令和3(ネ)10091 特許権侵害差止等請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
令和4年4月20日 知的財産高等裁判所 2部 判決 原判決一部変更 東京地方裁判所 令和1(ワ)14314
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判決文本文26,957 文字)

1令和4年4月20日判決言渡令和3年(ネ)第10091号 特許権侵害差止等請求控訴事件(原審・東京地方裁判所令和元年(ワ)第14314号)口頭弁論終結日 令和4年2月21日判 決控訴人兼被控訴人(一審原告) バイオメット シー ブイ(以下「一審原告」という。) 同訴訟代理人弁護士 山 口 健 司石 神 恒 太 郎薄 葉 健 司佐 藤 信 吾同訴訟代理人弁理士 伊 藤 公 一同補佐人弁理士 利 根 勇 基 被控訴人兼控訴人(一審被告) メイラ株式会社(以下「一審被告」という。) 同訴訟代理人弁護士野 村 晋 右池 原 元 宏加 茂 翔 太 郎同訴訟代理人弁理士 向 山 正 一同補佐人弁理士 伊 藤 正 典主 文1 一審原告の控訴に基づき、原判決主文3項及び4項を次のとおり変更する。 2(1) 一審被告は、一審原告に対し、454万4478円及びこれに対する令和元年6月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (2) 一審原告のその余の請求を棄却する。 2 一審被告の本件控訴を棄却する。 3 訴訟費用は、第1、2審を通じ、これを25分し、その1を一審原告の負担とし、その余を一審被告の負担とする。 4 この判決は、1項(1)に限り、仮に執行することができる。 5 一審原告のために、この判決に対する上告及び上告受理申 を25分し、その1を一審原告の負担とし、その余を一審被告の負担とする。 4 この判決は、1項(1)に限り、仮に執行することができる。 5 一審原告のために、この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を30日と定める。 事実及び理由以下、用語の略称及び略称の意味は、本判決で付するもののほかは、原判決に従い、原判決に「原告」とあるのを「一審原告」と、「被告」とあるのを「一審被告」と、「被告製品1~4」「被告各製品」とあるのをそれぞれ「一審被告製品1~4」「一審被告各製品」と読み替える。また、原判決の引用部分の「別紙」を全て「原判決別紙」と改める。 第1 控訴の趣旨1 一審原告の控訴(1) 原判決主文3項及び4項(ただし、原判決別紙1一審被告製品目録記載4の製品に係る部分を除く。)を次のとおり変更する。 一審被告は、一審原告に対し、465万4478円及びこれに対する令和元年6月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (2) 訴訟費用は、第1、2審とも一審被告の負担とする。 (3) 仮執行宣言2 一審被告の控訴3(1) 原判決中一審被告敗訴部分を取り消す。 (2) 前項の取消しに係る部分につき、一審原告の請求をいずれも棄却する。 (3) 訴訟費用は、第1、2審とも一審原告の負担とする。 第2 事案の概要1 本件は、発明の名称を「軟骨下関節表面支持体を備えた骨折固定システム」とする本件特許権を有する一審原告が、一審被告の製造、販売する一審被告各製品が本件特許権に係る発明の技術的範囲に属すると主張して、一審被告に対し、特許法100条1項及び2項に基づき、一審被告各製品の製造販売の差止め及び廃棄を求めるとともに、不法行為に基づき、損害賠償金465万4478円及びこれに対す 範囲に属すると主張して、一審被告に対し、特許法100条1項及び2項に基づき、一審被告各製品の製造販売の差止め及び廃棄を求めるとともに、不法行為に基づき、損害賠償金465万4478円及びこれに対する不法行為の後の日である令和元年6月8日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの。以下同じ。)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 原判決は、一審被告各製品のうち一審被告製品1~3については本件発明の技術的範囲に含まれ、かつ、本件発明に無効理由はないから、同各製品の製造、販売は本件特許権を侵害するが、一審被告製品4は「発明による課題の解決に不可欠なもの」に当たらないから間接侵害は成立しないと判断し、また、一審原告は、Zimmer Biomet Holdings,Inc.を最終的な親会社とするジンマー・バイオメットグループに属する知的財産権の一部を管理する法人であって、自らは一審被告製品1~3と競合する製品の販売等をしていないから特許法102条2項の適用はないとして、同条3項により損害額を70万1010円、弁護士費用を20万円と認定して、一審原告の請求を一部認容した。これに対し、一審原告が、損害額の認定に不服があるものとして控訴を提起し、一審被告が、一審被告製品1~3の販売等についても本件特許権の侵害に当たらないと主張して控訴を提起した。なお、一審原告は、原判決のうち、一審被告製品4についての請求を棄却した部分に対する不服を申し立てておらず、控訴はしていない。 2 前提事実(証拠等を掲げた事実以外は、当事者間に争いがない。なお、枝番4号の記載を省略したものは、枝番号を含む(以下同様)。)、争点及び当事者の主張は、以下のとおり改め、後記3のとおり当審における当事者の主張を加 掲げた事実以外は、当事者間に争いがない。なお、枝番4号の記載を省略したものは、枝番号を含む(以下同様)。)、争点及び当事者の主張は、以下のとおり改め、後記3のとおり当審における当事者の主張を加えるほかは、原判決の「事実及び理由」中の「第2 事案の概要」の1~3に記載するとおりであるから、これを引用する。 (1) 原判決3頁3行目の「Zinmmer」を「Zimmer」と改め、同頁11行目の「という。)」の後に、「を有している」を挿入し、同頁19~20行目の「本件特許の特許請求の範囲請求項1ないし17について原告の訂正審判の請求を認める旨の審決」を「本件特許の特許請求の範囲について、後記(4)アのとおり請求項1を訂正し、これを直接又は間接的に引用する請求項2~17も同様に訂正することを認める旨の審決」と、同頁21~22行目の「その各請求項の発明」を「同訂正後の各請求項の発明」とそれぞれ改める。 (2) 原判決10頁7~8行目の「別紙1被告製品目録1及び2記載の被告製品」を「一審被告製品1及び2」と改める。 (3) 原判決10頁13~14行目の「別紙2被告製品説明書1及び3記載のとおり」を「原判決別紙2被告製品説明書記載1及び3のとおり」と、同頁21行目及び同頁26行目の「別紙2被告製品説明書2及び3記載のとおり」を「原判決別紙2被告製品説明書記載2及び3のとおり」と、同頁21行目及び同頁26行目の各「別紙2被告製品説明書2及び3記載のとおり」をいずれも「原判決別紙2被告製品説明書記載2及び3のとおり」とそれぞれ改める。 (4) 原判11頁2行目の「本件訂正発明」を「本件発明」と改める。 (5) 原判決11頁14行目の「本件優先日」を「本件特許の優先日」と改める。 (6) 原判決12頁7行目を削除する(なお、争点(2)については欠番 2行目の「本件訂正発明」を「本件発明」と改める。 (5) 原判決11頁14行目の「本件優先日」を「本件特許の優先日」と改める。 (6) 原判決12頁7行目を削除する(なお、争点(2)については欠番とする。)。 (7) 原判決12頁18行目の「特許法102条2項に基づく損害額」を「特許法102条2項の適用の可否及び同項に基づく損害額」と改める。 (8) 原判決13頁2行目の「本件明細書」の次に「の段落」を挿入し、同頁10行目の「充足する。」を「充足し、一審被告製品3を含む一審被告製品1及び2も、5本件発明1の構成要件1B、1C、1D及び1Hを充足する。」と改め、同頁15行目の「「本体部に(201)に」を「「本体部(201)に」と改める。 (9) 原判決14頁19行目の「本件明細書【0016】の実施態様」を「本件明細書の段落【0016】には、実施態様」と、同頁20行目の「本件明細書【0007】の実施態様」を「本件明細書の段落【0007】には、実施態様」と、同頁21行目の「本件明細書【0007】」を「同段落」とそれぞれ改める。 (10) 原判決15頁2行目(原判決の同頁左余白に表示された行数による。以下、原判決の当該頁の文中に表や図面がある場合に原判決の行数を示す場合も、各頁左余白に表示された行数によることとする。)及び同頁11行目の「【0007】」の前に「の段落」をそれぞれ挿入する。 (11) 原判決16頁14行目の「技術的範囲に属する。」を「技術的範囲に属し、一審被告製品3を含む一審被告製品1及び2も、本件発明1の技術的範囲に属する。」と改め、同頁20行目の「湾曲上」を「湾曲状」と改め、同行目の「以下の図のとおり、」を削る。 (12) 原判決17頁22行目及び同頁24行目の「【0007】」の前に「の段落」をそれぞれ挿入する。 改め、同頁20行目の「湾曲上」を「湾曲状」と改め、同行目の「以下の図のとおり、」を削る。 (12) 原判決17頁22行目及び同頁24行目の「【0007】」の前に「の段落」をそれぞれ挿入する。 (13) 原判決19頁1行目の「本件発明2以下の充足性」を「本件発明2~5、10~12、14~17の充足性」と、同頁3行目の「被告製品3は、」を「被告製品3が」とそれぞれ改める。 (14) 原判決19頁18行目冒頭から20頁12行目末尾までを削除する。 (15) 原判決20頁13行目の「(5)」を「(4)」と、同頁15~16行目の「平成24年3月15日付け提出の手続補正書」を「平成24年3月15日付け手続補正書(乙1)」と、同頁19行目の「構成要件1Kの訂正前の記載」を「以下「構成要件1Kの訂正前の構成」という。」とそれぞれ改め、21頁1行目の「【0007】」の前に「の段落」を、同行目の「【0016】」の前に「段落」をそれぞれ挿入する。 (16) 原判決21頁5行目の「(6)」を「(5)」と改める。 6(17) 原判決22頁5行目の「(7)」を「(6)」と改める。 (18) 原判決23頁16行目の「(8)」を「(7)」と改め、24頁10行目の「【0016】」の前に「段落」を挿入する。 (19) 原判決24頁14行目の「(9)」を「(8)」と、同行目の「乙5第1発明と乙5第2発明」を「乙5第1発明及び乙5第2発明」とそれぞれ改める。 (20) 原判決29頁16行目の「本件発明」を「本件発明1」と改める。 (21) 原判決30頁20行目の「乙5公報」の次に「が」を挿入する。 (22) 原判決31頁20行目の「(10)」を「(9)」と、同行目の「乙5第1発明と周知技術」を「乙5第1発明及び周知技術」とそれぞれ改める。 (23) 原判決32頁1 の次に「が」を挿入する。 (22) 原判決31頁20行目の「(10)」を「(9)」と、同行目の「乙5第1発明と周知技術」を「乙5第1発明及び周知技術」とそれぞれ改める。 (23) 原判決32頁13行目の「前記」を「前記(8)【一審原告の主張】エ」と、同頁19行目の「(11)」を「(10)」と、同行目の「本件発明2以下の無効理由」を「本件発明2~5、10~12、14~17に係る特許が特許無効審判により無効にされるべきものか。」とそれぞれ改める。 (24) 原判決32頁24~25行目、33頁7行目、同頁17行目、34頁4行目、同頁23行目、35頁5行目、同頁14~15行目、36頁1~2行目、同頁15行目、37頁15行目、38頁14~15行目に「周知技術(乙5第2発明、乙6~8)」とあるのを、「周知技術(乙5第2発明、乙6公報、乙7公報、乙8公報)」と、35頁12行目の「乙9の1」を「乙9の1(国際公開01/56452公報。 公開日2001年(平成13年)8月9日)」とそれぞれ改める。 (25) 原判決37頁12行目、同頁14行目、同頁15行目の「乙10」をいずれも「乙10の1」と改める。 (26) 原判決38頁13~14行目の「と乙10の1」、同頁14行目の「及び乙10の1」をそれぞれ削る。 (27) 原判決42頁11行目の「(12)」を「(11)」と、同頁13行目の「特許法102条2項に基づく損害額」を「特許法102条2項の適用の可否及び同項に基づく損害額」とそれぞれ改め、同頁14行目の「特許法102条」の次に「2項」を7挿入し、同頁15行目の「Zinmmer」を「Zimmer」と、同行目~16行目の「親会社とし、原告の日本におけるグループ企業である」を「親会社とする一審原告が属するグループ企業の日本に所在する法人である」と、44 行目の「Zinmmer」を「Zimmer」と、同行目~16行目の「親会社とし、原告の日本におけるグループ企業である」を「親会社とする一審原告が属するグループ企業の日本に所在する法人である」と、44頁10行目の「原告の日本におけるグループ企業たる」を「一審原告の属するグループ企業の日本に所在する法人である」とそれぞれ改める。 (28) 原判決45頁14行目の「(13)」を「(12)」と、同頁16行目及び17行目の各「被告製品1ないし4」をいずれも「一審被告製品1ないし3」とそれぞれ改める。 3 当審における当事者の補足主張(1) 争点(1)イ(本件発明1の構成要件1Kの充足性)について(一審原告の主張)ア 構成要件1Kは、固定プレートが遠位橈骨に連結される場合に、第1の組の孔の軸線は、第2の組の孔の軸線の接線方向を画定する軟骨下骨の部分に対して背側面側に位置する軟骨下骨の部分の接線方向に延び、第2の組の孔の軸線は、第1の組の孔の軸線の接線方向を画定する軟骨下骨の部分に対して手掌側面側に位置する軟骨下骨の部分の接線方向に延びるように構成されていることを規定したものである。 本件発明の課題は、1組の平行ピンを利用した安定化金属プレートによる平板固定では達成できなった所望の位置合わせ及び安定化状態を提供することである。この課題を解決するためには、2組の突起が軟骨下骨の特定の部位を支持する必要はないのであり、本件発明は、2組の突起が軟骨下骨を異なる2か所で支持することで、従来の1組の平行ピンを利用した平板固定に対して、所望の位置合わせ及び安定化状態を提供する効果を奏するという技術的意義を有する。 この本件発明の課題及び技術的意義に照らすと、上記一審原告の主張する解釈に理由があることは明らかであり、原判決の判断に誤りはない。 及び安定化状態を提供する効果を奏するという技術的意義を有する。 この本件発明の課題及び技術的意義に照らすと、上記一審原告の主張する解釈に理由があることは明らかであり、原判決の判断に誤りはない。 イ 一審被告の主張は、次のとおり、いずれも失当である。 8(ア) 一審被告は、「側」が広辞苑第7版の「①」の「物の一つの方向・面」という意味であると主張するが、仮にそうであるとしても、広辞苑第7版には、「物の一つの方向・面」の例文として、「北の-の家」「窓に近い-の人」が挙げられており、これら例文の「北の側」及び「窓に近い側」が、特定の位置を示すものではなく、比較対象との相対的な関係で定められる位置であることは明白であるから、広辞苑第7版の記載は一審被告の主張の根拠とはならない。 (イ) 本件発明は、安定化金属プレートと一組の平行ピンとを利用した平板固定法で達成できなかった所望の位置合わせ及び安定化状態を提供することを課題としており、同課題の解決手段たる本件発明による効果を述べた本件明細書の段落【0007】の最後の文(「第1の組のペグ孔内のペグは、軟骨下骨片の背側面に対する支持を提供する一方、第2の組のペグ孔内のペグは関節骨表面の裏側の軟骨下骨の手掌側面に対する支持を与える。」)