平成31(行ウ)51 所得税更正処分等取消請求事件

裁判年月日・裁判所
令和3年4月22日 大阪地方裁判所
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判決文本文54,263 文字)

令和3年4月22日判決言渡平成31年(行ウ)第51号所得税更正処分等取消請求事件 主文 1 本件訴えのうち次の部分をいずれも却下する。 (1) 枚方税務署長が平成29年3月23日付けで原告に対してした平成26年分の所得税及び復興特別所得税の更正の請求に対する更正をすべき理由がない旨の通知処分の取消しを求める部分(2) 枚方税務署長が平成29年3月23日付けで原告に対してした平成26年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分のうち,不動産所得の金額180 4万5491円,納付すべき税額(予定納税額控除前のもの)472万7600円を超えない部分の取消しを求める部分 2 枚方税務署長が平成29年3月23日付けで原告に対してした平成26年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分のうち,不動産所得の金額1804万5491円及び納付すべき税額(予定納税額控除前のもの)472万7600 円を超える部分並びに過少申告加算税の賦課決定処分を取り消す。 3 訴訟費用はこれを10分し,その1を原告の負担とし,その余は被告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 枚方税務署長が平成29年3月23日付けで原告に対してした平成26年分の所得税及び復興特別所得税の更正の請求に対する更正をすべき理由がない旨の通知処分を取り消す。 2 枚方税務署長が平成29年3月23日付けで原告に対してした平成26年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分のうち,不動産所得の金額1794万 1297円,納付すべき税額(予定納税額控除前のもの)468万4700円 を超える部分及び過少申告加算税の賦課決定処分を取り消す。 第2 事案の概要 1 事案の要旨本件は,原告が,平成26年分の所得税及び復興特別所得 定納税額控除前のもの)468万4700円 を超える部分及び過少申告加算税の賦課決定処分を取り消す。 第2 事案の概要 1 事案の要旨本件は,原告が,平成26年分の所得税及び復興特別所得税(以下,両税を併せて「所得税等」という。)について,収入の計上誤り等を理由とする更正の 請求(以下「本件更正請求」という。)をしたところ,処分行政庁から,更正すべき理由がない旨の通知処分(以下「本件通知処分」という。)を受けたほか,原告の子らの名義で賃貸された土地の賃料に係る収益は原告に帰属するとして,増額更正処分(以下「本件更正処分」という。)及び過少申告加算税の賦課決定処分(以下「本件賦課決定処分」といい,本件更正処分と併せて「本件更正処 分等」という。また,本件通知処分と本件更正処分等を併せて「本件各処分」という。)を受けたことから,被告を相手に,本件各処分の取消しを求める事案である。 2 関係法令等の定め(1) 国税通則法の定め ア更正の請求国税通則法23条1項(平成27年法律第9号による改正前のもの。以下同じ。)は,納税申告書を提出した者は,当該申告書に記載した課税標準等若しくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったこと又は当該計算に誤りがあったことにより,当該申告書の提出により納 付すべき税額(当該税額に関し更正があった場合には,当該更正後の税額)が過大であるとき(同項1号)等には,当該申告書に係る国税の法定申告期限から原則として5年以内に限り,税務署長に対し,その申告に係る課税標準等又は税額等(当該課税標準等又は税額等に関し同法24条〔更正〕又は26条〔再更正〕の規定による更正があった場合には,当該更正後の 課税標準等又は税額等)につき更正をすべき旨の請求をすることが 等又は税額等(当該課税標準等又は税額等に関し同法24条〔更正〕又は26条〔再更正〕の規定による更正があった場合には,当該更正後の 課税標準等又は税額等)につき更正をすべき旨の請求をすることができる 旨規定する。 イ更正国税通則法24条は,税務署長は,納税申告書の提出があった場合において,その納税申告書に記載された課税標準等又は税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったとき,その他当該課税標準等又は税 額等がその調査したところと異なるときは,その調査により,当該申告書に係る課税標準等又は税額等を更正する旨規定する。 (2) 所得税法12条(実質所得者課税の原則)の定め所得税法12条は,資産又は事業から生ずる収益の法律上帰属するとみられる者が単なる名義人であって,その収益を享受せず,その者以外の者がそ の収益を享受する場合には,その収益は,これを享受する者に帰属するものとして,所得税法の規定を適用する旨規定する。 (3) 所得税基本通達12-1の定め国税庁長官の発出した昭和45年7月1日付け直審(所)30(例規)「所得税基本通達」12-1(資産から生ずる収益を享受する者の判定,以下「所 得税基本通達12-1」という。)は,所得税法12条の適用上,資産から生ずる収益を享受する者が誰であるかは,その収益の基因となる資産の真実の権利者が誰であるかにより判定すべきであるが,それが明らかでない場合には,その資産の名義者が真実の権利者であるものと推定する旨規定する。 3 前提事実 以下の事実は,当事者間に争いがないか,又は,掲記の各証拠及び弁論の全趣旨により容易に認めることができる。 (1) 当事者等ア原告・A・B原告(昭和▲年▲月▲日生まれ)は,平成25年頃当時,大阪府 ,当事者間に争いがないか,又は,掲記の各証拠及び弁論の全趣旨により容易に認めることができる。 (1) 当事者等ア原告・A・B原告(昭和▲年▲月▲日生まれ)は,平成25年頃当時,大阪府枚方市 で農業に従事していた者であり,同市内を中心に多数の不動産を所有し, 賃料収入等を得ていた。A(昭和▲年生まれ。以下「A」という。)は,原告の長男であり,製造業の会社に勤務する者である。Aは,原告の自宅と同じ敷地内にある別棟の建物に居住している。B(以下「B」という。)は,原告の長女(Aの妹)である。Bは,大阪府枚方市に居住している。 原告の妻は既に死亡しており,原告の子はA及びBのみである。 原告は,平成26年1月頃当時,82歳であり,通常の加齢に伴う物忘れ等はみられたものの,意思能力に格別の問題はなかった(なお,原告は,その約2年3か月後である平成28年4月頃にアルツハイマー型認知症の初期症状と診断され,同年7月頃に敗血症で入院したことを機に通帳の管理をAに委ねた。原告は,令和2年当時,要介護3の認定を受けていた。)。 (以上につき,甲1,2,9,10,11の1・2,16,19の1・2,23,証人A)イ本件各不動産管理業者株式会社C(本店・大阪府寝屋川市。以下「C」という。),有限会社D(本店・大阪府枚方市。以下「D」といい,Cと併せて「本件各不動産 管理業者」という。)は,いずれも不動産管理業者である(弁論の全趣旨)。 ウ本件税理士法人税理士法人E(以下「本件税理士法人」という。)のF税理士(以下「F税理士」という。)は,平成25年11月以降,Aから,原告が所有する不動産に関する租税や相続税の節税対策について相談を受けた(甲19の 1・2,23,証人A)。 (2) F税理士(以下「F税理士」という。)は,平成25年11月以降,Aから,原告が所有する不動産に関する租税や相続税の節税対策について相談を受けた(甲19の 1・2,23,証人A)。 (2) 本件各土地ア原告の各土地の取得等原告は,昭和41年から平成15年にかけて,下記の各土地をそれぞれ売買又は相続により取得した(括弧内は地積及び取得の原因。乙2の1~ 4)。 記① 大阪府枚方市(住所省略)(374㎡,平成▲年▲月▲日売買)② 大阪府枚方市(住所省略)(1157㎡,持分3分の2を昭和▲年▲月▲日相続,持分3分の1を同年▲月▲日相続)③ 大阪府枚方市(住所省略)(977㎡,平成▲年▲月▲日売買) ④ 大阪府枚方市(住所省略)(823㎡,平成▲年▲月▲日売買)イ本件各土地の利用状況原告は,平成16年頃以降,上記アの①~③の土地(ただし,②の土地については一部〔510.6㎡〕。以下,これらを合わせて「G等土地」という。)及び④の土地(以下「H土地」いい,G等土地と併せて「本件 各土地」という。)を造成するなどした上で,駐車場として賃貸して,賃料収入を得るようになった(以下,本件各土地についての賃料収入を「本件各駐車場収入」という。)(乙3の1~3,4)。 ウ G等土地(ア) 賃貸借契約 原告は,平成16年頃以降,複数の個人又は法人との間で,次の約定で,G等土地を所定の区画ごとに駐車場として賃貸する旨の契約(契約書上の名称は「自動車保管場所使用契約」)を締結した(甲4の1~3,21の1,乙3の1~3)。 a 賃貸期間 1年 b 更新 1年ごとに,当事者双方の異議がなければ賃貸期間を更新するc 賃料 1区画1か月6000円又は7000円(イ) 駐車 3,21の1,乙3の1~3)。 a 賃貸期間 1年 b 更新 1年ごとに,当事者双方の異議がなければ賃貸期間を更新するc 賃料 1区画1か月6000円又は7000円(イ) 駐車場管理契約原告は,平成16年頃以降,Cとの間で,次の約定で,G等土地を駐 車場として賃貸する業務(以下,この業務を「駐車場管理業務」という。) についての委任契約(駐車場管理契約)を締結した(乙5の1~3)。 a 業務内容原告と各賃借人との間の賃貸借契約(自動車保管場所使用契約)の締結に関する事務,賃料等の受領,日常クレーム処理,日常清掃等の業務b 報酬等 Cは,代理受領した賃料から,Cが得る報酬(賃料等の総 額の8%)を控除し,これを原告名義の預金口座に振り込むエ H土地(ア) 賃貸借契約原告は,平成15年1月23日,医療法人I(以下「I」という。)との間で,次の約定で,H土地をIの職員の駐車場用地として賃貸する 旨の契約を締結した(乙4)。 a 賃貸期間平成15年1月23日から平成17年1月31日までb 更新 2年ごとに更新するc 賃料 1か月19万9000円(イ) 駐車場管理契約 原告は,平成15年1月23日,Dとの間で,次の約定で,H土地の駐車場管理業務についての委任契約(駐車場管理契約)を締結した(乙6)。 a 業務内容賃貸借契約の締結・更新,賃料の代理受領等の業務b 報酬等 Dは,代理受領した賃料から,Dが得る報酬(賃料の10%) を控除し,これを原告名義の振込口座に振り込む(3) 本件税理士法人に対する相談等Aは,平成25年11月18日以降,原告の意向を受けて,F税理士に対し,原告が所有する不動産の節税対策等について相談をし,助言を受けるようになっ に振り込む(3) 本件税理士法人に対する相談等Aは,平成25年11月18日以降,原告の意向を受けて,F税理士に対し,原告が所有する不動産の節税対策等について相談をし,助言を受けるようになった(甲19の1・2,23,証人A)。 (4) 本件各使用貸借契約書 ア G等土地使用貸借契約書原告とAを作成者とする,平成26年1月25日付けの,G等土地についての「使用貸借契約書」と題する契約書が存在する(同契約書の原告の署名・押印は真正なものである。)(甲1,弁論の全趣旨。以下,同契約書を「G等土地使用貸借契約書」といい,G等土地使用貸借契約書による 契約を「G等土地使用貸借契約」という。ただし,G等土地使用貸借契約書の真正な成立の有無,G等土地使用貸借契約の成否・内容については,後記争点(3)のとおり当事者間に争いがある。)。 イ H土地使用貸借契約書原告とBを作成者とする,平成26年1月25日付けの,H土地につい ての「使用貸借契約書」と題する契約書が存在する(同契約書の原告の署名・押印は真正なものである。)(甲2,弁論の全趣旨。以下,同契約書を「H土地使用貸借契約書」といい,H土地使用貸借契約書による契約を「H土地使用貸借契約」という。ただし,H土地使用貸借契約書の真正な成立の有無,H土地使用貸借契約の成否・内容については,後記争点(3)の とおり当事者間に争いがある。また,H土地使用貸借契約書とG等土地使用貸借契約書を併せて「本件各使用貸借契約書」といい,G等土地使用貸借契約とH土地使用貸借契約を併せて「本件各使用貸借契約」という。)。 ウ本件各使用貸借契約書の記載内容本件各使用貸借契約書には,要旨,次の内容が記載され,原告及びA又 はBの署名・押印がされている(甲1,2)。 併せて「本件各使用貸借契約」という。)。 ウ本件各使用貸借契約書の記載内容本件各使用貸借契約書には,要旨,次の内容が記載され,原告及びA又 はBの署名・押印がされている(甲1,2)。 (ア) 第1条(目的) 原告は,A又はBに対し,G等土地又はH土地を賃貸し,A又はBはこれを駐車場用地の目的として賃借する。 (イ) 第2条(賃貸借期間) 賃貸借期間は,平成26年2月1日から平成36年1月31日までの10年間とする。期間満了後の更新について は,別途協議する。 (ウ) 第3条(賃料) 賃料は,1か年,G等土地又はH土地の各年の固定資産税及び都市計画税(以下「固定資産税等」という。)の合計額相当額とする。当該金額を12で除した金額を,A又はBは毎月末日限り翌月分を原告に支払う。 (エ) 第4条(転貸承諾等) A又はBは,原告の承諾により,G等土地 又はH土地を転貸又は賃借権譲渡等をすることができる。 (オ) 第5条(公租公課の負担) G等土地又はH土地に係る固定資産税等の公租公課は,原告の負担とする。 (カ) 第6条(その他) 本契約が満了したとき又は中途解約されたときは,A又はBは,原告に対し,G等土地又はH土地を明け渡すこととす る。 (キ) 第7条(その他) 上記に定めのない事項については,その都度別途協議するものとする。 エ原告は,平成26年1月25日頃,Aに対しG等土地を引き渡し,また,Bに対してH土地を引き渡した(甲1,2,弁論の全趣旨)。 (5) 本件各贈与契約原告は,平成26年1月25日,A又はBとの間で,G等土地上に敷設されたアスファルト舗装・車止め・フェンス又はH土地上に敷設されたアスファルト舗装(以下,これらを併せて「本件舗装等」という。)を贈与する旨の各 26年1月25日,A又はBとの間で,G等土地上に敷設されたアスファルト舗装・車止め・フェンス又はH土地上に敷設されたアスファルト舗装(以下,これらを併せて「本件舗装等」という。)を贈与する旨の各贈与契約を締結した(乙8の1・2,33の1・2。上記各贈与契約を 「本件各贈与契約」といい,本件各贈与契約に係る各贈与契約書を「本件各贈与契約書」という。ただし,本件各贈与契約の効力等については,後記争点(3)のとおり当事者間に争いがある。)。 なお,本件各贈与契約書には,贈与物件(本件舗装等)上において営む「駐車場賃貸借契約」については,A又はBがその地位を引き継ぐこととし,原 告は,「当該賃借人各人からの預り保証金全額」をA又はBに現金で引き渡 した旨の記載がされ,原告とA又はBの署名・押印がされている。 (6) A又はBが締結した本件各賃貸借契約・本件各駐車場管理契約ア G等土地(ア) G等土地賃貸借契約Aは,平成26年2月1日以降,G等土地の各区画の賃借人が賃貸借 契約の更新又は変更をする際,それらの賃借人との間で,賃貸人をAとする賃貸借契約又は賃貸借変更契約を締結した(甲5の1~8。以下,これらの契約を「G等土地賃貸借契約」という。)。 (イ) G等駐車場管理契約Aは,平成26年1月30日,Cとの間で,委任者を原告としていた G等土地の駐車場管理契約(上記(2)ウ(イ))について,同年2月1日から,委任者をAに変更し,賃料等の振込先をA名義の預金口座に変更する旨の契約を締結した(甲3。以下,この契約を「G等駐車場管理契約」といい,G等駐車場管理契約に係る契約書を「G等駐車場管理契約書」という。)。 イ H土地(ア) H土地賃貸借契約Bは,平成26年1月31日,I この契約を「G等駐車場管理契約」といい,G等駐車場管理契約に係る契約書を「G等駐車場管理契約書」という。)。 イ H土地(ア) H土地賃貸借契約Bは,平成26年1月31日,Iとの間で,H土地の賃貸人をB,賃借人をIとし,賃貸借期間を同年2月1日から2年とし,以後2年ごとに更新する旨の賃貸借変更契約を締結した(甲6,乙21。以下,この 契約を「H土地賃貸借契約」といい,G等土地賃貸借契約と併せて「本件各賃貸借契約」という。)。 (イ) H駐車場管理契約Bは,平成26年2月1日付けで,Dの間で,委任者を原告としていたH土地の駐車場管理契約(上記(2)エ(イ))について,同日から,委任 者をBに変更し,賃料等の振込先をB名義の預金口座に変更する旨の契 約を締結した(甲8,乙22。以下,この契約を「H駐車場管理契約」といい,H駐車場管理契約に係る契約書を「H駐車場管理契約書」という。また,G等駐車場管理契約とH駐車場管理契約を併せて「本件各駐車場管理契約」といい,G等駐車場管理契約書とH駐車場管理契約書を併せて「本件各駐車場管理契約書」という。さらに,本件各使用貸借契 約,本件各贈与契約,本件各賃貸借契約及び本件各駐車場管理契約を「本件各取引」という。)。 (7) 本件確定申告原告は,平成27年3月9日,枚方税務署長に対し,平成26年分の所得税等について,別表「課税の経緯」の「確定申告」欄のとおりの金額等を記 載した確定申告書(以下「本件確定申告書」といい,本件確定申告書による確定申告を「本件確定申告」という。)を提出した。原告は,本件確定申告の際に提出した収支内訳書の「不動産所得の収入の内訳」欄において,本件各土地の賃貸契約期間が,いずれも平成26年1月の1か月間であるとし 告を「本件確定申告」という。)を提出した。原告は,本件確定申告の際に提出した収支内訳書の「不動産所得の収入の内訳」欄において,本件各土地の賃貸契約期間が,いずれも平成26年1月の1か月間であるとして不動産所得に係る収入を算定していた。(乙9) (8) 本件調査枚方税務署の調査担当者(以下「本件調査担当者」という。)は,平成27年9月8日,原告の所得税等の調査のため,原告の自宅を訪問して原告と面談をし,その後も原告,A及びF税理士と電話や面談をするなどして調査を行った(以下,原告の平成26年分の所得税等についての調査を「本件調 査」という。)(乙11,19)。 (9) 本件各処分等ア本件更正請求原告は,平成29年1月24日,枚方税務署長に対し,平成26年分の所得税等について,本件確定申告書に誤りがあったとして,別表「課税の 経緯」の「更正の請求」欄のとおりの金額等に更正することを求める更正 の請求(本件更正請求)をした(乙10)。 イ本件各処分枚方税務署長は,平成29年3月23日付けで,原告に対し,本件通知処分をするとともに,別表「課税の経緯」の「更正処分等」欄のとおりの本件更正処分等をした。 なお,本件更正処分は,平成26年2月以降の本件各駐車場収入がいずれも原告に帰属することを前提としてされたものであり,また,本件通知処分は,本件更正処分により認定した課税標準及び納付すべき税額を前提としてされたものであった。(以上につき,乙1,12)ウ再調査請求 原告は,平成29年6月16日,枚方税務署長に対し,本件各処分を不服として,再調査請求をしたところ,枚方税務署長は,同年9月13日付けで,同請求を棄却する旨の再調査決定をした(乙13の1・2)。 エ本件審査請求( 16日,枚方税務署長に対し,本件各処分を不服として,再調査請求をしたところ,枚方税務署長は,同年9月13日付けで,同請求を棄却する旨の再調査決定をした(乙13の1・2)。 エ本件審査請求(ア) 原告は,平成29年10月11日,国税不服審判所長に対し,本件 各処分の全部の取消しを求め,審査請求(以下「本件審査請求」という。)をした(乙14)。 (イ) 国税不服審判所長は,平成30年10月3日,本件審査請求を棄却する旨の裁決をした(甲17の2)。 (10) 本件訴えの提起 原告は,平成31年4月5日,本件訴えを提起した。 4 主たる争点(1) 本件訴えのうち,本件通知処分の取消請求に係る部分の適法性(本案前の争点)(争点(1))(2) 本件訴えのうち,本件更正処分のうち更正の請求額(不動産所得の金額1 804万5491円,納付すべき税額〔予定納税額控除前のもの〕472万 7600円)を超えない部分の取消請求に係る部分の適法性(本案前の争点)(争点(2))(3) 平成26年2月以降の本件各駐車場収入が原告に帰属するか否か(本案の争点)(争点(3)) 5 主たる争点に関する当事者の主張 (1) 争点(1)(本件訴えのうち,本件通知処分の取消請求に係る部分の適法性)について(原告の主張)ア通知処分とその後にされた増額更正処分との関係通知処分とその後にされた増額更正処分は,基本的に別の処分であり, 吸収されたり包摂されたりする関係にはない。 更正の請求は,申告等によって一旦確定した課税標準等又は税額等を自己に有利に変更すべきことを税務署長に求めることをいい,それに対し,税務署長が請求に理由がない旨の通知をして棄却する処分は,申告税額等について検討して減額を認めないこと した課税標準等又は税額等を自己に有利に変更すべきことを税務署長に求めることをいい,それに対し,税務署長が請求に理由がない旨の通知をして棄却する処分は,申告税額等について検討して減額を認めないことを通知するだけの処分であって,税 額を確定する処分ではない。 他方,その後の増額更正処分は,税務署長が,申告された課税標準等又は税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったとき,その他その課税標準等又は税額等がその調査したところと異なるときに,自らが調査したところに基づいて課税標準等又は税額等を見直し,その結果, 税額を増額させて確定する処分である。 このように,更正をすべき理由がない旨の通知処分と,更正・決定の後にされた増額更正処分とは,別個独立の処分であり,吸収関係や包摂関係といったものは生じない。 イ本件について 本件についてみると,本件更正請求は,収入の計上漏れ,固定資産税等 の計上漏れ,金(金地金)の譲渡収入の計上漏れ等により,本件確定申告に係る納付すべき税額が過大となっていることを理由とするものであった。 そして,本件更正処分等は,平成26年2月以降の本件各駐車場収入が原告に帰属することを前提として増額したものであった。 以上からすると,本件通知処分の取消請求と,本件更正処分等の取消請 求は,理由を異にして争っているのであり,それぞれに訴えの利益がある。 (被告の主張)ア増額更正処分と通知処分との関係増額更正処分と通知処分は,手続的には別個独立の処分ではあるが,これらが納税者の同一年分の所得税等についてされた場合には,当該納税者 の所得税等に係る同一の納税義務に関わり,相互に密接な関連を持つものといえる。そして,上記両処分は,いずれも所得税等の納税義務の確定に係る処 年分の所得税等についてされた場合には,当該納税者 の所得税等に係る同一の納税義務に関わり,相互に密接な関連を持つものといえる。そして,上記両処分は,いずれも所得税等の納税義務の確定に係る処分であるところ,通知処分は,申告税額の減少のみに関わるのに対し,増額更正処分は,納付すべき税額の全体に関わり,実質的には申告税額等を正当でないものとして否定し,これに増額変更を加えて税額の総額 を確定するものであるから,増額更正処分の内容は,通知処分の内容を包摂する関係にあると解される。 イ増額更正処分と通知処分の取消しを求める訴えの利益について増額更正処分の内容は,通知処分の内容を包摂する関係にあるから,納税者の同一の年分の所得税等について,増額更正処分と通知処分の両方の 処分がされた場合,その税額等を争う納税者は,増額更正処分に対する取消訴訟をもって争えば足り,これと別個に通知処分を争う訴えの利益や必要を有しないものと解すべきである。 このように解することにより,同一の所得税等の納税義務に関わる上記両処分に関する訴訟が別個に係属することにより生じる審理判断重複の抵 触を避けることが可能となる。また,このように解するとしても,増額更 正処分の内容は,通知処分の内容を包摂する関係にあるから,両処分を受けた納税者は,前者に対する取消訴訟の中で,通知処分における減額更正処分をしない旨の判断に存する違法を主張して,申告税額等を下回る額にまで増額更正処分の取消しを求めることができると解され,当該納税者に不利益を与えることにもならない。 ウ本件通知処分の取消しを求める訴えは,訴えの利益がなく,不適法であること原告は,本件訴えにおいて,原告の平成26年分の所得税等の増額更正処分(本件更正処分)の取消しを求め ならない。 ウ本件通知処分の取消しを求める訴えは,訴えの利益がなく,不適法であること原告は,本件訴えにおいて,原告の平成26年分の所得税等の増額更正処分(本件更正処分)の取消しを求めているのであるから,これに包摂される関係にある平成26年分の所得税等の更正の請求(本件更正請求)に 対する通知処分(本件通知処分)の取消しを求める訴えは,訴えの利益がなく,不適法である。 (2) 争点(2)(本件訴えのうち,本件更正処分のうち更正の請求額を超えない部分の取消請求に係る部分の適法性)について(原告の主張) ア本件審査請求における原告の陳述原告は,本件審査請求の手続において,本件確定申告において記載した不動産所得の金額(1886万3877円)にも,本件更正請求において記載した不動産所得の金額(1804万5491円)にも,賃料その他の収入,固定資産税等及び仲介管理手数料に一部計上漏れがあったとして, 真実の不動産所得の金額が1794万1927円であり,納付すべき税額(予定納税額控除前のもの)が468万4700円であり,本件通知処分と本件更正処分等のそれを超える部分の一部取消しを求める旨陳述した。 イ訴えの利益があることしたがって,本件訴えのうち,本件更正処分のうち,不動産所得の金額 1794万1927円及び納付すべき税額(予定納税額控除前のもの)4 68万4700円を超えない部分の取消しを求める部分についても,訴えの利益がある。 (被告の主張)ア更正の請求額を超えない部分の取消しを求める訴えの利益更正の請求が当初の申告に係る税額等の一部を限度としてされた場合に は,納税者において税務署長がした更正処分又は更正をすべき理由がない旨の通知処分につき不服があったとしても,こ める訴えの利益更正の請求が当初の申告に係る税額等の一部を限度としてされた場合に は,納税者において税務署長がした更正処分又は更正をすべき理由がない旨の通知処分につき不服があったとしても,これらの処分に係る課税標準等又は税額等のうち当該更正の請求に係るところを超えない部分については,納税者において自らの申告によりこれを確定させたもので,その是正のために法律が特に設けた手続をとっていない以上,納税者にとって当然 に不利益なものであるということはできず,その取消しを求めることを許すべきものとして不服申立て及び訴えの利益があるということはできないというべきである。 イ本件訴えのうち,更正の請求額を超えない部分は,訴えの利益がないこと 原告は,本件訴えにおいて,本件更正処分のうち,不動産所得の金額1794万1297円(総所得金額は1997万4438円)及び納付すべき税額(予定納税額控除前のもの)468万4700円を超える部分を取り消すことを求めているところ,原告は,本件更正請求において,総所得金額2007万8632円及び納付すべき税額(予定納税額控除前のもの) 472万7600円を超えない部分の減額を求めていないから,本件訴えのうち更正の請求額を超えない部分の取消しを求める部分は,訴えの利益がなく不適法である。 (3) 争点(3)(平成26年2月以降の本件各駐車場収入が原告に帰属するか否か)について (被告の主張) ア本件各使用貸借契約が有効に成立したと認められないこと(ア) 原告が本件各使用貸借契約書の内容を認識しておらず,本件各使用貸借契約書は真正に成立したものと認められないことa 文書の真正な成立について本件各使用貸借契約書は,原告の意思に基づく署名・押印があるの 用貸借契約書の内容を認識しておらず,本件各使用貸借契約書は真正に成立したものと認められないことa 文書の真正な成立について本件各使用貸借契約書は,原告の意思に基づく署名・押印があるの で,民事訴訟法228条4項により,本件各使用貸借契約書が真正に成立したものと推定されることになる。しかし,以下のとおり,原告は本件各使用貸借契約書の内容を全く認識していなかったと認められ,上記の推定の基礎を欠き,上記の推定は働かないから,本件各使用貸借契約書は真正に成立したものとは認められない。 b 原告が本件各使用貸借契約書の内容を認識していなかったこと原告は,本件調査の際,本件調査担当者に対し,A又はBが平成26年2月以降の本件各駐車場収入を自らが得たものとして申告することとなった経緯等について詳しいことは分からない旨の回答をした上,本件各使用貸借契約書について一貫して知らない旨述べていた。そし て,原告は,本件調査の際,A又はBに対して居住用として無償で貸している不動産については,原告が固定資産税等を負担した上で無償で貸している旨明確に回答していたことに鑑みると,本件各使用貸借契約書の作成についてのみ,あえて虚偽の申述をしなければならない動機があったとは認められない。 これらの事情によれば,原告は,A又はBが平成26年2月以降の本件各駐車場収入を自らが得たものとして申告することとなった具体的な事情やその原因とされる本件各使用貸借契約書の作成及び存否を認識していなかったと認められる。 以上に加え,本件各土地をめぐる一連の取引又は行為は,Aから相 続対策の相談を受けていた本件税理士法人が企図したものであり,本 件各使用貸借契約書のひな型も本件税理士法人が作成したものと認められることなどからすると 連の取引又は行為は,Aから相 続対策の相談を受けていた本件税理士法人が企図したものであり,本 件各使用貸借契約書のひな型も本件税理士法人が作成したものと認められることなどからすると,原告は,本件各使用貸借契約書の具体的な内容を知らされないままAから本件税理士法人が作成した本件各使用貸借契約書のひな型への署名・押印を求められ,その記載内容を一切確認せずに言われるがままこれに応じたことが強く推認されるとい うべきである。 c 本件各使用貸借契約書は,本件調査の開始後に作成されたと考えられること本件各使用貸借契約書は,本件調査担当者が,平成27年9月8日及び同月14日,原告に対して提出を求めたところ,同月16日にな って,Aの妻から提出されたものである。 加えて,本件各使用貸借契約書と本件各贈与契約書は,いずれも作成日付及び契約当事者を同じくする契約書であるところ,Aは,そのひな型はいずれもF税理士が作成し,同時期にAに交付されたものである旨証言する。 それにもかかわらず,本件各使用貸借契約書と本件各贈与契約書の書式が異なっている上,本件各贈与契約書には,大阪法務局枚方出張所の確定日付があるのに対し,本件各使用貸借契約書には確定日付がない。本件各贈与契約書にのみ確定日付を付与する合理的な理由があるとは考えられないから,本件各贈与契約書のみに確定日付があるの は不自然である。 