平成31年3月19日判決言渡平成30年(行コ)第303号相続税更正処分等取消請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成29年(行ウ)第216号) 主文 1 控訴人Aの訴えのうち,当審において拡張された,処分行政庁が控訴人Aに対し,平成27年11月11日付けでした,平成△年△月△日相続開始に係る相続税更正処分について,納付すべき金額97万0600円を超えない部分の取消しを求める請求に係る訴えを却下する。 2 控訴人らのその余の本件控訴をいずれも棄却する。 3 当審における訴訟費用は控訴人らの負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 控訴人Bについて(1) 原判決主文第1項のうち控訴人Bに関する部分を次のとおり変更する。 (2) 処分行政庁が控訴人Bに対し,平成27年11月11日付けでした,平成△年△月△日相続開始に係る相続税更正処分のうち,納付すべき金額1683万7800円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分を取り消す。 2 控訴人Cについて(1) 原判決主文第1項のうち控訴人Cに関する部分を取り消す。 (2) 処分行政庁が控訴人Cに対し,平成27年11月11日付けでした,平成△年△月△日相続開始に係る相続税更正処分のうち,納付すべき金額95万1700円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分を取り消す。 3 控訴人Aについて(1) 原判決主文第1項のうち控訴人Aに関する部分を次のとおり変更する。 (2) 処分行政庁が控訴人Aに対し,平成27年11月11日付けでした,平成△年△月△日相続開始に係る相続税更正処分のうち,納付すべき金額83万4 200円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分を取り消す。 第2 事案の概要 1 本件は,共同相続人であ 成△年△月△日相続開始に係る相続税更正処分のうち,納付すべき金額83万4 200円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分を取り消す。 第2 事案の概要 1 本件は,共同相続人である控訴人らが,被相続人D(以下「本件被相続人」という。)が平成△年△月△日に死亡したことによって開始した相続(以下「本件相続」という。)に係る相続税(以下「本件相続税」という。)の申告及び修正申告をしたところ,処分行政庁から財産評価基本通達(昭和39年4月25日付け直資56ほかによる国税庁長官通達。ただし,平成24年3月2日付け課評2−8ほかによる改正前のもの。以下「評価通達」という。)に基づき相続の対象となる土地を評価すべきであるとして,原判決別表1記載のとおり,相続税の各更正処分(以下「本件各更正処分」という。)及び過少申告加算税の各賦課決定処分(以下「本件各賦課決定処分」といい,本件各更正処分と併せて「本件各更正処分等」という。)を受けたため,本件各更正処分等(本件各更正処分については修正申告額を超える部分)の取消しを求めた事案である。 原審は,控訴人らの請求をいずれも棄却したため,控訴人らがこれを不服として控訴した。なお,控訴人Bは,原審では,納付すべき金額1270万9700円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分の取消しを求めていたが,当審においては,前記第1の1(2)のとおり,納付すべき金額1683万7800円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分の取消しを求めるに留まる。 また,控訴人Aは,原審では,納付すべき金額97万0600円を超える部分の取消しを求めていたが,当審において,前記1の3(2)のとおり請求を拡張し,納付すべき金額83万4200円を超える部分の取消しを求めるに至った。しかしながら,控訴人Aは,本件 600円を超える部分の取消しを求めていたが,当審において,前記1の3(2)のとおり請求を拡張し,納付すべき金額83万4200円を超える部分の取消しを求めるに至った。しかしながら,控訴人Aは,本件相続税に係る申告及び修正申告を行った後,更正の請求の手続を行っていないこと等からすれば,本件更正処分のうち,申告及び修正申告に係る97万0600円を超えない部分について取消しを求める訴え部分が不適法なものであることは明らかであり,却下するのが相当である。 2 関係法令等の定め,前提事実,争点及び争点に対する当事者の主張は,次のと おり原判決を補正し,第3項のとおり当審における控訴人らの補充主張を付加するほか,原判決の「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」の1ないし5に記載のとおりであるから,これを引用する。なお,略称は,特に断らない限り,原判決の例による。 (原判決の補正)(1) 原判決3頁2行目の「(証拠等を掲げていない事実は当事者間に争いがない。)」を「(後掲証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。)」