- 1 -主文 原告の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1請求 岡崎市長が原告に対し平成19年8月6日にした産業廃棄物収集運搬業許可及び産業廃棄物処分業許可の全部を取り消した処分(×岡崎市達廃第×-×号)を取り消す。 愛知県知事が原告に対し同月20日にした産業廃棄物収集運搬業許可の全部を取り消した処分(×西廃第×号)を取り消す。 第2事案の概要本件は,原告が,岡崎市長から,原告の発行済株式総数の100分の5以上を有する者が禁錮以上の刑に処せられたとして廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃掃法」又は「法」という。)14条5項2号ニ,同号イ,7条5項4号ロの事由に該当するとして,法14条の3の2第1項1号に基づいて,岡崎市長が許可権限を有する産業廃棄物収集運搬業許可及び産業廃棄物処分業許可を取り消され,愛知県知事から,上記取消処分を受けたことが法14条5項2号イ,7条5項4号ニの事由に該当するとして,法14条の3の2第1項1号に基づいて,愛知県知事が許可権限を有する産業廃棄物収集運搬業許可を取り消されたことから,これらの取消処分の取消しを求める抗告訴訟である。 前提事実(争いがないか,証拠上明らかである。)(1) 当事者等ア原告は,一般廃棄物の再生処理業等を目的として平成3年11月19日に資本金300万円(出資1口の金額5万円)で有限会社法の規定により設立された会社である(なお,原告の本店所在地は,従前「愛知県額田郡αβ×番地2」であったが,平成18年1月1日にαが岡崎市に合併されたことに伴い,肩書地記載の- 2 -住所表記となった。)。原告は,平成18年5月1日以降,会社法の規定による株式会社(特例有限会社)として存続し,旧有限会社の社員,持分及び出資1 岡崎市に合併されたことに伴い,肩書地記載の- 2 -住所表記となった。)。原告は,平成18年5月1日以降,会社法の規定による株式会社(特例有限会社)として存続し,旧有限会社の社員,持分及び出資1口はそれぞれ株式会社の株主,株式及び1株とみなされ,旧有限会社の資本の総額を出資1口の金額で除して得た数を株式会社の発行可能株式総数及び発行済株式の総数とされた(会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律2条)。 原告の資本金は,平成18年1月25日,1000万円に増資され,その際,株式会社A(以下「A」という。)の代表取締役のB(昭和▲年▲月▲日生。)が40口(200万円)を出資した。なお,原告は,平成18年6月30日時点で,Bからの借入金残高が1200万円あった。 原告の資本金は,同年10月13日,Cから140株(700万円),有限会社Dから20株(100万円)の出資を受けて1800万円に増資された(その際,Bの追加出資はなく,Bは原告の発行済株式総数の約100分の11を保有する株主となった。)。 イ岡崎市長は,岡崎市内で行う産業廃棄物処理業につき,法14条1項及び6項の許可,法14条の3の2に基づく許可の取消し等の権限を有するものである(廃掃法施行令27条,地方自治法252条の22第1項,地方自治法第252条の22第1項の中核市の指定に関する政令)。 ウ愛知県知事は,愛知県内で行う産業廃棄物処理業につき,法14条1項及び6項の許可,法14条の3の2に基づく許可の取消し等の権限を有するものである。 (2) 原告の受けた廃掃法上の許可原告は,平成17年4月28日,岡崎市長から産業廃棄物収集運搬業の許可を受け,また,同年2月21日,愛知県知事から産業廃棄物処分業の許可を受け,平成18年1月1日以降,同許可はαが岡崎市に合併されたことに伴 平成17年4月28日,岡崎市長から産業廃棄物収集運搬業の許可を受け,また,同年2月21日,愛知県知事から産業廃棄物処分業の許可を受け,平成18年1月1日以降,同許可はαが岡崎市に合併されたことに伴い岡崎市長のみなし許可とされた(以下,これらの許可を「本件許可①」という。)。 原告は,平成18年4月21日,愛知県知事から産業廃棄物収集運搬業の許可- 3 -(×西廃第×-×号)を受けた(以下,この許可を「本件許可②」という。)。 (3) 本件許可①及び本件許可②の取消処分に至る経緯ア原告は,平成19年3月16日,岡崎市長に対し,車両4台の追加及び株主変更に係る「産業廃棄物処理業変更届出書」(乙1。以下「本件変更届出書①」という。)を提出したところ,本件変更届出書①には,新たにCが140株の,有限会社Dが20株の株主となったこと,その余の株主及びその保有株式数には変更がない旨の記載がされ,さらに,発行済株式総数の100分の5以上の株式を有する株主の氏名又は名称として,Bを含む8名の氏名,法人名が記載されていた。 