- 1 -主文 原告P1の訴えのうち,渋谷税務署長が平成15年3月14日付けで原告P1に対してした,平成11年分の所得税の更正処分のうち納付すべき税額1936万0300円を超える部分,及びこれに伴う重加算税賦課決定処分(但し,同税務署長が平成15年9月3日付けで同原告に対してした,変更決定処分後のもの)の各取消しを求める部分を却下する。 原告P1のその余の請求,原告P2,同P3,同P4及び原告P5社の各請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第1請求 第1事件(1) 渋谷税務署長が平成15年3月14日付けで原告P2に対してした,平成10年分の所得税の更正処分のうち利子所得額0円,給与所得額1404万0682円,納付すべき税額マイナス5万6959円をそれぞれ超える部分,及びこれに伴う重加算税賦課決定処分をそれぞれ取り消す。 (2) 渋谷税務署長が平成15年3月14日付けで原告P2に対してした,平成11年分の所得税の更正処分のうち利子所得額0円,給与所得額3444万4889円,納付すべき税額マイナス9889円をそれぞれ超える部分(但し,同税務署長が平成15年11月26日付けで同原告に対してした,減額更正処分後のもの),及びこれに伴う重加算税賦課決定処分(但し,同税務署長が平成15年11月26日付けで同原告に対してした変更決定処分後のもの)をそれぞれ取り消す。 (3) 渋谷税務署長が平成15年3月14日付けで原告P2に対してした,平成13年分の所得税の決定処分(但し,同税務署長が平成15年11月26日付けで同原告に対してした,減額更正処分後のもの),及びこれに伴う重加- 2 -算税賦課決定処分(但し,同税務署長が平成15年11月26日付けで同原告に対してした,変更決定処分後のもの)をそれ 日付けで同原告に対してした,減額更正処分後のもの),及びこれに伴う重加- 2 -算税賦課決定処分(但し,同税務署長が平成15年11月26日付けで同原告に対してした,変更決定処分後のもの)をそれぞれ取り消す。 第2事件(1) 渋谷税務署長が平成15年3月14日付けで原告P1に対してした,平成10年分の所得税の更正処分のうち利子所得額0円,給与所得額4215万2607円,納付すべき税額マイナス34万5966円をそれぞれ超える部分,及びこれに伴う重加算税賦課決定処分をそれぞれ取り消す。 (2) 渋谷税務署長が平成15年3月14日付けで原告P1に対してした,平成11年分の所得税の更正処分のうち利子所得額0円,給与所得額5805万3461円,納付すべき税額マイナス726万3154円をそれぞれ超える部分,及びこれに伴う重加算税賦課決定処分(但し,同税務署長が平成15年9月3日付けで同原告に対してした,変更決定処分後のもの)をそれぞれ取り消す。 (3) 渋谷税務署長が平成15年3月14日付けで原告P1に対してした,平成12年分の所得税の更正処分のうち利子所得額0円,給与所得額5530万円,納付すべき税額マイナス137万3400円をそれぞれ超える部分(但し,同税務署長が平成15年9月3日付けで同原告に対してした,減額更正処分後のもの),及びこれに伴う重加算税賦課決定処分(但し,同税務署長が平成15年9月3日付けで同原告に対してした,変更決定処分後のもの)をそれぞれ取り消す。 (4) 渋谷税務署長が平成15年3月14日付けで原告P1に対してした,平成13年分の所得税の更正処分のうち利子所得額0円,給与所得額5530万円,納付すべき税額マイナス123万6500円をそれぞれ超える部分(但し,同税務署長が平成15年9月3日付けで同原告に対してした,減 3年分の所得税の更正処分のうち利子所得額0円,給与所得額5530万円,納付すべき税額マイナス123万6500円をそれぞれ超える部分(但し,同税務署長が平成15年9月3日付けで同原告に対してした,減額更正処分後のもの),及びこれに伴う重加算税賦課決定処分(但し,同税務署長が平成15年9月3日付けで同原告に対してした,変更決定処分後のもの)- 3 -をそれぞれ取り消す。 (5) 渋谷税務署長が平成15年9月3日付けで原告P1に対してした,平成14年分の更正処分のうち利子所得額0円,給与所得額7905万円,納付すべき税額マイナス170万0110円をそれぞれ超える部分,及びこれに伴う重加算税賦課決定処分をそれぞれ取り消す。 第3事件(1) 渋谷税務署長が平成15年3月14日付けで原告P3に対してした,平成10年分の所得税の更正処分のうち利子所得額0円,給与所得額1561万7083円,納付すべき税額マイナス11万7097円をそれぞれ超える部分,及びこれに伴う重加算税賦課決定処分(但し,同税務署長が平成15年10月28日付けで原告P3に対してした,変更決定処分後のもの)をそれぞれ取り消す。 (2) 渋谷税務署長が平成15年3月14日付けで原告P3に対してした,平成11年分の所得税の更正処分のうち利子所得額0円,給与所得額476万9267円,納付すべき税額マイナス24万9000円をそれぞれ超える部分,並びにこれに伴う重加算税及び過少申告加算税賦課決定処分をそれぞれ取り消す。 (3) 渋谷税務署長が平成15年3月14日付けで原告P3に対してした,平成12年分の所得税の決定処分,及びこれに伴う重加算税賦課決定処分をそれぞれ取り消す。 (4) 渋谷税務署長が平成15年3月14日付けで原告P3に対してした,平成13年分の所得税の更正処分のうち給与所 12年分の所得税の決定処分,及びこれに伴う重加算税賦課決定処分をそれぞれ取り消す。 (4) 渋谷税務署長が平成15年3月14日付けで原告P3に対してした,平成13年分の所得税の更正処分のうち給与所得額1274万円,雑所得0円,納付すべき税額マイナス12万9900円をそれぞれ超える部分(但し,同税務署長が平成15年11月26日付けで同原告に対してした,減額更正処分後のもの),並びにこれに伴う重加算税及び無申告加算税賦課決定処分をそれぞれ取り消す。 - 4 - 第4事件(1) 渋谷税務署長が平成15年3月14日付けで原告P4に対してした,平成10年分の所得税の更正処分のうち利子所得額77万8084円,給与所得額8421万1510円,納付すべき税額マイナス3105万8013円をそれぞれ超える部分,及びこれに伴う重加算税賦課決定処分をそれぞれ取り消す。 (2) 渋谷税務署長が平成15年3月14日付けで原告P4に対してした,平成11年分の所得税の更正処分のうち利子所得額0円,給与所得額2億0321万8553円,納付すべき税額マイナス7564万0753円をそれぞれ超える部分,及びこれに伴う重加算税賦課決定処分(但し,同税務署長が平成15年9月3日付けで同原告に対してした,変更決定処分後のもの)をそれぞれ取り消す。 (3) 渋谷税務署長が平成15年3月14日付けで原告P4に対してした,平成12年分の所得税の更正処分のうち利子所得額0円,給与所得額1億6930万円,納付すべき税額マイナス5072万6624円をそれぞれ超える部分(但し,同税務署長が平成15年9月3日付けで同原告に対してした,減額更正処分後のもの),並びにこれに伴う重加算税及び過少申告加算税賦課決定処分(但し,同税務署長が平成15年9月3日付けで同原告に対してした,変更決定処分後 5年9月3日付けで同原告に対してした,減額更正処分後のもの),並びにこれに伴う重加算税及び過少申告加算税賦課決定処分(但し,同税務署長が平成15年9月3日付けで同原告に対してした,変更決定処分後のもの)をそれぞれ取り消す。 (4) 渋谷税務署長が平成15年3月14日付けで原告P4に対してした,平成13年分の所得税の更正処分のうち不動産所得マイナス8247万2324円,利子所得額0円,給与所得額1億6930万円,納付すべき税額マイナス2970万2528円をそれぞれ超える部分(但し,同税務署長が平成15年9月3日付けで同原告に対してした,減額更正処分後のもの),及びこれに伴う重加算税賦課決定処分(但し,同税務署長が平成15年9月3日付け付けで同原告に対してした,変更決定処分後のもの)をそれぞれ取り消す。 - 5 -(5) 渋谷税務署長が平成15年9月3日付けで原告P4に対してした,平成14年分の所得税の更正処分のうち不動産所得マイナス4345万1268円,利子所得額0円,給与所得額1億9305万円,納付すべき税額マイナス1485万0376円をそれぞれ超える部分,及びこれに伴う重加算税賦課決定処分をそれぞれ取り消す。 第5事件(1) 本郷税務署長が平成15年3月14日付けで原告P5社に対してした,平成10年1月から同年6月までの期間分の納税告知処分並びに重加算税及び不納付加算税の各賦課決定処分をそれぞれ取り消す。 (2) 本郷税務署長が平成15年3月14日付けで原告P5社に対してした,平成10年7月から同年12月までの期間分の納税告知処分並びに重加算税及び不納付加算税の各賦課決定処分をそれぞれ取り消す。 (3) 本郷税務署長が平成15年3月14日付けで原告P5社に対してした,平成11年1月から同年6月までの期間分の納税告知処分並びに重加 重加算税及び不納付加算税の各賦課決定処分をそれぞれ取り消す。 (3) 本郷税務署長が平成15年3月14日付けで原告P5社に対してした,平成11年1月から同年6月までの期間分の納税告知処分並びに重加算税及び不納付加算税の各賦課決定処分をそれぞれ取り消す。 (4) 本郷税務署長が平成15年11月26日付けで原告P5社に対してした,平成11年7月から同年12月までの期間分の納税告知処分並びに重加算税及び不納付加算税の各賦課決定処分(但し,同税務署長が同日付けで同原告に対してした,同期間分の減税納税告知処分後並びに重加算税及び不納付加算税の変更決定処分後のもの)をそれぞれ取り消す。 (5) 本郷税務署長が平成15年11月26日付けで原告P5社に対してした,平成12年1月から同年6月までの期間分の納税告知処分並びに重加算税及び不納付加算税の各賦課決定処分(但し,同税務署長が同日付けで同原告に対してした,同期間分の減税納税告知処分後並びに重加算税及び不納付加算税の変更決定処分後のもの)をそれぞれ取り消す。 (6) 本郷税務署長が平成15年11月26日付けで原告P5社に対してした,- 6 -平成12年7月から同年12月までの期間分の納税告知処分並びに重加算税及び不納付加算税の各賦課決定処分(但し,同税務署長が同日付けで同原告に対してした,同期間分の減税納税告知処分後並びに重加算税及び不納付加算税の変更決定処分後のもの)をそれぞれ取り消す。 (7) 本郷税務署長が平成15年11月26日付けで原告P5社に対してした,平成13年1月から同年6月までの期間分の納税告知処分並びに重加算税及び不納付加算税の各賦課決定処分(但し,同税務署長が同日付けで同原告に対してした,同期間分の減税納税告知処分後並びに重加算税及び不納付加算税の変更決定処分後のもの)をそれぞれ 知処分並びに重加算税及び不納付加算税の各賦課決定処分(但し,同税務署長が同日付けで同原告に対してした,同期間分の減税納税告知処分後並びに重加算税及び不納付加算税の変更決定処分後のもの)をそれぞれ取り消す。 (8) 本郷税務署長が平成15年11月26日付けで原告P5社に対してした,平成13年7月から同年12月までの期間分の納税告知処分並びに重加算税及び不納付加算税の各賦課決定処分をそれぞれ取り消す。 (9) 本郷税務署長が平成15年3月14日付けで原告P5社に対してした,平成14年1月から同年6月までの期間分の納税告知処分並びに重加算税及び不納付加算税の各賦課決定処分をそれぞれ取り消す。 第2事案の概要(以下においては,別紙略称一覧表記載のとおりの略称を使用する。)本件は,P6の筆頭株主である原告P5社が他社株償還特約付社債の利息として支払った金員の一部は,P6の創業者である原告P4とその家族である原告P1,同P2及び同P3の利子所得ないし給与所得に当たり,それらの給与所得部分は原告P5社に源泉徴収義務があるなどとして,原告らが,前記第1記載の所得税の各更正処分,源泉所得税に係る各納税告知処分,これらに伴う各重加算税賦課決定処分等を受けたことから,原告らが,上記利息は上記社債の名義人に帰属するなどと主張して,上記の各処分の取消しを求めた事案である。なお,本件で問題となる取引の一部に関する原告P5社の法人税について,東京高裁平成18年6月29日判決(乙283号証)が,原告P5社の請求を- 7 -全面的に退ける判決をしている。(その原審は,乙282号証) 法令等の内容(1) 所得税法12条は,「資産又は事業から生ずる収益の法律上帰属するとみられる者が単なる名義人であって,その収益を享受せず,その者以外の者がその収益を享受する場合に 82号証) 法令等の内容(1) 所得税法12条は,「資産又は事業から生ずる収益の法律上帰属するとみられる者が単なる名義人であって,その収益を享受せず,その者以外の者がその収益を享受する場合には,その収益は,これを享受する者に帰属するものとして,この法律の規定を適用する。」と規定し,いわゆる実質所得者課税の原則について定めている。 (2) 同法23条1項は,利子所得とは,公社債及び預貯金の利子並びに合同運用信託,公社債投資信託及び公簿公社債等運用投資信託の収益の分配に係る所得をいう旨を規定している。 (3) 同法28条1項は,給与所得とは,俸給,給料,賃金,歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る所得をいう旨規定している。 (4) 同法35条1項は,雑所得とは,利子所得,配当所得,不動産所得,事業所得,給与所得,退職所得,山林所得,譲渡所得及び一時所得のいずれにも該当しない所得をいう旨規定している。 (5) 同法36条1項は,その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額は,別段の定めがあるものを除き,その年において収入すべき金額とする旨,同条3項は,無記名の社債の利子については,その年分の利子所得の金額の計算上収入金額とすべき金額は,上記規定にかかわらず,その年において支払を受けた金額とする旨,それぞれ規定している。 (6) 同法157条は,税務署長は,法人税法2条10号に規定する同族会社の行為又は計算で,これを容認した場合には,株主である居住者の所得税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは,その居住者の所得税に係る更正又は決定に際し,その行為又は計算にかかわらず,税務署長の認めるところにより,その居住者の各年分の確定申告書の記載事項- 8 -に掲げる金額を計算 るものがあるときは,その居住者の所得税に係る更正又は決定に際し,その行為又は計算にかかわらず,税務署長の認めるところにより,その居住者の各年分の確定申告書の記載事項- 8 -に掲げる金額を計算することができる旨規定している。 争いのない事実等(証拠により容易に認められる事実は,末尾に証拠を掲記した。)(1) 当事者及び関連会社についてア原告P4は,昭和53年にP6を設立し,また,昭和56年に原告P5社が設立されて以来,同社の取締役である。 原告P1は,原告P4の妻であり,昭和56年に原告P5社が設立されて以来,同社の代表取締役である。 原告P2は,原告P4の長女であり,平成14年6月7日現在,原告P5社の取締役である。原告P2は,平成11年8月10日より,所得税法2条1項5号に規定する非居住者である。 原告P3は,原告P4の長男であり,平成14年6月7日現在,原告P5社の取締役である。 イP6は,中小事業者等に対する金融を主な業務とする会社で,代表取締役は原告P4である。同社は,平成元年8月に株式を店頭公開し,平成9年10月に東京証券取引所第二部に,平成11年7月に同取引所第一部に上場した。同社の株価は,平成9年に4万円弱となり,平成11年7月には9万4000円の最高値をつけたが,同年11月から徐々に値下がりしている。 ウ原告P5社は,昭和56年6月20日に設立された会社で,代表取締役は原告P1,取締役は原告P4,同P3,同P2及び原告P4の母P7である。同社が発行する株式合計13万3714株のうち,4万5196株を原告P4が,3万6000株を同P3が,2万7998株を同P1が,1万2000株を同P2がそれぞれ所有していることから,原告P5社は法人税法2条10号に定める同族会社である。 原告P5社は,P6の筆頭株主であり 3万6000株を同P3が,2万7998株を同P1が,1万2000株を同P2がそれぞれ所有していることから,原告P5社は法人税法2条10号に定める同族会社である。 原告P5社は,P6の筆頭株主であり,平成9年ないし11年ころにお- 9 -いては,P6の発行済み株式の過半数を所有している。 また,原告P5社は,平成14年5月において,P6の株式558万6600株を所有し,簿価は2億9117万4326円であるが,P6株式の含み益は,EB債1を発行する直前の平成9年12月頃における株価4万円を基準として計算すると2000億円を超える。(以上につき,乙1,2の1,2,乙3,4,弁論の全趣旨)(2) EB債1についてアEB債,すなわち他社株償還特約付社債(ExchangeableBond)は,一般的には,海外の高格付の金融機関が1年未満の短期の資金調達を目的として発行するものである。(乙91)イ原告P5社は,英国において,平成10年2月27日5000万米ドル,同年3月6日6500万米ドル,合計1億1500万米ドルのEB債1を,P8銀行を引受人及び支払代理人,P9を計算代理人として発行した。EB債1は,利率を額面金額に対し年21.25パーセント,満期償還日を平成15年5月31日とし,あらかじめ決められた基準日(平成15年5月15日)に,他社株であるP6株式の東京証券取引所における1株当たりの終値が基準価格(4万円)以上の場合には額面金額相当額を現金で償還し,基準価格未満の場合には,金銭による償還に代えて,社債金額1000万米ドルにつきP6株式3万1600株をもって社債の元本が償還される旨の約定が付されていた。また,EB債1には,任意繰上償還条項があり,原告P5社は,平成13年2月27日以降平成15年5月15日前15日目まで,いつでも社 万1600株をもって社債の元本が償還される旨の約定が付されていた。また,EB債1には,任意繰上償還条項があり,原告P5社は,平成13年2月27日以降平成15年5月15日前15日目まで,いつでも社債の全額を額面で償還できることになっていた。 (甲1の1ないし5,乙5の1,2)ウEB債1の購入者は,名義上,P10LPS(平成10年2月27日発行時5000万米ドル,同年3月6日発行時2500万米ドル),P11U/T(同日発行時3000万米ドル),P12(同日発行時1000万- 10 -米ドル)とされている。EB債1取引に係る資金の流れは,別紙1の1ないし3のとおりである。(同別紙記載の各証拠,弁論の全趣旨)(3) EB債2についてア原告P5社は,ルクセンブルク大公国において,平成12年9月5日及び同月22日にそれぞれ2700万ドル及び3300万米ドル,合計6000万米ドルのEB債2を,P13を引受人かつ支払代理人として発行した。EB債2は,利率を額面金額に対して,平成12年9月5日発行の2700万米ドルについては106.65円/1米ドル,同月22日発行の3300万米ドルについては107.25円/1米ドルで,それぞれ日本円に換算した金額に対する円建て年4パーセント,満期償還日を平成17年11月30日としていた。EB債2は,発行日から1年後以降,満期償還日の10営業日以前の期間において,社債権者より財務代理人に対し株式交付指図書が提出された場合,上記換算レートで換算した金額を発行日の東京証券取引所のP6の株式終値で除して算出される数の同社株式により代物弁済されるという他社株償還条項が付されている。但し,株式交付指図書が提出された翌営業日から第4営業日までに原告P5社が社債権者への公告をもって通知した場合,額面の130パーセントの金額 により代物弁済されるという他社株償還条項が付されている。但し,株式交付指図書が提出された翌営業日から第4営業日までに原告P5社が社債権者への公告をもって通知した場合,額面の130パーセントの金額で現金償還が可能である旨の特約が付されている。(乙160の1,2)イEB債2の名義上の購入者は,P14U/T(平成12年9月5日発行分)及びP15U/Tの完全子会社であるP16(同月22日発行分)である。EB債2取引に係る資金の流れは,別紙1の3のとおりである。 (乙156,157,弁論の全趣旨)(4) α不動産等について原告P5社は,平成8年1月17日,渋谷区α×番の土地(登記面積785.75平方メートル)をP17ほか1名から購入し,さらに,平成10年7月9日,同所×番の土地(登記面積786.14平方メートル)を競売に- 11 -より取得し,この2筆合計22億2275万6411円を土地勘定に計上した。(乙185の1,2,弁論の全趣旨)また,原告P5社は,同年6月24日,上記2筆の土地上に,ゲストハウスの建設を,P18を代表とする共同事業体に請け負わせることとし,当初の金額12億6000万円に設計変更に伴う増額3億6990万円を併せた合計16億2960万円で発注した。そのほか,什器備品の購入に3億0694万0176円,株式会社P19への設計報酬等を含め,上記ゲストハウスの取得価額の総額は,21億5650万4726円であった。これらの契約等は,実質的にはP6が主体となってされたものであった。(乙178,179の1,2,乙180,181,弁論の全趣旨)原告P5社は,平成11年10月1日,P6との間で,α不動産等について,賃料を月額1000万円,賃貸期間を平成12年1月25日から10年間と定めてP6に賃貸する旨の契約を締結した。(乙181 趣旨)原告P5社は,平成11年10月1日,P6との間で,α不動産等について,賃料を月額1000万円,賃貸期間を平成12年1月25日から10年間と定めてP6に賃貸する旨の契約を締結した。(乙181)その後,原告P5社は,建物完成2日前の平成11年11月2日付けで,α不動産等を合計20億3612万4627円(消費税込み金額)でP20(当時の商号はP21)に売却し,23億4313万6510円の譲渡損を計上した。(乙182,185の1,2,乙186,弁論の全趣旨)(5) P22ローンについてP20は,平成12年1月28日,上記(4)記載の原告P5社からのα不動産等購入に関する約20億円の代金の支払のため,P22から25億円を,期間10年間,年利率11パーセントの約定で借り入れる旨の金銭消費貸借契約を締結し,同年1月31日に同額を借り入れた。利息の支払は年1回毎年1月27日であり,その利息の計算期間は最初の利払日である平成13年1月27日についてはローンの貸出日である平成12年1月31日から平成13年1月27日までとし,2回目以降の利払日については前年1月28日から利払日当日の本年1月27日までとするものであった。P22ローンに- 12 -係る資金の流れは,別紙1の5のとおりである。(乙204ほか同別紙記載の各証拠,弁論の全趣旨)(6) 匿名組合取引についてアP23社は,平成13年3月に設立された,α不動産等の賃貸を主な事業目的とする株式会社であり,同月27日にP20からα不動産等を購入した。(乙171,187の1及び2)イ平成13年3月28日,P23社を営業者とし,P24社を出資者として,P23社が行う営業(α不動産等の賃貸事業)に関する匿名組合契約が締結された。P24社による出資額は,当初は平成13年3月29日支払に係る9 月28日,P23社を営業者とし,P24社を出資者として,P23社が行う営業(α不動産等の賃貸事業)に関する匿名組合契約が締結された。P24社による出資額は,当初は平成13年3月29日支払に係る980万米ドル(円換算:1米ドル=122.34円で11億9893万2000円)であったが,同年7月17日,匿名組合契約の第3条に基づき,1000万米ドル(円換算:1米ドル=122.21円で12億2210万円)が追加出資された。(乙170の1,2,乙172)ウP24社は,匿名組合契約に係る利益の分配金として,同年8月28日に1696万8188円を,平成14年8月29日に7301万3812円(平成14年法15号による改正後の所得税法161条12号,178条,212条及び213条並びに平成14年法15号による改正法附則37条の規定により分配額の20パーセントが源泉徴収されることとなったことにより,利益の分配金額9126万7365円のうち20パーセント相当額である1825万3473円を控除した金額)を受け取った。(乙170の1,2,乙174の1,2,乙175)エこのほか,匿名組合取引に係る資金の流れは,別紙1の3及び4のとおりである。(乙192,193,弁論の全趣旨)なお,上記平成14年8月29日の分配金に係る源泉徴収税額について,居住者に対して営業者が匿名組合契約に係る利益の分配をした場合には,所得税法210条,所得税法施行令327条及び同令298条8項に- 13 -より,その匿名組合員が10人未満である限りは源泉徴収は不要であることから,日本橋税務署長は,平成15年9月5日付けで源泉徴収税相当額1825万3473円をP23社に対し還付している。(弁論の全趣旨)(7) P25ファンド取引について原告P4は,平成9年1月24日に1000万円 務署長は,平成15年9月5日付けで源泉徴収税相当額1825万3473円をP23社に対し還付している。(弁論の全趣旨)(7) P25ファンド取引について原告P4は,平成9年1月24日に1000万円で購入した株式投資信託であるP25ファンド1000口を,平成12年1月21日(金曜日)に自らが取締役である同族会社の原告P5社に対して3151万9000円で譲渡した。当該譲渡価格は,P26新聞の同月22日の朝刊に発表されているP25ファンドの同月20日の終値3万1519円(1口当たり)を基準に計算された。(乙275,弁論の全趣旨)P25ファンドは,同月23日(日曜日)に3151万5540円でP5社に繰上償還された。なお,繰上償還がされることについては,P4とP5社が売買をしたとする同月21日(金曜日)以前に,P25ファンド発行会社からP4へ通知がされていた。 原告P5社は,P25ファンドの繰上償還により下記の金額を計上し,161万7126円の所得金額を減少させるとともに,法人税額から161万3665円の所得税額の控除を受けた。 ①租税公課△430万3108円②有価証券等売却損△2151万9000円③受取配当金2151万5540円④損金の額に算入した道府県民税利子割額107万5777円⑤法人税額から控除される所得税額161万3665円⑥差引合計金額△161万7126円(注)△はマイナスを表す。 原告P4は,繰上償還日の2日前に原告P5社に対してP25ファンドをその基準価格に基づいて売却したことにより,償還時の源泉所得税課税(仮- 14 -に繰上償還あるいは満期日償還になった場合には,平成15年法律第8号改正前の措置法8条の2の規定により,償還差益は一律に源泉分離課税の対象とされ,地方税と併せて償還差益の20パ 税(仮- 14 -に繰上償還あるいは満期日償還になった場合には,平成15年法律第8号改正前の措置法8条の2の規定により,償還差益は一律に源泉分離課税の対象とされ,地方税と併せて償還差益の20パーセント相当額の源泉徴収がなされたはずのものである。)を免れ,また,ファンドの譲渡益に対しても,平成15年法律第8号改正前の措置法37条の15の規定により所得税が課されていない。(以上につき,弁論の全趣旨)(8) 結婚披露宴費用について原告P5社は,平成13年5月1日から平成13年9月7日までに,役員である原告P2の結婚披露宴及びそれに関連する費用総額9843万4026円を仮払金に計上し,平成13年9月30日,仮払金のうち個人負担分5513万7226円を原告P4に対する未払金と相殺し,4329万6800円を交際費に振替処理をした。(乙277の1及び2,弁論の全趣旨)。 (9) 課税処分等の経緯について原告らに対する課税処分等の経緯は,別紙2の1ないし5記載のとおりである。 このうち,原告P5社について,本郷税務署長は,平成15年3月14日付けで本件各当初処分(P5社)を行い,これに対し原告P5社が東京国税不服審判所に審査請求をしていたが,原告P5社が給与等を支給する者のうち原告P2については平成11年12月期間ないし平成13年6月期間分は非居住者として所得税法213条の規定により計算した税額を源泉徴収すべきであったにもかかわらず,同法185条の規定により計算した源泉所得税額を算定していたことから,同税務署長が,平成15年11月26日付けで,各当初処分の一部を減額訂正した上,平成11年12月期間ないし平成13年6月期間に非居住者に支払った給与等に係る源泉徴収税と平成13年12月期間の給与等に係る源泉徴収税について本件各追加処分(P5社)を行 処分の一部を減額訂正した上,平成11年12月期間ないし平成13年6月期間に非居住者に支払った給与等に係る源泉徴収税と平成13年12月期間の給与等に係る源泉徴収税について本件各追加処分(P5社)を行ったところ,東京国税不服審判所長は,国税通則法104条2項の規定により- 15 -本件各当初処分(P5社)に本件各追加処分(P5社)をあわせ審理した上,原告P5社の審査請求をいずれも棄却したものである。