-- 平成17年(行ケ)第10556号審決取消請求事件平成18年4月10日判決言渡,平成18年3月15日口頭弁論終結判決原告ラブスフェアー,インコーポレイテッド訴訟代理人弁理士古谷聡,溝部孝彦,西山清春被告特許庁長官中嶋誠指定代理人櫻井仁,高橋泰史,高木彰,青木博文主文原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1原告の求めた裁判「特許庁が不服2002-6924号事件について平成17年2月23日にした審決を取り消す」との判決。 。 第2事案の概要本件は,特許出願人が拒絶査定に対する不服審判請求を不成立とした審決の取消しを求める事案である。 特許庁における手続の経緯(1)原告は,平成4年3月31日,発明の名称を「拡散反射率及び透過度の測定のための積分球並びにその他同種類のもの」とする特許出願(パリ条約による優先権主張1991年(平成3年)4月29日,米国)をし,平成13年5月31日付け手続補正書により,明細書を補正した(甲2,3)。 -- (2)原告は,平成14年1月22日付けの拒絶査定を受けたので,同年4月2,(),2日拒絶査定に対する審判を請求した不服2002-6924号事件ところ特許庁は,平成17年2月23日「本件審判の請求は,成り立たない」との審,。 決をし,同年3月8日,その謄本を原告に送達した。 請求項1の発明の要旨(平成13年5月31日付けの補正後のもの)「光を拡散的に反射する堅く焼結された高分子材料からなり,平坦な外部境界壁面を有し,前記材料が球面状に研磨されてなる中空表面を内部に有する立方体のブロック内に形成されている反射分光学のための中空積分球であって,前記ブロック内に外部の光線を通過させるための第1の開口手段が前記外部境界壁 材料が球面状に研磨されてなる中空表面を内部に有する立方体のブロック内に形成されている反射分光学のための中空積分球であって,前記ブロック内に外部の光線を通過させるための第1の開口手段が前記外部境界壁面の1つの平坦な壁面に設けられ,前記ブロックが,前記第1の開口手段及びこの第1の開口手段とは反対側に配置されている第2の開口手段のどちらか一方が設けられている前記ブロックの平坦な外部境界壁面に,試料の拡散反射率と透過度の何れか一方を測定するための,前記ブロックの平坦な外部境界壁面に対応する平坦な壁面を有する試料保持具を取り付けられているものにおいて,,,,前記高分子材料がポリテトラフッ化エチレンポリクロロトリフッ化エチレンポリクロロフッ化エチレン,ポリフッ化ビニリデン及びポリフッ化ビニルから成る群から選択された,少なくとも1個のフッ素原子が鎖状炭素原子に結合した少なくとも1個の単量体を有する少なくとも1個のフッ化脂肪族長鎖付加重合体からなることを特徴とする中空積分球」。 審決の理由の要旨審決の理由は,以下のとおりであるが,要するに,請求項1の発明(以下「本願発明」という)は,刊行物に記載された発明や周知の技術などに基いて,当業者。 が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない,というものである。 -- ( )引用刊行物記載の発明 特開昭63-305221号公報(本訴甲4,以下「刊行物1」という)には,次の事項が記載。 されている。 「3)白色樹脂として,四フッ化エチレンを用いることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載(の積分球(特許請求の範囲)。」「積分球において,白色セラミック(酸化アルミニウム,窒化ホウ素)又は白色樹脂(四フッ化エチレン)を成形・焼結した いることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載(の積分球(特許請求の範囲)。」「積分球において,白色セラミック(酸化アルミニウム,窒化ホウ素)又は白色樹脂(四フッ化エチレン)を成形・焼結した材料を用いて,球状非塗装なる光拡散面を形成した(2頁右上欄7から。」10行目)「焼結体は,本来粗面で拡散反射特性が優れ,素材の白色セラミック,白色樹脂は分光反射特性が広波長範囲にわたつて平坦かつ高い。 また,積分球を,白色セラミック又は白色樹脂を成型・焼結した材料を用いて形成することにより,塗装と異なり剥落のおそれがないので,性能的に安定性が良く耐久性を持たせることができるものである(2頁右上欄12から19行目)。」