平成30(行コ)5 司法修習生の給費制廃止違憲国家賠償等請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
令和元年5月30日 名古屋高等裁判所
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判決文本文9,015 文字)

【機密性2】令和元年5月30日判決言渡平成30年(行コ)第5号司法修習生の給費制廃止違憲国家賠償等請求控訴事件(原審・名古屋地方裁判所平成25年(行ウ)第78号) 主文 1 本件控訴をいずれも棄却する。 2 控訴費用は控訴人らの負担とする。 事実 及び理由第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人は,控訴人らに対し,各1万円を支払え。 第2 事案の概要(略語については原判決の例による。) 1 本件は,平成16年改正前裁判所法67条2項により定められていた給費制が廃止されたことについて,平成23年11月に司法修習生を命じられ,平成24年12月に司法修習を終えた控訴人らが,被控訴人に対し,主位的には,①平成16年改正は,控訴人らの給費を受ける権利を保障した憲法の規定に違反し又は平等原則に違反するものであるから違憲無効であるなどと主張して,平成16年改正前裁判所法67条2項の給費支払請求権に基づき,控訴人らそれぞれにつき,給与237万4080円のうち5000円の各支払を求めるとともに,②平成16年改正という立法行為及び平成16年改正後に給費制を復活させなかった立法不作為が国家賠償法上違法であると主張して,同法1条1項に基づき,控訴人らそれぞれにつき,損害賠償金337万4080円のうち5000円の各支払を求め,予備的には,③司法修習生がその修習に従事することは憲法29条3項の「公共のために用ひる」ことに該当するなどと主張して,同項の損失補償請求権に基づき,控訴人らそれぞれにつき,- 2 -平成16年改正前に支給されていた給与相当額237万4080円のうち1万円の各支払を求めた事案である。 原判決が控訴 張して,同項の損失補償請求権に基づき,控訴人らそれぞれにつき,- 2 -平成16年改正前に支給されていた給与相当額237万4080円のうち1万円の各支払を求めた事案である。 原判決が控訴人らの請求をいずれも棄却したため,これを不服とする控訴人らが控訴した。控訴人らは,当審において,平成29年法律第23号(平成29年改正法)による裁判所法改正において救済立法がされなかったことによって新たな権利侵害がされたことなどを追加主張している。 なお,原審においては,控訴人ら(37名)に加え,C,D,E,F,G,H,I及びJの8名が共同原告として,控訴人らと同様の請求をしていたところ,原判決は上記8名の請求をいずれも棄却したが,上記8名は控訴しなかったため,これらの者と被控訴人との間では,原判決が確定している。 2 関係法令の定め,前提事実,争点及び争点に関する当事者の主張は,後記3のとおり当審追加主張を付加するほかは,原判決「事実及び理由」第2の2ないし5に記載のとおりであるから,これを引用する。 ただし,原判決5頁15行目の「おいても,」の次に「司法修習生がその修習に専念することを確保するための資金であって,修習給付金の支給を受けてもなお必要なものを,修習専念資金として貸与する制度として」を加える。 3 当審追加主張(1) 控訴人らの主張ア平成29年改正時の立法不作為による新たな権利侵害平成29年改正法により給付金制が創設されたところ,その立法過程においては,控訴人らを含む新65期司法修習生から70期司法修習生までのいわゆる「谷間世代」の救済の必要性が具体的に指摘され,給費支給を受けられなかった者への弊害が具体的に認識さ- 3 -れていたことが明らかであったにもかかわらず,被控訴人は,当該弊害を放置し, いわゆる「谷間世代」の救済の必要性が具体的に指摘され,給費支給を受けられなかった者への弊害が具体的に認識さ- 3 -れていたことが明らかであったにもかかわらず,被控訴人は,当該弊害を放置し,「谷間世代」に対する救済措置をしなかった。 この立法不作為は,控訴人らの給費を受ける権利の一態様に係る新たな権利侵害として評価できるものである。