由があるからこれを認容することとして,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第17民事部裁判官藤倉徹也
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