「第1図に本発明を拡散照明・垂直受光方式のハンディタイプの測色計に用いた実施例を示す。1は完全拡散照明を実現するための積分球で,上半球1-aと下半球1-bとを接合させて形成されている。上記両半球1-a,1-bは白色樹脂(四フッ化エチレン)或は白色セラミック(酸化アルミニウム,窒化ホウ素)を成型・焼結して形成したものである(2頁左下欄1から8行目)。」「上記①,②,③の材料の成型・焼結により製造した積分球の拡散反射面は成型面そのままで十分な拡散反射特性を持っているが,成型の型の表面に凹凸の処理を施して,仕上がり面である拡散反射面の拡散特性をコントロールしても良い(2頁右下欄19行目から3頁左上欄3行目)。」( )対比・判断 そこで,本願発明と刊行物1に記載された発明とを対比すると,刊行物1に記載された「樹脂(四)」,「」,,フッ化エチレンは本願発明のポリテトラフッ化エチレンに相当し刊行物1に記載された「四フッ化エチレン」からなる「白色樹脂」が,本願発明のポリテトラフッ化エチレンのフッ素原子が鎖 」,,フッ化エチレンは本願発明のポリテトラフッ化エチレンに相当し刊行物1に記載された「四フッ化エチレン」からなる「白色樹脂」が,本願発明のポリテトラフッ化エチレンのフッ素原子が鎖状炭素原子に結合した単量体を有するフッ化脂肪族長鎖付加重合体であることは明らかであるから,両者は,「光を拡散的に反射する堅く焼結された高分子材料からなる,反射分光学のための中空積分球であ-- って,外部の光線を通過させるための第1の開口手段が設けられ,前記第1の開口手段及びこの第1の開口手段とは反対側に配置されている第2の開口手段のどちらか一方が設けられている所に,試料の拡散反射率を測定するための,試料保持具を取り付けられているものにおいて,前記高分子材料が,ポリテトラフッ化エチレンのフッ素原子が鎖状炭素原子に結合した単量体を有するフッ化脂肪族長鎖付加重合体からなることを特徴とする中空積分球」で一致し,以下の点で相。 違する。 (相違点1),,,。 本願発明は中空表面が研磨された球面であるのに対し刊行物1にはそのような記載がない点(相違点2)本願発明は,中空積分球を立方体のブロック内に形成し,試料の拡散反射率を測定するための,試料保持具をブロックの平坦な外部境界壁面に対応する平坦な壁面に取り付けているのに対し,刊行物1に記載された発明は,積分球を立方体のブロックに形成したものではなく,従って,試料保持具もブロックの平坦な外部境界壁面に対応する平坦な壁面に取り付けられていない点。 上記(相違点1)について検討する。 刊行物1に記載された積分球は,成型・焼結により製造されその拡散反射面は成型面そのままで十分な反射特性を持っていると記載されているものの,所望の中空表面を得るために,研磨による加工を加える程度のことは,常套手段であって,本願発 ,成型・焼結により製造されその拡散反射面は成型面そのままで十分な反射特性を持っていると記載されているものの,所望の中空表面を得るために,研磨による加工を加える程度のことは,常套手段であって,本願発明の,中空表面を研磨された球面とすることは,当業者であれば容易に想到できたものである。 上記(相違点2)について検討する。 中空積分球を立方体のブロック内に形成しブロックの平坦な外部境界壁面に対応する平坦な壁面に試料保持具を取り付ける構成は,周知の構成であって(たとえば,拒絶の理由で引用された特開昭50-30579号公報(本訴甲5,特開昭59-60229号公報(本訴甲6)参照,該構成を,))刊行物1に記載された積分球に適用する程度のことは当業者であれば容易に想到できたにすぎない。 そして,請求人が主張する本願発明の効果についても,刊行物1に記載された発明や,上記の本出願前に周知の技術などに基いて,当業者が当然に予測できる範囲内のものと認められる。 ( )審決のむすび したがって,本願発明は,刊行物1に記載された発明や,上記の本出願前に周知の技術などに基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を-- 受けることができない。 