【DRY-RUN】主 文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人らの負担とする。 理 由 上告代理人長島兼吉の上告理由第一点について 他人の土地の継続的な用益という
主 文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人らの負担とする。 理 由 上告代理人長島兼吉の上告理由第一点について 他人の土地の継続的な用益という外形的事実が存在し、かつ、その用益が賃借の 意思に基づくものであることが客観的に表現されているときには、民法一六三条に より、土地の賃借権を時効取得するものと解すべきことは、当裁判所の判例とする ところであり(昭和四二年(オ)第九五四号同四三年一〇月八日第三小法廷判決・ 民集二二巻一〇号二一四五頁、同五一年(オ)第九九六号同五二年九月二九日第一 小法廷判決・裁判集民事一二一号三〇一頁)、他人の土地の所有者と称する者との 間で締結された賃貸借契約に基づいて、賃借人が、平穏公然に土地の継続的な用益 をし、かつ、賃料の支払を継続しているときには、前記の要件を満たすものとして、 賃借人は、民法一六三条所定の時効期間の経過により、土地の所有者に対する関係 において右土地の賃借権を時効取得するに至るものと解するのが相当である。 これを本件についてみるに、原審は、(1) 本件土地を含む分筆前の原判示a番 bの土地は、もと上告人らの祖父Dの所有であつたところ、上告人らは、Dの死亡 に伴い相続により右土地の所有権を取得したEほか九名からそれぞれ三分の一の割 合による共有持分の贈与を受け、昭和四三年四月八日、その旨の共有持分移転登記 を経由した、(2) Fは、昭和三年の新潟県c町の大火の後間もなく、Dから分筆 前の前記土地の提供を受け、その一部である本件土地上に本件建物を建築し、これ を所有してきたが、その後、Fの隠居に伴いGが、次いで同人の死亡に伴いHが、 それぞれ家督相続により本件建物の所有権を承継取得した、(3) Iは、昭和二五 年五月一二日、Hから本件建物を買受けると同時に、その敷地であ が、その後、Fの隠居に伴いGが、次いで同人の死亡に伴いHが、 それぞれ家督相続により本件建物の所有権を承継取得した、(3) Iは、昭和二五 年五月一二日、Hから本件建物を買受けると同時に、その敷地である本件土地を建 - 1 - 物所有の目的、賃料一年一六〇〇円の約定で賃借し、同月二五日本件建物につき右 売買を原因とする所有権移転登記を経由したものであるが、その際、Hは、Iに対 し、本件土地を含む分筆前の前記土地は、FがDから買受けてその所有権を取得し たものではあるが、なお問題があり、Iに不利益が及ぶようなことがあれば、Hに おいて責任を持つ旨を約した、(4) Iは本件建物に居住し、その敷地として本件 土地を使用する一方、その賃料はHの姉を通じてHに支払つてきた、(5) Iは昭 和四六年八月三一日に死亡し、被上告人らが相続によつて同人の地位を承継したも のであるところ、同人の死亡後は、被上告人Bが、本件建物に居住し、前同様の方 法で昭和五五年分まで賃料の支払いを続けてきた、(6) I及び被上告人らは、以 上の期間中、上告人らや本件土地の前所有者から本件土地の明渡を求められること はなかつた、(7) 被上告人らは、昭和五八年八月四日の本訴第一審口頭弁論期日 において、Iは本件土地について用益を開始した昭和二五年五月一二日から二〇年 を経た昭和四五年五月一二日の経過とともに本件土地の所有者に対抗することがで きる賃借権を時効により取得したとして、右時効を援用する旨の意思表示をした、 との事実を確定している。以上の事実認定は、原判決挙示の証拠関係に照らし正当 として是認することができ、その過程に所論の違法はない。そして、右の事実関係 のもとにおいては、Iの本件土地の継続的な用益が賃借の意思に基づくものである ことが客観的に表現されているものと認めるのが相当であるから、同人は、民法 、その過程に所論の違法はない。そして、右の事実関係 のもとにおいては、Iの本件土地の継続的な用益が賃借の意思に基づくものである ことが客観的に表現されているものと認めるのが相当であるから、同人は、民法一 六三条所定の二〇年の時効期間を経た昭和四五年五月一二日の経過により、本件土 地の所有者である上告人らに対する関係において本件土地の賃借権を時効取得した ものであり、被上告人らは、Iの死亡に伴い、相続により右賃借権を承継取得した ものということができる。これと同旨の原審の判断は相当であり、原判決に所論の 違法はない。論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する事実の認定を非難するか、 又は独自の見解に基づいて原判決を論難するものにすぎず、採用することができな - 2 - い。 同第二点について 所論の主張は、賃借権の取得時効を中断する事由の主張として十分なものとはい えないから、原判決にこれについての判断を欠いた違法があるとしても、右違法は 判決の結論に影響を及ぼすものではないというべきである。したがつて、論旨は採 用することができない。 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員一致の意 見で、主文のとおり判決する。 最高裁判所第二小法廷 裁判長裁判官 牧 圭 次 裁判官 島 谷 六 郎 裁判官 藤 島 昭 裁判官 香 川 保 一 裁判官 林 藤 之 輔 - 3 - 藤 之 輔 - 3 -
▼ クリックして全文を表示