平成9(行ウ)5 違法公金支出損害賠償代位請求事件

裁判年月日・裁判所
平成16年2月18日 宇都宮地方裁判所
ファイル
hanrei-pdf-6263.txt

判決文本文18,828 文字)

主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求被告は,宇都宮市に対し,10億4563万2650円及びこれに対する平成9年7月16日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,宇都宮市水道事業の管理者が震災対策用貯水池を建設することを目的として用地買収費用等を公金から支出したことが違法であるとして,原告が,被告に対し,平成14年法律第4号による改正前の地方自治法242条の2第1項4号前段に基づき損害賠償を求めた住民訴訟である。 1 争いのない事実・原告は,宇都宮市内に住所を有するいわゆる権利能力なき社団である。 ・宇都宮市は,宇都宮市水道事業の設置等に関する条例において,生活用水その他の浄水を市民に供給するため水道事業を設置するとし(同条例1条),宇都宮市水道局長を管理者と定めている(同条例3条)。そして,地方公営企業の管理者は,地方公営企業の業務を執行し,当該業務の執行に関し当該地方公共団体を代表し(地方公営企業法8条1項),当該事業の用に供する資産を取得,管理,処分する権限を有する(同法9条1項7号)。 亡A(以下「承継前被告」という。)は,平成6年4月1日から平成9年3月31日までの間,宇都宮市水道局長の職にあり,宇都宮市が経営する地方公営企業である宇都宮市水道事業の管理者であった。 承継前被告は,平成15年1月9日死亡し,被告が相続により承継前被告の地位を承継した。 ・厚生省は,平成3年6月,「21世紀に向けた水道整備の長期目標」(以下「長期目標」という。)を定め,各都道府県知事に通知した。長期目標の中には,「緊急時給水拠点の確保」として「配水池容量として計画1日最 省は,平成3年6月,「21世紀に向けた水道整備の長期目標」(以下「長期目標」という。)を定め,各都道府県知事に通知した。長期目標の中には,「緊急時給水拠点の確保」として「配水池容量として計画1日最大給水量の12時間分を確保するよう配水池を増設するとともに配水施設の一部となる緊急用貯水槽の設置を推進し,大規模な災害発生時などの緊急時における給水拠点の機能を確保する。」と記載されている。 ・宇都宮市は,平成6年3月24日,第6期拡張事業に伴う水道事業の変更について認可申請をし,同月31日,厚生大臣の認可を得た。同認可申請の中にはA市中心部に貯水容量3400立方メートルの震災対策用貯水池(以下「本件貯水池」という。)を建設することが含まれている。 ・承継前被告は,第6期拡張事業の用地費として本件貯水池分15億2069万2000円を計上した平成7年度水道事業会計予算(以下「平成7年度予算」という。)の原案を作成し,宇都宮市長に送付した。 平成7年度予算は,平成7年3月,宇都宮市議会において,原案のとおり議決された。 ・承継前被告は,平成7年2月8日,株式会社B(以下「B」という。)及び有限会社C(以下「C」という。)に対し,本件貯水池の取得予定地である別紙物件目録記載の「目的物件」欄の各土地(以下,一括して「本件用地」という。)について,価格の鑑定を依頼し,両者は,同年3月7日,それぞれ不動産鑑定評価書(以下,B提出に係る分を「B鑑定」,C提出に係る分を「C鑑定」という。)を提出した。 ・承継前被告は,本件貯水池の建設のため,平成8年3月13日から同年8月20日までの間に,別紙物件目録記載の「所有者(売主)」欄の者との間で,同目録記載の「目的物件」欄記載の各土地の売買契約(以下,一括して「本件売買契約」という。)を ,平成8年3月13日から同年8月20日までの間に,別紙物件目録記載の「所有者(売主)」欄の者との間で,同目録記載の「目的物件」欄記載の各土地の売買契約(以下,一括して「本件売買契約」という。)をそれぞれ締結し,その売買代金の支払として,同年3月29日から同年9月10日までの間に,同目録記載の「支出額」欄の合計8億4197万4041円を支出した(以下「本件公金支出①」という。)。 また,承継前被告は,本件貯水池の建設のため,同年3月13日及び同月25日に,別紙移転補償目録記載の「所有者」欄の者との間で,同目録記載の「補償額」欄の金額を補償する旨の契約(以下,一括して「本件補償契約」といい,本件売買契約と併せて「本件売買契約等」という。)をそれぞれ締結し,その支払として,同年3月26日から同年8月12日までの間に,別紙移転補償目録記載の「補償額」欄の合計2億0365万8609円を支出した(以下,「本件公金支出②」といい,本件公金支出①と併せて「本件各公金支出」という。)。 ・原告は,平成9年3月13日,宇都宮市監査委員に対し,本件各公金支出相当の損害填補のための措置等をとることを求める旨の監査請求を行ったが,同監査委員は,同年5月7日,監査請求を棄却した。 2 争点及び当事者の主張本件の主たる争点は,本件各公金支出が違法か否かであり,具体的には次の・ないし・が問題となる。 ・本件貯水池建設の必要性について(原告の主張)長期目標の中の「配水池容量として計画1日最大給水量の12時間分を確保するよう配水池を増設する」との指針は,本件貯水池を含まない第6期拡張事業計画の中の配水池増量計画によって十分達成されるものであり,配水池容量を確保するために本件貯水池を新たに設置する必要性はない。 