第3当事者の主張の要点 原告主張の審決取消事由(1)取消事由1(相違点1の判断の誤り)審決は「刊行物1に記載された積分球は,成型・焼結により製造されその拡散,反射面は成型面そのままで十分な反射特性を持っていると記載されているものの,所望の中空表面を得るために,研磨による加工を加える程度のことは,常套手段であって,本願発明の,中空表面を研磨された球面とすることは,当業者であれば容易に想到できたものである」と判断した。 。 ア本願発明の「球面状に研磨されてなる中 る加工を加える程度のことは,常套手段であって,本願発明の,中空表面を研磨された球面とすることは,当業者であれば容易に想到できたものである」と判断した。 。 ア本願発明の「球面状に研磨されてなる中空表面」の解釈の誤り(ア)審決は,その説示によれば,本願発明の「研磨」を,成型によって内部の中空表面を形成した後に,その表面の仕上げのために単にその表面をこすり磨く程度の加工であると解釈し,本願発明の「球面状に研磨されてなる中空表面」が,最終的に球面上に研磨されている中空表面を意味するものとして,相違点1に係る構成の容易想到性について判断している。しかし,本願発明は,中空積分球が,高分子「材料が球面状に研磨されてなる中空表面を内部に有する立方体のブロック内に形成されている,すなわち,立方体のブロックの内部に球面状の形状が研磨によ」って形成され,その結果,中空表面が形成されるものであって,本願発明の「球面状に研磨されてなる中空表面」とは,立方体のブロックの内部を球状をなすように研磨することによって形成された中空表面を意味する。 このことは,本願明細書の発明の詳細な説明に「このブロックは,所望の許容,誤差に機械加工及び/又は研磨により形成した堅い内部球面をもつ,半球を連結したものとして形成することができる(段落【0007)との記載,すなわち,。」】内部球面が,機械加工によってではなく,研磨のみによっても形成可能であるとの記載があることからみても,明らかである。 -- (イ)刊行物1の中空部は,成型により形成されるものであるから,刊行物1には,高分子材料を研磨することによって中空部を形成するという概念は,開示も示唆もされていない。また,従来の積分球は,中空表面に拡散反射用の酸化亜鉛等の粉末が塗布されているから,そのような塗布材料を は,高分子材料を研磨することによって中空部を形成するという概念は,開示も示唆もされていない。また,従来の積分球は,中空表面に拡散反射用の酸化亜鉛等の粉末が塗布されているから,そのような塗布材料を研磨することによって中空表面を形成することは,開示も示唆もない。さらに,堅く焼結された高分子材料からなる立方体のブロック内に中空積分球が形成された構成は,本願出願前に公知ではなかった。 そうであれば所望の中空表面を得るためにそのような立方体のブロックを研,,「磨」することが常套手段であるということはできない。 (ウ)審決は,本願発明の「球面状に研磨されてなる中空表面」の解釈を誤り,相違点1に係る構成が容易に想到できたと判断しているのであって,審決の判断は誤りである。 イ容易想到性の判断の誤り(ア)檜垣寅雄編最新のプラスチック表面技術昭和57年2月17日発行乙「」(1)には,プラスチックにバレル研磨が利用されることが記載されているが,バレル研磨は,本来バリ取りのために行われるのであって,そのままでは表面を球面状に研磨するのに適しているわけではない。実願昭55-72043号のマイクロフィルム(乙2)に記載されたプラスチックの研磨は,第1図の参照番号2に示すような板状プラスチックの平面精度を得るためのものであって,そのままでは球面の研磨に適用できるものではない。特開昭57-41925号公報(乙3)に記載された樹脂プリズムの研磨は,ダレやバリを取るためのものであって,そのままでは球面の研磨に適用できるものではない。村橋俊介他編「改訂新版プラスチックハンドブック」昭和44年6月20日発行(乙4)には,PTFE(ポリテトラフルオルエチレン)成形物を切削により二次加工することが記載されているが,単なる切削によっては中空表面を球面状に プラスチックハンドブック」昭和44年6月20日発行(乙4)には,PTFE(ポリテトラフルオルエチレン)成形物を切削により二次加工することが記載されているが,単なる切削によっては中空表面を球面状に研磨することはできない。