イBは,同年5月15日,地方税法違反の罪で○の判決の言渡しを受け,同月23日,同判決は確定した。 ウ被告岡崎市は,本件許可①の取消しに先立って,行政手続法13条1項1号イに基づく聴聞を行うため,同年7月2日,原告代表者に対し聴聞通知書を交付した。 エ原告は,同月11日,岡崎市長に対し,平成18年10月20日にBの保有する原告の株式40株を原告が譲り受け,Eが取締役を辞任した旨を記載した「産業廃棄物処理業変更届出書」(甲10。以下「本件変更届出書②」という。)を提出した。原告は,その際,「遅延理由書」と題する書面(甲11)を添付したが,同書面には,「弊社は,平成18年10月20日開催の社員総会において,特定株主より自己株式を取得 更届出書②」という。)を提出した。原告は,その際,「遅延理由書」と題する書面(甲11)を添付したが,同書面には,「弊社は,平成18年10月20日開催の社員総会において,特定株主より自己株式を取得いたしましたが,産業廃棄物処理業の株主変更の届出を10日以内に申請すべきことを失念しておりました。この件については,平成19年3月16日に提出いたしました,増資のための役員変更の届出の際にも申告することを失念していたため,同日付けで提出いたしました変更届には錯誤が生じております。また,平成19年2月20日に辞任した取締役の変更についても失念しておりました。今回の申請につきましては,提出済の変更届の錯誤を訂正するとともに,以後このようなことのないよう気をつけますので,何卒寛大な措置をお願い申し上げます。」と記載されていた。 - 4 -オ岡崎市長は,平成19年8月6日,処分の理由を「発行済株式総数の100分の5以上の株式を有するBが平成19年5月23日,地方税法違反により法第7条第5項第4号ロに該当するに至ったことにより,法第14条第5項第2号ニの規定に該当するに至ったため。」として,法14条の3の2第1項1号の規定により,本件許可①の全部を取り消し(×岡崎市達廃第×-×号。以下「本件処分①」という。),同年8月6日,これを原告に通知した。 愛知県知事は,平成19年8月20日,処分の理由を「平成19年8月6日に岡崎市長から同市の産業廃棄物収集運搬業等の許可の取消し処分を受けたことにより,法第14条の3の2第1項第1号に規定する産業廃棄物収集運搬業の許可の取消し事由に該当するに至ったため。」として,法14条の3の2第1項1号の規定により,本件許可②の全部を取り消し(×西廃第×号。以下「本件処分②」という。),同月20日,これを原告に通知した。 ( 取消し事由に該当するに至ったため。」として,法14条の3の2第1項1号の規定により,本件許可②の全部を取り消し(×西廃第×号。以下「本件処分②」という。),同月20日,これを原告に通知した。 (4) 本件訴えの提起原告は,平成19年8月30日,本件訴えを提起した。 関連法令等(1) 廃掃法の定め7条1項一般廃棄物の収集又は運搬を業として行おうとする者は,当該業を行おうとする区域(運搬のみを業として行う場合にあつては,一般廃棄物の積卸しを行う区域に限る。)を管轄する市町村長の許可を受けなければならない。ただし,事業者(自らその一般廃棄物を運搬する場合に限る。),専ら再生利用の目的となる一般廃棄物のみの収集又は運搬を業として行う者その他環境省令で定める者については,この限りでない。 5項市町村長は,第1項の許可の申請が次の各号に適合していると認めるときでなければ,同項の許可をしてはならない。 1~3号(略)4号申請者が次のいずれにも該当しないこと。 - 5 -イ(略)ロ禁錮以上の刑に処せられ,その執行を終わり,又は執行を受けることがなくなつた日から5年を経過しない者ハ(略)ニ第7条の4若しくは第14条の3の2(第14条の6において読み替えて準用する場合を含む。以下この号において同じ。)又は浄化槽法第41条第2項の規定により許可を取り消され,その取消しの日から5年を経過しない者(当該許可を取り消された者が法人である場合においては,当該取消しの処分に係る行政手続法(平成5年法律第88号)第15条の規定による通知があつた日前60日以内に当該法人の役員(業務を執行する社員,取締役,執行役又はこれらに準ずる者をいい,相談役,顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず,法人に対し業務を執行する社員,取締役,執行役又 60日以内に当該法人の役員(業務を執行する社員,取締役,執行役又はこれらに準ずる者をいい,相談役,顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず,法人に対し業務を執行する社員,取締役,執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。