本件貯水池は る」との指針は,本件貯水池を含まない第6期拡張事業計画の中の配水池増量計画によって十分達成されるものであり,配水池容量を確保するために本件貯水池を新たに設置する必要性はない。 本件貯水池は,震災等の災害時の応急給水のための専用施設としても,既存の施設以上に機能するものではなく,新たに設置する必要性がない。すなわち,本件貯水池に隣接する既存の高架水槽に緊急遮断弁が設置されたことにより,3400立方メートルの水が応急給水専用に確保されており,他の既存の高架水槽においても緊急遮断弁等を設置することにより応急給水のための専用施設としての機能を併設することが容易である。また,長期目標にいう「緊急用貯水槽の設置」の目的は,配水管被害が生じ給水車だけで対応できない事態に備え,これを補充することにあるところ,その実現のためには,100立方メートル程度の貯水槽を各地に分散して設置するのが合理的であり,本件貯水池は合致しないというべきである。 以上のとおり,本件貯水池の設置は,長期目標の指針に応えるものとはいえず,水量の確保,専用施設としての必要性,他の施設と比較した場合の独自性,有用性等いずれの面からも,その必要性を見出すことはできず,水道事業の経営上明らかに不必要なものといえ,これを看過して締結された本件売買契約等は,水道事業管理者たる承継前被告の裁量権を著しく逸脱する違法,無効なものであり,本件各公金支出は違法である。 (被告の主張)宇都宮市水道局は,宇都宮市水道事業について,平成6年1月ころまでに,長期目標を踏まえて,第6期拡張事業において震災時における専用の給水施設として本件貯水池を建設する計画を立てるとともに,震災等の災害時の給水に備え,事業区域内に本件貯水池を含めて6箇所の応急給水拠点を設け,事業区域内の給水人 張事業において震災時における専用の給水施設として本件貯水池を建設する計画を立てるとともに,震災等の災害時の給水に備え,事業区域内に本件貯水池を含めて6箇所の応急給水拠点を設け,事業区域内の給水人口56万5300人に生命維持に必要な1日当たり3リットルの量の水を7日間供給し得る量である1万2270立方メートルを貯水する内容の応急給水拠点整備計画(以下「本件整備計画」という。)を策定した。 震災等の災害時に備え,給水区域内の住民の生命,身体の安全を確保するための施策を講ずることは,水道事業経営者の責務であるところ,本件貯水池は,その施策の重要な一環として,上記のとおり設置することとされたものである。長期目標において示された配水池容量は緊急時の給水のため確保すべき容量の最低限の目安を示したものにすぎず,これを満たす既存の施設がある場合でも,更に貯水池を建設することが不要となるものではない。長期目標においても「緊急用貯水槽の設置を推進し」と記載されている。また,本件貯水池は,平常時は通常の配水施設として稼動する本件整備計画中の他の応急給水拠点とは異なり,専ら震災時の応急給水に備えるために設置された唯一の施設であって,震災対策のための必要性が極めて高い施設であり,かつ,地盤堅固で耐震性の強い地域に設置され,震災時の応急給水活動,通常時の管理に適した場所にあることなどから,震災時の応急給水施設として機能し得るものである。 以上のとおり,本件貯水池の建設は必要なものであって,承継前被告が本件売買契約等を締結し,本件各公金支出をしたことについて,水道事業管理者としての裁量権を著しく逸脱した違法があるとはいえない。 ・売買価格等の適正について(原告の主張)地方財政法4条1項は「地方公共団体の経費は,その目的を達成するた ,水道事業管理者としての裁量権を著しく逸脱した違法があるとはいえない。 ・売買価格等の適正について(原告の主張)地方財政法4条1項は「地方公共団体の経費は,その目的を達成するための必要且つ最小の限度をこえて,これを支出してはならない。」と規定しており,売買価格等が適正を欠き著しく高額となる場合は,その売買契約等は違法,無効となるというべきである。 承継前被告が本件売買契約締結の前提としたB鑑定及びC鑑定は,いずれも,法令による規制,土地の形状や公道との接面による制約等を適正に考慮せず,実現不可能又は不合理な宅地造成方法を前提として,最有効使用の判断を誤るなどし,その結果,評価額が適正を欠き著しく高額となっているものである。 承継前被告は,B鑑定及びC鑑定を吟味し,その内容に合理性があるか否かを確認すべき義務があったにもかかわらず,これを怠り,上記のとおり評価額が不適正で著しく高額であり合理性を欠くことが明白な両鑑定に基づいて,本件売買契約等を締結し本件各公金支出をしたのであるから,本件売買契約等は違法,無効であり,本件各公金支出は違法である。 (被告の主張)承継前被告は,本件売買契約の締結に当たって,不動産鑑定の専門業者であるB及びCに鑑定評価を委託し,B鑑定及びC鑑定の評価額を基準として売買価格等を決定した。B鑑定及びC鑑定の結果及びその過程は,いずれも,不動産鑑定に関して専門的知識を有しない一般人が一見して明らかに不合理であると判断し得る程度に合理性を欠いているとは到底いえないものである。また,各鑑定の評価額及びこれに基づく本件の売買価格等は,地価公示価格,地価調査価格及び路線化との比較においても不合理な価格であるとはいえない。 したがって,承継前被告が,複数の専門家のした鑑定 ,各鑑定の評価額及びこれに基づく本件の売買価格等は,地価公示価格,地価調査価格及び路線化との比較においても不合理な価格であるとはいえない。 