特開昭56-148536号公報(乙5)には,フッ素樹脂を適宜加工することが記載されているが,球-- 面を研磨することは記載されていない。 (イ)このように,被告が援用する乙1ないし5は,本願発明に限定列挙された「ポリテトラフッ化エチレン,ポリクロロトリフッ化エチレン,ポリクロロフッ化エチレン,ポリフッ化ビニリデン及びポリフッ化ビニル」のいずれかからなる高分子材料を球面状に研磨することはもちろん,それらの材料からなる球面状の中空表面を研磨するために,研磨又は切削手段をどのように適用するかといったことも開示していない。 そうであれば,乙1ないし5に記載された研磨又は切削手段が常套手段であるとしても,単なる平面の研磨や外形形状の切削を,そのまま球面の研磨に適用することができるとはいえない。 (ウ)したがって,乙1ないし5に記載された研磨又は切削手段を刊行物1記載の中空積分球に適用して,本願発明の「球面状に研磨されてなる中空表面」とすることは,当業者が容易に想到することができたものではないから,審決の判断は誤りである。 (2)取消事由2(顕著な効果の看過)審決は「請求人が主張する本願発明の効果についても,刊行物1に記載された,発明や,上記の本出願前に周知の技術などに基いて,当業者が当然に予測できる範囲内のものと認められる」と判断した。 。 刊行物1に記載された発明の積分球の外側輪郭は,その第1図に示されているように,概ね球状であって,その全体が一様に薄いものであり,そのような外側輪郭の積分球が,中空表面の比較的大き と判断した。 。 刊行物1に記載された発明の積分球の外側輪郭は,その第1図に示されているように,概ね球状であって,その全体が一様に薄いものであり,そのような外側輪郭の積分球が,中空表面の比較的大きな凹凸を修復するための研磨に対して,構造の面でも強度の面でも適していないことは容易に想像することができるのであるから,その予測される効果の範囲は,本願発明が奏する効果に比べて限定的である。 また,従来の積分球は,中空表面に拡散反射用の酸化亜鉛等の粉末が塗布されてい,,るからそのような塗布材料を研磨することによって特性を回復するということは-- 通常想定するところではない。 したがって,拡散反射表面の特性が低下した場合に,再研磨によりその特性を元の状態に戻せるという本願発明の効果は,格別のものであり,刊行物1に記載された発明や従来技術には開示も示唆もないのであって,当業者が予期することのできないものであるから,審決の判断は誤りである。 被告の反論(1)取消事由1(相違点1の判断の誤り)に対してア本願発明の「球面状に研磨されてなる中空表面」の解釈の誤りに対して本願発明の「球面状に研磨されてなる中空表面」は,最終的に球面状に研磨されている中空表面であることを意味するものであって,このことは,特許請求の範囲の記載から明確であり,発明の詳細な説明の記載を参酌することが許される特段の事情もない。 したがって,審決に,本願発明の「球面状に研磨されてなる中空表面」の解釈の,。 誤りはなく相違点1に係る構成が容易に想到できたとの審決の判断に誤りはないイ容易想到性の判断の誤りに対して刊行物1には,成型後に成型面を研磨することは記載されていないが,高分子材料を素材とする製品の製造において,高分子材料を成型した後に表面を研磨することは常套手段( イ容易想到性の判断の誤りに対して刊行物1には,成型後に成型面を研磨することは記載されていないが,高分子材料を素材とする製品の製造において,高分子材料を成型した後に表面を研磨することは常套手段(檜垣寅雄編「最新のプラスチック表面技術(乙1)9ないし12」頁参照)であり,高分子材料からなる光学部品の製造においても,高分子材料を成型した後に表面を研磨することも周知である(実願昭55-72043号のマイクロフィルム(乙2)2頁11,12行目,3頁12ないし14行目,4頁2ないし5行目,特開昭57-41925号公報(乙3)2頁左上欄8ないし15行目,2頁左上欄20行目ないし右上欄2行目。さらに,ポリテトラフッ化エチレンなど)のフッ化脂肪族長鎖付加重合体からなる高分子材料を成型した後,研磨等の機械加工を施すことも周知の事項(村橋俊介他編「改訂新版プラスチックハンドブック」-- (乙4)448ないし450頁,特開昭56-148536号公報(乙5)2頁左上欄8,9行目)である。 