以下この号及び第14条第5項第2号ニにおいて同じ。)であつた者で当該取消しの日から5年を経過しないものを含む。)ホ~ヌ(略)14条1項産業廃棄物(特別管理産業廃棄物を除く。以下この条から第14条の3の3まで,第15条の4の2,第15条の4の3第3項及び第15条の4の4第3項において同じ。)の収集又は運搬を業として行おうとする者は,当該業を行おうとする区域(運搬のみを業として行う場合にあつては,産業廃棄物の積卸しを行う区域に限る。)を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし,事業者(自らその産業廃棄物を運搬する場合に限る。),専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみの収集又は運搬を業として行う者その他環境省令で定める者については,この限りでない。 5項都道府県知事は,第1項の許可の申請が次の各号に適合していると認めるときでなければ,同項の許可をしてはならない。 1号(略)- 6 -2号申請者が次のいずれにも該当しないこと。 イ第7条第5項第4号イからトまでのいずれかに該当する者ロ,ハ(略)ニ法人でその役員又は政令で定める使用人のうちにイ又はロのいずれかに該当する者のあるものホ,ヘ(略)14条の3の2第1項都道府県知事は,産業廃棄物収集運搬業者又は産業廃棄物処分業者が次の各号のいずれかに該当するときは,その許可を取り消さなければならない。 1号第14条第5項第2号イからヘまでのいずれかに該当するに至つたとき。 2,3号(略)(2) は産業廃棄物処分業者が次の各号のいずれかに該当するときは,その許可を取り消さなければならない。 1号第14条第5項第2号イからヘまでのいずれかに該当するに至つたとき。 2,3号(略)(2) 廃掃法施行令(ただし,平成19年政令第339号による改正前のもの)の定め27条法に規定する都道府県知事の権限に属する事務のうち,法第20条の2第1項の規定による登録に関する事務以外の事務は,地方自治法(昭和22年法律第67号)第252条の19第1項に規定する指定都市の長及び同法第252条の22第1項に規定する中核市の長並びに尼崎市,西宮市,呉市,大牟田市及び佐世保市の長(以下この条において「指定都市の長等」という。)が行うこととする。 この場合においては,法の規定中当該事務に係る都道府県知事に関する規定は,指定都市の長等に関する規定として指定都市の長等に適用があるものとする。 (3) 「行政処分の指針」(平成17年8月12日環廃産発第050812003号環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課長通知)の定め(乙4。 以下「本件指針」という。)第2産業廃棄物処理業の事業の停止及び許可の取消し(法第14条の3及び第14条の3の2) 要件- 7 -(4) 第14条第5項第2号イからヘまでのいずれかに該当するに至ったとき(法第14条の3の2第1項第1号)欠格要件とは,申請者の一般的適性について,法に従った適正な業の遂行を期待し得ない者を類型化して排除することを趣旨とするものであり,産業廃棄物処理業者が欠格要件に該当するに至った場合には,許可を取り消さなければならないこと。 なお,法人の役員等が欠格要件に該当した場合に,法人が取消処分を受けることを免れるため,事後的に当該役員を解雇・解任したり,又は役員自らがその地位を辞任することが考 を取り消さなければならないこと。 なお,法人の役員等が欠格要件に該当した場合に,法人が取消処分を受けることを免れるため,事後的に当該役員を解雇・解任したり,又は役員自らがその地位を辞任することが考えられるが,法第14条の3の2第1項第1号が欠格要件に「該当するに至ったとき」としているとおり,いったん欠格要件に該当した以上,仮に法人の役員等がその地位を完全に辞任したとしても許可を取り消さなければならないこと。また,この場合に,退任等の時期を遡らせた変更の登記を行い,当該役員等が欠格要件に該当するより前に退任等していた旨主張するという事例も散見される。 しかしながら,そもそも,商業登記簿の登記事項に変更が生じた場合,当事者は遅滞なく変更の登記をすべき法律上の義務がある上,廃棄物処理業者の場合は,その役員に変更があれば変更の日から10日以内に届け出なければならず(法第14条の2第3項,第7条の2第3項),これに違反した場合は刑罰を科せられるものであるから(法第30条第2号),欠格要件に該当した後に日付を遡らせた変更の登記がなされることそれ自体が不自然であり,この場合,特段の事情がない限り,当該変更の登記の存在にかかわらず,当該役員は在職中に欠格要件に該当したものと扱って差し支えないこと。