平成10(受)562 約束手形金請求事件

裁判年月日・裁判所
平成13年1月25日 最高裁判所第一小法廷 判決 棄却 東京高等裁判所 平成10(ネ)1926
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判決文本文1,150 文字)

主    文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。          理    由  上告復代理人山本毅の上告受理申立て理由について  1 本件は,上告人が振り出した第1審判決別紙手形目録記載の約束手形(以下 「本件手形」という。)を受取人が盗取され,被上告人においてこれを善意取得し た後,受取人の申立てにより本件手形につき除権判決の言渡しがされたという事実 関係の下において,被上告人が上告人に対して手形金請求をした事案である。  2 【要旨】手形について除権判決の言渡しがあったとしても,これよりも前に 当該手形を善意取得した者は,当該手形に表章された手形上の権利を失わないと解 するのが相当である。その理由は,次のとおりである。  手形に関する除権判決の効果は,当該手形を無効とし,除権判決申立人に当該手 形を所持するのと同一の地位を回復させるにとどまるものであって,上記申立人が 実質上手形権利者であることを確定するものではない(最高裁昭和26年(オ)第 424号同29年2月19日第二小法廷判決・民集8巻2号523頁参照)。手形 が善意取得されたときは,当該手形の従前の所持人は,その時点で手形上の権利を 喪失するから,その後に除権判決の言渡しを受けても,当該手形を所持するのと同 一の地位を回復するにとどまり,手形上の権利までをも回復するものではなく,手 形上の権利は善意取得者に帰属すると解するのが相当である。  加えて,手形に関する除権判決の前提となる公示催告手続における公告の現状か らすれば,手形の公示催告手続において善意取得者が除権判決の言渡しまでに裁判 所に対して権利の届出及び当該手形の提出をすることは実際上困難な場合が多く, 除権判決の言渡しによって善意取得者が手形上の権利を失うとするのは手形の流通 - 1 - 保護の要請を損なうおそれがあるというべき 対して権利の届出及び当該手形の提出をすることは実際上困難な場合が多く, 除権判決の言渡しによって善意取得者が手形上の権利を失うとするのは手形の流通 - 1 - 保護の要請を損なうおそれがあるというべきである。  3 そうすると,被上告人が本件手形について除権判決の言渡しがされる前にこ れを善意取得したとの事実に基づき,被上告人の上告人に対する手形金請求を認容 した原審の判断は正当として是認することができる。  上記判断は所論引用の判例に抵触するものではなく,原判決に所論の違法はない から,論旨は採用することができない。  よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官 町田 顯 裁判官 井嶋一友 裁判官 藤井正雄 裁判官 大出 峻郎 裁判官 深澤武久) - 2 -

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