と改める。 (2) 原判決3頁25行目の「評価通達40に定める方式により評価する地域に所在し」を「評価通達40に定める方式により評価する市街化農地に該当し」と改める。 (3) 原判決4頁4行目の「50パーセントであり」の次に「(乙10の1,2)」を,同頁5行目から6行目にかけての「30パーセントである」の次に「(乙4の393頁)」を,同頁7行目の「1.2倍である」の次に「(乙10の3)」を,同頁9行目の「1万0800円である」の次に「(乙11,甲4の2の10枚目)」をそれぞれ加える。 (4) 原判決4頁11行目の「別表1記載のとおりであり」の次に「(甲4の1ないし3,甲6ないし8,乙6,8,)」を 万0800円である」の次に「(乙11,甲4の2の10枚目)」をそれぞれ加える。 (4) 原判決4頁11行目の「別表1記載のとおりであり」の次に「(甲4の1ないし3,甲6ないし8,乙6,8,)」を加える。 (5) 原判決4頁15行目の「Eが取得することとなった」の次に「(乙7)」を加える。 (6) 原判決4頁20行目の「提出した」の次に「(甲1,乙6)」を加える。 (7) 原判決4頁24行目の「提出した」の次に「(乙8)」を加える。 (8) 原判決5頁1行目の「本件各更正処分等をした」の次に「(甲4の1ないし3)」を加える。 (9) 原判決5頁4行目の「異議申立てをいずれも棄却する旨の決定をした」の次に「(乙1の1ないし4,甲6)」を加える。 (10) 原判決5頁7行目の「裁決をした」の次に「(乙2の1ないし3,乙3の1ないし3,甲8)」を加える。 3 当審における控訴人の補充主張(1) 本件1土地についてア本件1土地は標準的画地規模に比較して規模の大きな土地であるにもかかわらず,評価通達によれば,道路の新設をせずとも土地の細分化が可能であるとして広大地評価が適用されないが,それでは,土地の購入者である開発業者であれば計上する土地の細分化・換金に不可欠な諸費用に対応する減価がなされず,評価通達では適正な時価を求め難く,市場人の経済行為に着目した客観的な交換価値を求めることはできないから,特別の事情があるとして,不動産鑑定評価基準に基づく評価を行うべきである。 イ不動産鑑定評価基準は,いわゆる三方式の適用を義務付ける基準ではなく,本件1土地のように規模の大きな宅地で三方式の併用が困難な場合には,本件報告書が依拠したように開発法の一方式のみで価格を決定することも許容していると考えるべきである。 務付ける基準ではなく,本件1土地のように規模の大きな宅地で三方式の併用が困難な場合には,本件報告書が依拠したように開発法の一方式のみで価格を決定することも許容していると考えるべきである。 ウ本件報告書は,本件1土地の評価額を算定するに当たって,開発法により更地価格を算出した上で,評価通達に基づき「貸家建付地」として借家権価格を控除し,評価方式を組み合わせているが,適正な時価による申告がされている以上,評価方法の組み合わせに問題はない。 (2) 本件2土地ないし本件4土地についてア本件4土地上の建物は一部が賃貸されているにすぎないのであるから,本件4土地については全体を自用地として評価し,これから建物全体面積に対応する賃貸割合から算定される借家権価値を控除した土地価格を求めるべきであり,原判決がこれを「貸家建付地」に該当するとして,本件2土地ないし本件4土地の一体評価を否定する方向で考慮したのは相当でない。 イ相続開始時の不動産の時価は,最有効使用を前提として把握される価格を 標準とすべきであるところ,本件2土地ないし本件4土地については,いずれもその効用を最高度に発揮し得る状況にないことは容易に判断できるはずであり,いずれの土地についても更地化が容易であるから,更地化の容易性を根拠とすべきでないとする原判決の指摘は誤りである。 ウ本件土地2ないし本件土地4は,評価通達では適正な時価を求め難いため,鑑定評価基準の適用が検討されるべきであるところ,これらの各土地については,一体的に利用し道路を新設して土地を細分化する方が高めの価格で画地を売却することが可能になるのであるから,控訴人が本件報告書で主張する造成費や販売管理費等を見込んだ開発法に基づく評価が,市場実態に即した客観的な交換価値というべき を細分化する方が高めの価格で画地を売却することが可能になるのであるから,控訴人が本件報告書で主張する造成費や販売管理費等を見込んだ開発法に基づく評価が,市場実態に即した客観的な交換価値というべきである。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も,本件各更正処分等は適法であると考えるが,その理由は,次のとおり原判決を補正し,第2項のとおり当審における控訴人の補充主張に対する判断を付加するほか,原判決の「事実及び理由」欄の「第3 当裁判所の判断」に記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正)(1) 原判決35頁11行目の「解すべきである」の次に「(最高裁平成28年(行ヒ)第169号同29年2月28日第3小法廷判決・民集71巻2号296頁)」を加える。 (2) 原判決36頁1行目の「適正な時価を上回るものではないと推認するのが相当である」の次に「(なお,固定資産評価基準に関する最高裁平成24年(行ヒ)第79号同25年7月12日第2小法廷判決・民集67巻6号1255頁参照)」を加える。 (3) 原判決40頁21行目末尾の後に次のとおり加える。 「なお,上記評価通達の改正は,平成30年1月1日以後に相続,遺贈又は贈与により取得した財産の評価に適用されるものであり,それ以前に取得した財 産の評価には適用とならない。」(4) 原判決48頁18行目の末尾に次のとおり加える。 「したがって,相続開始時において利用形態が全く異なる本件2土地ないし本件4土地の評価に当たり,一つの利用単位として1区画を形成する(評価通達7−2)と考えるのは相当でなく,それぞれ個別に評価すべきである。」(5) 原判決50頁15行目の末尾に改行して次のとおり加える。 「 なお,本件5土地は市街化農地に該当するところ,評 通達7−2)と考えるのは相当でなく,それぞれ個別に評価すべきである。」(5) 原判決50頁15行目の末尾に改行して次のとおり加える。 「 なお,本件5土地は市街化農地に該当するところ,評価通達40−2によれば,これが宅地であるとした場合に評価通達24−4に定める広大地に該当するときは,同通達の定めに準じて評価するとされるところ,本件5土地の地積は653.93平方メートルであるから,本件5土地の所在する地域における標準的な宅地の地積に比して著しく広大な土地であるとは認められるが,道路新設により潰れ地を生じさせる必要があると認められないから,評価通達に定める広大地に該当するとはいえない。」(6) 原判決55頁23行目から24行目にかけての「本件9土地の評価額を約300万円上回り」を「本件9土地の評価額はこれを約300万円上回り」と改める。 2 当審における控訴人の補充主張に対する判断(1) 本件1土地について本件1土地については,前述のとおり,評価通達の定める評価方法に従って広大地に該当しないものとして評価されており,かつその評価方法によっては適正な時価を適切に算定することのできない特別の事情があるとは認められないというべきである。 控訴人らの前記第2の3(1)アないしウの主張は,一般的に一定規模以上の面積の土地を宅地化するに当たっては道路の新設をしなくても開発に当たって相当額の費用を要するから,この費用に対応する減価をすべきであるというにすぎないもの(ア),本件報告書における本件1土地の評価方法が不動産評 価基準により許容されているというにすぎないもの(イ,ウ)であって,本件報告書における鑑定評価の許容性あるいは相当性を主張するものにすぎず,これをもって,本件1土地の評価に当たり評価通達に 価基準により許容されているというにすぎないもの(イ,ウ)であって,本件報告書における鑑定評価の許容性あるいは相当性を主張するものにすぎず,これをもって,本件1土地の評価に当たり評価通達によることができない特別の事情があるとは認められない。また,本件報告書における本件1土地の鑑定評価自体に問題があることは,原判決が説示するとおり(原判決44頁26行目冒頭から46頁15行目まで)であり,仮に本件報告書による鑑定評価が不動産の鑑定方法として許されるものであるとしても,本件報告書の鑑定評価額が相続開始時における本件1土地の客観的交換価値としての適正な時価であるとは認めることができず,いずれにせよ,評価通達の定める評価方法により得ない特別の事情があるとはいえない。 よって,本件1土地に係る控訴人らの前記主張は採用できない。 (2) 本件2土地ないし本件4土地について相続税法22条の「時価」は,現況に基づかない仮定される最有効利用ではなく,本件相続開始時の対象不動産の利用状況を前提に算定されるべきところ,前記認定の本件2土地ないし本件4土地の利用状況(原判決46頁25行目冒頭から47頁24行目まで。なお,本件4土地上の建物は,その一部が賃貸されているだけであるが,そうだとしても,これにより土地全体の利用状況が制約されることに変わりがない。)によれば,本件2土地ないし本件4土地が利用単位として1区画を形成するものとはいえない。したがって,本件2土地ないし本件4土地を一体的に利用することを前提とする本件報告書の鑑定評価額は,開発法のみを用いた鑑定方法等の合理性及び信用性を措くとしても,その前提を異にするものというべきであり,上記各土地の適正な時価額を検討する上で考慮することはできない。そして,本件2土地ないし本件4土地を個別に評価す 鑑定方法等の合理性及び信用性を措くとしても,その前提を異にするものというべきであり,上記各土地の適正な時価額を検討する上で考慮することはできない。そして,本件2土地ないし本件4土地を個別に評価することにつき,評価通達の定める評価方法によっては適正な時価を適切に算定することのできない特別の事情があるとも認められない。 よって,本件2土地ないし本件4土地に係る控訴人らの前記主張は採用でき ない。 第4 結論そうすると,控訴人Aが当審で請求を拡張した部分に係る訴えは不適法であるからこれを却下することとし,控訴人らのその余の請求はいずれも理由がないからこれらを棄却した原判決は相当であって,本件控訴はいずれも理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第24民事部 裁判長裁判官村田渉 裁判官一木文智 裁判官住友隆行
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