- 1 -判決要旨(令和5年(わ)第652号、同第738号、令和6年(わ)第38号詐欺被告事件)主文 被告人を懲役5年に処する。 未決勾留日数中170日をその刑に算入する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、分離前の相被告人Aと共謀の上第1 群馬県が同県内で事業を営む中小企業者に向けて事業資金の融資を行う群馬県制度融資(小規模企業事業資金)を利用し、その取扱金融機関から融資名目で金銭をだまし取ろうと考え、令和2年2月上旬頃、群馬県高崎市a町b番地c所在のAが経営する株式会社B事務所において、株式会社C銀行D支店職員Eに対し、真実は、被告人が、足場・外構工事などを行う建設業を営んでおらず、同支店から受ける融資金を前記建設業の運転資金や設備資金に使用する意図もないのに、これらがあるかのように装い、内容虚偽の申込人(企業)概要、融資(兼条件変更)申込書、信用保証委託申込書などの書類を提出するなどして1000万円の融資を申し込み、前記Eを介して、同支店支店長Fらに、その旨誤信させて、同年3月3日頃、被告人への融資を決定させ、よって、同月6日、同市d町e番f号所在の同支店に開設された被告人名義の普通預金口座に保証料等を差し引いた965万616円を振込入金させ第2 中小企業庁が所管する国の持続化給付金制度を利用して同給付金の名目で現金をだまし取ろうと考え、同年5月12日、東京都新宿区gh丁目i番地jビルk階l室税理士法人G事務所において、情を知らない前記税理士法人職員をして、インターネットに接続された電子機器を使用させて、同庁から同給付金申請審査等について業務委託を受けた一般社団法人Hが開設する同給付金申請用ホームページに接続させ、真実は、被告人が個人事業者ではなく、そ ンターネットに接続された電子機器を使用させて、同庁から同給付金申請審査等について業務委託を受けた一般社団法人Hが開設する同給付金申請用ホームページに接続させ、真実は、被告人が個人事業者ではなく、そ - 2 -のため、事業の前年同月比の事業収入が50パーセント以上減少した月もないのに、同事実が存在し、同給付金の給付要件があるかのように装い、被告人が建設業を営む個人事業者であり、売上減少月である同年4月の売上額を196万3475円、売上減少月の前年度の売上額(売上税務申告額)を5678万9871円などと入力するとともに、同入力内容に沿う内容虚偽の所得税等確定申告書の控え、売上台帳等のPDFファイルを添付して同給付金の給付申請を行い、前記H事務局長補佐ら審査担当者に、同給付申請が給付対象者である個人事業者からの正当な給付申請であり、給付要件を満たすものと誤信させ、同年5月28日、前記事務局長補佐に、被告人に対する同給付金100万円の給付を決定させ、よって、同月29日、前記Hから業務委託を受けた株式会社Iの担当者に、前記C銀行D支店に開設された被告人名義の普通預金口座に現金100万円を振込入金させ第3 群馬県が新型コロナウイルス感染症の影響により著しい信用収縮が生じた同県内の中小企業者の事業継続や経営の安定を図ることを目的に前記群馬県制度融資の一つとして創設した群馬県新型コロナウイルス感染症対応資金制度を利用し、その取扱金融機関から同制度による融資名目で金銭をだまし取ろうと考え、同年6月下旬頃、前記C銀行D支店において、同支店職員である前記Eに対し、真実は、被告人が、足場・外構工事などを行う建設業を営んでおらず、同支店から受ける融資金を前記建設業の運転資金に使用する意図もないのに、これらがあるかのように装い、内容虚偽の融資(兼 前記Eに対し、真実は、被告人が、足場・外構工事などを行う建設業を営んでおらず、同支店から受ける融資金を前記建設業の運転資金に使用する意図もないのに、これらがあるかのように装い、内容虚偽の融資(兼条件変更)申込書、売上高減少の申告書、信用保証委託申込書などの書類を提出するなどして1500万円の融資を申し込み、前記Eを介して、同支店支店長Jらに、その旨誤信させて、同年7月28日頃、被告人への融資を決定させ、よって、同月31日、同支店に開設された被告人名義の普通預金口座に手数料を差し引いた1498万7147円を振込入金させ第4 金融機関から事業性資金の名目で金銭をだまし取ろうと考え、令和3年3 - 3 -月11日頃から同月18日頃までの間に、同市m町n番地о又は同県前橋市p町q丁目r番地s所在の株式会社B事務所において、前記C銀行D支店職員である前記Eに対し、真実は、被告人が、足場・外構工事などを行う建設業を営んでおらず、同支店から受ける融資金を前記建設業の運転資金に使用する意図もないのに、これらがあるかのように装い、内容虚偽の融資(兼条件変更)申込書(兼ご相談書)、信用保証委託申込書などの書類を提出するなどして1300万円の融資を申し込み、前記Eを介して、同支店支店長である前記Jらに、その旨誤信させて、同年4月6日頃、被告人への融資を決定させ、よって、同月9日、同支店に開設された被告人名義の普通預金口座に保証料等を差し引いた1257万5650円を振込入金させ第5 金融機関から事業性資金の名目で金銭をだまし取ろうと考え、同年10月7日頃、前記C銀行D支店において、同支店職員Kに対し、真実は、被告人が、足場・外構工事などを行う建設業を営んでおらず、同支店から受ける融資金を前記建設業の運転資金に使用する意図もないのに、これら 7日頃、前記C銀行D支店において、同支店職員Kに対し、真実は、被告人が、足場・外構工事などを行う建設業を営んでおらず、同支店から受ける融資金を前記建設業の運転資金に使用する意図もないのに、これらがあるかのように装い、内容虚偽の融資(兼条件変更)申込書(兼ご相談書)、保証委託契約申込書などの書類を提出するなどして1500万円の融資を申し込み、前記Kを介して、同支店支店長である前記Jらに、その旨誤信させて、同月27日頃、被告人への融資を決定させ、よって、同月29日、同支店に開設された被告人名義の普通預金口座に保証料等を差し引いた1391万2079円を振込入金させもってそれぞれ人を欺いて財物を交付させた。 (証拠の標目)省略(事実認定の補足説明) 1 判示第1ないし第5につき、弁護人は、いずれも被告人が銀行等に対し融資等を申請した上で融資金等の支払を受けたこと自体は争わないものの、Aとの共謀及び詐欺の故意がなく無罪である旨主張するので、以下、その点につき検討する。 - 4 - 2 前提事実被告人供述と整合する限度でのAの公判供述のほか、関係各証拠によれば、以下の事実が認められる。 ⑴ 判示第1の融資を受けるまでア被告人は、令和2年1月下旬頃、消費者金融等からの借金の返済資金について相談するため、知人の紹介により、当時建設業を営む株式会社Bの代表取締役であったAと面会した。被告人は、当時、会社員であり、個人事業主として建設業を営んだことはなく、後記⑸に至るまで、自身が建設業を営むことは一度もなかった。 Aは、被告人に対し、借入れの方法として、銀行から個人事業主向けの融資を受ける方法を提案した。その内容は、被告人が個人事業主として銀行に融資を申し込み、融資された金額の半分をAに預け、Aが預かった分か は、被告人に対し、借入れの方法として、銀行から個人事業主向けの融資を受ける方法を提案した。その内容は、被告人が個人事業主として銀行に融資を申し込み、融資された金額の半分をAに預け、Aが預かった分から先に返済し、後から被告人が残りを返済するという方法であった。 イ被告人は、同年2月上旬頃、株式会社Bの事務所において、Aの紹介により、株式会社C銀行D支店の行員EとA同席のもとで面会し、個人事業主として1000万円の融資を希望した。そして、被告人は、その場で、被告人が「L」という屋号で足場・外構事業を営む個人事業主として運転資金、設備資金のための融資を求める旨の融資(兼条件変更)申込書や信用保証委託申込書等に署名するなどしてEに提出し、判示第1のとおり、C銀行D支店に対し、事業を営む者に対する融資である小規模企業事業資金の融資を申し込んだ。 ウ Aは、被告人が平成30年1月から個人事業主を始めた旨の虚偽の開業届を作成し、被告人が事業を営んだことを前提として架空の売上金額等を作出して平成30年の所得税等の確定申告を期限後申告として行い、その直後、被告人は、Aから指示されるままに、税務署に対し、被告人が事業を営んだことを前提とする令和元年の所得税等の確定申告した。被告人は、令和2年 - 5 -2月18日、前記令和元年の確定申告書の控えをEに渡した。 