(以上につき,甲1の1ないし5,弁論の全趣旨)(10) 課税処分等の根拠及び適法性について原告らに対する課税処分等の根拠及び適法性に係る被告の主張は,別紙3のとおりである。課税処分等の根拠及び適法性のうち,原告らが積極的に争っている事実は,以下の点である。 ア原告P2について(ア) 各更正処分の根拠のうち以下の点a平成10年分(a) 利子所得の金額(EB債1取引により原告P5社から支払を受けた適正利息相当額)3152万7459円(b) 給与所得の金額のうち,原告P5社の取締役としてEB債1取引により支払を受けた利益供与額5226万9721円b平成11年分(a) 利子所得の金額(EB債1取引により原告P5社から支払を受けた適正利息相当額)2058万3547円(b) 給与所得の金額のうち,原告P5社の取締役としてEB債1取引により支払を受けた利益供与額(居住者期間に支払を受けたもの)3412万5906円c平成13年分雑所得の金額(P22ローンによりP20から利益供与を受けた金額)9423万0821円(イ) 各重加算税賦課決定処分の適法性イ原告P1(ア) 各更正処分の根拠のうち以下の点- 16 -a平成10年分(a) 利子所得の金額(EB債1取引により原告P5社から支払を受けた適正利息相当額)6259万0828円 適法性イ原告P1(ア) 各更正処分の根拠のうち以下の点- 16 -a平成10年分(a) 利子所得の金額(EB債1取引により原告P5社から支払を受けた適正利息相当額)6259万0828円(b) 給与所得の金額のうち,原告P5社の取締役としてEB債1取引により支払を受けた利益供与額1億0377万0023円b平成11年分(a) 利子所得の金額(EB債1取引により原告P5社から支払を受けた適正利息相当額)7696万8558円(b) 給与所得の金額のうち,原告P5社の取締役としてEB債1取引により支払を受けた利益供与額1億2760万7460円c平成12年分(a) 利子所得の金額(EB債1取引により原告P5社から支払を受けた適正利息相当額4149万5411円とEB債2取引により支払を受けた受取利息326万3490円との合計額)4475万8901円(b) 給与所得の金額のうち,原告P5社の取締役としてEB債1取引により支払を受けた利益供与額6879万5711円d平成13年分利子所得の金額(EB債2取引により原告P5社から支払を受けた受取利息の金額)1382万1840円e平成14年分利子所得の金額(EB債2取引により原告P5社から支払を受けた受取利息の金額)1382万1840円(イ) 各重加算税賦課決定処分の適法性ウ原告P3(ア) 各更正処分の根拠のうち以下の点- 17 -a平成10年分(a) 利子所得の金額(EB債1取引により原告P5社から支払を受けた適正利息相当額)3152万7459円(b) 給与所得の金額のうち,原告P5社の取締役としてEB債1取引により支払を受けた利益供与額5226万9721円b平成11年分(a) 利子所得の金額(EB債1取引により原告P5社から支払を受けた適正利息相当額) のうち,原告P5社の取締役としてEB債1取引により支払を受けた利益供与額5226万9721円b平成11年分(a) 利子所得の金額(EB債1取引により原告P5社から支払を受けた適正利息相当額)3876万9627円(b) 給与所得の金額のうち,原告P5社の取締役としてEB債1取引により支払を受けた利益供与額6578万3301円c平成12年分(a) 利子所得の金額(EB債1取引により原告P5社から支払を受けた適正利息相当額)1811万2286円(b) 給与所得の金額のうち,原告P5社の取締役としてEB債1取引により支払を受けた利益供与額3002万8561円d平成13年分雑所得の金額(P22ローンによりP20から利益供与を受けた金額)9423万0821円(イ) 各重加算税賦課決定処分の適法性エ原告P4(ア) 各更正処分の根拠のうち以下の点a平成10年分(a) 利子所得の金額のうち,EB債1取引により原告P5社から支払を受けた適正利息相当額6億5434万0070円(b) 給与所得の金額のうち,原告P5社の取締役としてEB債1取引により支払を受けた利益供与額10億9621万7992円- 18 -b平成11年分(a) 利子所得の金額(EB債1取引により原告P5社から支払を受けた適正利息相当額)7億8863万8193円(b) 給与所得の金額のうち,原告P5社の取締役としてEB債1取引により支払を受けた利益供与額13億2100万6529円c平成12年分(a) 利子所得の金額(EB債1取引により原告P5社から支払を受けた適正利息相当額5億3473万8080円とEB債2取引により支払を受けた受取利息5067万3260円との合計額)5億8541万1340円(b) 給与所得の金額のうち,原告P5社の取締役としてEB債1 正利息相当額5億3473万8080円とEB債2取引により支払を受けた受取利息5067万3260円との合計額)5億8541万1340円(b) 給与所得の金額のうち,原告P5社の取締役としてEB債1取引により支払を受けた利益供与額8億9666万3535円,P25ファンド取引により同社から受けた利益供与額430万6568円d平成13年分(a) 不動産所得の金額のうち,匿名組合取引による分配金額1696万8188円(b) 利子所得の金額(EB債2取引により原告P5社から支払を受けた受取利息の金額)2億4293万0160円e平成14年分(a) 不動産所得の金額のうち,匿名組合取引による分配金額9126万7365円(b) 利子所得の金額(EB債2取引により原告P5社から支払を受けた受取利息の金額)2億4293万0160円(イ) 各重加算税賦課決定処分の適法性(ウ) 平成12年分過少申告加算税賦課決定処分の根拠及び適法性オ原告P5社- 19 -(ア) 本件原処分(P5社)の根拠のうち以下の点aEB債1に係る支払利息として支出した金額のうち適正利息超過額に係る源泉所得税額bP25ファンド取引に係る源泉所得税額cP22ローンに係る源泉所得税額d原告P2の結婚披露宴関連費用に係る源泉所得税額(イ) 重加算税賦課決定処分の適法性のうち,EB債1取引に係る支払利息及びP22ローンに係る支払額に基づく部分 争点 (1) 原告P5社の訴えのうち,本件各追加処分(P5社)の取消しを求める部分は,異議申立て及び審査請求を経ておらず,不適法であるか。 (2) 原告P5社がEB債1の利息として支払った金員の一部は,P4家族の平成10年分ないし平成12年分の利子所得ないし給与所得に当たるか否か。 同給与所得分につき,原告P5社の源泉徴収 法であるか。 (2) 原告P5社がEB債1の利息として支払った金員の一部は,P4家族の平成10年分ないし平成12年分の利子所得ないし給与所得に当たるか否か。 同給与所得分につき,原告P5社の源泉徴収に係る所得税の徴収義務が生じるか否か。 (3) 原告P5社がEB債2の利息として支払った金員の一部は,原告P1及び同P4の平成12年分ないし平成14年分の利子所得に当たるか否か。 (4) P20がα不動産等の購入のために借り入れたP22ローンの利息として支払った金員の一部は,原告P2及び同P3の平成13年分の雑所得に当たるか否か。P20を吸収合併した原告P5社がP22ローンの利息として支払った金員の一部は,役員である原告P2及び同P3に対する給与等の支払に該当し,これについて源泉徴収義務が生じるか否か。 (5) α不動産等の賃貸を営業目的とする匿名組合契約に基づきP23社がP24社に対して支払った利益の分配金額は,原告P4の平成13年分及び平成14年分の不動産所得に当たるか否か。 (6) 原告P4が原告P5社に対して償還日直前にP25ファンドを売却して得- 20 -た売却代金のうち,償還を受けたとしたならば徴収されたであろう源泉徴収税額相当額は,原告P4の平成12年分の給与所得に当たるとともに,原告P5社に源泉徴収義務が生じるか否か。 (7) 原告P5社が負担した原告P2の結婚式及び結婚披露宴関連費用が,役員である原告P2に対する給与等の支払に該当し,原告P5社の源泉徴収義務が生じるか否か。 (8) 各重加算税賦課決定処分が適法であるか否か。 (9) 渋谷税務署長が原告P4及びその家族に対して行った平成15年3月24日付け各更正処分は,所得税法234条1項に反する違法な事後的税務調査に基づくものとして違法であるか。 争点に関する当事者の主張の 谷税務署長が原告P4及びその家族に対して行った平成15年3月24日付け各更正処分は,所得税法234条1項に反する違法な事後的税務調査に基づくものとして違法であるか。 争点に関する当事者の主張の要旨(1) 原告P5社の訴えのうち,本件各追加処分(P5社)の取消しを求める部分は,異議申立て及び審査請求を経ておらず,不適法であるか。 (被告の主張)原告P5社は,本件各追加処分(P5社)について,異議申立て及び審査請求をしておらず,国税不服審判所において本件各当初処分(P5社)とあわせ審理したとはいえ,異議申立てについての決定のみならず審査請求についての裁決も経たとは認められない。また,通則法115条1項3号に規定する正当な理由もない。したがって,本件各追加処分(P5社)の取消しを求める訴えは,不服申立ての前置を欠く不適法な訴えである。 (2) 原告P5社がEB債1の利息として支払った金員の一部は,P4家族の平成10年分ないし平成12年分の利子所得ないし給与所得に当たるか否か。 同給与所得分につき,原告P5社の源泉徴収に係る所得税の徴収義務が生じるか否か。 (被告の主張)ア所得の帰属について- 21 -EB債1の発行目的は,原告P5社が保有する含み益のあるP6株式を将来売却する場合に備えて,多額の支払利息による欠損金を発生・蓄積させておき,その欠損金によって将来の売却益に対する課税を免れることにあり,かつ,その欠損金を発生・蓄積させるために支出する金員が,P4家族とこれらの者が実質的に支配する海外の関連法人等以外に流出することを防止することにあった。そして,原告P5社の行動を,一般的な社債発行会社の行動と比較すると,資金調達の必要性がないにもかかわらず社債を発行して1億1500万米ドル(約146億円)もの資金を調達したり,利息を支 にあった。そして,原告P5社の行動を,一般的な社債発行会社の行動と比較すると,資金調達の必要性がないにもかかわらず社債を発行して1億1500万米ドル(約146億円)もの資金を調達したり,利息を支払う立場であるにもかかわらず支払利息の利率をなるべく高く設定するように目論むなど,極めて異常な行動をとっていた。 他方,EB債1の投資家とされるP10LPS,P11U/T及びP12の行動を,一般的な投資家の行動と比較すると,上記投資家とされる者らは,社債の発行条件を考慮することなしにEB債1への投資を決定したり,また,発行規約に規定されていない時期での中途償還の実施を受け入れるなど,極めて異常な行動をとっており,自らの独立した判断でEB債1に投資を行っているとは到底考えられない。 以上のほか,EB債1取引に介在する海外のSPCやユニット・トラスト及びLPSの実態等に照らすと,EB債1の発行スキームは,当初から,原告P4及び原告P5社によって策定され,かつ,決定されたものであって,EB債1取引に介在する海外のSPCやユニット・トラスト及びLPSは,何ら独立した判断で投資を行っているわけではなく,導管体的組織群として,P4家族に対して名義貸しをしただけの形式的な存在にすぎない。 これらの点のほか,P4家族は,同族会社である原告P5社の役員として原告P5社を支配しており,他社株償還特約を行使することは全く予定されていなかったこと,原告P5社とEB債1の投資家らは実質的には同- 22 -一経済主体であって,いついかなる内容の償還又は中途買入消却でも合意でき,劣後特約は無意味であること,P4家族が拠出した資金は,帳簿上の数字の動きだけではなく,現実に現金の資金移動を伴っていること等を併せ考えると,EB債1に係る取引の実体は,P4家族から原告P5社に対 ,劣後特約は無意味であること,P4家族が拠出した資金は,帳簿上の数字の動きだけではなく,現実に現金の資金移動を伴っていること等を併せ考えると,EB債1に係る取引の実体は,P4家族から原告P5社に対してプライベートな資金を提供しただけの実質的な融資と,これに対する原告P5社からP4家族への利息の支払にほかならならず,取引により発生した所得はP4家族に帰属する。 イ適正金利について年率21.25パーセントの割合で支払われたEB債1の利息は,P4家族からの実質的な融資による資金調達としての適正金利部分と,それを超える利益供与部分との総体であり,適正金利部分については,公社債の利子と認められ利子所得となるものの,適正金利を越える部分については,役員としてのP4及びその家族に対する利益供与となって給与所得に該当する。 EB債1がドル通貨で発行され,かつ,償還時期が5年後であることから,EB債1発行当時の米ドル建て5年物スワップレート(金融市場の実勢金利を表すものとして一般的に用いられる指標)である年率6.005パーセント(平成10年2月27日発行分)及び年率6.095パーセント(同年3月6日発行分)を基礎とし,原告P5社が平成10年1月29日から同年2月27日までの間,P27P28支店から原告P5社の信託受益権1億円を担保として5億円を年利2.071880パーセントで借り入れた際のスプレッド1.4パーセント,5年償還という長期のEB債の金利を算出するのに短期の金利に上乗せするスプレッド0.5パーセントを加えた,年率7.905パーセント(平成10年2月27日発行分)及び年率7.995パーセント(同年3月6日分)がそれぞれの場合の適正金利である。 - 23 -ウ原告らの損益通算の主張についてEB債1の利子の受領者は,P4家族であり,原告 2月27日発行分)及び年率7.995パーセント(同年3月6日分)がそれぞれの場合の適正金利である。 - 23 -ウ原告らの損益通算の主張についてEB債1の利子の受領者は,P4家族であり,原告P5社から導管体的組織群に利息が支払われた時点で,その所得はP4家族に帰属するのであるから,原告らの損益通算の主張は失当である。 (原告らの主張)ア所得の帰属についてEB債1取引は,P10LPS,P11U/T,P12に法律的にも経済的にも帰属しているから,所得税法12条の実質所得者課税の原則を適用することはできない。 被告は,本件において,法人格否認の法理の主張立証をするしか原処分の適法性を主張する途はない。被告の「実質支配論」ないし「名義貸し論」は,いずれもEB債1取引に関わる各法主体(P10LPS,P29,P14U/T,P15U/T,P11U/T,P30LPS,P12)の存在を無視できる法的根拠にはなり得ない。 本件では,あくまでP4家族個人が当該金銭を受領したことが証明されない限り,P4家族の所得として帰属することはないところ,被告は,なぜ各法主体名義の口座に入金された金銭が,P4家族個人に所得として帰属するといえるのか,租税実体法上の根拠条文も法理論も示しておらず,被告の主張は失当である。 投資信託に該当するP14U/T,P15U/T,P11U/Tには,所得税法13条1項ただし書が適用されるべきであり,これを無視した原処分は違法である。 イ適正金利について仮に,EB債1の利息がP4家族に帰属しているものとしても,発行体が超優良格付の金融機関であり,東京証券取引所一部上場の有名優良企業の株式を償還対象としたEB債でも,18ないし50パーセントの金利が- 24 -付されている以上,未だ二部上場企業であったP6を償還対象株式として 融機関であり,東京証券取引所一部上場の有名優良企業の株式を償還対象としたEB債でも,18ないし50パーセントの金利が- 24 -付されている以上,未だ二部上場企業であったP6を償還対象株式として,無格付会社たる原告P5社が発行したEB債1の金利が21.25パーセントであったとしても何ら不自然ではない。EB債1の金利は,第1引受人たるP8銀行が一流の外資系銀行の信用をかけて算定しており,原告P5社や原告P4算定した同族関係者間取引価格たる金利ではないから,その全部が適正利率である。 ウ損益通算について仮に,EB債1の金利が適正利率ではなく,EB債1に係る利息相当額につきP4家族に対して直接課税され得るとしても,原処分庁は,各法主体の全投資活動による損益を各期末に通算し,P4家族の保有割合に応じて按分した金額の限度で課税し得るにすぎない。 (3) 原告P5社がEB債2の利息として支払った金員の一部は,原告P1及び同P4の平成12年分ないし平成14年分の利子所得に当たるか否か。 (被告の主張)EB債2の発行スキームは,当初から原告P4(原告P1の代理人でもある。)及び原告P5社によって策定され,かつ,決定されたものであって,取引に介在する海外SPCやユニット・トラストが何ら独立した判断で投資を行っているわけではなく,これらは,原告P4及び原告P1に対して名義貸しをしただけの形式的な存在にすぎないものである。 そうすると,EB債2の支払利息は,原告P5社から支払利息名下に金員が拠出された時点で,原告P4及び原告P1に帰属し,同原告らの利子所得に当たると解すべきである。 (原告らの主張)ア所得の帰属についてEB債2は,適法かつ適切に当事者の意思に従って発行されたものであり,法的にも経済的にも名義人である法主体に帰属しているから,何ら法 当たると解すべきである。 (原告らの主張)ア所得の帰属についてEB債2は,適法かつ適切に当事者の意思に従って発行されたものであり,法的にも経済的にも名義人である法主体に帰属しているから,何ら法- 25 -的根拠を明示することなくEB債2の法形式を否認することは許されない。 被告が主張する「実質支配論」ないし「名義貸し論」は,いずれもP16,P14U/T,P15U/Tの存在を無視できる法的根拠にはならない。 投資信託に該当するP14U/T,P15U/Tには,所得税法13条1項ただし書が適用されるべきであり,これを無視した原処分は違法である。 イ損益通算について仮に,EB債2に係る利息相当額につき原告P4ないし原告P1に対して直接課税され得るとしても,原処分庁は,各法主体の全投資活動による損益を各期末に通算し,原告P4及び原告P1の保有割合に応じて按分した金額の限度で課税し得るにすぎない。 (4) P20がα不動産等の購入のために借り入れたP22ローンの利息として支払った金員の一部は,原告P2及び同P3の平成13年分の雑所得に当たるか否か。P20を吸収合併した原告P5社がP22ローンの利息として支払った金員の一部は,役員である原告P2及び同P3に対する給与等の支払に該当し,これについて源泉徴収義務が生じるか否か。 (被告の主張)P22ローンの目的は,約3パーセントの年利でP314兄弟から調達した25億円の資金をP20に提供し,それに対してP20(平成13年3月30日以降は原告P5社)が,合計年11パーセントの利息を支払う形式をとり,そのうちの年0.22パーセント相当額はP22に手数料として支払った上で,残りの年10.78パーセント相当額のうち,3.2パーセント相当額はP314兄弟に利息として供与し,年7.58パーセント相当額 うちの年0.22パーセント相当額はP22に手数料として支払った上で,残りの年10.78パーセント相当額のうち,3.2パーセント相当額はP314兄弟に利息として供与し,年7.58パーセント相当額は原告P3及び原告P2に対して供与することにあった。 また,P22ローンに係るスキームは,当初から原告P4によって策定され,かつ,決定されたものであって,取引に介在するSPCやユニット・ト- 26 -ラストが何ら独立した判断で投資を行っているわけではなく,これらは,単に名義貸しをしただけの形式的な存在にすぎない。 これらの事実からすると,P22ローンに係る取引の実体は,P31 兄弟とP20の融資取引を,実体のない外国法人等を介在させることによってわざわざ海外を経由したキャッシュフローを作出して海外の投資家とP20との間の融資契約であるかのように装い,もって,支払利息に名を借りて融資金額25億円の年7.58パーセント相当額を受け取るべき合理的な理由のない原告P3及び原告P2に対して利益供与を行うものであり,P20及び原告P5社から支払われた年11パーセントの支払利息額のうちの年7. 58パーセント相当額は,P20又は原告P5社からP22に対して支出された,あるいは,支出されるべき時点において,原告P3及び原告P2に帰属し,P20から支払われた部分は同原告らの雑所得に当たるとともに,原告P5社が支払った部分については役員に支払った給与等として源泉徴収義務が生じる。 (原告らの主張)ア所得の帰属についてP22ローンは,適法かつ適切に当事者の意思に従って行われたものであり,法的にも経済的にも名義人である法主体に帰属するから,何ら法的根拠を明示することなく同ローンの法形式を否認することは許されない。 被告が主張する「実質支配論」ないし「名義貸し論」 行われたものであり,法的にも経済的にも名義人である法主体に帰属するから,何ら法的根拠を明示することなく同ローンの法形式を否認することは許されない。 被告が主張する「実質支配論」ないし「名義貸し論」は,いずれもP32,P22,P33の存在を無視できる法的根拠にはならず,P20ないし原告P5社から支払われた金銭が原告P3及び原告P2の所得となることはない。 投資信託に該当するP34U/Tには,所得税法13条1項ただし書が適用されるべきである。 イ損益通算について- 27 -仮に,P22ローンに係る利息相当額につき原告P3ないし原告P2に対して直接課税され得るとしても,原処分庁は,各法主体の全投資活動による損益を各期末に通算し,原告P3及び原告P2の保有割合に応じて按分した金額の限度で課税し得るにすぎない。 (5) α不動産等の賃貸を営業目的とする匿名組合契約に基づきP23社がP24社に対して支払った利益の分配金額は,原告P4の平成13年分及び平成14年分の不動産所得に当たるか否か。 (被告の主張)ア(ア)匿名組合契約の営業者P23社は,P5社との合併により消滅するP20が保有するα不動産等を引き受け,すべて原告P4の意向に沿って資金の受渡しだけを行うための存在であり,匿名組合契約の組合員であるP24社も,本件匿名組合に出資することのみを目的に存在している。 (イ) EB債1取引に関わる導管体的組織群は,原告P4及び原告P5社の意向を受けて,EB債1の中途買入消却に応じて完全に協調して資金の受渡しを行っている上,その資金がP24社を経由して,匿名組合の出資金としてP23社に提供されている。 (ウ) P24社は,本件匿名組合の出資金を調達するために社債を発行したが,社債引受人の情報の問い合わせや社債発行に係る弁護士費用の請求が,原告P4 名組合の出資金としてP23社に提供されている。 (ウ) P24社は,本件匿名組合の出資金を調達するために社債を発行したが,社債引受人の情報の問い合わせや社債発行に係る弁護士費用の請求が,原告P4の支配するP6になされている。 (エ) 本件匿名組合取引に係るスキームや,P23社が取得する以前に行われていたα不動産等に係る各取引は,すべて原告P4やP4の支配する原告P5社又はP6によって組成されている。 イこれらの事実によれば,匿名組合に対する真の出資者は原告P4であり,これを隠ぺいするために外国法人等を介在させ,迂遠で複雑な取引を作出し,外観上,外国法人に対する匿名組合分配金であるかのように仮装したものである。したがって,匿名組合契約により,P23社からP24社に- 28 -支払われた分配金は,支払われた時点で,原告P4の不動産所得となる。 (原告らの主張)ア所得の帰属について匿名組合契約は,適法かつ適切に当事者の意思に従って行われたものであり,法的にも経済的にも名義人である法主体に帰属するから,何ら法的根拠を明示することなく同契約の法形式を否認することは許されない。被告が論じる同契約の不当性は,いずれもP24SPC,P24社の法人格を否認する法的根拠にはならず,P23社から支払われた金銭が原告P4の所得となることはない。 投資信託に該当するP15U/Tには,所得税法13条1項ただし書が適用されるべきである。 イ損益通算について仮に,匿名組合契約に係る収益につき原告P4に対して直接課税され得るとしても,原処分庁は,各法主体の全投資活動による損益を各期末に通算した金額の限度で課税し得るにすぎない。 (6) 原告P4が原告P5社に対して償還日直前にP25ファンドを売却して得た売却代金のうち,償還を受けたとしたならば徴収されたであろ による損益を各期末に通算した金額の限度で課税し得るにすぎない。 (6) 原告P4が原告P5社に対して償還日直前にP25ファンドを売却して得た売却代金のうち,償還を受けたとしたならば徴収されたであろう源泉徴収税額相当額は,原告P4の平成12年分の給与所得に当たるとともに,原告P5社に源泉徴収義務が生じるか否か。 (被告の主張)原告P5社は,本件取引を原告P4の利得のために行うべき合理的な理由がなく,原告P4が負担すべきであった租税相当額の肩代わりをし,原告P5社の役員である原告P4に対して利益供与を行った取引というべきものであり,そもそも,同族会社以外の第三者が同取引のような経済合理性のない取引を行うこと自体あり得ないものである。 したがって,所得税及び地方税相当額である430万6568円は,原告- 29 -P5社から原告P4への利益供与にほかならないことから,当該金額については「役員賞与」であって,原告P4の給与所得に該当する。 (原告らの主張)原処分はP25ファンド取引について,法人税法132条ないし所得税法157条を適用して,原告P5社ないし原告P4の行為・計算を否認したが,両条はいずれも憲法14条1項に反し無効であるから,両条に基づく原処分もまた無効である。 P25ファンド取引は,当時広く行われていた適法な節税行為であり,同取引を否認することはできない。 P25ファンド取引を否認すべき場合であっても,原告P5社が被った損失は161万7861円であるから,原告P5社・原告P4間の売買価格3151万9735円から上記損失額を差し引けば,原告P5社が損失を受けることはなくなり経済合理性が認められるから,P25ファンドの売買価格を2990万1874円に更正すれば足り,同取引全体を否認する必要はない。 (7) 原告P5社が負担した原告 告P5社が損失を受けることはなくなり経済合理性が認められるから,P25ファンドの売買価格を2990万1874円に更正すれば足り,同取引全体を否認する必要はない。 (7) 原告P5社が負担した原告P2の結婚式及び結婚披露宴関連費用が,役員である原告P2に対する給与等の支払に該当し,原告P5社の源泉徴収義務が生じるか否か。 (被告の主張)結婚式や結婚式披露宴は,社会通念上,あくまでも私的行事にすぎず,企画・運営が著名人によってされ,事業に関連する者が多数含まれていたとしても,その効果は間接的であり,交際費には当たらない。通常行われる結婚披露パーティーは,結婚する個人が祝福してもらうこと,当該個人の関連者に結婚の事実を披露することを目的とするものであるから,本来その個人が私的に負担すべきものである。 したがって,原告P2の結婚披露宴費用としてP5社が支出した費用を交- 30 -際費とみることはできないのであり,原告P2に対する役員賞与に該当する。 (原告らの主張)交際費はそもそも事業遂行に対する間接的な効果を企図して支出されるものであるから,被告の「私的行事論」は結婚式及び結婚披露宴関連費用が交際費に該当しないという理由にはならない。法人税法上,社葬費用の損金算入が認められており,同じく冠婚葬祭である上記費用を交際費として認めない合理的理由はない。 原告P2の結婚披露パーティーは,出席者のうち約78パーセントが原告P5社の取引関係者であること,私的費用と考えられる部分についてはすべて個人負担としていること,原告P5社は営業実態のある法人であり接待交際費がゼロであることはあり得ないことから,同費用は措置法61条の4第3項に基づき原告P5社の交際費に該当する。 (8) 各重加算税賦課決定処分が適法であるか否か。 (被告の主張)アP4家族 待交際費がゼロであることはあり得ないことから,同費用は措置法61条の4第3項に基づき原告P5社の交際費に該当する。 (8) 各重加算税賦課決定処分が適法であるか否か。 (被告の主張)アP4家族それぞれに対する重加算税賦課決定処分についてEB債1取引,EB債2取引,匿名組合取引及びP22ローン取引に係る所得については,いずれも導管体的組織群の作成とそれらを通じて各取引を実行して真実の所得の調査解明に困難が伴う状況を作り出すという,まさに外部からもうかがい得る特段の行動をした上で,本来P4家族に帰属する所得を意図的に申告しなかったものである。したがって,これらの所得に係る部分について重加算税の賦課要件をみたすことは明らかであり,その賦課決定処分は適法である。 仮にすべての仕組みが原告P4の意向により決められていたとしても,原告P2,同P1及び同P3のいずれもが原告P5社の役員であり,EB債1及びEB債2のような多額の社債の発行や原告P5社とP20との合併等の重要事項については当然知っていた上,EB債1取引に介在した外- 31 -国のパートナーシップの設立に関与した事実もみられるにもかかわらず,自らの確定申告に関して特に過少申告の防止をすることもなく,そのまま過少申告をし,あるいは申告をしていないことからすれば,原告P4が行った行為はすなわち原告P2,原告P1, 原告P3それぞれの隠ぺい仮装行為と評価できるのであって,賦課決定処分が適法であることは明らかである。 イ原告P5社に対する重加算税賦課決定処分について原告P5社は,EB債1の発行において,海外の第三者に対して発行したかのごとく装い,EB債1に係る社債利息を海外の第三者に対し支出したかのように仮装し,P4家族に対して支給した給与等について源泉徴収義務があるにもかかわらず納 において,海外の第三者に対して発行したかのごとく装い,EB債1に係る社債利息を海外の第三者に対し支出したかのように仮装し,P4家族に対して支給した給与等について源泉徴収義務があるにもかかわらず納付を免れている。 P22ローンは,P314兄弟からの借入れと,原告P3及び同P2への利益供与の手段であるにもかかわらず,P20及び原告P5社は,両社の支配者である原告P4の指示の下,P314兄弟並びに原告P3及び同P2とP20の間に,外国法人及びユニット・トラストなどを複雑に介在させ,P22ローンが第三者の外国法人であるP22からの真正な資金借入れであるかのように仮装して,本件P22ローンに係る利息を全額支払利息として損金の額に計上している。 これらはいずれも,通則法68条3項に規定する「事実の全部又は一部を仮装し,又は隠ぺいし,その隠ぺいし,又は仮装したところに基づきその国税を法定納期限までに納付しなかったとき」に該当し,重加算税の賦課決定は適法である。 (原告らの主張)アEB債1取引,EB債2取引,匿名組合取引及びP22ローンについて,租税実体法上の根拠なくして,名義人である法主体が受領した金員がP4家族に帰属することを前提に,重加算税賦課決定処分をしたことは,憲法- 32 -84条及び30条に反し違憲である。 イ原告P5社,P4家族は,EB債1取引,EB債2取引,匿名組合取引について,現実の資金の動きに合致した経理処理を行っており,その原因行為たる契約内容等についてもすべて帳簿上明らかにしているから,仮装・隠ぺい行為は認められない。 ウEB債1及びEB債2の利息相当額,匿名組合取引に基づく金員は,未だP4家族に帰属していないから,P4家族には,過少申告の故意が認められない。P314兄弟のうちP35が,P36U/Tの受益権を ウEB債1及びEB債2の利息相当額,匿名組合取引に基づく金員は,未だP4家族に帰属していないから,P4家族には,過少申告の故意が認められない。P314兄弟のうちP35が,P36U/Tの受益権を原告P5社に売却して得た売却益について確定申告していることは,原告P5社及びP4家族の納税意思を明確に裏付けている。 エEB債1の支払利息の一部のみに仮装隠ぺいないし過少申告の故意を認める原処分の認定は極めて不自然であり事実に反する。 (9) 渋谷税務署長がP4家族に対して行った平成15年3月24日付け各更正処分は,所得税法234条1項に反する違法な事後的税務調査に基づくものとして違法であるか。 (原告らの主張)ア渋谷税務署長は,平成15年3月24日当時には,処分額を計算する上で必要不可欠な税務調査を行っておらず,同月25日以後に行われた所得税法234条1項に反する違法な税務調査により処分額を計算する上で必要な事実関係を調査した上,通則法27条に違反して更正処分を行った。 イ通則法27条及び所得税法234条1項の定める手続は,憲法31条に基づく適正手続として憲法上保障されており,これに違反してなされた更正処分は違法である。 (被告の主張)ア各更正処分後である平成15年4月22日に,調査担当官であったP37専門官がP8銀行に対して質問書を交付した理由は,各更正処分以前に- 33 -提出を依頼していた関係書類の一部が,同グループから提出されなかったことによるものであり,各更正処分の時点で既に把握していた事実関係をより明らかにする直接的な資料や回答を求めているにすぎない。各更正処分前に明らかになった事実と,原告らの関係者が渋谷税務署長の調査に対して故意に虚偽の事実を告げて非協力的な態度をとっていることを総合的に判断すれば,EB債1取引の 答を求めているにすぎない。各更正処分前に明らかになった事実と,原告らの関係者が渋谷税務署長の調査に対して故意に虚偽の事実を告げて非協力的な態度をとっていることを総合的に判断すれば,EB債1取引の真の法的合意は,原告P5社からP4家族に対する利益移転であると認定できた。 イ通則法27条の「調査」とは,課税標準等又は税額等を認定するに至る一連の判断過程の一切を意味し,課税庁が税務官署内において,既に収集した資料を検討して正当な課税標準を認定することも「調査」に含まれ,一定の調査の結果から合理的に推認できる範囲で事実認定をして処分をすること自体が禁止されているわけではない。渋谷税務署長が各更正処分の前に資料収集を行い,原告らに対し事情聴取等の「調査」をした上で更正処分を行っていることは明らかであるから,渋谷税務署長が行った各更正処分は,通則法27条に違反しない。 ウ原告らが所得税法234条1項違反であると主張する調査は,各更正処分後の調査を指しているから,仮に,各更正処分後に行われた調査に何らかの違法性が認められたとしても,それをもって,それ以前に行われた各更正処分が違法とはならない。 第3争点に対する判断 争点(1)(本件各追加処分(P5社)の取消請求の適法性)について本件各追加処分(P5社)は,本件各当初処分(P5社)に対し原告P5社が審査請求をしていたところ,原告P2に対する給与等の一部については非居住者として所得税法213条の規定により計算した税額を源泉徴収すべきであったにもかかわらず,同法185条の規定により計算した源泉所得税額を算定していたため,原処分庁において,本件各当初処分(P5社)に対する審査請- 34 -求がなされた後,その一部を減額訂正したのと同日に,減額訂正に係る給与等について改めて非居住者に支払われた を算定していたため,原処分庁において,本件各当初処分(P5社)に対する審査請- 34 -求がなされた後,その一部を減額訂正したのと同日に,減額訂正に係る給与等について改めて非居住者に支払われたものとしての源泉徴収税等を徴収すべきであった旨の処分をしたものであるから,その内容は本件各追加処分(P5社)と実質的に同一であるといえる。そして,本訴においても,原告P5社の本件各当初処分(P5社)及び本件各追加処分(P5社)に対する不服の理由は共通しているところ,東京国税不服審判所長も,国税通則法104条2項の規定により,本件各当初処分(P5社)に本件各追加処分(P5社)をあわせて審理した上,原告P5社の審査請求をいずれも棄却しているのであって(前記第2の2(9)),本件各追加処分(P5社)について改めて不服申立てをしても,異なる判断がされたとは考え難い。 そうすると,本件においては,本件各当初処分(P5社)に対する不服申立手続によって,本件各追加処分(P5社)についても,実質上審理判断がされており,再度,本件各追加処分(P5社)について不服申立てを行っても,異なる判断がされることは,処分行政庁の合理的な判断としては考え難いのであるから,このような場合には,本件各追加処分(P5社)につき不服申立てを経ないで訴訟を提起したことには,国税通則法115条1項3号にいう「正当な理由」があるというべきである。 したがって,本件各追加処分(P5社)の取消請求が不服申立手続を経ていないとの理由で不適法であるとはいえない。 争点(2)(EB債1取引)について(1) 認定事実(特に限定のない限り,前記争いのない事実等に各末尾記載の証拠と弁論の全趣旨によって認められる事実を記載した。以下同じ。)アまず,EB債1に関する資金の流れについては,前記争いのな 1) 認定事実(特に限定のない限り,前記争いのない事実等に各末尾記載の証拠と弁論の全趣旨によって認められる事実を記載した。以下同じ。)アまず,EB債1に関する資金の流れについては,前記争いのない事実等(第2の2(2))記載のとおり,別紙1の1ないし3のとおりであったと認められる。 - 35 -イEB債1の発行目的について(ア) 前記第2の1(1)のとおり,原告P5社の保有するP6株式は多額の含み益を有しており,同株式の値上がりに伴い含み益が更に増大する可能性を有し,将来売却した場合には膨大な売却益を発生させることが予想されていたところ,原告P4は,平成7年3月ころ,原告P5社が所有するP6株式の譲渡時に生じる多額のキャピタル・ゲインに対する課税について懸念するとともに,原告P4が保有する原告P5社の株式の譲渡益に対する課税を軽減する具体的方策を検討し,P9P38に対し問い合わせをし,可能なスキームについてアドバイスを受けていた。 (乙78)(イ) P9は,平成9年12月24日,原告P5社に対し,普通社債,EB債,デュアル・カレンシー債の3種のドル建て債券の発行概要を提案し,EB債の特徴として,基準価格が発行時の株価と同額の場合に,利息が年利20.5パーセントと,利息が高く設定できることを挙げた。 そして,原告P5社は,具体的な資金運用目的がなかったにもかかわらず,50億円相当のEB債を発行する旨の回答をし,調達した資金の運用方法の提案を求めた。また,原告P5社は,原告P5社が支払うことになる利息が,外部流出することを避け,原告P4ないし原告P5社の下に置くための手法として「吸引装置」の設置も予定していた。(乙81,82)(ウ) P9は,原告P5社が年利20パーセントを超える利率で調達した資金の運用方法として,逆ざやが生じ いし原告P5社の下に置くための手法として「吸引装置」の設置も予定していた。(乙81,82)(ウ) P9は,原告P5社が年利20パーセントを超える利率で調達した資金の運用方法として,逆ざやが生じることが明らかな,わずか年数パーセントの利率のSPCのノート(中期債)による運用を提案した。しかし,P39会計士は,原告P4と打ち合わせをした上,P9に対し,平成10年1月7日,20パーセントの社債で調達した資金を,数パーセントの利率のノートにより運用するのは変だと思う旨の意見を述べ,- 36 -SPCのエクイティファイナンス(新株発行を伴う資金調達)を利用することを再提案した。すなわち,この時点では,P5社の発行するEB債によって調達する資金の運用目的は,未だ定まっていなかった。また,P39会計士は,原告P5社に損失が生じること自体を問題とするのではなく,むしろ,不自然な取引であることが明らかになることを問題視していた。(乙84)(エ) その後,EB債1の発行まで1か月を切った発行直前の段階でも,原告P5社が調達した資金の全部又は一部を,海外で設立されたSPCのノートの購入に充てる程度以上に,明確かつ具体的な使途が決まっていなかった。また,P9は,EB債の支払利率をできるだけ引き上げるべく検討し,また,原告P5社に対しても,発行条件によっては利率の引下げ要因となることに注意喚起をした。(乙83,89,98ないし105)(オ) 原告P4ないし原告P5社は,平成10年7月当時,P6株式を新たに海外に設立するSPCに移転・売却することを計画し,売却する株式の数については,売却益に対して法人税が課せられないようにするために,蓄積しておく損金と売却益が同額となるようにすることを検討すると共に,欠損金を増加させるための更なる方策を検討していた 却する株式の数については,売却益に対して法人税が課せられないようにするために,蓄積しておく損金と売却益が同額となるようにすることを検討すると共に,欠損金を増加させるための更なる方策を検討していた。(乙79)(カ)以上の事実によれば,原告P5社は,P9のアドバイスを受けて,具体的な資金の使途がないにもかかわらず,あえて金利負担の大きいEB債1を発行することにより,多額の支払利息による欠損金を発生・蓄積させておき,将来,原告P5社が保有するP6の株式を売却する場合のキャピタルゲインに対する課税を免れようと企図したことが認められる。 ウEB債1の名義上の購入者とされるLPS,U/T,SPCについて- 37 -(ア) 原告P4は,原告P5社が発行する債券の種類その他の条件が決定しておらず,したがって未だ引受の条件が定まっていない平成9年12月16日の時点で,P39会計士を通じてP9に対し,「既に引受人が決まっているのだから」などと述べ,条件未定の債券について既に引受人が定まっていることを当然の前提としてやりとりをしていた。(乙80ないし82)(イ) P39会計士,P9P40及びP6関係者らは,平成10年1月ころ,市場価格での買入消却及び額面での償還条項があれば株に転換しなくても不自然ではない旨の協議をし,既に,この時点で,他社株償還特約が付されていても実際にはそれを行使せず,期限前に現金により償還することを当然の前提とし,それを合理化できる方法について検討していた。(乙83)(ウ) 原告P5社は,任意繰上償還条項の適用を受ける平成13年2月27日より1年以上前の平成11年11月24日ころには,計算代理人であるP9を介することなく,EB債1の名義上の購入者であるP10LPS,P11U/T及びP12と買戻しについて合意し,また, 年2月27日より1年以上前の平成11年11月24日ころには,計算代理人であるP9を介することなく,EB債1の名義上の購入者であるP10LPS,P11U/T及びP12と買戻しについて合意し,また,同年12月14日ころ,買戻代金を支払代理人であるP8銀行を通すことなく,P10LPS,P11U/T及びP12の口座に直接入金することを要請した。そして,原告P5社は,平成12年5月から9月までの間に,実際に,中途償還を実施した。