また,この立法不作為は,控訴人らに係る貸与金の返済開始が平成30年7月である中,手弁当となる人権擁護活動ができなくなるなどの弊害を生じさせ,法曹として基本的人権擁護を担うという人格的選択をできない状況を放置したものといえ,控訴人らの人格的権利への新たな侵害行為として評価できるものである。 イ控訴人らと71期司法修習生との間の不合理な差別71期司法修習生と控訴人らを含む新65期司法修習生が異なる点は,①71期司法修習生には導入修習があること,②アルバイトができること,③司法修習生たるに値しない非行事由があるときは修習の停止を命じられ,又は戒告されることがあること,であり,給費を受ける必要性に変更を生じるような違いはない。ところが,71期司法修習生は,控訴人らと異なり,基本給付金及び住居給付金として220万円以上もの金銭の支給を受けることができるという著しい取扱いの差異が生じているが,当該取扱いの差異に何ら合理的理由はない。 したがって,給費制の廃止が憲法14条1項に違反することは明らかである。 ウ憲法27条にいう「勤労」の意義に関する追加主張憲法27条にいう「勤労」者の定義は,労基法9条にいう労働者に限定されるという解釈は必然的ではなく,労働組合法3条の労働者の定義を借りて,「職業の種類を問わず,賃金,給料その他これに準ずる収入その他これに準ずる収入によって生活する者」 基法9条にいう労働者に限定されるという解釈は必然的ではなく,労働組合法3条の労働者の定義を借りて,「職業の種類を問わず,賃金,給料その他これに準ずる収入その他これに準ずる収入によって生活する者」,すな- 4 -わち「収入生活者」として,より広い意味で捉えることが可能である。 司法修習生は,国が実施している法曹となる上での義務研修である司法修習に従事し,その身分は最高裁によって採用され司法研修所に所属する公務員に準じた立場にあることなどの司法修習生の身分及び取扱い等や,控訴人らの司法修習の実態からすれば,司法修習生は「収入生活者」に該当することが明らかである。 したがって,給費制の廃止は,憲法27条に違反する。 (2) 被控訴人の主張ア平成29年改正時の立法不作為による新たな権利侵害について平成29年改正時に救済措置を講じなかったという立法不作為に関する控訴人らの主張は,要するに,控訴人らに給費を受ける権利が憲法上保障されていること,又は憲法13条の人格的権利として保障されていることを前提として,立法不作為の違憲性を主張するものと解される。しかし,司法修習生に対する給費制が憲法上要請されているとか,憲法の諸規定から導かれるなどと解することはできず,法曹養成制度の具体的内容をどのようなものにするかといった事項は,法律事項として立法府の政策的な判断に委ねられている。 したがって,控訴人らの上記主張は,立法政策の当否を論じるものにすぎず,何ら憲法上の問題を生じさせるものではない。 イ控訴人らと71期司法修習生との間の不合理な差別について平成29年改正法は,近年,法曹志望者が大幅に減少している中,法曹人材の確保の充実・強化の推進等を図るため,給付金制を創設するとともに,貸与制については貸与額等を見直した の不合理な差別について平成29年改正法は,近年,法曹志望者が大幅に減少している中,法曹人材の確保の充実・強化の推進等を図るため,給付金制を創設するとともに,貸与制については貸与額等を見直した上でこれと併存することとしたものである。この給付金制の対象には,従前の貸与制下の司法修習生は含まれていないが,給付金制の趣旨からすれ- 5 -ば,今後新たに司法修習生として採用される者を対象とすれば足りること,仮に従前の貸与制下の司法修習生についても経済的措置を実施することとした場合,貸与を受けていない者や基本貸与額以下の貸与を受けたものの取扱いをどうするかという制度設計上困難な問題が生じること,そもそも既に修習を終えている者に対し事後的な救済措置等を実施することにつき,国民的理解を得るのは困難であることなどを踏まえたものであり,合理的な政策判断に基づくものである。 したがって,新65期から70期までの司法修習生と71期以降の司法修習生との間の取扱上の差異は,事柄の性質に即応した合理的根拠に基づく区別というべきであり,憲法14条1項に違反しない。 ウ憲法27条にいう「勤労」の意義に関する追加主張について憲法27条1項の「勤労」をする者というためには,使用者に対する労務の提供をしていることが不可欠である。