そうであれば,ポリテトラフッ化エチレンを成型してなる刊行物1記載の中空積分球において,成型後に表面を研磨するという上記常套手段を用いて,内部中空表面を研磨された球面とすることは当業者が容易に想到することができたものというべきであり,審決の判断に誤りはない。 (2)取消事由2(顕著な効果の看過)に対して上記(1)のとおり,刊行物1に記載された積分球において,内部中空表面を研磨された球面とすることは当業者が容易に想到することができたものであり,表面を研磨により加工する以上,表面が汚れた場合には,再研磨により元の特性に戻すことができることは明らかである。このことは,檜垣寅雄編「最新のプラスチック表面技術(乙1)32ないし36頁にみられるように,高分子材料を素材とする製 表面が汚れた場合には,再研磨により元の特性に戻すことができることは明らかである。このことは,檜垣寅雄編「最新のプラスチック表面技術(乙1)32ないし36頁にみられるように,高分子材料を素材とする製」品において,汚れを研磨することによりクリーニングすることが周知の技術であることからみても明らかである。 したがって,再研磨によりその特性を元の状態に戻せるという効果は,当業者が予期することのできる範囲内のものであるから,審決の判断に誤りはない。 第4当裁判所の判断 取消事由1(相違点1の判断の誤り)について(1)本願発明の「球面状に研磨されてなる中空表面」の解釈の誤りについてア本願発明に係る特許請求の範囲の記載は,前記第2の2のとおりであって,研磨する際における中空表面の形状については格別規定されていない。そして,研磨によって球面状に形成した中空表面と,例えば焼結等により予め球面状に形成した後にその表面を研磨した中空表面とにおいて,最終的に製造された中空表面の物としての性質性能等に格別の相違があるとは認め難いことを合わせ考えると球,,「面状に研磨されてなる中空表面」は,形成された中空表面が球面状に研磨されてい-- ることを規定するにとどまるというべきである。 このように,特許請求の範囲の記載からは,中空表面が研磨によって球面状に形成されたものでなければならないとは認めることができない。 イなお,念のために,本願明細書(甲2,3)の発明の詳細な説明の記載についても検討を加えることとする。 (ア)本願明細書には,中空表面について,次の記載がある。 「0005】【さらに,新規な単一の一体的なブロックを提供することを目的とする。このブロックは,好ましくは,フッ化脂肪族長鎖付加重合体からなり,光を反射及び散乱する内部の球状 ,次の記載がある。 「0005】【さらに,新規な単一の一体的なブロックを提供することを目的とする。このブロックは,好ましくは,フッ化脂肪族長鎖付加重合体からなり,光を反射及び散乱する内部の球状の面を供給するよう中空にされ,従来技術の光拡散物質からなるコーティング,フィルム又は拡散層を不要とするものである。更に他の目的は,本明細書中で後述し,更に特に特許請求の範囲中に記述する」。 【0006】【課題を解決するための手段】本発明は,内部を球面状に中空とされ,拡散反射率及び透過度のいずれか一方又はその双方を測定するためにブロック中に光を通過する開口手段を備えた,拡散的に反射する高分子材料からなる一個のブロックを用いて構成された反射分光学のための積分球を含む。好ましくかつ最上の実施例は後述する。 【0007】【実施例】。 ,,,本発明を図面を参照して説明する本発明は例えば前記米国特許第4912720号に記載されたように堅いブロックに焼結され,滑らかな単一体の内部球面1’を備えた,前述したフッ化脂肪族長鎖付加重合体材料からなる単一の中空立方体形状のブロック1に示されている。このブロックは,所望の許容誤差に機械加工及び/又は研磨により形成した堅い内部球面をもつ,半球を連結したものとして形成することができる」。 -- 「0012】【本発明の積分球の頑丈な一体構造は,更に,上述のコーティングされたフィルム又は層構造の表面と対照的に,湿気等の環境条件及び環境変化に対して,及び層剥離又は他の破損に対して,永久的で無反応である。本発明の積分球は,半球状に分割することにより,石鹸水で洗濯し,また必要ならば表面を初期の状態に復元するために紙やすりで表面のやすりがけをすることにより,容易に洗浄できる。