したがって,承継前被告が,複数の専門家のした鑑定に依拠して本件売買契約等の価額を定め,本件各公金支出行為をしたことについて違法があるとはいえない。 ・手続的瑕疵について(原告の主張)ア地方財政法3条1項は,地方公共団体の予算について,法令の定めに従い合理的基準による経費を算定する旨規定し,地方公営企業法9条3号,4号は,地方公営企業の予算について,管理者が予算原案を作成し予算に関する説明書を添付して地方公共団体の長に送付することを義務付けている。また,宇都宮市水道事業会計規程91条は「管理者は,予算原案並びに予算に関する説明書及び明細書を2月10日までに市長に送付するものとする」と規定している。 承継前被告は,平成7年度予算の原案を作成し送付した際,本件貯水池の用地費について,予算に関する説明書及び明細書を宇都宮市長に対して送付していない。仮に形式的に説明書及び明細書を送付していたとしても,それらは鑑定結果に基づいたものではないから,あらゆる資料に基づいて(地方財政法3条2項)算定されたものとはいえず,上記各法令の要求するものとはいえない。 上記のとおり,本件貯水池の用地費を計上した平成7年度予算は,その成立手続に重大な違反があるから違法,無効というべきであり,その予算の執行として承継前被告がした本件各公金支出は違法である。 イ災害対策基本法5条1項は,市町村が当該地域の防災に関する計画を作成し,実施する責務を負う旨規定し,同法16条1項は,市町村に地域防災計画の作成及びその実施の推進のため,市町村防災会議を置く旨規定する。そして,宇都宮市 は,市町村が当該地域の防災に関する計画を作成し,実施する責務を負う旨規定し,同法16条1項は,市町村に地域防災計画の作成及びその実施の推進のため,市町村防災会議を置く旨規定する。そして,宇都宮市では,同法の委任を受けて制定された宇都宮市防災会議条例に基づいて宇都宮市防災会議を設置しているところ,同条例2条1項は,その所掌事務として宇都宮市地域の防災計画を作成しその実施を推進することを規定している。 上記法令の趣旨によれば,震災対策は,宇都宮市防災会議において具体的計画を策定し実施すべきものであり,震災対策用応急給水施設の設置についても,宇都宮市防災会議において検討しその議決を経ることを要するというべきところ,本件貯水池の建設については,宇都宮市防災会議での検討,議決を経ていない。 したがって,宇都宮市防災会議の議決を経ずに決定された本件貯水池の建設は手続的に重大な瑕疵があり,その用地取得のためにされた本件各公金支出は違法である。 (被告の主張)ア承継前被告は,平成7年2月10日までに,宇都宮市長に対し,平成7年度予算の原案に添付して,予算に関する説明書及び明細書を送付した。 上記説明書及び明細書は法令に適合した適法なものである。これらは,不動産評価鑑定に基づいて作成されたものではないが,作成の際に鑑定に基づくことを義務付ける根拠規定はなく,また,付近の地価公示価格等の相当な資料に基づいて作成されたものであるから,そのことをもって違法があるとはいえない。 したがって,本件貯水池の用地費を計上した平成7年度予算の成立過程に違法はない。 イ災害対策基本法5条,16条,42条は,市町村に防災会議を置き,市町村防災会議において市町村地域防災計画を作成する旨規定し,同法42条2項2号は た平成7年度予算の成立過程に違法はない。 イ災害対策基本法5条,16条,42条は,市町村に防災会議を置き,市町村防災会議において市町村地域防災計画を作成する旨規定し,同法42条2項2号は,市町村地域防災計画において定める事項として,防災施設の新設に関する事項別の計画を規定している。しかしながら,市町村地域防災計画は,一定の行政活動を行うために一定の目標を設置し,その目標を実現するための構想又は活動の指針を設定する行政計画であって,それ自体として法状態に変更を加える効力を有するものではなく,上記各規定が,防災施設を新設するために防災計画で定めることを要件とする旨の根拠規定となるものではない。また,他の法令にもそのような根拠規定はない。 したがって,宇都宮市防災会議が作成した宇都宮市地域防災計画に定められていないことをもって,本件貯水池の設置を決定したことが違法となるものではない。 第3 当裁判所の判断 1 前記争いのない事実に証拠(甲5,6の1ないし28,甲7の1ないし24,甲8,9,10の4,甲13ないし20,35ないし42,乙2ないし9,11ないし13,15,18,19,20の1,2,乙21,証人D,同E)及び弁論の全趣旨を総合すると,以下の各事実が認められる。 ・宇都宮市水道局は,宇都宮市水道事業について,平成5年3月ころまでに,第6期拡張事業の基本目標を設定し,震災対策が遅れているとの認識の下,同年11月11日の同局経営会議課長会議等を経て,第6期拡張事業の中において,震災等の災害時の応急給水拠点として,既存のF配水場に隣接する場所に本件貯水池を建設する計画の策定を進めた。本件貯水池の貯水容量は,事業区域内の給水人口56万5300人の50パーセントが被害の影響を受けるものとし,生命維持に必要な1日当たり 配水場に隣接する場所に本件貯水池を建設する計画の策定を進めた。本件貯水池の貯水容量は,事業区域内の給水人口56万5300人の50パーセントが被害の影響を受けるものとし,生命維持に必要な1日当たり3リットルの量の水を4日間分供給し得る量として,3400立方メートルとされた。 ・宇都宮水道局は,同日の経営会議課長会議での協議やその後の検討を経て,更に,本件貯水池を含めて震災対策用の給水拠点施設を整備する計画の検討を進め,平成6年1月10日の経営会議課長会議において,本件整備計画を策定した。 本件整備計画は,長期目標中の緊急給水拠点の確保の指針を踏まえて,震災対策用の給水拠点施設を整備することを目的とするものであり,その概要は,整備計画全体で,給水人口56万5300人に対して生命維持に必要な1日当たり3リットルの量の水を7日間分供給し得る量として1万2270立方メートルの貯水量を確保することとし,次のとおり,既存の施設を活用することを含めて事業区域内に6箇所の給水拠点施設を整備するというものである。また,貯水量について上記のとおり7日間分としたのは,栃木県において制定されている災害救助法施行細則を参考としたものであり,同細則には,避難所を開設する期間,炊出しを実施する期間,飲料水の供給を実施する期間を災害発生の日から7日間以内とする旨規定されている。 ア南部地区 G配水場  1500立方メートル次期拡張事業イ北部地区 H配水場  500立方メートル第6期拡張事業ウ東武地区 I配水場  750立方メートル整備済みエ西部地区 J配水場 2720立方メートル整備済みオ中心部  F高架水槽 3400立方メートル第5期拡張事業本件貯水池  3400立方メートル 整備済みエ西部地区 J配水場 2720立方メートル整備済みオ中心部  F高架水槽 3400立方メートル第5期拡張事業本件貯水池  3400立方メートル第6期拡張事業・宇都宮市は,平成6年3月24日,本件貯水池の建設を含む第6期拡張事業に伴う水道事業の変更について認可申請をし,同月31日,厚生大臣の認可を得た。 本件貯水池は,貯水容量3400立方メートルの震災対策用貯水池であり,停電時等においても高低差を利用した自然流下方式による応急給水をすることが可能な施設である。本件整備計画における他の給水拠点施設は,配水施設としての機能を兼ねており,各施設全体の貯水容量のうち上記・アないしオの各水量を応急給水のために用いることとしているのに対し,本件貯水池は,配水施設としての機能を兼ねない災害時の応急給水のための専用の施設である。また,本件貯水池の設置場所は,安定した地盤であることが想定され,高低差を利用した自然流下方式による施設を設置するのに適していること,宇都宮市の中心部の北西に位置し,宇都宮市水道局や他の施設との位置関係から職員の出動が容易であること,周辺の幹線道路との接続状況,付近に広域避難場所があり,被災者に対する応急給水拠点として最も利便なところにあること,既存のF配水場と隣接しており一元的に施設を維持管理することが可能であることなどの事情を考慮して決定されたものであって,本件貯水池は,震災対策用の貯水池として機能し得るものである。 なお,第6期拡張事業の中には,長期目標中の緊急給水拠点の確保の指針のうち「配水池容量として計画1日最大給水量の12時間分を確保するよう配水池を増設する」との部分を踏まえて,配水池増量計画として,計画1日最大給水量32万立方メートルの16時 急給水拠点の確保の指針のうち「配水池容量として計画1日最大給水量の12時間分を確保するよう配水池を増設する」との部分を踏まえて,配水池増量計画として,計画1日最大給水量32万立方メートルの16時間分を確保し得る21万7350立方メートルの配水池容量を整備するため,既存の配水池容量10万2350立方メートルに加えて,11万5000立方メートルの容量の配水池を増設する計画が含まれているが,本件貯水池は,配水施設としての機能を兼用しない応急給水のための専用の施設であるため,上記配水池増量計画には含まれていない。 ・承継前被告は,第6期拡張事業の用地費として本件貯水池分を含めて18億2550万円を計上した平成6年度水道事業会計予算(以下「平成6年度予算」という。)の原案を作成し,予算に関する説明書,予算明細書及び予算参考書を添付して宇都宮市長に送付した。宇都宮市長は,平成6年度予算及び予算に関する説明書を宇都宮市議会に提出し,予算明細書及び予算参考書を参考資料として配布した。平成6年度予算は,平成6年3月,宇都宮市議会において,原案のとおり議決された。 承継前被告は,第6期拡張事業の用地費として本件貯水池分15億2069万2000円を計上した平成7年度水道事業会計予算(以下「平成7年度予算」という。)の原案を作成し,予算に関する説明書,予算明細書及び予算参考書を添付して宇都宮市長に送付し,宇都宮市長は,平成7年度予算及び予算に関する説明書を宇都宮市議会に提出し,予算明細書及び予算参考書を参考資料として配布した。 宇都宮市議会は,平成7年3月,平成6年度予算のうち上記第6期拡張事業の用地費分を減額補正する旨の議決をした後,平成7年度予算を原案のとおり議決した。 ・承継前被告は,本件用地の取得価格を決定する際,本件用地 平成7年3月,平成6年度予算のうち上記第6期拡張事業の用地費分を減額補正する旨の議決をした後,平成7年度予算を原案のとおり議決した。 ・承継前被告は,本件用地の取得価格を決定する際,本件用地を8地域に区分し,各地域ごとに標準地を設けることとして,平成7年2月8日,B及びCに対し,各標準地の評価格の鑑定を依頼し,両者は,同年3月7日,それぞれ平成7年1月1日時点の評価格を記載した不動産鑑定評価書を提出した。 承継前被告は,更に,Bに依頼して,B鑑定及びC鑑定を基に,取引事例からの比準価格,収益還元価格,原価法による積算価格,地価公示からの比準価格との比較検討を加えた上で,取引事例からの比準価格,地価公示からの比準価格等と開差がなく均衡を得ているB鑑定の評価格を標準地価格として採用し,これに各画地ごとの個別的要因による補正率を乗じて標準地からの比準価格を算出して,各土地の取得価格を決定した。 