(中略)欠格要件の判断に当たっては,以下を参照されたいこと。 ①(略)②法7条5項4号ニの「法人に対し業務を執行する社員,取締役,執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者」とは,法人の業務を執行する権限はないものの,法人に対する実質的な支配力を有する者をいい,例えば,相談役,顧問等の名称を有する者,法人に対し多額の貸金を有するこ- 8 -とに乗じて法人の経営に介入している者又は一定比率以上の株式を保有する株主若しくは一定比 な支配力を有する者をいい,例えば,相談役,顧問等の名称を有する者,法人に対し多額の貸金を有するこ- 8 -とに乗じて法人の経営に介入している者又は一定比率以上の株式を保有する株主若しくは一定比率以上の出資をしている者などが典型的には想定されるが,これら以外の者でも該当するものがあると考えられることから,法人の従業員等からの報告徴収を積極的に活用するほか,関係機関とも連携して実態を把握し,個別の事例に応じて適切に判断されたいこと。なお,規則第9条の2及び第10条の4等においては,許可の申請に当たって発行済株式総数の100分の5以上の株式を有する株主又は出資額の100分の5以上の額に相当する出資をしている者の氏名又は名称等を把握することとしているが,これらの者は同号ニに該当する蓋然性が高いと解されること。また,ここでいう「同等以上の支配力」とは,「取締役(いわゆる「平取締役」)」と同等以上の支配力であれば足りることから,「支配力を有するものと認められる者」については,経営方針を単独の意思で決し得るような強大な権限を有する者であることまでは要しないこと。(以下略) 争点 (1) 本件処分①の適法性について(2) 本件処分②の適法性について第3争点に関する当事者の主張 争点(1)について(被告らの主張)(1) 法7条5項4号ニ所定の「法人の役員」に発行済株式総数の100分の5以上の株式を有する株主が含まれること法14条の3の2第1項1号は,産業廃棄物収集運搬業者又は産業廃棄物処分業者が法14条5項2号イからヘまでのいずれかに該当するに至ったとき,その許可を取り消さなければならないと規定しているところ,このうち,法14条第5項2号ニは「法人でその役員又は政令で定める使用人のうちイ又はロのいずれかに該当する者のあるもの」と規定し 至ったとき,その許可を取り消さなければならないと規定しているところ,このうち,法14条第5項2号ニは「法人でその役員又は政令で定める使用人のうちイ又はロのいずれかに該当する者のあるもの」と規定しており,法14条5項2号イは「法第7条第5項第4号イからトまでのいずれかに該当する者」と規定している。 - 9 -そして,法7条5項4号ニでは,「法人の役員」を「業務を執行する社員,取締役,執行役又はこれらに準ずる者をいい,相談役,顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず,法人に対し業務を執行する社員,取締役,執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。以下この号及び第14条第5項第2号ニにおいて同じ。」と規定しているところ,本件指針においては,「『法人に対し業務を執行する社員,取締役,執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者』とは,法人の業務を執行する権限はないものの,法人に対する実質的な支配力を有する者をいい,例えば,相談役,…(中略)…又は一定比率以上の株式を保有する株主若しくは一定比率以上の出資をしている者などが典型的には想定される…(中略)…許可の申請に当たって発行済株式総数の100分の5以上の株式を有する株主又は出資額の100分の5以上の額に相当する出資をしている者の氏名又は名称等を把握することとしているが,これらの者は同号ニ(法7条5項4号ニ)に該当する蓋然性が高いと解される。また,ここでいう『同等以上の支配力』とは,『取締役(いわゆる「平取締役」)』と同等以上の支配力であれば足りることから,『支配力を有するものと認められる者』については,経営方針を単独の意思で決し得るような強大な権限を有する者であることまでは要しないこと。」と記載されている。 したがって, 配力であれば足りることから,『支配力を有するものと認められる者』については,経営方針を単独の意思で決し得るような強大な権限を有する者であることまでは要しないこと。」と記載されている。 したがって,法14条5項2号ニ所定の「法人の役員」には発行済株式総数の100分の5以上の株式を有する株主が含まれるものと解される。 (2) Bが法7条5項4号ニ所定の「法人の役員」に当たることアBは,地方税法違反による○の有罪判決が確定した平成19年5月23日時点において,原告の発行済株式総数の約100分の11の株式を保有し(株式の保有数は登記簿上のどの役員よりも多い。),原告に対して多額の金員を貸し付けていたほか,Bと親しいF及びB自身の事実上の使用人であるGを原告に紹介し,同人らが原告に対し20口(100万円)ずつ出資していることなどからすれば,法7条5項4号ニ所定の「法人の役員」に該当すると解するのが相当である。 - 10 -イなお,原告は,Bが平成18年10月20日ころに原告の株式を譲渡し,有罪判決の言渡しを受けた時点では既に原告の株主ではなかった旨主張し,書証として平成18年10月20日に株主総会を開催したとする臨時株主総会議事録(甲4。以下「本件議事録」という。)を提出する。 しかし,原告は,平成19年3月16日付けで被告岡崎市に対して提出した本件変更届出書①において,他の株主に変更があったことを申告しておきながら,Bについてはそのまま原告の株主として記載している。 被告岡崎市は,Bの○の有罪判決が平成19年5月23日に確定したことから,同年7月2日,原告代表者に対して行政手続法13条1項1号イに基づく聴聞を行うための聴聞通知書を交付したところ,その後,原告は,同月11日,Bが株主でなくなった旨の本件変更届出書②を提出するとともに,本件変更届 ,原告代表者に対して行政手続法13条1項1号イに基づく聴聞を行うための聴聞通知書を交付したところ,その後,原告は,同月11日,Bが株主でなくなった旨の本件変更届出書②を提出するとともに,本件変更届出書①においてBを株主から除外することを失念していた旨記載した「遅延理由書」(甲11)を添付しているが,仮に本件議事録のとおり真に平成18年10月20日に臨時株主総会を開催していたとすれば,本件変更届出書①において同株主総会で決定された重要事項を失念することはあり得ないから,原告の主張する平成18年10月20日開催の株主総会なるものは,Bの○の有罪判決が平成19年5月23日に確定した後に,本件許可①を取り消されることを回避するために原告が偽装したものにすぎない。 なお,原告は,被告岡崎市の聴聞手続において,Bが出資金の返還を受けたことを示すものとして別紙約束手形目録記載の約束手形(以下「本件約束手形」という。)の控え部分の写し(乙3)を提出したが,その後,被告岡崎市が本件約束手形の控えの原本(乙2)を確認したところ,受取人欄の記載内容が聴聞手続において提出されたものと一致しなかった。 (3) 岡崎市長は,法7条5項4号ニ所定の「法人の役員」に該当するBが,「地方税法違反により法7条5項4号ロに該当するに至ったことにより,法14条5項2号ニの規定に該当するに至ったため。」として,法14条の3の2第1項1号の- 11 -規定により,本件処分①をしたものであり,本件処分①は適法である。 (原告の主張)(1) Bが平成18年10月20日ころ原告の株式40株を原告に譲渡したことアBは,平成18年10月初めころ,Hに対し,「税務署に入られて,銀行の融資が難しくなっている。会社の資金繰りができないので,400万円返してくれ。」と依頼した。 イ原告は, 原告に譲渡したことアBは,平成18年10月初めころ,Hに対し,「税務署に入られて,銀行の融資が難しくなっている。会社の資金繰りができないので,400万円返してくれ。」と依頼した。 イ原告は,Bの依頼をむげに断ることはできなかったため,同年12月20日を支払期日とする本件約束手形で支払うこととし,その内訳として,200万円は原告に出資した株式分として,200万円は借入金の返済分とすることとし,Bの了解を得た。 ウ原告は,主要な株主に対しその旨を伝え,同年10月20日,Bの40株の買取りについて,形だけの臨時株主総会を開催して同意を得た(原告は,Hが実質的に経営する会社であり,Hの意見が100%通る状況であった。)。原告は,これに基づいて,同月24日,金額400万円の本件約束手形を振り出して,Bにこれを交付した。 エ本件約束手形は,支払期日の同年12月20日に決済され,400万円のうち200万円が株式の譲渡代金に,残りの200万円がBからの借入金の返済に,それぞれ充当された。 (2) Bが原告に対する支配力を有していないことBは,原告の取締役・監査役ではなく,また,業務を担当する従業員でもない。 Bは,原告の業務を行ったことは全くなく,Iが原告の代表取締役になってからは,1度も原告の作業所に来たことはないし,Iに業務の指示をしたこともない。 Bは,原告の実質的経営者であるHとは数十年来の知り合いであるが,Hを通じて原告の業務・経営に関して指示や支配をしたことは全くない。