エ被告人は、同月25日、群馬県高崎市内の株式会社Bの建築中の建物において、前記小規模企業事業資金の融資の保証に関し、M協会の職員と面談し、同職員に対し、「平成30年に独立し、足場・外構工事の建設業を営んでいる」、「既存の取引先から紹介されて事業を行っており、人脈や信用を重視して取引を行っている」、「営業範囲は群馬県内の県北方面が多くて、ときには草津や北軽井沢まで足を伸ばし 外構工事の建設業を営んでいる」、「既存の取引先から紹介されて事業を行っており、人脈や信用を重視して取引を行っている」、「営業範囲は群馬県内の県北方面が多くて、ときには草津や北軽井沢まで足を伸ばしている」、「常勤従業員は不在であるが仕事が重なったときは従業員を雇用する場合がある」「前記建築中の建物は、『L』の本社事務所として使用する予定であり、株式会社Bの好意により借り受けることができている」などと説明をした。同面談にあたっては、Aが、前記職員に説明する内容を考えて被告人に教示し、被告人の事業の事務所として説明するために、前記建物を提供したが、その内容はすべて虚偽であった。 前記職員は、前記やりとり等により、被告人が個人事業主として建設業を営むものと信じ、その結果、前記融資につきM協会の融資保証が決定された。 オそして、前記確定申告書や融資保証等を前提に、C銀行D支店支店長は、判示第1のとおり、被告人に対する1000万円の融資を決定し、被告人名義の預金口座に965万616円が振り込まれた。 被告人は、振り込まれた金額のうち、450万円を株式会社Bの預金口座に振り込み、自身に残った金額については、借金の返済や遊興費等に費消した。 ⑵ 判示第2の給付金の支給を受けるまでア被告人は、令和2年4月頃、Aに対し、同人から提案された持続化給付金の支給申請を依頼した。Aは、同年5月上旬、株式会社Bの顧問税理士に同申請の代行を依頼したり、被告人の事業の売り上げが前年度より減少した旨の虚偽の売上台帳を作成したりする等して、判示第2のとおり、事業者を対象とする持続化給付金申請の手続を進めた。被告人は、同手続にあたり、A - 6 -から言われたとおり、免許証、確定申告書、通帳の写し等を準備した。 イそして、判示第2 おり、事業者を対象とする持続化給付金申請の手続を進めた。被告人は、同手続にあたり、A - 6 -から言われたとおり、免許証、確定申告書、通帳の写し等を準備した。 イそして、判示第2のとおり、被告人に対し、持続化給付金の支給決定がなされ、被告人名義の口座に100万円が振り込まれた。被告人は、同金額のうち、合計約10万円を株式会社Bの口座に振り込んだ。 ⑶ 判示第3の融資を受けるまでアその後、被告人は、Aから新型コロナウイルス感染症対応資金の話を受け、同融資を受けることを希望した。被告人は、令和2年6月下旬頃、判示第3のとおり、Eと面会し、融資申込書等に署名するなどして同書面をEに提出し、C銀行D支店に対し、事業者を対象とする新型コロナウイルス感染症対応資金の融資を申し込み、それとともに、被告人の事業につき売上高の減少があった旨の申告書等を提出した。 イそして、C銀行D支店支店長は、判示第3のとおり、被告人に対する1500万円の融資を決定し、その結果、被告人名義の口座に1498万7147円が振り込まれた。被告人は、同金額のうち、750万円を株式会社Bの口座に振り込み、残りの金額は、借金の返済や遊興費等に費消した。 ⑷ 判示第4の融資を受けるまでア被告人は、令和3年3月頃、Aに新たな借り入れの相談をし、同人から中小企業や小規模事業者向けの運転資金に関するGリピート保証融資の話を受け、同融資の申込みを希望した。Aは虚偽の内容を記載して被告人に関する令和2年分の所得税等の確定申告書を作成し、これにより、税務署に対して確定申告がなされた。Aは、前記確定申告書のほか、銀行に提出するための虚偽の内容の受注明細一覧の資料等を作成し、被告人に渡した。 イその後、被告人は、A同席のもと、判示第4のとおり、Eに融資申込 確定申告がなされた。Aは、前記確定申告書のほか、銀行に提出するための虚偽の内容の受注明細一覧の資料等を作成し、被告人に渡した。 イその後、被告人は、A同席のもと、判示第4のとおり、Eに融資申込書等を提出する等して、C銀行D支店に対し、前記Gリピート保証融資を申し込み、これを受けた同支店支店長は、被告人への1300万円の融資の決定をし、その結果、被告人の口座に1257万5650円が振り込まれた。被告 - 7 -人は、同金額のうち、同人がAから借りていた200万円の返済分も含めて855万円を株式会社Bの口座に振り込み、残りの金額は、個人的な投資や遊興費等に費消した。 ⑸ 判示第5の融資を受けるまでア被告人は、令和3年7月頃、Aから100万円の借金をしたところ、同年9月頃、Aから、銀行の融資を受けてAへの借金を返済することを提案された。被告人は、同年10月頃、Eの後任であるC銀行D支店行員Kと面会し、Kから事業を行う者を対象とするBIZクイック融資の説明を受け、Aに相談した上で、同融資を申し込むこととした。 イ被告人は、判示第5のとおり、Kに融資申込書等を提出する等し、C銀行D支店に対し、融資を申し込み、これを受けた同支店支店長は、これまでの融資実績等も踏まえ、被告人への1500万円の融資を決定し、その結果、被告人の口座に1391万2079円が振り込まれた。被告人は、同金額のうち、Aから借りていた117万円の返済分も含めて817万円をAが指定する預金口座に振り込み、残りの金額は遊興費等に費消した。 3 検討⑴ 前記2のとおり、被告人は、判示第1ないし第5のいずれにおいても、真実は会社員として稼働しており建設業を営んでいないにもかかわらず、建設業を営む個人事業主として事業性の融資の申込みや事業者を対象とする 記2のとおり、被告人は、判示第1ないし第5のいずれにおいても、真実は会社員として稼働しており建設業を営んでいないにもかかわらず、建設業を営む個人事業主として事業性の融資の申込みや事業者を対象とする持続化給付金の支給申請を行ったのであって、これに加え、被告人自身、実際には個人事業主として自ら建設業を営んでいないこと及び事業を営んでいない会社員では前記融資等を受けられないことを認識していた旨述べていることも合わせ考慮すれば、被告人において、各融資等の申込み行為が詐欺行為に当たる旨認識していたことが強く推認される。そして、被告人が、個人事業主としての所得税等の確定申告を行ったことや、M協会の職員に対して、実際にやったことのない取引・営業及び架空の事務所予定地等について自ら説明したこと等の事実は、 - 8 -前記推認を補強する。 ⑵ また、Aは、判示各申込み行為が詐欺行為に当たることを認識していた旨供述するところ、そうした認識のもと、被告人に対し、各融資の申込み及び持続化給付金の支給申請を提案し、被告人を個人事業主と偽るために架空の確定申告書や受注明細資料等を作成したり、被告人に信用保証協会への対応等を指示したりして犯罪の実現に必要不可欠な役割を果たしている上、融資額の約半分と給付金の一部に当たる金額を利得しているのであるから、自己の犯罪として本件各犯行を実現したということができ、被告人との間の共謀が認められる。 4 被告人の供述について⑴ これに対し、被告人は、当時信頼していたAから、「株式会社Bが営む事業の一部である足場・外構事業を被告人の個人事業として譲り受け、その事業の個人事業主として融資等を申請する」旨の説明を受けたのであって、いずれも適法な申込みであると考えていたなどと供述し、弁護人は同供述に沿い、詐欺の故意 事業を被告人の個人事業として譲り受け、その事業の個人事業主として融資等を申請する」旨の説明を受けたのであって、いずれも適法な申込みであると考えていたなどと供述し、弁護人は同供述に沿い、詐欺の故意及び共謀がなかった旨主張する。 ⑵ しかしながら、被告人が株式会社Bから事業を譲り受け適法に個人事業主として融資を受けられると考えていたのであれば、M協会の職員やEらと面会した際に、その旨伝えることもできたのに、被告人がそのような申告をした形跡は一切うかがえない。 また、Aは、株式会社Bが足場・外構事業を営んでいた事実はなく被告人に前記のような説明をしたことはない旨供述する。融資の提案や虚偽書類の作成などの、詐欺を実現するために重要な行為のほとんどは自分がやったなどと詐欺行為への積極的な加担を認めるAにおいて、あえて前記供述に関してのみ虚偽であるとも考えにくく、被告人供述は同A供述と合致しない。 弁護人は、Aが自ら利得するために被告人に融資の申込み等をさせており、被告人に責任を転嫁しているなどと主張する。C銀行D支店との関係強化や融資金の半分を得て株式会社Bの運営資金に回す等、本件融資等がA自身にも利 - 9 -益があった側面は否定されない。