これらの事情によれば,本件各使用貸借契約書は,原告が主張する平成26年1月25日には作成されておらず,本件調査が開始した後に作成したものであると考えられる。 d 原告の主張について 原告は,①本件税理士法人が原告に対し,本件各使用貸借契約を締 結するよう助言することがあったとしても,原告の了承の下で に作成したものであると考えられる。 d 原告の主張について 原告は,①本件税理士法人が原告に対し,本件各使用貸借契約を締 結するよう助言することがあったとしても,原告の了承の下で行われていた旨,②平成25年11月18日当時,原告の意思能力あるいは認知能力に問題はなく,主体的に本件各使用貸借契約に取り組んでいたが,平成27年10月下旬の本件調査当時から近時記憶障害について疑わしい状況であった旨,③本件確定申告をしたとき(平成27年 3月)において,平成26年2月以降は,本件各駐車場収入がないことを当然の前提とする行動をとっていた上,本件調査担当者に対し,A又はBに代わって固定資産税等の負担をして,その代わりに本件各土地を無償で貸していると認めており,本件各使用貸借契約が使用貸借であることを知っていたのであって,自らの行為を十分認識した上 で,本件各使用貸借契約の締結や不動産管理に関する契約の変更に取り組んでいた旨主張する。 しかし,上記①の主張については,原告が本件税理士法人から助言や指導を受けた事実は認められないから,原告の主張する事実は原告が本件各使用貸借契約書を認識していたことの根拠にはならない。 上記②の主張については,原告は,本件各使用貸借契約書に押印した記憶はないなどと発言する一方で,平成27年9月に行われた本件調査の際,本件調査担当者の質問に対し,本件各土地の使用貸借関係以外は適切に対応しているのであって,その当時,原告に近時記憶障害はなかったといえる。 Aが,原告の近時記憶に違和感を覚えた時期について,平成27年の年末であった旨証言していることからすると,原告は,本件各使用貸借契約書が作成されたとされる平成26年1月や,本件調査において本件調査担当者との面談が行われた 和感を覚えた時期について,平成27年の年末であった旨証言していることからすると,原告は,本件各使用貸借契約書が作成されたとされる平成26年1月や,本件調査において本件調査担当者との面談が行われた平成27年9月から同年10月までの間のいずれにおいても,十分な認知能力及び記憶力を維持して いたと認められる。 上記③の主張については,原告は,本件各使用貸借契約の内容が使用貸借であることをよく知っていた根拠として,証拠(乙16〔2,3頁の答3の部分〕)を指摘するが,これは,本件各土地とは別の物件についての原告の回答を記したものであって,原告が本件各使用貸借契約書を認識していたことの根拠となるものではない。 e 小括以上によれば,原告が自ら本件各使用貸借契約書に署名・押印をしていたとしても,その具体的な内容を確認しておらず,認識していなかったものと認められるから,本件各使用貸借契約書は真正に成立したものと認められない。 (イ) 本件各使用貸借契約書について処分証書の法理にいう「特段の事情」が認められることa 処分証書の法理にいう「特段の事情」本件各使用貸借契約書は処分証書であるところ,処分証書は,「特段の事情」がない限り,一応その記載どおりの事実を認められるべき とする民事事実認定上の経験則(以下「処分証書の法理」ともいう。)が存する。 もっとも,当事者によって選択された法律的形式が経済的実質からみて通常採られるべき法律的形式とは一致しない異常のものであり,かつ,そのような法律的形式を選択したことについてこれを正当化す る「特段の事情」がない限り,租税負担の公平の見地からして,当事者によって選択された法律的形式には拘束されないと解するのが相当であり,このような場合には,処分証書の法 についてこれを正当化す る「特段の事情」がない限り,租税負担の公平の見地からして,当事者によって選択された法律的形式には拘束されないと解するのが相当であり,このような場合には,処分証書の法理にいう「特段の事情」があると判断されるべきである。 b 本件各取引は,A及び本件税理士法人が,総体としての租税負担を 免れることを目的に企図したものであること 本件においては,①原告からA又はBへの本件舗装等を目的物とする本件各贈与契約,②原告とA又はBとの間での本件各使用貸借契約,③A又はBと本件各不動産管理業者との間での本件各駐車場管理契約,④AとG等土地の利用者たる各賃借人との間,又はBとIとの間での本件各賃貸借契約から成る,おおむね4種類の各契約による一連の取 引(本件各取引)がされている。 Aは,平成25年11月18日,本件税理士法人のF税理士に対し,原告の相続税や不動産における節税対策の名目で相談し,本件税理士法人がAに対して助言したものが本件各取引であり,本件各使用貸借契約書及び本件各贈与契約書のひな型も,本件税理士法人が作成した ものであった。 本件調査担当者が平成27年9月14日,原告に電話をかけ,本件各土地についての使用貸借契約書の提出を求めたところ,原告は,使用貸借契約書に押印した記憶はなく,使用貸借契約書も原告の手元にない旨述べた。また,Aは,同日,本件調査担当者に電話をかけ,A 又はBが本件各駐車場収入を自らの収入として申告することとなった経緯を説明したほか,同年10月20日,原告に対する調査に同席し,所得税法12条に規定する実質所得者課税の原則により本件各駐車場収入はA又はBに帰属する旨述べるなど,本件調査担当者に対し,具体的な回答を行っていた。 以上の事実関係 対する調査に同席し,所得税法12条に規定する実質所得者課税の原則により本件各駐車場収入はA又はBに帰属する旨述べるなど,本件調査担当者に対し,具体的な回答を行っていた。 以上の事実関係によれば,本件各取引は,A及び本件税理士法人が,原告の生前に財産をA又はBに移転するとともに,総体としての租税負担を免れることを企図したものである。 c 本件各土地の管理状況に変更がないこと本件各使用貸借契約による使用貸借がされたとする日(平成26年 2月1日)の前後において,本件各土地の駐車場としての利用状況や, 本件各不動産管理業者を介しての管理状況自体に特段の変更がない。 d 本件各贈与契約が無効であること本件各贈与契約書の対象は,本件各土地から独立して経済的価値を有さず,一般的な社会通念に照らして,独立して取引の対象にはなり得ないアスファルト舗装や車止め等(本件舗装等)であり,本件各贈 与契約は,一般的な取引ではおよそ考えられない内容のものである。 そして,Aは,平成27年9月14日,本件調査担当者から本件各贈与契約を締結した理由を問われると,「税理士に聞いて行っている。」,「単に,土地だけの借用ではだめとは分かっている。」と述べており,更地のまま土地を無償で借り受け,第三者に貸し付けたとしても,そ の収益は土地の所有者に帰属して課税される結果となるという課税実務を十分に理解した本件税理士法人及びAが,原告から本件各土地の上に存する何らかの構築物の所有権を移転させ,その土地から得られる収益の帰属を形式的に変更することを意図して作成されたものであることが強く推認される。 e 社会通念に照らし不自然・不合理な取引であること原告は,本件各土地の所有者であり,本件各土地に係る権利関係に変動がな 更することを意図して作成されたものであることが強く推認される。 e 社会通念に照らし不自然・不合理な取引であること原告は,本件各土地の所有者であり,本件各土地に係る権利関係に変動がない限り,毎年800万円余りの本件各駐車場収入を継続して得ることができるにもかかわらず,本件各使用貸借契約を締結することによってこれを放棄することは,通常の経済取引としてはあり得ず, 社会通念に照らして不自然・不合理な取引である。 f 本来の契約当事者である原告不在の中で本件各駐車場管理契約が締結されるなど不自然な事情が認められること本件各駐車場管理契約は,原告と本件各不動産管理業者が締結した駐車場管理業務についての委任契約を変更するためのものであり,そ の変更後には原告が収入を失うこととなり,かつ,本件各不動産管理 業者の賃料又は地代の支払先が変更されることになるにもかかわらず,本件各駐車場管理契約書には原告の署名・押印がされていない。 また,G等土地の所定の区画ごとの賃貸借契約は,従来からの契約者(賃借人)は,平成26年2月1日以降,新規に契約を更新する場合にのみ,Aを賃貸人とする賃貸借契約を締結しているにすぎず,全 ての賃借人との間で,賃貸人がAに変更になる旨の合意をしていない。 さらに,G等駐車場管理契約書には,管理不動産の表示として,分筆された土地が分筆される前の土地の住所が記載されていたり,「所在地」欄に幾つも誤った住所が記載されていたりしている。 加えて,H土地賃貸借契約に係る契約書は平成26年1月31日付 けで作成され,H駐車場管理契約書は同年2月1日付けで作成されているにもかかわらず,それらの契約書の物件目録として,いずれも同年8月8日に取得した登記事項証明書が添付されている。 以上のと けで作成され,H駐車場管理契約書は同年2月1日付けで作成されているにもかかわらず,それらの契約書の物件目録として,いずれも同年8月8日に取得した登記事項証明書が添付されている。 以上のとおり,本件各駐車場管理契約書には,従前の契約当事者である原告の署名・押印がない上,内容面でも当事者であれば容易に気 が付くような不審な点が多々認められることから,本件各駐車場管理契約書は,原告を含む従前の契約当事者が正式に関与して作成したものであるとは考えられず,それらの作成経緯については不自然な事情が認められる。 g 小括 以上のとおり,本件各取引は,社会通念上,およそ土地から独立して取引の対象とならない本件舗装等を贈与する本件各贈与契約や,10年間で8000万円を超える多額の本件各駐車場収入を失うこととなる原告が認識すらしていない本件各使用貸借契約等の形式を用いた一連の取引であって,通常採られる法律的形式とは一致しない異常な ものである。本件各使用貸借契約書等の作成目的は,本件各土地の権 利関係及び利用関係を特段変更させないまま,原告の賃料収益を原告より所得の少ないA又はBに分散させる形にすることで原告の所得税等や地方税の軽減を図るとともに,原告の相続税対策の一環として,原告が所有する不動産から生ずる賃料収益の一部を親族間で分散する形にすることにより,総体としての租税負担を軽減させることにあっ たというべきである。そして,このような目的の下,本件各土地の所有権を原告に留保したまま,その使用収益権のみを相応の対価を発生させることなく一見他に移転したかのように装う方法として,A又はBへの本件各土地の使用貸借及び本件舗装等の贈与という形式が採られたものと認められる。 したがって,原告が本件各使用 価を発生させることなく一見他に移転したかのように装う方法として,A又はBへの本件各土地の使用貸借及び本件舗装等の贈与という形式が採られたものと認められる。 したがって,原告が本件各使用貸借契約書記載のとおり契約する意思を有していたとは考えられず,原告の真意に基づかずに本件各使用貸借契約書が作成されたものであるから,処分証書の法理における「特段の事情」が存在すると認められるべきであり,その記載のとおりの契約が有効に成立しているとは認められない。 イ仮に,本件各使用貸借契約が有効に成立していたとしても,本件各駐車場収入が原告に帰属すること(ア) 資産から生ずる収益は資産の真実の権利者に帰属することa 所得税法12条は,いわゆる実質所得者課税の原則を明らかにしているところ,同原則の意義については,課税物件の法律上の帰属者と みられる者と真実の法律上の帰属者とが相違している場合には,実質に即して帰属を判定すべきと解する見解(法律的帰属説)が妥当であると解されている。その立場からすれば,同条の「資産…から生ずる利益…を享受する者」とは,「資産の真実の権利者」であるというべきであり,所得税基本通達12-1においても,そのように取り扱わ れている。 b 不動産所得は,所得税法において10種類に区分される所得の中でも最も担税力が大きいとされる資産性所得に分類され,昭和15年の税制改正において,不動産所得の分類が設けられた当初から,他の所得よりも高い税率が定められていた。このような不動産所得の立法経緯からすると,不動産所得は,収益の起因となる資産の所有に着目し, 当該資産を有していることに一定の担税力を見いだして設けられた所得区分であるといえる。したがって,所得税法12条の解釈として不動産所 すると,不動産所得は,収益の起因となる資産の所有に着目し, 当該資産を有していることに一定の担税力を見いだして設けられた所得区分であるといえる。したがって,所得税法12条の解釈として不動産所得の帰属を判断する上でも,当該資産そのものの帰属,すなわち当該資産の所有者から離れて論じられるべきではないといえる。 また,資産性所得が勤労性所得よりも担税力が大きいとされる理由 は,所有者の人的事情とは無関係に所得が安定的かつ長期に発生することにあるとされる。そうすると,資産性所得である不動産所得における担税力を有すると評価するには,そのような所得の安定性や長期性を有していることが必要といえる。 所得税法12条の解釈により,資産性所得である不動産所得の帰属 を判断する場合には,真実の権利者である資産の所有者(所有権・自主占有)に帰属するものと解される。 (イ) 何ら資産を有しない使用借主は,所得税法12条の解釈において,資産の真実の権利者に該当するとはいい難く,単なる名義人にすぎないこと a 資産の真実の権利者にその資産から生ずる収益が帰属するのは,担税力を推定させる物の真実の権利者がその収益を享受する者として担税力を有するからであり,通常,当該資産の真実の所有者(権利者)がその収益を享受する。当該資産について,例えば使用貸借又は賃貸借がされ,使用借主又は賃借人が当該資産の使用収益権を得たからと いって,直ちに,これらの者が真実の権利者として不動産所得におけ る担税力までも有するようになると評価できないというべきである。 そうすると,資産について使用貸借又は賃貸借がされた場合には,使用借権,賃借権それぞれの権利の実質からみて,当該資産の真実の権利者として当該資産から生ずる収益を享受し,担税力を有する べきである。 そうすると,資産について使用貸借又は賃貸借がされた場合には,使用借権,賃借権それぞれの権利の実質からみて,当該資産の真実の権利者として当該資産から生ずる収益を享受し,担税力を有するのは誰であるかという観点から,その収益の人的帰属を判断すべきことと なるというべきである。 b 賃貸借は,使用貸借とは異なり,民法上,期間の定めのない場合であっても,解約申入れにより直ちに終了するのではなく,一定の期間が経過した後に終了するものとされ(民法617条1項),特に,借地借家法の適用がある場合には,賃借人の権利が強化されて保護され ており,賃貸目的物の所有権に対する関係でも対抗することができることになり,反面,所有権の権利行使が一部制約されることになる(建物所有を目的とする土地賃貸借につき借地借家法3条,建物の賃貸借につき同法27条~29条)。このような賃貸借の性質に鑑みれば,所有者から賃借した目的物を第三者に転貸するような場合,その賃借 人は,税法上も,その目的物である資産から生ずる収益の帰属に関し,「特段の事情」がない限り,当該資産の真実の「権利者」として,担税力を有するといえる。この場合,転貸借契約に基づいて支払われる転貸料は,賃借人(転貸人)が有する当該土地についての賃借権の実質に鑑みて,賃借人に帰属するというべきである。 