また,Bが経営していたAと原告との取引は全くない。 (3) Bは○の有罪判決を受け同判決が平成19年5月23日に確定したものであ- 12 -るが,Bは,上記(1)のとおり,平成18年10月20日ころに原告の株主ではなくなっているし,実質的な支配力を有するものでもなく, 決を受け同判決が平成19年5月23日に確定したものであ- 12 -るが,Bは,上記(1)のとおり,平成18年10月20日ころに原告の株主ではなくなっているし,実質的な支配力を有するものでもなく,法14条5項2号ニ所定の「法人の役員」には当たらないから,本件処分①は違法である。 争点(2)について(被告愛知県の主張)(1) 岡崎市長がした本件処分①は,正当な権限を有する機関により取り消されない限りは有効であり,一切の者はその効力に拘束される。 愛知県知事は,本件処分①を前提として,法14条の3の2第1項1号,14条5項2号イ,7条5項4号ニの規定に従って本件処分②をしたものであって,本件処分②が適法であることは明らかである(なお,原告は,本件処分②の固有の瑕疵について何ら主張していない。)。 (2) なお,岡崎市長がした本件処分①が適法であることは,争点(1)(被告らの主張)で述べたとおりである。 (原告の主張)愛知県知事がした本件処分②は,岡崎市長がした本件処分①を前提とするものであるところ,争点(1)(原告の主張)で述べたとおり,本件処分①は違法であり取り消されなければならないから,本件処分②も違法であってこれを取り消すべきである。 第4争点に対する判断 争点(1)について(1) 法7条5項4号ニ所定の「法人の役員」該当性について被告岡崎市は,Bが法7条5項4号ニ所定の「法人の役員」に当たるとし,Bが平成19年5月15日地方税法違反の罪で○の有罪判決の言渡しを受け同月23日同判決が確定したことから,原告が法14条5項2号ニ,同号イ,7条5項4号ロの事由に該当するとして,法14条の3の2第1項1号に基づいて,本件処分①をしたものであるところ,Bが上記のとおり平成19年5月23日に禁錮以上の刑に- 13 -処せられたこと イ,7条5項4号ロの事由に該当するとして,法14条の3の2第1項1号に基づいて,本件処分①をしたものであるところ,Bが上記のとおり平成19年5月23日に禁錮以上の刑に- 13 -処せられたことは当事者間に争いがないから,本件処分①が適法であるか否かの判断においては,Bがその時点において法7条5項4号ニ所定の「法人の役員」に該当したか否かの点のみが問題となる。 そして,法7条5項4号ニは,「法人の役員」について,「業務を執行する社員,取締役,執行役又はこれらに準ずる者をいい,相談役,顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず,法人に対し業務を執行する社員,取締役,執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。」と規定しているところ,Bは,「業務を執行する社員,取締役,執行役又はこれらに準ずる者」には当たらないから,本件においては,Bが「法人に対し業務を執行する社員,取締役,執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者」に当たるか否か,すなわち,特例有限会社である原告においては,「取締役と同等以上の支配力を有するものと認められる者」に当たるか否かが問題となる。 この「取締役と同等以上の支配力」とは,いわゆる「平取締役」と同等以上の支配力であれば足りると解されるから,「取締役と同等以上の支配力を有するものと認められる者」については,経営方針を単独の意思で決し得るような強大な権限を有する者であることまでは要しないと解される(本件指針参照)。そして,会社に対する支配力を判断するに当たり考慮すべき事項として,相談役,顧問等の名称使用の有無,業務上の意思決定に対する関与の内容及び程度,保有する株式の割合,貸付金の額等が考えられるところ,このうち,保有する株式の割合については,廃掃法 慮すべき事項として,相談役,顧問等の名称使用の有無,業務上の意思決定に対する関与の内容及び程度,保有する株式の割合,貸付金の額等が考えられるところ,このうち,保有する株式の割合については,廃掃法施行規則9条の2及び10条の4において,産業廃棄物収集運搬業又は同処分業の許可を受けようとする者が法人である場合においては,その提出する申請書に,「発行済株式総数の100分の5以上の株式を有する株主又は出資の額の100分の5以上の額に相当する出資をしている者があるときは,これらの者の氏名又は名称,住所及び当該株主の有する株式の数又は当該出資をしている者のなした出資の金額」を記載しなければならず,「これらの者の住民票の写し」等を添付しなけれ- 14 -ばならないとされていることにもかんがみると,発行済株式総数の100分の5以上の株式を有する株主については,取締役等と「同等以上の支配力」を有する蓋然性が高いものと解するのが相当である(本件指針参照)。 