このことは,従来技術でコーティング 分球は,半球状に分割することにより,石鹸水で洗濯し,また必要ならば表面を初期の状態に復元するために紙やすりで表面のやすりがけをすることにより,容易に洗浄できる。このことは,従来技術でコーティングされた球が耐え得なかった過酷な使用条件下での長寿命と安定した特性を保障することとなる」。 「0015】【【発明の効果】本発明になる積分球及び積分中空球面は,湿気や紫外線等の環境からの影響を受けず安定し,全ての周波数領域の光に対して高効率で,洗浄が容易で,機械的強度が強いという特性を有している」。 (イ)上記(ア)の本願明細書の記載には,中空表面が,研磨によって球面状に形成されたものに限定されることをうかがわせるような部分はない。なお,段落【0007】には「このブロックは,所望の許容誤差に機械加工及び/又は研磨により,,。」形成した堅い内部球面をもつ半球を連結したものとして形成することができるとの記載があるが,これをもってしても,研磨によって所望の許容誤差に形成することが記載されているということができるにとどまり,研磨のみによって球面状に形成することが記載されているとまではいうことができない。 (ウ)そうすると,発明の詳細な説明を参酌しても,本願発明の「球面状に研磨されてなる中空表面」が,中空表面が研磨によって球面状に形成されたものに限定されると認めることはできない。 ウしたがって,本願発明の「球面状に研磨されてなる中空表面」は,中空表面が研磨によって球面状に形成されたものに限定されないのであって本願発明の球,「」,,面状に研磨されてなる中空表面についての審決の解釈に原告の主張するような-- 誤りはない。 (2)容易想到性の判断の誤りについてア乙1ないし5について檜垣寅雄編「最新のプラスチック表面技術」昭 磨されてなる中空表面についての審決の解釈に原告の主張するような-- 誤りはない。 (2)容易想到性の判断の誤りについてア乙1ないし5について檜垣寅雄編「最新のプラスチック表面技術」昭和57年2月17日発行(乙1)には,バリ取りのためにプラスチックにバレル研磨が利用されることが記載され,実願昭55-72043号のマイクロフィルム(乙2)には,板状プラスチックの平面精度を得るためプラスチックを研磨することが記載され,特開昭57-41925号公報(乙3)には,ダレやバリを取るために樹脂プリズムを研磨することが記載され,村橋俊介他編「改訂新版プラスチックハンドブック」昭和44年6月20日発行(乙4)には,PTFE(ポリテトラフルオルエチレン)成形物を切削に,(),より二次加工することが記載され特開昭56-148536号公報乙5には(,。)。 フッ素樹脂を適宜加工することが記載されているこのことは原告も争わないこれらの記載によれば,本願出願時において,成型された高分子材料からなる部材の形状を必要に応じて研磨により整えることは常套手段であると認められる。 イそして,刊行物1には「上記①,②,③の材料の成型・焼結により製造し,た積分球の拡散反射面は成型面そのままで十分な拡散反射特性を持っている(2」頁右下欄19行目ないし3頁左上欄1行目)との記載があるが,この記載は,積分球の中空表面形状を整えるために研磨をすることを否定するわけではないし,刊行物1に,積分球の球面状の中空表面形状を整えるために研磨することを阻害するような記載も示唆もないから,刊行物1に記載された発明において,上記常套手段を適用して,本願発明のように中空表面を研磨された球面とすることは,当業者であれば容易に想到することができると認められる。 ウ原告は, 示唆もないから,刊行物1に記載された発明において,上記常套手段を適用して,本願発明のように中空表面を研磨された球面とすることは,当業者であれば容易に想到することができると認められる。 ウ原告は,被告が援用する乙1ないし5は,本願発明に限定列挙された「ポリテトラフッ化エチレン,ポリクロロトリフッ化エチレン,ポリクロロフッ化エチレン,ポリフッ化ビニリデン及びポリフッ化ビニル」のいずれかからなる高分子材料を球面状に研磨することはもちろん,それらの材料からなる球面状の中空表面を研-- 磨するために,研磨又は切削手段をどのように適用するかといったことも開示されていないから,単なる平面の研磨や外形形状の切削を,そのまま球面の研磨に適用することができるとはいえないと主張する。 