承継前被告は,平成8年3月13日から同年8月20日までの間に,上記取得価格に基づいてその範囲内で合意した各土地の買収価額に立竹木の買収価額を加えた額で本件売買契約を締結し,その支払として,同年3月29日から同年9月10日までの間に,本件公金支出①をした。 また,承継前被告は,同年3月13日及び同月25日に,本件補償契約を締結し,その支払として,同年3月26日から同年8月12日までの間に,本件公金支出②をした。 2 本件各公金支出は,本件売買契約等の履行として支出されたものであり,本件売買契約等は,宇都宮市水道事業として震災対策用貯水池を設置するための用地の取得を目的として締結されたものである。 貯水池の設置を含む水道の敷設及び管理については,地方公共団体が,当該地域の自然的社会的諸条件に応じて,水道の計画的整備に関す 水池を設置するための用地の取得を目的として締結されたものである。 貯水池の設置を含む水道の敷設及び管理については,地方公共団体が,当該地域の自然的社会的諸条件に応じて,水道の計画的整備に関する施策を策定し,これを実施することとされている(水道法2条の2第1項)。水道事業に関して地方公共団体がどのような施策を講じるかは,水源にどのようなものがあるかという地理的条件や,浄水場,導水施設,送水施設の処理能力及び配置状況,将来にわたる給水人口及び1日最大給水量の見通し等を総合考慮した上でされるべきことであって,専門的かつ政策的な判断が求められるものであるから,その施策の選択は,地方公共団体の裁量に委ねられていると解される。 そして,水道事業の管理者は,水道事業を執行するために,水道事業の用に供する資産を取得,管理,処分する権限を有するところ(地方公営企業法8条1項,9条7号,33条1項),地方公共団体が水道事業の施策として貯水池の設置を含め水道施設を敷設する場合において,そのために必要な用地の選定,対価の決定方法等について,格別の手続を定めた規定はなく,地方公営企業法33条2項が,資産の取得のうち条例で定める重要なものに限定して予算で定めるとしていることのほかには,これを規制する法令の規定がないことからすれば,これらの判断は,予算の範囲内において,水道事業の管理者の裁量に委ねられているというべきである。 もっとも,地方財政法4条1項が「地方公共団体の経費は,その目的を達成するための必要且つ最小の限度をこえて,これを支出してはならない。」と規定している趣旨に鑑みると,前提となる水道事業の必要性が全く認められず用地の取得の必要性がない場合や,予算の範囲内であっても,適正価格よりも著しく高額な対価で土地を取得したなどの場合には,裁 」と規定している趣旨に鑑みると,前提となる水道事業の必要性が全く認められず用地の取得の必要性がない場合や,予算の範囲内であっても,適正価格よりも著しく高額な対価で土地を取得したなどの場合には,裁量権の逸脱又は濫用に当たり,その対価の支出としてされた公金支出が上記規定の趣旨に著しく反する財務会計上の行為として違法となる余地があるというべきである。 3 本件貯水池建設の必要性について前記・ないし・の認定によれば,本件貯水池は本件整備計画の一環として第6期拡張事業において建設することとされたものである。本件整備計画は,長期目標中の緊急給水拠点の確保の指針を踏まえて,震災対策用の給水拠点施設を整備することを目的として策定されたものであって,公益を図ることを目的とした合理的なものであるということができる。また,本件貯水池の貯水容量3400立方メートルは,本件整備計画全体で1万2270立方メートルの水量を確保するための一環として決定されたものであるところ,その水量は,給水人口に対して生命維持に必要な量の水を7日間分供給し得る量として算定されたもので,7日間分の点についても栃木県において制定されている災害救助法施行細則の規定との均衡がとれたものであって,不必要に過大なものであるということはできず,本件整備計画の目的に照らして合理的なものであるということができる。そして,本件貯水池は,その構造,設置場所等からして,震災対策用の給水拠点施設として機能し得るものであるから,これらの事情によれば,本件貯水池を建設する必要性があることを首肯することができる。 アこの点について,原告は,長期目標中の緊急給水拠点の確保の指針のうち「配水池容量として計画1日最大給水量の12時間分を確保するよう配水池を増設する」との部分は,第6期拡張事業計画の配水池 。 アこの点について,原告は,長期目標中の緊急給水拠点の確保の指針のうち「配水池容量として計画1日最大給水量の12時間分を確保するよう配水池を増設する」との部分は,第6期拡張事業計画の配水池増量計画によって十分達成される旨主張するが,同指針は更に「配水施設の一部となる緊急用貯水槽の設置を推進し,大規模な災害発生時などの緊急時における給水拠点の機能を確保する。」と続けているのであって,配水池の増設のみに限定して給水拠点の確保を図ることを求めたものでないことは明らかである。 イまた,原告は,本件貯水池に隣接する既存の高架水槽に緊急遮断弁が設置されたことにより3400立方メートルの水が応急給水専用に確保される旨主張するが,本件整備計画全体で1万2270立方メートルの水量を確保することの合理性は上記説示のとおりであり,同高架水槽も本件整備計画の一環として組み込まれているのであるから,そのことをもって本件貯水池の建設が不要であるということはできない。 