以下,上記観点から,Bが原告において「取締役と同等以上の支配力」を有する者に当たるか否かを検討する。 (2) Bの保有する株式割合についてア原告の資本金が1800万円に増資された平成18年10月13日の時点で,Bが原告の株式40株(発行済株式総数の約100分の11)を保有していたことは当事者間に争いがない。 イ原告は,平成18年10月20日ころにBが保有する株式40株を譲り受けた旨主張し,書証として,同日付けの本件議事録(甲4),原告が振り出してBに交付した本件約束手形の写し(甲5の1・2),原告のJ信用金庫K支店の当座勘定照合表の写し(平成18年12月20日に手形番号「××××××」の約束手形金400万円が引き落とされたことを示すもの。甲6),B作成に係る原告あての平成18年10月24日付け領 金庫K支店の当座勘定照合表の写し(平成18年12月20日に手形番号「××××××」の約束手形金400万円が引き落とされたことを示すもの。甲6),B作成に係る原告あての平成18年10月24日付け領収証(金額200万円。「貴社株式(40株)売却代金として」と記載されたもの。甲7),B作成に係る原告あての平成18年10月24日付け領収証(金額200万円。「貴社への貸付金の弁済金として」と記載されたもの。甲8)を提出する。 ウしかしながら,原告は,前記前提事実のとおり,平成19年3月16日付けで岡崎市長に対して提出した本件変更届出書①において,他の株主に変更があったことを申告しておきながら,Bについては保有株式数に変更がない旨の記載をし,かつ,発行済株式総数の100分の5以上の株式を有する株主としてBの氏名等を記載しているところ,原告が真に会社法の規定に従って自己株式を適法に取得するために平成18年10月20日に臨時株主総会を開催してBが保有する原告の株式40株を譲り受けたのであれば,その後に法14条の2第3項,7条の2第3項,廃掃法施行規則10条の10第1項2号ハ等に基づき株主変更等の届出のために作- 15 -成提出した本件変更届出書①においてBを発行済株式総数の100分の5以上の株式を有する株主として記載することは到底考えられないことというべきである。また,本件議事録においては,出席株主数が12名と記載され,議決権を行使できないBを除くすべての株主が出席したこととされ,かつ,代表取締役I,取締役L,同M及び同Eが出席した旨記載されているところ,被告岡崎市の職員が平成19年10月22日にLから事情聴取した内容を記載した「報告」と題する書面(乙5)には,Lが平成17年6月末以降原告の株主総会に出席していない旨説明したことが記載されており ,被告岡崎市の職員が平成19年10月22日にLから事情聴取した内容を記載した「報告」と題する書面(乙5)には,Lが平成17年6月末以降原告の株主総会に出席していない旨説明したことが記載されており,これによれば,原告の株主・取締役であるLが上記臨時株主総会に出席していないことが認められ(原告も,本訴において,この事実を認めている。),本件議事録に虚偽の記載があることが認められる。これらの事実に加え,原告が,被告岡崎市から平成19年7月2日に聴聞通知書の交付を受けた後の同月11日になって,本件変更届出書②を提出したことにもかんがみると,本件議事録や本件変更届出書②をもって,平成18年10月20日ころにBが原告の株式40株を原告に譲渡したものと直ちに認めることはできない。 エなお,原告が書証として提出する本件約束手形の写し(甲5の1・2),原告のJ信用金庫K支店の当座勘定照合表の写し(甲6)によれば,原告が平成18年10月24日に本件約束手形を振り出してこれをBに交付し,支払期日の同年12月20日に本件約束手形が決済されてBに400万円が支払われたものと認められる。しかし,Bは,平成18年6月30日時点で,原告に対して1200万円を貸し付けており,原告がBに対して支払った400万円が同貸付金の返済であったとしても何ら不自然ではないし,むしろ,前記のとおり本件変更届出書①にBが従前どおり株主として記載され,本件議事録の作成経緯や記載内容が不自然であることに照らせば,上記400万円の支払は1200万円の貸付金の返済のためにされたものと認めるのが相当である。なお,原告が書証として提出する領収証(甲7,8)には,前記のとおり,200万円につき「貴社株式(40株)売却代金として」,200万円につき「貴社への貸付金の弁済金として」と記載してあるが,そ ある。