(乙134ないし136)(エ) 以上のように,原告P4は,EB債1の発行条件が決定される前に既にEB債1の購入者を決定しており,その購入者であるP10LPS,P11U/T及びP12は,債券の発行条件を知ることなしに出資を決定しているのであり,原告P5社は,EB債1の発行前から中途償還を予定し,任意繰上償還条項が適用される時期の1年以上前からその実施を受け入れ,実際に平成12年5月から9月までの間に中途償還をして- 38 -いるのであって,P10LPS,P11U/T及びP12は,原告P5社の意向に従って投資態度を決定していたことが認められる。 エEB債1取引に関与したLPS,U/T,SPCについて(ア) P10,P29及びP41についてP10,P29及びP41は,いずれも実質,原告P4によって設立され,同人が支配している会社であり,設立・維持費用はすべて原告P5社が負担していた。(乙6,93ないし96,98ないし113,弁論の全趣旨)(イ) P14U/T,P15U/T,P11U/T及びP30LPSについてP14U/T,P15U/T,P11U/Tは,いずれもP4家族が支配しており,それらを運営する受託者は,その活動に関して判断権限を有していなかった。(乙57の1ないし6,乙86,87,94,95,98ないし1 ,P15U/T,P11U/Tは,いずれもP4家族が支配しており,それらを運営する受託者は,その活動に関して判断権限を有していなかった。(乙57の1ないし6,乙86,87,94,95,98ないし106,119,122ないし124,147,弁論の全趣旨)P30LPSは,P4家族のみがリミテッド・パートナーであり,P4家族の資金をP11U/Tに流すことを目的とする会社であった。 (乙57の1ないし6)(ウ) P42についてaP39会計士は,平成10年2月3日,原告P4と打ち合わせた上,P9P38に対し,P10とのパートナーシップ契約でリミテッド・パートナーとなる海外法人(すなわちP42)を,原告P5社が用意する旨伝えた。(乙87)P9P38は,同月13日,原告P4に対し,P10の設立費用,パートナーシップ契約に係る費用等をP42が負担するよう設定しておく旨を連絡した。(乙94)- 39 -P9P38が平成10年2月5日付けで作成したEB債1のスキーム図には,P42のオーナーが「日本人であるMr.X」である旨の記載があり(乙98),同様にP9P38が作成した同種資料(乙103ないし105)から,「Mr.X」は原告P4を意味するものと認められる。 P43のP44は,平成10年1月16日,P9P38に対し,P42の経済的利益を享受する「Mr.X」について,ジャージー島当局が情報提供を求めるだろうと連絡し,P9P38からこのことを伝えられた原告P4は,同月29日ころ,情報提供のための書面を作成してP44に送った。(乙107,108,115,116)P42は,P10LPSのリミテッドパートナーとして,EB債1の買戻しを含め,EB債1取引による利益を吸収する役割を果たしており,原告P4が,このような仕組みで行うことについて最終決定した 16)P42は,P10LPSのリミテッドパートナーとして,EB債1の買戻しを含め,EB債1取引による利益を吸収する役割を果たしており,原告P4が,このような仕組みで行うことについて最終決定した。(乙96,117ないし120)原告P4は,外観上,原告P4がP10LPSと切り離された形となることを望んでおり,また,そのための検討がされた。(乙83,117,119)そして,前掲争いのない事実等記載のとおり,P10が原告P5社から受け取った利息のうちP29に米国債品借料を支払った残額をP42に支払っている。 b以上の事実によれば,P42は,原告P4に実質的に支配されており,EB債1の利息が原告P5社からP10に支払われるという外形を維持しながら,P10LPSを通じてその利息を吸収し,それを原告P4に還元させるために,原告P4によって形式上組み込まれたものであると認められる(なお,P9P38の陳述書(甲97)には,乙98のスキーム図においてP42の株主として記載されたMr.X- 40 -が原告P4であるか不明であるとの記載があるが,同人が原告P4のジャージー島当局への情報提供に関わっていることその他前記各認定事実に照らして,上記記載内容は信用できない。)。 cこの点について,原告らは,P42は,EB債1取引の全期間中,原告P4と無関係のジャージー籍の信託会社の子会社であるP45が株主となっており,P4家族はP42の株主ではない旨を主張している。しかしながら,原告らの主張によれば,P45は,P46の経営するP47の企業であるところ,証拠(乙220,284)によれば,P47は,国際的投資家のサポート業務をしており,P4家族の国際的な投資をサポートするために,同グループの一員であるP45をP42の株主としていたことが推認される上,同グ 220,284)によれば,P47は,国際的投資家のサポート業務をしており,P4家族の国際的な投資をサポートするために,同グループの一員であるP45をP42の株主としていたことが推認される上,同グループに属すると推認されるP48が,P15U/T及びP11U/Tの受託者となっている(乙124,147,234)など,同グループがEB債1取引全体に関与していることからするならば,P42の株主がP45であることは,むしろP42が,原告P4のために利息を吸収する役割を果たしていたことを裏付けるものとさえいえるのであって,この点についての原告らの主張は採用できない。 (エ) P12についてP12は,登録機関等で実体を確認できないペーパーカンパニーであり,平成10年2月23日に,原告P4がP9P38にP12の名称・所在等の詳細を教えたのを受けて,P9P38の作成したEB債1発行スキーム図に,1000万米ドル分のEB債1を購入する名称不明の投資家として加えられた。EB債1の利払当時,原告P5社が米ドル以外での支払を希望していたところ,P12も,原告P5社が希望するのと同じ通貨で受け取ることを要請していた。(乙75,77,101,102,104,110の2)- 41 -このほか,P12は,P10,P11U/T同様,EB債1の発行,償還時に,すべて原告P5社の意向に従って投資態度を決定していたことを合わせて考えるならば,P12も原告P5社又はP4家族が実質的に支配していたものであると推認することができる。 なお,P12の取締役とされるP49はP4家族が同社の受益権を保有していなかった旨を回答し(甲31の2),また,P12の年次報告書(甲99の1ないし4)には,同社の株主はP50とP51である旨の記載があるが,この両社の住所は,いずれもP12の住所 の受益権を保有していなかった旨を回答し(甲31の2),また,P12の年次報告書(甲99の1ないし4)には,同社の株主はP50とP51である旨の記載があるが,この両社の住所は,いずれもP12の住所と同じであり,この住所はまた同社の副秘書役P52の住所及び年次報告書の提出者P53の住所とも同一であること,P53はタックスプランニング等を行うP54の関係会社であり,同社の住所は,P50とP51と同じ建物の1階下であること,P12の役員であるP49及びP55は,P54の役員でもあり,会計士であること(以上につき甲99の1ないし4,乙285)に鑑みると,P12ないしその株主とされるP50とP51は,いずれも投資家のタックスプランニングのために利用されたものであることがうかがわれるのであって,上記各証拠によって,P12が原告P5社又はP4家族により実質的に支配されている旨の推認を覆すに足りるものではない。 (オ) 以上の各組織の実体のほか,これらの組織が,平成12年5月ないし9月に行われたEB債1の中途買入償還ないしそれに伴う資金の移動に際して協調した行動をとっており,別紙1の3記載のとおり,P10LPS,P29,P14U/T,P15U/Tを経由した資金は,EB債2取引や匿名組合取引にも巡回して流れていることから,いずれも原告P4の意向に基づきP4家族の資金の受渡しを行った形式的な存在にすぎないものと推認することができる。 オEB債1とP4家族について- 42 -(ア) P9は,EB債1の発行条件を検討していたが,平成10年1月19日時点で,投資家が1人であり,転売もされないことが予定されていた。(乙89)(イ) P39会計士は,同年2月2日,その時点における債券引受可能額をP9に連絡しており,また,同年2月18日時点において,EB債 資家が1人であり,転売もされないことが予定されていた。(乙89)(イ) P39会計士は,同年2月2日,その時点における債券引受可能額をP9に連絡しており,また,同年2月18日時点において,EB債1のうち1回目発行分は,全額,原告P4の資金が充てられ,2回目発行分のうち2400万ドル分は,原告P4及び原告P1の資金が充てられることとなっており,このことは原告P4,P39会計士,P9の共通の認識であった。(乙86,96)(ウ) P9P38は,EB債1の発行条件を最終的に確定する同月中旬ころには,原告P4にたびたびファックスを送付し,EB債1取引に介在するSPCの設立・管理費用や,SPCとの取引の内容等について報告したり,EB債1の名義上の購入者の連絡先を問い合わせたり,投資家の確定を求めるなどしており,最終的に,原告P4が直接,意思決定をした上で,EB債1が発行された。(乙93ないし97)(エ) 以上の事実が認められるところ,前記アないしウで認定した各事実に,エの(ア)ないし(エ)の事実を合わせて考えれば,EB債1に対する真の購入者はP4家族であったと推認することができ,これを覆すに足りる証拠はない。 (2) 所得の帰属について以上の事実によれば,EB債1取引は,原告P5社が具体的な使途がないのにP4家族から資金調達をして欠損金を発生・蓄積させて,P6株式の売却益への課税を免れるべく行われたものであり,これに伴って生じるP4家族の利益を隠ぺいするため,原告P4が実質支配する海外のSPC,リミテッドパートナーシップ,ユニットトラスト等を複雑に組み合わせた海外投資スキームを作出・実行して,原告P5社がP4家族とは無関係の独立した購- 43 -入者に利息を支払ったかのような外形を整えたものであると認められる。そして,原告P5社が,多 に組み合わせた海外投資スキームを作出・実行して,原告P5社がP4家族とは無関係の独立した購- 43 -入者に利息を支払ったかのような外形を整えたものであると認められる。そして,原告P5社が,多額の含み益を抱える一方,原告P4が原告P5社を実質支配しており,P4家族と原告P5社が実質的に同一の経済主体であって,いかなる内容の中途償還でも合意することができることから,利率を嵩上げするために,ことさらEB債の形式を利用したものであり,実質的にはP4家族らの原告P5社に対する融資にほかならないというべきである。 そして,以上のEB債1取引の実体に照らせば,EB債1のうちP4家族の資金により取得されたことが明らかな,P10LPS,P11U/Tが名義上の購入者となったものについては,原告P5社から原告P4が実質支配する名義上の投資家に利息が支払われたときに,P4家族の所得として帰属したというべきであり,その収益は,所得税法12条により,これを享受するP4家族に帰属するとして所得税法が適用されると解すべきである。 これに対し原告らは,EB債1の名義上の投資家であるP10LPS等の法人格は否認されない旨を主張するが,上記のとおり,EB債1取引は,P4家族がこれらの名義を借用したものであって,所得税法は,法律上収益が帰属するとみられる者が単なる名義人であってその収益を享受せず,他の者が収益を享受する場合には,その収益は,これを享受する者に帰属するとして所得税法を適用するとしているのであるから(所得税法12条),EB債1の名義上の投資家の法人格を否認すべきか否かはそもそも問題とならない。 また,原告らは,名義上の投資家の預金口座に入金された金員がP4家族の所得として帰属することはないと主張するが,前記認定事実によるならば,P4家族は,名義上の購入者の預 かはそもそも問題とならない。 また,原告らは,名義上の投資家の預金口座に入金された金員がP4家族の所得として帰属することはないと主張するが,前記認定事実によるならば,P4家族は,名義上の購入者の預金口座をも含めて,これらの名義を借用したものと認められるから,EB債1の利息が同口座に入金されることによりP4家族の所得として帰属するというべきであり,原告らの同主張も理由がない。 このほか原告らは,投資信託に関する所得税法13条1項ただし書の適用- 44 -を主張するが,本件で問題となっているのはP4家族がEB債1を真に購入した主体であるか否かであって,所得税法13条1項ただし書の適用可能性が問題となる余地はない。 (3) 所得の区分及び適正利率についてアまた,上記のとおり,EB債1の真の投資家はP4家族であり,経済的にみればEB債1取引の実体が,P4家族の原告P5社に対する融資と,これに対する原告P5社の利息の支払であって,ことさら金利を嵩上げするためにEB債の形式が用いられたことから,P4家族の所得のうち,取引の実体に即した適正利率の範囲部分については利子所得となるものの,これを超える部分については,原告P5社の役員としてのP4家族に対する利益供与として給与所得に該当することになる。 イそこで,EB債1取引における適正利率を検討すると,EB債1が米ドル建てで発行され,かつ償還期間が5年後であって,中途償還が予定されていたものの時期が確定していたとは認め難いことから,EB債1発行当時の銀行間の5年間のドル資金の貸出実勢レートである米ドル建て5年ものスワップレート6.005パーセント(平成10年2月27日発行分)及び6.095パーセント(同年3月6日発行分)(乙151)を基礎とするのが相当である。 そして,原告P5社が平成10年1月 5年ものスワップレート6.005パーセント(平成10年2月27日発行分)及び6.095パーセント(同年3月6日発行分)(乙151)を基礎とするのが相当である。 