ウさらに,原告は,他の既存の高架水槽に緊急遮断弁等を設置することや100立方メートル程度の貯水槽を各地に分散して設置する方が合理的である旨主張するが,上記目的を達成する上で,これらの手段による方が明らかに有用かつ合理的であると認めるに足りる証拠はなく,本件貯水池を建設する必要性がないことの根拠となるものではない。 以上によれば,本件貯水池を建設することについて必要性がないということはできず,原告の主張は理由がない。 4 売買価格等の適正について・承継前被告は,本件用地の取得価格を決定する際,B鑑定及びC鑑定を基にしたところ,両鑑定の概要は,次のとおりである(甲8,9)。 ア B所属の不動産鑑定士Kは,B鑑定において,次のとおり,各標準地について,地域的要因及び個 格を決定する際,B鑑定及びC鑑定を基にしたところ,両鑑定の概要は,次のとおりである(甲8,9)。 ア B所属の不動産鑑定士Kは,B鑑定において,次のとおり,各標準地について,地域的要因及び個別的要因を分析し総合的に検討して,最有効使用の用途を判定した上,取引事例比較法を採用し,地価公示又は地価調査価格との規準により価格の均衡に留意して,評価格を決定した。 ・標準地① 宇都宮市a町字b番c外(現況地目宅地)最有効使用低層優良住宅用地評価格 1平方メートル当たり13万6000円・標準地② 宇都宮市a町字d番e外(現況地目宅地)最有効使用低層集合住宅用地評価格 1平方メートル当たり12万1000円・標準地③ 宇都宮市a町字f番g(現況地目雑種地)最有効使用低層優良住宅向け宅地見込地評価格 1平方メートル当たり13万円・標準地④ 宇都宮市a町字h番i外(現況地目山林)最有効使用低層優良住宅向け宅地見込地評価格 1平方メートル当たり6万6500円・標準地⑤ 宇都宮市a町字j番k(現況地目宅地)最有効使用低層普通住宅用地評価格 1平方メートル当たり11万5000円・標準地⑥ 宇都宮市a町字l番外(現況地目山林)最有効使用低層優良住宅向け宅地見込地評価格 1平方メートル当たり5万5600円・標準地⑦ 宇都宮市a町字m番n外(現況地目山林)最有効 有効使用低層優良住宅向け宅地見込地評価格 1平方メートル当たり5万5600円・標準地⑦ 宇都宮市a町字m番n外(現況地目山林)最有効使用低層優良住宅向け宅地見込地評価格 1平方メートル当たり3万6700円・標準地⑧ 宇都宮市a町字o番p(現況地目山林)最有効使用低層優良住宅向け宅地見込地評価格 1平方メートル当たり4万5400円イ C鑑定事務所所属の不動産鑑定士Lは,C鑑定において,次のとおり,各標準地が一団として近隣地域を形成しているものとして地域特性を分析し,各標準地の個別的要因を勘案して,最有効使用の用途を判定した上,取引事例比較法を採用して比準価格を標準とし,標準地③,④,⑥ないし⑧については転換後,造成後の想定更地価格から造成工事費等を控除して試算する控除方式による控除価格を関連付け,更に,それぞれ,地価公示又は地価調査による規準価格との均衡を考慮して,評価格を決定した。 ・標準地① 最有効使用住宅用地評価格 1平方メートル当たり12万2000円・標準地② 最有効使用住宅用地評価格 1平方メートル当たり10万9000円・標準地③ 最有効使用盛土造成後,住宅用地評価格 1平方メートル当たり11万7000円・標準地④ 最有効使用盛土造成後,住宅用地評価格 1平方メートル当たり5万9900円・標準地⑤ 最有効使用住宅用地評価格 1平方メートル当たり10万4000円・標 評価格 1平方メートル当たり5万9900円・標準地⑤ 最有効使用住宅用地評価格 1平方メートル当たり10万4000円・標準地⑥ 最有効使用盛土造成後,住宅用地評価格 1平方メートル当たり5万8700円・標準地⑦ 最有効使用盛土造成後,住宅用地評価格 1平方メートル当たり3万4900円・標準地⑧ 最有効使用盛土造成後,住宅用地評価格 1平方メートル当たり4万3100円ウ B鑑定及びC鑑定は,宅地見込地について採用した鑑定方式に差異があるものの,両者の評価格は,その差が概ね1割程度の範囲に収斂しており大差はない。 ・この点について,原告は,B鑑定及びC鑑定について,法令による規制,土地の形状や公道との接面による制約等を適正に考慮せず,実現不可能又は不合理な宅地造成方法を前提として,最有効使用の用途の判断を誤るなどし,その結果,評価格が適正を欠き著しく高額となっている旨主張する。原告の主張は,原告が依頼した不動産鑑定士Mの意見(以下「M意見」という。)に依拠するものであるところ,M意見の概要は,次のとおりであり,B鑑定及びC鑑定の評価が適正か否かについて,両鑑定に形式的誤り,理論適用上の誤り等がある旨を指摘したものであり,本件用地の評価格の具体的な検討はしておらず,指摘した誤り等が評価格にいかなる影響を及ぼすのかについても具体的な検討はしていない(甲24,32,33,43,証人M)。 ア B鑑定について・売買単位ごとの個々の土地を近隣地域として地域分析をしたことは誤りである。 ・標準地①について,同地は,公道に接してい 4,32,33,43,証人M)。 ア B鑑定について・売買単位ごとの個々の土地を近隣地域として地域分析をしたことは誤りである。 ・標準地①について,同地は,公道に接している部分から約10メートル高い平坦部分に1棟しか建築することができず用途が限定されていることなどの諸点から,最有効使用の用途は普通住宅地であり,低層優良住宅地であるとの判定は誤りである。