令和6(わ)46 死体遺棄、殺人被告事件

裁判年月日・裁判所
令和7年2月21日 高松地方裁判所
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判決文本文1,489 文字)

- 1 - 主文 被告人を懲役6年に処する。 未決勾留日数中300日をその刑に算入する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は第1 自己が平成30年12月上旬頃に出産したA(呼名)の死体を葬祭しなければならない義務があったのに、その頃から令和6年2月14日までの間、高松市(住所省略)被告人方において、その死体をビニール袋等に入れるなどして同所に放置し、もって死体を遺棄した第2 令和2年4月中旬頃、男児であるBを出産したものであるが 1 同月下旬頃、前記被告人方において、Bに対し、殺意をもって、その鼻口部を濡れたタオルで覆って呼吸を困難にさせ、よって、その頃、同所において、Bを窒息死させて殺害した 2 Bの死体を葬祭しなければならない義務があったのに、同月下旬頃から令和6年2月14日までの間、前記被告人方において、その死体をビニール袋等に入れるなどして同所に放置し、もって死体を遺棄した第3 自己が令和5年6月下旬頃に出産したCの死体を葬祭しなければならない義務があったのに、その頃から令和6年2月14日までの間、前記被告人方において、その死体をビニール袋等に入れて同所に放置し、もって死体を遺棄した。 (証拠の標目)(略)(法令の適用)(略)(量刑の理由)- 2 -本件殺人について、被告人は、父親不明の男児を育てる気もないまま出産し、赤ちゃんポストに届けるなどしようと考えたものの、体力低下や生活の困窮などもあってこれを断念し、判示第1の死体遺棄の発覚をおそれて公的機関等への相談もせず、これまでの生活を維持するために、その男児を生かそうとする努力を放棄し、殺害を決意した。その犯行態様は、抵抗することのできないえい児の顔に濡れたタオルをかけて窒息死させる 公的機関等への相談もせず、これまでの生活を維持するために、その男児を生かそうとする努力を放棄し、殺害を決意した。その犯行態様は、抵抗することのできないえい児の顔に濡れたタオルをかけて窒息死させるという悪質なもので、生命の尊厳を軽んじる犯行であり、厳しく非難されるべきである。生きるために唯一頼ることのできた母親から、このように生命を蔑ろにされた被害児の死亡の結果が重大であることは明らかである。 生活に困窮するに至った点や他に救済を求める手段を検討しなかった点について、ADHDの影響があった可能性は否定できない。しかし、被告人は、10日前後養育した後、諦めて殺害を決意したのであって、衝動性はうかがわれない。本件殺人にADHDが与えた影響は大きいとはいえず、この障害特性を理由に刑責を減じるにも限度がある。加えて、被告人がこの男児のほか2名のえい児の死体を長期間放置する死体遺棄にも及んだことに照らせば、本件は、殺人の法定刑の下限である懲役5年を超える刑を選択すべきである。 他方、社会福祉士らによる支援の道筋が示され、被告人は、今後、その支援を受け、よく相談して行動すると誓った。また、被告人は、自分に不利益なことも積極的に供述し、亡くなった子らに謝罪して弔い続けること、正業に就いて就労を継続すること、これらによって、自分自身を大切にして、他から頼られる存在となることを誓った。被告人には前科もない。これら酌むことができる事情を考慮し、被告人の更生を期待して、主文の刑に処するのが相当と判断した。 (求刑懲役7年)令和7年2月21日高松地方裁判所刑事部 裁判長裁判官深野英一- 3 - 裁判官荒井智也 判所刑事部 裁判長 裁判官 深野英一 裁判官 荒井智也 裁判官 池内継史

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