そして,原告P5社が平成10年1月29日から同年2月27日までの間に,P27P28支店から原告P5社の信託受益権1億円を担保として5億円を借り入れた際のスプレッドが1.4パーセントであったこと(乙152),一般に銀行が長期の貸出を行う際に用いられる新長期プライムレートの計算において貸出期間が3年超の場合に,新短期プライムレートに0.5パーセントを上乗せするスプレッドが0.5パーセントであること(乙153,154),EB債1は劣後債であるものの,原告P5社が多額の含み益を抱えており,取引当事者が実質的には同一の経済主体であ- 45 -ることなども勘案すると,前記の米ドル建て5年ものスワップレートを基礎として,スプレッドとして1.9パーセントを上乗せした,7.905パーセント(平成10年2月27日発行分)及び7.995パーセント(同年3月6日発行分)が適正金利であると考えるべきである。 ウこれに対し,原告らは,他のEB債発行事例で18ないし50パーセントの金利が付されていること,EB債1の金利はP8銀行が信用をかけて算定したものであること等によればEB債1の金利21.25パーセントが適正利率である旨縷々主張しているが,これらはいずれも,EB債1取引の実体が,経済的にはP4家族の原告P5社に対する融資と,これに対する原告P5社の利息の支払であることを考慮しないものであって,理由がない。 エ以上のとおり,EB債1取引における適正利率は7.905パーセント(平成10年2月27日発行分)又は7.995パーセント(同年3月6日発行分)であって,この適正利率部分はP4家族の利子所得で 。 エ以上のとおり,EB債1取引における適正利率は7.905パーセント(平成10年2月27日発行分)又は7.995パーセント(同年3月6日発行分)であって,この適正利率部分はP4家族の利子所得であり,これを超える部分は役員報酬として給与所得となると解すべきである。同様に,適正利率超過部分は,原告P5社による給与等の支払金額となり,所得税法183条により(非居住者期間の原告P2に対する部分は同法212条及び213条により),原告P5社に源泉徴収義務が生じる。 (4) 損益通算の要否について原告らはこのほかならな,P4家族に帰属する所得は,EB債1取引に介在する各法主体の全投資活動による損益を各期末に通算したものを基礎として計算した金額が上限であると主張するが,EB債1取引の実体は前記のとおり,EB債1取引に介在したSPC等がP4家族に名義貸しをしたものであって,これらのSPC等がEB債1取引以外の投資活動をしていたとしても,それは本件におけるEB債1取引による収益の帰属とは無関係であるというべきであるから,損益通算をすべき理由はない。したがって,原告らの- 46 -損益通算に関する主張は理由がない。 (5) 小括以上より,争点(2)に係る被告の主張は理由がある。 争点(3)(EB債2取引)について(1) 認定事実アまず,EB債2に関する資金の流れについては,前記争いのない事実等(第2の2(3))記載のとおり,別紙1の3のとおりであったと認められる。 イそして,EB債2の名義上の購入者は,P14U/T及びP16であったが,P14U/Tは,前記のとおりP4家族の支配下にあって独自の判断権限を有していないものであり,P16は,P15U/Tが全額出資した会社であるところ(乙157),前記のとおりP15U/Tは,P14U/Tと同 /Tは,前記のとおりP4家族の支配下にあって独自の判断権限を有していないものであり,P16は,P15U/Tが全額出資した会社であるところ(乙157),前記のとおりP15U/Tは,P14U/Tと同様に,P4家族の支配下にあるから,P16もまた,P4家族の支配下にあって,独自の判断権限を有していないものであった。そして,P14U/T及びP16がEB債2を取得した際の資金は,原告P5社からEB債1償還資金としてP10LPS,P29,P14U/T又はP15U/T,P16と順次移転したものであるところ(別紙1の3記載のP14ルート,P15U/Tルート1),P10,P29もまた,前記のとおり,いずれもP4家族に支配されているものである。 さらに,EB債1の真実の購入者は前記のとおり原告P4,同P1を含むP4家族であり,P14U/T,P15U/Tの受益者は原告P4及び同P1とされているから,EB債2の購入資金は実質的には原告P4及び同P1に由来するというべきである。 ウEB債2の発行に関しては,EB債1の発行の場合と同様,まだ発行条件が定まっていない発行準備の段階から,既に投資家が決定していた。 (乙169の1及び2)- 47 -エそうすると,EB債2取引は,EB債1取引と同様,真実の購入者はP14U/T及びP15U/Tの受益者とされている原告P4及び原告P1であり,P14U/T,P16はいずれも名義を貸しただけのものと認められる。 (2) 所得の帰属について以上のEB債2取引の実体に照らすと,EB債1取引と同様,所得税法12条により,原告P5社から原告P4が実質支配する名義上の投資家に利息が支払われたときに,原告P4及び原告P1の所得として帰属し,社債の利子として利子所得に当たると認められる。 (3) 損益通算の要否についてそして,EB ら原告P4が実質支配する名義上の投資家に利息が支払われたときに,原告P4及び原告P1の所得として帰属し,社債の利子として利子所得に当たると認められる。 (3) 損益通算の要否についてそして,EB債2取引についても,EB債1取引と同様の理由で,原告らの主張は理由がない。 (4) 小括したがって,争点(3)に係る被告の主張は理由がある。 争点(4)(P22ローン)について(1) 認定事実アまず,P22ローンに関する資金の流れについては,前記争いのない事実等(第2の2(5))記載のとおり,別紙1の5のとおりであったと認められる。 イそして,平成11年11月当時,P20(当時の商号はP21)の代表取締役はP56であり,株主はP57であった。P56は,原告P4が株主である株式会社P58の代表取締役であり,平成12年6月に原告P5社が株主となって設立された株式会社P59の代表取締役でもあった。P57は,P39会計士が代表取締役を,P6P60,原告P3,同P2が取締役をしており,また,P57の株主であるP61は,原告P3及び同P2により意思決定がされている会社であった。P39会計士及びP6P- 48 -60は,原告P5社のEB債1取引にも深く関与していた。(乙136,176,177)ウP20は,債務超過の状態にあったにもかかわらず,平成11年11月2日,原告P5社からα不動産等を代金20億円余りで購入し,平成12年1月28日に締結したP22ローンを通じて調達した資金で,契約から約3か月経過した同年2月3日に代金を決済したものの,P20がP22ローンによって支払う利息が年2億7500万円(借入金額25億円,年11パーセント)であるのに対し,P20がP6から得ていた賃料は月額1000万円,年間1億2000万円であり,年々多額の損失が ローンによって支払う利息が年2億7500万円(借入金額25億円,年11パーセント)であるのに対し,P20がP6から得ていた賃料は月額1000万円,年間1億2000万円であり,年々多額の損失が発生することが見込まれていた。(乙181,184の1及び2,前記第2の2(4))エ原告P4は,平成11年ころ,P314兄弟から,P6株式売却代金25億円を,国債の利回りを上回る程度の固定金利で運用するための方法につき相談を受けていた。(乙215)オ原告P4,P39会計士及びP6関係者は,遅くとも平成11年11月25日までに,別紙1の5記載のような海外のSPCを介した融資スキームであるP22ローン・スキームの原型を考案し,P9P38(当時はP62勤務)の紹介により,P63社の代表取締役P64に同スキームに係る業務を依頼した。P20側の担当者はP6P60であった。上記海外SPCは,P22及びP32として,P63社が委託したP65により設立・維持管理されたが,両社はいわゆるペーパーカンパニーであり,その設立・維持管理費用はP63社が負担していた。P64は,P22日本支店の代表者に就任した。(乙195ないし197)カ原告P4は,P314兄弟をP22ローンの資金提供者とすることとしたが,P22ローンによって,P5社が支払うこととして予定されていた金利11パーセントについては,これをそのままP314兄弟に支払- 49 -うのは多すぎると判断し,P314兄弟に3.2パーセントを支払い,残りの大部分を子である原告P3及び同P2に各2分の1ずつ取得させることにし,これを実行するため,原告P4は,P314兄弟がP36U/Tに投資すること,また,原告P3及び同P2がP34U/Tに投資し,P34U/Tが株主となってP33を設立すること等を指 得させることにし,これを実行するため,原告P4は,P314兄弟がP36U/Tに投資すること,また,原告P3及び同P2がP34U/Tに投資し,P34U/Tが株主となってP33を設立すること等を指示し,それらの事務をP66に依頼した。(乙215,216)キP64は,P22ローンの利息の支払について,P20からP31 兄弟が投資しているP36U/Tに至る資金の受渡しの全過程にわたり指示を出した。(乙217)クP32は,P33に対して優先株を発行し,平成13年2月に出資1万米ドルがP32に支払われているが,この一連の手続は,P6P60からの依頼により,P64が,P65を通じて手配した。(乙197)ケなお,原告P5社は,平成13年3月30日にP20を吸収合併し(乙176),同年8月7日にP314兄弟からP36U/T受益権の譲渡を受けたことから,原告P5社が支払ったP22ローンの利息の一部は同社が受益権を有するP36U/Tに環流され,残りの大部分は原告P3及び同P2が受益権を有するP34U/Tに支払われる結果となった。 (2) 検討そもそも,前記のとおり,α不動産等は,原告P4が支配するP6が主導して土地を取得して建物を建築し,その建物は同社のゲストハウスとして使用されているところ(前記第2の2(4)),上記認定のとおり,P20の代表取締役及び株主は,いずれも原告P4と関係の深い者が占めており,P20は,原告P4が支配する原告P5社及びP6との間で,経済的合理性のないα不動産等の購入及び賃貸に係る取引を行っていることから,P20もまた,原告P4が実質的に支配していたものと推認される。そして,原告P4は,原告P4及びその関係者が考案した原型をもとに,P314兄弟の資- 50 -金を,P20のα不動産等購入資金に充て,P20が ,原告P4が実質的に支配していたものと推認される。そして,原告P4は,原告P4及びその関係者が考案した原型をもとに,P314兄弟の資- 50 -金を,P20のα不動産等購入資金に充て,P20が支払う利息のうち年3. 2パーセント分をP314兄弟に支払い,残りの大部分(年7.58パーセント分)を原告P3及び同P2に取得させるという,P22ローン・スキーム全体を最終決定し,これに基づいて,P22,P32,P36U/T,P33及びP34U/Tを組織して,その後の資金の流れも原告P4が統括し管理していたものと認められる。 そして,P33が,P32に対し1万米ドルを出資しただけで,年間約1億8900万円もの配当を受けていることになっている(前記第2の2(5),別紙1の5)ことなど,経済的合理性に欠ける取引が連なっていることも合わせて考えれば,P22ローンに係る取引の実体は,P314兄弟とP20との融資取引を,実体のない外国法人等を介在させることによって海外の投資家とP20との間の融資契約であるかのように装い,P20が利息として支払う年11パーセント相当額のうち年7.58パーセント分を,受け取るべき合理的理由のない原告P3及び同P2に供与することを企図したものであったと認められ,P22,P32及びP33は原告P3及び同P2に名義貸しをしたものにほかならならず,P34U/Tも委託者である原告P3及び同P2からの独立性を有する存在ではないというべきである。 したがって,P20ないし原告P5社から支払われた年11パーセントの利息相当額のうち年7.58パーセント分は,原告P3及び同P2に対する利益供与であり,所得税法12条により,P20ないし原告P5社からP22に対して支出されたあるいは支出されるべき時点において,原告P3及び同P2にそれぞれその セント分は,原告P3及び同P2に対する利益供与であり,所得税法12条により,P20ないし原告P5社からP22に対して支出されたあるいは支出されるべき時点において,原告P3及び同P2にそれぞれその50パーセントずつ帰属すると解するのが相当である。 そして,原告P3及び同P2がP20から供与を受けた年7.58パーセントの利息相当額の利益は,同社から贈与により継続的に支払を受けたものとして,雑所得に該当する。また,原告P5社がP20吸収合併後に支払った年7.58パーセント相当額は,役員である原告P3及び同P2への給与- 51 -等の支払として,源泉徴収義務が生じる。 なお,原告らの損益通算の主張については,前記と同様に理由がない。 (3) 小括したがって,争点(4)に係る被告の主張は理由がある。 争点(5)(匿名組合契約)にいて(1) 認定事実アまず,匿名組合契約に関する資金の流れについては,前記争いのない事実等(第2の2(6))記載のとおり,別紙1の3及び4のとおりであったと認められる。 イそして,P23社は,平成13年3月にα不動産等の購入資金の調達を目的として設立され,P39会計士が代表取締役であったが,実質的には原告P4が支配・運営していた。α不動産等の購入契約の締結や購入金額についてはもとより,資金調達の方法は,P24社との匿名組合契約によることも,原告P4が決定した。P23社の収入は,α不動産等の賃貸収入のみであり,通帳の保管・出納事務・α不動産等の管理・匿名組合の分配金の送金は,すべてP6が行っていた。(乙171,189)ウP24社は,原告P4がP66関係者に設立事務を依頼して設立された海外法人であり,平成13年中に2000万米ドルの社債発行を行って資金を調達しているが,その99パーセントに当たる1980万米ドル ウP24社は,原告P4がP66関係者に設立事務を依頼して設立された海外法人であり,平成13年中に2000万米ドルの社債発行を行って資金を調達しているが,その99パーセントに当たる1980万米ドルをP23社との匿名組合に出資している一方,この匿名組合への出資のほか特段の活動をしていない。(乙189,191)P24社は,平成13年3月27日にP15U/Tに対して社債を発行したが,発行に係る弁護士費用の300万円の請求をP6に対して行い,また,P24社の社債の引受人が誰かについてP6に問い合わせをし,P6の担当者が,引受人はP15U/Tである旨回答している(193,194)- 52 -エP23社とP24社との匿名組合契約の内容は,原告P4が決定した。 (乙189)(2) 検討そもそも,前記争いのない事実等(第2の2(6)エ)記載の別紙1の3のとおり,本件匿名組合の出資金は,EB債1の中途償還とEB債2の発行により,P5社から,P10LPS,P29,P14U/Tを介して原告P5社に環流し(別紙1の3記載のP14ルート),また,原告P5社からP10LPS,P29,P15U/T,P16を経由して原告P5社に還流した資金(別紙1の3記載のP15U/Tルート1)が,さらにEB債1の中途償還により,P10LPS,P29,P15U/Tを経由したものであり(別紙1の3記載のP15U/Tルート2),前記争いのない事実等(第2の2(6)エ)記載の別紙1の4のとおり,P15U/TによるP24社の社債引受,P24社からP23社への出資金の支払の後,P23社からα不動産等の代金としてP20(合併後は原告P5社)に還流しており,P15U/Tの受益者は原告P4である。そして,EB債1取引及びEB債2取引が,原告P4らの原告P5社への実質的な融資を隠ぺいする α不動産等の代金としてP20(合併後は原告P5社)に還流しており,P15U/Tの受益者は原告P4である。そして,EB債1取引及びEB債2取引が,原告P4らの原告P5社への実質的な融資を隠ぺいするものであったことは前記のとおりであり,また,上記認定のとおり,匿名組合契約の内容は原告P4が決定したものであること,その営業者であるP23社は原告P4が実質的に支配していること,組合員であるP24社は匿名組合契約への出資のみを目的として原告P4の指示により設立された海外法人であり,原告P4の支配するP6が運営していることなどに照らすと,本件匿名組合の真の出資者は原告P4であり,これを隠ぺいするためにP24社を設立してその名義を借用したものと認められる。 したがって,所得税法12条により,P23社がP24社に利益を分配した時点で,その利益はすべてP4に帰属し,匿名組合の営業目的が不動産賃貸業であることから不動産所得に該当することになる。 - 53 -なお,原告らの損益通算の主張については,前記と同様に理由がない。 (3) 小括したがって,争点(5)に係る被告の主張は理由がある。 争点(6)(P25ファンド取引)について(1) 前記争いのない事実等(第2の2(7))記載のとおり,原告P4は,P25ファンドの償還通知を受けた後,償還日のわずか2日前に,原告P5社に対し,P25ファンドを,その前日(終値)の基準価格に基づいて算定した価格で売却しているところ,そもそもP25ファンドは,償還時には,所得税,地方税併せて償還差益の20パーセント相当額の源泉徴収がされるのであるから,これの税金相当分を差し引かずに代金を定めることは通常考え難く,原告P5社が,償還日までの2日間に大幅な利益を得ることをうかがわせる証拠もないから,原告P5社は,原告P4に支 がされるのであるから,これの税金相当分を差し引かずに代金を定めることは通常考え難く,原告P5社が,償還日までの2日間に大幅な利益を得ることをうかがわせる証拠もないから,原告P5社は,原告P4に支払った金額について,償還日にすべてを回収するできないことは明らかな状態であった。 また,証拠(乙276)によれば,一般に,P25ファンドを証券会社に譲渡した場合には,買取請求をした日における元本の超過額である利益部分の20パーセントの金額については所得税及び地方税相当額として差し引かれることが認められるのであるから,原告P4は,償還日の2日前に,これを差し引かない額でP5社に譲渡したことによって,この支払を免れたことになる。 そうすると,原告P5社は,同社の代表者であり同社を実質支配している原告P4が,償還差益に対する課税を免れるのに協力するため,損失を受けることが明らかな取引に応じたものであり,通常の経済活動を行う者の行為としては説明し得ない,不自然,不合理なものであったといわざるを得ない。 したがって,原告P5社が,原告P4からP25ファンドを上記価格で買い取ったのは,本来,償還差益の20パーセント相当額を控除して算出されるべき通常の対価に,償還差益の20パーセント相当額を上乗せした代金を- 54 -支払うことで,その額の利益供与をしたものと認められる。そして,原告P4は原告P5社の役員であるから,この利益供与は役員賞与というべきであり,原告P4の給与所得に該当すると共に,原告P5社は原告P4に同額の賞与を支払ったものとして源泉徴収義務を負うことになる。 (2) これに対し,原告らは,これは売買代金の一部を否認することにほかならないところ,同族会社の行為計算の否認に関する法人税法132条,所得税法157条は憲法違反であるから,原処分は憲法 になる。 (2) これに対し,原告らは,これは売買代金の一部を否認することにほかならないところ,同族会社の行為計算の否認に関する法人税法132条,所得税法157条は憲法違反であるから,原処分は憲法違反で無効である旨を主張する。しかし,法人税法132条は,同族関係によって会社経営の支配権が確立されている同族会社においては,法人税の負担を不当に減少させる目的で,非同族会社では容易になし得ないような行為計算をするおそれがあるので,同族会社と非同族会社との課税負担の公平を期するために,同族会社であるがゆえに容易に選択することのできた純経済人として不合理な租税負担を免れるような行為計算を否認し,同じ経済的効果を発生するために通常採用されるであるところの行為計算に従ってその課税標準を計算し得る権限を徴税機関に認めたものであって,同族会社に対してのみこのような行為計算の否認の規定を設けたことについては十分な合理性があるというべきであって,立法目的は正当であり,その区別の態様も,その目的との関連で不合理であるとはいえず,所得税法157条についても同様であるから,これらの規定はいずれも憲法14条1項に違反するものとはいえず,原告らの主張は失当である。 また,原告らは,P25ファンド取引は,当時広く行われていた適法な節税行為である旨を主張するが,単に当時広く行われていたことから適法な行為であるとはいえないことは明らかであって,同主張もまた理由がない。 このほか,原告らは,原告P5社が被った損失161万7861円の範囲内で否認すれば足りる旨を主張するが,前記の証券会社に譲渡した場合の扱いや,P25ファンド取引が償還日の直前にされたことに照らすと,償還差- 55 -益の20パーセント全体が不自然,不合理なものであるというべきであり,原告らの同主張もまた理 会社に譲渡した場合の扱いや,P25ファンド取引が償還日の直前にされたことに照らすと,償還差- 55 -益の20パーセント全体が不自然,不合理なものであるというべきであり,原告らの同主張もまた理由がない。 (3) 小括したがって,争点(6)に係る被告の主張は理由がある。 争点(7)(結婚式,結婚披露宴関連費用)について原告P5社は,原告P2の結婚披露宴関連費用総額9843万4026円のうち,企画・使用備品費用,招待状作成費用,レストラン費用合計4329万6800円を交際費として計上したものであるところ,結婚披露宴は,一般に,個人の私的行事であることが明らかな結婚式に引き続いて行われるなど,これに付随するものであり,婚姻当事者が結婚の事実を双方の親族や親しい関係者に知らせて,これらの者から祝福を受け,今後の親交を願うため行われる行事であって,婚姻当事者の私的な社交的行事であると解すべきである。 原告らは,出席者の約78パーセントが原告P5社の取引関係者であることを主張しているが,新婦である原告P2及びその父である原告P4がいずれも原告P5社の役員であることからすれば,出席者の多数が原告P5社の取引関係者であることは原告P2の結婚披露宴が私的行事であることと何ら矛盾するものではない。また,原告らは,結婚披露宴費用の一部を個人負担としたことや原告P5社の接待交際費がゼロであることはあり得ないことなどを主張するが,それらは原告P2の結婚披露宴の私的行事という性質に何らかの変化を加えるものではない。 原告らはこのほか,法人税法上,社葬費用の損金算入が認められていることを主張しているが,社会通念上,法人が役員等の社葬を行うことは広く行われているのに対し,法人が役員の結婚披露宴を主催することが一般的であるなどとは到底いえないから,社葬費用の損 が認められていることを主張しているが,社会通念上,法人が役員等の社葬を行うことは広く行われているのに対し,法人が役員の結婚披露宴を主催することが一般的であるなどとは到底いえないから,社葬費用の損金算入が認められていることから,結婚披露宴が法人の交際費となることを肯定することはできず,原告らの主張はいずれも理由がない。 - 56 -したがって,争点(7)に係る被告の主張は理由がある。 争点(8)(重加算税賦課決定処分)について(1) 以上検討したところによれば,原告P4は,EB債1取引,EB債2取引,P22ローン取引及び匿名組合取引について,海外のSPC等を利用したスキームを実行して真実の法律関係と異なる外形を作出し,真実の法律関係を隠ぺいした上,その隠ぺいしたところに従って,P4家族に帰属する所得を意図的に申告しなかったものといえるから,重加算税の賦課要件をみたすことは明らかである。また,原告P2,同P3及び同P1は,原告P4の妻及び子であり,いずれも原告P5社の取締役であるから,原告P4の行為を認識し,又は容易に認識し得たというべきであるし,現実に,原告P5社の取締役としてEB債1及びEB債2の発行を決議し(乙160の1及び2,乙219の1及び2),EB債1取引に介在した海外のパートナーシップ契約の締結に携わっていた(乙57の3ないし6)にもかかわらず,自らの確定申告に関して過少申告を防止することもしていないことから,仮に原告P4のした隠ぺい行為の全部に関与していなかったとしても,原告P4の隠ぺい行為は原告P2,同P3及び同P1の行為と評価できる。 また,原告P5社ないし合併前のP20は,EB債1取引に係る適正利息超過部分ないしP22ローンに係る利息につき源泉徴収義務を負うにもかかわらず,原告P4の指示のもと,真実の法律関係 為と評価できる。 また,原告P5社ないし合併前のP20は,EB債1取引に係る適正利息超過部分ないしP22ローンに係る利息につき源泉徴収義務を負うにもかかわらず,原告P4の指示のもと,真実の法律関係と異なる外形を作出してこれを隠ぺいし,納付を免れたものであるから,重加算税の賦課要件をみたすことは明らかである。 (2) 原告らは,これらの取引について,現実の資金の動きに合致した経理処理を行っており,その原因行為たる契約内容等も帳簿上明らかにしていると主張するが,これらはまさに真実の法律関係と異なる外形の作出行為であって,隠ぺい行為にほかならない。 原告らは,EB債1及びEB債2の利息相当額,匿名組合契約に基き支払- 57 -われた金員は,未だP4家族に帰属していないから,過少申告の故意が認められないとも主張するが,これらの金員がP4家族の所得として帰属していることは既に認定したとおりであり,原告らの主張は前提を欠く。また,P 4兄弟のうちP35がP36U/Tの信託受益権売却益を確定申告していることは,原告P5社及びP4家族の認識内容を左右するものではない。 このほか,EB債1の支払利息のうち適正利率超過部分にのみ隠ぺいないし過少申告の故意を認めるのは不自然であるとも主張するが,本郷税務署長が原告P5社に適正利率超過部分につき重加算税賦課決定処分をしたのは,原告P5社に源泉徴収義務が生じる金額を基礎としたからにすぎないから,何ら不自然とはいえない。 (3) 小括したがって,争点(8)に係る被告の主張は理由がある。 争点(9)(手続的違法)について(1) 原告らは,渋谷税務署長のP4家族に対する平成15年3月24日付け各更正処分が違法となる理由として,同月25日以後に行われた所得税法234条1項に反する違法な調査をしたことを挙げてい ついて(1) 原告らは,渋谷税務署長のP4家族に対する平成15年3月24日付け各更正処分が違法となる理由として,同月25日以後に行われた所得税法234条1項に反する違法な調査をしたことを挙げているが,原告らの主張する調査は上記各更正処分後になされたものであって,上記各更正処分の適法性に影響しないことは明らかである。 また,原告らは,上記各更正処分が通則法27条に違反するとも主張しているが,渋谷税務署長が上記各更正処分前に,資料収集,原告P4を含む関係者への事情聴取その他の調査を行っていることは,証拠(乙83,110の1,乙177,189,197,209,215,216,220,274)からも明らかであって,上記各更正処分はこれらの調査したところに基いてされたものであると解されるから,いずれも通則法27条に反するとはいえない。 このほか本件全証拠に照らしても,上記各更正処分に手続上の違法があっ- 58 -たとはうかがえない。 (2) 小括したがって,争点(9)に係る原告らの主張は理由がなく,渋谷税務署長がP4家族に対して平成15年3月24日付けで行った各更正処分は,適法な手続に基づくものというべきである。 第4 結論 以上によれば,争点に関する被告の主張はいずれも理由があり,また本件全証拠に照らして,渋谷税務署長の各更正処分及び本郷税務署長の各納税告知処分並びにこれらに付随する処分に違法な点は認められず,いずれも適法である。 したがって,原告P1の訴えについては,平成11年の所得税に係る平成15年3月14日付け更正処分(同年9月3日付け変更決定処分後のもの)のうち本訴係属中の平成18年10月31日付け更正処分及び重加算税の変更決定処分により減額された部分は訴えの利益が消滅したから却下することとし,同原告のその余の請求,原告P2,同P 定処分後のもの)のうち本訴係属中の平成18年10月31日付け更正処分及び重加算税の変更決定処分により減額された部分は訴えの利益が消滅したから却下することとし,同原告のその余の請求,原告P2,同P3,同P4及び同P5社の各請求はいずれも理由がないから棄却することとし,訴訟費用の負担について,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条,65条を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第3部裁判長裁判官定塚誠裁判官中山雅之- 59 -裁判官進藤壮一郎
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