は、2組の突起が軟骨下骨のどの特定の部位を支持するかを述べているのではなく、軟骨下骨の接線方向に延びた2組の突起が軟骨下骨を異なる2か所で支持することを述べたものである。同段落の「背側面」は「相対的に背側の面」を意味すると解すべきであり、原判決の解釈に誤りはない。 一審被告は、補正により、原判決が判示するところの本件明細書における実施態様①②④(①第1の突起が軟骨下骨の中央側面を支持し、第2の突起が軟骨下骨の掌側面を支持する場合、②第1の突起が軟骨下骨の中央側 審被告は、補正により、原判決が判示するところの本件明細書における実施態様①②④(①第1の突起が軟骨下骨の中央側面を支持し、第2の突起が軟骨下骨の掌側面を支持する場合、②第1の突起が軟骨下骨の中央側面及び背側面を支持し、第2の突起が軟骨下骨の掌側面を支持する場合、④第1の突起が軟骨下骨の背側面を支持し、第2の突起が軟骨下骨の中央部分を支持する場合)(以下、これらの実施態様を合わせて「実施態様①②④」ということがある。)が除外された旨主張するが、失当である。上記補正により、本件発明から「第1の組の孔の軸線が第2の組の孔の遠位側に突出しない構成」が除外され、本件発明1に「挟みこまれた形で」との文言が追加され、構成要件1J及び1Kが追加されたのであって、軟骨下骨のどの特定部位を支持する態様を本件発明とするかを明確にするために補正が行われたものではなく、補正により上記の実施態様①②④が除外されたという事実はない。 9一審被告は、構成要件1Kの解釈について、一審原告の主張及び原判決の判断を採用すると、本件明細書に記載のない実施態様(第1の突起及び第2の突起がともに背側面を支持し、かつ、第2の突起が、第1の突起が指示する背側面よりも相対的に「手掌側面側」となる背側面を支持する場合を包含する態様)を包含することになる旨主張するが、本件明細書の記載全体を考慮して解釈するならば、本件明細書の段落【0007】の「軟骨下骨片の背側面」及び「軟骨下骨の手掌側面」は、軟骨下骨を2分したそれぞれ特定の部分を意味するものではなく、他方の部分に対してそれぞれ「背側」又は「手掌側」の位置関係にある部分(相対的な部分)を意味すると解すべきであり、上記の実施態様は本件明細書に実質的に記載されている。 また、そもそも本件明細書の実施例は、文字どおり例示にすぎないのであり、実 手掌側」の位置関係にある部分(相対的な部分)を意味すると解すべきであり、上記の実施態様は本件明細書に実質的に記載されている。 また、そもそも本件明細書の実施例は、文字どおり例示にすぎないのであり、実施例として記載がないから本件発明の技術的範囲から外れるという主張は失当である。 一審被告は、本件明細書の段落【0016】では、軟骨下骨を、「中央側面」「背側面」及び「掌側面」の3部分に分けていることが一審被告の主張の根拠となるかのような主張をしているが、軟骨下骨を3分して「中央側面」「背側面」及び「掌側面」に捉えるべきと考えるのであれば、軟骨下骨を「背側面側」と「手掌側面側」に下縁の最下端で2分するという一審被告の主張と整合しない。 (ウ) 一審被告は、本件明細書の段落【0007】の「軟骨下骨片の背側面」及び「軟骨下骨の手掌側面」とは、特定部位を指すものであると主張する。しかし、一審被告の本件発明の技術的意義の理解は、本件発明の課題及びその解決手段である本件発明の技術的特徴を看過した一審被告独自の主張にすぎず、何ら理由がない。 (エ) 一審被告は、構成要件1Kは実質的に無意味であると主張するが、構成要件1Kは、第1の組の孔の軸線と第2の組の孔の軸線とが遠位橈骨内で交差するだけでなく、第1の組の孔の軸線の延びる方向を背側面側の軟骨下骨の接線方向に限定し、第2の組の孔の軸線が伸びる方向を手掌側面側の軟骨下骨の接線方向に限定することによって軟骨下骨を十分に保持しようとするものであって、構成要件1Jが規定する第1の組の孔の軸線と第2の組の孔の軸線とが遠位橈骨内で交差する態様10は、構成要件1Kによって限定される。一審被告の当審における主張は原審での主張の繰り返しであり、理由がない。 (一審被告の主張)ア 構成要件1Kの「背側面側の軟骨下 内で交差する態様10は、構成要件1Kによって限定される。一審被告の当審における主張は原審での主張の繰り返しであり、理由がない。 (一審被告の主張)ア 構成要件1Kの「背側面側の軟骨下骨」及び「手掌側面側の軟骨下骨」は、それぞれ軟骨下骨の特定の部位を指す(以下同解釈を「特定説」という。)から、一審被告製品3は構成要件1Kを充足しない。一審被告製品3が本件発明1の構成要件を充足しない以上、一審被告製品は本件発明2以下の構成要件も充足しない。 イ ところが、原判決は、「側」が「相対する二つの一方」という一般的意味を有するとされていること(広辞苑第7版)を根拠に、構成要件1Kにおける「背側面側」及び「手掌側面側」が互いに相対する関係で用いられているとした上で、「背側面側」及び「手掌側面側」の文言は、軟骨下骨の特定の部位を指すのではなく、相対的な位置関係を指すとの解釈(以下「相対説」という。)を採用した。原判決のこの解釈は次のとおり誤りである。 (ア) 広辞苑第7版では、「側」の意味の「①」として「物の一つの方向・面」を挙げており、「背側面側」及び「手掌側面側」で妥当するのはこの意味であって、原判決がいう「相対する二つの一方」ではない。そうすると、「背側面側」の「軟骨下骨」は、実質的に「軟骨下骨」の手の甲の側の面(の部分)を意味し、「手掌側面側」の「軟骨下骨」は、実質的に「軟骨下骨」の手のひらの側の面(の部分)を意味する。 そして、凹んだ湾曲状になっている軟骨下骨の形状からすれば、手の甲の側の面と手のひらの側の面を区別するために下縁の最下端を二分し、それぞれの「側面」を「背側面側」、「手掌側面側」と呼んだものと理解されるべきである。 (イ) 原判決は、「軟骨下骨片の背側面」(本件明細書の段落【0007】)には「軟骨下骨の中央側面及 を二分し、それぞれの「側面」を「背側面側」、「手掌側面側」と呼んだものと理解されるべきである。 (イ) 原判決は、「軟骨下骨片の背側面」(本件明細書の段落【0007】)には「軟骨下骨の中央側面及び/又は背側面」(同【0016】)が含まれることを前提にしているものといえると解釈したが、これは、「背側面」に「中央側面」を読み込むという文言上無理のある解釈であり、失当である。また、原判決は、特定説を前提とすると実施態様①②④が構成要件1Kを充足しないこととなるから、特定説は本件11明細書の記載に反する旨判示したが、本件特許権は4回の補正を経て成立しているところ、これらの補正により、構成要件1Kにおいて「中央側面」を支持するもの(実施態様①②④)は意識的に除外されたと考えるべきであるから、上記原判決の判示は失当である。 本件明細書の段落【0016】では、軟骨下骨を、「中央側面」「背側面」及び「掌側面」の3部分に分けており、軟骨下骨の下縁の最下端を特定し、軟骨下骨を二分して「背側面側」、「手掌側面側」を区別すること(特定説を採用すること)は本件明細書の記載に合致している。他方、相対説を前提とすると、本件発明は、当初明細書に開示されていない実施態様である「第1の突起が軟骨下骨の背側面を支持し、第2の突起が第1の突起が支持する背側面よりも相対的に「手掌側面側」となる背側面を支持する場合」を含むこととなる。 したがって、本件明細書の記載からも特定説を採用すべきである。 (ウ) 本件発明の技術的意義は、「遠位撓骨内で背側面側の軟骨下骨の接線方向と手掌側面側の軟骨下骨の接線方向に延びる互いに交差する2列の突起を保持することができるプレートにより軟骨下骨片の背側面及び関節骨表面の裏側の軟骨下骨の手掌側面を支持することによって、骨折部の複数の骨片を所 面側の軟骨下骨の接線方向に延びる互いに交差する2列の突起を保持することができるプレートにより軟骨下骨片の背側面及び関節骨表面の裏側の軟骨下骨の手掌側面を支持することによって、骨折部の複数の骨片を所望通りに整列及び安定化させて適正な治癒を可能とするとともに、関節表面及び軟骨下表面に支持を与えようとしたもの」と理解すべきであり、単に「軟骨下骨又は関節表面を異なる2か所で支持する」だけでは足りない。本件明細書の段落【0007】の「軟骨下骨片の背側面」及び「軟骨下骨の手掌側面」は、特定部位を指すものである。 そして、相対説を採ると本件の特許請求の範囲に上記技術的意義を果たせない構成をも含むことになり、特定説を採ると技術的意義に適うこととなるから、技術的意義の点からも特定説が採用されるべきである。 (エ) 相対説を採用すると、構成要件1Jが充足されると必然的に構成要件1Kが充足されることとなる。原判決は、一審被告のこの指摘に正面から答えるものではない。 12(2) 争点(3)(本件発明1に係る特許が特許無効審判により無効にされるべきものか。)について(一審被告の主張)原判決が採用した相対説を前提とすると、以下で述べる無効理由により、本件特許は無効となる。 ア(無効理由1(新規事項を追加する補正))について前記(1)(一審被告の主張)イ(イ)のとおり、相対説を前提とすると、本件発明は、出願当初明細書に開示されていない実施態様である「第1の突起が軟骨下骨の背側面を支持し、第2の突起が第1の突起が支持する背側面よりも相対的に「手掌側面側」となる背側面を支持する場合」を含むこととなり、新規事項の追加に当たる。 イ(無効理由3(サポート要件違反))について上記アのとおり、相対説を前提とすると、本件発明は、「第1の突起が軟骨下骨の背側 なる背側面を支持する場合」を含むこととなり、新規事項の追加に当たる。 イ(無効理由3(サポート要件違反))について上記アのとおり、相対説を前提とすると、本件発明は、「第1の突起が軟骨下骨の背側面を支持し、第2の突起が第1の突起が支持する背側面よりも相対的に「手掌側面側」となる背側面を支持する場合」を含むことになり、そのような場合として、第1の突起及び第2の突起がともに背側面を支持し、かつ、第2の突起が支持する背側面よりも相対的に「手掌側面側」となる背側面を支持する場合を包含することになるが、このような実施態様は発明の詳細な説明に記載されていない。またこの実施態様は、当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものでもない。 ウ(無効理由4(実施可能要件違反))について仮に相対説を前提とすると、第1の組の孔の軸線が、第2の組の孔の軸線の接線方向を画定する軟骨下骨の部分に対して、どの程度背側面側に位置する軟骨下骨の接線方向に延びればいいのか、また、第2の組の孔の軸線は、第1の組の孔の軸線の接線方向を画定する軟骨下骨の部分に対して、どの程度手掌側面側に位置する軟骨下骨の接線方向に延びればいいのかについて、本件明細書の段落【0007】及び段落【0016】の記載を含む、本件明細書には何ら開示されていない。このよ13うに、相対説を前提とした場合、本件明細書には当業者が本件発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分な記載はない。 (一審原告の主張)ア(無効理由1(新規事項を追加する補正))について前記(1)(一審原告の主張)イ(イ)のとおり、「第1の突起が軟骨下骨の背側面を支持し、第2の突起が第1の突起が支持する背側面よりも相対的に「手掌側面側」となる背側面を支持する場合」は本件明細書に実質的に 1)(一審原告の主張)イ(イ)のとおり、「第1の突起が軟骨下骨の背側面を支持し、第2の突起が第1の突起が支持する背側面よりも相対的に「手掌側面側」となる背側面を支持する場合」は本件明細書に実質的に記載されており、構成要件1Kを追加する補正は新規事項を追加するものではない。 イ(無効理由3(サポート要件違反))について本件発明の課題は、1組の平行ピンを利用した安定化金属プレートによる平板固定では達成できなった所望の位置合わせ及び安定化状態を提供することであり、かかる課題を解決するために、2組の突起が軟骨下骨の特定の部位を支持する必要はない。すなわち、2組の突起が軟骨下骨のどこを支持するかは程度問題にすぎず、2組の突起が軟骨下骨を異なる2か所で支持することで、従来の1組の平行ピンを利用した平板固定に対して、多かれ少なかれ所望の位置合わせ及び安定化状態を提供するという効果が奏される。一審被告が挙げた極端な例であっても、第1の組の突起のみで軟骨下骨を支持した場合に比べ、第2の組の突起でも軟骨下骨を支持することにより、所定の位置合わせ及び安定化状態を提供することができる。このことは、本件明細書(出願当初から変更はない。)における本件発明の課題(段落【0004】【0005】)、効果(同【0007】)及び実施例(同【0016】)の記載から明らかである。 ウ(無効理由4(実施可能要件違反))について本件発明は、第1の組の突起及び第2の組の突起が異なる接線方向に延びていれば足りるものであるから、一審被告の指摘(「第1の組の孔の軸線が、第2の組の孔の軸線の接線方向を画定する軟骨下骨の部分に対して、どの程度背側面側に位置する軟骨下骨の接線方向に延びればいいのか、また、第2の組の孔の軸線は、第1の14組の孔の軸線の接線方向を画定する軟骨下骨の部分 の接線方向を画定する軟骨下骨の部分に対して、どの程度背側面側に位置する軟骨下骨の接線方向に延びればいいのか、また、第2の組の孔の軸線は、第1の14組の孔の軸線の接線方向を画定する軟骨下骨の部分に対して、どの程度手掌側面側に位置する軟骨下骨の接線方向に延びればいいのか」)はそもそも問題とならない。 (3) 争点(5)ア(特許法102条2項の適用の可否及び同項に基づく損害額)について(一審原告の主張)ア ジンマー・バイオメットグループの関係は次のとおりである。 (ア) ジンマー・バイオメットグループのZimmer Biomet Holdings,Inc.は、持株会社で上場会社である。Zimmer Inc.は、Zimmer Biomet Holdings,Inc.が株式を直接保有する米国法人である。 そして、Zimmer Inc.は、一審原告、Biomet Orthopedics LLC、Biomet Trauma LLC及びジンマー・バイオメット合同会社につき、それぞれ発行済み株式の100%を間接的に保有する。 (イ) 本件特許権に係る事業(一審原告製品の販売に係る事業)は、ZimmerInc.の管理・コントロール下で、同社が発行済み株式の100%を間接的に保15有するジンマー・バイオメットグループ内の各法人を通じてグローバルに行われている。 一審原告は、本件特許権を保有する。本件特許権の活用、すなわち本件特許権侵害を疑わせる事実を発見した場合に本件特許権を行使するか否か、行使するとしてどのように行使するかについては、全てZimmer Inc.の管理・コントロールの下で行われている。 Biomet Orthopedics LLCは、一審原告製品の主たる設計を行う製造業者である(甲22及び23)。Zimme 、全てZimmer Inc.の管理・コントロールの下で行われている。 Biomet Orthopedics LLCは、一審原告製品の主たる設計を行う製造業者である(甲22及び23)。Zimmer Inc.は、一審原告製品の設計についても管理・コントロールしている。 Biomet Trauma LLCは、輸入前の製品のパッケージのラベル上(甲24)で「Manufacturer」(製造者)と記載されている法人である。 一審原告製品の製造は、Zimmer Inc.の管理・コントロール下で行われている。 