また,賃借権の目的となっている土地は,賃借権の設定に伴い利用等について制約を受け,当該権利の価額に相当する分だけ土地の経済的価値が低下しているものとみて,課税上,賃借権の設定によって,所有者から賃借人へ,当該土地に係る権利の一部が移転するものと評価されている。 さらに,所得税法上も,建物又は構築物の所有を目的とする賃借権 のうち,規定された以上の対価の支払 ,所有者から賃借人へ,当該土地に係る権利の一部が移転するものと評価されている。 さらに,所得税法上も,建物又は構築物の所有を目的とする賃借権 のうち,規定された以上の対価の支払を受けるなどの一定の条件を満たすものの設定自体を,資産の譲渡に該当するとして,その設定による所得を譲渡所得として課税する旨規定し(所得税法33条1項,所得税法施行令79条),借地権を転貸した場合の規定を設けて(所得税法施行令176条,177条),転貸借地権についても経済的価値 のあるものと位置付けていることからすれば,借地権者(転貸借地権者)が,当該土地に係る権利の一部を有することが法令上明らかである。 以上によれば,土地所有者との間で賃貸借契約を締結した場合,賃借人は,権利金や地代(賃料)等の対価の支払により,当該土地に係 る権利の一部を取得したといえる場合があり,そのような賃借権については,当該賃借人が土地を第三者に転貸した場合,当該土地から生ずる収益(転貸料)は,当該土地の真実の権利者,すなわち所有者及び賃借人に帰属するというべきである。 c 一方,使用貸借は,民法上,貸主の義務は借主が目的物を使用収益 することを忍容するという消極的なものにすぎず,借主は,その使用借権の実質が極めて弱いものである上,権利金や地代(賃料)等の対価の支払等をせず,何ら資本投下をしていない。 また,使用借権は,人的つながりを基盤とするにすぎない極めて弱い権利であるのみならず,賃借権と異なり法律の保護が薄弱であって, 相続の対象ともなり得ない権利であるから,「特段の事情」の認められない限り,課税上その経済的価値を有するものではないとされる(課税実務においても,使用貸借権については贈与税の課税対象とはしていない。)。 その上,使 ない権利であるから,「特段の事情」の認められない限り,課税上その経済的価値を有するものではないとされる(課税実務においても,使用貸借権については贈与税の課税対象とはしていない。)。 その上,使用貸借においては,借主は,貸主の承諾がない限り,第 三者に使用貸借の目的物を使用又は収益させることはできないとされ (民法594条2項),使用貸借の目的物を第三者に賃貸して収益を獲得するか否かは使用貸借の貸主(目的物の所有者)が決定するものとされていることからすれば,使用借権は収益の基因とはなり得ない。 以上のとおり,使用貸借の目的物である資産から生ずる収益の帰属については,資産に係る権利の一部を取得したとみられるような事情 があるとは認められず,そのように極めて弱く経済的価値のない権利が使用借主に帰属したことをもって,使用借主が当該資産の真実の権利者となり,その収益を享受する者として担税力を有することとなるということはできず,当該資産から得られる所得は帰属しないと解される。 (ウ) 所得税法13条が,同法12条の例外として,資産の所有と収益とが分離する場合を定めたものであることについて資産性所得である信託財産に帰せられる収益の帰属についての規定である所得税法13条が,経済上の帰属に基づいて課税する場合に,信託法において,信託行為により受益者として指定された者が当然に信託の 利益を享受することになるにもかかわらず(信託法88条),わざわざ受益者を信託財産の所有者とみなして課税するという特別の規定を設けていることからすれば,所得の帰属に関する原則の規定である所得税法12条の解釈としては,資産性所得については,所有者に収益が帰属することを原則とするものと解するのが自然であり,課税実務の定めであ る所 からすれば,所得の帰属に関する原則の規定である所得税法12条の解釈としては,資産性所得については,所有者に収益が帰属することを原則とするものと解するのが自然であり,課税実務の定めであ る所得税基本通達12―1と整合し,租税法律主義の観点からも,法的安定性の観点からも妥当である。 (エ) 課税実務についても,本件各駐車場収入が原告に帰属するという取扱いは定着したものであること土地を無償で借りて月ぎめによる青空駐車場として利用した場合の所 得が,所有者に帰属するとの取扱いは,現在に至るまで定着している課 税実務である。 土地所有者の承諾の下でその親族等が当該土地を駐車場として賃貸するような場合,第一次的には,その所有者が収益を享受しているものとみるべきであるとされているところ,土地所有者が当該土地について親族等の間で使用貸借契約を締結し,親族等が当該土地を駐車場として賃 貸している場合であっても,その実質は,上記の場合と異なるところはなく,形式上使用貸借契約を締結しているということのみをもって,当該土地から得られる収益は必ず使用借主に帰属するものと考えることはできないというべきである。 (オ) 本件各駐車場収入を得る者は,本件各土地の所有者である原告であ り,A又はBは,所得税法12条の解釈において「単なる名義人」にすぎないことa 不動産所得は資産,物に着目して所有者の担税力を推定し課税しているところであり,所有者が収益を享受する者と考えられる。 また,原告は,本件各使用貸借契約によりA又はBに本件各土地の 使用収益を許可し,賃貸人としての契約名義を変更することにより,年間約800万円もの収入が10年間にわたり無償でA又はBに渡ることになるが,これは,原告が,A又はBに対し本件各土地を使 地の 使用収益を許可し,賃貸人としての契約名義を変更することにより,年間約800万円もの収入が10年間にわたり無償でA又はBに渡ることになるが,これは,原告が,A又はBに対し本件各土地を使用収益することを承認した場合の反射的効果にすぎず,A又はBが本件各駐車場収入を自由に費消しているならば,それは原告から本件各駐車 場収入の贈与を受けているにすぎないものである。一般的な法形式で本件各駐車場収入相当の金銭の贈与を受ければ,贈与税が課税されるのに対し,本件各取引により当初からA又はBに収入が帰属すると解するならば,相続税のみならず,その補完税である贈与税の納税義務も回避することとなって,親の不動産の収益の中から同額の金銭の贈 与を受ける納税者との間で,課税の公平が保てなくなる。 したがって,課税の公平という観点からも,たとえ民法上使用貸借契約により収益がA又はB名義の預金口座に振り込まれたとしても,真実の権利者である土地所有者の原告が収益を享受した者であり,A又はBは原告から二次的に贈与を受けたにすぎない。 b 本件各土地は,いずれも原告が所有するものであり,その収益に係 る全ての業務は,全面的に本件各不動産管理業者に委任していたのであって,原告からA又はBに契約変更された後も,その状況に変化はなく,A又はBが自ら行う業務は見当たらない。 G等土地の各賃借人との間の賃貸借契約(自動車保管場所使用契約)においても,それらの契約書の作成は本件各不動産管理業者と各賃借 人との間で行われ,原告やA又はBは署名・押印の必要すらないのである。 したがって,所得税法12条に規定する「収益を享受する者」は原告であり,A又はBが収受した本件各駐車場収入は,原告がA又はBに本件各土地を使用収益することを承認し ・押印の必要すらないのである。 したがって,所得税法12条に規定する「収益を享受する者」は原告であり,A又はBが収受した本件各駐車場収入は,原告がA又はBに本件各土地を使用収益することを承認したことの反射的効果にすぎ ないことからすると,A又はBは,所得税法12条の解釈において,単なる名義人にすぎない。 (カ) 小括以上によれば,仮に,本件各使用貸借契約が有効であったとしても,本件各使用貸借契約の実質からみて,本件各駐車場収入が誰に帰属して いるかを判断すべきであり,本件の事実関係の下では,本件各土地の真実の権利者である原告に帰属すると認められる。 (原告の主張)ア本件各使用貸借契約が有効に成立したと認められること(ア) 原告が本件各使用貸借契約書の内容を認識しており,本件各使用貸 借契約書は真正に成立したものと認められること a 原告が本件各使用貸借契約書の内容を十分認識していたこと⒜ 被告は,①原告が本件調査の際,本件調査担当者に対し,本件各使用貸借契約書について知らない旨述べるなどしていたこと,②本件各土地をめぐる一連の取引又は行為は,Aから相続対策の相談を受けていた本件税理士法人が企図したものであること等からすると, 原告は,本件各使用貸借契約書の具体的な内容を知らされないままAから本件税理士法人が作成した本件各使用貸借契約書のひな型への署名・押印を求められ,その記載内容を一切確認せずに言われるがままこれに応じており,民事訴訟法228条4項の推定の基礎を欠く旨主張する。 しかし,上記①については,原告の本件調査時の対応をもって,その1年半以上前にされた本件各使用貸借契約締結当時の意思がなかったとはいえないし,原告が本件調査時,近時記憶に減退がみられ,認知能 しかし,上記①については,原告の本件調査時の対応をもって,その1年半以上前にされた本件各使用貸借契約締結当時の意思がなかったとはいえないし,原告が本件調査時,近時記憶に減退がみられ,認知能力に問題があったことも考慮に入れなければならない。 そして,原告の本件各使用貸借契約締結当時の意思能力に疑問を差 し挟むような事情は何ら立証されていない。 また,被告は,原告が本件調査の際,本件各使用貸借契約書について知らないと述べていた旨主張するが,仮に,そのとおりの事実があったとの前提に立ったとしても,本件調査担当者の発問をどのように理解し,どのような意図で回答したのかは分からない。 上記②については,本件税理士法人が原告の相続対策の助言,指導等を行っており,その中で本件各使用貸借契約を締結するよう助言することがあったとしても,本件各使用貸借契約書への署名・押印は,原告が了承して行ったものである。また,Aが本件税理士法人と原告との連絡を取り次いだり,相続対策を主導したりしていた としても,原告が本件各使用貸借契約書の具体的内容を知らされな いまま,その記載内容を一切確認せずに署名・押印をしたものではなかった。 ⒝ 原告の本件各使用貸借契約書作成当時(平成26年1月)の認識についてみると,Aが平成25年11月18日にF税理士に話していたように,意思能力に問題はなく,自らの相続に関する意向を外 部に明確に表明していたし,印章や本件各土地を管理していたし,主体的に本件各使用貸借契約の締結に取り組んでいた。さらに,原告は,平成26年3月,本件確定申告をする際,本件各土地からは平成26年1月以降不動産所得がないことを前提とする行動をとっていたから,本件各土地の賃貸の主体が移っていることを認識し, 了承し 告は,平成26年3月,本件確定申告をする際,本件各土地からは平成26年1月以降不動産所得がないことを前提とする行動をとっていたから,本件各土地の賃貸の主体が移っていることを認識し, 了承していたし,本件調査担当職員に対し,A又はBに代わって固定資産税等の負担をし,その代わりに本件各土地を無償で貸していると認めていたのであるから,本件各使用貸借契約の内容が使用貸借であることを十分認識していたのである。 これらの事情によれば,原告は,自らの行為を十分に認識した上 で,本件各土地の管理・経営をA又はBに委ねるため,本件各使用貸借契約の締結や不動産管理に関する契約の変更に取り組んでいたと認められる。 b 原告のみならず,関係者が本件各取引を前提に行動していたこと本件各使用貸借契約が有効であることは,原告のみならず,原告の 周囲の関係者であるA,B,F税理士,C,Dが,いずれも本件各使用貸借契約を含む本件各取引が有効なものであることを前提に行動していたことからも裏付けられる。 これに対し,被告は,本件各土地の駐車場管理業務について,全面的に本件各不動産管理業者に委任していたので,A又はBが行う業務 は見当たらない旨主張するが,70数台の自動車を駐車する駐車場を 取り扱っていれば,本件各不動産管理業者の担当者だけでは判断することができない種々の問題が発生し,A又はBはその対応を求められるなどしていた。 また,A又はBが本件各駐車場収入を得ていたのは,実質上も本件各土地の駐車場管理業務を行っており,本件各駐車場収入を形式的に も実質的にも得られる立場にあったからである。被告は,A又はBが本件各駐車場収入を得ていたことにつき,反射的効果によるものである旨主張するが,被告の主張は失当である。 c まと 入を形式的に も実質的にも得られる立場にあったからである。被告は,A又はBが本件各駐車場収入を得ていたことにつき,反射的効果によるものである旨主張するが,被告の主張は失当である。 c まとめ以上によれば,原告が本件各使用貸借契約書の内容を認識していな かったということはあり得ず,その内容を十分に認識していたからこそ,本件確定申告時,自らの申告内容を当然なものとして考えていたのである。本件各使用貸借契約書は真正に成立している。本件各使用貸借契約書について民事訴訟法228条4項の推定の基礎を欠くとする被告の主張は失当である。 (イ) 本件各使用貸借契約について処分証書の法理にいう「特段の事情」は認められないことa 原告は,高齢となり,A又はBに,自宅から離れた本件各土地の駐車場経営を委ねるべく,平成26年1月,本件各使用貸借契約を締結し,A又はBは,以後本件各土地を管理してきた。 これに関し,原告がいわば相続税対策をとったことと,A又はBに駐車場の管理を委ねたこととは,区別して理解する必要がある。そして,相続税対策としては,本件各使用貸借契約によって,不動産所得の帰属を変えることで,原告の手元に残る現金・預貯金が減少し,将来相続発生時に課される相続税が軽減されるという意味がある。しか し,原告は,本件各土地のほかにもガソリンスタンド用に賃貸してい る不動産等による賃料収入を得ており,それに比べると本件各土地の賃貸によって得られる賃料収入は年間200万円余りにすぎなかった。 しかも,所得税の納税額でいえば,原告による所得として申告するか,A又はBで申告するかで,基本的には変わらない。 他方,原告は,本件各土地に余り思い入れがなく,自宅から離れて いるのに実際に見て回ったり,本件各不 額でいえば,原告による所得として申告するか,A又はBで申告するかで,基本的には変わらない。 他方,原告は,本件各土地に余り思い入れがなく,自宅から離れて いるのに実際に見て回ったり,本件各不動産管理業者や多数の賃借人との間で生ずる細かい事象をやり取りしたりすることが面倒となってきていたため,相続人予定者であるA又はBに駐車場管理業務を引き継ぐことを意図したものであった。したがって,本件各土地の賃貸人の変更は,相続税対策とは異なる原告の意図が働いていたのである。 原告が本件各使用貸借契約を締結したことは,法的に何ら問題がない行為であり,民法上の選択可能性を濫用して税負担の軽減を図る租税回避事案ではないのであって,処分証書の法理にいう「特段の事情」がある場合には当たらない。 b 被告の主張について ⒜ 被告は,本件各贈与契約が民法上無効な契約であることを不自然であると主張する。しかし,税法上は,土地と土地上の構築物とを別々に償却させるなど区々に扱うことがあるのであるから,不自然な事情とはいえず,処分証書の法理にいう「特段の事情」とはならない。 ⒝ 被告は,本件各駐車場管理契約において,原告が当事者となっていないことを不自然な事情であるとし,処分証書の法理にいう「特段の事情」に該当する旨主張するが,本件各不動産管理業者は,本件各駐車場管理契約を締結するに当たり,本件各駐車場管理契約書に新たに委任者となるA又はBの署名・押印がされればよく,委任 者ではなくなる原告の署名・押印は必要なかったのであるから,そ れが不自然であるとはいえない。 ⒞ 被告は,原告やA又はBが本件各取引を採用した目的が所得税等及び相続税の負担を免れる目的であったことを主張し,処分証書の法理にいう「特段の事情」が認め れが不自然であるとはいえない。 ⒞ 被告は,原告やA又はBが本件各取引を採用した目的が所得税等及び相続税の負担を免れる目的であったことを主張し,処分証書の法理にいう「特段の事情」が認められる旨を主張する。 しかし,法律効果を発生させる効果意思と契約締結の動機・目的 とは理論的に別であり,仮に,租税負担を伴わないか,租税負担が軽減されることを動機・目的として何らかの契約を締結する場合,その動機・目的がより達成可能な民法上の契約類型を選択し,その効果意思を持つことは,自然なことであり,かつ,合理的なことであるといえる。そうすると,契約当事者が作出した契約の形式につ いて,これと異なる効果意思の存在を推認することは,契約当事者の意思を離れて,その動機・目的のみに着目して課税することになり,契約当事者が行った契約を法的根拠なく否定する結果となる。 本件において,原告やA又はBが本件各取引を採用した動機・目的は,課税の根拠となる契約の解釈に持ち込むべきではなく,被告 の上記主張は失当である。 c まとめ以上によれば,本件各使用貸借契約書について,処分証書の法理にいう「特段の事情」は認められず,その記載どおりの契約が有効に成立したと認められる。 イ本件各使用貸借契約は有効に成立しており,本件各駐車場収入は原告に帰属しないこと(ア) 実質所得者課税の原則についてa 課税物件の帰属に関し,所得税法12条が明らかにしている実質所得者課税の原則の適用が問題となるのは,名義と実体,形式と実質が 一致しない場合である。 実質所得者課税の原則の意義については,課税物件の法律上の帰属につき,その形式と実質とが相違している場合には,実質に即して帰属を判定すべきと解する見解(法律的帰属説)が通 い場合である。 実質所得者課税の原則の意義については,課税物件の法律上の帰属につき,その形式と実質とが相違している場合には,実質に即して帰属を判定すべきと解する見解(法律的帰属説)が通説とされている。 法律的帰属説によれば,所得の帰属の判定に当たって,契約の締結等の法律的な事実だけが真実の権利者の蓋然的様相を示す事実として決 定的な意味を持つのではなく,経済的利得の実現の管理支配という経済的な事実でも真実の権利者の蓋然的様相を示す事実になり得ると考えられる。ただし,実際に所得の人的帰属を判定する場合,法律的な事実であれ経済的な事実であれ,できるだけ客観的かつ明白な事実に即して事実認定を行わなければならない。 そうすると,所得税法12条の規定の文理解釈としては,「単なる名義人」は法律上(民法上)の名義においてのみ権利の主体として表明されている者を示し,「これ(収益)を享受する者」は法律上(民法上)真実に収益を収受する権利を有する者としての蓋然的様相を呈している者を意味すると解すべきである。 b 被告は,所得税法12条の解釈により,資産性所得である不動産所得の帰属を判断する場合には,真実の権利者である資産の所有者(所有権・自主占有)に帰属する旨主張する。 しかし,不動産所得とは,不動産等の貸付けによる所得であり(所得税法26条),ここにいう不動産等の貸付けには,地上権又は永小 作権の設定その他他人に不動産等を使用させることが含まれる。そして,A又はBが本件各土地を貸し付けており,本件各駐車場収入を得ることになる。また,A又はBが本件各土地という資産に対する事実上又は実質上の排他的支配を及ぼしているのである。 c 被告は,使用借権が経済的に無価値であるとして,収益の基因とな り得ない旨も主 とになる。また,A又はBが本件各土地という資産に対する事実上又は実質上の排他的支配を及ぼしているのである。 c 被告は,使用借権が経済的に無価値であるとして,収益の基因とな り得ない旨も主張する。しかし,被告の上記主張は,使用借権に資産 としての価値があるか否かという問題と,使用借権に不動産所得を生ずる収益収受権があるか否かという問題を混同するものであって,失当である。 (イ) 本件が実質所得者課税の原則の適用場面でないこと本件についてみると,A又はBは,本件各使用貸借契約により本件各 土地を無償で借り受け,本件各土地の利用者たる賃借人に対し,本件各土地を賃貸していたから,本件各駐車場収入の帰属についての法律上の名義はA又はBにある。 そして,本件各駐車場収入の帰属を実質に即して判定すると,A又はBが本件各土地の駐車場管理業務をし,賃貸借契約や賃貸借契約を変更 する契約を締結したり,管理費用を本件各不動産管理業者に支払ったりしており,本件各土地から得られた利益を原告に還流させることもなかった。本件各駐車場収入は,その実質をみても,A又はBに帰属していたことになる。 また,本件において,担税力,すなわち税負担を受け持つことができ る能力を有している者は,本件各駐車場収入を得ていたA又はBというほかない。 以上によれば,本件各駐車場収入は,形式と実質のいずれもA又はBに帰属するのであり,原告に帰属することはなく,被告のいう実質所得者課税の原則に照らしても,本件各駐車場収入が原告に帰属することは ない。 第3 当裁判所の判断 1 争点(1)(本件訴えのうち,本件通知処分の取消請求に係る部分の適法性)について(1) 更正処分と通知処分 原告は,本件訴えにおいて,本件更正処分の取 い。 第3 当裁判所の判断 1 争点(1)(本件訴えのうち,本件通知処分の取消請求に係る部分の適法性)について(1) 更正処分と通知処分 原告は,本件訴えにおいて,本件更正処分の取消しを求めるとともに,本 件通知処分の取消しを求めている。 更正処分は,納税者の提出した納税申告書について,税務署長が,課税標準,税額等が,その調査した結果と異なる場合に,調査により得た資料等に基づき,課税の要件に係る事実を全体的に見直し,申告された税額をも含め,納税義務の総額を確定することを目的として上記の課税標準,税額等を更正 するものであり,増額更正処分は,単に申告された税額に対し,更正された税額との差額分の税額を追加するものではなく,申告により一応確定した税額を変更し,申告された税額を含めて納税者の納税額の総額を確定するものと解される。他方,通知処分は,納税者の申告による税額の減額等を求める更正の請求に対し,減額更正処分をしない旨の処分であり,申告された税額 等について減額しないことを確定させる効果を有するものである。 そうすると,増額更正処分と通知処分は,いずれも所得税の納税義務の確定に関わる処分であるところ,通知処分は,申告された税額の減少のみに関わるのに対し,増額更正処分は,納付すべき税額全体に関わり,実質的には申告された税額を正当でないものとして否定し,これに増額変更を加えて税 額の総額を確定するものであるから,増額更正処分の内容は,減額更正処分をしない旨の通知処分の内容を包摂する関係にあるということができる。 したがって,増額更正処分と通知処分がされた場合,税額等を争う納税者は,これらの処分の前後を問わず,増額更正処分の取消しを求める訴えを提起して争うことにより,税額の全体を争うことができるのであ 。 したがって,増額更正処分と通知処分がされた場合,税額等を争う納税者は,これらの処分の前後を問わず,増額更正処分の取消しを求める訴えを提起して争うことにより,税額の全体を争うことができるのであって,これと 別個に通知処分を争う利益を有しないものと解すべきである。そして,このように解することが,同一の所得税の納税義務に関わる両処分の訴訟が別個に係属することにより生ずる審理判断の重複,抵触を避けるためにも相当である。 (2) 本件について 本件においては,平成26年分の所得税について,増額更正処分(本件更 正処分)と通知処分(本件通知処分)がされているところ,原告は,本件訴えにおいて,本件更正処分の取消しを求めているのであるから,本件通知処分の取消しを求める利益はないことになる。 したがって,本件訴えのうち,本件通知処分の取消しを求める部分は,訴えの利益がなく,不適法なものであり,却下を免れない。 2 争点(2)(本件訴えのうち,本件更正処分のうち更正の請求額を超えない部分の取消請求に係る部分の適法性)について(1) 申告納税方式及び更正の請求の制度の趣旨等所得税のような申告納税方式による国税は,その納付すべき税額が納税者のする申告により確定することを原則とするものであるところ(国税通則法 16条1項1号,同条2項1号,所得税法120条),そのような国税につき納税者において申告により自ら確定させた税額等が過大であるとするときは,一定期間に限り,税務署長に対して,その申告に係る課税標準等又は税額等につき税務署長において更正をすべき旨の請求(更正の請求)をすることができ(国税通則法23条1項),納税者がこのような更正の請求をしよ うとする場合には,その請求に係る更正後の課税標準等又は税額 つき税務署長において更正をすべき旨の請求(更正の請求)をすることができ(国税通則法23条1項),納税者がこのような更正の請求をしよ うとする場合には,その請求に係る更正後の課税標準等又は税額等やその更正の請求をする理由等を記載した更正請求書を税務署長に提出すべきものとされており(同条3項),税務署長は,そのような更正の請求があった場合には,その請求に係る課税標準等又は税額等について調査した上で,納税者に対し,更正処分又は通知処分をすることとされている(同条4項)。 このように,申告納税方式による国税について,その申告に係る課税標準等又は税額等の誤り等の是正が更正の請求という特別の方式によるべきものとされているのは,課税標準等や税額等の確定を最もその事情に通じている納税者自身の責任による申告に基づいてするものとされた国税については,その誤り等の是正は法律が特に認めた場合に限ることが,租税法律関係を早 期に安定させるという要請に沿うものである上,納税者に対しても過当な不 利益を強いるおそれがないといえるからであると解される(最高裁昭和38年(オ)第499号同39年10月22日第一小法廷判決・民集18巻8号1762頁参照)。 以上のような申告納税方式及び更正の請求の制度の趣旨に照らせば,更正の請求が当初の申告に係る税額等の一部を限度としてされた場合には,納税 者において国税通則法23条4項に従って税務署長がした更正処分につき不服があったとしても,当該処分に係る課税標準等又は税額等のうち当該更正の請求に係るところを超えない部分については,納税者において自らの申告によりこれを確定させたもので,その是正のため法律の特に設けた手続をとっていない以上,納税者にとって当然に不利益なものであるということはで き 超えない部分については,納税者において自らの申告によりこれを確定させたもので,その是正のため法律の特に設けた手続をとっていない以上,納税者にとって当然に不利益なものであるということはで きず,その取消しを求めることを許すべきものとして不服申立て又は訴えの利益があるということはできないものというべきである。 (2) 本件について前記前提事実(7),(9)のとおり,原告は,不動産所得の金額を1887万3876円,納付すべき税額(予定納税額控除前のもの)を501万420 0円とする本件確定申告をした上で,これについて,その請求に係る更正後の不動産所得の金額を1804万5491円,納付すべき税額(予定納税額控除前のもの)を472万7600円とする本件更正請求をしたものであり,当該更正の請求に係るところを超えない部分については,原告が自らの申告によりこれを確定させたものであって,その取消しを求めることを許すべき ものとして訴えの利益があるということはできない。 原告は,本件各処分に対する審査請求における手続において,更正の請求における不動産所得の金額,納付すべき税額(予定納税額控除前のもの)と異なる金額を主張する意見を陳述したとするが,その陳述をもって,自らの申告により確定させたものの是正のため法律の特に設けた手続をとったとい うことはできず,上記結論を左右しない。 よって,本件訴えのうち,更正の請求額を超えない部分の取消請求に係る部分は,訴えの利益を欠く不適法なものであり,却下を免れない。 3 争点(3)(平成26年2月以降の本件各駐車場収入が原告に帰属するか否か)について(1) 認定事実 前記前提事実に加え,掲記の各証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ア平成26年 成26年2月以降の本件各駐車場収入が原告に帰属するか否か)について(1) 認定事実 前記前提事実に加え,掲記の各証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ア平成26年1月までの本件各土地の利用状況(ア) G等土地a 賃貸借契約 原告は,平成16年頃以降,複数の個人又は法人との間で,G等土地を所定の区画ごとに駐車場として賃貸する旨の契約を締結した(前記前提事実(2)ア,イ,ウ(ア)・(イ))。 b 駐車場管理契約原告は,平成16年5月頃以降,Cとの間で,G等土地の駐車場管 理契約を締結した(前記前提事実(2)ウ(イ))。 (イ) H土地a 賃貸借契約原告は,平成15年1月23日,Iとの間で,H土地をIの職員の駐車場用地として賃貸する旨の契約を締結した(前記前提事実(2)ア, イ,エ(ア)・(イ))。 b 駐車場管理契約原告は,平成15年1月23日,Dとの間で,H土地の駐車場管理契約を締結した(前記前提事実(2)エ(イ))。 (ウ) 本件各駐車場収入の額等 G等土地から得られる1か月当たりの賃料収入の額は,平成26年1 月当時,約50万円であった。また,H土地から得られる1か月当たりの賃料収入の額は,同月当時,19万9000円であった。(甲4の1~3,6,乙4)イ本件税理士法人に対する相談等(ア) 本件税理士法人に対する相談 Aは,原告の自宅と同じ敷地にある別棟の建物に居住しているが,平成25年頃,原告から,原告の資産の管理や相続に関心を持っている旨の話を聞くようになったことから,同年11月18日,原告の意向を受けて,本件税理士法人のF税理士を訪問し,原告が所有する不動産に関する租税や相続税の節税対策について, 管理や相続に関心を持っている旨の話を聞くようになったことから,同年11月18日,原告の意向を受けて,本件税理士法人のF税理士を訪問し,原告が所有する不動産に関する租税や相続税の節税対策について,相談をした(前記前提事実(4), 甲19の1・2,23,証人A)。 Aは,F税理士との上記相談において,原告(当時82歳)のことを「すごくしっかりしている」と表現し,原告が「少し相続対策にやる気を出しているが,自分が税理士に会うのはちょっと嫌」という意向であることや,原告が「遺言作成を嫌がっている」ことを伝えた(甲19の 1・2,23,証人A)。 F税理士は,Aからの上記相談に対し,原告の財産が今後増加すると,A又はBが原告の財産を相続する際,相続税を納付するために原告所有の土地の一部を売却しなければならないかもしれないとして,A又はBが本件各土地を借りて駐車場の管理・経営をし,その収入を得ることを 助言した(証人A)。 (イ) Aは,原告に対し,上記(ア)のF税理士からの助言の内容を伝え,A又はBが原告から本件各土地を借り,駐車場の管理・経営することを提案したところ,原告は,十分検討した上で,その提案を了承した(原告は,一家の家長という意識が強く,自分が納得しないと何もしないと いう行動傾向があった。)(証人A)。 (ウ) Aは,原告の了承を得たことから,F税理士に対し,上記(ア)の助言に沿って手続を進めることを伝え,F税理士は,必要となる各種の契約書を作成するためのひな型を用意し,Aに交付した(証人A)。 ウ本件各取引(ア) 本件各使用貸借契約書 原告とAを作成者とする,平成26年1月25日付けの,G等土地についての「使用貸借契約書」と題する契約書(G等土地使用貸借契約書)が存在 。 ウ本件各取引(ア) 本件各使用貸借契約書 原告とAを作成者とする,平成26年1月25日付けの,G等土地についての「使用貸借契約書」と題する契約書(G等土地使用貸借契約書)が存在する。また,原告とBを作成者とする,同日付けの,H土地についての「使用貸借契約書」と題する契約書(H土地使用貸借契約書)が存在する。これらの契約書の原告の署名・押印は真正なものである。(前 記前提事実(3)ア・イ)本件各使用貸借契約書(G等土地使用貸借契約書及びH土地使用貸借契約書)には,いずれも,原告が,本件各土地を,平成26年2月1日から10年間,各年の固定資産税等の合計額相当額を12で除した金額を月額の賃料として,A又はBに賃貸し,A又はBは,原告の承諾によ り本件各土地を転貸又は使用借権譲渡を行うことができる旨が記載されており,原告及びA又はBの署名・押印がある(前記前提事実(4)ウ)。 (イ) 本件各贈与契約原告は,平成26年1月25日,A又はBとの間で,G等土地上に敷設されたアスファルト舗装・車止め・フェンス又はH土地上に敷設され たアスファルト舗装(本件舗装等)を贈与する旨の各贈与契約(本件各贈与契約)を締結した(前記前提事実(5)ア)。 なお,本件各贈与契約書には,贈与物件(本件舗装等)上において営む「駐車場賃貸借契約」については,A又はBがその地位を引き継ぐこととし,原告は,「当該賃借人各人からの預り保証金全額」をA又はB に現金で引き渡した旨の記載がされており,原告とA又はBの署名・押 印がされていた。また,本件各贈与契約書は,いずれも大阪法務局枚方出張所による平成26年1月27日付けの確定日付が付された。(前記前提事実(5)イ,乙8の1・2,33の1・2,証人A)A又はBは, がされていた。また,本件各贈与契約書は,いずれも大阪法務局枚方出張所による平成26年1月27日付けの確定日付が付された。(前記前提事実(5)イ,乙8の1・2,33の1・2,証人A)A又はBは,本件各贈与契約の後,本件舗装等の贈与を受けたとして,贈与税の申告をした(乙16,証人A)。 (ウ) 本件各賃貸借契約及び本件各駐車場管理契約aG等土地Aは,平成26年2月1日以降,G等土地の各区画の賃借人が賃貸借契約の更新又は変更をする際,それらの賃借人との間で,賃貸人をAとする旨のG等土地賃貸借契約を締結した(前記前提事実(6)ア (ア))。 また,Aは,平成26年1月30日付けで,Cとの間で,委任者を原告としていたG等土地の駐車場管理契約(上記ア(ア)b)について,同年2月1日以後,委任者をAに変更し,賃料等の振込先をA名義の預金口座に変更する旨のG等駐車場管理契約を締結した(前記前提事 実(6)ア(イ))。 bH土地Bは,平成26年1月31日,Iとの間で,H土地の賃貸人をB,賃借人をIとし,賃貸借期間を同年2月1日から2年として以後2年ごとに更新する旨のH土地賃貸借契約を締結した(前記前提事実(6)イ (ア))。 また,Bは,平成26年2月1日,Dの間で,委任者を原告としていたH土地の駐車場管理契約(上記ア(イ)b)について,同日から,委任者をBに変更し,賃料等の振込先をB名義の預金口座に変更する旨のH駐車場管理契約を締結した(前記前提事実(6)イ(イ))。 エ平成26年2月以降の本件各土地の賃貸借について (ア) 本件各不動産管理業者は,平成26年2月以降の本件各駐車場収入をA又はBの銀行口座に振り込むようになった。また,A又はBは,同月以降,原告に対し,本件各使用貸 地の賃貸借について (ア) 本件各不動産管理業者は,平成26年2月以降の本件各駐車場収入をA又はBの銀行口座に振り込むようになった。また,A又はBは,同月以降,原告に対し,本件各使用貸借契約書で定められた金員(固定資産税等相当額)を振り込むようになった。(甲4の2・3,7,22,23,証人A) (イ) Cの担当者は,G等土地の各区画の賃借人に対し,平成26年2月1日を変更期日として,G等土地の賃貸借契約において,賃貸人が原告からAに変更した旨を知らせる「貸主変更のお知らせ」と題する書面を配布した。上記書面には,作成日付として「平成26年2月吉日」,「変更内容」として,「既・貸主:J」,「新・貸主:A」,「変更期日: 平成26年2月1日」などと記載されている。(前記前提事実(6)ア(ア),甲21の5)(ウ) Cの担当者は,平成26年2月以降,月に1度,精算報告のため,Aを訪れるようになった(甲4の2・3,甲21の1,甲23,証人A)。 (エ) Cの担当者は,平成26年2月頃,G等土地の賃借人から監視カメ ラの設置等の要望がされたことを受け,Aに対し,監視カメラを設置するかどうかについて相談をした(甲21の3,23,証人A)。 (オ) Cの担当者は,平成26年4月,消費税率が8%に引き上げられたことに伴い,G等土地の賃料額を増額するか否かについて,Aに相談をし,Aは,賃料額を維持するとの判断をした(甲23,証人A)。 (カ) Cの担当者は,平成26年2月以降,上記(エ),(オ)のほか,G等土地の駐車場管理業務のうち,賃貸人の判断が必要な事項については,Aに相談をしていた(甲21の3・4,23,証人A)。 オ平成25年分の確定申告原告は,平成25年当時,本件各土地のほかにも賃貸用の不動産を 管理業務のうち,賃貸人の判断が必要な事項については,Aに相談をしていた(甲21の3・4,23,証人A)。 オ平成25年分の確定申告原告は,平成25年当時,本件各土地のほかにも賃貸用の不動産を所有 して賃料収入を得ており,平成26年3月にした平成25年分の所得税等 の確定申告において,不動産の賃料収入の合計額として2868万6096円(うち,本件各駐車場収入の合計額は855万5400円)を申告した(乙7)。 カ本件確定申告(ア) K農協の確定申告相談 原告は,平成27年1月頃,K農業協同組合(以下「K農協」という。)が実施する「確定申告相談受付」を申し込み,同年2月4日,同相談受付のため,確定申告に必要な書類を持参し,1人でK農協L支店を訪問し,K農協の職員の援助を得て,平成26年分の確定申告書(本件確定申告書)を作成した(甲13の1・2,14の1・2,証人A)。 (イ) 本件確定申告書の提出原告は,平成27年3月9日,平成26年分の所得税等について,別表「課税の経緯」の「確定申告」欄のとおりの金額等を記載した本件確定申告書を枚方税務署長に提出した。原告は,本件確定申告の際に提出した収支内訳書の「不動産所得の収入の内訳」欄において,本件各土地 の賃貸契約期間が,いずれも平成26年1月の1か月間であるとして不動産所得に係る収入を算定していた。(前記前提事実(7))キ本件調査(ア) 平成27年9月8日の面談本件調査担当者は,平成27年9月2日,原告に電話をかけ,原告の 自宅における調査(実地の調査)を実施する旨通知して日程調整をした上で,同月8日,原告の自宅を訪問し,原告と面談をした(乙19)。 本件調査担当者は,平成27年9月8日の面談において,原告から本 自宅における調査(実地の調査)を実施する旨通知して日程調整をした上で,同月8日,原告の自宅を訪問し,原告と面談をした(乙19)。 本件調査担当者は,平成27年9月8日の面談において,原告から本件確定申告に関する資料の提示を受け,原告に対し,原告が所有する不動産の利用状況等について質問した。原告は,A又はBが居住用として 利用している土地建物については無償で貸している旨答えたが,本件確 定申告において本件各駐車場収入を平成26年1月までしか計上していないことについては,「同年2月以降の本件各駐車場収入は,A又はBが自らの収入であるとして確定申告をしたことは知っていたが,詳しいことは分からない」旨答えた。(乙16,19)本件調査担当者は,原告から提示された資料の中に,「平成26年 J 様へ支払う地代」との標記がされ,A又はBが原告に支払う本件各土地の「賃料」(本件各土地の固定資産税等の年額を12で除して1か月ごとの額を算定したもの)を算定した結果を記載した書面(平成26年1月25日付け及び同年5月24日付けのもの2通)があり,それらの書面には,いずれも「土地使用貸借契約書より」との記載があったことか ら,原告に対し,その「土地使用貸借契約書」の提示を求めたところ,原告は,同契約書の存在は知らず,そのような契約書に押印した記憶もない旨述べた(乙15,19)。 また,本件調査担当者は,同書面の右下部分に「㈱M」との記載があったことから,原告にその説明を求めたところ,原告は,その時期の記 憶は曖昧であるとした上で,平成24年12月から平成25年1月にかけて入院したことを契機に,Aが弁護士等に相続対策のための相談をした旨や,本件各駐車揚収入について,A又はBの名前で申告してもよいとの助言があったことをA で,平成24年12月から平成25年1月にかけて入院したことを契機に,Aが弁護士等に相続対策のための相談をした旨や,本件各駐車揚収入について,A又はBの名前で申告してもよいとの助言があったことをAから聞いた旨述べた(乙16,19)。 本件調査担当者は,原告に対し,本件各駐車場収入が原告に帰属する 旨を伝え,それを前提として申告することについて検討するよう依頼した(乙19)。 (イ) 平成27年9月14日の電話等本件調査担当者は,平成27年9月14日,原告に電話をかけ,本件各駐車場収入が原告に帰属することが認められる旨を伝え,その説明を したいので税務署を訪問するよう依頼し,その来署時,本件各土地の使 用貸借契約書及び本件各土地の賃貸借についての収支報告書を持参するよう依頼した。これに対し,原告は,本件調査担当者に対し,①Aが税理士に聞いて申告を行っている旨,②Aから言われるままに申告をした旨,③使用貸借契約書に押印した記憶はなく使用貸借契約書も原告の手元にない旨を述べた。(乙16,19) Aは,平成27年9月14日,上記の電話の直後に,本件調査担当者に電話をかけ,①本件各土地について,原告からA又はBに本件舗装等の贈与があったことを受けて本件各駐車場収入をA又はBの収入として申告している旨,②原告に対して地代を支払っている旨,③本件舗装等について贈与税の申告をしている旨,④それらは税理士に聞いて行って いる旨を述べ,また,⑤先日(同月8日)の調査のときに本件各土地の使用貸借契約書を用意していた旨述べた。これに対し,本件調査担当者は,Aに対し,本件各土地についての使用貸借契約書の写し等を提出するよう依頼した。(乙19,証人A)(ウ) 平成27年9月16日の資料提出 Aの妻は, た。これに対し,本件調査担当者は,Aに対し,本件各土地についての使用貸借契約書の写し等を提出するよう依頼した。(乙19,証人A)(ウ) 平成27年9月16日の資料提出 Aの妻は,平成27年9月16日,枚方税務署を訪れ,本件調査担当者に対し,本件各使用貸借契約書の写しを提出した(乙19)。 (エ) 平成27年10月20日の面談本件調査担当者は,平成27年10月20日,原告の自宅を訪問し,原告及びAと面談した。 Aは,その際,本件調査担当者に対し,平成26年2月以降,本件各土地における賃貸借契約の賃貸人を原告からA又はBに変更しており,本件各駐車場収入はA又はBの収入であることは明らかであるから,その収益はA又はBに帰属する旨を述べた。 また,原告は,その際,本件調査担当者に対し,本件各使用貸借契約, 本件各贈与契約,本件各駐車場管理契約等について,「分からない。」, 「2,3日前のことも忘れている。」旨の回答をすることがあった。(甲23,乙16,19,証人A)(オ) 平成27年11月24日の面談本件調査担当者は,平成27年11月24日,原告の自宅を訪問し,原告と面談した。Aは,その面談中,本件調査担当者に電話をかけ,本 件調査担当者から本件各駐車場収入が原告に帰属する旨伝えられると,本件税理士法人を税務代理人とする旨申し出た(乙19)。 (カ) 平成27年12月1日の資料提出等本件税理士法人は,平成27年12月1日,枚方税務署長に対し,原告を依頼者とし,税務代理の対象となる税目を所得税等,対象となる年 分を平成24年分から平成26年分までとする税務代理権限証書を提出した(甲15,乙17)。 以後の本件調査については,本件調査担当者とF税理士との間でやり取り 税目を所得税等,対象となる年 分を平成24年分から平成26年分までとする税務代理権限証書を提出した(甲15,乙17)。 以後の本件調査については,本件調査担当者とF税理士との間でやり取りがされた(乙19)。 (2) 本件各使用貸借契約書の真正な成立の有無について ア原告は,平成26年1月まで本件各土地の賃貸人として本件各駐車場収入を得ていたところ,同年2月以降の本件各駐車場収入については,本件各使用貸借契約等により,賃貸人がA又はBになり,本件各駐車場収入はA又はBに帰属するものとして本件確定申告をしているから,平成26年2月以降の本件各駐車場収入が原告に帰属するか否かを検討するに当たり, 本件各使用貸借契約が成立したか否かが問題となる。 そして,本件各使用貸借契約書の原告の署名・押印は真正なものであるから(上記認定事実ウ(ア)),民事訴訟法228条4項によれば,本件各使用貸借契約書の原告作成部分は真正に成立したものと推定されることになる(なお,A又はBの作成部分が真正に成立したものであることは弁論 の全趣旨により認められる。)。これに対し,被告は,原告が本件各使用 貸借契約書の内容を全く認識していなかったと認められるから上記推定は働かず,本件各使用貸借契約書は真正に成立しておらず,本件各使用貸借契約も成立していない旨主張する。 そこで,以下では,原告が本件各使用貸借契約書の内容を全く認識していなかったとして本件各使用貸借契約書が真正に成立したとの推定が働か ないといえるか否かについて検討する。 イ原告が本件各使用貸借契約書の内容を全く認識していなかったか否か(ア) 本件調査時の原告の対応等から,原告が本件各使用貸借契約書の内容を認識していなかったと認められるか否か被告は,前記 イ原告が本件各使用貸借契約書の内容を全く認識していなかったか否か(ア) 本件調査時の原告の対応等から,原告が本件各使用貸借契約書の内容を認識していなかったと認められるか否か被告は,前記第2の5(3)(被告の主張)ア(ア)bのとおり,①原告が, 平成27年9月頃の本件調査の際,本件調査担当者に対し,平成26年2月以降の本件各駐車場収入をA又はBが自らの収入として申告をすることとなった経緯等の詳しいことは分からない旨の回答をした上,本件各使用貸借契約書について一貫して知らない旨を述べていたことからすると,本件各使用貸借契約書の作成及び存否を認識していなかったと認 められ,②本件各取引が,本件税理士法人が企図したものであり,本件税理士法人が本件各使用貸借契約書のひな型を用意したものと認められることからすると,原告は,Aから本件税理士法人が作成した本件各使用貸借契約書のひな型への署名・押印を求められ,その記載内容を一切確認せず,言われるがままこれに応じたことが強く推認される旨主張す る。そこで,以下検討する。 