しかし、Aは少なくとも途中までは受け取った金額の中から被告人の口座に返済用資金を入金していた上、被告人とAとのLINEのやりとり等からすれば、むしろ被告人が積極的に借入れを求めていたことがうかがわれ、Aは主に被告人のために便宜を図っていたということができるのであって、弁護人の同主張は前記A供述の信用性を減ずるものではない。 ⑶ そして、仮に被告人が足場・外構事業を株式会社Bの事業の一部を譲り受けたものだと考えていたとしても、被告人が実際に当該足場・外構事業を営んでいなかったことは前記のとお を減ずるものではない。 ⑶ そして、仮に被告人が足場・外構事業を株式会社Bの事業の一部を譲り受けたものだと考えていたとしても、被告人が実際に当該足場・外構事業を営んでいなかったことは前記のとおり明らかである。事業を実際に営んでいない者が事業者として融資等を受けることや、融資等を受けた資金の約半額を足場・外構事業とは関係のない個人的な用途に費消することは、事業性融資や持続化給付金の制度として当然想定されておらず、常識的に考えて、前記融資、給付金支給の申込みが適法な手続であるとはおよそ考えにくい。そうすると、被告人の供述を前提としても、少なくとも、自身が事業を営んでいないこと等の事実が銀行等に対して明らかになれば融資等は受けられないかもしれないという、詐欺の未必的な故意があったことは否定されない。 ⑷ 以上からすれば、被告人の供述は前記3の推認を左右しない。 5 結論よって、被告人には、判示第1ないし第5のとおり、Aとの間で、詐欺の共同正犯が成立する。 (法令の適用) 罰条いずれも刑法60条、246条1項併合罪の処理刑法45条前段、47条本文、10条(犯情の最も重い判示第3の罪の刑に法定の加重)未決勾留日数の算入刑法21条訴訟費用刑事訴訟法181条1項ただし書(不負担) - 10 -(量刑の理由)本件は、被告人が、共犯者と共謀の上、個人事業主を装い、4回にわたり銀行に対し事業性融資を申し込み、中小企業庁に対し持続化給付金の支給申請をし、それぞれ融資金や給付金を詐取したという事案である。 融資や給付金の申込みにあたり、架空の事業について内容虚偽の確定申告書や受注明細資料、売上台帳等を作成するなどして銀行等に提出し、建設中の建物を事務所予定地と偽るなどして信用 という事案である。 融資や給付金の申込みにあたり、架空の事業について内容虚偽の確定申告書や受注明細資料、売上台帳等を作成するなどして銀行等に提出し、建設中の建物を事務所予定地と偽るなどして信用保証協会の職員に説明し同保証協会の保証を得る等、犯行態様は計画的かつ巧妙で、悪質性が高い。被害合計額は、約5200万円と極めて多額であり、そのうち、銀行からの融資金については、約4600万円が返済されておらず、被害結果は相応に重大である。被告人は、借金返済のため共犯者に相談したところ、共犯者から本件各犯行を提案され、安易に実行した上、受領した金員を、自身の借金返済資金にとどまらず、個人的な投資や遊興費等に費消していたのであって、動機は身勝手極まりなく、経緯にも酌量すべき点はない。 本件では、共犯者が、被告人に個人事業主向けの融資等を提案して、付き合いのある銀行に被告人を個人事業主として紹介し、前記の内容虚偽の書面や建物を準備する等の詐欺行為に向けて重要な行為を担ったという事情があるものの、そもそも共犯者に借入れの相談をし、各詐欺行為を最終的に決意したのは被告人である上、被告人自身、自ら個人事業主を装って確定申告や信用保証協会への説明等を行い、銀行に虚偽内容の融資申込書等を提出するなどし、融資金の約半分の金額及び持続化給付金の大半の金額を自ら利得しているのであって、主体的かつ積極的に本件各犯行に関与しているものといえる。 以上からすれば、被告人の責任は重く、被告人が外形的事実の大半を認めていること、前科がないこと、及び、前記被害銀行に対して事件発覚前に返済済みの融資金のほか約80万円の弁済をし、持続化給付金は全額返済したこと等の事情を最大限考慮しても、被告人に対しては、主文の刑を免れないものと判断した。 (求刑懲役6年) - 前に返済済みの融資金のほか約80万円の弁済をし、持続化給付金は全額返済したこと等の事情を最大限考慮しても、被告人に対しては、主文の刑を免れないものと判断した。 (求刑懲役6年) - 11 -令和6年11月5日前橋地方裁判所刑事第1部裁判官柴田裕美
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