ジンマー・バイオメット合同会社は、以上のように設計され製造された一審原告製品を輸入して日本で販売している。Zimmer Inc.は、不定期にジンマー・バイオメット合同会社と会議を開催し、一審原告製品の中長期の販売プランを定める。また、一審原告製品に不具合が見つかったときは、ジンマー・バイオメット合同会社は、その都度、Zimmer Inc.に報告し、同社の管理・コントロールの下で不具合の対処も行っている。 このように、本件特許権に係る事業(一審原告製品の販売)は、Zimmer Biomet Holdings, Inc.が発行済み株式100%を直接保有して支配するZimmer Inc.による管理・コントロールの下で、ジンマー・バイオメットグループ内の各子会社の活動が統括され、同グループ一体となって行われている。 (ウ) Zimmer Biomet Holding, Inc.は持株会社として、本件特許権に係る事業(一審原告製品の販売事業)を含むTrauma事業(トラ16ウマ事業)の収益を公開している。 イ 特許法102条2項は、民法の原則の下では、特許権侵害によって特許権者が被った損害の賠償を求めるためには、特許権者において、損 むTrauma事業(トラ16ウマ事業)の収益を公開している。 イ 特許法102条2項は、民法の原則の下では、特許権侵害によって特許権者が被った損害の賠償を求めるためには、特許権者において、損害の発生及び額、これと特許権侵害行為との間の因果関係を主張、立証しなければならないところ、その立証等には困難が伴い、その結果、妥当な損害の填補がされないという不都合が生じ得ることに照らして、立証の困難性の軽減を図った規定である。 かかる趣旨を踏まえると、特許法102条2項の適用は、硬直的に行うべきではなく、同条適用の前提となる事実の認定・判断は柔軟に行われるべきである。 そして、上記アの事実を踏まえると、本件では、Zimmer Biomet Holdings,Inc.が直接又は間接に発行済み株式の100%を保有し完全支配する各法人(本件特許権者たる一審原告を含む。)が、ジンマー・バイオメットグループとして一体となり、本件特許権を保有・管理し、かつ、本件発明を実施(原告製品を日本で販売)して、本件特許権に係る事業を行っているといえ、特許権者が特許発明を自ら実施しているのと同視できる。また、一審原告製品と競合する一審被告製品の販売によって、ジンマー・バイオメットグループにおけるトラウマ事業(一審原告製品の販売に係る事業を含む。)の売上げに影響が生じることも容易に想定される。 よって、本件では、特許法102条2項が適用されることは明らかである。 ウ 原判決は、個々の法人格に基づく形式的な判断をしたが、その判断は、企業グループにおける事業遂行の経済的実態と著しく乖離する。企業の事業部門が100%子会社として分社化された企業グループやいわゆる純粋持株会社に保有される企業グループのように、一体性をもって経営され実質的に一つの法人とみることができる実態 著しく乖離する。企業の事業部門が100%子会社として分社化された企業グループやいわゆる純粋持株会社に保有される企業グループのように、一体性をもって経営され実質的に一つの法人とみることができる実態を持つ企業グループが多数ある。例えば、連結納税制度を利用する企業グループはまさにこのような企業グループの一例といえる。 企業グループにおいて、個々の会社という枠組みを超えた事業活動が、企業グループとして一体となって遂行される場合に、個々の会社(法人格)という視点での17み事実を認定したとき、企業グループにおける事業活動の実態を正確に捉えることができず、極めて不合理である。 さらに、このような判断が確立した場合、企業グループにおける知的財産権を活用する経営戦略の幅が狭くなり、結果として、産業の発達に寄与するという特許法の目的(特許法1条)にも沿わないこととなる。 (一審被告の主張)ア 一審原告の主張アの事実のうち、一審原告が本件特許権を保有することは認め、その余は不知。 イ 特許法102条2項に関し、特許管理会社のような特許不実施主体などの権利者がおよそ市場における製造販売行為を行っていない場合は、製造販売による逸失利益があり得ないため、同条項の適用はない。 そして、一審原告の説明によれば、一審原告は、オランダ王国法人であり、本件特許権を保有・管理するにとどまり、一審被告製品1及び2と競合しうる製品を製造も販売もしていない。そうすると、仮に本件特許権の侵害があったとしても、一審被告製品1及び2の販売がなければ一審原告に利益が得られたであろうとの事情が存在せず、損害額の算定に当たり、特許法102条2項を適用することはできない。特許法102条2項の適用を否定した原判決の判断は正当かつ妥当である。 ウ 一審原告は、本件において特許法 うとの事情が存在せず、損害額の算定に当たり、特許法102条2項を適用することはできない。特許法102条2項の適用を否定した原判決の判断は正当かつ妥当である。 ウ 一審原告は、本件において特許法102条2項を適用すべき根拠として、一審原告と、一審原告製品を製造する会社及び国内で販売する会社とが同一の親会社(Zimmer Biomet Holdings,Inc.)を有することを根拠とするようであるが、一審原告と、一審原告製品を製造する会社ないし国内で販売する会社との間において、同一の親会社を有すること以上に一体性を根拠づける事情はうかがえない(一審原告から提出された証拠において、一審原告が実質的に本件発明の実施品の販売を行っていたといえるような関係を根拠づけるものはない。)。 また、一審原告と、一審原告製品を製造する会社や国内で販売する会社とが同じ法人に支配されているとしても、本件特許権の侵害行為により一審原告に逸失利益18が生じることにはならないから、「侵害者による特許権侵害行為がなかったならば利益が得られたであろうという事情」を認めることはできない。 エ 仮に特許法102条2項が適用されるとしても、本件特許権を保有・管理するだけの一審原告の利益は何ら害されていないことは、損害の推定覆滅事由となる。 第3 当裁判所の判断1 当裁判所も、一審原告の一審被告に対する、一審被告製品1~3についての製造、販売の差止及び廃棄請求には理由があるものと判断する。その理由は、次のとおり改め、当審における当事者の補足主張に対する判断を後記2に付加するほかは、原判決の「事実及び理由」中の「第3 当裁判所の判断」の1~4、6~12及び14に説示のとおりであるから、これを引用する。なお、一審原告の一審被告に対する損害賠償請求については後記3で判 るほかは、原判決の「事実及び理由」中の「第3 当裁判所の判断」の1~4、6~12及び14に説示のとおりであるから、これを引用する。なお、一審原告の一審被告に対する損害賠償請求については後記3で判断する。 (1) 原判決52頁4行目の冒頭に「本件発明に係る特許請求の範囲及び」を挿入する。 (2) 原判決53頁6行目の「構成要件1D」を「構成要件1C、1D」と改め、同頁17行目の「与えるものである(」の次に「【請求項1】、」を挿入し、同頁21行目の「又は関節表面」を削り、同頁23行目の「軟骨下表面」を「軟骨下骨」と改める。 (3) 原判決54頁10行目の「記載して」を「記載されて」と改め、同頁12~13行目の「を実施態様として記載している」を「が実施態様として記載されている」と改める。 (4) 原判決56頁22行目及び同頁26行目の「又は関節表面」をいずれも削り、同頁24行目の「軟骨下表面」を「軟骨下骨」と改める。 (5) 原判決58頁6~7行目の「と記載しており、その実施態様として、」を「と記載しているところ、一審被告の主張するように「側」が特定の部位を指すものと解する場合には、「中央側面」「背側面」はそれぞれ軟骨下骨の特定の部位を指すことになり、軟骨下骨には「中央側面」「背側面」及び「手掌側面」と呼ばれる部位が19存在するということになる。