また,地価公示価格との規準において,画地条件の差を無視していることは誤りである。 ・標準地②について,最有効使用の用途を低層集合住宅用地としているが,需要が見込めないなどの問題がある。また,地価公示価格との規準において,三角地であるのに不整形の減価をしていないなどの誤りがある。 ・標準地③の評価について,宅地見込地の評価では控除方式を採用すべきところ,採用していないため評価が不正確である。また,地価公示価格との規準において,造成難易3パーセントの格差を考慮しているが,この額で低層優良住宅地に造成することは困難であること,1画地1500平方メートルと大規模であることによる減価をしていないことなどの誤りがある。 ・標準地④について,最有効使用の用途を低層優良住宅向け宅地見込地としているが,造成後宅地可能な部分は公道からの奥行が浅く設計上の制約があるなどの点から優良住宅地とは言い難い。また,評価について,宅地見込地では控除方式を採用すべきところ,採用していないこと,地価調査価格との規準において,造成難易7パーセント,有効率マイナス15パーセントの格差を考慮しているが,対象地の方が7パーセントを超えて造成費用がかかること,有効宅地化率は対象地の方が低いことなどの誤りがある。 ・標準地⑤の評価について,地価公示価格との規準が,定性分析と 差を考慮しているが,対象地の方が7パーセントを超えて造成費用がかかること,有効宅地化率は対象地の方が低いことなどの誤りがある。 ・標準地⑤の評価について,地価公示価格との規準が,定性分析としては必要な項目を挙げているが,定量分析としては画地条件の悪さ,有効面積に比して高額に過ぎることなどの問題がある。 ・標準地⑥について,同地は,急傾斜地で接道部分の擁壁の高さが2メートル,更に擁壁の上に30度以上の急勾配の土羽があり,宅地化を想定して擁壁,開発道路等を検討すると,道路敷と,風致地区の規制により必要とされる擁壁の高さ相当の緑地部分を除くと宅地化できる部分はほとんど残らない。最有効使用の用途は現況のまま林地として残すことであり,最有効使用の用途を低層優良住宅向け宅地見込地としたことは誤りである。また,評価について,宅地見込地では控除方式を採用すべきところ,採用していないため評価が不正確であり,誤りがある。 ・標準地⑦について,同地は,公道に接しておらず,急傾斜地であるため宅地造成は不可能である。最有効使用の用途は現況のまま林地として残すことであり,最有効使用の用途を低層優良住宅向け宅地見込地としたことは誤りである。また,評価について,無道路地補正率を乗じて補正しているが,想定している用地を購入できる可能性が低いこと,急勾配のため通常の車両では登ることができないこと,想定する面積で築造することができないことことなどの誤りがある。 ・標準地⑧について,同地は,山林部分が急傾斜地で造成に適さないこと,管理用通路部分を拡幅して数画地を得ることは経済的に引き合わないこと,1画地を想定しても三方に擁壁ができ日照通風が悪いことから,宅地化することは不適当である。最有効使用の用途は現況のまま山林として残すことであり を拡幅して数画地を得ることは経済的に引き合わないこと,1画地を想定しても三方に擁壁ができ日照通風が悪いことから,宅地化することは不適当である。最有効使用の用途は現況のまま山林として残すことであり,最有効使用の用途を低層優良住宅向け宅地見込地としたことは不合理である。また,評価について,宅地見込地では控除方式を採用しなければならないところ,採用していないため評価が不正確であり,誤りがある。 イ C鑑定について・近隣地域の範囲を対象地群全体とする一方で,取引事例との比準,地価公示又は地価調査との規準においては,各対象地を標準画地としており,混乱している。 ・標準地①の評価について,地価公示価格との規準が,定性分析としては妥当であるが,定量分析としては同地の特性に比して高額に過ぎ問題がある。 ・標準地②の評価について,・と同様の問題がある。 ・標準地③について,最有効使用の用途のうち盛土造成との部分は誤りである。また,評価について,控除方式で想定している造成工事を行うことは不可能である。 ・標準地④の評価について,控除方式で想定している造成工事の概要が前提とする評価地積と矛盾し,造成工事の内容が不明であるなどの問題がある。 ・標準地⑤の評価について,地価公示価格との規準が,定性分析としては必要な項目を挙げているが,定量分析としては画地条件の悪さ,有効面積に比して高額に過ぎるなどの問題がある。 ・標準地⑥について,最有効使用の用途は現況のまま林地として残すことであり,最有効使用の用途を盛土造成後,住宅用地としたのは誤りである。また,評価について,控除方式で想定している造成工事の概要で減歩率を40パーセントとしているが,減歩率は著しく宅地は残らないから,試算結果に誤りがあ 用途を盛土造成後,住宅用地としたのは誤りである。また,評価について,控除方式で想定している造成工事の概要で減歩率を40パーセントとしているが,減歩率は著しく宅地は残らないから,試算結果に誤りがある。 ・標準地⑦について,最有効使用の用途は現況のまま林地として残すことであり,最有効使用の用途を盛土造成後,住宅用地としたのは誤りである。また,評価について,控除方式で想定している造成工事で開発をすることは,擁壁敷と緑地部分を除くと宅地化できる部分はほとんど残らないこと,接道の面から不可能であり,誤りがある。 ・標準地⑧について,最有効使用の用途を盛土造成後,住宅用地としているが,宅地化することは不適当である。また,評価について,控除方式で想定している造成工事で開発をすることは,擁壁敷と緑地部分の制約から想定どおり3画地をとることができず,費用の面からも不可能であり,誤りがある。 ・そこで検討するに,前記のとおり,地方公営企業の管理者は,用地を取得する際の対価の決定についてある程度広範な裁量権を有しており,取得価格が適正価格を超えるものであったとしても直ちに裁量権の逸脱,濫用に当たるものではなく,適正価格よりも著しく高額な対価で土地を取得した場合に裁量権の逸脱,濫用が問題となるとういうべきところ,M意見は,B鑑定及びC鑑定の評価が適正か否かについて両鑑定に形式的誤り,理論適用上の誤り等があるかを検討し指摘したにとどまるものであって,各土地の評価格を具体的に摘示するものではない。M意見が誤り等として指摘した部分について,これが評価格にいかなる影響を及ぼすのかについても具体的な検討はされておらず,その指摘した内容についても,直ちにB鑑定及びC鑑定の評価格が適正価格に比して著しく高額であることを基礎付けるものということも 評価格にいかなる影響を及ぼすのかについても具体的な検討はされておらず,その指摘した内容についても,直ちにB鑑定及びC鑑定の評価格が適正価格に比して著しく高額であることを基礎付けるものということもできない。もっとも,標準地⑥ないし⑧については,M意見は,最有効使用の用途が現況のまま林地として残すことであると指摘しており,B鑑定及びC鑑定が最有効使用の用途として判定した宅地見込地とでは,一般に評価格に著しい差異があることから,指摘のとおりであるとすると,両鑑定の評価格が適正価格に比して著しく高額となる可能性がないではない。M意見の根拠は宅地造成が不可能であるか極めて困難であるということに帰着するところ,宅地造成が不可能であると認めるに足りる的確な証拠はなく,B鑑定及びC鑑定が地域分析,個別分析したところに加えて,用地の取得目的が,現況のまま利用することではなく,公共用地として造成して利用することにあることも考慮すると,B鑑定及びC鑑定が最有効使用の用途を宅地見込地と判定したことが誤りであるということはできない。 そのほか,B鑑定及びC鑑定の評価格が適正価格に比して著しく高額であると認めるに足りる証拠もない。 ・そして,前記1・の認定によれば,承継前被告は,両鑑定を基にして,更に,取引事例から比準価格,収益還元価格,原価法による積算価格,地価公示からの比準価格との比較検討を加えた上で,B鑑定の評価格を標準価格として採用し,これに各画地ごとの個別的要因による補正率を乗じて標準地からの比準価格を算出して,各土地の取得価格を決定し,同取得価格に基づいてその範囲内で本件売買契約を締結したのであるから,その過程において誤りがあるということはできない。 したがって,本件売買契約等の締結及びこれに基づく本件各公金支出について,承継 格に基づいてその範囲内で本件売買契約を締結したのであるから,その過程において誤りがあるということはできない。 したがって,本件売買契約等の締結及びこれに基づく本件各公金支出について,承継前被告に裁量権の範囲の濫用,逸脱があるということはできず,原告の主張は理由がない。 5 手続的瑕疵について・本件貯水池分の用地費を計上した平成7年度予算成立の過程は前記1・で認定したとおりであり,承継前被告は,予算に関する説明書,予算明細書及び予算参考書を添付して宇都宮市長に送付しているから,同予算成立の過程に違法があるとは認められない。 原告は,地方財政法3条2項を根拠として,予算に関する説明書及び明細書はあらゆる資料に基づいて算定されたものであることを要し,用地費については鑑定に基づくことを要する旨主張するが,同条項は予算のうち収入の算定について規定したものである。経費の算定については同条1項が「法令の定めるところに従い,且つ,合理的な基準により」計上すべき旨規定しているが,同条項が用地費を計上する際に鑑定に基づくことを要求していると解することはできず,他に鑑定に基づくことを義務付ける法令の規定はない。 ・また,原告は,本件貯水池のような震災対策用応急給水施設を設置するに当たっては,災害対策基本法等の法令に基づいて設置された地方防災会議の議決を経ることを要する旨主張するが,水道事業の執行として震災対策用貯水池を設置する際に地方防災会議の議決を経ることを義務付ける法令の規定はなく,原告の主張は理由がない。なお,本件貯水池の設置を含む本件整備計画は,その後,同法等の法令に基づいて設置された宇都宮市防災会議が策定した宇都宮市地域防災計画(平成10年修正)において,応急給水拠点施設の整備として取り入れられており,本件整備計画 含む本件整備計画は,その後,同法等の法令に基づいて設置された宇都宮市防災会議が策定した宇都宮市地域防災計画(平成10年修正)において,応急給水拠点施設の整備として取り入れられており,本件整備計画策定当時においても,宇都宮市防災会議が策定した地域防災計画と抵触するものでなかったことは明らかである(甲27,28)。 6 以上の次第で,本件各公金支出が違法であることは認められず,原告の請求は理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。 宇都宮地方裁判所第2民事部裁判長裁判官羽田弘裁判官宮田祥次裁判官天川博義

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る