a 本件各使用貸借契約書への署名・押印の際の状況原告は,平成26年1月頃当時,82歳であったが,意思能力に特段の問題はなかったところ(前記前提事実(1)ア),上記認定事実イ(ア)~(ウ)のとおり,本件各使用貸借契約書の作成を含む本件各取引は, 原告の意向を受けたAがF税理士の助言に基づいて主導的に進めたも のであるが,本件各使用貸借契約書の内容,原告が多数の不動産を所有し賃料収入等を得ていたこと,原告の行動傾向等に照らしても,Aが,原告に対し,本件各取引を進めるに当たって,その内容について何らの説明をせず,又はその内容について全く理解をさせないまま,本件各使用貸借契約等の契約書に署 こと,原告の行動傾向等に照らしても,Aが,原告に対し,本件各取引を進めるに当たって,その内容について何らの説明をせず,又はその内容について全く理解をさせないまま,本件各使用貸借契約等の契約書に署名・押印させたとは考え難く,ま た,原告が,本件各使用貸借契約書の内容を理解せず,確認もしないまま署名・押印をしたとも考え難い。 b 本件確定申告における原告の行動また,上記認定事実カ(ア)・(イ)のとおり,原告は,平成27年2月4日,K農協が実施する「確定申告相談受付」のため1人でK農協 L支店を訪問して確定申告書(本件確定申告書)を作成しており,本件確定申告において,本件各土地の賃貸契約期間が平成26年1月の1か月間であるとして不動産所得に係る収入を算定しているから,平成27年2月4日には,平成26年2月以降の本件各駐車場収入が原告に帰属していなかったことを認識していたと認められる。 c 被告の主張(上記①)について被告の主張(上記①)については,上記認定事実キ(ア)・(イ)・(エ)のとおり,原告は,平成27年9月8日に行った面談や同月14日に受けた電話において,本件各土地の使用貸借契約書の存在は知らず,そのような契約書に押印した記憶がないなどと述べたことや,同年1 0月20日にAとともに受けた面談において,本件各使用貸借契約書等についての質問に対し,「分からない」などと述べたことが認められる。 しかし,原告が本件調査において受けた面談や電話は,本件各取引がされたとされる平成26年1月頃から1年7か月以上も経過した後 のものであった。 また,㋐Aは,原告が平成27年9月8日の面談の後,「税務署の人が急に来て怒られたじゃないかと言っていた。」と証言しており(証人A),㋑本件 月以上も経過した後 のものであった。 また,㋐Aは,原告が平成27年9月8日の面談の後,「税務署の人が急に来て怒られたじゃないかと言っていた。」と証言しており(証人A),㋑本件調査担当者は,同日の面談において,それが初めての面談であったにもかかわらず,「本件各駐車場収入は,原告に帰属する」旨伝えていることから(上記認定事実キ(ア)),本件各駐車場収 入が原告に帰属するはずであるとの確信を持って面談に臨んでいたとみられ,上記㋐,㋑から本件調査担当者が上記面談においてある程度強い態度で原告に質問等をしていたことがうかがわれるところ,原告が,上記面談において,緊張・動揺し,又は非難されたと感じて防御的になるなどして,自らの認識を適切に伝えることができなかった可 能性も否定できない。 そして,原告が本件調査において,「平成26年2月以降の本件各駐車場収入はA又はBが自らの収入であるとして確定申告をしたことは知っていたが,詳しいことは分からない」旨答えたことや(上記認定事実キ(ア)),原告が本件各取引をした当時,82歳と高齢であっ たことを考慮すると,本件各使用貸借契約書に署名・押印する際,Aから説明を受けるなどし,本件各土地の賃貸人がA又はBになり,それに伴い本件各駐車場収入がA又はBに帰属することになるという枠組みについては理解し,了承もしていたが,個々の契約の法的な意味等の詳細については理解していなかったということが十分考えられる。 d 被告の主張(上記②)について被告の主張(上記②)については,本件税理士法人が本件各取引を企図し,本件各使用貸借契約書のひな型を作成したものであったとしても,Aは,その企図を理解していたということはできるし,助言を依頼していた専門家にひな型を用意 ついては,本件税理士法人が本件各取引を企図し,本件各使用貸借契約書のひな型を作成したものであったとしても,Aは,その企図を理解していたということはできるし,助言を依頼していた専門家にひな型を用意してもらうことは何ら不自然なこ とではないから,それらの事実をもって,原告が本件各使用貸借契約 書の内容を確認しなかったとか,言われるがまま署名・押印したことを推認させるものではないというべきである。 e 以上の事情を総合すれば,原告は,Aから説明を受け,本件各取引により本件各土地の賃貸人がA又はBになるという枠組みについては理解・了解し,そのような認識の下で本件各使用貸借契約書に署名・ 押印したものの,その法的な意味等の詳細までは理解していなかった可能性が十分にあり,そうであれば,署名・押印してから1年7か月以上も経過してされた上記の面談や電話において,本件各使用貸借契約書について質問を受けても,的確に答えることができず,押印した記憶がないなどと述べたとしても不自然ではない。また,Aが,上記 面談時に,緊張・動揺し,又は非難されたと感じて防御的になるなどして,自らの認識を適切に伝えることができなかった可能性があることも考慮に入れる必要がある。そうすると,原告の上記の面談や電話での対応をもって,原告が本件各使用貸借契約書のひな型への署名・押印を求められた際,その記載内容を一切確認せず,言われるがまま これに応じたと推認することはできない。 以上によれば,原告は,Aから本件税理士法人が作成した本件各使用貸借契約書のひな型への署名・押印を求められ,その記載内容を一切確認せず,言われるがままこれに応じたと推認することはできない。 かえって,本件各使用貸借契約書の署名・押印に至る経緯(上記認定 事実イ,ウ のひな型への署名・押印を求められ,その記載内容を一切確認せず,言われるがままこれに応じたと推認することはできない。 かえって,本件各使用貸借契約書の署名・押印に至る経緯(上記認定 事実イ,ウ),本件各使用貸借契約書の記載内容その他本件各取引の内容(上記認定事実ウ),原告の知識・経験・行動傾向等(前記前提事実(1),上記認定事実イ),本件各取引後の取引実態(上記認定事実エ),本件確定申告における原告の行動(上記認定事実カ)等を総合すれば,原告が本件各使用貸借契約書の基本的な内容を認識した上で 本件各使用貸借契約書に署名・押印した事実を優に認定することがで きる。 (イ) 本件各使用貸借契約書が本件調査開始後に作成されたものであるか否か被告は,本件各使用貸借契約書は,原告が主張する平成26年1月25日には作成されておらず,本件調査開始後に作成されたものであると 考えられる旨主張する。そこで,以下検討する。 a 本件各贈与契約書の確定日付等本件各取引についてみると,本件各贈与契約書は,いずれも平成26年1月27日付けの確定日付が付されている(上記認定事実ウ(イ))。 また,本件各不動産管理業者が同年2月以降の本件各駐車場収入を, A又はBの銀行口座に振り込んでいること(上記認定事実エ(ア))等を総合すれば,本件各駐車場管理契約書も,その作成日付である同年1月30日又は同年2月1日に作成されたものであると推認できる。 そして,本件各取引は,平成26年2月以降の本件各駐車場収入がA又はBに帰属するようにされたものと認められるところ,本件各使 用貸借契約書についても,同月より前に作成されたものと推認でき,その作成日付である同年1月25日に作成されたとみるのが自然である。 b 被告の主張について ものと認められるところ,本件各使 用貸借契約書についても,同月より前に作成されたものと推認でき,その作成日付である同年1月25日に作成されたとみるのが自然である。 b 被告の主張についてこれに対し,被告は,第2の5(3)(被告の主張)ア(ア)cのとおり, 本件調査担当者が平成27年9月8日及び同月14日,原告に使用貸借契約書の提出を求めたのに対し,同月16日になって,Aの妻から提出されたことや,本件各使用貸借契約書と本件各贈与契約書が,いずれもそのひな型が本件税理士法人により同時期に交付されたというのにその書式が異なっていることや,本件各贈与契約書にのみ確定日 付が付されたことが,不自然であるとして,本件調査後に作成された 旨主張する。 しかし,上記認定事実キ(ア)・(イ)のとおり,本件調査担当者が原告に対し,使用貸借契約書を提出するよう求めたのは,平成27年9月14日に原告に電話をかけたときで,来署時に持参するよう伝えたときであったと認められ(同月8日に提出を求めたことを認めるに足 りる証拠はない。),その2日後にAの妻から本件各使用貸借契約書が提出されているから,その提出の過程に不自然な点はみられない。 また,Aが,同月14日,原告が電話を受けた直後に本件調査担当者に電話をかけ,同月8日の面談のときに使用貸借契約書を用意していた旨述べているから(上記認定事実キ(イ)),そのとき以前から本件 各使用貸借契約書が存在していたものと推認される。 また,本件各使用貸借契約書と本件各贈与契約書の内容は大きく異なっていることから,それぞれ別の書式を基にしたひな型を用いたとしても,それが不自然であるということはできない。そして,A又はBが本件舗装等について贈与税の申告をしたことからすると(上記 は大きく異なっていることから,それぞれ別の書式を基にしたひな型を用いたとしても,それが不自然であるということはできない。そして,A又はBが本件舗装等について贈与税の申告をしたことからすると(上記認 定事実ウ(イ)),その申告のために本件各贈与契約書に確定日付を付したものとみることができるのであって,本件各使用貸借契約書に確定日付が付されていないこととの違いをもって,不自然であるということもできない。 c そうすると,本件各使用貸借契約書は,その作成日付にあるとおり, 平成26年1月25日に作成されたと推認できる一方で,それを覆すに足りる事情は見当たらないというべきであるから,本件各使用貸借契約書が本件調査後に作成されたとする被告の主張は,採用することができない。 (ウ) 小括 以上によれば,原告が本件各使用貸借契約書の署名・押印時にその内 容を全く認識していなかったと認めることはできず,かえって,原告が本件各使用貸借契約書の基本的な内容を認識した上で本件各使用貸借契約書に署名・押印した事実を優に認定することができる。 ウまとめ本件各使用貸借契約書の原告の署名・押印が真正なものであり,本件各 使用貸借契約書が真正に成立したものと推定されるところ,この推定を覆す事情は見当たらない。 (3) 本件各使用貸借契約について処分証書の法理にいう「特段の事情」が認められるか否かア上記(2)で検討したとおり,本件各使用貸借契約書は真正に成立したもの と認められるところ,経験則に照らせば,本件各使用貸借契約書のような処分証書が真正に成立していれば,「特段の事情」がない限り,作成者によって記載どおりの行為がされたことを認めるべきである(処分証書の法理)。本件に即してみると,本件各使用貸借契約書 借契約書のような処分証書が真正に成立していれば,「特段の事情」がない限り,作成者によって記載どおりの行為がされたことを認めるべきである(処分証書の法理)。本件に即してみると,本件各使用貸借契約書には「使用貸借契約書」という表題があり,その記載内容も前記前提事実(4)ウのとおり比較的複雑 なものとはいえないから,本件各使用貸借契約書が原告の意思に基づいて作成された以上,「特段の事情」がない限り,原告によって記載どおりの行為がされたことが認められることになる。 そして,被告は,第2の5(3)(被告の主張)ア(イ)のとおり,上記の「特段の事情」として,①本件各取引は,社会通念上,およそ土地から独立し て取引の対象とならない本件舗装等を贈与する本件各贈与契約や,10年間で8000万円を超える多額の本件各駐車場収入を失うこととなる原告が認識すらしていない本件各使用貸借契約等の形式を用いた一連の取引であって,通常採られる法律的形式とは一致しない異常なものであること,②本件各使用貸借契約書等の作成目的は,本件各土地の権利関係及び利用 関係を特段変更させないまま,原告の賃料収益を原告より所得の少ないA 又はBに分散させる形にすることで原告の所得税等や地方税の軽減を図るとともに,原告の相続税対策の一環として,原告が所有する不動産から生ずる賃料収益の一部を親族間で分散する形にすることにより,総体としての租税負担を軽減させることにあったというべきであること,③このような目的の下,本件各土地の所有権を原告に留保したまま,その使用収益権 のみを相応の対価を発生させることなく一見他に移転したかのように装う方法として,A又はBへの本件各土地の使用貸借及び本件舗装等の贈与という形式が採られたものと認められることを挙げる。そこで,以 のみを相応の対価を発生させることなく一見他に移転したかのように装う方法として,A又はBへの本件各土地の使用貸借及び本件舗装等の贈与という形式が採られたものと認められることを挙げる。そこで,以下検討する。 イ被告が主張する「特段の事情」について (ア) 上記アの①の主張(本件各取引の異常性)について本件各贈与契約は,本件各土地と一体となる本件舗装等を贈与の対象とするものであって法律上の意味の乏しいものではあるが,本件各贈与契約や本件各取引の内容,一連の契約締結過程等(上記認定事実イ,ウ)に照らせば,契約当事者の意思としては,本件各土地の賃貸人がA又は Bとなることを明確にする意図で契約を締結しようとしたものであったと解される。そうすると,本件各贈与契約が上記のようなものであるからといって,本件各取引全体が異常なものであるとか濫用的であるとまではいえない。 また,本件各取引によって,本件各駐車場収入がA又はBに帰属する ことになるが,原告とA・Bは親子の関係にあり,原告が十分な収入を得ており(原告の平成25年分の確定申告における不動産収入の合計額は2868万6096円〔上記認定事実オ〕),高齢でもあったことにも照らすと,本件各駐車場収入が本件各土地の所有者ではないA又はBに帰属するからといって本件各取引が社会通念に照らして異常なもので あるということはできない。 以上によれば,社会通念に照らして,本件各取引が特段不自然又は不合理であるということはできず,本件各取引の一環としてされた本件各使用貸借契約もまた異常なものであるということはできない。 (イ) 上記アの②の主張(租税負担軽減目的)について原告及びA又はBの本件各取引を行う目的として,原告及びA又はB が支払う租税の合計 貸借契約もまた異常なものであるということはできない。 (イ) 上記アの②の主張(租税負担軽減目的)について原告及びA又はBの本件各取引を行う目的として,原告及びA又はB が支払う租税の合計額を軽減させることにあったことは認められるものの(上記認定事実イ(ア)),このような目的があったことと,本件各使用貸借契約の内容どおりの行為がされたこととは両立し得るというべきである。すなわち,上記の目的を有しつつ,本件各使用貸借契約を締結するということがあり得る(言い換えれば,節税効果を発生させること を動機として本件各使用貸借契約を締結することはあり得るのであって,節税の動機と目的物を無償で使用収益させる意思とは併存し得るものである)から,上記の目的がある場合であっても,直ちに本件各使用貸借契約書に記載どおりの行為がされたとの経験則を妨げる「特段の事情」があるとすることはできないというべきである。 (ウ) 上記アの③の主張(装う方法としての形式)について本件各不動産管理業者は,平成26年2月以降,A又はBの銀行口座に本件各駐車場収入を振り込むようになるなど,A又はBが賃貸人であることを前提とする行動をとっていること(上記認定事実オ(ア)),G等土地については,同月1日から賃貸人の地位がAに変更したことが各 賃借人に周知され,同日以降,各区画の賃借人が賃貸借契約の更新又は変更をする際には,賃貸人をAとするG等土地賃貸借契約を締結したこと(上記認定事実オ(イ)),H土地については,Bが,Iとの間で,賃貸借期間を同日から2年として以後2年ごとに更新するとするH土地賃貸借契約を締結したこと(上記認定事実エ(ウ)b),Aは同月以降G等 土地の賃貸人としての各種の行動をとっていること(上記認定事実エ(エ) ~ して以後2年ごとに更新するとするH土地賃貸借契約を締結したこと(上記認定事実エ(ウ)b),Aは同月以降G等 土地の賃貸人としての各種の行動をとっていること(上記認定事実エ(エ) ~(カ)),A又はBから原告に対して本件各使用貸借契約書で定められた金員(固定資産税等相当額)を振り込んだにとどまり,本件各駐車場収入の全て又は大半の額は振り込んでいないこと(上記認定事実エ(ア))等の事情を総合すれば,同月以降,本件各土地の使用収益権はA又はBにあり,本件各土地の賃貸人はA又はBであり,それらは仮装されたも のではないと認められる。 したがって,原告及びA又はBが,真実は本件各土地の使用収益権は原告からA又はBに与えられていないのに,本件各使用貸借契約によってこれらが与えられたかのように装っている,と認めることはできないというべきである。 (エ) 上記アの①~③以外の被告の主張について被告は,上記アの①~③のほか,本件各取引についての不自然な事情として,㋐本件各駐車場管理契約書には原告の署名・押印がされていないこと,㋑G等土地の所定の区画ごとの賃貸借契約は,平成26年2月1日以降,全ての賃借人との間で,賃貸人がAに変更になる旨の合意を していないこと,㋒G等駐車場管理契約書には,管理不動産の表示として,分筆された土地が分筆される前の土地の住所が記載されていたり,「所在地」欄に幾つも誤った住所が記載されていたりしていること,㋓H土地賃貸借契約に係る契約書は同月1日付けで作成されているにもかかわらず,それらの契約書の物件目録として,いずれも同年8月8日に 取得した登記事項証明書が添付されていることも指摘する(第2の5(3)〔被告の主張〕ア(イ))。 しかし,上記㋐については,本件各使用貸借契約によ 書の物件目録として,いずれも同年8月8日に 取得した登記事項証明書が添付されていることも指摘する(第2の5(3)〔被告の主張〕ア(イ))。 しかし,上記㋐については,本件各使用貸借契約によって,A又はBが原告から本件各土地の使用収益権を与えられるに至っている以上,A又はBと本件各不動産管理業者との間で駐車場管理業務の委任契約(本 件各駐車場管理契約)が締結されることについて何ら問題はなく,その ような契約が原告と関わりなく締結されたとしても不自然ではない。 また,上記㋑については,G等土地の区画ごとに契約している賃借人のそれぞれと新たに賃貸人を変更する契約を締結することは煩雑であるところ,原告とAとの間で使用貸借契約を締結するなどすれば目的を達することができるとして,まずは本件各取引を行い,各賃借人との関係 では,賃貸人が原告からAに変更した旨を知らせておき(上記認定事実エ(イ)),賃貸借契約の更新又は変更をする際,賃貸人をAとするG等土地賃貸借契約を締結するということには相応の合理性があり,不自然なものとはいえない。 さらに,上記㋒・㋓については,それらの点をもって,本件各取引が 実体のないものであるなどということはできず,本件各使用貸借契約書に記載されたとおりの行為がされたとの経験則を妨げる「特段の事情」とはならないというべきである。 (オ) 小括以上によれば,被告が主張する事情をもって,真正に成立した処分証 書である本件各使用貸借契約書の記載どおりの行為がされたとの経験則を妨げる「特段の事情」であるということはできない。 ウまとめそして,被告が「特段の事情」であると主張する事情のほかに,本件各使用貸借契約書の記載どおりの行為がされたとの経験則を妨げる「特段の 事情」は 情」であるということはできない。 ウまとめそして,被告が「特段の事情」であると主張する事情のほかに,本件各使用貸借契約書の記載どおりの行為がされたとの経験則を妨げる「特段の 事情」は見当たらないから,本件各土地の引渡しの事実(前記前提事実(4)エ)と併せて,本件各使用貸借契約書の記載どおり,本件各使用貸借契約は成立したと認められる(なお,A又はBは,原告に対し,G等土地又はH土地の各年の固定資産税等の合計額相当額を支払うこととされているが〔前記前提事実(4)ウ(ウ)〕,それは使用収益に対する対価の意味を持つも のとは認められないから,本件各使用貸借契約は,民法上の使用貸借契約 の性質を有するものと解される〔最高裁昭和41年(オ)第527号同年10月27日第一小法廷判決・民集20巻8号1649頁参照〕。)。 (4) 所得税法上,本件各駐車場収入が原告に帰属すると認められるか否かア本件各土地の賃貸借に関する民法上の法律関係上記(2)及び(3)で検討したとおり,本件各使用貸借契約は成立した(す なわち,本件各使用貸借契約書は真正に成立し,本件各使用貸借契約書と引渡しによりその記載どおり本件各使用貸借契約が成立した)と認められるところ,使用貸借契約は対価を払わないで他人の物を借りて使用収益する契約であるから(民法593条),A又はBは,平成26年2月以降,原告から,本件各土地の使用収益権を与えられたことになる。そして,A 又はBは,本件各土地の使用収益権に基づき,第三者との間で賃貸借契約を締結し,本件各土地の賃借人から本件各駐車場収入を得ることになる。 他方,原告は,本件各土地の所有者ではあるが,平成26年2月以降は,本件各使用貸借契約の締結により,本件各土地の使用収益権をA又はBに与えたため, 地の賃借人から本件各駐車場収入を得ることになる。 他方,原告は,本件各土地の所有者ではあるが,平成26年2月以降は,本件各使用貸借契約の締結により,本件各土地の使用収益権をA又はBに与えたため,A又はBが賃貸人ということになるから,本件各土地の賃貸 借契約の賃貸人ではなくなり,本件各駐車場収入を得ることはできないことになる(実際にも本件各駐車場収入を得ていない。)。 イ所得税法12条との関係所得税法12条は,資産又は事業から生ずる収益の法律上帰属するとみられる者が単なる名義人であって,その収益を享受せず,その者以外の者 がその収益を享受する場合には,その収益は,これを享受する者に帰属するものとして,所得税法の規定を適用する旨規定する。 上記アのとおり認められる本件各土地の賃貸借に関する民法上の法律関係を,所得税法12条の規定に照らしてみると,A又はBは,「資産又は事業から生ずる収益の法律上帰属するとみられる者」に該当するというべ きである。そして,A又はBは,賃貸人として本件各駐車場収入を得るこ とになり,実際にも,平成26年2月以降,A又はBの銀行口座に本件各駐車場収入が振り込まれており(上記認定事実エ(ア)),本件各駐車場収入を収益として享受しているから,「単なる名義人であって,その収益を享受」しないということはできない。さらに,原告は,同月以降,本件各駐車場収入を収益として享受していないから,「その者以外の者がその収 益を享受する場合」における「その者以外の者」に当たるということもできない。 また,所得税基本通達12-1は,所得税法12条における「資産…から生ずる収益」を享受する者の判定について定めた通達であり,同条の適用上,資産から生ずる収益を享受する者が誰であるかは,その収益の基因 た,所得税基本通達12-1は,所得税法12条における「資産…から生ずる収益」を享受する者の判定について定めた通達であり,同条の適用上,資産から生ずる収益を享受する者が誰であるかは,その収益の基因 となる資産の真実の権利者が誰であるかにより判定すべきであるが,それが明らかでない場合には,その資産の名義者が真実の権利者であるものと推定する旨規定する。 これを本件についてみると,「その収益の基因となる資産の真実の権利者」は,本件各土地の使用収益権を有するA又はBであるということにな ると解され,「それが明らかでない場合」には当たらないということになる。 したがって,本件において,所得税法12条の適用により,平成26年2月以降の本件各駐車場収入の帰属が原告にあるということはできないというべきである。すなわち,A又はBが原告所有の本件各土地を第三者に 賃貸しており,原告とA又はBとの間に本件各使用貸借契約が締結されている本件において,本件各使用貸借契約により原告からA又はBに本件各土地の使用収益権が与えられていることになるから,当該賃貸に係る賃料収入(本件各駐車場収入)はA又はBに帰属することになる。 ウ被告の主張について (ア) 被告は,第2の5(3)(被告の主張)イのとおり,①不動産所得は, 収益の起因となる資産の所有に着目し,当該資産を有していることに一定の担税力を見いだして設けられた所得区分であるといえるなどとして,所得税法12条の解釈により不動産所得の帰属を判断する場合には,真実の権利者である資産の所有者に帰属し,②当該資産について,使用貸借又は賃貸借がされ,使用借主又は賃借人が当該資産の使用収益権を得 たからといって,直ちに不動産所得における担税力までも有するようになるとは評価できず 所有者に帰属し,②当該資産について,使用貸借又は賃貸借がされ,使用借主又は賃借人が当該資産の使用収益権を得 たからといって,直ちに不動産所得における担税力までも有するようになるとは評価できず,当該資産の真実の権利者として当該資産から生ずる収益を享受し,担税力を有するのは誰であるかという観点から,その収益の人的帰属を判断すべきであり,③使用貸借がされた場合,使用借権は,極めて弱い権利であるのみならず,課税上その経済的価値を有す るものではないとされる上,使用貸借の目的物を第三者に賃貸して収益を獲得するか否かは使用貸借の貸主(目的物の所有者)が決定するものとされていることからすれば,使用借権は収益の基因とはなり得ず,使用借主がその収益を享受する者として担税力を有することとなるということはできず,当該資産から得られる所得は帰属せず,④同法13条が, 同法12条の例外として,受益者を信託財産の所有者とみなして課税するという特別の規定を設けており,また,土地を無償で借りて月ぎめによる青空駐車場として利用した場合の所得が,所有者に帰属するとの取扱いは,現在に至るまで定着している課税実務であり,⑤A又はBが本件各駐車場収入を得ることは,原告が本件各土地を使用収益することを 承認した場合の反射的効果にすぎず,A又はBは同条の解釈において単なる名義人にすぎない旨主張する。そこで,以下検討する。 (イ) 上記①~③について被告の上記①・②の主張について,所得税は,個人の所得に対する租税であるから,民法上認められる所得の帰属の有無を離れて,専ら被告 がいうところの「担税力」を有するか否かによって,所得の帰属が決ま ると解することはできないというべきである。そして,このことは,当該所得が不動産所得であるからと を離れて,専ら被告 がいうところの「担税力」を有するか否かによって,所得の帰属が決ま ると解することはできないというべきである。そして,このことは,当該所得が不動産所得であるからといって異ならないというべきである。 また,被告は,上記③として,使用借権は収益の基因とはなり得ない旨主張するが,使用借主が目的物の使用収益権(民法593条)を有する以上,その使用収益権に基づいて得られる収益の帰属が否定されるこ とはないというべきである。 被告の上記①~③の主張は,所得税法上の収益の帰属については,民法上の所得の帰属を基準とするのではなく,被告が主張するところの「担税力」,すなわち,当該不動産が有するいわば潜在的な価値の帰属を基準とすべきであるというものとも解されるが,所得税が所得に対する租 税であることからすると,そのような見解は採用することができない。 そして,本件において,A又はBは,所有者である原告から,本件各土地の使用収益権を与えられ,これに基づき本件各土地を賃貸し,賃貸人としての地位に基づき本件各駐車場収入を得ているのであって,民法上,形式上も実質上もその収益を享受しているのであるから,所得税法 上においても,収益の帰属主体であるとみるべきである。 (ウ) 上記④について被告の上記④の主張について,上記の説示に照らせば,所得税法13条の規定ぶりや上記の課税実務によって,上記判断が左右されるものではない。 (エ) 上記⑤について被告の上記⑤の主張について,本件各駐車場収入は,民法上,A又はBに帰属しているにもかかわらず,これを反射的効果にすぎないとして否定することはできないというべきであり,A又はBが所得税法12条における単なる名義人にすぎないなどということはできない。 ,A又はBに帰属しているにもかかわらず,これを反射的効果にすぎないとして否定することはできないというべきであり,A又はBが所得税法12条における単なる名義人にすぎないなどということはできない。 エまとめ したがって,所得税法上,本件各駐車場収入は,原告に帰属するとは認められず,A又はBに帰属すると認められる。 (5) 争点(3)の結論以上によれば,平成26年2月以降の本件各駐車場収入は,原告に帰属せず,A又はBに帰属するというべきである。 4 本件更正処分等の適法性以上のとおり,平成26年2月以降の本件各駐車場収入が原告に帰属しないとの判断を前提に,掲記の証拠及び弁論の全趣旨により原告の平成26年分の所得税等の額を計算すると,別紙「原告の平成26年分の所得税等の額の計算」記載のとおりとなることが認められる。 これによれば,本件訴えのうち,却下を免れない部分を除いた部分(上記1及び2で説示のとおり)に係る原告の請求,すなわち,本件更正処分の取消請求のうち本件更正請求における請求額(不動産所得の金額1804万5491円,納付すべき税額〔予定納税額控除前のもの〕472万7600円)を超える部分の取消しを求める部分及び本件賦課決定処分の取消請求は,いずれも理 由がある。 5 文書提出命令の申立て事件(大阪地方裁判所令和元年(行ク)第86号事件)について原告は,本件調査時における原告の様子や態度を詳細に検討する必要があると主張して,被告が提出した調査経過記録書(乙11)の黒塗り部分がないも の,同調査経過記録書を作成の基となった調査報告書(9通)並びに調査報告書(乙16)の作成の基となった電子メール及び録音データについて,文書提出命令の申立てをする。 しかし,本件においては の,同調査経過記録書を作成の基となった調査報告書(9通)並びに調査報告書(乙16)の作成の基となった電子メール及び録音データについて,文書提出命令の申立てをする。 しかし,本件においては,当裁判所に提出済みの証拠から,判断に必要とされる事実を認定することができ,原告が必要であるとする上記事項の検討のた めに原告が提出を求める証拠を取り調べる必要はないものと認められる。 したがって,原告の文書提出命令の申立ては,理由がないからこれを却下することとする。 第4 結論以上の次第で,本件訴えのうち,本件通知処分の取消請求に係る部分及び本件更正処分のうち更正の請求額を超えない部分(不動産所得の金額1804万54 91円,納付すべき税額〔予定納税額控除前のもの〕472万7600円を超えない部分)の取消請求に係る部分はいずれも不適法であるからこれらを却下し,原告のその余の請求はいずれも理由があるからこれらを認容することとして,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第7民事部 裁判長裁判官山地 修 裁判官宮端謙一は,転補のため,裁判官渡邊直樹は,退官のため,いずれも署名 押印することができない。 裁判長裁判官山地 修

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