そうすると、上記段落には、本件発明の実施態様として、」と改め、同頁18行目の「延びることになる」の次に「場合がある」を挿入する。 (6) 原判決60頁9行目の「本件発明2以下の充足性」を「本件発明2~5、10~12、14~17の充足性」と、同頁26行目の「被告製品4」を「一審被告製品3」とそれぞれ改める。 (7) 原判決61頁23~24行目の「被告製品3が本件発明1の各構成要件を充足 明2~5、10~12、14~17の充足性」と、同頁26行目の「被告製品4」を「一審被告製品3」とそれぞれ改める。 (7) 原判決61頁23~24行目の「被告製品3が本件発明1の各構成要件を充足することは前記のとおりであり、」を「被告製品1及び2が本件発明11の技術的範囲に属することは前記(6)のとおりであり、」と改める。 (8) 原判決62頁2~3行目及び同頁7~8行目の「被告製品3が本件発明1の各構成要件を充足することは前記のとおりであり、」を「被告製品1及び2が本件発明11の技術的範囲に属することは前記(6)のとおりであり、」とそれぞれ改め、同頁17~18行目の「被告製品3が本件発明1の各構成要件を充足することは前記のとおりであり、」を「被告製品2が本件発明16の技術的範囲に属することは前記(10)のとおりであり、」と改める。 (9) 原判決64頁18行目の「訂正前の構成要件1Kの構成」を「構成要件1Kの訂正前の構成」と、同頁23行目の「と記載し、段落【00016】は、」を「との記載があり、段落【0016】には、」とそれぞれ改める。 (10) 原判決65頁3行目の「と記載している。」を「との記載がある。」と改め、同頁8行目の「記載」を削り、同行~9行目の「「前記第1の組の孔の軸線は」から10~11行目の「(構成要件1Kの訂正前の構成)」までを「構成要件1Kの訂正前の構成」と、同頁20行目の「前記第3の3(1)エ」を「前記3(1)エ」とそれぞれ改める。 (11) 原判決66頁18~19行目の「軟骨下表面」を「軟骨下骨」と、同頁21行目の「段落【0007】は、」を「段落【0007】には、」と、同頁24行目の「と記載し、」を「との記載があり、」とそれぞれ改める。 20(12) 原判決67頁7行目の「と記載し、」を「との記載があ の「段落【0007】は、」を「段落【0007】には、」と、同頁24行目の「と記載し、」を「との記載があり、」とそれぞれ改める。 20(12) 原判決67頁7行目の「と記載し、」を「との記載があり、」と改め、同頁24行目冒頭から68頁4行目末尾までを次のとおり改める。 「しかしながら、前記1(2)のとおり、本件発明は、遠位橈骨内で軟骨下骨の接線方向に延びる互いに交差する2列の突起を保持することができるプレートにより軟骨下骨を異なる2か所で支持することによって、骨折部の複数の骨片を所望通りに整列及び安定化させて適正な治癒を可能とするとともに、関節表面及び軟骨下骨に支持を与えようとしたものであり、本件課題の解決には、軟骨下骨を異なる2か所で支持することを要する。そして、第1の孔の軸線の支持する部位と第2の孔の軸線の支持する部位のいずれもが、一審被告のいう背側又は手掌側に偏っていたとしても、本件発明の構成要件を満たすのであれば、本件発明の課題を解決することができる。本件明細書の記載から、このような課題を解決できると当業者が認識できるといえることは前記のとおりであり、被告の上記主張は失当である。」(13) 原判決68頁13行目の「前記第3の3(1)エ」を「前記3(1)エ」と改める。 (14) 原判決69頁15行目の「AOTプレート」を「AOT-プレート」と改める。 (15) 原判決72頁19行目の「上腕骨への」を「上腕骨上への」と改める。 (16) 原判決76頁1行目の「頭部の」を「頭部94の」と改め、同頁23行目の「17頁8行目」を「17頁15行目」と改める。 (17) 原判決77頁10行目の「19頁18行目~19行目」を「19頁19行目~20行目」と改める。 (18) 原判決78頁23行目の「Ti-6AI-4V」を「Ti-6Al- 5行目」と改める。 (17) 原判決77頁10行目の「19頁18行目~19行目」を「19頁19行目~20行目」と改める。 (18) 原判決78頁23行目の「Ti-6AI-4V」を「Ti-6Al-4V」と改める。 (19) 原判決81頁8行目の「Ti-6AI-4V」を「Ti-6Al-4V」と改め、同頁15行目の「頭部1494」の次に「(判決注:頭部144の誤記)」を挿入する。 (20) 原判決82頁16行目の「上記④」を「上記④、【図16】」と改め、同頁2215行目の「手掌プレート140」を「手掌プレートである骨プレート140」と改め、同頁26行目の「頭部1494」の次に「(判決注:頭部144の誤記)」を挿入する。 (21) 原判決83頁7行目及び同頁10行目の「記載」を削り、同頁11行目の「手掌プレート140」を「骨プレート140」と改める。 (22) 原判決84頁13行目の「記載」を削る。 (23) 原判決85頁18行目の「同g」を「同h」と改める。 (24) 原判決86頁23行目の「構成される、」の次に「縦方向にずらして配置された第1の組の孔および第2の組の孔を画定し、」を挿入する。 (25) 原判決88頁8行目の「第1の組の132」を「第1の組132」と改める。 (26) 原判決90頁3~4行目の「第2の3(9)イ」の後に「。本判決による訂正後は第2の3(8)イ」を挿入し、同頁18行目の「軟骨下表面」を「軟骨下骨」と改める。 (27) 原判決91頁10行目の「前記10(1)ア、同イ」を「前記(1)ア、同イ」と、同頁21行目の「軟骨下表面」を「軟骨下骨」とそれぞれ改める。 (28) 原判決93頁10行目の「周知技術(乙5第2発明、乙6ないし8)」を「周知技術(乙5第2発明、乙6公報、乙7公報、乙8公報)」と改める。 の「軟骨下表面」を「軟骨下骨」とそれぞれ改める。 (28) 原判決93頁10行目の「周知技術(乙5第2発明、乙6ないし8)」を「周知技術(乙5第2発明、乙6公報、乙7公報、乙8公報)」と改める。 (29) 原判決94頁15行目の「(本件発明2~5、10~12、14~17の無効理由)」を「(本件発明2~5、10~12、14~17に係る特許が特許無効審判により無効にされるべきものか。)」と改める。 2 当審における当事者の補足主張に対する判断(1) 争点(1)イ(本件発明1の構成要件1Kの充足性)についてア 一審被告は、構成要件1Kの「背側面側の軟骨下骨」及び「手掌側面側の軟骨下骨」は、それぞれ軟骨下骨の特定の部位を指すところ、相対的な部位を指すと判断した原判決は誤りであると主張する。 イ そこで検討するに、本件発明1に係る特許請求の範囲及び本件明細書の記載22を踏まえると、「背側」「手掌側(掌側)」は方向を示す用語として使用されていると理解できる。他方で、本件明細書には、軟骨下骨を「背側」と「手掌側(掌側)」に2分する基準についての記載がなく、また、軟骨下骨を2分して、特定の部位を「背側」又は「手掌側(掌側)」と呼ぶという技術常識があることを認めるに足りる証拠もない。そうすると、本件発明1の構成要件1Kにおける「背側面側」「手掌側面側」は、原判決が判示したとおり、軟骨下骨の相対的な位置を示すものと解するのが相当である。 ウ この点に係る一審被告の当審における主張はいずれも採用できない。理由は次のとおりである。 (ア) 一審被告は、広辞苑第7版では、「側」の意味の「①」として「物の一つの方向・面」を挙げており、構成要件1Kの「背側面側」及び「手掌側面側」において妥当するのはこの意味であると主張するが、仮に構成要件1Kの「側」 広辞苑第7版では、「側」の意味の「①」として「物の一つの方向・面」を挙げており、構成要件1Kの「背側面側」及び「手掌側面側」において妥当するのはこの意味であると主張するが、仮に構成要件1Kの「側」の意義が「物の一つの方向・面」であったとしても、「背側面側」及び「手掌側面側」が相対的な位置関係を示したものと理解することと矛盾しない。 (イ) 本件明細書の段落【0016】には、「軟骨下骨の中央側面及び/又は背側面」との表現があるが、ここでは、軟骨下骨を3つの特定の部位に分けているものではなく、「中央側面」は他方に対して「中央寄り」を意味し、「背側面」は他方に対して、「背側寄り」であることを意味すると理解することが可能である。そうすると、「軟骨下骨の中央側面及び/又は背側面」は、第2のペグが支持する部位に比して、第1のペグが支持する部分が、「中央寄り」、「背側寄り」であることを意味するものと理解できる。そして、「背側」、「手掌側」及び「背側面側」、「手掌側面側」といった表現が、相対的な位置関係を示しているという理解は、段落【0007】において第1の組のペグが背側面を支持し、第2の組のペグが手掌側面を支持すると記載されていることに適用した場合にも、不自然なところはない。 なお、一審被告は、原判決の指摘する実施態様①②④はいずれも補正により意識的に除外されたと主張するが、手続補正書(乙1、21、23、24)をみても、23実施態様①②④が意識的に除外されたと認めることはできない。平成24年3月15日付け手続補正書(乙1)において、本件発明1につき、構成要件1Kの訂正前の構成(「前記プレートが遠位橈骨に連結される場合に、前記第1の組の孔の軸線は、背側面側の軟骨下骨の接線方向に延び、前記第2の組の孔の軸線は、手掌側面側の軟骨下骨の接線方向に延び 成要件1Kの訂正前の構成(「前記プレートが遠位橈骨に連結される場合に、前記第1の組の孔の軸線は、背側面側の軟骨下骨の接線方向に延び、前記第2の組の孔の軸線は、手掌側面側の軟骨下骨の接線方向に延びるように構成されている」との構成)が追加されているところ、同構成には「中央側面」との文言はないものの、同構成の「背側面側」「手掌側面側」が、2か所の部位の相対的な位置関係を示すものであることからすれば、段落【0007】を踏まえて、「背側」「手掌側」との表現を採用することは自然ともいえるのであって、上記表現がされたことをもって、中央寄りの部位を支持する形態が除外されたと認めることはできない。 (ウ) 本件発明の技術的意義は、遠位橈骨内で軟骨下骨の接線方向に延びる互いに交差する2列の突起を保持することができるプレートにより軟骨下骨を異なる2か所で支持することによって、骨折部の複数の骨片を所望通りに整列及び安定化させて適正な治癒を可能とするとともに、関節表面及び軟骨下骨に支持を与えようとしたものである。そして、支持する2か所がいずれも軟骨下骨の凹部の中央よりも手掌側又は背側にあったとしても本件発明の上記技術的意義を果たすことができることは、本件明細書の段落【0016】に、第1の組のペグが軟骨下骨の中央側面を支持し、第2の組のペグが掌側を支持する形態が記載されており、同形態は、一審被告のいう軟骨下骨を支持する2か所がいずれも軟骨下骨の手掌側にある場合に相当することからも明らかである。 (エ) 一審被告は、相対説を採用すると、構成要件1Jが充足されると必然的に構成要件1Kが充足されることとなることから特定説を採るべきである旨主張するが、仮に、構成要件1Jと構成要件1Kを独立した構成要件とする意味がないのであれば、構成要件の分説に誤りがあるというにすぎ 構成要件1Kが充足されることとなることから特定説を採るべきである旨主張するが、仮に、構成要件1Jと構成要件1Kを独立した構成要件とする意味がないのであれば、構成要件の分説に誤りがあるというにすぎないから、上記一審被告の主張は、文言の意義の解釈を左右するとはいえない。もっとも、本件においては、構成要件1Kを満たしたとしても、第1の組の孔の軸線が、第2の組の孔の遠位側に突出す24るとは限らないから、構成要件1Kと構成要件1Jとはそれぞれ意味を有するといえる。 (2) 争点(3)(本件発明1に係る特許が特許無効審判により無効にされるべきものか。)のうち、無効理由1、3、4についてア 無効理由1(新規事項を追加する補正)について前記(1)のとおり、本件明細書の段落【0016】には、第1の組のペグ(突起)が軟骨下骨の中央側面を支持し、第2の組のペグ(突起)が掌側面を支持する形態が記載されており、同形態は、一審被告のいう軟骨下骨を支持する2か所がいずれも軟骨下骨の手掌に近い方にある場合を含むと考えられる。また、本件明細書の段落【0007】の記載も段落【0016】の記載も、それぞれ相対的な位置を示すものとして、「手掌側」「背側」の文言を用いていることは前記(1)で判示したとおりである。なお、本件明細書の記載は、出願当初明細書と同一である。 そうすると、一審被告の主張する実施態様は出願当初明細書に記載されていたということができるから、補正により構成要件1Kの訂正前の構成を追加したことは、新規事項の追加に当たらない。一審被告の主張は採用できない。 イ 無効理由3(サポート要件違反)について上記アのとおり、本件明細書の段落【0016】には、第1の組のペグ(突起)が軟骨下骨の中央側面を支持し、第2の組のペグ(突起)が掌側面を支持する形態が イ 無効理由3(サポート要件違反)について上記アのとおり、本件明細書の段落【0016】には、第1の組のペグ(突起)が軟骨下骨の中央側面を支持し、第2の組のペグ(突起)が掌側面を支持する形態が記載されていることに加え、本件明細書における「手掌側」「背側」の文言が相対的な位置関係を示すものであることからすると、一審被告の主張する実施態様は本件明細書に記載されているといえる。一審被告の主張は採用できない。 ウ 無効理由4(実施可能要件違反)について本件明細書に記載された本件発明の技術的意義(遠位橈骨内で軟骨下骨の接線方向に延びる互いに交差する2列の突起を保持することができるプレートにより軟骨下骨を異なる2か所で支持することによって、骨折部の複数の骨片を所望通りに整列及び安定化させて適正な治癒を可能とするとともに、関節表面及び軟骨下骨に支25持を与えようとしたもの)に照らすと、本件発明の実施には軟骨下骨の異なる2か所で支持することができれば足りるのであるから、一審被告の指摘する点は理由がない。一審被告の主張は採用できない。 3 争点(5)ア(特許法102条2項の適用の可否及び同項に基づく損害額)について(1) 認定事実訂正の上引用する原判決「事実及び理由」中の「第2 事案の概要」の1の前提事実に加え、後掲の証拠及び弁論の全趣旨によると、次の事実が認められる。 ア 一審原告は、米国法人であり上場企業であるZimmer BiometHoldings,Inc.を最終的な親会社とするジンマー・バイオメットグループに属する会社であり、同グループの知的財産権の一部を管理している。ジンマー・バイオメットグループは、平成27年6月に、Zimmer Biomet Holdings,Inc. (当時の名称はZimmer Holdings,I ループの知的財産権の一部を管理している。ジンマー・バイオメットグループは、平成27年6月に、Zimmer Biomet Holdings,Inc. (当時の名称はZimmer Holdings,Inc.)が、LVB Acquisition,Inc.の株式を取得したことにより形成された。(甲17、25、26)イ Zimmer Biomet Holdings,Inc.が発行済株式の100%を有する米国法人であるZimmer Inc.は、一審原告(オランダ王国法人。なお営業所は頭書住所に所在する。)、Biomet Orthopedics LLC(米国法人)、Biomet Trauma LLC(米国法人)及びジンマー・バイオメット合同会社(日本国法人)につき、発行済み株式の100%を間接的に保有している。