しかし,上記アのとおり,村橋俊介他編「改訂新版プラスチックハンドブック」(乙4)には,PTFE(ポリテトラフルオルエチレン)成形物を切削により二次加工することが記載されているのであって,ポリテトラフッ化エチレンを機械加工により二次加工することが周知である以上,刊行物1に記載された発明の四フッ化エチレンからなる高分子材料を研磨することは常套手段であるということができる。そして,乙1ないし5には,球面を研磨することやそのための具体的な研磨,切削手段の構成についての記載はないが,本願明細書にも,球面状の中空表面を研磨するための具体的な手法についての記載はないから,球面状の中空表面を研磨する手法は,本願発明の特許出願当時において,従来周知の技術であったか,従来周知の技術に基づき格別の創意工夫を必要とせずに実現することができる技術であったということができる。そうであれば,球面状の中空表面を研磨することに格別の困難があったということはできない。 原告の主張は,採用することができな 創意工夫を必要とせずに実現することができる技術であったということができる。そうであれば,球面状の中空表面を研磨することに格別の困難があったということはできない。 原告の主張は,採用することができない。 エしたがって,本願発明のように中空表面を研磨された球面とすることは,当業者であれば容易に想到することができると認められるから,審決の判断に誤りはない。 (3)以上のとおりであるから,原告主張の取消事由1は,理由がない。 取消事由2(顕著な効果の看過)について(1)刊行物1には「積分球を,白色セラミック又は白色樹脂を成型,焼結し,た材料を用いて形成することにより,塗装と異なり剥落のおそれがないので,性能的に安定性が良く耐久性を持たせることができるものである(2頁右上欄15。」ないし19行目)との記載があり,これによれば,刊行物1に記載された発明の積-- ,,,分球の内周面は従来の塗装を施した積分球とは異なり頑丈な一体構造であって剥落しやすい塗装のないものであるということができる。 ,,,そして剥落しやすい塗装のない内周面であれば洗浄をすることが可能でありまた,塗装のない一体構造であれば,表面を研磨しても内周面の材質が変化しないから,研磨をすることが可能になる。 ,,,そうであれば積分球の内周面の汚れを除去するために積分球の内周面を洗浄研磨することができるという作用効果は,刊行物1に記載の発明及び周知技術から当業者が予測し得る程度のものであって,格別の効果であるとはいえない。 (2)原告は,刊行物1に記載された発明の積分球の外側輪郭は,概ね球状であって,その全体が一様に薄いものであり,そのような外側輪郭の積分球が,中空表面の比較的大きな凹凸を修復するための研磨に対して,構造の面でも強度の面でも適していな 明の積分球の外側輪郭は,概ね球状であって,その全体が一様に薄いものであり,そのような外側輪郭の積分球が,中空表面の比較的大きな凹凸を修復するための研磨に対して,構造の面でも強度の面でも適していないことは容易に想像することができるから,その予測される効果の範囲は,本願発明が奏する効果に比べて限定的であると主張する。 しかし,審決が説示するように,中空積分球を立方体のブロック内に形成することは周知の構成であり(このことは,原告も争わない,刊行物1に記載された。)発明の積分球をそのように形成した場合には,外側輪郭が薄いものにはならないから,その形状が,中空表面の比較的大きな凹凸を修復するための研磨に対して適していないということはできない。そして,原告の主張する本願発明の効果は,積分球を構成する材料による効果の延長線上にあって,積分球の外側輪郭の厚みの程度によるというものにすぎない。 そうであれば,原告が主張する本願発明の効果は,刊行物1に記載された発明及び周知技術から当業者が予測し得る程度のものであって,格別のものであるとはいえない。 原告の主張は,採用することができない。 (3)以上のとおりであるから,原告主張の取消事由2は,理由がない。 -- 第5 結論 よって,原告の主張する審決取消事由は,すべて理由がないから,原告の請求は棄却されるべきである。 知的財産高等裁判所第4部裁判長裁判官塚原朋一裁判官野輝久髙裁判官佐藤達文
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