なお,原告が書証として提出する領収証(甲7,8)には,前記のとおり,200万円につき「貴社株式(40株)売却代金として」,200万円につき「貴社への貸付金の弁済金として」と記載してあるが,そ- 16 -の記載内容が真実であることを客観的に裏付ける証拠がない以上,本件約束手形の手形金400万円のうち200万円がBが保有する原告の株式40株の譲受代金に充てられたことを示す証拠としては採用することができない。また,原告代表者,H及びB作成の各陳述書(甲1~3)並びにHの証言における平成18年10月20日ころにBが原告の株式40株を原告に譲渡した旨の供述部分は,同事実を認めるに足りる的確な証拠とはいえない。 したがって,Bは,○の有罪判決が確定した平成19年5月23日の時点において原告の株式40株(発行済株式総数の約100分の11)を保有していたものと認められる。なお,同時点において,原告の代表取締役Iは原告の株式10株,取締役Lは20株,同Mは10株,監査役Nは10株をそれぞれ保有していたから(乙1),Bの保有する株式数は,原告の代表取締役,取締役及び監査役のいずれよりも多かった。 (3) Bの原告に対するその他の関与についてアBは,平成18年6月30日時点で,原告に対し1200万円を貸し付けており,上記(2)のとおり,同年12月20日に決済された本件約束手形によって同貸付金のうち400万円が返済されたとしても,○の有罪判決が確定した平成19年5月23日の時点において,原告に対し800万円を貸し付けていたものと認められる。 イまた,証拠(甲1~3,乙6の1~3,7の1・2,8,証人H)によれば,①Hは,平成17年11月ころ,従前の原告代表取締役のLから原告の経営を譲り受けたものの,Hが従前経営していた株式会社Oが倒産し,H自身も (甲1~3,乙6の1~3,7の1・2,8,証人H)によれば,①Hは,平成17年11月ころ,従前の原告代表取締役のLから原告の経営を譲り受けたものの,Hが従前経営していた株式会社Oが倒産し,H自身も破産決定及び免責決定を受けていたことから,原告の従業員であったIを原告の代表取締役に就任させ,実質的な経営権はHが掌握していたこと,②Hは,Bとは40年くらい前(Bが高校生の時)からの知り合いであり,株式会社Oを経営していたときに当時Aを経営していたBの父から資金を借りるなど,B及びその父らと懇意にしていたこと,③Hは,原告におけるL一族の出資割合を減らすために,平成18年1- 17 -月に原告の資本金を1000万円に増資することにしたが,その際,Bに依頼して40口(200万円)を出資してもらったほか,Bから紹介を受けたFから20口(100万円),Aの従業員であったGから20口(100万円)を出資してもらったこと,が認められる。 (4) 検討以上によれば,Bは,○の有罪判決が確定した平成19年5月23日の時点において,原告の株式40株(発行済株式総数の約100分の11。原告の代表取締役,取締役及び監査役のいずれの保有株式数よりも多い。)を保有しており,原告に対し少なくとも800万円を貸し付けていたほか,原告の株式各20株を保有していたF及びGは,Bが原告の実質的経営者Hに紹介した者であったのであるから,これらの事実に前記(1)で検討した法7条5項4号ニ所定の「法人の役員」の該当性に係る判断の在り方を併せ考慮すれば,仮にBが原告の経営方針に口を出すことがなく原告の事務所に1度も顔を出すことがなかったとしても,Bは原告において「取締役と同等以上の支配力」を有する者に当たり,法7条5項4号ニ所定の「法人の役員」に該当するものと認めるのが相当であ とがなく原告の事務所に1度も顔を出すことがなかったとしても,Bは原告において「取締役と同等以上の支配力」を有する者に当たり,法7条5項4号ニ所定の「法人の役員」に該当するものと認めるのが相当である。 そうすると,原告における法7条5項4号ニ所定の「法人の役員」に該当するBが禁錮以上の刑に処せられたものであるから,岡崎市長が,14条5項2号ニ,同号イ,7条5項4号ロの事由に該当するとして,法14条の3の2第1項1号に基づいて本件処分①をしたことは,適法である。 争点(2)について前記1で述べたとおり,岡崎市長がした本件処分①は適法であるから,愛知県知事が,本件処分①を前提として,法14条の3の2第1項1号,14条5項2号イ,7条5項4号ニの規定に従って本件処分②をしたことも,適法である。 結論 以上によれば,原告の請求はいずれも理由がないからこれらを棄却することとして,主文のとおり判決する。 - 18 -名古屋地方裁判所民事第9部松並重雄裁判長裁判官前田郁勝裁判官廣瀨達人裁判官
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