(甲25、26)ウ 本件特許権の実施品である一審原告製品(DVRアナトミックプレート及びDVR ePAKシステム)の製造・販売に係る事業は、上記イの各法人が分担して遂行しており、具体的には、一審原告が本件特許権の管理及び権利行使、Biomet Orthopedics LLCが一審原告製品の主たる設計、Biomet Trauma LLCが一審原告製品の製造、ジンマー・バイオメット合同26会社が一審原告製品を日本国内に輸入し、販売しているが、これらの事業の遂行は、全てZimmer Inc.による管理及び指示の下で行われている。なお、Zinmmer Biomet Holdings,Inc.は、一審原告製品の製造販売に係る事業を含むトラウマ事業についての収益を公開している。(甲17、22~26)(2) 特許法102条2項の適用の可否についてア 特許法102条2項は、「特許権者…が故意又は過失により自己の特許権…を侵害した者に対しその いての収益を公開している。(甲17、22~26)(2) 特許法102条2項の適用の可否についてア 特許法102条2項は、「特許権者…が故意又は過失により自己の特許権…を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為により利益を受けているときは、その利益の額は、特許権者…が受けた損害の額と推定する。」と規定する。特許法102条2項は、民法の原則の下では、特許権侵害によって特許権者が被った損害の賠償を求めるためには、特許権者において、損害の発生及び額、これと特許権侵害行為との間の因果関係を主張、立証しなければならないところ、その立証等には困難が伴い、その結果、妥当な損害の填補がされないという不都合が生じ得ることに照らして、侵害者が侵害行為によって利益を受けているときは、その利益の額を特許権者の損害額と推定するとして、立証の困難性の軽減を図った規定である。そして、特許権者に、侵害者による特許権侵害行為がなかったならば利益が得られたであろうという事情が存在する場合には、特許法102条2項の適用が認められると解すべきである。 イ これを本件についてみると、一審原告製品は本件特許権の実施品であり、一審被告製品1~3と競合するものである。そして、一審原告製品を販売するのはジンマー・バイオメット合同会社であって特許権者である一審原告ではないものの、前記(1)のとおり、一審原告は、その株式の100%を間接的に保有するZimmer Inc.の管理及び指示の下で本件特許権の管理及び権利行使をしており、グループ会社が、Zimmer Inc.の管理及び指示の下で、本件特許権を利用して製造した一審原告製品を、同一グループに属する別会社が、Zimmer Inc.の管理及び指示の下で、本件特許権を利用して一 ープ会社が、Zimmer Inc.の管理及び指示の下で、本件特許権を利用して製造した一審原告製品を、同一グループに属する別会社が、Zimmer Inc.の管理及び指示の下で、本件特許権を利用して一審原告製品の販売をしてい27るのであるから、ジンマー・バイオメットグループは、本件特許権の侵害が問題とされている平成28年7月から平成31年3月までの期間、Zimmer Inc. の管理及び指示の下でグループ全体として本件特許権を利用した事業を遂行していると評価することができる。そうすると、ジンマー・バイオメットグループにおいては、本件特許権の侵害行為である一審被告製品の販売がなかったならば、一審被告製品1~3を販売することによる利益が得られたであろう事情があるといえる。 そして、一審原告は、ジンマー・バイオメットグループにおいて、同グループのために、本件特許権の管理及び権利行使につき、独立して権利を行使することができる立場にあるものとされており、そのような立場から、同グループにおける利益を追求するために本件特許権について権利行使をしているということができ、上記のとおり、ジンマー・バイオメットグループにおいて一審原告の外に本件特許権に係る権利行使をする主体が存在しないことも併せ考慮すれば、本件について、特許法102条2項を適用することができるというべきである。 (3) 推定の覆滅について特許法102条2項における推定の覆滅については、同条1項ただし書の事情と同様に、侵害者が主張立証責任を負うものであり、侵害者が得た利益と特許権者が受けた損害との相当因果関係を阻害する事情がこれに当たると解されるところ、一審被告は、①本件特許権を保有・管理するだけの一審原告の利益は何ら害されていないこと、②競合する第三者の製品があること、③固定プレートの選 相当因果関係を阻害する事情がこれに当たると解されるところ、一審被告は、①本件特許権を保有・管理するだけの一審原告の利益は何ら害されていないこと、②競合する第三者の製品があること、③固定プレートの選択をする医師は、一審被告製品がなかったとするならば、他の一審被告の製品であるP-Plateを選択していたことが確実であることから、推定が覆滅されるべきであると主張する。 そこで検討するに、前記(1)で認定したジンマー・バイオメットグループの一審原告製品に係る事業遂行の状況を踏まえると、本件特許権を第三者が侵害することによって一審原告製品の売上げが減少して、ジンマー・バイオメットグループの利益が減少し、その結果、本件特許権の保有による利益が帰属する一審原告の利益が害28されたということができる。また、一審被告は、第三者の競合品の存在を指摘するものの、本件全証拠によっても、それらが本件特許権の特徴を具備する競合品であるのか、また、一審被告の指摘する競合品の存在が、一審被告製品が存在しなかったとした場合に一審原告製品の販売に影響するといえるかは必ずしも明らかではない。さらに、一審被告製品が存在しないとした場合に、医師がそもそも一審被告製品を販売していない一審被告の製品を選択すると認めるに足りる証拠はない。 そうすると、本件において特許法102条2項における推定を覆滅する事由があると認めることはできない。 (4) 損害額ア 平成28年7月から平成31年3月までの被告製品1及び2の販売額が●●●●●●●●●であること並びにその限界利益率が●●●であることについて当事者間に争いがない。そうすると、特許法102条2項により、一審原告の損害額は、●●●●●●●●●と推定される。 イ 事案の難易、請求額、認容された額その他諸般の事情を斟酌すると、本 ことについて当事者間に争いがない。そうすると、特許法102条2項により、一審原告の損害額は、●●●●●●●●●と推定される。 イ 事案の難易、請求額、認容された額その他諸般の事情を斟酌すると、本件の不法行為と相当因果関係にある弁護士費用は、●●●●と認められる。 ウ 上記ア及びイの合計額は、454万4478円である。 4 結論よって、一審原告の一審被告に対する請求は、454万4478円及びこれに対する令和元年6月8日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払並びに一審被告製品1~3の差止め・廃棄を求める限度で理由があるからこの限度で認容し、その余は理由がないから棄却すべきところ、一審原告の損害賠償請求については、90万1910円及びこれに対する令和元年6月8日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払の限度で一部認容し、その余を棄却した原判決は一部失当であって、一審原告の控訴は一部理由があるから原判決主文第3項及び4項を変更することとし、一審被告の控訴には理由がないからこれを棄却することとして、主文のとおり判決する。 29 知的財産高等裁判所第2部 裁判長裁判官本多知成 裁判官浅井 憲 裁判官勝 又 来未子 勝 又 来未子

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