この点,労働組合法3条にいう「職業の種類を問わず,賃金,給料その他これに準ずる収入によって生活する者」(収入生活者)とは,「他人のために労務を提供し,その労務そのものを評価して支払われる対価を得て生活する者」と解されるから,控訴人らの主張するように,憲法27条1項の「勤労」者と労働組合法3条の収入生活者とが同義であると解したとしても,司法修習生は,憲法27条1項の「勤労」者には当たらない。 第3 当裁判所の判断 の主張するように,憲法27条1項の「勤労」者と労働組合法3条の収入生活者とが同義であると解したとしても,司法修習生は,憲法27条1項の「勤労」者には当たらない。 第3 当裁判所の判断 1 原判決の引用,補正当裁判所も,控訴人らの請求はいずれも理由がないものと判断する。 その理由は,次のとおり補正し,後記2のとおり当審追加主張に対する- 6 -判断を付加するほかは,原判決「事実及び理由」第3に記載のとおりであるから,これを引用する。 (1) 原判決29頁3行目の「同年」を「平成16年」に改める。 (2) 同35頁1行目の「上記法律案等」から6行目末尾までを次のように改める。 「上記法律案については,同年(平成23年)12月から衆議院法務委員会で審議が行われたが,継続審議となっていたところ,平成24年6月頃,修習資金の貸与については,法曹の養成に関する制度についての検討において,司法修習生に対する適切な経済的支援を行う観点から,法曹の養成における司法修習の位置付けを踏まえつつ,検討が行われるべきものとする旨を附則で定めることなどを内容とする民主党修正案が提出された。これにより修正された法案は,衆議院法務委員会及び衆議院本会議並びに参議院法務委員会での可決を経て,平成24年7月27日,参議院本会議で可決されて,成立した。衆議院の法務委員会では,審議の過程で,上記修正案の提案者である民主党の委員から,上記修正案は,給費制に戻すことを排除しない趣旨であるとの説明がされた。(甲A82,83,乙35ないし38)」(3) 同38頁3行目の「説明がされた。」を,次のように改める。 「説明がされ,更に新65期から70期までの司法修習生に対する救済策に関する質疑に対しては,「修習給付金制度の趣旨でございますが,これも申し上げ 頁3行目の「説明がされた。」を,次のように改める。 「説明がされ,更に新65期から70期までの司法修習生に対する救済策に関する質疑に対しては,「修習給付金制度の趣旨でございますが,これも申し上げましたが,法曹志望者が大幅に減少している中で,昨年6月の骨太の方針で言及されました,法曹人材確保の充実強化の推進等を図る点にあるわけでございます。こういうことを考えますと,この趣旨からすれば,この修習給付金につきましては,今後新たに司法修習生として採用される者を対象とすれば足り,現- 7 -行貸与制下の司法修習生をも対象とする必要性には欠けるのではないかと考えております。また加えまして,仮に何らかの措置を実施するといたしましても,現行貸与制下において貸与を受けていない者もおるわけでございまして,こういう者の取り扱いはどうするかといった制度設計上の困難な問題がありますし,そもそも,既に修習を終えている者に対して事後的な救済措置を実施することにつき,国民的理解が得られないのではないかとも考えられるところでございます。したがいまして,修習給付金制度の導入に伴いまして,現行貸与制下の司法修習生に対する救済制度を設けることは予定していないところでございます。」との回答がされた。また,参議院法務委員会の質疑においても,政府参考人から,給付金制の導入の理由や新65期から70期までの司法修習生に対する救済措置について,衆議院法務委員会におけるのと同趣旨の説明,回答がされた。」(4) 同38頁15行目及び41頁21行目の各「B1」をいずれも「甲B1」に,同38頁16行目及び41頁21行目の各「原告ら本人」をいずれも「控訴人K,同L,同M,同N,同O,同P,同Q及び同R各本人」にそれぞれ改める。 (5) 同43頁10行目の「第3章」を「第4章」に改 38頁16行目及び41頁21行目の各「原告ら本人」をいずれも「控訴人K,同L,同M,同N,同O,同P,同Q及び同R各本人」にそれぞれ改める。 (5) 同43頁10行目の「第3章」を「第4章」に改める。 (6) 同45頁18行目末尾の次に,次のように加える。 「控訴人らは,憲法79条6項及び80条2項の趣旨は,資力の有無にかかわらず裁判官への途を開こうとする趣旨を含むこと,このため,裁判官を含む法曹三者のいずれにもなる司法修習生について同条の趣旨が及ぶこと,及び,法曹三者の養成課程にある司法修習生の身分地位を踏まえれば,憲法上の要請として司法修習に従事している者にも報酬保障の趣旨が及ぶ旨主張するが,憲法の上記各規定は,司法権の独立を確保するため,裁判官の報酬を保障したものに- 8 -とどまり,裁判官を含む法曹三者になろうとする者に対しても,これらの条項による保障が及ぶと解することはできない。」(7) 同48頁2行目及び52頁17行目の各「認定事実(2)オ(イ)」をいずれも「認定事実(1)オ(イ)」に,同頁24行目並びに同53頁9行目及び24行目の各「認定事実(2)イ」をいずれも「認定事実(2)ウ」にそれぞれ改める。 2 当審追加主張に対する判断(1) 控訴人らは,平成29年改正において,控訴人らを含む新65期司法修習生から70期司法修習生までの給費支給を受けられなかった者への弊害を放置し,救済措置をしなかったという被控訴人の立法不作為により,控訴人らに対する新たな権利侵害がされたなどと主張する。 しかしながら,前記1で原判決を引用して示したとおり,給費制は憲法上保障された制度ではなく,給費を受ける権利が憲法上保障されていると解することはできないから,給費制を廃止した後,新たに給付金制を創設するに際し,控訴人ら 原判決を引用して示したとおり,給費制は憲法上保障された制度ではなく,給費を受ける権利が憲法上保障されていると解することはできないから,給費制を廃止した後,新たに給付金制を創設するに際し,控訴人らを含めた修習給付金のない貸与制の下で司法修習をした者に対して救済措置を講ずるかどうかは立法府の政策的な判断に委ねられており,これを講じなかったという立法不作為が,憲法に違反するとか,国家賠償法上の違法性を帯びるとかいうことができるものではない。 したがって,控訴人らの上記主張は採用することができない。 (2) 控訴人らは,71期司法修習生と控訴人らを含む新65期司法修習生との間に給費を受ける必要性に変更を生じるような違いはないのに,71期司法修習生は,控訴人らと異なり,修習給付金の支給を受けることができるという著しい取扱いの差異が生じており,この差異に合理的理由はないから,給費制の廃止は憲法14条1項に- 9 -違反するなどと主張する。 しかしながら,給費制及び給費を受ける権利は,憲法上保障されたものとはいえず,修習給付金を受ける権利についても同様であり,法曹養成制度の具体的内容をどのようなものにするかといった事柄については,立法府の政策的判断に委ねられているというべきことからすれば,71期司法修習生と新65期司法修習生との間に差異を設けることに合理的な根拠があるかどうかについては,立法府に広い裁量があることを前提に判断せざるを得ない。そして,前記1で原判決を補正の上引用して示した認定事実によれば,平成29年改正法により創設された給付金制は,法曹志望者が大幅に減少している中,法曹人材確保の充実強化の推進等を図るという目的で導入されたものであるから,新たに司法修習生として採用される者のみを対象とし,既に貸与制下での司法修習 給付金制は,法曹志望者が大幅に減少している中,法曹人材確保の充実強化の推進等を図るという目的で導入されたものであるから,新たに司法修習生として採用される者のみを対象とし,既に貸与制下での司法修習を終えた者は対象にしないとすることが直ちに不合理とはいえないし,貸与制の下で貸与を受けなかった者の取扱いをどうするか等の制度設計上の問題や事後的救済措置の実施に対して国民的理解が得られるかという懸念があること等も考慮して,新65期から70期までの司法修習生については修習給付金の対象としないこととし,71期司法修習生との間に差異を設けることに合理的根拠がないとはいえず,この差異が憲法14条1項に違反する合理的理由のない差別に当たるということはできない。 したがって,控訴人らの上記主張は採用することができない。 (3) 控訴人らは,憲法27条にいう「勤労」者の定義については,労働組合法3条の労働者の定義を借りて,「職業の種類を問わず,賃金,給料その他これに準ずる収入その他これに準ずる収入によって生活する者」,すなわち「収入生活者」として,より広い意味で捉えるこ- 10 -とが可能であるところ,司法修習生は「収入生活者」に該当することが明らかであるから,給費制の廃止は,憲法27条に違反するなどと主張する。 しかしながら,憲法27条の「勤労」者の定義について,憲法28条による勤労者の団結権保障を具体化する法律である労働組合法の規定の定義を借りて捉えようとすることの法的根拠は乏しいといわざるを得ない。また,労働組合法3条の「労働者」の定義,すなわち「職業の種類を問わず,賃金,給料その他これに準ずる収入によって生活する者」の範囲については,団体交渉助成のための同法の保護を及ぼすべき者はいかなる者かという観点から解釈されるべきもので ,すなわち「職業の種類を問わず,賃金,給料その他これに準ずる収入によって生活する者」の範囲については,団体交渉助成のための同法の保護を及ぼすべき者はいかなる者かという観点から解釈されるべきものであり,労基法9条にいう労働者より広い概念ではあるものの,上記の趣旨や労働組合法3条の文言に照らし,何らかの労務を提供し,その対価を得て生活をする者であることは,なお要件とされていると解するのが相当であるところ,司法修習生に「労務の提供」があるとはいえないことは,前記1で原判決を引用して説示したとおりである。 したがって,控訴人らの上記主張は採用することができない。 3 付言本件訴訟は,その法形式上は,控訴人らが被控訴人に対し金銭給付を求めるものではあるが,その請求額に照らしても,控訴人ら(1審で共同原告であった者を含む。)が自らの権利実現を主たる目的として訴訟を提起したわけではなく,訴訟を通じて給費制の重要性を訴え,より良い法曹養成制度の実現を願って訴訟遂行してきたことは明らかである。そして,本件訴訟係属中に給付金制を定めた平成29年改正法が成立し,控訴人らが願ったのとは違う形であるが,新たに法曹を志す者に対し一定の経済的支援が実現したのは,控訴人ら及び控訴人ら代理人を含む多くの人々が給費制の重要性を訴え続けてきたことが大きな理由であった- 11 -のも明らかであろう。 当裁判所としても,従前の司法修習制度の下で給費制が果たした役割の重要性及び司法修習生に対する経済的支援の必要性については,決して軽視されてはならないものであって,控訴人らを含めた新65期司法修習生及び66期から70期までの司法修習生(いわゆる「谷間世代」)の多くが,貸与制の下で経済的に厳しい立場で司法修習を行い,貸与金の返済も余儀なくされている( あって,控訴人らを含めた新65期司法修習生及び66期から70期までの司法修習生(いわゆる「谷間世代」)の多くが,貸与制の下で経済的に厳しい立場で司法修習を行い,貸与金の返済も余儀なくされている(なお,例えば,N本人の供述によれば,貸与の申込みをしなかった者が必ずしも経済的に恵まれていたわけではなかったことが認められる。)などの実情にあり,他の世代の司法修習生に比し,不公平感を抱くのは当然のことであると思料する。法解釈としては,給費制及び給費を受ける権利が憲法上保障されているということはできないとしても,例えば谷間世代の者に対しても一律に何らかの給付をするなどの事後的救済措置を行うことは,立法政策として十分考慮に値するのではないかと感じられるが,そのためには,相当の財政的負担が必要となり,これに対する国民的理解も得なければならないところであるから,その判断は立法府に委ねざるを得ない。 控訴人らを含む谷間世代の者らに対しては,事後的救済措置がどうなるかにかかわらず,給費制が廃止される中であえて法曹を志した初心を大切にして,それぞれの立場で信念をもって,法曹としての社会的責任を果たし,活躍していくことを切に願う次第である。 4 結論よって,原判決は相当であり,本件控訴はいずれも理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。 名古屋高等裁判所民事第4部 裁判長裁判官戸田久- 12 - 裁判官朝日貴浩 裁判官髙橋信幸(別紙省略) 裁判官髙橋信幸

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